The HR Agenda Magazine - October-December 2013 Issue (Japanese)

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目次 2013年10−12月号

発行人からのメッセージ

あなたがHRの世界にいる“理由” ヒント—HRの仕事は人間だけが相手ではない

3

カビッティン・順 MBA/MS/HRMP JHRSコミュニティニュース

世界最大のHRイベントSHRM(シャーム)

6

「The HR Agenda」

「女性が踏み出す次なる一歩」WINコンファレンス

9

エリザベス・ハンドーヴァー 特集記事

グローバルな人材流動システムを考える “トップタレント”を海外のターゲット市場にどのように誘い込むか

12

ヒルダ・ロスカ・ナルテア ウォートンの知恵

なぜ、社外から採用された者が、高い給与を支払われながら 社内の従業員よりパフォーマンスで劣ることがあるのか HR法律相談

労働組合がない場合 法的要件を満たすには?

15

17

大山滋郎弁護士 HRに聞け

HRとして働くために私が日本に行くことは可能でしょうか?

18

アンドリュー・マンターフィールド 松井義治(ヨシ) パフォーマンス管理

ポジティブ・アプローチは感染していく ブレット・アンソニー・ベダード

20

組織的行動

フロー・ワークプレースを目指して

22

太田哲二 トレーニングと開発

「グローバルな視点」 と 「ノマド的な視点」 テリトリーマッピングを通じて事業変革を目指す

24

アンソニー・ウィロビー 論説

人材の流動性 戦争の話はしない アネット・カセラス

最新のHR情報を発信し、日本と世界のHRプロフェ ッショナルの橋渡し役となって、人事・労務の事例、 一般慣行や体系的知識の普及促進を目的とする。 1 「The HR Agenda」の使 命

28


THE

®

, Japan s first bilingual

HR magazine published by The Japan HR Society (JHRS)

購読

発行人 統括編集人

The Japan HR Society (JHRS) HRAgenda@jhrs.org www.jhrs.org www.jhrs.org/hr_agenda

カビッティン・順 MBA/MS/HRMP managing_editor@jhrs.org

編集長

アネット・カセラス editor-in-chief@jhrs.org

上級編集者 寄稿編集者

http://www.jhrs.org/hr_agenda/subscribe まで、オンラインでご注文下さい。 日本国内購読 ・デジタル版(最新号のみ) :無料 ・プリント版(周年号)1冊:1,575円(税・送料込み) ・年間購読-プリント版(周年号)1冊とデジタル版(最新号とバックナンバー) :年間3,150円(税・ 送料込み) ・年間購読-デジタル版のみ(最新号とバックナンバー) :年間1,575円(税込み) ・大口注文:EmailでHRAgenda@jhrs.org に、氏名、会社名、住所、必要数、 ご希望の支払い方法を お知らせください。私どもより、郵送料を含んだ見積書をお送りします。

ヒルダ・ロスカ・ナルテア 澤田 公伸 ホープ・ドリエン

広告セールス・ マーケティング および配布

エイチアールセントラル株式会社 advertising@jhrs.org

編集局 電話/ファクス

海外購読 ・デジタル版(最新号のみ) :無料 ・年間購読-デジタル版のみ(最新号とバックナンバー) :年間1,575円(税込み) ・大口注文:EmailでHRAgenda@jhrs.org に、氏名、会社名、住所、必要数、 ご希望の支払い方法を お知らせください。私どもより、郵送料を含んだ見積書をお送りします。

岡本 浩志 ステファニー・オーバーマン

副編集長 翻訳者 デザイン・制作 デザイン担当

編集補佐

「The HR Agenda」はThe Japan HR Societyが出版する日本初かつ唯一 の2ヶ国語人材(HR)専門季刊誌。制作はエイチアールセントラル株式会 社(The Japan HR Society事務局)のエイチアール学習・出版部門。

AGENDA

広告掲載 詳細をお送りしますのでadvertising@jhrs.org までご連絡ください。

澤田 公伸 サイラ・モリイ 大川 紀男 ブーン・プリンツ

海外配送エージェント募集中: HRAgenda@jhrs.org まで連絡下さい。 「The HR Agenda」 とThe Japan HR Societyのロゴは 登録商標であり、The Japan HR Societyに帰属します。

アネット・カセラス

© 2013. The Japan HR Society 無断複写・転載を禁じます。

表紙イメージ アールディー・コロマとアネット・カセラスの構想をもとに、 ブーン・プリンツが編集・デザイン、 Green Talent Mobility by Ardie Coloma.

マーク・スィリオ

画像の出典:

エイチアールセントラル株式会社 (The Japan HR Society事務局) 〒108-0075 東京都港区港南2-14-14 品川インターシティフロントビル3階 デスカット MB28号

5 Reasons People Choose to be HR graph by Boon Prints, PIPE LINE 3D by Daliborzivotic, ASIAN BUSINESS PEOPLE by Imtmphoto, BUSINESSMAN GOING THUMBS UP by Andreyuu, FUKURODA WATERFALL JAPAN by Radzian, Green Mobility Up Down Hill by Ardie Coloma, のらくろ

+81 (0)50-3394-0198 +81 (0)3-6745-9292

お断り 掲載した記事にある見解や意見は執筆した寄稿者、筆者個人のものであり、必ずしも「The Japan HR Society」の一般会員、事務局、 アドバイザー、会友、後援者の立場や見解を反映したものではありません。本 協会は、掲載された記事や広告に含まれるデータ、統計、情報の正確性、真実性につき、 その全体もしくは一部に関し、責任を負いません。更に、掲載した助言、意見、見解は情報提供だけを目的としたもの であり、資格を有する法律専門家、財務専門家のより専門的な法的、財務的助言にとってかわることを目指したものではありません。

15% DISCOUNT when you present this copy or by quoting “HRAMag_AD

効率的なコスト管理とガバナンス、世界 展開する中で成長軌道を保つといった 目標を達成するために、 戦略的サービス・ デリバリー・モデルをどのような形で 応用できるかノウハウを習得。 カンファレンス:2013年11月12~13日 | ワークショップ:2013年11月14日

| 東京、 日本

世界第三位の経済大 国である日本は今日、 その人口の25%が 日本経済が出現したように、 それはの 暗い雲によって脅かされている労働力不足 65歳以上であるという 事実において際立 っています。経済成長 を推進する上での 労働力の重要性を考 えますと、 これは日本 企業にとって重要な関心事です。実際に経 済的には危機的な状況が、新幹線のような 早さで差し迫っていると言えましょう。 As JApAn’s economy emerges, it’s threAtened by the dArk cloud of lAbour shortAge

Deloitte Blue

基準色 PANTONE

近似色

280

Deloitte Green

375

DIC

255

F294

CMYK

C100 M75 Y0 K13

C45 M0 Y93 K0

RGB

R0 G39 B118

R146 G212 B0

※PANTONE:コート紙を使用する場合にはPANTONE COATEDチップ、非コート紙の場合 にはPANTONE UNCOATEDチップを基準としてください。

Hiroaki Uemura Special Appointed Researcher Research Institute for Policies on Pensions & Aging

Christine Meguro Chief Financial Officer Stryker Japan

Susumu Nakazawa Senior Research Fellow Japan Association for CFO

Ryuichiro Sugimoto Acting Representative of Japan Office LinkedIn Japan

Tetsuya Morikawa Finance Director Kaspersky Labs Japan

スポンサー:

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発 行 人 からの メッセ ー ジ 2013年10−12月号

あなたがHRの世界にいる“理由” ヒント—HRの仕事は人間だけが相手ではない カビッティン・順 MBA/MS/HRMP The Japan HR Societyチーフ・コミュニティ・オフィサー 英語原文から翻訳

HRの世界で働くことを選んだ理由と経緯について、だれもが語るべきストーリーを持っている。だが、 この 世界でキャリアを積むための本当の理由を、正しく理解している人はごく少数にすぎないように私には見え る。今日のようにビジネス環境がめまぐるしく変化する時代において、HRの役割を定義することは難しいこと かもしれないが、本当のHR専門家の機能は依然として変わることがない。それは「ビジネスに価値を付加す る」 ということだ。

自分がこれまでHRコンサルタントとして、 またHRに特化したリクルートのプロとして働いてきた中でとても好きなことの1つは、 自分以外の HR専門家と会い、彼らとさまざまな議論を交わすことである。そうした何百回という議論の中で、私がいつも聞く質問がある。それは「あなた はなぜHRの世界に飛び込んだのか」 ということだ。 その答えはまさに千差万別だが、 あえて一般化すれば次の5つに類型化することができる。

HRを選んだ5つの理由 「自分は“人間寄り の”人間だから」 (言い換えれば、 「人と話をした り一緒にいたりするのが大好 きだから」)

「人を幸せにするこ 「たまたまHRの世 「生計を立てなけ 「人間を通じて事 と、 あるいは人に奉 界に入ってしまった ればならないから」 業成果の達成に力 仕するのが好きだ を貸したいから」 から」 (言い換えれば「カネのために から」 言い換えれば「私の第一の目 言い換えれば「人事異動でこ この世界に入ったので」 「HR (言い換えれば「自分は取っつき

の分野に移ったから」 とか「計

は自分にとって最後の手段

やすい人間で、心が温かく、親

画していた訳ではなく、何とな

だから」)

身になれるから、など」)

く抜け出せないでいるから」)

標は企業家であり、その次が HR専門家だから」 とか「あくま でもビジネスを目指している から」)

サービス

人間寄り 3

サービス提供者

偶然に

おカネのため

ビジネス志向


ほとんどのHRのプロは、自分を“人間寄りの”人間と答えており、 ま

◦ 偶然に・・・HRの世界に飛び込むときの理由として、 これは最

た、ビジネスとHRに関する“不都合な真実”—つまりHRはビジネス

悪といってよいかもしれない。なぜかといえば、 この理由は、

のために存在しているのであって、けっしてその反対ではないとい

あなたのキャリアとか運命とかにあなた自身が十分な責任

うこと—を理解したからこそHRの世界に飛び込んだという人間は、

を果たしていないこと、また人生という“ゲーム”においてあ

ほんの一握りでしかない。HR界の“教祖”ともいえるデビッド・ウルリ

なたは単なる傍観者だったということを意味しているから

ッチがいみじくもいったように、 「HRは価値を与え、予告しなければ

だ。そうではなく、あなた自身とあなたの組織にとって利益

ならない」のだ。

になることを行い、あなたが本当にやりたいことを見つけ てほしい。人生はあまりにも短いのだから、あなたに最善の

問題は、 ビジネスピープルのように考え 行動できる人間、 さらに人のための解決策を 通じて企業ニーズを達成することができる人間を どうやってHR部門に配置するかということだ。

結果をもたらさない、あるいはあなたの天賦の才能の開発 につながらないことをやっている“暇”はない。HRという仕事 を、偶然ではなく計画して選んでほしい。 「あなたにとって利 益になることを行う」ために、本誌2013年7-9月号所載の 記事「潜在力を引き出し現実のものとする—風に揺れる竹 のように」をもう一度読んでいただきたい。

HRの存在意義 では、HR界の人間であるための正しい理由とは何だろうか。その 問いに答える前に、次の議論についてよく考えてみていただきたい。 ◦ “人間寄りの”人間・・・もしあなたが、自分は「人間といるとき がいちばん良い」からHRの世界に入るしかなかったという のなら、なぜ営業、マーケティング、広報、マスコミ、 といった 分野のキャリアを追求しないのだろうか。政治の世界に入る ということだってあるはずだ。 こうした分野のキャリア選択 で成功するにはとりわけ人と人との交流が必要だし、いつ も多くの人と一緒にいたいというあなたの念願はきっと叶 えられるはずだ。HRとは畢竟、適切な(right)考え方と適切な (right)能力を持った適切な(right)人材を適切な(right)組 織の適切な(right)ポジションに適切な(right)なタイミング で配置することであり、それゆえに彼らはその組織に価値を 提供することができるのである。 (「6Rの原則」については本 誌2013年1-3月号に掲載されたケビン・レイノルズ氏へ のインタビューを参照されたい。) ◦ サービス提供者・・・もしあなたが人を幸せにしたいと望むな ら、エンターテイナー、 アイドル、あるいはお笑い芸人になる ということをなぜ考えないのだろうか。 「人に奉仕する」 こと を望むなら、ヘルスケアの専門家、公務員、ボランティア、あ るいは聖職者や軍人という選択肢だってあるはずだ。人を幸 せにしたり、人に奉仕したりすることは何も間違っていない が、 これらの理由でHRの世界に入る人には、人を幸せにした り人に奉仕したりすることの利益を、もう一度あなたの組織 のボトムライン(最終損益)に結びつけてほしいと思う。言い 換えれば、投資利益率、投資の回収期間などについて考え、 あなたの努力があなたの組織に価値を創造していることを 示し、常に数字でものを考える習慣が大切なのだ。そうすれ ば、あなたはきっと敬意を獲得し、あなたのボスがこれまで のように、会社のため忘年会を計画してほしいと頼むことも なくなるだろう。

◦ おカネのため・・・まあ、確かにおカネは人生に必要なもので はあるが、では、あなたの知っているHRのプロに“超お金持 ち”がいったい何人いるだろうか。もしおカネがあなたの内 なるエンジンの原動力であるならば、投資マネジャーやブロ ーカー、あるいは起業家になるべきだ。 もしHRがあなたにで きる唯一の仕事と考えているのなら、あなたはあなた自身を 狭く限定的に理解しているといってよい。だれしも、生まれ持 った特性と強みを持っており、それらを生かしてこそ人生の 本当の意味を見つけることができる。 よく訓練されたコーチ の力を借りて、あなたの人生の使命と天職を見つけてほし い。その努力に投資すべきだ。つまるところ、それがあなたの ためになるのだから・・・。 ◦ ビジネス志向・・・このグループのHRプロがいることは確か だ。企業も組織も自動車のようなものだ。つまり、さまざまな パーツや部分からできていて、それらが個々の機能を果たし つつ全体として動くことが必要であり、そうして初めて自動車 は「走り、そして運ぶ」 というミッション(使命)を達成すること ができる。営業、マーケティング、財務、エンジニアリング、そ して生産といった仕事が、なぜ組織において高く尊敬されて いる機能なのか考えたことがあるだろうか。それは、そうした 仕事が組織に価値を付加していることを人々は知っているか らにほかならない。その他の部門と同様、HRもまた価値を与 えていることを本当に示すことができれば、HRは企業におい て必須の機能になるだろう。問題は、ビジネスピープルのよ うに考え行動できる人間、 さらに人のための解決策を通じて 企業ニーズを達成することができる人間を、 どうやってHR部 門に配置するかということだ。 もう一度いおう。HRの世界にいる本当の理由とは何か、 と。 (簡易 投票に参加する場合は、 ここをクリック。) これまでの答えがどうであ れ、HRの第一の存在理由が「ビジネスに価値を付加する」 ということ を理解している“本当のプロ”の集まりに加わるという正しい理由で、


がるだろう。 こうしたパラダイムシフト (理論的枠組みの変更)がな ければ、あなたがHRの世界にいる理由は何の意味も持たない。な ぜなら、率直にいえば、あなたの選択は的を外れているからだ。 目標に近づく あなたたちの中に、 よりビジネス志向のHR専門家になることに 関心がある人がいるとしたら、本誌の最近号に掲載された次のよう な記事を読むことを強くお勧めする。 これらの記事の中に、今すぐ 実行できる具体的なアイデアや行動手順を見つけることができる だろう。 「HRビジネスパートナリング:何を、なぜ、どうやって—イ ンテルのケビン・レイノルズへのインタビュー」 (「The

HR

Agenda」2013年1-3月号) 「ビジネスリーダーとしてのHR:難解な心理学用語と奥義の 無意味さを乗り越える—リック・ウィルモットとの会話」 ( 「The HR Agenda」2013年1-3月号) いうまでもなく、本誌にはこれら以外にも読む価値のある記事が たくさんある。現在の、そしてこれまでの記事の蓄積に自由にアクセ スできるよう、ぜひこの機会に本誌の定期購読をお勧めする(定期 購読の申し込みはここで)。 そして、本 当 にH R の 世 界 に入ると決 め たら、次 の目標として 認定されたHR専門家になってみてはどうだろうか。JHRSとHRCI は、HRMPとHRBPの認定に関する共同オンラインセミナーを、日本 時間2013年10月9日21時に開講する。 これらの資格について、また 試験のための準備についてもっと知るために、 このセミナーを受講 してはどうだろうか(受講登録はここで)。 JHRSはまた、世界最大のHR専門家組織であり25万人以上の会員 を擁する 「人材マネージメント協会」 (SHRM) と、会員数20万人以上 を擁する世界最大のオンラインHRコミュニティー「HR.com」 との間 で、HR資格と再資格プログラムを日本で提供するための戦略的パ ートナーシップの構築について現在、協議を進めている。 これらに関するコメントや提案をぜひ hragenda@jhrs.org あてに 送っていただきたい。

カビッティン・順MBA/MS/HRMP:エイチア ールセントラル(株)代表取締役社長、テンプ ル大学日本校非常勤講師を務め、20年以上に わたり人事のバリューチェーン全体に携わっ てきた。 (多くが日本に特化したものである)人 事に関する継続教育、知識の共有、最優良事 例の活用を通じ、人事の課題を解決すること ができると強く信じている。経営学修士、経営 工学修士、HR研究認定(コーネル大学)

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Hiroyuki Akaso • Dana Gallagher • Mikki Tomoeda • Peter Capelli • Ozlem Battal • Atty. Jiro Oyama • Prof. Ikujiro Nonaka, Ph.D. • Pranvera Zhaka • Nimalan Nadesalingam • Yumiko Shito • Atty. Grant Stillman • Atty. Vicki Beyer • Radoslava Angelova • Mio Araki • Kiyo Ogushi • Hideki Ikeda

その組織、組織で働く人々、さらには社会全体の利益に自然につな

Chad Stewart • Daniela Ploberger • Shinya Yamamoto • Warren Arbuckle • Norio Suzuki, Ph.D. • Yutaka Sugimoto • Noboru Minamoto • Rochelle Kopp • Shabeer Ahmad • Elizabeth Handover • Susumu Shinbori • Celeste Blackman • Dan Harrison, Ph.D. • Atty. Mie Fujimoto Shigeki Egami •

あなたが最終的にHRの道を選ぶことを願っている。そうした価値は

何人の名前が言えますか?

各号、 「The HR Agenda」 は、JHRSイベントの特別ゲストに寄稿者を招いています。 寄稿者と読者が語り合う場です。あなたが書く言葉が、HRの最優良事例に影響を与え る発想となります。

どうぞ、話し合いにお加わりください。 もし寄稿について考えをお持ちでしたらぜひお知らせください。 「The HR Agenda」のメールアドレスである HRAgenda@jhrs.org まで電子メール をください。 また当雑誌に関するご意見などフィードバックいただけるの を歓迎します。私どもは受理したメールについてはすべて掲載できるとは お約束できませんが、少なくとも返事を出すことはポリシーとしています。 本誌で取り上げて欲しいトピックもお寄せください。 「The HR Agenda」革新的なプラットフォーム 日本における最初の二ヶ国語による人事担当者向け雑誌として、 「The HR Agenda」 は 非常にユニークな舞台 (プラットフォーム) を提供しています。 英 語と日本語で書かれた資料を提供し、寄稿者から提出された文章もバイリ ンガル翻訳することで、純粋の2方向性を持った意見交換の場を提供しま す。過去150年ほどの間、 日本はもっぱら西洋の知見を日本語に翻訳してき ました。 私どもは日本の声を国際的な舞台にも紹介できるような場を創造し たのです。 私どもの目的は物事の裏表や問題のすべての相を理解すること にあります。私どもは日本と海外における読者の方々や、世界中のHRプロ フェショナルや研究者、 オピニオン・リーダーたちの間でオープンかつ誠実 な対話を実現させ、それによってお互いの切磋琢磨を促すことを願ってい ます。


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2013年10−12月号

世界最大の HRイベント SHRM(シャーム) 「The HR Agenda」

SHRMの名刺マップ

アメリカ合衆国前国務長官で次期大統領選挙への 出馬が噂されているヒラリー・クリントン氏、 タイム誌 の総合監修者ファリード・ザカリア氏、著名な筆者ダ ニエル・ピンク氏が世界最大のHRイベントに参加し た。 「The HR Agenda」 もまたこれに参加した。

ヒラリー・クリントン氏がHRマネージメント協会(SHRM シャーム) の第65回年次大会で講演した。今年の大会には2万人近くが参加し、 アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ市で6月16-19日に開かれた。 この大会は規模が大きく、 期間中、 大会日報まで発行された。 SHRM 大会日報は、アメリカ合衆国を含め多くの国が、女性の職場進出を 阻んでおり自らの生産性と経済成長を損ねているとのクリントン氏 の警句を伝えた。 「リーダーシップはチームプレー…。成功はいかに 人々が共にうまく働くようにできるかにかかっている」 とクリントン 氏は述べた。 タイム誌の総合監修者であり 『The Post-American World: Release 2.0』の著者でもあるファリード・ザカリア氏が、今日 「多くの国が自国

8ページへ続く u

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u

6ページから

数字で見るSHRM 2013 出席者数 出展者数 発表者数 全体会・分科会総数 同参加者数 海外からの参加者数 参加者の国の数 ボランティア数

2万人 700 280人以上 200以上 1万5,000人 1,200人 70以上 1,000人

セッションへの出席は、エイチアール・サーティ フィケーション・インスティトゥートの認定更新のた めの継続教育の単位となる。

出典 SHRMメディア担当発表

民の生活水準を引き上げ、経済を成長させる方法を見つけたのだ。 それがこの時代の重大事なのだ」 と語った、 と日報は報じている。 ダニエル・ピンク氏は、仕事の世界における変化に関し、いくつも 著書を著している。 『売るのは人—人を動かす驚くべき真実』は彼の 最新刊である。ピンク氏は大会参加者に「人々が毎日やっていること の大部分は実はセールスであり、私が思うにHRのやっていることは 他の仕事に増してまさにこれだ」 と語った。

SHRMは70か国以上、1,200人の海外からの参加者のため、オリエ ンテーションを設けた。 またネットワークの場となるグロバールラウ ンジが用意されていた。昼食をとりながらの円卓ディスカッションや カクテル形式での国際レセプションなど、世界中の“HRのプロ”と

SHRMは70か国以上、 1,200人の海外からの参 加者のため、 オリエンテーションを設けた。

話す機会は貴重である。 今年、約700の出展者がSHRM展示会において幅広いサービス・ 製品を紹介した。会場には特設のSHRMストアが開かれ、HR関係 の書籍・ビデオ・小物などを求めることができた。

今年は200以上の全体会・分科会が以下の分野別に開かれた。 ◦ 企業経営と戦略 ◦ 報酬と手当て ◦ 雇用法と法律 ◦ 国際HR ◦ 人材管理 ◦ 自己啓発とリーダーシップの育成 分科会の資料は大スクリーンに映し出されるほか、 ダウンロード することができるから、米国流のアクセントに慣れない参加者もそ れを理解の助けとすることができる。

SHRMは無料E-mailニュースレターを配信している。 また、HRの 求人・求職者のための掲示板も用意されており、 ともに非会員にも 開かれている。 SHRMはアメリカ合衆国バージニア州アレキサンドリア市に本部 を置き、世界140か国に25万人の会員を擁する、人事における世界 最大の職業組織である。職業としてのHRの重要性の訴求をミッシ ョンとし、会員に教育・認定・ネットワークの機会を提供すると共に 米国議会へのロビー活動を行っている。 なお、次回SHRM年次大会・展示会は2014年6月22-25日、米国フ ロリダ州オーランド市(ディズニーワールドがある町)で開催される ことが決まっている。


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2013年10−12月号

「女性が踏み出す 次なる一歩」 WINコンファレンス エリザベス・ハンドーヴァー グローバルWIN理事会アドバイザー 英語原文から翻訳

女性たちがネットワーキング会議に集まり、自己を 規制する態度を変え、自信を作りだし、新しいスキル を得ることに焦点を当てて論じ合った。 女性のリーダーシップ、 ワークライフバランス、そして職場におけ る一体性と多様性において「次のステップに進むこと」が、今年5 月に東京で開催された第2回ウィメンズ・インターナショナル・ネッ トワーキング(WIN)コンファレンスのテーマだった。 参加者たちは、管理職全体に占める女性の割合が11%に過ぎ ないという日本の企業社会において、大胆なステップを取る必要 性があることを認めた。日本では女性の74%以上が、自分のキャリ アのある時点において現場を離れており、その多くが再び現場に 戻ることができていないのだ。 WIN創設者であるクリスティン・エンヴィック氏は、カンファレン ス参加者に対し、今日が「女性たちの時代」であり、 「今こそ女性た ちが、大きく前進し、“本物”を目指し、そして“自分たちらしさ”を職 場に持ち込むためにお互いを助け合うことが必要だ」 と強調した。 WINは、男性と女性が国際的に働くための独立したグローバル な組織であり、女性のリーダーシップや能力開発、一体性と多様性 の分野に積極的に取り組む組織である。 台湾出身で現在、日本ペプシコーラ社の社長であるチア・ファ ン・フー氏は、 「かつて大学の先生が私に、あなたは女性でありか つ外国人というマイノリティーに属しているのだから自分のため に声を上げなければならない、 と言ったのです。マイノリティーに なることはやはりつらいことですが、女性というマイノリティーであ ることが“私らしさ”を与えてくれたのです」 と語った。 彼女は、 「ステップアップし女性リーダーとして成功するために は、自信、勇気、そして気遣いの気持ちを積み上げることです。あな たは自分自身について肯定する気持ちを持ち、自分の力を過小評 価しないことです。また、自分の立場を堅持する勇気も必要です。 頑なになったり反撃したりする必要はないのですが、ポジティブな 方法で自分の意見を表現する勇気を持つことです」 と会議の参加 者たちを鼓舞した。 この会議の5つの全体会議は、 「女性が踏み出す次なる一歩」 「現 在の世界情勢について:今、世界で何が起こっているのか」 「労働市 場の将来:求められる職場とは?」 「将来へ向けてのキャリア構築と その活かし方」そして「自分への気づき」 とのタイトルが付き、企業 の幹部リーダーたちや学識者、起業家たちが、最善実践やジェンダ 9


ーの平等性、働き方の変化、キャリア移行、 リーダーシップ開発、そ してワークライフバランスに関する最新の情報について発表した。 2日間にわたるワークショップのセッションでは、自己認識を高 め自己を規制する態度を変えること、自信を高め新しい技術や今 までとは違った態度を身につけることに焦点を当てた。 このセッシ ョンの目標は、成長への道筋や取るべき次のステップ、将来の自己 によるリーダーシップに関するポジティブなインパクトを認識する よう参加者たちを支援することだった。

ステップアップし女性リーダーとして 成功するためには、 自信、 勇気、 そして気遣いの 気持ちを積み上げることです。 物語、歌、その他の会議のハイライト 世界中から集まった多くの人たちの話を聞く機会は、女性が職 場で発見する最も困難な問題のいくつかに関する潜在的な解決策 とともに、企業が直面する課題に関する違う見方を示してくれた。 このセッションではまた、日本において、他の女性たちを支援しな がら偉大な成功を女性たちが成し遂げている状況を明らかにし た。 WINコンファレンスの見どころの一つは、 「将来へ向けてのキ ャリア構築とその活かし方」 「“本物”であること・・・ニュースマート」 「アクションにおける女性のリーダーシップ」 といったトピックを扱 うインタラクティブで実践的な一連のワークショップだった。 「自分の強みを発見せよ」というワークショップで参加者らは、 3つのユニークでしかし統合されたそれぞれの個人の見方を計

測する手法、 「ルミナ・スパーク・ポートレイト」を試した。つまり、今 の自分は「潜在している自分なのか、日常の自分なのか、そして過 剰拡大した自分なのか」を判断するのだ。 ミレイユ・ワタナベ氏は、いかにして自分たちのキャリアをパワ ーアップさせ、女性たちの自然な力を最大限引き出すことで自分 たちの関係をいかに高めるかを示す、ステップごとの個人的な発 展を実現する旅にいざなった。 女優の勝倉けい子氏は、 「リーダーのようにショーアップするこ と」 というワークショップで、演技の技法を紹介し、 どうやって自分 にもっと自信があるように見せ、女性リーダーとしての自己確信を 持つように見せるかを実際に演じてみせた。 この会議はビジネスリーダーにだけ焦点を当てたのではなく、 作家や非営利組織(NPO)代表、ジャーナリストやコミュニティーネ ットワーク関係者、アーティストや女優、武道家や音楽家らも参加 した。今年の参加者は会議2日目に、インド人コンサルタントのニ リマ・バット氏と一緒に「5つのエレメントを踊る」 という催しに参 加するよう促される前にも、合気道の演武やバイオリン演奏、そし て才能あふれる若い女性バンド(Harp & Soul, an indie/pop girlband)の演奏を堪能したのだった。

エリザベス・ハンドーヴァー ルミナラーニング アジアの社長であり、女性のキャリア開発支援 に情熱を傾けている。女性リーダーシップ開 発センタープログラムの共同創立者として、女 性リーダーシップ開発変革的プログラムを企 画・促進している。ACCJ Women In Business Committeeの共同議長、 グローバルWINコンフ ァレンスの理事会アドバイザー、TOMODACHI 女性リーダーシップイニシアチブのトレーニン グコンサルタントでもある。


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特集記事 2013年10−12月号

グローバルな人材流動システムを考える “トップタレント”を海外のターゲット市場にどのように誘い込むか ヒルダ・ロスカ・ナルテア 「The HR Agenda」寄稿編集者 英語原文から翻訳

昨今のグローバルな人材市場の特性を一言で言い表そうとすれば、それは「移動」 ということであり、 とり わけその頻度とスピードである。国際的な役割を担う企業のトップマネジメント、専門職、技術者、主要スタ ッフの存在は、私たちがまさにグローバル経済の時代に生きていることの“究極の象徴”と長らく考えられて きた。 ところがここ20、30年、海外転勤に対するニーズが高まるにつれ、技術・知識・人財の相互交流を大胆 に変えていこうとする動きが出てきた。今日の経済がさらなる成長を目指すかぎり、企業が適切なグローバ ル人材の流動性プログラムを設計することは、 これまで以上に重要であり緊急を要するものであるといって よい。なぜなら私たちはまさに、新しい市場、新しいプレイヤー、そして新しいルールの登場を目撃している からである。 マクリーン&カンパニー社(インフォテック・リサーチ・グループの一事業部門)は、 グローバルな人材流動性を「事業目標と人材計画を完遂 するための、世界中に散在するタレント (才能を持つ人たち)の移動」 と定義する。 また、同社の「グローバルなタレント型人材流動性プログラ ムを最適化する」 と題するオンラインセミナーにおいて同社は、任務を割り当てる前、その最中、およびその後に従業員を支援する企業が直面 する様々な難問を指摘する。 このグローバルな移動をさらに促進しているのがスピードと効率性であることは、KPMGリサーチが「クロスボーダーな(国境を越えた)就 業が今後2020年までに71パーセント増えるだろう」 と述べていること、 またロンドンを本拠地とする世界最大級のプロフェッショナルサービ

「グローバルなタレント型人材の流動性」 とは企業目標と労働力計画を実 現するための、世界中に散在するタレント型人材の移動である。 グローバルなタレント型人材の流動性プログラムは、事業遂行のために世界中の従業 員を移動させることを目的とした適切な持つべき支援的構造である。 効果的なグローバル 流動性プログラム

グローバルな流動性プロ グラムは、主要な事業上の、 またHRの優先事項へ の支援となる。

✓ 事業戦略上のニーズを満たす。 ✓ 労働力計画を実現する。 ✓ タレント型人材を配置するに必要な投資に見合う最終的な利益をもたらす。 ✓ 税法・入管法・雇用法・治安法を遵守する。

● グローバルな成長戦略 ● サプライチェーンマネジメント (SCM) ● 新興市場におけるプレゼンス ● グローバル事業の管理

事業上の優先事項 少数の従業員だけが グローバル流動性プロ グラムに参加している。

流動性の実践が経営層、マネジメント層、専門 ・技術職を対象としている。調査の対象となった 企業の40%以上が、毎年、 自社従業員の5%以下 を異動させており、 また65%の企業が10%以下に とどまっている。出所:World Economic Forum, 2012

● グローバルなスキル開発 ● 才能開発 ● リーダーシップ開発

HR上の優先事項 あなたの企業のグローバルのタレ ント型人材流動性プログラムは全 員に影響を与えることはないが、 事業成果の原動力となる中核従 業員には大きな影響を与える。

出所 Optimize the Global Talent Mobility Program、インフォテック・リサーチ・グループの一事業部門であるマクリーン&カンパニー社の許可を得て再録。 12


ス企業であるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)のリポ ートが「流動的な従業員の数は同じく50パーセント増えるだろう」 と 予測していることからも明白である。 大企業のみならず中小企業にとっても企業の国際化が今や不可 避の課題であるとすれば、 こうした数字は、すべての規模とすべての 業種における企業の動向を反映しているといってよい。 原動力 国際的な大学院ビジネススクールであるINSEADが発表した、 「タ レント型人材の国際流動性—2015年以降、人が動き・とどまり・離 れる要因は何か」 と題する報告書によれば、 タレント型人材の流動 性がかつてないほどに高まっている背景には、いくつもの要因があ るという。すなわち、海外旅行やITを利用しやすくなったことでグロ ーバルな就労条件に対する新たな道筋が開かれたこと、潜在能力 の開発につながる専門訓練や事業開発を獲得する機会が増えたこ とでタレントを持つ人材や企業がより支援的なエコシステム(収益 環境)を求めて動き始めたことのほかに、国際的なタレント型人材 の動きを促進するために政府も重要な役割を担っていること、適切 な資本・移民政策に投資する国が世界的なタレント型人材の流動 性を大きく支援していることも、 この調査は強調している。

HRはまさに、企業の使命を実現し 従業員と企業のグローバル経験を充実させ さらに測定可能な成果を提供するタレント型 人材管理戦略を獲得することができるのだ。 大胆な動き、変わる風景 タレント型人材市場における新しいプレイヤー(市場参加者)の 登場はまた、否応なく新しい就労環境の出現を促した。現在、2億人 もの人々が自国以外で生活し就労しているとINSEADは推測する。イ ギリスの定期刊行物『エコノミスト』の調査部門であるエコノミスト・ インテリジェンス・ユニットが発行した「グローバル・タレント・イン デックス・リポート」によれば、 「米国と英国が当面、世界的に散らば るグローバルなタレント型人材を最も多く引き付け続けるが、 これ ら2つの国も、インド・マレーシア・韓国といったアジア太平洋の新 興国がもたらす熾烈な競争に直面するだろう」 と指摘する。 グローバルな人材流動性マネジメントコンサルタントであるカー タス社が最近、発行した「国際転勤目的地トップ10」を見ると、 これま でいつも16位から14位の間にあった日本は現在、13位にランクさ れている。伝統的に“内向き志向”の文化と形容されてきた日本も、 グ ローバル化がもたらすかもしれない劇的な変化に向かい合うため に、“ものの見方”をようやく変えようとし始めたといってよい。そうし た変化は、企業と社会の両方の規模において起こっている。一橋大 学国際教育センター教授である太田浩氏は、 グローバル化を目指 す教育政策が、海外からの学生の日本における就職、 日本で学ぶ外 国人の積極的な採用、それに移民規制の緩和を促進していると述 べる。 こうした大胆な動きの中にこそ、太田氏がいう 「かつてないほ どに激化するグローバルなタレント型人材“戦争”」に日本がいま本 気で向かい合おうとしていることが見て取れるといってよいだろう。 これからの道を“地ならしする” 世界をまたいで起こっているタレント型人材の移動にさらに鋭い 焦点を当てることは、いまや形勢を一変させる強力な要因になった といえる。もはや外国に移住するのが企業の重役陣だけではなくな った今日、 グローバルなタレント型人材の流動性におけるテーマは、

成功したグローバル アサインメントに見る 3つの事例 グローバルな流動性プログラムに成功することは、 その企 業において未来のリーダーを育てることにつながる。 1997年、サムスンは社内に「グローバルストラテジーグ ループ(GSG)」を新設し、 ダイナミックな、そして急速に成 長するアジアのコングロマリット (複合企業)群の中で首 位を確保するための、豊かな潜在性を持つ人材の獲得を 開始した。GSG“卒業生”の新鮮なグローバルな視点と革 新的なアイデアが、同社の業績を強化するためにとても 有効であることはすでに証明済みであった。 「個人の能力 と企業が寄せる期待との間の乖離をできるだけ減らすた めに努力することは、 とりもなおさず国際的な経験と海外 にいる間に開発されたスキルからベネフィット (利益)を 得ることができる確率がそれだけ高まることを意味する」 ― クランフィールド大学ノーリーン・ドハティー博士 グローバルアサインメントが成功するための基盤は、海外 要員を選別する前から整備される。 注意を払うべき優先事項の1つは、長期的なグローバ ル関係の構築に不可欠な、文化的・言語的な訓練である。 例えば、“やる気満々”の営業マンは北アメリカでは期待 を凌駕するかもしれないが、同じ行動が日本では“けんか 腰”と写るかもしれない。 ソフトバンクモバイル株式会社 が、米国法人であるスプリント・ネクステル社の株式の70 %を買ったとき、 ソフトバンクモバイルの経営陣は従業員 に対し、 「TOEICで900点以上を獲得した社員には100万 円を支給する」 と提案した。 「地域に特化した政策はとて も重要だ。異文化トレーニングと開放性を通じて戸惑い をつくることは、 スキル開発の促進につながる」 ― サイモンフレーザー大学ミラ・ラザロバ教授 流動性に近づくためのより周到なアプローチは、出費の抑 制と、代償を伴う失敗の防止につながる。 指名された要員における不均衡、 リスク、信頼性といっ た懸念に注意を払うために、 アボット・ラボラトリー社は、 より綿密な計画、 また戦略的な基準の収集を通じて、 自社 のグローバルモビリティープログラムを改善した。その結 果、同社は、 コスト管理のための解決策を見つけることが できただけでなく、最終的に高い顧客満足を獲得し、従 業員の成果を高めることができたのだった。 「自社が何を 得ることができるかを追跡することに比べれば、 コストの 追跡はずっと簡単です。でも、 スキル、市場シェア、あるい は収益実績、それにソーシャルネットワークの拡大といっ た様々な視点を通じて、 グローバルアサインメントの影響 を正確に理解するために、 より多くの基準を集めようとす るトレンド(傾向)があることは確かです」 ― サイモンフレーザー大学ミラ・ラザロバ教授


「最良のタレントを、最適なタイミングと理由によって配置する」 こ とに移ろうとしていると、マクリーン&カンパニー社のリポートはい う。効果的な流動性プログラムは、世界的な経済成長を刺激し、長 期的なROI(総投資利益率)を改善し、新規市場を拡大する機会を提 供し、さらに新しいタレント型人材の蓄積を促す可能性があるとい うのだ。 だが、 タレント型人材を集め育成し、また変化するグローバルな ビジネス環境に送り出すことによって得られる豊かな“報酬”は、同 時に高いリスクをもたらすことも事実である。マクリーン&カンパニ ー社の計算によれば、中間管理職を2年間アサイン(配属) したとき の費用は100万ドル以上にもなる。だから、そうしたアサインメント が最終的にROIという“収穫”をもたらすかどうかを企業がきちんと 見極めることが決定的に重要になるという。アサインメントに失敗 するか、あるいは不十分な場合、法的な問題、従業員の心理的喪失 感、機会の逸失、企業イメージの悪化といったことにもなりかねな い。そうした問題はみな、企業と関連するステークホルダーに金銭 面ほかの損失をもたらすおそれがある (プランベラ・ザッカ参照)。 こうした問題に注目することは、優れてダイナミック (躍動的)な労 働力に対する需要に直結する、効果的なタレント型人材プログラム を設計するうえでHRが指導的な役割を果たす好機ともなる。 これに 関連して、 「その企業のタレント型人材流動性プログラムをHRはい かによりよく管理することができるか」 ということがきわめて重要だ とマクリーン&カンパニー社はいう。 この視点に立ってタレント型人 材の流動性に対処して初めて、HRはまさに、企業の使命を実現し、 従業員と企業のグローバル経験を充実させ、 さらに測定可能な成果 を提供するタレント型人材管理戦略を獲得することができるのだ。 最後に、マクリーン&カンパニー社リポートが規定する、効果的な グローバルタレント型人材流動性プログラムにおける“5つの要諦” を挙げておこう。 1. あなたの会社のグローバルタレント型人材流動性プログラ ムと事業戦略・人材計画とを同時に進める。 2. あなたの会社のグローバル事業に必要な従業員のタイプ (「操業スタッフ」 「高い成果を挙げているスタッフ」 「潜在

3. 4.

5.

性が高いスタッフ」など)をきちんと定義する。それによって、 あなたの企業における一般従業員・タレント型人材両方の ニーズを満たす独自のプログラム内容をつくることがで きる。 新しい環境においても成功できる能力を持つ、 グローバル な人材配置にマッチした従業員を選別する。 コンプライアンス上の問題、入国の遅れ、 また全般的な混乱 を防ぐために、あなたの企業プログラムの基本に効率的な プロセス(手続き)を組み込む。 アサインメントの前、最中、そしてその後も、従業員のタイプ、 アサインメントの内容、 また特定の環境のためのニーズなど にマッチした“あつらえの”プログラムを用いて従業員を支援 する。

グローバルなタレント型人材の流動性という新しい“常識”にお いて、成功の追求はもはや追いかけっこ、登山、あるいは競走の形で はない。それはむしろ、複雑で終わりのないダンスといってよい。そ こでは、バランス、敏捷性、創造性、そして目的という新たな感覚が 革新的な成果をもたらす原動力となっている。 謝辞 この原稿をまとめるにあたり、マクリーン&カンパニー社商品担当取締役ジェニフ ァー・ロゾン氏に多大の協力をいただいた。 この場を借りて深い謝意を表したい。

ヒルダ・ロスカ・ナルテア シドニーに本拠を 置くPRエージェンシーのライティングチーム 責任者。そのかたわら、複数のNPO法人のコ ンテンツプロデューサーを務める。またかつ て、フィリピン・エネルギー省のもとで、国連 開発計画のいくつかのプロジェクトを担当し たこともある。

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2013年10−12月号

なぜ、社外から採用された者が、高い給与を支払われながら 社内の従業員よりパフォーマンスで劣ることがあるのか Knowledge@Wharton(ペンシルバニア大学ウォートン校)

「得る物が少ないのにより多くを支払う―社内の流動性に対する社外採用の効果」 という題名の論文で、 ウォートン校経営学部で教えるマシュー・ビドウェル教授は、 「社外採用にかなりの経費を投入するのに対 し、社内の流動性にかなりの利得がある」 ことを立証している。ビドウェル教授は自分の論文で「企業内の労 働力の構造に関するユニークな証拠を提供している。 その結果は、社内の流動性によって企業が、優れたパフォーマン スを示しながら、少ない報酬しか与えていない従業員に、 より高い レベルの仕事を任せることが可能になること」を示している。社外 採用に比べて社内の流動性を高めることが大いに有利になること を詳しく説明しながら、教授は「これらの結果から分かるのは、従 業員の流動性に関するプレッシャーに直面して、社内の労働力の 活用が引き続き根強さを持っていることだ」 とつけ加えている。 彼はまた、 「外部から採用された人間はしばしば(社内の候補者 より)多くの教育や経験を身につけており、そのことがおそらく彼ら がより多くの報酬を受けていることの理由だ」 と述べている。社外 から採用された者は、通常、社内から抜擢された者より18~20% ほど高い給与を支払われている。 「自分が採用しようとしている人物について知識が少ないとき には、自分が理解できる事柄に、より積極的になる傾向がある」— たとえば、応募者の履歴書に掲載されている教育や経験のレベル について、また、ビドウェル教授が「対外的に観察可能な属性」 と呼 んでいる事柄についてだ。けれども「教育や経験は合理的に見て、 その仕事に対していかに誰かが適切かという弱いシグナルでしか ないのだ」 と彼は説明する。 これらの観察可能な属性を見ると、なぜ社外採用者が社内で同 じ職に昇進した者よりかなり高い報酬を得ているか分かるだろう。 もし、 これらの採用される者がより良い履歴書を持ち、社外で容易 に仕事に就くことができると認識される場合に、彼らは社内の従業 員より高い報酬を要求することができる。また、 この社外採用され る者は、新しい職務を担当する際に不慣れな環境に対応しなけれ ばならないため高い報酬を求めるのかもしれない。 ビドウェル教授は、自分の研究が、組織で働く社内従業員に不満 を与える可能性のあることを認めている。 「 残念なことに、社外の 採用候補者として身売りしやすいことが、いつも価値あることであ り、一般的により高い報酬を得ることにつながっている。そうする と、次の質問が出てくる。社内の人間は自分の給与を引き上げるた

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めに仕事をやめると会社を脅すべきか」 と。教授によると、学会で はよく知られていることだが、かなりの賃金引き上げを得る唯一の 方法は、社外のオファーをはっきりと示すことだ。 「しかし、ある企業 では、そうすることは解雇に簡単につながる。そのような要求は会 社に対する裏切りの印ととられるからだ」 と教授は書いている。 能力を積み上げる ビドウェル教授は次のようなキャリアに関するアドバイスを行う。 「もし、あなたが今いる場所が好きなら、そのままそこにいること だ。もしくは少なくとも、あなたがスキルを得るのにどれだけ困難 を伴うかを理解することだ。別の職場でもうまく仕事をやれると考 えているとしても、前の職場で得たのと同じ能力を積み上げるに は長い時間がかかるのだ。自分の今の技術はあなたが考えている よりは往々にして移動のきかないものであることを知る必要があ る」。 教授は明らかに社内の流動性を高めることに肩入れしている。 「報酬が低いかもしれないが、あなたのパフォーマンスの方が優 れているし、 より保証されている」。 この研究で教授は2003~09年にかけて米国の投資銀行業界か ら職員に関するデータを入手し、それを分析した。その研究で、彼 は、社外から雇用するより社内の人材を登用する方が2倍多いこと を突き止めた。投資銀行について彼は「組織的パフォーマンスがし ばしば、労働力のスキルに依存し、それゆえ従業員の判断の重要 性が増していることから、社外と社内の流動性に関する効用を研 究するためには興味深いコンテキストだ」 としている。加えて、銀行 業界の職員たちは「その流動性の高さは悪名高く、すべてのレベ ルで社外から採用することに組織が常に関与しているというコン テキストを生み出している」。 投資銀行における仕事の一つの重要な特徴は、そこにおける昇 進が、以前の仕事との継続性を測ることで下される傾向があるとい うことだ。昇進はしばしば、同じ職務を継続しながらも、副社長やま


たは役員という、より高い地位を獲得することにつながっている。 実際、教授も指摘するように、多くの組織において昇進とは、即座 にこれまでと違った職務を引受けることを意味しない。むしろ、責 任が徐々に増え、時間をかけて、昇進によって認識される。将来の 人材配置の必要性を考慮するとき、組織は依然、いかにしてより高 いレベルの運営能力を持つ従業員を獲得するかについて考えな ければならない。社外から採用するのか、それとも社内から昇進さ せるのか。 類似したパターン ビドウェル教授は、違う種類の仕事について、また、違った組織 間でも類似したパターンを発見している。彼は投資銀行の専門職員 (トレーダーズや営業職員、研究アナリストや投資銀行家)や研究 現場における支援スタッフについてそれぞれ別々に分析した。給 与やパフォーマンスに関する彼の分析結果は、これらのグループ を超えて首尾一貫している。彼はまた、別の投資銀行と出版会社に ついて研究し、 「社外採用者は、社内昇進者より高い給与を受けな がら、そのパフォーマンス評価はより低くなっている」 という同じ結 果を導き出した。 しかし、彼は昇進の内容が重要だと結論づける。他の昇進した 従業員とは違い、昇進すると同時に別のグループに移転させられ た者たちは、同じグループ内で昇進した従業員とは違い、社外採 用された者より優れた仕事を行っていない。教授は、 「我々の仕事 にとって重要なスキルは、我々が現在占めている職位にとり、 とて も特有のものである。組織内の仕事の内容における大きな変更で も、パフォーマンスの減退につながる」 と推測する。 これまで以上に社内の人材を昇進させるには、 「 会社が長期的 なパースペクティブを持ち、将来どれだけの人材供給が必要にな るか知る必要がある」 と教授は述べている。また、マネジャーを通 じて、社内の人間が自分たちに対するチャンスが開かれているこ とを確実に理解させることが必要だ。 「そして最後に、社内流動性

には経費が明らかに生じる。たとえば、いつも外部のトレーニング に便乗するのではなく、自前の研修に経費を割くといったことだ」。 教授は論文で、社内と社外における流動性の差異は究極的には 2つの要因から発生していると指摘する。つまり、従業員が自分の 以前の仕事から得たスキル、および、企業や従業員がお互いにつ いて持つ情報量という2つの要因である。 教授は、社外から採用された者は、 「セキュリティー・リサーチや 科学的リサーチ、または外科手術のような一般的にハイレベルの スキルなど、その業務が個人的な従業員のスキルや知識に依存し ているとしても、同時に、組織のなかでの他人とのしっかりとした 協調が必要であり、かなりの量の新しい情報を学ぶことが求めら れる」 とコメントしている。 これに対し社内で移動する従業員は、当 該企業でより長い経験を持つため、 「往々にして、新規採用者が持 っていない、その企業に特化した重要なスキルを持っていること がほとんどである」 と教授は書いている。 企業と社外採用者がお互いを出来るだけマッチさせるように観 察し合うときに発生するプロセスについては、ビドウェル教授は、 そのタスクが、お互いにしばしば「相互に関する不完全な情報を持 つ確率が多い」ため、困難に直面しうると書いている。応募者の本 当の質を見定めようと企業は苦闘し、従業員も応募可能な仕事の うちで、 どの仕事が自分の志向と能力にいちばん合っているかを 知るのに苦闘する。 しかし、教授が記すように、社内の求職者につ いて、企業は彼らが以前の職でどれだけ上手く任務をこなしたか、 また、現在の組織にいかに彼らが合っているかを含めて、 より多く の情報を明らかに持っているのだ。

編集者注 最初に出版されたのは2012年3月28日。ペンシルベニア大学ウォートン校のオン ライン・リサーチ及びビジネス分析雑誌であるKnowledge@Whartonから再掲載 の許可を得た。©2012. All rights reserved.


LEGAL CLINIC

"Ignorance of the Law is no excuse."

2013年10−12月号

労働組合がない場合 法的要件を満たすには?

質問:

私どもは、 日本に100人ほどの従業員を持つ外資系企業である。わが社には労働組合がない。 こうした場合、労働側代表と協議するという法 的要件を満たすために通常、経営側はどういう働きかけをしているのか、 また、 どういうことが許されないのか教えていただきたい。 ―日本にある外資系企業の人事担当者

回答: 日本語原文による寄稿

主に2つのやり方があります。会社が音頭をとって、 「労働委員会」 のようなものを作ります。 こちらは、会社が場所の提供など援助しま すので、 「労働組合」 とは言えません。 しかし、事実上従業員を代表す る組織となることは可能です。ただ、 この場合、会社があまりにコン トロールを強めますと、そもそも「従業員を代表」 しているとは言え なくなります。 また、反発した従業員が、 「組合」を別途作ることもあり 得ます。その意味では、会社としては、付かず離れずに援助していく ことが大切になります。

従業員の意思とは無関係に、会 社が勝手に進めたと言われないよう に、代表者の選定手続きなど、十分 に注意して進める必要があります

もう一つは、個別の問題ごとに、従業員を代表するものを選ぶこ とになります。 こちらも、従業員が選ばないといけませんが、事実上 は会社が音頭を取ることも必要になります。ただ、具体的な案件が 持ち上がっており、それに対する同意を欲しいがために従業員の過 半数を代表するものの選定が必要という事情があります。そうだと LEGAL

すれば、従業員の意思とは無関係に、会社が勝手に進めたと言われ

CLINIC

ないように、代表者の選定手続きなど、十分に注意して進める必要 があります(従業員に自由な投票を保証するなど)。

大山滋郎弁護士 東京大学法学部とワシント ン大学セントルイスのロースクール卒。アル パイン株式会社の特許法務部門と米国シドリ ー・オースティン法律事務所の東京オフィス で16年間勤務した後、横浜パートナー法律事 務所を開設し、クライアントに対して労働法 を始めとした法的サポートを提供している。 日本と米国ニューヨーク州の弁護士資格を 持つ。

我らがエクスパート のご紹介

人事関係の法律に関するご質問、エクスパートへのご志願はhrclinic@jhrs.org までお寄せください。

ビッキー・ベイヤー

採用 、ベネフィット・プログラム、解雇、退職、従業員関係、差別および ダイバーシティ、非競争、調査および懲戒関係

トビー・マレン

米国でのビジネス、労使問題と雇用、不動産法律関係

大山滋郎

会社法、知財権法

グラント・スティルマン

国際組織および貿易に関する法律

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お断り:筆者がここで述べているアドバイスや意見は一般的な情報を提供するのが目的で、専門的 な法律アドバイスではありません。法律的なアドバイスが必要な方は資格を持った専門家に個別に 相談してください。


HRに聞け 2013年10−12月号

Andrew

& Y o s h i ’s

AskHR Helping you solve your people issues.

Ask Andrew & Yoshi: email us at AskHR@jhrs.org

HRとして働くために私が日本に行くことは可能でしょうか? 「日本で働く道はあるでしょうか。それともそれは、さまざまな国においてさまざまな基準で行われる会計 制度のようなものでしょうか」 ―米国の学生

アンドリューの見解: 英語原文から翻訳

そして最後に勧めたいのは、 『HRに聞け』のこれまでのアーカ イブを一読することだ。そこには、さまざまな視点から私たちが受

もちろん何事も可能だ。今や、日本のすべての分野で多くの外国 人が働いている。 私の最初の質問は、キミは今までに日本を訪れたことがあるのか ということだ。もしまだだったら、一度、日本を訪問し、日本を巡り、 日本の人たちと会ってみるとよい。そうすれば、異国の地で働く際に

けた、 日本で働くという経験についての質問が詰まっている。そうし た質問に対する回答はきっと、キミがより深い洞察と理解を得るの に役立つだろう。 キミ自身とキミの研究に幸運がありますように。自分の夢を追っ てください。

直面するかもしれない難問や喜びを少しは予測することができる だろう。 海外で働く際の主要な課題にはしばしば、キミの経歴やこれから の目標に関係のない、言語(話すことや書くこと)や就労ビザの取 得といった、仕事の内容とは直接的に関わってこない事柄が含ま れる。だから、私の最初の勧めは、 「日本で住むためには何が必要 かということをもっと理解してほしい」 ということだ。今日、重要かつ 最新の情報は、個人的な情報交換、政府機関が作成したウェブサイ ト、ビザに関するアドバイスを提供する企業などを通じて簡単に入

アンドリュー・マンターフィールド 須田マンターフィ-ルドコンサルティング エグゼクティヴ・コーチ&シニア・コンサルタント 人は「さらなる達成感を得たい」 という願いをもち、かつ、その願いを実現する能力を 持っている、 と考える彼が目指すのは、 クライアントそのひとが持つ価値・能力を見出 し、 クライアントが自信と輝きに満ちた毎日を送ることができるよう導くことだ。 「ギネ ス®」 「キルケニー®」、 「スミノフ アイス®」などのブランドを所有する英酒類大手ディア ジオ社での27年にわたる輝かしいキャリアの持ち主で、10年以上におよぶ人事部門 そしてセールス部門での管理職在任中には、日本、オーストラリアそしてイギリスで の駐在をはじめ、 アジア、 ラテンアメリカそしてアフリカ地域を奔走し、当該地域にお ける社の発展に貢献した。そのなかで、 アジアの文化、特に日本の文化を背景とした 日本特有の雇用問題や企業における問題などを深く理解するようになった。

手できる。 仕事を探すためのチャンスはいつも転がっている。 しかし、問題 はそれをどうやって見つけるかだ。キミの専門知識が、言葉の流暢

ヨシの見解: 日本語原文による寄稿

さや日本企業における以前の経験といった、企業が求める特定の 条件に合っていない可能性もあるだろう。労働基準についていえ

雇用主の立場からいえば、他の求職者を凌駕する明らかな強み

ば、HRの実態と同様、日本の労働法は米国とは違っているかもし

を持った人物を企業が採用したいと思うのは当然だろう。では、私

れない。それでも、 このような目に見える「障害」を克服する方法は

がキミだったら、日本企業に採用されるために何をするだろうか。

ある。例えば、自分のよく知らない分野についてもっと学ぶこと、あ

私個人の個別的な経歴をアピールするだろう。例えば、普通の日本

るいはもっと欧米的な企業風土を持つ会社に応募することだって

人にはできない、米国の大学に通ったということを、自分の優位点

できる。

として活用するに違いない。

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さらに、もし私があなただったら、自分の優位点をもっと強化す るために、以下のようなことを考えるだろう。 ● HR技術の習得度を引き上げる―HRに関する最善実践、

一般労働者としての経験を積みステークホルダーの視点か らHRを見るために、インターンとして仕事を始めることも 可能だ。カリフォルニアにある日本企業でインターンとして、

つまり哲学、アプローチ、原則、ポリシー、そしてシステムや

あるいはパートタイマーとして働いてみるというのはどうだ

ツールなどをマスターするために懸命に努力するだろう。多

ろうか。あるいは、欧米と日本の企業で働く従業員らにイン

くの日本企業が現在の経済状況において真のグローバル

タビューして、それぞれの企業で人々がどうやって協働し、 ど

化を目指して努力しているなか、私はグローバルな(北米仕

うやって物事が進められるのかを直接、知るために何らか

様ではない)HR体系をマスターすることが、効果的なHR

の現場調査をしてみるというのもお勧めだ。 このような経験

実践者になるためのカギの1つになると信じている。HR

は、キミが「都会で生き抜く知恵」 と多くの大切な考察力を

マネージメント協会(SHRM)に参加することも、エキスパー

身に着けるのに役立つだろう。

トや実践者から直接、学ぶことができる良い方法だろうし、 そのことはキミの視点、知識、技術、それにマインドセット (ものの見方)を広げるのに役立つだろう。

次のことを考えてほしい。日本に拠点を持っていたグローバルな (北米の)製薬会社に、マーケティングアシスタントとして最初に 働いたときの私の強みと優位点は、(a)マーケティングに特化した

● リーダーシップの経験を広げる―多くの卓越したグローバ

米国のMBAを取得したこと、(b)異文化コミュニケーションで学士

ル企業では、人材の育成、組織の優越性を確立する際にH

号を取得するなど米国で異文化経験を積んでいたこと (私の最初

Rがリーダーシップを握る局面が増えている。私たちは、 リ

の企業における各部署のトップは全員、日本人以外の外国人だっ

ーダーシップ、効果的なコミュニケーション、そして交渉技術

た)、(c)私が大学在学中ずっとマルチな分野でリーダーシップ経験

といった「ソフトスキル」を開発する経験を多く持つことが

を積み実績を上げていたこと—だった。

必要だ。 どうか、自分の情熱を注ぐことができると感じる物 を見つけ、多様な人間集団をリードしながら、人材・組織・コ

キミも、日本で求職する前にこのような取り組みができるに違い ない。

ミュニティーの効果向上に役立つ「何か」を創造し導くため に主導的な役割を担ってほしい。 この経験は、キミのリーダ ーシップ、イニシアチブの取り方、そして結果重視主義—ど

松井義治(ヨシ)

れも 「力のある」 リーダーにとって不可欠な要素—を必ずや

HPOクリエーション 代表取締役社長

強化するに違いない。

ーシップ開発と組織開発を専門とする。エグゼクティブコーチング、 リーダーシップ

12年間のマーケティング経験と12年間の人事と組織開発の経験をもとに、 リーダ 開発、組織変革、マーケティング及び営業力強化などを通して、顧客企業のビジネ ス成果・組織の健康・社員の能力と士気の強化を支援。北九州大学外国語学部卒

● 実践経験を増やす―今日のような変化の速い経済状況に置 かれた組織には、知的な思索者や学識にかたよった人では

(異文化コミュニケーション専門) 、 ノースウェストミズーリ州立大学経営学修士(MB A)。現在、ペッパーダイン大学にて教育学博士コース(組織変革専攻)を修了し博 士論文執筆中。

なく、効果的に結果を出す機敏な実践者が必要だ。キミは、

お断り アンドリューならびにヨシの回答、意見、見解は個人のものであり、必ずしもThe Japan HR Societyやその会員、事務局、会友、支援者の全般的見解や感情を代表するものではあり ません。更に、 アンドリューならびにヨシの回答、助言、見解は情報提供だけを目的としたものであり、資格を有する法律専門家、財務専門家のより専門的な法的、財務的助言にとってか わることを目指したものではありません。

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パ フォー マンス 管 理 2013年10−12月号

ポジティブ・アプローチは感染していく ブレット・アンソニー・ベダード 東京にあるトレーニング・出版・コンサルティングを業務とする上場企業の国際オペレーション・スペシャリスト 英語原文から翻訳

よいパーフォーマンスを望むなら、ポジティブ・ア プローチを取ることだ。つまり、社員の弱みを心配す るのではなく、その強みとやる気に投資するのだ。

HRマネジャーの中には意見を異にする人もいるだろうが、ふ つう自分の会社に子どもを雇い入れたりはしない。彼らは大人なの だ。彼らは、われわれが子どものように扱う時、そのように振る舞う だけなのだ。最近の会社で導入しているHRの方針の多くを見れ ば、たとえ託児所ではないとしても、 まるで高校を経営しているので はないかと考えるだろう。 マネジャーとして、HRであれ、他の部署であれ、われわれは選択 を行っている。そう、われわれは、その選択が重要な決定であると考 えようとするが、 しかし、それらはしばしば単純な選択にすぎない。 いくつかの例を紹介しよう。 あなたは自分たちの社員が満員電車から降りて急いで会社に時 間通りに到着するよう急がせるだろうか。それとも社員が電車から 降りた後、会社に来るまでに静かにどこかで席を確保し、たとえそれ で会社に10分遅れたとしても、平和な時間をエンジョイすることを 勧めるだろうか(ヒント:あなたのコンピュータはあなたが遅刻して も怒ったりはしないだろう。人間は腹を立てるが、機械や犬はそんな ことを気にしない)。 また、あなたは社員が弱みを抱える分野を改善しようと時間を費 やすのを良しとするだろうか、それとも、彼らが自分たちの強みをさ らに開発することに時間を投資するのを良しとするだろうか(ヒン ト:社員の望まない研修や開発に費やされる時間・金銭はどれぐら いか、あなたは推測できるだろうか。私には分からないが、 自分が日 本語を上手く話せるようになろうと、 どれだけ無駄に時間とお金を 掛けたかはよく知っている)。 あなたは人を退屈させたり、身を引くような勤務評定システムを 持ちたいと思うだろうか。それとも4つの質問からなる再評価を行 い、残りの時間を面白い話に費やすことを選ぶだろうか(ヒント:も

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し、あなたが隠しだてせず、1年間を通じて社員と一緒に働き、 コー

マネジャーとしての主な義務と責任は、自分たちの組織の仲間に

チするなら、勤務評定面接は発展的会合と何ら変わらなくなり、 レン

対するものである。心配は無用。もしあなたが彼らの世話をみるの

ズの入っていない風変わりな眼鏡を笑い飛ばすような機会となる) 。

であれば、株主に対するあなたの責任も十分に果たすこととなる。 よく話し合い、部下にコーチし、彼らと楽しむことだ。すべての企業が よい業績を望みながら、少しの企業しか、それを手に入れることが

ある人の弱みはたいていの場合

出来ていないことを時々考えてみることだ。アブラハム・リンカーン

別の人の強みだ。人が自分の強みと

大統領が「私には成功は約束されていない。自分が持つ光に従って

やる気に基づいて自分の仕事を 再構築するように仕向けるのだ。

生きる運命にあるだけだ」 と述べている。 自分の周りにいる人々の潜在能力を発見し、部下が自分らくし生 きることを可能にするのである。 もちろん、もしあなたが自分で関心を寄せている者と一緒にソフ

では私は今日のHR環境について本当に悲観的だろうか。いや、 言いたいことはこうだ。人事管理がよく分かっていなければ、組織心 理学を学んだ者でも、良い仕事をすることは難しい。残念ながら、組 織心理学の見識を備えていなくとも人事または部門の長になること は十分にありうる。 もし、心理学の原則を学び、それをHRや一般的 なマネージメントの領域に適用すれば、その組織に効果があるだろ う。もし、さらに歩みを進め、積極的な視点からこれらの原則を応用 することを学べば、その組織は違ったものになるだけでなく、繁栄に 向け成熟するだろう。

ァに座って居心地良くなるほど十分な幸運に恵まれなかった場合、 これを一人で読んでいるかもしれない。多勢に無勢と考えるかもし れない。でもインフルエンザの蔓延を引き起こすのに、最初何人の 人が必要かを考えてみることだ。積極性は人に感染しやすく、創造性 を引き出す。 よい環境と経営側の心遣いが組織的なエネルギーを 生み出す。 自分らしくあることが優秀さをはぐくむ。 これがパフォーマンス、いや並外れたパフォーマンスを導く。あな たが病気蔓延連鎖の最初の患者になることを考えてみてほしい。積 極性がいかに人に感染しやすいかに驚くことになるだろう。

自分たちが望むすべての重要業績評価指標(KPI)をボーナス ポイントに反映させることはできるが、本当にパフォーマンス向上 を望むのであれば、何が実際に役立つかを見極めることから始めな ければならない。人がその生活を楽しめるよう時間とスペースを与 えるのだ。 また、人が強みを探求し、発見し、開発するのを助けること だ。ある人の弱みはたいていの場合、別の人の強みだ。人が自分の 強みとやる気に基づいて自分の仕事を再構築するように仕向ける のだ。

ブレット・アンソニー・ベダード 経営学修士号 を持つ公認会計士。現在、 トレーニング・出版・ コンサルティングを業務とする上場企業の人 事・会計部門の国際ライセンス課で、国際オペ レーション・スペシャリストとして働いている。


組織的行動 2013年10−12月号

フロー・ワークプレース を目指して

太田哲二 ポジティブイノベーションセンター(CPI)理事 日本語原文による寄稿

職場に元気がないと感じている方も多いのではないか。共通する現状の問 題点と打開の方向性をポジティブ心理学の視点から考察を試みた。

アベノミクスの効果もあり、経済的活力を取り戻す兆しも見えま

第3に成果主義の導入です。景気低迷、 グローバル化を背景に

すが、日本社会が抱える課題はいまだ山積みです。私は依頼を受

企業も生き残りをかけ成果主義を導入し、結果しか重視しなくなり

け職場風土や会議のあり方を診断するため企業や自治体を訪問

ました。パフォーマンスのあがらない社員はリストラされます。情

することがありますが、共通して3つのことに気づかされます。

報社会の現在、四六時中メールや情報のチェックに追われ、ストレ

第1に職場がシーンとしていることです。皆、コンピューターと対 話しながら仕事をしています。ひどい場合は隣り同士でもメールで やり取りしています。会議でも皆、下に置かれた資料ばかり見て顔

スに押しつぶされそうになっています。人の心を置き去りにした成 果のみに焦点を当てる弊害がいたるところで見られます。 こういう現状をどうやって打破すればよいのでしょうか?どうす

を上げません。発言をボードに描かないので議論が見えません。

れば社員が元気でイキイキと仕事に取り組むことができ、成果の

人間関係が非常に希薄になっています。

上がる組織を創ることができるのでしょうか?

第2に職場に余裕がなくなってきました。人減らしが進み一人

この解決策として注目されているのがポジティブ心理学で提唱

で受け持つ仕事の量が増え残業しなければやっていけない時代

されているフロー理論です。フローとは高次元の集中力を生み出

です。雇用形態も変わり、派遣社員が増え、仕事がタコツボ化し、若

す精神状態のことを言います。

い人でも派遣社員を使いながら仕事をしなければなりません。就 職して3年以内に辞める社員が激増しています。鬱の予備軍や鬱の 患者が増えているのも理解できます。

時間を忘れるほど 仕事や趣味、社会活動などに夢中になっているうちにあっという 間に時間が経ち、気づいたら日が暮れていたという経験をお持ち

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不安

チャレンジ

フローの起きる場とフローを通じての成長

フロー理論の第一人者 CPI渡辺誠氏提供

D

C

B

A

ミハイ・チクセントミハイ氏

E

スキル

退屈 高

CPI渡辺誠氏提供

の方もあるでしょう。 こういう時は、そのことが、すべてにおいて優

ています。人はAの状態からタスクを始めるとスキルが上がるにし

先され、時間を忘れるほど、のめり込む。なにより楽しく充実感に満

たがって次第に慣れていきBの「退屈」に近づきます。この時点を

ちあふれ、人間にとって最も生産性の高い幸福感に満ちた状態で

長く続けるとモチベーションが下がり、没入する機会が少なくなり

す。カリフォルニア州クレアモント大学のミハイ・チクセントミハイ

ます。挑戦が必要な新しいタスクCに替わると再び「フロー」が体

教授はこれを「フロー(FLOW)」 と名付けました。 フローとは「流れる」 という意味ですが「心的なエネルギーが滞 りなく流れている状態」を指します。フロー状態になると時間感覚

験でき夢中で仕事ができます。 「フロー」を体験する人はこのプロ セスを繰り返します。 このようにスキルに合ったタスクをチャレン ジとして与えることで人は成長するのです。

が消失すると言われています。最近は脳科学が進歩していますが、 フロー状態では肯定的な感情が生まれ、β―エンドルフィンなど の脳内物質がリリースされ幸福感、創造力、ひらめき、発想力が高 まることが報告されています。

「サザエさん症候群」 「サザエさん症候群」という言葉があります。休日も終わり明日 から仕事が始まることを思い出して憂鬱な気持ちになる。 しかし本 来仕事は楽しいはずです。フローが職場に定着するとブルーマン

フローとは、心的なエネルギーが滞 りなく流れている状態を指します。

デーどころか休みあけが待ち遠しい。ワクワクして早く会社に行き たいと思う。そのような職場になれば仕事は生きがいとなり楽しみ ながら主体的に仕事に取り組むことができるようになります。その 結果、成果が上がり、従業員満足度も上がり、社員も企業も成長し ます。 これはまさに、好循環の学習する組織を創り上げることにほ

チクセントミハイ氏はフローは以下の条件で起こると述べてい ます。 ◦明確なゴールや目標があること

かならないのです。 成果主義を持ちださなくても組織の全員がフローになりプロセ スを楽しむことができれば結果はおのずからついてきます。

◦目標はその人のスキルに比べてチャレンジが必要なこと ◦目標達成に本質的な価値や意味があること ◦状況を自分達でコントロールでき工夫の余地があること ◦自分たちの本来持っている強みを活かすことができること ◦フィードバックが即座に得られること

太田哲二 社団法人ポジティブイノベーション センター理事、立教大学経営学部兼任講師、 人財開発・組織開発コンサルタント。産業カウ ンセラー、MBTIユーザー、アクションラー ニングコーチでもある。

「フローの起きる場とフローを通じての成長」 (図)をご覧くだ さい。この図は人のスキル水準とチャレンジの度合の関係を示し

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トレ ー ニングと開 発 2013年10−12月号

「グローバルな視点」 と 「ノマド的な視点」 テリトリーマッピングを通じて事業変革を目指す アンソニー・ウィロビー マンモス・ハンターズ社創業パートナー 英語原文から翻訳

グローバルなリーダーとチームの育成という“冒険”を通じてアンソニー・ウィロビー氏は、地球上の緯度 と経度がもたらす見事な地理的な対比イメージに一貫して注意を払ってきた。本稿で私たちは、新しいテリ トリー(領域)に進出する際に半遊牧民が用いる原則についてウィロビー自身と彼の同僚であるマサイ族の ミラ・マンクラ氏に話を聞く。私たちはまた、 リスペクト (敬意)、分配された資源、勇気、それに注目といった教 訓からさまざまな利益を得てきた事業専門家の声も聞く。我々はこの論考で、中国の長城やインドネシアの メラピ活火山への旅から得られた洞察を聞くことになる。

経営者が新しい奇抜なアイデアを探すのを止め、すべての文明 の発展の基盤となってきた“賢い”意思決定、 リーダーシップ開発、 資本防衛のための方法論を探求するうえで、今こそ最適な時期は ないといってよいだろう。技術と情報サービスがかつてないほどに 入手可能で使いやすくなってくると、次の重大なビジネス上の革 新は、数千年にもわたって我々とともにあった富の管理とリーダー シップの開発というファンダメンタルズ(基本原理)に関係するの かもしれない。 過去数十年以上にわたって私は、テリトリーマッピングと呼ばれ る視覚化プロセスの開発に専念してきた。それは、あなたの領域 の責任、権威、貢献に絶対的な明晰さを導き出す、1万5,000年も 続いてきた普遍的な遊牧民の原則と知恵から得られたものだ。 こ のプロセスは、まるで地球を渡り歩く遊牧民のように、未来志向の

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企業が最も複雑な事業状況に対応するときの“励み”となる。つま り、すべての文化的・階層的・言語的な障害を理解し評価し、そして 超越することは、今日の変化し、常に難問を突き付ける企業環境の 中で新しい明晰さを獲得することにほかならない。 まずは“土台”をつくる テリトリーマッピングのために下準備する1つの方法は、文字ど おり、そして比喩的に、会議室を飛び出し、居心地のよい環境を打 破し、夢中になれる、いつもと違う経験(それを冒険と呼ぶ人もあ るだろう)に踏み出すことだ。 リーダーシップワークショップのための場所は、築100年の中国 の日陰になった大きな中庭の周りに建てられた家かもしれない。 あるいは、万里の長城という背景幕かもしれない。TBWAグレータ


ー・チャイナ・グループの社長であるイアン・サブロン氏は自 身の経験に基づく実感から次のように語る。 「 万里の長城の 上に立つと、我々が直面する障害としてこれ以上に強力なメ タファー(隠喩)はないと感じる。私たちは、私たちがさらに TBWAになるために必要な要素のうち、戦争の話、伝説、共通 の言語、それに何より重要なオフィスごとの明確な計画を伴 ったリーダーの集まりという絆によって私たちは結ばれてき た。“さらにTBWAになる”とは、どのようにして文化をつくる か、 どのようにしてスタッフに活気を与えるか、 どのようにして 協力し合うか、 どのようにして私たち自身を既存顧客や潜在 顧客にとって魅力的な存在にするか、 といったことである。やる ことはいっぱいあるのだ」 グローバルビジネスにおけるノマド(遊牧民) オムニコム・グループは、人材開発と 「最も聡明で最もクリ エイティブなタレント型人材」の募集にテリトリーマッピング の技術を応用している。共通の企業言語を創造することもま た、ケニヤにあるエクスプレス・オートメーション社の関心で ある。そこで同社は、同社の運命に対する責任への関心を人 々に払ってもらうために遊牧民の原則を用いている。真空掃 除機で有名なダイソン社は、北米、中国、そしてオーストラリ アにおける新規市場カテゴリーに同社の新しい空気処理ファ ンを導入する際に、その戦略化にテリトリーというコンセプト を用いた。一方、 トルコのアビバ・グループの役員たちとシグ ナ・グローバル・ヘルス社の経営陣もまた、彼らの事業成長と タレント型人材の開発のための方法論に対する洞察を得る ために、半遊牧民的放浪を開始した。 近代的な生き方から従業員を隔絶するような場所(つまり、 インターネットに接続できない、寮のような住居、熱い湯や電 気が必ずしもないような場所)においてタレント型人材の開 発を行うことは、コアグループの集中度をそれだけ高める効 果がある。参加者は、そのことによって意志力とチームのモラ ル(士気)への集中が高まることに気づく。もしある企業が従

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メラピ山

業員に対する信頼を構築することがで きれば、そのことは、個人の達成感につ ながり、ひいてはグループのモチベー ションの創造につながる。同時に、 グル ープのモチベーションは個人を刺激し、 より利益の多い、より競争力の強い、そ してより幸福な企業の発生へと導く。 インドネシアにおける集中訓練 従業員を鼓舞するために、すべての 企業がそのような遠隔地を選ぶわけで はない。なぜならそうした場所は、従業 員を事業の実態から切り離してしまうこ とにもなるからである。ある日本の先進 的なエレクトロニクス企業は、彼らが急 成長する新興市場と見ている地域にお ける実態に主要なスタッフを結び付け るための戦略として、集中訓練という方 法を採用している。エレクトロニクス分 野の“巨人”であるこの企業は、プロジェ クト機会とインドネシアにおけるインフ ラ開発とを結び付けるために、自社ス タッフのマインドセット (ものの見方) と スキルの開発を目指している(これに ついては本号論説も参照されたい)。 こ の会社は、2人のインドネシア人研究 者と共に7人の役員を日本から、彼らの マインドセットとスキル訓練の一環と してある活火山に派遣した。マッピング と討論の機会はいろいろな環境の中で 持たれた。ボロブドゥール、9世紀、ジャ ワ島の中部にあるマハーヤーナ仏教寺 院、地球上もっとも活発かつ危険な火 山の1つといわれるメラピ山への登山 だったり、あるいはセミナールームにお ける集中的なブレーンストーミングだ ったり、 といった具合である。

ノマド的なライフスタイルは 既知なる領域と未知なる領域の両 方に私たちを連れて行ってくれる。 このときの方法は、私たちができる ことを分かち合い、領域を侵すこと のないよう注意することで敬意を 表することしかない。

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ノマド経営学校のファシリテーターたち (左から) アンソニー・ウィロビー、 ミラ (エマ ニュエル)マンクラ、エド・ハフ、ルーベン・オロイシュロ。 ケニアのグレートリフトヴァ レーの彼らのトレーニングセンターキャンプの前で。

羊飼い、戦士、 リーダー だが、そうした見事な場所も単なる背景幕でしかない。そうした 環境も、先住の人々の文化や知恵と交流し、それらから学んで初め て効果を発揮するからである。 何年もの間、東アフリカのマサイ族の人たちと過ごし、 リーダー シップと価値を発見してもらうために、私は外国の経営者たちを 同地に連れて行った。家畜を飼い、同時に戦士としても名高いマサ イの人々は、伝統的な半遊牧的生き方を今もかたくなに守ってい る。だからこそ、マサイ族は砂漠と灌木地帯での牧畜を何世代にも わたってできたのであり、また最も過酷な干ばつと自然災害の中 でも生き延びることができたのである。それはまた、気候変動、エ ネルギー消費、残存資源などが突き付ける様々な難問に直面して いる世界にとって意味のあるモデルといってよいだろう。 1週間にわたって経営者たちは歩き、話し、そしてマサイの長 老、戦士、女、子どもたちとともにキャンプファイアを囲む。そうした 議論の結果、経営者たちは、 ノマド的生き方の意味、そして常に変 化する過酷な環境の中でもマサイの人たちが成長し適応し繁栄 してきたのはそうした生き方のおかげだという興味深い洞察を得 る。マサイ族が持つコアコンピテンシー(中核能力)を評価するこ とで参加者たちは、成功する企業をつくるために必要な彼らなり のフレームワーク (枠組み)を設計することができる。成功する企業 とは結局、主要なステークホルダーの役割・権威・説明責任の定義 と整合に根ざしているのだ。 マサイ族の長老であり、私とともにプログラムの開発に尽力して くれているエマニュエル・ミラ・マンクラ氏は「安定」 ということと自 分自身を知ること—持続可能性と適応性のための重要な特質— の中心的な価値を強調する。彼によれば、 「ノマド的なライフスタ イルは、既知なる領域と未知なる領域の両方に私たちを連れて行 ってくれる。 このときの方法は、私たちができることを分かち合い、 領域を侵すことのないよう注意することで敬意を表すことしかない」 のである。 遊牧民の牧畜の実践と、マンクラ氏が例証することを考える方法 は、意思決定、人材開発、資源管理、組織構築といった現代のビジ ネスシステムに十分応用することができる。 ノマドの原則をフレー ムワークとして使うことで、私たちはいながらにしてHRの責任者と 話し合うことができ、また経営者チームと協働して、従業員が企業 使命の伝達を理解し所有し、そしてそれに対して責任を持つのを 助けることができる。そうした経験は、あるマサイの主要な原則を

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日が沈む頃、 ファシリテーターのエド・ハフは、今終えたばかりの1日を振り返り、 来たる日々に思いを馳せている。遥か彼方に見える湖と丘のあたりが、彼と同僚た ちが行なう最後の3日間のトレーニングの"会議室"となるのだ。

いみじくも明らかにする。つまり、人が学ぶことは何でも有益であ り、また何らかの応用性を持っていることを保証することは、自分 たちのアイデンティティーに対する尊厳と自信を植え付けることで あり、かつコミュニティーへの貢献を保証することにほかならない のである。 マッピングとはとりもなおさず、内と外を探求する1つの方法で あり、人々 (ビジネスリーダーとしての人々)が自分の内なる領域と 彼らのビジネス環境(事業形態、市場、経済環境など)を探るため の1つの有益な技術といってよい。何ごとも一体化していること を明確に認識すれば、必要とされるインスピレーション(直感)、情 熱、それに勇気は自然に湧いてくるものだ。なぜなら、我々は我々 の空間を当然のように要求し、また世界を他人と分かち合うもの だからだ。

アンソニー・ウィロビー 探検者であり起業家 であり、またチームビルダーでもある。マンモ ス・ハンターズ社の創業パートナー。


論説 2013年10−12月号

人材の 流動性

戦争の話はしない アネット・カセラス 「The HR Agenda」編集長 英語原文から翻訳

戦争の話はしない 私は、戦争を仕事のアナロジー(比喩) とするのは適切ではない、 またビジネスを戦場と見なすべきではないと、今も考えているが(こ れについては「大和魂の挑戦」 「人材競争では誰もが重要」を参照さ れたい)、軍事的な経験からグローバルビジネスが得るものがある とすれば、それはおそらく人材を海外に配置してきた広範な歴史に あるだろう。 過去50年の英国の軍人・軍属の雇用モデルにおける最大の見直 しは、家族に焦点を当てた改正が行われたことであり、それは今で も重要な意味を持っている(サイドバー参照)。 この見直しは、伴侶 や配偶者、 また子どもが、軍隊に残るかどうか・採用されるかどうか を考えるうえで常に最大の障害になっているという事実に直接、応 えたものだった。 6か月以上も家族が離ればなれにならなければならない人事に ついて、英国海兵隊に属するある将校の妻は、 「それを受け入れる ためには、まったく違った人格にならなければなりません」 と、身を 切られるような思いを語る。彼女のこの意見は、特別な訓練を受け た者にとっても、民間人の家族を一人残すことに耐えることが“テスト

職場は戦場ではない。 しかし、 グローバ ルな組織は、海外に派遣される軍隊の経験に 着目し、グローバルな移動がもたらしうるビ ジネスチャンスを邪魔する可能性のある肉体 的、心理的なバリアを克服する戦略を学ぶこ とができる。

(試練)”になっていることを、いみじくも物語っている。 世界中の企業の圧倒的大部分は、従業員を国際的な任務に起用 する際、家族の事情などにはほとんど考慮しない(これについては ある調査参照)。だが、今日多くのHR専門家が、職務のパフォーマン ス(成績)を維持するためには、自社の従業員の生活の他の分野も 常にチェックすべきであると指摘している。 もし家庭と社会生活の調 子が狂えば、従業員の成功も満足もおぼつかないし、 とりわけ別居 生活が長くなれば“なおさら”である。 ある日本人の年配エンジニアがかつて、ビジネス生活の最後にな ってキャリアを変えた理由を私に話してくれたことがある。アフリカ と東南アジアでの建設プロジェクトに携わり、その結果、10年にわた って家族を離れなくてはならなかったことを深く後悔した彼は、“手 遅れ”になる前に10代の子どもたちとの関係を回復したいと考え、そ の会社を辞めたのだという。 家族と離れるという問題は、軍隊は別として、欧米ではそれほど普 通ではないかもしれないが、多くの日本企業にとって“別居生活”は とても大きな意味を持っている。G-MAPが主催したある日本の経営 会議の閉会の辞は、そのものズバリ 「単身赴任」、つまり 「従業員を家 族と離して異動させる日本的慣習」がテーマだった。 これこそ、世界 に通じるグローバルなリーダーを日本で育てる際にもっとも重大な 障害の1つといってよい。 従業員だけでなくその家族全体にマッチした雇用条件にすること は、流動的なタレント型人材の量を増やすだけでなく、永年勤続が もたらす企業独自の価値を企業が保つうえでも大きな役割を果たす

戦 ロ ゼ

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「家族に焦点を当てた」流動性モデルとは 「家族、および配偶者・民間人伴侶のキャリアに軍務が及ぼす影響は、一貫して不満の原因のトップ2である」 と英国防衛省 はいう。

家族の安定を増すために英国の軍隊が採用する7つの雇用モデル形態

キャリア管理・・・異動の頻度を減らすなど、予測可能性と

家族の安定を改善する。 教育の継続・・・継続性を常にカギとしつつ、 どうすれば子 どもの教育を改善できるかを研究する。 パートナー(伴侶)の雇用・・・パートナーに仕事を紹介す る、自宅でインターネットや通信販売ビジネスを始める ための支援を提供するといった機会を見つける。 旅行の移行・・・従業員の両親や配偶者・パートナーに従 業員が旅行の権利を移行することを認める。

海外訪問のための資金的支援・・・食事と宿泊の手当、 また赴任のための航空運賃の前払いなどを、182日以 上前に遡って提供する。 パートタイムでの労働・・・限られた期間を守ることを条 件に、従業員に削減を提案する方法を考慮する。 配分された訓練・・・現地訓練センターの拡充や遠隔訓 練、eラーニングによる訓練といった方法を活用するこ とで、故郷を離れる期間を極力減らす。

出典 英国防衛省

(外部からの採用よりも内部スタッフの流動性を高める方がより有

几帳面な日本から来ると、 このような物理的かつ文化的な状況下に

利だと考える理由については、K@W[HRA3-2]を参照していただき

ある日々の生活に向き合うことは、ある程度の勇気がいることなの

たい)。

だ。たとえば、 日本より弾力性のある時間感覚と一緒に生活できるよ う学習することは、当初は入り込めないと思われるような有刺鉄線

「ジャボデタベック」の挑戦—持続可能な居住性を促進する 日本の外務省はインフラ投資を活用することで、地球上もっとも

のバリアから棘を抜き取るような方法の一つになる。 人間についてみても、 ジャカルタに行ったことがある人は誰でも、

居住に不向きな住環境における経済成長、それに平行して持続可

たとえ逆境に直面したとしても、インドネシア人がいかに落ち着い

能性を刺激している。

ているかについて教えてくれるだろう。日本人にとっては、そのよう

インドネシアの「ジャボデタベック(JaBoDeTabek)」は、その 名が示すとおりジャカルタ(Jakarta)、ボゴール(Bogor)、デポック

な資質は、協調関係を作る上でとても高いポテンシャルを発揮する ことを意味する。

(Depok)、 タンゲラン(Tangerang)、 ブカシ(Bekasi) という5つの

心理的な問題を指摘することは、物理的な問題と同じぐらい重要

都市で構成される都市圏である。だが、他の主要なアジア都市圏に

である。以下、ジャボデタベックがもたらす難問を勇気をもって受け

比べて通勤満足度は最低(朝のピーク時でも時速7キロ)、自然災

入れた、ある日本の大手家電メーカーにおいてHRが示した目的を

害に対する脆弱性は最大、公共水道普及率は最低、取るに足らない

いくつか披露してみよう。

下水整備状況など、ジャボデタベックは国際赴任を命じられた従業

1.

インドネシアのインフラ開発につながるプロジェクト機会を

員のほとんどが“二の足”を踏む場所だった。ジャバデタベックは普

見つけるためのマインドセット (ものの見方) とスキル(技能)

通、従業員の海外赴任地としてまず最初に選ばれる地ではない。 しか

を開発すること。どの社員が全く新しい文化環境において個

し、それらの環境において、なんと冒険的であり、 また達成感を市場

人的な開発や協調関係を築くのに最もやる気を出すのか 2.

にもたらす商品であることか!

火山や洪水といった災害の情報をシェアするシステムの必

だが、 日本の国際協力機構(JICA)がインドネシアを「最も魅力的

要性と効果を見極めること。あなたの危機管理とビジネス

な投資先地域の1つ」 と見なして以降、多くの日本企業がインドネシ

の継続プランがいかにインドネシアの地理とインフラに適

アの堅調な消費市場と年率6%というGDP成長率を活用すべく同

合する必要があるのか。

国への投資を積極的に進めてきた。 本誌発行人であるカビッティン・順氏が指摘するように、単に人 々のためだけでなく広くビジネス上の難問に応えることはHRの責 任である。では、投資家にとっての潜在的な利益と同様、新興市場 においてビジネスを行うことが従業員にとっても魅力的であるため

政治の話題を避けることは、多くの 「やってよいこと・やってはいけないこと」 リストの最上位にくることが普通である。 これら のリストをここでもう一度紹介するつもりはないが、 そ のような話題を避けるためにも、 ここでそれを知っておく必 要がある。 ここにある絵をクリックして、それらがあなたに見せる内 容を確認してほしい。

に、HRは何ができるのだろうか。過度な衛生観念に縛られ、


3.

我々自身の世界を広げるための刺激、情熱、そして勇気を

業員は国際的な活動と訓練が可能になる。“人材に優しい”技

増やし、 また我々の事業領域を拡大するための機会を見つ

術については、本誌次号「The HR Agenda 2.0」を参照してい

けること (これについては本号のウィロビー氏の記事を参照

ただきたい。

していただきたい)。今、急速に伸びている市場環境をアド ベンチャーとして製品開発に生かそうとしているのは誰か。

これら3つのタイプの海外赴任先をどのように組み合わせれば、 会社のビジネスニーズに最も適したものとなるだろうか。海外出張

自転車で通勤するぐらいの気軽さで・・・

の心理的また物理的な障害に十分対処し、国際外交や自然災害に

政治史、家族調整、魅力的な経済はみな、 タレント型人材の流

関連するリスクを分散させる対策を同僚たちが行うよう仕向け、 グ

動性モデルの進化の要素である。国際的なアサインメントサービス

ローバルな流動性を、 まるで会社まで自転車で通勤するぐらいにア

企業であるPwCと、 グローバルなリロケーション(転勤)支援サービ

クセスすることが容易(アタリマエ) と感じるほどまでに会社に浸透

ス会社であるカータス社はともに、今後、次のような3つのタイプの

させることが、皆さんのHR部門は出来ているだろうか。

海外赴任が増えるだろうと指摘する。 1.

長期的赴任・・・従業員と家族がともに、海外においてより恒 久的なライフスタイル、および出身国と“国籍を越えた”関係 を構築する。

2.

短期的赴任・・・プロジェクトベースの赴任で、優れた業績を

謝辞 S.カクチ、D.ササキ、G.スティルマン、J.スネイド、Y. タカダ、B.ムンロ、K.レイク。 開示情報 本稿の筆者は、本稿で引用した調査の担当企業であるカータス社とは独立した事 業関係を持っている

上げた新興市場の従業員を本社に逆赴任させる、従業員に 順番に海外勤務を経験させる、また12か月間を限度に本社

アネット・カセラス 組織のリーダー養成、チーム デベロップメントのコーチ兼コンサルタント。コ ーチ養成機関「CTI」 と 「組織学習協会(SoL)シス テム・パースペクティブ部会」で研鑽を積む。日本 の大学でも 「グローバル・マインドセット」や「コミ ュニケーション・インテリジェンス」に関するコー スを受け持っている。英国国立レスター大学修士 号取得。

スタッフに海外経験を積ませるといったプログラムを伴う場 合がある。もちろん、 これらの期間において家族が現地訪問 することが条件となる。 3.

通勤または定期的な出張・・・ネットワーク上の流動性によっ て支援された通勤または定期的な出張で、それによって従

鉄条網の上にかける 橋になるんで、べんり だろう。 敵が近寄ってきたら、 弾持って来いというの に、卵もってくるやつが あるか。 これ私の鉄砲 の打ち方ある、 卵 ならたくさ 安全あるよ。 んあるが、弾は もうない。


JHRSとは

コミュニティ・ オフィサー

日本に焦点を絞った世界の人事のプ ロと、 日本でビジネスを行う企業のリ ーダー達のコミュニティです。

カビッティン・順 MBA, MS, HRMP

JHRSの活動

会員の皆様に以下の場をご提供し ます。 1. 有益な人事、管理のヒントと最良 実例を共有化します。

チーフ・コミュニティ・オフィサー

ディナ・M・ギャラガー MPH, PA HR教育・認定システム提言リーダー

下坪 久美子 「ウーメン・イン・エイチアール」提言リーダー

2. ネットワーキング、学習イベント (オンライン/ライブ) 3. 人事の知識、 スキル、能力を強化 し、 グローバルスタンダードへ近づ ける。

JHRSのミッション

チャド・ステュワート 「グリーンHR」提言リーダー

エイチアールセントラル株式会社 JHRS事務局

横浜パートナー法律事務所 顧問弁護士事務所

日本の人事のプロフェッショナルの 慣行を高める一助となること

会員のレベル

アドバイザー 白木 三秀 Ph.D.

早稲田大学政治経済学術院 教授 トランスナショナルHRM研究所 所長

山本 紳也

プライスウォーターハウスクーパース 株式会社 パートナー 筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授

榎本 晴康

コーニングジャパン株式会社 人事部長

宗像 徳英

人事コンサルタント

主なプログラム

The JHRS Academy x TUJ The JHRS eAcademy X eCornell The HR Agenda Magazine JHRS Job Board AskHR and AskHR, Live! HR Legal Clinic Japan-focused HR Certification

1. 無料・基本会員

2. アソシエイト会員

ぜひご加入ください!

3. プロフェッショナル会員 4. 名誉会員 5. 法人会員

メリット

http://www.jhrs.org/about/join

以下のURLでご確認下さい

http://www.jhrs.org/about/join/benefits

The Japan HR Society (JHRS)

〒108-0075 東京都港区港南 2-14-14 品川インターシティフロントビル3F デスカット MB28号 エイチーアルセントラル株式会社 (JHRS事務局) 電話 +81 (0)80-3434-8665 Fax +81 (0)3-6745-9292 HP http://www.jhrs.org Eメール inquiry@jhrs.org

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The Japan HR Societyのロゴは登録商標であり、The Japan HR Societyに帰属します。 © 2007. The Japan HR Society 無断複写・転載を禁じます。


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