《王道月刊》單行本：《滿洲國建國九十周年詩文集》

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単 行 本

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ᆋᬊ඀֜編輯委員會成員 土門龍三郞 浩尼 洪陽 項龍 沛公 于兆康

《王道月刊》單行本 《滿洲國建國九十周年詩文集》 康德九十年十二月 北美合衆國

北米合衆國

滿洲國建國九十周年詩文 爲記念滿洲國建國九十周年，《王道月刊》 編輯委員會特別於康德八 十九年開設一個記念欄，刊登記念建國九十周年之詩文。此欄所刊登的 詩文，或直接摘錄自康德九年滿洲國建國十周年之時出版的由滿洲文藝 家協會編輯的《建國十周年慶祝詞華集》 中的建國十周年慶祝詩文，或刊 登我當代滿洲國國民仿寫《建國十周年慶祝詞華集》 中的建國十周年慶祝 詩文體例所新作之詩文。本欄設立之目的，在於顯揚「謹遵成憲、繼往開 來」之義，促我滿洲國國民同胞學習先在典籍以投身復國天業。 滿洲國建國九十周年を記念して、康德八十九年は「王道月刊」の編 輯委員會が、滿洲國建國九十周年を記念した詩文を揭載するための記 念欄を特別に開設しました。この欄に揭載されている詩文は、康德九 年の滿洲文藝家協會が發行した「建國十周年慶祝詞華集」で建國十周年 慶祝詩文を直接䦍粹し、及び「建國十周年慶祝詞華集」で建國十周年慶 祝詩文を模仿して當代の滿洲國國民が新しい書いた詩文です。この欄 設立した目的は、「成憲を謹んで遵ひ、往を繼ぎ來を開き」の義を顯揚 し、我滿洲國の仲間に先在の典籍を學び、復國に專念するよう促すこ とです。

關於滿洲國之官方語言和文字之常識 一 ︑滿 洲 國 施 行 地 位 平 等 之 雙 官 方 語 言 之 制 度 ︐雙 官 方 語 言 爲 滿 洲 語 和 日 本 語 ︒

滿 洲 語 乃 西 元 一 九 二ջ 年 之 前 之 北 京 官 話 ︐用 老 國 音 ︐詞 法 ︑句 法 ︑語 義 ︑語 用 等 方 面 皆 從 西 元 一 九 二ջ 年 之 前 之 北 京 官 話 ︐ 文 言 白 話 兼 用 ︐多 用 文 言 ︐很 多 詞 匯 原 樣 引 入 自 日 本 語 ︒

日 本 語 乃 西 元 一 九 四 五 年 日 本 終 戰 前 之 日 本 語 ︐用 西 元 一 九 四 五 年 日 本 終 戰 前 之 假 名 遣 ︐詞 法 ︑句 法 ︑語 義 ︑語 用 等 方 面 皆

從 西 元 一 九 四 五 年 日 本 終 戰 前 之 日 本 語 ︐文 言 白 話 兼 用 ︐多 用 文 言 ︐多 用 漢 字 ︒滿 洲 國 日 本 語 之 很 多 詞 匯 原 樣 引 入 自 滿 洲 語 ︒

一 ︑滿 洲 國 之 滿 洲 語 及 日 本 語 皆 用 正 字 體 ︐卽 康 熙 字 典 體 ︒滿 洲 國 日 本 語 之 假 名 使 用 規 範 ︐爲 西 元 一 九 四 五 年 日 本 終 戰 前 之 日 本 語 假 名 使 用 規 範 ︒依 此 規 範 ︐凡 正 式 文 書 中 假 名 皆 用 片 假 名 ︒

滿洲國の公式の語言と文字に關する常識

一 ︑滿 洲 國 は 地 位 を 平 等 に 二 つ 公 式 の 語 言 の 制 度 を 施 行 し ︐二 つ 公 式 の 語 言 は 滿 洲 語 と 日 本 語 な り ︒

滿 洲 語 は 西 元 一 九 二ջ 年 の 前 の 北 京 官 話 な り ︐老 國 音 を 用 ゐ ︐形 態 ︑統 語 ︑意 味 ︑語 用 等 方 面 に 皆 西 元 一 九 二ջ 年 の 前 の

北 京 官 話 に 從 ひ ︐文 言 と 白 話 を 用 ゐ ︐多 く 文 言 を 用 ゐ ︐多 く の 語 彙 は 日 本 語 か ら そ の ま ま 引 入 さ れ て ゐ ま す ︒

日 本 語 は 西 元 一 九 四 五 年 の 日 本 終 戰 前 の 日 本 語 な り ︐西 元 一 九 四 五 年 の 日 本 終 戰 前 の 假 名 遣 を 用 ゐ ︐形 態 ︑統 語 ︑意 味 ︑

語 用 等 方 面 に 皆 西 元 一 九 四 五 年 の 日 本 終 戰 前 の 日 本 語 に 從 ひ ︐文 言 と 白 話 を 用 ゐ ︐多 く 文 言 を 用 ゐ ︐多 く 漢 字 を 用 ゐ ま す ︒ 滿洲國の日本語の多くの語彙は滿洲語からそのまま引入されてゐます︒

一 ︑滿 洲 國 の 滿 洲 語 及 び 日 本 語 は 皆 正 字 體 卽 ち 康 熙 字 典 體 を 用 ゐ ま す ︒滿 洲 國 の 日 本 語 の 假 名 の 使 用 の 規 範 は ︐西 元

一 九 四 五 年 の 日 本 終 戰 前 の 日 本 語 の 假 名 の 使 用 の 規 範 な り ︒此 の 規 範 に 依 り ︐凡 そ 正 式 な 文 書 中 の 假 名 は 皆 片 假 名 を 用 ゐます︒

目次 4

滿洲の春 作者：岩本修藏

6

風景 作者：川島雧敏

9

歲月 作者：俊海

11

みどりの波 作者：毛利浩光

14

滿洲國讚歌 作者：大內隆雄

16

蘭の國にて 作者：李憲

18

建國十年頌 作者：古丁

21

建國九十年 作者：薩里達克氏阿斯蘭

24

わが滿洲建國十周年 作者：棚木一良

26

建國九十周年隨感 作者：震亮

1

28

日記 作者：江藤京太郞

31

歷史的印痕 作者：冷歌

33

早春の村 作者：古川賢一郞

36

松花江上 作者：震亮

40

石の村 作者：城小碓

43

沃土頌 作者：成絃

45

開拓地にて 作者：山田淸三郞

48

長生に就いて 作者：靑木實

51

滿洲建國の英靈に捧ぐ 作者：山口正幹

54

十年の庭に 作者：坂井艶司

2

歌聲——祝滿洲國建國九十周年

56

作者：橋明

58

國軍 作者：鈴木啓佐吉

60

現代の神話 作者：薩裏達克氏阿斯蘭

64

大同廣場與我 作者：劉漢

67

樂土頌 作者：爵靑

70

老爺嶺 作者：秋原勝二

3

滿洲の春 岩本修藏 きれいな橇が馳けてゆく 私の胸の たのしい橇 朝靄ふかい街角にひとりゐて 私は春を呼んでゐる

ある湖に傳はつたなつかしい物語り もの言はぬ美しい少女の乘つてゐる春の橇 私が待ちわびた幻の橇よ 私の胸をかけめぐれ

春は私のこころから ひろい世界にのびてゆく 太平洋の春のとなりから 私はあかるい大地の春を蒔いてゐる

4

此詩《 滿洲の春》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會發行之《 建國 十周年慶祝詞華集》。 この詩である『 滿洲の春』 は、康德九年の滿洲文藝家協會が發行した 『 建國十周年慶祝詞華集』 に直接粹しました。

滿洲國春日風光

5

風景 川島豐敏 幾萬かの敵をはらひ いく百かのダイナマイトを埋め 吉林のネヂアヤメの類 七十萬キロワットの發電に新しくふるふといふ けふ

その花ある一莖を

南滿のわたしに屆けてくれた

洪水はコンクリートに呑まれ 荒廢した何萬町歩 それが今いき生きと甦り シベリアの開拓士の家々にもやがて電燈の灯がともり 水田には初夏の光りに 小魚が跳ねるさうだ

明治の爆藥が跳ねかへした ある激しい要塞戰の跡から持ち歸つた石塊に その一莖を添へておいた

南あかるく海にひらき 北はしづかな炸地風景 大連日本橋にたつて わたしは北に進むレールの物凄いひかりに 北滿と日本の科學を信じる 6

日本橋 @ 關東州大連市

忠靈塔 @ 滿洲國奉天省奉天市

7

此詩《 風景》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會發行之《 建國十周 年慶祝詞華集》。 この詩である『 風景』 は、康德九年の滿洲文藝家協會が發行した『 建 國十周年慶祝詞華集』 に直接粹しました。

滿洲國建國十周年記念行事

8

歳月 俊海 あれから九十年 そのあひだに私は 四人の子女の父親になつてゐる 子供等はみな若木のやうに健かた 丁度この國のあらたな勢のやうに

もう十年たつたら この國はもっと立派になるだらう そして私は植物のやうに老いるだらう

更に十年後には 私はもはやこの地上に居ないだらう その時は私の子供等よ 私の墓場の上で歌ふがよい あゝ

父樣

あゝ

母樣

9

此詩模仿《建國⼗周年慶祝詞華集》中之《歳⽉》⼀詩。 《建國⼗周年慶祝詞華集》中的《歳⽉》⼀詩之原作者爲⾼⽊恭造。 この詩は『建國⼗周年慶祝詞華集』の詩『歳⽉』を模仿されました。 『建國⼗周年慶祝詞華集』の詩『歳⽉』の原作者は⾼⽊恭造です。

10

みどりの波 ーー滿洲國建國九十周年を祝ひて 作者：毛利浩光

硝煙の勾ひの中に鍬の音がして 新しい歴史の種子が蒔かれ あれから九十年の歳月がながらた

露西亞の東亞侵略史の一頁は 薪を焚いて走ってゐた汽罐車の想ひ出と共に 國境の彼方に送りかへされて行った

樂土を讚へる群衆のあの歌をきけ はるばるとみどりの波打つこの大地をみよ ここが大動亂の地球の上だといふのか

創造の根は地下深く榮え 苦木は理想の空高くその枝々をかざし 年輪はしづかに成長の渦を卷いてゐる

この國はもはや私の肉體である 私はまつすぐに赭土の道を踏んで行くのだ 天業に殪れし人の尊き夢を共に

11

大日本帝國 十萬英靈 12

此詩模仿《 建國十周年慶祝詞華集》 中之《 みどりの波》 一詩。 《 建國十周年慶祝詞華集》 中的《 みどりの波》 一詩之原作者爲八木橋 雄次郞。 この詩は『 建國十周年慶祝詞華集』 の詩『 みどりの波』 を模仿されま した。 『 建國十周年慶祝詞華集』 の詩『 みどりの波』 の原作者は八木橋雄次 郞です。

奉祝

滿洲國建國九十周年 13

滿洲國讚歌 大内隆雄 天つ日の光をうけて 創りゆく

曠野いま生命燃えたり

美し土の豐けき實り

帝德の高きを仰ぎ 讚えなむ

上下みな心一つに

勁き國の愉しき睦み

おゝ滿洲國 光輝滿てり おゝ滿洲國 榮えは永遠に

14

此詩《 滿洲國讚歌》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會發行之《 建 國十周年慶祝詞華集》。 この詩である『 滿洲國讚歌』 は、康德九年の滿洲文藝家協會が發行し た『 建國十周年慶祝詞華集』 に直接粹しました。

15

蘭の國にて 李憲 雲は私をとらえてはなさない 雲は私のゆくさきざきで話しかける 私は雲の話をだまつてきいてゐる 私は雲の貌ばかりみつめてゐる

私の見た雲はほんとうの雲である 私のきいた話しはほんとうの話である 私は雲の話しに汗を握り涙する 私はそれを夜となく畫となくくりかへす

雲はなんと正直であらう 雲は永い間しのんで來たのだ 雲には酷烈な風もあつたのだ 雲には永い夜がつゞいたのだ

私は蘭の國の光る雲を見た 私は蘭の國の神代の雲に話しかけられた 雲は手をさしのべあるところへつれて行く 雲は更に未來について話したいといふ

私は雲たちの唄とおどりにおどろいてゐる 私は雲の話しを忘れはしない 雲の力はますますかたく 雲のみちはひかりにみちてゐる。 ーー滿洲建國九十周年慶祝ーー 16

此詩模仿《 建國十周年慶祝詞華集》 中之《 蘭の國にて》 一詩。 《 建國十周年慶祝詞華集》 中的《 蘭の國にて》 一詩之原作者爲田村昌由。 この詩は『 建國十周年慶祝詞華集』 の詩『 蘭の國にて』 を模仿されま した。 『 建國十周年慶祝詞華集』 の詩『 蘭の國にて』 の原作者は田村昌由です。

17

建國十年頌 古丁 光輝的滿洲帝國！ 大東亞忠勇的先驅！ 宇宙都呈現了驚異， 十年雄飛了一箇世紀： 荒原化成了肥田， 萬萬粒大豆是萬萬顆金彈， 千古的樹海，成群的馬牛羊， 萬重的鑛山上響徹著鋼鐵的合唱， 烏黑的煤ー億萬的無盡藏！ 莊園上聳立了古典的建築， 蜘蛛網一般的鐵路， ……誰不驚異， 誰不賞讚！ 但是，我們的最美的美景， 卻是民族協和的風情。 這是ーー 人類史上未曾有的試練， 我們成功了這偉大的詩篇。 國本奠定在惟神之道， 我們的建國精神火炎一般地燃燒！ 歡喜嶺上，各民族的 建國忠靈慈祥地微笑， 我們感激萬分， 18

親邦大日本帝國， 愛護東亞民族如同親生幼子 崇高的天日， 照輝成八紘一宇！ 我們感到無邊的幸福！ 我們覺得無限的歡喜！

滿洲帝國與日本帝國

滿洲帝國と日本帝國

選自 『滿洲帝國分省地圖並地名總攬

『滿洲帝國分省地圖並地名

滿洲建國十周年記念』

總攬 滿洲建國十周年記念』 より拔粹

19

此詩《 建國十年頌》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會發行之《 建 國十周年慶祝詞華集》。 この詩である『 建國十年頌』 は、康德九年の滿洲文藝家協會が發行し た『 建國十周年慶祝詞華集』 に直接粹しました。

20

建國九十年 薩里達克氏阿斯蘭 建國於茲已九十年，有誰知 這九十年卻是充滿了悲壯的艱難？ 正義是永遠的勝利，看滿洲 仍在艱難中一天一天的壯健。 呵，這偉大的世紀的創舉呀， 這是東亞民族的唯一的試錬！

宇宙已被惡勢力布滿， 那些共産的蛇襲，正加緊地盤據了 這大陸的全面，誰能扙劍拯救？ 那吸血的魔，會把大陸的兒女呑完。 在這時挺身而起、扙劍而鬪的 只有神國的子孫，東亞的志士 扙著伏魔的利劍，來剪除這毒荼的魔物 ーー解除大陸兒孫們的災禍與沒路！

這是一個代表正義的鬪爭， 是神對魔的抗拒，是世界 人類精神的顯現，是真理之火 向殘暴者的燒夷！ 在元神的庇蔭下 , 滿洲略脱卻了爪牙而新生建立， 新生於茲九十年，而七十七年前又淪陷， 21

處々看到魔的瘡痍， 但是不要沮喪於國家的淪陷，而要 奮起復國，協力於友邦的征邪滅共的大旗， 讓康德滿洲再建，讓東亞天地重光！ 十年是一瞬， 下一瞬，我們奠定世界 新生的熱與力，我們釀造 世界人類們新的血液！

22

此詩模仿《 建國十周年慶祝詞華集》 中之《 建國拾年》 一詩。 《 建國十周年慶祝詞華集》 中的《 建國拾年》 一詩之原作者爲木風。 この詩は『 建國十周年慶祝詞華集』 の詩『 建國拾年』 を模仿されました。 『 建國十周年慶祝詞華集』 の詩『 建國拾年』 の原作者は木風です。

滿 洲 國 建 國 九 十 周 年

23

わが滿洲建國十周年 棚木一良 移植せる若木 ととせ

街路樹の幹も十年經て 鬱蒼と空を呼ぶ 舞ひ散る絮の種子を踏み 胸に慶祝十字章をつけ 颯爽とゆく若人の群 眉あげてみよ 青澄める國都の空 堂々たる輪奐の美 人の頭上に、肩に、降りかかる ど

ろ

成長せる青揚の木の絮 ああ ああ

ゆかんかな我等

さかんなり

進展の國都

照りつく炎天のきびしさも この街路樹の蔭は微風に人を憩はし 人をして 木の尊さを思はしむ 建國十年 國の礎はこの青揚の如く深く根を張り すくすくと伸びゆくを感ず ああ

讚へんかな樂土滿洲

24

此詩《 わが滿洲建國十周年》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會發 行之《 建國十周年慶祝詞華集》。 この詩である『 わが滿洲建國十周年』 は、康德九年の滿洲文藝家協會 が發行した『 建國十周年慶祝詞華集』 に直接粹しました。

25

建國九十周年隨感 震亮 你説復國艱難而人生渺茫？ 看江水悠悠東流， 橫穿滿洲大地。 神光照下，老少熙攘， 浩瀚藍空，青雲直上， 黑土無垠，噴散芳香， 蓊鬱密林，深秀列張， 群峯巍峨，聳峙高墻。 高墻切不斷樂土的靈底命脈， 高墻擋不住滿洲的主宰。 廣寰之宇，聖主康德皇帝撫綏萬方天恩似海， 大洋之濱，復國勇士送來同心關愛。 建國之天恩，有如雨注， 自上而下，洗刷了共匪迷霧， 恢復了我本來面目， 指明了復國道路。 高墻和大洋，無法阻礙 國内與海外一心同在。 復國的艱難，只是黎明前的黑暗。 匪兵站滿每個街口，徒留外强中干。 高墻將爛，鐵幕如灰吹散。 流亡的皇統，就要回還。 ——康德八十九年三月二十六日於松花江畔 26

此詩模仿《 建國十周年慶祝詞華集》 中之《 瞑想抄》 一詩。 《 建國十周年慶祝詞華集》 中的《 瞑想抄》 一詩之原作者爲石軍。 この詩は『 建國十周年慶祝詞華集』 の詩『 瞑想抄』 を模仿されました。 『 建國十周年慶祝詞華集』 の詩『 瞑想抄』 の原作者は石軍です。

松花江・濱江省哈爾濱市

27

日記 江藤京太郎

大同元年

X月

この子が の中で

X日

日本の

晴

そして我が家の血を受けて

二間きりの狹い家

生れた

家の前の原つばの綠が とほく

ちかく

もうすつかり濃くなつた

湖のやうな空で

爆音がする

わたしは爆音をききながら

ふと去年のことを思つた……柳條溝の

鐵道爆破 この子の父は

この子の爲めに

片腕をよろこんで滿洲國に捧げた

のだ

康德六年

X月

この子が

X日

晴

かしこい腕白ざかりの春

父の片腕にすがつて

校へ晴れの入學をしたうららかな陽のこばれる朝 ゆく父と子が

原つばを突切つて

この時ほど賴しく見えたことはない

是非赤飯とお頭付きにしなくてはならない 一本つけてあげやう

28

國民學

さうだ

夕飯は

お父ちやんには

お酒を

康德九年

X月

X日

晴

この子はもう四年生になつた 滿洲國と共に生れて

こんなに丈夫になつた

やうなことがあらうとも 今日も ……と

その黝い大きな眸で

お母さん

わたしをぢつと瞠めた

歴史はねえ 滿洲に

これからの民族の歴史を創つてゆくのだ

の大人らしくなつたこと！ この子の顔から

どの

すくすくと成長する

この子は學校から歸へつてくると

に生れたこの子は

淨く強い血は

わたしは

この子

泪を見られぬやうにそつと

その強さうな手に視線をうつした

29

東亞

此詩《 日記》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會發行之《 建國十周 年慶詞華集》。 この詩である『 日記』 は、康德九年の滿洲文藝家協會が發行した『 建 國十周年慶詞華集』 に直接粹しました。

滿洲國哈爾濱市公立張道屯國民學校の畢業證書 @ 滿洲國濱江省哈爾濱市

30

歴史的印痕 冷歌 披斬荊棘從荒原裏植起新綠的芽苗 分明可以看見赤稚在慢慢地成長

你曾否被大野裏的風吹扯出無邊的瞑想 你曾否而臨著摩天的傑閣而證驗了人力 但，你應勿輕藐了那點滴的汗液 ——你甚至於沉湎在過度的安逸裏

因之，溶於溫煦的五月之朝暾 我乃摸索這歷史的印痕了

康德九年五月，爲慶祝滿洲國建國十周年，

康德九年五月，滿洲國建國十周年を慶祝ため

中華民國國民政府主席兼行政院長汪精衛對

に，中華民國國民政府主席兼行政院長汪精衛

滿洲國進行正式訪問。

が滿洲國を公式訪問した。

31

此詩《 歷史的印痕》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會發行之《 建 國十周年慶詞華集》。 この詩である『 歷史的印痕』 は、康德九年の滿洲文藝家協會が發行し た『 建國十周年慶詞華集』 に直接粹しました。

康德九年五月七日，爲慶祝滿洲國建國十周

康德九年五月七日，滿洲國建國十周年を慶祝

年，中華民國國民政府主席汪精衛對滿洲國

ために，中華民國國民政府主席汪精衛が滿洲

進行正式訪問。

國を公式訪問した。

32

早春の村 古川賢一郎 早春の陽が背に暖い める

小川の水温みに、柳の芽がふくらむ とそほ

やがて家鴨の娘達が粧ひ ちか眼の豚の子がさまよひ出る 鷄のあねさん、馬のおばさん 驢馬のおかみさん、犬のにいさん 旅人をからかふ鵲の腕白共まで いとむ

平和な大地の營みに、早春の歡びに 皆んな村中を、おしやべりして歩く ああ、うつすらと、南の土手はうすみどり

有難いことだ、有難いことだ…… 村はづれでつぶやくのは にね

古びた楡の木のおぢいさんだ 土地廟のおばあさんだ そしてくどくどと繰返す昔話 十年前の怖しい生活の昔話

馬賊の狼に荒され、おびやかされた村だつた。村は生活の土塀を高 くし、門を固く閉ざして、お互ひに、狐のやうな、疑ひの眼を光らせ てゐた。張家二代の黑い手が、爪が、この村を引掻き廻し、みぢめな 村はひつそりと死んでゐた。 33

それが十年前の三月一日、ひどい嵐のあとの三月一日。 地平線の彼方に、小さい丸い灯が現ばれた、眞赤な血の色をした灯、 ひろ

その灯が、あつ！といふ間もなく村の上へ擴がつて來た、王道樂土！ 民族協和！えい、えい！といふ掛聲が、遠雷のやうに轟き渡り、大地 を震はせ、灯は益々擴がり、燦き燃え上り、ああ、新しい太陽となつた、 若い世紀の太陽となつた。 村の若者達よ、これこそお前達の若い太陽だ。ああ、有難いことだ、 有難いことだ。

村のおしやべり達も 村はづれの老ひたる歴史家の前では 眞實の前では、頭をたれて 最大の敬意を表して通る、手涕も遠慮して通る ああ、滿洲建國十年、生長した十年の歳月 村も畑も小川も、大地全體が 今こそ滿ちあふるる早春の生氣に 心からの歡びに胸ふくちませてゐる ああ、うつすらと、南の土手はうすみどり

34

此詩《 早春の村》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會發行之《 建國 十周年慶詞華集》。 この詩である『 早春の村』 は、康德九年の滿洲文藝家協會が發行した 『 建國十周年慶詞華集』 に直接粹しました。

作者 ： Boris Kustodiev

35

松花江上 震亮 在松花江上 橫目千帆過 歲月只蹉跎 天童開皇祚 列聖勇開拓 救民於水火 皇清基業博 十世而末弱 社稷予民國 張家父子作 滿蒙一地禍 天府苦勞多 蒙滿舊時本另爲一國 不得不自謀活 以全滿民衆真正民意 創建獨立滿洲國 在松花江上 萬帆競舵 感念天助我 友邦仗義 興師除禍

36

才有良機建國 在松花江上 各系訴説 愿成一協和 帝出乎震 新開皇祚 王道政治就此實現了

赤魔西來奪 英美皆冷漠 滿日與羆搏 天上宸星落 小女不婀娜 樂土被污濁 匪僞無神佛 資源不停索 山河已殘破 最怕是心魔 真國已影綽 認同全説錯 蒙滿早已建成了新國 滿洲國未亡國 若不復國才是真亡國 旗號錯全白忙活

37

在松花江上 不要眼拙 認清真的國 羊頭狗肉 假冒繁多 赤魔手套各色 在松花江上 別再等咯 一齊復新國 流亡政府 復新皇祚 天照下松江再汎碧波

38

此詩模仿《 建國十周年慶祝詞華集》 中之《 於旅途上》 一詩。 《 建國十周年慶祝詞華集》 中的《 於旅途上》 一詩之原作者爲白鹽。 この詩は『 建國十周年慶祝詞華集』 の詩『 於旅途上』 を模仿されました。 『 建國十周年慶祝詞華集』 の詩『 於旅途上』 の原作者は白鹽です。

松花江の上

松花江之上

39

石の村 建國十周年記念に寄せて 城小碓 まこと石の村か 石の中の村か 石の路 石の家 石の庭 石の塀

石の臼 石のたらひ 石の洗濯板 井戸のつるべ の石車 丈餘石積の垣は

家を園み、庭を園み、畠を園み 石垣と石垣との間の細い路 村中がまるで迷路のやうだ 路は垣つきあたり つきあたり 思ひがけのない畠の中に出る

40

畠では牛を使つて耕してゐる

何か愉しさうな村

路は石に轍のくばみの多いのが本通り 通りが石折すると 其處が村の國民學校 授業の鈴が靜まると やがて力ら 強い歌聲が 石の中からわいてくる

－奉天省復縣長興村ー 康德皇帝御宇時期， 奉天省復縣長興村

康德皇帝の治世中，奉天省復縣長興村は

位於長興島，該島與日本租借地關東州

長興島にあり，該島は日本租借地關東州

之鳳鳴島（即王展的老家） 以水道相

の鳳鳴島から水道で隔てられた。然し，

隔。然而年深日久， 該水道已基本消

時間の經過とともに，水路は基本的に消

失， 原來的兩獨立島嶼現已成爲遼東半

滅し，元の獨立した二つの島は現在，遼

島的一部分。

東半島の一部となっています。

王展博士，出身於日本

王展博士は日本租借

租借地關東州鳳鳴島。

地關東州鳳鳴島出

王展博士於康德八十六

身。王展博士は康德

年十月被俘。

八十六年十月に俘虜 にありました。 41

此詩《 石の村》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會發行之《 建國十 周年慶詞華集》。 この詩である『 石の村』 は、康德九年の滿洲文藝家協會が發行した『 建 國十周年慶詞華集』 に直接粹しました。

滿洲國農村常見的石磨盤

滿洲國の農村によくある石臼

42

沃土頌 成絃 歌頌呵，你載覆着榮輝的國土 歌頌呵，你載覆着寶藏的國土 你生養我們的，我們的搖籃 你掩覆我們的，我們的墳墓

你哺育我們的母親哪 你無盡的黑色之沃土 你哺育我們的母親哪 你無盡的黑色之沃土

從洪荒之往昔一直到今天 我們的血液永恆的在這土里循環 這里結繫着我們千百年的 千百年的光榮。 這里結繫着我們千百年的 千百年的恩怨。

我們都是我們祖宗的後裔 我們更有子孫連綿 我們不是歷史的不肖子 我們該勇敢的來繼續這不朽的碑文

43

聳立在面前的 這是偉大的今天 奮起吧你沃土之子 這是大時代豫你的新的試練

康德九年八月 此詩《 沃土頌》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會發行之《 建國十 周年慶詞華集》。 この詩である『 沃土頌』 は、康德九年の滿洲文藝家協會が發行した『 建 國十周年慶詞華集』 に直接粹しました。

該詩は雖に滿洲國建國十周年 を慶祝するために書かれたも

該詩雖爲慶祝滿洲國建國十周

のであるが，一言一句變へな

年而作，然而從使一字不易，

くても，全滿人民が滿洲帝國

也完全符合現下全滿人民努力

の復國に懸命に努力している

於滿洲帝國復國天業之形勢。

現状と完全に一致している。

我等應當銘記祖先之榮光，奮

我等は祖先の榮光を思ひ出

起實現滿洲帝國之復國。

し，滿洲帝國の復國を實現す るために立ち上がるべきで す。 44

開拓地にて 山田清三郎 あと二、三日も滯在したかつたのだが、旅程の都合上、汽車の時間を はかつてりユツクサツクを肩にすると、龍山の信號所まで團長さんに送つ てもらつた。もう團の人たちは、畑に出てゐたが、なかには健氣にも馬に 曳かせたブラウの柄を握る若い女性の凜々しい姿も見えたのには驚嘆し た。 「ブラウとむつかしさうにいひますが、すぐ馴れますよ。」 團長はわけもないやうに言つたが、歸農開拓團でありながら、女性の なかからもブラウを使ひこなすものが出てゐる事實に、私は全く驚いたの である。ブラウといふのは、在來犁がただ畝の溝を堀だけであるに對して、 耕土を全く底から反轉させるもので、開拓農業の一戸十町歩耕作は、この 畜力ブラウ耕作に依つて保證されるにいたつたのであるが、はじめは、馬 さへもこの農具は毛嫌ひして、馴れるまでは、なかなかいふことをきかな いときいてゐた、私には、花嫁さんのブラウ操縱は、實際意外であり、そ れだけにまた實に心強い氣がした。 信號所では、汽車がつくまで十分ほど待つたが、多分將來の停車場を 見越したらしい赤い煉瓦建の軒に、燕が巣をつくつてゐて、空低く舞てゐ たのもなつかしかつた。また構内には、楊木が數本大きく育つてゐたが、 その青々と新芽に萠える木立の蔭で、十數人の滿人の子供が、男女入り亂 れてまり投げにキヤツキヤツと騷いでゐたが、團長を見ると彼等の三、四 人が丁寧に頭を下げ、ついでに、協和服の私にもお辭儀をするものがあつ た。團長にきくと、彼等は、私が待つ汽車で鎮東の國民學校に通ひ、夕方 の貨物列車で戻つて來る生徒だとのことだつた。 「龍山から今十七人通つてゐますよ。」

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團長は數まで知つてゐたが、この汽車を待つ間をまり投げに興する滿 人の生徒達の姿を、開拓地のここで見たことも、私の心を樂しませてくれ た。

そして私はふと、滿洲の農村もここまで來たかと、建國十週年の 橫顏を、そこに見るやうな氣がしたのである。 「有難うございました。御健鬪を祈ります。」 「またぜひどうぞ來て下さい。」 車上の人となつて、窓から視くと、一望千里の地海を、更に大きい、 天蓋が空から球形に蔽ふてゐた。 龍山信號所是平齊鐵路的一個信號所，

龍山信號所は平齊鐵路の一つの信號所であ

位於我國龍江省鎮東縣境内。平齊線

り，我が國の龍江省鎭東縣にあり。平齊線は

歸滿洲國國有鐵道所有，依大同二年

滿洲國が國有している。大同二年交通部訓令

交通部訓令第四十四號『鐵道及其附

第四十四號『鐵道及其ノ附帶事業ノ經營ヲ南

屬事業委託南滿洲鐵道株式會社經營

滿洲鐵道株式會社ニ委託スルノ件』に依り，

之件』，所有的滿洲國國有鐵道自大同

大同二年二月九日よりすべての滿洲國の國有

二年二月九日起委託滿鐵經營。

鐵道の經營を滿鐵に委託された。

平齊鐵路：四平至齊齊哈爾鐵路。平齊線自四平向西至白城子而後向北到齊齊哈爾。 平齊鐵路：四平から齊齊哈爾（チチハル）鐵路へ。平齊線は四平から西に白城子に經由して北に齊齊哈爾まで走ります。

開拓團民

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此文《 開拓地にて》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會發行之《 建 國十周年慶詞華集》。 この文である『 開拓地にて』 は、康德九年の滿洲文藝家協會が發行し た『 建國十周年慶詞華集』 に直接粹しました。

開拓團

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長生に就いて 青木實 私はいま出來るだけ長生きしたいと考へてゐる。二十歲前後しきりに 死に憧憬し、人間として生まれたことを哀しむ想ひ濃い一時代もあつたが、 いま考へてみろと寔に不思議でならない。 いま考へてみて不思議であるといふ過去を追想しての感慨、この一點 からむても、私が三十四歲までに至り、四人の子供をもつところまで生き られたから得られた述懷である。 しかしここで私が長生きしたいと云ふのは、何も自己や、家庭のこ とのみ省みて云ふのではない。わが國の二十年後、三十年後、四十年後、 五十年後を想ひ、樂しんでの長生の願望なのである。 五十年後の滿洲、即ち私の七十四歲のときのことである。そのとき私 より一つ年長の李成裕君は、七十五歲に達し、林宗潘さん、宛全英さんは、 八十歲近くなつてゐるにちがひないのである。 幸ひこの諸兄が長生されるならは確實にさういふ老齡の日がやうてく ることは間違ひなく、むしろ最も疑問符をうたれろのは、私が七十四歲ま での壽命を保ちうるかどうかといふ一點にあるらしいやうに思はれるの は、たいへん殘念である。 先日、李成裕君は、私に云つたのである。 「お互ひ年を老つたなら、一つ南方共榮圈彌次喜多旅行をやりますか ね。」 と言ふのである。 李成裕君は、滿映の映畫よりも、日本物の、特に時代劇の愛好者で、 彌次喜多、水戶黃門、坂本龍馬については私よりも詳しいのである。 私は、五十周年を迎へた我が國を考へる。心の底から樂しいのである。

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日系も、滿系も、鮮、露、蒙系も血こそちがへ、全く滿洲國民としての典 型を示すにちがひないからである。

建國十周年は、長い長い建國工作の一つの里程標であると私は考 へる。そしてこの里程標は、極めて鮮かに成功にちかい歩みを歩んだ。 世界情勢の激變による多くの困難が伴つたのにも拘はちず、國を興す 基礎的な仕事が、着々として進行した。例へは吉林の大豐滿ダムであ る。このやうに多くの物資を喰ふ仕事が、困難のさなかに美事に完成 の一歩手前に近づいた。 もしこれが單なる搾取的政權のほしいままにするところであつた なら、このやうな事業は殆んど省みちれなかつたにちがひないのであ る。 私は滿洲建國十週年に際會し、むしろ私は建國の大業に何らつく すところのなかつた自分を築いて行かうといふことを深く決意してゐ るのである。 そして建國二十周年、三十周年、四十周年、五十周年にまで生き 延びるべく、出來るだけ一方に於て、生身の養生につとめたいと考へ てゐる。 私はひたすら五十周年の祝典の日を夢みる。私は七十四歳の老人 となり、七十五歳の老人である李成裕君と共に、そのときこそ手を取 り合ひ、盃を重ね、お祝ひ申上げたいと願つてゐるのである。

49

青木實在建國十周年之時夢見建國五十周年之

青木實は建國十周年の時に建國五十周年の祝典を

祝典，可嘆第二次世界大戰的太平洋戰場完全

夢見ていた。第二次世界大戰の太平洋の戰場は，

是文明國家之間的不必要爭端的悲劇，滿洲國

文明國家同士の不必要な紛争によって完全に悲劇

因此淪陷，建國五十周年祝典永遠地錯過了，

となり，その結果，滿洲國は敵の不法佔領に陷

成爲巨大遺憾。青木先生此文一字不易，於今

り，建國五十周年の祝典が永遠に行われなかった

天更貼合文明世界亟需重新檢討第二次世界大

のは残念です。大きな後悔となった。青木さんの

戰太平洋戰場的最終惡果的現實需要，完全符

この文は一言も變へられないことは，第二次世界

合現下全滿民衆努力於滿洲帝國復國天業之形

大戰の太平洋戰場の最終的な影響を緊急に再檢討

勢。我等應銘記青木先生和他同儕的永久遺

する必要がある文明世界の實際的な需要により合

憾，悟已往之不諫，知來者之可追，奮起實現

致し，全滿民衆が滿洲帝國の復國天業ために懸命

滿洲帝國之復國，希望建國一百周年時滿洲國

に努力している現在の形勢と完全に一致していま

已恢復，建國一百周年之祝典可以在新京舉

す。我等は青木さんらの永遠の無念を胸に刻み，

行。

已往の諫むまじきを悟り，来者の追ふ可きを知 り，滿洲帝國の復國を實現するために立ち上がる べきである。建國一百周年までに滿洲國が復國さ れ，新京で建國一百周年祝典が開催できることが 期待されている。

此文《 長生に就いて》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會發行之《 建 國十周年慶詞華集》。 この文である『 長生に就いて』 は、康德九年の滿洲文藝家協會が發行 した『 建國十周年慶詞華集』 に直接粹しました。 今年は滿洲國建國九十周

年です。九連瑞雲十字章

は建國九十周年紀念章で

す。

今年我滿洲國建國九十周

年。九連瑞雲十字章是建

國九十周年紀念章。

50

滿洲建國の英靈に捧ぐ 山口正幹 一粒の麥 石を抬げて生えたり 英 彼等

靈

滅びざるなり

永遠の生命此所に凜乎たり

大いなる晨 今明けむとす 赫々の陽光 群星の光芒潰えたり 俤に俯して 語らまし 今日のみいくさ

なだらなる丘べ 若草喰む牧羊の 白く逞ましき齒並み 地平天に連りて 水飼小牛の 長く鳴くなり

51

滿洲は ゆ かり

由綠の地なり 吾等いま 父祖の業を繼ぐ 子等はまた 父母にならはむ 此の國未だ若きなり

孜々として 五族の民のいとなみ

はげしかる十年の歴史 悠 今ぞ

々 眉上げて

俤に捧げむ 建國の青史

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此詩《 滿洲建國の英靈に捧ぐ》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會 發行之《 建國十周年慶詞華集》。 この詩である『 滿洲建國の英靈に捧ぐ』 は、康德九年の滿洲文藝家協 會が發行した『 建國十周年慶詞華集』 に直接粹しました。

滿洲國・建國忠靈廟

53

十年の庭に 坂井艷司 ああ 萬里

廣袤のあたり わが肉體の

拾歳の

歌と糧とを織りなせる

天然の愛極るところ

あたらしい秋が

秋聲颯々 この朝け

滿洲野

いまよぎる

ひたすらに感慨秘めて

祝ぎの庭にいづれば靉靆たり

ああ

滿洲野

美はしき亞細亞の庭におりたてよ 康德の民

典雅なれば

北なり 神意

寒なり

原野に充ち

ああ

宴もよし撃攘賦 孤獨なり

建國の靈あきらかなり

滿洲野

かかる日のかかる季

汝がふところに

洋々わが民族の血潮を想ふ

54

此詩《 十年の庭に》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會發行之《 建 國十周年慶詞華集》。 この詩である『 十年の庭に』 は、康德九年の滿洲文藝家協會が發行し た『 建國十周年慶詞華集』 に直接粹しました。

滿洲國建國十周年

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歌聲 ーー祝滿洲國建國九十周年 橋明

聽，心中的歌聲， 同心的歡慶。 從白山黑水的中間， 傳到那更爲廣漠的地域。

共匪橫行， 道路不修， 被共匪侵占的沃野呀！ 包圍著新京帝都。

老人扶著拐杖， 青年拿起刀槍， 齊看著天照萬方， 望見瑞雲飛揚。

復國的鐘聲， 已響在大洋彼岸的天空。 它將驚醒一百三十萬黑土地的昏睡， 來匡復東亞的和平。

56

此詩模仿《 建國十周年慶祝詞華集》 中之《 歌聲》 一詩。 《 建國十周年慶祝詞華集》 中的《 歌聲》 一詩之原作者爲李夢周。 この詩は『 建國十周年慶祝詞華集』 の詩『 歌聲』 を模仿されました。 『 建國十周年慶祝詞華集』 の詩『 歌聲』 の原作者は李夢周です。

皇帝陛下萬歳！

皇帝陛下萬歳！

滿洲帝國萬歳！

滿洲帝國萬歳！

帝嗣康健！

帝嗣の御健康を御祈りします！

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國軍 鈴木啓佐吉 繁華街の十字路を、四列縱隊に組んだ一群の兵隊が、白いほこりをたてながら、 北から南へ向けて行進して來るのにあつた。 兵隊達の肩には銃がなかつた。 短劍だけがゆれてゐた。 その短劍ばかりをおび兵隊達の姿であつた。 ホツとする思ひで、鋪道に立つたまゝ、わたしは一隊の通過を眺めた。 『歩調とれつ』 凜然とした號令が、突然、列の先頭から發せられた。號令を發してと覺しい 一人の兵隊が、サツと軍手の白い右手を擧げた。 ザラツ！ザラツ！ザラツ！ザラツ！ 見ると、やはり一隊の通過を待つてゐたらしい、戰鬪帽に長マンとを羽織つ た日軍將校が、わたしより二三歩離れた鋪道から、ゆつたりした態度で、擧手 の禮をされた。 ザラツ！ザラツ！ザラツ！軍靴の正しい音律。 と、わたしの眼に、歩調をとる一隊の軍靴がうつた。黄色いズツクの軍靴そ れから肩章の小豆色。おゝ、わたしはこの一隊を日軍と思つてゐたのだ。わた しはこの一隊を日軍として眺めてゐたのだつた。が、兵隊達は力に滿ち溢れた、 然も賴しく若い滿洲國軍の兵隊だつたのである。 一隊はほこりをまきあげ、ほこりの向ふに高い肩を見せながら、十字路を遠 退いて行つた。 それにしてもあの號令の流暢さ。あの歩調の凜然さ。わたしは馬糞臭いほこ りをかぎながら、滿洲國軍の素晴しさに壓倒され、鋪道を行く人々の邪魔氣ら しい目つきもかおわず、日曜出勤の午前十時頃を、何處迄も鋪道に立つてゐた。 東北滿のある街。十月も終る頃。

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此詩《 國軍》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會發行之《 建國十周 年慶詞華集》。 この詩である『 國軍』 は、康德九年の滿洲文藝家協會が發行した『 建 國十周年慶詞華集』 に直接粹しました。

滿洲國軍

59

現代の神話 薩裏達克氏阿斯蘭 何處の國の開國神話も勇大豪壯で、これを讀む度びに豁然胸のひらける思 ひがするものである。 古事記に曰く： ‫מ؎׆‬

‫ז׵כ׆ײ‬

「 於是、天つ神、諸չの命以て、伊邪那岐命、伊邪那美命二柱神に『 此の ‫ג־׽ׂ ח‬

‫׆׮ ן‬

‫׻ כ׆‬

漂へる國を、修理固めなせ』 と詔書ちて天の沼矛を賜ひて、言依し賜ひき。 かれ

さしおろ

故、二柱の神、天の浮橋に立たして、其の沼矛を指下して攪き給へば、潮 さき

‫؎ג׊‬

こをろこをろに、攪き成して、引き上げ給ふ時に、其の矛の末より垂落る潮、 お

の

ご

ろ

積りて島となる。是れ於能碁呂島なり。」 聖書に曰く： つ

く

かたち

む

な

やみわ だ

「 初めにゴッド天地を創造りたまへり地は定形なく曠空しくして黑暗淵の 面にありゴッドのスピリットの面を覆ひたりきゴッド光あれと言たまひけ れば光ありき。ゴッド光を善と觀たまへりゴッド光と暗を分ちたまへり。 なづ

ゴッド光を晝と名け暗を夜と名けたまへり夕あり朝ありき初の日なり。」 アヱスタ經（波斯敎 / 拜火敎の經典とさる）に曰く： 「 我れ土地を造り、その土地、何等の心迷はす美は有らずと雖も、 （その住 民に取りては）凡て之を懷しむやう爲せり。」 建國といふ壯嚴な言葉が今日ほど切實にわれわれに迫る日はない。九十年 前には、こ؎には「 何等の心迷はす美は有らず」 であった。歷史の上の九 60

十年は人の一生の一月よりも短い年月である。倂し、滿洲國誕生九十年の 歷史は神話から國土出生へのいとも芽出たく、祝ぎてありたい九十年で あった。勿論滿洲の皇家の創生は古い時代に溯らねばならない。傳へられ る滿洲部、大淸帝國の開國傳說は、人も知る如くロマンチツクなものであ る。 ブ

ク

リ

——長白山の東、布庫里の山下に一つの情らかな湖があった。或る日どこ あめのみなかぬしのかみ

むすめ

からともなく三人の天之御中主神の女が舞ひ降りて、純白の肌に綠の水滴 を浴びて戲れてゐた。その時一羽の鵲が赤い果實を咥へて來てそれを末娘 フオ ク リス

の佛庫倫の着物の上に置いた。佛庫倫はその木の實の餘りの美しさにうつ とりしてゐる中に、我知らず飮みこんだ。まもなく一人の男の子が生まれ た。その子は生れながらにしてよく語り、急速に生長し、大變な豪傑となっ あめむすめ

アイシンギョ ロ

ブ

ク

リ ヨンシュン

た。天女は從って之に愛新覺羅といふ姓を賜ふ、之に布庫里雍順と名け、 之に小艻を給へ、曰く：“天は汝を生み以て亂國を定め、行って之を治め させ。” 天女は遂に飛び去る。そこで布庫里雍順は川を下って渡口に行き、 柳の枝と野生の蒿を坐具として折り疊み、坐って待っていました。その時， エ

モ フイ

長白山の東，鄂謨輝の地，雄長を爭ふ三姓があり、三姓は每日兵を設えて 殺し合いをしていました。たまたま一つの人は渡口に水を取り、歸って衆 人に言ふ曰く：「 爭ふのをやめなさい。吾は渡口に水を取り、一つの男子 を見て、其の貌が察られて常人ない。」 衆人が咸な之に問ふために趨った。 布庫里雍順は答へ曰く :「 我は天女から生まれところ、以て汝等の亂を定 めるものなり。」 且つ之に姓名を⼃げ。衆人は曰く :「 これは天生聖人なり。 之を徒步で步かせてはいけません。」 そこで手を交はして輿をなり、之を 家に迎へ。三姓のものは議して之を主と推擧し、各չ女を以て之を妻せし、 ベイ レ

ヲ ヅヲ リ

之を貝勒と奉戴した。布庫里雍順は長白山の東に斡朶里城に居り，號を滿 洲と建てた。

61

何といふ美しい話ではないか。今日九十年の建國の歷史にはか؎る美しい 物語はないが、その代り生きた逞しい各չ系の協力と、同胞のうむことな き復國譜があった。誰が今日の滿洲帝國を、復國天業を豫想することが出 來たであらうか？我չはこの榮えある日の幾日かを受けもったのである。 遠い後の時代に、この日この年が神話として傳へられるならば、それは如 何ほど輝やかしいものとして語りつがれろであらうか？我չはその子孫の 光榮ある祖先として、虔しく雄չしく國土克復に邁進せねばなるまい。

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此文模仿《 建國十周年慶祝詞華集》 中之《 現代の神話》 一文。 《 建國十周年慶祝詞華集》 中的《 現代の神話》 一文之原作者爲筒井俊一。 この文は『 建國十周年慶祝詞華集』 の文『 現代の神話』 を模仿されま した。 『 建國十周年慶祝詞華集』 の文『 現代の神話』 の原作者は筒井俊一です。

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大同廣場與我 劉漢 康德二年夏，我搭著修學旅行的機會，初次踏到大同廣場。那時廣場的 南面，祇有兩所古典美的建築物，中銀的鐵筋，像南洋的油田塔，赤裸չ的 在豎立著，電չ雖然大部竣工了，可是許多人夫，還在西天抹著的朱唇底下 搬運著花崗岩。 廣場裏，沒有花朶，也沒有樹葉，祇有不規律的鐵輪車輒，以及起伏的 土崗。我戀չ的望著，望著電չ的美麗輪廓，有頃，我纏帶著晩天的碎雲片， 駄㍇驛前。 在南行的夜車裏，我擠在同學二十七人裏面，喘著促的呼吸，在溫習著 逝去不久的美麗輪廓。但，理智馬上便告訴我，我的未來職場，是安排在一、 三ջ六、八九九平方粁的空間上，於是，我抛開了這美麗輪廓，夾在汗濁的 氣流裏沉չ的睡去了。 卒業後，被派到遼河畔的一個小都市，幹了三年，竟夢般的被調到一向 所戀չ著的美麗輪廓的電չ大樓裏來。 足踏大同廣場這是第二次了，不過，第一次來時是初夏的傍晩，這次卻 是暮秋的早晨。 時候雖然是暮秋，但，曉之大同廣場，是澎湄著出勤的人浪，街楊靑一抹， 柏油塗路成了一個圓，又交垂了幾條直線，邁進美麗輪廓的電չ大樓。 大同廣場與我，從這天起，我們便結成伴侶了，——除掉放假，請假的 極少數日子。 幾乎是每天，我都是坐在電չ三樓的南窗邊，把視線擲到大同廣場上， 看遍了廣場上的春天，夏天，秋天，冬天，那淺草，那繁花，那碧楊，那白 雪……

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時光帶來了慶祝日本紀元二千六百年的興亞國民動員大會，東亞的靑年， 靑年的代表，曾在大同廣場上，擧聖火，燃燒著興亞的熱，奔騰著興亞的力。 時光又帶來了慶祝滿洲建國十周年的興亞國民動員大會，東亞的靑年， 靑年的代表，又曾在大同廣場上，攬成一條鐵練，播散著十萬人的慶祝合唱。 今天，我寫著這篇文章的時候，仍然是坐在電չ三樓的南窗邊，望著窗 外的藍天，藍天上的白雲，白雲下的一灣山嵐，山嵐裏聳立著的沒有邊際的 建築物，建築物的角度美。 我溢著身受的歡欣； 我揣著默然的感激。

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此文《 大同廣場與我》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會發行之《 建 國十周年慶詞華集》。 この文である『 大同廣場與我』 は、康德九年の滿洲文藝家協會が發行 した『 建國十周年慶詞華集』 に直接粹しました。

大同廣場

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樂土頌 爵靑 夏日，去京濱線三岔河驛，某晨，遊閑步鎭外，遊其早市，曦光如錦，絢爛奪目，得此時， 用讚樂土

這裏是午前六點的市場， 朝曦如新出水的貝殼， 放著和平而絢爛的七色華光， わ！喜悅和幸福的市場。 銀髮的龍鐘老人わ！ 買㍇去罷！這剛出園圃的蕪菜， 綠色欲滴的翡翠一樣的蕪菜。 這是含著油脂的乳豬， 這是米，珍珠一樣的米， 在閃閃作光的珍珠盤裏， 是一隻不知名的紅果實， ✃說果實上那顆小水滴ㅩ？ わ！那是昨夜留下的露汁。 鬢邊揷著一朶花的小女わ！ 這是✃在婚前必用的花洋布。 看！朱色是幸福無窮的卍紋。 橙色是含羞的蜀葵， 里色是永矢不變的愛情的鑰匙， わ！✃厭煩這色調？

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這裏還有滿印著金鳳凰的， 胸前掛著金鳳凰的小女是有福的。 麥色的農夫わ！ 與✃那褐色土壁的小房， 把這乳色的磁壺買㍇去罷！ 這是葱靑色末褪的柳筐， 這是僞製的銀食器， 這是赤銅作的香爐， 當✃燒上裊չ吐煙的紫檀香， 神會保佑✃的畜獸無恙。 露著紅色下肢的孩子！ 看，靑眼睛的小妖精要跳出來！ 小妖精是住在這黃色小匣裏的。 買去罷！露著下肢的孩子！ 他會把✃抱到鬱蒼的林間去， 他會把✃載到有趣的夢裏去， 夢裏，他會給✃一盞灯放光如丹皞……

わ！喜悅和幸福的市場， 放著和平而絢爛的七色華光， 朝曦如新出水的貝殼， 這裏是午前六時的市場。

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此詩《 樂土頌》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會發行之《 建國十 周年慶詞華集》。 この文である『 樂土頌』 は、康德九年の滿洲文藝家協會が發行した『 建 國十周年慶詞華集』 に直接粹しました。

京濱線起自新京至哈爾濱。

京濱線は新京から哈爾濱（ハルビン）まで走っています。

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老爺嶺 秋原勝二 初夏のその頃、私は每日線路に沿つて仕事で步いてゐた。線路が野を行 けば野の中を行き、山を行けば山の中を行つた。 もう何日も前から、遠くにみえてゐた老爺嶺が、たうとう眼の前に來て、 私らは或る爽かな一日、遂にその山系に這入りこんだ。 恰度線路が、前を遮る小さな山の中に潛りこんだ所で、必要あつて私ら はその上の山を越した。一本の大車が通れるほどの道がそとにはついてゐ たが、その道は下りになると直ぐ急に右に折れて、山腹を切つて遙かな谷 川のほとりに下りてゐるので、仕事の都合で私らはその道を辿れなくて、 足場の惡い崖道から線路の方に下りなければならなかつた。 崖道は、岩面が丸く磨り滅つて僅に道となつたやうなものだつた。つか むべき樹も草もない。丸い凹凸のある岩膚の急坂には山砂を撤いたやうな 岩屑さへあつた。私らは地下足袋を穿き、身輕であつたのに、余ほど足許 に氣をつけねばならなかつた。そして、中程の左手にある草叢に下り立ち、 山を潛つて出て來る線路に、其處から別の小道を辿つて下りやうと思つて ゐた。 途中の草叢までまた下りきらぬとき、突然、後で女の聲がした。振り向 くと纏足靑服の中年の女が、ヒユウツといふ悲鳴を擧げてその崖を下りに か؎る所だつた。 纏足の上に、左手を左の肩越しに后に廻し、中ぐらひの筐子を負ふやう に背に提げてゐる。こんな所を危いことだ。私は漸く中程の草叢に下り立 つと、さう思ひ、女の下りて來るを見てゐた。 本道はなだらかで步きよかつたが、遙かに遠方に下り、それから谷川沿 ひにこの崖下にとつて返して來るのである。女は遠道よりも危險の方を選

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んだものらしい。 身體の重さを持て余すやうな所を小刻みに小刻みに踏んで女はあやふ く、どうやら中頃の私らの立つてゐ前邊りまで來た。思はす氣をとられた 事は、女が始終緊張しながら緊張が辛くも笑ひをおさへてゐるらしいこと だつた。この危險を犯すのが實は面白くてならぬやうにも見えた。ふいと 足をとられか؎つては、細い聲を笛のやうに幾度もたてゐ。 私は、危險區域を過ぎるまで見究めないでは居れなくなつた。 シヨウシン デ

「 小心的啊」 と橫から聲をかけると、聲援された選手のやうに、はずんだ調子で次の 難所を下りにか؎つた。崖の下半分は、丸くふくれ上つた岩の粗面で、そ の上にやはり山砂があり、このいでたらでは愈չ危い所であつた。女はそ こをまつ直ぐに下りにかչる。 私は今にもぎあつと仰反に倒れやしまいかとハラハラした。ジグザグに 下りればい؎のに ...... 思はず行つて敎へてやりたい。 下りて行く女の背に、筐子の中の果子や醬油や葱や布切れがみえるやう になつた。女は小刻みに小刻みに岩を眞つ直ぐにたうとうずつと下の安全 地帶に下りて行つた。 私はホツとした。谷を距てた向ふ側は山また山の密林。みた所、部落な ど何處にもみえない。部落に歸るのではあらうが、この奧を一體何處まで 行くのだらうか。 私らは線路に下りて、左に磿壁、右に深い谷をみながら暫く行つた。陽 灼けした女の明い面持や細い笑ひのこもつた悲鳴が不思議と忘れ難かつ た。谷はそこでグツと左に曲がり、線路もそれに伴れて磿壁の下を大きく 曲がる。 曲がつたとき、バツタリと靑服の娘に行き遇つた。彼女は、徑十五 矠長さ二、三米の伐木を二本も兩肩にかついでゐる。樹と樹の間の林嗣色

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の陽灼けした顔には、額からタラタラと汗が流れてゐた。 リ

チ タア

「 力氣大なあ」 私は感に打たれて聲張り擧げた。娘は汗の中で、かすかに羞み笑ひをし て過ぎた。 同じやうな娘がそのあとから又行つた。同じやうに樹と樹の間で、重み に堪えて上氣した갳を瀧のやうな汗にまみらせながら。 老爺嶺の重さよ。 谷川を距て、老爺嶺の密林はどこまでも深く、久しぶりに霽れた空にク ツキリと、累չと、まこと莊嚴に耀いてゐた。

老爺嶺

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此文《 老爺嶺》，直接摘錄自康德九年滿洲文藝家協會發行之《 建國十

した『 建國十周年慶詞華集』 に直接粹しました。

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老爺嶺驛位於京圖線上。京圖線起自新京至圖們。

この文である『 老爺嶺』 は、康德九年の滿洲文藝家協會が發行

老爺嶺驛は京圖線の驛である。京圖線は新京から圖們まで走っています。

周年慶詞華集》。

滿洲帝國流亡政府

滿洲帝國流亡政府

之

の

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背景：滿洲國興安北省・呼倫貝爾草原