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plusroadtrip | Azerbaijan

Page 1


Baku
Icherisheher
Baku Boulevard
Atashgah
Gobustan
Basgal
Sheki
Kish
A Crossroads Shaped by Movement

Azerbaijan Edition

contents

page. 06_ About Azerbaijan page. 07_ Five Ways to Experience Azerbaijan page. 08_ Baku page. 10_ Icherisheher page. 16_ Baku Boulevard page. 24_ Formula 1 Azerbaijan Grand Prix page. 30_ Atashgah page. 32_ Gobustan page. 40_ Basgal page. 42_ Sheki page. 55_ Azerbaijan, Beyond the Journey

credit

Editor in chief : Shigeyuki Inoue

Senior Editor : Masami Kurosawa

発行/株式会社KURUMAG. ( 東京都中央区築地1-5-1 / plusroadtrip@kurumag.net ) 制作/株式会社クロモ・コミュニケーションズ(CROMO Communications Inc.)  協力/アゼルバイジャン政府観光局(Azerbaijan Tourism Board)

本誌掲載の記事・写真・イラスト等の無断転載および複写を禁じます。 掲載の情報は現地取材を行った2025年時点での情報です。 発行:2026年1月

A Crossroads Shaped by Movement

アゼルバイジャンは、ロシア、イラン、ジョージアに囲まれ、カスピ海に面した国である。ヨーロッパとアジアの境界に 位置するこの土地は、東か西かといった単純な枠には収まらない。過去と現在、静と動といった対立のどちらかに振 り切れることもなく、常にいくつもの文化や価値観が重なり合いながら、時間をかけて形づくられてきた。首都バクー を見渡せば、急速な発展を象徴する現代建築が並ぶ一方、そのすぐ足元には中世の城壁都市が今も残っている。

こうした重なりを生んできた背景にあるのが、人々の移動である。ヨーロッパとアジアの境に位置するアゼルバイ ジャンは、古くから人や物が行き交う場所だった。シルクロードの時代、この地は単なる通過点ではなく、物資とと もに思想や信仰、技術、文化が持ち込まれる場所でもあった。キャラバンが行き交った道の記憶は、都市のつくり や建築、日々の暮らしの中に、今もさりげなく息づいている。

首都バクーは、曲線を描く近代建築や高速道路が印象的な、変化のスピードを感じさせる都市だ。しかしそれは、 過去を切り捨てて生まれた風景ではない。長い移動の歴史の上に、現代という時間が重ねられてきた結果でもあ る。かつて信仰や自然観の中で育まれてきた考え方は、今では建築や都市のデザインへと姿を変え、古い街路の すぐ隣で新しい町が日常を刻んでいる。過去と現在は断ち切られることなく、更新されながら並び立っている。

そして、海沿いの都市から山岳地帯へ。現代的な風景から、歴史の層が濃く残る町へ。アゼルバイジャンを移動す る中で見えてくるのは、観光地としての表情だけではない。移動によって形づくられ、今も変わり続けるこの国の 輪郭だ。首都バクーを起点に、かつてキャラバンが行き交ったシルクロードの支線沿いに発展した町シェキへ。旅 の道のりそのものが、重なり合う時間へと読者を導いていく。

[特集]

text=Shigeyuki Inoue

photo=Shigeyuki Inoue, Azerbaijan Tourism Board

Ferrari, Mercedes-Benz

General Facts

Area: 86,600 km²

Population: Approx. 10 million

Capital: Baku

Location: South Caucasus region

Borders: Russia, Georgia, Armenia, Iran, and the Caspian Sea

Landscape: Coastline, plains, mountains, and semi-desert

Highest Point: Mount Bazardüzü (4,466 m)

Climate: Diverse, with nine climate zones

Currency: Azerbaijani Manat (AZN)

Time Zone: UTC +4

Azerbaijan, Between the Caspian Sea and the Caucasus

Caucasus Mountains

A Land Shaped by Movement

人々の移動が形づくった土地

カスピ海とコーカサス山脈に挟まれた位置にあるアゼルバイジャ ンは、古くから人と物の移動によって形づくられてきた土地であ る。山岳地帯と平原、海へと開かれた地形が交差するこの場所は、 必然的に人々の往来を受け入れる通過点となってきた。シルクロ ードの時代、キャラバンはこの地を横断し、交易品だけでなく、信 仰や思想、技術、そして文化を運んだ。現在、その道の多くは道路 として姿を変え、都市と都市、自然と生活圏を結び続けている。

Khyrdalan
Nakhchivan
Shirvan
Mingachevir
Sumqayit
Sheki
Baku
Ganja
Lankaran
Naftalan
Shahdag
Gobustan
Caspian Sea

Five Ways to Experience Azerbaijan

アゼルバイジャンを体感するための5つのテーマ

アゼルバイジャンを旅すると、ひとつの見方だけでは掴みきれないことにすぐ気づく。海と山、古い町 と新しい都市、静かな風景と熱を帯びた場所。そのどれもが、この国の一部として存在しているからだ。

だからこそ、アゼルバイジャンを訪れるなら、ひとつのテーマに絞るよりも、いくつかの視点を行き来しな がら旅を楽しみたい。歴史に触れ、自然を歩き、文化に出会い、音を聴き、食を囲む。そうした体験の積 み重ねが、この国の輪郭を少しずつ浮かび上がらせてくれる。

ここに挙げる5つのテーマは、アゼルバイジャンを体感するための視点だ。このすべてを一度に巡る 必要はないが、旅の途中でこれらの視点に触れるたびに、風景の見え方は確実に変わっていくはずだ。

都市を歩く時間も、車窓を移ろう風景も、すべてがこの国を知るための体験になるだろう。

History:

帝国と交易路、信仰が重なり合ってきた時間 帝国の支配、交易路の往来、そして信仰の重なり。アゼルバイジャンの歴史は、ひとつの物語として直 線的に語ることができない。ゾロアスター教、キリスト教、イスラム教の痕跡が同じ土地に残り、都市 や建築の中に複数の時間が共存している。歴史は現在の風景の中に静かに埋め込まれている。

Nature:

海・山・火・石がつくる、多層的な風景

カスピ海の海岸線から、山岳地帯、乾いた台地へ。アゼルバイジャンの自然は、ひとつの国とは思えな いほど多様だ。数千年前の岩絵が残る荒野、今も動く泥火山、そして「火」が地表に現れる場所。自然 は背景ではなく、この土地の成り立ちそのものを語る存在として、旅の随所に現れる。

Culture:

都市と手仕事、暮らしの中に息づく文化

城壁都市やキャラバンサライ、石造りの町並み。アゼルバイジャンの文化は、旅人を迎え入れてきた都 市構造と、日常に根ざした手仕事の中で育まれてきた。シルクロードを通じて東西の文化が交わる中 で、建築や工芸、文様や色彩には多層的な影響が重なり、今も人々の営みの中で息づいている。

Music:

即興と伝承が響き合う、生きた音の風景

アゼルバイジャンの音楽は、旋律を固定せず、場と演奏者の関係の中で立ち上がる即興性を特徴と してきた。民族音楽ムガームに用いられるタールやカマンチャといった伝統楽器は、弦を鳴らし、歌 と対話するように音を紡ぐ。音楽は遺産ではなく、今も人々の間で鳴り続ける、生きた文化である。

Cuisine:

分かち合う食卓に表れる、もてなしのかたち

食事は人と人との距離を縮める役割を担ってきた。アゼルバイジャンの食卓は、季節の野菜や豆、 ハーブを使った料理が中心で、大皿に盛られた料理を分け合うスタイルが基本だ。食後には、紅茶 を小さなグラスで味わいながら、ジャムや焼き菓子をつまみ、会話は自然と続いていく。

過去と現在の風景が折り重なり 伝統と革新が同じ時間を生きる都市

アゼルバイジャンの首都バクーは、カスピ海沿岸に広がる港町 であり、長い時間の中でいくつもの都市の表情を重ねてきた場所 である。石造りの旧市街と現代的な高層建築、静かな宗教建築と 轟音を響かせるモータースポーツ。そのすべてが同じ都市の中に 並び立っている点に、バクーらしさがある。

世界遺産にも登録されている旧市街イチェリシェヘルでは、狭い 路地や城壁、歴史的建築が今も生活の場として使われている。一 方、海沿いへ足を延ばせば、バクー・ブールバードや現代建築が連 なり、町の印象は一気に変わる。この切り替わりの早さこそが、バク ーを歩く体験そのものだ。

バクーの魅力は、歴史をそのまま保存することよりも、過去を現 在の暮らしへどうつなげているかにある。カーペットに込められた 生活文化は博物館で新たな視点で紹介され、王朝の記憶はレス トランや建築空間として体験できる形に置き換えられている。さら に、ヘイダル・アリエフ・センターのような象徴的な現代建築も、都 市の風景の中に自然に溶け込んでいる。

この町の重なり合う性格を、最もわかりやすく示しているのが、フ ォーミュラ1・アゼルバイジャン・グランプリだ。世界遺産の城壁沿 いをF1マシンが駆け抜け、交通量の多い幹線道路が、一時的にレ ース専用の空間へと姿を変える。この大胆な変化そのものが、バク ーが単なる歴史都市でも近代都市でもないことを物語っている。  静と動、伝統と新しさ。そのどちらかに寄り切ることなく成り立っ ている首都バクーは、アゼルバイジャンという国の複雑さと可能性 を、最も凝縮したかたちで映し出している。

Baku

Maiden Tower

乙女の塔

バクー旧市街を象徴するランドマークが、 城壁沿いに立つメイデン・タワー(乙女の 塔)である。正確な建設年代や用途につい ては今も定説がなく、要塞、天文観測施設、 宗教的建築など、さまざまな説が語られて きた。厚い石壁と円筒形の構造は、カスピ 海沿岸の防衛拠点としての性格を感じさせ る一方で、都市の起源に結びつく象徴的存 在でもある。旧市街の路地を歩けば、この 塔が常に視界に入りバクーという町が長い 時間の積層の上に築かれていることを実感 できる。塔内は一般公開され、最上階まで 上ることができる。

Maiden Tower

28 Kichik Gala Street, Baku 1001, Azerbaijan

Baku

Haji Bani Hamam

ハジ・バニ浴場複合施設

旧市街に残る伝統的な公衆浴場、ハジ・ バニ・ハマムは、19世紀に建てられた とされる歴史的建築。地下構造を多用し た設計は、室内の温度を一定に保つため の工夫であり、かつては石造りのドーム 天井から柔らかな光が差し込む空間が広 がっていた。当時のバクーでは、ハマム は単なる入浴施設ではなく、人々が日常 的に集い、情報や噂を交換する社交の場 でもあった。現在は史跡として内部を見 学することができ、近代以前の都市生活 の一端を静かに伝えている。

Shirvanshah’s Palace

シルヴァン・シャー宮殿

シルヴァンシャー宮殿は、15世紀にこの 地を治めた王朝の権力と文化を今に伝え る建築群である。宮殿、霊廟、モスクな ど複数の施設がひとつの複合体として構 成されている。装飾は控えめながら、石 材の加工や建物全体の構成に、この地域 独自の建築美が表れている。宮殿内部に は、カーペットや宝飾品をはじめとする 展示も整えられており、王朝文化やアゼ ルバイジャンの美意識を具体的に辿るこ とができる。中世バクーの都市構造を理 解するうえで、欠かせない場所である。

Shirvanshah’s Palace

Shirvanshah's Palace Complex, Kichik Gala Street, Baku 1001, Azerbaijan

Museum of Miniature Books (http://www.minibooks.az/) 9R8M+G2M, Baku 1000, Azerbaijan Baku

Tomb of Seyid Yahya Bakuvi

セイイド・ヤヒヤ・バクヴィ廟

セイイド・ヤヒヤ・バクヴィ廟は、シル ヴァンシャー宮殿の敷地内に位置する霊 廟建築である。15世紀に活躍した思想家・ 神秘主義者であるセイイド・ヤフヤ・バ クヴィの墓として建てられたとされ、宮 殿複合体の中でも精神性を担う存在。八 角形の平面を持つ簡潔な構成は、過度な 装飾を避けながらも、幾何学的な均整と 静けさを強く印象づける。建築としては 小規模ながら、石造りの厚みやプロポー ションには、この地の建築文化の成熟が 凝縮されている。

ミニチュア・ブック・ミュージアムは、シルヴァンシャー宮殿にほど近い旧市街の一角にある小さな博 物館だ。ここでは世界各国で出版された極小サイズの書籍が展示されており、その圧倒的な数と多様性 によって、ミニチュア書籍のコレクションとしてギネス世界記録にも認定されている。国ごとに整然と 並ぶ展示ケースの中には日本語で書かれたミニチュア文学作品も含まれている。壮大な歴史建築が連な る旧市街の中で、私的で偏愛的な空間があることもこの町の文化的な許容力の大きさを物語っている。

Haji Bani Hamam (Haji Bani Bathhouse) 15 Gasr Street, Baku 1000, Azerbaijan
Tomb of Seyid Yahya Bakuvi Shirvanshah's Palace Complex, Kichik Gala Street, Baku 1001, Azerbaijan

Shemakha Gate シェマハ・ゲート

シェマハ・ゲートは、かつてバクー旧市 街を囲っていた城壁の一部として築かれ た歴史的な城門である。交易路の要衝で あったバクーにおいて、この門は内陸部 と都市を結ぶ重要な出入口の役割を果た していた。この城門は旧市街が閉じた空 間ではなく、移動と往来によって形づく られてきた都市であることを示す象徴的 な場所。近年ではこの城門の前をF1マシ ンが疾走するシーンが中継映像に映し出 され、歴史的景観と現代都市が交差する バクーを象徴する場所になっている。

Gate 15 Cesr Street, Baku 1000, Azerbaijan

Nizami Museum of Azerbaijani Literature ニザミ文学博物館

12世紀に活躍した詩人ニザミ・ガンジャ ヴィは、叙事詩を中心とする作品によっ て、ペルシア語文学圏のみならず、コー カサスから中東、中央アジアに至る広い 地域の文学や思想に影響を与えたとされ る人物である。彼の名を冠したニザミ文 学博物館は、旧市街と近代市街の境界 に建つ文化施設。ファサードには詩人や 思想家の像が並び、国家として文学を重 視してきた姿勢が視覚的に表現されてい る。館内では写本や資料を通じて中世か ら近代に至る文学史が紹介されている。

Nizami Museum of Azerbaijani Literature 9R8P+579, Baku 1000, Azerbaijan

Nizami Ganjavi Monument

ニザミ・ガンジャヴィ像はバクー中心部 に立つ記念碑的モニュメント。12世紀に 活躍した詩人ニザミ・ガンジャヴィは、 アゼルバイジャン文化の精神的支柱とさ れ、その存在はいまも都市空間の中で強 く意識されている。像の周囲に広がる広 場は、市民が行き交い、腰を下ろして過 ごす憩いの場となっており、ニザミが今 なお人々に親しまれていることがわかる。 ニザミ文学博物館とあわせて訪れれば、 文学が都市のアイデンティティの核とし て息づいていることが実感できる。

Ganjavi Monument Near Shirvanshah’s Palace, Kichik Gala Street, Baku 1001, Azerbaijan

イェラルティ・ハマムは、地下につくられた17世紀起源とされる歴史的浴場である。地表から一段下げ た構造は保温性に優れ、蒸気と熱を効率的に循環させる合理的な設計だった。シェマハ・ゲートのすぐ 脇に位置しており、城門を起点に旧市街を歩く中で自然に立ち寄ることができる。現在も外観にはドー ム状の屋根が点在し、地下に広がる空間の存在を静かに示している。旧市街に点在するハマム文化の中 でも、実用性と都市構造の関係を理解しやすい場所であり、内部も一般公開されており見学できる。

Yeraltı Hamam

9R8M+G2M, Baku 1000, Azerbaijan

Shemakha
Nizami

Food Experience

Qala Divari

Baku

Qala Divari

カラ・ディバリ

城壁と向き合って食事をするという体験 旧市街の時間を食卓に引き寄せる一軒

カラ・ディヴァリは、バクー旧市街イチェリシェヘルの城壁 沿いに位置するレストランである。店名の「Qala Divari」は“城 壁”を意味し、その名の通り、旧市街の歴史的景観と密接に結 びついた立地を持つ。この店を特徴づけているのが、城壁側 を大きなガラス張りとしたところだ。石積みの城壁に寄り添う ように配置されたテーブルでは、観光用に切り取られた景色 ではなく、何世紀にもわたってこの町を囲んできた“本物の壁” を間近に感じながら食事を楽しむことができる。

提供される料理は、ドルマやケバブ、野菜を使った煮込みな ど、アゼルバイジャン料理の定番が中心だ。味付けは奇をてら うことなく、素材の組み合わせや盛り付けには土地柄が表れ ている。大皿料理を囲み、取り分けながら食事を進めるスタイ ルは、食事そのものを共有の時間として成立させている。

城壁の内側で食事をし、席を立てばすぐ路地へと続く。こ の連続性こそが、カラ・ディヴァリの体験価値を支えている。 料理を味わうことと、旧市街という場所を感じることが切り離 されることなく重なり合う。カラ・ディヴァリは、アゼルバイジャ ン料理を“食べる”だけでなく、旧市街の時間と向き合うため のきっかけをつくってくれる一軒である。

Qala Divari

124 Kichik Qala Street, Baku 1001, Azerbaijan https://www.instagram.com/qala_divari/

城壁沿いに佇むカラ・ディヴァリの外観と、定番の郷土料理。ドルマや煮 込み、大皿料理が並ぶ食卓は、旧市街の石造建築と響き合う。初めての アゼルバイジャン料理体験でも安心して楽しめる、王道の一軒だ

ROAD

IN FOCUS

Reading the Layers

A Walk Through Baku’s Soviet Layers

中世の石造建築と近代建築のあいだに 幾重にも重なる暮らしの記憶が見えてくる

バクーの町を歩いていると、視線は自然と現代建築や中 世の城壁に引き寄せられる。だが、少し立ち止まって周囲 の建物の壁面に目を向けると、そのあいだに挟まれた、もう ひとつの時間の層が見えてくる。

ソビエト時代の痕跡も、そのひとつだ。スターリン様式の 重厚な建築、簡潔な幾何学で構成された集合住宅、公共施 設に刻まれたレリーフや書体。これらは記念碑として保存さ れているものではなく、今も使われ、暮らしの一部として町に 残っている。さらに、中世とソビエト時代のあいだには、もう ひとつの建築の層がある。19世紀末から20世紀初頭にかけ て、バクーにはロシア帝国圏各地から建築家が集まり、ポー

ランド系建築家も多く関わった。ネオ・ゴシックやネオ・ルネ サンスといったヨーロッパ的な意匠をまとった建築は、中世 建築ともソビエト建築とも異なるその表情を見せ、バクーの 町並みに独特の奥行きを与えている。

旧市街と近代市街の境界を歩くと、時間の重なりはより はっきりと感じられる。中世の石造建築のすぐ隣に社会主 義時代の建物が並び、異なる時代の建築が同じ風景の中 に収まっているのはこの町ならではの風景だ。

バクーの建築巡りが面白いのは、特定の時代や様式だ けで語れない点にある。町中には建築を紹介するパネル や解説が点在し、通りそのものが小さな建築展示のように 感じられるエリアもある。フレイム・タワーのような現代建 築と旧市街の城壁とのあいだにも、単なる空白はない。建 築を手がかりに歩くことで、この町の特異な表情が、少し ずつ立体的に浮かび上がってくる。

Flame Tower

Baku

フレイム・タワーは、バクーの現代的な都市景観を象徴する 高層建築群である。2012年に完成した3棟のタワーは、それ ぞれ30階前後の規模を持ち、ホテル、オフィス、住宅といっ た異なる用途が組み合わされた複合施設だ。炎をモチーフに した外観は、夜になるとLEDによって演出され、遠くからで も目を引くバクーのランドマークとなっている。旧市街の石 造建築とは対照的なデザインだが、ゾロアスター教以来この 地に根づいてきた「火」の象徴を、現代建築として読み替え ている点が興味深い。伝統と未来を同時に抱えた、“現在進 行形のバクー”を体現する存在だ。

フレイム・タワー Flame Towers

9R5G+QJV, Baku 1000, Azerbaijan

ROAD

Baku Boulevard

バクー・ブールバード

バクー・ブールバードは、カスピ海沿いに延びる バクーを代表する海浜プロムナード。19世紀末 に整備が始まり、現在では西端から東側へと約 2.5kmにわたって続く散策路として、都市の海側 を大きく縁取っている。沿道には公園や文化施設 が点在し、アゼルバイジャン・カーペット博物館や ミニ・ベニスといったスポットもこのブールバード 沿いに配置されている。観光名所が集まる一方 で、ジョギングや散歩を楽しむ市民の姿も多く、 観光地である以前に日常生活の中に組み込まれ ている場所であることがよく分かる。日中は海風 を感じながらの散策が心地よく、夜には高層建築 や遊歩道の照明が水面に映り込み、落ち着いた 夜景散策を楽しめるのも魅力だ。内陸と海、歴史 地区と新市街を緩やかにつなぐ存在として、バク ーという都市のリズムを整えている。

Baku Boulevard

Neftchilar Avenue, Baku 1000, Azerbaijan

Baku

Mini Venice

ミニ・ベニスは、バクー・ブールバード 沿いに設けられた小さな人工運河エリア だ。人工的につくられた水路をゴンドラ が行き交い、散策の合間に立ち寄れるス ポットとして親しまれている。運河には Sadaf Azeri CuisineやVenezia Lounge & Diningといったレストランがあり、水辺 の景色を眺めながら食事を楽しむことも できる。大規模な観光施設というより、 海沿いの時間に緩やかな変化を与える存 在であり、家族連れやカップルが思い思 いに過ごす姿が印象的。

Highland Park

ハイランド・パークは、バクー市街を見 下ろす高台に位置する展望エリアだ。旧 市街、カスピ海、フレイム・タワーを一 望できる眺望は、この町の地形と都市構 造を直感的に理解させてくれる。整備さ れた遊歩道やベンチも多く、観光客だけ でなく市民にとっても憩いの場となって いる。日中の眺望も素晴らしいが、ぜひ 日没後の時間に訪れてほしい。夜はライ トアップされた園内から、バクーの煌び やかな町並みをゆっくりと静かに眺める ことができる。

Highland Park

9R5H+4G3, Baku 1000, Azerbaijan

Shahidlar Monument

シャヒドラー・モニュメント

シャヒドラー・モニュメントは、ハイラン ド・パークに隣接する、アゼルバイジャン の近現代史における犠牲者を追悼する記念 施設である。独立へ向かう過程で命を落と した人々がここに眠り、国の記憶を伝える 場所として大切に守られてきた。整然と並 ぶ墓碑とモニュメントは静かな空気に包ま れ、敷地内に灯る永遠の炎が、失われた命 への敬意を静かに語りかけてくる。眺望の 良さから立ち寄る人も多い場所だが、ここ ではバクーという都市が歩んできた歴史の 重さと、静かに向き合う時間が流れている。

バクー・ケーブルカーは、カスピ海沿いのバクー・ブールバードと高台のハイランド・パークを結ぶ短 距離のケーブルカーである。15分間隔で運行し、およそ3〜4分で約450mの距離を移動する。1960年 に開業した歴史ある交通手段であるが、近年の再整備を経て現在の姿となった。徒歩では高低差を感じ る区間を、眺望とともに一気に上り下りできるのが魅力で、移動そのものが都市景観を楽しむ体験になる。

Funicular Baku (Baku Funicular Station)

Funicular, Shovkat Alakbarova Street, Baku 1000, Azerbaijan

Mini Venice
73 Neftchilar Avenue, Baku 1000, Azerbaijan
Shahidlar Monument (Martyrs’ Lane)
9R4H+7RR, Baku 1000, Azerbaijan

Baku National Flag Square

バクー・ナショナル・フラッグ・スクエア

バクー・ナショナル・フラッグ・スクエ

アは、巨大な国旗掲揚塔で知られるバクー 南部の広場である。高さ約162mの旗竿は、 完成当時に世界最大級とされ、掲げられ る国旗は縦約35m、横約70m、重さ約 350kgという圧倒的なサイズを誇る。旗竿 の下に広がるオープンスペースは、国家 行事や式典、イベントの舞台として整備 されており、カスピ海と空を背景にした 開放的な景観が眼前に広がる。市民の生 活圏からはやや距離があるものの、この スケール感そのものが、近年の都市開発 と国家的な存在感を視覚的に示している。 バクーという都市が示す「国家の大きさ」 を、空間として体感できる場所だ。

Baku National Flag Square 9R5G+QJV, Baku 1000, Azerbaijan

ROAD

Azerbaijan Carpet Museum

Baku

Azerbaijan Carpet Museum

アゼルバイジャン・カーペット博物館

アゼルバイジャンの歴史と生活を足元から読み解く カーペットが紡いできた地域文化と工芸

アゼルバイジャン・カーペット・ミュージアムは、この国のカ ーペット文化を体系的に紹介する専門博物館である。海沿 いのバクー・ブールバードに位置し、巻かれたカーペットを思 わせる曲線的な外観は、バクーを代表する現代建築のひとつ として知られている。建築を手がけたのはオーストリア人建 築家フランツ・ヤンツで、現在の建物は2014年に完成した。

ミュージアムの起源は1967年にまで遡り、アゼルバイジャ ンに古くから伝わるカーペット織りの研究と保存を目的に設 立されたもの。2010年には、そのカーペット文化がユネスコの 無形文化遺産にも登録されている。

館内には、世界最大級となる約6000点以上のアゼルバイジ ャン・カーペットが収蔵されており、地域や様式ごとに構成さ れ、全国に7つあるカーペット織りの流派や、文様に込められ た自然観、信仰、暮らしの背景を読み取ることができる。

展示は下階から上階へと進む構成になっており、来館者は カーペット文化がどのように現在へとつながってきたかを辿 っていく。最上階では、伝統的な日用品として使われてきたカ ーペットが、現代的な解釈を加えられ、アートピースとして再 構成された展示も見ることができる。

アゼルバイジャン・カーペット・ミュージアムは、工芸品を眺 めるだけの場所ではない。生活や思想が織り込まれてきた文 化を読み解き、都市の多層的な歴史を、"足元"から理解する ための重要な拠点だ。

Museum

Shirvanshah Museum Restaurant

ミュージアムレストラン シルヴァンシャー

宮殿の時間の中で食事をするという体験 食事を通して王朝文化の時間軸に触れる

シルヴァンシャー・ミュージアム・レストランは、シルヴァン シャー宮殿に隣接する歴史的建築の一角に設けられたレス トランである。この店での食事は単なる飲食体験というより、 博物館の展示空間の中に身を置くような感覚に近い。

石造の壁や低い天井、重厚な梁に囲まれた空間には、カー ペットや装飾品、伝統的な調度が配されており、宮廷文化や 上流階級の暮らしを想起させる設えが整えられている。客席 と展示の境界は意図的に曖昧にされ、食事をしながら建築 や装飾そのものを鑑賞しているかのよう。ここでは料理もま た、空間を構成する要素のひとつとして存在している。

提供される料理は、肉料理や煮込み、野菜を使った郷土の 一皿が中心で、現代的な解釈や過度な演出は控えめだ。味の 主張よりも、建築や装飾、時間の流れと調和することが優先 されており、食文化が歴史の延長線上にあることを静かに示 している。料理を通じて、積み重ねられてきた文化の層をなぞ るような構成になっているのが面白い。

時間帯によっては、タールをはじめとする民族楽器による 生演奏が行われることもあり、視覚と味覚に加えて、聴覚から も文化に触れる体験が用意されている。

宮殿建築と同じ時間軸の中で食事をすることで、政治や文 化、芸術が一体となっていた時代の空気が、現在の体験として 立ち上がってくる。シルヴァンシャー・ミュージアム・レストラン は、食事が文化体験へと変わる、旧市街ならではの一軒だ。

Shirvanshah Museum Restaurant

Shirvanshah Museum Restaurant

86 Salatin Asgerova Street, Baku 1000, Azerbaijan https://www.instagram.com/shirvanshah

Opening Hours Mon - Sun: 9:00 - 23:00

石造の壁や重厚な梁、カーペットや調度品に囲ま れた空間で供されるアゼルバイジャン料理。かつ ての宮殿文化を想起させる設えの中で、肉料理 や煮込み、野菜を使った郷土の味が並ぶ。料理そ のもの以上に、建築と装飾、時間の積層を含めて 味わう体験が、このレストランの魅力になっている

ROAD

Formula 1 Azerbaijan Grand Prix

Formula 1

Azerbaijan Grand Prix

F1 アゼルバイジャン・グランプリ

石造りの旧市街を370km/hで駆け抜ける 過去と最先端が至近距離で交錯する一戦

F1(フォーミュラワン)アゼルバイジャン・グランプリは、世 界でも屈指の特異性を持つ市街地サーキット、バクー・シテ ィ・サーキットで開催されている。20のコーナーを擁する全長 6.003kmのサーキットは、市街地コースとしては異例のスケー ルを誇り、レイアウトの中には2.2kmに及ぶメインストレートも 組み込まれている。最高速は370km/hに達する区間もあり、ス トリートサーキットでありながら、常設サーキット並み、あるい はそれ以上のスピードレンジを持つのが特徴だ。

このレースは2016年にヨーロッパ・グランプリとして初開催さ れ、翌2017年からアゼルバイジャン・グランプリとして定着した。開 催契約は2030年まで延長されており、すでにF1カレンダーに欠か せない一戦として位置づけられている。予測不能な展開が多く、 セーフティカーの頻出や劇的な逆転劇が起こりやすいことから、 ファンの間では“荒れるレース”としても知られている。

このレースが特別なのは、世界遺産にも登録される旧市街 イチェリシェヘルの城壁沿いを、現代のF1マシンがに駆け抜 ける点にある。歴史的建築の保護区域を含む市街地をその ままコースに組み込むグランプリは他に例がなく、石造りの 町並みと最新テクノロジーが極端な近接距離で交錯する光 景は、アゼルバイジャン・グランプリならではのもの。

レース開催期間以外にこのエリアを訪れると、バクー・シテ ィ・サーキットが日常的には主要幹線道路として使われてい るていることが分かる。特に海沿いの区間や旧市街周辺は交 通量が多く、常に車の流れが途切れない。その都市の動脈と もいえる流れを完全に遮断し、わずかな期間だけレース専用 空間へと転換する。そのスケールと決断力も、このグランプリ の特異性を形づくる要素といえるだろう。レースが行われてい ない時に訪れても、城壁沿いの極端に狭い区間や、異様に長い 直線区間を実際に歩けば、このコースがいかに極端な条件の 上に成り立っているかを実感できるはずだ。

Formula 1 Azerbaijan Grand Prix https://www.bakucitycircuit.com/

ROAD
TRIP: Azerbaijan

Accommodation

Hilton Baku Baku

カスピ海を望む国際ブランドホテル 歴史地区と新市街をつなぐ滞在拠点

ヒルトン・バクーは、バクー中心部の海沿いに位置する国 際ブランドホテルで歴史地区と新市街の双方を行き来する 拠点として使い勝手のよい立地にある。

館内に足を踏み入れると、まず印象に残るのが開放感のあ るロビー空間だ。吹き抜けを生かした設計により、都市ホテ ルでありながら窮屈さを感じさせず、到着時から滞在のテン ポを緩やかに整えてくれる。

高層フロアの客室からは、カスピ海とバクー・プロムナード を一望できる眺望が広がり、夜には海沿いの灯りと町の輪 郭が静かに浮かび上がる。向きによっては、フレイム・タワー のライトアップを正面に楽しめる部屋もあり、バクーの現代 的な都市景観を室内から味わうことができる。昼と夜で表情 を変える景色は、滞在そのものにリズムを与えてくれる。

朝食はコンチネンタルを基本としながらも、アゼルバイジャ ンらしい料理が並ぶ点も印象的。旅の一日の始まりから地 域性に触れることができる。

ヒルトン・バクーは、伝統と現代が交差する都市バクーを横 断的に体験するためのベースとして、バランスの取れた滞在 ができるホテルである。

Hilton Baku

1B Azadliq Avenue, Baku 1000, Azerbaijan https://www.hilton.com/en/hotels/gydhbhi-hilton-baku/

Hilton Baku
ヒルトン・バクー

Food Experience

Nergiz Restaurant

Baku

Nergiz Restaurant ネルギズ・レストラン

繁華街の地下に広がる、もうひとつのバクー 都市の表層から切り離された食の時間

ネルギズ・レストランは、バクー中心部の噴水広場近くとい う、常に人の流れが絶えない場所にある。しかし、入口から階 段を下りた先に広がる石造りの空間は、町の喧騒や速度とは まったく別の時間が流れる特別な場所になっている。

この地下空間は、雰囲気づくりのためにつくられたものでは ない。バクーでは古くから、石造りの地下は夏の熱を避け、食料 や物資を保管し、人が集うための実用的な生活空間として使 われてきた。ネルギズのアーチ天井や厚みのある壁も、そうした 都市の構造の延長線上にある。外界と切り離された静けさと、 一定の涼しさが、自然と人の会話と食事のリズムを整えていく。

提供されるのは、ドルマやピラフ、煮込み料理など、アゼル バイジャンの定番ともいえる郷土料理だ。特別な演出や現代 的な解釈を前面に出すことはなく、味も構成も安定感がある。

ここで重要なのは、料理そのものよりも、「この空間で味わうこ と」だろう。大皿を囲み、取り分けながら食事を進めるスタイ ルは、地下という場所が本来担ってきた、共有の時間を自然 に呼び戻してくれる。ネルギズ・レストランは、バクーが重ねて きたそんな都市の生活を静かに体感させてくれる。

Nergiz Restaurant

9 Tarlan Aliyarbeyov Street, Fountains Square, Baku 1000, Azerbaijan http://nergizrestoran.az/

地下に広がる石造りアーチの空間で、郷土料理を囲むネルギズ・レストラ ン。大皿の煮込みやドルマを取り分けながら味わう食卓は、観光地の喧騒 から切り離された別世界のような落ち着きを感じさせる

ROAD

Museum Heydar Aliyev Center

Baku

Heydar Aliyev Center

ヘイダル・アリエフ・センター

現代アゼルバイジャンを象徴する現代建築 過去を再編集し、未来へ接続する文化拠点

ヘイダル・アリエフ・センターは、バクー市街東部に建つ文化 複合施設であり、現代アゼルバイジャンを象徴する建築のひと つである。2012年に開館したこの施設の設計は、世界的建築家 ザハ・ハディドによるもの。直線や角を極力排した流動的なフォ ルムは、周囲の都市景観から際立ちながらも、建築そのものが ひとつのランドスケープとして成立している。白い曲面で構成さ れた外観は、巨大な建築でありながら威圧感が少なく、布や地 形のうねりを思わせる柔らかさを持っているのが特徴だ。

館内に足を踏み入れると、展示スペースやホール、ギャラリ ーが連続的に配置され、壁・床・天井の境界が曖昧な空間が 広がっている。展示は、アゼルバイジャン建国の父とも呼ばれ るヘイダル・アリエフの足跡を紹介する内容から始まり、歴史 や文化、音楽、デザイン、現代美術などへと展開していく。ここ

で紹介される展示は、過去をそのまま保存するのではなく、解 釈し直し、現代の文脈の中で提示する構成が特徴だ。建築造 形の美しさを鑑賞するための場所にとどまらず、展示を通し てアゼルバイジャンの伝統や歴史を現在の視点で読み替え、 未来へとつなぐ役割を担っている。

ヘイダル・アリエフ・センターが建つのは、バクー国際空港 と旧市街を結ぶ動線上、近代的なビル群と整備された高速 道路に囲まれたエリアだ。都市の移動と成長を象徴するこの 場所にあって、センターは単なる文化施設ではなく、進化を 続けるバクーの現在地を示す存在となっている。

Cultural Experience

Atashgah Fire Temple Baku

Atashgah Fire Temple

アテシュガー・ファイア・テンプル

古代信仰から巡礼地へと受け継がれた火の神殿 アゼルバイジャンにおける「火」の精神的中核

アテシュガー・ファイア・テンプルは、バクー郊外スラハニに 位置する火の神殿である。古代から19世紀にかけて、この地 では天然ガスが地表から噴出し、永遠の炎と呼ばれる自然発 火現象が見られた。その特異な環境の上に築かれたのが、こ のアテシュガーである。

この神殿の起源は、ゾロアスター教がこの地域で支配的 な宗教であった古代にまで遡る。3世紀の文献には、トランス コーカサス地方に聖なる火の神殿を建立し、司祭を置いた 記録が残されており、アテシュガーはその系譜に連なる場所 と考えられている。しかし、イスラム教が主要宗教となるにつ れ、火の神殿は次第に崩壊していった。

転機となったのは、中世以降にシルクロードと交易路が再 び活発化した時代だ。アゼルバイジャンを訪れた商人たち が、地面から火が立ち上るこの地の噂を各地に伝え、17世紀 初頭から再び巡礼者が集まるようになり、神殿の再建が始ま り、19世紀初頭には現在の姿へと整えられた。

古代の信仰から中世の巡礼、そして現在の文化遺産としての 保存に至るまで、この場所は、アゼルバイジャンにおいて「火」が 文化や信仰の根幹を成してきたことを最も明確に示している。

Atashgah Fire Temple C285+5CR, Surakhany Town, Baku, Azerbaijan http://ateshgahtemple.az/

Cultural Experience

Yanar Dag

天然ガスが生む消えることのない炎 アブシェロン半島に残る"聖なる火"の風景

ヤナル・ダグは、バクー中心部から北東へ約27km、アブ シェロン半島に位置する、常時燃焼する炎で知られる丘で ある。その名称はアゼルバイジャン語で「燃える山」を意味 し、斜面の岩盤から噴き出す天然ガスが、昼夜を問わず地 表で燃え続けている。

この現象は地殻変動と地下の火山性物質の影響によるも ので、人工的な演出ではなく、完全に自然由来のものだ。13 世紀にこの地を訪れた旅行家マルコ・ポーロも、地面から火 が噴き出す様子に言及しており、ヤナル・ダグの炎は、記録以 前より長い年月にわたって燃え続けてきたと考えられている。

2007年5月2日、この地は大統領令によりヤナル・ダグ国立 歴史文化自然保護区として指定され、保護と活用の両立が 図られることになった。現在は国家観光庁の管理下で遊歩道 や展望スペース、カフェなどが整備され、訪問者は安全な距 離から”消えることのない炎"を観察できる。

アブシェロン半島一帯には、こうした自然発火現象が点在 し、古代ゾロアスター教徒にとっては聖なる火の地として崇 められてきた。ヤナル・ダグは、アゼルバイジャンが「火の国」 と呼ばれる理由を、最短距離で実感できる場所だ。

Yanar Dag GV2R+PG Digah, Absheron Peninsula, Azerbaijan https://www.yanardag.az/en/

Digah
Yanar Dag
ヤナル・ダグ

岩の台地に広がる人類史の原風景 人類の営みが地形とともに刻まれたゴブスタン  首都バクーから南西へと車を走らせると、風景は次第に表情を変え ていく。目的地となるゴブスタン一帯は、カスピ海を望む乾いた台地に 広がる岩場で、森林や水辺が広がる景観とは対極にある場所だ。なだ らかな大地の中に、荒々しく露出した岩盤が点在し、植物もまばら。広 大な乾いた地表が、この場所ならではの性格を形づくっている。

その岩場に刻まれているのが、数万年前から続く人々の生活の痕 跡である。狩りや移動、集団での営みを描いた岩絵は、特別な場所に 集約されているのではなく、地形の一部として点在している。ここで は、人の営みが自然から切り離されることなく、土地と並行して時間を 重ねてきた。ゴブスタンは、文明が形成される以前の人類が、どのよう な環境で生き、何を記録として残したかを示している場所なのだ。

ゴブスタンの岩絵は、展示物のように区切られているわけではな く、足元や視線の先にふと現れる。乾いた風が吹き抜ける岩場の中 で、岩に深く刻まれた線が、この土地と、かつてここで暮らした人々と を静かにつないでいることを、説明なしに感じ取ることができる。こう した価値が評価され、ゴブスタンの岩絵や遺跡群を含む一帯は、ユ ネスコの世界遺産にも登録されている。

人類史の初期段階を伝える重要な遺跡でありながら、ゴブスタン は過度に観光地化されておらず、岩絵の周囲には静けさが保たれて いる。岩絵の前で立ち止まり、時間をかけて一つひとつを見て回り、 ふと視線を遠くへ投げれば、また異なる岩絵に出会うこともあるだろ う。名所を巡るというより、場所そのものと向き合うこと、そして何か を理解しようとするのではなく、圧倒的に長い時間を感じることが、こ の地では自然と求められる。

数万年という時間のスケールに身を委ねたとき、静かに立ち上が ってくるのが、土地とともに刻まれてきた人類史の原風景である。

Gobustan
Gobustan
Gobustan

Gobustan Rock Art Cultural Landscape

ゴブスタン・ロックアート文化景観

ゴブスタン・ロック・アート文化景観(岩 絵群)は、カスピ海を望む岩場に点在す る先史時代の岩絵群を中心とした文化的 景観である。現在までに確認されている 岩絵は6000点以上に及び、狩猟や集団 生活、儀礼と見られる場面などが刻まれ ている。その年代は数万年前に遡るとさ れ、人類の生活の痕跡が地形と一体となっ て残されている点が大きな特徴だ。ゴブ スタンは2007年に「Gobustan Rock Art Cultural Landscape」としてユネスコ世界 遺産に登録された。

Gobustan Rock Art Cultural Landscape

496H+H9C, Gobustan District, Azerbaijan

Gobustan

Gobustan National HistoricalArtistic Preserve Museum

ゴブスタン国立歴史芸術保護区博物館

ゴブスタン国立歴史芸術保護区博物館 は、岩絵群を含むゴブスタン一帯の価値 を体系的に解説する拠点施設である。屋 外に点在する岩絵や遺構を、時代背景や 人類史の流れの中で理解できるよう構成 されており、狩猟生活から集団社会への 変化、気候や環境との関係が分かりやす く整理されている。実物展示に加え、模 型や映像資料も用いられており、岩場を 歩く前後に訪れることで、断片的に見え る痕跡がひとつの物語としてつながり、 文化的景観として楽しめるようになる。

Gobustan National Historical-Artistic Preserve Museum

496H+MGM, Gobustan District, Azerbaijan

Gobustan National Park Museum

ゴブスタン国立公園博物館

ゴブスタン国立公園博物館は、この地域 の自然環境と地質的特徴に焦点を当て た施設。乾いた台地や岩場がどのように 形成され、なぜこの場所に岩絵や泥火山 が集中しているのかを、地形や地層の視 点から解説している。館内には映像や模 型を用いたインタラクティブな展示も取 り入れられており、地殻の動きや地下構 造を視覚的に理解できる構成になってい る。この地の文化史を扱う博物館とあわ せて訪れることで、ゴブスタンをより立 体的に理解できるだろう。

Gobustan National Park Museum

6 Maktab Street, Gobustan District, Azerbaijan

Gobustan

Mud Volcanoes マッド・ボルケーノ

ゴブスタン周辺に広がるマッド・ボル ケーノ(泥火山)は、地下から噴き出す 泥とガスによって形成される噴火現象を 見られる場所だ。噴火といっても溶岩や 炎を伴うものではなく、灰色の泥が静か に盛り上がり、流れ、乾いていく。その 光景は荒涼とした岩場の風景と相まっ て、どこか地球の内部を直接覗き込んで いるような感覚を与える。世界に存在す る泥火山の多くがアゼルバイジャンに集 中しており、泥火山はこの地域の地質的 な特異性を物語っている。

Mud Volcanoes (Gobustan area) 56MP+VM, Cheyildag, Gobustan District, Azerbaijan

ROAD TRIP: Azerbaijan

Museum Mud Volcanoes Tourism Complex

Mud Volcanoes Tourism Complex

マッド・ボルケーノ・ツーリズムコンプレックス

泥火山を体系的に学ぶ博物館施設 ゴブスタンの地質と生命をつなぐ拠点

マッド・ボルケーノ・ツーリズム・コンプレックスは、ゴブスタ ン地域に点在する泥火山の成り立ちと、その周辺環境を総合 的に紹介する博物館施設である。2023年に開業したこの施 設は、世界でも稀な泥火山集中地帯に位置し、アゼルバイジ ャンに存在する泥火山群を体系的に理解するための拠点と して整備された。館内では、地下深部で発生したガスと泥が 地表へと噴出する仕組みを、模型や映像を用いて解説してい る。展示ホールには、アゼルバイジャン各地から集められた60 点以上の鉱物標本が並び地球内部の活動も伝えている。

また、自然史展示もこの施設の大きな見どころである。泥 火山を取り巻く環境に生息する生物たちの多様性と、火山活 動との興味深い相互作用が紹介されており、約100体の動物 の骨格標本に加え、900種に及ぶ昆虫や小型生物が展示さ れている。過酷な自然条件の中で形成されてきた生態系が、 視覚的に、かつ具体的に理解できる内容になっている。

館外には実際の泥火山を間近で観察できる遊歩道が整備 され、灰色の泥が静かに盛り上がり、流れ、乾いていく地表を 歩く体験は、展示で得た知識を再確認する時間となる。

マッド・ボルケーノ・ツーリズム・コンプレックスは、泥火山 を珍しい自然現象として消費するための施設ではない。人類 史を刻む岩絵と並行して、大地そのものが今も活動を続けて いることを示し、ゴブスタンという土地の本質を、最も深いレ イヤーで伝えている博物館である。

バクーから内陸へ向かう約300kmのドライブへ アゼルバイジャンの奥行きを感じる移動時間

バクーを離れ、内陸へと車を走らせると、高層建築や海の気配 は消え、代わりに広がるのはなだらかな丘陵と乾いた大地へと変 わっていく。道路は整備されているが、交通量は次第に減り、走る 車の顔ぶれも変わってくる。現代的な車に混じって、ソビエト時 代の名残を色濃く残す1960年代〜1970年代に作られたLADAの 姿が目立ちはじめるのも、この区間の特徴だ。

都市を離れるにつれ、移動の速度感も自然と変わる。道を横断 する牛や羊に出会うこともあるが、進行を妨げる存在ではなく、 人々が彼らに流れを合わせ運転している。信号や標識が示す時 間よりも、そんな土地のリズムに身を委ねる時間が増えていく。車

窓に映る集落やガソリンスタンド、道沿いの簡素な商店は、どれ も強く主張することなく、淡々と時を重ねそこにあり続けている。  バクーからシェキまでは約300km弱。距離としては決して短く ないが、この道で強く印象に残るのは「長さ」ではなく、風景の変 化だ。都市の気配が徐々に薄れ、それに代わり長い時間をかけて 形づくられてきた土地の表情がゆっくりと現れてくる。このドライ ブは、単なる長距離移動ではなく、アゼルバイジャンという国の 奥行きを、車窓の変化から体感する時間でもある。

to Sheki

Drive

Cultural Experience

Basgal State HistoricalCultural Reserve

Basgal

Basgal State HistoricalCultural Reserve

バスガル歴史文化保護区

気候と暮らしに適応した建築文化が見える コーカサス山麓に残る歴史集落バスカル

バスガルは、コーカサス山脈南麓の丘陵地帯に位置する 小さな歴史集落である。石造りの家屋が斜面に沿って連な り、細い路地が迷路のように張り巡らされた町並みは、長い 時間をかけて形成されてきたもの。現在はバスガル歴史文 化保護区として、建築や街路の景観が保存されている。

このエリアの建築は、一見すると重厚な石積みの構造だ が、内部に木材を多用した層が組み込まれているのが特徴 である。石は外気の影響を遮り、木は温度や湿度の変化を 受け止める役割を果たすことから、寒暖差の大きい山麓の 気候や地震への備えとして培われてきた合理的な構造で 外観の堅牢さと内部の柔軟さが共存している。

集落の中心にはかつての入浴文化を今に伝えるハマム やこの地域で育まれてきた絹の文化を受け継ぐ伝統的な シルクスカーフを扱う小さな店なども点在している。

自然、建築、宗教、手仕事が分断されることなく、同じ空 間の中で静かに重なり合っているのが、この町の特徴だ。

シェキへ向かう旅の途中であえてバスガルに立ち寄ってみ ることで、アゼルバイジャンの内陸部が持つ時間の厚みを、 実感することができるだろう。

Basgal State Historical-Cultural Reserve Q94R+46C, Basgal–Taghlahiyan Road, Basgal 3100, Azerbaijan https://www.heritage.org.az/en/

IN FOCUS Reading

the Layers

Shamakhi Juma Mosque

JJGV+PGH, M1, Shamakhi, Azerbaijan

Along the Silk Road’s Quiet Route

東西を結ぶシルクロードの支線として 人々の往来が刻んだ時間に触れる

バクーから内陸のシェキへと向かう道は、単なる地方 都市を結ぶ移動では終わらない。この道は、かつてシル クロードの支線として使われ、カスピ海沿岸とコーカサ ス山脈を越える内陸部を結ぶ重要な交易路だった。東 西を行き交うキャラバンは、この地域を通過しながら、物 資だけでなく、情報や信仰、技術を運んでいた。

このルートの途中に位置するシャマキは、中世から近世 にかけて交易網の中核を担った都市のひとつ。政治と商 業の中心として栄え、多くの商人や旅人が集まり、都市文 化が形成された。また、バスカルのような町も単なる通過 点ではなかった。山岳地帯へと向かう途中の中継地とし

て、人々が足を止め、休息し、荷を整える場所だった。

シルクロードは、一直線に延びる壮大な街道ではない。

地形や季節、政治状況に応じて枝分かれし、幾度も形を 変えながら続いてきた無数の道の集合体だった。バクー とシェキを結ぶこのルートも、数百年をかけ、人々の移動 によって踏み固められてきた道のひとつなのだ。

現在は当時のような交易の喧騒は失われているが、町 の配置や建築の構造、地域ごとの手仕事に目を向けれ ば、当時の名残が静かに浮かび上がる。ここは、風景とし ては穏やかでも、歴史としてはひときわ濃密だ。

このルートを辿るドライブは、景色の良い田舎道を走る 体験ではない。アゼルバイジャンが東西をつなぐ場所とし て歩んできた、長い時間の層をなぞるロードトリップにな る。そして移動そのものが、シルクロードの記憶に触れる 時間になる。

シルクロードの支線に育まれた交易都市シェキ 移動の時代が形づくった文化と日常が今も息づく町

コーカサス山脈南麓に位置するシェキは、アゼルバイジャン北 西部を代表する歴史都市である。山岳地帯と平野部の境界にあた るこの土地には、青銅器時代から人の営みがあったとされ、長い時 間をかけて移動と定住が繰り返されてきた。シルクロードの支線に あたる交易路沿いに位置したことで、キャラバンが集い、滞在し、絹 や工芸品、情報が持ち込まれ、再び各地へと運ばれていった。

18〜19世紀、シェキは独立した地方政権であるシェキ・ハーン 国の首都として栄えた。現在「旧市街」と呼ばれるエリアには、ハー ンの居館である宮殿やキャラバンサライ(隊商宿)、商人たちの邸 宅が集まり、交易都市としての性格が建築として明確に表れてい る。一方、19世紀以降はロシア帝国、さらにソ連時代を経て、行政 機能や住宅地を中心とした「新市街」が形成され、町は異なる時代

の構造を重ねながら拡張していった。この旧市街と新市街の対比 こそが、シェキの町並みを理解する手がかりとなる。

シェキの繁栄を支えた重要な産業のひとつとして養蚕も挙げら れる。周辺の自然環境は桑の栽培に適し、シルクロード交易を通じ て生糸や絹織物が各地へと運ばれた。その富は、宮殿建築や邸宅 の装飾へと注がれ、色ガラスを木組みに組み上げるシェベケに代 表される精緻な手仕事を生み出した。そこには、外からもたらされ た技術と、この土地に根ざした素材や感性が、長い時間をかけて 融合してきたその名残が、今も建築に表れている。

現在のシェキでは、歴史的建築のすぐそばで人々の暮らしが続 いている。バザールには地元の人々が集い、日用品や食材が行き 交い、町は保存された遺産ではなく、生きた空間として息づいてい る。日常生活の上に歴史があることが、この町では自然に伝わって くる。派手な演出に頼らず、移動と定着が繰り返されてきた時間を そのまま感じ取れる。それこそが、世界遺産にも登録されたシェキ の旧市街が持つ、静かで確かな魅力なのである。

Sheki

Sheki

Museum

Palace of the Sheki Khans

Sheki

Palace of the Sheki Khans

シェキ・ハーン宮殿

交易の町シェキに残る唯一の王侯宮殿 富と技術が美として結晶した特別な空間

シェキ・ハーン宮殿は、18世紀後半に建てられたシェキ・ハー ン国の王侯の宮殿建築である。かつてこの地には複数の王族の 邸宅や宮殿が存在していたが、戦乱や時代の変化の中で失わ れ、今日まで良好なかたちで伝えられているのは、この宮殿のみ。

その事実だけでも、この建築が持つ歴史的な重みがうかがえる。

外観は石と木を用いた落ち着いた佇まいで、権力を誇示するよ うな過剰な装飾は見られない。しかし内部に足を踏み入れた瞬 間、印象は一変する。壁面から天井に至るまで、緻密な装飾が空 間全体に施され、、色彩と光が幾重にも重なり合う。とりわけ象徴 的なのが、釘を一切用いず、木組みと色ガラスだけで構成された シェベケの窓装飾だ。幾何学文様を描くガラス越しの光は、時間 帯によって表情を変え、室内に静かなリズムを生み出している。

室内装飾には、花や植物、狩猟や戦闘の場面が描かれたフ レスコ画が多く残されている。それらは単なる装飾ではなく、王 権の象徴や自然観、世界観を視覚的に語る要素でもある。現在 はウッドフローリングとなっている床も、当時は天井や壁画と呼 応する文様を持つ上質なカーペットが織られ、部屋一面に敷き 詰められていたとされる。

この宮殿が特別なのは、その美しさだけではない。移動と交 易によって蓄積された富と技術が、ここで初めて「表現」として ひとつのかたちを得ている点にある。キャラバンが行き交う町で ありながら、最終的にこうした精緻な美を生み出したことこそ、 シェキという都市の成熟を示している。

Palace of the Sheki Khans

Sheki Khans’ Palace, Yukhari Bash, Sheki 5500, Azerbaijan https://azerbaijan.travel/take-tour-khans-palace-sheki

Opening Hours Mon, Fri: 9:00 – 19:00 Tue – Thr, Sat, Sun: 9:00 – 18:00

IN FOCUS Reading the Layers

Shebeke Workshop

653W+JH, 85 Vidadi Street, Sheki 5500, Azerbaijan

Shebeke Beyond Tradition

装飾ではなく、考え方を継承する 家族の記憶としての伝統工芸

シェキを象徴する工芸のひとつが、シェベケと呼ばれる 木組みの装飾技法である。釘や接着剤を一切使わず、細 かく切り出した木片と色ガラスを組み上げていくその構 造は、見た目の華やかさとは裏腹に、極めて論理的で緻 密だ。幾何学的な文様は偶然の産物ではなく、長い時間 をかけて洗練されてきた構造の結果である。

シェベケは、宮殿や邸宅の窓として用いられ、光を取り 込みながら外部からの視線を和らげ、室内に柔らかな色 彩を落とす。その役割は装飾にとどまらず、気候や生活様 式に応じた建築的な機能性も担ってきた。交易によって もたらされたガラス素材と、地域に根ざした木工技術が

結びつくことで、この独自の表現が生まれたのである。  シェキでシェベケ制作を担ってきた職人たちの多くは、 技を個人のものとしてではなく、家族の記憶として受け継 いできた。トフィグ・ラスロフ(Tofiq Rasulov)も、その系譜 の中にいるひとりだ。図面を引き、木を切り、組み上げてい く。その継承の過程は、「同じものを繰り返し作ること」を 意味しない。文様や構造の原理を理解したうえで、それを どう次に渡すかが、何より重視されてきた。彼自身もそうし て学び、今は息子へと、その考え方をつないでいる。   トフィグ・ラスロフが手がけたシェキの宮殿を彩る窓の 文様も、今日の工房で組まれる一枚一枚のパネルも、その 背景には個人の創作を超えた時間の流れがある。シェベケ は、「保存される技術」ではなく、「更新され続ける技術」と して受け継がれている。それは装飾のかたちを残すことで はなく、構造の考え方を継承してきた、時間の記憶である。

Food Experience

VIP Karvan Restaurant

VIP Karvan Restaurant VIP カルヴァン・レストラン

歴史的景観に寄り添う伝統料理レストラン 食事を通して味わうシェキの食文化

VIP カルヴァン・レストランは、シェキの歴史的景観に寄り 添う伝統料理を中心に提供するレストランである。赤煉瓦と 木を基調とした建築は、この町のキャラバンサライや王侯の居 館を思わせる意匠を取り入れ、町のストーリーと視覚的に連 続させるものになっている。アーチ状の窓から差し込む柔らか な光、天井から下がる装飾照明や壁面に飾られた様々なオブ ジェが食事の空間に穏やかなリズムを与えている。

このレストランで提供される料理は、アゼルバイジャン北西 部の食文化を軸に構成されており、ラムや鶏肉を使った炭火 焼き、野菜の煮込み、ピラフなど、土地の味を丁寧に再現して いる。豪快に盛り付けられた肉料理と、香草や野菜を使った前 菜が食卓に並び、大皿料理を中心に皆で料理を取り分けなが ら食事を進めていくのが、基本的なスタイルだ。会話とともに 食事の時間を楽しむアゼルバイジャンらしい食文化を自然な 形で体験できるのが魅力だ。

館内には、この地域の文化や暮らしを感じさせる装飾が随 所に施されており、食事の合間に目を向けるだけでも、この土 地の空気が伝わってくる。建物は夜になるとライトアップされ、 周囲の町並みの中でもひときわ印象的な存在となっている。

VIP Karvan Restaurant Yukhari Bash, Sheki 5500, Azerbaijan https://www.instagram.com/vipkarvan/

シェキ旧市街に位置する郷土料理レストラン。かつて交易で栄えた町の記 憶を感じさせる落ち着いた空間で、伝統的なアゼルバイジャン料理を味わ える。観光の合間に、町の歴史と食文化を静かに受け取れる一軒

ROAD

Cultural Experience

Sheki Bazaar

Sheki Bazaar

シェキ・バザール

交易の町シェキを内側から支えた市場 人と物が行き交う日常の風景を映す場所

本来、バザールとは人々の生活と情報が自然に交わる 場所である。日用品や食材が売買される一方で、日々の近 況が語られ、季節の移ろいが共有される。シェキ・バザール は、そんなバザールの本質を今に残している。

細い路地に沿って店が連なり、果物や野菜、香辛料、ナッツと いった食品を中心に、衣類などの生活用品が所狭しと並ぶ。売 られているのは観光客向けの商品ではなく、周辺の村々から日 常的に持ち込まれる暮らしの一部で、この場所が今も地域の台 所として使われていることが、その品揃えから読み取れる。

シェキが交易の町として栄えた背景には、こうした市場 の存在があった。シルクロードを往来するキャラバンによっ てもたらされた物資はバザールを通じて流通し、町の中へ と浸透していった。王侯の宮殿やキャラバンサライが示す 壮麗な歴史の背後には、日々の取引と人の往来が積み重 なっていたことを、バザールは物語っている。

バザールは、ここに住む人々の生活リズムそのものが流 れている場所だ。歴史的建築や文化遺産を巡ったあとに 足を運ぶと、そうした日常の営みが今もこのバザールの中 で続いていることが、自然と見えてくる。

Sheki Bazaar

Sheki Bazaar, Sheki 5500, Azerbaijan

Accommodation

Marxal Resort & Spa

Sheki

Marxal Resort & Spa

シェキを代表する高台の5つ星ホテル 歴史ある町とリゾート滞在を結ぶ場所

マルシャル・リゾート&スパは、シェキを代表する5つ星リゾ ートホテルだ。市街地からのアクセスもよく、町歩きや観光を 終えたあとに落ち着いて滞在できる拠点として位置づけられ ている。海抜約1080m、山々に囲まれたシェキの高台に位置 し、スケール感のある建築とゆとりのある敷地構成が、この土 地ならではのリゾート像を形づくっている。

客室はゆとりのある造りで、落ち着いて過ごせる空間が確 保されている。館内には複数のレストランがあり、朝食から夕 食までホテル内で完結できる。提供される料理はアゼルバイ ジャンの伝統料理を軸にしながら、国際的なホテルらしい安 定感のある内容となっている。

ラウンジではカクテルのほか、シェキ周辺で造られるワイン やアゼルバイジャンのビールも用意されており、観光を終えた 夜を館内で静かに過ごすことができる。スパエリアには大型の 屋内プールやリラクゼーション施設、ハマムが備わり、数日間 の滞在でも館内で過ごす時間に不足はない。

シェキ・ハン宮殿やシェキ・バザールでこの町の歴史と生活 に触れたあと、リゾートで身体を休める時間を持つ。その緩急 によって、この町の印象はより奥行きのあるものになっていく。

Marxal Resort & Spa

Marxal Resort & Spa, Kish Village Road, Sheki, Azerbaijan https://marxalresort.az/en/

Cultural Experience Sheki Caravanserai

Sheki Caravanserai

シェキ・キャラバンサライ

シルクロード交易の拠点として築かれた建築 移動と滞在を支えたキャラバン文化の中核

シェキ・キャラバンサライは、シルクロードの支線に位置 したこの町が、交易の拠点として繁栄していた時代を今に 伝える建築だ。厚い石壁に囲まれた中庭型の構造は、外界 から切り離された安全な空間を生み出し、長距離を移動す る商人とその荷、そして動物たちを同時に受け入れるため に設計されたもの。装飾性よりも耐久性と実用性を優先し た、移動を前提とする極めて合理的な設計になっている。

中庭を中心に上下階へと部屋が配置され、1階は主に倉 庫や動物のための空間、2階が商人たちの宿泊部屋として使 われていた。荷の保管、取引、そして休息がひとつの建築の 中で完結する構造は、キャラバン文化の成熟を示している。 ここでは単に一夜を過ごすだけでなく、情報の交換や交渉が 行われ、次の旅路に向けた準備が進められていた。

シェキ・キャラバンサライが興味深いのは、その規模と 保存状態の良さにある。石造の壁やアーチ、動線の設計に は、繰り返し利用されることを前提とした堅牢さが感じら れ、交易が一時的な現象ではなく、日常的な営みだったこ とが伝わってくる。

現在、シェキ・キャラバンサライは宿泊施設として再生さ れており、当時の商人たちと同じように中庭を囲む部屋に 滞在する体験ができる。一方で、この建築は文化施設とし ても機能しており、日中は宿泊をしなくても内部を見学する ことが可能になっている。

Opening Hours Mon - Sun: 11:00 – 19:00

Sheki Caravanserai
Sheki Caravanserai, Yukhari Bash, Sheki 5500, Azerbaijan

Food Experience

Novbahar Restaurant

ノヴバハル・レストラン

シェキ郊外のリゾートに併設されたレストラン 料理を通して地域の味と文化に触れる食の場

ノヴバハル・レストランは、シェキ郊外に位置するエル・リゾー ト・ホテル(EL Resort Hotel)内に併設されたレストランである。

アゼルバイジャン各地の家庭料理を軸にしながら、シェキ周辺 の郷土料理も積極的に取り入れたメニュー構成が特徴で、ハ ーブを使った前菜やドルマに始まり、ピラフはサブジ・ピラフや ガフ・ピラフ・ウィズ・ウォルナッツなどが用意されている。

メインには、ガフ地方(Gakh)の伝統料理であるスルルフ (Surhullu)や、ハーブと内臓肉を使った料理、果実の酸味を 効かせた煮込みなど、この地域ならではの味が並ぶ。いずれも 派手な演出に頼らず、家庭料理をホテルレストランとして整え た内容で、シェキ滞在の食事に奥行きを与えている。

ノヴバハル・レストランの料理は、単なる食事にとどまらず、 ガフ地方を含むこの地域の歴史や文化に触れる手がかりにも なっている。名所を巡るだけでは見えてこない、土地の日常や 価値観を知るために、あえてこのレストランを目的のひとつとし て組み込むのもひとつの選択だ。エル・リゾート・ホテルでの滞 在とあわせてこのレストランを利用することで、移動、休息、食 事がひとつながりとなり、シェキという土地に身を委ねる時間 が、より確かな体験として積み重なっていくだろう。

Novbahar Restaurant

Novbahar Restaurant, Sheki 5500, Azerbaijan https://elresort.az/restaurants/

エル・リゾートホテルに併設されるレストラン。明るく落ち着いた空間の中 で、シェキの郷土料理を旅の流れに沿って味わえる。観光的な演出に寄り すぎることなく、滞在の時間に自然と組み込まれる食事の場になっている

Novbahar Restaurant

Accommodation

El Resort Hotel

Sheki

El Resort Hotel エル・リゾートホテル

シェキ北西部に位置する滞在型リゾート アクティブにも静かにも過ごせる宿泊拠点

エル・リゾートホテルは、シェキ市街を起点に北西部の山岳 地帯へと進んだ先に位置するリゾートタイプのホテルである。

周囲を自然に囲まれた立地にあり、アゼルバイジャンのカント リーサイドを、滞在を通して味わえる環境が整っている。

客室からは周囲の山並みや敷地内の庭を望むことができ、 室内は過度な装飾を避けた落ち着いたトーンでまとめられて いる。館内にはレストランやラウンジ、屋内プールやボウリング 場などの施設も備えられており、滞在中の時間をホテル内で 完結させることも可能だ。敷地内外には散策エリアやアクティ ビティも用意され、滞在の目的に応じて過ごし方を選べる構 成となっている。

特に夏のシーズンには、ホテルは賑わいのある表情を見せ る。中庭にはファミリーが集い、音楽イベントやプールを中心と した時間が流れ、周辺エリアではバギーによるオフロード体験 なども楽しめる。静かな時間とアクティブな時間を行き来しなが ら滞在を組み立てられる点も、このホテルの特徴のひとつだ。

エル・リゾートホテルは、観光の途中に立ち寄る場所という よりも、シェキ周辺での滞在スタイルそのものを選び取るため の拠点として位置づけたい一軒である。

El Resort Hotel El Resort Hotel, Sheki 5500, Azerbaijan https://elresort.az

Sheki, Gakh

Kish Albanian Temple

キシュ・アルバニア教会

シェキ郊外のキシュ村に建つキシュ・ア ルバニア教会は、コーカサス・アルバニ ア時代に起源を持つとされる初期キリス ト教建築である。石造りの簡素な外観は、 後世の装飾を抑え、宗教建築としての原 初的な姿を留めている。内部は小規模な がら静謐で、床下には人骨が確認できる 展示もあり、この地に信仰と共同体が長 い時間をかけて根付いていたことを実感 させる。イスラム文化が主流となる以前 の宗教的層を知ることで、この地の文化 が単線的ではないことが理解できる。

Kish Albanian Temple

Kish Albanian Temple, Kish Village, Sheki, Azerbaijan

Ulu

körpü ウル・キョンプ

ウル・キョルプは、キシュ村近郊を流れる川 に架けられた歴史的な石橋で、18世紀初頭に 築かれたとされている。釘を一切使わず、卵 黄を接着材として用いたと伝えられる構造は、 この地域における高度な建築技術を物語る。 装飾性を抑えた実用本位の造りは、山岳地帯 において人や物資、情報を安全に通すための 重要なインフラだったことを示している。同 時に、この橋は外部と村を結ぶ限られた動線 でもあり、防御と往来という相反する役割を 担ってきた。現在もその姿を保ち、かつての 人々の移動の歴史を今に伝えている。

Ulu Körpü (Ulu Bridge) Ulu Bridge, Kish Village, Sheki, Azerbaijan

Sumuq Qala スムク・カラ

シェキ郊外のキシュ村に残る塔状の防御 建築がスムク・カラである。この一帯は 北方からの侵入路にあたる山岳エリアで あり、歴史的に外敵への警戒が必要とさ れてきた地域だった。厚い石壁と限られ た開口部を持つ構造は、見張りや防御を 主目的とした建築であることを明確に示 している。現在は穏やかな農村風景の中 に佇んでいるが、その姿からは、この村 がかつて境界に近い緊張の場であり、日 常と防衛が隣り合わせに存在していたこ とを読み取ることができる。

Sumuq Qala

Sumug Qala Tower, Ilisu Village, Gakh District, Azerbaijan

キシュ・アルバニア教会の内部で印象に残るのが、床下に保存・展示されている人骨の存在だ。信仰の 象徴としてではなく、人々の生と死が重なってきた場所であることを静かに伝えている。興味深いのは、 発見された人骨の中に身長2mを超える個体が含まれている点だ。伝説的に語られる「巨人」の話と結 びつける向きもあるが、実際には当時の栄養状態や地域差、個体差など、複数の要因が考えられている。

Kish Albanian Temple(https://azerbaijan.travel/discover-traces-of-caucasian-albania) Kish Village, Sheki, Azerbaijan

Azerbaijan, Beyond the Journey

発見と出会いの、その先へ

アゼルバイジャンの地図を広げると、異なる文化、異なる気候、異なる風景が現れてくる 次の旅のヒントとして、注目したいいくつかの場所を挙げておこう

アゼルバイジャン西部を代表する文化都市。 詩人ニザミの故郷として知られ、文学や学問 の伝統が町の空気に静かに息づいている。旧 市街の落ち着いた佇まいに加え、近年整備さ れたヘイダル・アリエフ公園のような開放的 な公共空間も印象的だ。首都バクーとは異な る、生活のリズムが感じられる都市として、 この国のもう一つの表情を映し出している。

カスピ海南岸に位置するランカランは、湿潤 な気候と豊かな緑に包まれた南部の地域であ る。紅茶の生産地として知られ、北部の乾い た風景とはまったく異なる空気が流れている。 海と森が近接し、人々の暮らしも穏やかなリ ズムを刻んでいる。ひとつの国の中に、ここ まで明確な風土の違いが存在することを教え てくれる場所である。

カフカス山脈に抱かれた山岳リゾート、シャー ダグ。国際スキー大会との関わりも深く、ア ゼルバイジャンがウィンタースポーツに力を 入れていることを象徴する場所だ。雪に覆わ れた斜面と広大な山のスケールは、石油国家 や都市国家というイメージとは異なる印象を 与える。自然と国家戦略が交差する、現代ア ゼルバイジャンの一面がここにある。

本土と地続きでない飛び地に位置するナヒ チェヴァン自治共和国。古層の霊廟建築やシ ルクロードの記憶を今に伝える土地であり、 地理的な隔たりそのものが、この地域の個性 となっている。訪れることの難しさも含めて、 アゼルバイジャンの多層性を象徴する存在と いえるだろう。地図を眺めるだけでも、想像 が静かに広がっていくエリアだ。

Ganja
Shahdag
Nakhchivan
Lankaran

アゼルバイジャンで "道を旅する"基礎知識

アゼルバイジャンでは、個人がレンタカーを借 りて運転することは難しい。これは、この国がジ ュネーブ条約の加盟国ではないためで、一般 的な「海外でレンタカーを借り、日本で発行さ れた運転免許と国際免許で自走する」という旅 は、現時点では選択できない。

そのため、アゼルバイジャンでの移動は、運転 を伴わないロードトリップを前提に考える必 要がある。しかし、この国では主要都市間に舗 装状態の良い幹線道路が整備されており、バ クーからシェキ、ゴブスタンなどへの移動も比 較的スムーズに行える。途中で景色の良い場 所に立ち寄ったり、撮影のために車を止めたり と、行程の自由度は意外にも高い。

こうした移動を支えているのが、都市間タクシ ーやドライバー付きのチャーターカーだ。運転 は現地のドライバーに委ねる形になるが、その 分、車窓の変化に集中でき、道の途中で気にな った風景に立ち止まることもできる。移動が単 なる手段ではなく、風景を受け取る時間となる。

よりローカルな移動体験を求める場合は、長 距離バスやマルシュルートカ(乗合バン)という 選択肢もある。これらを利用すれば、土地の日 常に近いリズムで移動できる。

自らステアリングを握り、風景の移ろいを楽しみ ながら各地の文化に触れる旅は、確かにロード トリップの醍醐味だ。しかし、運転という行為を 外したからといって、その価値が失われるわけ ではない。ストーリーは、常に道に宿っている。

海外レンタカーを利用するための基礎知識 海外レンタカー利用前に 知っておきたい基礎知識

海外でレンタカーを借り、運転を楽しむ場合、 日本国内でレンタカーを借りるのとはいくつか 異なる点がある。ここでは海外でのレンタカー 利用前に知っておきたいポイントを紹介する。 (一般的な海外ロードトリップにおける参考情報) まずはレンタカー利用国の最低年齢制限を満 たしていること。海外では通常21歳以上が条 件となり、会社や車種によっては25歳以上※ に限定される場合もある。また運転免許取得 から1年以上経過していることを求められるこ とが多い。利用にあたっては有効な日本の運 転免許証と国際運転免許証(ジュネーブ条 約1949年形式)を所持している必要がある。さ らに、運転者本人名義の国際クレジットカード (利用限度額に余裕のあるもの)をもっている ことが必須条件となる。

利用条件

国際免許証

国際免許証は、日本が加盟するジュネーブ条 約に基づき、各都道府県の公安委員会が発行 するもので、加盟国間で相互に有効と認められ ている。海外で運転する際は、日本の有効な運 転免許証に加えて国際免許証を携行するのが 基本となる。(注意:免許情報をマイナンバーカ ードに記録した免許情報記録個人番号カード /マイナ免許証はカード券面に運転免許証の 情報が表示されないことから、現地官憲で無免 許であるとされる可能性があります。マイナ免 許証に切り替えたユーザー(1本化したユーザ ー)はマイナ免許証のみの保有から2枚持ち等 へ保有状況の変更を行い、従来のカード型運 転免許証と国際運転免許証を携行するように しよう。なお国際免許証の有効期限は発行日 から1年間となる。期限を迎えた場合、更新する 場合は取得時に返却を行うことになる。

国際免許証の申請

国際免許証は各都道府県の警察署の運転免 許課、運転免許センターおよび運転免許試験 場にて申請する。警察署で申請する場合は、約 1 〜 2週間必要となるが、運転免許センターや 運転免許試験場であれば即日発行が可能※ (1) 国内で有効な運転免許証 (2) 写真一枚(5×4cm) (3) パスポート (4) 手数料 ※ 発行から1年を経過している場合、渡航中に有効期限 を迎える場合などにより、新しい国際免許を発行する場合 は、古い国外運転免許証の返納が必要。免許停止処分を 受ける方や停止中の方は、手続できない。

レンタカー予約 カーナビゲーション

海外レンタカーは旅行代理店を通して手配す ることもできるが、大手レンタカー会社の公式 サイトから直接予約するのが一般的だ。主要 各社は英語またはスペイン語での予約ページ が中心だが、ハーツやエイビスなど一部は日 本語対応サイトを設けている。 海外でのロードトリップにカーナビゲーショ ンは欠かせない。最新のレンタカーではApple CarPlayやAndroid Autoに対応していること が多く、スマートフォンの地図アプリ(Google Mapsなど)を車載モニターに表示できる。ま た、本誌に掲載されたQRコードを読み込み、 Google Mapに目的地を保存しておけば、現地 でのルート設定もワンタッチで完了る。スマー トフォンを日本語設定にしておけば、音声案内 も日本語で行われるため言語の心配もない。

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