109th KOGIRE-KAI Auction Catalog

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C011 六十二間筋兜付白絲威二枚胴 ¥800,000.~ 兜、面具、胴、袖の保存の良さに比べ三具の損傷が痛ましい。現今の構成に江戸後期頃に整えられ たとき、古作の三具が寄せられたのではないかと憶測し、敢えて三具を除いた写真を用意した。 兜 鉄地錆色漆塗六十二間筋兜。前正中に鍍金唐草毛彫の篠垂(付座金)一条を垂らす。 鉢形は、おだやかに膨らみ、先に緩く尖るが、天辺では前後左右から迫って浅い谷を形成 する。八幡座は金工六段とし、篠垂の直下に一本角本を立て、後正中の上目に笠印付鐶(付 朱房)を具える。 眉庇は、額金形で鍍金毛彫の覆輪を廻し、白地藻獅子の絵韋を貼り、三光鋲(鍍金座金付丸 鋲)を打つ。左右に小桜鋲二を補う。吹返は一段で加飾は眉庇に倣い、金工の「四つ盛り釘 抜き紋」を据える。 は盛上鉄板札五段を白絲で毛引に威す。盛上鉄板札の白絲毛引威は、面具垂と小鰭に限 られ、草摺、袖は煉韋とする。 胴 金茶韋包碁石頭鉄札を横矧にし、白絲で素掛に威す。三板(胸・脇・押付板)と肩上には黒 皺韋を貼る。黒皺韋は草摺の裾板と袖の裾板の加飾にも用いる。肩上には蝶番で小鰭を取 付ける。満智羅は緑地羅紗の亀甲金を包むが、同工を臑当立挙にもみる。 草摺は七間五段。繰締鐶は茶韋で羂をつくる。 袖 当世形で五段、矢止板も煉韋。裏裂に茶地麻布を当てるが、三具の裏布にも用いる。 三具 納戸地色の草花文緞子(著しく脆弱化)で統一。 籠手 瓢籠手とし、矢止板を三分割して花文金具を散らす。手甲にも同工をみる。 佩楯 小篠佩楯。 臑当 七本臑当。 付属 太鼓櫃(破損)

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