• 大量供給で空室率は再び10%台へ上昇
• 需要拡大は続くが立地による差が強まる
• コスト上昇を反映した賃料上昇続く
Eコマースの売上拡大等による堅調な需要と大量の新規供給に よって2025年第1四半期の純需要は588,000㎡となった。輸送 費の上昇によって都心に近い立地の物件は需要が強まる一方で、 輸送距離が長くなる周辺部の物件は需要が弱まりリーシングに 苦戦する物件も見られる。立地によるテナント需要の差が強 まっている。
2025年第1四半期は7棟合計855,000㎡の新規供給があり、総ス トック面積は前期比3.7%、前年比10.1%の増加している。神奈 川ベイエリアで3物件、圏央道エリアで3物件が供給された。
東京圏全体の空室率は10.3%となり、前期比78bps上昇、前年 同期比27bps上昇している。好立地の物件は竣工時に満床にな るが、苦戦する立地の物件では1年以上空室が目立つ物件も見 られる。
東京圏の月額坪あたり賃料は4,677円で前期比0.2%下落、前年 同期比0.9%上昇となった。竣工後の空室期間が長期化してい る既存物件での賃料下落が反映されている。ただし新築物件の

2025年第1四半期
注釈:東京圏に所在する賃貸の大型物流施設が対象。面積は貸床 面積を参照する。
高い賃料が周辺物件の賃料を押し上げる動きは続いており、賃 料上昇トレンドに変化はない。
東京圏の物流施設の価格(専有単価)は前期比0.2%下落となった。
金利は上昇しているが、旺盛な投資家の需要を背景に投資利回 りは横ばいで推移している。
見通し
Eコマース拡大等による需要拡大と建築コストの上昇が続き、 賃料上昇が続くと予想される。金利上昇や物件管理コスト上昇 によって投資家が保有物件の賃料を増額させる動きが強まると 考えられる。しかし一部のエリアでは空室物件が増えているた め賃料下落の可能性がある。
米国の関税上昇については、長期的には景気変動を通じて影響 を及ぼすと考えられるが、短期的には物流施設のテナントの多 くが日本国内を対象とした荷物を扱っていることから需要に対 する影響は限定的と考えられる。
単位:1,000㎡