

EASY ENTRY REVOLUTION
CLEW SUPERMATIC FASE STEP ON
新章突入! 進化が止まらない足回りギア
テクノロジーの進歩によって、今やAIが日常生活から仕事全般まで、
あらゆる場面で活躍する便利な時代に突入した。スノーボードの世界においても、 ギアやアイテムの進化はめざましく、昔とは比べ物にならないほど操作性もフィット感も快適になった。 そして2025-26シーズン、足回りギアが、また新たな章へと突入しようとしている。

STEP ON
WHATʼS STEP ON?
ステップオンって、どんなシステム?
STEP ONは、ストラップでブーツを締め付けて固定するのではなく、カカトと ツマ先の両サイド、合計3箇所のパーツによってブーツをロックするシステム。 専用のブーツと専用のバインディングは必要だが、装着は「ブーツを踏み込む だけ」、リリースは「レバーを引き上げてブーツを引き抜くだけ」と、その着脱 の簡易性が最大の魅力だ。着脱方法はステップイン方式に少し似ているが、大 きな違いは、ブーツの足裏に金属パーツがなく、自然なフレックスを得られる フリーソールである点。つまり、ストラップタイプと同様に、ライディング時に足 裏で雪面を感じやすいことも強みである。約5年の開発期間を経て、2017年に BURTONが初号機をリリースしてから今に至るまで、着脱のしやすさだけでな く、ブーツとバインディングの一体感からくる優れたレスポンス性も相まって、 初心者から上級者まで幅広いユーザーに支持されてきた。現在は、BURTON以 外のブランドも続々とSTEP ON対応ギアを展開し始めている。
3 KEY TECHS カギを握る3つのテクノロジー
#1 HEEL CONNECTION
シンプルな設計ながら、洗練された外観と信頼性の高い構 造を追求して開発されたヒールコネクション。一般的なバイ ンディングのバックルの歯をベースに設計されており、完全 にロックされるとブーツがガッチリとホールドされるため、 ストラップタイプよりもパワー伝達のロスが少なくなる。
#2 TOE CONNECTION
踏み込むだけでツマ先が瞬時に固定され、外すときもス ムースさを損なわない構造のトウコネクション。ブーツの ツマ先の両サイドにあるクリートが、バインディングのトウ フックにロックされることで、滑走中はしっかり固定され続 ける。2022年にトウフックが改良され、操作性や快適性 がさらに向上した。
#3 BOOTS CONSTRUCTION
ヒールとトウのクリートの位置をミリ単位以下で正確に合 わせる必要があったため、開発時にはレーザー測定機や新 しい製造ジグが導入され、理想とするブーツ構造の実現に 繋がった。滑走時にストラップが足を圧迫しないので血行 もよく、長時間ライディングでも疲れにくいのも特徴だ。





HOW TO USE どうやって使う?
STEP - 1


STEP -2

STEP -3
STEP - 1
ブーツのヒールクリートをバインディングのヒー ルバックルに合わせて踏み込み、カチッと音がす ればカカトのロックが完了。
重心をツマ先に移して、ブーツのツマ先両サイド のクリートをバインディングのトウフックに固定す れば装着完了だ。

ヒールカップ外側にあるリリースレバーを手で引 き上げて、ロック解除の準備をする。
STEP -2


あとは滑り始めるだけ! ヒールのロックレベルは 2段階あるので、その確認も忘れずに!


レバーを引き上げたまま、ブーツのカカトを浮か せてヒール側のロックを外そう。
25-26 BRAND LINE UP 今季のSTEP ON展開ブランド一覧
BURTON DC
2017年に初号機をリリースし、2023年に はスプリットボード用を、そして2024年には EST版の販売を開始。今季はブーツがフルモ デルチェンジされ、話題を集めている。
→BINDINGS(メンズ6モデル、ウィメンズ4モデル) →BOOTS(メンズ2モデル【各3グレードあり】、 ウィメンズ2モデル【各3グレードあり】)




2020年、BURTON以外のブラン ドとして初となるSTEP ONブー ツの発売を開始。当初は1モデル のみだったが、今季からは男女 合わせて5モデルを展開する。
→BOOTS(メンズ3モデル、ウィメンズ 2モデル)

STEP -3

※装着時にパンツの裾が ヒールコネクションに挟ま らないように、カフクリップ にパンツの裾が入っている ことを確認しておこう。

ツマ先側を外すには、足を軽くひねりながら引き 上げるとスムースにおこなえる。
日本で誕生したFLUXが30周 年を迎えた2022年、FLUXが BURTON以外のブランドとして 世界で初めてSTEP ONバイン ディングを発売。
→BINDINGS(ユニセックス1モデル)



BURTONとSTEP ONのテクノ ロジーを共有し、UNIONの自社 ファクトリーにて独自開発・製造 されたバインディングを、2025 年1月に発売した。
→BINDINGS(メンズ1モデル)


ブーツは2022年から、そして今季からはバ インディングの販売も開始する。これにより BURTON以外ではSTEP ONをセットアップ で展開する史上初のブランドとなった。
→BINDINGS(メンズ1モデル、ウィメンズ1モデル) →BOOTS(メンズ2モデル、ウィメンズ2モデル)




WOMEN’S STEP ON ESCAPADE RE:FLEX
PHASE BOA PRO STEP ON
NITRO STEP ON
VENTURE TLS STEP ON
STEP ON ATLAS STEP ON
WOMEN’S WAVERANGE X STEP ON
ENGINEER INTV.
開発者インタビュー
「軽量性、快適性、パフォーマンス性のすべてが優れている」
STEP ONの開発のキッカケは? 2012年11月、BURTONのステップインバインディングは、 様々な理由でマーケットから姿を消しました。ですが、当時、 「いま持っている知識と、導入したばかりのラピッド・プロト タイピング技術を使って、ゼロからステップインシステムを設 計したら、どんなものが生まれるだろう?」と思ったんです。そ こで私を含めたプロダクトデザインチームは、約4ヶ月間に わたり、この課題だけに集中しました。正直、最初はそれが 製品化されるとは思っておらず、純粋なR&D(研究・開発)プ ロジェクトだったんです。でも、いくつかの面白いアイデアが 出てきて、2013年3月には正式な製品開発のプロジェクト がスタートしました。
開発中の印象的なエピソードはありますか? STEP ONという名前は、ジェイク・バートン(BURTON創 業者)が付けたものなんです。もともとは「ReadySet(= Ready、Set、Go!)」という名前にするつもりでした。でも、 ジェイクの家でプロダクトとマーケティングの打ち合わせを していたとき、僕らがその名前を伝えると、彼はこう言った んです。「何でそんな名前にするんだ? STEP ONでいいじゃ ないか。だって、それがやることなんだから」と。その瞬間、 STEP ONという名前に決定しました。また、当初から非公 式ながら掲げていた目標のひとつに、「自分たちが使いたい セットアップを作ること」がありました。僕らはみんな以前の ステップインも使ってはいましたが、正直、ストラップタイプ のほうが好きでした。だから、それを超えるものを自分たち で作ろう、と。そして持てる情熱をすべて注ぎました。
開発にはどれくらい時間がかかりましたか? 店頭に並ぶまで約5年(2012~2017年)かかりました。た だし、それ以前のステップインやSPEED ZONEストラップな ど、過去の取り組みのすべてが僕らの学びになっていて、そ れらの期間も踏まえれば、もっと長い時間をかけているとも 言えます。僕自身、STEP ON関連の開発に13年間ずっと関 わり続けていますが、まだ完成形ではなく、やりたいことは
まだまだたくさんあります。
開発に関わってきた主なライダーは? 最近では、デイブ・ダウニング、ケリー・クラーク、マーク・ソ ラーズ、ニールス・シャックなどから素晴らしいフィードバッ クをもらっています。こうしたハイレベルなライダーとの現場 密着型の開発経験が、僕らのR&Dの方向性を大きく導いて くれました。
よくある誤解を挙げるなら何ですか? いまだに「昔に使ったステップインがダメだったから」という 声もありますが、STEP ONはそれとは根本的に違います。ま た、ビギナー向けというイメージもあるけど、実際には初心 者からプロまで幅広く使えるシステムです。便利さばかりが 取り上げられがちですが、パフォーマンス面でも非常に優れ ています。STEP ONは、着脱の早さだけのギアじゃありま せん。特にトウサイドのターンでレスポンスの違いを感じや すいと思います。カカトが完全にロックされていてブーツが まったく動かないので、パワーをロスなく伝えられるからで す。便利さ以上に、快適性とパフォーマンス性が魅力なんで す。僕自身、たまにストラップバインディングで滑ると、「やっ ぱりSTEP ONがいい」と思ってしまいます(笑)。
これまでの大きなアップデートは? トウフックが2022年に改良され、初期型にあったノイズや 圧迫感の問題が解消されました。個人的には、昨シーズン のEST版の登場もそれに当たると思っています。足裏に硬い パーツが一切なく、直にボードと足が繋がっているような感 覚は他にありません。

スコット・ケラー (BURTON / プロダクト·エンジニアリング·マネージャー)
今シーズンの最大のニュースは? BURTONでは、ESTのモデルが増えること。新たな価格帯も 設定され、ストラップモデルと横並びで選びやすくなります。 また、ブーツラインが完全リニューアルされます。そしてパー トナーブランドでは、NITROとUNIONが新たにバインディン グを展開することですね。
今後の目標は? プロレベルのライダーたちへのフォーカスをより強めていき たいと考えています。STEP ONは、軽さや快適さの面で、従 来のストラップバインディングよりも明確なアドバンテージが あります。世界トップレベルのライダーを、さらに進化させる ツールになる可能性を持っていると思うからです。
STEP ONのシステムを他ブランドと共有している理由は? 昔のステップインは、特定ブランドのブーツでしか使えず、そ れがマーケットから撤退した大きな要因でした。STEP ON は、より多くの人が使えることを目標とし、早くからライセン ス戦略を立てて他社と話し合ってきました。ちなみに、開発 初期の段階で「どんなブーツでも使えるバインディング」にす るか、「専用ブーツが必要なバインディング」にするかを検討 しました。結果的に後者を選んだのは、そのほうが軽くてレ スポンスに優れ、構造的にも合理的だと判断したからです。 ストラップバインディングにステップインの機構を足すと、ど うしても重くなり、コストもかさむ。その問題を避けるために は、ブーツごと新たに作るのが最善だったというわけです。
ショップスタッフ・インタビュー
「あらゆる人にオススメしたくなる。それが今のSTEP ON」
STEP ONの最大の強みは? 簡単な着脱、そして軽さだと思います。僕は5シーズンほど使 用していますが、これといった弱点が何も見当たりません。
実際の使用感は? いい意味で従来のストラップタイプとほぼ変わりなく使用 できています。むしろ、ストラップによる締め付けがなく、 足への負担は少ないと感じているくらいです。ただ、ここは 好みが分かれるところではあると思います。レスポンスにつ いてですが、ルーズな感覚はまったくなく、むしろ早いです。 ストラップによる若干の伸びがないため早いのではない か、と。ですが、ベースにガッチリと固定されている(抑えつ けられている)感覚は、従来のストラップタイプのほうが強 く感じますね。
どこでも装着できますか? 圧雪バーンでも深いパウダーの上でも簡単に着脱可能で す。おそらく誰でも2、3本ほど滑れば慣れると思います。カ カトのロックは2段階になっていて、ブーツとバインディング
の間に雪が詰まって 間があっても、1段階目のロックで滑 走可能です。ただ、その状態ですと、カカトはカパカパと動き ます。でも、その状態で滑り出してもヒールサイドのターンを すれば2段階目までハマってくれます。
BURTON以外のブランドのSTEP ONギアの特徴は? ブーツに関しては、各メーカーの履き心地がそのまま反映 されています。好みのブランドのブーツを選んでいただいて 問題ありません。バインディングに関しては、NITROとFLUX はともにBURTONとベースとディスクが基本的に同じで、大 きく異なるのがハイバックとフットベッドなんです。なので、 そこを好みで選んでいただけたら、と。ただ、今季新登場の UNIONは、BURTONのEST版を除くと唯一、ベースとディ スクにフレックス機能を採用していません。他ブランドと比 べてもベースが硬く、実際、反応はかなり早く感じました。 カービング勢にとっては待望のモデルなのかなと思います。
BURTONのEST版の使い心地は?
RE:FLEXとESTでは、反応の早さ、足裏のしっかり感が違う
SEEʼS(北海道) スタッフ・平間さん

ように感じました。ESTのほうが足下に厚みがあって、かつ2 点留めということもあり横方向への反応は早く感じましたね。
STEP ONの耐久性については?
STEP ONは販売初年度から取り扱ってきましたが、当店で 購入されて「壊れたかも?」と持ち込まれたのは片手で数え られる程度。当店のスタッフは全員がSTEP ONユーザーで すが、これまで誰も壊れたことがありません。
どんな人にSTEP ONはオススメ? ブーツは、ソフトからハードまでフレックスの異なるモデル がありますし、バインディングの種類も増えているので、今 まで以上に初心者から上級者まで本当に誰にでもオススメ できます。当店では、STEP ONとストラップタイプの販売比 率が「6:4」くらい。グラトリ100%のユーザーの使用例はな くて気にはなりますが、ここ数シーズンはSTEP ONしか使用 していない知り合いのライダーに聞いても、パークでのジャ ンプやジブ、パイプといったフリースタイルなライディングで も、まったく何の問題もないとのことでしたよ。

RIDER INTV.
ライダー・インタビュー
[使用モデル]
高橋龍正 Ryusei Takahashi
BURTON STEP ON GENESIS EST(BINDINGS) HIGHSHOT X PRO STEP ON(BOOTS)
「一体感と軽快さが格段にアップ。
これがSTEP ONの完成形かも?」
もう何年もSTEP ONを使ってきたけど、ESTバインディングが昨シーズン出たことで、 ギアとしての完成度は格段にアップしたと感じてます。雪面の状況が足裏によりダイレク トに伝わってくるし、ボードの反応もより感じやすくなりましたからね。今季からESTの モデルも増えますが、自分は昨シーズン同様にGENESISのESTモデルを使います。ハイ バックがブーツに寄り添ってくれるのが気に入っていて。ブーツとバインディングが完全 にリンクし、ボードとの一体感がホントにすごいんです。そして、今季からはブーツが一 新。自分は3モデルを試した結果、もっともハマったのがトリプルBOA仕様のHIGHSHOT X PROでした。特に印象的だったのは、インナーとアウターの間にあるハーネスが、足 の甲から足首にかけて“面”で包み込むようにしっかりホールドしてくれる点。今までの ブーツって、履き込むと特定の“点”で曲がっていたのに対して、このハーネスが入った おかげか、ブーツ全体がナチュラルにフレックスしてくれる。今まで以上にフィット感 もいいし、何よりもヘタりにくい。革新的な進化だと実感しました。HIGHSHOTは、 WAVERANGEに比べるとフレックスが硬めで、高速域でのレスポンスがいいんです。 自分はパウダーでの撮影が多いけど、フリースタイルな動きをすることも多くて。そのス タイルにも合っているし、もともとしっかりめのブーツが好きだったから選んだというの もあります。足回りギアに求める性能は人それぞれですが、トップレベルでやってるコン ペティターは2ストラップの“ガッチリ感”を求める人が多いじゃないですか。でも、今の 自分のスタイルにおいては、レスポンスも安心感もSTEP ONでまったく問題ありません。

むしろ、軽さという点ではSTEP ONの圧勝。ストラップがないぶん軽くて、ボードを持っ て歩いたり、リフトに乗ったり、滑っていない場面でもラクなので。何より、ギア全体 が軽いおかげで滑っているときに軽快に動ける。自分は「軽さは正義」だと思ってるん で(笑)。装着については、パウダーでも慣れれば全然大丈夫。ただ、足場を少し固め たり、足を置く場所に付いた雪を掻き出したり、多少の工夫は必要です。STEP ONって 着脱のラクさばかりが注目されがちだけど、実はそれだけじゃない。足回りの一体感、 そしてギア全体としての軽さ。ここが自分にとっては一番の強みだと思っています。
Photo: KentaRAWmatsuda
Photo: KentaRAWmatsuda

3 KEY TECHS カギを握る3つのテクノロジー
WHATʼS FASE?
フェイズって、どんなシステム?
従来の2ストラップバインディングに比べて圧倒的にスムースな着脱を実現し、 「FAST ENTRY SYSTEM」の略称から名付けられた、今季初登場となるFASE バインディング。トウストラップを外すことなく、そしてアンクルストラップを完 全開放せずともブーツの出し入れが可能で、その動作を実現するために、ハイ バックが自動で軽く後方に倒れる構造になっている。もちろん、専用ブーツは 必要ない。トウストラップは好みのフィット感に一度合わせれば再調整の必要 がなく、アンクルストラップも繋がったままで足入れができるため、装着時は 片手で簡単にブーツを固定できる。滑走時の微調整も楽々だ。なお、トウ・アン クルともにストラップの完全開放も可能。ハイバックは前方に蹴り込めば折り たたむこともできる。7年におよぶ開発期間を経て完成したシステムだけに、一 部のパーツには生涯補償が付いているのも特徴だ。初年度は、BATALEON、 ROME、JONES、THIRTYTWOの4ブランドで展開される。
#1 AUTOBACK
ブーツを差し込むと同時に後方に軽く倒れていたハイバッ クが自動で起き上がりロックされ、ブーツを引き上げると ハイバックは自動で開く構造をしている。リフト乗車時や スケーティング時、また保管時にはハイバックを前方に倒 すことも可能だ。


#2 FASTSTRAP
長いアンクルラダーを採用することで、アンクルストラップ が繋がった状態のままでもブーツの出し入れが可能。この おかげで装着時は、片手でもクイックな締め上げができる わけだ。もちろん、アンクルストラップを完全に取り外すこ ともできる。
#3 LOCKED-IN TOE STRAP
ユニークな歯を持つラダーによって、好みのフィット感に 一度セットすれば、その位置を常にキープしてくれるトウス トラップ。つまり、着脱のたびに再び開放したり締め上げ る必要がないのだ。アンクルストラップ同様に完全開放す ることも可能。


HOW TO USE どうやって使う?

ハイバックとアンクルストラップが開放状態の ときに、ロックされているトウストラップにツマ 先をしっかり入れ込む。

ブーツのカカトをしっかり踏み込むだけで、後 方に倒れていたハイバックが起き上がって自 動でロックされる。


繋がっているアンクルストラップを、自分好み のフィット感になるように締め上げよう。
足を入れてアンクルストラップを締め上げるの みで、ライディング可能状態となる。 ※事前にトウストラップの調整を終えた状態での操作方法
STEP - 1

ライディングを終えてアンクルストラップもトウス トラップもしっかり締まった状態。

従来の2ストラップバインディングと同じように、 アンクルストラップのロックを解除する。

ハイバックが後方へと自動で開くため、バインディ ングからブーツを簡単に出せる。
25-26
BRAND LINE UP 今季のFASE展開ブランド一覧
BATALEON
BLASTERを元に、価格設 定も低く抑えられたモデル。
ベース裏側のブッシングやミ ニディスクなどによって、ある 程度の遊びがあり、オールラ ウンド性に優れる。
→BINDINGS(メンズ1モデル)


ROME
現在、流通しているバインディ ングのなかで、もっとも調整 機能が多いとの呼び声が高い ROMEの人気機種・KATANA をベースに作られている。
→BINDINGS(メンズ1モデル)


JONES
ターンの正確性や快適性を求 めるライダーたちのために作 られた、汎用性に優れるオー ルマウンテンモデル。あの ジェレミー・ジョーンズも納得 の仕上がりだ。
→BINDINGS(メンズ1モデル)


THIRTYTWO
THIRTYTWOが初めてリリー スするバインディング。FASE バインディングのなかでは、 もっともソフトフレックス設定 に作られているのが特徴だ。
→BINDINGS(メンズ1モデル)


ENGINEER INTV.
開発者インタビュー
「2ストラップバインディングの未来が、このシステムにはある」
FASEの開発コンセプトは?
私たちのビジョンは、「次世代の2ストラップバインディング」 を生み出すことでした。決してパフォーマンスを犠牲にする ことなく、それでいてユーザー体験を向上させる高性能なバ インディングを設計すること。その結果として、2ストラップバ インディングの機能や性能を損なうことなく、クイックな着 脱ができる「FAST ENTRY SYSTEM」――FASEが誕生しま した。
開発にはどれくらい時間がかかりましたか? 7年を要しました。
どのようなユーザーを想定して開発したのですか? まず何よりも重視したのは、プロライダーが使いたいと思え るハイパフォーマンスなバインディングであることでした。ま た、どんなライダーやユーザーのニーズにも対応できるよう に、どんなバインディングブランドであっても、FASEを採用 することで幅広い選択肢を提供できるようにも考えました。
開発に関わってきた主なライダーは?
多くのライダーが関わってくれて、それぞれが素晴らしい視 点を提示し、様々なフィードバックがあったおかげで、この 高性能なシステムが完成したと思っています。特に影響を与 えてくれたのは、ジェレミー・ジョーンズ、スコット・スティー ブンス、スターレ・サンドベック、トア・ランドストロム、ビク ター・デ・ラ・ルー、パット・ファバをはじめとするライダーた
ちですね。彼ら以外にも多くのライダーに支えられてきたの で、その全員に感謝しています。
開発中の印象的なエピソードはありますか? スコット・スティーブンスがFASEシステムに初めて触れたと き、彼はその新しい可能性にワクワクしていました。彼が THIRTYTWOのFASEバインディングを使用し、ゲレンデをク ルージングしている下の映像では、今まで以上にクリエイティ ブなライディングを目の当たりにすることができるはずです。
https://www.youtube.com/ watch?v=6ZinFVZJ9EI
ライディング時の使用感は、2ストラップバインディングと比 べて何か違いはありますか? 見た目、重さ、そしてライドフィール……そのすべてがまさに 2ストラップバインディングそのものです。

アーウィン·クノースター (FASE / マーケティングリード&エンジニア)
初年度から4ブランドでの展開ですが、その意味とは? ライダーがバインディングに何を求めるのか。それが千差万 別であるため、世の中には様々なブランドが存在し、幾多 のモデルがラインナップされています。FASEは“独占”では なく“包括”が理念です。どんなスタイルのライディングも歓 迎し、このFASEシステムのメリットをすべてのライダーに届 けたいと考えています。FASEは“イングリーディエントブラン ド(GORE-TEXやBOA、VIBRAMのような技術提供ブラン ド)”であり、各スノーボードブランドが自社の2ストラップバ インディングに、このシステムを組み込むことができます。各 ブランドのバインディングが備えているパフォーマンス性や カスタマイズ性を犠牲にすることなく、それぞれが自由に開 発できるようになっているんです。今季FASEを採用している BATALEON、ROME、JONES、THIRTYTWOの各ブランド には、それぞれのスタイル、そして設計哲学があります。です ので、それぞれのブランドが展開するバインディングの個性 については、各ブランドからの発信に耳を傾けてもらいたい ですね。
SHOP STAFF INTV.
ショップスタッフ・インタビュー
「2ストラップバインディング愛用者の新スタンダードになり得る」
FASEバインディングの最大の強みは? 従来の2ストラップの快適性とレスポンス性をまったく損な わず、スピード装着を可能にしているところですね。ただ、 STEP ONやSUPERMATICのように「踏み込んで終わり」で はなく、アンクルストラップの最終的な操作が必要になるの で、装着時は屈まなければいけません。それでも、STEP ON やSUPERMATICの「ここがもっとこうなってたら……」と 思ったことのある、2ストラップバインディング愛用者にとっ ては、「かゆいところに手が届く」理想的なシステムだと思い ます。
実際の使用感は? 通常の2ストラップタイプと比べて、ライディング時はまった く何も変わらない使用感。それが率直な感想でした。年明 けのパウダーデイからGWのシャバ雪ライドまでの長期間に わたって、私はFASEと2ストラップタイプの同じモデルを試 させてもらいましたが、ライディング中はどっちを使っていた かを忘れてしまうくらいでしたからね。従来の2ストラップバ インディングの構造をベースにしているので、他のシステム に比べると調整幅が広く、好みの締め具合の微調整ができ る、とも思いました。私はストラップのフィッティングの調整 をシビアにおこないたい派なので、その恩恵を強く感じまし た。2ストラップタイプと変わらない軽さ、そしてシンプルな 機構なので、雪詰まりや凍結などによるトラブルもありませ んでした。
どこでも装着できますか?
私はSTEP ONもSUPERMATICも所有していて、両者とも 深いパウダーで装着した経験があります。ともに「カカトの パーツを踏み込んでロックする」という動作が必要になるた め、装着時はボードを雪面に押しつけなければなりません。 結果、足場を固めたほうが履きやすいと思ったことがありま す。対して、FASEは、ヒールカップ付近のロックパーツを軽 く押せばハイバックが起き上がるシステムなので、雪面をそ れほど強く踏み込むパワーが必要なく、2ストラップタイプと 同様にパウダーでも容易に装着可能だと思いました。
どんな人にFASEバインディングはオススメ? FASEは新システムのため、信頼性・耐久性・不具合などの 前例がなく、未知数な部分もあります。ですが、開発に7年も の年月をかけてきたし、実際に自分が使用して感じたメリッ トがかなり多いため、いろんな方々にそれを体感していた だきたいと思っています。ライディングスタイルは選ばないと 思います。グラトリ、パークライド、カービング、パウダーライ ド……どのジャンルにもマッチしますから! また、新システム ゆえに、シンプルにゲレンデでドヤりたい方は、ぜひ使って みてください(笑)。
FASEバインディングのフレックスは? 大きく分けると、BATALEONとROMEがアルミ系のベー ス、JONESとTHIRTYTWOが樹脂系のベースとなってい
SATELLITE(群馬) オーナー・WAKAさん

ます。BATALEONとROMEはアルミベースですが、外側の サイドウォールが短めに設計されているので横方向の柔軟 性があり、エッジ間のコントロールは維持しつつ、プレスや ボーンアウトなどのスタイル重視のトリックにも向いていま す。JONESとTHIRTYTWOは、FASE専用に新設計された 4パート構造のベースプレートで、レスポンスのよさ、樹脂 の剛性感を感じますね。当店でも人気モデルのUNIONの FORCE、FLUXのDSと比べても、フレックス的にはそこまで 大差なく使用いただけると思います。
今シーズンは4ブランドからFASEバインディングが登場し ますが、それぞれの特徴は? BATALEONはシンプルな構造で価格帯も抑えられており、 もっともコストパフォーマンスに優れていると思います。グ ラトリからパウダーまでオールラウンドにバランスよく遊び たい方に適しています。ROMEはアンクルストラップまわり の調整機能が豊富で、自分好みに細かく調整したい方や スタイル重視の方に。JONESは、高速域や急斜面でも安 定するハイレスポンスが魅力なので、大きな山を攻めたい フリーライドユーザーに最適ではないでしょうか。そして、 THIRTYTWOは柔軟性と軽さに優れ、パークライドに適し た設計で、トリック重視、特にスタイルを重視しているライ ダーに向いていると思います。ちなみに、私はBATALEON のBLASTER FASEを使用する予定です。
ライダー・インタビュー
小西隆文
[使用モデル]
ROME KATANA AW FASE
Takafumi Konishi
「乗り味も調整幅の広さも 通常版と変わらない。
ただただラク!」
ホールド感やレスポンス性は申し分ないうえに、足首まわ りの自由度が高く、自分のやりたい動きに合わせた細か なカスタマイズもできる。どんなシーンにも対応してくれ る。だから愛用しているROMEのKATANA。そのFASE版 を使ってみると、片手でスッと着脱できる手軽さとスピー ド感に驚きました。ちょっと慣れは必要だけど、慣れちゃ えばめっちゃ快適。地味に嬉しいのが、アンクルストラッ プを途中までグイッと押し込める仕様。ラチェットを締め る回数が減って、けっこう時短になります。滑り心地はと いうと、通常版とほぼ一緒。いや、体感的にはまったく変 わらないかも? 足をねじる動きにも対応しやすいアシンメ トリーラップのベースや、ベース裏のフルブッシング、ミ ニディスクはそのまんまで、繊細なエッジワークもバッチ リ。しっかり踏んでいけるし、足首まわりの自由度が高い ぶん、フリースタイルな動きも余裕でこなせます。確かに FASE版は、ハイバックのローテーションやカントの調整、 アンクルストラップの位置調整が8段階から4段階に減っ ていたり、一部の機能は制限されてます。そのへんが気に なってたけど、実際は「アレ? 全然いける」。むしろ、「何 か違うの?」って(笑)。その後、通常版で滑ったら、足に寄 り添ってくれてる感覚は確かに高かった。でも、パフォー マンス面では、そこまでの差はないかもっていう印象でし た。カスタム性を突き詰めたい人は通常版のほうがいい かもしれない。でも、FASE版にも自分の滑りに合わせて 調整できる機能はちゃんと備わってます。重量は、FASE 版のほうがホンの少しだけ重いらしいけど、手で持ったと きも、滑ったときも、その差を感じることはなかったです。


足が埋まるくらい深いパウダーだと、少し履きづらかった のは事実。でも、そういったときはストラップを外して普 通のバインみたいに履けば何の問題もなし。気になるデ メリットもなくて、ただただ着脱がラクな2ストラップバイ ンディングでした。
Photo:
Photo: Keiji
Tajima

ハイバックが後方に倒れている状態で、ブーツの ツマ先をしっかりと奥まで入れる。

ライディングを終えてアンクルストラップもトウス トラップもしっかり締まった状態。

ブーツのカカトで、バインディングのヒールペダル を力強く一気に踏み込もう。

25-26 BRAND LINE UP 今季のSUPERMATIC展開ブランド一覧 STEP STEP -3

ロックは3段階あるので、最後までしっかりとブー ツを踏み込むことがポイントだ。
※事前に好みのテンションにストラップを調整している場合の装着方法

ベースプレートのボードセンター寄りにあるリ リースレバーを手で下げてロックを解除。
※リリースレバーは内側にある
レバーを下げたまま足でアンクルストラップを引 き上げ、そして足を後方に引っこ抜く。

※レバー操作を足でおこな
うと負荷がかかりすぎて破 損する可能性があるので 必ず手で操作しよう。
NIDECKER
2022年にNIDECKERから初登場したSUPERMATIC。 まったく新しいステップイン方式が話題となった。今季 はモデル数とカラーリングが大幅に増えている。
→BINDINGS(ユニセックス3モデル)




足入れをスムースにするSLIP PLATE、フォワードリーン を調整するキューブ、そしてBENT METALらしいデザイ ン性の高さ。機能面も見た目も文句なしの仕上がりだ。
→BINDINGS(ユニセックス1モデル)
オールマウンテンで高い対 応力を備え、安定性と操 作性のバランスに優れた SUPERMATICのシステムを 搭載した今シーズン初登場 のモデル。
→BINDINGS(メンズ1モデル)
ENGINEER INTV.
開発者インタビュー
「誰でも、どんなブーツでも、 使いやすいオートマチックなバインディングを!」
SUPERMATICの開発のキッカケは? 僕たちは長年に渡って2ストラップバインディングを愛用して きましたし、1984年からは自社でも製造してきました。その 乗り味が好きでしたが、きっと誰もが感じていたであろう、 リフトの乗り降りのたび、そして斜度の緩い林道などでワン フットになるときなど、いちいち後ろ足を固定したり開放し たりする動作にはフラストレーションを感じていました。そこ で僕たちは、「2ストラップバインディングの乗り味や互換性 はそのままに、圧倒的に使いやすいオートマチックなバイン ディング」をテーマに掲げて開発をスタートさせたんです。多 くのスノーボーダーのニーズに応えるであろうという確信も ありました。ですが、それは「聖杯」を探すような挑戦でした。
どのようなユーザーを想定して開発したのですか? 特定のユーザーを想定して開発したわけではありません。 ビギナーからプロレベルの人まで、さらにはキッズ、かつて スノーボードをやめたけど再び戻ってきた年配の方など、 すべての人たちに向けた設計であることを念頭に置いてい たからです。「煩わしさゼロで1本でも多く滑れる」。それが SUPERMATICなんです。もちろん、一部のコアライダーは 引き続きお気に入りブランドの2ストラップバインディング を使い続けるでしょう。ですが、もし時間や体力をセーブし たいと思ったことが過去にあるならば、ぜひSUPERMATIC を試していただきたい。このうえない快適さ、最高のライド フィール、それらを妥協なしで得られるはずです。
開発にはどれくらい時間がかかりましたか? およそ4~5年を要しましたね。その前半の期間は、ブレス トや複数世代の試作・テストに集中しました。最大の課題は、
「簡単に開閉できる構造」と「閉じたときにストラップで確 実に固定すること」の両立でした。バインディングは、パウ ダーでもアイスバーンでもしっかりロックされなければ意味 がありませんからね。そして、「これはいける」と確信を得て からの2年間は、生産の最適化と徹底的なテストに注力しま した。ただ、こういったプロジェクトは、常に進化し続けてい くもの。ですから、今もなお改良を重ね続けているのです。
開発中の印象的なエピソードはありますか? もっとも感動したのは、テストでライダーたちの顔がパッと 明るくなった瞬間ですね。「自分のブーツでちゃんとハマる のに、まるで普通の2ストラップと同じ感覚だ」。そのときの 驚きと笑顔が忘れられません。
ライディング時の使用感は、2ストラップバインディングと比 べて何か違いはありますか? 基本的にスタンダードな2ストラップバインディングと同じラ イドフィールになるように設計しています。ですが、独自の ベースプレート構造によってエッジへのパワー伝達が向上し ており、よりグリップ力が強化され、操作性の高いターンが 可能だと思います。
よくある誤解を挙げるなら何ですか? 通常の2ストラップバインディングと同じように、使用前の正 しいセッティングが大事ですね。
これまでの大きなアップデートは? 細かな改良は多々重ねてきました。そのなかで具体的な箇 所を挙げるならば、トウストラップのアップグレードですね。
SHOP STAFF INTV.
「イージーエントリーだけじゃない、 ボードの制御能力の高さも魅力」
SUPERMATICの最大の強みは? イージーエントリー。第一印象的な「つかみ」はそこですが、 僕が思うSUPERMATICの最大の強みは、「ボードを面で押 さえ込む性能」にあると感じています。ヒールペダルがブラン コのような構造になっていますが、さらに詳しく見ると、そ のブランコの部分は装着時でもわずかにボードに触れる程 度で、ガッツリとボードに接していないのがわかります。つま り、カカトに伝わった全体重は、そのブランコの根元を通じ てバインディングの左右に伝わり、結果的に面でエッジを押 す構造になっているのです。なので、通常のバインディング に比べると、ボードを押さえ込むパワーが全然違うんです。 スピードを出してもボードが暴れにくい。これが、僕はもっと も優れている点だと思っています。
実際の使用感は? 使用感は先ほど述べたとおりです。ただ、重いと感じる人がい らっしゃるのも事実です。当店のお客様で、SUPERMATICの 使用をやめた人の理由の多くも重さでした。ですが、重量が あるがゆえの安定性、走破性というものもあり、軽いことだ けがメリットというわけではありません。実際、僕もライディ ング中に重さを感じたことはあまりありません。もちろん、

サンティアゴ·デ·サンタ·カタリーナ (NIDECKER GROUP / プロダクトディベロッパー&エンジニア)
LSR 2.0 オートロックラチェットによって、かなり利便性が強 化されたと思います。
今シーズンの最大のニュースは? 価格帯・デザイン・硬さの異なる3モデルの展開により、あら ゆるライダーのニーズに応えられるラインナップになったこ と。さらに、新設計のフットベッド、アンクルストラップ、トウス トラップも加わり、フィット感はさらに向上しています。
SUPERMATICのシステムを他ブランドと共有した理由は? SUPERMATICは、僕たちのスノーボードへの情熱から生ま れたプロダクト。もしも、このシステムでスノーボードをする 人が増えるのであれば、それは業界全体にとってポジティブ なことだと思ったからです。僕たちは、SUPERMATICを業界 のスタンダードにしたいと本気で考えています。そのビジョン に共感してくれたのが、BENT METALでありSALOMONでし た。今後もさらに多くのブランドが加わっていく予定です。
ショップスタッフ・インタビュー
TRICKSTAR(群馬) オーナー・坂林さん
慣れもありますが、フリーライドをするうえでは何も問題は ないと思います。むしろ、安心感や安定感を得るためには、 ある程度の重さが必要だと思うんです。ただ、グラトリなど のクイックな動き、細かい動きをする人には、重さは不利に なる場合が多いので、ちょっと合わないと感じる人が多いか と思います。また、完全なるビギナーの人も使いこなすのは 難しいかもしれません。イージーエントリーだからビギナー さん……って考えがちですが、そのメリットを引き出すた めには、やはり立った状態で履く必要があるからです。ビギ ナーさんが立ったまま装着するのは、やはり難しいのではな いでしょうか。
どこでも装着できますか? 深雪でも、それほど大きな困難はないと思います。ただ、や はり慣れは必要です。でも、通常のバインディングでも、履く 前にフットベッドの雪を取り払いますよね? SUPERMATICも 同じように履けば問題ありません。大きく違うところは、カカ トを踏み込んでロックをかけるので、ツマ先を入れたら、思 い切りカカトへと一気に乗る動作が必要になります。もし、 それができない状況であったとしても、ストラップを完全に 外せば従来のバインディングと同じように装着できるので、 そういった選択肢があるのはいいと思います。
これまでのアップデートで便利だった点は? まず、モデルが増えてチョイスの幅が広がったのは大きな変 化だと思います。パーツレベルで言いますと、ラチェットバッ クルが、今までは一部のモデルではストラップの長さを調整 したあとにロックをかける必要があったのですが、今季か らは全モデルで自動でロックされるようになります。ロック することを知らないで使ってた人もいたので、このアップグ レードによって、とても使いやすくなりました。
NIDECKER以外のブランドでも、SUPERMATICが展開さ れますが、どういった印象を? これはイメージの問題が大きいかと思います。例えば、LIB TECHのボードに乗っている人だったら、BENT METALを使 いたいって考える人が多いんじゃないでしょうか。僕は勝手 にBENT MATICって呼んじゃってますが、自分がカッコいい と思うブランドのモデルを使えばいいと思います。僕らは、 いわゆるマニュアル世代ですが、今の若い世代の方たちは、 SUPERMATICのようなオートマチックなモデルが常識に なってくるのかもしれませんね。

ライダー・インタビュー
平良
光
[使用モデル]
NIDECKER OG SUPERMATIC
Hikaru Taira
「唯一無二の “包容力×キレ”が、 僕にドンピシャでハマる」
SUPERMATICを使って一番驚いたのは、装着の早さ じゃなく、実はヒールエッジの効き。踏んだ力が雪面に ズシッと伝わり、グリップ力が格段に増す。これまでエッ ジがズレて焦っていたような場面でも、しっかり踏み込 んで耐えられる。この“踏んだ力を増幅して伝える”構造 は、SUPERMATICならではの強みだと感じました。もち ろん、着脱が一瞬なのも大きなアドバンテージ。僕は撮 影の現場で好んでワンフットトリックをするけど、フリー ラン中でも気軽に切り替えられるおかげで、片足で遊ぶ シチュエーションが増えました。片足で滑るからこそ、安 定感とレスポンスのよさは欠かせません。SUPERMATIC は、ブレが少なく操作性が高いから、結果的にトリッ クのメイク率も上がったと思います。ホールド感も独特 なんです。2ストラップタイプが“線で締める”としたら、 SUPERMATICは“面で包む”ようにフィットするイメー ジ。足全体を優しく覆うから圧迫感がなく、長時間滑って もラク。それでいて反応は驚くほどクイック。2ストラップ に慣れてると「固定できてるのか?」と疑いたくなる絶妙 なちょいユル感だけど、これが実は快適かつ着脱のしや すいベストな締め具合。これは皆に言っておきたいです ね。あと、手に持つと確かに重いけど、滑走中に重さを 邪魔に感じたことはありません。むしろ、走破性や安定性 にプラスに働いてる印象。もし、このフィーリングを犠牲 にして軽量化するくらいなら、僕は今のままがいいです。


どんな雪質や斜面でも問題なく装着できて、万一のとき は従来の2ストラップ同様の着脱ができる安心感もある。 最初の1~2本は戸惑うかもしれないけど、慣れれば、もう 手放せなくなるはず。ボードとの相性的には、ミディアムフ レックスにはノーマル版(OG)、ハードフレックスにはカー ボン版っていう使い分けが、僕はしっくりきています。ちな みに、僕のブーツサイズは26cmで、本来ならMサイズで OKだけど、ストラップのフィット感や操作性を重視して、 あえてLサイズを選んでます。軽さよりも唯一無二の“しっく り感”を優先したいから!
Photo: YUYA
Photo: Ben Shirakawa

アンクルストラップがきちんと締まった状態で足 をベースに近づける。

トウキャップにブーツのツマ先をしっかりと押し 込む。

カカトで力強くベースを踏み込めば装着完了だ。
※最初の装着は、通常の2ストラップバインディングと同 様におこなったほうがスムースだ

ハイバックのリリースハンドルを引っ張り上げる。

ハンドルを引き上げながらカカトも引き上げる。

ツマ先をトウキャップから引っこ抜けばフィニッ シュ。
ENGINEER INTV.
「パーツをセパレートすることで生まれた 新たなステップイン」
CLEWの開発コンセプトは? 伝統的なバインディングと同等のライディング性能と調整幅 を備えた、妥協のないステップインソリューションを作るこ と。そのために、バインディングを2つのパーツに分けて設 計し、細部までこだわって開発をスタートさせました。
どのようなユーザーを想定して開発したのですか? 実は、当初は自分たちのために作っていたんです。しかし、 CLEWの仕組みは予想以上に革新的で、すぐに新しい世代 のライダーたちから注目を集めました。その結果、ターゲッ トが自然と拡大していきました。今ではベテランライダーか ら、新しいことにチャレンジしたい初心者まで、あらゆるス ノーボーダーを想定して開発しています。特にビギナーの方 から「バインディングの操作に苦労せず、スノーボード初日 から楽しかった」といった声が今では多く届いています。
開発にはどれくらい時間がかかりましたか? 初代モデルの開発には4年がかかりました。その後、多くの ユーザーさんたちからのフィードバックをもとに、さらに1年 かけて次のモデルを開発しました。今も少しずつ改良を重ね ていますし、開発も続いています。
開発中の印象的なエピソードはありますか? CLEWがもっとも進展したのは、新型コロナウイルスが流 行した最初の年でした。多くの活動がストップするなか、
開発者インタビュー
私たちは開発に集中することができたからです。プロトタイ プを作っては次々に試し、アイデアをどんどん具現化してい きました。その成果が「FREEDOM 1.0」というモデルです。 また、もともとステップイン式のバインディングに懐疑的だっ たアメリカの元オリンピックチームのコーチであり、ショー ン・ホワイトのトレーナーから、「CLEWのライドフィールは 非常に素晴らしい」という評価をいただいたことも印象に 残っています。
ライディング時の使用感は、2ストラップバインディングと比 べて何か違いはありますか? ステップインの便利さを持ちながら、従来の2ストラップバイ ンディングに匹敵する、いや、それ以上のコントロール性や レスポンス性を提供している自信があります。
ヨハネス・ヴェッカーレ
(CLEW / 代表取締役CEO & 開発責任者)

よくある誤解を挙げるなら何ですか? 「ハイバックがブーツに装着したままでは歩きにくいので は?」ということですかね。ですが、実際は歩行時の違和感は ほとんどありません。むしろ、メリットのほうが多いんです。 装着時にハイバックを起こす必要がないので、すぐにステッ プインできますからね。リフトに乗るときに前足にかかる重 さ、ボードを持ち運ぶときに手にかかる重さも軽減されま す。あとは、「雪が詰まって装着できないのでは?」という心 配の声もよく聞きます。ですが、ベースとハイバックの間に しっかりとスペースが設けられており、雪が詰まりにくい設 計になっています。シャバ雪でもパウダーでも問題なくロック できます。もし深雪で苦労する場合は、ステップイン機能をオ フにして、通常のラチェット式として使うことも可能です。 今シーズンの最大のニュースは? 4年間の開発期間を経て生まれた新モデル「INDEPENDENCE」 です。ドイツで開発された高性能プラスチックに、極薄の繊維 ガラスを加えて補強することで、強度と耐久性を高めつつ、 重量を最大20%も削減することに成功しました。ベースプ レートから新しいストラップまで、すべてのパーツがアップグ レードされているんです。私たちは、このバインディングを世 界に紹介するにあたって、日本で初公開することを決めまし た。それは日本のユーザーさんからの応援とサポートへの感 謝の気持ちを込めたかったからです。