JAFスポーツ 2023年 秋号(第57巻 第4号 2023年11月1日発行)

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アナタの“ 推し”で決まります! ドライバー・オブ・ザ・イヤー2023 一般投票期限、迫る 最終戦・お台場を見逃すな! D1グランプリシリーズ第10戦が「JAFカップ」に認定 JAFゴーカートライセンス取得のススメ 2024年ライセンス更新のご案内 2023 AUTUMN
JAF スポーツ[モータースポーツ情報] 第 57 巻 第 4 号 2023 年 11 月 1 日発行(年 4 回、2、5、8、11 月の 1 日発行)
JAF MOTOR SPORTS

伊勢湾も望む鈴鹿市街を背景に、鈴鹿サーキットを 駆ける角田裕毅選手(アルファタウリ)。ポイント獲 得を誓った日本グランプリでは12位に終わった。

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つかむこととなる。イギリスGP終了後に チームはニック・デ・フリース選手から、 ダニエル・リカルド選手にチームメイトを 交代した。リカルド選手はF1で10年以 上のキャリアを持ち、通算8勝を誇る実力 と経験を兼ね備えたドライバーで、復帰戦 の第12戦ハンガリーGPでは13位だった が、AT04のセットアップやセッションの 鈴鹿は失意の12位。F1中盤戦から角田裕毅選手の苦悩が続く マックス・フェルスタッペン選手が第17戦日本GPを制圧、レッドブルがコンストラクターズ王者に! PHOTO/吉見幸夫[Yukio.YOSHIMI] REPORT/吉田知弘[Tomohiro.YOSHITA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

ルファタウリから2023シーズ ンのFIAフォーミュラ1世界選 手権(F1)に参戦中の角田裕毅選 手。今季の車両、AT04の性能がライバルよ り劣っている、と言われる状況下でシーズ ンスタートを迎えるも、序盤からポイント争 いに絡む活躍を披露。第3戦オーストラリ アGPと第4戦アゼルバイジャンGPでは 10位に入りポイントを獲得した。

それ以降は不運も重なりポイントに手が 届かないグランプリが続いた角田選手。そ れでも持ち前の粘り強い走りは健在で、中 盤戦の飛躍に期待がかかっていた。

そんな中、6月の第9戦カナダGPから中 盤戦に入った。カナダGPは角田選手の気 合いとは逆方向の結果となってしまう。予 選ではライバルを上回るパフォーマンスを 引き出せずQ1敗退。さらに他車の走行を妨 害したとして3グリッド降格のペナルティが 科され、19番グリッドからのスタートとな り、必死に追い上げるも14位止まりだった。

その後も流れをつかむことができず、続く 第10戦オーストリアGPのスプリントは接

触がきっかけで、歯車が狂ったレースとなり 16位でフィニッシュ。決勝は19位に終わっ た。第11戦イギリスGPではAT04のエア ロパッケージをアップデートし、戦闘力向上 を図るも僅差でQ1敗退。スターティンググ リッドも影響して決勝は16位となった。

なかなか波に乗れない状態が続いていた 角田選手だが、思わぬ形で“きっかけ”を

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「勝負の3季目」は激動のシー ズン。それでも角田選手は学 び、成長し続けている。

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スターティンググリッドのトップ10を決める 予選Q3に角田選手が進出したのは、3戦の み。アルファタウリAT04に施したアップ デートを活かしきり、克服したいところだ。

進め方、走らせ方ひとつに至るまで、真 横で共に仕事をすることになり、角田選 手にとっては大きな刺激となった。

その効果がサマーブレイク直前の第13 戦ベルギーGPで現れる。スプリントでは ウェットコンディションに苦戦し18位に 終わるも、決勝では11番グリッドから、 終始力強い走りを見せて10位でフィニッ シュ。アゼルバイジャンGP以来となるポ イントを獲得した。

経験あるリカルド選手が入ったことで、 角田選手の成長にもつながる。パフォー マンス改善が急務であるチームにとって は、理想の体制が出来上がったと言える。 さらに、先輩ドライバーの良いところをす ぐに吸収して、いち早く自分のパフォーマ ンスにつなげられるところも角田選手の強 みとして新たに感じられた才能だった。

サマーブレイクを経て、8月下旬から始 まる後半戦での飛躍に期待がかかったア

ルファタウリだったが…… またしても“想定 外の事態”が発生してしまう。

第14戦オランダGPの金曜日、FP2の最 中に、アクシデントを起こしたライバルを回 避しようとしたリカルド選手がコースアウ ト。この時に左手を骨折し、欠場することに なったのだ。リカルド選手の復帰はしばらく 時間がかかる見込みで、その間はスーパー フォーミュラで活躍中のリアム・ローソン選 手が抜擢され、参戦することになった。

2回目の鈴鹿凱旋は入賞ならず 予選Q3進出も悔しい母国GPに

そんな中で迎えた第17戦日本GP。角田 選手にとっては2度目の母国凱旋グランプリ だ。2022シーズンの日本GP再開を機に、 国内でのF1人気は上昇の一途を辿ってお り、初日の金曜日から鈴鹿サーキットは4万 2000人を動員する賑わいとなった。

木曜日の公式記者会見から来季の動向に ついて質問攻めにあっていた角田選手。FP1 こそ5番手だったものの、FP2では18番手 に沈み、浮かない表情を見せていた。

ファンや関係者らも心配が募る中、土曜 日の朝、チームが来季の体制を発表し、角 田選手とリカルド選手をレギュラードライバ ーに、ローソン選手はリザーブドライバーと なることが明かされた。FP3直前には角田選 手が鈴鹿の表彰台に登壇し、来場したファ ンに自ら来季の参戦継続を報告するという、 特別なイベントも実施された。

昨季とはうって変わり晴天に恵まれた決 勝、日曜日の鈴鹿。観客動員は11年ぶりに 10万人を突破して10万1000人を記録。そ の分、盛り上がりも“ケタ違い”だった。

ファンの大声援を受けポイント獲得を目 指した角田選手だが、新品のハードタイヤ が1セットしかなかったことや、第2スティ ントを変則的に伸ばしたことが裏目に出てし まい12位でフィニッシュ。母国グランプリ という大事な1戦で、チームの課題である 戦略面での弱さが出てしまった。

以前と比べると成長した角田選手はレー ス後にチームを批判せず、淡々とコメント を残したが、その表情からはやり場のない 悔しさが滲み出ていた。それでも「(10万人 の観客の前で走れたことは)本当に特別でし た。今回は予選とか決勝ではエネルギーを もらいましたし、皆さんの歓声も、二度と忘 れることのない鈴鹿での1戦でした」と語り、 鈴鹿を後にした。

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再度のチームメイト交代で、角田選手は つかみかけた流れを失ってしまう。オラン ダGPを15位で終えると、続く第15戦イタ リアGPでは車両トラブルが発生し、フォー メーションラップ中にストップ。レースがで きないまま、チームの母国グランプリを終え ることとなった。第16戦シンガポールGP も決勝1周目にライバルから接触を受けて、 悔しいリタイアとなった。

その一方で、思わぬF1デビューを果たし たローソン選手はイタリアGPで11位に入 ると、シンガポールGPの予選でQ3に進 出。決勝では9位入賞を飾る活躍を見せた。 ローソン選手の活躍ぶりを受け、ちょうど各 チームから2024シーズンのチーム体制の 発表が続いていたこともあり、角田選手の 来季参戦を危ぶむ声が一気に加速した。

その瞬間から肩の荷が下りた様子の角田選 手はFP3こそ14番手だったが、7万9000人 が詰めかけた予選で本領を発揮する。8番手

でQ1を突破すると、Q2で はトップから約0.2秒差に 迫る1分30秒204をマーク し9番手。久しぶりのQ3進 出を果たしたその瞬間、鈴 鹿はこの週末一番の大歓声 に包まれた。Q3でも精一杯 走り9番グリッドを獲得。 「今日はものすごく楽しめて 走れたので、決勝もファン の皆さんと楽しむ気持ちを 共有しながら走りたいと思 います」と角田選手は語り、 決勝でのポイント獲得に期 待が高まった。

難しいレースが続いている角田選手だが、 AT04のアップデートを始め、ポジティブな 要素もある。残り6戦で周囲を驚かせるパ フォーマンスを見せてほしいところだ。

破竹の連勝を続けていたマックス・フェルスタッペン選手(レッドブル)だ が、第16戦は5位に終わり、10連勝で止まった。しかし翌週の第17戦は 一転、チームパートナーとしてサポートするホンダのホームGPで予選・決 勝共に圧倒してポール・トゥ・ウィン。この勝利により、Oracle.Red.Bull. Racingが年間コンストラクターズチャンピオン連覇を達成した。

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勝田貴元選手が“第2のホームラリー”フィンランドで3位表彰台!

TGR-WRT勢は第7戦サファリで上位を独占! 第10戦アクロポリスまで、4戦全てを制す!! PHOTO/TOYOTA.GAZOO.Racing REPORT/廣本泉[Izumi.HIROMOTO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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023年FIA世界ラリー選手権 (WRC)に参戦する、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレ ンジプログラムの一期生、日本人ドライバ ーの勝田貴元選手は、コ・ドライバーのア ーロン・ジョンストン選手とともに第7戦 「サファリ・ラリー・ケニア」に参戦。TOYO TA GAZOO Racing World Rally Team (TGR-WRT)の4台目のGR YARIS Rally1 HYBRIDで過酷なラフグラベルに挑んだ。

サファリは勝田貴元選手にとって相性の 良いラリーで2021シーズンに2位、2022 シーズンには3位につけるなど、2季連続で ポディウムフィニッシュを達成。それだけ に2023シーズンのサファリでも躍進が期 待されたのだが、シェイクダウンでは、「フ ィニッシュ近くのジャンプの右コーナーで、 バンプにひっかかって、そのまま転倒しま した」と語るように、ロールオーバーを喫す

第8戦エストニアで苦戦し、総合 7位で終えた勝田貴元選手。

TGR-WRTが本拠を構え、勝田貴 元選手も居住するフィンランドで の第9戦を前に、入念な準備を進 めて走りを改善。その成果を発 揮して、今季初の表彰台登壇とな る総合3位を獲得した。

るなど、波乱の展開で幕を開けた。なんと か車両が修復され、翌日デイ1のSS1で7 番手タイムをマークした他、デイ2でも SS3で3番手タイムを残した勝田貴元選手 だったが、SS3を終えた直後にフロントのロ ワアームを破損した他、SS5では動物と接 触してフロント周りを破損。さらにSS6で はパンクに遭うなど、序盤からハプニング が続出。そのためトップから約1分19秒遅 れの総合5番手でデイ2を終えた。

それでも勝田貴元選手はデイ3でクレバ ーな走りを披露。ライバルの脱落にも助け られた結果、チームメイトのエルフィン・ エバンス/スコット・マーティン組と激しい 3番手争いを展開。SS12でベストタイムを マークした勝田貴元選手は総合順位でも3 番手を奪取したが、この日最後のSS13で スピンとコースオフを喫したことで、デイ3 は総合4番手で終了。

さらにデイ4ではSS15でハイブリッドユ ニットのトラブルが発生した他、SS18では オーバーヒート症状に苦戦。最後のSS19 ではライン上の岩を乗り越えた際にラジエ ターを破損するなど、最後までトラブルに 祟られてしまう。「結果としては悔しかった けれど、4位でフィニッシュできたことはポ ジティブです」とのことで、勝田貴元選手は 波乱のサファリを完走した。

第8戦「ラリー・エストニア」でも勝田貴元

選手の苦戦は続いた。ワークスとなる3台目 の車両を武器に、デイ1こそ市街地での SS1で6番手タイムをマークしたのだが、 「午前中は足回りの動きが不安定で乗りづら い状態でした。午後はセッティングの変更 で良くはなってきたんですけど、ワダチが深 くなっていて、タイムを伸ばせなかった」と 語るように7~8番手タイムにとどまったデ イ2は、総合順位でも7番手で終えた。

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第7戦サファリの過酷なグラベルロードで奮闘する勝田 貴元/アーロン・ジョンストン組。シェイクダウンでの横 転に始まり、大小さまざまなトラブルが行く手を阻んだ が、それらを乗り越えて完走。3季連続の表彰台には上 がれなかったが、総合4位を獲得した。このラリーから完 走が続き、着実にポイントを積み重ねている。

デイ3でも「僕自身、攻めきれていない部 分があって、1kmあたり0.3~0.5秒ぐらい 遅れていました」と語るように勝田貴元選手 は苦戦を強いられていた。さらにSS14で 電気系のトラブルが発生したことから、目 立った追い上げを果たせずに総合7番手の まま終了した。

デイ4ではペースアップを果たし、一時 は総合6番手に上がったが、パワーステー ジのSS21で逆転を許し、「週末を通してス ピードを乗せることができなかった。不甲斐 なさを感じています」と反省していた勝田貴 元選手は、総合7位でエストニアを終えた。

データ解析やテストで課題を克服 第2のホームラリーで成果を上げる

このように勝田貴元選手にとって悔しい ラリーが続いたが、「エストニアで遅れてい た原因が決定的なものではなく、“攻めきれ ていない”ということが分かりました」と分 析する。さらにテストでチームメイトのカ ッレ・ロバンペラ選手のサイドシートに同 乗したようで「ワダチの深いセクションをど

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市街地を舞台にしたデイ1のSS1こそ 7番手タイムに終わったが、山岳エリア を舞台にしたデイ2からは、SS2でベスト をマークするなど好タイムを連発。総合 順位でもトップから約16秒差の3番手で デイ2を終えた。デイ3ではSS12でス ピンを喫し、HYUNDAI SHELL MOBIS

WORLD RALLY TEAMでi20 N Rally1 HYBRIDを駆るテーム・スニネン/ミッ コ・マルックラ組にかわされて総合4番 手に後退。しかし、勝田貴元選手は再び 好タイムを連発し、スニネン選手と激し い3番手争いを展開した。

秒の差をつけてデイ3を終えた。

デイ4でも勝田貴元選手はSS20で今ラリ ー3度目のベストをマークするなど、ハイペ ースな走りで総合3番手をキープ。最終的 に自身4度目のポディウムフィニッシュを達 成した。「ヨーロッパで初の表彰台になりま すし、差がつきにくいフィンランドで表彰台 を獲得できたのでうれしい」と笑顔を見せた。

このように、第2のホーム・フィンラン ドで好感触を得た勝田貴元選手だが、4台目 の車両で挑んだ第10戦「アクロポリス・ラ リー・ギリシャ」では事前テストが行えなか った他、シェイクダウンがキャンセルにな ったことで苦戦の展開を強いられた。

それでも勝田貴元選手は総合6番手につ けていたが、デイ3ではスピンを喫し、さ らに冷却系のトラブルや3度のパンクに見 舞われ、追い上げを果たせずに総合6番手 で終了。デイ4でも目立った走りができず に、勝田貴元選手は「土曜日のスピンとパン クがなければ表彰台争いに絡めたと思いま すが、最低限の仕事はできたと思います」と

語るように総合6位でフィニッシュした。

その一方で「クルマは進化していてグリッ プ感とトラクションが改善していたし、ド ライビングもタイヤを摩耗させずに走るこ とができました」と手応えをつかんでいるよ うで、第13戦「ラリー・ジャパン」を控える 終盤戦でも、勝田貴元選手の走りに注目だ。 過酷なサファリで1位から4位を独占! 各ランキングをTGR-WRC勢がリード 一方、チャンピオン争いは、TGR-WRT のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥ ネン組がドライバー/コ・ドライバーランキ ングを、マニュファクチャラーランキング はTGR-WRTがリードを続けている。

サファリはセバスチャン・オジエ/ヴァン サン・ランデ組が優勝し、TGR-WRC勢は 2季連続1-2-3-4フィニッシュを達成。エ ストニアとアクロポリスをロバンペラ/ハル ットゥネン組が、フィンランドはエバンス/ マーティン組が制し、TGR-WRT勢が圧倒 的な強さを見せている。

「このまま最終日を迎えた時、リスクを 背負う勝負になりそうだったので、土曜 日のうちにアドバンテージを作りたいと いう思いがあり、リスクを負ってプッシ ュしました」と、勝田貴元選手はその言葉 どおり、デイ3最終SSとなるSS18で脅 威のアタックを披露。このラリー2度目 のベストを獲得した他、総合順位でも3 番手を奪還、4番手のスニネン選手に6.4

第10戦アクロポリスで今季3勝目を挙げて喜ぶTGR-WRTのディフェンディングチャンピオン、カッレ・ロバンペラ (右)/ヨンネ・ハルットゥネン(左)組。今季はリタイアした第9戦以外は全て4位以上でフィニッシュ、という安定感抜 群の走りでタイトル争いを牽引している。残り3戦でも王者の貫禄ある走りを見せてくれるのか、注目だ。 のように走るのか、良い発見がありまし た」とのことで、第9戦「ラリー・フィン ランド」では3台目の車両で序盤から素晴 らしい走りを披露した。

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予選で驚速のアタックを披露して”世界最速のチーム代表”をほ しいままにした7号車小林可夢偉選手。8号車もレース中盤に首位 に立ったものの、スタート1コーナーでの接触の影響によりペース ダウン。最終的には7号車がポール・トゥ・ウィンを飾った。

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5季連続の快挙! TOYOTA

GAZOO

Racingが第6戦富士でタイトル確定

7号車小林/コンウェイ/ロペス組がポールからの優勝で、8号車との1-2フィニッシュも達成 PHOTO/石原.康[Yasushi.ISHIHARA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/貝島由美子[Yumiko.KAIJIMA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

風13号が迫った9月8~10日、 富士スピードウェイでFIA世界 耐久選手権(WEC)第6戦「富士 6時間レース」が開催された。第5戦モン ツァから約2か月のサマーブレイクを経 て、シーズンは終盤戦に入った。

昨年の富士では、トップカテゴリーのハ イパーカークラスにはプジョーが出場して きたが、今年はそれに加えて、100周年の ル・マン 24時間レースを制したフェラー リ、LMDh車両を仕立てたポルシェ、キャ デラックが富士へとやってきた。

ポルシェはカスタマーカーも含めて4台 が参加。さらに、プライベーターながら、 フロイド・ヴァンウォールも加わり、ハイ パーカークラスには12台が参戦している。

また、WECでは今年でクラスが消滅す るLMP2クラスに11台。来年から車両規 定が変わり、やはり日本では見納めとなる LMGTE Amクラスには、コルベットを始 め、ポルシェ、フェラーリ、アストン・マ ーティンと、合わせて13台が参加した。

日本人ドライバーは、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)の小林可夢偉選手兼チーム 代表と平川亮選手、LMGTE Amの木村武

史選手と星野敏選手、藤井誠暢選手といっ たレギュラー勢だけでなく、小泉洋史選手 とケイ・コッツォリーノ選手がAFコルセ の21号車でスポット参戦した。また、TGR WECチャレンジドライバーの宮田莉朋選 手が、ケッセル・レーシング木村選手のチ ームメイトとして急遽参戦している。

小林可夢偉選手が驚愕の走り

走行初日の8日金曜日は、午前に90分 のFP1、午後にはFP2が設定されていた が、台風の影響で午前はウェット路面とな った。午後も霧のような小雨がぱらつく場 面もあったが、路面はようやくダンプから ドライコンディションとなり、各車スリッ クタイヤでの走行となった。

翌9日は、午前中に60分のFP3が行わ れ、午後からはクラス毎に各15分の予選 が行われた。最初はLMGTE Amの予選 で、各車のジェントルマンドライバーがタ イムアタック。すでにタイトルを確定させ たコルベット・レーシングのベン・キーテ ィング選手がポールを奪った。しかし、D'S TATION RACINGの星野選手が3番手、 木村選手が5番手と、日本勢も気を吐いた。

続くLMP2の予選では、ユナイテッド・ オートスポーツ22号車のフィル・ハンソ ン選手がポールを獲得し、ランキングトッ プにいるチームWRTの41号車ルイ・デル トラズ選手が2番手につけた。

そして、ハイパーカーの予選では、最後 は小雨に見舞われたが驚く速さでポールを 奪ったのがTGRの7号車、小林選手。セッ ション序盤にウェットタイヤで1周の確認を 行ったこともあり、小林選手よりもアタッ クタイミングが遅れた8号車のブレンドン・ ハートレー選手が2番手につけた。

これに続いたのは、ポルシェの6号車と 5号車、キャデラックの2号車といった

LMDh勢で、TGRとチャンピオンシップ を争うフェラーリ勢は、51号車が6番手、 50号車が7番手と遅れることとなった。

1コーナーで複数台が接触

決勝の10日は天候が回復し、晴天の朝 を迎えた。その後、曇り空となる中で午前 11時に決勝6時間レースがスタートした。

スタート直後の1コーナーでは、予選3 番手のポルシェ6号車が最もイン側のライ ンを奪ってブレーキを限界まで遅らせたこ

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LMP2クラス優勝はチームWRTの41号車。

総合優勝はTGRの7号車マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス組。2位はセバスチャン・ブ エミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組。この結果でTOYOTA.GAZOO.Racingがマニュファクチャラーズタ イトルを確定させ、トヨタ自動車の佐藤恒治代表取締役社長も登壇して祝福した。

とで、外側ではTGRの8号 車とフェラーリ50号車、フ ェラーリ51号車とポルシェ 5号車が接触するなど大混乱 となった。ポルシェ5号車 は、右リアタイヤにトラブル を抱えてオープニングラップ マニュファクチャラーズタイトル確定

GR H2 Racing Concept WEC富士で日本初公開

ル・マン24時間レースで世界初公開された「GR.H2レーシング コンセプト」が日本初公開。ACOとグリーンGT謹製の「LMPH 2G」と共に、ACOピエール・フィヨン会長も来日し、GAZOO. Racingカンパニー高橋智也プレジデントとWEC富士での特別 展示の場を訪れた。

を終えるとピットへ。コース上には、すぐ さまセーフティカーも導入された。この時 点ではポルシェ6号車、フェラーリ50号 車、TGRの7号車、フェラーリ51号車、 キャデラック2号車、ポールポジションの TGRの8号車は6番手となり、ライバル の先行を許す形となる。

3周を終えてレースは再開。このリスタ ート後の1コーナーでは、フェラーリ51号 車がTGRの7号車をオーバーテイク。決勝 序盤はフェラーリ2台がTGR勢の前に出 た。しかし、23周目の1コーナーではTGR の7号車がフェラーリ51号車を再逆転。7 号車は、31周目の1コーナーからコカ・コ ーラコーナーにかけて50号車も攻略した。

その後、32周を終えたところでトップの ポルシェ6号車が最初のピットイン。スタ ートから50分ほどのとても早いピットイ ンだったが、これはスタート進行中に6号 車クルーが燃料を満タンにできていなかっ たため。その数周後には、他のマシンも 次々にピットイン。多くは給油と左側2輪 のタイヤ交換でコースに戻る。キャデラッ クはタイヤ交換を行わず、ミディアムタイ

ヤでWスティントに入ったが、デグラデ ーションによりペースアップに苦しんだ。

これはフェラーリも同様で、4輪ともハ ードタイヤでスタートし、51号車は2ステ ィント目に左側だけハードのニュータイヤ に交換。50号車は左側を予選で使ったミデ ィアムに交換したが、セクター3でのタイ ムロスが大きく、次第にポジションを落と す状況となっていった。

TGR勢がポルシェ6号車を猛追

その中で、レース中盤までトップを守っ ていたのはポルシェ6号車。ピット作業を 5回に抑えて6スティントで走り切るため には、序盤早めにピットインした分を挽回 する必要があったが、2番手として乗り込 んだケビン・エストレ選手が、燃費走行し ながらもペースを保ち、何とか首位の座を 守っていた。その6号車に迫ったのが、 TGRの7号車と8号車だった。

eLMGTE.Amクラス優勝はAFコルセ54号車。

ケッセル・レーシングから木村武史選手とLMGTE.Am クラスに参戦した宮田莉朋選手は、終盤のペナルティ で10秒加算されたものの表彰台を維持。WEC初参戦 にして、最終的には3位表彰台を獲得した。

8号車はスタート直後のフェラーリとの 接触でリアカウルの一部にダメージを負っ ており、高速コーナーでのマシンバランス が崩れてペースを上げられなくなってい た。そのため、ここからゴールまでは耐え る走りとなっていた。対する7号車はアン カーとして乗り込んだ小林選手が好ペース を維持。最後は独走優勝を果たした。8号 車は何とかポジションを守り切り2位。ポ ルシェ6号車が第2戦ポルティマオ以来、 今季2度目の表彰台を獲得した。

LMP2クラスはチームWRTの41号車が ポールのユナイテッド・オートスポーツ22 号車を逆転して優勝。LMGTE Amクラスは AFコルセの54号車が優勝した。

WEC初ドライブとなった宮田選手を擁 したケッセル・レーシングは2位でレース フィニッシュを果たす。しかし、終盤の FCYで手順違反がありレース後に10秒加 算のペナルティ。結局3位となったが、宮 田選手はデビュー戦で表彰台を獲得した。

この3台はコース上でもバトルを演じ、8 号車の平川選手がトップに立った。さら に、それぞれ4回目のピット作業を終えた ところで、8号車と7号車が完全に6号車 の前に出た。しかし、その後、166周目の ストレートでは7号車が8号車をオーバー テイクして、トップが入れ替わることに。

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WEC富士で日本の若手ドライバーとIRON

DAMESがコラボレーション

JAFウィメン・イン・モータースポーツによる“世界”を感じる交流会が実現 PHOTO/石原.康[Yasushi.ISHIHARA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

士スピードウェイで開催された

FIA世界耐久選手権(WEC)第6 戦の金曜、今大会のLMGTEAmクラスに参戦する女性ドライバーチー ム「IRON DAMES(アイアンデイムス)」の メンバーと、日本の女性ドライバーやモー タースポーツ関係者らによる交流イベント 「Meet and Greet」が行われた。

この初となる試みは、JAFウィメン・イン モータースポーツ(飯田裕子座長)の主催に より、国内モータースポーツ界において通 訳などで活躍する伊藤ソニア氏のサポート により開催された。

交流イベントでは、アイアンデイムスで85 号車のポルシェ911 RSRを駆りLMGTEAmクラスを戦うラヘル・フライ選手とミシ ェル・ガッティン選手、サラ・ボヴィ選手 によるピットツアーを実施。普段は見られ ないピットエリアでエンジニアやメカニック など、チームの役割分担などを解説してく れた。続いて、富士スピードウェイの協力 によりブリーフィングルームで懇談が行わ れ、ここからLMP2クラスのプレマ・レー

シングで63号車のオレカ07-ギブソンを駆 るドリアーヌ・パン選手が合流。全員が車 座となってチームの4名との顔合わせと、 互いの自己紹介が行われた。

日本勢の顔ぶれは、レーシングドライバ ーの三浦愛選手と今大会のサポートレース でフォーミュラリージョナルにデビューし た猪爪杏奈選手、2022年のFIAガールズ・ オン・トラック‐ライジングスターズに挑 んだジュニアカートの松井沙麗選手と、今 年の選考から帰国したばかりの高橋佳音選 手。そして、富士スピードウェイのKYOJO CUPに参戦する富下李央菜選手とバートン ハナ選手、今年の全日本学生ジムカーナ選 手権大会・女子個人で優勝した慶應義塾大 学自動車部の早川杏樹選手が参加した。

懇談では、MCを飯田座長が務め、伊藤 ソニア氏が通訳するフリートークとなった。 アイアンデイムス側からは、自分たちの経 歴説明のほか、特にパン選手が富士に初挑 戦であったため、富士をホームとする日本 の選手たちに攻略法を聞いていた。

日本側からも積極的な質問が飛び、「ドラ

懇談の最後にはアイアンデイムスのメンバーにプレゼント を贈呈。ちなみに日曜の決勝レースでは85号車が一時クラ ス首位に立ったものの、表彰台を逃す惜敗となった。

イバーとしての最終目標は?」、「フィジカ ルトレーニングのメニューは?」、そして 「女性、そしてドライバーとしての人生の選 択をどうバランスしているか」といった、現 役ドライバーならではの内容の濃い意見交 換が行われた。最後にはチームからのサプ ライズで、プレマ・レーシングのピットツ アーも行われた。なかなか見られない LMP2車両のオレカ07-ギブソンを間近に して、日本勢にとっては、“世界”を身近に 感じられる貴重な機会となった。

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Headline モータースポーツ話題のニュース速攻Check!
富 10

スーパーフォーミュラ 第7戦もてぎ大会の金 曜に行われた救急救出 訓練。今年はチームが 持ち回りで車両を提供 しており、今回はROOK IE.RACING.14号車で 実施された。

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それは、モータースポーツの安全・安心を維持するために

ドライバーやファンが熱く楽しくモータースポーツに打ち込める取り組みが続く

PHOTO/石原.康[Yasushi.ISHIHARA]、遠藤樹弥[Tatsuya.ENDOU]、田代.康[Kou.TASHIRO] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

ーパーフォーミュラやスーパー GT、スーパーフォーミュラ・ラ イツやFIA-F4地方選手権など では、各大会期間中に医師団長や救急委員 長らによる監修の元で、実車両を使用した 救急救出訓練が行われている。

これは各サーキットで定期的に行われて いる、コースマーシャルや救急委員を対象 としたトレーニングで、フォーミュラカー やGTマシンといった競技車両はプロダク ションカーとは異なる構造を持ち、かつ高 速度での事態を前提としているため、作業

eには迅速かつ精確な対応が求められている。

日々アップデートされるFIAのメディカ ルやレスキュー方針を現場に伝達する役割 も込められており、このような競技役員ら が人知れず重ねている鍛錬により、モータ ースポーツの安全が確保されているのだ。 モータースポーツ活動だけでなく日常生 活にも影響を与えたコロナ禍により、その 揺り戻しに伴う重大インシデント発生の危 惧も高まっているだけに、世界選手権の国 内開催も続く下半期、迅速な救急作業に至 るべく、トレーニングが続けられている。

ラリー北海道でJAFラリー安全性向上講習会を開催

全日本ラリー選手権第7戦ラリー北海道で は「JAFラリー安全性向上講習会」を実施。 ラリーウィークの金曜に参加者全員の講習 と大会役員向けの実技講習が行われ、最新 となるEV対応の手順で実施された。

スーパーGT第6戦SUGO大会では100号車の山本尚貴選手による クラッシュが発生。高速度での事態だったため安否が危ぶまれた が、精密検査のためのドクターヘリ搬送の際に、ファンを気遣っ た山本選手は、右手を使ったアクションを見せていた。

次世代に車両に特化した訓練も

9月26日には、福岡県宗像市で「JAF公認自動車競技における次 世代自動車を用いた安全講習会」が開催された。TOYOTA.GAZ OO.Racingの協力によるWRC車両の構造や安全装置などの解説 のほか、実車両による救出訓練が行われた。

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HEADLINE

4 鈴鹿は失意の12位。F1中盤戦から角田裕毅選手の苦悩が続く

6 勝田貴元選手が“第2のホームラリー”フィンランドで3位表彰台!

8 5季連続の快挙! TOYOTA GAZOO Racingが 第6戦富士でタイトル確定

10 WEC富士で日本の若手ドライバーとIRON DAMESがコラボレーション

11 それは、モータースポーツの安全・安心を維持するために

SPECIAL ISSUE

20 王者は鈴鹿に

若獅子が輝くのか、それとも偉業の連覇なるか!? 鈴鹿で激突する最高峰フォーミュラの王座決定戦

40 “2本目”の傾向と対策

2本に賭ける未舗装路のトライアル、変わるコンディションにどう挑む!?

46 ハマる“サートラ”

サーキットを走りたい? それなら愛車で攻められる公認競技がある!

52 実録! 学ドリ2023

ドリフトに青春を賭けた若者たちのアツい1日

TOPICS

14 D1グランプリシリーズ第10戦が「JAFカップ」として認定! 東京・お台場で繰り広げられるシーズン最終戦、白熱のドリフト・バトルを見逃すな!!

16 今年こそ! いざラリージャパン!!

ついに豊田スタジアムでスーパーSSが実現。多くの人にナマのWRCを感じられる機会を

18 ロンドン大会最終戦はニック・キャシディ選手が優勝 シーズン9王者は後半戦で表彰台を連取したジェイク・デニス選手に

25 JAFゴーカートライセンス取得のススメ モータースポーツを楽しむための第一歩!

38 ドライバー・オブ・ザ・イヤー2023 アナタの“推し”で決まります!

59 地域とともに創る

モータースポーツも“安全”が大原則。地域と一緒に考える“運転の楽しさ”の伝道 62 オートテスト倶楽部 オートテストで始めるモータースポーツ。テクニックを磨くスキルアップの道とは

INFORMATION

31 INFORMATION from JAF モータースポーツ公示・JAFからのお知らせ(WEB)一覧(2023年6月30日~2023年9月26日)

32 2024年のライセンス更新のご案内

66 JAFモータースポーツサイトのススメ

JAF MOTOR SPORTS JAFスポーツ[モータースポーツ情報] 監修/一般社団法人 日本自動車連盟 〒105-0012 東京都港区芝大門1-1-30 ☎0570-00-2811(ナビダイヤル) 発行所/株式会社JAFメディアワークス  〒105-0012 東京都港区芝大門1-9-9 野村不動産芝大門ビル10F ☎03-5470-1711(代) 発行人/日野眞吾 振替(東京)00100-88320 印刷所/凸版印刷株式会社 編集長/佐藤 均[Hitoshi SATOU, editor-in-chief]、清水健史[Kenji SHIMIZU]、大司一輝[Kazuki TAISHI] デザイン/鎌田僚デザイン室 編集/株式会社JAFメディアワークス JAFモータースポーツチーム(JAFスポーツ) ☎03-5470-1712

COVER/2023 FIA World Endurance Championship 6 Hours of FUJI PHOTO/石原康[Yasushi ISHIHARA] 本誌の記事内容は、基本的に2023年9月29日までの情報を基にしております。また、社会情勢等によって、掲載した情報内容に変更が生じる可能性がございます。予めご了承ください。

「JAFモータースポーツサイト」も要チェック! https://motorsports.jaf.or.jp/

2023 秋 CONTENTS

D1グランプリシリーズ第10戦が「JAFカップ」として認定! 東京・お台場で繰り広げられるシーズン最終戦、 白熱のドリフト・バトルを見逃すな!!

ドリフト競技では唯一のJAF公認競技会として開催されているD1グランプリシリーズで、 2023年最終大会の第10戦にJAFカップのタイトルが与えられることになった。 ここでは、そのJAFカップ認定の経緯と意味、そしてシリーズ終盤戦の見どころをお届けする。

競技会名称:2023 D1グランプリシリーズ第9戦 お台場大会/ JAFカップオールジャパン・2023 D1グランプリシリーズ第10戦 お台場大会 開催日:2023年11月10~12日 開催地:お台場特設会場・NOP地区(東京都江東区) 主催:株式会社サンプロス

年のD1グランプリシリーズは、 第1戦/第2戦が滋賀県の奥伊 吹モーターパーク、第3戦/第4 戦が茨城県の筑波サーキット・コース 2000、第5戦/第6戦が福島県のエビスサ ーキット西コース、第7戦/第8戦が大分県 のオートポリスインターナショナルレーシ ングコース、そして、第9戦/第10戦は東 京都江東区のお台場特設会場で開催される。

この、11月10~12日に開催されるシー ズン最終大会の第9戦/第10戦について は、最終戦の第10戦に対して「JAFカッ プ」のタイトルが付与されることが、8月24 日にJAFから公示され、第10戦の単走部 門と追走部門の優勝者には、「JAFカップ」 が授与されることが明らかにされた。

JAFカップは、全日本選手権と並ぶ、JAF 公認競技会における名誉あるタイトルで、 スピード競技では「JAFカップオールジャパ ンジムカーナ/ダートトライアル規定」によ り「日本ジムカーナ/ダートトライアル選手 権上位入賞者を対象として、各地域のモー タースポーツの健全な発展および振興を図 ることを目的に、年1回開催されるジムカ ーナおよびダートトライアル競技の祭典」に 対してタイトルが与えられている。

このJAFカップオールジャパンジムカー ナとJAFカップオールジャパンダートトラ イアルの各クラス優勝者にはJAFカップが 授与され、近年では、各優勝者が年末の JAFモータースポーツ表彰式に招かれて、 JAFカップの授与式典が行われている。

全日本選手権をシリーズで戦う選手にと っては、特に年間タイトルを逃した選手が 終盤戦を戦うモチベーションを高める役割 も果たしており、D1グランプリシリーズ第 10戦の各優勝者にも、JAFモータースポー ツ表彰式で賞典授与が行われる。

JAF公認競技におけるドリフトは、スピ

ード競技に分類されており、2012年からス ピード競技開催規定の細則として「ドリフト 競技開催要項」が制定されている。そして、 D1グランプリシリーズは、現在では、日 本で唯一のドリフトのJAF公認競技会とし て準国内格式で開催されている。また、 2017年には世界初のFIA公認ドリフト競 技会が日本で開催され、2017年と2018年 は東京・お台場で、2019年は筑波サーキッ ト・コース2000にて、「FIAインターコン チネンタル・ドリフティング・カップ(FIA IDC)」が開催されている。

ドリフト競技の開催要項が施行され10 年が経過した現在、JAFでは、2023年度か ら新たに「オートテスト・ドリフト振興活性

化作業部会」を立ち上げて、モータースポ ーツ関係者・有識者により、ドリフト競技 などのさらなる振興策や広報の拡充、安全 性の向上などについて検討を重ねている。

このたび、数ある施策の中で、シリーズ 最終戦へのJAFカップ付与が実現に至り、 唯一のJAF公認ドリフト競技会であるD1 グランプリシリーズが、さらなるステータ ス向上の契機を得ることになったのだ。 「自動車競技の組織に関する規定」によれ ば、準国内格式では地方選手権までと制限

されているため、ドリフト競技の全日本選 手権大会は、現状では開催が難しい状況だ。 しかし、近年のスピード競技では、競技会 へのJAFカップ付与を経て、全日本選手権 大会の開催に至る流れもあることから、今 回の施策は、“次への布石”とも言えそうだ。 世界へつながるシリーズへ

レースやラリー競技では、全日本選手権 つまり日本のナショナルチャンピオンシッ プは、FIA地域選手権やFIA世界選手権に直

PHOTO/宇留野潤[Jun URUNO]、小竹 充[Mitsuru KOTAKE]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]
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結する国内最高峰の選手権となっている。

ドリフト競技では、JAF公認の“全日本選 手権”は未だ開催されていないが、もし、 JAFカップ認定大会が成功裏に終われば、 ドリフト競技の“日本選手権”が整備される 契機にもなり、ナショナルチャンピオンシ ップが開催されることになれば、世界的に 機運が高まりつつある、ドリフト競技のス テップアップ・ラダーを整備・構築する流 れに、いち早く対応できる可能性がある。

つまり、今回のD1グランプリ最終戦へ のJAFカップ付与は、ドリフト競技のパイ オニアが、今後さらに発展する試金石とな り得る、意欲的な試みなのだ。

D1グランプリシリーズは、10月28~29 日に大分県のオートポリスで第7戦/第8戦 が開催される。前戦となるエビスサーキッ ト西コース大会では、第5戦はGR86を駆 る藤野秀之選手が単走優勝を飾り、追走で はFIA IDCの初代王者である川畑真人選手 が村上満選手とのバトルを制して優勝した。

続く第6戦では、GRスープラを駆る松山

北斗選手が藤野選手を僅差で破り単走優勝 を挙げ、残念ながらウェット路面となった 第6戦の追走では、松山選手と藤野選手と いう単走上位2名によるバトルとなり、藤 野選手が第6戦の追走を制している。

エビス西大会を終えた結果、D1グランプ リシリーズの2023年ドライバーズランキ ングと2023年単走シリーズランキングの 両方で藤野選手が暫定トップに立った。そ して、追走を含めたドライバーズランキン グは、トップ藤野選手と2番手の松山選手 の差はわずか1ポイントという大激戦とな っている。続くオートポリス大会は、シリ ーズの行方を左右する天王山となりそうだ が、両ランキングともにシリーズ上位勢の ポイントが拮抗しているため、第9戦/第 10戦のお台場大会に最終決戦が持ち越さ れる公算も高いと言えるだろう。

2017年のFIAインターコンチネンタル・ドリフティング・カップお台場大 会で、記念すべきFIA IDC初代王者に輝いたのは川畑真人選手。 JAFカップが付与された大会の優勝者は、東京都内で開催されるJAFモータースポーツ表彰式に招待され、賞典 授与式が行われる。もちろん、D1グランプリ最終戦の各優勝も11月24日(金)の表彰式で賞典が授与される。

いずれにしても、残る2大会で、2023年 の日本最強のドリフターが決まる。特に、 11月12日に開催される「JAFカップオール ジャパン・2023 D1グランプリシリーズ 第10戦」は、モータースポーツ・ファンな ら、見届けるべき最終戦となるはずだ。

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特集 ラリージャパン/RALLY.JAPAN

今年こそ!いざラリージャパン!!

ついに豊田スタジアムでスーパーSSが実現 多くの人にナマのWRCを感じられる機会を

年12年ぶりに帰ってきたFIA世界ラリー選手権 (WRC)日本ラウンドは、今年もWRC第17戦(最終 戦)として、日本の里山の原風景を残す愛知・岐阜エ リアで、合計22本のステージ構成により開催される。

今年はオーガナイズにJAF加盟団体である豊田市が加わり、 実行委員会の会長を務める太田稔彦市長によれば「WITH FANS」、「WITH TEAMS」、「WITH HOSTTOWNS」、「WITH EARTH」というコンセプトで開催される。

そのうち「ファンとともに」を実現する施策としては、昨年 はスタート・フィニッシュ会場として使用された豊田スタジア ムのフィールド部分に、ついに2台走行のスーパーSSが誕生す る。金曜から土曜の3日間に約3万5,000席という多くの観客を 収容し、自由席も設定しているため、サービスパークのほかに競 技走行も一箇所で楽しめる注目のスポットになりそうだ。

そして、かつて「セントラルラリー」で使用された岡崎中央 総合公園ステージが、今年の土曜のSS11とSS12に加わった。

セントラルラリーでは駐車場や園内の取り付け道路を走行し、

大勢の観客を収容できる観戦エリアとしても人気を博した。こ こは自家用車の乗入れとパーク&ライド、公共交通機関の利用 という3種類の移動手段を許容する唯一のステージでもあるた め、本格的な競技走行を大勢の観客が味わえそうだ。

今年のラリージャパンは、より多くのファンがラリーの魅力 に触れられる施策が満載。ぜひ現地へ足を運んでほしい。

昨年のラリージャパンで3位獲得 愛知がホームのTGR勝田貴元選手!

ヒョンデのティエリー・ヌービル選手が優勝した2022年大会。ホームイベントとなった TOYOTA.GAZOO.Racing勢は、エルフィン・エバンス選手が健闘したものの、最後に不 運の脱落を喫し、勝田貴元選手が3位表彰台を獲得した。大会の開催地域は勝田選手自 身のホームでもあるため、今年の大会も勝田選手の熱い走りに期待したい。

林道ステージの観戦は、自家用車の直接乗入れができる場所は稲武ダムや設楽町、新城 市エリアなどに限られており、ほとんどはシャトルバス利用のパーク&ライド方式とな る。日本のラリーではリエゾンでの観戦も盛り上がっており、昨年は恵那市の岩村町本 通りなどに多くの観客が集まって、地元の皆さんと交流を図りつつラリーを楽しんだ。

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いざラリージャパン!!

PHOTO/遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、小竹 充[Mitsuru KOTAKE]、©WRC Promoter

RALLY JAPAN 2023

愛知県豊田市

・豊田スタジアムSSS:11/16(木)-18(土) ・鞍ヶ池公園SD:11/16(木)

・伊勢神トンネルSS:11/17(金)

・稲武ダムSS:11/17(金)

・三河湖SS:11/18(土)

・旭高原SS:11/19(日)

愛知県岡崎市

岡崎市SSS:11/18(土) ・額田の森SS:11/18(土)

GmbH、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

11月16日(木)~19日(日)に愛知と岐阜の6市町で開催!

岐阜県恵那市・ 中津川市

・恵那市SS:11/19(日) ・根の上高原SS:11/19(日)

愛知県設楽町

・稲武ダムSS:11/17(金) ・設楽町SS:11/17(金)

愛知県新城市 ・新城市SS 11/18(土)

詳しい情報は…… フォーラムエイト・ラリージャパン2023公式サイト https://rally-japan.jp/ 17

ロンドン大会最終戦はニック・キャシディ選手が優勝

シーズン9王者は後半戦で表彰台を連取したジェイク・デニス選手に

ロンドン大会の第15戦でタイトル争いに破れ たニック・キャシディ選手。翌日の第16戦で は驚愕の速さでレースを席巻。エンビジョン・ レーシングに王座をもたらした。

気自動車のフォーミュラマシン で争われるFIAフォーミュラE 世界選手権。このシリーズはほ かの世界選手権とは異なるカレンダーで開 催されており、今シーズンは車両自体もジ ェネレーション3へと進化している。

シリーズは2023年1月14日にメキシ コシティで開幕して、サウジアラビアとイ ンド、南アフリカ共和国、ブラジル、ドイ

ツ、モナコ、インドネシア、北米大会を経 て終盤戦を迎え、イタリア・ローマ大会、 英国・ロンドン大会の合計16戦が、2022 ~2023年の「シーズン9」として行われた。

このフォーミュラEには、2018~2019 年のシーズン5から日産フォーミュラEチ ームが参戦しており、今年はサッシャ・フ ェネストラズ選手とノーマン・ナト選手が 日本を象徴する桜のデザインをあしらった

第13/14戦ローマ大会は一般道を閉鎖した市街地レースで、3.38kmに19のコーナーを設定。ロンドン大会の第 15/16戦は、テムズ川沿い“ドックランズ”にあるエクセル展覧会センターが舞台。施設内を走る2.09kmのコー スだが、路面状況が大きく変化し、抜きどころも見つけにくいコース設定に、多くの選手が悩まされた。

「NISSAN e-4ORCE 04」で戦っている。

今季の日産チームは、第5戦の南アフリ カ大会でフェネストラズ選手がポールポジ ションを獲得し、第9戦モナコ大会では4 位入賞。第11戦ジャカルタ大会はフェネ ストラズ選手が4位、ナト選手が5位に入 賞し、第14戦ローマ大会はナト選手が2 位を獲得する活躍ぶりを見せている。

そして、2017年のスーパーGTで平川 亮選手と共に最年少チャンピオンに輝き、 スーパーフォーミュラでは2019年にドラ イバータイトルを獲得したニック・キャシ ディ選手も2021年から参戦している。

シリーズ終盤となるローマ大会では、第 13戦中盤までフェネストラズ選手がリー ドするものの、激しいクラッシュが発生し てレースが中断。再開後のレースではミッ チ・エバンス選手が優勝してキャシディ選 手が2位。ここまで安定してポイントを重

特集 フォーミュラE/Formula E
Rd.13-14
Rd.15-16 LONDON 18
ROMA

PHOTO/遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

ロンドン大会最終戦はニック・キャシディ選手が優勝

FIAフォーミュラE世界選手権 2023ドライバーチャンピオン ジェイク・デニス選手

ロンドン大会の第15戦でド ライバーチャンピオンを決 めたジェイク・デニス選手。

2023

2023 HANKOOK ROME E-PRIX(第14戦ローマ大会) [優勝]ジェイク・デニス選手/AVALANCHE ANDRETTI FORMULA E

N.ナト選手がローマで表彰台 日産フォーミュラEチームはシリーズ7位に ローマ大会では、日 本文化に造詣が深 いイタリア日産の マルコ・トロ氏がト マソ・ヴォルペ監督 に必勝祈願のダル マを贈呈。来季のド ライバーにはサッ シャ・フェネストラ ズ選手のほか、ノー マン・ナト選手に代 わりオリバー・ロー ランド選手の起用 が発表されている。

ねたキャシディ選手はポイントリーダーに 躍り出た。第14戦はジェイク・デニス選 手が好調で、キャシディ選手はエバンス選 手とのクラッシュに巻き込まれ、まさかの ノーポイントに終わってしまう。

これでデニス選手がシリーズ首位に立ち、 キャシディ選手、エバンス選手の順で最終 ロンドン大会の2レースを迎えたが、第15

2023 HANKOOK LONDON E-PRIX(第16戦ロンドン大会) [優勝]ニック・キャシディ選手/ENVISION RACING

戦ではエバンス選手が優勝、デニス選手が 2位に入ったことで、デニス選手がドライ バータイトルの座に輝くこととなった。

タイトル争いに臨んだキャシディ選手だ が、チームやチームメイトとの連携ミスや、 レース中の接触が元でリタイアを喫するな ど、かなり悔しい一戦となった。しかし、 シーズン最後の第16戦は、キャシディ選手 が圧倒的な速さを見せてポールポジション を獲得。雨模様の決勝でも快走して、エバ

ンス選手を2位に従え、かつ3番手に16秒 の差を付けた圧勝を獲得した。この結果、 所属するエンビジョン・レーシングにチー ムタイトルをもたらし、キャシディ選手も シリーズ2位を獲得した。

スーパーフォーミュラ卒業生が存在感を 高めているフォーミュラE。次なる「シー ズン10」は2024年1月にメキシコシティ で開幕し、3月30日には東京・有明で日本 に初上陸する予定となっている。

FIA Formula E World Championship S9 Drivers Pos Driver Pts Pos Driver Pts Pos Driver Pts Pos Driver Pts Pos Driver Pts 1 Jake DENNIS 229 6 Sebastien BUEMI 105 11 Stoffel VANDOORNE 56 16 Sacha FENESTRAZ 32 21 Oliver ROWLAND 9 2 Nick CASSIDY 199 7 Maximilian GUNTHER 101 12 Jake HUGHES 48 17 Dan TICKTUM 28 22 Robin FRIJNS 6 3 Mitch EVANS 197 8 Sam BIRD 95 13 Rene RAST 40 18 Andre LOTTERER 23 23 Roberto MERHI 0 4 Pascal WEHRLEIN 149 9 Antonio Felix da COSTA 93 14 Edoardo MORTARA 39 19 Nico MULLER 15 24 Kelvin van der LINDE 0 5 Jean-Eric VERGNE 107 10 Norman NATO 63 15 Lucas di GRASSI 32 20 Sergio SETTE CAMARA 14 25 David BECKMANN 0
HANKOOK ROME E-PRIX(第13戦ローマ大会) [優勝]ミッチ・エバンス選手/JAGUAR TCS RACING 2023
LONDON
TCS RACING
HANKOOK
E-PRIX(第15戦ロンドン大会) [優勝]ミッチ・エバンス選手/JAGUAR
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2023年は全9戦で争われる全日本スーパーフォーミュラ選手権。

中盤戦は6月末に富士スピードウェイで行われた合同テストを経て、 終盤戦へ向けた第6戦富士大会と第7戦もてぎ大会を迎えている。

残すは最終大会・鈴鹿の2戦。ここでは「JAF鈴鹿グランプリ」を前に 今シーズンのチャンピオン争いを富士、もてぎ大会を通じて占う。

いよいよ10月28~29日に、国 内最高峰カテゴリーであるスー パーフォーミュラの最終大会 が、F1日本グランプリの興奮冷めやらな い、三重県の鈴鹿サーキットで開催される。 2023年の全日本スーパーフォーミュラ選 手権では、4月22~23日に第3戦として鈴 鹿ラウンドが開催されており、シーズンを 締めくくる決戦の地に再び鈴鹿が選ばれ た。しかも今大会は第8戦と第9戦の2レー ス制で行われ、日曜に開催される最終戦の 第9戦には「JAFグランプリ」のタイトル もかけられている。そして、この最終大会・ 鈴鹿を前に、シーズン後半戦でチャンピオ ン争いがかなり激化している。

今季の開幕戦は富士スピードウェイで2 レースが行われ、第3戦は鈴鹿、第4戦は オートポリス、第5戦はスポーツランド SUGOで開催されている。これら中盤戦ま

での5レースでは、宮田莉朋選手とリア ム・ローソン選手がそれぞれ2勝を挙げ、 三連覇を狙う野尻智紀選手が1勝している。 ドライバーランキングでは、宮田選手が 75ポイントで首位に立ち、ローソン選手 が63ポイントで2番手に続く。そして、 第3戦鈴鹿大会でリタイアを喫し、続く第 4戦オートポリス大会を病気で欠場した野 尻選手は58ポイントで3番手に甘んじて いたが、第6戦富士大会と第7戦モビリテ ィリゾートもてぎ大会を経て、この三人の 差はグッと縮まっている。

第6戦富士と第7戦もてぎ大会 明暗を分ける“三人”の戦い

7月15 ~ 16日の第6戦は、TOYOTA GAZOO Racingのお膝元である富士スピ ードウェイが舞台。後半戦に入って最初の レースとなったこの富士だが、第5戦

い !? PHOTO/石原 康[Yasushi ISHIHARA]、吉見幸夫[Yukio YOSHIMI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]  REPORT/貝島由美子[Yumiko KAIJIMA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] 特集 スーパーフォーミュラ/SUPER FORMULA 10.29 JAFGP 20

SUGOの翌週には、この地で今季2度目 となる公式合同テストが行われており、各 ドライバーにとって、新たなエアロパッケ ージに生まれ変わった「SF23」に対する十 分なデータを持って臨める大会となった。

御殿場は梅雨明けの時期ではあったが、 まだ夏の天候とはならず、第2回合同テス トと同じようなコンディションになったこ とも各陣営にとって助けとなったはずだ。

この第6戦富士大会の予選でポールポジ ション(PP)を獲得したのは牧野任祐選手。

牧野選手にとっては、デビュー戦以来約4 年ぶりとなる自身2度目のPP獲得となっ た。これに続いたのは、ポイントリーダー

宮田選手との差を詰めたいローソン選手。 そして、ルーキーの太田格之進選手が3番 手、佐藤蓮選手が4番手と続き、フロント ロー、セカンドローはホンダエンジンユー ザーが独占する結果となった。宮田選手は トヨタエンジン勢として最上位となる5番 手。一方、宮田選手とローソン選手を追い たい野尻選手は7番手に留まった。 鮮やかなピット作業と ローソン選手の富士走り

第6戦富士大会の決勝レースでは、PPの 牧野選手がスタートでトップをキープ。こ れにローソン選手が続いた。予選3番手の 太田選手は、好スタートを決めた予選6番 手の山本尚貴選手の先行を許して4番手に 留まり、佐藤選手と山本選手同様に、好ス タートを決めた予選9番手の大津弘樹選手 が続いた。大津選手は、大会直前のトレー ニング中に鎖骨を骨折した大湯都史樹選手 の代役としてスポット参戦している。

対する宮田選手は7番手で1コーナーに 入ったものの、オープニングラップは随所 でバトルが発生。宮田選手はポジションを 上げて、5番手で2周目に突入した。

その後も上位陣では接近戦が演じられた が、トップ争いは膠着していた。そして、 首位の牧野選手が10周を終え、タイヤ交

リアム・ローソン選手
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宮田莉朋選手
野尻智紀選手

第7戦もてぎ大会の予選で2番手タイムを獲得して存 在感を増している太田格之進選手。鈴鹿に期待。

換のウィンドウが開くと、この時点で3番 手に浮上していた佐藤選手と5番手の宮田 選手、6番手の太田選手らがピットイン。

もちろんアンダーカットを狙うためだ。

この動きを見て、翌周には2番手を走行 していたローソン選手もピットに入った。

このローソン選手のタイヤ交換については、 メカニックの作業自体も速かったが、ロー ソン選手のアウトラップも非常に速かった。

トップを走行していた牧野選手も翌周に はピットに入ったが、作業を終えてコース に戻ると、すでにタイヤが温まっていたロ ーソン選手の先行を許すことになる。

それ以前の大会では、常にアンダーカッ トを成功させてポジションを上げていた牧 野選手だったが、この富士のレースではロ ーソン選手に先手を取られる形となった。

牧野選手と平川選手が猛追するも ローソン選手がシーズン3勝目

この後、タイヤ交換を引っ張って、オー バーカットを狙った数人のドライバーたち が見た目の上位につけていたが、ペース的 には、すでにタイヤ交換を終えたローソン 選手や牧野選手が大きく上回っていた。

最後までピットインを引っ張っていた平 川亮選手が30周を終えたところで入る と、代わってローソン選手がトップに浮 上。そして、2番手の牧野選手を引き離し ていった。しかし、3番手争いは宮田選手 が踏ん張りを見せ、31周目のダンロップコ ーナーで佐藤選手を仕留めてみせた。

その後方では6番手争いが激化してお

予選1位:牧野任祐選手

第6戦富士大会でポールポジションを獲得した牧野任 祐選手。太田選手も3番手タイムで成長を見せる。

第3戦鈴鹿大会で予選2番手から決勝2位を獲得した坪 井翔選手。最終大会の鈴鹿でも見逃せない存在だ。

り、山本選手と野尻選手、平川選手でバト ルとなった。その中で、タイヤが最も新し い平川選手が抜け出した。その後も平川選 手は最後まで追撃の手を緩めず、5番手の太 田選手をオーバーテイクしただけでなく、 ファイナルラップの最終コーナーでは佐藤 選手をもかわして4位フィニッシュした。

しかし、平川選手の追撃はトップ3台に は届かず、ローソン選手が今季3勝目をマ ーク。牧野選手が2位、宮田選手は踏ん張 りを見せて3位に入った。一方、宮田選手 とローソン選手の前でレースを終えたかっ た野尻選手は、決勝ペースがなかなか上が らず、8位に留まってしまう。

この結果、宮田選手は86ポイントを計 上して1ポイント差ながらもランキングト ップの座を堅守。予選2位と決勝の優勝 で、ローソン選手が85ポイントに伸ばし て宮田選手にピタリとつけた。野尻選手は 3ポイントを追加して61ポイントとした ものの、宮田選手とローソン選手には差を 広げられてしまった。この時点では三連覇 に黄色信号が灯ったように思えた……。

決勝の牧野選手はリアム・ローソン選手に首位を奪わ れてしまい、猛追するも2位に終わり肩を落とす。 もてぎ大会で今季最上の2位を得てシリーズ4位につ けた平川亮選手。鈴鹿で富士の雪辱を果たす。

王者・野尻選手がもてぎで復調 驚速タイムでポールを獲得!

ところが、真夏のコンディションで開催 された8月19~20日の第7戦では、野尻 選手が王者の底力を見せた。このもてぎ大 会で野尻選手は、予選を前に行われるフリ ー走行からトップタイムをマーク。ノック アウト予選になると、Q1こそ3番手での通 過となったが、Q2ではコンディションに合 わせ切った上で、自身のドライビングもイ ンプルーブさせて好タイムを絞り出した。

この予選Q2で、野尻選手は1分31秒 955と、ただ一人の1分31秒台を叩き出 し、開幕戦、第2戦以来となるシーズン3 度目のPPを獲得している。また、野尻選 手のチームメイトであるローソン選手は、 もてぎ初走行ながら予選3番手タイムを計 測して、貴重な1ポイントを獲得。これで 宮田選手とシリーズポイントが並び、優勝 回数の差により、この段階ではローソン選 手がランキングトップということになった。

第5戦富士大会と同様に、予選でホンダ

Rd.6 富士 Rd.7 もてぎ
決勝1位:リアム・ローソン選手
予選1位:野尻智紀選手 決勝1位:野尻智紀選手 今年の鈴鹿大会の第9戦ウィナーには「JAFグランプリ 杯」が贈呈される。昨年は野尻智紀選手が獲得し、JAF 坂口正芳会長からカップが手渡された。 22

開幕の富士大会では連続フロントローを獲得し、第3戦鈴鹿大会では優勝、第4戦オー トポリスでは2位、そして第5戦SUGO大会では再び優勝と前半戦を席巻した宮田莉 朋選手。第6戦もてぎ大会でも決勝スタートではつまづきながらも驚異的な追い上げ を見せており、2023年の宮田選手とマシンにはモーメンタムが高いと言えよう。

エンジン勢が上位を独占する中、宮田選手 は予選8番手に留まり、ライバルとなるホ ンダエンジン勢の後塵を拝してしまう。

そして、翌日の第7戦決勝レースでは、 スタート直後から波乱が発生してしまう。

PPの野尻選手は、まずまずのスタート を切った。予選2番手につけてフロントロ ーに並んでいた太田選手は、アンチストー ルが入ってしまい、発進できなかった。

これに対して、野尻選手以上の好スター トを切ったのが予選3番手のローソン選手 だった。ローソン選手は1コーナーから2 コーナーにかけて、野尻選手のアウト側に 並びかける。ここでチームメイト同士の意 地と意地がぶつかり合うことになった。

ホールショットは野尻選手 追うローソン選手との攻防

第2コーナー立ち上がりで、ギリギリま で防御した野尻選手に対して、一歩も引か なかったローソン選手。だが、ローソン選 手は縁石の外側のグリーンゾーンにはみ出 し、そこからコースに戻ろうとした際に縁 石を跨いで車両が暴れてしまう。その結果、 車両は“イン巻き”の回転状態に陥ってコー スを横断。ローソン選手の車両を避けるべ く、後続ドライバーたちは急減速した。

コース上でスピンして前を向いたローソ

ン選手の後方には、予選5番手からスター トしていた関口雄飛選手が迫っていた。し かし、その後方にいた牧野選手が関口選手 に追突して宙を舞い、空中で一回転してラ ンオフエリアに着地。ほぼ同時期に、関口 選手もローソン選手のリアに乗り上げて宙 を飛んだ。さらに、コース脇に逃げた松下 信治選手も、着地してきた牧野選手の車両 を避けきれず接触してしまう。

関口選手は自力で車両を降りているが、 牧野選手はオフィシャルに救助されメディ カルセンターへ運ばれた。意識もあり会話 ができる状態ではあったが、精密検査のた めにドクターヘリで搬送され、経過観察の ため一時入院することになった。

この多重クラッシュによって、レースは 赤旗中断。ほとんどのドライバーはメイン ストレート上の赤旗ラインに停止した。し かし、マシン後部にダメージを負ったロー ソン選手は、ペナルティ覚悟でそのままピ ットロードへ進入。ガレージへ向かって、 チームは緊急の修復作業に入った。

ローソン選手は、シーズンを通して、ル ーキーとは思えない円熟味を感じさせるレ ース運びをしてきた。しかし、珍しく“若 さ”を見せた場面だったと言えるだろう。

この時点で、トップを堅持していたのは 野尻選手。それに続くのは、大湯選手と平 川選手、小林可夢偉選手、山本選手、佐藤 選手だった。実は、宮田選手も太田選手と 同様に、スタート時にアンチストールが入 ってしまい、大きく後退していた。なんと かスタートは切れていたものの、この時点 では17番手となっている。

独走で逃げ切った野尻選手 好ペースで追い上げた宮田選手 その後、レースはセーフティカー先導で

23

再スタート。車両修復が何とか間に合った ローソン選手もピットからスタートしてい る。しかし、リスタート後の5周となった ところで、ローソン選手による赤旗中のピ ットインに対して、ドライブスルーペナル ティが科されることとなった。

そして、先頭の野尻選手が10周を消化 すると、数名のドライバーがタイヤ交換の ためにピットイン。その翌周にも数台がピ ットに入った。それに伴い宮田選手の前が 開け、タイヤ交換を引っ張る作戦を採って いた野尻選手と平川選手、山本選手、山下 健太選手らに続くことになった。

トップの野尻選手は、早めにタイヤ交換 した中で一番前にいた大湯選手とのギャッ プを見ながら、25周を終えようかというと ころでピットイン。チームの作業時間が非 常に速かったこともあり、野尻選手は難な く実質的なトップでコースに戻った。

その翌周には平川選手、さらに29周を 終えるところで宮田選手がピットイン。そ して一度は17番手まで後退した宮田選手

が4番手でコースに復帰。ここからタイヤ のフレッシュさを活かして前を追ったもの の、表彰台にはわずかに届かず4位に終わ った。これに対して、横綱相撲を見せた野 尻選手は独走で今季2勝目をマークした。

第7戦もてぎ大会で23点獲得! 野尻選手がタイトル争いに復帰

第7戦もてぎ大会では、予選と合わせて 23ポイントを荒稼ぎした野尻選手は、合 計84ポイントでタイトル争いに返り咲く。 そして、決勝で4位とはいうものの、宮田 選手もしっかり8ポイントを稼いで94ポ イントに積み上げた。ローソン選手は予選 の1ポイント獲得に留まったため、宮田選 手が合計86ポイントのローソン選手を上 回り、ランキングトップに再浮上している。

高星明誠選手も開発に加わり

第1回CN開発テストを実施

9月11~12日、モビリティリゾートもてぎで「2023年第1回カーボ ンニュートラル開発テスト」が行われた。これは昨年来「SUPER.FO RMULA.NEXT50」プロジェクトの一環として行われている、カーボ ンニュートラル(CN)対応とエンターテインメント性向上を実現する 取り組みの一つで、今年は石浦宏明選手に代わり高星明誠選手が開 発ドライバーへ就任。塚越広大選手と共にSF23開発車両の“赤寅” と“白寅”を駆り、横浜ゴムが開発する再生可能原 料を活用した「CN対応レーシングタイヤ」の配合 を変えた4種類のコンパウンドを評価した。 2023年

残るは鈴鹿大会の2レースのみ。今年は 全戦有効で、2戦で獲得できるのは最大46 ポイントなので、タイトル争いはまだまだ 行方が見えない。首位の宮田選手と3番手 の野尻選手の差はわずか10ポイントだ。

もてぎ大会の後に、ローソン選手はダニ エル・リカルド選手の代役としてアルファ タウリからF1デビューを果たしている。そ んな若獅子を抑え切って、ニッポンの宮田 選手が初戴冠を果たすのか。あるいは、ロ ーソン選手がタイトル獲得を手土産に欧州 へ凱旋するのか。そして、野尻が中嶋悟選 手以来となる三連覇の偉業を達成するの か。今年も最終戦、JAFグランプリまで全 く目が離せない展開となりそうだ。

全日本スーパーフォーミュラ選手権(全9戦) Pos. No. ドライバー ①富士 ②富士 ③鈴鹿 ④AP ⑤菅生 ⑥富士 ⑦もてぎ ⑧鈴鹿 ⑨鈴鹿 合計 1 37 宮田莉朋 2+6 2+8 20 15 2+20 11 8 94 2 15 リアム・ローソン 1+20 6 8 2+20 6 2+20 1+0 86 3 1 野尻智紀 3+15 3+20 1+0 DNS 1+15 3 3+20 84 4 20 平川 亮 11 0 11 6 0 8 15 51 5 38 坪井 翔 0 15 2+15 3+11 4 0 0 50 6 5 牧野任祐 0 3 0 5 11 3+15 0 37 24
JAF

特集 カート/KART

JAFゴーカートライセンス 取得のススメ

モータースポーツを楽しむための 第一歩!

JAFが発給するドライバーライセンスの中で、もっとも取得の敷居が低い 『JAFゴーカートライセンス』。2022年1月の新設以来、ますます普及が進む このライセンスについて、今一度、取得の方法や楽しみ方をおさらいしていこう。

新しいライセンスを取得してモータースポーツの世界を大きく広げてみませんか?

PHOTO/長谷川拓司[Takuji.HASEGAWA]、石原康[Yasushi.ISHIHARA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]  REPORT/水谷一夫[Kazuo.MIZUTANI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

JAFゴーカートライセンスとは?どんなことができる?

ートには、大きく分けてふたつの種類がある。ひとつは 全日本選手権に代表されるレーシングカート。こちらは 徹底的に速さを追求した純レーシングマシンだ。もうひ とつはレーシングカートのデザインをベースに、安全装備をより充 実させた車体、そしてパワーが控えめで耐久性に優れたエンジンを 搭載したゴーカート。この“ゴーカート”という乗り物を広義的に捉 えるならば、サーキット走行やレースが楽しめる「レンタルカート」 もその中に含まれ、これから紹介してくJAFゴーカートライセンス は冒頭に挙げた2種類のカートの後者にカテゴライズされる。

そんなJAFゴーカートライセンスはゴーカート(レンタルカー ト)のユーザーを対象とするもので、2022年1月に新設された真新 しいドライバーライセンスだ。第1号取得者となったのは、スポ ーツ庁の室伏広治長官。以降、このライセンスは着々と普及が進 み、取得者は2023年7月末時点で673名(JAFスポーツ編集部 調べ)、取得できるコースは15施設に達している。

そしてJAFゴーカートライセンスは、年齢の制限なく取得する ことができることが大きな特長だ。取得の方法は、29ページにある コース一覧の中から都合のいい施設を選んで足を運び、インストラ クション(講習)を含めて20分以上の走行をするだけ。ライセンス はその場で手渡されるので、郵送などの手続きも必要ない。有効 期間は取得した年の翌々年12月31日まで。発給手数料は1,000 円(税込)。ただし、施設によって保険料など他の料金が発生する 場合があるので、この点は各施設へ事前にご確認いただきたい。

JAFゴーカートライセンスを取得すれば、JAFとの提携(届出)コ ースにて、その施設独自のコースライセンス取得が不要となる場 合や、走行前の講習免除、他コースへ気軽に走りに行くことがで きるなど、さまざまなメリットがあることを挙げておく。ライセ ンス所持者限定イベントへの参加も可能だ。

レーシングカートと異なり、ゴーカート(レンタルカート)ならマ シンやレーシングウェアの購入も、専門知識がいるマシン整備も、 マシンの保管や運搬も必要ない。本誌読者ならほぼモータースポ ーツライセンスの所持者であるが、例えばライセンスを持っていな い家族や友達を誘って……。誰でも手軽に楽しめるモータースポー ツの世界を、JAFゴーカートライセンスで開いてみようではないか。

カ 25

取得方法は簡単♪ JAFゴーカートライセンス発給までの流れ ースを訪れる際に、まず注意したいのは服装だ。レン タルカートの走行にはレーシングスーツは不要で、ヘ ルメットも大半の施設で貸し出しを行っているので、 基本的に手ぶらで行って走ることができる。ただし、安全のため に肌が露出しておらず、アクセル/ブレーキペダルを操作しやす い服装が求められるので、長袖長ズボンとスニーカーのようなス ポーツシューズを着用していきたい。服装規定はコースによって 異なるので、訪れるコースのホームページなどで確認しておこう。  他にも事前確認をしておきたい点がいくつかある。まずは、訪 問希望日にJAFゴーカートライセンスが取得可能かどうか。日に

ちによって、イベントや専有走行でライセンス発給に対応してい ない場合があるからだ。また身長や年齢などの走行資格の確認も 大切。併せて発給手数料以外に必要となるもの(各種料金、身分 証明書等)も問い合わせておこう。ライセンスに貼付する顔写真 (縦4cm×横3cm)1枚を持っていけばなおベターだ。

今回はJAFゴーカートライセンス取得の一例として、千葉県 八千代市のレンタルカート専用サーキット、ネオ・スピードパー クでライセンスの取得を体験させてもらったので、その実際の流 れを見てみよう。ライセンス取得に挑戦するのは、モータースポ ーツを始めてみたいという現役レースクイーンの葵成美さんだ。

1

ゴーカートライセンスの取得ですね?申込書に必要事項を 記入してください

快晴に恵まれ、カート走行には うってつけの日となった。ネオ・ スピードパークでのライセンス 取得にテンションあがりっぱな しの葵成美さんは、この後のカー トデビューに向けて、期待に心を 躍らせている。

クラブハウスの中にある事務所でまず は受付。ネオ・スピードパークでは、料金 の支払いはチケットの自動販売機で行 う。申し込み書に必要事項を記入して運 転免許証を提示すると、なんとバラクラ バ(フェイスマスク)とグローブがプレゼ ントされる。また走行回数に応じてサー ビスが受けられるスタン プカードもGET。

2

自動車の運転免許は持っているけど カートの運転は初めてなのでドキドキ! いろいろと教えてもらえるので安心♪ 私のような初心者でも大丈夫そう!

3

取得者:葵成美さん

スーパーGTやスーパー耐久でレースク イーンとして活躍中の葵成美さん。自動車運 転免許は持っているのだが、カートを含めサー キット走行は未体験だ。とは言え、もともと ビーチバレーなどのアウトドアスポーツを趣 味とするアクティブな性格で、カートにも興味 津々。この日はドレッシーなスカート姿でサー キットにやってきたのだが、サーキット走行用 の長袖シャツと長ズボンもぬかりなく用意し てきた。ヤル気は満々。さあ、葵さんのカート デビューの始まりだ。

4

「インストラクション」で は、カートの基本的な操 作方法、フラッグの意 味、スピンした際の対処 法、このコース特有の 注意点などがスタッフ から分かりやすく説明

走行前にはカートの操作方法、 コースで使われる信号旗の種類、 走行中の注意点などを学びます

さっそく観覧スタンド に上ってコースを チェック。葵さんは早 くもワクワクの表情 だ。この日は平日だっ たのだが、ネオ・スピー ドパークには多くの人 が走行にやってきて おり、かなりの賑わい を見せていた。

される。
ゴーカートライセンスを取得するために 千葉のネオ・スピードパークに来たヨ

インストラクションが終わると、いざコースへ。ネオ・スピードパークでは上着やズ ボンの無料貸し出しも行っており、葵さんは持参のシャツより走りやすそうなジャン パーをお借りして準備万端だ。

周回を重ねていくうちに慣れたのか、 カートの面白さが分かった気がします♡

数周してコースとマシンに 慣れてきたところで、前後 の位置を入れ替え、葵さん は自身のペースでタイム短 縮のチャレンジ。やがて チェッカー。本来はライセ ンス取得の走行は3分だ が、今回は特別に6分へ拡 大してもらい、サーキット 走行初体験は終了した。

もっとたくさん走りたかったな~。 ゴーカートの魅力にハマりそう!?

後半の3周はタイムが少しずつ縮んだね 走り込めばもっと上達していきそう!

ライセンスカードとパウチ用のフィルム、ラップタイムを記したシートをも らって終了。カートドライバーの仲間入りを果たした葵さんは「ライセンス 取得は簡単でした。ぜひまた乗りたいです」と語った。 5 6 7 8 9 10 !!

コースに出る前にカートの乗り方や 操作方法をおさらいです

走行担当スタッフから「最初はここに足を乗せて……」とマシンの乗り方を教 わって、シートに着座。背中の後ろにクッションを入れてペダル位置を調整し、 安全上の注意点を受けると、いよいよコースインだ。

全日本カート選手権EV部門に 参戦中の川福健太選手が 先導してくれたよ

皆さんにもオススメです!と~っても簡単なので

この日は特別に、ネオ・スピードパークをホームコースとする全日本ドライバーの 川福健太選手が一緒に走行。不慣れな葵さんのために初めは川福選手の先導で走 行。「乗用車よりハンドルが重いです」と葵さん。

ついに私も ゴーカートライセンスを

ヘルメットを脱ぐや「楽しかったー!」と笑顔が弾けた葵さん。最初は64秒台のラッ プタイムだったのだが、走行時間が終わるころには10秒以上もタイムを短縮して、川 福講師から「初めてにしては立派」とお褒めの言葉が。

取材協力:ネオ・スピードパーク 住所:千葉県八千代市島田台1167 電話:047-457-0855

http://www.neospeedpark.com

アクセル全開区間の長いストレートや高速S字区間を持つコースレイアウトで、爽快なハイ スピードドライブが楽しめるネオ・スピードパーク。実は、全国でもっともJAFゴーカートラ イセンスの発給数が多いサーキットでもある。ここでは走行に運転免許証が必要なのだが、 JAFゴーカートライセンスの取得希望者なら身長制限さえクリアすれば走行可能で、それがラ イセンス取得を後押ししたようだ。

空調の効いた快適なクラブハ ウスにはF1マシンのミニカーな どが多数飾られ、雰囲気抜群!  コースはアップダウンもあって 面白いと評判だ。

G E T 。

JAFゴーカートライセンスは

AFゴーカートライセンスは、ネオ・スピードパークの 場合のようにインストラクションと体験走行で取得す る形だけでなく、レース形式のイベントに参加するこ とで取得できるケースもある。埼玉県本庄市の本庄サーキットで 7月23日、全日本カート選手権との併催で行われた『390ccスプ リントエキシビションレース』も、そんなイベントのひとつだ。

このイベントはJAFゴーカートライセンスが誕生して間もない 2022年5月に第1回が行われ、普段のレンタルカートレースでは 使用されていないフルコースを使ってイベントを実施。9名のドラ イバーがライセンスを取得した。これはJAFゴーカートライセン

ス取得できるイベントとしては第1号となった。

そして今年、本庄で第2回のイベントが開催。新規にライセン スを取得した人はいなかったのだが、第1回のこのイベントでラ イセンスホルダーとなった島村祐介さんが堂々のウィナーとなっ た。「5年前にふと思い立ってレンタルカートに乗り始めました。 2022年のこのイベントが楽しかったので、今年も参加すること にしました」という島村さん。元々はコリン・マクレー選手に憧 れるラリーファンだったのだが、現在はJAFゴーカートライセ ンスを手に各地のサーキットでレンタルカートレースやスポーツ 走行を楽しむ日々なのだという。

全日本カート選手権の華やかなレースの合間に、同じコースでレンタルカートによるレースを楽し んで、さらにJAFゴーカートライセンスも取得可能。一般的なレンタルカートレースとはひと味違っ た特別感のあるイベントだ。タイムトライアル→予選ヒート→決勝とレースフォーマットも本格的。

全日本選手権と同じ表彰台で表彰を受けて、ライセンスもその場で手渡される。

[2023 年 7 月15 ~ 16日開催]富士スピードウェイ 夏祭り in FUJI MOTORSPORTS FOREST  全日本スーパーフォーミュラ選手権開催期間中の富士スピードウェイでは、グランドスタンド裏に あるイベント広場で子供を対象としたEVカート乗車イベントが実施された。マシンの操作方法や ルールを学ぶ座学、実車に乗って走行の実技がセットとなっている催しだ。サーキットで行われた レースの興奮そのままに、参加した子供たちは大喜びでEVカートを楽しんでいた。

JAFゴーカートライセンス取得者のその後の楽しみ方

AFゴーカートライセンスは、誰でも簡単に取得でき るライセンスであると同時に、ゴーカートドライバー の証明書でもある。本庄サーキットの『390ccスプリ ントエキシビションレース』でこのライセンスを取得した島村さ んは、「ちょっと優越感がありますね」と口にした。加えて「講習 でマナーを学んでから走れるので安心感があります」と語る。

ゴーカートライセンスが自分とサーキットをつないでくれる

普段はカートとまったく関 係のないことをやっているん ですが、いつも財布の中に 入っているこのゴーカートラ イセンスを目にすると、また カートに乗ろうという気持ち が自然と沸いてきます。ライ センスを取得して1年経つん ですが、今はこのライセンス が自分とカートとサーキット をつなぐアイテムになってい ます。

レンタルカートで走れるコースには、レンタルカート専用のサ ーキットもあればレーシングカートがメインのサーキットもあ り、コースの特色はさまざま。JAFゴーカートライセンスを取得 した後は、ライセンスカードを手にいろいろなコースへ出かけて みよう。きっと新たな出会いや発見があるとともに、サーキット 走行の楽しみの幅が広がっていくはずだ。

互いを信頼して安全に出会いカートを楽しむための証明書になる

レンタルカートは普段知り 合う機会のないような人たち とも仲良くなれるし、人生を 豊かにしてくれるものです。 それだけに、このゴーカート ライセンスを取得してルール やマナーを学べば、みんなで 安全に走れますし、これが普 及すればカートが安全で楽し いモータースポーツだという ことの認知も広がっていくと 思います。

“イベント”でも取得できる!
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[2023 年 7 月23日開催]本庄サーキット
390cc スプリントエキシビションレース
川福健太選手 島村祐介さん 28

JAFゴーカートライセンス Q&A

取得するには事前にどんな準備が必要?

AQA

前述で触れたように、レンタ ルカートは基本的に手ぶら でサーキットに行って走ることがで きます。ただし服装は、長袖長ズボン とスポーツシューズの着用がほぼ必 須だとお考えください。また、オイル などで多少汚れても構わない服装で 取得に行くことをおススメします。

どんなゴーカートに乗れるの?

ゴーカート(レンタルカート)は、レーシングカートに比べてエ ンジン等のパフォーマンスを抑えたものとなっています。た だし、サーキット走行の 醍醐味を十分に味わえるだけの 性能を備えています。また、コー スによっては子供用のゴーカー トも用意されています。

Q

AJAFの会員にならないと取得できない?

JAFゴーカートライセンスを取得するのに、JAFに入会する 必要はありません。ただし、ゴーカート(レンタルカート)を手 始めに先々さまざまなモーター スポーツに挑戦してみたいとお 考えなら、モータースポーツラ イセンス取得の際に備えてJAF に入会しておいたほうが良いで しょう。

AQ取得にはどのくらい費用がかかる?

JAFゴーカートライセンスの発給手数料は、どのコースでも 1,000円(税込)です。ただしコースによって、これ以外に別名 目の費用がかかる場合 や、コース独自のライセンスの同 時取得が必要な場合があります ので、あらかじめ確認しておくと 安心でしょう。

これまでどのくらいの人数が取得した?

運転免許がない子供でも大丈夫? Q レーシングカートのライセ ンスは8歳にならないと取 れないのですが、JAFゴー カートライセンスには年齢制限がな く、何歳でも取得することができま す。ただし、コースによって年齢や身 長の制限を設けている場合があるの で、各施設に確認してください。

Q 2023年7月末で、673名(JAFスポーツ編集部調べ)がJAF ゴーカートライセンスを 取得しました。とくに10 ~ 20代の若年層の取得者が多い ですが、中には80代の方もいらっ しゃるようです。またサーキット 以外に、取得可能なイベントで発 給された方も多いです。

JAFゴーカートライセンスが取得可能な全国コース一覧

1 スピードパーク新潟

新潟県胎内市松波1013-36

2 スポーツランド長岡

新潟県長岡市大積町

3丁目字須田乙1154

3 カートランドBANDAI

栃木県那須郡那須町高久丙414-2

4 フェスティカサーキット栃木

栃木県栃木市柏倉町1275-1

5 クイック水戸(イオンタウン水戸南)

茨城県東茨城郡茨城町長岡3480-101

6 オートランドテクノ

茨城県石岡市半ノ木11210-1

7 本庄サーキット

埼玉県本庄市児玉町高柳883

8 クイック羽生

埼玉県羽生市桑崎275-1

9 F1リゾート秩父

埼玉県秩父市久那637-2

10 ネオ・スピードパーク

千葉県八千代市島田台1167 11 中井インターサーキット

神奈川県足柄上郡中井町境1023

12レインボースポーツ カートコース

三重県桑名市志知3918-1

13 琵琶湖スポーツランド

滋賀県大津市伊香立下龍華町673-1

14 神戸スポーツサーキット

兵庫県神戸市西区伊川谷布施畑917 15 柳井スポーツランド  山口県柳井市伊陸

Q
3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 14 15 1 2 13
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A A
30

INFORMATION from JAF

公示

日付 公示No. タイトル 2023年6月30日 2023-WEB048

モータースポーツ公示・JAFからのお知らせ(WEB)一覧 (2023年6月30日~2023年9月26日)

2023年日本ダートトライアル選手権の開催日程および開催場所変更について 2023年7月7日 2023-WEB049

2023年日本ダートトライアル選手権のオーガナイザー追加について 2023年7月7日 2023-WEB050

2024年全日本ジムカーナ選手権2競技会連続開催(ダブルヘッダー)に係る試行項目および説明会の開催について 2023年7月13日 2023-WEB051

2023年JAF地方ラリー選手権競技会の名称変更について 2023年7月13日 2023-WEB052

2023年日本ダートトライアル選手権の中止について 2023年7月28日 2023-WEB053

2023年JAF地方ラリー選手権競技会の開催日程の変更について 2023年8月3日 2023-WEB054

国内スポーツカレンダー登録規定の一部改正について 2023年8月3日 2023-WEB055

2024年日本サーキットトライアル選手権規定の制定 2023年8月3日 2023-WEB056

2023年8月3日 2023-WEB057

2024年FIA国際スポーツカレンダー登録申請一覧

2024年日本カート選手権規定の制定及びJAFカートカレンダー登録規定の改正 2023年8月8日 2023-WEB058

2023年8月9日 2023-WEB059

2023年8月14日 2023-WEB060

2024年日本ラリー選手権規定の制定

2024年全日本カート選手権カレンダー登録申請に係る説明会の開催について

2023年日本ダートトライアル選手権の開催日程および開催場所変更について 2023年8月16日 2023-WEB061

2023年8月17日 2023-WEB062

2023年8月21日

2023-WEB063

2023年 8月23日 2023-WEB064

2023年全日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権統一規則第2条2)における参考タイヤ銘柄について(2023年8月16日更新)

2024年全日本ジムカーナ選手権カレンダー/2024年全日本ダートトライアル選手権カレンダー

2024年JAFカップオールジャパンジムカーナカレンダー

2024年JAFカップオールジャパンダートトライアルカレンダー登録申請の再募集について

2023年 8月24日 2023-WEB065 D1グランプリシリーズのJAFカップ付与について

2023年 8月29日 2023-WEB066 ロールケージ公認申請一覧表

2023年 8月31日 2023-WEB067

2023年 9月4日 2023-WEB068

2023年 9月5日 2023-WEB069

2023年 9月6日 2023-WEB070

2023年 9月12日 2023-WEB071

2023年JAFメディカル部会開催日程の一部変更について

2023年JAF地方ラリー選手権競技会の開催名称および日程の変更について

2024年JAF国内競技車両規則の制定について

2023年全日本ラリー選手権競技会の名称変更について

2024年日本レース選手権規定の制定について

2023年 9月13日 2023-WEB072 2024年「JAFモータースポーツ専門部会」委員候補者の公募について 2023年 9月15日 2023-WEB073 2024年以降の FIA KARTING ACADEMY TROPHYへの推薦について 2023年 9月21日 2023-WEB074 2024年国際Eライセンス更新要件に係る特例措置 2023年9月25日 2023-WEB075 モータースポーツ審査委員会裁定について 2023年9月26日 2023-WEB076

2023年JAF地方ラリー選手権競技会の開催中止について

JAFからのお知らせ

日付 タイトル

2023年 7月3日 モータースポーツ公示・JAFからのお知らせ一覧(2023年6月1日~6月30日) 2023年 7月4日 スポーツ庁・オープンイノベーション推進プログラムのコラボレーションパートナーとして、JAFモータースポーツがエントリー 2023年 7月13日 SUPER FORMULA Rd.6富士「夏祭り in FUJI MOTORSPORTS FOREST」にて ゴーカートライセンスの取得ができます!

2023年 8月1日 モータースポーツ公示・JAFからのお知らせ一覧(2023年7月1日~7月31日)

2023年 8月21日 ドライバー・オブ・ザ・イヤー 2023 実施概要発表!

2023年 9月1日 モータースポーツ公示・JAFからのお知らせ一覧(2023年8月1日~8月31日)

2023年 9月1日 JAF認定eスポーツイベントが今年も開催!次世代スターの誕生を見逃すな! 2023年 9月15日 2023年ライセンス所持者を対象としたプレゼントキャンペーンを開始しました ※上記公示・お知らせ(WEB)一覧の詳細は、JAFモータースポーツサイト(https://motorsports.jaf.or.jp/)内の「>公示・JAFからのお知らせ」で閲覧することができます。

2023年JAFモータースポーツ表彰式のご案内

【日時】2023年11月24日(金)

【場所】グランドニッコー東京 台場 〒135-8701 東京都港区台場2-6-1

【ご招待者】

1. JAFモータースポーツ名誉委員

2. JAFモータースポーツ特別賞受賞者

ー2023年JAFモータースポーツ賞典規定に基づき授与ー

3. FIAフォーミュラ4選手権 1位~6位ドライバー・チームチャンピオン

4. JAFカップオールジャパンジムカーナ チャンピオン

5. JAFカップオールジャパンダートトライアル チャンピオン

6. JAFカップオールジャパンドリフト チャンピオン

7. 全日本ジムカーナ選手権 1位~6位ドライバー

8. 全日本ダートトライアル選手権 1位~6位ドライバー 9. 全日本ラリー選手権 1位~6位ドライバー・コドライバー 10.全日本カート選手権 1位~6位ドライバー 11. 全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権  1位~6位ドライバー・チームチャンピオン・エンジンチューナーチャンピオン 12. FIAインターナショナルシリーズ スーパーGT GT300  1位~3位ドライバー・チームチャンピオン 13. FIAインターナショナルシリーズ スーパーGT GT500

1位~3位ドライバー・チームチャンピオン 14. 全日本スーパーフォーミュラ選手権

1位~6位ドライバー・チームチャンピオン・メカニックチャンピオン

※JAFから招待状をお送りした方のみご入場いただけます。上記は変更となる場合もございます。詳細は招待状にてご確認ください。

2023年JAF地方選手権表彰式開催予定一覧表(開催日順)

地域 日付 開催場所

北海道本部 2023年12月2日(土) 未定

東北本部 2023年12月17日(日)

ホテルニュー水戸屋(宮城県仙台市太白区)

四国本部 2024年1月21日(日) JRホテルクレメント高松(香川県高松市浜ノ町)

九州本部 2024年1月21日(日) ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイ(熊本県熊本市中央区)

中部本部 未定 鈴鹿サーキットホテル(三重県鈴鹿市稲生町)

中国本部 2024年2月10日(土) ホテル広島サンプラザ(広島県広島市西区)

関東本部 2024年2月11日(日) ホテル椿山荘東京(東京都文京区関口) 関西本部 2024年2月11日(日) ANAクラウンプラザホテル大阪(大阪府大阪市北区)

※左記の内容は変更となる場合があります。式 典の詳細や開催方法については各JAF地方本 部・支部にてご確認ください。

※左記の内容は2023年9月26日までの情報を 元にしております。

モータースポーツ審議会の委員である中村善浩氏と、全日本ラリー選手権審査委員グループのリーダーである七 田定明氏が逝去されました。  故・中村氏は、これまで JAF 専門部会委員を歴任され、JMRC 全国協議会の委員長も務め、JAF 加盟クラブ「モー タースポーティングクラブラスカル(RASCAL)」の代表として、スピード競技における数々の全日本選手権大会を主 催されました。 また、故・七田氏は、JAF 専門部会委員や全日本選手権審査委員を歴任され、JAF 加盟クラブ「グラベルモーター スポーツクラブ(GRAVEL)」の代表として、数々のラリー競技における全日本選手権大会

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を主催されました。 これまでご尽力いただいたお二人に対し、謹んで哀悼の意を表します。 一般社団法人 日本自動車連盟 訃報
故・七田定明氏
故・中村善浩氏

2024年のライセンス更新のご案内

月 1 日から更新が始まります

メディカルカード取得方法について  2023年分よりFIA付則L項の改定に伴い、メディカルカードの内容および取 得方法が変わりました。詳細はJAFモータースポーツサイト「各種申請書」をご 確認ください。

モータースポーツライセンス(以下「ライセンス」と言いま す。)の更新手続きは、11月1日(水)から受付を開始します。

新しい年のモータースポーツ活動へ向けて、余裕を持っ て更新手続きを行ってください。

現在、支部窓口の待ち時間短縮や混雑による密回避を目 的としたご来店時の事前予約サービスを実施しており、ご 来店目的に合わせた専門スタッフが事前に準備のうえ対 応させていただいております。ご予約の際は最寄りの支部 に電話でご連絡ください。

ライセンス申請書は本誌に綴じ込んであります。追加で 必要な場合は、JAFモータースポーツサイト「各種申請書」 よりダウンロード可能です。

ライセンスが発給されるまで

~ライセンス作製の流れ~

申請者

①申請

②仮ライセンス発給 ③写真入り ライセンスを送付

JAF

※②発給日から60日間有効 ※①から③までは約1ヵ月ほどかかります。更新のピーク時にはこれ以上日数がか かる場合がありますのでご了承ください。

更新手続きは、JAFマイページや、 JAF各支部で行うことができます。

詳しい手続き方法は、34ページの「四輪ライセンスの更新」、 35ページの「カートライセンスの更新」をご覧ください。

※下記のような場合は「JAFマイページ」からの 更新はできませんのでご注意ください。

●国際Aまたは国際Bライセンスの更新 ●18歳未満の方のライセンス更新 ●ライセンス写真の変更や婚姻等の理由により  ライセンスの表示氏名の変更を希望される場合 など… 詳しくは36ページに記載のお近くのJAFへお問い合わせください。

予告2024年ライセンス更新をされた皆様に、 オリジナルステッカーをプレゼント

2024年写真入りライセンス発送時に同封させていただく予定です。 数に限りがございますので、予めご了承ください。

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ライセンスをラクラク更新

JAFマイページとは、お得な情報の発信や、各種お手続き をウェブ上でお申込みいただけるサイトとなります。すでに 750万人を超える登録があり、JAF会員のうち約3人に1人 の方が登録されております。モータースポーツライセンスの 更新をはじめ、住所変更、家族会員の追加、会費の自動振替

登録など様々なお手続きを行うことができます。お手続きも 簡単なことから、昨年度は半数近くの方がJAFマイページを 通してモータースポーツライセンスの更新をされておりま す。更新はクレジットカードでのお支払いが可能です。この 機会にぜひご登録ください。

JAFマイページへのアクセスはこちらから

JAFマイページが未登録の方は、簡単な登録が必要となります。

お手元に会員番号が分かるものをご用意いただき、ログイン画面から新規登録に進み、案内に沿ってご登録ください。

※法人会員はJAFマイページの登録はできません。

登録完了後、すぐにライセンス更新等の各種サービスがご利用になれます!

ライセンスの更新手続きは、JAFマイページ内 「モータースポーツライセンス情報・更新」のページへアクセスしてください。 仮ライセンスの印刷もできます。

マイページでできる手続き等

①モータースポーツライセンスの 更新手続き

② JAF会員の継続・ 家族会員入会手続き

③会員登録情報の確認 ④住所・電話番号の変更

⑤年会費自動振替(自動更新)の 登録変更

などなど、便利なサービスを ご利用ください!!

JAFマイページに登録すると…

公式アプリで スマホが JAF会員証として使えます!

※スマートフォンのバージョンによって ご利用になれない場合がございます。

「JAFスマートフォンアプリ」

① AndroidはGoogle Playから、iOS はApp Storeから「JAFスマート フォンアプリ」をダウンロード。

②ログインIDとパスワードでログイ ンをしてください。

・ライセンス更新料、JAF継続会費および家族会員会費のお支払 方法は、ご本人名義のクレジットカードのみとなります。

・クレジットカードをお持ちでない方は、お手数ですが窓口または 郵送にてライセンスを更新してください。

ダウンロードは こちら↓

・更新条件の確認が必要な国際Aまたは国際Bライセンスの更新、 18歳未満の方のライセンス更新、およびライセンス写真の変更ま たは婚姻等の理由によりライセンスの表示氏名の変更を希望され る場合は、お手数ですが窓口または郵送にてお手続きください。

!! 「 」
に登録しよう! 必ずお読みください
https://www.jaf.jp/
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JAFマイページ 検索 無 料

四輪ライセンスの更新

●四輪ライセンス取得資格

競技許可証および公認審判員許可証は「JAFスポーツ資格登録規定」および「自動車競技に関する申請・登録等手数料規定」に基づき発給されます。詳細はJAF モータースポーツサイトに記載の当該規定をご参照ください。

●更新方法

1)JAF各地方本・支部窓口または郵送(現金書留)による更新 ※JAF各地方本・支部窓口の住所・電話番号は36ページに記載しております。

2)JAFマイページによる更新

JAFマイページにご登録いただければ、インターネットでライセンス更新ができます。お手続き方法については33ページをご覧ください。なお、お支払い方法は ご本人名義のクレジットカードのみとなります。

※競技会の出場実績を確認する必要がある種類のライセンス、および18歳未満の方のライセンスについては、インターネットでの更新手続きは行っておりません。また、上級や 推薦を伴う申請についても、お手数ですが1)の方法にてお手続きくださいますようお願いいたします。

●更新に必要なもの ※マイページによる更新の場合は3.4.のみ

1.ライセンス申請書 本誌に綴じ込んであるライセンス交付申請書を使用してください。

2.顔写真(1枚)

参加者許可証のみの 申請の場合は不要

縦4cm×横3cm、無帽、無背景、上半身のもので、申請前6 ヵ月以内に撮影した鮮明な写真を申請書の所定位置に貼付してください。 (お手持ちのライセンスに使用した写真と同じでよろしければ、写真は不要です。) ・必ず指定のサイズの写真を貼付してください。サイズが異なる場合、使用できないことがあります。 ・デジタルカメラの画像を使用する場合は、必ず写真専用用紙に印刷してください。

3.JAF個人会員 ライセンス更新に際しては、JAF個人会員が有効期限内であることが必要条件ですので、JAF個人会員の有効期限が切れているとライ センスの更新手続きが行えません。ご本人のJAF個人会員の有効期限をご確認くださいますようお願いします。万一、JAF個人会員の 有効期限が切れている場合には、速やかに継続手続きを行ってください。継続手続きの方法等については、36ページに記載のお近くの JAFへお問い合わせください。

4.ライセンス許可証料 下記の表の通りです。

5.出場記録カード または役務記録カード

上級更新、または国際A、Bライセンスを更新する場合、実績を確認するために必要です。(エントラントは不要)

●四輪ライセンス許可証料(カートライセンスの料金は35ページをご覧ください)

許可証の種類 許可証料

国内B 3,100円

国内A 4,100円

国際C-R 10,500円

国際C-C 10,500円

国際B 12,700円

国際A 14,800円

許可証の種類 許可証料 参 加 者 国内 6,400円 国際 12,700円 審 判 員 3級 3,100円 2級 4,100円 1級 5,100円

資格併有の場合 1種目につき 500円

●四輪ライセンスの交付申請書(更新)の記入について

<許可証料の計算方法> *公認審判員許可証を2種目以上併有する場合は、最上級 の許可証料に、2種目めより1種目につき500円ずつ加算 されます。

(例)コースA1級と計時A2級の場合:5,100円+500円 =5,600円  併有する許可証が同じ級(例:技術A1級とコースB1級 等)の場合でも計算方法は同様です 。 *競技運転者、公認審判員、競技参加者を併有している場 合には、それぞれ左記の許可証料が必要です。

申請書の枠内に正確かつ明瞭にご記入いただき、記入漏れのないようご注意ください(未記入項目や、判読できない文字があると、ライセンスが発給でき ない場合があります)。37ページに記入例を掲載していますので、ご参照ください。

項目 注意事項等

会員No.

登録クラブ・団体の 所属証明欄

申請者本人の会員(ライセンス)番号を記入。

自分の所属しているJAF登録クラブ(または団体)(複数所属している場合は、その主たるクラブ1 ヵ所)の名称、略称を記入し、当該 クラブ(または団体)の登録印を捺印。本証明欄については、2023年の登録印は、2024年3月までの申請に使用できます。JAF登 録クラブ(または団体)に所属していない場合は不要。

申請者氏名 氏名とその上段にカタカナでフリガナを記入。

連絡先電話番号 ※ 平日昼間、連絡がとれる電話番号を記入。 メールアドレス 連絡がとれるメールアドレスを記入。

郵便番号 ※ 現住所の郵便番号(7桁)を記入。

現住所 ※ 都道府県名を必ず記入し、その上段にカタカナでフリガナも記入。マンション・アパート・寮名・部屋番号等も必ず記入。 写真の変更 ※ ライセンスに使用する写真を変更する場合「する」を○で囲み、本申請書に写真を貼付してください。

自動車運転免許証 ※ 運転免許証番号を記入。

ライセンス表記名

国際・国内参加者はカタカナまたはローマ字(国際は必ずローマ字)で記入。国際競技運転者はローマ字、国内競技運転者でローマ 字表記希望の場合も記入。

参加者の代表者名 国際・国内参加者はカタカナまたはローマ字(国際は必ずローマ字)で記入。

種類およびクラス 申請書の該当するクラスおよび種類に○。(37ページの記入例は国内A、計時A2級、技術B3級を同時に年度更新する場合のもの。) 写真貼付欄 氏名、ライセンス番号、申請種別も、忘れずに記入。

写真 縦4cm×横3cm、無帽 無背景 上半身のものを1枚。申請前6 ヵ月以内に撮影のこと。ライセンス申請書の下段にある所定の位 置に貼付。(前年のライセンスに使用した写真を再使用する場合は、写真の貼付は不要です。) その他 競技運転者と公認審判員の両方を申請する場合でも申請書は1枚で可。

ご記入内容を訂正する場合は、取消線を引き訂正部を押印(またはサイン)の上、書き直しをしてください。 ※の箇所は更新申請の場合、変更がなければ記入不要です。

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カートライセンスの更新

●カートライセンス取得資格

カートドライバーライセンスおよびカートオフィシャルライセンスは「カートライセンス発給規定」および「カート競技に関する申請・登録等手数料規定」に基づき 発給されます。詳細はJAFモータースポーツサイトに記載の当該規定をご参照ください。

2023年から2024年への国際Eライセンスの更新要件は免除いたします。詳しくはJAFモータースポーツサイト「公示・JAFからのお知らせ」をご確認ください。

●更新方法

1)JAF各地方本・支部窓口または郵送(現金書留)による更新 ※JAF各地方本・支部窓口の住所・電話番号は36ページに記載しております。

2)JAFマイページによる更新

JAFマイページにご登録いただければ、インターネットでライセンス更新ができます。お手続き方法については33ページをご覧ください。なお、お支払い方法は ご本人名義のクレジットカードのみとなります。

※競技会の出場実績を確認する必要がある種類のライセンス、および18歳未満の方のライセンスについては、インターネットでの更新手続きは行っておりません。また、上級や 推薦を伴う申請についても、お手数ですが1)の方法にてお手続きくださいますようお願いいたします。

●更新に必要なもの ※マイページによる更新の場合は3.4.のみ

1.ライセンス申請書

2.顔写真(1枚)

エントラントのみの 申請の場合は不要

本誌に綴じ込んである、ライセンス交付申請書を使用してください。

縦4cm×横3cm、無帽、無背景、上半身のもので、申請前6 ヵ月以内に撮影した鮮明な写真を申請書の所定位置に貼付してください。

(お手持ちのライセンスに使用した写真と同じでよろしければ、写真は不要です。) ・必ず指定のサイズの写真を貼付してください。サイズが異なる場合、使用できないことがあります。

・デジタルカメラの画像を使用する場合は、必ず写真専用用紙に出力してください。

3.JAF個人会員 ライセンス更新に際しては、JAF個人会員が有効期間内であることが必要条件ですので、JAF個人会員の有効期限が切れているとライ センスの更新手続きが行えません。ご本人のJAF個人会員の有効期限をご確認くださいますようお願いします。万一、JAF個人会員の 有効期限が切れている場合には、速やかに継続手続を行ってください。継続手続の方法等については、36ページに記載のお近くのJAF へお問い合わせください。

4.ライセンス許可証料 下記の表の通りです。

5.出場記録カード

または役務記録カード

上級更新をする場合、実績を確認するために必要です。

(エントラントは不要)

●カートライセンス許可証料(四輪ライセンスの料金は34ページをご覧ください)

許可証の種類 許可証料

ジュニアB 1,500円

ジュニアA 2,100円

国内B 3,100円

国内A 3,600円

国際G 6,400円

国際F 6,400円

国際E 8,400円

許可証の種類 許可証料 国内 6,400円 国際 12,700円

3級 3,600円 2級 4,600円 1級 5,900円

資格併有の場合 1種目につき 500円

●カートライセンスの交付申請書(更新)の記入について

<許可証料の計算方法> *オフィシャルライセンスを併有する場合は、1種目につ き500円ずつ加算されます。

(例)コース1級と計時2級の場合:5,900円+500円= 6,400円

併有する許可証が同じ級(例:技術1級とコース1級) の場合でも計算方法は同様です。

*ドライバー、オフィシャル、エントラントライセンスを併 有している場合には、それぞれ左記の許可証料が必要 です。

申請書の枠内に正確かつ明瞭にご記入いただき、記入漏れのないようご注意ください(未記入項目や、判読できない文字があると、ライセンスが発給でき ない場合があります)。37ページに記入例を掲載していますので、ご参照ください。

項目 注意事項等

会員No.

登録クラブ・団体の

所属証明欄

申請者本人の会員(ライセンス)番号を記入。

自分の所属しているJAF登録クラブ(または団体)(複数所属している場合は、その主たるクラブ1 ヵ所)の名称、略称を記入し、当該 クラブ(または団体)の登録印を捺印。本証明欄については、2023年の登録印は、2024年3月までの申請に使用できます。JAF登 録クラブ(または団体)に所属していない場合は不要。

申請者氏名 氏名とその上段にカタカナでフリガナを記入。

連絡先電話番号 ※ 平日昼間、連絡がとれる電話番号を記入。

メールアドレス 連絡がとれるメールアドレスを記入。

郵便番号 ※ 現住所の郵便番号(7桁)を記入。

現住所 ※ 都道府県名を必ず記入し、その上段にカタカナでフリガナも記入。マンション・アパート・寮名・部屋番号等も必ず記入。

写真の変更 ※ ライセンスに使用する写真を変更する場合「する」を○で囲み、本申請書に写真を貼付してください。

ライセンス表記名 国際・国内エントラントはカタカナまたはローマ字(国際は必ずローマ字)で記入。国際ドライバーはローマ字、国内ドライバーで ローマ字表記希望の場合も記入。

エントラントの代表者名

国際・国内エントラントはカタカナまたはローマ字(国際は必ずローマ字)で記入。

種類およびクラス 申請書の該当するクラスおよび種類に○。(37ページの記入例は国内A、技術3級を同時に年度更新する場合のもの。) 写真貼付欄 氏名、ライセンス番号、申請種別も、忘れずに記入。

写真 縦4cm×横3cm、無帽 無背景 上半身のものを1枚。申請前6 ヵ月以内に撮影のこと。ライセンス申請書の下段にある所定の位 置に貼付。(前年のライセンスに使用した写真を再使用する場合は、写真の貼付は不要です。)

その他 ドライバーライセンスとオフィシャルライセンスの両方を申請する場合でも申請書は1枚で可。 ご記入内容を訂正する場合は、取消線を引き訂正部を押印(またはサイン)の上、書き直しをしてください。 ※の箇所は更新申請の場合、変更がなければ記入不要です。

ドライバー オフィシャル エント ラント 35

●ライセンス申請の受付場所

ライセンス更新のために必要な書類等は、お近くの下記JAF支部へ持参または郵送してください。掲載のない窓口での受付は行っておりませんのでご注 意ください。

【窓口受付】

営業時間10:00 ~ 17:00

土・日・祝日・年末年始(12月30日(土)~1月3日(水))は休業となります。

地方本部 支部 住所および電話番号

北海道 札幌支部 (北海道本部)

〒062-0051 札幌市豊平区月寒東1条15-8-1

TEL.011-857-7155

函館支部 〒041-0824 函館市西桔梗町589-21 TEL.0138-49-4534

旭川支部 〒070-8061 旭川市高砂台1-1-1 TEL.0166-69-2111

釧路支部 〒084-0906 釧路市鳥取大通8-2-11 TEL.0154-51-2167

帯広支部 〒080-0038 帯広市西8条北1-14-1 TEL.0155-26-0260

北見支部 〒090-0838 北見市西三輪1-657-3 TEL.0157-66-5220

東北 宮城支部 (東北本部) 〒984-8539 仙台市若林区卸町3-8-105 TEL.022-783-2826

青森支部 〒030-0955 青森市大字駒込桐ノ沢9-12 TEL.017-765-5255

岩手支部 〒020-0834 盛岡市永井12-18-1 TEL.019-637-7110

福島支部 〒960-8165 福島市吉倉字谷地12-1 TEL.024-546-0022

秋田支部 〒010-0942 秋田市川尻大川町2-1 TEL.018-864-8492

山形支部 〒990-2402 山形市小立2-1-59 TEL.023-625-4520

関東 東京支部 (関東本部) 〒105-8562 港区芝2-2-17 TEL.03-6833-9140

新潟支部 〒950-0965 新潟市中央区新光町11-6 TEL.025-284-7664

長野支部 〒381-0034 長野市高田675-2 TEL.026-226-8456

茨城支部 〒310-0852 水戸市笠原町1248 TEL.029-244-2660

栃木支部 〒321-0166 宇都宮市今宮2-4-6 栃木県自動車会館内 TEL.028-659-3231

群馬支部 〒370-0071 高崎市小八木町2040-2 TEL.027-364-5155

埼玉支部 〒338-8531 さいたま市中央区下落合4-1-1 TEL.048-840-0025

千葉支部 〒260-8565 千葉市中央区中央港1-16-19 TEL.043-301-0800

神奈川支部 〒221-8718 横浜市神奈川区片倉2-1-8 TEL.045-482-1255

山梨支部 〒400-0047 甲府市徳行3-14-25 TEL.055-224-9977

中部 愛知支部 (中部本部) 〒466-8580 名古屋市昭和区福江3-7-56

TEL.052-872-3685

富山支部 〒939-8064 富山市赤田791-3 TEL.076-425-5550

石川支部 〒921-8062 金沢市新保本4-8 TEL.076-249-1252

福井支部 〒918-8236 福井市和田中2-105 TEL.0776-25-2000

岐阜支部 〒500-8356 岐阜市六条江東2-4-11 TEL.058-277-1121

静岡支部 〒422-8517 静岡市駿河区曲金6-4-8 TEL.054-654-1515

三重支部 〒514-0815 津市藤方字中堰東666-8 TEL.059-222-2300

【郵送受付】

必ず「現金書留」にてお送りください。その際、封筒表面に「ライセンス 更新」と明記してください。

地方本部 支部 住所および電話番号

関西 大阪支部 (関西本部) 〒567-0034 茨木市中穂積2-1-5 TEL.072-645-1300

滋賀支部 〒520-2153 大津市一里山5-11-1 TEL.077-544-3300

京都支部 〒601-8134 京都市南区上鳥羽大溝町12 TEL.075-682-6000

兵庫支部 〒657-0044 神戸市灘区鹿ノ下通2-4-13 TEL.078-871-7561

奈良支部 〒630-8113 奈良市法蓮町383 TEL.0742-90-0081

和歌山支部 〒641-0007 和歌山市小雑賀640-3 TEL.073-421-5355

中国 広島支部 (中国本部) 〒733-8610 広島市西区庚午北2-9-3 TEL.082-272-9967

鳥取支部 〒680-0911 鳥取市千代水2-13 TEL. 0857-31-4433

島根支部 〒690-0011 松江市東津田町1092-1 TEL. 0852-25-1123

岡山支部 〒700-0051 岡山市北区下伊福上町17-23 TEL.086-250-0373

山口支部 〒753-0871 山口市朝田2094-1 TEL.083-921-7777

四国 香川支部 (四国本部) 〒760-0079 高松市松縄町1083-16 TEL.087-867-8411

徳島支部 〒770-0867 徳島市新南福島1-4-32 TEL.088-625-6511

愛媛支部 〒790-0062 松山市南江戸5-15-32 TEL.089-925-8668

高知支部 〒781-0088 高知市北久保19-28 TEL.088-882-0311

九州 福岡支部 (九州本部) 〒814-8505 福岡市早良区室見5-12-27 TEL.092-841-7731

佐賀支部 〒849-0921 佐賀市高木瀬西6-1149-5 TEL.0952-30-7000

長崎支部 〒850-0043 長崎市八千代町2-13 TEL.095-811-2333

熊本支部 〒861-8038 熊本市東区長嶺東6-30-30 TEL.096-380-9200

大分支部 〒870-0955 大分市下郡南5-3-12 TEL.097-567-7000

宮崎支部 〒880-0925 宮崎市本郷北方2696-9 TEL. 0985-52-4511

鹿児島支部 〒890-0072 鹿児島市新栄町2-12 TEL.099-284-0007

沖縄支部 〒901-2102 浦添市前田1-48-7 TEL.098-877-9225

※一部の支部の電話は地方本部のある支部へ転送される場合があります。 (転送費用はJAF負担) ※2023年9月29日現在の情報です。

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https://motorsports.jaf.or.jp/ <カートライセンス交付申請書記入例> <四輪ライセンス交付申請書記入例> JAFモータースポーツサイトを 要チェック! 37

一般投票

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ドライバー・オブ・ザ・イヤー 2023 皆さんからの投票をお待ちしています!

PHOTO/宇留野潤[Jun.URUNO]、佐藤靖彦[Yasuhiko.SATOU]、鈴木あつし[Atsushi.SUZUKI]、関根健司[Kenji.SEKINE]  REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

ライバー・オブ・ザ・イヤーは、 モータースポーツにおいてその 年に最も輝いたドライバーを投 票によって決定する、JAFの新たな顕彰と して2021年から始まっている。

初年度は、北米インディカーで活躍し、 2017年のインディ500で日本人初優勝を 飾り、2020年大会では2度目の優勝を挙 げた佐藤琢磨選手が選ばれた。授与式はコ ロナ禍の影響によりチャンピオンのみが招 待されたJAFモータースポーツ表彰式で 行われ、スポーツ庁の室伏広治長官が臨席

2021年は都内のホテル、2022年は東京オートサロンの会 場で発表と授与式典が行われたが、今年は11月24日(金) のJAFモータースポーツ表彰式がその舞台となる。

2021年受賞 佐藤琢磨選手 2022年受賞 野尻智紀選手

トサロン会場の幕張メッセが選ばれた。

のもと、記念のクリスタルが授与された。

続く2022年は、日本最高峰カテゴリー であるスーパーフォーミュラにおいて2年 連続ドライバーチャンピオンに輝いた野尻 智紀選手が受賞した。2022年はJAF会員 を対象としてSNSを活用した投票方式が 採られ、発表と授与式の場として東京オー

当日は野尻選手が体調の影響で欠席とな ったものの、TEAM MUGENの田中洋克 監督が授与式に代理参加。プレゼンターの 佐藤琢磨選手から賞典が贈呈された。

そして今年は、モータースポーツ関係者 やメディアの協力を得て一次選考された候 補者から一般投票を行う方式へ変更。一般 投票は10月18日から始まっており、11月 12日に締め切られる。アナタの一票がド ライバーを輝かせます。ぜひご協力を!

マデ
期限、迫る!
ド 38

特集 ダートトライアル/DIRT TRIAL

2本に賭ける未舗装路のトライアル 変わるコンディションにどう挑む!?

未舗装のコースを1台ずつ走行して最速を競うダートトライアル。 各競技会では、第2ヒートでの熱き逆転劇が繰り広げられている。

全日本選手権を戦うダートトライアラーたちは、この第2ヒートを どう戦っているのだろう? ダートラの先輩たちに秘策を聞いた。

2 PHOTO/大野洋介[Yousuke OHNO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]  REPORT/廣本 泉[Izumi HIROMOTO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] 本目 の と ” “ 40

舗装路コースでタイムを競うダ ートトライアルは、路面コンディ ションの変化が激しい競技だ。

競技車両が走るたびに路面状況が刻々と 変化し、天候によってはダストを抑えるべ く、クラス間に“散水”が実施される。参加 台数の多い全日本選手権になると、路面の 浮き砂利が履けてライン上に超硬質路面が 現れてくる。そしてこれが、走行タイムを 左右する重要なファクターになるのだ。

全日本選手権の最前線で活躍するドライ バーたちはどのようにして路面状況を見極 めているのか? そして、そのコンディシ ョンに合わせたタイヤチョイスや、ドライ ビング、セッティングをどのようにアジャ ストしているのだろうか?

ここでは青森県にあるサーキットパーク 切谷内で開催された第6戦「東北ダートトラ イアルIN KIRIYANAI」に参戦したドライバ ーに、ダートトライアルにおける第2ヒー トのアプローチの仕方を尋ねてみた。

次のコーナーで取り返す! でも、クルマは止まらない……

まずは、全日本ジムカーナ選手権での活 動を経て2019年に全日本ダートトライア ル選手権に転向、現在はSA1クラスに挑む 志村雅紀選手に登場していただこう。

「2本目前の慣熟歩行で路面を見つつ、他 クラスのドライバーの走りをチェックして タイヤを決めています。でも、運転手やク ルマの準備を考えると、出走順的にはPN2 クラスあたりで決めないといけないんです よね。幸いPN2クラスにはスイフトスポー ツがいるので参考にしていますが、その後 に四輪駆動のNクラスが走るので、僕が出 走するまでに路面コンディションが変わる ことがあります。あとは、NクラスとSA1 クラスの間に散水することもあるので、そ の場合は水の量や散水された場所をチェッ クしています。ですが、特にドライ路面で は、ライン上のパウダー(砂塵)の有無なん かがグリップに影響するので、そういう点 を含めて、ダートラはやはり経験値による

ところが大きいと感じます。僕は全日本ダ ートラを追い出して5年目になりますが、 まだまだ経験が浅くて、まだ悩んでいるこ とのほうが多いです」。

志村選手のタイヤ選択の基準になってい るのがPN2クラスの選手たちで「ウェット タイヤで何秒なのか、選手の顔ぶれとタイ ムを聞いて判断しています」と語る。

ちなみに、セッティングに関しては「ダン パーもスプリングも、減衰力や車高もそう ですが、空気圧も含めて、テストで“テッ パン”の数値を出しているので、そこから 変更することはありませんね」ということ で、基本的には決勝第1ヒートの後にセッ トアップをいじることはないそうだ。

全日本ダートトライアル選手権の出走順(例)

朝の慣熟歩行 (歩行中または終了後に散水)

PNE1クラス スイフトスポーツ等

PN1クラス ヤリス、フィット、デミオ等

PN2クラス スイフトスポーツ等

PN3クラス GR86、86、BRZ等

散水(大会によってタイミングは異なる)

Nクラス ランサー・エボⅩ、GRヤリス等

SA1クラス スイフトスポーツ、シビック等

散水(大会によってタイミングは異なる)

SA2クラス ランサー・エボⅩ、GRヤリス等

SC1クラス ミラージュ、シビック等

散水(大会によってタイミングは異なる)

SC2クラス ランサー・エボⅩ、エボⅨ等

Dクラス 改造車、ランサー・エボⅩ等

昼の慣熟歩行 (歩行中または終了後に散水)

「合っているかどうかは、最初のひと転が りで分かるんですけど、グリップしないと 感じたらマージンを残すようにしています。

タイヤ選択については、路面状況に最適 な種類を選べれば、第2ヒートでタイムを 上げられる可能性は高いが、タイヤ選択を 誤るとグリップ不足やトラクション不足に 苦戦することになる。その場合、ドライビ ングでアジャストする必要がある。

特にスーパードライ(超硬質路面用)を装着 した場合、突っ込み過ぎはNG。ジムカー ナドライバーの悪いクセなのか、一つのコ ーナーで失敗すると次で挽回しようと突っ 込んじゃうんです。でも、ダートラではク ルマが止まらない……。それに気づくのに 1年ぐらいかかりました」と振り返る。

ジムカーナとの違いについては「ジムカー ナは路面状況がそれほど大きく変わらない から、1本目と2本目で同じ走りを再現でき るし、違うアプローチだったり、1本目のミ 地方選手権ではクラスが地域最適化されているため右 表とは異なるが、全日本選手権では右表の降順に出走 している。散水の時期は当日の天候にもよるが、たいて い四輪駆動車クラスの出走前に行われることが多い。

ダートトライアルはコースによって路面の質や整備方法が異なるが、全日本選 手権では多くの主催者が晴天ならば超硬質ドライ路面になることを目指して整 備を行うため、“スーパードライ”と呼ばれる超硬質ドライ路面用タイヤが使え る路面になるかどうかが、第2ヒート攻略の一つの判断材料となる。

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全日本ダートトライアル選手権SA1 志村雅紀選手

LAILE☆カヤバYHスイフト[ZC33S]

2019年から全日本ダートトライアル選手権に挑ん でいる志村選手。それまではジムカーナドライバー として全日本選手権などを戦っており、久々に参戦 した全日本ジムカーナ第7戦では優勝を修めた。

スを修正することもできます。でも、ダー トラは路面状況が変わるから1本目と2本 目で同じラインを走れないんです。逆に言 えば、ダートラはラインができるので、2本 目をうまくまとめられればタイムアップで きる、とも考えています。セッティングも ドライビングも2本目を見越した対応をし たいんですけど、まだ経験値が足りていな い。5年経っても日々勉強です」とのことで、 試行錯誤はしばらく続きそうだ。

すべてがアクセル全開ではダメ 走りのイメージをどう掴むか

FIAアジア-パシフィックラリー選手権を 始めとした国際ラリー経験を豊富に持つ増 村淳選手だが、実は、2021年から全日本ダ ートトライアル選手権へ転向しており、カ テゴリーの違いに苦戦しているという。

「ラリーでもリピートステージはあります が、1回目も2回目もペースノートの通りに

走るだけなんです。でも、ダ ートトライアルって、理想と

するドライビングがあるんですよ。それに 合わせるために、1本目のインカーや路面状 況を見ながら、色々なことを考えて2本目 を走る……というのをやっているので、ホ ントに疲れます(笑)。陸上競技でもマラソ ンと短距離走が違うように、ラリーとダー トトライアルはまったく違う競技ですよね」 とのこと。

さらに増村選手は「たまた ま第4戦のオートスポーツラ ンドスナガワは、ラリー的な

全日本ダートトライアル選手権SA2 浜 孝佳選手

考え方……具体的にはアウト・イン・アウ トで速度を落とさない走り方ができるコー スでした。その特性がGRヤリスにも合っ ていたので勝つことができたんです。でも、 スナガワと丸和オートランド那須以外は走

第1ヒート終了後は自車の車載映像を確認する浜選 手。第2ヒートはコースの状況を時間が許す限り目視 で確認し、その情報を元に装着タイヤを選び、パドッ クを出る直前に装着している。

中国地区チャンピオンとして全日本ダートトライ アル選手権を追う浜選手は、かつては“痛車”で ラリー活動を行い注目を浴びた御仁。実はジム カーナ経験も豊富なマルチドライバーでもある。

XPL・ADVANランサー[CT9A]

全日本ダートトライアル選手権SA2 増村 淳選手

ALEXリコーセイAKMヤリス[GXPA16]

全日本ラリー選手権を経てFIAアジア-パシフィックラリー選手 権に参戦していた増村選手は、拘束期間の短いダートトライア ルに転向。第3戦スナガワ大会では初優勝を飾っている。

サーキットパーク切谷内での増村選手は、同じクラスでGRヤリスを走らせる黒木陽介選手と慣 熟歩行を共にし、パドックではデータ共有も行っていた。また、Nクラスの宝田ケンシロー選手 とも路面変化に関する意見交換を行っており、情報収集に余念がなかった。

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らせ方を変えないといけない。上位勢と違 って自分は走り込んでいる量が少ないので、 最初の頃はドライビングのイメージができ なかったんですよね。3年目の現在になって ようやく、ここのラインをこう走ろうとイ メージできるようになってきたんですが、 その精度が低くて、1本目は何箇所かうまく いかないところがあります。だから、2本目 の慣熟歩行は、路面を見極めることに加え て、1本目のミスを修正することも考えて歩 いてますね」と語る。

もちろん、他ドライバーの走りも参考に しているようで、「同じ四駆のNクラスは必 ず見てますが、どちらかというと、慣熟歩 行後の路面変化、この部分に穴が空いてい るとか、路面の荒れ方をチェックするため に見ています」と増村選手。

気になるタイヤ選択については、「2本目 の慣熟歩行が終わった段階でタイヤを決め ています」と語る。「僕はタイヤメーカーの サポートを受けていないので、現在はダン ロップのウェット用、ヨコハマのドライ用 とスーパードライ用を使い分けています。 ダンロップのウェット用とヨコハマのドラ イ用は、それぞれ使える幅が広いので悩む ことが多いんですが、タイヤのキャラクタ ーは明確なので、慣熟歩行で路面状況を確 認して、チームのエンジニアと相談した上 でタイヤを決めています」。

増村選手は「ダートラはラリーより頭を使 うので難しいですね(笑)。最初はスタート からアクセル全開でしたが、それではタイ ムが出ない。“速度を落とした方が速い”と いう部分があるんですが、まだそのアプロ ーチがうまくできてないんです。その辺り が分かるようになるには、やはり経験が必 要なんですよね」とのことで、ブレイクスル ーのきっかけを模索している。

車載動画の確認と慣熟歩行で コーナーやラインを見直す

増村選手と同様にラリー経験を持つ浜孝 佳選手。現在は、全日本ダートトライアル 選手権に舞い戻り、SA2クラスで活躍する。 「ラリーとダートラはまったく違う競技で すが、グラベルラリーではリピートステー ジの路面が掘れてくるので、ラリーで学ん だワダチの使い方、つまりどの辺りにフロ ントタイヤを引っ掛けるか、といったアプ ローチは活かせると思います。特にテクニ ックステージタカタにはワダチができるの で得意なコースですね」と語る。

ちなみに浜選手はジムカーナの経験を持 っていて「ラリーを始める前はダートラと並 行してジムカーナをやっていたので、実は ラリーよりジムカーナ経験の方が多いんで す。その影響からか舗装寄りのドライビン グなので、ダートラでも超硬質路面になる と気持ち良く走れます」とのことだ。

そんな浜選手が、第2ヒートに向けて最 も大切にしていることが慣熟歩行だという。 「1本目終了後に車載動画をチェックして、 うまくいかなったポイントを洗い出すんで すが、それを昼の慣熟歩行でチェックして います。1本目の修正として、コーナーの曲 率の状態を見たり、ラインの角度とかを確 認してますね。路面状況については、SA2 クラスが出走する頃には大きく変わるので、 基本的に散水の量や場所などを、Nクラスの 走りを見て状況を見極めています。僕の場 合はサービスでメカニックがいるので、SA1 が終わって、SA2が2 ~ 3台か走った後に タイヤを決めています」と語る。

ちなみに、タイヤの空気圧はこまめに変 更しているそうで、浜選手は「僕はヨコハマ を使ってますが、ドライ用だと空気圧を低

くするとウェット寄りの性格になると感じ ているので、路面ができていない1本目は 低めの空気圧で走ってます。2本目は路面が 良くなるので空気圧を高くして、ドライ用 タイヤ本来の使い方をしています。超硬質 路面用のスーパードライで行く場合も、ド ライ用より高めにします」と語る。

「タイヤ選択は自分本位で決めています (笑)」という浜選手だが、もちろん、選択し たタイヤと路面が合っていない場合は、ド ライビングでアジャストしている。

「1コーナーで状況がわかるので、グリッ プしない時はアクセルワークを気にしてい ます。タイヤを空転させないようにするこ ともできるし、逆に空転させて早めにクル マの向きを変えることもできるので、アク セルで合わせています。ブレーキはソフト にコントロールしていますね」とのことで、 飄々とした雰囲気を持ちながら、運転席で は繊細なドライビングを実践している。

データ収集とその蓄積が肝 それがあるから安定してる

一方、ベテランドライバーはどう考えて いるのだろうか? 主にFWDマシンを乗 り継いできた川島秀樹選手はこう語る。 「PN1クラスは、路面状況が慣熟歩行から あまり変わらないので、昼の慣熟歩行がポ イントになると思ってます。僕の場合は、 ウェット用/ドライ用/超硬質ドライ路面 用の3種類をイメージして、それらが活き る路面の“割合”を考えながら歩いていま す。例えば『スタート地点はウェットだけ ど、こっちのコーナーはドライがいい』など と、実際の路面状況に合うタイヤを想像し 超硬質ドライ路面を走る浜孝佳選手と増村淳選手。車両 の仕様や装備、ドライビングスタイルの違いで、同じ箇 所でもアプローチが異なっている。それでもコンマ差の 争いになるところがダートトライアルの魅力でもある。

2 本目 の と ” “ 43

全日本ダートトライアル選手権PN1 川島秀樹選手

DL☆テイン☆BRIG☆ヤリス[MXPA10]

これまで主にFWDマシンで全日本ダートトライ アル選手権を戦ってきたベテラン川島選手。PN部 門が創設されてからはPN車両の普及に取り組ん でおり、ヤリスをいち早く全日本に持ち込んだ。

て、その割合を算出した上で選んでます。6 対4だと悩みますが、7対3なら、70%の路 面に効くタイヤを選びます。やはり路面に タイヤが100%マッチすることはないので、 ドライ寄りなのか、ウェット寄りなのか、 割合を考えながら歩いています」。

そして、大会の始めに出走することが多 いPN1クラスでは、第2ヒートの前に行わ れる散水もリザルトを左右する要素で、川 島選手は「慣熟歩行の時に水を撒いてくれ れば、そこでチェックできるんですが、慣 熟歩行後に散水することもあります。そう なると、慌ただしくはなりますが、コース 外から見える範囲でどこに撒いたのかをチ ェックして、自分の出走順ならどれくらい 路面が乾くかを気温や路面温度をチェック しながら予想しています。後はタイヤの表 面温度も確認してますね。この温度になれ ばこのタイヤが使える、といったようにタ イヤ選択を判断しています」と語っている。

川島選手は空気圧も気にしていて、「気

川島秀樹選手が駆るヤリスのサーキットパーク切谷 内とオートパーク今庄での走りの比較。FWD車両と いうことで、フロント荷重を重視したコーナリングと なっており、タイヤを常に進行したい方向へ回転させ る、ダートラらしい走らせ方を実践している。

温によって空気圧も上下する ので、慣熟歩行では空気圧の シミュレーションをしながら

歩いてますね」とのこと。そして、これらタ イヤ選択と空気圧設定の基準が、これまで 蓄積してきた“データ”だという。

川島選手によれば「すべて記録していま す。路面温度や空気圧もそうですが、ダン パーのオイルの番手まで、練習走行、本番 ともにすべて記録してるんです。練習走行 も大切で、特に夏場は、1周アタックしたら 一度パドックでクールダウンして、水でタ イヤを冷やしてからまたアタックするなど、

朝と昼に設定される慣熟歩行では、どの大会も先頭に 立って参加している川島選手。視界も運転時に近い状 況を再現できるため、有益な方法と言えるだろう。

本番に近い形で走らせてデータを記録して います。むしろ、練習でのデータ収集はド ライバーのトレーニングより重要な部分だ と思ってます。全日本にフル参戦してから 30年目になるので、かなりのデータが貯ま りましたが、ベテランはそうやってデータ

全日本ダートトライアル選手権D 谷田川敏幸選手

トラストADVANクスコBRZ[YD3]

SA2クラスを戦う林軍市選手とサー キットパーク切谷内の慣熟歩行に挑 む谷田川選手。歩行中に“走りの組み 立て”を検討して、直前の路面状況を 加味して次のヒートに挑んでいる。

4WD化したBRZで全日本ダートトライアル選手 権を戦うベテラン谷田川選手。車両の姿勢を激し く変化させる豪快な走りが信条で、“ダートラらし い走り”で勝利することを目指している。

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ウェット路面用の“ウェットタイヤ”や、一般ダート 用の“ドライタイヤ”は、タイヤを多く回転させ、ブ ロックの角で路面を掻くことで推進力を得ている が、超硬質ドライ路面用のタイヤは異なる構造を持 つため、いわゆるグリップ走行が正解となりがちだ。 しかし、谷田川選手はそれでも自分のスタイルを貫 いて、観客を湧かせる走りを目指している。

を残しているから、成績も安定してるんだ と思いますよ」とのことだ。

そして、“経験則”も大切なスキルだそう で「特に、タイヤの空気圧は走行している間 に上がってしまうので、そのピークをどの 辺りにもって行きたいのかを考える必要が あるんです。推奨される値と違う傾向が出 る場合もあるので、そのためにもデータの 蓄積とそれに基づく経験則がいるんです。

スーパードライの場合はタイヤの温まりを 考えてやる必要があるので、グリップを感 じられるまでは、ドライビングで合わせる 必要もありますね。これはタイヤ選択を失 敗した時も同じで、1コーナーでグリップし ない! と感じたら、アクセルワークでア ジャストしています」とのことである。

組み立てるのは昼の慣熟歩行 路面状況を予想して最終決定 最後に、Dクラスで活躍するベテラン・谷 田川敏幸選手にまとめてもらおう。第2ヒ ートのアプローチとして重要な要素は、や はり谷田川選手も昼の慣熟歩行を挙げてい て、それは「基本中の基本」とも語る。

「やっぱり2回目の慣熟歩行が大切で、自 分がどういうラインをトレースしていくの か、ちゃんとイメージが持てるようにしっ かり歩かないといけないね。歩いていると きは、『この路面なら外から攻めていこう』 とか、『ここはラインが広いから速度を上げ ていける』なんて考えながら、時には足で路 面が軟らかいのか硬いのかをチェックして、 天候を見ながら、路面がどう変化していき

そうかを予想して……って感じだね」と谷田 川選手。この慣熟歩行の段階からタイヤ選 択をイメージしているそうで「コースを歩き ながら、『ここはドライがいいかな』とか『こ の部分はスーパードライのほうが速そう』と か、タイヤ選びは歩く時点で始まっていま す」とのことだ。

もちろん、他の選手のドライビングもタ イヤ選びの判断材料の一つで、「クルマが 走ると砂利が履けていくので、路面状況の 変化を見ています。基本的にはSA2クラス の走りを見て、自分の出走までの残り台数 を計算した上で路面状況を予想して、タイ ヤを選んでいます」と谷田川選手。

空気圧などの調整要素はデータに合わせ て設定しており、谷田川選手によれば「空 気圧は過去のデータで決めているので悩む ことはないですね。サスペンションのセッ ティングもテストでは変えるけど、本番で は変えることはないです」とのことだ。 「クルマが路面状況に合っているのか、合 っていないのかは1コーナーで分かるので、 合ってないなと感じた場合は、現状の路面

状況にドライビングを合わせる必要があり ますね。特に重要なのは、立ち上がりのア クセルワークだと思ってますが、僕の場合 はハンドルを切り込んで曲がるんじゃなく て、コーナーのアプローチからコーナリン グ中の姿勢まで、すべてをアクセルでコン トロールする走りなので、調整する要素と してはアクセルワークですね」と語る。

谷田川選手は、自分が理想とする走りで 勝利することを信条としているドライバー で、たとえそれが難しい路面であっても、 スタイルは変えずに挑戦し続けている。

第2ヒートへのアプローチは、刻々と変 化する路面状況にクルマやタイヤ、ドライ ビングなどを合わせ切ることがベストタイ ム獲得の極意だと言えそうだが、経験豊富 なベテランですら、あらゆる“想定外”が生 じて、勝利を逃してしまうものだ。

約90秒に不確定要素がぎっしり詰め込 まれたダートトライアルは、勝つことも勝 ち続けることも難しい競技だ。しかし、そ の難しさにこそ、経験した者にしかわから ない、大きな魅力があるのだろう。

だったが、今年の末に閉鎖を発表。先日の全日本選手権では、最後の全日本大会ということで、全日本 ダートラ選手会の有志による直筆サイン入りTシャツが、コースオーナーの平澤政夫氏に贈られた。
オートパーク今庄が2023年末に閉鎖 福井のオートパーク今庄はブラックマークが付くほどの超硬質ドライ路面を味わえる中部地区の名所
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特集 サーキットトライアル/CIRCUIT TRIAL

ハマる

サーキットを走りたい? それなら 愛車で攻められる公認競技がある!

“サートラ”

「レースの予選の部分だけを単独開催したモータースポーツ」 こんな形容をされる「サーキットトライアル」も始まって25年。

ベテラントライアラーも多く、そこには奥深い楽しみがあるという。 今回は、そんな“サートラ”にハマり続ける人たちの理由に迫る!

PHOTO/石原 康[Yasushi ISHIHARA]、大野洋介[Yousuke OHNO]、 JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

ーキットトライアルは、1997 年9月1日から「サーキットトラ イアル競技開催概要」が施行さ れて始まったJAF公認競技。施行後すでに 25年が経過し、その間にはツイントライア ルやドリフト、オートテストなども加わり、 JAF公認競技としてはジムカーナやダート トライアル、オートクロスなどを含めた「ス ピード競技」に分類されている。

サーキットトライアルは、巷では「レー スの予選を単独開催したような競技」とも 言われている。実際の大会も各サーキット が主催する、いわゆる地方レースに組み込 まれた開催が多く、スピード競技でありな がら、レース寄りな雰囲気が漂っている。

1997年から規則に追加されたサーキットトライアル。当時の資料では、参加車両はナンバー付き車両で、排気量 別にクラス分けを行い、オープンカー以外は原則としてロールケージの装着義務もなく、国内Bライセンスで参加 できるとあり、JAF公認レーシングコースを2回走行し、そのうちのベストタイムで順位を競う方式、とされてい る。現在の「競技開催要項」によれば、種目は「JAF公認サーキットで実施されるラップタイムトライアル」と定 義され、競技方法は、レースのようなグリッドからの同時スタートは行わず、ピットロードの出口から1台ずつ、車 両の間隔をおいてコースインして、走行の機会は「2回(2ヒート)が望ましい」と記されている。

ここでは、実際のサーキットトライアル に参加している選手たちに突撃インタビュ ーを実施。“サートラ”にハマっている理由 を聞いた。この取材は、宮城のスポーツラ ンドSUGOで4月に行われた「SUGOチ ャンピオンカップレースシリーズ特別戦」 に組み込まれた「マツダファン・サーキッ トトライアル(MFCT)」で実施した。

同じクラスで似た仕様なら 自分との差がわかりやすい

まずは、1番ゼッケンをまとい、2クラス (MAZDA 2&デミオTUNED)にDJLFS デミオで参戦する樋口豊選手に、サーキッ トトライアルに出会った理由から伺った。

「何か走ることをやりたいと思ってイベン トを探していましたが、自分が出ようと思 ったイベントが、景気が悪くて参加者が少 なくなっていたんです。せっかく出ようと 決めたイベントがなくなると寂しいので、

少しでも足しになればと思って参加し始め たのがキッカケです。いざ出てみたら、ほ かの楽しみも見つけられたので、もう10 年以上、参加しています」。

「一番最初は筑波サーキットで、プレシー ズンマッチにも参加してました。正直、最 初は出る方法がわからなくて、規則書を読 んでもチンプンカンプンで、クルマの作り 方すらわかりませんでした。そんな状況で、 わかりやすかったのが現在のB-Sportsさ んで、参加料金も当時から銀行振込できて、 今ではクレジットカードも使えるようにな って、すごく参加しやすかったですね」。 「クルマはロードスターでした。似たよう なクルマが走るクラスで、似たような仕様 なのに、こんなにタイム差がつくのか、と いうのが最初の印象でしたね。他の車種じ ゃなくてロードスター同士のリザルトが出 るので、自分の実力が丸わかりなんです。 なので、これではイカンなとか、どうすれ ば速くなるかな、なんてことを考えなが ら、まずは年イチで追いかけてみたんで す。実際に出てみたら、遅くても、その他 に楽しめることがあったので、長く続ける ことになりましたね。負けると悔しいです から、そんな思いで続けてきました」。 「ずっと同じロードスターでやってきまし たが、10年参加すると表彰していただけま すし、クルマもいろいろ壊れてきたので (笑)、一区切りとしてロードスターを卒業 することにしたんです。そしたら、昨年か

MFCTは車種別クラスで、MAZDA2/デミオ、MAZ DA3/アクセラ、歴代ロードスター、RX-8、SUV、RX-8 以外のロータリー搭載車、そしてマツダスピードアク セラやロードスターターボなどが区分されるオープン クラスといった具合に、21ものクラス設定がある。

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DJLFSデミオで2クラス トップ、総合9番手タイ ムを叩き出した樋口豊選 手。家族のサポートが活 動の大きな支えになって いるそうだ。

樋口 豊選手 Ffぷいぷい黒猫団デミオ[DJLFS]

飯塚和男選手 DXL DFRロードスター[NB8C]

「ロードスターNA&NB TUNED」の10クラスにNB8Cで参加した飯 塚和男選手。第1ヒートから“出来過ぎ”のタイムを叩き出した。

飯塚選手は翌日の耐久レース、通称「マ ツ耐」に同じNB8Cロードスターで参戦。 塚原康弘選手、中野将人選手と組んで総 合3位を獲得。

ら縁があって、このデミオに乗せてもら うことができたんです。なので、本格的 にFF車に乗り出したのは昨年からです」。

樋口選手は翌日のレー ス「JMRC東北 Moty's 杯ロードスターカップ 第1戦」にも参戦。こち らはNA8Cで走行し3 位を獲得している。

ロードスターひと筋の人生から一転し てFWDマシンに乗り換えた樋口選手。サ ーキットトライアルの魅力をこう語る。 「サーキット走行会もありますが、仕様 がわからないクルマが速かったりします よね。そうなると、自分との差がわかり にくいんです。サートラでは同じ人が出 てくることが多いので、自分との差がど こまで縮まったのかがわかりやすい。直 すべきは自分のドライビングなのか、ク ルマなのかが見えるんですよね。決まっ た規則で、走れる時間も決まっていて、 天候も同じ。その条件の中で、いかにク リアラップをとって、自分のベストを尽 くすか。レースと違って、接触とかも少 ないですし、自分のタイミングでアタッ クをやめることもできるから、クルマへ の負担も少ないんですよね。その時間に すべてを集中させる。制限されている からこそ楽しい。自分の能力もクル マの限界も見極めて、ここでタイムを 出さないといけない、という状況にサー キットトライアルの魅力を感じているの かも知れません」。

「サートラは考える要素がけ っこうあって、『1ヒート目 の3周目で決める』とか『2ヒ ート目は路面温度も変わる し、雨が降る予報だから、2 ヒート目はここでタイムを出

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さなといけないな』など、一日中、何かを 気にして過ごしています。なので、イベン ト当日だけじゃなくて、前の週から天気を 確認して、タイヤのピークをどこにもって いくかなどもシミュレーションしていま す。このスパンを広げると、年間通して遊 べるんですよね。イベントのカレンダーを 見て、どの大会で新品タイヤを投入する、 なんて考えるわけですよ。決められている からこそ、照準を合わせやすい。あれこれ 考えている時点で自分は楽しめているとい

うことなので、大会で走る以外でも、一年 中、自分をコンペティティブな状態にもっ ていくことができると思ってます」。

「自分はサラリーマンなので自由に休める わけではないんです。練習にも行きたいん ですが、今年はこの4月が初走行で、昨年 12月以来の走行ですが、その間もタイヤ をどうしようかとか考えてましたからね。

実は、このクルマも昨年とは違うクルマな ので、今日が初走行なんです。なので、1 周目は『これじゃヤバい』なんて思いながら 走ってました。自分はシミュレーターも使 ったりしているので、シーズンオフのイメ ージトレーニングのおかげで、今回のよう に初めてのクルマでも、周回を重ねたらタ イムを残せるようになりました」。

2023 SUGOチャンピオンカップ レースシリーズ特別戦

MAZDA FAN MOTORSPORTS

2023 OPENING IN TOHOKU 2023年マツダファン・ サーキットトライアル第1戦 宮城ラウンド ■開催日:2023年4月22日  ■開催地:スポーツランドSUGO (宮城県村田町) ■主催:株式会社菅生、SSC

サーキットトライアルは 「焦点」の合わせ方が違う

樋口選手はサーキットトライアルの翌日 に行われるレース「ロードスターカップ」に も参戦している。特にこのMFCTは、ロ ードスター・パーティレースなどと併催さ れることも多いため、それぞれのレースの ウォーミングアップとして、サーキットト ライアルを活用している選手も多い。

続いて話を伺ったのは、10クラス(ロー ドスターNA & NB TUNED)をNB8Cロ ードスターで戦う飯塚和男選手。翌日のマ ツダファン・エンデュランス(マツ耐)に も、同じ車両でエントリーしている。

「これまで、ずっとマツ耐に出ていました が、サーキットトライアルに出たのは今年 からで、今回が初体験なんですよ。もとも とパーティレースに出させてもらってい て、そういうスプリントレースでも、11周 や15周の中でペース配分やタイヤのタレ を気にする必要がありますよね。なので、 これまでのレース経験から、2周か3周目 でベストにもって行けばいいのかなと想像 していて、それを実践してみたら、正直、 出来過ぎなくらいのタイムが出ました」。 「レースの予選とサーキットトライアルは、 攻め方自体は同じだと思いますが、焦点の 合わせ方が違うんじゃないかと思います。 レースは、あくまでもレースが本番なので、 予選も重要ですけど、そこでタイヤを壊す わけにはいかず、後のレースのために慎重 にならざるを得ないところがあります。サ ーキットトライアルは1周から数周が勝負 なので、極端な話、路面コンディションの 良いヒートでタイムを出したら、後は走ら ないこともできますよね。今日も午前中の コンディションがタイムを出せそうだった ので、自分の組み立てどおりにタイムを出 すことができました。もちろん、理屈通り にはいかなくて、実際に走るとクリアラッ プが取れなかったりとかしますけどね」。 「サーキットトライアルの皆さんは、1周 のタイムを考えて走っていますので、クリ アの取り方が大きい印象があります。レー スの予選だと、もっと密になってしまうと いうか、前走車を抜いて、前に出てクリア を取ろうとすることも多いんです。それを やると、最終的にはお互いのタイムが伸び ないことにもなりますから、サーキットト ライアルの皆さんは、無理に間合いを詰め

て来ないというか、後ろに下がって間隔を 空けるので走りやすいなと感じました」。 「クルマそのもののバランスや、タイヤの 温まりなどが仕上がるベストな状態を、走 りながら調整して、作っていく、そういう ことに集中している印象を受けましたね。 クルマをベストな状態にしてから、自分も クルマもストレスのない状態で走らせる。 それをピンポイントに、どこにもっていく のかが肝になるんでしょうね」。 「スプリントレース、特にワンメイクレー スは、あるところまで煮詰めていくと、成 績もジャンプアップはしなくなるわけです。 そうなると予選が大事になりますが、失敗 なしで決勝をうまく頑張れたとしても、決 勝で抜ける台数って1~2台なんですよ。 そうなると、飽きちゃうというか、壁が高 すぎるというか、そういう感覚になっちゃ うんです。逆に言うと、予選だけやればい いじゃん、そこでだいたい順位が決まっち ゃうよね、って。耐久レースの予選はまた 違った難しさがありますが、サーキットト ライアルは、基本的にはアクセル全開じゃ ないですか。なので、サーキットトライア ルは面白いと思いますし、何より、アクセ ル全開の気持ち良さがいいですよね」。

飯塚選手は、翌日に参戦したマツ耐では 予選12番手ながら、決勝では総合3位を 獲得して、レーシングドライバーの面目躍 如を果たしている。続いては、当時のFIA 世界ラリー選手権(WRC)に憧れて、免許 取得後にBFMRファミリアに乗り、現在 はRX-8で11クラス(RX-8 NOMAL)に 参加している天野信宏選手に伺った。 サートラは周回できるので 楽しめる時間が長いんです 「マツダさんのサートラには4~5年出て います。自分の成果を表現する、確認する のがサートラだと思っています。全国で開 催されているので、日常の気分転換も兼ね て、参加できるところは参加しています。 富士スピードウェイでもやってますので、 今年は最初にそちらに出まして、今回が2 回目のサートラになりました」。 「若い頃はWRCが好きでBFMRに乗り、 BG8Zに乗り換えてダートラをやろうかと も思いましたが、人生の転機もあって、ク ルマで走るのは20年ぐらい途切れました。 その間も、ラリーのオフィシャル活動をや ったりもしてましたが、実際のラリーっ

ハマる“サートラ” 49

て、観る側は全部の走りを観られるわけで はないので、ちょっと違うなと思うように なり、自分としてはオンロードの方が性に 合っているような気がして、サーキットや ジムカーナに目が向くようになりました」。

「ジムカーナは遊びで練習会などに参加し ていますが、自分としてはサーキットを走 りたかったんですよね。昔から運転がうま くなりたかったので、その成果を試す場と してジムカーナやサートラをやっています。 さっき失敗したから次はこうしたいな、と いう意味では、サートラは周回できるの で、ジムカーナに比べると、楽しめる時間 が長いなと感じてます。ジムカーナの一発 勝負の緊張感も楽しいんですが、同じ1分 30秒を走るにしても、サーキットを周回で きるサートラは、次はこのコーナーでこう しよう、ということが何度も試せるので、 そこがいいところだなと感じています」。

「自分はロータリー好きということもあっ て、このクルマで遊べるフィールド、とい うのが先にありますね。クルマ好きはクル マをいじりますから、規則がわかりやすく て、乗っているクルマで走れることがわか れば、もっと広がると思います。自分は NORMALクラスに出ていて、年式によっ

八筬 崇選手

天野信宏選手

SS MS RX-8[SE3P]

て改造の規制がありますが、このクルマの

富山からRX-8で全国を巡 り、「RX-8 NORMAL」の11 クラスに参戦した天野信宏 選手。2本目早々にタイムを 刻み、クラス2位を獲得。

そして、樋口選手と同じ2クラスにDJ 5FSデミオで参戦する八筬(やおさ)崇選手 は、最初に出会ったクルマが、後のモータ ースポーツライフの方向性を決めている。

湘南の赤デミオ改@sai徐行R[DJ5FS]

「MAZDA2&デミオ TUNED」の2クラ スにDJ5FSデミオで参戦する八筬崇選 手。今大会は2本目の終盤でタイムを上 げてクラス4位に。

上杉朋也選手 2代目ウェっちプレマシー[CREW]

「オープンTUNED」の20クラスにマツダ・プレマシーで参戦する上杉朋也選手。

今大会は2本目で大きくタイムを上げてクラス2位。

目標としている父親から受け継いだバケッ トシートを愛用している。

「誤解を恐れずに言えば、イベントの数が 少ないことも、私にとっては都合が良かっ たんです。しょっちゅう走りに行くと、家 族に怒られちゃうんですよ(笑)。なので 年式だと車高調がOKです。あとはマフラ ーぐらいです。このクラスはタイヤに銘柄 指定があるので、その範囲で選んでます。 この仕様でジムカーナも走ってますよ」。 「こういう装備で走らせてくれるので、グ ラスルーツとしては一番、手っ取り早く入 門できるんじゃないかと思います。何と言 っても、国際サーキットも走れますしね」。

1300ccのDYデミオと出会い 等身大のモータースポーツを 「もう10年ぐらいやってますね。サート ラをやる前はジムカーナをやっていて、大 学の頃には、クルマ好きが集まってクラブ を立ち上げて活動してました。最初はDY のデミオでしたね。DYは1300ccの下級グ レードでしたから、ジムカーナでも珍しが られました(笑)。もともとマツダ車が好き で、大きい車よりはコンパクトなクルマが 良かったので、経済的な都合も合わせて、 まずは一番安い1300のDYデミオにしま した。動きはもっさりしてるし、当時はシ ビックやインテグラが相手でしたから、勝 負というよりは楽しむことが優先でした」。 「グランツーリスモでサーキットを走って いたので、サーキット走行には興味があり ました。調べたら、マツダ車限定のイベン トがあって、出ることにしました。当時は サーキットトライアルをやっているサーキ ットが少なくて、まずは近所の筑波に行き ました。1分19秒ぐらいで、当時はクラス も少なかったので、リザルト的には下の方 でしたね。最初は年イチぐらいの参戦で、 来年は今年のタイムを更新できるといい な、という感じで参加してました」。

「サーキットだと走行会もありましたが、 サートラのイベントに設定されたクラスが 自分のクルマに合っていた、というのがサ ートラを始めた一番の理由です。スイフト スポーツとかだと相手にならないので、レ ベル差が少ないクルマで、近いタイムで競 り合えるというのが魅力でしたね」。

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『年に何回か』というカレンダーがいいんで す。たくさんイベントがあると出たくなっ ちゃいますし、イベント数が少ない方が一 つの大会の集中力が高まると思ってます。 もちろん、自由にできるなら、やりたいこ とはいっぱいあるんですけどね(笑)」。

「サートラでは、前走車の動きをよく意識 します。アタックに入るのか止めるのか、 ピットに入るのかどうか、ですね。それが、 日常の運転にも活きていると思います。一 般道でも、前走車に対する自分の動きを決 めるのに、ちゃんと相手の挙動を見てから 判断して行動するようになりました」。

最後に、JAF公認競技ではまず見かけな い車種でサーキットトライアルに励んでい る若手選手の意見を紹介したい。20クラス (オープンTUNED)をマツダ・プレマシー で戦う、28歳の上杉朋也選手だ。

親父の出したベストを超す 「プレマシー」で孤軍奮闘

「父親が12年前からプレマシーでサーキ ットを走っていて、それを見て自分もプレ マシーで走りたいなと思って始めました。2 年前から乗っていてモータースポーツ歴も 2年です。以前は、走行5万kmのエンジ ンに載せ替えたばかりのFD2シビックに 乗っていて、外装をいじっていたので走る ことはできなかったんですが、ある時に追 突されて廃車になっちゃったんです。自分 が中学生ぐらいのときに、親父がこのイベ ントでトップタイムを出していたので、そ れを抜いてやろうと思ってプレマシーに乗 ることを決めました。親父に、いろいろな 所に連れて行ってもらったクルマなので、 思い入れがあるんですよ。なので、プレマ シーで最速を目指す気持ちになったんで す。走るために新たに自分で買いました」。 「インターネットでいろいろ調べて、自分 で試して、ようやく今の仕様になりまし た。タイヤとブレーキと車高調という最低 限のセットではありますが、親父のノウハ ウも教えてもらいながら、基本的には自分 で走ってセットを決めています。サーキッ トのドライビングは、グランツーリスモが 活きていて、免許を取る前からハンドルコ ントローラーを使って、もう10年ぐらい やってましたので、サーキット走行のイメ ージ自体は持ってました。さすがのグラン ツーリスモにもプレマシーの設定はないの で(笑)、デミオをベースに重量を増やした

りしてスペックを合わ せていました」。

「リアルなプレマシー だと立ち上がりでタイ ヤが空転しちゃうの で、アクセルの入れ方 とかはリアルな走りで 調整してますね。クル マ作りとしては、タイ ヤと足回りで接地性を 高めることを念頭に置 いてました。やっぱり ロールが大きいし、横

ピットロードに出てコースインを待つ。MFCTでは第1ヒートはゼッケン順、第2ヒートは第 1ヒートの走行結果順に、1台ずつコースインすることになっている。

転しやすくなるので、大事なのはグリップ しすぎるタイヤを履かないことですね。Sタ イヤとかを履くと恐らく転がります(笑)。 まずはそこを基準として各部をセットアッ プしています。意外とアタマが入って、曲 がるクルマなんですよ。でも、ちゃんと荷 重をかけないとアンダーが出たり、オーバ ーステアにもなります。筑波の最終コーナ ーは、正直不安定ですけど(苦笑)。でも、 ストレートなんかはデミオに近いものはあ ります。さすがにコーナーは無理ですが」。 「セッティングの評価軸は“タイム”で、親 父が出した各サーキットのベストタイムを 目標にしています。おかげさまで、筑波な どでは親父のタイムを塗り替えました。筑 波は、親父が1分16秒ぐらいでしたが、今 年になって、自分で1分15秒が出せまし た。ここから先は、誰かに乗ってもらわな いと大きな進化はないかもしれませんね」。

「サーキットトライアルは、いざやってみ たら楽しかったですね。一番最初は筑波を 走りましたが、そこで親父のタイムを抜け なかったことが悔しかったんです。そこで 自分の実力というか基準がわかって、逆に ヤル気が出ちゃいました。でも同時に、い きなり近いタイムが出せたので、ウデも未 熟だし、クルマも仕上がっていなかったの で、コレはまだまだイケるんじゃないかと 思って、そこから2年間、頑張りました」。 「ここからは自分との戦いになるので、自 己ベスト更新を目標に、どこまでいけるの かを試したいですね。たぶんもう、誰もや らないだろうなと思いますし(笑)。伸び代 はまだありそうです。ECUは手つかずなの で、コンマ5秒はあると思います。あとは 自分の経験値ですね。コースへの習熟が進 めばもっと上がるかも知れません」。 「年に3回、筑波とSUGOとモビリティリ

ゾートもてぎを中心に走っています。ほか のクルマに迷惑がかかるので、あんまりサ ーキット走行会には行けないなと感じてい ます。サートラも最初の頃はなかなか道を 譲ってもらえませんでした。このクルマが どういう動きをするのかなんて、誰にもわ からないので仕方ないんですけどね(笑)。 なので、ちゃんとブレーキを踏んで減速し て、立ち上がり重視でコーナリングすると か、セオリー通りの走りを心がけまして、 そういう走りをしていたらタイムも上がっ ていきましたし、周囲の皆さんにも、わか っていただけたのかも知れません」。

「あと2~3年走ったら、別のクルマに乗 り換えようかなとも思いますが、プレマシ ーはもう17万km乗りましたし、もとも とあまり程度のいいクルマではなかったの で、もっと状態のいいプレマシーに買い換 えようかとも思ってます(笑)」。

今回取材したJAF公認競技のマツダフ ァン・サーキットトライアル(MFCT)は、 今年で20周年を迎える老舗サーキットト ライアルシリーズだ。これまでの話に出て きたように、車種別に10クラス、改造範 囲別に2クラス、そしてライセンス不要の クローズドクラスを組み合わせて合計21 クラスを設定。さらに、保安基準適合の範 囲での改造が具体的に示されている。

これらの細分化と具体化により「自分の クルマが出られる」ことが明確になり、世 界観を共通化した併催イベントも数多く設 定されていることから「ほかの楽しみ」にも 出会えるようになっている。サーキットト ライアルは、レースに併催されていること から、一発勝負の要素が好きな人、そして 「いつかはレース」と思い描く人など、走る 人の様々な想いを許容してくれている。そ んな懐の深さもハマる理由なのだろう。

ハマる“サートラ”
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特集 ドリフト/DRIFTING

ドリフトに青春を賭けた若者たちのアツい1日

年に一度、ドリフトの覇を競う学生オンリーのドリフトコンテスト「学ドリ」。

今年も情熱ほとばしる走りとともに、笑いアリ、涙アリのさまざまなドラマが生まれた。

そんな若者たちの戦いぶりをフィーチャーしていこう。

COOPERATION/ドリフト天国編集部[DRIFT TENGOKU] REPORT/SKILLD、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

今年もやってきた、学生たちによるドリフトの祭典! 2023年の学ドリは大盛況

前号のJAFスポーツ夏号で概要を紹介した、22年もの歴史を持つ “ドリフト夏の甲子園”こと「学ドリ」が、今年も9月18日に富士スピ ードウェイマルチコースに帰ったきた。

普通自動車免許を取得している高等学校および大学、専門学校な どに通う18歳から24歳の若きドリフト愛好者たちの頂上決戦の勢 いは、少子化や若者のクルマ離れといった世間の声とは裏腹に、ま るで衰えることなく、応募総数は昨年を上回る180名。そして昨年 の本戦進出者のうち5名が参加するリベンジ戦の様相が予想される 中、予選/本戦への初参加勢が大活躍して活況を呈した。

日本のドリフト業界では、今や学生ドリフターは欠かせない存在 だ。今回の秋号でも業界を支える取り組みをフィーチャーする。

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2023

2023年開催第22回大会の参加者データ(全参加者126名)

平均年齢は例年とほぼ変わらずの21.0歳。車種の傾向は、シルビアやマークⅡ三兄弟といった定 番車は中古相場が高騰していることもあって、ロードスター、アルテッツァ、Z33フェアレディZな どNA車の参加が増加している。そして大学自動車部員の参加は50名以上で、女子学生5名のうち 予選通過が3名も出たことは、学ドリ始まって以来の快挙となった。

参加回数 参加年齢 参加車両
RPS13 14% S14 10% S15 10% NB8C/NB6C 10% JZX100 8% SXE10/GXE10 7% Z33 7% ER34 5% その他 29% 18歳 2% 19歳 10% 20歳 22% 21歳 27% 22歳 28% 23歳 8% 24歳 3% 初参加 63% 2回目 21% 3回目 13% 4回目 2%
1% 53
5回目

パイロン卍予選は単なる低速連続ドリフトターンにあらず!  180名の書類選考をパスして当日を迎えた126名の参加者がまず挑むのは予 選。この予選の方法は当日発表としつつも、「パイロン卍」と呼ばれる、第4回 (2005年)から始まった伝統の選考方法が採られた。一見、ドリフトに慣れ親しん だ者にとっては簡単そうに思えるが、初見でぶっつけ本番の一発勝負となる。これ はマシンスペックやサーキット経験をイコールにすべく生み出された学ドリなら ではの予選方法だ。ここでは約半数に絞られることになる。

選考方法の“パイロン卍”は 自身のプレッシャーとの戦い

“パイロン卍(マンジ)”という類を見ない この選考方法は、開催コースに慣れている かどうかに関係なく、基礎テクニックの習 熟度をしっかり披露でき、また当日練習な しの本番1本による緊張感をどう克服する かというドリフト大会で最も重要な要素が チェックされる。サーキット走行経験や競 技経験、車両スペックのレベル差をイコー ルにする方法として採用されている。

この方法は2005年の第4回に初めて施 行され、そのときは開催日当日の発表で参 加者のほとんどが「そのような練習はしてい ない」と困惑。中には主催側に不満を漏らす 参加者もいたほどだ。しかし、「難しいこと

を要求しているワケではない。できて当然 でラッキーだと思って欲しい」と説明。結 果、学ドリの名物として今に至った。

採点については基本100点が満点で、例 年70点ほどで予選通過になる傾向なのだ が、シンプルなこの低速パイロンターンの 中に「誰よりも目立ってやろう」、「度肝を抜 いてやろう」と進入スピードや角度、コンク リートウォールにテールをギリギリで(擦る 場合も)攻める参加者も現れる。そうなると 選考する側も100点を超える得点をつけ、 予選発表時に「パイロン王子」という称号が 与えられるようになった。

回を重ねるごとにこの予選は単なる予選 の域を超えていく。すると本戦の順位と同 じか、それ以上に重視する参加者が出現す る。パイロン王子の称号を奪取しようとチ

ャレンジする姿勢を、参加者は互いに讃え 合うようになった。例えコース走行に自信 があっても、その栄冠を狙った挙句、失敗 して予選敗退するケースも少なくない。

ここ数年、この予選方法が周知されてい るために、学ドリ開催の1~2か月前には 各地のジムカーナ場で「パイロン卍練習会」 を含めたドリフト走行会が開催されている。 出場予定の学生たちが連絡を取り合って主 催していることも多いようだ。

一方、主催側は「予選方法は当日発表。 イコ―ルコンディションを重視することを 前提に、昨年と同じとは限らない」と告知し ている。かといって名物となったパイロン 卍に挑戦したいという参加者の期待を裏切 るのも好ましくないと考え、これまでには パイロンの間隔を変化させたり、最初のタ ーンを右でいくか左でいくかをスタート前 にクジ引きで決めるなど、毎年趣向を凝ら してシンプルな車両コントロールの中に緊 張感を与える工夫をしている。

全員が見守る中で単独アタックする、決 勝と変わらない緊張感と注目、そしてその 先にある栄冠。学ドリが「誰もがスターにな れる場」というのは、この予選方法が生みだ す会場の雰囲気なのである。 予選の走行方法や選考基準は当日発表される。今年 はパイロンの間隔が不等長になり、本数が1本増えた。

126 60 予選通過者 名 名

パイロン王子

学ドリは初参加ながら パイロン王子の称号を獲得! 濱佳叶選手(19歳) 初参加 チェイサー(JZX100) 立正大学

パイロン卍は初挑戦で、学ドリ前にサーキット走行1回 というドリフトビギナーが堂々の予選トップを獲得した。 ジムカーナコースやシミュレーターなどで効率的な練習 方法を採り入れる参加者が増えている現在、こういった ケースも増えてくると思われる。今回は挑戦者としての 立場から、緊張感が軽減されたのかもしれない。濱佳叶 選手のチェイサーは、純正タービンで切れ角アップを含 めた足回りの改造のみで勝負した。

5本(場合により6本)のパイロンの間を、カウンターを当てたドリフト走行でクリア する。この走行スタイルを卍(マンジ)と呼ぶ。カウンターが戻ったり、スピン、停止 状態、コースアウトなどがあれば減点。1本目のパイロンまでは直線があるため、そ の進入姿勢やスピードも選考の対象となる。

パイロン王女

兄の無念を妹が晴らす! ついに「パイロン王女」の称号 黒田真由選手(22歳) 出場4回目 スカイライン(ECR33) 金城学院大学

今年で4年目の挑戦となった黒田真由選手が、自身ベス トの走りを披露。女性参加者の中で最も優れていたことで パイロン王女の称号を受けた。なお彼女の兄は2012年と 2013年のパイロン王子を獲得しており、前人未到の予選 3連覇を狙った2014年の最後の挑戦では予選中のエンジ ントラブルでリタイア。その無念を晴らすべく、車両を受 け継いで2020年から学ドリに挑戦し始めた。このR33ス カイラインは兄妹で通算8回目の参加となった。

ドリフト競技では定番の車両となっているシルビア系やツアラーV系が約半数を占 めた学ドリ。ロードスターやアルテッツァのようなベース車の価格が比較的安いFR 車の割合も増加している。また、学ドリは軽自動車(4WD改FR)でも参加でき、ロー

コストで予選通過のチャンスも狙えるようになった。
2023 55

初見レイアウトで初参加のノンターボが渾身の1本を決めた!  全126名が予選で60名に絞られ、続く定番レイアウトによる走行では11名の ファイナリストが選出された。そして最後のアタックは通常レイアウトを無視した スペシャルステージとなる。この練習なしの2本本番で実力を発揮したのは、学ド リ初挑戦で、しかも定番車種とは言えないZ33フェアレディZだった。昨年の実 力者を上回る気迫の攻めに、勝負の行方を見守っていた参加者全員からは大きな 歓声があがった。

ドリ予備軍も少なくないからだ。

まさかのNAエンジンZ33を駆る 成田涼風選手が本戦でキメた

上位10名まで(2023年は同得点が2名 いたため全11名)が進んだ本戦は、誰もが 予想しない結末となった。しかし、その結 末で披露された走りは、誰もが納得の光景 として映った。

ドリフトコンテストでは決して有利とは 言えない大柄なNAエンジン搭載のZ33フ ェアレディZが、誰よりも速くコーナーに 進入し、誰よりも深いアングルで審査席の 前をアクセル全開で駆け抜けた。しかも初 参加、さらにはサーキット走行はこれが初 めて(ジムカーナコースが1回のみ)とのこ と。本戦終了後に名前を呼ばれた成田涼風 選手はビックリしていたくらいだ。

かつて学ドリの名門校と言われるほど多 くの参加者を送り込み、活躍する者を輩出 した日本自動車大学校だが、ここ数年は参 加人数も減少傾向。2012年の田口和也選手 (現在はFormula Drift USAに参戦中)以 来、実に11年ぶりの快挙となった成田選手 の存在は、翌年以降の学校対抗的な勢力図 を変えていくこととなるだろう。と言うの も学ドリ出場を目論んで進学校を決める学

元D1ドライバーで選考を担当する古口 美範氏は、予選通過者を前にこう言った。

「学ドリの真髄は、この日にどれだけ成長で きるか。勝ちたいなら少しだけ無理をして ほしい。今日、この場で自分の限界を超え て欲しい。多少の失敗があってもその姿勢 はちゃんと評価する」と。

プロのドリフト競技の場合、限界の9割 で走って勝つことが好ましいとされ、審査 のポイントをいかに攻略するかが問われる。 しかし、学ドリは違う。同じ参加者に対し、 どれだけ自分が「あいつスゲーな!」と思わ

せられるか。人生で数少ない貴重な舞台で、 悔いのない走りに挑めるか、なのだ。

だが学ドリには終わりがある。だからこ そ参加者の熱量が異常なほど高い。それは 会場に足を運んだ者なら否応なく感じるだ ろう。かつて全力のドリフトからクラッシ ュして敗れた者が言い残した「いつか学ドリ を卒業したそのときに『オレ、あのときすげ ぇカッコ良かったな!』と思いたかったか ら」という言葉は今も耳に残るフレーズだ。

2023年の学ドリは数々のドラマを残し て終わった。そして同時に、2024年の学ド リはもう始まっているのである。

60 11
名 名
本戦進出者
56

昨年はフルチューン500馬力仕様の親からの借り物(実家がチューニング ショップ経営)で初出場ながら快走、今年はトップを狙うも「学ドリらしいクル マで勝ちたい」と、自分で購入したライトチューンのシルビアで出場。決勝2本 目でマシントラブルに陥り得点を伸ばせなかったのは残念。

古田晃己選手(24歳)

出場2回目  アルテッツァ(SXE10) 群馬大学大学院 日野元気選手(19歳)

初出場 アルテッツァ(SXE10) 関東工業大学校

成田涼風選手(20歳) 初出場 フェアレディZ(Z33) 日本自動車大学校

2本アタック本番の本戦で、1本目に高得点をたたき出した ものの、2本目でさらに奥まで減速なしに突っ込んであわ や大クラッシュ。結果が発表されるまでまさか自分が呼ば れるとは思わなかったそうだ。エンジンはノーマルだが、武 器はGKテックのアームキット。深いアングルに耐える足回 りを構築して学ドリに臨んだ。

ミッドシップにこだわり続けて5年、だが最後の挑戦は昨年と同じ結果となった。

「定番車じゃなくても勝てることを証明したかった。今後は同じ志を持つ参加者 を応援したい」とコメント。いまや学ドリの一大勢力となった群馬大学自動車部 を引っ張ってきた「ミスター学ドリ」と呼べる存在だ。

荒井理央選手(21歳)

出場3回目 ロードスター(NA8C) 日本大学

河瀬芽美選手(18歳)

初出場 180SX(RPS13) 朝日大学

小林大輝選手(21歳)

初出場 シルビア(S15) 帝京大学

坂本陽夢選手(21歳)

出場3回目 180SX(RPS13) 太田自動車大学校

野中清文選手(19歳)

出場2回目 クレスタ(JZX100) 埼玉自動車大学校 五月女竜也選手(21歳)

初出場 スカイライン(ER34) 日本大学

白河瀬楠 選手( 19 2 シルビア( S 15) 東海大学熊本 尾内茂徳 選手( 24 5 M R 2 ( S W 20) 群馬大学大学院 2023 57
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グッドドライバー・レッスン in 利府 開催日:2023年7月21日 開催地:利府町文化交流センター リフノス(宮城県利府町) 主催:NPO法人グッドドライバー・レッスン 共催:宮城県利府町

モータースポーツも“安全”が大原則 地域と一緒に考える“運転の楽しさ”の伝道 地域とともに創る

ラリー競技を続けるには開催地域の理解が不可欠なもの。

代わりに地元の皆様に貢献できることが何かあるのでは? こんな視点で始まった体験型イベントが注目されている。

ここでは「ラリー開催の恩返し」に取り組む試みをご紹介。

PHOTO/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

日本ラリー選手権を戦うラリー ドライバー奴田原文雄選手が監 修する運転レッスンが全国各地 で開催されている。「グッドドライバー・レ ッスン」と題したこのイベントは、「“安全・ 楽しく・快適”に愛車との素敵なカーライフ のお手伝い」の実現を目的に、高齢ドライ バーを始め、若者やファミリーまで、幅広い 層にカーライフを楽しむためのコツや、運 転に役立つポイントを提供する試みとし て、2021年から行われている。

このイベントは、全日本ラリー選手権の 主催でもおなじみTEAM ARKの竹道雄康 氏が理事長を務める、NPO法人グッドドラ イバー・レッスンが運営しており、2019 年に実行委員会が発足して以来、北海道を 拠点にイベントが全国展開されている。

近年ではTOYOTA GAZOO Racingラ リーチャレンジに併せて、そのラリー開催 地域で行われることが多く、今回取材した 「グッドドライバー・レッスン in 利府」で は、翌日から開催されるラリーチャレンジ の競技役員が運営協力に携わっていた。

このレッスンの成り立ちについて、団体

の副理事長も務める奴田原選手は、「ラリ ーという競技は、地域の皆さんが使う道路 をお借りして競技会を行うので、何かこち らから地域に対して恩返しができないか、 と考えていました。私達は運転を専門とし て、クルマが大好きなので、交通事故が少 しでも減ることを望んでいます。そのた め、地域の皆さんの交通安全に貢献するよ

グッドドライバー・レッスンの監修を務めるのは全日 本ラリー選手権を戦うプロラリーストの奴田原文雄選 手。今回はラリードライバーの石田雅之選手や全日本 ジムカーナ選手権を戦う西野洋平選手がインストラ クターとして来場し、参加者との交流や運転にまつわ るアドバイスを行っていた。

モータースポーツ活性化を目指す飽くなき地域の取り組み
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会場は宮城県の利府町文化交流センター「リフノス」。

まずは参加者全員で開会式とストレッチ講習を受ける。

屋外にはプリウスを使ったアクセルとブレーキの踏み 間違え時に働くサポートブレーキ体験コーナーが設置。

路面に接するのは4つのタイヤだけ、ということで、タ イヤの構造や重要性を学べるコーナーも用意された。

うな講習会ができないかなと考えて、この レッスンを立ち上げました」と語っている。

イベントのメニューは実に多彩で、大き く分けて4種類のコンテンツを持つ。まず は参加者全員で開会式に参加し、運転時に 有効なストレッチを学ぶ。その後はグルー プ分けされて各レッスンを巡る流れだ。

三井住友海上の協力を得たシミュレータ ー体験では、身体機能と認知機能を数値化 するゲームや、地元利府町の事故多発地帯 を解説するレクチャーも行われた。トヨタ 自動車の協力による屋外でのサポートカー 体験では、最新機能を備えたいわゆるサポ カーの乗車体験に加え、運転姿勢を補正す るクッションの装着体験も用意された。ま た、ブリヂストンの協力によりタイヤの重 要性を学べる講義も行われ、講義と実体験 の両面で、運転にまつわるあらゆる知見を 得られるプログラムとなっていた。

そして、今回のメインとも言えるのがド ライビングレッスンだ。これは仮設された 教習コースを参加者が自家用車で走行する 体験プログラムで、奴田原選手による、安

風船をアクセルとブレーキに見立て、スクリーンの指示 に従って走行を疑似体験して、足首等の動きをほぐす。

踏み間違いの原因の一つとされる、運転中の足の開きを 補正するサポートクッションの体験コーナーも。

ドライブレッスンの最初に運転姿勢の基本を学ぶ。今回 は宮城県警の協力で警察車両を例に講義が行われた。

全運転に繋がる運転時の基本姿勢の講義を 受けた後に、各自がコースを走行する。

流れに乗る速度調整や一時停止、見通し の悪い交差点の通過、路上の段差超え、動 物の飛び出し、歩行者の横断、路肩への停 車といった、市街地走行で出会いがちな状 況が再現されており、各セクションにはイ ンストラクターが常駐して、参加者にアド バイスするという構成となっていた。

ハンドルを回す準備として、ゴム紐を使って上腕部のス トレッチ。利府町の熊谷大(ゆたか)町長も体験。

身体機能と認知機能をゲーム形式で数値化するコー ナーや、町内の事故多発地帯の対応の解説も行われた。

市街地走行のあらゆる状況を施設の駐車場に再現した 教習コースを走行する、この企画のメインコンテンツ。

イベントの最後には、奴田原選手から修 了証が手渡される。午前10時から始まっ たレッスンは、13時には終了していた。

このレッスンでは、クルマは単なる移動 の道具ではなく、クルマを運転すること自 体が楽しい行為であることの伝道も目的と しているという。運転の極限を知り尽くし たモータースポーツ関係者たちの地域への メッセージは全国で浸透しつつあるのだ。

レッスンの最後には すべてのプログラムを体験し終わった参加者は、奴田原選手から 参加者の名前入り修了証が授与される。そして今回は、交通安全 祈願で知られる長野県の蓼科山・聖光寺(しょうこうじ)の護符 「交通安全.鍵用守り」を参加者全員にプレゼントしていた。

モータースポーツ活性化を目指す飽くなき地域の取り組み 60

JAFが携わる“クルマのしごと”を 未来のドライバーたちが徹底体験!

ここでしか味わえない体験型イベント!~3つの視点から「くるま」に触れてもっとJAFが好きになる~ 開催日:2023年7月29日 開催地:JAF中央研修センター(東京都多摩市) 主催:JAF東京支部 対話と共創プロジェクト PHOTO/大野洋介[Yousuke OHNO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

学校中学年以上の子供を対象とした「ここでしか味わえ ない体験型イベント!~3つの視点から『くるま』に触れ てもっとJAFが好きになる~」が、7月29日に東京都多摩市の JAF中央研修センターで行われた。このイベントは子供の頃か ら自動車に触れて、自動車への興味関心を高めてもらうことを 目的としており、JAFが携わるロードサービスと交通安全啓発、 モータースポーツを核に、それぞれの自動車関連分野の理解を 深められる体験型プログラムとなっていた。

当日は参加者がグループ分けされて三つのコンテンツを順番 に体験。まずは、交通安全に欠かせないシートベルトの重要性 を伝えるクイズ形式の座学を経て、各地のイベントでおなじみ の「シートベルトコンビンサー」体験が行われた。そして、現役の ロードサービス隊員と一緒に行うパンク応急修理体験では、穴 が空いたタイヤをパンク修理キットを使って実際に修理すると いう、大人でも体験したい内容となっており、ロードサービスで

ロードサービス隊員が付き添 いで指南するタイヤ交換とパ ンク応急修理体験。本物の修 理キットでタイヤの穴を埋め る本格的な作業に子供たちは 興味津々だった。

使用する各種機材の解説も 併せて行われていた。

そして、モータースポーツ では、レーシングドライバー の三浦愛選手が登場して、

現在参加しているレース競

現役ロードサービス隊員による横転車 両の引き起こしは、最後に用意されたプ ログラム。真剣に取り組む隊員の手際 に参加者から拍手が湧いていた。

記者:海野遥真くん

記者:横山斎くん/巧くん

海野遥真くんは競技車両体験がお気に 入りで「クルマに乗れて良かったです。 体が奥まで入ったり、ハンドルが固く てビックリした」と語る。横山斎くんは 「パンク修理は力が要るって言われた けど、そんなに力が要らなかったので うまくできた。もう一回やりたいです。 レースカーは、ものすごく深く寝そべ る感じだったから、ほとんど前が見え なかった!」と驚いていた。

技の解説に加えて、実際の競技車両への子供たちの着座体験 が行われた。最後には、ロードサービス隊員が本番さながらの 手際で実施する横転車両の引き起こしを全員で見学。集合写 真撮影後に解散となった。

このプログラムは参加者がレポーターとなって取材を重ね、 その成果を壁新聞にして公開する企画ともなっており、現地で は目を輝かせた子供たちが積極的に質問をぶつけていた。

競技車両の運転席に座れる機会は滅多にないもの。提供され た各種体験は、きっと参加者の心に深く刻まれたことだろう。

“JAFくん”が正しい シートベルトの装着 方法を教える座学で はクイズ形式で子供 たちと質疑応答。お なじみのシートベル トコンビンサーもみ んなで体験した。

レーシングドライバーの三 浦愛選手がレースの仕組み を丁寧に解説。KYOJO.CUP で使用するVITA-01を持ち 込み、子供たちに着座体験を 提供してくれた。

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オート テスト 倶楽部

AUTO TEST CLUB

良県大和郡山市のアピタ大和郡山店 駐車場にて、8月6日に「オートテス ト2023 in 奈良」が開催された。主催の RC.NARAではオートテスト黎明期から、 奈良県下の自動車ディーラーや教習所など でオートテストを開催してきたが、近年で はこの商業施設での開催が続いている。

関西エリアで定期開催されているオート テストもそう多くないため、本大会は毎回 多くの参加者を集めているが、その秘密は インストラクターとして毎回関わっている 川脇一晃氏の存在も大きい。川脇氏は全日 本ジムカーナ選手権のトップドライバーと して活躍し、その経験を活かして、現在は オートテストの大会プロデュースや、ドラ イビンスレッスンの講師として、モーター スポーツ振興に尽力している御仁だ。

オートテストで始めるモータースポーツ テクニックを磨くスキルアップの道とは マイカーで参加できるオートテストは、その手軽さとわかりやすさがウケていて 多くのリピーターをはじめ、オートテストだけを長く続ける選手も増えている。 それに伴い、業界ではオートテストのステップアップについて検討が重ねられており 奈良の老舗大会では意欲的な試みが行われている。今回はその大会の模様と、 オートテストの新名所となりそうなエリアで行われた大会の模様を紹介しよう。

川脇氏はコース委員長として本大会のレ イアウト作りに関わっていて、慣熟歩行で はインストラクターとして、コースの基本 的な走らせ方や、経験者には細かなコース 攻略のコツなどを伝授してくれていた。

本大会は、商業施設を使うことで未経験 者が入りやすく、かつ初心者に配慮したわ かりやすさを求めているが、昨年秋に開催 された大会から、オートテスト経験者用に 「エキスパートクラス」を設けて、同じコー スを2周する試みが行われている。

オートテストも、2015年の日本導入時 から7年が経過している。初年度から参戦 している選手も多く、全国のオートテスト を巡っている強者もいる。初心者にとって はミスコースのない、走りやすいコース設 定が求められるが、ベテランになると、も

そんな選手を対象に、静岡県の富士スピ ードウェイでは、JAFのBライセンスを取得 した経験者向けの、シリーズ戦としてのや マイカーさえあれば手ぶらで参加できるのがオート テストの魅力の一つ。最低限のルールも現地のミー ティングで丁寧にレクチャーしてくれる。

う少し長い距離を走れて、より攻め甲斐の ある設定を求めたくなるものだ。

PHOTO/田代 康[Kou TASHIRO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]、田代 康[Kou TASHIRO]
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コース委員長を務める川脇一晃氏が慣熟歩行の インストラクターも担当。コース作成者だけに攻 略のコツを熟知しており、参加者は興味津々。

真夏の開催とあってRC.NARAではクールダウン できる設備を用意。ダイドードリンコが協賛する 飲料も冷やされ、癒やしの場となっていた。

やハイレベルな大会をいち早く開始してい るが、本大会を主催するRC.NARAでは、 一般の参加者は1周、エキスパートクラス 参加者は同じコースを2周するという新た な設定を開発して今大会に臨んでいる。

同じコースを“2周”する 腕磨きにはもってこいな試み オートテストは、200m×200mという エリアを一つの基準としており、会場の確 保やオーガナイズの手軽さも大切な要因と して始まっている。もちろん、ライセンス も、ヘルメットやグローブも要らないとい う手軽さは、走行速度を低く抑えることが 大前提となるのだが、初心者には十分であ っても、オートテストを長く続ける経験者 からは「物足りない」という声が挙がってい るのも近年の傾向となっている。

アピタ大和郡山店の駐車場を横長に使ったレイアウ ト。スタート直後に90度右折して前進でラインまた ぎに入る。後退してタイトターンからの長いスラ ロームセクションを経て、パイロン2本の大きな左 コーナーからのタイトな右旋回でガレージに前進で 入庫する。そこから90度後退で2個目のガレージに 入って前進でゴールだが、エキスパートクラスは、こ こからもう1周するレイアウトとなっていた。

本大会には奈良トヨペットの協力により86 (BRZ)クラスを設定。参加者には、炎天下にはあ りがたい専用の屋根付きパドックが用意された。

川脇氏は大会の最後に参加者の車両を運転する デモ走行を披露。コースの設定や整備に場内アナ ウンスにレクチャーにと、大忙しの一日となった。

大会の実況アナウンスを務めたのは、ジムカーナ ドライバーでもある蓬茨夕美さん(左)。川脇氏は ゲスト解説としてイベントを盛り上げた。

本大会の名物でもあるレディースクラスは7名が 参加。優勝は、いつものEF8 CR-Xではなく軽自 動車のライフダンクで挑んだ山本雪選手。

エントリーは60名。軽ATクラスは内藤宏章選手、軽MTは藤木正寛選手、普通ATは川原偉生選手、普通MTは 中西英登選手、86(BRZ)は久米貴志選手、レディースは山本選手、エキスパートは篠原賢爾選手が優勝した。

そういう意味で、同じコースを2周する という手法は、コース上のパイロン設定を 変更することなく、様々な運転レベルに対 応した走行をシームレスに開催できるため、 オーガナイザーの負担増を最小限に抑えら れる手法としての応用が期待できそうだ。 「昨年の11月にも“2周”の大会があった ので、今回で2回目の“2周”オートテスト 参加になります。やはり体力的にはキツイ

ものがありますね(笑)。1周目は自分のイ メージ通りに走れますが、2周目には『もっ と攻めなきゃ』と焦りが生じます。今回の2 周目でも1コーナーで行き過ぎて、最後も パイロンタッチしちゃいましたし(笑)。今 回のコースは時間にして1分10 ~ 20秒ぐ らいでした。そうなるとジムカーナと同じ オートテスト2023 in 奈良 開催日:2023年8月6日 開催地:アピタ大和郡山店駐車場 (奈良県大和郡山市) 主催:RC.NARA

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中辻典子選手@レディースクラス [スバル フォレスター]

MT車のフォレスターを愛用する中辻選手。「ク ルマは好きなんですが、一般道しか走ったこと がなくて」と語る割に、とても滑らかな競技運 転を披露。「Bライも取得したんですが、走る機 会がなかったのでようやく走れました」というこ とで、オートテスト初参戦で3位を獲得した。

くらい走ってることになるんですよね。オ ートテストって、速度が出ない分、ほぼ全 セクションでたくさんハンドルを回してま すから、休む時間がないわけですよ。この ぐらいの時間を集中して走るのは『正直、 しんどいな』ってなってます(笑)。でも、 この“2周”って面白くて、サーキット走行 だと1周するのに時間がかかりますよね。 でも、オートテストだと30秒経たずに1 周できるわけです。それって、周回する競 技の中で、1周目のミスを最短で修正でき る競技だってコトになりますよね。自分の ウデを高めるのに、最もコストパフォーマ ンスが高い競技だなと感じています!」 こう語るのは、ロールケージを組んだ NAの三菱ミニカから、希少な5速MT搭 載のコルト1.5Cに乗り換えて、エキスパ ートクラスに参加している古川和樹選手だ。

疲労や焦りが大きなドライビングミスに 繋がらないような、抜本的な安全対策が必 須となるが、オートテストはまだまだ進化 を遂げる、大きな可能性を秘めていること を感じさせる試みとなっていた。

岩手の新たな名所になりそうな TMEJでのオートテストが初開催

6月25日、岩手県金ヶ崎町のトヨタ自動

藤田輝男選手@普通MTクラス [マツダCX-5]

丁寧な操作で適格な運転をしていた藤田選 手。「職場の上司がジムカーナ選手で、その影 響で引き込まれました」とオートテスト参加 の理由を語る。写真は左から普通ATクラスに エルグランドで参戦した浅田恵亮選手、藤田 選手の師匠である川那辺学さん、藤田選手。

礒尾欣也選手@86(BRZ)クラス [トヨタGR86]

RX-8からGR86に乗り換えた礒尾選手。「GRガ レージさんから勧められて初参加しました。 GR86で12月にサーキット走行を体験しまし たが、ずっとMT車を乗り継いでいて、シフト やハンドルなど基本的な操作を学べるオート テストは楽しかったですね」と評価する。

萩本賢一選手@エキスパートクラス [ホンダ アクティ]

奈良トヨペットの支援でGR86/BRZカップを戦った萩 本賢一選手が実家の農園で使う軽トラで初挑戦。「農 道って、軽トラ一台分の道をバックで100mとか走るワケ ですよ。だからオートテストはそれが活きてます」と語 るように、独特の後退セクションも難なくクリアしてい たが、「実は、少し舐めていたところがあったんですが、 スタートラインに並んだときの緊張感が半端なくて (笑)。オートテストも十分に“モータースポーツできる”っ て思えたことが、今日の大きな収穫でしたね」と語る。

車東日本岩手工場で「2023年JAF オート テスト in TMEJ・IWATE」が開催された。

今回のオートテストは、トヨタ自動車東 日本岩手工場(TMEJ)を会場として同日開 催された「オール・トヨタ・グループ・フ ェスティバル2023」の一環として開催さ れたもの。同フェスティバルは、岩手県内 のトヨタ系販売会社が一堂に会して様々な 催し物を提供するイベントとして、地元の 人々に広く親しまれてきたもので、今年は コロナ禍を経て4年ぶりに復活となった。

会場では、カスタムカーも含めたトヨタ 車の展示や、試乗コーナー等が設けられた ほか、「給油チャレンジ」や「タイヤボウリ ング」などのTOYOTA GAZOO Racing コーナーも用意され、広大なイベントスペ ースは多くの家族連れで賑わった。

モータースポーツ関連では、2010年の ニュルブルクリンク24時間耐久レースに 参戦してクラス優勝を果たしたレクサス LFAが特別展示され、TMEJ-MCが参戦す るラリーチャレンジ車両や、クスコ製品を 装着したデモカーなどが展示されていた。

そして、岩手が地元のレーシングドライ バー佐々木雅弘選手とスーパーGTではス バルBRZを駆る井口卓人選手が、オートテ スト会場でデモランと同乗走行を行った。

田尻沙知子選手@レディースクラス [三菱FTO]

真紅のFTOで、当時のロゴ入り公式ブルゾン持参でオー トテストに初参加した田尻選手。「80スープラが欲し かったんですが、パジェロミニに乗っていて、三菱の“乗 り味”が気に入っていたこともあり、三菱車で丸っこい デザインだったFTOを探しました。関東でいい出物が見 つかり、その夜に夢にまで出てきたので、現車を見ずに 買いました(笑)」と愛車と出会った経緯を熱く語る。 「オートテストなら敷居が低そうで、和気あいあいとした 雰囲気が楽しそうだったので参加しました。ATのモード 選びに失敗したり、走らせ方もミスりましたが、安全運 転や車両感覚を掴むことが大事だと思っているので、 オートテストはそういう試行錯誤できる場として大事だ なと感じましたね」と、スポーツ走行自体が初体験となっ た今大会を振り返ってくれた。

岩手県では、ここ数年、県南部を中心と した会場でオートテストが複数回開催され ており、今年も4月29日に東北自動車道 の平泉スマートIC駐車場で、100台を超え る参加者により開催されるなど、オートテ スト人気が定着した地区となっている。

今回のオートテストは、普段、トヨタ自 動車東日本岩手工場の従業員駐車場として 使われている広大な敷地の一角を使用して 行われた。コースレイアウトは、スタート 後、まずスラロームをクリアして、4本の パイロンで囲われた二つのセクションを大 きくターンした後に、再びスラロームを経 て、「ラインまたぎ」にチャレンジ。そこか らバックして「ガレージ」(車庫入れ)をこな

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岩手・金ヶ崎工場の名物行事に今年はオートテストがコラボ!

広大な会場にはトヨタ車の展示や試乗 コーナーなどが設けられ、TOYOTA GA ZOO Racingによる体験コーナーも用意 され、多くの家族連れで賑わった。

地元の佐々木雅弘選手と井口卓人選手がゲスト! レーシングドライバーの佐々木雅弘選手と井口卓人選手 が来場し、オートテスト会場ではGR86による同乗走行や デモランを披露。4年ぶりの開催に華を添えてくれた。

7月15日オープンの佐々木雅弘選手プロ デュース「GRガレージGROW盛岡」も ブースを出展。AE86と自身が開発に関 わったGR86を展示した。

してゴールという設定だ。タイムは小数点 以下3桁まで計測するが、その3桁は切り 捨てとして、1秒1ポイントとしてカウン トして順位を競う方式が採られた。

このトヨタ自動車東日本岩手工場は、前 身の関東自動車工業時代の2000年代初頭 に、当時、敷地内に作られたグラベルコー スである「ダートアドベンチャー金ヶ崎」で 全日本ダートトライアル選手権も開催され ており、同所においては久々のモータース ポーツイベントの復活となった。

また、7月15日には佐々木雅弘選手プロ デュースによる岩手県下初のGRガレージ である「GRガレージGROW盛岡」が岩手 県の紫波町にオープンしており、今後さら にモータースポーツイベントが開催される ことや、岩手のモータースポーツ自体の活 性化につながることが期待されている。

2023年JAFオートテスト in TMEJ・IWATE 開催日:2023年6月25日 開催地:トヨタ自動車東日本・ 岩手工場(岩手県金ヶ崎町) 主催:BLEST

工場の従業員駐車場の一角を使用した今大会。スタート 後には左右に旋回するスラロームから、4本パイロンで囲 われた二つのセクションを大きくターンした後に、再び スラロームを経てラインまたぎに前進入庫。そこから後 退してガレージに入り、90度右旋回でゴールする設定。

オートテスト会場ではGR86を使用した 同乗走行が行われ、佐々木雅弘選手と井 口卓人選手の走りをナビシートで体験で きる貴重な機会となった。

本大会には先着15名で当日エントリーも 可能で、車両レンタルもできる至れり尽 くせりの内容。車両もアクアGRスポーツ など話題の新型車が用意されていた。

大嶋茂樹選手@MT-Aクラス

大嶋真理子選手@ウィメンクラス

[スズキ スイフトスポーツ]

千葉県から夫婦で参加した大嶋茂樹・真理子選手。「二 人でサーキットを走りたくて、競技に出るとBライが取 れるということでオートテストを知りました。初参加の 人も多くて気軽に楽しめたので、ハマってます」とは茂 樹選手。真理子選手はクラス優勝を果たしている。

山田脩一朗選手@AT-Bクラス [トヨタ 86]

今回が2度目のオートテスト参戦となった山田選手は、 「前回のデビュー戦でうまく走れず悔しい思いをした ので、今日はしっかり走り切ろうと思ったんのですが、 お客さんが多くて気持ち良くなり過ぎてしまったので、 ちょっと危なかったです」と苦笑い。

岩渕佐保里選手@ウィメンクラス

[日産ルークス]

「佐々木選手のデモランを目当てに駆け付けました。 SUGOのスーパーGTは毎年観戦してますが、オートテス トは今回で2回目です」と話すのは岩渕選手。「1本目は 完走できないのがお約束になりつつあるので(笑)、次こ そは2本ともしっかり完走したいですね」。

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