ERM Japan Newsletter_GX-ETS_2024幎11月11日

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GX-ETS の本栌皌働に䌎う JCM クレゞット需芁の高たり

2026 幎床より GX-ETS が本栌皌働

日本では、2023 幎床より排出量取匕制床GX-ETSが開始した。第 1 フェヌズである珟圚は、「自䞻 的な制床」であるこずが重んじられ、䌁業が参加するかどうかや目暙蚭定の氎準は各瀟の自䞻的な刀断に委 ねられおいる。䞀方、2026 幎床以降の第 2 フェヌズでは、排出量取匕制床が「本栌皌働」するずされおお り、倧䌁業の参加矩務化や個瀟の削枛目暙の認蚌制床の創蚭に぀いお、2025 幎 1 月からの囜䌚での法案提 出に向けお準備が進められおいる。排出削枛に向けた圧力がより高たり、野心的な目暙蚭定やその達成が期 埅されるず想定されるが、蚭備曎新や技術革新のタむムラむンの関係䞊、短期的に排出削枛が困難な䌁業も 存圚するだろう。そのような䌁業にずっおは、適栌カヌボンクレゞットの掻甚が有効になる可胜性がある。

GX-ETS 適栌カヌボンクレゞットは䟛絊䞍足が芋蟌たれる

GX-ETS の第 1 フェヌズにおいお、目暙未達成の䌁業は、自瀟で削枛できない排出分に぀いお、❶Jク レゞット泚 1 、❷JCM クレゞット泚 2 、❞その他の適栌カヌボンクレゞット泚 3 の掻甚が可胜である。第 2 フ ェヌズで䜿甚可胜なクレゞットの詳现は明らかにされおいないが、日本の NDC 達成に寄䞎する J-クレゞッ トや JCM クレゞットは掻甚できる可胜性が高いず考えられる。ここで足元の䞡クレゞットの䟛絊量を確認 したい。2024 幎 10 月末時点の Jクレゞットの环積認蚌量は玄 1,075 䞇トン、JCM クレゞットの环積発 行量は玄 70 䞇トンである。囜内排出量が 2030 幎 NDC に向かっお線圢に削枛されるず仮定するず、2026 幎床の排出量は 9.2 億トン皋床ず芋蟌たれる。このうち玄 50が排出量取匕制床の察象ずなり、第 2 フェ ヌズで排出量の 5を䞊限にカヌボンクレゞットを利甚可胜泚 4 ず仮定した堎合、最倧幎間 2,300 䞇トン皋 床のクレゞット需芁が生たれる可胜性がある。超過削枛枠やその他の適栌カヌボンクレゞットの掻甚があっ たずしおも、足元の䟛絊量ず倧幅な乖離があるこずがわかるだろう。この乖離はどのように解消できるだろ うか。日本囜内プロゞェクトに由来する J-クレゞットは、幎間玄 100 䞇トン認蚌されおおり、2030 幎床た でに环積 1,500 䞇トンを目指す政府目暙に堅実に近づいおいるが、飛躍的拡倧は難しいず考えられる。

JCM クレゞット拡倧ぞの期埅が高たる

そこで、パヌトナヌ囜においお倧芏暡な排出削枛を実珟しうる JCM に泚目が集たっおいる。日本政府は 2030 幎床たでに JCM クレゞットを环積 1 億トン皋床確保する目暙を瀺し、パヌトナヌ囜を 29 か囜に拡倧 させ、蟲業系や森林系の方法論の敎備にも取り組み始めおいる。新しい方法論に基づくプロゞェクト開発は 足元で進められおおり、JCM クレゞットの発行量は数幎以内に䌞びを芋せる芋蟌みである。

これたでの JCM は、日本政府の補助金によりパヌトナヌ囜に日本補の再゚ネ・省゚ネ蚭備等を導入する 圢が䞻流であり、䌁業の圹割は補助金を前提ずした技術提䟛が䞭心であった。しかし近幎、「民間 JCM」ず いう、政府補助金なしに日本䌁業が JCM プロゞェクトを䞻導する圢ぞの移行が進んでいる。䌁業JCM 実 斜事業者は、資金負担を求められる代わりに、貢献に応じお JCM クレゞットを取埗できる。取埗したク レゞットは、GX-ETS や枩察法の報告に利甚できるほか、囜内䌁業ぞの売华も可胜である。民間 JCM の枠 組みは、䞀定のコンプラむアンス需芁芏制制床ぞの察応のためのクレゞット需芁があるクレゞット制床

ずしお海倖䌁業からも泚目されおおり、匊瀟にも、特に東南アゞア諞囜における JCM クレゞット創出に関 心を寄せる海倖䌁業からのお問合せが倚く寄せられおいる。

JCM クレゞットの調達・開発の考え方

GX-ETS の矩務履行に向けお、長期か぀倧量のクレゞット調達を目指す堎合、プロゞェクト開発者ずオ フテむク契玄を締結したり、開発フェヌズにおける初期コストを䞀郚負担したりするこずで、自瀟の調達基 準を満たすクレゞットを早期に確保するこずが有効ず考えられる。䞊述の通り、GX-ETS が野心的な制床ず なった堎合には、クレゞット需芁が䟛絊量を䞊回り、スポット調達䟡栌が高隰する可胜性も考えられる。調 達ポヌトフォリオの怜蚎においおは、䞀般的なカントリヌリスクに加え、レピュテヌションリスクの回避 や、方法論固有のリスクの怜蚌も重芁である。さらに、JCM が準拠しおいるパリ協定 6 条 2 項の適栌察象 掻動に関する最新の議論動向泚 5 も考慮したうえで、調達戊略を怜蚎すべきである。たた、JCM は䞀般的な ボランタリヌクレゞットず異なり政府間亀枉が必須であり、特に、制床登録前のプロゞェクトに投資する際 には、クレゞット発行の蓋然性を確認するこずが重芁である。パヌトナヌ囜のニヌズに合ったプロゞェクト ほど、政府間亀枉が円滑に進みやすいず考えられるため、事前に、パヌトナヌ囜がパリ協定 6 条 2 項の枠組 みでクレゞット化を怜蚎しおいる領域や、投資予定のプロゞェクトがパヌトナヌ囜の NDC 達成に寄䞎する かどうかに぀いお調査するこずが有甚ず考えられる。

JCM クレゞットの開発を垌望する䌁業は、JCM クレゞットぞの需芁はボランタリヌクレゞットずは異な り、コンプラむアンス需芁が䞭心である点に留意すべきである。高品質でコベネフィットが倚いプロゞェク トも魅力的だが、䜎䟡栌で倧量のクレゞットを創出できるプロゞェクトぞの人気が高たるず考えられる。日 本政府の方針ずしおも、日本の優れた脱炭玠技術を導入できるような倧型案件ぞの期埅が高い。特に、再゚ ネ、グリヌン物流、廃棄物むンフラずいった分野に泚目しおいる。再゚ネプロゞェクト開発は、ボランタリ ヌクレゞット制床においおは経枈的远加性の芳点から察象掻動より陀倖される傟向にある泚 6 が、JCM 制床 は、ベヌスラむン排出量を、BaU (珟状を維持した堎合の排出量) よりも䜎い倀に蚭定するこずにより、远 加性の耇雑な蚌明を回避するような制床蚭蚈になっおおり、芁件を満たす再゚ネ案件は開発可胜ずされる。 再゚ネを含め、䞊蚘のような優れた技術をお持ちの䌁業はぜひ JCM 化をご䞀考いただければず思う。

カヌボンクレゞットの調達・開発に携わるうえでは、䞊蚘のようなクレゞット制床ごずの違いを理解 し、ビゞネス構築を進めるこずが肝芁ず考えられる。ERM では、排出削枛蚈画を含む瀟内の緩和戊略の策 定から、クレゞット調達ポヌトフォリオの怜蚎、プロゞェクトの案件開発たでご支揎可胜なリ゜ヌスを有し おいる。たた、䞖界 40 以䞊の囜・地域にオフィスを有しおおり、必芁に応じお、JCM パヌトナヌ囜オフィ スず連携したグロヌバルな支揎も可胜である。パヌトナヌ囜におけるクレゞットの創出に関心のある方、カ ヌボンクレゞットの調達やポヌトフォリオ蚭蚈にお悩みの際には、ERM にご盞談いただければず思う。

姫野 矎垌

泚J-クレゞット制床は、日本囜内における省゚ネ蚭備導入、再゚ネ掻甚、適切な森林管理等による枩宀効果ガスの削枛をクレゞットずしお認 蚌する制床である。詳现は以䞋を参照。https://japancredit.go.jp

泚 2JCMJoint Crediting Mechanism: 二囜間クレゞット制床は、日本がパヌトナヌ囜途䞊囜等に資金・技術等を䟛絊するこずで、パ ヌトナヌ囜における GHG 排出削枛に貢献し、創出したカヌボンクレゞットを日本ずパヌトナヌ囜で分配する制床であり、パリ協定 6 条 2 項に 沿っお実斜される。詳现は以䞋を参照。https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/jcm/index.html 泚囜内倖の CCU、沿岞ブルヌカヌボン、BECCS、DACCS プロゞェクトに由来するクレゞットのうち適栌芁件を満たすものに぀いお、 排出量の 5を䞊限に䜿甚可胜ずされる。詳现は以䞋を参照。https://gx-league.go.jp/aboutgxleague/document/GXETS%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E9%81%A9%E6%A0%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%8 3%9C%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E6 %B4%BB%E7%94%A8%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89% E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3.pdf

泚 4囜倖の排出量取匕制床の䟋をみるず、EU ETS ではカヌボンクレゞットの利甚は認められおいないが、米囜の RGGI では䞊限 3.3、 CA 州制床では 4%、WA 州制床では 5を䞊限に適栌カヌボンクレゞットが利甚可胜。韓囜 ETS、䞭囜党囜 ETS でも排出量の 5を䞊限に 利甚可胜。いずれも 2024 幎時点

泚 52024 幎 6 月に実斜された SBSTA気候倉動枠組条玄に基づき蚭眮された科孊的・技術的助蚀を提䟛する補助機関䌚合においお、 珟圚のガむダンスの䞋では、パリ協定 6 条の適栌掻動に「排出回避Emission Avoidance」は含たれないこずが確認された。今埌新たな ガむダンスを策定し「排出回避」を適栌掻動に含めるかどうかは、2028 幎の SBSTA 䌚合で再怜蚎される芋蟌み。 https://unfccc.int/event/sbsta-60?item=13%20a 泚 6䞖界最倧手のボランタリヌカヌボンクレゞット認蚌機関の Verra は、2019 幎に埌発開発途䞊囜LDC以倖における再゚ネプロゞェ クトをプログラム範囲から陀倖。同様に、認蚌機関 Gold Standard でも、2020 幎に再゚ネプロゞェクトの察象制限を発衚。

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