班 無重力を体験できたなんてうら
ムをみていたらシリンジを使って数
やましいなぁ。NASA の宇宙飛行士
ml の液体を注入するなどといった
の訓練もパラボリックフライトで行
細かい作業をやっているひとたちも
矢野 実際に無重力を体験している
うんですよ。だけど、宇宙飛行士に
いて、大変そうでしたね。
のは藤田さんだけなんですね。無重
なるような強い人たちでも気持ち悪
力空間にいくと、どんな感覚になる
くなるっていうくらい、大変らしい。
んですか ?
矢野 そんな大変な環境なうえに、
藤田 パラボリックフライトでは、
フライトのチャンスもそうそうある
矢野 僕が使っているクリノスタッ
いきなり無重力になるのではなく、
わけではないだろうし、実験が失敗
ト装置では、試料を水平方向と鉛直
3 ∼ 5 秒くらいかけて無重力状態に
したら大変そうだ……。
方向の 2 軸に対して回転させるこ
なっていくんです。感覚としては、
藤田 前日に実験で使う装置が壊れ
とによって、試料が感じる重力の向
身体がどんどん水につかっていくよ
てしまったことがあったんですよ。
きが特徴的な方向をとらないように
うな感じかな。でも、水中よりも身
徹夜で必死に直そうとしたんだけ
しているんです。つまり、重力の時
体が動かしやすいから、水というよ
ど、どうもうまくいかなくて。他の
間平均が 0 となるような、擬似的
りは、アセトンのほうが近いかもし
方法を使ったりして、何とかして実
な無重力状態を作り出しているとい
れない。アセトンにつかったことは
験しましたが……。私の実験はボタ
うわけなんです。
ないけれど(笑)。
ンを押すだけという簡単なものなの
無重力って、どんな感覚なの ?
無重力状態を作りだす
でまだいいんですが、他の研究チー
藤田 彩 お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科 博士前期課程 2 年
その結露の形成メカニズムについて研究している。具体的 には、無重力下で結露がどうやってできていくかを観察し、 重力下でのでき方との違いを比較する。実際に、飛行機に 乗ってパラボリックフライトを行い、無重力環境で実験を 行うことも。
矢野 俊介 東京農工大学大学院 工学府 博士前期課程 2 年
「クリノスタット」という装置で微小重力環境を作 り、その中での植物の育ち方を観察している。将来、 人が宇宙へ行って長期間滞在できるようになったと きに懸念される食料問題のために、宇宙で植物を育 てて食べられるようにして、地球から大量の食料を もっていかなくても済むようにするのが目標。 19