JAFスポーツ 2021年 冬号(第55巻 第1号 2021年2月1日発行)

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2021 WINTER JAF MOTOR SPORTS JAFスポーツ[モータースポーツ情報] JAF MOTOR SPORTS 第55巻 第1号 2021年2月1日発行(年4回、2、5、8、11月の1日発行) 特集 Victory Road 栄光の軌跡 2020年チャンピオン獲得への道筋 初栄冠の誉れ 全日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権“初”チャンピオンインタビュー 2020年JAFモータースポーツ表彰式
Headl クーデリア・アルファタウリ・ ホンダが、12月16日、2021年 のFIAフォーミュラ1世界選手 権(F1)に角田裕毅選手の起用を発表した。 これにより、2014年まで活躍した小林可 夢偉選手以来、7年ぶりに日本人F1レギュ ラードライバーが誕生することとなった。 角田選手は、神奈川出身で20歳の若手 ドライバーで、ジュニアカート選手権、全 日本カート選手権に参戦しながら、鈴鹿サ ーキットレーシングスクール(SRS)でフ ォーミュラのドライビングを磨き、2016 年のスーパーFJで四輪レースにデビュー した。 F1日本グランプリのサポートレースと して開催されたスーパーFJドリームカッ プおよび日本一決定戦で優勝したほか、 2017年にはJAF-F4東日本シリーズでチ ャンピオンを獲得し、日本一決定戦でも優
よびレッドブル・ジュニアチームのサポー トを受けて、2019年のFIA-F3に参戦。計 3回の表彰台を獲得する。2020年にはFIA -F2に挑み、フィーチャーレースで2勝、 スプリントレースで1勝と合計3勝をマー ク。7回の表彰台を獲得し、ルーキーなが らランキング3位に着け、2020年の「ピレ リトロフィー」とルーキー・オブ・ザ・イ ヤーにあたる「アントワーヌ・ユベール・ アワード」を獲得した。 角田選手は2020シーズン中からF1昇 格が期待されており、11月にはイタリア・ イモラを舞台に、スクーデリア・アルファ タウリ・ホンダで初めてのF1テスト走行 に参加。12月15日には、アブダビで開催 されたヤングドライバーテストに臨み、同 じくスクーデリア・アルファタウリ・ホン ダのF1マシンをドライブした。 スーパーライセンスポイントの獲得やテ ストの走行距離など様々な要件をクリアし た角田選手に対して、スクーデリア・アル ファタウリ・ホンダは、ピエール・ガスリ ー選手のチームメイトとして角田選手を抜 擢することを発表したのである。 スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ のチーム代表、フランツ・トスト氏は、角 2021年、角田裕毅選手がF1レギュラードライバーとして参戦! FIA-F2は最終戦でシリーズ3位に急浮上!7年ぶりの日本人F1パイロットが世界の舞台に挑む フォト/本田技研工業、Red.Bull.Content.Pool、友田宏之、JAFスポーツ編集部 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部 ス 角田裕毅選手は、11月の イモラと12月のアブダ ビで、スクーデリア・ア ルファタウリ・ホンダの F1マシンによるテスト走 行をこなし、F1参戦に必 要な要件をクリアした。 Headline モータースポーツ話題のニュース速攻Check! 4
勝。2018年にはスーパーGT併催のFIA -F4シリーズでチャンピオンに輝き、国内 レースにおいて着実に成績を残しながらス テップアップしていった。 その実績が高く評価された角田選手は、 ホンダのヤングドライバープロジェクトお

田選手を以下のように高く評価する。 「ユキ(角田選手)は私たちのチームにとっ て素晴らしい財産になると確信していま す。2020年のFIA-F2で彼を見て、レース にアグレッシブな姿勢で臨み、テクニカル に対して理解していることが分かりまし た。11月のイモラでのテストでも彼のラッ プタイムは安定していたし、エンジニアに 有益なフィードバックも行っていた。12月 のアブダビでのテストでも、彼は飲み込み の早さを披露し、F1への一歩を踏み出す準 備ができていることを証明しました」。 角田選手のF1参戦の報は、日本のモー

夢が叶ったことになり、とても嬉しく思い ます。世界最高峰のステージでの戦いはこ れまで以上に険しいものになると思います が、世界最速という次の夢を追う角田選手 がそこで大活躍してくれることを楽しみに しています」。

さらに鈴鹿サーキットレーシングスクー ルを運営する株式会社モビリティランドの 田中薫社長も祝辞を贈る。 「7年ぶりの日本人F1ドライバーの誕生 をとても嬉しく思います。角田選手は SRS(鈴鹿サーキットレーシングスクール) の出身であり、ホームコースと言える鈴鹿 への凱旋を心待ちにしております」。 そして、F1への参戦が決定した角田選手 自身は、以下のように意気込みを語る。 「レースの世界で戦う多くのドライバーと 同じように、僕にとってもF1ドライバー になることは、小さな頃からの夢でした。 ですので、2021年からF1の舞台でレース ができることを本当に嬉しく思っていま す。僕がF1でレースをすることは、日本

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タースポーツ関係者にとっても嬉しいニュ ースで、本田技研工業の八郷隆弘社長は以 下のように言葉を寄せている。 「まずは、角田選手に“F1レギュラードラ イバー昇格おめでとう!”と伝えたいで す。また、F1を夢の舞台として目標とする 若手ドライバーたちを長年応援している私 たちにとって、角田選手がF1のレギュラ ードライバーの座を掴んだことは、一つの
で応援してくれるファンの皆さんの夢を背 負って戦うことでもあると思っています。 皆さんと一緒にさらなる夢を叶えられるよ う、これからも全力で戦っていきます」。 レーシングカートからキャリアを始め、 2016年に四輪レースにデビューしてか ら、僅か5年で世界最高峰フォーミュラの シートを手に入れた角田選手。 年末恒例のFIA Prize Givingでは「FIAル ーキー・オブ・ザ・イヤー」に選出され、角 田選手の活躍には世界が注目している。 F1でどのようなパフォーマンスを見せ るのか。F1でのラストイヤーに挑むホンダ と共に角田選手の活躍に期待したい。 2020シーズンはFIA-F2にチャレンジした角田選手。 ルーキーイヤーながらも年間3勝を挙げ、最終ラウン ドでは自力でランキング3位を獲得するなど、土壇場 での勝負強さも見せ付けた。 スーパーGTと併催されるFIA-F4で2018年ドライバー チャンピオンを獲得した角田選手。翌年はFIA-F3とEFO に参戦するなど、フォーミュラの特訓に明け暮れた。 2017年にはフォーミュラ4地方選手権、いわゆる「JAF -F4」の東日本シリーズでチャンピオンを獲得。JAF関 東モータースポーツ表彰式にも出席して笑顔を見せた。 5

た角田裕毅選手に対しては、FIAルーキ ー・オブ・ザ・イヤーを授与。角田選手も 受賞の喜びをビデオメッセージで寄せた。 今季4回目のWMSCが開催 12月16日には2020年としては最後とな るFIA世界モータースポーツ評議会(WM SC)が開催され、FIAジャン・トッド会長、 グラハム・ストーカー副会長以下、多くの メンバーがオンライン会議に参加した。 今回の注目はFIAフォーミュラ1世界選 手権(F1)の2021年カレンダーで、過去 最大となる23戦での開催を明らかにした が、4月の第4戦が調整中である他、第5 戦バルセロナがプロモーターとの契約締 結、第22戦サウジアラビアはサーキット 公認取得が条件となるなど、不確定要素も 含まれている。また、新型コロナウイルス 感染症の影響で2020年の開催を見合わせ たF1日本グランプリは、2021年10月10

LMP2、LMGTEの二つのグループに分か

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選手は、同日に日本で開催されたスーパー フォーミュラ最終戦参戦のためライブ出演 は叶わず、小林選手はビデオメッセージを 寄せる形での参加となった。 また、スクーデリア・アルファタウリ・
日に第18戦として開催される予定だ。 WECに関しても、今回のWMSCで多 くのことが決定している。最大のポイント はシンプルな予選フォーマットが復活した ことだろう。2名のドライバーの合計タイ ムで争われていた現在の方式を廃し、1台 のクルマにつき1名のドライバーのベスト タイムでグリッドを決定。ハイパーカーと
れて各10分間の予選が行われる予定だ。
年恒例のFIA Prize Givingが 12月18日に行われたが、例年 のように受賞者が一堂に介する のではなく、初の「バーチャルセレモニー」 として、リモート形式での開催となった。 司会はフォーミュラEのレポーターとし ておなじみのニッキー・シールズ氏と、FIA ドライバー委員会の代表も務めるトム・ク リステンセン氏。FIAジャン・トッド会長 もスタジオに出演し、オンラインで繋がっ た世界各地の受賞者の栄誉を讃えた。 日本人としてはFIA世界耐久選手権(W EC)のTOYOTA GAZOO Racing勢が対 象となったが、中嶋一貴選手と小林可夢偉 FIA授与式、2020年最後のFIA WMSCがオンライン形式で開催 年末恒例のFIA Prize Givingが開催され、インターネットを介して受賞の喜びが伝えられた! フォト/FIA、WTCR、吉見幸夫、堤晋一、小竹充 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部 毎 Headline モータースポーツ話題のニュース速攻Check! 6
ホンダから2021年のF1参戦が発表され
2021年にはルマン・ハイパーカー・カ
テゴリーが導入されることから、シーズン 前およびシーズン中のテストが増える予定 で、LMP2およびLMGTAmクラスもテス トマイレージが追加されるようだ。 そして、継続的に取り組んでいるコスト 削減の一環として、ハイパーカーの参戦チ ームの運営スタッフを40名、ハイブリッ ドシステム搭載車の場合は43名に制限 (ル・マン24時間レースを除く)した他、

ル・マン24時間レースも2週間ではなく、 10日間に日数を短縮。車検とプレ・レー スチェックはレースウィーク前週の金曜と 土曜に行われ、前週の日曜のテストデーと ル・マン24時間レースを兼ねて両方にカ ウントされることになった。 また、FIA GT委員会では新クラス車両で ある「エレクトリックGT」の技術規定が認 められ、2021年の「FIAエレクトリックGT 競技会」開催を目指す。同様にFIAツーリ ングカー委員会も「エレクトリック・ツー リングカー競技会」開催を推進することが 明らかになり、着実に電動車によるモータ ースポーツの整備が進んでいる。 毎年鈴鹿サーキットで開催されているソ ーラーカーレース鈴鹿は7月30~31日開 催が承認されたが、既報の通り、2021年開 催をもって終了することになっている。 FIA世界ツーリングカーカップ(WTCR) については、ルーキードライバータイトル をジュニアドライバータイトルに変更。 2021年には最低3戦の出場義務を課した 女性ドライバーズタイトルも新設される。 2020年のTCRジャパンシリーズでは 下野璃央選手が素晴らしい活躍を見せただ けに、WTCRの女性ドライバータイトルも

見逃せないポイントとなるだろう。 WRCには新たなバトルが

FIA世界ラリー選手権(WRC)に関して も選手権規定の変更が承認された。まず、 これまでドライバーに与えられていたパワ ーステージでのボーナスポイントが、マニ ュファクチャラーにも付与されることが決 定。上位5位でフィニッシュしたドライバ ーのうち2名のポイントが獲得可能で、マ ニュファクチャラーズ選手権のバトルに新 しい要素が追加されることになった。 また、2021年からピレリがタイヤのシ ングルサプライヤーとなったことで、FIA は各マニュファクチャラーに認めるテスト 日数として9日間を追加した。

WRCでは、すでに第2戦スウェーデンの 中止が発表されているが、FIAはWRCの価 値を確保するために、少なくとも当初予定さ れていたカレンダーの半分を開催しなけれ ばならないと今回のWMSCで明文化した。 さらにWRC2、WRC3などのサポート 選手権についても、当初の予定より減る場 合は、参加の最小人数とイベント数の調整 を図る可能性があることも加えている。 また、今回のWMSCではリージョナル

ラリー選手権のカレンダーも発表された。

FIAアジア・パシフィックラリー選手権 (APRC)は、アジアカップが2月4~7日 のラリー・オブ・嬬恋を皮切りに、南イン ド・ラリー、9月10~12日の第3戦ラリ ー北海道、ラリー・ロンユウの計4戦で開 催。パシフィックカップも4戦で、コフス ハーバー・ラリーが最終戦となり、各上位 ランカーで争われる予定となっている。 なお、リージョナルラリー選手権が4戦 以下となった場合は全戦有効となる他、コ スト削減のために走行距離を短くするな ど、新型コロナウイルス感染症の状況によ り競技のコンパクト化が認められている。

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またドリフト競技については、「インタ ーコンチネンタル・ドリフティング・カッ プ」がロシアのRDSをプロモーターとする ことが承認され、最初の大会がラトビアで 開催されることも決定したようだ。

なお、今回のWMSCではFIA委員会の 改選も行われており、FIAシングルシータ ー委員会は、F1の次期CEO、ステファ ノ・ドメリカリ氏に代わって、ロバート・ ファーンリー氏が委員長に就任。FIAドリ フト委員会では引き続き、飯田章氏が委員 長を務めることが決定している。

今季FIA-F2で躍進した角田裕毅選手 FIAルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得 ルーキーにも関わらずFIA-F2最終戦でシリーズ3位を獲得し た角田裕毅選手。今季の特筆した活躍と成長ぶりが評価され、 FIAはFIAルーキー・オブ・ザ・イヤーを授与。 日本での開催がなくなったWTCRだが、2021年には女性を対 象としたタイトルを新設。国内でも気鋭の女性ドライバーが 多く活躍しているだけに、活況が期待できそうだ。 ソーラーカーレース鈴鹿は2021年7月30~31日開催が承認 された。しかし、1992年から長きに渡って開催された大会は 2021年の開催をもって幕を閉じることが発表されている。 東京・台場と筑波サーキットで開催されたFIAインターコンチ ネンタル・ドリフティング・カップ。2021年から3年間は、ロ シアのRDSシリーズがプロモーターを担当することに。 2021年のF1日本グランプリは10月10日に鈴鹿サーキットで の開催が明らかとなった。久々に誕生した日本人F1パイロッ ト・角田選手の活躍を生で観られるチャンスとなる。 7
2021 冬 CONTENTS HEADLINE 4 2021年、角田裕毅選手がF1レギュラードライバーとして参戦! 6 FIA授与式、2020年最後のFIA WMSCがオンライン形式で開催 SPECIAL ISSUE 10 輝く勝利の栄冠 2020年JAFモータースポーツ表彰式 16 巻頭特集 Victory Road~栄光の軌跡~ 2020年チャンピオン獲得への道筋 全日本スーパーフォーミュラ選手権 全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 FIAインターナショナルシリーズ スーパーGT 全日本カート選手権OK部門/FS-125部門/FP-3部門 36 初栄冠の誉れ 2020年全日本選手権“初”チャンピオンインタビュー 全日本ジムカーナ選手権 全日本ダートトライアル選手権 47 『コ・ドラ』のお仕事 業務は幅が広くて奥深い!ドライバーを勝利に導く“コ・ドライバー”の役割とは!? 52 決勝レースのアプローチ 時間は有限! レースウィークをどう戦う!? 全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 62 オヤジ達の逆襲 「新人」だけど速くて強い! 遅咲き熟年ドライバーを侮るな!! TOPICS 35 2020年JAFモータースポーツ表彰式受賞者一覧 42 明日への挑戦 モータースポーツ活性化を目指す飽くなき取り組み 59 オートテスト倶楽部 愛するクルマとじっくり対話して、操る愉しみと安全運転を再発見! INFORMATION 34 INFORMATION from JAF モータースポーツ公示・お知らせ(WEB)一覧 (2020年10月1日~2020年12月24日) 34 2020年JAF地方選手権表彰式開催予定一覧 JAF MOTOR SPORTS JAFスポーツ[モータースポーツ情報] 監修/一般社団法人 日本自動車連盟 〒105-0012 東京都港区芝大門1-1-30 ☎0570-00-2811(ナビダイヤル) 発行所/(株)JAFメディアワークス  〒105-0012 東京都港区芝大門1-1-9野村不動産芝大門ビル10F ☎03-5470-1711 発行人/西岡敏明 振替(東京)00100-88320 印刷所/凸版印刷株式会社 編集長/佐藤均 田代康 清水健史 大槻聡 デザイン/鎌田僚デザイン室 編集/(株)JAFメディアワークス JAFスポーツ編集部 ☎03-5470-1712 COVER/2020年FIAインターナショナルシリーズ スーパーGT第8戦 PHOTO/石原康 本誌の記事内容は2020年12月24日までの情報を元にしております。また、社会情勢等によって、掲載した情報内容に変更が生じる可能性がございます。予めご了承ください。
輝く勝利の栄冠 JAF MOTOR SPORTS AWARD 2020 本来であれば 11 月下旬に東京都内の 2020 J A F フォト/石原康、宇留野潤、遠藤樹弥、 加藤和由、小竹充、廣本泉、吉見幸夫、 FRS、INDYCAR、TOYOTA.GAZOO.Racing、 JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部 国内モータースポーツの一年を締めくく る集大成として毎年開催されている「JAF モータースポーツ表彰式」。この表彰式は 各カテゴリーで活躍した 年間上位入賞選手を表彰! 国内四輪モータースポーツを統轄する一般 社団法人日本自動車連盟が主催するもの で、国際格式や全日本選手権等で好成績を 収めた上位選手たちの栄誉を称える晴れ舞 台の場となっている。 だが、2020年度は新型コロナウイルス 感染症の感染拡大の影響により、従来の対 面形式での表彰式は残念ながら中止となっ てしまった。その代替として実施されたの が、事前収録形式の表彰式だ。 12月24日19時から配信された表彰式 の映像には、国内外で特に目覚ましい活躍 を遂げた選手や団体に贈られる「JAFモー タースポーツ特別賞」を皮切りに、FIA F4 選手権、フォーミュラリージョナル選手 権、全日本ジムカーナ選手権、全日本ダー トトライアル選手権、全日本ラリー選手 権、ジュニアカート選手権、全日本カート 選手権、全日本スーパーフォーミュラ・ラ イツ選手権、FIAインターナショナルシリ ーズ スーパーGT、全日本スーパーフォー ミュラ選手権の、チャンピオンたちの受賞 コメントが収録されている他、シリーズ成 績上位者に対する、リモート形式による賞 典授与の様子も収録。 FIAエレクトリック&ニューエナジーチ ャンピオンシップ、JAFカップオールジャ パンジムカーナ、JAFカップオールジャパ ンダートトライアルは開催が中止となった ため、賞典の授与は行われなかった。 この表彰式をもって2020年国内四輪モ ータースポーツの激動の一年がひと区切り となった。なお、表彰対象者への各賞典は 1月頃から発送される予定となっている。 10
2020年JAFモータースポーツ表彰式 JAFモータースポーツ表彰式プレゼンター 輝く勝利の栄冠 事前収録映像公開日:2020年12月24日(木) 一般社団法人日本自動車連盟 藤井一裕会長 一般社団法人日本自動車連盟 島雅之専務理事 一般社団法人日本自動車連盟 坂口正芳副会長 JAFスピード競技部会 村瀬秋男部会長 一般社団法人日本自動車連盟 杉山雅洋副会長  JAFカート部会 小島義則部会長 11
全日本スーパーフォーミュラ選手権チャンピオン 12 JAFモータースポーツ特別賞  この「JAFモータースポーツ特別賞」は、 国内外の各種モータースポーツで著しい成 績を収めた人物や団体に贈られる。イン ディ500優勝の佐藤琢磨選手、ルマン24 時間レース総合優勝の中嶋一貴選手、WEC. LMPドライバーズチャンピオンの小林可夢 偉選手、全日本ラリー選手権ナビゲーター 部門11連覇の井上裕紀子選手、ルマン24 時間レース総合優勝のTOYOTA.GAZOO. Racingの4名と1チームに賞が授与された。 2020年インディカー・シリーズ第7戦 インディアナポリス500マイルレース優勝 佐藤琢磨選手 全日本ラリー選手権 ナビゲーター部門11年連続チャンピオン 井上裕紀子選手 スーパーフォーミュラ・ドライバー 山本尚貴選手 スーパーフォーミュラ・チーム VANTELIN.TEAM.TOM'S スーパーフォーミュラ・メカニック賞 DOCOMO.TEAM.DANDELION.RACING 2019-2020年FIA世界耐久選手権 LMPドライバーズチャンピオン 小林可夢偉選手 2019-2020年FIA世界耐久選手権第7戦 ルマン24時間レース総合優勝 中嶋一貴選手 2019-2020年FIA世界耐久選手権第7戦 ルマン24時間レース総合優勝 TOYOTA.GAZOO.Racing
輝く勝利の栄冠 JAF MOTOR SPORTS AWARD 2020 全日本カート選手権チャンピオン ジュニアカート選手権チャンピオン 13 OK部門 渡会太一選手 FP-Jr部門 落合蓮音選手 FS-125部門 津野熊凌大選手 FP-Jr.Cadets部門 金子准也選手 FP-3部門 中村仁選手 全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権チャンピオン スーパーフォーミュラ・ ライツ・ドライバー 宮田莉朋選手 スーパーフォーミュラ・ ライツ・チーム カローラ中京.Kuo. TEAM.TOM'S スーパーフォーミュラ・ ライツ・エンジンチューナー 株式会社トムス フォーミュラリージョナル選手権チャンピオン FIA F4選手権チャンピオン フォーミュラリージョナル・ ドライバー 阪口晴南選手 FIA.F4・ドライバー 平良響選手 フォーミュラリージョナル・ チーム SUTEKINA.RACING. TEAM FIA.F4・チーム TGR-DC. Racing.School FIA インターナショナルシリーズ スーパーGTチャンピオン GT500クラス・ドライバー 山本尚貴選手 GT300クラス・ドライバー ジョアオ・パオロ・デ・ オリベイラ選手 GT500クラス・ドライバー 牧野任祐選手 GT300クラス・ドライバー 藤波清斗選手 GT500クラス・チーム TEAM.KUNIMITSU GT300クラス・チーム KONDO.RACING
全日本ラリー選手権チャンピオン JN6ドライバー 明治慎太郎選手 2016年以来2回目 JN5ドライバー 天野智之選手 7年連続12回目 JN3ドライバー 曽根崇仁選手 2017年以来3回目 JN4ドライバー 古川寛選手 2018年以来2回目 JN2ドライバー 中平勝也選手 初タイトル JN1ドライバー 新井大輝選手 初タイトル JN6ナビゲーター 里中謙太選手 初タイトル JN4ナビゲーター 小藤桂一選手 初タイトル JN5ナビゲーター 井上裕紀子選手 11年連続13回目 JN3ナビゲーター 竹原静香選手 初タイトル JN2ナビゲーター 大矢啓太選手 初タイトル JN1ナビゲーター 小坂典嵩選手 初タイトル 14 史上初の収録形式となった2020年のJAFモータースポーツ表彰式  例年であれば上位入賞者らが一同に介して都内のホテルで盛大に開催されるはず だったJAFモータースポーツ表彰式。前記のとおり、新型コロナウイルス感染症の感染 が拡大している状況を鑑みて、2020年の表彰式は収録形式が採られたわけだが、収録 現場でも感染リスクを避けるためにさまざまな策が講じられ、慎重に撮影が行われた。  まず表彰対象者の出演は基本的に行わず、事前にVTRでチャンピオン獲得のコメン トを収録した。次に出演者や関係者は当日の検温を実施、手指消毒を徹底し、密になら ないよう事前にスケジューリングされた時間で入れ替わりながら撮影を行った。司会 進行役やプレゼンターたちはマスクやフェイスシールドを併用しながらの打ち合わせ やリハーサルをし、透明アクリル板の設置、ソーシャルディスタンスが確保された。 収録現場に出入りする出演者ならびに関係者は、必 ず検温を実施。スタジオに入る際は都度、手指の消 毒を行い、マスクとフェイスシールドを着用した。 ソーシャルディスタンスが保たれるとともに、司 会進行の伊藤ソニア氏とピエール北川氏の間には 透明アクリル板が設置され、飛沫の飛散防止の対 策が施された。 賞典の授与は直接の手渡しではなく、手袋着用で 一旦台の上に置かれた後に、表彰対象者が受け取 るスタイル。今回、唯一人表彰式に出席した小林可 夢偉選手はセルフで賞典を受け取った。
全日本ジムカーナ選手権チャンピオン 全日本ダートトライアル選手権チャンピオン PN1 斉藤邦夫選手 2018年以来12回目 PN2 山野哲也選手 4年連続20回目 PN4 野島孝宏選手 2016年以来2回目 PN3 西野洋平選手 2年連続3回目 SA・SAX1 小武拓矢選手 初タイトル PN1 上野倫広選手 2年連続2回目 PN2 宝田ケンシロー選手 2年連続4回目 N 北條倫史選手 3年連続5回目 PN3 山崎利博選手 2018年以来4回目 SA・SAX1 葛西キャサリン伸彦選手 初タイトル SA・SAX2 高江淳選手 3年連続3回目 SA・SAX3 久保真吾選手 2016年以来2回目 SC 西原正樹選手 4年連続11回目 SA・SAX4 津川信次選手 2018年以来9回目 SA・SAX2 荒井信介選手 2015年以来10回目 SC2 大西康弘選手 初タイトル D 炭山裕矢選手 2年連続5回目 輝く勝利の栄冠 JAF MOTOR SPORTS AWARD 2020 15  2020シーズンに各モータースポーツカテゴリーで活躍した選 手たちを称えるJAFモータースポーツ表彰式が、オンラインで視聴 可能となっている。表彰式全編を始め、カテゴリー別にも視聴でき る。タイトルを獲得した選手たちの喜びのコメントや表情をぜひご 覧ください。 http://jaf-sports.jp/award2020/index.htm 2020 JAF MOTOR SPORTS AWARD好評配信中!

同様だった。全日本スーパーフォーミュラ 選手権に関していえば、3月初頭に予定し ていた鈴鹿サーキットでの合同テストをキ ャンセル。3月末に富士スピードウェイで 2日間のテストを実施したが、この頃には 感染状況がどんどん悪化していた。 しかも、富士テストに参加した外国人ド ライバーとともに来日したマネージャー が、帰国直後に陽性者だったことが判明。 当該チームは使用したガレージすべてを消 毒し、濃厚接触者となったスタッフは、 PCR検査と2週間自宅待機を要請される など、感染は、すぐそこにある危機として 認識された。

Victory Road 栄光の軌跡 2020年チャンピオン獲得への道筋 JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権 JAF全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 FIAインターナショナルシリーズ スーパーGT JAF全日本カート選手権 OK部門/FS-125部門/FP-3部門 鈴鹿ウィナー山本尚貴選手が富士でも快走 スーパーGTに続く、最終戦での逆転王者に 動を停止する事態となった。 テストもレースも延期され、その後の予 定が見えない状況となり、各チームのファ クトリーも、先が見えない休みに入った。 もちろんドライバーたちも自宅待機となり、 各地のジムでクラスターが発生していたこ ともあり、自宅でのトレーニングやデジタ ルツールを駆使したシミュレーションなど を余儀なくされた。緊急事態宣言中は、各 オーガナイザーも活動再開に関する決定が できず、モータースポーツ業界全体が、不 安な日々を過ごしたと言っていいだろう。 型コロナウイルス感染症のパン デミック。その存在は、2020 年1月頃に中国・武漢で確認さ れて以降、感染は世界各地へと拡大し、も ちろん日本も例外ではなかった。 日本政府の封じ込め政策は、初期段階で は入国管理の厳格化を含めて言葉がない状 況で、未知のウイルスということもあり、 先の見えない感染拡大防止に追われた。 そして、不要不急の外出自粛要請が出さ れ、全国の学校を休校にすることが決ま る。4月7日になると、新型インフルエン ザ等対策特別措置法に基づき、ようやく政 府は全国に緊急事態宣言を発出した。 多くの企業はリモートワークに切り替 え、商業施設の営業自粛など、多くの経済 活動がストップする。東京や大阪などの大 都市でも、繁華街から人の姿が消えた。 こうした動きは、モータースポーツ界も
そして、政府から緊急事態宣言が発出さ れ、それを受けたJAFは、主催者に対し て公認競技会を自粛や延期する措置を要請 した。これにより、他のスポーツやイベン トと同様に、国内モータースポーツ界も活 JAF 全日本スーパーフォーミュラ選手権 新 16
Road 栄光の軌跡 2020年チャンピオン獲得への道筋 フォト/石原康、吉見幸夫、JAFスポーツ編集部 レポート/貝島由美子、JAFスポーツ編集部 全日本選手権2020年開催の最後を飾ったスーパーフォーミュラは、 平川亮選手と山本尚貴選手、野尻智紀選手、ニック・キャシディ選手の4名に 2020年ドライバータイトル獲得の権利が残されていた。 最終戦の富士大会は、路面温度は低かったものの快晴に恵まれ、 決勝レースでは、最後までタイトルの行方が見えない混戦となった。 組み直された新カレンダーは 8月下旬から12月下旬の全7戦に その後、6月にJAFモータースポーツ部 主導による国内主要レースの主催者やプロ モーターを交えた会議が行われ、スーパー フォーミュラを運営する日本レースプロモ ーション(JRP)は、組み直された2020年 カレンダーを6月10日に発表した。 開幕戦が8月末に設定されたものの、感 染拡大状況は不安定で、6月以降、8月まで ドライバーたちはフォーミュラマシンのコ イドラインを設定し、会場を訪れる関係者 全員に対して感染拡大防止策を徹底した。 ガイドラインでは、海外のプロスポーツ では定番となり、FIAでは「グループ」と表 現される「ソーシャルバブル」の概念を採 用。観客とレース関係者が交わらない動線 クピットから遠ざかることとなる。 実際には、スーパーフォーミュラよりも 先にスーパーGTが7月中旬に開幕し、兼 務している多くのドライバーたちは3レー スを消化した。その間にレーシングの感触 を取り戻していたとは思われるが、それで も長いブランクがあったことは事実だ。 8月の終わりに、ツインリンクもてぎで
スーパーGT最終戦富士大会でGT500ドライバーチャ ンピオンを決めた山本尚貴選手。その一週間後、鈴鹿 サーキットで開催されたスーパーフォーミュラ第5戦で は今季初勝利を挙げる。山本選手のモーメンタムは12 月20日の第7戦富士大会でも維持され、平川亮選手との タイトル争いを制して、自身3度目の最高峰フォーミュ ラのタイトルを確定させた。 17
スーパーフォーミュラが開幕した。スーパ ーGTは前半4戦を無観客で実施したが、 スーパーフォーミュラは開幕戦から観客を 受け入れた。JRPは独自のCOVID-19ガ

ているが、この言葉を聞くと、ドライバー たちが気持ちを立て直していくのも簡単な 作業ではなかったことが想像できる。

だが、平川選手の場合、スーパーフォー ミュラでタイトルを手にしていない分、 “獲りたい”という気持ちを奮い立たせる ことで、乗り切れた部分もあるだろう。

これと同様なのが、ルーキーや2年目の ドライバーたち。まだ勝利を手にしていな い彼らは、“とにかくPPを獲りたい”、“と にかく勝ちたい”ということしか考えてい ない。2019年、最終戦までタイトルを争 い、INDYCARに旅立ったアレックス・パ ロウ選手が、「ドライバーがレースのため に100%全てを捧げられるのは25歳まで だよ」と語っていたことがある。 結婚したり子供を持ったりすれば、生活 の中にも頭の中にも別の要素が入ってく る。だが、20代前半まではとにかく頭の中 がレース一色。寝ても覚めてもレースだけ を考え、トレーニングや食事管理に至るま でレース漬けの生活を送れると言うのだ。 若手ドライバーたちは、そういう状況だ ろう。その心境を如実に表していたのが、 今シーズンの各大会だと言えよう。

Victory
「延期と聞いて、正直モチベーションが完 全になくなるような感じでした。再開する とアナウンスされてから、過去の映像を見 たり、テスト内容を振り返ったりして、モ チベーションを高めていきました」と語っ
を構築し、レース関係者の中でも、エント ラントやチーム関係者、サプライヤー、サ ーキット職員、メディアなど業務ごとに行 動範囲を限定したバブルを形成して、感染 拡大をできるだけ防ぐ策が試みられた。 そして、各サーキットでは観客を、ソー シャルディスタンスを確保しながら、でき るだけ“レース”に近づける試行も行われ た。従来のグリッドウォークに準じた「グリ ッドスルー」、ピットウォークに準じる「ピ ットビューイング」といった、グリッドやピ ットの選手を、一定の間隔を保ちながら見 学できる新たな催しは定着しつつある。 タイトル獲得と“結果”の渇望 若手ドライバーたちの跳躍 ツインリンクもてぎの開幕戦をポール・ト ゥ・ウィンで制したのは、ITOCHU ENEX TEAM IMPULの平川亮選手だった。 決勝後の記者会見で平川選手は、
岡山と鈴鹿で初勝利した二人 坪井選手と大湯選手の思い 特に予選では、TCS NAKAJIMA RACI NGのルーキー大湯都史樹選手、KONDO RACINGのサッシャ・フェネストラズ選 手、VANTELIN TEAM TOM'Sからスポッ ト参戦した宮田莉朋選手、そして、2年目の TCS NAKAJIMA RACINGの牧野任祐選 手やJMS P.MU/CERUMO・INGINGの 坪井翔選手が気を吐く場面も多かった。 中でも、決勝レースで結果を出して大き く成長したのは坪井選手と大湯選手と言え るだろう。坪井選手は、第2戦岡山国際サ ーキットで予選8番手ながら、決勝ペース の速さを生かし、すでに2度のタイトルを 獲得している先輩、チームメイトの石浦宏 明選手を下して初優勝を飾り、チェッカー を受けた直後から、涙が止まらなかった。 このシーンは、若手にとって国内トップ フォーミュラで優勝を果たすことの重みを 感じさせた。それと同様に、第6戦鈴鹿サ ーキットで初優勝を果たし、号泣したのが 大湯選手だった。大湯選手は、開幕戦でも 他車との接触があったが、坪井選手が優勝 した第2戦岡山では、スタート直後にチー ムメイトの牧野選手に追突。第5戦鈴鹿で 2020年ドライバータイトルを獲得した山本尚貴選手。今季 もスーパーGT、GT500クラスドライバー部門とのダブル チャンピオンを獲得することになり、金字塔を打ち立てた。 2020年シリーズ2位に終わった平川亮選手。開幕戦もてぎ を制して、今季こその勢いを見せたが、直接対決となった最 終戦・決勝レース中での競り合いに惜敗を喫した。 第2戦岡山大会でスーパーフォーミュラ初優勝を挙げた2 年目の坪井翔選手。最終戦富士大会でも優勝して今季2勝 目を数え、2020年ランキング3位へとジャンプアップした。 2020年のJAFグランプリは 初勝利の大湯都史樹選手に 近年ではスーパーフォーミュラ鈴鹿サーキット大 会に懸けられているJAFグランプリ。2020年は鈴 鹿大会の第6戦決勝レースに懸けられ、本大会で 初優勝を獲得したルーキー、大湯都史樹選手が JAFグランプリウィナーとなり、JAF藤井一裕会 長から賞典を授与された。 18
Victory Road も、スタート直後の2コーナーで牧野選手 と接触した。予選の速さを結果に繋げられ ないだけでなく、度重なるチームメイトと の接触で、追い詰められていた。 本人の中では『翌年はシートを失うかも 知れない』というプレッシャーがあったの ではないだろうか。それを結果として昇華 させたのが、第6戦鈴鹿だった。 大湯選手は予選でホンダドライバー最速 だっただけでなく、決勝ではポールスター トのVANTELIN TEAM TOM'Sニック・ キャシディ選手がトラブルで戦列を去った 後、後方から迫る先輩、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの福住仁嶺選手を 抑え切って初優勝を挙げた。 パルクフェルメにマシンを止め、コクピ ットから降りてきた後も、しゃがみ込んで 泣いていた大湯選手。二人は、これで一つ の壁を乗り越えたと言っていい。 決勝では圧巻のレース運び チャンピオン経験者の上手さ 一方、スーパーフォーミュラのチャンピ オン経験者は、今季も強さを見せた。 2019年、シリーズ参戦3年目にしてタ イトルを獲得したキャシディ選手は、予選 こそ上手くいかない大会も多かったが、決 勝ではトラブルに見舞われた第6戦鈴鹿以 外は、全レースでポイントを獲得している。 第3戦スポーツランドSUGOでは、セ ーフティカー明け、タイヤが冷えている状 態での速さを見せて優勝を果たしている。 最終戦富士では、最後尾からの追い上げで 4位に入ったレースも圧巻だった。 また、圧巻という意味では、第5戦鈴鹿 Victory Road 栄光の軌跡 JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権 JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権2020年ドライバーチャンピオン 山本尚貴選手 第2戦岡山でチームメイトの石浦宏明選手を凌ぐ速さ を見せてスーパーフォーミュラ初優勝を挙げた坪井翔 選手。その後はトラブルに泣きながらも、最終戦では2 勝目を挙げた。 決勝レースでは他車との接触が相次いだ大湯都史樹選 手。第6戦鈴鹿では中嶋監督から「ようやくまとまった」 と評される初優勝を挙げ、ルーキー・オブ・ザ・イヤー を獲得。 19

でポール・トゥ・ウィンを果たしたDOC

OMO TEAM DANDELION RACINGの 山本尚貴選手も見逃せない。山本選手は開 幕戦もてぎをノーポイントで終えている が、第2戦岡山では今季初ポイントを獲 得。そこから連続で表彰台を獲得し、例年 優勝争いをする第5~6戦鈴鹿へと繋げた。 山本選手はその前週、スーパーGTの最 終戦富士で、最終ラップで劇的な逆転チャ ンピオンを獲得した勢いと流れがあった。 それに加え、絶大な自信を持って臨んだ スーパーフォーミュラ鈴鹿では、最初のレ ースでセーフティカー導入のタイミングに も恵まれた。だが、第6戦では予選4番 手、決勝はトラブルでリタイアを喫し、流 れを少し手放したかにも見えた。 これに対して、最後までタイトル争いに 絡んできていたのが、開幕戦を制した平川 選手と、第4戦オートポリスをポール・ト ゥ・ウィンで制したTEAM MUGENの野 尻智紀選手だった。 しかし、常にポイントリーダーの位置に つけていた平川選手は、中盤戦以降に失

しまったように思われる。第5戦鈴鹿でト ラブルにより予選に出走できなかったのも 大きく響いた。スーパーGT最終戦の翌週 ということもあり、精神的なダメージは計 り知れないものがあったはずだ。 それは野尻選手も同様だ。第5戦鈴鹿で は、フロントローを獲得しながら、決勝前 のトラブルで最後尾スタートになる。 それでも、平川選手は第6戦で、野尻選 手は第5~6戦とも、後方スタートながら 意地のポイント獲得を果たした。

異例の最終戦12月下旬開催! 富士スピードウェイは直接対決に さらに最終戦富士では、野尻選手が逆転 の可能性を見せる、圧倒的なタイムによる ポールポジションを獲得。流れは野尻選手 に傾いたようにも思われた。しかし、決勝 ではピット作業のミスとタイヤトラブルに 泣かされる結果になってしまった。 最終的なタイトル争いは、コース上での 山本選手と平川選手の直接対決となった。 この結果、最終戦富士大会では山本選手が

を獲得することになった。 決勝レース後半、タイヤ交換を遅らせ て、後方から迫ったキャシディ選手に、山 本選手はオーバーテイクを許した。山本選 手は「平川選手の前にいればタイトルと分 かっていたので落ち着いて走り切った」と 語っているが、タイトル経験者ならではの 冷静な判断だったと言っていいだろう。 これに対して、最終戦富士で今季2勝目 を挙げたのは坪井選手だった。そして、第 6戦鈴鹿で初優勝を挙げた大湯選手が僅差 の2位に入る。この二人が、ベテラン勢に も引けを取らない堂々としたレース運びを 見せたのは、やはり互いに今季一勝を挙げ ていることが大きかったに違いない。 全体的に、予選の速さの方が目立ってい た若手ドライバーたちだが、終盤戦に入っ

Victory
速。オートポリスの予選Q1でスピンを喫 したところから歯車が噛み合わなくなって
て、一勝した選手たちの決勝レースでの力 強さが出てきたのは今季の特徴と言える。 こうしたドライバーたちが今後は主役の 座を争うようになるかも知れない。来季は タイトル経験者の何人かがシリーズを去 り、ルーキーが加わることも予想されてい る。そうしたことを考えても、2021年は どうやら世代交代の一年になりそうだ。 開幕戦から観客を受け入れたスーパーフォーミュ ラ。しかし、ピット・パドックエリアへの立ち入り は、レース関係者以外を厳格に制限した。 今季スーパーフォーミュラに初参戦したタチアナ・ カルデロン選手。入国制限により満足のいくシーズ ンとはならなかったが、力強い走りを見せた。 開幕戦もてぎではモビリティランドが「グリッドス ルー」と呼ばれる試みを実施。約40名の観客が距離 を保ちながらグリッドを観戦できた。 結局、第3戦SUGO一戦だけの参戦となったセルジ オ・セッテカマラ選手。デビュー戦でポールポジ ションを獲得して実力の高さを見せ付けた。 ピットウォークに代わる試みとして「ピットビュー イング」と呼ばれる、観客がディスタンスを確保し た位置からピットを見学できる試みも実施された。 第4戦オートポリスからの参戦が叶った期待の若手 シャルル・ミレッシ選手。以後4戦を戦ったが、シン グルフィニッシュには届かなかった。 2020 Driver Standings Pos. No. Driver Rd.1 もてぎ Rd.2 岡山 Rd.3 SUGO Rd.4 AP Rd.5 鈴鹿 Rd.6 鈴鹿 Rd.7 富士 合計 有効 5戦 1位 5号車 山本尚貴選手 0 5 11 16 23 0 7 62 62 2位 20号車 平川亮選手 23 11 17 0 0 4 5 60 60 3位 39号車 坪井翔選手 0 20 0 0 0 8 22 50 50 4位 1号車 ニック・キャシディ選手 5 11 20 4 6 3 8 57 50 5位 16号車 野尻智紀選手 4 1 8 23 6 6 3 51 47 6位 65号車 大湯都史樹選手 0 0 0 1 3 22 15 41 41 2020年のチームチャンピオンは、中嶋一貴選手とニック・キャシディ選手を 擁する、舘信秀監督率いるVANTELIN TEAM TOM'Sが獲得した。 20
5位、平川選手が6位を獲得。山本選手が 3度目の最高峰フォーミュラでのタイトル
Victory Road
今シーズンで幸先の良いスタートを切っ たのは、2018年および2019年の全日本 F3選手権でシリーズ2位につけた宮田莉 朋選手だった。8月29 ~ 30日の開幕ラウ
番グリッドの阪口晴南選手が好走。全日本
得し、反撃の狼煙を上げた。一方の宮田選 手はしっかり2位入賞を果たし、5戦連続
対する阪口選手も、日曜の第7戦ではポ ール・トゥ・ウィンを飾ってシーズン2勝 JAF 全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 TEAM TOM’S 宮田莉朋選手、4シーズン目の初タイトル! フォト/吉見幸夫、石原康、遠藤樹弥、JAFスポーツ編集部  レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部 全日本フォーミュラ3選手権に 代わって2020年から始まった、 6大会17戦の全日本スーパー フォーミュラ・ライツ選手権。 4年に及ぶ臥薪嘗胆の末、 宮田莉朋選手が初栄冠に輝いた! Victory Road 栄光の軌跡 2020 年チャンピオン獲得への道筋 数️ 21
々の名ドライバーを輩出した全 日本フォーミュラ3選手権が約 40年に渡る歴史の幕を閉じ、 日本の新たなフォーミュラ・カテゴリーと して「全日本スーパーフォーミュラ・ライ ツ選手権」が2020年からスタートした。 しかし、新型コロナウイルス感染症の影 響により当初のスケジュールが大幅変更。 それでも、スーパーフォーミュラのサポー トレースとして、そして若手選手のフォー ミュラ経験とマイレージを増やすべく、全 国のサーキットを転戦して、全6大会・合 計17レースが開催されることになった。 しかし、外国人の入国制限などの影響 で、有効ポイント制度も採用され、開催レ ース数の80%が有効とされた。そして、40 歳以上のジェントルマンドライバーと女性 ドライバーを対象とした「マスタークラス」 も引き続き併設されたこともあり、参加台 数はそれぞれ12台前後で推移した。 8月から12月という短期決戦となった が、各大会で激しいタイトル争いが展開さ れた。 ポール・トゥ・ウィンの連続で 宮田莉朋選手が首位を快走!
ンド、ツインリンクもてぎ大会の第1戦で は、いきなりポール・トゥ・ウィンを達成 し、日曜午前の第2戦、そして午後の第3 戦でもポール・トゥ・ウィンを獲得。ポイ ントフルマークで怒涛の3連勝を挙げた。 その勢いは9月26 ~ 27日の第2ラウン ド、岡山国際サーキットでも続き、土曜の 第4戦ではポール・トゥ・ウィンを達成す る。しかし、日曜の第5戦ではポールポジ ションの宮田選手がスタートで出遅れ、2
F3時代を通しても初めてとなる優勝を獲
でポディウムフィニッシュを獲得した。 10月17 ~ 18日開催の第3ラウンド、 スポーツランドSUGO大会は3レースが 開催された。ウェットコンディションの予 選で素晴らしいパフォーマンスを披露した のは、岡山大会で初優勝を挙げた阪口選手 だった。 阪口選手は予選でベストタイムとセカン ドベストを奪い、全日本F3時代を通して も初となるポールポジションを獲得した。 しかし、雨が止んだ第6戦の決勝では、 阪口選手がスタートで出遅れる。代わって 2番グリッドの宮田選手がホールショット を奪い、シーズン5勝目を獲得した。

ウンドを待たずして、スーパーフォーミュ ラ・ライツの初代チャンピオンに輝いた。 宮田莉朋選手はスーパーフォーミュラ第2戦岡山国 際サーキットと第4戦オートポリス大会で代役参戦 を果たす。第4戦の予選ではベストタイムを刻んだ。 新たなマシン、そして新たな生活への対応などと不確定要素が多 かった2020年。チームの豊富なノウハウと宮田選手の精緻なドライ ビングが合致して、渇望していた初タイトルをようやく獲得した。

Kuo 全日本F3には2016年から参戦してきた阪口晴南選 手。スーパーフォーミュラ・ライツでは第5戦岡山で 初優勝、第6戦と第7戦では初ポールを獲得した。 今季は全戦参戦が叶った小高一斗選手。新しいマシ ンや各サーキットへの習熟に時間を費やしたが、最 終富士大会の第16戦では念願の初優勝を獲得した。

予想外の事態が発生した鈴鹿大会だった が、第14戦では宮田選手が復調する。 4周目には後続車両のコースアウトから セーフティカーが入ったが、レース後半で も冷静な走りを披露した宮田選手がポー ル・トゥ・ウィンの10勝目を獲得。最終ラ Victory Road 栄光の軌跡

トムスがタイトルを確定させている。 フォーミュラリージョナルにも参戦してフォーミュ ラの経験値を高めるDRAGON選手。第13戦鈴鹿で 11勝目を挙げ、マスタークラスのタイトルを決めた。

ッとしています。予選で決めるところは決 められたし、予選がダメだったときでも、 スタートを決めて挽回することができまし た。そういう戦い方ができたことから、自 分も成長できたのかなと思っています」。

「今シーズンは十分なテストができなくて、 Haloが装着された新しいマシンがどう動く のかも分かりませんでした。また、シリー ズ後半となる冬場にレースをしたことがな いので、最初は自信がなかったんです。そ JAF全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 2020年ドライバーチャンピオン 宮田莉朋選手 22

Victory 目を挙げる。日曜午後の第8戦では宮田選 手がポール・トゥ・ウィンで6勝目を獲得 して、SUGO大会では、宮田選手と阪口選 手が“白星”を奪い合う展開となった。 ライバル阪口選手に対して宮田選手がタ イトル争いをリードする前半戦、2020年 のスーパーフォーミュラ・ライツは、第4 大会オートポリスで折り返しを迎えた。 鈴鹿大会は、まさかのリタイア 直後の10勝目でタイトル確定! 11月14 ~ 15日に行われたオートポリ
宮田選手の優勝によりカローラ中京
TEAM TOM’Sがチーム部門のチャンピオ ン、エンジンチューナー部門も、株式会社
決めるところはキメられた そして挽回することもできた 新型コロナウイルス感染症の影響でシー ズン前のテスト段階から予定が大きく狂っ た2020年を宮田選手は率直に振り返る。
れだけに、たくさん優勝して最終ラウンド を前にチャンピオンを決められたので、ホ
ス大会も週末に3レースが開催され、土曜 の第9戦では宮田選手がポール・トゥ・ウ ィンを達成してシーズン7勝目を挙げた。 しかし、日曜の第10戦では、名取鉄平 選手が初ポールポジションを獲得したが、 決勝では2番グリッドの阪口選手が好スタ ート。名取選手と宮田選手を2位、3位に 抑えて、シーズン3勝目を獲得した。午後 の第11戦では宮田選手がポール・トゥ・ ウィン。圧巻のシーズン8勝目を挙げた。 オートポリス大会を終え、残り6レース という時点で、今シーズンを支配する宮田 選手がタイトル争いに王手をかける。 12月5 ~ 6日には、第5ラウンドとなる 鈴鹿サーキット大会が開催され、この週末 の3レース目には、全17戦前提では有効 80%となる14戦目を迎えることになった。 土曜の第12戦ではポールポジションの 阪口選手に代わって、2番グリッドから好 スタートを決めた宮田選手がオープニング ラップでトップに浮上。ポジションを守り 抜いて、シーズン9勝目を獲得した。 しかし、日曜の第13戦では阪口選手が 反撃。ポール・トゥ・ウィンで今季4勝目 を獲得してみせた。対する2番グリッドの 宮田選手は、スタートでチームメイトの小 高一斗選手にパスされて3番手に後退した ほか、レース中盤にはデグナーコーナー入 口で姿勢を崩してコースアウト。タイトル 確定を目前にリタイアに終わってしまった。 JAF全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権

初上陸のフォーミュラリージョナル選手権 初代チャンピオンは阪口晴南選手!

も第15戦と第17戦を制し、シーズン12 勝を獲得して、スーパーフォーミュラ・ラ イツ初代王者としての貫禄を見せつけた。 なお、マスタークラスでは、第6戦 SUGOで総合5位獲得を果たすなど選手 権クラスに匹敵する速さを見せていたDR AGON選手が第13戦鈴鹿で11勝目を獲 第14戦の宮田莉朋選手の優勝により、カローラ中京 Kuo TEAM TOM'Sのチームタイトル、株式会社トム スのエンジンチューナータイトルも確定した。 スーパーフォーミュラ・ライツ参戦と並行して、FRJCにシリーズ 参戦した阪口晴南選手。出場全戦優勝を挙げて初代王者に輝いた。

得。こちらも最終戦を待たずしてタイトル を確定。最終富士ラウンドを終え、マスタ  FIAにより、フォーミュラカテゴリーのヒエラルキー再構築がなさ れ、旧来のF3カテゴリーは、F1やFIA-F2直下のFIA-F3を上流とし、 各地域においてフォーミュラリージョナル選手権を開催するスタイ ルへと変更された。アジアシリーズとしてはF3アジア選手権が行わ れてきたが、それらに繋がる日本独自のシリーズとして「FORMULA REGIONAL JAPANESE CHAMPIONSHIP」が始まった。  このシリーズは、童夢が制作した「DOME F111/3」にATMARF3R・直列4気筒1750ccターボエン ジンを組み合わせた、FIAフォーミュラ リージョナル規格車両によるワンメイク レース。カレンダーはコロナ禍により再 編成を余儀なくされたが、全6戦・合計 14レースが、スーパー耐久や地方レース と併催されることになった。  開幕戦は富士24時間耐久レースと併 催され、マスターズクラスを合わせて13台がエントリー。シリーズに は金丸ユウ選手や根本悠生選手、高橋知己選手ら海外経験も豊富な 若手ドライバーがスポット参戦したが、シリーズ争いを演じたのはSU TEKINA RACING TEAMの阪口晴南選手、そして、トムスの新たな育 成プログラム「TOM'S YOUTH」から参戦した古谷悠河選手だった。

FORMULA REGIONAL JAPANESE CHAMPIONSHIP FORMULA REGIONAL JAPANESE CHAMPIONSHIP 2020年ドライバーチャンピオン 阪口晴南選手 23

阪口選手はSUGO大会の3レースを欠場した他は出場全戦で優 勝を果たし、対する古谷選手は表彰台の常連ではあったが未勝利に 終わる。この結果、阪口選手が14戦中11勝を挙げ、オートポリス大 会のレース13でフォーミュラリージョナルの初代王者に輝いた。

Victory Road 宮田選手は、スーパーフォー ミュラ第2戦岡山国際サーキッ トと第4戦オートポリスにおい て、VANTELIN TEAM TOM'S から代役参戦する機会を獲得。 タイトなスケジュールをダブル ヘッダーで戦い抜いた。 スーパーフォーミュラ・ライ ツにおける自己採点を「95点」 と答えた宮田選手。 「本当は全レースで勝ちたかっ たけど、それは限りなく難しい ミッションでした。それでも、 自分の中では取りこぼしたレー スがあるので5点を減点しまし た。今季はオートポリスでした ね。スーパーフォーミュラとの ダブルヘッダーの中、きっちり と結果を残すことができたの で、あれが分岐点になったと思
います」と振り返る。 宮田選手は、2017年の全日本F3選手権 ではルーキーイヤーで苦戦し、2018年は 坪井翔選手、2019年はサッシャ・フェネ ストラズ選手とのバトルで惜敗した。そし て4年目となる2020年、ついにスーパー フォーミュラ・ライツを制した。辛酸を嘗 め続けてきた宮田選手にとって、この初タ イトルは万感の思いで掴んだものだ。 「ライバルがいたからこそ強くなれたと思 います。特に2019年は、色々な外国人ド ライバーと戦うことによって、自分に足り ないことが見つかりました。この経験があ って2020年にチャンピオンが獲れたと思 います。ライバルと出会えたことに感謝し ています。また、僕のことを4年間、信じ てくれたトムスの皆さんに感謝です。皆さ んが“宮田を乗せよう”と思い続けてくれ たことで、僕がここにいられるんです」。 宮田選手は最終ラウンドの富士において ークラスで計13勝を獲得して、圧倒的な 強さを見せたシーズンとなった。 2020 Driver Point Standings Pos. No. Driver Rd.1 Rd.2 Rd.3 Rd.4 Rd.5 Rd.6 Rd.7 Rd.8 Rd.9 Rd.10 Rd.11 Rd.12 Rd.13 Rd.14 Rd.15 Rd.16 Rd.17 合計 有効 14戦 もてぎ 岡山国際 SUGO オートポリス 鈴鹿 富士 1位 36号車 宮田莉朋選手 12 12 11 12 9 11 7 11 12 5 11 11 1 11 12 6 11 165 153 2位 50号車 阪口晴南選手 7 5 7 7 10 8 12 7 7 11 7 1 11 7 7 8 7 129 116 3位 37号車 小高一斗選手 3 7 5 0 5 5 2 5 DNF 3 3 5 7 5 5 10 5 75 73 4位 2号車 名取鉄平選手 5 0 2 3 3 DNF 5 2 5 8 5 2 5 2 3 3 3 56 54 5位 35号車 河野駿佑選手 0 2 0 1 DNF 3 3 3 3 2 2 7 3 3 2 2 2 38 38 6位 51号車 片山義章選手 5 DNF 3 2 0 10 10
Victory ーパーGTは、2020年よりGT 500がDTMと共通となる「クラ ス1規定」を導入した。トヨタは GRスープラを、そしてホンダはFRに改め られたNSXを導入したが、日産はGT-R のまま。いずれも従来車両とは別物だが、 下馬評ではノウハウの引き継ぎも可能な日 産勢に、有利な面があると思われていた。 しかし、これが実際はそうではなかっ た、ということが実証されるのは、ずいぶ ん時間が経ってからのことだった。
その直後から事態は深刻に。2週間後の富士 スピードウェイでの公式テストは中止とな り、開幕さえ見送られることとなった。 活動自粛期間を経て、ようやく新しいカ レンダーが発表されたのは夏を迎える前。 全8戦開催には変化がなかったものの、タ イやマレーシアの海外戦のほか、スポーツ ランドSUGOや岡山国際サーキット、オ ートポリスのレースまでもが見送られ、富 士スピードウェイで4戦、ツインリンクも てぎと鈴鹿サーキットで2戦ずつ開催され るという、実に大胆な変更だった。 これは大半のチームが富士や鈴鹿に本拠 地が隣接するため、関係者の移動を最小限 にするための配慮で、シリーズ前半の4戦 は無観客、かつ併催レースもなかった。 フォト/石原康、JAFスポーツ編集部 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部 「劇的な幕切れ」……まさにこの表現が相応しい展開で終幕した今季のスーパーGTシリーズ。 7月に無観客試合でいち早く活動再開し、後半4戦では観客を受け入れ、サポートレースも復活。 短いシーズンではあったが、GT500では手に汗握る戦いが、最終戦の最終ラップまで行われた。 FIA インターナショナルシリーズ スーパー GT 100号車山本尚貴/牧野任祐組 最終戦富士、まさかの逆転劇! Victory Road 栄光の軌跡 2020 年チャンピオン獲得への道筋 ス 24
その理由は、新型コロナウイルス感染症 の感染拡大だ。最初の公式テストが3月中 旬に岡山国際サーキットで行われたものの、
Victory Road 活動再開で、再びレースができる喜びを 誰も感じていた一方で、頭を抱えたのが外 国人ドライバーを擁するチームだった。 国内に拠点を構える外国人ドライバーは、 3月の公式テスト後も残っていた選手は難 を逃れるも、帰国あるいはレース毎に来日 していた選手は入国困難な時期が続いた。 しかしこれは、日本人の若手ドライバー に「代役参戦」という貴重なチャンスが与え られるというキッカケにもなった。 GRスープラとNSX-GTの対決! GT500は最終周まで分からない 当初の予定より3か月遅れで開催され た、富士での開幕戦はまさにGRスープ ラ”祭り”となった。KeePer TOM’S GR Supraをドライブする平川亮/ニック・キ ャシディ組がポール・トゥ・ウィンを達 成。そればかりか上位5台をGRスープラ が独占してしまったのだ。 このレースのホンダ勢最上位はRAYBRIG NSX-GTの山本尚貴/牧野任祐組の6位、 日産勢はCRAFTSPORTS MOTUL GT-R の平手晃平/千代勝正組が7位だった。 第2戦も富士が舞台とあって、引き続き GRスープラ優勢になるかと思われたが、 そこはウェイトハンデが機能した。ARTA NSX-GTの野尻智紀/福住仁嶺組がポール ポジションを奪い、KEIHIN NSX-GTの塚 越広大/ベルトラン・バゲット組が2番手。
手から野尻選手への交代直後に明暗が分か れた。先に交代した塚越選手の直前に出た ものの、タイヤが温まり切っておらず痛恨 のスピン。これでKEIHIN NSX-GTが、難 なく逃げ切りを果たすことになった。 第3戦鈴鹿は、セーフティカー(SC)が 3回も入ったことで接近戦となっていた。 優勝は、MOTUL AUTECH GT-Rの松田 次生/ロニー・クインタレッリ組。予選2 番手から序盤のうちにトップに立ち、SC ランのたびマージンを失うも、再開後は何 事もなかったかのように差を広げ続けた。 GT500クラス 2020年ドライバーチャンピオン 山本尚貴選手/牧野任祐選手 最終戦では平川亮選手と代役の山下健太選手が乗車し た37号車。山本尚貴/牧野任祐組の猛追撃と、まさかの 失速で逆転された。 シリーズ3位はNSX-GTを駆る塚越広大/ベルトラン・ バケット組。第4戦では46kgのウェイトハンデで今季2 勝目を挙げていた。 そして山本/牧野組の100号車もフィニッシュ後にガ ス欠でストップ。チームもドライバーもギリギリを攻め た大団円となった。 GT500クラスのチームタイトルはTEAM KUNIMITSU が獲得。2位はTGR TEAM KeePer TOM'S、3位はKEIH IN REAL RACING。 25
決勝もこの一騎討ちとなったが、福住選

2位はNSX-GTの山本/牧野組が獲得。 ここで明らかになったのは、日産勢がダ ウンフォース重視のエアロを採用していた こと。富士は東京五輪の会場となるはず で、しかも富士は1戦だけの予定だった。 現在の規定ではサーキット毎に、基本と なるエアロの変更は認められておらず、富 士以外のサーキットを有利に戦えるメリッ トは計り知れなかったはずが、シーズンを 通じれば、裏目に出てしまったのだ。 第4戦もてぎでは、46kgのウエイトハン デを背負ってなお、NSX-GTの塚越/バゲ ット組が2勝目を獲得。ポールポジション

はZENT CERUMO GR Supraの立川祐路 /石浦宏明組が奪っていたが僅か8周で逆 転。素早いピット作業で石浦選手がトップ でコースに戻されるも、先に交代していた 塚越選手に3コーナーで抜き返されていた。 第5戦富士からは、人数制限はあった が、ようやく観客を迎えての開催となった。 NSX-GTの野尻/福住組が2回目のポー ルを獲得。しかし、決勝では予選5番手か らDENSO KOBELCO SARD GR Supra のヘイキ・コバライネン選手が、徐々に順 位を上げて2番手に。この奮闘にピットも 応えて、素早い作業で中山雄一選手をコー スに送り出し、ARTA NSX-GTの前に出る。 そのまま逃げたDENSO KOBELCO SARD GR Supraだったが、最終ラップ の最終コーナーで何とガス欠症状が。中山 選手はかろうじてゴールラインを超えて事 なきを得る。コバライネン選手は開幕から の2戦を入国規制によって欠場していた。 それだけに、中山選手と久々に挙げた勝利 は、より感慨深いものがあったはずだ。 第6戦鈴鹿では、「テール・トゥ・ウィ ン」なる新語が誕生した。MOTUL

中に済ませられる二重の幸運もあって、そ のまま逃げ切りに成功する。2位はカルソ ニックIMPUL GT-Rの佐々木大樹/平峰 一貴組で今季初の表彰台を獲得した。 もてぎで行われた第7戦では、Modulo NSX-GTの伊沢拓也/大津弘樹組が、第3 戦鈴鹿以来となるポールを獲得。しかし、 決勝では思うようにペースが上がらず、僅 か10周で大津選手はARTA NSX-GTの 野尻選手にトップを明け渡してしまう。 これは、ARTA NSX-GTがピットに戻 った直後に、GT300車両がコース上でス トップ。その回収のためにSCが入ったこ とにより、同時にピットに入ったModulo NSX-GTと共に、後続に対して大量のマ ージンを得ることになったからだ。

その結果、福住選手が逃げ切って、ARTA NSX-GTが今季初優勝。ホンダ勢が上位5 台を独占し、開幕戦に対してこの大会は、 さながらNSX-GT”祭り”となった。

そして迎えた最終戦鈴鹿。全車ノーハン デで、何と10ものチームにチャンピオン 獲得の権利が残されるという、かつてなか った状況となっていた。ただし、その候補 にキャシディ選手は含まれなかった。

KeePer TOM’S GR Supraの平川選手 は、KEIHIN NSX-GTの塚越選手とバゲッ ト選手と同点トップではあったが、キャシ ディ選手は来季から挑むフォーミュラEの

Victory
AUTE CH GT-Rが予選のクラッシュで最下位か らのスタートを余儀なくされたが、11番手 を走行中にGT300車両のコースアウトが あり、これに素早く反応してクインタレッ リ選手をピットに呼び込んだ。 するとその直後にSCとなり、松田選手 がコースに戻るとトップに躍り出ること に! タイヤのウォームアップもSCラン
テストを優先し、第7戦から
プタイムを叩き出してポール
王座奪還に一歩も二歩も近づ
たが、続く1コーナーでは、坪井選手と関 口選手がブレーキング競争の末にラインが
その時点で、山本選手と平川選手との差 は15秒だったが、山本選手はこの差を 徐々に詰めていく。両者は僅か2ポイント 差で、チャンピオンに輝くのは勝った方だ。 最終周の最終コーナー。「一歩及ばず、勝 負アリ」と思われた立ち上がりで、何と平川 選手がガス欠で失速……! その脇をすり 2020 GT500 Driver Ranking 1位 100号車 山本尚貴選手/牧野任祐選手 HONDA NSX-GT 2位 37号車 平川亮選手 TOYOTA GR Supra 3位 17号車 塚越広大選手/ベルトラン・バゲット選手 HONDA NSX-GT 4位 36号車 関口雄飛選手/サッシャ・フェネストラズ選手 TOYOTA GR Supra 5位 8号車 野尻智紀選手/福住仁嶺選手 HONDA NSX-GT 6位 23号車 松田次生選手/ロニー・クインタレッリ選手 NISSAN GT-R 2020 GT300 Driver Ranking 1位 56号車 藤波清斗選手/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手 GT-R NISMO GT3 2位 52号車 吉田広樹選手/川合孝汰選手 SUPRA 3位 65号車 蒲生尚弥選手/菅波冬悟選手 AMG GT GT3 4位 55号車 大湯都史樹選手 NSX GT3 EVO 5位 61号車 井口卓人選手/山内英輝選手 BRZ 6位 11号車 平中克幸選手/安田裕信選手 GT-R NISMO GT3 初タイトル獲得となった56号車藤波清斗/J-P.デ・オリベイラ組。ヨコハマタイヤの力強いサポート もあり、シリーズ後半戦で速さを見せ、追い上げる力強いレースを展開した。 26
チームを離脱していたため だ。その代役起用が山下健太 選手だった。 山下選手は予選Q2でトッ
を獲得。平川選手は、これで
いたかと思われた。そして決 勝でも、山下選手は逃げ足の 速さを見せつけていた。 その後方では2番手争いが 激しく、タイヤ無交換のWA KO’S 4CR GR Supraの坪 井選手に、RAYBRIG NSXGTの山本選手とau TOM’S GR Supraの 関口選手が迫っていく。30周目のストレー トで関口選手に抜かれた山本選手ではあっ
交錯。その脇をすり抜けた山本選手が2番 手に浮上する。
Victory Road 抜けた山本選手がトップチェッカーを受け る。その瞬間、ピットで見守っていた牧野 選手は大号泣。そして、パレードランの最 中にRAYBRIG NSX-GTもガス欠でストッ プ……。僅かな運の違いが明暗を分けた。 優勝はこの一度限りながら、シリーズ通 して絶えず上位でゴールしていた山本選手 と牧野選手に、勝利の女神は微笑んだ。 SCランとピットタイミング 藤波/オリベイラ組が最後に笑う GT300は、2020年からウェイトハンデ が、獲得ポイントの2倍から3倍へと改め られた。このことで、ランキング上位陣の 多くが、シーズン半ばに上限の100kgに 到達。この変更に泣く者もいれば、笑う者 藤波清斗選手/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手 GT300クラス 2020年ドライバーチャンピオン もいたというのが、正直な印象だ。
しまう。代わってトップに立ったのが埼玉 トヨペットGB GR
GTだった。 FIA-F4からステップアップしたばかり の川合孝汰選手が菅波選手にプレッシャー をかけ続け、吉田広樹選手はタイヤ無交換
アム・アップル・ロータスの加藤寛規/柳 田真孝組の一騎討ちが繰り広げられた。 序盤は山内選手を加藤選手が追いかける 展開となっていたが、ピットでポジション が入れ替わり、柳田選手が井口選手の前 に。そのまま逃げ切ったロータスは初優 勝。加藤選手は10年ぶり、柳田選手にと ってはチーム加入2戦目での優勝となった。 第3戦鈴鹿ではTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTの嵯峨宏紀/中山友 貴組が、マシンを後輪駆動に改めてから初 Victory Road 栄光の軌跡 FIAインターナショナルシリーズ スーパー GT マークXからGRスープラに変更して挑んだ52号の車 吉田広樹/川合孝汰組。2019年からは上位争いの常 連として善戦し、タイトル獲得まではあと一歩。 蒲生尚弥選手と菅波冬悟選手という若手コンビで挑 む65号車。戦略にも長けた2018年チャンピオンチー ムながら、今季は第4戦の1勝に留まった。 GT300クラスのチームチャンピオンはKONDO RACING。2位は埼玉トヨペットGreen Brave、3位 はK2 R&D LEON RACING。 27
第1戦富士ではLEON PYRAMID AMG の蒲生尚弥/菅波冬悟組がポールを奪い、 決勝でも序盤をリード。しかし、菅波選手 から蒲生選手に代わる際、左側2本のタイ ヤ交換に手間取り、時間を大きくロスして
Supra
でコースに送り出されてトップに浮上。そ のまま逃げ切って川合選手とGRスープラ がGT300デビューウィンを果たした。 第2戦富士ではSUBARU BRZ R&D SP ORTの井口卓人/山内英輝組と、シンティ

めてポールを獲得。決勝でも序盤をリード するも、SCが入るたびリードを失い、ま た給油に時間のかかるJAF-GTとあって、 最終的な順位は7位に留まった。対照的に ピットで大きく順位を上げたのがGAIN

ER TANAX GT-Rで、6番手からトップに 大躍進。安田裕信選手から託された平中克 幸選手がそのまま逃げ切りを果たした。

第4戦もてぎはLEON PYRAMID AMG の蒲生選手と菅波選手が、予選13番手か らの大逆転勝利。タイヤ無交換を前提とし て選んでいたタイヤが完璧に機能した。 序盤をリードしたのは、ポールスタート のRUNUP RIVAUX GT-R青木孝行選手 だったが、早めに菅波選手から蒲生選手に 代わったLEON PYRAMID AMGに、ライ バルはピットに入るたび封じ込められてし まう。青木選手と交代した柴田優作選手も 例外ではなかったものの、2番手に踏み留ま り、チーム最上位を得ると思われた最終ラ

ップにガス欠という無念の事 態が襲う。 ADVICS muta MC86の阪 口良平/小高一斗組が、第2 戦以来のポール獲得となった 第5戦富士は、序盤こそ阪口 選手がトップを走行するも、 予選6番手から徐々に順位を 上げたリアライズ日産自動車大学校GT-R の藤波清斗選手にかわされてしまう。 J-P.デ・オリベイラ選手に代わった後 は、第1戦同様タイヤ無交換だった埼玉ト ヨペットGB Supra GTの先行を許してい たが、再逆転に成功して優勝を飾った。 第6戦鈴鹿はSCラン前にドライバー交代 を行っていたか否かで、特にGT300では 顕著に明暗が分かれた。序盤を大きくリー ドしたのはSUBARU BRZ R&D SPORT の山内選手だったが、SCラン後に井口選手 と代わるも入賞すら許されなかった。 近藤翼選手が4番手を走行し、まさにア クシデント発生時にピットに入っていたHi totsuyama Audi R8 LMSがSCラン明け にトップに浮上。そのまま川端伸太朗選手 がゴールまで駆け抜け、初優勝を飾った。 第7戦もてぎでは、SUBARU BRZ R&D SPORTがポールを奪い、山内選手が逃げ る展開となったが、またもSCランの交代

となりトップから陥落。直前に入ることが できたリアライズ日産自動車大学校GT-R が、それまでの4番手から2番手に浮上。 そして、タイヤ無交換だったグッドスマ イル初音ミクAMGの谷口信輝選手に追い ついたオリベイラ選手は、タイヤ4本交換 だったこともあり、あっさりとトップに浮 上。藤波選手と2回目の表彰台の中央に立 ち、ランキングトップにも躍り出た。 第8戦富士は、最終戦でノーハンデだっ たこともあり、第1戦同様に無交換作戦を 成功させた、埼玉トヨペットGB GR Sup ra GTの吉田選手と川合選手が2勝目をマ ーク。ランキングでも2位に浮上した。 一方のタイトル争いは、リアライズ日産 自動車大学校GT-Rの藤波/オリベイラ組 を5ポイント差でLEON PYRAMID AMGの蒲生/菅波組が追いかける展開で スタート。

序盤は藤波選手が4番手を走行して直後 に菅波選手を従えていたが、タイヤ4本交 換と無交換と作戦が分かれたことで、ドラ イバー交代後はLEON PYRAMID AMG が逆転。しかし、オリベイラ選手が徐々に 詰め寄り、ラスト6周で蒲生選手を抜き去 った。これにより、リアライズ日産自動車 大学校GT-Rの二人が、GT300ドライバー チャンピオンを獲得することとなった。

Victory
「今日のレースを振り返ると、スーパーGTは11年目のシーズンな んですけど、今日ほど自分が思い描いていた通りの展開、あとは 経験がすべて活きたレースは過去にないぐらい、本当にすべて理想通 りの展開に持ち込むことができました。スピードだけで言ったら予選か ら37号車が速かったですし、チェッカーまでは、彼らがチャンピオンに 相応しいレースをしていたと思います。ただ、タイヤのセーブ、燃費も セーブして無線で随時報告しながら、ペースアップするタイミングとか も常に測っていたので、その頑張りが最後ちょっと報われたのかなと。 チームと共に1年間戦ってきたことが最後に報われ、牧野選手とチャン ピオンを獲ることができ、高橋国光総監督を再びポディウムの、シリー
に尽きます」(山本選手)。「チャンピ オンを獲得できて、本当に良かった と思います。富士に入るまでに、チー ムやホンダさんを含め様々な方々と 準備してきて、それが結果として チャンピオンを獲ることができたので本当に良かったです。正直、想像 していなかった結末だったので、チェッカーが出た時は、どういう感情 なのかも分からないぐらいでした」(牧野選手)。 「まさかスーパーGTでチャンピオンになれるなんて、本当に数年前を 考えたら……。本当にたくさんの人たちに支えてもらって現在の 自分がいますし、少しは恩返しできた部分でホッとしています。今シーズ ンは前半戦こそ今ひとつでしたが、中盤戦以降、クルマもチームが煮詰め てくれて、ヨコハマタイヤさんも力を入れてくれて、正直プレッシャーも大 きかったんですけど、最後まで諦めないという強い気持ちを持って臨ん でいました。予選は良くなかったですけど、全体的な決勝のペースには自 信がありました。オリベイラ選手がすごい追い上げをしてくれました。1 年間、組ませてもらって、勉強になることがたくさんありました。すごい ドライバーですし、とても感謝しています」(藤波選手)。「今週末はみんな でベストを尽くすことに集中して臨みました。ランキングなどは考えず、 ベストを尽くせばどうにかなるん じゃないかと。最近の結果は徐々に 良くなってきて、クルマのセッティン グもいい方に向かっていたので、実 は、今回のレースは自信がありまし た。ただ、レースは難しかった。この 気候、低い温度で、みんな同じ条件 ですが、未知の要素が多かった。でも、とてもいいチャレンジになったと 思います。最後まで諦めず、実際にベストを尽くして一台、一台追い越し ていくことができたのは嬉しく思いますし、チャンピオンを獲得できたこ とは、本当にみんなに感謝したいと思います」(オリベイラ選手)。 山本尚貴選手/牧野任祐選手 藤波清斗選手/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手 GT500クラス 2020年ドライバーチャンピオン GT300クラス 2020年ドライバーチャンピオン スーパーGT第5戦から併催されたFIA-F4は4大会で12戦が行われ、 TGR-DC RSトムススピリットF4を駆る平良響選手がタイトルを獲得。 怒涛の10連勝で速さを見せ付けた。 28
ズ表彰の一番高いところに立っても らえたことは、非常にドライバー冥利

1年分の大会を消化するという、異例ずく めのカレンダーだった。 いよいよ迎えた開幕戦は7月12日。最 高峰部門初開催のオートパラダイス御殿場 がホストサーキットを務めることとなっ た。感染拡大を防ぐにはどんな対策を採れ ば良いのか、人と人との距離をどの場面で どう確保するのか……。未知のことばかり の状況に人々は戸惑いながらも、手探りで レースは進み、無観客のサーキットは戦い の熱気を取り戻していった。 この御殿場大会を制圧したのは、ヨコハ マタイヤのユーザーたちだった。雨と晴れ がたびたび入れ替わる2日間の会期中、ヨ

Victory フォト/遠藤樹弥、小竹充、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部 コロナ禍の影響を受けながらもシリーズ全戦が開催された全日本カート選手権。約5か月間の過密スケジュールの中、 2019年から速さの片鱗を見せていた渡会太一選手が実力を存分に発揮して開花、初タイトルを獲得した。 JAF 全日本カート選手権 渡会太一選手、参戦2年目の快挙! シリーズ5連勝で最高峰OK部門の頂点に Victory Road 栄光の軌跡 2020 年チャンピオン獲得への道筋 型コロナウイルス感染症拡大 は、JAF全日本カート選手権に も大きな影響をもたらした。4 月中旬に予定されていた最高峰OK部門の 2020シリーズ開幕戦となるツインリンク もてぎ大会は、自粛要請を受けて取り止め に。先行きの見えない中、ドライバーやレ ース関係者たちは不安を抱えたまま、事態 の推移を見守るしかなかった。 そして感染状況が鎮静化を見せた6月
25日、JAFが改編版のレースカレンダーを 公示する。シリーズは全5大会・10戦の ままで実施される運びとなった。ただし、 それは7月開幕からの5か月間で、例年の
新 30
コハマの性能はウェットタイヤもドライタ イヤもブリヂストンとダンロップを凌駕す る。最後発のヨコハマを開発ドライバーと して支え続けてきた29歳のベテラン・三 村壮太郎選手が、二つのレースを圧勝し、 第2戦ではヨコハマ勢が表彰台独占の快挙 を初めて達成した。 そんな中、2019年チャンピオンの佐々 木大樹選手が、ブリヂストンのエースとし て発奮する。ヨコハマ陣営の隙を突いては トップを奪い、第1戦の2位獲得で一矢を 報いた。 一方、OK部門参戦2年目の16歳、渡会 太一選手はタイムトライアルで20位に埋

もれ、決勝は4位と18位で終了。2019ラ ンキング2位のチャンピオン有力候補とし ては、期待外れと言わざるを得ない結果だ った。 2019年ランキング2位が飛躍! 怒涛の5連勝でタイトル確定 シリーズ2度目の大会が9月半ば、茂原 ツインサーキット東コースで始まると、 人々は前大会からの2か月間で状況が一変 していることを早々に悟った。御殿場でヨ コハマタイヤに歯が立たなかったブリヂス トンのユーザーたちが、タイムトライアル で参加29台中10位までを占拠したのだ。 中でも頭ひとつ抜きん出た強さを見せた のが渡会選手だった。御殿場大会とは別人 のような走りで、第3戦ではポール・ト ゥ・ウィン、そして第4戦では3番グリッ ドから逆転優勝。一年前にさんざん叩きの めされた大先輩、佐々木選手を背後に従え ての2連勝は、新時代の到来を予感させる ものだった。 続くスポーツランドSUGO西コースで の大会でも、渡会選手は2レースを連勝。

特に、独走する荒尾創大選手を10番グリ ッドから逆転した第6戦は、渡会選手が 「この年一番印象に残る一戦」と語る勝利と なった。

シリーズ終盤戦に入った、11月のツイン リンクもてぎ北ショートコースでの大会。 渡会選手の勢いは陰りを見せず、第7戦で この年3度目のポール・トゥ・ウィン。怒 涛の5連勝で、続く第8戦でのタイトル獲 得が現実味を帯びてきた。速さはもちろん のこと、タイヤマネジメントにも長け、ポ ジションを下げても落ち着いて抜き返して くる渡会選手の姿には、2年目とは思えぬ 貫禄が漂っていた。 そして第8戦を渡会選手は2位でフィニ

ッシュ。他に二人がチャンピオンの権利を

Victory Road
残していたが、平安山良馬選手はローリン
鈴鹿サーキットの1大会・2戦を残して、 渡会選手の戴冠が確定した。 ルーキーたちの著しい成長で よりコンペティブな最高峰部門に この大会では、もうひとつ注目すべきこ とがあった。第8戦で渡会選手を突き放し て勝利を飾ったのは、最年少14歳のルー キー・荒尾選手。ポールは同じくルーキー の平安山選手だった。彼らは速さの面でた びたび渡会選手を上回り、タイヤマネジメ JAF全日本カート選手権 OK部門2020年チャンピオン 渡会太一選手 2020年全日本カート選手権OK部門ポイントランキング Pos. Driver Rd.1 Rd.2 Rd.3 Rd.4 Rd.5 Rd.6 Rd.7 Rd.8 Rd.9 Rd.10 合計 有効 8戦 御殿場 茂原東 SUGO西 もてぎ北 鈴鹿南 1位 渡会太一選手 18 12 35 33 35 26 35 29 21 0 244 232 2位 佐々木大樹選手 28 24 30 31 20 20 28 15 196 196 3位 荒尾創大選手 9 11 9 6 3 32 30 33 31 30 194 185 4位 平安山良馬選手 7 13 15 30 30 14 29 10 23 26 197 180 5位 遠藤照剛選手 1 24 17 0 12 16 13 18 29 24 154 153 6位 宮下源都選手 19 0 0 3 18 11 22 25 3 21 122 122 31
グ中のエンジントラブルでDNSに終わ り、佐々木選手は6位に留まった。これで
Victory ントの面でも先輩たちに肩を並べるまでに 成長した。2019年には、渡会選手が速さ を武器にベテラン佐々木選手に挑んでは、 何度も苦汁を舐め、シリーズ終盤でついに 初優勝を飾っている。それから一年を経て “挑む者”と“受けて立つ者”の座が新たな 顔に入れ替わったことが、このレースで明 確になったのだ。 鈴鹿サーキット国際南コースでの、 2020シリーズ最後の大会。渡会選手は、 第9戦ではペナルティを受け10位、第10 戦ではトップ奪取目前のリタイアに終わっ たものの、充実の表情でシリーズを終え た。第9戦の勝者は、目の前のアクシデン 月半ば、シリーズが“自粛期 間”に入る前に当初の日程どお り行われた唯一の大会が、西地 域第1戦だった。ここで勝利を飾ったのは FS-125部門参戦2年目、当時15歳の津 野熊凌大選手。決勝の途中で雨が降り始 め、トップ争いの展開が荒れる中、5番グ リッドから順位を上げて赤旗終了のレース トを突いてトップに踊り出たルーキーの遠 藤照剛選手。第10戦では荒尾選手が2勝 目を果たしている。 佐々木選手はこの年、セッティングに悩 みを抱え続けて未勝利に終わった。それで も1大会を欠場しながらランキング2位をも ぎ取った手腕は、称賛に値するものだろう。 16歳の新チャンピオン渡会選手は 2020年を振り返りながら、こう語った。 「御殿場ではつまずいてしまったけれど、 を制した。2019年ランキング19位のドラ イバーの初勝利を、天候に味方されてのフ ロックと判断するのは、後になって思えば 早計だった。 津野熊選手はその後もオートパラダイス 御殿場、神戸スポーツサーキットと勝利を 重ねていく。続く中山カートウェイでの第 4戦で津野熊選手が初めてポール・トゥ・ 次の茂原東の2連勝で『今季はイケるのか な』と感じました。2020年は前年と違っ て、順位を落としても冷静でいられるよう になって、それがタイヤマネジメントにも 良い影響を及ぼしたんだと思います。将来 はスーパーGTなどのトップカテゴリーで 戦えるようになりたいです。でも、僕はカ ートが大好きなんで、佐々木大樹選手のよ うに、四輪をやりながらカートも続けてい けたらいいな、と思っています」。 ウィンを遂げた時、その実力を疑う者はも ういなかった。 そして津野熊選手は琵琶湖スポーツラン ドでの第5戦で、またもポールから優勝を 遂げる。さかのぼること2016年、佐藤蓮 選手以来の地域戦全勝を果たしたのだ。こ の時点で津野熊選手のポイントは、前年度 王者の野村勇斗選手の最終合計ポイントを 2020年全日本カート選手権FS-125部門ポイントランキング Pos. 地域 Driver Rd.1 鈴鹿南/ もてぎ北 Rd.2 御殿場/ 本庄 Rd.3 神戸/ 茂原東 Rd.4 中山/ SUGO西 Rd.5 琵琶湖/ もてぎ北 東西統一 鈴鹿南 合計 有効 5戦 1位 西 津野熊凌大選手 31 33 34 35 35 0 168 168 2位 東 山越ヒユウ選手 35 23 19 9 23 46.5 155.5 146.5 3位 東 佐野雄城選手 18 10 22 28 31 43 152 142 4位 西 山口大耀選手 30 30 25 25 26 24 160 136 5位 西 安藤哉翔選手 23 16 29 31 22.5 121.5 121.5 6位 東 鈴木斗輝哉選手 16 0 20 13 35 37 121 121 絶対王者と称される2019年のチャンピオン・佐々木大 樹選手を抑えた渡会太一選手が、頭角を現した2020 シーズン。OK部門は、カート界に新しい時代の到来を予 感させる一年だったと言えよう。 第10戦の決勝は28番グリッドからのスタートとなっ た渡会選手。26台を抜き去ってトップを射程圏内に捕 らえたファイナルラップ、エンジンの焼き付きに見舞 われて惜しくもリタイアとなった。 西地域5戦5勝の速さを披露して、東西統一競技会の 開催を待たずにチャンピオンを確定させた津野熊凌 大選手。だが、その東西統一競技会はまさかのマシン トラブルで予選不通過。有終の美とはならなかった。 西地域全勝の津野熊凌大選手が 文句なしのチャンピオンを決めた 津野熊凌大選手 JAF全日本カート選手権 FS-125部門2020年チャンピオン 3 Victory Road 栄光の軌跡 2020 年チャンピオン獲得への道筋 32

のみ。だが第5戦の洞地選手は、予選で混 戦の中スピンを喫してノーポイントに終わ り、チャンピオンの栄冠はサーキットに不 在の津野熊選手の頭上に輝くことが確定。 2020年の戦いを締めくくる東西統一競 技会で、津野熊選手はアクシデントに端を 発するメカトラブルにも見舞われ、まさか の予選落ち。逸材ぞろいのFS-125部門 で、新チャンピオンの真価をお披露目する 機会は、2021年に持ち越された。津野熊 選手は今、未来を見据えてこう口にする。

「(インターネットの)タイミングモニター とツイッターで自分がチャンピオンになっ たと知った時は、うれしかったです。 2021年のことはまだ決まっていないけれ ど、できればOK部門にステップアップし たい。限定Aライセンスの資格が取れた ので、フォーミュラの練習もしていきたい と思っています。スーパーGTとスーパー フォーミュラ、ふたつのチャンピオンを獲 ることが、レースを始めた頃からの夢なの で、それに向かって頑張ります」。

志田洸彰選手が連勝して、王座を狙うフル 参戦組からビッグポイントを奪っていった。 チャンピオンに指先が届いた状態で東西 統一競技会を迎えた中村選手は、トップを 快走するスポット参戦の鈴木浬選手に自身 のペースが及ばないと見るや、狙いを優勝 からタイトル獲得に切り替え、手堅く2位 でフィニッシュして王座に輝いた。 群雄割拠のFP-3部門が熱い! これからますます面白くなる この年、目を引いたのは女性ドライバー たちの活躍だった。森岡泉美選手が、西地 域第4戦で女性初の全日本2勝目を達成。 加えて西地域の坂上真海選手と東地域の富 下選手がそれぞれ3度の表彰台を獲得し、

線に名を連ねた。また、東地域第3戦では プロドライバーの蒲生尚弥選手がスポット 参戦で優勝。28歳の元全日本ドライバー箭 内優樹選手がカムバックして東地域で活躍 と、2020シリーズのFP-3部門は実に話題 豊富な一年だった。

6戦3勝、表彰台5回という堂々の成績 で戴冠を果たした中村選手だが、意外にも 自己評価は辛い。 「2020年に点数を付けるとしたら、60点 か70点。自分のダメなところが出たレー スもいっぱいありましたから。2021年は 未定ですが、できればFS-125部門に出た い。僕はどちらかというとハコ車のレース が好きなので、将来はハコ車のトップカテ ゴリーに出たいな、と思っています」。

Victory Road
日本選手権のタイトルが懸けら れて2シーズン目のFP-3部門。 東地域第1戦では16歳の角陽 向選手が優勝し、共に14歳の富下李央菜 選手と中村仁選手が2位・3位に入賞。ミ ドルティーンの表彰台独占で、この部門の 若返りが改めて印象付けられた。 角選手が第2戦でやや調子を崩すと、代
優勝回数を伸ばし、流れを摑んだ。 一方、西地域では常勝ドライバーが現れ ず、ポイントが割れた。さらに開幕戦で鈴鹿 南を地元とするスポット参戦組が上位に入 賞し、第2戦・第3戦でもスポット参戦の土
優に上回っていた。 注目の東地域第5戦の行方、 WEBで知ったタイトル確定 一方、名うてのスピードスターが多数集 結した東地域では、第4戦までに3名が勝 ち名乗りを上げ、ポイントが割れた。これ が津野熊選手の優位を一層大きくし、東地 域第5戦の結果次第で津野熊選手の戴冠が 確定する状況となった。それを止められる のは、唯一2勝を挙げている洞地遼大選手
わって中村選手が初優勝。やがて角選手が 復調すると、シリーズ後半は角選手と中村 選手のマッチレースに。中村選手は第4 戦、第5戦とも接戦の末に角選手を下して
森岡選手と坂上選手は最後までタイトル戦
2020年全日本カート選手権FP-3部門ポイントランキング Pos. 地域 Driver Rd.1 鈴鹿南/ もてぎ北 Rd.2 御殿場/ 本庄 Rd.3 神戸/ 茂原東 Rd.4 中山/ SUGO西 Rd.5 琵琶湖/ もてぎ北 東西統一 鈴鹿南 合計 有効 5戦 1位 東 中村仁選手 20 35 22 34 34 38 183 163 2位 東 角陽向選手 35 0 20 32 32 30 149 149 3位 西 竹本優月輝選手 13 16 30 25 35 16.5 135.5 122.5 4位 西 坂上真海選手 12 26 26 20 29 19.5 132.5 120.5 5位 東 箭内優樹選手 27 20 29 6 4 32 118 114 6位 西 森岡泉美選手 25 3 25 35 24 0 112 112 地元勢からプロドライバーまで、スポット参戦たちに よって毎戦波乱に満ちたレースが展開されたFP-3部 門。その激戦区の中で唯一、中村仁選手が複数回の優 勝を果たし、見事チャンピオンの座を摑んだ。 6戦3勝&表彰台5回獲得の快挙 手堅さが光った中村仁選手の走り 中村仁選手 JAF全日本カート選手権 FP-3部門2020年チャンピオン 全 33

2021年全日本スーパーフォーミュラ選手権統一規則の制定について

2020年12月22日 [2020-WEB089] 登録車両申請一覧表

公示(カート)

日付 公示No. タイトル

2020年10月28日 [2020-WEBK17] 2021年カート競技カレンダー登録申請締切日の特例措置について 2020年11月05日 [2020-WEBK18] 2021年日本選手権カレンダー一覧(カート) 2020年11月24日 [2020-WEBK19] JAFカートカップの付与について 2020年12月21日 [2020-WEBK20] 2021 CIK-FIA Karting Academy TrophyへのJAF推薦参加者の募集について

34 INFORMATION fromJAF モータースポーツ公示・お知らせ(WEB)一覧(2020年10月1日~2020年12月24日) 公示(四輪) 日付 公示No. タイトル 2020年10月02日 [2020-WEB077] 新型コロナウイルス感染防止対策に係る特例措置(2020年10月2日版) 2020年10月21日 [2020-WEB078] 2021年日本選手権カレンダー(四輪) 2020年10月29日 [2020-WEB079] 2021年日本選手権カレンダー(四輪) 2020年10月30日 [2020-WEB080] 2021年JAFカップオールジャパンダートトライアルカレンダー 2020年11月09日 [2020-WEB081] 車両公認申請一覧表 2020年11月24日 [2020-WEB082] 2021年国内競技車両規則・第4編細則:「ロールケージ製造者のロールケージJAF公認申請手続きに関 する細則」の改正について 2020年11月24日 [2020-WEB083] モータースポーツ審議会規定およびモータースポーツ専門部会規定の一部改正について 2020年11月26日
[2020-WEB084] 2021年地方ジムカーナ/ダートトライアル/サーキットトライアル選手権カレンダー 2020年12月03日 [2020-WEB085] ロールケージ公認申請一覧表 2020年12月18日 [2020-WEB086] 2021年全日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権統一規則の制定について 2020年12月18日 [2020-WEB087] 2021年全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権統一規則の制定について 2020年12月18日 [2020-WEB088]
お知らせ 日付 タイトル 2020年10月30日 2021年ライセンス更新のご案内 2020年11月05日 新型コロナウイルス感染防止対策への取り組みについて(2020年11月5日更新) 2020年11月06日 FIAによる安全装備に関する障がい者ドライバー向け助成について 2020年12月11日 2020年JAFモータースポーツ表彰式特設ページをオープンいたしました 2020年12月14日 「2019年」ライセンスの更新手続き期限は今年の12月31日です ※上記公示・お知らせ(WEB)一覧の詳細は、JAF MOTOR SPORTSホームページ(http://jaf-sports.jp/)内の「公示・お知らせ」で閲覧することができます。 2020年JAF地方選手権表彰式開催予定一覧(開催日順) 地域 日付 時間 開催場所 四国本部 2021年1月10日(日) 14:00~16:30 JRホテルクレメント高松(香川県高松市) 九州本部 2021年1月17日(日) (未定) ヒルトン福岡シーホーク(福岡県福岡市) 関東本部 2021年2月14日(日) 14:00~16:30(予定) ホテル椿山荘東京(東京都文京区) 北海道本部 開催中止 東北本部 開催中止 中部本部 開催中止 関西本部 開催中止 中国本部 開催中止 ※記載内容は2020年12月24日までの情報を元にしております。また、社会情勢等によって、掲載した情報内容に変更が生じる可能性がございます。予めご了承ください。
2020年全日本選手権“初”チャンピオンインタビュー 2020年全日本ジムカーナ選手権/ 初栄冠の誉れ 特.集. ジムカーナ/ダートトライアル 36
2020年全日本選手権“初”チャンピオンインタビュー 全日本ダートトライアル選手権編 初栄冠の誉れ 新型コロナウイルス感染症の影響で、全日本ジムカーナ 選手権は全4戦、全日本ダートトライアル選手権は全3 戦へと、大幅にカレンダーが変更された2020年。 全戦有効という「落とせない」超・短期決戦となったこ の二つのシリーズを戦い抜き、初めて全日本タイトルを 獲得した3名の選手に"初タイトル”の道筋を聞いた。 37 フォト/西野キヨシ、友田宏之、廣本泉、JAFスポーツ編集部 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

もチャレンジしていたからね。将来的にはWRCにも 挑戦したいという気持ちが強かった。でも、35歳の時 に家庭の事情もあってラリーを休止したんです」。 そんな大西選手にとってモータースポーツ活動の再 開のきっかけとなったのが、ラリージャパンだった。 「しばらくモータースポーツから遠ざかっていたの で、2004年からWRCラリージャパンが開催された

2020 年 S C 2 クラスチャンピオン 齢的にもそんなに気負ってはいないし、モ ータースポーツを楽しんでいるだけなんだ けどね。それでも、毎年のようにチャンピ オンを獲りたい……という気持ちはありますよ。特に 今季は僕より上位のシード選手がいなかったから、僕 が獲らないとダメかなぁ……という気持ちは強かった ですね」。 2020年の意気込みについてこう答えたのが、2013 年より本格的に全日本ダートトライアル選手権への参 戦を開始した大西康弘選手だ。2020年の全日本ダー トトライアル選手権は、新型コロナウイルス感染症の 影響で、開幕戦の京都コスモスパーク、2戦目のオー トスポーツランドスナガワ、そして3戦目のスピード って勝利を逃してしまった」と語るように、大西選手 は2位に惜敗することとなった。 それだけに、最終戦となった恋の浦では、大西選手 の勝利に対する気持ちは強かった。第1ヒートで2位 につけた大西選手はすでにタイトル獲得が確定してい たのだが、「九州では公開練習からタイヤを換え、セ ッティングを変えながら本番を意識して走りました。 あんなに真剣に走ったのは初めてです。2本目も実力 を出し切って終えたかったんですよね」と語る。 そして、大西選手は第2ヒートでトップタイムを叩
気鋭のラリーストがラリーに復活 現在でこそ、大西選手は全日本ダートトライアルで
いと思ったのがきっかけですね。当時、私は50歳だ ったけど、タスカエンジニアリングの石黒社長の温情 で復帰することができたんですよ」。 大西選手は約15年間のブランクを経て、2010年の ラリー北海道およびラリージャパンでラリー競技、そ パーク恋の浦と、僅か3戦で争われることになった が、大西選手はこの少数かつ短期決戦で安定した走り を披露し、SC2クラスの初チャンピオンに輝いた。 ドライバーの責任で勝利を逃す…… 大西選手の2020年は開幕戦3位入賞から始まった。 「第2ヒートのフルターンでシフトミス。約1秒をロ スして勝利を失ったけど、その時はこんなに競技会が 中止になると思っていなかったからね。開幕戦で3位 ならいいかなぁ……としか思わなかったですね」。 しかし、その後はシリーズが中断。シーズンが再開 されたのは8月のスナガワで、「大変な状況で、主催 者が多くの努力をして競技を開催してくれるのなら、 自分も全力で戦わないといけないと思うようになりま した」と奮起したという。 事実、大西選手は2戦目となったスナガワで公開練 習からトップタイムをマークするなど順調な立ち上が りを見せていたが、競技本番では「第2ヒートは予想 以上に路面が荒れていて抑えすぎました。開幕戦の京 都もそうでしたが、2戦連続でドライバーの責任によ 全日本ダートトライアル選手権ではD車両フィエスタで戦う国際 ラリースト・田口勝彦選手とパドックを共有する大西選手。時期 は違えど、名門チームで戦ったラリーの朋友だ。 「年 38
き出し、SC2クラスのタイトル獲得をシーズン初優勝 で飾った。これが意外にも、大西選手にとって全日本 選手権における初めてのタイトル獲得となった。
の活動となっているが、モータースポーツキャリアの 出発はラリー。かつては「東北三羽烏」の異名を持つ青 森の気鋭のラリーストで、名門タスカエンジニアリン グより、全日本ラリー選手権に参戦していた。しか し、後にモータースポーツ活動を休止してしまう。 「18歳でラリーを始めて、タスカエンジニアリング の石黒(邦夫)社長に拾ってもらって、全日本ラリー選 手権を戦ってきました。当時の国内ラリーは激戦区だ ったけれど、当時はモチベーションも高くて、全日本 ラリーでチャンピオンになりたかったし、アジパシに
ことも知らなかったんです。で、たまたま日本での WRC開催を知って、WRCラリージャパンに出てみた

してモータースポーツへの復帰を果たしたのだ。 ラリージャパン一戦だけのつもりが その後も大西選手は2012年まで全日本ラリー選手 権をメインに活動し、2013年より全日本ダートトラ イアル選手権に参戦。その経緯についてこう語る。 「本当は2010年のラリージャパンだけで良かったん だけど、せっかくクルマを用意してもらったので、 2012年までラリーを続けました。でも、ラリーは距 離が長いし、体力的にもしんどい。それでトレーニン グの一環として、スポット参戦していたダートトライ アルに参戦することにしました」。 こうして大西選手は2013年よりダートトライアル への挑戦を本格的にスタートしているが、 「ダートトライアルと言っても、自分は林道を走って いるような感覚でアタックしていますからね。クルマ に合わせたドライビングもしないし、ラリーで培った 技術で走っているので、現在でも自分はラリーのドラ イバーだと思ってますよ(笑)」とした上で、現在のモ ータースポーツに対するモチベーションを次のように 語った。 「全日本ラリーを戦ってた頃と比べると、現在はあん

年辺りから、今のうちに勝てる競技は勝っておきたい という気持ちが強くなりました」とも語る。

最終戦スピードパーク恋 の浦で見せたラリースト らしい突っ込み。先の見え ない下りの左コーナーに 対して弱カウンターの四 輪ドリフトで進入し、アク セルオンで駆け抜けた。 初栄冠の誉れ 特 集 ジムカーナ/ダートトライアル 39

まり勝負にはこだわっていない……というのが正直な 気持ちです。もちろん、走っている時は“できれば優 勝したい、チャンピオンを獲りたい”という思いはあ りますが、現在では走れるだけでも幸せですし、一戦
一戦を楽しみたいというのが基本的なスタンスです」。 その一方で「そういった、勝負にこだわっていない 甘さというか、メンタルの部分で優勝やタイトルを逃 してしまった部分もあると思います」と自己分析する。 勝てる競技は勝っておきたい そして、大西選手は「年齢的に、あと何年競技を続 けられるか分からないという気持ちもあって、2019
それに伴い、足回りの仕様変更を施したことによ り、マシンのパフォーマンスが向上。まだまだ速くな る要素を煮詰め、さらなる進化を遂げている。 「コロナの影響もあって、自粛期間中はモチベーショ ンが下がることもありました。でも、北海道も九州も 主催者は苦労しながら競技会を開催してくれましたか らね。その姿勢に、選手としてもモチベーションが高 まりましたし、気が引き締まりました」。 今季は尻上がりに成績を上げていった大西選手は、 ついに全日本タイトルを獲得。戦いをこう総括した。 「ラリーではタイトルを獲れなかったので、やっぱり やり残した思いがどこかにあって、モータースポーツ 活動を再開させたんだろうなと思います。2020年は 3戦だったけど、一戦にかける思いは強かったし、そ れが結果に結び付いたと思います。タイトルを獲得し たこともあるけれど、充実したシーズンでした」。 「2021年もダートラで戦います。2020年は3戦しか なかったので、来季はフルシーズンを戦った上で実力 を証明したい。2020年のような気持ちでもう一度チ ャレンジして2連覇したいと思います」。 2021年の全日本ダートトライアル選手権でも大西 選手がタイトル争いを左右することだろう。 YH・TEIN・AGランサー[CZ4AランサーエボリューションX]

たので、すごく悔しかったんです。そのリベンジのた め、2月ぐらいから毎週のようにテストしたり、3月は 地区戦にも参戦しました。クルマも2019年末にエン ジンをオーバーホールして、車両規則で解禁になった ECUでも新しいトライをして、足回りもアップデー トしていたんです」と、開幕前の意気込みを語った小 武選手。 しかし、開幕戦スナガワでは2ヒートともパイロン ペナルティで10位に低迷。最悪のスタートとなった。 「万全の準備をしていたし、金曜と土曜の練習走行も タイムは良かったので勝てると思ったんですけどね。 ですが、その気持ちがプレッシャーになって、悪い方 向に出てしまったんでしょうね」と振り返る。 「今季は最大でも4戦で、しかも全戦有効という大事

出そうと思い、2本目はこれまでにない集中力で、一 つ一つのコーナーを冷静に走れました」と、会心のア タックに成功。シーズン初優勝を挙げた。

万全の準備と集中力が噛み合った勝利 続く3戦目の名阪は「朝は寒かったので、高温用の タイヤで2本目に賭けてました」と語る小武選手。第 2ヒートで渾身のアタックを披露するが、僅かに届か ずに2位に惜敗。これでシリーズ3位に浮上したもの の、首位の一色選手とは9ポイント差があり、残り1 戦でのタイトル獲得は難しい状況だった。 それでも、最終戦イオックスでは、練習走行で低温 タイヤと高温タイヤのデータ収集を行うなど、前向き かつ入念な準備に取り組んだ。そして、決勝第1ヒー トではトップタイムを計測し、第2ヒートでもタイム アップに成功。首位の一色選手が6位に留まったこと により、小武選手がシーズン2勝目を獲得。全日本ジ ムカーナで自身初となるチャンピオンに輝いた。 「正直、タイトル争いよりも“自分の走り”がちゃん とできたという達成感の方が大きかったです。タイト ルを獲れるとも思っていなかったので、『本当に自分 がチャンピオン?』といった感じで、実感が湧きませ んでした。恋の浦の優勝は感極まったんですけど、イ オックスの勝利は冷静でしたね(笑)」。 「イレギュラーな日程の上に、大会のコンディション 的にもタイヤ選択が難しい戦いが多かったと思いま す。それに恋の浦ではマシントラブルを経験して、自 分でも波乱のシーズンでしたが、それでも自分のでき ることをやって、結果に繋げることができました」。 「2017年からフル参戦を開始し、2018年から成績も 安定してきたので、タイトルを意識するようになりま した。それでも、そう簡単に全日本チャンピオンにな れるとは思っていなかったので、意外とあっけなく獲 れたなぁ……というのが率直な気持ちです。とはい え、かなりラッキーな部分も多かったので、2021年 こそは例年通りのフルシーズンを戦い抜いて、ディフ ェンディングチャンピオンを狙いたいですね!」。

日本ジムカーナ選手権は、8月の オートスポーツランドスナガワで 開幕し、9月のスピードパーク恋 の浦、10月の名阪スポーツランドCコース、 そして、11月のイオックスアローザスポーツ ランドと、全4戦で開催された。この短期決 戦でSA・SAX1クラスを初制覇したのが、 “ツヤツヤ”に磨いたEF8 CR-Xで戦う、全 日本ジムカーナ参戦7年目となった小武拓矢 選手だった。 「2019年はシリーズ2位で、しかも、タイ トルを獲得した一色健太郎選手は同い年だっ
な局面での最下位でしたからね。2本目を終えた瞬間 に、今シーズンは終わったと思いました」。 とはいえ、この開幕戦の“つまづき”が小武選手に とって好転のきっかけとなった。 「開幕戦の後に、タイトルを狙う気持ちが薄れてしま ったんですが、逆に一戦ずつ全力で戦おうと思い直し ました」と語る小武選手。しかし、2戦目の恋の浦で は、金曜の走行で駆動系トラブルが発生してしまう。 「地元の方がミッションを提供してくれて、土曜の練 習走行に間に合うように、地元のガレージで修理をし ていただきました。皆さんの協力を無駄にしないよう に、恋の浦では全力で挑みました!」。 ハプニング克服が追い風となったか、小武選手は第 1ヒートこそ2番手だったが、「クルマの性能を100% 全 全日本ジムカーナ選手権 2020 年 S A ・ S A X 1 クラスチャンピオン 小武拓矢 シンシアYHワコーズCRX艶々[EF8.CR-X] 40

子でタイトルを……という思いがありました」。

葛西選手の思いとは裏腹に、その後は大会の開催が 中止や延期となり、約5か月間のインターバルを得 て、8月のスナガワから再開されることになった。 「北海道は参戦するかどうか本当に悩みました。その ときは今庄の中止が発表され、テクニックステージタ カタの大会も開催が不透明でした。なので、何とか北 海道で連勝して、ラクになりたいと思っていました。 スナガワの高速コースにはMR2が合っていると思っ ていて、実際、公開練習から調子が良かったんですけ ど、内藤修一選手や川口昭一選手が一枚上手でした」。 スナガワ大会では地元勢を相手に3位で惜敗した葛

たね」と語りながら も、第1ヒートでは 2番手タイムをマー ク。「とにかく1本目が勝負だと思っていたので、ホ ッとしました」と第1ヒート後の心境を語った。 気持ちが空回りして第2ヒートで失敗…… 第2ヒートではタイムアップを果たせずに5位に終 わったが、タイトル争いをしていた内藤選手も7位に 低迷。この結果、葛西選手が全日本ダートトライアル 選手権で初めてチャンピオンに輝いた。 「勝ってタイトルを獲りたかったけど、気持ちが空回 りして2本目に失敗しました。僕は5位だから、再車 検場ではなくパドック直帰だったので、感動はなかっ たかな(笑)。でも、表彰式が終わってから胴上げして くれたんです。それが本当に嬉しかったですね」。

オートランド千葉を舞台とする千葉県ダートトライ アルシリーズで腕を磨き、2013年に全日本ダートトラ イアルにデビューして7年目でついに頂点を極めた葛 西選手。「デビュー当初は全日本タイトルを獲れると は思っていなかったけれど、色々な方々のサポートも あって、2017年あたりからクルマが仕上り、ドライ ビングがいい方向に向かっていきました」と語る。 事実、葛西選手は2017年の今庄大会ではSA1ク ラスで3位入賞を果たし、自身初の表彰台を獲得し た。そして、2018年に全日本初優勝を獲得したのだ が、「あの優勝が大きかったと思います。あれからタ イトル争いを意識して、2019年から全日本ダートラ にフル参戦するようになりました」とのことだ。

短期決戦となった全日本ダートトライアル選
手権。全3戦すべてを取りこぼせない状況 でSA・SAX1クラスを制したのが、“SW20 MR2使い”葛西キャサリン伸彦選手だった。 葛西選手の躍進は、3月の開幕戦で始まった。 「2019年のオートパーク今庄大会の時に2020年を 見据えて、デフやダンパーを変更しました。シーズン オフの間に熟成を進めて準備していたので、開幕戦の 京都は勝ちを狙ってました。2019年SA1チャンピオ ンの浦上真選手はいなかったけど、彼がいた場合を想 定して本番を走りました」と語る葛西選手。 京都コスモスパークでは第2ヒートで逆転を果た し、2018年以来となる全日本2勝目を獲得した。 「開幕戦優勝で、初めてシリーズリーダーになれたん です。ダートラの主力車種じゃない“バラエティ枠” としては一つの目標が実現したんですが、クルマも決 まってきたし、自分も乗れてきたので、このままの調
堅守して、最終戦の恋の 浦大会に挑戦した。 「恋の浦は苦手で、いい 成績を出したことがない し、シリーズ2位の内藤 選手とは4ポイント差で したから。思いが交錯し て、正直、ストレスでし
西選手。それでも首位を
リーズを含めて、初めてのチャンピオン です。いろいろ積み重ねたことで、よう やくここまで来ることができました。参戦 したくてもできなかった仲間もいたので、 本当にチャンピオンでいいのかなぁ…… という気持ちもありますが、その一方で、 チャンスを取りこぼさずに戦えたという気 持ちもあります。2021年も引き続き全日 本ダートラに参戦予定です。フルシーズ ンを戦って、もう一度チャンピオンを獲り たいですね」と目標を新たにした。 さらに「2018年にPN2 クラスの細木智矢選手と知 り合ったことも大きい。彼 と一緒に練習するようにな って、クルマの方向性やド ライビングを指摘してくれ たんです。彼から色々と吸 収できました」と語る。 試行錯誤しながらタイト ルを獲得した葛西選手。 「地方選手権やローカルシ 超 2020 年 S A ・ S A X 1 初栄冠の誉れ 特.集. ジムカーナ/ダートトライアル YH速心ガレージクロノスMR2[SW20.MR2] 41
フォト/吉見幸夫、山口貴利、廣本泉、JAFスポーツ編集部 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部 日本海に面した島根県西部の地方都市、江津市。 人口が少なく“東京から一番遠いまち”とも言われる この街で、日本初の市街地カートレースが開催された。 ここでは、国内モータースポーツ界で行われた、 2020年の新たな振興への取り組みを振り返る。 台は島根県江津(ごうつ)市。山 陰本線・江津駅前を拠点とした 特設コースで、日本では初開催 となる市街地カートレースが行われた。 このレースが企画されたのは、遡ること 7年前の2013年だった。「イベントとし ては夏の花火大会しかないので、何か町お こしになるような企画を考えていました。 もともと(A1市街地レースクラブの)上口 剛秀さんと繋がりがあって、そこから市街 地レース構想がスタートしました」と語る のは、A1市街地グランプリGOTSU2020 実行委員会の副委員長であり、江津市内で 建設会社を営む森下幸生氏だ。 事務局の山田麻美氏(大会組織委員長)を 始めとしたスタッフらによる粘り強い交渉 やプレゼンテーションが行われると同時 に、JAFモータースポーツ部の協力により、 JAF公認競技として開催することも決定。 これらの動きが関係各署の許認可を促す きっかけとなり、江津駅に面した国道と県 道の一部を走行できるという、国内モータ ースポーツ界における“事件”とも言える、 前例のない快挙が成し遂げられた。 江津市民も協力してコースを設営 気になるマシンは200ccのエンジンを 搭載したレンタル用カートモデル「ビレル N35」。四輪の市街地レースでは、安全性 を高めるべく、コンクリートウォールに加 えてデブリフェンスが設置されているが、 今回の車両は軽量かつ最高速も低いことか ら、手軽に設置することができるイタリア 製の安全防護帯「GoTrack」を採用した。 モータースポーツ活性化を目指す 飽くなき取り組み 一方、コンサルティング会社を運営しな がら、モータースポーツによる町おこしを 企画するA1市街地レースクラブの上口代 表も「自分はレースが大好きで、モーター スポーツで地方創生ができればと考えてい ました。この度は、江津市の協力のもと具
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体的なプランを練りながら準備を進めてき て、実現に漕ぎ着けました」と背景を語る。 特設コースは、大会本部およびスタート /フィニッシュ地点を江津市の複合施設で ある「パレットごうつ」に設置し、山陰合同 銀行江津支店の駐車場にパドックを設定。 当初は全長1.7kmのコースを予定していた が、新型コロナウイルス感染症の影響によ り規模を縮小。全長778mとなった。 市街地レースは一般公道を使うことから、 道路の使用や占用の申請、地元自治体や地 域住民との調整などなど、開催までには数 多くの課題があり、しかも、前例がないケ ースのため、その交渉は難航したという。

短時間でコースの両側にバリアを敷設可

能で、1DAYスタイルで開催された今大会 も、午前9時に道路を封鎖して、わずか2 時間後には設営が完了している。これらは 江津市の約250名にも及ぶ地域ボランテ ィアの協力があってこそで、設営を始め、 大会の各所でスムーズな運営へと導かれて いたことは言うまでもない。 大会の臨時コースに対して、JAFカート 部会による査察が行われた。試走も経て安 全面を考慮したいくつかの不具合を改善。 いよいよコース公認許可証が発給され、開 催準備が整った。

島根県で日本初の市街地レース開催 新たな可能性の第一歩を踏み出した! JAFカート部会の小島義則 部会長の指摘もあり、コー スバリアの位置を調整する など、市街地における安全 なコース作りが行われた。 コース設営と撤去については、地 域ボランティアの積極的かつ主 体的な動きにより、想定を遥かに 下回る時間で完了できたという。 初代ウィナーは大井偉史選手、2位は曽根崇 仁選手、3位は篠田義仁選手。 交通規制は朝9時から15時という短時 間。JR山陰本線の江津駅前周辺の県道 238号線と国道9号線の一部を使って カートレースが行われた。

地元ケーブルテレビ局が連合した レースの生放送やインターネットによ るライブ配信が行われ、森脇基恭氏が 解説を担当した。

森脇基恭氏とA1市街地レースクラブ の上口剛秀代表と山田麻美さんらに よる、JAFモータースポーツ部への報 告会も行われた。

たと思います。この経験を将来に繋げられ るように協力していきたいですね」と語る。 今大会は地元のケーブルテレビを通じて、 島根県全域で生中継およびインターネット 隣の方々も軒先などから観戦していたが、 レース後に各ドライバーへたくさんの拍手 を贈っていたことから、いかに地元の方々 がレースを満喫したかが分かるだろう。 「とりあえず、無事にレースを終えること ができたので、1回目としては成功だった と思います」とは森下副委員長。A1市街地 レースクラブの上口代表も「A1とはAnyo ne、つまり誰もが参加できるという意味 がありますので、今後は様々なドライバー に参加してもらいたいですし、将来的には 電気を使った専用モデルでのレースを開催 したい。自治体と協力してレースができる のであれば、市街地を使った自動運転の試 験もできると思うので、自動車メーカーな どの参加も呼びかけたいですね。もちろ ん、レース規模の拡大や、他都市での開催 やシリーズ化という道もあると思います」。 日本における市街地レースの大きな可能 性を感じた記念すべき一戦。江津大会の成 功に倣い、開催機運の高まりを期待したい。

「ねっとの窓口 A1市街地グランプリGOTSU 2020」 開催日:2020年9月20日 開催地:島根県江津市内 主催:A1市街地レースクラブ、 A1市街地グランプリGOTSU 2020実行委員会 運営には250名規模の地域ボランティアが関わった今大会。前例のない試みだったが“日本初”に挑戦する 機運が一致団結を促進させた。 43

レースプログラムが極めて短いことも今 大会の特徴で、わずか1時間30分で全て のセッションが終了した。15時の撤去完了 までを含めても、要した時間はわずか6時 間。今大会では参加者の公募を行わず、主 催者が招待した12名でレースを行ったこ とも時間の短縮に寄与している。 参加者はいずれもモータースポーツ経験 者で、スーパーフォーミュラやスーパーGT で活躍する関口雄飛選手、インタープロト やスーパー耐久などのレース経験を持つ松 村浩之選手が公式アンバサダーとしてエン トリー。カートにも造詣が深く全日本ラリ ー選手権で活躍する曽根崇仁選手も急遽参 戦するなど、ユニークな面々が揃っていた。 予選を制したのは曽根選手だったが、決勝 では2位に惜敗。FIA-F4やヴィッツレース の経験のある大井偉史選手がA1市街地レ ースGPの初代ウィナーに輝いている。 アンバサダーを務めた関口選手は「当初 予定していた1.7kmのコースでの開催は できませんでしたが、多くの人の協力もあ って、第1回目の大会としてはうまくいっ でのライブ配信が実施され、主催者は感染 拡大防止の一環として自宅でのレース観戦 を呼びかけていた。その一方で、地元の小 学生のための観戦エリアも設置された。近

そんなラリーのメッカとも言える九州で、 このたび新たなラリーが開催された。その 名は「アライズスピリットラリー西都」。 主催は、九州ラリー選手権でドライバー として活躍してきた久木野聖選手が代表を 務める、設立4年目のアライズモータース ポーツ宮崎(AMS宮崎)。ラリーの舞台は 古墳で有名な宮崎県西都(さいと)市だ。 「実はクラブを設立してすぐに、ラリーを

ウェルカム“ラリービギナー”

AMS宮崎にとって初のSSラリー主催 となったが、今大会のユニークな点が、ビ ギナーを対象にしたということだろう。 「父がラリーをやっているので免許証を取 ってからすぐにライセンスを取得しました が、実際に競技に出るのは2019年のL1 ラリー以来、2回目です。宮崎に就職した こともあって父と一緒に参戦しました」 と語るのはRH3クラスにドライバーと して参戦した白石花恵選手で、豊富なラリ ー経験を持つコ・ドライバーの父、白石認

選手と親子でエントリーした。さらに、 「2019年の最終戦から九州ラリー選手権 に河本(拓哉)さんのコ・ドライバーとして 参戦していますが、今回は経験のためにド ライバーとコ・ドライバーを入れ替えて参 戦してみました。ドライバーとして競技に 参戦するのは初めてです」 と語るのは、ドライバーとしてRH5ク ラスに参戦した柴田咲希選手で、コ・ドラ イバーとしては初参戦となった九州チャン ピオンの河本拓哉選手とチャレンジした。 そのほか、RH1クラスにドライバーとし

日本のラリー銀座・九州発 新たなラリースト育成への道 在、全日本ラリー選手権として 開催されている「ツール・ド・ 九州」を筆頭に、九州と言えば、 佐賀県吉野ヶ里町周辺の「FMSCマウンテ ンラリー」、宮崎県美郷町周辺を舞台とし た「ひむかラリー」など、これまで老舗クラ ブが名物ラリーを開催してきた。
主催するための準備をしていたんです。宮 崎のラリーと言えばルート・10・延岡(R10-N)さんが有名ですよね。ですが、同じ フィールドではなく、新たなエリアを探す ところから始めました。当クラブとの縁が あって西都市でのラリー開催を進めてきま したが、その準備や調整には時間がかかり ましたね」と38歳の若きリーダーは語る。 これまでAMS宮崎は、西都市でアベレ ージラリーやオートテストを主催、言わば “プレイベント”を開催してきた。今大会 は当初7月開催を目指しており、新型コロ ナウイルス感染症の影響で12月に延期と なったが、ようやく念願のスペシャルステ ージラリー開催に漕ぎ着けたのである。 高知県大豊町にタイムアタッカーが集結、新規則でのJAF公認ヒルクライム初開催! 「アライズスピリットラリー西都2020」 開催日:2020年12月12~13日  開催地:宮崎県西都市周辺 主催:アライズモータースポーツ宮崎  協力:ルート10延岡 明日 への挑戦 現️ 44
て参戦した伊藤慶選手も「普段はダートト

ライアルをやっています。九州フェスティ バルのラリー部門に参戦したことはありま すが、林道をアタックするのは初めてで す」とのことで、狙い通り、ラリー経験の 少ない選手たちがエントリーしていた。 ちなみに、AMS宮崎のクラブ員も若い メンバーが多く、「オートテストに参加し て競技ライセンスを取得し、ジムカーナを 始めたんです」と語る楠木達也さんは現役 の大学生だ。同クラブでは、メンバーが積 極的に他の大会をサポートしているそう で、若いとはいえ、競技オフィシャルの経 験が豊富なメンバーが多いことも特徴だ。

新たなラリーで地域振興を

今大会には数多くのビギナーが参戦して いたが、その一方で、九州を代表するラリ ースト・榊雅広選手といったベテランドラ イバーが出場していたことも興味深い。

今大会は地方格式のため、スペシャルス テージ距離は10km以内に限定されていた。 しかし、ステージ構成は本格的で、1.8km の「HASEKANNON」と3.08kmの「SIAWA SE」の2本の林道ステージが設定された。 榊選手は「ハイスピードコースでチャレ ンジングなステージでした。距離は短いけ れど走り応えがありましたよ」と語る。ラ リーの展開もなかなかの接戦で、各クラス で激しいバトルが展開されていた。 今大会の審査委員長を務めたJMRC九

州ラリー部会長である星野元氏は、 「リザルトの集計方法や公式書類の内容な ど、経験不足を感じる一面もありました が、西都市の市長が開会式に参加してくれ るなど自治体と良好な関係を築いているよ うですので、定期的に開催してイベントを 発展させて欲しいですね」と期待を寄せる。 「2021年は準国内格式でステージ距離を 伸ばしてカレンダー申請をしています。地 域振興のイベントとして、今後もこのラリ ーを継続していきたいですね。将来的に は、九州ラリー選手権の一戦として開催で きるように発展させたいと考えています」 と語るAMS宮崎の久木野代表のモチベ ーションは高い。九州の新たなラリーフィ ールドとして今後の発展に期待したい。

11 月29日、高知県大豊町で「おおとよヒルクライム2020」が開催され た。2017年に初めて開催されてから4年目を迎えた今回の大会は、 2019年11月にJAFが新たに制定した「スピード競技開催規定 細則:ヒルクラ イム競技開催要項」に沿って初めて開催される準国内格式として行われた。  おおとよヒルクライムは、大豊町にあるアウトドアレジャー施設『ゆとり すとパークおおとよ』へ至る道路を使用して行われる競技。雲海を望める標 高750mの高地にある同施設までの片側一車線のスカイラインを一気に駆 け上がる。選手はコース確認のための試走を1度行った後に2本の決勝トラ イを行い、その合計タイムで順位を決定した。  今回のコースは、2016年にJMRCオールスターラリーの SSとして使用されたコースをベースとしている。ヒルクラ イム開催要項がなかった2019年までは暫定的な措置とし て「スペシャルステージ(SS)ラリー開催要項」に準じた規 定で行われてきた。SSラリー規定ではSSの距離が5kmを 超える場合はラジオポイントを設けなければならないが、 今回のヒルクライムでは3.2kmのコース内に4か所のラジ オポイントを設けた。  「公道で行われる競技ですが、サーキットと同レベルの安全に対する配慮 が必要と思い、4か所設定しました。参加者の人達にも、公認競技会のある 意味シビアな一面を知ってもらえたかなとは思います」と原信義競技長。  「回を追う毎に地元の四国の参加者が増えてきているのが嬉しい所です ね。安全面の対応は絶対、外せないですけど、これまで同様、敷居は低くし てBライ競技への入門イベントとして定着させたいです」と今後を見据え る。四国の名物イベントとしての発展をまずは期待したいところだ。 高知県大豊町にタイムアタッカーが集結、新規則でのJAF公認ヒルクライム初開催! 「おおとよヒルクライム2020」 開催日:2020年11月29日 開催地:高知県大豊町周辺  主催:ラリークラブつるぎ RH1クラスにコ・ドライバー八尋俊一選手とCP9Aラ ンサー・エボで参戦したドライバーの伊藤慶選手。 RH3クラスにデュエットで参戦した白石親子。ドライ バーは白石花恵選手、コ・ドラは父・白石認選手。 RH5クラスにNCP91ヴィッツで参戦した柴田咲希 /河本拓哉組は、ドラとコ・ドラを入れ替えて参戦。 AMS宮崎に所属する楠木達也さんはオートテス ト出身の新人類。参戦、運営ともに、現在モーター スポーツ経験を積んでいる。 AMS宮崎の久 木野聖代表。 今大会は1.8kmと3.08kmの2本のステージ を設定。西都市の新たなラリーフィールドを ベテラン榊雅広選手は「ハイスピードで チャレンジングなステージ」と表現する。 当初予定の7月から 12月開催に延期され た今大会。AMS宮崎 主催の公認ラリーは 成功裏に終了した。 関東や九州からもエントリーがあり、 90名が競技を楽しんだ。Bライ競技 経験者の姿も目立った。 今回はJAFが新たに制定したヒル クライム競技開催要項に沿って行 われる最初の大会となった。 ドライバーズブリーフィングでは、 スタートシグナルの説明が特に細 かく行われた。 45
フォト/廣本泉、TOYOTA.GAZOO.Racing、JAFスポーツ編集部 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部 ラリー競技はドライバー「一人」だけでは成り立たない。 コ・ドライバー、かつては「ナビゲーター」と呼ばれた彼らは SSラリーが主体となった現在、その役割が大きく変化している。 ここでは、コ・ドライバーに求められる役割や振る舞いを 二人の全日本チャンピオンに聞いた。 業務は幅が広くて奥深い! ドライバーを勝利に導く “コ・ドライバー”の役割とは!? ﹃ コ ・ ドラ ﹄の お仕事 47

ライバーと共にマシンに乗り込 み、ロードセクションはもちろ ん、スペシャルステージでもド ライバーと一心同体でサポートする。 「コ・ドライバー」は、ラリー競技に欠か せない存在として広く知られているが、ラ リー期間中の役割や、どんな事をしている のかについては、意外と知られていない。 ここでは2019年全日本ラリー選手権 JN2クラスのナビゲーター部門チャンピ オンに輝いた安藤裕一選手、そして、 2010年から2013年の全日本ラリー選手 権でJN4クラスのナビゲーター部門で4 連覇を達成した他、2016年から2018年 にはTOYOTA GAZOO Racingラリーチ ャレンジプログラムによりフィンランドで ラリー活動を行ってきた足立さやか選手

に、コ・ドライバーの役割や業務について 解説してもらった。

近年のラリー競技におけるコ・ドライバ ーの役割は、一般的には、まずラリールー トの管理が挙げられる。主催者発行の「ロ ードブック」を元に競技ルートをナビゲー ションし、設定されたタイムコントロール に間に合うように、スタートからフィニッ

シュまでの時間を管理する仕事である。 また、競技ルートを下見する「レッキ」で は、道の形状や状況といった情報をまとめ た「ペースノート」をドライバーの指示によ り作成し、スペシャルステージでは、ペー スノートを走行中に読み上げて、ドライバ ーに事前情報を適確に伝えている。

これら、ルートの管理と時間の管理、そ して、ペースノートの作成と「リーディン グ」がコ・ドライバーの主な業務と言える。 安藤選手によれば、「地方選手権であれ ばそれだけでもいいんですが、全日本選手 権になってくると、やらなければいけない ことが増えてくるんですよね」とのこと。 さらに「マネージャーがいないチームに関 しては、コ・ドライバーが全体の“マネジ メント”を行う必要が出てきます」とのこ とで、全日本ラリー選手権では、コ・ドラ イバーの業務は多岐に渡ってくるようだ。

ドライバーのメンタル管理や セッティング変更の指示も まず全日本選手権での業務については、 「全日本では、スタート前、具体的には規 則書が出た時点で、過去のルートとの違い

をチェックします。また、金曜にはレッキ を行いますが、その“タイミング”を図る ことも重要な役割になってきます」。

「前後のクルーをチェックして、レッキの ペースが遅い人が前にいるようなら、スタ ートを遅らせて間隔を空けたり、レッキの ペースが速いクルーが後方にいる場合は、 先行させる場合もあります」。 「このタイミングは、ノートの内容にも影 響してくるので、スタートからフィニッシ ュまで、自分たちのペースで走れるように 調整しています」と安藤選手は語る。 「ドライバーのメンタルをいかに良い状態 で保つか、という点にも注意しています。 ドライバーがどういう状態で走っているの か、周囲とのタイム差をチェックして、ど れくらい遅れているのか、どれくらい先行 しているのか。それらをドライバーの個性 を捉えた上で、伝え方も変えています」。 「コースの得意・不得意もあるし、クルマ の違いもありますので、次のスペシャルス テージはプッシュすべきか、それとも抑え るべきかを判断し、ドライバーが気持ちを いい方向に持っていけるように伝えるよう にしています」とのことだ。

2019年全日本ラリー選手権JN2ナビゲーターチャンピオン 安藤裕一選手 JAF地方選手権やTRD ラリーチャレンジなど の参戦を経て、現在で はドライバー眞貝知志 選手とのコンビで全日 本ラリー選手権に参戦 している安藤裕一選 手。JMRC中部ラリー部 会主催のラリーセミ ナーでは講師を務め、 ラリー発展に寄与する 活動にも積極的だ。 48

加えて「チームにもよりますが、自分たち は私がポイント計算をやっていますので、 特に後半戦になると、それを見ながら気に なる選手とのギャップを意識しています」。 「ドライバーは、コーナーやSSなど、小 さな単位に集中していますが、私はイベン ト全体やシーズン全体を見ながら戦い方を 決めていますね」と安藤選手は語る。

また、コ・ドライバーはチームとドライ バーを繋ぐ「連絡役」も担っているようで、 安藤選手はこのように語ってくれた。 「現在のチーム(TOYOTA GAZOO Raci ng)では、競技中は私を介してドライバー とチーフメカニックが連絡を取るようにし

ています。具体的には、ドライバーからセ ッティング変更などの要望があると、私が チーフメカニックに連絡して、それに対す る方針を私とメカニックで決めています」。 こういった要素については、海外ラリー でも共通しているようで、足立さやか選手 によれば「海外ラリーでは、チームとドラ イバーがダイレクトに話ができる時間は限 られているので、コ・ドライバーはその間 を繋ぐ役目を担っています」と語る。 大切な決断も行うコ・ドライバー 「冷静さ」だけでもない難しさ 安藤選手によれば「私は『コ・ドライバー

はツアーコンダクターみたいな 仕事だ』とよく言っているんで すけど、競技中、チームの行動 がスムーズに進むように“事前 の準備"をして、“現地でのサポ ート"をすることで、ドライバ ーやメカニックが最も良いパ フォーマンスを発揮できるようにする手 伝いをしています」とのこと。

そして「通信事情の悪いスペシャルステ ージ内でトラブルがあった時、リタイア するかしないかの判断は、現在のチーム ではコ・ドライバーに一任されているん です。そのため、マシンの状態やシリー ズ争いの状況を考慮した上で 判断しています」と語る。

足立選手は「タイヤ交換の タイミングはタイヤの状況を 見て、サービスにいるエンジ ニアの意見を聞いた上で私が 判断しています」と語ってい るだけに、まさにコ・ドライ

バーは競技の行方を左右する プレイングマネージャー的な 2013年全日本ラリー選手権JN4ナビゲーターチャンピオン 足立さやか選手 コ・ドライバー安藤選手の必需品! 連絡手段のスマホは一心同体に 安藤選手のレーシングスーツの脚元にはス マートフォンホルダーを装備。「万が一の際に スマホが飛んでいかないようにしています。ど んな状況になっても常にチームと連絡が取れ るようにしておくこともコ・ドライバーの大切 な役割の一つですからね」とは安藤選手。 2010年~2013年まで全日本ラリー選手権 で勝田範彦選手と4年連続チャンピオンを 獲得した足立さやか選手。TGRラリーチャ レンジプログラムでは、フィンランド国内 選手権などの参戦を通してコ・ドライバー の実戦トレーニングを積み重ねてきた。 ﹃ コ ・ ドラ ﹄の お仕事 49

ドライバーをさらに速く走らせられる!」

存在だと言えるだろう。 世界ラリー選手権(WRC)のワークスチ ームでは、チームマネージャーがコ・ドラ イバー出身であることも少なくない。この 事実からしても、コ・ドライバーには冷静 な判断力が求められてくるようである。 「やっぱり、コ・ドライバーは冷静沈着じ ゃないといけないと思います。もちろん、 アツくなることも必要ですけど、何かを判 断するときは感情で決めてはいけないの で、冷静さが必要ですよね」とは足立選手。 安藤選手も「コ・ドライバーが慌てると ドライバーにも影響するので、やはり物事 を冷静に俯瞰できることが重要ですね。ラ リー中はドライバーが必要な情報はすぐ渡 せるようにしておかないといけないです し、何かトラブルやアクシデントがあった ときには、最低でも“ベター”な善後策を

2018年WRCラリー・フィンランドではFIA-R5車両に搭乗した足立選手。 R5車両の速度域を知る数少ない日本人ラリーストとなった。 外国人ドライバーと日本人コ・ドライバーという組み合わせは、世界広しと言えどもレアケー ス。ロングでハイスピードな欧州のラリーを戦った足立選手は、日本のラリーとはまったく 違った“景色”を観ることができたはずだ。 50

な中に“アツさ”も必要だと思います」。 全日本ラリー選手権や海外でのラリー競 技などのハイレベルなシリーズでは、コ・ ドライバーには別の資質も求められる。

それはマシンに対する技術的な知識で、 確かにWRCのサービスパークなどでは、 エンジニアはドライバーだけでな く、コ・ドライバーともセッティ ングについて話をしているシーン をよく見かけるだろう。

これについて足立選手は「全日 本ラリーに参戦している時、セッ ティングに関しては全てドライバ ーが担当していたんですけど、海 外に行ってからは、エンジニアと はテクニカルな領域の話をする機 会が圧倒的に増えました。分厚い 技術書を渡されて、エンジニアか

ら“コレ、読んどけよ”と言われたので、 最初は本当に苦労しましたね」と3年間の 海外ラリー活動を振り返った。 安藤選手も「テクニカルな知識はコ・ド ライバーをやる上でアドバンテージになる と思います。私は大学も文系で、テクニカ ルな領域は足りないところなので、今では 技術的な部分についても興味を持って見る ようにしていますね」とのことだ。 本番環境じゃないと上達しない ドライビングへの見識も必要 このようにステップアップするにつれ て、コ・ドライバーに求められる要素は増 えてくるが、本来の役割であるラリールー トの管理や時間の管理、そしてペースノー トの作成やリーディングについても、さら に高いスキルが要求されてくる。 これらの最適なトレーニング方 法を二人に伺ったところ、「やはり 実際のラリー競技に出ること」とい う即答が返ってきた。 「ラリールートの管理や時間の管 理は、競技に参戦しないと身に付 かないと思います」とは足立選手。 安藤選手も「ドライバーは、運転の トレーニングについては林道やサ ーキットなどでできますが、コ・ ドライバーは、スペシャルステー ジでの走行以外のルート管理や時 間の管理、トラブル対応といった 要素も大切になります。それらを ・ ドライバーなら、

提案する必要があります。なの で、いつでも冷静でいられるこ とは大切です」と語る。 「でも、ドライバーがいいタイ ムで走るアシストをしているの で、クルーで一緒に喜んだり、 悔しがれることもコ・ドライバ ーの大切な資質だと思います。 嬉しさや悔しさなどの感情的な 部分や、“負けん気”が次のモチ ベーションに繋がるので、冷静 学ぶためには、やはり実際のラリーに出た 方がいいんですよね」と語る。 ペースノートのリーディングに関して も、「とにかく“読む”しかないんですけ ど、やっぱり競技に出場しないとうまくな らないと思ってます。リーディングは、連 続するコーナーでも何秒か前に読まないと

いけないんですが、一定速でダラ ダラ走る状況だとスキルアップに は繋がらないんです。つまり、レ ーシングスピードの車内で読み上 げることが大切で、その機会を増 やす必要があると思います」と安 藤選手は語る。 その一方で、ペースノート作り については日常でもトレーニング ができるという。 「いいペースノートを作るために は、ドライバーがやりやすい車速 でレッキした方がいいんですよ。 そのため、まずはドライバーが喋 るスピードよりも速くノートに情 報を書けるようにするトレーニン グがいいと思います」。 「自分は、全日本にステップアップする 際、本番の車載映像を見ながら、コ・ドラ イバーが読み上げる情報を書き取る訓練を していました。そして、速く書ける文字を 自分で見つけておくことも上達のポイント になると思います」と安藤選手は語る。 足立選手のペースノート作りについて は、「フィンランドのスペシャルステージ はアップダウンが多いので、そういう状況 で道の先をどう表現するのかに最初は苦労 しました。そのため、ノート作成の段階で 自分から『ここは複合で繋いだ方が読みや すいのでは?』とか『この表現のほうが理解 しやすいと思うけど?』などと、積極的に ドライバーに提案していました」と語る。 足立選手は「おかげでラリーが染み付い てしまって、街乗りでクルマを運転する時 にも『このコーナーはこう表現した方がわ かりやすいかも』なんてことを考えるよう になりました(笑)」と語っている。 コ・ドライバーは“走れる”必要はない が、ドライビングを考えることはリーディ

ングのスキルアップにも効果的 だという。 「コ・ドライバーも走るイメージ を持っていた方がいいと思いま す。10箇所のコーナーをすべて合 わせるのは難しいですが、走りのイメー ジを持っていれば、例えば4つ目のコー ナーがキツくて難しい場合は、そこを狙っ てタイミングを合わせられるようにする。 ドライバーがどう走りたいかを理解できる と、上手くペースノートを読めるようにな ると思います」とは安藤選手。

ドライバーをさらに速く走らせる 自分じゃ見られない“景色”が!

ラリー競技は二人三脚ではあるが、コ・ ドライバーは、ラリー全域を冷静に見渡し ながら適宜判断を下す能力や、ドライバー などとの高度なコミュニケーションなど、 独特のスキルが求められる。しかも、これ らはスクールで教わるわけではなく、ほと んどが独学でコツコツと習熟していくしか 道がない。そして、メディア露出などで脚 光を浴びるのは、もっぱらドライバーなの である。ある意味、ラリーにおいては損な 役回りとも言えるコ・ドライバーだが、そ の魅力はどこにあるのだろうか? 「自分はドライバーとしてあんなに速く走 ることはできないけど、コ・ドライバーな

ら、ドライバーをさらに速く 走らせることができる。自分 もマシンを走らせている感覚 になれるところがコ・ドライ バーの魅力だと思います」と 語るのは足立選手。

安藤選手は「コ・ドライバーは“減点”で 評価されるのでミスができないし、勝っ たとしても、その勝利にコ・ドライバー がどれくらい貢献したのかが判りにくい 部分があるんですよね。自分もドライバ ーの経験があるんですけど、その頃には 決して見られなかった“景色”が、現在で は見られるという喜びがあります。そし て、コ・ドライバーは俯瞰的にラリーを 見られるので、自分自身は速く走れない けど、速いドライバーとクルマをいかに 勝利に結びつけるか……といった知的な ゲーム・スポーツをやっている楽しさが あります」と魅力を語る。 まさにラリー競技のコ・ドライバーは 奥の深い専門職で、スペシャルステージ でドライバーが披露する果敢なアタック の背後には、コ・ドライバーの正確な“導 き”が存在する。ペースノート作りやリー

ハプニングにも対応する冷静な対応能力 と分析能力が、ラリーの輝かしいリザル トを生み出しているのである。 ルートや時間の管理に加え、刻一刻と変わる路面や天候に対応するドライビン グへの理解も求められるコ・ドライバー。タイトなナビシートで多くの業務をこ なしながら、他の競技では味わえない、驚きの世界を堪能しているのだ。 ﹃ コ ・ ドラ ﹄の お仕事 51
ディング、そして、どんなリクエストや
ーキットを舞台とするレース競技で“速 さ”を徹底的に追求したフォーミュラマシ ン。それゆえ、ハコ車やレーシングカート に比べると、フォーミュラマシンを日常的に走らせる ことはコスト的にも難しく、“ぶっつけ本番”でレース ウィークに突入する選手も少なくないだろう。 そして、スーパーFJやF4カテゴリーを卒業する と、スーパーフォーミュラ・ライツ、そして国内トッ プフォーミュラのスーパーフォーミュラなどへの道も 拓けてくる。しかし、上級フォーミュラになればなる ほど走行機会は減少し、レースウィークの限られたセ ッションで、自分のドライビングおよびマシンセッテ ィングを固めなければならない。 こういう限られた条件の中で、レーシングドライバ ーは各セッションにおいてどんなことを意識している のだろうか? ここでは、2020年の全日本スーパー 全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権、時間は有限!レースウィークをどう戦う!? 決勝レースのアプローチ フォト/吉見幸夫、石原康、遠藤樹弥、JAFスポーツ編集部 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部 レーシングドライバーは、決勝レースのコース上でライバルと競り合うだけが仕事ではない。 決勝のグリッドに着くまでには多くのプロセスがあり、それらを経て本番に臨んでいるのだ。 ここではフォーミュラ界で成長著しい注目選手に、レースウィークのアプローチ方法を聞いた。 サ️ 特 集 スーパーフォーミュラ・ライツ 阪口晴南選手 宮田莉朋選手 石浦宏明選手 52

ットアップを試すことも多いですね。予選のパフォー マンスを重視してセットアップしておけば、決勝はそ の流れで走れることも多いと考えています」と語る。 また、宮田選手は「スーパーフォーミュラ・ライツ の車両セッティングですが、FIA-F4などに比べると 路面温度や気温など、環境変化に左右されやすいと思 います。なので、自分の経験や感覚だけではなく、エ ンジニアと話し合いながら進めています」とのこと。 当然ながら、予選までにセッティングを煮詰めきれ ないこともあるそうで、その対応について宮田選手 は、「エンジニアから『セットアップでタイムが1秒ア ップすることはない』と言われたことがありますが、 確かに、方向性を間違っていない限り、セッティング で変わるのはコンマ1 ~ 2秒の領域だと思ってます」。 「煮詰め切れていない時は不安ですけど、走りにくい ポイントを把握しておけば対応できると感じていま す。こういうケースについては、レーシングカート時 代から自分でアジャストしていましたね」と語る。 さらに宮田選手は、レーシングカート時代にも多く のことを吸収したようで「マックス・フェルスタッペ ンは、カートの頃から初めてのコースを走っても速か った印象があり ます。自分も初 めてのコースに 短時間で対応で きるように、金 曜は走らず、土 曜からの練習走 行で対応できる ようにしていま した。高木虎之 介さんにレース ウィークの戦い方を聞いたことがあって、これにはそ の教えも活きていますよね」と語る。 そして、「カートから四輪に上がると、エンジニア やメカニックなど、関わってくる人が増えてきます。 マシンセッティングでは、そういう対応能力が重要に

フォーミュラ・ライツ選手権で活躍する上位ランカー たちに、練習走行や予選、決勝までのレースウィーク のアプローチの仕方を説明してもらった。 まず、最初に登場してくれたのは、2020年の全日 本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に、カローラ 中京 Kuo TEAM TOM'Sから参戦する宮田莉朋選 手。2020シーズンは、全日本スーパーフォーミュラ 選手権にもスポット参戦を果たしている注目株だ。 初めてのコースでも短時間で対応する 「まずはシーズン開幕戦の走り始めとなるセッション の話ですが、そこでは前年のデータや事前の公式テス トで見つけたセットアップなどの方向性を確認すると ころからスタートします。レースウィークについて は、金曜の最後のセッションは新しいタイヤでアタッ クすることが多いので、それまでに空力と足回りのセ
レースウィークをどう戦う!? アプローチ 小高一斗選手 第2戦岡山国際と第4戦オートポリスではスーパー フォーミュラに代役参戦を果たした宮田選手。ライ ツとダブルヘッダーながら光る速さを披露した。 53

ろん、その結果がいい時もあれば厳しい時もありま す。その判断はエンジニアにもよりますが、最終的に はドライバーの仕事で、セッションが始まればドライ バーが頑張るしかないですからね」と付け加える。 「自分はセッティングもドライバーの技量だと考えて います。実際、速いドライバーはドライビングだけで なく、クルマを速くすることにも長けている。それ に、セッティングが決まれば、ミスをしにくくなりま

チームではコミュニケーションをしっかりとることが
宮田選手のフォーミュラシーンでの躍進は、カート 時代から磨いてきた対応能力が武器になっている。 セッティングもドライバーの“技量” 全日本F3選手権を経て全日本スーパーフォーミュ ラ・ライツ選手権に参戦する小高一斗選手。カローラ 中京 Kuo TEAM TOM'S宮田選手のチームメイトだ。 「スーパーフォーミュラ・ライツは、気温が下がると グリップ感が高まったり、向かい風の場合はダウンフ ォースがアップしたりと環境の変化が現れやすいの で、そういったコンディションを意識して走っていま す。セッティングに関してはエンジニアと話し合いな がら進めていますが、ライツの車両はセッティングを 変更できる部分が多いので、メカニカルグリップや空 力などについては、優先順位を決めながら煮詰めてい くようにしています」と語っている。 小高選手は「レーシングカートやFIA-F4と違って、 ライツのマシンはオーバーテイクが難しい印象がある ので、セッティングは予選を重視して進めてます。セ ッティングが決まらなくて、トップから秒差で離され るような時は、180度方向性を変えて、試したことが ないセッティングに挑戦することもありますね。もち
るとか、コーナーの立ち上 がりがどうだったとか……
重要だと考えています。同 時に、クルマのことも知ら ないといけないと感じます ね。何を変えた方がいいのか分からないというのはマ ズイので、クルマのことを理解しておく方がいいと考 えてます」と語る。 しかし「実は、これまでセッティングが100%決ま ったと感じたことはなかったんです。2019年の全日 本F3はシーズン通してしっくり来なかったし、ライ ツのマシンも、Haloの採用で重心が変わり、ロールの カローラ中京 Kuo TEAM TOM'Sからスーパーフォーミュラ・ライツに参戦する宮田莉朋選手。2017年から全日本フォーミュラ3 選手権に参戦してきたが、2018年、2019年はシリーズ2位で惜敗。自身が「最後の年」と語る4年目の2020年は快進撃を続けた。 宮田莉朋選手のチーム メイトとして活躍する 小高選手。スーパー フォーミュラ・ライツで はマシンの乗りこなし に課題を抱え悩める 日々が継続中。 宮田莉朋 カローラ中京 Kuo TEAM TOM'S 54
なってくるとも考えています。特に、初めて加入した
重要だと感じてます」と付け加えた。
すからね」と小高選手は前置きした上で、セッティン グを煮詰めるためのポイン トとして「やはり、ステア リングを切った時にどうな
センサーというか、感度が

しまうこともあると思ってい ます」と語る。 具体的には「レースウィー クの走り始めは重要なんです けど、まだ路面がダスティな ので走行タイムは気にしてい ません。それに、走り始めの セッションでの目的は、シー ズン前半なのか、中盤なの か、後半なのかによって変わ ってくるんですよ」ということで、状況に応じて意識 する点が異なっているようだ。 「前半戦、特に開幕戦での走り初めは、シーズンオフ にやってきたことの答え合わせの意味を持っているん です。データ的にもパフォーマンスがある場合はいい んですが、それがない場合は、向上させるように導い ていかないといけないんですよね。中盤戦になると、 スーパーフォーミュラ走行後の路面状況などについて も理解度が高まるので、それらを積み立てるような感 じでセットアップを考えます。終盤戦は、タイトル争 いの状況によって変わってきます。ランキングをリー ドしている状況だと、思い切ったセッティング変更な どは、なかなかできないですよね」と阪口選手。 さらに「レースウィークのセッティングは、いい所 を増やして悪い所を少なくするように努力していま

動きも変わったように感じるので、なかなかしっくり 来ないことが多いんですよね」と語るように、小高選 手はレースウィークでの試行錯誤が続いているよう だ。 いい所を増やして悪い所を減らす 2020シーズンは、新生スーパーフォーミュラ・ラ イツにB-MAX RACING TEAMから参戦し、日本に 初上陸したフォーミュラリージョナルには、SUTEKI NA RACING TEAMから参戦する阪口晴南選手。ス ーパーGTにもK-tunes RacingからGT300クラス に参戦しており、ハイレベルな領域でのレースシリー ズ参戦が続いている。 阪口選手はレースウィークのアプローチについても 独自の考え方を持っており、「マシンのセットアップ は重要です。ステアリングを握る前に勝負が決まって
カローラ中京 Kuo TEAM TOM'Sからスーパーフォーミュラ・ライツに参戦する小高一斗選手。2019年は全日本F3選手権を戦い、 宮田莉朋選手のチームメイトとして参戦する。悩み抜いた2020年は、最終の富士大会第16戦でついに念願の初優勝を挙げた。 第2戦岡山国際でKONDO RACI NGからスーパーフォーミュラ参戦 を果たした阪口選手。今季のスー パーGTではGT500デビューも果 たした。 カローラ中京 Kuo TEAM TOM'S 決勝レースのアプローチ 特 集 スーパーフォーミュラ・ライツ 55

す。基本的には、土曜の予選にベストを持っていくよ うにセッティングを試していますが、トラブルなどが 起きてプラン通りに行かないこともありますので、そ こは臨機応変に対応していますね」とのことだ。 ちなみにセッティングの判断については「FIA-F4 の頃はドライビングに集中して、セッティングはあま り変えなかったですし、変更できる部分が限られてい たので、自分で判断することも多かったですね。F3に なってからは、エンジニアが判断することもあるし、 ドライバーが判断することもありますね」と語る。 2020年はスーパーフォーミュラやスーパーGTの GT500クラス決勝レースへのスポット参戦も果たし

パーフォーミュラで活躍するドライバーはどのような アプローチをしているのだろうか? 実は、今回のインタビューで複数名から名前が挙が っていた、2015年、2017年スーパーフォーミュラで チャンピオンに輝いた石浦宏明選手に聞いた。 「ドライバーはレースウィークだけですが、エンジニ アやメカニックはその前から準備してくれています。 なので、サーキットに着いたら、まずはエンジニアや メカニックと挨拶するところから始めます。ステップ アップすれば関わる人も多くなりますから、やはりコ ミュニケーションが重要だと考えています」とのこと。 さらに「走行前にはエンジニアと打ち合わせをしま す。持ち込みタイヤのセットアップやタイヤの使い 方、あとはルールが変わっていたら新しいルール、そ れに週末の天気予報の確認などなど、走る前にやるべ きことは多いんですよね」と前置きした上で、予選ま でのセットアップの進め方を語ってくれた。

スーパーフォーミュラの場合、通常は金曜午前に1 回目の走行セッションが行われる。石浦選手は、 「1年ぶりに走るコースもあるので、縁石や路面の状 態をチェックすると同時に、持ち込んだクルマの状態 をチェックします。もちろん、セッション終盤にアタ ックをしますが、たいてい路面状況があまり良くない ことが多いので、タイムはあまり気にせず、セットア ップも変更しないことが多いですね。もちろん、相対 的にあまりにもタイムが悪い場合はセットアップを変

た阪口選手。それだけにマシンのセットアップに関し ても確実にスキルアップを重ねている。 チームとのコミュニケーションが大切 以上、スーパーフォーミュラ・ライツで活躍する3 名のドライバーに、レースウィークにおけるアプロー チ方法を伺ったが、彼らが次なる目標としているスー
B-MAX RACING TEAMからスーパーフォーミュラ・ライツに参戦する阪口晴南選手。全日本F3選手権には3年間挑戦し、 2019年はスポット参戦。今季はスーパーフォーミュラ・ライツにフル参戦し、フォーミュラリージョナルにも参戦した。 B-MAX RACING TEAM 決勝レースのアプローチ 特 集 スーパーフォーミュラ・ライツ 56

更しますが、その辺りの判断はエンジニア次第だと考 えています」と走り始めの対応を語る。 金曜の午後に行われるスーパーフォーミュラ2回目 の走行セッションについては、 「2回目になると路面ができてくることが多いので、 マシンの状態をチェックしながら、最後にニュータイ ヤでアタックすることになります。他のチームもアタ ックしてくるので、ここは事前の予選みたいな意味を 持っています。そこでトップタイムとのギャップをチ ェックして、あまりにタイ ム差がある場合はセットア ップを変更し、タイム的に 問題なければ決勝に向けて ロングランのチェックをし ています」とのことだ。 石浦選手は金曜2回の走 行セッションでマシンを煮 詰めているようだが、セッ ティングについては、 「セットアップについては、基本的にはエンジニアが 決めています。ドライバーが持つ知識では煮詰めるこ

さらに「フィードバックは重要なのですが、全ての コーナーの状況を説明する必要はないと思っていま す。そうじゃないと、うまくいっているセットを変更 してしまう可能性もあるんですよ。必要ないところは
て、チームとして方向性を決めていく。トップフォー ミュラを戦う状況においては、このようなアプローチ が必要不可欠になってくるということだろう。 レーシングドライバーは、木曜あるいは金曜の練習
階から、真剣勝負が始まっているのである。 期待の新人・坪井翔選手 とスーパーフォーミュラ を戦う石浦選手。第2戦 岡山国際では、初勝利の 坪井選手と共にワンツー フィニッシュを飾った。 JMS P.MU/CERUMO INGINGからスーパーフォーミュラに参戦する石浦宏明選手は、2016年に は初タイトルを獲得したベテラン。フォーミュラのステップアップでは苦労を重ねており、その前 向きに取り組んだレース人生をリスペクトするドライバーも多い。 JMS P.MU/CERUMO・ INGING 57
とはできないと考えていますので、ドライバーはフィ ードバックに徹して、エンジニアに判断してもらうこ とが重要だと思っています。この考え方は、ミドルフ ォーミュラでもトップフォーミュラでも基本的には変 わらないと思います。空力パーツやサスペンションな ど、マシンは複雑になっていきますが、ドライバーと しては、どんなクラスのマシンでも、状況を正確に伝 えることが重要だと思っています」とのこと。
カットするんですが、それらの取捨選択は“経験値” になってくると思います」と付け加える。 ドライバーが何でも一意的に決めるわけではなく、 ドライバーは正確なフィードバックを行い、エンジニ アを始めとした信頼できるスタッフの判断を踏まえ
走行から、週末の方向性を煮詰める試行錯誤を繰り返 している。緊張感のある予選や決勝での激しいバトル に注目が集まりがちだが、レースウィークでは早い段

レーションが実現し「オートテスト2020 INアピタ大和郡山/JAFウィメン・イ ン・モータースポーツオートテスト」が開 催となった。 40名が久々のオートテストに挑戦 今大会では、ATの軽自動車を対象とした Aクラス、排気量制限なしのMT車両のB クラス、排気量制限なしのAT・CVT車両 を対象としたCクラスを設定。同時に、女 性専用クラスも設定し、一般参加20台、 女性参加20台に分かれ、それぞれ上記の 3クラスを設定して各賞典も用意された。 当日は晴天に恵まれ、会場には協賛企業

ブースが出店された。また、会場に隣接す る駐車場には、奈良トヨペットGRガレー ジCHAUPY奈良登美ヶ丘の協力により、 電動カートを試せるコーナーを設置。運転 免許がなくても気軽にモータースポーツの 入口を体験できるようになっていた。 特別講師には、同大会ではおなじみとな った全日本ジムカーナの川脇一晃氏や久保 真吾選手らが実際の競技車両で来場し、実 況MCを務めるとともに、参加者のイン ストラクターを担当してくれた。 そして、JAFウィメン・イン・モーター スポーツ作業部会の飯田裕子座長を始め、 2020年から委員を務める、全日本ジムカ ーナ選手権の村里早織選手、そして奈良県 出身でもあるレーシングドライバー三浦愛 選手が来場。発売直後のGRヤリスでデモ 走行を披露しつつ、女性参加者への積極的 なサポートを行っていた。 愛するクルマとじっくり対話して 操る愉しみと安全運転を再発見! 奈良県内で定期的にオートテストを開催しているRC.NARAが、 感染防止策を徹底して「オートテスト2020 INアピタ大和郡山」を開催! JAFウィメン・イン・モータースポーツ作業部会とのコラボにより、 三浦愛選手講師のキッズカート体験コーナーもある賑やかな大会となった フォト/谷内寿隆、遠藤樹弥、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部 イラスト/高梨真樹 オート テスト 倶楽部 AUTO TEST CLUB 奈 良県大和郡山市にある商業施設「ア ピタ大和郡山店」の駐車場で、奈良 の加盟クラブRC.NARAによる、恒例の オートテストが開催された。 主催のRC.NARAでは、JAF奈良支部な どと協力して、アクセスしやすい市街地で モータースポーツを楽しめる「オートテス トIN奈良」を開催してきた。2020年は7 月に規模を拡大したオートテスト開催を予 定していたが、新型コロナウイルス感染症 の影響で開催を中止。代わりに、感染拡大 防止対策を徹底したコロナ禍におけるオー トテスト開催のモデルとして、6月27日に 奈良スバル自動車大和郡山店で「オートテ スト2020 IN奈良スバル」を開催した。 この大会の無事成功を受けて、11月29 日、感染拡大防止対策を徹底しながら、前 回の同大会よりも規模を拡大したイベント を改めて開催。今回もJAFウィメン・イ ン・モータースポーツ作業部会とのコラボ 小西俊嗣代表が率いるRC.NARAがオートテストを 開催。今回の特別講師は全日本ジムカーナ選手権の 川脇一晃氏と久保真吾選手、そしてJAFウィメン・イ ン・モータースポーツ作業部会からは飯田裕子座長 と村里早織選手と三浦愛選手が参加した。 59

コースレイアウトは、会場が横長のスペ ースとなっているため、他の大会に比べる とやや長めのコースとなった。前回は特徴 的なタイトターンが設定され、コース委員 長にちなんで“山本コーナー”と命名され るほど参加者を苦しめたが、今回は緩やか なコーナリングが連続するリズミカルに走 れるコース設定を採用していた。 コース監修を務める川脇氏によれば、 「ポイントは最後のガレージ。途中はパイロ ンの間隔も緩いので前回よりはラクにこな せると思います。ただ、最後のガレージは、 その手前のラインまたぎにハンドルを切っ た状態で入るので、それをまっすぐに戻し

て、直線的に後退できるかどうかが一つの カギ。そしてガレージ入口のパイロンが少 し近いので、ここに引っ掛けないようにす ることもポイントですね」と語る。 そして、会場の一角にはJAFウィメン・ イン・モータースポーツのブースも設置さ れ、会場を訪れた女性限定のテーブル&椅 子付きの休憩&観戦スペースが用意された。 感染拡大防止の観点から通気性を確保し たスペースとなり、冬の寒空とあって参加 者が寄り集まって観戦、というわけにはい かなかったが、女性参加者たちはそれぞれ に、飯田座長やインストラクター勢、そし て、前回参加した際に知り合えた仲間たち

ゲートでゴールとなる。

「オートテスト2020 INアピタ大和郡山・JAFウィメン・イン・モータースポーツオートテスト」 開催日:2020年11月29日 開催地:アピタ大和郡山店駐車場 主催:モータースポーツクラブ奈良 スタート後にラインまた ぎに直進して90度左に後 退。間隔が広めの長いスラ ロームは、左右が連続する リズミカルな設定で、大き く左にターンして、奥で曲 率が小さくなるS字コー ナーからラインまたぎに 右折で進入。直線的に後退 して最後のガレージへ90 度左折で入り、ややオフ セットしたフィニッシュ
とのクルマ談義に華を咲かせつつ、真剣に 他の参加者の走りを観察していた。 新機軸のキッズカート体験 今大会の参加者については、前回とも違 う新たな顔ぶれが多い印象を受けた。
ている様子が伺え、オートテスト参加者の、 普段からの運転への意識の高さが伺えた。 JAFウィメン・イン・モータースポーツ 作業部会の三浦選手は、今回はカート体験 コーナーのインストラクターを担当した。 「小さい頃から競技者としてモータースポ ーツに携わってきましたが、JAFの活動に 携わってからは、モータースポーツで高み を目指すだけではなく、一般の方々に、安 全運転や運転の楽しさを広める活動にも携 わらせてもらっています」。 「自分の立場としては、F1を頂点とするド ライバーを目指す女性たちの模範となるこ とを目標としていますが、同時に、モータ ースポーツに関わりたいけどその勇気がな いとか、興味はあるけどどうすればいいか 分からないという方に、同じ女性としてア ドバイスができたり、皆さんにモータース JAFウィメン・イン・モータースポーツ協力 毎年恒例! 大和郡山の安心オートテスト JAFウィメン・イン・モータースポーツ作 業部会の飯田座長は、インストラクター や女性参加者らと一緒に慣熟歩行を行 い、コース攻略法を共に学んでいた。 ウィメン部門の参加者にはJAFウィメ ン・イン・モータースポーツ作業部会か ら焼き菓子のプレゼント。コース脇には 女性専用の観戦スペースが設定された。 オートテストの実況MCは前回同様、川 脇氏と久保選手が担当。そしてウィメ ン部門では飯田座長が加わり、2ヒート に渡る参加者の出走を盛り上げた。 奈良トヨペットの協力で実現した、オリジナルの電動カートによ るキッズカート体験コーナー。アピタ大和郡山店の買い物客らが 訪れ、インストラクターを担当した三浦愛選手が丁寧に乗車方法 や操作を指導した。 60
「今回は感染拡大防止の観点から参加人数 を限定しての開催となりました。いつも参 加して下さっている方々には本当に申し訳 ないんですけど、ご近所の方やできるだけ 新人さんに出てもらうようにしました」。 こう語るのはRC.NARAの小西俊嗣代 表。しかし、参加者の走りを見ると、特に 女性参加者については、一つ一つのセクシ ョンを確認しながら、丁寧なステアリング さばきを始めとした、スムーズな操作をし

DC2インテグラでダブルエントリーした細井 敦夫さんと細井佳菜さん親子。モータースポー ツに興味がある娘さんはサーキットも走りた いそうだが、まずはオートテストで修業中。 仲野美里さんはラ リーナビの旦那さ んの篤さんと遥葉 ちゃんの声援を受 け、スムーズな走 りを披露。「普段チ ビを乗せるときに 気を付けているの で、その感覚が活 きました」と語る。

娘の真希さんをナビに従え、シトロエンDS3 で参戦した所古亮子さん。山岳ドライブが大 好きで「小刻みに体が震えるイヤな緊張感」を 味わえるオートテストにハマっている。

ポーツの楽しさを知ってもらえる機会を作 っていけたらいいなとも考えています」。 「今回は奈良トヨペットさんの協力で、キ ッズカート体験コーナーを設置することが できました。カートは運転免許もいらない し、子供でも乗れるし、そんなに体力を必 要ともしません。年齢性別関係なく、まず はモータースポーツってどんなものなんだ ろう? ということをすべて体で感じるこ とができるのがカートなんです。カートコ ースは山の中にあることも多いので、今後 はこういう身近な場をもっと提供できると いいなと思っています」。

ロールバー装着のオーリス で参戦した上田裕之さん。 ラリー参戦を目指していた が、仕事が忙しくなり家族 ができて諦めたモータース ポーツ活動を、オートテス トで復活させた。

運転する楽しさを仲間と共感

や、意識調査をつぶさに行っていた。 「本来なら、2020年はオートテストの開 催機会拡大を予定していましたが、昨今の 情勢では1回だけでも開催の機会をいただ 人気の観光地、北海道・大沼で道南では初のオートテスト開催! JMRC北海道オートテストシリーズ第7戦「オートテスト in 函館」 開催日:2020年9月26日 開催地:グリーンピア大沼特設コース 主催:TEAM FLY HIGH 函館の人々に加え翌日のジ ムカーナ参戦も兼ねた地区 戦の選手らも参加した。

オートテストは40名の参加者がそれぞ れ愛車を持ち込み、2本の走行を終えて無 事終了。一般部門ではAクラスで三矢悠 暉選手、Bクラスで織屋智仁選手、Cクラ スでは浜本清治選手が優勝した。

ウィメン部門では、Aクラスでは松本千 花選手、Bクラスでは定松舞子選手、Cク ラスでは廣野和代選手が優勝。廣野選手は 6月の奈良スバル大会でオートテストを初 体験し、今回は家族とのライブ鑑賞を断念 して2回目の参加を選んだという。

関係者の皆様に改めて御礼申し上げます」。 オートテスト開催は初の会 場とあって、入念な慣熟歩 行が行われていた。

うな催しから、運転の楽しさが伝わったり、 セーフティに繋がるような活動を広げたい という思いを、今回改めて実感しました」。 「前回の参加者からのクチコミで今回の参 加が広がっていて、そういう意味では、参 加した皆さんは意識の高い方が多かったの かも知れません。そして、見学者からも参 加の問い合わせが多くて、場所の良さを実 感しました。また、今回はコロナ禍に対し て皆さんがどんな思いで来場されるのかが 読めなかったんですが、こんな時だから開 催してくれて有り難かったという声も多か ったので、無事に終わって、皆さんが笑顔 で帰ってもらえたので、次回以降の開催に ついてもさらに、意欲が増しましたね」。 こう総括する飯田座長。2021年こそは 各地での開催が実現することを願いたい。 「中途半端な迷い方はしないで済むレイ アウトにしました」と玉山代表。ミスコー スはゼロだった。北海道オートテストシ リーズ参加者も満足できるテクニカルな 設定となった。

参加者VOICE 61

そうだし、ガールズ、そして大人たちとい 基本のガレージはもちろん、 スラロームも加えた設定で 行われた。

けたことに感謝です。一人でも多くの方が オートテストを通じて運転の楽しさを感じ てくれることを目標に準備しましたが、ま ずは事故なく安全に終了できましたので、
「今回は奈良トヨペットさんのご協力で実 現したキッズカートのおかげで、キッズも
うピラミッドに対して、オートテストのよ
今大会の組織委員長を務めた飯田座長。 会場では多くのウィメン部門参加者らと言 葉を交わし、走行にあたってのアドバイス 9 月26日には、北海道でちょっとエポックメーキングなオートテストが開 催された。全国に先駆けてシリーズ戦を組むなど、オートテストに関して は先進地域だった北海道において“未踏の地”だった道南地区で、オートテス トが初開催されたのだ。主催を担当したのは今回、開催場所となったグリーン ピア大沼で数年前からジムカーナやスノートライアルを開催してきた、函館 に本拠を持つJAF準加盟クラブであるTEAM FLY HIGH(T-FH)。開催場所 となったグリーンピア大沼の駐車場は、施設の入口部分に位置するため、施 設を訪れた一般の人々が足を止めてオートテストを観戦する姿も見られた。  当日は21名の参加者が集ったが、その1/3は地元函館在住のドライバー だった。「ジムカーナがようやく函館 という地にも根付いてきたかな、とい う段階の開催だったので台数が集ま るか不安でしたが、“函館で開催され た公認競技会に30年ぶりに出られ て楽しかった”と言う地元の方もお られて感激しました」とT-FHの玉山 代表は手応えを感じた様子。「手探 りな部分はありましたが改善点も見 つけられたし、今後もシリーズの一戦 を担っていければと思いました。次 回は告知の方法等も工夫して道南 にもオートテストを定着させていき たいですね」とこの新しい競技の可 能性に注目していた。
!! ミドルエイジになって初めてモータースポーツの 門を叩く、あるいは長いブランクを 経て復活する熟年ドライバーの活躍が最近、 全国各地で目立ち始めてきている。 遅咲きだけど、じゃなくて遅咲きだからこそ速い、 そんなオヤジドライバー達の 強さの秘密をちょっと探ってみた。 フォト/内藤正美、西野キヨシ、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部 が壁は厚く、初戦はボロ負け。リベンジを 期したが、新型コロナウイルス感染症の感 染拡大を受け、その後の地区戦は中止が相 次いだため、7月から再開された東海シリ ーズに復帰して、2年ぶりのタイトルを獲 った。 「コロナ禍に加え、仕事の方でも環境が変 わったので、“今季はジムカーナができる んだろうか”と不安でしたが、今季もジム カーナを楽しませてもらいました。主催者 を始め皆さんに感謝したいです」。 1969年生まれの須貝選手は、180cmを 知県に住むジムカーナドライバ ー、須貝圭司選手の2020年 は、当初予定とは大きく変わっ たものとなった。 2018年にJMRC中部ジムカーナ東海 シリーズのチャンピオンを獲得した後に、 マシンを現行型のND型ロードスターにチ ェンジ。JAF中部ジムカーナ選手権へのス テップアップを見据えて、2019年はマシ ンの習熟のため実戦を控えて練習に明け暮 れた。 2020年は満を持して地区戦に挑戦した 愛 の 62

超える体と、それに似ても似つかない柔和 な表情をいつも浮かべている優しいオジサ ン。いまや東海シリーズの名物ドライバー の一人として知られている。だが2年前、 シリーズに登場するや否や、いきなり連戦 連勝を重ねたこの謎の最速オヤジの登場に は誰もが驚きの目を向けた。

須貝選手が走りの世界に足を踏み入れた のは、地元北海道の大学を卒業して、愛知 県のメーカーに就職してからだ。同じ独身 寮に住む仲間とともに、ミニサーキットの 走行会に参加し、スポーツ走行の楽しさに 目覚めた。2000年代に入ると、タイヤメ ーカーが全国規模で行うタイムアタックに ランサー・エボリューションで参加を始 め、中部地区チャンピオンに輝き、全国大 会に進出。筑波サーキットコース2000で 行われた大会で3位に入った。  タイムアタックを終えた後もミニサーキ ットを走り続けたが、クラッシュが続き、 スランプに陥る。軽量なクルマを試しに乗 ってみてはどうかという、友人たちのアド バイスもあって、NC型ロードスターに買 い替えた。 そんなある日、友人に誘われてジムカー ナの練習会に初めて参加してみた。 「学生の頃に氷上の練習会に参加してクル クル走った時の楽しさが甦ったんです 「走り始めた頃に公認競技会に出ていた仲 間がいたので、まったく知らない世界では なかったんです。実際に彼は速かったし、 競技をやれば速くなれるだろうとは思いま したが、彼を通して、色々とお金がかかる 世界だというのも知っていたので、すぐに は踏み切ろうとは決められなかったです ね」と須貝選手は当時の心境を明かす。

(笑)。軽い気持ちで参加したんですが、ジ ムカーナは、ロードスターというクルマを コントロールする楽しさを味わえる競技だ と実感しました。走るモチベーションを取 り戻せた感じはありましたね」。 ロードスターという新たな相棒を得た須 貝選手は、再び走り込む日々が続いた。 「僕は練習会でも競技会でも、次に走る時 は、絶対速くなっていたい、というタイプ なんですよね(笑)。前回走った自分より遅 くなったなんてのは、あり得ないだろう、 という。カッコよく言えば、日々成長して いく自分を実感したい」。  その成長を実感したくて、ある日、入門 者向けのジムカーナに参戦してみたら、あ っさりと優勝してしまった。次にまた違う シリーズの一戦に出てみると、そこでも勝 ててしまう。だが、あくまでもそれは単発 の腕試しで終わっていた。 2017年の暮れも押し迫ったある日。と あるジムカーナ大会のパドックで、須貝選 手は公認競技会に参加している関係者か ら、JMRC東海シリーズが2018年から新 設するクラスへの参加を誘われた。

よ)自動車の杉浦利明代表だったのだ。杉 浦代表が顔見知りの公認競技関係者に須貝 選手のことを伝えたのが発端の話だった。
の楽しみ方だけど、公認競技の世界に入っ て横の繋がりが広がれば、彼はもっと色ん な楽しみ方を見つけられるんじゃないかと 思いました。それまで彼が培ってきたもの を考えると、それを一番活かせるのは公認 須貝選手は2020年は地元のJMRCジムカーナ東海シリーズの他、同じく中部のミドルシリーズである JMRCジムカーナ北陸シリーズにも遠征し、こちらもチャンピオンを獲った。競技会がない週末も、練習会 等で腕を磨くなど、2020年も徹底的に走り込みを続けた一年となった。 競技会場で須貝選手に東海シリーズへの参 加を呼び掛けた前島孝光選手は公認競技会 へ導いてくれた一人(写真上)。現在も様々な アドバイスをくれるジムカーナの大先輩だ。 技術者という本業を生かしてタイム計測器を 独自に製作、練習会で活用するなど、裏方とし てもジムカーナに関わっている(写真下)。 63
実はこの話には裏話がある。この勧誘を 画策したのは、須貝選手が20年来、世話 になっているショップである久與(きゅう
「競技云々よりはまずは走ることを楽しむ というウチのスタンスを彼も、よく分かっ てくれていたんですが、同時に彼は走ると いうことにストイックだったんですよね。 ジムカーナにたまに出るというのもひとつ

が戻ってきた。以前は、一日に2本しか走 れないという“割の合わなさ”で敬遠して いたジムカーナの、そのたった2本で結果 を出さなければいけないという“勝負の厳 しさ”に惹かれるようになった。 「厳しいからこそ、その中に楽しさもある という高校時代の体験を思い出せたんで す。やり直しが利かない1分そこそこの時 間の中で自分が持っているすべてを出し切 る。その心臓がバクバクする感覚が楽し い、とまた感じるようになりました」 ジムカーナの世界ではまだまだ若造だ が、走るということについてはもう四半世 紀も自分を磨いてきた経験がある。 「昔、杉浦さんから教わったドライビング やセッティングについての話をジムカーナ を始めてから、また思い出すようになりま した。そうして積み重ねた経験でトライ&

るかが分かるのもつらい。常に現実に引き 戻されるのがオヤジの悲しいところです」 と言って笑った。

当然、スラローマーとしてさらに高みを 目指したいし、ジムカーナなら60歳でも 全日本チャンピオンに手が届くはずだとい う思いもある。そう考えればまだ9年ある。 しかしオヤジたる自分に帰って冷静に考え れば、あきらめが肝心、落としどころを見 つけなければという思いもあるという。 「だから、右往左往しています」というの が、須貝選手の現在の偽らざる胸の内だ。 迷えるオヤジドライバーの格闘の日々は まだまだ終わらない。

年。「最初は憧れに過ぎなかった全日本の 一番上が、ようやく本当に見えてきた気が しました」と、目標がはっきりとその輪郭 を整えてきた。 井上選手にとっての2020年は、「競技 会が再開されてからは、週末は、ほぼ毎 週、どこかの競技場にいました」と振り返 るように多忙を極める年となった。モータ ースポーツでの本業はダートラドライバ ー。2020年も、九州地区戦と全日本を追 った。さらに発売間もないGRヤリスで全 日本ジムカーナ選手権にも挑戦。11月には 地元のジムカーナ地区戦に参戦し、GRヤ リスのJAF選手権初優勝をもぎ取った。

購入してダートラを継続。1996年には九

競技だと思ったんです」(杉浦代表)。 そんな想いは知る由もなかった須貝 選手だが、Bライセンスの取得を決意 する。 「あの日、声をかけてもらえなかった ら多分今でも、公認競技会はやってい ないし、ジムカーナもやめたかもしれ ない。公認競技の世界で自分はどこま で行けるんだろう、次のステージで自 分の成長を確かめたい、といったこと を漠然と考えていた当時の自分の背中 を後押ししてもらったんです」。 公認競技会に参加してみると、陸上の投 擲競技に日々励んでいた高校生の時の感覚
恋の浦で開催された全日本ダートトライア ル選手権最終戦。地元福岡在住の井上博保 選手は、強豪ひしめくSA2クラスで3位に 入賞し、全日本初の表彰台を獲得した。
っていたい、というタイプなんで、楽しい 一年でした」と満足げな笑顔を見せた。 井上選手は1971年生まれ。甲子園の土を 踏んだ熱血高校球児だった彼がモータース ポーツの門を叩いたのは大学に入ってから。 「付属高校だったのでストレートに大学に 上がったんですが、もう野球は続けるつも りはなかったんですよ。でも、どこのサー クルにも入らずにブラブラしてると、野球 部に勧誘されちゃうんで、とりあえず駆け 込んだのが自動車部でした(笑)」。 ひと通り競技は経験したが、「滑らすの が好きだったので」、2年連続で九州学生ダ ートトライアルチャンピオンに輝いた。 就職後はランサー・エボリューションを
20年ぶりにダートラに復帰してから5
「元々クルマさえ壊れんかったら一年中走
20年のブランクを経て復活
2020年は全日本ダートトライアル選手権で初の表彰台を射止めた井上選手。本業である運送業を活かし て、全日本に遠征する九州のドライバー達の競技車両をトラックで運ぶ運転手役も担う。
「経験があるから、自分 に足りないものも何とな く分るし、次にやるべき ことも判断はできる。で も歳を取ってしまって残 された時間が限られてい ると思うと、逆算すれ ば、大体どの辺までやれ 2021年は、中部の地区戦ジムカーナに再度、挑戦する予定。テクニシャ ンが揃うワンランク上の舞台で、自分の実力を試す。 の 64
5年目で全日本表彰台を獲得 2020年11月末、九州のスピードパーク
エラーを重ねていけば、 まだ速くなれると思って います」。 だがその一方で、歳を 重ねてから始めたが故の 限界も時に感じるという。

州地区戦でシリーズ3位を獲得。この年 は、地元の三井三池オートスポーツランド で開催された全日本選手権にも初出場し、 花形クラスだったA Ⅳクラスで25位完走 を果たした。 「翌年からは全日本を追おうと考えてまし た。早く上に行きたくて、ウズウズしてま したね」。

メカニックの修業も兼ねて務めていたト ラックメーカーを退社し、家業の運送会社 に専念することも決まり、ダートラを続け る環境も整いつつあった。しかし約束され たはずの前途は訪れなかった。連帯保証人 となった知人の事業が破綻したため、膨大 な借金を背負うことになってしまったのだ。 「これで終わった、と思いました。それか らはもう一年の内、364日は働きました。 一日も休まなかった年もありました」。 完済までに実に19年の歳月が流れた。 ダートラ復活のきっかけは、完済の目途が 立ったある日、妻がくれたひとことだった。 「嫁さんが“もう落ち着いて、また昔のよ うに、好きなことを始めてもいいんじゃな いの”って言ってくれたんですよ。自分の 性格上、中途半端に走ったり、見に行った りすると、絶対またその気になるのは分か ってたんで、一切、ダートラとは縁を切っ てたんです。苦労を掛け続けた嫁さんの許 しがなければダートラには戻らないと思っ ていたので、この言葉で復帰を考えるよう になりました」。

復帰戦は2015年5月の地区戦だった。 「もう本当に浦島太郎状態でしたね(笑)。 何もかも変わっていて戸惑いの連続でし た。でも、若い頃に憧れの存在だった地区 戦のトップ選手がまだ走られてたんです

よ。驚いたけど同時に嬉しかった。“俺も、 あと20年はやれるな”って思えました (笑)。ともかく、ただ走れるだけで楽しか ったですね」。

復帰して間もないある日、競技会場で一 人の選手が近づいてきた。岸山信之と名乗 るその男は大学の自動車部の後輩ですと挨 拶した。岸山選手は九州を代表するダート ラドライバーの一人に成長していた。 「大学の自動車部に入って初めて三井の大 会を見に行った時にマーシャルカーで走っ たのが、社会人になっていた井上さんだっ たんです。その大会が終わった後に、僕ら は三井の土手の上に呼び出されて井上さん から“お前ら、たるんどるぞ!”っていき

なり怒られたんですよ。怖い人だなと思っ たけど、エボⅢで走った姿が目に焼き付い て、カッコいい人だなと思いました。そん な先輩がダートラに帰ってきたんだから、 挨拶しないわけにはいかないじゃないです か」と岸山選手は振り返る。そしてこの後 輩が、井上選手の20年のブランクを埋め るための先導役を買って出て、外撮りの動 画を撮ってくれては走りについてのアドバ イスをくれるようになった。

彼らはともにランサー・エボリューショ ンに乗るがクラスは違う。N車両の岸山選手 に対し、井上選手は改造範囲が広いSA車 両に乗る。車両のポテンシャルを100%引 き出せば井上選手の方が速い計算になる。 「普通に考えたら僕が勝って当たり前でし ょうけど、ダートラでは彼は大先輩ですか ら(笑)、最初は勝てなくて当然と思ってま した。休まずに続けていたら先輩と後輩の ままで、素直にアドバイスを聞くこともで きなかったと思うけど、20年も休んだのだ から、そういうのはもうない。 今でも、彼に“あそこは全開で 行けますよ”と言われたら、怖 いけど全開で行く。で、行ける んですよ。後で“まさか本当に 全開で行くとは思わなかった” と言われるんだけど(笑)、自分 のことを分かってくれてるんだ と思う」。 岸山選手によれば、井上選手 は、自分のタイムを上回ってか

があった。 「ハードルはどんどん高くなってるはずなん だけど、井上さんは常に冷静なんですよね」。 本人によれば、「ただガムシャラに走っ ていた若い頃に比べれば、落ち着いて走れ てはいます。一本一本考えながら、トライ &エラーを繰り返して走っている感じです ね。ブランクがあった分、引き出しだけは 簡単には増やせないけど、仲間がいるから 大丈夫。僕らはいつも“オール九州”で戦 っていますから」と言った。 「誰か一人が速くなっても九州のレベルが 上がるわけじゃない。競技の現場では、僕

らは情報交換やお互いの分析を欠かしませ ん。そこで自分が足りない所を各自が発見 できれば皆が速くなれるし、九州のレベル も上がる。井上さんも現在は同じ気持ちで 走ってると思います」と岸山選手は言う。 井上選手の直近の目標は全日本で勝つこ と。その次が岸山選手との2クラス制覇 だ。再スタートはちょっと遅れたが、今か らでも遅くはない、と井上選手は言う。 「今でも、走る度に色々と発見があるんで す。今から思うと、若い頃は“やらされ 感”というか義務感がどこかにあったけ ど、復帰して5年経った今でも、走るのが 楽しくて仕方がないんです。しばらくはや められない。それは確かです」。 遅咲きオヤジドライバーの挑戦は、まだ 始まったばかりだ。
らモチベーションが一段上がっ たように見えたという。そし て、もうひとつ気が付いたこと 井上選手は2020年は次期戦闘マシンとして購入 したGRヤリスで全日本ジムカーナ選手権にも参 戦するなど、舗装へも挑戦した(写真上)。地区戦 ジムカーナでは全国に先駆けてGRヤリスに初優 勝をもたらした。2021年も“先輩”の岸山選手(写 真下)をはじめ九州のドライバー達とともに全日 本ダートラを追う予定だ。 井上選手のランサー・エボリューションのドライブは2020年で終了の予 定。2021年は復帰後、ひたすら走り込んで培った技術を、新たなマシンで 活かすチャレンジングな一年になりそうだ。
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J A F M O T O R
254 円+税 2021 WINTER
S P O R T 第S 55巻 第 1 号 2021 年 2 月 1 日発行(年 4 2 、 5 、 8 、 11 1 日発行) 発行人 西岡敏明 ☎ 0 3 ( 5470 1711 (代) 一般社団法人 日本自動車連盟 東京都港区芝大門 1 1 番 30号 0570 00 2811 (総合案内サービスセンター) 発行所 東京都港区芝大門 1 9 番 9 号 ㈱ J A F メディアワークス

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