ERM Japan Newsletter_2024幎12月10日号

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䞍動産業界における ESG未来を圢䜜るトレンドず倉革ESG in the Real Estate Sector: Trends and Transitions Shaping the Future

䞍動産における ESG の重芁性の高たり

サステむナビリティぞの取り組みがすべおの業界にずっお重芁な柱ずなる䞭、䞍動産業界も環境・瀟䌚・ガバ ナンスESGぞの取り組みを進めおいたす。䞀方で、ESG は「あるず良いもの」ずいう認識の事業者も倚 いのではないでしょうか。脱炭玠を柱に様々な文脈においお ESG は「必須芁玠」ぞず倉わり、これらの取り 組みがレゞリ゚ンスの向䞊、垂堎競争力の匷化、瀟䌚的責任を通じお䞍動産に倧きな䟡倀を提䟛するものず考 えられおいたす。

芏制の圧力ずコンプラむアンス

倚くの囜・地域においお、炭玠排出基準、゚ネルギヌ効率向䞊矩務化や廃棄物管理芏則など、より厳しい環境 芏制が導入され、䞍動産䌁業は持続可胜性ぞの投資を促されおいたす。米囜のボストン垂においおは既存建物 の CO2 排出量に報告矩務があり、2019 幎は 3,250 ㎡以䞊の建築物が察象でしたが 2022 幎に 1,860 ㎡以䞊 の建物に察象が厳栌化され、報告しない堎合は 1 日 150300 ドルの眰金が科せられたす。曎に 2030 幎に は CO2 排出量芏制以䞊の建物には眰金が課せられるずの事です。建物所有者にずっお省゚ネ化しおいない䞍 動産の所有はリスクず捉えられおいたす。

珟圚、枩暖化察策ずしお CO2 に䟡栌を぀け、排出量に応じた負担を求める「カヌボンプラむシング」制床が 囜内でも浞透し぀぀ありたす。欧州ではこうした取り組みが特に進んでおり、䞊限を超えた堎合には眰金が科 せられたす。䞀方で、欧州の 1 トン圓たり玄 1 侇 5 千円に察し、囜内では玄 2 千円皋床ずなっおいたす。こ

れらは化石燃料を扱う石油化孊など排出量が特に倧きい䌁業が察象ずなっおいたすが、䞍動産に関連する芏制 は珟状、省゚ネルギヌ法や地球枩暖化察策法に留たり、排出量の削枛目暙は幎間 1 パヌセントにずどたっおい たす。日本の枩暖化排出量芏制の遅れが、海倖投資家から芋た日本の䞍動産の競争力䜎䞋に぀ながる懞念があ りたす。

こうした日本の状況も将来的に芋盎される可胜性が高く、芏制リスクに備えるこずが重芁です。

気候リスクずレゞリ゚ンス

気候倉動に関する政府間パネルIPCCの議論においお、将来的な枩暖化の傟向に぀いおは疑いの䜙地は無 いず認識されおいたす。気象庁においおも、猛烈な台颚の出珟頻床の増加、短時間豪雚の発生回数・降氎量の 増加、豪雚による土砂灜害、及び海面氎䜍の䞊昇等は、気候倉動により顕圚化しやすいリスクファクタヌずし お挙げられおおり、特に䞍動産はこれらのリスクファクタヌに垞にさらされおいるず蚀えたす。

囜内においお垂町村が運営する新築建物においお隣接河川の氟濫により重芁蚭備を含む機械宀が浞氎し、機胜 埩旧たで長期間を芁し、察策の為の改修工事に膚倧な远加コストを費やした事䟋がありたす。新築建物におい おも蚭蚈初期段階で気候倉動リスクを詳现に分析し、察策を取るこずが求められるでしょう。

気候倉動リスクの評䟡では、気候倉動シナリオを加味したシミュレヌションや、自治䜓等で敎備されおいるハ ザヌドマップ等が掻甚されるケヌスが倚くみられたすが、これらの掻甚にあたっおはただ課題点も倚いずいう 声も聞かれたす。䞻芁な課題ずしおは、シミュレヌションによる評䟡ではその面的粒床が倧きく、局所的な土 地の評䟡には適しおいない、たたハザヌドマップにおける最倧浞氎深の評䟡結果だけでは、より高頻床に発生 する可胜性のある䜎芏暡の灜害の察策メニュヌが怜蚎できない、などが挙げられたす。これらの課題に察し、 初期的に広域での抂況把握、及びその結果に基づいお察象地に特化した詳现分析、ずいった段階的アプロヌチ により、合理的な察応策を怜蚎するこずが有効ず考えられたす。詳现分析では、地域により入手可胜な情報量 に差異が存圚したすが、専門家による立地特性の評䟡、重芁蚭備の配眮状況の確認などを行うこずで、リスク 芁因の特定や事業の継続性・資産䟡倀保護の芳点での察策メニュヌの怜蚎を行うこずが可胜ずなりたす。

においおもポヌトフォリオ拡倧を怜蚎するクラむアントから、気候倉動による䞍動産ぞの圱響評䟡に぀ いお問い合わせが増えおおり、これらの芁望に応える取り組みを進めおいたす。

ブランドずレピュテヌションの向䞊

匷力な ESG コミットメントを持぀䌁業は、責任あるビゞネスのリヌダヌずしお評䟡されたす。この評刀は、 テナントや投資家、コミュニティからのブランドロむダルティを高め、䞍動産垂堎で先進的か぀倫理的な䌁業 ずしおの䜍眮付けを匷化したす。蚘憶に新しい虎ノ門、麻垃台の森ビルの再開発事業では ESG の取り組みず しお、郜垂蚈画を評䟡する LEED ND (Neighborhood Development)ず建物を評䟡する LEED BD+C (Building Design & Construction)䞡方の評䟡指暙においお最高ランクのプラチナ認蚌、そしお建築空間の りェルネスず健康を評䟡する WELL のプラチナ認蚌も取埗しおおり、プロゞェクト自䜓の玠晎らしさだけでは 無く、環境性胜においおも高いコミットメントを瀺しおいたす。これらの取り組みは LEED 認蚌取埗ビルを入 居刀断の ぀ず考えるグロヌバル䌁業の誘臎に成功しおいたす。本建物に入居し、認蚌取埗を公開しおいる䌁 業の ぀ずしおゎヌルドマンサックス瀟が挙げられたすが、テナント専有郚のみを評䟡する LEED ID+C (Interior Design & Construction)においおも最高ランクのプラチナ認蚌を取埗しおいたす。事業者の環境ぞ のコミットメントずテナントの芁求性胜がマッチした良い成功事䟋ず蚀えるでしょう。

曎に、䜿甚する電力を 100再生可胜゚ネルギヌで賄うこずを目指す囜際むニシアティブ「RE100」 Renewable Energy 100ぞの参加を衚明する䌁業が増加しおいたす。特に、囜内に倚数のオフィス拠点 を持぀䌁業にずっお、RE100 ぞのコミットメントを衚明するビルは非垞に魅力的であり、分散した拠点を集 玄する候補ずしおも泚目されおいたす。これは、グリヌンビルディング認蚌の取埗ず同様、優先的な入居条件 の ぀ずなっおいたす。

ERM では、LEED 認蚌取埗したテナントビルぞの䞀棟借りなど野心的なグロヌバル䌁業のサポヌトに取り組ん でいたす。たた RE100 のみならず、䌁業の枩宀効果ガスのネットれロ目暙に第䞉者保蚌を䞎える SBTi (Science Based Target Initiative)ぞのコミットメントを宣蚀するグロヌバル䌁業の支揎芁望が増えおいた す。今埌、入居するテナントからビルオヌナヌぞの気候倉動・脱炭玠化に関する芁求事項が曎に増加しおいく こずが予想されたす。

瀟䌚的責任ずコミュニティぞの圱響

䞍動産業界は、コミュニティの圢成においお重芁な圹割を果たしおいたす。郜内近郊では巚倧物流倉庫やデヌ タセンタヌ開発が急速に進んでおり、こういった倧芏暡開発においおは亀通量増加や景芳などの地域䜏民ぞの ネガティブな圱響をサむト遞定の段階で怜蚌し、解決法を早急に暡玢する事が掚奚されたす。これらは“ステ ヌクホルダヌ゚ンゲヌゞメント”の䞀環であり、土壌地䞋氎汚染や重芁埋蔵文化財調査などの䞀般的な環境デ ュヌデリゞェンスず同様に重芁芖されたす。ERM では日本囜内を重芁な開発拠点ず考え、か぀地䜍䜏民ずの 察話を重芁芖するグロヌバル䌁業のサポヌトに取り組んでいたす。

最埌に

囜内の䞍動産垂堎においおは、少子化や東京郜内ぞの䞀極集䞭の傟向ずいった背景がある䞭、今埌はグロヌバ ル䌁業の積極的な誘臎もリスクヘッゞの ぀ずしお考えられるでしょう。䞍動産業界における ESG は、「ある ず良いもの」や単なるトレンドに留たらず、ポヌトフォリオを将来のリスクに察しお匷靭化し、垂堎の需芁に 応えるため、戊略的に䞍可欠な芁玠ずなっおいたす。前述の通り ERM は䞍動産の環境評䟡、気候倉動の圱響 評䟡及び察策怜蚎、LEED 認蚌を始め、幅広い䞍動産 ESG サポヌトを提䟛しおいたす。

▪ 気候倉動のリスク評䟡気候倉動リスク評䟡及び M&A 環境デュヌデリゞェンス

▪ グリヌンビルディング認蚌サポヌト新築、内装工事、既存建物における LEED、WELL、TRUE 認蚌取埗 サポヌト

▪ 再生可胜゚ネルギヌ調達PPA スキヌムによる再゚ネ調達、再゚ネ蚌曞やカヌボンクレゞットの賌入

▪ 囜際むニシアティブSBTi、CDP 察応を芋据えた GHG プロトコルに準ずるスコヌプ 123 算定支揎

▪ サむトデュヌデリゞェンスコミュニティ゚ンゲヌゞメントを含める環境デュヌデリゞェンス 朚䞋 良介

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