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神戸新聞next|社会|神戸赤ちゃんポスト計画 医師不在、安全面に課題

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2017/2/10 07:00 神戸新聞NEXT

神戸赤ちゃんポスト計画 医師不在、安全面に課題 神戸市北区のマナ助産院に設置する計画が明らかにされた「こうのとりのゆりかご」 (赤ちゃんポスト)。兵庫県内でも新生児が遺棄される事件が起きており、関係者は9 日に開いた会見で「命を救う最後のとりで」と意義を強調した。ただ開設には医師法上 のハードルを解決する必要があり、産科と小児科の高度な医療を担う医療機関との連携 も課題となりそうだ。 「引き受けるかちゅうちょはあったが、命を守るのにためらいがあってはならないと 思った」。設置を目指すNPO法人「こうのとりのゆりかごin関西」の理事で、同助 産院の永原郁子院長は、会見で決意に至った思いを述べた。 赤ちゃんポストの設置計画を会 見で説明するマナ助産院の永原 郁子院長(右端)ら=9日午後、大阪市北 区(撮影・小林良多)

厚生労働省のまとめでは、2014年度に虐待死(心中以外)した0歳児は27人。 兵庫県内でも2013年、神戸市中央区で、母親がトイレで出産した男児を殺害し、コ インロッカー内に遺体を遺棄する事件が発生した。

最初のゆりかごを設置した熊本市の慈恵病院では2016年3月までの9年間で、計125人を受け入れた。関西にも同様の仕組み があれば、こうした命を救える可能性もある。 課題となるのは、預けられた子どもの安全確保だ。熊本では「重症例はない」(蓮田太二・慈恵病院理事長)ものの、23%に当た る29人は、低体温や低体重などで治療の必要があった。近年は自宅出産の増加で、医療の対応が必要な子どもの割合も増える傾向に あり、15年度は6割に上った。 医師法では、預けられた子どもの健康状態は医師しか判断できず、医師が常駐しない助産所でのゆりかご開設は法律に触れるとい う。 同法人は「常時対応できる医師がいれば可能」との見解を示し、嘱託としての契約を目指す。永原さんは「協力に前向きな医師はす でに見つかっている」とも述べた。 また一見、元気な子どもでも、先天的な病気がないか確認するため「専門病院で詳しい診察を受ける必要がある」と蓮田理事長は指 摘。「周産期母子医療センター」を持つ病院との連携も不可欠だ。 メンバーは、妊婦らの相談窓口を今年9月にも開く予定で、「ゆりかごに入る子どもが極力少なくなるよう工夫したい」と強調し た。 (武藤邦生、山路 進) 【体制整備に不安残る】熊本市の「こうのとりのゆりかご専門部会」部会長を務める山縣文治・関西大教授(社会福祉学)の話 望ま ない妊娠をした女性への公的支援は十分でなく、ポストは「最後の逃げ道」として一定の意義はある。ただ助産院では、医療面をはじ めとした体制に不安が残る。嘱託医では不十分だ。児童相談所など関係機関との連携や子どもが自らの出自を知る権利を確保できるの か-といった点でも懸念がある。


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