特集
若者たちの、現在

~戦う場所を、どうやって見つけ出すか~ それでもジムカーナを走るワケ
~現役選手に聞く“競技を続ける理由”。ドラテク修練の長くて奥深き世界!~
FIA IDC再来!

2019ライセンス更新、始まります!

Headline


WRCマニファクチャラーズ首位浮上。トヨタは天下を取れるか!?
今季新加入のタナックが3連勝。復帰後初の1-2を決めて波に乗るトヨタがチャンピオンを射程距離に捉えた!
レポート/古賀敬介 フォト/TOYOTA
WRC第10戦ラリー・ トルコで優勝したト ヨタのオット・タ ナックは、王者セバ スチャン・オジエ(Mスポーツ・フォー ド)を抜き、ドライバー選手権2位に浮上 した。そしてトヨタは、合計得点でヒュン ダイを上まわり、ついにマニュファクチャ ラー選手権トップに。WRC復帰2年目で、 トヨタにダブルタイトル獲得の可能性が出 てきた。第10戦終了時点でタナックと、1 位ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)の差 は13ポイント。一方、トヨタは2位ヒュ ンダイに5ポイント差をつけている。1勝 で選手ひとりあたり25ポイントを獲得可 能な得点システムのため、差は決して大き くない。今シーズンは残りあと3戦、タイ トルを巡る戦いは天王山を迎える。
Mスポーツ・フォードから移 籍し、今年からトヨタの一員と なったタナックは、今季4勝と現 時点で優勝回数は誰よりも多い。 第5戦アルゼンチンでシーズン初 優勝を遂げ、第8戦フィンランド からドイツ、トルコと3連勝し絶 好調だ。WRC初優勝は去年で、 通算優勝回数は6。今、もっとも 勢いがある。以前からスピードに は定評があったが安定性に欠ける 部分があり、速さがなかなか結果 に結びつかなかった。しかし、主 にメンタル面の成長に伴い確実性が一気に 高まり、最近はあまりミスをしないドライ バーとして定評がある。世界チャンピオン となるに相応しい資質を備えた、エストニ ア人ドライバーだ。
タナックはエストニア生まれの30歳。昨年、フォード・フィエスタ でWRC初優勝を遂げ、トヨタに移籍した今年はエースドライバー であるラトバラを凌ぐ好リザルトを連発し、評価を高めている。

17年のWRC復帰時から、トヨタのメ インドライバーとして活躍してきたヤリマティ・ラトバラは、WRC17勝を誇るベ テランだ。17年の第2戦スウェーデンでは トヨタに復帰後初の優勝をもたらすなど、

Headl
モータースポーツ話題のニュース深掘りCheck!タナックが3連勝を決めたラリートルコではラトバラも2位に入り、トヨタは昨年のWRC復帰後初の1-2フィニッシュを決めた。シーズン終盤戦はチー ムを指揮するトミ・マキネンの手腕も問われるところだ(4.)。ターマックでも速さを見せるラッピの存在も小さくない(5.)。


非常に高い実力を持つ。今季前半は歯車が 噛み合わず不調が続いたが、後半戦に入り 復調。それが、マニュファクチャラー選手 権首位浮上のブースターとなった。さらに、
トヨタ期待の若手エサペッカ・ラッピも安 定してポイントを獲得し、今シーズンは2 回表彰台に登壇。3人のドライバー全員の レベルが総じて高いことも、トヨタのチー ムとしての強みである。
彼らのマシン、ヤリスWRCはどうか? 元WRC王者トミ・マキネンの指揮下、 フィンランドの小さなファクトリーで開発 されたヤリスWRCは、現在トップレベル の実力を持つ。空力性能を突き詰めたボ ディは特にハイスピードなラリーで強さを 発揮、ライバルに対して大きなアドバン テージを持つ。また、かつてF1マシンを 開発していたドイツのTMG(トヨタ・ モータースポーツGmbH)が手がける

1.6L4気筒直噴ターボ・エンジンも、現行 WRカーの中でトップレベルのパフォーマ ンスを発揮する。そして、後半戦に投入さ れた改良型のエンジンは中低速のパワー& トルクが大幅に強化され、さらなる性能向
新生ラリージャパンがFIA国際カレンダー登録申請を完了
“ラリージャパン復活”の動きも着々と進んでいる。WRC世 界ラリー選手権日本ラウンド招致準備委員会は、8月22日、都 内で活動報告会を開き、FIAに対して2019年WRC日本開催 のカレンダー申請を行ったことを発表した。開催日は11/14〜 17を第1候補とする3つの日程が申請された。また国内プロ モーターとなる株式会社サンズが、WRCプロモーターGmbH とWRC日本ラウンドの興行に関する契約を締結したこと、ま た契約期間は4年間となることが併せて報告された。大会名 称は「Rally Japan」で、開催場所はすでにメイン会場となるこ


とがリリースされている愛知県長久手市の愛・地球博記念公 園(通称モリコロパーク)をはじめ、愛知県が5市1町、岐阜県 が2市となる予定だ。なお2019年のWRCカレンダーについ ては、12月に開催されるWMSC(世界モータースポーツ評議 会)で正式決定されることになっている。
上を果たした。
ヤリスWRCの数少ない弱点としては、 メキシコなど高温低速なラリーでのオー バーヒートや、砂地や泥の路面などグリッ プを得にくい路面でのトラクション不足が 指摘されていた。しかし、改善作業を続け た結果、冷却系の問題はほぼ解決。灼熱の トルコでも問題はほぼ発生しなかった。た だしトラクション不足だけは依然解消され ておらず、それがタイトル争いをする上で

モータースポーツ愛好家4名によるWRC招 致応援団のお披露目も行われた。左から安東 弘樹(フリーアナウンサー)、小塚崇彦(フィ ギュアスケーター)、梅本まどか(タレント)、栗 田佳織(WRCコメンテーター)の各氏。
乗り越えなくてはならない壁となっている。 残る3戦でトラクションが問題となりそう なのは、降雨によりマディな路面が予想さ れるラリーGB(グレートブリテン)だ。ヤ リスWRCは17年のラリーGBでもトラ クション不足に苦しみ、結果も振るわな かった。しかし、もし今年のラリーGBで 優勝争いに加わることができたとしたら、 トヨタとタナックはワールドタイトルに大 きく近づくだろう。

Headline モータースポーツ話題のニュース深掘りCheck!

FIA F2第10戦イタリア・モンツァで牧野任祐選手が初勝利! 9月1〜2日、大陸を馳せる“サムライ”達が各地の国際レースで続々跳躍!

本人ドライバーとしてF1パ イロットの座を射止めるべ く、欧州での武者修行を続 けているのが牧野任祐選手 と福住仁嶺選手だ。
今季は、FIA F3欧州選手権でのケガを克 服した牧野選手がロシアンタイムから、 GP3では2017年開幕戦優勝、シリーズ3 位の成績を引っさげた福住選手がBWT アーデンから、FIA F2に参戦している。
ルーキーイヤーということで学びの戦い が続いていたが、9月1〜2日のF1グラン プリ第14戦に併催されたイタリア・モン

ツァのFIA F2第10戦レース1で、予選 14番手からスタートした牧野選手が、大 逆転で初優勝する快挙を成し遂げたのだ。
雨上がりのドライ路面で始まったレース 1は、牧野選手が好スタートをキメて、1周 目で8番手にまでポジションアップ。
ライバルがスーパーソフトタイヤを選択 する中、ミディアムタイヤを選んだ牧野選 手は、スーパーソフトが予想外に摩耗する 事態にも助けられてトップを奪取。
後続との差をハイペースで広げた牧野選 手は残り3周回でピットイン。2番手に約2 秒の差を付けてコースへ復帰し、そのまま トップチェッカーを受けた。
「今回はスタートがとても良かったです。 そこで5台くらいオーバーテイクできて、
それ以降も無理なオーバーテイクをせずに、 タイヤをセーブすることができました」
と振り返る牧野選手。「最終周まで自分
の順位を知らずに走ったので優勝は予想 外」とも語るルーキーは、F2シリーズの レース1で初めての日本人ウィナーとなる 未踏の記録を打ち立てた。 そして、同じ週末の日曜日、北米のオレ ゴン州ポートランドで開催されたインディ カー・シリーズ第16戦では、昨年、世界 三大レースであるインディアナポリス500 マイルを初制覇した佐藤琢磨選手が、キャ リア3勝目、今シーズン初勝利を挙げた。 テクニカルなロードコースとして知られ るポートランドの大会は序盤から燃費レー スの様相を呈し、佐藤選手は、レース序盤 に起きたフルコースイエローの間に給油を 敢行。その後は燃費セーブの走りで71周 目にトップに立つ。
Headl 日
2ピット作戦を選んだ佐藤選手は、上位 をキープしたまま2回目のピットを消化。
その後はR.ハンターレイ選手とのバトルを 制してチェッカー。佐藤選手にとってロー ドコース初優勝も獲得することになった。


「予選は失敗に終わりましたが、おかげで 新品のソフトタイヤを2セット残すことが できました。2ピット作戦が正解で、それ が完全にハマってトップに立てました」
とは佐藤選手のコメントだ。
なおインディカー・シリーズは9月16 日の第17戦で最終戦を迎えており、佐藤 選手はシリーズ12位で今季を終えた。


FIAカート世界選手権に3名が挑戦! 佐藤蓮選手がOK決勝レースに進出!

9月22〜23日にスウェーデン・クリスチャンスタッド のAsum
RingでCIK-FIAカート世界選手権が開催され
た。今回は日本から全日本カート選手権OK部門を戦う 若きドライバーが3名も参戦した。イタリアのTONY KART RACINGからは佐々木大樹選手と宮下源都選手、 EXGEL WORLD CHALLENGEとしてMad-Croc Karting
から佐藤蓮選手が出場。33カ国から約230名の選手が集 まった同大会で、OKクラス110名による戦いに挑んだ。
全日本カート選手権OK部門でしの ぎを削る佐藤蓮選手(左)と佐々木 大樹選手。宮下源都選手も含めた3 名が今年の世界大会に挑んだ。
土曜の予選日は降雨と日照が交互に現れる気まぐれな天候となったが、2位を獲得する ヒートもあった佐藤選手が最終的に20番手グリッドを獲得して決勝に進出。佐々木選手と 宮下選手は決勝進出はならなかった。日曜に行われたドライの決勝ヒートでは、まずまずの スタートを見せて追い上げる佐藤選手だったが、1周目の前半で、コーナー進入時にアウト 側に弾かれてコースアウト。直後は32番手まで落ちてしまったが、そこから粘りの巻き返し を図り27番手まで順位を回復。最終的には23位というリザルトを獲得した。
「レースが始まって間もなく、周りのタイヤがタレているのは、 ハッキリ分かりました」と語った牧野任祐選手。周囲の動向 をしっかり見抜いて、柔軟な発想で戦略を変更した走りが奏 功した勝利だったと言えよう。
「決勝に用意したマシンに競争力のあるスピードが備わっていたのも事実」と語 る佐藤琢磨選手。終盤にはR.ハンターレイ選手に急襲されたが、残していたプッ シュ・トゥ・パスを上手く使って、見事に抑え切った。
2018 秋 CONTENTS
HEADLINE
4 WRCマニファクチャラーズ首位浮上。トヨタは天下を取れるか!?
今季新加入のタナックが3連勝。復帰後初の1-2を決めて波に乗るトヨタがチャンピオンを射程距離に捉えた!
6 FIA F2第10戦イタリア・モンツァで牧野任祐選手が初勝利! 9月1〜2日、大陸を馳せる“サムライ”達が各地の国際レースで続々跳躍!
SPECIAL ISSUE
10
若者たちの、現在
〜戦う場所を、どうやって見つけ出すか〜
20 FIA IDC、再来!
FIA IDC は、世界各国に通用するドリフト競技の“開発の場” 25
現役選手に聞く“競技を続ける理由”。ドラテク修練の長くて奥深き世界!
RWDマイスターに聞く“後輪駆動ダートラ”のススメ 48
走って楽しい、見て感動! OKINAWA モータースポーツの未来形を探る
53 いつだって、下剋上!
〜少数派シャシーで、“ジャイアント・キリング”を狙う、若き挑戦者達〜
TOPICS
57 “続ける”オートテスト
リピーターが集う愛知・美浜サーキット“オートテスト定期開催”の狙いとは!?
SERIES
60 オフィシャルさん、お疲れさん!
64 オートテスト倶楽部
観て興奮!走って興奮!の新スタイル!!
GUIDE
63 JAF MOTOR SPORTSホームページの“取扱説明書”
INFORMATION
32 2019年ライセンス更新のご案内
39 INFORMATION from JAF
JAF MOTORSPORTS JAFスポーツ[モータースポーツ情報]
監修/一般社団法人 日本自動車連盟
〒105-0012 東京都港区芝大門1-1-30 ☎0570-00-2811(ナビダイヤル) 発行所/㈱JAFメディアワークス 〒105-0012東京都港区芝大門1-9-9 野村不動産芝大門ビル10F ☎03-5470-1711 発行人/山口真人 振替(東京)00100-1-88320 印刷所/凸版印刷株式会社 表紙/FIAアジア・パシフィックラリー選手権(APRC) 編集長/田代康 副編集長/佐藤均 清水健史 デザイン/鎌田僚デザイン室 スタジオーネ63 編集/㈱JAFメディアワークス JAFスポーツ編集部 ☎03-5470-1712
若者は、色んな可能性に賭けてみることが大切だ、と大人はさらりと言う。 だが、ことモータースポーツに関して言うと、若き入門者が叩ける門は意外と限られていたりもする。 突破口を見い出すことは、そう簡単なことじゃない。でも、とりあえず、いつか視界が開けることを 信じようじゃないか。チャンスは、もうそこまで、来てるかもしれないのだから。




フォト/石原康 レポート/はた☆なおゆき(P.11〜)、水谷一夫(P.14〜)

特集
若 者たちの 、 現在
時期、小さい頃からカー
トレースを始めて、ライ センスが取れたらフォー ミュラにステップアップというのが 当たり前になって、ツーリングカー レースに乗る若手が激減した。
それでもスーパーGTの大人気か らなのだろう、近頃はツーリングカ ーレース、いや、ここではハコと呼 ぶ方が通りは良さそうだが、何はと もあれ、フォーミュラを経ず、ハコ 一筋で極めたいという若手が徐々に 増えつつある。
レースを始めるきっかけは人それ ぞれだ。今回、取り上げる二人のド

ライバーは「小さい頃からのクルマ好き」という点で共 通する。ただし、最初のきっかけが「谷口信輝選手のフ ァンだったので」というのはまだしも、「就活に失敗し 続けた時に見た『ニコニコ動画』がきっかけでした」とい
うのには、筆者も一瞬「?」となった。

前者は眞田拓海選手。富士チャンピオンレースの FCR-VITAでデビュー2戦目にして、表彰台に上った ドライバーである。そして後者は呉良亮選手。同レー
スの86&BRZで開幕3連勝を果たし、早々とチャンピ オンを確定させたドライバーである。


きっかけを、もう少し詳しく話そう。まずは眞田選 手からだ。
「サーキットへGTとか見に行ったりしていたんです
が、自分で走ろうとかは思っていなくて、ただレース が好きだったんです。レースオタクみたいなところは あったと思います。東京ヴァーチャルサーキット (TVC)で、谷口さんがレッスンしてくれるという企画 が一昨年の12月にあって、小さい頃からファンだった ので(笑)、本人に会えるなら受けたいな、と思って。 ちょうど免許取って、クルマの運転にも慣れてきた頃 だったんですよ」
TVCとは東京・赤坂に居を構える、レーシングシ ミュレーター(SIM)のこと。砂子塾長氏がインストラ クターを務め、いわゆるゲーム感覚ではない、本格的 なドライビングレッスンができる場として知られてい る。眞田選手にとっては、その場に身を置いたことか

眞田拓海選手・22歳
ら、様々なことが転がり 始めることになる。
一方、呉選手。
「大学に入って、クルマ のメーカーに就職したい


と思っていて将来はクル マ作りに携わりたかった
んですが、色々受けてダ メだったんですよ。そん
な就活の最中に見つけた のが、86レーサーズだった
んです。どうやって見つけたかというと、ニコニコ動 画で86レーサーズに乗って、レースに出るまでを投稿 している人がいて、たまたまそれを見て。『あ、これ俺 もやってみたいなぁ。もしかしたら就活の役に立つか
もしれない』って思って始めたんです」
86レーサーズとは、元スーパーGTのトップドライ バーで現在はレーシングカーのメンテナンス等を手が けるSHIFT代表の竹内浩典氏が、富士スピードウェ
イを舞台にN1仕様の86で行っているレンタルシステ ム。練習のみならず、86で実戦参加することも可能だ。 「最初は、クルマの知識が役立てばいいぐらいに思っ ていて、お試し程度だったんです。でも、竹内さんと 話をしていく中で、ドライバーになっても、クルマを 作ることは開発とかでもできると思うようになったん です。むしろクルマを作る根幹に携わる方がいいんじ ゃないか、なら試してみる価値はあるなと思って、レ ースを始めるようになったんです」と呉選手。
そこから、二人とも思い立ったら真っしぐら。まず 眞田選手はSIMでの、呉選手は実車での練習を繰り返 す。第一印象は?
「モータースポーツは、こんな感じなのか、って(笑)。 普通に街中で運転しているのも楽しいんですが、レー スに昔から興味を持っていたので、SIMで走ることによ って実際にサーキットを走ってみたいな、って気持が生 まれました。それまでは無事故無違反で、安全運転を 心がけていたんですが」と眞田選手。
呉選手は「こんなにクルマの運転が難しいとは思って いなくて! その前にライセンス講習会でサーキット をちょっとだけ走ったことがあったんですが、自分の
リスクを減らしながら速くなる方法がベスト 砂子塾長
ノーマルカーに比べて、N1カーだと動きはピーキーだ し、結構、怖いというのがあって、そこはすごく驚き ました」という。
ちなみに、呉選手は昨年の1月から練習を始め、特 に「2月、3月は20回ぐらい乗りました」というほど猛特 訓を重ねた。
「竹内さんの指導は、めちゃくちゃ細かくて、自分の 『あそこが悪い、ここも悪い』って言われて、そのつど 改善していった感じでしたね。その結果、ある程度の ところまで来たので、『出ていいよ』ってことになった んです」。ただし、この年は初戦でいきなり2位入賞を 果たすも、優勝だけは飾れなかった。

実は、この二人には接点がある。やがて眞田選手は 86レーサーズを走り、呉選手はTVCで走るようにな ったからだ。
「SIMだけでなく、筑波とか富士でやっている広場ト レーニングも実車で走ったことでサーキットも走りたい と思い始めたので、86レーサーズに乗るようになりまし た」と眞田選手。「富士以外に練習できるところありま せんか、って聞いたら、TVCがあるので、そこに行く といいよ、って言われて」と呉選手。同時期に86レーサ ーズとTVCでの練習を、並行して行なうことになる。
実車とSIMの並行練習が効果的だったのは、二人と も認めるところだ。まず眞田選手はこう語る。
「SIMと実車の動きは一緒なんですよ。違うところは 実車じゃないとGを感じられないことくらいです。考 える力はSIMですごくつくので、SIMで走ったことの あるシチュエーションと重なれば、最初こそ戸惑いは ありましたが、実車でもちゃんと走れるんです」と眞田
「自分たちがレース始めた頃は当然、こんなものなかったですよね。そもそも、まともに教えてくれる人なんて、 誰もいなかったから、見て学べっていうのがすべてでした。ただ独学で走っても最初は右も左も分からず、走り方 も分からないとなると、まったくの無駄になってしまいますから、しっかりと練習方法を考えてから、走るべきです。 SIMでの練習のメリットとしては、クリップの位置、ブレーキの大体の場所、最大舵角なんかを、体と頭に叩き込ん でから、実車でサーキットを走れば、最初からリスクはすごく減るということ。めっちゃハードル低くて、手ぶらで 来てもいいし、身ひとつで飛び込める環境だということですね。眞田君に関しては、最初来た頃が30ぐらいなら、 今は80ぐらいかな、走りの成長として。メンタルも含めて。SIMや実車でやってきた練習で、自信をつけたと思 います。これだけ成長するとは僕も想像つかなかった。上出来な結果だと思ってます」
「砂子さんが基準タイムを作っ ているので、それに近いタイム が出せるようになって、ロガー も見られるんで、自覚はなかっ たんですが、『そうか、走れるん だな』と思った」のが実戦レース デビューへの最初のモチベーシ ョンとなった。デビュー2戦め で表彰台獲得という成績が、 SIMの実戦での可能性を証明す る形になった。
呉良亮選手・24歳
選手。
「SIMってドライビングの時に、ど ういう考え方をすればいいのか、脳 のトレーニングみたいな感じがある んです。実車の方は、例えば『100R でリアタイヤに荷重を乗せる』みたい な、細かいテクニックができるかど うか。そういう違いはありますが、 重ねてみるとやっぱり一緒なんです」 と呉選手も並行練習のメリットを語 った。


振り返っても、自分のこれまでの モータースポーツとの付き合い方は 正解だったと思っている、と呉選手は言う。 「やっぱり我流じゃなくて、習った方が短期間で結果 に表れて、成果も出るものだと思いました。まぁ、ド ライビングに限らず、色んなことがそうでしょうし、

シリーズ参戦2年目の今年は早々にチャンピオンを確定。雨のレースも今では臆することはない。




人との繋がりもできましたから」
その人との繋がりが、二人にレースデビューをもた らすことになる。呉選手は前述のように、竹内氏に評 価されたこと、眞田選手はTVCで知り合った仲間か
ハコのスペシャリストとし て名をはせた竹内氏だけ に、その指導は細部に至 るまで的確。ドライビング だけではなく、レーシング カーを巡る様々なノウハウ をいま習得中だ。
ら、砂子氏からの推薦もあってチャンスを獲得してい るからだ。それは単に実力だけでなく、人間性も評価 されたからに他ならない。
就活に失敗した呉選手は、その後SHIFTで竹内氏 の下で働くようになり、眞田選手も先の知り合いの紹 介で、カートコースでバイトするようになった。余談 ながら、SIMで唯一練習できないバトルは、カートコー スのスタッフとの練習で学んだと言う!
FCR-VITAに今年から挑戦した眞田選手は1戦目こ そ砂子氏曰く「スタート前なんか、瞳孔開いちゃって (苦笑)」、散々な結果に終わるも、2戦目で早くも3位入 賞を果たした。今はエンドレスの育成ドライバーとし て、スーパー耐久にも帯同するようにもなっている。
きっかけはユニークだったが、今は真剣にレースに 向き合っている二人が、周囲の声援に応え、これから もどんどん成長していってくれることを期待していき たいと思う。
ッツカップ・ヴィッツレース2018関東シリー ズの第2戦で、その“事件”は起こった。自 動車レースにデビューして2戦目、若干18歳 のドライバーが、並み居る強豪を押し退けてポールポジ ションを獲得したのだ。しかも、スポンサーのステッカ ーを数枚貼っただけのそっけないマシンには、初心者マ ークが。「あいつ何者だ!?」。ほとんど無名のドライバー のポール獲得に、パドックはざわめいた。
当の本人、小林一景選手はこう言う。
「予選は朝から降っていた雨が止んで、路面がどんどん 乾いていく状況でした。僕はカート時代から路面を感じ 取るセンサーに自信を持っていて、それが生きたんだと 思います」
若手には厳しい問題になる 竹内浩典 「呉君は、素直なんで、乾いたスポンジなんでね。どこか 我流でやって来たんじゃなく、ピュアな状態で来たので、こ れダメよって言えばやらないし、いいよって褒めれば一生 懸命やるから、どんどんいい方向に行くんです。実車に勝 る練習はないんですが、お金がかかるんですよ。正直、桁 が違うぐらいで。もっともっと、こっち(富士)で走った方が いいけど、やっぱり若い人にとってはなかなか難しいです よね。でも、今のSIMって精度がすごく高くて、向こうで練 習して、こっちでポッと乗っても、かなりのところからスター トできるんです。それこそ富士山を5合目からスタートす るような。昔は1合目から必ずスタートでしたからね。SIM で出て来た景色がそのまんま出て来て、違和感なく走れる ので併用がいいと思う。SIMで2回練習して、こっちで1回 乗るような形が、相乗効果で上がってくると思いますよ」
一躍、その名を高めた もてぎでの一戦。ポー ルトゥウィンこそ果たせ なかったが、ここで見せ た速さが次のステップ をもたらす形になった。
クルマやバイクが好きな父親、智成さんの影響で小 学3年生の時にカートを始めた一景選手。「どのカテゴ リーであれ、プロとしてお金をもらえるドライバーにな りたい」という目標は、この時からのものだったという。 一景選手が全力で走り、智成さんがレース資金の捻 出とメカニックを担う。この先ヴィッツレースまで続く “チーム小林”は、やがて全日本カート選手権FS-125部 門へと上がり、15歳になった2015年にフル参戦を果た した。その結果は、年間ランキング17位。狙っていた ランキング6位以内=限定Aライセンス取得は叶わなか った。これが一景選手にとって、ひとつの転換点となっ たという。 「資金の事情もあって、全日本のフル参戦は1年だけと 決めていたんです。その順位が思っていた以上に低く て、『ならば、どうしようか』と。それまではコース上だ けで頑張っていたけれど、コース外の知識や準備が大 事なんだと思い知らされて、コース外のことをロジカル に考えるようになりました」
一景選手と智成さんは、速くなるための工夫と自動車 レースへ進むための手段を一緒に考え、進めていった。 2016〜2017年に参加した鈴鹿サーキットのROK SHIFTERクラスは、カートながら変速機とフロントブ レーキを備えたマシンによるレースで、自動車の練習に もなると考えてのチョイスだった。

ROK SHIFTERクラス参戦と並行して、「運転免許 なしで参加できて、走れる量も多いし、プロドライバー が同乗してくれてアドバイスももらえるから」と選んだ apr走行会にも2年間参加。智成さんのロードスターで 富士スピードウェイのショートコースを走って自動車の


実車に勝る練習はないが、
年目で結実
特集 若 者たちの 、 現在
父親の智成さんのコメント
「僕が教えてきたのは、『モノを 大事にしなさい』ってこと。あと
は、いろんな人に出会う中での 立ち居振る舞いですね。(プロ

の)レーシングドライバーは、自
分が好きなことを他人のお金で やるわけですから、可愛がられ てナンボだと思うんです。一景
も最近『セルフプロデュースだ』
って言ってますね。親馬鹿なが ら、立派に成長していると思い ます。この先は人間関係を大事
にしていってほしいですね」
ドライビングを学んだ。この走行会が、“チーム小林”に いくつかの縁をもたらした。
「走行会に出展していたテナントに、たまたま高校時代 の同級生がいて、彼がスポンサードをつなげてくれまし た」と智成さん。ヴィッツレースのデビューに向けての 練習走行では、やはりこの走行会で知り合った人物が 貸してくれたカメラをヴィッツに取り付け、その映像で 自らの走りを分析。わずか50周程度の練習を最大限に 活用することができた。
自動車レースのデビューにヴィッツを選んだのも、理 由があってのことだった。

「自分たちの資金でできる中で、いちばん盛り上がって いて台数が多くて、自分の将来につながりそうだと思え たのがヴィッツレースでした。それに、カートと真逆の クルマが、いちばん勉強になると思ったんです」
愛機のヴィッツは、 中古のレース仕様車を 見つけて入手。メンテ ナンスは自宅に近いネ
ッツトヨタ湘南に依 頼。さらに“チーム小 林”は、初レースに向 けて戦略を練っていっ
た。
「若葉マークを付けて 前の方を走ったら、皆
輪レースデビュー
が嫌がるだろうな。だったら、クルマはあえてステッカ ーなしで、車名もVitzだけにして……と父と話してい たんです」

その目論見はずばりと当たり、謎のドライバーとマシ ンによるポール獲得は大きなインパクトをもたらした。 このレースで3位に入賞した一景選手には、一緒にバト ルを演じて2位になったポイントリーダーの黒田保男選 手から声がかかり、黒田選手が所属する名門ガレージ、 ネッツトヨタ名古屋でメンテナンスをしてもらえること が決まった。
走りの部分は一景選手の、活動資金に関することは 智成さんの担当。それ以外のことは、どちらが我を張る でもなく対等な立場で、一緒にアイデアと経験を出し合 い決めていく。これが“チーム小林”のスタイルだ。 「ヴィッツレースにはディーラーに雇われて乗っている 選手がいるので、まずはそこが目標です。それには結果 を残さないと。今は、今年の残り2戦のことしか考えて いません」

ジュニアカート選手権時代を共に戦った角田裕毅選 手や名取鉄平選手は現在、自動車メーカーのスカラシ ップを受け、FIA-F4でチャンピオン争いを繰り広げてい る。「彼らのことは尊敬しています。悔しい思いがない ってわけじゃないけれど」。そう言う一景選手の顔は、 さして悔しそうでもない。その表情は、こう語っている ように思えた。
「僕は、僕の道を行く」
小林一景選手・18歳
経験が大きくものを言うダートトライアルの世界だが、 最近は
ダートラを続けること自体が、まずはひとつの関門だ。ただし競技車を作り、維持することすら簡単ではない若者達にとって 先輩達のサポートを力に変えて全日本の頂点を極めた一人の若者の姿を追ってみた。

北陸を代表する夏の風物詩、「おわら風の盆」 で知られる越中富山八尾。町にほど近い山 合いに一人のダートトライアルドライバー が住む。
代前半から速さを見せる若者が現れている。
浦上真選手、22歳。ホームコースは能登半島の輪島 市門前町モータースポーツ公園だ。今年6月、同地で 行われた全日本ダートトライアル選手権で見事、初優 勝を飾った。ダートラを本格的に始めたのは社会人2 年目の2016年から。ダートラ歴が3年にも満たない若 者が全日本の頂点に立つのは極めて異例の出来事だ。
ただし、最短ルートで全日本を制した浦上選手には、 強力なバックボーンがあった。父親は浦上智明氏。全
日本ダートラの改造車部門で長く活躍した軽4WDタ ーボのスペシャリストだ。もう一人は父親の練習仲間 だった故小川静夫氏。圧倒的に不利といわれたアルト で、ブーン、ストーリアといった強豪を抑えて全日本

初優勝をさらった2007年の開幕戦の走りは、今でも 語り草になっている。


「子供の頃から親父の遠征にもよくついて行ったし、 親父や静夫さんの練習では助手席でタイムを測る係で
した。“こんなモン、俺にもできるわ”とずっと思ってた けど、実際やってみたら、そんなに簡単じゃなかった (笑)。本当に奥の深い世界です」
ただし父親からの援助は一切ない。“ダートラをやれ
と言った覚えはない、お前が勝手にやっているだけ だ”、というのが智明氏のスタンスだからだ。だが19
昨年後半から参戦を始めた全日本選手権では連続して表彰台をマークし、注目を集め たが、本人は「結果より勝った人とのタイム差。納得はしていなかった」。6月、地元の 一戦で初優勝を飾るも、「パッと行った所ですぐにタイムが出せるのがトップドライバ ーだと思います。だから僕はまだまだです」と次はアウェーでの勝利を狙う。
歳の時に父親から言われた言葉が、進路を決めるきっ かけになった。

「今乗ってるインテグラって最初はジムカーナ仕様だ ったんですよ。車高が低くてカッコ良かったんでまず ジムカーナ出て、何年かしたらダートラやろうと思っ てたんですけど、親父から“どっちつかずはやめろ、 どっちかにせぇ”と言われたんです。それで、いずれ はやると決めていたダートラ車にしたんです。結果的 には回り道しないで済んだということになりますね」
始めた頃は毎週、門前、今庄といった近場のダート ラコースに通った。だがどんなに走っても、走り足り ない。そんな時、同じ北陸の先輩達が黙って使い古し たタイヤを置いていってくれた。ドライブシャフトが
折れたら、どうしたらいいかも先輩達が親身になって 教えてくれた。トランスミッションの下し方、開け方 も教わった。いま、浦上選手はそれらのメンテナンス をすべて一人でこなす。
「若手が珍しかったからかなと思うんですけど、ホン トに可愛がってもらいました。ドライビングもたくさ ん教えてもらった。最近は教えてくれないんですけど (笑)。でも、おかげでショップさんに頼んだら結構な

値段になるような作業も、自分でこなせるようになっ た。お金のない若い人間にとって、それがどんなに大 きな支えになったか」と先輩達に感謝を欠かさない。
2016年にまずJMRC中部北陸シリーズのチャンピ
オンを獲得。昨年は地区戦のチャンピオンを最終戦で 決めた。
「まず1回勝ちたかった。勝ったら次はチャンピオン。 やっぱり今から思えば、子供の時から雰囲気を知って る全日本に早く上がりたかったんでしょうね。でも、 全日本はしっかり地区戦のチャンピオンを獲ってから というのは始めた頃から決めてたんですよ。そうやっ て段階踏まないと、失礼じゃないですか」


しかし、その礼を欠いてはいけない先輩達に浦上選 手は今年も地区戦で負け続けた。今年の初勝利は最終 戦でようやく獲得。初優勝を飾った昨年最終戦以来の 2勝めだ。

「地区戦はある意味、全日本の時より真剣に走ってる んだけど、勝てないんですよね。1本めはぶっちぎりで 勝てるのに、2本めが勝てないんです」 期待の若手というとアクセル全開のアグレッシブな 走りを想像しがちだが、浦上選手の走りはちょっと違 う。老練というか抑える所はしっかり抑えるムダのな
自宅のガレージはモータースポーツショップ顔負けの装備が揃うが、自動車整備の専門的な技術は 学んだことはない。メンテナンスからドライビングまで、地区戦では未だに高い壁となって立ちはだ かる、地元の先輩達から受け継いだ有形無形の財産が彼の競技生活を支える。


色んな“正解”を学んでほしい
浦上選手が“門前の師匠”と仰ぐ石崎雄一選手(2016全日本門 前ウィナー)に聞いてみた。「彼は最初から、やる気が全然違ってま したね。あれは100%親父さんと小川さんの影響だと思う。それと 最初から頑固だった(笑)。でもそういう所で好かれたんでしょう。 クルマも最初はボロボロだったんで皆でパーツをあげた。実は今も 彼のパーツ預かってるんです(笑)。走りも色々アドバイスしたけど、 ダートラって色んな正解があっていいですよね。もう正直教えるこ とはないけど、地区戦では、その辺で苦労してもらって北陸初の全日 本ダートラチャンピオンを獲ってほしいですね」 浦上真
い走りだ。
「始めた当初は、“おりゃぁ〜”という気合一発の走り でしたが、失敗するとデカいし、実際それで速く走れ るわけではない。そういう走りをやめたら結果が出る ようになったんです。若干つまらないと思う時もあり ますが、結果が出た以上はそれが正解と受け止めるし かない」。そのドライビングスタイルは何となく故小川 選手の走りを彷彿とさせるのだが、本人は意識したこ とはないと言う。
「静夫さんの走りはYou Tubeでたまに見ますが、一 言でいうとセコい。でもあれが皆できない。我慢でき ないんです。でも多分、静夫さん本人も我慢してると は思っていない。形になってるからです。だから速い。 でも自分はFFなんで、そのまま生かせるかというと、 ちょっと違う」
まだまだ勉強です、と言う浦上選手は、来季、全日 本チャンプを狙う。ただしあくまでベースは、地元北 陸だ。全日本で勝っても、まだ超えるべき先輩達がい るからだ。
「ダートラって初期投資もデカいし、若い子は一人じ ゃ始められないのがむしろ普通です。僕はだから本当 に周りに恵まれているし、クルマを自分で触れる環境 があるだけでも、贅沢な方だと思う。いまの僕にでき ることは、支えてくれたり、応援してくれた方々に結 果で応えることだと思ってます」
幾多のテクニシャンを全日本に送り込んできた中部の 新星は、その期待を一身に担ってチャレンジを続ける。
月5日、2018全日本学生ダートトライアル選手
権大会が開催されたテクニックステージタカタ のピットは、早朝から若い活気に溢れていた。
戦っているのは選抜されたドライバーだけではない。メ カニックにタイムキーパー、車両の誘導員など、部員


の一人一人が役割を持ち、全員が一丸となって勝利を 目指し、奮闘している。その様子は立派なプライベート

チームという感じ。ピットの活気は確実に、社会人ダ
ートトライアル競技のそれ以上だ。

「ダートラもジムカーナも、学生競技は完全にチームプ レーです。部員全員で戦う組織戦なんです。そして、
仲間と戦う楽しさから、 一人で戦う厳しさへ
と違い、卒業後の競技は個人プレー。それでも続けよ うという人はやはり少数です」と付け加えた。
早稲田大学自動車部の川上優選手は、幼少期から取 り組んだスポーツで腰を痛めた。自動車部は、そんな 彼がいま一度タイムを競うスポーツを楽しみたいと選 んだ部活だ。大抵のスポーツでは体に負担を感じたが、 ダートラは痛みを気にせず競技に集中できた。
「クルマのシートに座っている状態が、実は1番自分に はラクな姿勢。バケットシートだし、シートベルトにし っかり固定されているから、負担も思いのほか少ない んです」と川上選手。ただ、早稲田大学自動車部のドラ イバー選抜はあくまでも実力主義。出場できるのはた った3名で、今はドライバーの川上選手も、いつサポー ト役に回るかわからない。
「皆、抜きつ抜かれつの、ギリギリの差ですが、タイ ムで抜かれてサポートする側に回っても精一杯やるし、 楽しめます。当初はタイムだけにこだわっていたけど、 今はこのチームの雰囲気が何よりも好きだからです」

このチームプレーこそが学生モータースポーツの一番 の醍醐味であり、社会人のBライ競技とは大きく異な る点です」と学生競技の魅力を語るのは、広島大学自動 車部の西村優輝主将だ。だが、そのことは卒業と同時 にモータースポーツも卒業してしまう学生が多いことに も通じるようで、「楽しさを仲間と共有できた学生時代 モータースポーツを生涯スポーツとして見つめてい るのが、法政大学自動車部の久保田凛選手だ。自動車 部には、他のスポーツと違い、同級生が同じスタート ラインで始められることに惹かれ入部した。運動神経 に自信がなかった彼女が、クルマの運転を競うこのス ポーツでは自分自身でも予想外の力を発揮できた。 「モータースポーツとは一生関わっていきたいと思って います。ダートトライアルやジムカーナ以外にも、色ん な競技を体験したいし、オートテストにも興味がありま す。運動音痴の私にも楽しめたこのスポーツは、生涯 スポーツとしてもぴったりなんじゃないかなと思えるん ですよ」
もちろん、続けていくには、学生のいまより出費がず っと増えることも、彼女は百も承知。そして、それすら 前向きに受け止める。




「確かに負担は増えますよね。でも、社会人になれば 自分の自由になるお金も増える。やってみたいことがで きるチャンスを生かすことの方が、私には大切です」

全日本学生自動車連盟に加盟する全国の大学自動車部が、その活動の大きな目標に掲げているのがこの大会だ。 ダートトライアル部門が行われた2週間後にはジムカーナ部門が鈴鹿サーキット国際南コースで開かれた。個人戦 のほか、団体戦も行われ、チームとしての総合力が問われる大会でもある。ダートラ大会は20大学、女子の部は 9大学が参加。ジムカーナ大会は31大学、女子の部は10大学が覇を競った。

モータースポーツを生涯スポーツと捉える久保田選 手の視点は、これからのモータースポーツ競技のあり 方についても示唆に富んでいるように思える。
卒業しても競技を継続しようと決意している選手も、
もちろんいる。今回、団体戦の男子の部で優勝を遂げ た中央大学の3選手は、カテゴリーは違っても全員が、 卒業してもモータースポーツを続けると決めている。中 でも主将を務める廣瀬正典選手は、全日本チャンプの 選手に師事するほど、スキルアップや勝つことへの本 気度が強い選手だ。当日もダントツの速さでチームを 引っ張り、個人優勝にも輝いた。

そんな廣瀬選手も、一般の人が一人でトップを目指 すのはかなり難しいと考えており、今はいかに社会人 戦にデビューするかを思案している。
「学生や学生チームはスポンサーサイドにも支援する メリットがあったと思いますが、社会人になれば、当初 から支援を受けられることなんて殆どないですから、 初めは大変だと思います」と廣島選手。自動車部がある
ことを前提に早稲田大学を受験したという鷹尾一成選 手も継続したいという思いが強く、自車もすでに購入 済みだ。「パーツメーカーのスカラシップ等をうまく活 用して、やっていこうと思います。ただ、そういうメー カーはまだまだ少数。もっと増えてくれると嬉しいんで すが」と語る。
卒業後も競技を続けたいと考える大学自動車部の選 手たちが最も断念しやすいのは、卒業直後だという。 学生時代には潤沢だった時間や仲間、そして練習場所 の全てを失う時だ。だから、この時期をいかにフォロー するかが、学生競技出身者をモータースポーツから遠 去けないためのひとつのポイントとなるはずだ。



若い世代のクルマ離れが取り沙汰される昨今だが、 大学自動車部の競技大会の盛り上がりに陰りは見られ ない。金銭負担の大きさが若い競技者減少の要因にな っていることは確かだが、それ以上に、部活の楽しさ を経験した学生たちには、卒業してもこの競技を続け たいと思う強いモチベーションが要るのかもしれない。













広島大学は今回参戦した大学中、唯一の国公立大学。国公立は私立に比べ部費が少ないと言われる 中、OBや企業のサポートを受けて全日本大会へも参戦する。チーム一丸をモットーとし、選手は3年 生の12月をもって引退する規定で、主将を含め中心は3年生だ。

前日の練習走行時にマシンのエンジンがブロー。一時は出走を断念したが、地元広島のモータース ポーツ関係者より代替エンジンの提供を受け、奇跡的な復活を遂げた東海大学自動車部。「走れただ けでも幸運です。協力頂いた皆さんに感謝の気持ちで一杯です」と齋藤駿太主将。
法政大学の自動車部は男子も女子も同等の扱い。女子でもオイル交換をするし、逆に男子のメカは 女子車にも分け隔てなく力を注ぐ。当日の戦績は女子団体が1位に輝き、男子団体の8位を大きく上 回ったが、女子の優勝を我が事のように喜ぶ男子部員の笑顔が印象的だった。
早稲田大学は2017年の全日本学生ダートトライアル選手権を制したディフェンディングチャンプだ。 現在部員は4年生が3名、3年生が4名、2年生が4名、1年生が7名の計18名で、うち女子は2名。 ドライバー選抜は実力主義。今回はマシントラブルに泣き、V2は果たせず。

FIAインターコンチネンタル・ドリフティング・カップ2018
FIA IDC
11月2〜4日/東京・台場特設コース

昨年、東京・お台場で開催された世界初の国際格式ドリフト競技会「FIA IDC」。 13カ国24名の選手と大勢の観客を集めて賑々しく成功を収めたが、 今年の11月、同じ台場特設会場で、第2回大会が行われることになった! ここでは開幕直前情報として、FIA IDCの齋田功氏に、その見どころを聞いた。


フォト/山本佳吾、FIA IDC、JAFスポーツ編集部 レポート/山中知之、JAFスポーツ編集部 イラスト/高梨真樹

、再来!
「FIA IDC は、世界各国に通用する ドリフト競技 の“開発の場”なんです」
倒的なエキゾーストノート。緊張感を一気 に高めるスキール音。アスファルトに刻み つけたブラックマークを、一瞬にして覆い 隠すタイヤスモークとゴムの焦げた匂い……。
現代人が閉じ込めてきた本能を呼び起こし、観客を 興奮のるつぼへ誘ってきたドリフトは、発祥した日本 から海を渡り、世界中のエンスージアストの心を掴ん
FIA IDCグローバルプロモーター/FIA IDC事務局 齋田 功氏

株式会社サンプロスに所属する齋田功氏。雑誌社主催のドリフトイ ベント時代から、今や多くの観客を集め、中国やロシアでも地域シ リーズが開催されるD1グランプリ開催までを手がけてきた御仁。FIA IDCでは、組織委員、そして事務局として一切を取り仕切った。

で、「ドリフト」を世界共通語として定着させた。
そして、昨年には一つの到達点ともいえるFIA公認 イベント「FIAインターコンチネンタル・ドリフティン グ・カップ(IDC)」が日本で初開催されたが、今年も東 京・お台場で11月2〜4日に行われることになった。 そこで、ここでは、第2回大会の見どころをFIA IDC グローバルプロモーター代表であり、組織委員、大会 事務局として運営を取り仕切った齋田功氏に伺った。
FIA IDCが昨年初めて開催され、今年11月に第2回 目の開催が発表された。まずは、世界初となるFIA IDCを開催した経緯から語っていただいた。

「昨年は10月に開催されたわけですが、これは同じ時 期にFIAのモビリティ・カンファレンスが東京で行わ れていて各国のASN関係者が集まっているので、FIA からこの日程での開催打診を頂いたのが経緯です。
我々としては参加する選手のシーズンオフを狙って
昨年9月30日〜10月1日にかけて東京・台場特設会場で開催されたFIA IDC。国際格式のドリ フト競技会が世界初開催ということで、関係者だけでなく多くのドリフト愛好家も注目した。レー スウィークは土曜をレグ1、日曜をレグ2としてそれぞれ単走と追走が行われ、各レグの成績に付 与されたポイントの合計で総合優勝を決めた。初代王者の座は川畑真人選手が獲得。2位はロシ アのA.サレグラセブ選手、3位は斎藤太吾選手となった。
第1回大会では13か国24名の選手が集まり、BMWやヒュンダイなど日本ではあまり馴染みの ない競技車両が出走した。レースディレクターは国際格式の競技会とドリフト競技の両方に精通 した飯田章氏が担当。国際格式大会の初運営に奔走していた。東京では同じ週にFIAのモビリ ティ・カンファレンスが行われていたため、FIAのジャン・トッド会長も大会を視察。まさに世界 の目がお台場に注目した週末となった。
パイロットイベントの開催を検討していたのですが、ま ずはやってみようということで開催を決めました。 ただ、条件等が決まったのが開催2か月前でしたの で、不足の部分が多々生じてしまったのですが、何と か開催できたというのが正直なところです」。 会場はD1グランプリシリーズを長年開催してきた、 勝手知ったる「お台場」だったが、運営にあたり、D1グ ランプリとは異なる点も多かったと言う。
「ASN代表の方々を招待したわけですが、世界中の 方々を対象としたホスピタリティを準備する必要があ るなど、我々が開催してきたイベントにはない部分が多 かったので大変でしたね。また、国際格式の大会は初 開催ということで分からないことが多く、前例もないた め、ケーススタディがすぐに判断できないことが多かっ たんです。その苦労の甲斐あって前例を確立できたの で、第2回大会のFIA IDCは、より良い準備のもと で、開幕を迎えられると思います」。
国際格式の競技会運営は初体験で、しかも前例のな いドリフト競技ということで、思い描いた100%のコ ンテンツを最初から送り出すことは容易でない。これ まで多くのドリフト競技を運営してきた齋田氏も、そ の点は十分に承知しているようだ。 「まだまだ足りない点は多いと思いますが、我々はFIA IDCの開催を、短期的な視点では考えていません。モ ータースポーツとして確立していなかったドリフトを、 20年近く掛けてスポーツとして確立させてきました。 それがJAF公認競技として開催できるようになり、昨 年には、ようやく国際格式競技の開催にこぎ着けたわ けです。なので、これからも、背伸びしないで一歩ず つ着実にやっていこうと考えています」。 日本で一大ブームを巻き起こし、モータースポーツ カテゴリーとして世間からも認知されるようになったド リフト競技。国内から世界に飛び出し、FIAイベントと して日本への凱旋を果たしたとも言えるだろう。 しかし、FIAにおけるドリフト競技の位置付けは、 「FIAドリフト・ワーキング・グループ(通称DWG。あ る程度の規模でドリフト競技を実施しているプロモー ターやその国のASN関係者が集まる)」が2015年に設 立されている点において、ドリフトが興行という面だ けで評価されているわけではないことが分かる。


「DWGは、FIA IDCのような国際大会を確立するこ とだけが目的ではないのです。FIAでは、先進国以外で のモータースポーツ普及に、ドリフト競技が促進役を 担うことに期待しているようです。





他のカテゴリーでも、これまで様々な試行がなされ てきたようですが、道具(=専用のマシン)と施設(=サ ーキットコース)が必要なため、国によっては難しい部 分があったんだと思います。その点でドリフトは、極端 な話、「中古車」と「広場」があればできますから(笑)。 これを活用してモータースポーツに興味を持つ若者を 増やそうというのが狙いなんです。

そのためDWGでは、まず最初に、世界標準のドリ フト開催ガイドラインの策定から始めました。ただ、ド リフトが開催されてきた日本や北米、欧州での基準を 当てはめると、開催のハードルが高くなりすぎてしまう んです。なので、『コーナーは2つ以上設ける』とか『審 判員は3名置く』など、共通項目の設定は最低限にして、 開催しやすく、しかも、道筋としては世界基準へと通 じるものを狙っています」。
「そして、競技ルールの素案を作ることになりました。
『SOLO(シングルラン/単走)』と『BATTLE(タンデム ラン/追走)』といった競技の方式を確定させて、次は 車両規則の策定となるわけです。
ですが、ドリフトは、すでに世界各国で独自の進化 を遂げているんです。それをどこかの方式に統一しよ うとなると、統一した規則に合わせきれなくて、国際大 会に出場できない事態にもなりかねない。
選手の皆さんはすでに各国で活躍されていますから、 それなら無理して国際大会に出ることはない、となるの で、足並みを揃えることは現状では難しいと考えてい
ます。将来的には統一した規則が望ましいとは思いま すが、国際大会としての創成期である現在は、セーフ ティとタイヤに関する規制しか設けていない状態です」。
公開されている規則を読む限り、排気量や車両重量 などによる区分の数値は定められているが、その自由 度はかなり大きいと見える。その一方で、安全に関し ては、長い時間をかけて討議を重ねてきているそうだ。
こうして動き始めた世界基準のドリフト競技だが、第 1回大会の自己採点はどのようなものだったのだろう。 「ドリフト競技を初めて見る方がいらっしゃるASN関 係者からは、ポジティブな意見もネガティブな意見も ありました。でも、個人的には『新たなステップに入っ た』と捉えています。FIA IDCというイベントが目標で あれば、これをブラッシュアップすることで総合得点を
FIA IDC初代王者も再挑戦を表明!
「FIA IDCは世界に通じるイベント、というこ とで興味がありました。これまで長くドリフ トをやってきましたけど、知名度は高くはな くて、F1と比較するのもアレですが、ドリフ トはまだまだ知られていないと思っていま す。FIA IDCは、ドリフトの認知が高まるイベ ントという期待もあって、参加しました。
昨年はラッキーなところもあって、何とか 優勝できました。FIAの表彰式にも行きまし たが、あんなセレブな場所に居られること が、正直、場違い感ハンパないなと思いま した(笑)。でも、また来られるように頑張ら ないと、と気合が入りましたね。
実は最近、かなり追い込まれてまして。
連日高いパフォーマンスを見せたロシア勢。A.サレグラセブ(アルカー シャ)選手やG.チヴジャン(ゴーチャ)選手は今年も参戦を表明。
上げていけばいい。FIAでも、選手権としての開催を視 野に入れた発言も出ていますからね。
ですが、我々としては、規模の大きなドリフトイベン トの開催が目的ではなく、FIA IDCは『ドリフトを世界 に流行らせるための看板イベント』にしたいんです。
ただ、今回のイベントを開催するだけでも、ルール の摺り合わせに苦労してますから、本格的に世界統一 ルールを作り出そうとすれば、これまで以上の大きな 労力が必要になると感じています」。
また、第1回の昨年は、D1グランプリで採用してい るGPSデータロガーによる自動採点を導入したが、あ まり評価されなかったとも語る。GPS情報を元に、速 度や角度、直線でのふらつきなどをリアルタイムで数 値化して、採点表示にまで反映させるシステムだ。 「海外の選手にはあまり受け入れられなかったんです よ。このシステムは『ストレートからコーナーのアプロ ーチ部分は難しいので、ここの配点を多くする』とか、 コースや状況に合わせて人間が設定を変えているんで すが、『機械が全部採点するんだろ』という誤解を生ん
昨年の大会でもロシア勢が活躍しましたが、 ライバルがものすごく強くなってきていて、 日本勢は苦しい状況なんです。今年のFIA IDCは一発勝負になりますから気を抜けませ
ん。D1グランプリ最終戦の翌日になります が、FIA IDCに照準を合わせていく感じです ね。もちろん、目標は2連覇です。 D1グランプリなら相手を知ってますが、 FIA IDCはライバルの素性がわからない。ド リフトは追走が勝負なので、どんな相手で も、その走りに合わせていかないといけない んです。なので、今から相手の情報を集め て、チーム体制も含めて、2日間しっかり戦え るクルマ作りをしていこうと考えています」

川畑真人選手
大阪出身のプロドライバー。2015年D1グランプリチャン ピオンにしてFIA IDC初代王者の座を獲得。TOYO TIR ES GLION TRUST RACINGでR35 GT-Rを駆る。

「もちろん、目指すは“連覇”です」
FIA IDC、再来!






























で、納得してもらえなかったですね。それで第2回大会 では、審判員が採点した点数を確認するための補助装 置として使うことを予定しています」。


FIAやJAF公認競技では、これまで「採点競技」は存 在しなかった。順位を確定させるために使用してきた のは「タイム」だけ。これを計測する機器として光電管 システムやストップウォッチを使用するように、FIA IDCでは、GPSによる自動計測&採点装置を使ったわ けだが、目視による審査が主流である国の選手にとっ ては、ハードルが高いと感じたのかもしれない。
この自動計測&採点装置は、ドリフトの競技性を高 めるためにトライアンドエラーを繰り返して、信頼性 を高めてきたそうだが、これを国際競技に使用すると なれば、やはりFIAによる公認は命題となりそうだ。
スポーツの世界では採点競技(とタイム計測併用)の 実例は枚挙に暇がない。ただ、どのスポーツでも器具 やテクノロジーの進歩に合わせて、ルールの変更は随 時行われている。自動車の公認競技の世界ではあまり 前例のない採点競技というジャンルは、新たなチャレ
ンジとも言える。ドリフト競技に対する理解度の深化 と併せて、今後のさらなる整備に期待したい。
第2回FIA IDCは、もうすぐ開催される。昨年は2 日間に渡って単独開催されたが、今年は3日(土)にD1 グランプリの最終戦が併催される。
「FIA IDCの認知度はまだそれほど高くないという認 識です。そのため今回は、長年やってきたD1グランプ リを併催することで、観客の皆さんにFIA IDCの面白
さや凄さを知ってもらいたいと考えています。
そして、FIA IDCは各国からの出場枠もあるので、 日本人ドライバーは4名しか参加していません。そのた め、国内のドリフト選手にも、FIA IDCに対する認知
度を上げてもらいたいという思いもあります。
昨年はパイロットイベントということで、安全を最優 先して、速度を控え目にしました。今年はFIAからの
FIA IDC2018予定コース
※コースは変更になる場合があります
D1グランプリ第8戦予定コース
第2回は昨年からコースレイアウトが一変しているのが 大きな特徴。併催されるD1グランプリ最終戦で昨年のFIA IDCのコースを使い、より高速でコーナー数も多いレイアウ トをFIA IDCで採用する予定だ。参加を表明しているのは 16か国31名の選手。遠くは中東や南アフリカの国名も。日 本人は昨年参加した川畑真人選手と横井昌志選手、藤野秀 之選手に加え、末永直登選手の名前もある。
FIA Intercontinental Drifting Cup 2018
■日程: 2018年11月2日(金)〜4日(日) ※一般公開は11月3〜4日 ■場所:台場特設コース (東京都江東区青海NOP地区) ■主催:FISCO-C、(株)サンプロス
■イベントスケジュール(予定):
2日(金) FIA Intercontinental Drifting CUP [練習走行]
2018 D1グランプリシリーズ第8戦 [練習走行]
3日(土) FIA Intercontinental Drifting CUP [予選又は練習走行]
2018 D1グランプリシリーズ第8戦 [決勝]
4日(日) FIA Intercontinental Drifting CUP [決勝]
■公式サイト:http://fiadriftingcup.com/




希望もあって、安全を担保しながらハイスピードな設 定を予定しています。滅多に見られない各国代表の迫 力ある走りを、十分に堪能してもらえると思います」。 東京・台場特設会場で開催されるFIA IDC。当日の スケジュールは、2日(金)はD1グランプリとFIA IDC のプラクティスが行われ、3日(土)にはD1グランプリ 最終戦を開催予定。4日(日)はメインイベントとして FIA IDCが行われることになっている。今年の第2回 大会では、「SOLO RUN」と「BATTLE RUN」が、1日間 で行われることになりそうだ。
齋田氏は、FIA IDCが『日本製』ではなく『無国籍』でい いと語る。そして、FIA IDCは『世界に通用するドリフ ト競技の開発の場』であるとも語った。
あらゆる試行錯誤が続けられていくFIA IDCは、世 界に対してどのように広がっていくのだろうか? 今 年11月、新しい歴史の観戦者になるのも悪くない!

今年も舞台はお台場特設会場 そして、D1GP最終戦と併催!










った2回のアタックにより、一 筆書きした90秒程度のコース でベストタイムを奪い合う……。
ジムカーナは、何もない広場やサーキッ トに複数のパイロンを配してコースを作り 上げ、基本的には毎回挑むたびに新しいコ ースを走る、一期一会のスポーツだ。
その最高峰として現在は年間10戦の全日 本ジムカーナ選手権が開催されており、毎 戦多くの選手たちが全日本タイトル獲得を 目指して、しのぎを削っている。
今回は全日本ジムカーナに参戦するベテ ラン&中堅ドライバーに、ジムカーナにの めり込んでいる理由を徹底リサーチ。
そこからは、彼らの真摯な取り組みぶり と、ジムカーナが持つ深遠で長大な独特の 競技性が、浮き彫りになった。
考え方のロジックは 仕事や生活に活きる
RX-8とRX-7で2度のタイトルを獲得 し、2016年にはBRZでPN3チャンピオン に輝いたRWDマイスター・川北忠選手。



今季は第2戦タマダの1勝に留まり、ユウ 選手の独走を許す苦しい1年を送った。
「ジムカーナはサーキット走行と違って、 攻略の仕方が毎回変わるんです。
新しいパズルが次々と出題される感じで、 その場で考えて、セッティングや走らせ方 を自分で組み立てないといけない。
その論理をちゃんと組み立てられて、そ れを実践して正解を導き出す作業は、自分 を成長させるというか、普段の仕事や生活 の中における『考え方のロジック』を形成し てくれていると思ってるんですよ。
そういう意味で、自分の鍛錬の場として、 必要な場所なんですよね。山野哲也選手も 『運転がうまくなる』って言いますけど、もち ろんそういう要素もあります。
そう思い始めたのは全日本に出始めてか らですね。それまでは初心者にありがちな、 勢いだけで頑張って走ってましたが、全日 本に出たら全く通用しませんでした。
それで、どうしたらいいのかを思案する 内に、今までの考え方ではダメだと思った んです。その後はいろいろ試行錯誤して、 クルマの作り方や運転の仕方などに改善を 重ねて、少しずつ実力を付けていきました。
その“過程”が役に立つのかなと思います。
それが分かってきたのはタイトル争いを し始めた頃ですかね。1回や2回勝ったぐら
いではまだボンヤリしてて、そこから積み 上げて、やっとタイトル争いができるよう になった辺りで自分の土台が固まってきま したね。そうなると、ジムカーナの面白さ の度合いが、かなり変わって来るんですよ。
そこに行く前に行き詰まってやめてしま う方も多いと思うんですが、そこに気付く と『まだまだ先がある』っていう感覚が芽生 えてくる。これだけ長くやってきても、未 だに新しい発見がありますからね」。
勝利した時の喜びと 分かちあえる“仲間”
そして、昨年からアバルト124スパイダ ーに乗り換えて、PN2のタイトル争いに復 活してきた2005年のN2チャンピオン松本
敏選手。第4戦名阪では124スパイダーで の初勝利を挙げてみせたが、山野哲也選手 を追い詰めるまでにはいかなかった。

「勝ったときの喜びと、勝つまでのプロセ スですね。勝利は色々な協力の上に成り立 っているので、みんなで成し遂げたときの 喜びは、鳥肌が立つほど気持ちいいんです。
もう一つは、全日本選手権を追う活動を 通じて、全国に様々な知り合いができるこ
と。勝負のときはライバルだけど、それが 終わるといろんな話ができたり、遊んだり
できる、という部分も魅力的ですね。 これらは日常生活ではなかなか得られな いもので、真剣にやってるからこそ分かり 合えるという感覚……。これは当事者にし か分からないかもしれませんが、この二つ の快感が刺激的すぎるんですよ。
この活動はスポンサーや家族などの支え によって成り立ってますし、三日間とか四 日間、時間を費やすことは、何かを犠牲に する部分ってあると思うんですよ。
でも、それを犠牲にしない努力を、ここ に来ている人たちはしてると思うんです。 自分のワガママを通して好き勝手やって いたら長くはできない。そういう要素を調 和させる自分の努力も必要ですよね。 仕事との折り合いとか、他の人付き合い とかを上手にやり繰りするのは、凄くアタ マを使うと思うんです。ジムカーナを続け ることは、自分の頭の新陳代謝を良くして くれるのかな、というのもありますね。 日常生活を含めた、自分自身の向上心み たいなものは、ジムカーナに出ることによ って磨かれていると思っています。 太く短く成績を出して終わるのも一つの 方法ですけど、長く続けることで得られる こともある。全日本を引退しても、近くに 来たから飲みに行こうよとか、声を掛けら
「自分の鍛錬の場所として 必要な場所なんです」
PN3 川北 忠選手 オートバックスDL BRZ
れる仲間が全国に作れたら、この趣味をや ってきた中での勝ち組だなと思ってます」。
自分が持てる環境で 腕を落とさず上げる
続いては、昨年までは主力車種として PN2を席巻したFD2シビックを駆り、自身 もタイトル争いを演じた松本悟選手。
今季は124スパイダーに押されて優勝争 いには絡めていない状況だが、FD2シビッ クでPN2に参戦を続け、第7戦SUGO西 では3位表彰台を得て存在感を示した。 「自分はあくまで趣味、というスタンスで ジムカーナをやっていますが、勝負はもち ろんしたいんです。そのほうが楽しいし、





モチベーションも高まる。でも、それだけ では超えられないこともあるので、そこは5 歩ぐらい引いて、運転が上達するために、 今の自分には何ができるかを考えた結果が、 PN2にスポット参戦している理由です。
現在自分が持てる環境を使いながら、運 転が上手くなるための手段は、全日本じゃ なくてもいいとは思うんです。練習会でい
いじゃないか、という考え方もありますが、 自分の場合は『本番』での比較じゃないと正 確には分からないと考えています。 それは、もちろん皆さんが『本番に合わせ
アバルト124スパイダーに乗り換えて今季は久々に優勝した松本敏選手。PN2で来年のリベンジを誓う。
PN2 松本 敏選手 itzz☆DL☆RSK 124
ている』からで、練習はあくまで練習。全日 本に出ると、自分の立ち位置とか体制とか、 その差が1秒なのか、コンマ5秒なのか、
または自分がシリーズ争いができるのか、 といったことが明確になるんです。
ここ数年は、クルマは同じですが、何か を一つずつ変化させるようにしています。 現在はタイヤメーカーを換えていますが、 他人の評価も聞こえて来ますけど、自分で 試して分かる方が理解が深まるんですよ。
もちろん、ずっとこのままでいるつもりは ないんですけど、機が熟して、いざ全力投 球しようと思ったときのために、自分のレ ベルをせめてキープするか、上げておく必 要がある。10年ジムカーナを続けたら、そ の時点での感覚は鋭いと思うんですけど、 仮に10年休むと、感覚的にも技術的にも、 半分以下になってしまうと考えてます。
2015年は全日本と関東地区戦の両方を追う精力的な活動を見せた松本悟選手。今季はPN2にスポット参戦している。
PN2 松本 悟選手 ITO μ COBRAシビック
運転もスポーツだと捉えているので、落 とさないための関わり方や、クルマを換え なくても、何かを変化させることで、落と さないなりに向上させられる部分があるん じゃないかと。そのために最低限の投資を している状況なんですよ、今は。
それが、選手権とかスポンサーとか『結 果』を求められる場所に身を置くと、結果が 出せないイコール価値がない、シリーズ順 位を落とすことは悪である、みたいな感じ になりますよね。モータースポーツだから、 元々そういうものなんですけれど。
「ジムカーナは代わりのない
“超真剣な遊び”」
「本番での比較じゃないと 正確にはわからない」
そうすると『自分の腕を磨こう』的なもの がどんどん薄くなります。なので、一歩だ けじゃなくて、5歩ぐらい引いて、あまり結 果にはこだわらないでおく。あくまで趣味、 というスタンスはそこにあるんです。
技量を上げる楽しみを得るのは全日本じ ゃなくてもいいんですが、自分の場合は、 全日本じゃないと自分の結果がどこにいる のかを刈り取れない。それを刈り取るため にエントリー費を払ったり、タイヤ代を払 ったりしているのが現状なんですよね」。
クルマを良くして 自分の精度も高める
4年連続のタイトル獲得を目指して、今 シーズンは終盤戦まで4名によるチャンピ オン争いを展開したSA2の朝山崇選手。
常に革新を求めるチーム体制の下、毎戦、 新たな領域に挑む戦いを続けている。
「ジムカーナは良くも悪くも終わりがない。 全日本タイトルを何回獲っても、やった分 だけ新しく理解できることがあるんです。
例えばタイヤは、2~3年おきに進化しま すので、それに自分を合わせていくんです が、リセットまではいかなくても、大きく変 わることもあります。それを、うまく使いこ なして、その上で、今度はさらに自分の運 転の精度を高めていく、というトライアル
ウチのチームは『変化を恐れず攻めていこ う』という方針なんで、大会前にミーティン グして、現場でセッティングして、それを
克服していい兆しが見えたクルマに対して、 今度は自分が運転の精度を上げていく。そ れが成功したら、さらなる高みを目指して、 また探求が始まる、という戦い方です。
CR-XやEK9
シビック、DC2インテグラなどが、長年愛用されてきている。
全日本ジムカーナSA1では、現在もそれらが主力車種として 活躍しており、そこが大きな魅力と語る選手も多い。
大学の自動車部でジムカーナと出会い、“艶々”に磨いた CR-XでSA1を戦う、若手の小武拓矢選手もその一人だ。






「元々CR-Xが大好きで、CR-Xが活躍できる場がジムカーナ だったということで自動車部に入ったのがキッカケです。


社会人になってクルマをしっかり作れるようになったので、よ うやく地区戦などを追えるようになりました。
自分が好きなクルマが活躍できる場で、脚光を浴びる活躍が できることはものすごく張り合いがありますよね」とは小武選手。 そして、EK9シビックを駆る、もはやベテランのSA1志村雅紀 選手。SA車両のシビック歴は10年超の志村選手はこう語る。 「このクルマの味を覚えちゃうと、他のクルマに乗っても面白く ないんです。この年代のクルマは、電子制御もないし、操ってる 感じがすごく高い。ナンバーを切って、改造車に行っちゃう人も そういう心境なんじゃないですかね。
いつまで乗ってるの? ってよく言われますけど、走る道具と して純粋に楽しいと思ってるので、別に偏愛しているわけじゃな いんです。欲しい方には、いつでも売却しますよ(笑)」。
全日本で栄華を極めた名車はノウハウも豊富だ。楽しいクル マで楽しく走る。確かに、それもモータースポーツの真髄だ。
の繰り返しなんですよ。
そこそこパワーもあり、容易にターンに持ち込めるジムカーナ 向きな“名車”として、GA2シティを始め、EF8
「成長するっていうのは すごく嬉しいこと」
SA2 朝山 崇選手 DL BPF RSKインテグラK1
昔はできたことが、老化でできなくなる こともありますけど(笑)。それも、違う技 術や感覚を身に付けると克服できたりする んです。その過程は苦しいんですが、「なん か乗り越えたな~」って克服したときの感覚 は、やっぱり嬉しいんですよね。
家には小さい子供がいるんですが、自分 の子供を見ていて思うのは、成長するって いうのは、周りの人にとって、すごく嬉し いことなんですよ。もちろん本人も嬉しい。
年齢を重ねると、仕事や日常生活におい て、そういうことを感じられる機会って少 なくなりますよね。でも、ジムカーナには あるんです。そして、いざ止めたときに、 その代わりが思い付かないんですよ。
恐らくジムカーナを走り続ける限り、チ ームの方針とかがなくなっても、もっと身 近な狭い領域での試行錯誤が、ひたすら湧 き出て出てくるんだと思います(笑)。
ジムカーナは他の勝負事に比べて、結果 が明確なのもいいですよね。1本ずつの走行 にギュッと凝縮されているので。団体競技 や対戦する競技に比べると、自分のやった
ことがダイレクトに返って来ますから。
自分としては、好きで始めたジムカーナ なので、金銭的、体力的に可能な限りは、 ランクを落としてでも続けていきたい。
このクルマはジムカーナのノウハウも多 くはないので、色々とシンドイんですけど、 そういう『成長養成ギブス』を選んだのは自 分なので、まだまだイケると考えてます。
それなりに乗れるようになってきました けど、SA3の小俣洋平選手や西森顕選手に は届いていないので、まだ自分のNSX時代 の走りにも届いていないんでしょうね。
とはいえ手応えはあります。ドライビン
グやセッティングは、色々な方々の助けや 支えでかなり理解を深められましたしね。
昨年のシーズンオフにメゲそうになりま したが、周りの支えがあって前向きな思い に切り替えられました。少しずつでも、一 つずつでも成果が挙げられれば、『次はもっ と!』となりますし、やっぱりこの難しいク ルマで勝ちたいんです。まだまだ可能性は たくさんあると思って活動してます」。
山野哲也選手をも苦労させたエキシージSを駆り、SA3で孤軍奮闘する久保真吾選手。着実に順位を上げている。
恐らく、いかにお金を掛けずにチャンピ
恐らく、いかにお金を掛けずにチャンピ オンを獲るかとか、そういうテーマを設け て、面白い挑戦を続けていくと思います」。
そして、山野哲也選手が全日本ジムカー ナPN4に持ち込んだエキシージSを譲り受 け、かなり難しいマシンでSA3に参戦する 2016年SA2チャンピオン久保真吾選手。
第4戦名阪での3位表彰台獲得を契機に、 後半戦では入賞を続けてきた。
「クルマの運転が好きでジムカーナを始めた ので、もっとうまくなりたい、もっと速くなり たいっていう思いが原点です。何より、カッ コイイじゃないですか、速く走れるのって。
もう一つは、仕事で自動車の企画や開発 にも携わっているので、モータースポーツ でクルマのことをよく知り、良い企画や開 発に繋げたいという思いもあります。
2016年にNSXでチャンピオンを獲って ひと区切りが付きましたが、違うクルマで 新たな挑戦をすることで、自分の技術も速 さも磨かれると思って再スタートしました。
SA3 久保真吾選手 DLエリアS阪神EXIGE・C

モータースポーツは 育った環境が大事
最後は、今季は2勝を挙げたものの津川 信次選手のSA4タイトル連覇を止められな かったベテラン菱井将文選手。TOYOTA
GAZOO Racing 86/BRZレースのクラブ マンクラスにも2016年から参戦して二足 のワラジを履いているが、ジムカーナ出身 ということで、サーキットのドライビング について、色々と思うことがあるという。
「86/BRZレースの予選は、2周しようと思 えばできるけど、クラブマンでも一発勝負 やから、予選一発の集中力みたいな部分は ジムカーナ経験がすごく活きたな。


というか、レース、特にナンバー付きの ワンメイクレースはレコードラインを忠実
に走るだけ。ラインを探したり、そのライ ンをどう確保するかというのはあるけど、 クルマの運転自体は、ジムカーナで培った ものを持って行ったことの方が多いな。
一番感じるのはブレーキの使い方の違い。 富士スピードウェイの1コーナーは、86/ BRZだとリミッターを効かせて入っていく んだけど、みんなブレーキが早い(笑)。
ジムカーナドライバーはブレーキのオン オフがハッキリしているし、ブレーキを使 いこなせなかったら致命的だからね。
レースの選手は『看板』を目安にブレーキ ングしてるけど、まだイケるんちゃう? っ て思うことが多い。恐らく、目視で距離感 をつかむ練習をあまりしてないんだろうね。
スポーツランドSUGOの最終コーナーで も同じことを感じる。今年のレースでも、
運転の技術も速さも もっと上げられる!
「成長養成ギブスを選んで もっとうまく、もっと速く」
ナンバー付きレースと二足のワラジを履くSA4の菱井将文選手。ジムカーナ活動は苦しい戦いとなった。
「スキル向上のために ジムカーナはやめられん」
SA4 菱井将文選手 BSレイズ・クスコランサー
あそこだけで10台くらい抜いたから(笑)。
自分はSUGOの最終コーナーでもブレ ーキを使うんだけど、彼らはエンジンブレ ーキで入ってくる。その理由はフットブレ ーキで起きるクルマの挙動を嫌ってるみた いで、エンブレを長く効かせて 入るんだよね。
彼らがエンブレで突っ込ん でいく間に、こっちは後方から ブレーキを踏んでコーナーに入 っていく。そうすると、インが スッと空く。恐らく彼らはアク セルを開けられないでいるんだ けど、こっちはちゃんとブレー キングしてるから加速に入れる んだ。
彼らの話では、SUGOの最 終コーナーでブレーキを踏むな んて遅い、ってことになってる みたいだけど、ブレーキを使っ てるヤツに抜かれたら元も子も ない。そういう点でも、育った 環境って大事やなと思う。
レースの駆け引きみたいなの は、ジムカーナではまったく学
んでなかったから、同じクルマが何台も走 る中で、最初はどこに抜ける隙があるのか が分からなかった。
昨年の後半ぐらいからは『ワンメイクレー スってこう戦うんやな』ってことが分かって
きたので、楽しいことは楽しいよ。 サーキットは直線があるから、一回集中 力が途絶えるのに抵抗はある。セクターや コーナーの一部だけ集中して、あとはやめ て、みたいな。このレースは短いから言え るんやけど、ジムカーナドライバーにとっ て、休憩時間はないほうがいい(笑)。
ワンメイクだと、ストレートでも抜くにも 抜けないし、抜かれもしない。自分か相手 の失敗待ちみたいな状態が続いちゃう。 レースカテゴリーが変われば、印象も全 く変わるんやろうけど、86/BRZレースにい る限りは、ジムカーナの方が楽しいな。 ジムカーナを知らなければ、86/BRZレー スはむちゃくちゃ楽しいと思う。でも、ドラ イバーのスキル向上とかを考えたら、やっ ぱり、ジムカーナはやめられんな」。
レーシングドライバーでもあるPN2の山 野哲也選手も、レースの常識にとらわれな い走りを披露して話題になったこともある だけに、走りの柔軟さを培う場としてもジ ムカーナは有効だと言えよう。



ドライビングへの飽くなき探求。ジムカ ーナにこだわる理由には、こんな言葉がよ く似合う。短い時間の中で最適解を探る、 臨機応変な対応力が求められるジムカーナ の競技性は、ドライバーのテクニックだけ でなく、人間力をも成長させる。 超絶技巧を繰り出すジムカーナ。ドライ バーズシートでは、飽くなき探究に挑む、 深遠なるトライアルが続けられているのだ。
あらゆる思いが詰まったそれぞれのジムカーナ。日本の頂点 を争う全日本選手権は、来年も年間10戦で争われる。
11月1日から

更新が始まります
●ライセンスが発給されるまで ~ライセンス作製の流れ~
申 請 者
モータースポーツライセンス(以下「ライセンス」と言い ます。)の更新手続きは、11月1日(木)から受付を開始 します。
新しい年のモータースポーツ活動へ向けて、余裕を 持って更新手続きを行ってください。
①申請
②仮ライセンス 発 給
③ 写真入り ライセンス を送付
JAF窓口 JAF本部




※②発給日から60日間有効 ※①から③までは約1ヵ月ほどかかります。更新のピーク時には これ以上日数がかかる場合がありますのでご了承ください。
なお、JAF窓口にご来店の際の受付時間は9:00〜 17:30です。土・日・祝日・年末年始(12月29日(土)〜 1月6日(日))は休業となります。
ライセンス申請書は本誌に綴込んであります。追 加で必要な場合は、JAFホームページよりダウン ロード可能です。
更新手続きは、JAFマイページや、





JAF各支部で行う事ができます。
詳しい手続き方法は、33ページの「四輪ライセンスの更新」、
35ページの「カートライセンスの更新」をご覧ください。
●国際Aまたは国際Bライセンスの更新
●18歳未満の方のライセンス更新
●ライセンス写真の変更や婚姻等の理由によりライセンス の表示氏名の変更を希望される場合 など…
詳しくはお近くのJAFへお問い合わせください。(http://www.jaf.or.jp/)



予 告 2019年ライセンス更新された皆様に、 オリジナルステッカーをプレゼント
※2019年写真入りライセンス発送時に同封させていただく予定です。 数に限りがございますので、予めご了承ください。
※下記のような場合は「マイページ」からの 更新はできませんのでご注意ください。
四輪ライセンスの更新
●四輪ライセンス取得資格
競技許可証および公認審判員許可証は「JAFスポーツ資格登録規定」および「自動車競技に関する申請・登録等手数料規定」に基づき 発給されます。詳細は当該規定をご参照ください。
●更新に必要なもの
1. ライセンス申請書 本誌に綴込んであるライセンス交付申請書を使用してください。
2. 顔写真(1枚)
参加者許可証のみの申請の 場合は不要
18歳未満の方は不要
縦4cm×横3cm、無帽、無背景、上半身のもので、申請前6ヵ月以内に撮影した鮮明な写真を申請書の所定位置 に貼付してください。(お手持ちのライセンスに使用した写真と同じでよろしければ、写真は不要です。) ・必ず指定のサイズの写真を貼付してください。サイズが異なる場合、使用できないことがあります。
・デジタルカメラの画像を使用する場合は、必ず写真専用用紙に印刷してください。
ライセンス更新に際しては、JAF個人会員が有効期限内であることが必要条件ですので、JAF個人会員の有効期限が 切れているとライセンスの更新手続きが行えません。ご本人のJAF個人会員の有効期限をご確認くださいますようお 願いします。万一、JAF個人会員の有効期限が切れている場合には、速やかに継続手続きを行ってください。継続手 続きの方法等については、お近くのJAFへお問い合わせください。
4. ライセンス許可証料 下記の表の通りです。
上級更新(参加者は除く)、または国際A、Bライセンスを更新する場合、実績を確認するために必要です。
(国内A、国内B、国際R、国際C、公認審判員、参加者の更新申請の場合は不要)
●JAFマイページによるライセンス更新
JAFマイページにご登録いただければ、インターネットでライセンス更新ができます。 お手続き方法については、本誌37ページをご覧ください。なお、お支払い方法はご本人名義のクレジットカードのみとなります。
●四輪ライセンス許可証料(カートライセンスの料金は、35ページをご覧ください。)
〈許可証料の計算方法〉
*公認審判員許可証を2種目以上併有する場合は、最上級の許可証 料に、2種目めより1種目につき500円ずつ加算されます。 (例)コースA1級と計時A2級の場合:5,100円+500円=5,600円 併有する許可証が同じ級(例:技術A1級とコースB1級等)の場 合でも計算方法は同様です 。
*競技運転者、公認審判員、競技参加者を併有している場合には、 それぞれ左記の許可証料が必要です。
※競技会の出場実績を確認する必要がある種類のライセンス、および18歳未満の方のライセンスについては、インターネットでの更新手続きは 行っておりません。また、上級や推薦を伴う申請についても、お手数ですが、窓口へご来店いただくか現金書留による郵送にてお手続きくださ いますようお願いいたします。
●四輪ライセンスの交付申請書(更新)の記入について
申請書の枠内に正確かつ明瞭にご記入いただき、記入漏れのないようご注意ください。(未記入項目や、判読できない文字があると、 ライセンスが発給できない場合があります。)次ページに記入例を掲載していますので、ご参照ください。
項目 注意事項等
会員No.
登録クラブ・団体の 所属証明欄
申請者氏名
申請者本人の会員(ライセンス)番号を記入。
自分の所属しているJAF登録クラブ(または団体)(複数所属している場合は、その主たるクラブ1ヵ所)の名称、 略称を記入し、当該クラブ(または団体)の登録印を捺印。本証明欄については、2018年の登録印は、2019年3 月までの申請に使用できます。JAF登録クラブ(または団体)に所属していない場合は不要。
氏名とその上段にカタカナでフリガナを記入。
連絡先電話番号 ※ 平日昼間、連絡がとれる電話番号を記入。
郵便番号 ※ 現住所の郵便番号(7桁)を記入。
現住所 ※ 都道府県名を必ず記入し、その上段にカタカナでフリガナも記入。マンション・アパート・寮名・部屋番号等も必ず記入。
写真の変更 ※ ライセンスに使用する写真を変更する場合「する」を○で囲み、本申請書に写真を貼付してください。
自動車運転免許証 ※
ライセンス表記名
参加者の代表者名
運転免許証番号を記入。
国際・国内参加者はカタカナまたはローマ字(国際は必ずローマ字)で記入。国際競技運転者はローマ字、国内競 技運転者でローマ字表記希望の場合も記入。
国際・国内参加者はカタカナまたはローマ字(国際は必ずローマ字)で記入。
種類およびクラス 申請書の該当するクラスおよび種類に○。(次ページの記入例は国内A、コースB3級、計時A1級、技術A2級を同時に 年度更新する場合のもの。)*国際ドラッグレースライセンスは国内A以上のライセンスと併有することが条件。
写真貼付欄 氏名、ライセンス番号、申請種別も、忘れずに記入。
写真
縦4cm×横3cm、無帽 無背景 上半身のものを1枚。申請前6ヵ月以内に撮影のこと。ライセンス申請書の下 段にある所定の位置に貼付。(前年のライセンスに使用した写真を再使用する場合は、写真の貼付は不要です。) その他 競技運転者と公認審判員の両方を申請する場合でも申請書は1枚で可。 ご記入内容を訂正する場合は、取消線を引き訂正部を押印(またはサイン)の上、書き直しをしてください。 ※の箇所は更新申請の場合、変更がなければ記入不要です。
3. JAF個人会員 5. 出場記録カード または役務記録カード四輪クラブ・団体の更新
2019年のJAF登録クラブ・団体の更新手続きが2018年12月3日から始まりますので、下記の通りご案内いたします。 ●取扱期間 2018年12月3日(月)~2019年4月1日(月) ※3月31日が日曜日の為
注:更新時に格式変更(降格、昇格)を申請する場合は、年度登録申請 料のほかに別途加盟申請料が必要です。
旧(2018年)登録印
JAF各支部 受付時間:土日祝日と年末年始
(12月29日(土)~1月6日(日))を除く 9:00~17:30
:所属会員のうち7名以上が国内競技運 転者許可証B以上もしくは公認審判員許可証B3級 以上の所持者であること。(1人で両方を所持してい る者は、どちらか一方の許可証でのみ、所属クラブの 会員としてJAFに届け出ることができる。) またクラブ代表者は国内競技運転者許可証B以上もし くは公認審判員許可証B3級以上の所持者であること。 :所属会員のうち15名以上が国内競技運 転者許可証B以上もしくは公認審判員許可証B3級 以上の所持者であること。(1人で両方を所持してい る者は、どちらか一方の許可証でのみ、所属クラブの 会員としてJAFに届け出ることができる。)またクラブ代 表者は国内競技運転者許可証B以上もしくは公認審 判員許可証B3級以上の所持者であること。
所属クラブの会員のうち50名以上がJAFの国内 競技運転者許可証B以上または公認審判員許可 証B3級以上の所持者で、そのうち40名以上は、 JAFの国内競技運転者許可証A以上もしくは公認 審判員許可証A2級またはA1級の所持者であるこ と。(1人で両方を所持している者は、どちらか一方 の許可証でのみ、所属クラブの会員としてJAFに 届け出ることができる。)
またクラブ代表者は国内競技運転者許可証A以上 もしくは公認審判員許可証A2またはA1級の所持 前年度(2018年1月~12月)、①準国内格式以 上の公認競技会の単独主催、②全日本レース選手 権競技会もしくは国際格式の公認競技会の主催 (注)の中から、合計2回開催の実績があること。 (注:当該クラブを含む3つ以内の登録クラブ・団体 が共催した公認競技会に限り、実績として認める。) :責任者はJAF個人会員であること。
:国内競技運転者許可証B以上または公認 審判員許可証2級以上の所持者が1名所属している こと。また責任者はJAF個人会員であること。 :前年度(2018年1月~12月)、準国内格 式以上の公認競技会を1回以上主催していること。 また国内競技運転者許可証A以上または公認審判員 許可証Aの所持者が1名所属しており、責任者は JAF個人会員であること。

カートライセンスの更新
●カートライセンス取得資格
カートドライバーライセンスおよびカートオフィシャルライセンスは「カートライセンス発給規定」および「カート競技に関する申 請・登録等手数料規定」に基づき発給されます。詳細は当該規定をご参照ください。
●更新に必要なもの
1. ライセンス申請書
2. 顔写真(1枚)
エントラントのみの申請の 場合は不要
本誌に綴込んである、ライセンス交付申請書を使用してください。
縦4cm×横3cm、無帽、無背景、上半身のもので、申請前6ヵ月以内に撮影した鮮明な写真を申請書の所定位置 に貼付してください。(お手持ちのライセンスに使用した写真と同じでよろしければ、写真は不要です。)
・必ず指定のサイズの写真を貼付してください。サイズが異なる場合、使用できないことがあります。
・デジタルカメラの画像を使用する場合は、必ず写真専用用紙に出力してください。
ライセンス更新に際しては、JAF個人会員が有効期間内であることが必要条件ですので、JAF個人会員の有効期限 が切れているとライセンスの更新手続きが行えません。ご本人のJAF個人会員の有効期限をご確認くださいます ようお願いします。万一、JAF個人会員の有効期限が切れている場合には、速やかに継続手続を行ってください。 継続手続の方法等については、お近くのJAFへお問い合わせください。
4. ライセンス許可証料 下記の表の通りです。
5. 出場記録カード
または役務記録カード
上級更新または国際A、Bライセンスを更新する場合、実績を確認するために必要です。
(エントラントは不要)
※【ご注意】JAF登録カートクラブがエントラントライセンスの申請をする場合の取り扱い方法については、36ページの「カートクラ ブ・団体の更新」の●クラブ代表者のエントラントライセンス申請方法をご確認ください。
●カートライセンス許可証料(四輪ライセンスの料金は、33ページをご覧ください。)
〈許可証料の計算方法〉
*オフィシャルライセンスを併有する場合は、1種目につき500 円ずつ加算されます。
(例)コース1級と計時2級の場合:5,800円+500円=6,300円 併有する許可証が同じ級(例:技術1級とコース1級)の場合で も計算方法は同様です。
*ドライバー、オフィシャル、エントラントライセンスを併有し ている場合には、それぞれ左記の許可証料が必要です。
●カートライセンスの交付申請書(更新)の記入について 申請書の枠内に正確かつ明瞭にご記入いただき、記入漏れのないようご注意ください。(未記入項目や、判読できない文字があると、 ライセンスが発給できない場合があります。)次ページに記入例を掲載していますので、ご参照ください。
項目
会員No.
登録クラブ・団体の 所属証明欄
申請者氏名
注意事項等
申請者本人の会員(ライセンス)番号を記入。
自分の所属しているJAF登録クラブ(または団体)(複数所属している場合は、その主たるクラブ1ヵ所)の名称、 略称を記入し、当該クラブ(または団体)の登録印を捺印。本証明欄については、2018年の登録印は、2019年3 月までの申請に使用できます。JAF登録クラブ(または団体)に所属していない場合は不要。
氏名とその上段にカタカナでフリガナを記入。
連絡先電話番号 ※ 平日昼間、連絡がとれる電話番号を記入。
郵便番号 ※ 現住所の郵便番号(7桁)を記入。
現住所 ※ 都道府県名を必ず記入し、その上段にカタカナでフリガナも記入。マンション・アパート・寮名・部屋番号等も必ず記入。
写真の変更 ※
ライセンス表記名
エントラントの代表者名
種類およびクラス
写真貼付欄
ライセンスに使用する写真を変更する場合「する」を○で囲み、本申請書に写真を貼付してください。
国際・国内エントラントはカタカナまたはローマ字(国際は必ずローマ字)で記入。国際ドライバーはローマ字、国 内ドライバーでローマ字表記希望の場合も記入。
国際・国内エントラントはカタカナまたはローマ字(国際は必ずローマ字)で記入。
申請書の該当するクラスおよび種類に○。(次ページの記入例は国内A、コース3級、計時1級、技術2級を同時 に年度更新する場合のもの。)
氏名、ライセンス番号、申請種別も、忘れずに記入。
縦4cm×横3cm、無帽 無背景 上半身のものを1枚。申請前6ヵ月以内に撮影のこと。ライセンス申請書の下 段にある所定の位置に貼付。(前年のライセンスに使用した写真を再使用する場合は、写真の貼付は不要です。) その他 ドライバーライセンスとオフィシャルライセンスの両方を申請する場合でも申請書は1枚で可。 ご記入内容を訂正する場合は、取消線を引き訂正部を押印(またはサイン)の上、書き直しをしてください。 ※の箇所は更新申請の場合、変更がなければ記入不要です。
写真
3. JAF 個人会員 18歳未満の方は不要カートクラブ・団体の更新
2019年のJAF登録クラブ・団体の更新手続きが2018年12月3日から始まりますので、下記の通りご案内いたします。 ●取扱期間 2018年12月3日(月)~2019年4月1日(月) ※3月31日が日曜日の為 (上記申請期間を過ぎた場合は更新ができませんので、ご注意ください。)
料の他に別途加盟申請料が必要です。
旧(2018年)登録印
JAF各支部
受付時間:土日祝日と年末年始
(12月29日(土)~1月6日(日))を除く 9:00~17:30
●クラブ代表者のエントラントライセンス申請方法 準加盟・加盟・公認カートクラブは、無償で国内 エントラントライセンスの発給を受けることができ なお、本取扱いにつきましては、クラブ登録申請 と同時に所定のカートライセンス交付申請書の提出 を必要とし、発給するライセンス表記名はJAF登録 のクラブ名称に限ります。(新規申請の場合は、クラ ブ登録承認後に発給いたします。)
また、国際エントラントライセンスの取得を希望 する場合は、国内エントラントライセンスとの差額 の発給料を必要とします。
既にエントラントライセンスをJAF登録の クラブ名で取得されている場合、そのライ センス更新手続きにつきましては、必ずJAF 窓口で行ってください。
JAFマイページでお手続きいただくと、全 額有料となってしまいます。

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ライセンスの更新手続きは、下図のJAFマイページ内「モータースポーツライセンス」のページからア クセスしてください。仮ライセンスの印刷もできます(パソコンのみ)。
マイページでできる手続き等
① モータースポーツライセン ス の更新手続き
②JAF会員の継続手続き ③会員登録情報の確認
④住所・電話番号の変更
⑤ JAFマイページ登録会員 限 定の情報提供
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・ライセンス更新料、JAF継続会費および家族会員会費のお支払方法は、ご本人名義のクレジット カードのみとなります。
・クレジットカードをお持ちでない方は、お手数ですが従来の手続き方法にてライセンスを更新して ください。
・更新条件の確認が必要な国際Aまたは国際Bライセンスの更新、18歳未満の方のライセンス更新、 およびライセンス写真の変更または婚姻等の理由によりライセンスの表示氏名の変更を希望され る 場合は、従来の方法にてお手続きください。
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必ずお読みください
INFORMATION from JAF
2018年モータースポーツ公示(WEB)一覧(7~9月)
日付 公示No. タイトル
2018年07月09日 [公示No.2018-WEB016]
2017年度(2017年4月1日より2018年3月31日まで)事業報告ならびに収支報告
2018年07月24日 [公示No.2018-WEB017] 登録車両申請一覧
2018年07月25日 [公示No.2018-WEB018] モータースポーツ審査委員会裁定
2018年07月27日 [公示No.2018-WEB019]
2018年08月01日 [公示No.2018-WEB020]
2018年08月21日 [公示No.2018-WEB021]
2018年08月21日 [公示No.2018-WEB022]
2018年08月24日 [公示No.2018-WEB023]
2018年08月24日 [公示No.2018-WEB024]
2018年08月24日 [公示No.2018-WEB025]
2018年08月24日 [公示No.2018-WEB026]
2018年08月24日 [公示No.2018-WEB027]
2018年08月24日 [公示No.2018-WEB028]
2018 FIA GT Nations Cupへの参加者募集について
ラリー競技会における競技役員の服装および火気使用について
2019年国際スポーツカレンダー登録申請一覧
2019年全日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権カレンダー およびJAFカップオールジャパンジムカーナ/ダートトライアルカレンダー
JAFスポーツ資格登録規定の一部改正
2019年JAF国内競技車両規則の制定
2019年日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権規定の一部改正
2019年日本ラリー選手権規定の制定
2019年日本レース選手権規定の制定
ラリー競技開催規定の一部改正
2018年08月24日 [公示No.2018-WEB029] 車両公認申請一覧
2018年09月05日 [公示No.2018-WEB030] 登録車両申請一覧
2018年09月18日 [公示No.2018-WEB031]
2019年「JAFモータースポーツ専門部会」委員候補者の公募について
日付 公示No. タイトル
2018年08月10日 [公示No.2018-WEBK02]
2018年08月10日 [公示No.2018-WEBK03]
2018年08月24日 [公示No.2018-WEBK04]
2018年08月24日 [公示No.2018-WEBK05]
2018年09月21日 [公示No.2018-WEBK06]
FP-JrCadets用 JAF登録シャシーの新規登録について
2019年全日本カート選手権カレンダー登録申請に係る説明会の開催について
2019年国内カート競技車両規則の制定
2019年日本カート選手権規定の制定
2018年全日本/ジュニア選手権最上川大会競技結果・得点の取り扱いについて
上記公示(WEB)一覧の詳細は、JAF MOTOR SPORTSホームページ内の 「公示・お知らせ」で閲覧することができます。アクセスはこちら➡
2018年JAFモータースポーツ 表彰式のご案内
1 開催日:2018年11月30日(金)
2 時 間:16:00~20:00
3 場 所:セルリアンタワー東急ホテルボールルーム(東京都渋谷区) 4 表彰対象:(1)次の各部門の上位6位(チーム部門等は1位)
2018年全日本レース選手権
2018年全日本ラリー選手権
2018年全日本ジムカーナ選手権
2018年全日本ダートトライアル選手権
2018年全日本カート選手権
2018年FIA-F4選手権
(2)次の各部門の上位3位(チーム部門は1位)
2018年スーパーGT GT500/GT300
(3)次の各競技会の優勝者
2018年JAFカップオールジャパン ジムカーナ/ダートトライアル
※JAFから招待状をお送りした方のみご入場いただけます。 上記は変更となる場合もございます。詳細は招待状にてご確認ください。
2018年JAF地方選手権表彰式開催一覧表(開催日順)
地域
北海道本部 2018年12月1日(土) 18:00~
http://jaf-sports.jp
電車:東急東横線・田園都市線、京王井の頭線、JR山手線・埼京線、 東京メトロ銀座線・半蔵門線・副都心線、渋谷駅より徒歩5分 ◆羽田空港より:リムジンバスで約60分
◆東京駅より:JR山手線(外回り)で約25分
◆品川駅より:JR山手線(外回り)で約12分
◆首都高速:3号線下り高樹町出口より約10分、3号線上り渋谷出口より約5分
札幌コンベンションセンター(札幌市白石区)
https://www.sora-scc.jp/
東北本部 2018年12月16日(日) 13:00~
ホテルニュー水戸屋(仙台市太白区)
http://www.mitoya-group.co.jp/ 中部本部 2019年1月12日(土) 15:00~
鈴鹿サーキットホテル(鈴鹿市稲生町)
http://www.suzukacircuit.jp/hotel/ 四国本部 2019年1月13日(日) 14:00~
JRホテルクレメント高松(高松市浜ノ町)
https://www.jrclement.co.jp/takamatsu/ 関東本部 2019年1月20日(日) 14:00~
TKPガーデンシティ品川(東京都港区)
http://gc-shinagawa.net/ 九州本部 2019年1月20日(日) 未定 【暫定】ホテルクラウンパレス北九州(北九州市)
https://www.crownpalais.jp/kitakyushu/ 関西本部 2019年2月3日(日) 14:00~

ホテル阪急エキスポパーク(吹田市千里万博公園)
https://www.hankyu-hotel.com/hotel/hh/hhexpopark/ 中国本部 2019年2月10日(日) 未定

ホテルセンチュリー21広島(広島市南区)
http://www.century21.gr.jp/
公示<四輪>リア駆動、復権 !?















RWD マイスターに聞く“後輪駆動ダートラ” のススメ


















全日本ダートトライアル選手権で、現在、熱き注目を浴びている存在がある。 それは、かつてダートラの花形であった“リア駆動マシン”たちだ。 2019年からスタートする新規定が、埋もれた原石を磨くことになるのか!? 全日本を戦うリア駆動ドライバー達に、その印象と愛車に寄せる思いを聞いた。






フォト/中島正義、滝井宏之、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部

PN2 和泉泰至選手[ZN6 86] PN2 竹本幸広選手[ZN6 86] PN2 矢野淳一郎[ZN6 86]

北海道の和泉泰至選手はJAF北海道ダートラで10度の地方タイトルを持つベテラン。2015〜2016年には北海 道RWDクラスで連覇を達成している。広島の矢野淳一郎選手もJAF中国ダートラで7度のタイトルを獲得して いる熟練ドライバー。2015〜2017年には中国RWDクラス3連覇を果たしている。竹本幸広選手は、甲南大学自 動車部時代から学生大会で輝かしい成績を修めており、全日本ダートラ界では、次世代を担う期待の若手だ。
かつてダートラの花形と言えばリア駆動だっ たが、ターボ4駆の台頭により、主役の座 を奪われて数十年が経過している。そんな 現在、来年から採用される新規定により、リア駆動が再 び脚光を浴びる可能性が出てきているのだ。
近年の全日本ダートラは、PN2ではトヨタ86やスバル BRZが、SA1ではミッドシップのSW20 MR2、SC1で は、元D1GPドライバーの熊久保信重選手がS15シル ビアを持ち込み、それぞれ孤軍奮闘している。
FF車や4WDが多勢を占める全日本ダートラでは、 彼らが刻みつけるワダチとは“異なるライン”を走りたい リア駆動勢にとって、苦しい状況が続いている。


そんな中で、8月24日に公示された「2019年日本ジム カーナ/ダートトライアル選手権規定」によれば、全日 本ダートトライアル選手権のPN部門に「クラス3」が追 加され、これまでのPN2が「FF」専用となり、「FR」専用
の「PN3」が新設される。つまり、全日本ダートラにリア 駆動だけで競える選手権クラスが生まれたのだ。
この規定変更の印象とリア駆動へのこだわりを、現在 全日本ダートラPN2を戦う3名のドライバーに聞いた。 「PN3は望んでました。これからFRに乗ろうとする人 にとっては理想的なクラスですよね」と語るのは北海道の 86使い・和泉泰至選手。2014年から全日本ダートラ PN2にシリーズ参戦している。
最初は不安でした
「PN2ができた当初は、86とBRZのワンメイク状態で したよね。今までリア駆動に乗ったことがなくて自信はな かったんですが、これならみんなスタートは一緒なので、 腕の勝負になるかなと思って挑みました。 4駆はお金が掛かるし、FF車も色々乗り換えましたけ ど、後はかなり細かい所を突き詰めていくしかなくて、FF に乗るのはもういいかなと思ってたんです。



でも、86に乗り換えたら、ホントに一周できるようにな るのかな、と不安になりました(笑)。フロントが駆動しな いと、こんなにも操作が変わるのかという驚きの連続で、 最初は、本当に真っ直ぐすら走らせられなかったので、 こりゃ大変だと思いました。
その後はひたすら練習して、形になるまで半年ぐらい 掛かりましたね。冬のオフシーズンにはスパイクタイヤ を履いて走ったんですが、そのときに「これなら乗れるか も」という感触を得たんです。
でも、ダートラ場で走ると、コントロールがかなり難 しくなっちゃって悩みました。リアタイヤの横方向のグ リップに感触がなくなると、すごく難しくなるんですね。 スパイクではあんなに楽しかったのに。
FRの印象は、クルマが横に進む感覚が斬新でした。 ハンドルは沢山回さないといけないし、サイドブレーキも 使う。両手両足を駆使する感じで、操作量はこれまでの 倍。そういう感覚が新鮮でしたね。
一般的に、クルマに慣れて自在に操作できるようにな ると、高い速度でコーナーに入って行けますよね。FRで のタイムの出し方も同じだと思っているので、FFのときと 同じ車速で、自信を持って進入できるようになればもっ とタイムが出ると思ってます。
まだまだ突き詰めた走りができてないので、そういう
発展途上なところが楽しいですね。『技術的にやれること がまだあるんじゃないか?』という探求です。
これまで、FFや4駆では使わなかった技術や操作が必 要ですし、リアの繊細なスライドコントロールも必要で す。そういうことが、今までやってきたFFや4駆での ダートラとは一段階……、というか全く別なカテゴリーに 挑んでいるような新しい感覚がありますね。
現時点のPN2だと相手がFFなので、自分がどこまで 攻め込まないといけないのか、駆動方式的に限界なのか、 その辺りの判断については何とも言えない状況です。な ので、来年のPN3には期待してます」。
続いてはPN2でトヨタ86を駆る広島の矢野淳一郎選 手。矢野選手は2006年から全日本ダートラにSW20 MR2を持ち込み、2011年のJAFカップダートラでは初 優勝をもたらしたリア駆動の先駆者でもある。
マンネリが来ない
「以前から要望を伝えていたので、新しいクラスが実現 して嬉しいです。PN2でも、もう少し頑張れば勝利に届 く感じでしたが、新型スイフトが出てからは、まったく届 かない域になったので、正直諦めました。
以前はFFでもダートラをやってましたが、リア駆動が とっても楽しいので、可能な限り、ほぼ一生、リア駆動 でもいいかなと思ってますよ(笑)。
SW20 MR2を選んだのは、その可能性を確かめた かったから。パワーもあるしミッドシップだからトラク ションも掛かるし。操作は難しいですが、セッティング や乗り方次第では、FFより速いと思ってました。
ただ、後ろにエンジンがあるので、慣性がどうしても 残っちゃうんですよ。その分をトラクションとパワーでカ バーする、といった考え方で走ってました。
練習では、当時のライバルであるEK9シビックらと同 等のタイムが出てました。でも、本番ではなかなかタイ ムが残せない。それは、どこかで必ずミスっちゃうから です。常にギリギリの走りが要求されるから、スピンな どに陥りやすいんですよ。限界を超えない、中間ぐらい で走るのが難しいクルマでしたね。

FF時代は『ずっとアクセルを踏めること』を第一に走っ てましたので、MR2になっても、アクセルを踏み続ける にはどうしたらいいか? を考えてました。そしたら、全 コーナーをドリフトで走る感じになっちゃいました。ほぼ 全コーナーで踏んで曲げてました(笑)。
学生時代はハチロクでグラベルラリーやドリフトとか もしてたので、リア駆動に違和感はなかったです。
MR2は転倒をキッカケに降りて、トヨタ86に乗り換 えました。MR2はあんなに難しいクルマだったので、86 なら簡単に乗れるだろうと思ってました。
でも、簡単に乗れるセッティングだとタイムが出ない んですよ。タイムを出そうとすると難しい方向になってい く感覚がありますね。ざっくり言えば、アンダーステアに して、どれだけ踏めるかという感じです。
トラクションが掛かるようにセッティングして、なるべ く挙動は緩やか、かつ少なめで。姿勢は一定でカウン ターも少なめ。でも、アクセルはなるべく多く踏む、と いったコーナリングをイメージしてます。

それがなかなか上手くいかなくて、フルカウンターを 当ててしまうこともよくあります。理想は、ハンドルを 切って曲がるんじゃなくて、アクセルを踏んだまま、弱 カウンターぐらいで曲がっていく感じですね。
MR2に比べると、86はコントロールしやすいですよ。 MR2は、舵角を決めて弧を描くように一定に回るのはで きるんですけど、そこに複合的な要素が入ると、それを アクセルだけで合わせるのが難しい。もう一度サイドを 入れて姿勢を作り直したりするんですよ。それがFRな ら、割と自由自在にできますね。
86は、コーナーの旋回速度はMR2などとは比べ物に ならないくらい高いので、そこが勝負のポイントかなと 思ってます。86は、少々無理しても応えてくれますから、 秘めたポテンシャルは高いと思います。

86の限界は、自分らが走っているところより、もっと 上にあるけど、そこまで引き出すのが難しいという状況 です。それをちゃんと引き出せたら、FF勢と互角のタイム が出せるとは思ってます。でも、なかなかそれが本番で できないんですよね(笑)。
現在のテーマは、コースレイアウトと路面に合わせた 最速の走らせ方を短期間で見つけること。
我々はPN1の後に走るので、インベタで走るFFが刻 んだワダチがあって、その外側は砂利です。アウト側だ け散水することもよくありますよね。
そうなると我々にとっては、前輪は硬質路面で、後輪 はヌルヌルになるので、凄く走りにくいんです。FF勢は 『舗装』を走ってるのに、こっちは『氷上』みたいな(笑)。
の秘めた能力は まだまだ高い」
前後のグリップが一定だと操作しやすいので、4駆が走っ た後だと楽なんですけどね。
でも、そんなのも含めて楽しいんです。答えが見つか らないところが、一番楽しいのかもしれません。
常に考えて、試して、ダメで(笑)。その繰り返し。マ ンネリが来ないんですよ。FRというクルマの構造がそう させるわけですし、ダートラには同じ路面が二度と訪れ ない。そういう不確定要素に合わせていくのが、楽しく て飽きないところだと思っています」。
そして、リア駆動全盛期を知らない若手ドライバーも リア駆動にハマっている。DC2インテグラで全日本ダー トラN1に挑戦した竹本幸広選手だ。2015年からはオク ヤマカラーのトヨタ86に乗り換えてPN2に挑戦中で、 姿勢を激しく変化させる独特の走りは、ギャラリーだけ でなく、ライバル選手をも魅了している。
ドリフトで競える
「リア駆動で速く走ろうとすると、いろんな走らせ方を しないといけないんですよ。路面が舗装っぽくなるとグ
リップですし、浮き砂利路面になると、すごく振り回し て、アクセルを踏みちぎって、いかにクルマをコント ロールするか、といった運転になるんです。自分の得意 とする走りはこっちなんですけどね。
基本的には、FRはアンダーステアすぎて乗れなくなる ので、リアで旋回させる走りが必要なんです。

FRは、路面状況に応じて、あらゆる走りができないと 勝負にならない。ドライバーとしての総合力が問われる、 みたいなところが好きな理由です。
そして、浮き砂利路面だと、流して走らないとタイム が出ないってトコも好きです(笑)。これはダートラの醍 醐味を味わえるというか、ドリフトして競えること、楽し い走りがタイムに繋がること。つまり、『我慢しなくてい い』っていう走りがサイコーなんですよね。
でも、その走りはかなり高い次元で完成させないと好 タイムには繋がらないので、現時点では自分はまだまだ だと思ってます。自分の理想の走りはまだできていない ので、もっともっとイケると思ってます。
FRの運転には小技がたくさん要るんですよ。左足ブ レーキを始め、クラッチを『蹴る』のは簡単なんですけど、 もっと細かな『揉む』というか、そういう操作が必要で。 サイドもうまく使わなくちゃいけない。 特に浮き砂利路面のときは、やることが沢山あるので、 全部を完璧にこなすのは、まだまだなんです。 そういう一筋縄ではいかないところや、FFのようにシン プルな操作だけじゃないところが面白いです。 FF時代はラクしてたんだなと、今更ながら思います。 86に乗らないと分からなかったことなので、それを知れ ただけでも、乗って良かったなと思ってます」。 全日本ダートラではPN2以外にもリア駆動で奮闘す る選手がいる。Bライモータースポーツ界では名車と言わ れるDC2インテグラを相手に、昨年からMR-SでN1に 挑戦している山口順平選手もその一人だ。
度胸が要る走り
「自分はFF歴が長くて、GC8インプレッサに乗ったこと もあるんですが、そのときに、もう少しリアを動かして走 る練習が必要だなって思ったんです。クルマを壊したの をキッカケに、次に何に乗ろうかと考えたんですよ。


来年

から新設される「PN3」は、排気量1600cc を超える、FIA/JAF公認&JAF登録年が 2012年1月1日以降の車両ということで、現実的な選択 肢としては、トヨタ86やスバルBRZ、マツダ・ロードス ターRFが挙げられる。全日本ジムカーナPN1における NDロードスターの活躍ぶりを考えると、区分を1500cc にしてND系を加えて欲しかったという声もある。 86/BRZレースやロードスターパーティレース用の ベース車も初期型は価格がこなれてきているため、ス ピードPN車両への転用も期待したいところだが、持ち込 み車検により「型式指定番号」の記載がなくなると、PN 車両としては不適合となってしまうので注意が必要だ。

全日本ダートラ「PN3」のベース車は……!?
SA1 葛西キャサリン伸彦選手[SW20 MR2]
本当は86に乗りたかったが予算の都合でMR-Sを選んだと語る 石川県の山口順平選手。14インチも装着できる意外にお得な MR-Sでドラテク修練に励んでいる。千葉県の大学自動車部で モータースポーツにハマった葛西キャサリン伸彦選手。オートラ ンド千葉で培った確かな技術を引っさげて、全日本ダートラSA1 にSW20 MR2を持ち込んだ。
たまたまMR-Sが安く出てたんで、とりあえずコレに 乗りました。かなり珍しいベース車なので、自分でちょっ とずつパーツを集めて作り上げました。
MR-Sの最初の印象は、FFとラインが全然違うのが難 しい上に、横を向けながら土手に向かっていくような、 ちょっと度胸が要る走りが必要でした。アクセルを踏ん で横に流れる感覚を全く持ってなかったので、それが最 初は全然できなかったんですよね。
自分は、少舵角でスムーズにコーナー間を繋げていく というイメージで走ってます。グリップ走行は何とかなっ てきましたが、滑らせてコントロールするのがまだ甘い。

進入から速度を乗せて横を向けて、立ち上がり重視で走 りたいんですけど、クルマが流れたら、体が反応して動 きを止めちゃったりするんです。
立ち上がりでアクセルを踏むタイミングは、FRやMR の方が圧倒的に早いですよね。FRは立ち上がりで流れて しまう状況でも、MRなら早くから踏めれば前に押してく れるので、進入の姿勢作りをもっとしっかりできると、イ ンテグラがアクセルを踏んでも進まないタイミングでも、 加速を始められると思ってます。
シビックやインテグラで走っていたこともあるので、 彼らの強みも何となく分かっているつもりです。そういう ところで負けたら、直線ではパワー差で負けてしまうの で、そこを頑張らないと、と思ってます。
現在はインテグラにどれだけ近付けるかをテーマにし ているので、N1クラスがあるなら来年も続けたいです。 でも、86とかの値段が下がってきてますし、来年できる PN3の話も聞いて、心が揺らいでます。
リア駆動修業の道は、まだ50%も行ってません。スラ イドさせながら前に出す、元々これをやりたくてMR-S に乗ったんですが、現在はちょっと欲が出て、タイムを 出したいという方向に来ちゃってます(笑)。なので、来 年は練習会でスライドさせる走りを学んで、本番ではタ イムを極める。これがテーマですね」。
そして、SA1では、FF勢を相手にSW20 MR2勢が健
闘している。MR2はJAFカップでは優勝しているが、全 日本では未勝利。ということで、その快挙達成に一番近 い人物として挙げられるのが、千葉県のFRシリーズ出 身の、葛西キャサリン伸彦選手だ。
右足で曲げる走り

「SW20 MR2に乗り始めたのは10年ぐらい前ですね。 それまではFFでした。当時出ていた千葉県ダートラシ リーズ(オートランド千葉が舞台)では、MR2が十何台も いたんですが、その頃は、まさか全日本戦で使えるクル マになると思ってなかったんですよ。



全日本ダートラに出たキッカケは、千葉から参戦して いる岩澤研一/平澤宏美選手。たまたまテストで一緒に 走ったら遜色ないタイムが出たので、MR2でもイケるん じゃない? みたいな話になったんです。
最初はポイントが獲れればいいかなと思っていたのに、 昨年の今庄では3位表彰台、タカタでは5位入賞。その 辺りから、周りも「やればできるクルマなんだから、やん なきゃ」という雰囲気になってきました。
自分の中でも『もっとその上に行きたい』と思うように
葛西キャサリン伸彦選手
でも可能性がある」
なったので、現在はちょっと追い詰められています。
リア駆動を乗りこなすには、FF乗りにはない『右足の繊 細さ』っていうのがあります。例えば、同じ6000回転で
S A 1
M R 2
も、FFでよくやるのは、踏み抜い てレブが当たってる6000回転で すが、リア駆動の場合は、 ちょっとアクセルを抜いて、レブ には当たらない6000回転をキー プするみたいな感覚が必要なん です。『タイヤを転がして、タイ ヤの空転が止まったから、ここか ら踏める!』みたいなスロットル の使い方。そういう『右足で曲げ る』ような感覚が、リア駆動の独 特なところですよね。
MR2に乗り始めて1~2年 で、ある程度の領域の操作がで きるようになりました。でも、大 きく進化したのは、全日本をやり 出して、高速コースを走るように なってからですかね。


千葉のコースは狭いから、基 本的にターンの連続なんです。
なので、ノーズターンだったりドアターンといったターン の回し方や、アクセルベタ踏みだけじゃない、繊細なス ロットル調整は、オートランド千葉で鍛えられましたね。
駆動とその他のクル マを比べると、トラク ションの掛かり方が 圧倒的に違います。例えば、直線が長いと か、コーナーの路面グリップが高ければ、 全然勝負になるんですけど、路面グリップ が落ちるほど差が開いてきます。
リア駆動では、サイドブレーキや、他の 駆動方式ではほとんど使わない『クラッチ 蹴り』の進入とか、そういう技術が新たに 加わりますから、その辺りは難しいですね。 でも、完全な濡れ濡れ状態の路面も、意 外と86は強かったですよ。PN時代の、自 分がスピードパーク恋の浦で3位に入った ときは、かなり路面が濡れてましたからね。 タイムを出そうと思えば、横を向けるの を少しずつ減らしていけばいいんですけ ど、これがFRだけの戦いになれば、もちろ ん、やりすぎはダメでしょうけど、みんなド リフトしながらタイムを出してくる走りに なると思います。
そうすれば、必要以上にドリフトを抑え る必要がなくなりますから、観ている方も、 やっている方も、両者が楽しめるようにな るんじゃないかなと思います。
福島のエビスサーキットのコースオーナーにして、全日本ダートラ

正直言うと、リア駆動のダートラ走りに おいて、ハンドルだけで曲がるのがいいの か、“リアステア”で曲がるのか、っていう 話は、まだ結論が出てないと思います。

「リア駆動は将来のダートラを牽引する 救世主になるかもしれない……!?」
「〝今庄〞なら、
クルマはⅢ型ですが、もう新品パー ツが出て来ないので中古の寄せ集めで す。なので現行車にも興味があります。 でも、キャラ的に86やBRZに乗って も面白くないですよね(笑)。だから、 次のクルマ選びも悩んでます。それ以 前に、クラスを移るならSA1で勝って から行きたい。なので、葛藤中です」。
と語ってくれた葛西選手だが、9月 16日に行われた全日本ダートラ第8戦 今庄ラウンドでは、ドライ路面の第2 ヒートで並み居るFF勢を見事に逆転。
自身の全日本初優勝とSW20 MR2全 日本ダートラ初勝利を獲得した。

来年から全日本ダートラに設定され る「FR」専用の「PN3」。そして、SA1で のSW20 MR2全日本初優勝。

リア駆動で孤軍奮闘する彼らにとっ て、これらのニュースは大きな励みに なるだろう。現在、静かに全国へと広 がりつつあるリア駆動ムーブメントは、長らく4輪駆動 に握られてきた主導権がリア駆動に復権する兆しとして、 大いに期待されている。
2018年までの全日本ダートラPN2は異なる駆動方式が混走していたが、「PN3」の新設により近年の ダートラ界ではエポックメイクな「FRクラス」が、選手権クラスとして誕生することになる。これは今 後のダートラ界を担う試金石としても、現在熱き注目を浴びている。
自分としては『進入まではリアステア で、クリップに向かってからは、極力ハンド ルを使うようにする』という走りが速いん じゃないか、と考えています。やっぱり、両 方をうまく使い分けてやることですね。
実は、PNからSCに移る前に、PN車両 の86で丸和オートランド那須の地区戦に 出たんです。冬の間に一生懸命、アタマの 中で描いていた走り方を丸和の地区戦で 試してみたら、ブッちぎりで勝てたんです よ。しかも、全日本の上位を戦う選手たち よりも2秒ぐらい速かったんです。
それは、リアステアで向きを変えて、向き を変え終わった状態でコーナーに進入し て、アクセルを踏み始めたらハンドルに置 き換える、という走りですね。リアのスライ ドは極力向きを変えるためだけに使って、 前に進むときは滑らせない。
こういう走りが理想だと思ってるんです が、それが現在できているかと言うと、でき てないんですけどね(笑)。
ハンドルを切って曲がるのか、リアステ アで曲げていくのか、その両方なのか。FR は走らせ方のレパートリーが沢山あって、 進入スタイルも、サイドブレーキあり、ブ レーキングあり、クラッチ蹴りあり、色々あ ります。ワザの習得の練習にもなるから、 すごくオススメですよね。
SC車両のシルビアは、第8戦今庄に向
けて、前回からエンジンパワーを40馬力く らい落としました。ドライブフィールは、か なりいいんですよ。だから、そういう傾向 が主流になっていくのかなと考えてます。 今はランサーがあるからいいですけど、 ダートラの今後を引っ張るクルマって、 R35 GT-RやWRX STIを除けば、現行車 ならリア駆動しかないと思うんですよ。
自動車メーカーも現在は、再び後輪駆動 に力を入れてきてるじゃないですか。今の うちからFRクラス を作って色々と整 備しておくことが大 事だと思うんです。
FR専用のPN3が 追加されましたけ ど、それがSA部門 あたりでも追加され れば、フェアレディ Zやフーガが入って 来れる。JAF登録車 両を見ても、レクサ スだって選択肢が ありますよね。
ダートラはエンジ ンパワーよりトルク が大事だと思いま すから。大排気量の FRで『ええ?』って
いうクルマが活躍できるんですよね。
PN3をキッカケにして、SA部門などに もリア駆動クラスができてくるといいなと 考えてます。
ある程度改造できるSA部門なら、アフ ターパーツメーカーも興味を持ってくれる と思いますし、そうなると、D1ドライバー などを引き込める。絶対うまいはずなの で、両者にメリットがあると思いますよ」。
当初はPN車両で参戦していた熊久保選手の86。丸和の地区戦ダートラでは、自説を裏付け る好タイムを計測して新たな可能性を示した。
沖縄のモータースポーツが活気づいている。
新たなジムカーナシリーズの誕生、強力なバックアップ体制、 地方自治体主導のビッグイベントの開催など、 様々な側面からモータースポーツを盛り立てる動きが進んでいるのだ。 その現状をレポートする。
フォト/水野文幸 レポート/JAFスポーツ編集部
のスラローマー達に は今年は画期的な年 になりそうだ。JMRC
九州ジムカーナ沖縄シリーズが始まったか らだ。沖縄でJMRC九州のシリーズが開催 されるのは初めての出来事だ。
沖縄県中南部にあるリゾート、残波ビー チに程近いカートコース、「ククル読谷サー キット」で5月に行われた開幕戦は55台の エントリーを集め、7月の第2戦では58台 が参加した。実はこの数字、駐車場のキャ パシティの関係で何台かのエントリーを断 った結果のもの。この競技会に向けての関 心は確実に高まる一方だ。今年は10月に 第3戦が、12月に最終戦が行われる。


競技会はクローズド格式だが、JAF Bラ イセンス所持が条件のB部門4クラス (FF1/FF2/FR/4WD)と、シリーズ対象外 となるライセンス不要のチャレンジクラス に分かれる。チャレンジクラスは第1戦が 18台、第2戦が25台のエントリーを集め たが、このチャレンジクラスに参加したエ ントラント30名がすでにBライセンスを取


得したという。
こうした動きが手伝ってか、沖縄県のB ライセンスホルダーは増加する一方だ。 2016年の223名が2017年には257名に 増え、今年は7月時点ですでに307名と、 大きな伸びを見せている。


このJMRC沖縄シリーズについて言え ば、大々的な周知をしたわけではない。専 用のホームページがあるわけでもない。し かし主催者であるOKINAWA MOTOR SPORTS CLUB MABUI(OMM)の當間秀 文代表は、今後も参加者が増えそうな手応 えを感じているという。


4つの まだまだ、盛り上がるよ!
「ククル読谷サーキットは“むらさき村”と いう観光施設に隣接するコースなので、観 光客がジムカーナを見に来てくれるんです。 その人だかりを見て、“何やってんだろう?” と思った通りすがりの人も立ち寄ってくれ る。たまたま立ち寄った昔モータースポー ツをやってた人が復活してくれた例もある んです。立地の良さが貢献しているのはた しかです」
競技会終了後には、フリー走行会が行わ

走って楽しい、見て感動!OKINAWAモータースポーツの未来形を探る
沖縄モータースポーツが いま盛り上がっている
の理由
走って楽しい、見て感動!OKINAWAモータースポーツの未来形を探る

れるが、これもモータースポーツのPRに ひと役買っている。観戦に来た選手の家族

や友人が同乗して、ジムカーナの醍醐味を 体験できることで、新たなモータースポー ツファンを生むからだ。
「いつも一緒に走行会を走ってる仲間がジ ムカーナする姿を見れば、“自分もやりたい” という子も出てくるし、自分は走ってない
けど、たまたま知り合いに誘われて見に来 た子が、同乗走行でジムカーナに目覚めた りすることもある。競技会がきっかけで若 い人達のモータースポーツの繋がりが広が っている、という実感はありますね」という のは名嘉晋一郎氏。沖縄ジムカーナ界で一 目置かれるスラローマーだが、いまは裏方 に徹し、競技会ではMCも務めるマルチプ レーヤーだ。MABUIのクラブ員だったが、 のれん分けする形で6月にJAF準加盟クラ ブ、T-EMOTIONを立ち上げた。 「初心者が多いので、なるべく分かりやす いコースにするよう心掛けてはいますが、
JMRC九州ジムカーナ沖縄シリーズの競技役員を務める(左から) 當間氏と名嘉氏。「本州のジムカーナに参加して、競技会の運営の 仕方やクラブの在り方などを知った若い人も増えています。そんな 若い人達が持っている力に期待していきたい」(名嘉氏)。

コースを覚えるのが難しいからやめるとい う若い子はいない。ターンができなかった ら、フリー走行や別な走行会で練習して、 次の競技会ではできるようにしよう、とい う向上心を持った子が多いです。今までど んな形の競技会がいいのか、色々やってき たけど、今が一番いい形になってると思い ます。何より若い子達がこのスタイルが当 たり前と思っているんですよ」と當間氏。
若い選手は競技会終了後、ゲートクロー ズドの17時までみっちり走り込む。ククル 読谷サーキットは那覇市内からも1時間で 通える。本州のように渋滞を気にして早く 帰らなければ、といった必要はない。島国 ならではの環境がスラローマー達の走るモ チベーションを掻き立てているようだ。
理由その1 新たなシリーズの誕生でライセンスホルダーが急増中



今、そんなやる気に溢れる沖縄の若者達 にとって、ひとつの壁になって立ちはだか っているのが、米軍基地に務める米国人ス ラローマー達だ。
「日本のBライを取得した米国人ドライバ ーは僕のクラブだけで20名位いるんです が、本国でモータースポーツやっていた人 も多くて、そういう人は年齢が高くても結 構、速いんですよ。
走りについてもすごく理論的で、お手本 になる選手も多い。若い子達にも刺激にな りますよね」と當間氏。
今年から始まったJMRC九州ジムカーナ沖縄シリーズは、計4戦の開催を予定している。チャレンジクラスにエント リーして、ジムカーナ競技の醍醐味を知って初心者がBライセンスを取得して上位クラスにステップアップする流れ が出来つつある。「例えばいま沖縄で人気のフードトラックを呼ぶとか、選手だけじゃなくてギャラリーの人も楽しめ るイベントを作っていきたい」(名嘉氏)と、さらなる活性化を模索中だ。
沖縄ならではの多様性をモータースポー ツの活性化に繋げるJMRC沖縄シリーズ は、多くの可能性を秘めているようだ。
メーカーの垣根を越えた フェスティバルの開催が 沖縄のモータースポーツ振興を しっかりと下支えする
沖縄のトヨタ系自動車ディーラーである 沖縄トヨペットは、JMRC沖縄シリーズを スポンサードする傍ら、ククル読谷サーキ ットで自らモータースポーツフェスティバ ルを開催している。
昨年から始まったこのフェスティバルは 今年も7月に2回目を迎えたが、一自動車 ディーラーが仕切るものとしては、破格の スケールを持つイベントだ。





理由その2 モータースポーツスピリッツを共有する関係者の輪が拡大 2

見るだけではなく、乗ってみる&走って みることで、モータースポーツの楽しさに 触れる体験・体感型イベントというのが、
このフェスティバルのコンセプト。この言 葉だけを聞けば、トヨタ車の試乗がメイン のイベントと思う人が多いはずだが、実際 は違う。クルマはもちろんだが、カート、
ミニバイク、ドリフト、ジムカーナと、カ テゴリーとメーカーの枠を超えた一大モー タースポーツイベントなのだ。
例えばジムカーナのコーナーでは當間代
表のOMMのクラブ員のジムカーナ車両で 同乗走行を体験できるほか、逆にクラブ員 達が助手席に乗り、ドライビングのレクチ ャーを行なう。カートは希望者にレンタル して乗ってもらう。入場は無料だ。
「完全なファンサービスイベントです。会 場に来られた方が自分なりのスタイルでク ルマの魅力に触れてもらって、モータース ポーツをやってみたいという憧れを持って もらえれば、というのが僕らの希望なんで す。沖縄ってモータースポーツ専門のショ ップって少ないんですよね。だからディー ラーがこういうことをやれば、敷居の低さ を感じてもらってトヨタディーラーにも足
JMRC九州ジムカーナ沖縄シリーズをスポンサードする沖縄トヨペットは昨年からモータースポーツフェスティ バルを独自に開催している。きっかけはモータースポーツ好きの社員が集まる親睦クラブが、「モータースポー ツ倶楽部」として社内公認のチームになったこと。対外的なモータースポーツPRのイベントではあるが、モー タースポーツを通じた社員の輪も広がりつつある。


を運びやすくなって、そこからモータース ポーツファンの輪が広がっていく、という 形にしたいんですよ」と語るのは沖縄トヨペ ット業務企画課の宇良宗順課長だ。
フェスティバルの会場でひと際注目を集 めたのは、沖縄トヨペットが地元のモータ ースポーツショップの協力を得て製作した 2台の86。ターボ付きのAT車とスーパー チャージャー付きのMT車だ。
「“もう1個上の86目指しませんか?”とい うのが2台のコンセプトです。ターボが付 いた86を乗りたいけど、沖縄じゃ乗って楽 しめる所ってなかなかない。でも本州行か なくとも、うちならこういうイベントで乗
れますよ、と。これもひとつのファン作り であると思っています」
沖縄モータースポーツの導き役として沖 縄トヨペットが果たす役割は決して小さな ものではない。沖縄トヨペットが応援する のがチーム沖縄だ。カート、ミニバイク、 ドリフト、ジムカーナの関係者が一同に集 まった団体で現在、一般社団法人の登記申 請中。沖縄トヨペットモータースポーツフ ェスティバルもチーム沖縄とともにアイデ アを出し合った手作りのイベントだ。チー ム沖縄の理事長を務めるのはククル読谷サ ーキットの翁長達也代表だ。
「うちは基本はレンタルカートなんですが、
ドリフトのシリーズや今年からジム カーナのシリーズも始めたことで、 色んなジャンルの人達が一番集まる
1. 沖縄トヨペットモータースポーツ倶楽部部長 を務める島袋泰之サービス部長と宇良課長(左 から)。モータースポーツ倶楽部発足がきっかけ となって17名もの社員がBライを取得した。今 後はエントラントとしても期待がかかる!?。2. ク クル読谷サーキットの翁長代表は「うちのカート スクールには中国や台湾のカーターもいるんで す。沖縄を国を超えた交流の場にできれば」と沖 縄モータースポーツの近い将来を展望する。

場所にいつの間にかなっちゃったんです (笑)。でも話をすると、悩み事が皆一緒な んですよ。だったら皆で集まって皆で解決 しようとすれば課題もクリアできるはず、 というのがチーム沖縄の出発点です。ドラ イバーだけじゃなくて、オフィシャルも視 野を広げなければいけないし、組織もしっ かり作らないといけない。今はそういう段 階だと思っています」


因みにククルサーキットはJAF公認コー スではないが、翁長代表は1990年代後半 にJAF加盟カートクラブであるスクーデリ ア沖縄を立ち上げたレーシングカートのス ペシャリストだ。今年から、本州でもシリ ーズが行われているRMCシリーズを立ち
上げた。カートスクールでステップアップ を目指すキッズカーター達を支援するなど 人材育成にも務めている。OMMとはオフィ シャルの交流を図るなど、競技運営面でも 沖縄モータースポーツに欠かせない一人だ。 「時々、自分は何屋なのかなと思う時もあ るほど忙しいけど(笑)、やらなくちゃいけ ないと思ってます。ある程度の基本の形を 作って次の世代に引き継がせたい」
沖縄モータースポーツを支えてきたその
決意は堅い。
約とした桑江朝千夫現市長が2014年4月 に初当選したことに始まる。


コザ運動公園で開催されるコザモータースポーツフェス ティバルは今年で4回めを迎える。レーシングカート、ドリフ ト、ジムカーナ、オートテストの4輪モータースポーツのほ か、2輪モータースポーツも楽しめる沖縄のモータースポー ツが一堂に会するビッグイベントだ。出展や飲食ブースも 充実、クルマ好きなら丸一日楽しめるイベントとなっている。


沖縄県中部に位置する沖縄市のコザ運動 公園で行われるコザモータースポーツフェ スティバルは今年で4回目を迎える。初年 度の2015年は1DAY開催だったが、 17,000人の観客が訪れた。2DAYとした 2016年はほぼ倍増となる33,000人が訪 れ、昨年は36,000人と順調に知名度を上 げている。
“OKINAWAのモータースポーツがコザ に一挙集結”のキャッチコピーそのままに、 2輪、4輪、カート等のモータースポーツが オン&オフロード両ステージで楽しめる一 大イベントだ。デモランや同乗走行をはじ め、自動車ディーラーによる車両展示や、
自動車関連企業ブースの出店もあり、オー トテストも行われる。入場は無料。11月に 行われる今回は佐藤琢磨選手がスペシャル ゲストとして招かれる予定で、さらなる集 客が期待されている。


このフェスティバルの最大の特長は、沖 縄市が主催するイベントであるということ。 そのため、「沖縄市モータースポーツ振興イ ベント」というサブタイトルが付けられてい る。沖縄市がモータースポーツに携わるき っかけは、「沖縄にサーキットを作る」を公
同年6月にはモータースポーツの振興を 図ることを目的としたプロジェクト推進室 が発足、サーキット建設に向けた基礎調査 が始まった。モータースポーツのプロジェ クトは、「多目的アリーナの建設」、「同市最 大の観光施設である、『子供の国』の拡充」、 「新たなインターチェンジの設置」と並ぶ沖 縄市の最重要プロジェクトのひとつとして、 現在、5名の職員が携わっている。
同プロジェクトの最終的な目標は、サー キット建設によって沖縄市を「滞在型観光の 推進・産業振興に伴う雇用創出を実現する モータースポーツの聖地」とすることだ。 「ただし実際に調査を始めてみると、すぐ にサーキットを作るというのはなかなか難 しいと分かったんです。例えば騒音の問題 なども行政の立場として当然、避けて通れ ない問題になります。そこで、まずは市民 の方々にモータースポーツというものを理 解してもらうことが先決だ、ということで フェスティバルを企画しました」と同プロジ ェクト推進室の比嘉賢二氏がフェスティバ ルの成り立ちを教えてくれた。
沖縄市の最大の観光イベントは同じコザ 運動公園で行われる「全島エイサーまつり」 だ。毎年、20〜30万人の来場者が県内外 から訪れる。まだ数字では遠く及ばないが、 コザモータースポーツフェスティバルも沖


“モータースポーツの聖地”を 目指す行政のフェスティバルが 人気拡大中
理由その3 大人気のフェスティバルがモータースポーツ認知度UPに貢献
理由その4 沖縄モータースポーツの未来を約束する競技コースが計画中
縄市を代表する観光イベントとして定着し つつある。「過去3回とも目標とする数字を 上回る来場者数を記録しています。沖縄の モータースポーツ好きの方々には来てもら えている、という実感はあります」と比嘉氏 も手応えを感じている。
4輪モータースポーツ界もこのフェステ ィバルから恩恵を受けている。昨年のオー トテストでは約100名が当日受付で飛び込 み参加し、Bライを申請した人も少なからず いたからだ。オートテストを仕切った當間 氏は「モータースポーツ好きな人で漠然とラ イセンス取りたいという人にとって、地元 でこういう場で取れるというのは絶好の機 会だったと思います。現状、競技会にオー トテストを併催するのは難しいので、非常 に有意義でした」とその背景を語る。4回目 を迎える今年もオートテストは沖縄モータ ースポーツ活性化の尖兵役として重要な役 割を担うだろう。
沖縄モータースポーツの拠点と なる競技場の建設計画が進行中

いま沖縄のモータースポーツ関係者が熱 い視線を注ぐプロジェクトが進行中だ。そ のプロジェクトを牽引するのは沖縄市。市 内にモータースポーツ競技の開催を主たる 目的とした多目的広場を作る計画が着々と 進んでいるのだ。2020年度中の供用開始を 目指すこの広場は、スピード競技、レーシ ングカート競技のJAFコース公認の取得も 検討している。沖縄モータースポーツの聖 地=メッカを目指す沖縄市の取り組みが一 気に加速するプロジェクトになりそうだ。
「いま沖縄は、4輪も2輪もモータースポー ツ競技人口は右肩上がりでカテゴリーによ っては走行の予約を取ることすら難しいと 聞いています。チーム沖縄さん始め、関係 団体もしっかり機能してくれているし、沖 縄トヨペットさんのように、モータースポ ーツに力を入れている自動車関連企業さん も応援してくれている。いい流れができつ つあると感じています」と比嘉氏。
モータースポーツ関係者の期待も当然、 大きい。ククルの翁長氏はレーシングカー トのドライバー育成が進むと考えている。
「今までは高速からのブレーキングなど沖 縄では体験できないものは、イメージトレ
沖縄市が構想中のモータースポーツ多目的広場のイメージ図。観覧スペースとなる屋根付きピット兼パドック、事務 室、救護室、多目的研修室などを持つ管理棟など施設面でも多用途に対応できる形となっている。
ーニングを積んで本州に遠征するしかなか ったけど、多目的広場ではスピードレンジ が上がる。知識としてしか身につけられな かったものを体で覚えてから本州へ行ける というのは大きいですよ。沖縄からプロの レーシングドライバーを誕生させる、とい うことも決して夢ではなくなる」
沖縄トヨペットの宇良氏によれば、自動 車ディーラーの用途も見込めるという。「例 えば安全装置の新しいクルマができても県 内では研修会場がないので、本州のサーキ ットへ出向いてるのが現状なんですね。そ れをこちらでできるとなれば、社員の勉強 会やお客さんの体験試乗会なども可能にな る。うちだけじゃなくてクルマ業界にとっ てもいいニュースです」と期待を寄せる。
むろん沖縄市もモータースポーツに用途 を限定するつもりはない。交通安全教室や 地域のイベント、地元青年団のエイサーの 練習場所としての使用など、多目的な活用 を考えている。
「冬場も暖かいので、オールシーズン使え るコースだということで例えば本州の自動 車関連企業さんがテストで使ってもらうと いう需要も考えられる。沖縄の気候や特性 を生かした運営をすれば色んな可能性が見 えてくると思っています」と比嘉氏。プロジ ェクト第2弾の内容をいま吟味中だ。 沖縄のスラローマー達にとっても、JAFコ ース公認取得となれば、JAF地方選手権の 開催など、また新たな可能性が見えてくる。 當間氏は「うちのクラブはほぼ全員がBライ を所持しているんですが、正直何のために 必要なのかと思うクラブ員もいると思うん です。でも、地区戦の開催となれば、Bライ を所持する意義を分かってもらえると思う し、選手としてもオフィシャルとしてもや っぱり意識が変わってくると思います」と多 目的広場がもたらす変化を見通している。 まずは2020年という年が、沖縄モータ ースポーツが大きな飛躍を遂げた年として 歴史に刻まれることを期待したい。

下剋上!いつだって、




レーシングカートでは、ほとんどの レースでシャシー(車体)を自由に 選ぶことができる。剛性、安定

性、回頭性、ブレーキの特性……。それぞれ の個性を持つカートの中からどの1台を選ぶ かは、ドライバーの大きな関心事だ。
カート選びにおけるポイントのひとつは、 それがポピュラーなシャシーなのか否か、と いう点だろう。大勢が使っているマシンな ら、それは少なくとも乗りづらいものではな いだろう。加えて、ユーザーが多いほどセッ ティングデータは多く集まり、カート界全体 で共有され煮詰まっていく。さらに、保守・ セッティングパーツの供給の面でも安心。み んなと同じシャシーは、いわば“安パイ”な のだ。


大木は愛知県出身、16歳の高校生。全日本カートは2016年にFS-125部門西地域にスポットで初参戦した。フル参戦2年 目の今年は第2戦で初優勝を飾ると第4戦も制した。たった1台のシャシーを駆って堂々とタイトルレースに加わっている。
その一方で、今季の全日本カート選手権には、少数 派に属するシャシーで目覚ましい活躍を見せているドラ イバーがいる。
FS-125部門・東地域では、見慣れないマシンが予想 外の快進撃を続けている。カートリパブリック(KR)、 即ち“カート共和国”なるユニークな名前を持つこのマ シンは、2017年の秋に誕生した真新しいカートメー カーの第1作。東地域で1台きりのマシンだ。
このKRを駆るのは、16歳の大木一輝。2016年にス ポット参戦で全日本にデビューし、今年フル参戦2年目 を迎えた大木は、第2戦で激闘を制して初優勝を果た


すと、豪雨で決勝が中止になった第4戦でもウィナー に。ランキング28位に終わった2017年から大躍進を 遂げ、今やチャンピオン争いの渦中にいる。

実は大木は、自らKRを選んだわけではなかった。 2017年に乗っていたコスミックがシーズン途中に壊れ、 新車投入の時期を探っていたところに、チームからテス ト入荷したKRでの参戦を打診されたのだ。コスミック というポピュラーなシャシーから未知数のシャシーへの 乗り換えに、「結構、不安だったけど、海外でKRが実 績を挙げていることは知っていたので、(チーム代表の 塚本)力哉さんを信じて、これでやろうと決めました」と
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大木。
まったくデータのないシャシーを走らせて特性をつか み、イチからセッティングを仕上げていく、いわば開発 ドライバーのような役割は、大木にとって未知の体験 だった。
「今までにない、どれにも似ていないカートでした。蹴 り出しがよくて動きにキレがあることが、すごく印象に 残りました。ただ、そのキレのよさの裏返しで、路面が 重い(ラバーグリップが強い)時にグリップしすぎて動き が重くなったりすることもありました」
「走った感想をコメントして、セットを試してっていう のが新鮮でした。感じたことをうまく言葉にするのは難 しいけれど、将来に向けていい経験をしていると思いま す。チームメイトにも乗ってもらって、最近やっと方向 性が見えてきたんです。試したセットがぴたっと合っ
水野皓稀
全日本カート選手権
て、『そうそう、この感じ』っていう動きをしてくれた時 は嬉しかったですね」
そして新しい愛車とのレースは、大木に新たなチャ レンジと新たな喜びをもたらした。それは“周りと一 緒”のカートでは得られないものだった。
「レースを走ってみて、後半に強いクルマではないな、 と感じました。ただ、タイヤの温まりはダントツにいい から、レース序盤から様子見をしないで、ぐいぐい前に 出て逃げるレースをやりたい。後半にタイヤのタレが 大きくなってきた時は、気合いで何とかします」
「皆と同じマシンだと、同じレースしかできない。KR のメリットをレースでうまく引き出せるかどうかが、今 年のポイントです。去年までにはなかった楽しさがあり ますね。他の人のセッティングを真似できない分、KR は自分に合ったマシンに仕上がったと思います。それが 一番嬉しいですね」
シャシーのメリットをレースでうまく引き出せるかどうかがポイントと語 る大木。だが、去年までにはなかった楽しさがある、と語る。


下剋上! いつだって、
2017年まで、いわばホームの西地域に出場していた 大木。今季は目標とする2019年のOK部門参戦を見据 えて、OK部門との併催が多い東地域へと戦場を変え た。残り2戦となったSUGO大会も、初めて走るサー キットでの戦いだ。大木はそのハンデを覆し、ドライコ ンディションのタイムトライアルで1位を獲得。雨天に 変わった決勝日はやや苦戦したものの、KRを7位フィ ニッシュへと導いた。
小学生みたいな言葉かもしれないけれど、と前置き して、大木は笑顔でこう語った。
「周りの人が乗っていないカートで前の方を走るってい うのは、人より目立ちますし、正直嬉しいですよね。今 年はランキング6位以内に入って限定Aライセンスを
大木と同じく愛知県出身の水野は19歳の大学生。昨年までは全日本級のレーシングカーターが集うカート鈴鹿選 手権RMCクラスで2年連続の王座に就いた逸材だ。毎戦、ルーキーらしからぬ走りを見せている。
取ることが目標で、まさかチャンピオン争いをできると は思っていませんでした。このクルマじゃなければ、こ こまで戦えなかったと思います」
鈴鹿王者のプライド。全日本 ルーキーながら速さは示せた



OK部門のルーキーの一人、19歳の水野皓稀は、腕 利きのドライバーが全国から集まる鈴鹿選手権RMC
クラスで2016〜2017年の2年連続チャンピオンを 獲った注目株だ。
グを施すこともありました。テストでは『こう変えると、 こうなるのかな』っていう期待感がありますね」 そして水野は、今季2度目の大会となる本庄サー キットでのレースで躍進。まずはタイムトライアルで並 み居る実力者に伍して5番手に食い込むと、第2レース では予選3位・決勝6位と上位入賞を果たした。 「イントレピッドはタイムの落ち幅が少ない印象で、 レースの後半になって周りのタイムが落ちてくるところ で勝負できます。本庄では特にタイヤが残る感じがあり ました。その強みがレースでてきめんに出たと思います」 シリーズ終盤戦のSUGO大会。水野は雨に翻弄さ れ、第7戦も第8戦もチェッカーを受けることができな かった。だが、今季ラストの鈴鹿大会へイントレピッド とともに挑む水野のモチベーションは、少しも衰えてい ない。
今年は、シャシーによる速さの違いを感じるという水 野。自らの体験をどう次の実戦にフィードバックして いくかが問われる成長の一年になりそうだ。
これまでART、CRG、コスミックと 比較的ユーザーの多いカートを乗り継い できた水野の、今年の愛機はイントレ ピッド。過去に鈴鹿ワールドカップでも、 全日本KF部門でも優勝している実績十 分のカートメーカーなのだが、今季の OK部門では2台のみの存在だ。水野が 今年から所属するINTREPID JAPAN CORSEは、イントレピッドの総輸入元




が運営する、いわば日本版ワークスチーム。そのチー ムへの信頼感もあってのことだろう、イントレピッドに 対する不安はまったくなかったという。
「去年までのレースでは、フレーム(シャシー)ごとの速 さの違いをそれほど感じることがなくて、それはあまり 結果に関係ないのかなって思っていたんです。でも、 OK部門では違いを如実に感じました。シャシーごとに 色々クセがあるんだって実感したんです」
イントレピッドという“個性”との出会いは、走りの 面でもマシン作りの面でも、水野に今までなかった経 験をもたらした。
「イントレピッドは最初に乗った時、ちょっと硬めの印 象でした。前後バランスを合わせるのは少し苦労した けど、そこからセッティングを煮詰めていって、乗り方 も修正していきました。去年乗っていたコスミックでは 大きなセッティング変更をしたことはなかったけど、イ ントレピッドでは今まで経験したことのないセッティン
9月に行われたSUGOの一戦は雨に翻弄されるレースとなった。大 木(上)はドライだったTTでは見事トップタイムをマークするが、雨 に転じた決勝では7位に甘んじた。水野(下)も雨で苦戦を強いら れ、決勝では不本意な結果に。今後のリベンジが楽しみだ。
「このチームはタイヤメーカーさんとのつながりも強い し、練習もプライベートテストなんかを結構やってくれ て、心強いですね。このチームに入ってよかったと思い ます。少数派の存在だということを気にしたことはあり ません。(多数派のシャシーに対して)全然、互角に戦 えているし、むしろ『負けるか』って燃える部分もありま すね。ただ、自分の結果には満足していません。鈴鹿 は走り慣れたコースなので、自分ができる限りのレース をして、いい結果を残せるように頑張ります」

愛知県の美浜サーキットでは、オートテストは全国各地で開催されているが、毎年レギュラー開催しており、導入初期からオートテストを 関係者と参加者に、
国のオートテストの中で、マイ カーで参戦する形式で、かつ同 じ会場を舞台として定期的に開 催される“シリーズ戦”はそう多くない。

愛知県の美浜サーキットでは、導入初期 から「美浜オートテストチャレンジ」を開催 している。既に11回の大会開催を数え、 多くのリピーターを獲得している。
今回は、同大会でインタビュー取材を実 施。大会関係者にオートテストを続ける努 力、そして複数回参加している選手には、 オートテストにハマった理由を聞いた。
ミニサーキットとして知られる美浜では、 走行会やレースの他にも、JAF公認競技の 初心者向け「美浜エンジョイジムカーナ」な どが開催されてきた。現在は「美浜スー パージムカーナ」というシリーズイベントや 「ジムカーナDAY」というスキルアップ練習 会が行われており、東海エリアのジムカー ナのメッカと言えるスポットだ。



美浜オートテストチャレンジは、本コー スではなく駐車場の一角を使った大会。お よそ半日で3本走れるオトクな大会として も、美浜の新たな“顔”になりつつある。



株式会社美浜サーキット・クニモトで施 設支配人を務める藤井涼太氏はこう語る。 「本場・英国の大会をインターネットの動 画で見て『こんな面白いことをやってるん だ』と驚きました。美浜には開催できるス ペースもありましたので、これならできそ うだと考えて導入を検討し始めたんです。
美浜ではサーキット走行もジムカーナも 開催していますが、一般のお客様にとって は、まだまだ敷居が高いようなんです。
それがオートテストなら手ぶらで行ける し、普段乗りのクルマで走れますよね。旦 那さんと来場した奥様が「じゃあ私も!」と 出られるような雰囲気にしたい、と考えて ましたので、二の足を踏んでいた方々が友 達を誘い合って、大勢の方がこれまで参加 してくださったのかなと感じています。

オートテストを“競技”として煮詰めれ ば、英国スタイルも一つの道だと思ってま す。ですが、ウチは「クルマで遊びましょ う」というスタンスでやらせてもらってます。
アジュールの川村(徹)さんには、これま で本コースにおけるジムカーナの監修をお 願いしていたので、オートテストのコース 設定も依頼して、企画段階から色々なアド バイスをいただいています。
コースレイアウトは、硬軟含めて参加者 の皆さんが一年通じて楽しめる設定を目指 してます。パイロンの位置は同じにして、 回り方だけを変えているのが特徴ですね。

パイロン位置が固定されていると、毎回 同じ景色でも、また違った楽しみ方ができ ると考えてるんです。毎回すべてを変えて しまうと、参加するたびに不安要素が増え





てしまうかも知れないと考えています。
初回からずっと出てくださっている方も いて、中には腕の立つ方もおりますが、皆 さんは「色々な人が新たに参加してくれる のが嬉しい」と話してくれてますね。
美浜では参加者同士によるディスカッ ションも積極的です。互いにアドバイスし ながら技術を向上させて、純粋に運転を楽
「ズブの素人なんですが、運転するの が楽しくてずっと参加してますね。 自分のクルマでアクセルを思い切り踏む機 会があまりないので、この大会は打って付 けです。モータースポーツには興味がある んですけど、専用車を買ってまでやる資金 力はありません。ミニバンでやれる事とな ると、やっぱりオートテストに限られるわけ ですよ。あんまり上達してる実感はないん ですが(笑)、自分がうまく走れたときにタ イムも出ると嬉しくなります。そこがやっ ぱり楽しくて、リピートしてますね」
しもうという雰囲気を感じますね。
誤解を恐れずに言えば、やっていること は、サイドターンのないジムカーナとあま り変わりませんが、“ジムカーナ”という名 前になると、シリーズを追いかけてポイン トを獲ったり、ステップアップするとか、 そういう話になってしまいがちなんです。
http://mihama-ck.com/
2016年3月に第1回が行われて以来、春夏秋冬の年間4回で開催されている美浜オートテストチャレンジ。参加費 3000円で1日3本走行できて表彰式まで行われるのが特徴で、参加台数にもよるが、たいてい午前中で終わる大会スケ ジュールも、週末を有効活用できるという観点で好評だ。大会はJAF公認クローズド競技で、保安基準に適合したナンバ ー付き車両ならOK。排気量2000ccを境とした、AT&CVT車両、MT車両を分けた合計4クラス構成となっている。
ユニークなのは「レンタルカークラス」。参加費は4000円だが、美浜サーキットが用意したレンタル車を仲間でシェア して競い合えるので、まさに手ぶらで楽しめる、オートテストの醍醐味を堪能できる。また、コース設定はパイロンの位置 を一年間固定して、走るルートだけが毎回変わる方式を採用。ガラリと変えるより、少しでも同じ要素を残した方が不安 が減るのでは? という理由によるものだ。



2017年コース
「クルマで走るのが好きで、富士スピードウ
ェイの走行会などに参加してました。こ の大会はインターネットで知ったので、同じ所 をグルグル走り回るだけじゃない、こういう競 技にも一回出てみようと思って初めて参加しま した。父が三菱党だったので、次に乗るのはエ ボXだと思ってたんです。でも生産終了になっ て露頭に迷っていたら、理想に近いアクセラを 見つけたので買いました。この顔、エボⅩに見 えませんか? 決め手はソコです(笑)」。
横地英樹さん ホンダ・ステップワゴン


そのため、このシリーズは一戦ごと表彰
式で終わりにして、シリーズポイントなど はあえて設定してません。『現在シリーズ 何位なのか』などを意識し始めると、どう してもここで勝たなきゃ! と考え出して、 ギスギスしてきますからね(笑)」。 ということで、このような束縛に繋がる 要素を意図的に排除することで、気楽に参 加できる雰囲気を創り出し、逆の意味でリ ピーターを獲得しているという格好だ。 タイムトライアル競技は、常設コースを 走るサーキット走行とは違い、コース設定 が難易度や面白さに大きく影響するもの。 そのため、コース設定の担当者には、参加 者の目線と豊富な実地経験が求められる。 美浜サーキットでは、ジムカーナ界の大 ベテラン、アジュールの川村徹代表に監修 を依頼。ジムカーナ系イベントのプロデュー スを始め、オートテストを導入する段階から 大会作りに協力してきたという。
「初心者でも経験者でも、レベルなりに楽 しみながら運転技術を高めてもらうことが、 オートテストの重要な役割だと感じてます。 1日に3本走ると、慣れていない方に とっては「走った〜!」という感覚を得られ るものです。コースを長くすると間違える 要因になりますから、コースが短くても、 タイム差が付くし、満足感もある。そんな コースレイアウトを狙ってます。 コース作りの際には『どう回すとハマって くれるかな?』なんて事を考えています
「美浜オートテストチャレンジ」とは?2018年コース 初参加 参加8回目
分の走りに順位が付くのが面白くて出 てます。参加費が安いのも助かります し、子供(能見晴紀くん/12歳)と一緒に出ら れるのもいいなと思ってたんですが、最近は子供も付いて 来てくれなくて……(笑)。何度も参加していると知った顔 が増えますし、知らない人でも声を掛けると、皆さんクルマ 好きなんで、心が通じる感じがするんですよ。最近では周 囲に“クルマ好き”も減って来てるんで、同じ嗜好の人に確 実に会える貴重な場という意味もありますね」
段は走れない場所で、日常では味わ えない挙動を試せることが楽しいん ですよね。最初は私も全然勝てなかったん ですけど、やっている内に上達するのを実感 できますし、入賞できるようになると、負けた くない相手もできてきます。今では美浜の 顔なじみ達と、切磋琢磨しながらやれるのが 楽しいですね。参加費も安いですし、普段は ウチの家内も一緒なので、家族で来られて、 子供(大塚天太くん/9歳)と一緒に出られ るのもポイントです」
トヨタ・スプリンタートレノ
DMG MORIモータースポーツクラブの皆さん
内に電気自動車が1台あったので、それでEVレー スに出るためにモータースポーツクラブが立ち上



がりました。でも、クラブ員には現役の競技経験者がいなく て、いきなりレースは無理なので、少しずつ知識や経験を積 んでいくことにしました。最初はカートで抜き差しを体験し て、次にオートテストを選びました。大会の雰囲気を知れる し、コンマ差の戦いもありますよね。社内で予行練習をして、 満を持して本番に挑んだのが今日なんです(石塚誠さん)」
(笑)。今回のコースもスラロームに入るパ イロンを、わざと広くしてあるんですよ。
そこまでは細かく回す設定だったので、 参加者は溜まったストレスを解消しようと してアクセルを踏みます。先が開けている から、そのままの速度で行きたくなります よね。でも、そうやってスラロームに入る

と、次のパイロンの間隔が狭いで、その後 の操作がめちゃめちゃ辛くなるんですよ。
そういう“仕掛け”は上級者ならすぐ気付 きますが、オートテストの場合は、1本目 は様子見ですから、3本目あたりでやっと 車速が上がります。なので、そこで初めて “仕掛け”にハマる(笑)。3本目にタイムを 落とす人も意外に多いんですよ。
上級者の走りを見ていると、3本目では 一番速度を落としてます。こういう事は、 アタマでは分かっていても、いざスタート ラインに並ぶと真っ白になってしまうので (笑)、なかなかできないもんなんです。
でも、これが高速道路での車間距離の詰 め方や、一般道での他者との距離感の掴み
方みたいなものに活きてくるんですよ。

ただハンドルを切る、ブレーキを踏む、 じゃなくて、どうハンドルを切る、ブレー キを踏むのか。こういう基本操作を突き詰 めるには、オートテストはどのモータース ポーツより向いてると思います。

オートテストのコースを作るときに『楽し くしたい=スピードが出る』レイアウトにし がちですが、それはジムカーナでやるべき で、オートテストは『なるべくスピードが出 ない。でも走り甲斐がある』というもので あって欲しいですね」。
川村氏は全日本ジムカーナではドライ バーとして長く活躍し、ジムカーナ競技会 でも何百ものコースを設定してきた御仁。

日本に導入されたオートテストの性格を最 大限に活用して、競技人口の拡大や安全運 転の啓蒙に繋がればと考えている。
今回取材した第11回大会では、日本有 数のオートテストマイスターとして知られ
る日紫喜俊夫さんを破り、MR-Sを駆る丹 羽基夫さんがクラス3で優勝を飾った。
[クラス3表彰]優勝はトヨタ・MR-Sの丹羽基夫さん、2 位はマツダ・ロードスターの日紫喜俊夫さん、3位はトヨ タ・スプリンタートレノの能見晴作さん、4位はスイフト の藤森航平さん、5位はスズキ・キャリイの小野圭一さ ん、6位はスズキ・アルトワークスの大塚拓哉さん。

丹羽さんは競技経験を持つ元ジムカーナ 選手だが、2016年の第2回大会から今回 まで6回参加しているリピーターの一人。 美浜オートテストの面白さを聞いてみた。
「7〜8年前にSW20 MR2のN車両でJM RC東海シリーズを追ってました。楽しかっ たんですが、本番に弱くて(笑)。練習会の ほうが楽しくなっちゃったり、クルマにコス トも掛かってきたので活動を止めました。


その後はミニバンなどに乗ってましたが、 最近になって、やっぱりつまらなくなって (笑)、MT車を買うことにしたんです。





ちょうどその頃にオートテストの導入を 知って、買ったなりで参加してみたんです。 そしたら、意外と楽しかったんですよね。
最初は物足りないだろうなと思ってたん ですが、結構な満足感を得られたんです。 結局、どんなカテゴリーでも、自分が満足 する走りができたら幸せ、っていうところ があるじゃないですか。思い通りにクルマ を動かせたら満足なわけで、お金を掛けよ うが掛けまいが、喜びは一緒なワケです。 バックがあったり、50km/hしか出ない という設定も最初は舐めてましたが、いざ 出てみると、必死にアクセルを開けないと いけなくて(笑)。ファミリーカーで出たと きも、それなりに楽しかったし、どこまで イケるかという探求の楽しさは同じでした。 ジムカーナ時代は走るコースを考えた り、シミュレーションしてましたけど、 オートテストでは、発表されたコースに対 して何も考えずに挑んで、いかにその日の 自分のベストを出すかだけを考えてます。 本当はセッティングとか、色々やった方 がいいんでしょうけど、そうではないのか なと感じてます。オートテストはいかに自 分が操れるかどうか。セッティングじゃな くて、自分の走りがしっかりできるかどう かの確認を一番の楽しみにしています。ク ルマとの対話、って言うんですかね」。
シリーズを追うと決めてスキルアップの 推進力とする考え方もある、また、多くの オートテスト参加者のように、自分の好き なスタンスで、愛車との対話を楽しみたい というのも正解だ。「気軽に出られて、し かも奥深い」。初心者も経験者もそれぞれ のスタンスで楽しめる美浜サーキットの オートテストは、モータースポーツ派生の、 日常の安全運転にも寄与するドラテクを継 続的に学べる場として、独自の地位を築き 上げていると言えそうだ。
参加90台のラリーを最後まで仕切る方法とは!?
ここに写っているオフィシャルの皆さんは、今回取材させてもらったJAF九州ラリー選手権に関わったほんの一部の方々です。ラリーの運 営はそれくらい多くの人々の協力が必要なんです。今回は国内最多出場台数のラリーを仕切った競技役員の方々の活躍を紹介します。 フォト&レポート/廣本泉

JAF九州ラリー選手権の第5戦とし て、9月9日に開催されたグラベルマ インドラリー2018 in 唐津。大会
前日の8日、HQおよびサービスパークの会 場となる「ボートレースからつ」には、午前 中から数多くのオフィシャルが集結してい た。簡単な打ち合わせを終えると、小雨交 じりの天候の中、各自の担当作業を行うス
タッフたち。その中心にいたのが、39歳の 競技長、加納崇一氏だった。
同大会を主催したのは、1983年に福岡県 宗像市で設立されたグラベルモータース
ポーツクラブ(GRAVEL)で、現在は35名 のチーム員が様々な競技で活躍中。主催者 としても全日本ラリー選手権をはじめ、ラ リーの他にも、ダートトライアルやジム


オフィシャル さん お疲れさん vol.3
カーナのJAF九州選手権を主催するなど豊 富な実績を持つ。
同クラブ代表を務めるのは今大会で組織 委員長を務める七田定明氏だが、「次の人 材を育てていかなければならないので、数 年前から競技役員を世代交代して若手のク ラブ員に任しています」とのこと。七田氏の 後任として競技長に抜擢されたのが、前述 の加納氏だった。
「初めて競技長をやったのは4年前のJAF 九州ラリー選手権でした。不安はあったけ ど、周りの人がサポートしてくれた。それ 以来、ずっと競技長をやっているので、ず いぶんと慣れてきました」と加納氏は笑う。 競技長とは文字通り、競技の責任者で、 基本的にコース委員長をはじめとする他の 役員と連絡を取り合いながら、競技の進行
状況を逐一把握しなければならない。「も しアクシデントがあった場合なども、素早 く判断して、対応を指示するのが、僕の役 割だと思っています」と加納氏は語る。
競技長の加納氏をサポートしているのが、 44歳のコース委員長の中村亮一氏だ。「加 納君が競技長になった時と同じぐらいのタ イミングでコース委員長になりました」と語 るように、彼もまた同クラブの世代交代に より競技役員に抜擢された。
「コースの責任者として安全を確保すると ともに、競技長に正確な情報を素早く報告 してトラブルに対応することが僕の仕事で すが、“山長”(それぞれのSSを統括する責 任者的な立場の人物)がしっかりしている
39歳の若き競技長。「オフィシャル の中には年配の方もいますので、言葉 遣いには気を使いますが、競技長です ので、そのあたりは遠慮をせずに指示 を出しています」。“本職”はラリードラ イバー。「出場できる時は参戦してい ます」と語るように現在もJAF九州ラ リー選手権にスポット参戦している。

ので、スムーズにできています」と中村氏 は笑顔を見せる。
ちなみに競技長の加納氏とコース委員長 の中村氏は古くからの知り合いで、プライ ベートでも親交が深い。今回のラリーでも 参加受付や車検、レッキが行われる8日か ら、この両者は常に打ち合わせをしながら
GRAVEL代表として長く全日本ラリーの競技長を務めてきた 七田氏(右)よりアドバイスを受ける加納氏。今回と同じよう に、全日本ラリーの競技長も七田氏から引き継いでいる。

今回、コース委員長を務めた平田浩一氏 (右)の父は同じGRAVELのクラブ員で今回 は副競技長を務めた平田満明氏(左)。しっ かりと世代交代が進んでいる。
計時委員長 倉下慎一さん
現在45歳。15年前までは選 手としてダートトライアルで活 躍していたが、現在はオフィシャ ルとしてエントラントをサポート する。「計時は時間との戦い」と のことで、今大会もスピーディに リザルトを出していた。
技術委員長 平田浩一さん



38歳の技術委員長。すでに 技術委員長としては5年のキャ リアを持っているが、ラリー競技 では“山長”としてSSの安全管 理を行うこともしばしば。あらゆ るハプニングに対応している。
グラベルモータースポーツクラブの次世代を担う今回の競技役員の皆さん 競技長 加納崇一さん
コース委員長 中村亮一さん 44歳のコース委員長は、「最 近は裏方ばかりで選手として競 技には参戦していません」との こと。今大会ではコース委員長 としてSSの安全管理を行い、リ タイア車両の対応等に当たった。

作業を行なっていた。その様子からも両者 がお互いを信頼して連携していることが伺 えた。
GRAVELでは、この両者を支えている 他の役員も世代交代が行なわれている。38 歳の平田浩一氏もそんなスタッフの一人で、 5年前から技術委員長を任されている。「技
地区戦、TGRラリー併せて90台という大量エントリーとなった 今大会。オンタイムでラリーを進行させるだけでも大仕事だ。


術委員長は車検のとりまとめをしなければ ならないんですけど、車両規則は常に変わ るので、その確認が大変です。とはいえ、 ラリー競技では、自分は山長としてSSに 入ることも多いので、車検時は周りの多く のスタッフのサポートを受けながら、やっ ています」とのこと。実際、平田氏は8日の レッキからSSを見回りながら、エントラ ントの対応にも当たっていた。




45歳の倉下慎一氏も5年前から計時委 員長を担当しているが、「最終チェックを 行って、可能な限り素早くリザルトを出す ことが私の役目ですが、計時委員として10 年ぐらい計時をやってきたので、それなり に対応できていると思います」とのこと。ク ラブにとっては頼もしい存在だ。
中堅クラブ員が競技役員として順調に 育っているGRAVELだが、今回はTGRラ リーチャレンジも併催したため、JAF地方
選手権と合わせ、国内規定で最大となる 90台のエントラントを集めただけに、「参 加台数が多いとトラブルが増えるリスクは ありますね」とラリー前は、コース委員長の 中村氏も不安を覗かせた。
「90台のエントリーはうちが主催するラ リー競技では初めて。通常、地区戦のSS は2ヵ所の設定なので、オフィシャルの数 も50名で対応しているけど、今大会は ギャラリーステージを含めて3つのSSを
設定しているので、オフィシャルの数を80 名に増やしているんです」と語るのは、今 回は組織委員長を務めた七田氏だ。


総勢80名のオフィシャルを束ねて競技 の運営に当たる重責を担った加納競技長は しかし、全日本ラリー選手権で、すでに 180名のオフィシャルを動かしているだけ に極めて冷静で、「JAF九州ラリー選手権 も全日本ラリー選手権も競技長としてやる べきことは変わらないですから」と自信を 覗かせた。
9日、グラベルマインドラリー2018 in 唐津の舞台、佐賀県唐津市は朝から雨に濡 れていた。オフィシャルたちは当日の参加 者に対応すべく、早朝の5時30分から大 会本部およびサービスで業務に就いた。7時 30分になるとHQで第1回審査員会が行わ
れ、8時のドライバーズブリーフィングを経 て8時30分にJAF九州ラリー選手権がス タート。10時にはトヨタGAZOOレーシン グ・ラリーチャレンジも幕を開け、激しい タイム争いが展開されていった。
ラリー中盤では雨が止み、路面コンディ ションが回復するものの、ペースが上がっ たことで、マシントラブルやコースアウト でマシンを止めるエントラントが出始めた。 しかし、コース委員長の中村氏がすぐにSS で状況を確認し、大会本部で報告を受けた 競技長の加納氏がオフィシャルに指示を出
80名のオフィシャルの的確な連携プレーが 大量エントリーのラリーのスムーズな進行を支えた
総勢80名のオフィシャルが関わった今回の一戦。折からの雨、普段は経験しない参加台数 と、難関が立ちはだかったが抜群の連携プレーで乗り切った。ボートレース場のギャラリーSS では数多くのギャラリーが詰めかけたが、オフィシャルたちは素早く対応し、エントラントおよ びギャラリーの安全を確保していた。



長という肩書があるとは言え、率先して各担当役務で オーガナイズに尽力した、次世代を担う若き競技役員 たち。ひとつひとつの経験が次への糧となる。
しながら、それらのハプニングに対応した。 「初めて競技長を務めたラリーも今回のよ うにTGRラリーとの併催だったんですが、 トヨタさんがライブをやるために作った特 設ステージで挨拶をしたので、緊張したん ですよ。でも、その経験があるので、それ 以降は人の前で話をする際に特に緊張する ことがなくなったのは、今の自分の立場を 考えると良かったと思ってるんです。 今回に関して言えば、コースアウトは想 定より少なかったと思います。エントラン トの協力もあって、ほぼオンタイムで運営 できたので良かったですね。唐津は無線の 届かない場所があるので、数年前からライ ンを使ったトラッキングをテストしていた んですけど、今回はそれがうまくいきまし た。90台とエントリー数が多く、天候も悪 かったけれど、状況を把握することができ ましたから。エントラントにも楽しんでも らえたと思います」と加納競技長はラリー 終了後、ほっとした表情を見せた。 競技が終わった会場では、競技長の加納 氏をはじめ、多くの競技役員たちが、自ら 率先して後片付けを行っていたが、その姿 は最後まで冷静沈着そのものだった。堅実 な仕事ぶりに、次世代のオフィシャルたち が確実に成長していることが伺えるラリー だったことを最後に付け加えておきたいと 思う。
JAF MOTOR SPORTS ホームページの“取扱説明書”です


B JAF
スポーツ誌は2018年4月にリニューアルし、年 4回の季刊発行となりました。本誌内容の充実 化のため、また情報の速報性を図るため、いくつかのコンテン ツがJAF MOTOR SPORTSホームページに移行したことをあ らかじめご理解いただきたいと思います。
そこで今回はパソコンやスマホでいつでも気軽にアクセスで きるホームページの活用方法を、主だったバナーを中心に紹介 します。
常に最新の情報を掲載している「公示・お知らせ」「モータース
ポーツカレンダー」は競技関係者なら要チェック。またWEBな らではの動画配信コンテンツ「NEWS DIGEST」や、競技会等の 速報「ニュース&トピックス」も必見です。その他、競技結果や 獲得ポイントのデータベースもありますので、上手に活用して、 さまざまなシーンでお役立て下さい。
JAF MOTOR SPORTS ホームページへアクセス


1 公示・お知らせ
http://jaf-sports.jp
2 JAFスポーツWEB
モータースポーツの規則や規定の改正、登録車 両や車両公認の申請一覧、競技会の日程の変更 や取消等、ライセンス所持者向けの情報を掲載。

過去に行われた競技会のレポートはこちら。JAF スポーツ誌そのままに、読み応えのあるWEB誌 面として展開しているコーナー。
3 NEWS DIGEST
詳細はこちら
レース&カート編、ラリー&スピード編の月2回公開! モータースポーツのHOTなニュースをお伝えする 動画番組。過去放送のバックナンバーも充実。
6 AUTO TEST

主要モータースポーツを始め、全日本選手権や国 内競技会を「ラリー」「ジムカーナ」「ダートトライ アル」「レーシングカート」のカテゴリーで紹介。
全国で開催されているライセンス取得のための講 習会を開催日順にご案内。A/Bライセンス以外 に、公認審判員やカートライセンスも検索が可能。
モータースポーツの入門競技・オートテストの ルール説明から、直近開催予定の情報までを網 羅。オートテストの雰囲気がわかる動画も必見!
JAF
MOTOR SPORTS
NEWS DIGEST 全


日本スーパーフォーミュラ選手権から全 日本カート選手権まで、国内で開催され るJAF全日本選手権の現在を伝える、イ ンターネット配信を利用した国内モータースポー ツのニュース情報番組が2017年4月から始まっ た。この番組は、全日本選手権の競技結果レポー

インターネット配信による国内モータースポーツ
配信中!
月2回 配信!
ト等を、スタジオからキャスターがニュース報道 スタイルでお届けする新しい動画コンテンツ。現 在、毎月2回の配信中で、JAFモータースポーツ ホームページの特設ページやYouTubeのJAF公 式アカウント『jafchannel』から誰でも無料で視 聴が可能だ。
情報番組『JAF モータースポーツ ニュースダイジェスト』
●配信日程:毎月2回の配信予定 ●メインキャスター:ピエール北川氏 ●カテゴリー:全日本スーパーフォーミュラ選手権、SUPER GTシリーズ、全日本フォ ーミュラ3選手権、全日本ラリー選手権、全日本ジムカーナ選手権、全日本ダートトライアル選手権、全日本カート選手権他
番組のメインキャスターは、スーパーフォーミュラやSUPER GTの 大会実況でもおなじみのピエール北川氏(左)。右はゲストのJAFモー タースポーツ部・岡本博司氏。
9
月9日(日)、広島県のTSタカ タサーキットで開催されたオー トテストは、通常のオートテス トとは一味違うスタイルで開催された。一 番の違いは、プログラムに『JAF中国ジム カーナ選手権』の見学会が盛り込まれてい たこと。ジムカーナやダートトライアルの

オート テスト 倶楽部
見学会は、JAFにより、これまでも全国各 地で行われているが、オートテストが併催 されるのはあまり例がない。その狙いを オーガナイザーのJMRC中国オートテス ト部会の原博史部長は次のように話す。


「観るだけの競技見学会は、その場限りの 憧れで終わってしまいがちです。そこで、 手軽にモータースポーツが実体験できる オートテストとの併催を考えついたんで す。つまり、お試し競技付きの見学会で
ジムカーナ観戦×オートテスト。そんな新しい形態の モータースポーツ体験イベントが広島で開催された。 JAFが行うジムカーナ見学会に人気のオートテストをプラスして、 競技の楽しさを、よりリアルに味わってもらおうというものだ。 果たして参加者たちの反響は?

フォト/谷内寿隆 レポート/勝森勇夫
す。もちろん今回のオートテストもエント リーすれば国内Bライセンスが取得可能 で、このシステムを有効に活用してもらう ためにもぴったりのイベントです。ライセ ンスホルダーを増やし、競技人口を増加さ
せていくためにも、各地区に開催の輪を広 げていければと思っています」
競技に興味を持つユーザーにとっては、 地方選手権のエキサイティングな走りを目 の当たりにできて、自らも実際にステアリ
ングを握りモータースポーツの緊張感や楽 しさが実体験できる。しかもライセンスま で一気に取得可能な、まさに一石三鳥のイ ベントだ。
「モータースポーツに興味がありながら も、忙しくて時間が思うようにならない方 も、このシステムなら、まずライセンスだ けでも取得してもらうことができます」と 原部長。当日は中国地方のトッププドライ バーたちがコースオフィシャルを買って出 るなど、クラブチーム一丸となってイベン トの運営をバックアップした。
参加費用も一般的なオートテストよりも ぐんと割安な料金設定(JAF会員1000円、 一般1500円)となっていた。もちろん
今回のオートテストの最大の特長は走行の前に同じTS タカタサーキットで開催されていたJAF中国ジムカーナ 選手権の見学会が設定されたこと。見学会ではJMRC中 国ジムカーナ部会長の有田光徳氏が解説役を務め、ジム カーナ競技の仕組みや競技車両の概要などについてレク チャーを行なった。また同乗体験走行も行われた。



観て興奮!走って興奮!の新スタイル!!
オートテストはサーキットに隣 接する駐車場で開催された。 スタート後はまず前進でBOX に入れた後、後退しながら次 のBOXに入れるという設定。 途中に規制のパイロンがある ため、難度の高いコースレイア ウトとなったが、参加者は果敢 にチャレンジしていた。
観て興奮!走って興奮!の新スタイル!!
オートテストそのもののスタイルは通常と 変わりなく、2本のタイムトライアルでド ライビングの正確さと速さを競い合う。 コース長は若干短めだったが、それでも2 度の車庫入れ、スラローム、フルターンの 基本メニューに加え、難易度の高いバック スラロームを追加することで、短いながら も攻略し甲斐のあるコースとなった。
午前9時ちょうどにゲートオープン。こ の日のTSタカタサーキットは朝からあい にくの空模様だったが、エントラントは開 場の時間を待ちわびていたように続々と会 場入り。パドックスペースは見る見る一杯 になっていく。定員越えの全32台を数え た参加車両は、軽自動車からビッグなミニ バン、アメリカントラックまでバラエティ 豊か。競技見学会が行われるために、イン プレッサやランサーといったスポーツモデ ルのユーザーが心なしかいつもより多い印 象だ。
イベントは、午前中にジムカーナ観戦と オートテストのコース解説&練習走行。昼 食休憩を挟んで午後からは、オートテスト 本番とジムカーナ車両同乗体験、その後 オートテスト表彰式という流れで進む。仲 間や家族と参加する人もいれば、一人旅を
兼ねて遠方から遠征してきたエントラント も少なくない。参加者全員が思い思いに、 ジムカーナ観戦とオートテストを楽しんだ。
オートテストの練習走行をトップタイム で終えた鳥取から参加の野口節浩さんは、 「昔、ジムカーナとかラリーとかをやって いました。コースが狭いことを考えて、あ えて軽自動車での参加です。古いモデルで パワステがなくて大変だけど(笑)。このあ たりの駆け引きもオートテストは面白いん ですよね」と、久々のモータースポーツを とことん楽しむ構えだ。


一方、WRX-STIで息子さんのしづきく ん(9歳)と参加した河谷健治さんは、競技 観戦も親子で満喫。「乗っているクルマ的 にも、やりたいのは断然こっち(ジムカー ナ)。ただ、こうして観戦していても敷居 の高さを感じます。オートテストとこれの 中間くらいのカテゴリーがあれば嬉しいか も」と話してくれた。






希望者にはジムカーナ車両同乗のコンテ ンツも用意され、オートテストでは味わえ ないハイレベルなスピード感を体感。最終 的に5名を超える人が国内Bライセンスを 申請した、競技観戦付きのTAKATAオー トテスト。地方選手権との併催という試み で運営側は大変なようだったが、しかし苦 労の分、ユーザーはいつも以上に楽しめ、 反響も大きかったようだ。
アメ車乗りには、コースが狭くて大変でした(笑) 全長5メーター超えのシボ レー・エルカミーノでエント リーした佐藤良平さん。アメ 車が好きで、古いクルマが大 好きだという。「同僚に誘われ て参加しました。普段乗りもこ れです。コースが狭くて大変 だけど、どう走らせるかを考えるのが結構、楽しい。ジムカーナもコイ ツで参加させてもらえるなら、やってみたいんだけど(笑)」 もっと同じようなクルマに乗るライバルが欲しい ヴェルファイアに乗る中村 太輔さんは家族3人で参加。 「自分も息子も、実はスポーツ モデルの方が好み。だから そっち系に乗って競技にも参 加したいのですが、当分は我 慢です。でも、こういうクルマ でも参加できるオートテストは本当に魅力的。この手のクルマがもっ と増えて、ライバルが多くなるとさらに楽しめるんだけど」 ジムカーナも面白そう。いつか出たいですね ご主人はもっぱら助手席と いう中尾さんご夫妻。智奈美 さんはクルマに乗ったら降り たくなくなるほど運転が大好 きで、生まれ変わったらレー サーになるそう。「2年ぶりの オートテストです。今年はあと 2回参加する予定。ジムカーナの方が断然面白そうだけど、金銭的に も今はちょっと難しい感じ。でも、いつかは挑戦したいな」 オートテストでスバル4WDの高性能を再確認 スバル車仲間のお二人。 オートテストに参加するのは 共に今回が初めてで、Bライも しっかり申請した。「バックギ アを使うのがとにかく新鮮。 楽しめました」と中村大輝さん (右)。江波弘晋さん(左)は 「濡れた路面で、スバル4WDの性能の高さを再認識。Bライも取った し、いつかは本格的な競技にもぜひ参加したいですね」

