大阪府下におけるカエル生息状況調査報告書―第3報

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塚靡鰈塚 踪陽鰈

カエルの生息状況報告 珊 (第

一 第 三次 力 エル生息 調査並びに補充調査結果 ― 特定非営利活動法人 シ エ ア 自 然 大 学 校 メダカをシンボル とする水辺環境 調査会 (略 称メダカ調査委員会 )


大阪府に於けるカエルの生息状況報告(第3報) ―

第三次カエル生息調査並びに補充調査結果報告

特定非営利活動法人 シニア自然大学校 メダカをシンボルとする水辺環境調査会(略称 メダカ調査委員会) 林

美正、北坂正晃、香月利明、上田収、河田航路、田丸八郎、増田修平

はじめに

あるいは修復する方策を提言することを課題としてい る。

特定非営利活動法人

シニア自然大学校では、1998

次世代の孫やその子供たちが豊かな自然環境の中で

年から“メダカをシンボルとする身近な水辺の生き物と環

多様な生き物と接し、命の愛おしさや慈しみの心を学べ

境を市民と共に考える”運動を立ち上げ、これまで、大阪

るような環境づくりに寄与できればと念願している。

府に於ける「第一次メダカ一斉調査」(1999~2000)、「第

1.

一次カエル生息調査」(2002~2003)、「第二次メダカ一

調査目的

斉調査」(2003~2004)、「第一次淡水生カメ類と外来水 生生物生息調査」(2005~2007)、「第二次カエル生息調

第三次カエル生息調査では、殊に、第一・二次調査に於

査(2006~2008)」、「第三次メダカ一斉調査(2008~

いて何れかのカエルを確認した場所を重点的に踏査し、

2009)」、「第四次メダカ遺伝子型分布調査(2010~2013)」

水辺が繁殖に不可欠な両生類カエルの、大阪府下におけ

を実施してきた。

る生息状況とその環境変化の推移を調べることを目指し

この度は、第二次カエル調査に引き続き、「第三次カエ

た。

ル生息調査(2011~2014)」を実施し、府下におけるカエ ルの生息分布状況と生息環境等の変化について若干の 知見を得たので報告する。

<アカガエルの卵塊探し学習観察会> <カエルはこんなところが大好き>

2.

調査方法

当会では、こうした一連の活動を通じて、水辺の生き物 の生息分布状況や水辺環境の時系列的変遷を把握する

シニア自然大学校修了生を中心とする市民、環境関連

データを集積し、多様な生き物が棲む水辺環境を維持、

市民団体により、実地調査を行い「第三次カエル分布調

2


査票」(表 1 巻末参照)に記録した。カエルの成体・幼生(オ

2)

タマジャクシ)・卵塊の目視と採集、場合によっては飼育・

対象地域: 大阪府下43市町村

孵化、鳴き声の聞き分け、などによる識別・確認を行った。

① 地形区分(平野部・丘陵部・山地)

市民等から寄せられたカエル生息情報については、調査

② 生息環境(水田、湿地/池、森/林、川/沢、草

員が現地を確認後、調査結果に加えた。採集した標本の

地/荒地、畑、住宅地、商工地等の水辺)

一部は、大阪市立自然史博物館に提供した。

註 1 獣害防止柵・池柵等立入禁止地、危険箇所、

尚、調査前と期間中、適宜学習観察会を開催し、調査

海域は調査対象外とした。

員がカエルの識別と調査方法に習熟できるよう配慮する

註 2 都市化・宅地化など開発や高速道路など公

と共に、外部専門家による講習会を実施した。

共事業の進んだ地域の環境変化には注意 を払った。

1)

調査対象:大阪府及び隣接する府県で生息記録の

註 3 市民調査員の安全に留意して夜間の調査

ある、次の 4 科16 種のカエルを対象とした。

は、出来るだけ避けるようにした。

アマガエル科(1種);ニホンアマガエル(アマガエ 3)

ル)

調査期間: 予備調査 : 2011 年 5 月~11 月

アオガエル科(3種);シュレーゲルアオガエル(シュ

一斉調査 : 2012 年 2 月~10 月

レーゲル)、モリアオガエル(モリ

補充調査 : 2014 年 2 月~10 月

アオ)、カジカガエル

アカガエル科(9種);ツチガエル、ヌマガエル、ウシ

4)

ガエル、ニホンアカガエル (ニ

データベースとして入力し、市町村別、種類別、生

ホンアカ)、タゴガエル、ヤマアカ

息環境別など、多角的図表に加工した。併せて、環

ガエル(ヤマアカ)、トノサマガエ

境省基準地域メッシュ・第3次地域区画(3次メッシ

ル、ナガレタゴガエル、ダルマ

ュ/約1×1Km)に転記、分布図を作製した。その際、

ガエル

同一メッシュ内で重複してカエルを確認している

ヒキガエル科(3種);ニホンヒキガエル (ニホンヒキ)、

場所は、原則的に1メッシュとしてカウントした。

アズマヒキガエル、ナガレヒキ

註)従来の環境庁(現省)制定「都道府県別基準メッシュ

ガエル 註)

調査のまとめ:個々のカエル分布調査票に基づき、

(日本測地系)」は、「世界測地系メッシュマップ」に移

大阪府でトノサマガエルが準絶滅危惧種にラン

行する動きがあるが、当報告書では、第一次・二次調

クアップされたことを考慮して、2014 年の補充調

査との整合性を考慮して日本測地系を踏襲した。

査では、このカエルの生息場所調査に注力した。

3. 1)

第三次カエル生息調査の概況 カエル識別; 全体的には成体、鳴き声、卵塊、幼生の順であった。 第二次と比較して鳴き声による識別は約 15 ポイント 減であったが、逆に成体による識別は約 13 ポイント 増となり、成体目視と鳴き声による識別が 93%を占 めていた。市民調査員の安全に配慮して、夜間の調 査をできるだけ避けたことが反映している。当然の 事ながら、ニホンアマガエル、シュレーゲルアオガエ ル、カジカガエル、ウシガエルなど特徴的な鳴き声の

<ほら!これがニホンアカガエルの卵>

3


〔グラフ1-3〕 卵塊

ものは聞き分けによる識別が中心であった。

〔グラフ 1〕

何を持って識別したか(全体)

〔グラフ1-4〕 〔グラフ 1-1〕

幼生(オタマジャクシ)

成体

カエル種類別識別方法集計表(表 2 参照)

〔グラフ1-2〕

鳴き声

<アカガエル調査風景>

2) 市町村別および種類別の分布状況; 「大阪府カエル生息布図」(図 1 参照)、「大阪府 カエル種類別調査場所集計表」(表3参照)、「大 阪府カエル種別分布」(図 2 参照)、に纏めた。更 に、環境省 3 次メッシュに転記した分布状況は、 「大阪府市町村別カエル調査メッシュ集計表」(表 4 参照)、「第三次カエル調査 複数種メッシュ分 布マップ」(図 3 参照)の通りであった。

4


〔図1〕

大阪府カエル生息分布図

5


3)

大阪府に於いて確認されたカエルの種類数;

リアオガエル等であった。何れも、第一・ニ次調

日本本土で記録されているカエル類は 4 科 22 種

査の結果と同様の傾向を示していた。

(18 種 4 亜種)で(「日本本土のカエル類」表5参照)、

〔グラフ 2〕 カエルは平野から山地まで

大阪府に隣接する府県では、4 科 16 種が記録されて いる。第三次カエル調査で確認されたカエル類は 4 科 13 種であった。今回確認されなかったカエルは、 ナガレタゴガエル、アズマヒキガエル、ナガレヒキガ エルの3種で、ダルマガエルは、第二次調査では確 認されていないが、今回の調査で、北摂地域で確認 されている。

4)

〔グラフ 2-1〕 広く生息するカエル

「大阪府レッドリスト2014」に収載されたカエル; 2014 改訂版には、7種類のカエルが分類されてい る。今回の調査では、いずれも確認場所数に減少傾 向はあるが、すべて確認されている。

絶滅危惧Ⅰ類;

ダルマガエル(1 ヶ所/1 市町村)、

絶滅危惧Ⅱ類;

ニホンヒキガエル(12/10)、ニホンア カガエル(42/11)、ヤマアカガエル (21/5)

準絶滅危惧;

ツチガエル(34/19)、トノサマガエル (350/36)、シュレーゲルアオガエル (72/16)

〔グラフ 2-2〕 平野に多いカエル

註)カッコ内は、(確認場所/市町村数)を示す。

<トノサマガエル準絶滅危惧種に!>

5)

三次調査で確認されたカエルの生息環境の概況; ①

「地形区分別生息環境分布表」(表7参照)

地形区分

「カエル種類別地形区分分布表」(表8参照)

カエルは平野で最も多かったが、丘陵・山地 でも確認された。種別に特長があり、広く生息 するのがトノサマガエル、ニホンアマガエルで あり、平野で多いのがヌマガエル、ウシガエル で、丘陵・山地に多いのがニホンアカガエル、モ

6


〔グラフ 2-3〕 山地に多いカエル

〔グラフ 3-1〕 カエルの6割は水田に

〔グラフ 3-2〕 山地でも水田に 〔グラフ 2-4〕 丘陵・山地に多いカエル

〔グラフ 4-1〕 水田の代表種ヌマガエル

② 生息環境 山地の川や沢で繁殖するカジカガエル、タゴガ エルを除くほとんどのカエルが、その繁殖の場を 水田や湿地/池に依存していることは明らかであ る。その中でも水田は極めて重要な役割を担って

〔グラフ 4-2〕 湿地・池ではウシガエル

いる。 カエルは、平野はもちろん丘陵や山地の水田に も生息しており、田んぼで一番多く見られるカエル はヌマガエルであった。

<遺したい!こんな田圃の景観>

7


〔グラフ 4-3〕 川・沢ではカジカガエル 6)

第三次調査に於けるカエル確認場所数; 今回のカエルが確認された場所は、延べ 2,050 ヶ所

である。種類別にみると、ヌマガエルが群を抜いて多 く、ウシガエル、トノサマガエル、ニホンアマガエルの 順となる。地域的に広く生息しているのもこの順で、 グラフ(5-1,2参照)に見るように、殊にヌマガエルは 府下 43 市町村中 42 市町村で確認された。

〔グラフ 5-1〕 カエル種類別確認場所数

〔グラフ 5-2〕 カエル種類別確認市町村数

「カエル種類・地形区分別生息環境分布表」(表9参照) [大阪府市町村別カエル調査場所集計表](表3参照)

8


7)

第二次調査との比較:

と云われるヌマガエルの確認場所数の例外的な増加

今回は、前回調査でカエルが確認された場所を網

は、ヌマガエルの生息域拡大が続いていることを示

羅的に調査することを目指したが、市民調査の制約も

唆していると思われる。個々の考察は種別の項で述

あり、第三次のデーター数は 2,409 ケ所から 2,050 ケ

べる。

所の 85%に減少した。よって、数での比較は意味をな

蛇足ながら、生息数の極端に少ないカエルの増減

さないので比率を持って検討する。グラフ(6-1、2参

率は、僅かな数の動きでも極端に変動するが、普遍的

照)の通り、平均の 85%より増えている種と減ってい

に分布している種の減少率は何に起因するのであろ

る種に分けられるが、更に地域的なバラツキも見られ

うか。調査の習熟度など市民調査に宿命的なバラツ

るので、これも勘案して主要種を見ていくと、増加傾

キを否定しないが、地球温暖化に伴う異常気象や、そ

向がヌマガエルで、ウシガエルは前回の異常数字を

れ以外にカエルの生息を脅かす何らかの環境変化が

修正すると変わらない。地域的にみても明瞭に減少

水面下で進行している可能性も否定できない。この点

傾向にあるのがニホンアマガエルである。

については、別項で若干触れるが、今後の解明課題と

一方、日本列島を北上して生息域を拡大している

したいと考える。

〔グラフ 6-1〕 前回調査との比較 (場所数)

〔グラフ 6-2〕前回調査との比較 (比率:前回 100)

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註:ニホンアカの増加率が高く示されているが、極端に確認場所数が少ないことに起因している 前回 10 市町村 33 ヶ所に対し、今回 11 市町村 42 ヶ所 「大阪府市町村別カエル調査場所集計表」(表3参照)

8)

府下43市町村で確認されたカエルの種類数; 市町村名(対 2 次増・減種数)

自治体数

12種: 高槻市 (+1) 11種:

(1)

10種: 能勢町、豊能町、茨木市、島本町(+5)

(4)

9種: 箕面市、河内長野市(-1) 、和泉市、

(3)

8種: 池田市(+3)、枚方市、河南町(+2)

(3)

7種: 交野市(-2)、四条畷市(-1)、堺市(-1)、千早赤阪村、 貝塚市、岸和田市

(6)

6種: 吹田市、富田林市、大阪狭山市(+1)

(3)

5種: 大東市(+1)、八尾市(+2)、柏原市(+2)、太子町、 羽曳野市(+2)、泉佐野市(-2)、阪南市(-3)

(7)

4種: 豊中市(-1)、寝屋川市(-1)、松原市(+1)、東大阪市、 熊取町(-2)、泉南市(-1)、藤井寺市(+2)

(7)

3種: 守口市、大阪市(-2)、泉大津市(+2)、高石市(+1)、 岬町(-1) 2種: 摂津市(+1)、忠岡町

(2)

1種: 門真市(-2)、田尻町(-2)

(2)

増えた市町村;14、

9)

(5)

不変;15、

減った市町村;14 の通りであった。(表 3、図1,2 参照)

環境省 3 次メッシュに於ける大阪府カエル分布状

ュ、5 種 23 メッシュ、4 種 69 メッシ

況;

ュ、3 種 110 メッシュ、2 種 276 メッ

第三次カエル調査結果は、「大阪府市町村別カエル

シュ、1 種 374 メッシュの順であった。

調査メッシュ集計表」(表 4 参照)、「大阪府カエル生息 分布メッシュマップ」(図4参照)に示した。当然の事な

4 種以上確認したメッシュを環境省 3 次メッシュに転

がら、これは、先述のカエル確認場所数をベースとし

記すると、「第三次カエル調査 複数種確認メッシュ分

た諸図表に示した生息状況を反映している。

布マップ」(図3)通りの分布状況になる。4~7種類の

大阪府全域の環境省 3 次メッシュ数約

カエルが確認されたメッシュは、北摂山地、生駒・金剛

2030 に対し、何らかのカエルが確認され

山地、和泉山脈に沿った丘陵ないし山地に集中してお

たメッシュ数は 861(42.4%)メッシュであ

り、緑が多く、自然環境が比較的よく保たれている地

った。

域と一致していることが分かる。因みに、併記した1~

複数種類のカエルを確認したメッシュ

3 種類のカエルが確認されたメッシュ分布マップを参

数は、7 種 2 メッシュ、6 種 7 メッシ

照するとその状況がよく分かる。

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〔図 3〕 第三次カエル調査

10)

複数種確認メッシュ分布マップ(環境省基準地域第3次メッシュ)

第三次調査に於けるカエル種類別概況;

身近から姿を消していることは、自然と文化

上掲の調査結果に、調査員や現地で聞き取りをした

との貴重な絆が失われつつあることを意味

情報提供者の印象などを総括すると以下の通りであ

していないだろうか。

る。

今回減少したニホンアマガエルの分布は 図の通り。 ① ニホンアマガエル:第一次・二次調査を通じ て、平野部から山間部に至るまで、普遍的に 見られ、41 市町村 462 ヶ所での水田、湿地/ 池、川/沢などで確認されていたが、第三次 調査では、34 市町村 246 ヶ所に止まり、前回 の調査に比較してほぼ半数の確認場所数で あった。先述のように、繁殖期における夜間 の調査を控えたことが確認場所の減少に反 映していることは否定できないが、生息環 境の変化、殊に平野部では、水辺に直結す る樹林帯など、このカエルの生活や越冬場 所が少なく、極端に確認場所数や個体数を 減らしていることは容易に推測される。 こ の こ と は 、 調 査 先 で 出会 っ た 農 家 の <樹肌に憩うアマガエル>

方々など情報提供者からの聞き取りでも首 肯される。童謡にも唄われる象徴的カエルが

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③ モリアオガエル; 2014 年から大阪府準絶滅 ② シュレーゲルアオガエル;大阪府準絶滅危惧

危惧種から消えたが、北摂山地と云う固有

種。前回までの調査では、北摂山地、金剛・

の環境で安定的に生息していることが評価

和泉山脈の山裾に近接する 17 市町村 100 ヶ

されたものと理解される。前回の調査では

所で確認されたが、今回は、16 市町村 72 ヶ

8 市町村 41 ヶ所、今回は 8 市町村 38 ヶ所と

所に止まった。丘陵部などの耕作放棄田の

7.3%の減であったが、グラフ 6-2 に示す通り、

原野化や圃場整備による畔のコンクリート

実質的にそれほど減っている訳ではない。

化や水田脇の水路の消失の影響を受けて

北摂の山林に水溜

いると推測される。

りを造ると、そこに 直ちに産卵に来る ほど安定的に生息 している。 尚、前回、四条畷市の山間部の貯水池で 確認した卵塊は今回は確認されなかった。 関係者からの聞き取りでは、ここ数年、天候 不順で水位が下がり産卵していないとのこ とであった。池の成り立ちや地形的に見て、 人為的に移入された可能性を示唆してい

<コンクリート畔になって卵を産めないの!>

る。

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④ カジカガエル;

前回は北摂山地、金剛山

⑤ ツチガエル;大阪府準絶滅危惧種に新規分

地、和泉山脈沿いの 9 市町村の 50 ヶ所で確

類。前回は、北摂・生駒・金剛山系の 16 市町

認されたが、今回は 12 市町村 55 ヶ所で、僅

村延 63 ヶ所で確認されているが、今回は、

かながら生息市町村と確認場所を増やした

平野部の水田を中心に 19 市町村 34 ヶ所と

カエルである。砂防工事や山間部河川のコ

約半数の確認場所減少であった。元来、丘

ンクリート化が進み、山

陵部や山間の河川の淵などで越冬している

林などへの松枯れ病

ことが多いと云われ、河川や水路のコンクリ

対策などで殺虫剤な

ート化、山際の農水路 U 字溝化、などの構造

ど多用される中での

変化の影響は否定できない。生息地理的に

増加傾向は珍しい。

も、市民調査

今後の動向に注目したい。

員の目視に頼 るヌマガエル との識別スキ ルの 点 でも 確 認に限界があるカエルの一つでもある。

<ダムとコンクリート化による生息環境の劣化>

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⑥ ヌマガエル;日本列島を北上するように、そ の生息圏を広げていると云われるだけあっ て、前回は、43 市町村 709 ヶ所、今回は 42 市町村 766 ヶ所と大幅に確認場所数が増加 した。調査員が立ち入り易く、比較的目につ き易い場所に適応していると云えるかもし れないが、その増加傾向は群を抜いてい る。 第 2 報でも、このカエルが、他のカエルの 見られない、埋立地や河口にも生息域を広 げ、個体数も増やしている例外的なカエル

⑦ ウシガエル:特定外来生物。前回の調査では

であると指摘したが、今回の調査では、例え

35市町村の 467 ヶ所で普遍的に確認され

ば、第二京阪道路などで、壊滅的打撃を受け

ており、今回も 40 市町村 362 ヶ所で、確認さ

た水辺環境(門真市など)で工事後、いち早

れた。市町村数こそ 6 市町村増えているが、

く繁殖するなど、しぶとく再生している実態

確認場所数はほぼ 22.2%減となっている。

が見られた。さらに、大阪府中心部の市町村

第二次調査報告で付記したように、第二次

における商工地化・住宅化、郊外丘陵部など

調査の確認場所数には、第二次調査と略同

における大型老健施設などの土地利用で破

時期に行われていた、ウシガエルの生息地

壊された水辺環境、例えば、道路や建物に囲

に特化した外来生物調査で確認されたウシ

まれ緑と分断された水田、菜園化した水田跡

ガエルの場所数が含まれている。よって、ど

などでも、水溜りさえあれば、生息域を広げ

ちらかと云えば産卵に利用される水田中心

ている様子が見られた。

の水辺環境に傾いた今回の調査とは些か趣

今後の動向が気になるところである。

を異にしており、この減少率をして、このカ エルが生息場所を減らしているとは断じら れないが、調査時の聞き取りでは、‘最近ウ シガエルの鳴き声を聞かない’という情報提 供者が多く、調査員も、鳴き声を聞くことが 少なくなっていると感じている。殊に市街化 の進んだ地域では、ウシガエルが繁殖し、幼

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生が育つ場所や越冬に適した溜池・水路な

かかることが懸念される。

どが減っていることも現実的な視点ではな いだろうか。 尚、増えすぎたコイやブルーギルなど外 来種による卵や幼生 の捕食の可能性も捨 てきれない。今後の動 向に注目。

⑨ ヤマアカガエル:大阪府絶滅危惧Ⅱ類。前回 では、9 市町村 26 ヶ所、今回は北摂山系沿 いの 5 市町村 21 ヶ所の確認場所数であった。 北摂以外での確認はなく、相変わらず絶滅 の危惧にさらされている。山間部の水田・農 水路や浅い溜池などを中心に産卵場所とし ており、このカエルも、すでに述べた通り、 ⑧ ニホンアカガエル:大阪府絶滅危惧Ⅱ類に

そうした水辺環境の減少に歯止めがかかっ

新規分類。前回は 10 市町村 33 ヶ確認され、

ていない現実に直面している。例えば、豊能

今回は北河内、南河内、泉州地区の 11 町村

町の山間部棚田地帯において、建設残土に

42 ヶ所で微増であった。若干の微増ではあ

よる造成工事が行われ、ヤマアカガエルの

るが、比較的平野部や丘陵部を好むことか

貴重な生息場所が2ヶ所消失した事実と、か

ら、そうした地域

つて経験した圃場整備事業によりアカガエ

の市街地化に歯

ル類の産卵場所が壊滅的打撃を受けた事

止めがかからな

実を考え併せると、依然、二重の圧力を受け

ければ、一層危機

続けていると指摘しておきたい。

的状況に拍車が

尚、第一次・二次調査報告では、北河内北

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部と南河内の一部でヤマアカガエルの生息 を報告したが、その後、研究者から識別間違 いではないかとの指摘を受け、第三次調査 では、特にその地域の検証に注力したが、結 果的に確 認はでき な かったこ とを報告して おきたい。 <みどりの谷と田圃が消えた!>

第一次・二次調査時(2006~)には、幾つ かの図鑑やカエル解説書を参考にしがら、 地域担当調査員が現地で幼生や、複数の卵 塊から採集した卵の孵化飼育を行って判定 していた。当時入手できる図鑑類等参考資 料には、‘ニホンアカガエルの幼生には背中 に一対の黒点があり、容易に識別できる’旨 の記述があり、それ等に準拠して判定した 経緯があった。一方、第三次調査開始当時 (2011~)の図鑑類など参考資料では、‘ニホ ンアカガエルの幼生には一対の黒い斑点が

⑩ タゴガエル; 前回は、13 市町村 63 ヶ所、今

出ることがある’と、些かニュアンスの異な

回は 14 市町村 51 ヶ所で、確認場所数 12 ヶ

る表現に変わっている。したがって、第一次・

所の減少であった。分布的には前回同様に

二次報告書における当該地区のヤマアカガ

北摂山地や金剛山地並びに和泉山脈の林

エル誤判定の可能性は否定できない。この

間部の川/沢筋に生息していることを確か

点については、引き続き当該現地調査の課

めている。このカエルも産卵期を逃すと、山

題として検討することにしている。

林をく まな く 探し 回らなければなら ず広域市民調査の 難しさを感じた。

<カエルが冬眠期の圃場整備の犠牲に!>

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ノサマガエルの繁殖が確認されている。都 市部中心地においても、条件さえ整えれば 準絶滅危惧種トノサマカエルを保全できる 好例として特筆しておきたい。

⑪ トノサマガエル; 大阪府準絶滅危惧種に新 規分類された。前回は、33 市町村 376 ヶ所、 今回は 36 市町村 350 ヶ所と、3 市町村増え た半面、確認場所は 6.9%減少している。こ のカエルは、本来平野部の水田や周辺の草 叢から離れることが比較的少ないと云われ ている。今回平野部水田での確認場所数は 増えているが、府下平野部の市街化が更に 進み、彼らの好む水辺環境が失われた結果、 生息域や個 体数を減らし ていること から、準絶滅 危惧種に分

⑫ダルマガエル;

大阪府絶滅危惧Ⅰ類。第一

類されたものと推測される。平野部で棲め

次調査では交野市、豊中市で成体の鳴き声

なくなったこのカエルが、比較的水辺環境

を確認したが、第二次調査では、何れの場

の保たれている丘陵・山地の水田や湿地や

所でも確認されなかった。今回は、北摂地区

周辺の草叢に追いやられている事情が読

1 ヶ所で生息が確認された。大阪ではほとん

み取れる。

ど絶滅状態であるとされているが、この確

ヤマアカガエルの項で述べたような水辺

認は朗報と云える。なお、第二次調査でも指

の環境変化が続く限り、このカエルの末路

摘したが、

は明らかである。第 2 のダルマガエルにしな

北摂山間部

<自然体験観察園>

いように早急の対策が

水田などで、

望まれるところである。

ダルマガエ

尚、十数年前に大阪市

ルあるいは

鶴見緑地の一角に造

トノサマガエルとのハイブリッドを連想させ

成された「自然体験観

る幼体が見かけられており、今後の調査課

察園」の田んぼでも、ト

題としたいと考える。

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⑬ニホンヒキガエル: 大阪府絶滅危惧Ⅱ種に 新規分類。前回では、10 市町村 19 ヶ所で確 認されたが、今回は 10 市町村12 か所で生息 が確認されたにすぎない。産卵期を除いて、 その生息の痕跡を見つけるのが難しく、そ れだけに調査の途中、出会い頭の遭遇が確 認に繋がっているのが実情である。早急な 保護対策が必要なカエルの一つである。尚、 今回の調査でも、大阪府に隣接する府県で 記録されているアズマヒキガエル、ナガレヒ キガエルは、確認されなかった。

4.

第三次カエル調査結果の考察

たい。

第一次・二次調査とでは、いずれもほぼ同様の生息

1) 大阪市を中心とする摂津市、守口市、東大阪市、吹

傾向を示しており、殊に、ヌマガエル、ニホンアマガエ

田市、堺市などや大阪府の各市の駅周辺や中心部

ル、ウシガエル、トノサマガエルは、大阪府下で普遍的

の地域では、一段と都市化が進み、住宅団地化や

に生息していると報告した。今回の調査では、確認場

商工業団地化などに加え、幹線道路沿いには店舗

所ごとの個体数の点では問題はあるものの、前章7)

が建ち並んでいる。

項で述べたように、ヌマガエルを除く種類では、市町

また、生駒山系、金

村別確認場所数を大幅に減らしていた。これらの傾向

剛山地沿いの丘陵

は、温暖化現象による近年の異常気象などや、市民調

地帯に見られるよ

査の限界、即ち調査の精度や網羅度などの要因や、

うに、高層住宅や

殊に今回は市民調査員の安全を配慮して夜間の調査

老健施設など大型

を避けたことなどに左右されていることは否めない

施設の建設が進み、

が、看過できない要因として以下の点を指摘しておき

水田、農水路や

18

<忽然と現れた高層住宅群>


ため池などの水辺が姿を消し、更にそれらを繋ぐ小

る影響は大きく、カエル生息確認場所の減少に大き

川や水路が暗渠化されている現況がみられる。そ

く係わっていることを指摘しておきたい。

のような地域では、当然の事ながら、ニホンアマガ エルやトノサマガエルなどのポピュラーな在来カエ ルは云うまでもなく、養殖池から流失し本土を一気 に席巻した外来種のウシガエルでさえも生息域を 減らしている現状がある。今回の調査結果も、府下 全域で、そのような傾向が反映されていると想像 される。他方、既に指摘したように、何故かヌマガエ ルだけが、都市化等の影響を受けて水田・水路、溜

<第二名神工事、北摂の緑が消えた?>

池等の水辺環境が減少しているにもかかわらず、畑 や家庭菜園な

3) カエル調査第 2 報(巻末参考文献参照)では、府

どで生息域を

下のほとんどの稲作の機械化や圃場整備による大

広げているこ

区画化・乾田化、水田の畦や農水路のコンクリート

とも指摘して

化などの構造的影響や、稲作様式の変化による水

おきたい。

田の水管理サイクルとカエルの繁殖サイクルにず れを生じた結果、カエルの生息や繁殖に適さない

<生駒山系中腹に至る老健施設群>

水辺環境に代えられていることを述べたが、それ 2) 水辺の生き物に対する高速道路などインフラ工事

に加えて、ここでは、次の二つの点を指摘し、その

の影響。大阪府の水辺環境に負のインパクトを与え

ことがカエル生息場所数や個体数の減少に大きく

た代表的な公共事業は、2010 年に開通した、京都市

係わっている可能性を考える。

伏見区~大阪府門真市に至る第二京阪道路工事を はじめ、2004 年に開通した南阪奈道路、現在も延伸 工事中の阪神高速 6 号大和川線、第二名神道路など がある。それらが通過する北摂・北河内・南河内の各 都市の水辺環境、殊に水田水路、溜池などが、部分 的にしろ消失し、工事中も又開通後も、そこに棲む生 き物の生態系に計り知れない壊滅的影響を与えた

<ドジョウも越冬できない乾田>

ことは明らかである。例えば府内で直接第二京阪道 路工事による

(1) ネオニコチネイド系など殺虫剤の使用によ

影響を受けた

る影響;

と推測される

世界各地でミツバチの群れが消える現

範囲を、環境省

象が起こり、1990年代から作物栽培に盛ん

基準メッシュ

に使われるようになったネオニコチネイド系

(1kmメッシュ)

やフィブロニル殺虫剤に起因することが報

に単純に置き

告され、EU 諸国、アメリカ、中国などで使用

換えると、

<第二京阪道路で水田地帯が・・・>

禁止や使用制限の措置が取られていること

約 30 数メッシュに達する。直接道路化したメッシュは

は周知である。わ国でも、ミツバチと並んで

云うまでもなく、道路周辺の宅地・商工地化や完成

赤とんぼの著しい減少が指摘され、それら

後もグリーンベルト分断など、生き物の生息に与え

殺虫剤の影響が報告されている。

19


我が国では、2013年に、漸く農水省がミツ バチへの影響調査を、2014年10月に環境省 が、赤とんぼへの影響の調査に踏み切ってい るが、欧米など先進国並みの禁止や使用制 限などの措置は取られていない。農作物のみ ならず、松枯れ対策としての山林原野への散 布や、家庭用殺虫剤、建築用資材等にも広範 且つ日常的に使用されていることから、水溶 特に、大阪の農耕面積の 8 割前後を占め

性の当該殺虫剤が河川に流入し、摂取した生

る水田でも、それら殺虫剤が、主に稲作のカ

き物や子供たちへの負荷が顕在化する懸念

メムシ害防御対策として、田植え前の育苗

を指摘しておきたい。

箱の防虫処理や結実前後の水田に恒常的 に散布されている事実がある。水田がカエ

(2) 水辺の生き物の繁殖場所としての水田の復

ルなど生き物の生息・繁殖場所として利用さ

元;

れる時期に、そのような殺虫剤が繁用され

水辺環境の中で水田は、水辺の生き物た

る事は、ここに棲む生き物たちに影響がな

ちとって、最も重要な役割を果たしてきた。稲

いとは言えないし、今回の調査結果に反映

作が始まって以来、カエルは水田や農水路を

している可能性も捨てきれない。

中心とする水辺を繁殖場にしていた。そこに

これら殺虫剤が使われて 10 数年の間に

はカエルだけでなく、昆虫、甲殻類、淡水魚、

土壌や植物に蓄積し、食物連鎖の中に取り

爬虫類などの生き物が侵入し、それらを餌に

込まれた影響が、カエルの生息場所や個体

する鳥類なども飛来する豊かな生態系を構

数に顕在化しているのではないかと懸念す

成していた。そうした食物連鎖の中でカエル

るのは私たちだけであろうか。これら殺虫

は稲の害虫を捕食し、その被害を抑えるなど

剤は、生物の神経系に作用し正常な刺激伝

大いに貢献してきた。そこで農耕面積の 80%

道を阻害することが証明されており、しかも

弱を占める水田を、前項のネオニコチネイド

稲の苗や作物の種子に使われたものが米

系殺虫剤の使われることのない、嘗てのよう

や作物本体に蓄積されると云う実験結果も

な生き物との共生の場として再生し、併せて、

報告されている。EU の欧州食品安全機関は、

水田の冬季湛水や休耕田への通年湛水を実

人間の脳・神経に影響を及ぼすと警告して

現することで、カエルなどの減少に歯止めを

いる。

かける環境の復元が強く望まれる。

20


<生き物と共に稲を育てる>

今回の調査でも、南河内の谷間いの棚田の 一部で、通年湛水の実験的試みをしている例 を実見した。その水田ではイトミミズが自然 繁殖し、その土壌摂食・排泄・移動に伴い、土壌 表層が撹拌され放出された土壌養分がプラ ンクトン類を育み、それを食べる生き物が増え ると云った循環が生まれ、カエルやメダカな

尚、本報告起稿時点(2014年11月)で、環境省と

どが共存している。また、通年湛水により、現

農水省が「侵略的外来種」424種のリストを発表し、

在大阪府レッドリスト絶滅危惧Ⅰ類に指定され

特にその内、ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)、

たデンジソウの復活が確認された。つまり、稲

ウシガエル、アメリカザリガニなどの緊急・重点対

の無農薬栽培の実践と云える。因みに、豊岡

策外来種について、積極的な駆除方針を打ち出す

の「コウノトリを育む農法」、琵琶湖北岸「魚の

旨の報道がなされた。些か遅きに失した感は拭え

ゆりかご水田プロジェクト」、宮城県蕪栗沼周

ないものの、大いに期待するところである。

辺の「ふゆみずたんぼ」などは、同根の先例

5.

である。この事例から、稲

結語に換えて

作を中心とする農村と文 化を守ることが自然を守

これまでの第一次~第三次(2002-2014)に亘る大阪

ることだと実感している。

府に於けるカエル調査を通じて、水田を中心とする食物

<デンジソウが甦る>

連鎖の中で、カエルが、稲の害虫を捕食し、被害を抑える

4) 外来生物調査

ことに大きく貢献し、水田生態系の重要な一翼を担って

第三次カエル調査場所でも、アメリカザリガニ、

いると認識した。即ち、稲作が、カエルなどの生き物と共

ミシシッピアカミミガメ、カダヤシ、ブルーギル、オ

に豊かな生態系と農村文化を育んできたことは事実で

オクチバス、カナダモ、ウオーターレタスなどの外

ある。その水田を中心とする農村と文化を守ることは、自

来動植物が確認された。それらの結果については、

然を守ることにほかならない。そこで、これまで機会ある

別報として公表する予定であるが、ここでは、特定

ごとに指摘してきたが、失われゆく水辺環境とそこに棲

外来植物群例えばオオキンケイギク、ミズヒマワリ、

む生き物を保全し、次世代に引き継ぐために、あらためて

ナガエノツルノゲイトウ、アゾラ・クリスタータなど

次の点、即ち

の新外来植物群の増殖に加えて、ミシシッピアカミ ミガメの顕著な繁殖とニホンイシガメの危機的な

1)

生物多様性を担保する水辺環境を復元するため

状況について指摘しておきたい。

に大阪府の水辺環境のほぼ 80%を占める水田 を生き物たちの繁殖の場として復元する。まず手 始めに、 ①

21

水田と農水路を生き物が移動し易い構造に変


え、また休耕期にも水の枯れない水溜りを作る ②

水田の冬季湛水、休耕田の通年湛水を実現す

疑わしき化学物質の禁止若しくは使用制限基準 の作成と市民への周知啓蒙

る。休耕田湛水には、原野化を防ぎ水田に再生 しやすい、多様な生きものが利用する生態系が

3)

外来生物問題への取り組み

生まれる利点がある。また、イトミミズの繁殖

外来種問題については、2005 年に実施した「大阪府に

は雑草種子を土中に埋め込む効果が報告され

於ける淡水生カメ類並びに外来水生生物一斉調査報告」

ている。その上、地下水の涵養(ダム効果)や打

の中でも提言したが、次の通り

ち水効果も期待できることを指摘しておきた い。

生きた外来生物の原則輸入禁止と例外的(研究 用など)輸入許可制の法制化

ペット等として飼われている外来生物の登録制 と不要外来生物の回収システムの法制化

国内で野生化し、繁殖している内外外来生物の 積極的且つ具体的駆除の法制化

生物多様性の観点から、国内外来生物放流の制 限と遺伝的多様性確保のための放流ガイドライ ン策定と法制化

<陸生植物の侵入しない水生生物の宝庫>

2)

赤とんぼを甦らせる豊かな水田生態系を復元す るために

ネオニコチネイド系などの殺虫剤の安全対策を 早急に講ずる。国家的レベルで安全性調査と実 験的確認、殊に、乳幼児への安全性確認が大事 である。

4)

生物多様性地域戦略への取り組み

生物多様性基本法には、府及び市町村は区域内におけ る生物多様性の保全に関する基本的な計画(生物多様戦 略)を定めるよう努めなければならないとあるが、大阪 ではこの取組が遅れている。先行する神戸市の事例をみ ると、地域戦略に基づき①不耕作地の湿地環境への再生、 ②冬季湛水による生物多様性の向上事業がすでに実施 されている。

以上を農水省、環境省など関係省庁並びに地方自治

22


体に早急な対策を要望して、結語に代える。

以上

稿を終わるにあたり、ご多忙中にも拘らずご指導を頂

併せて、2014 年 11 月 20 日に逝去された前水辺環境調

いた大阪市立自然史博物館学芸員の皆さんに心から謝

査会委員長有本文彦氏のご冥福を祈り、当報告書を捧げ

意を表します。

る。

表・図・グラフで視る大阪のカエル生息分布 〔表 1〕第三次カエル分布調査票 〔表 2〕カエル種類別識別方法集計表 〔表 3〕大阪府市町村別カエル調査場所集計表 〔表 4〕大阪府市町村別カエル調査メッシュ集計表 〔表 5〕日本本土のカエル類

(琉球列島を除く)

〔表 6〕レッドデータブックに見るカエルの現況 〔表 7〕地形区分別生息環境分布表 〔表 8〕カエル種類別地形区分別分布表 〔表 9〕カエル種類・地形区分別生息環境分布表

〔図 1〕大阪府カエル生息分布図(本文参照) 〔図 2〕大阪府カエル種類別分布図 〔図 3〕第三次カエル調査

複数種確認メッシュ分布マップ(本文参照)

〔図 4〕大阪府カエル生息分布メッシュマップ(環境省基準地域第3メッシュ)

〔グラフ 1〕何をもってカエルを識別したか(全体)・・・(以下グラフは本文参照) 〔グラフ 1-1〕成体

〔グラフ 1-2〕鳴声

〔グラフ 1-3〕卵塊

〔グラフ 1-4〕幼生(オタマジャクシ)

〔グラフ 2〕カエルは平野から山地まで 〔グラフ 2-1〕広く生息するカエル

〔グラフ 2-2〕平野に多いカエル

〔グラフ 2-3〕山地に多いカエル

〔グラフ 2-4〕丘陵・山地に多いカエル

〔グラフ 3-1〕カエルの 6 割は水田に

〔グラフ 3-2〕山地でも水田

〔グラフ 4-1〕水田の代表種

〔グラフ 4-2〕湿地・池ではウシガエル

ヌマガエル

〔グラフ 4-3〕川・沢ではカジカガエル 〔グラフ 5-1〕カエル種類別確認場所数

〔グラフ 5-2〕カエル種類別確認市町村数

〔グラフ 6-1〕前回調査との比較

〔グラフ 6-2〕前回調査との比較

23


〔表 1〕第三次カエル分布調査票

第三次カエル分布調査票 調査日時

天候

月 日

気温 ℃

水温 ℃

メッシュNo

調査場所

町 番 ( )

種類/確認方法: a.成体(①鳴声、②目視、③採集識別) 、b.オタマジャクシ(②目視、③採集飼育識別) c.卵塊(②目視、③採集飼育識別)

不明( a-①, a-②, b-②, b-③ )

確認方法 個(体)数

確認方法 個(体)数

ニホンアマガエル

タゴガエル

シュレ-ゲルアオガエル

ナガレタゴガエル

モリアオガエル

トノサマガエル

カジカガエル

ダルマガエル

ツチガエル

アズマヒキガエル

ヌマガエル

ニホンヒキガエル

ウシガエル

ナガレヒキガエル

ニホンアカガエル

その他( )

ヤマアカガエル

不明

(確認方法はアルファベットと数字を記入 例 a-①・b-②,個(体)数は概数を記入) 環

1: 平野部 丘陵部 山地 (標高

m)

2: 水田 湿地・池 森・林 川・沢 草地・荒地 畑 住宅地 商工地 調査場所の様子: 調査場所までの略図:(付近の大きな目印から)

調 査 地 の 状 況

出来れば風景(遠景・近影)写真を添付する 特記事項:(調査時確認した外来生物など記載、〇で囲む) 外来動物:アメリカザリガニ、ジャンボタニシ、ウシガエル、ブルーギル、ブラックバス、その他( ) 外来植物:ボタンウキクサ(ウオーターレタス)、ホテイアオイ、カナダモ、その他( ) カ メ 類:ミシシッピアカミミガメ( 匹)、クサガメ( 匹)、ニホンイシガメ( 匹)、スッポン( 匹)、その他( ) 情報提供者

氏名

調査者

氏名

連絡先 所属

NPO法人シニア自然大学 水辺環境調査会 TEL; 06-6469-8077 FAX; 06-6469-8078

24


〔表 2〕 カエル種類別識別方法集計表

ニホンアマガエル シュレ-ゲルアオガエル モリアオガエル カジカガエル ツチガエル ヌマガエル ウシガエル ニホンアカガエル ヤマアカガエル タゴガエル トノサマガエル ダルマガエル ニホンヒキガエル 合計

成体 オタマジャクシ 卵塊 58 5 0 23.4% 2.0% 0.0% 9 2 7 12.2% 2.7% 9.5% 11 1 36 22.4% 2.0% 73.5% 13 1 0 21.0% 1.6% 0.0% 30 6 0 83.3% 16.7% 0.0% 757 3 0 96.6% 0.4% 0.0% 66 21 1 18.0% 5.7% 0.3% 26 1 29 45.6% 1.8% 50.9% 4 13 11 14.3% 46.4% 39.3% 32 0 1 59.3% 0.0% 1.9% 341 9 1 92.9% 2.5% 0.3% 1 0 100.0% 0.0% 0.0% 9 1 7 50.0% 5.6% 38.9% 1,357 63 93 63.3% 2.9% 4.3%

鳴き声 185 74.6% 56 75.7% 1 2.0% 48 77.4% 0 0.0% 24 3.1% 279 76.0% 1 1.8% 0 0.0% 21 38.9% 16 4.4% 0 0.0% 1 5.6% 632 29.5%

<アカガエルが産卵に来る、冬季のこんな水溜りがなくなった>

25

合計 248 100% 74 100% 49 100% 62 100% 36 100% 784 100% 367 100% 57 100% 28 100% 54 100% 367 100% 1 100% 18 100% 2,145 100%


〔表 3〕 大阪府市町村別カエル調査場所集計表 ニ ホ ン ア マ ガ エ ル

シ ュ レ ー ゲ ル ア オ ガ エ ル

モ リ ア オ ガ エ ル

カ ジ カ ガ エ ル

ツ チ ガ エ ル

ヌ マ ガ エ ル

ウ シ ガ エ ル

ニ ホ ン ア カ ガ エ ル

ヤ マ ア カ ガ エ ル

タ ゴ ガ エ ル

ナ ガ レ タ ゴ ガ エ ル

(場所数) ト ノ サ マ ガ エ ル

ダ ル マ ガ エ ル

ニ ホ ン ヒ キ ガ エ ル

ア ズ マ ヒ キ ガ エ ル

ナ ガ レ ヒ キ ガ エ ル

そ 不 の 明 他

能勢町 5 2 8 0 1 2 3 0 3 1 0 13 0 1 0 0 0 豊能町 9 5 7 1 2 0 2 0 8 2 0 11 0 1 0 0 0 箕面市 1 1 3 1 0 2 2 0 0 2 0 5 0 1 0 0 0 池田市 1 0 3 3 0 3 5 0 0 1 0 3 0 1 0 0 0 豊中市 1 0 0 0 0 2 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 吹田市 2 0 1 0 0 1 2 1 0 0 0 2 0 0 0 0 0 北摂 1 19 8 22 5 3 10 15 1 11 6 0 35 0 4 0 0 0 高槻市 16 4 9 4 4 38 7 0 6 6 0 35 1 2 0 0 0 茨木市 17 8 6 1 4 27 9 0 3 0 0 30 0 1 0 0 0 摂津市 0 0 0 0 0 4 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 島本町 1 1 1 1 2 6 4 0 1 2 0 4 0 0 0 0 0 北摂 2 34 13 16 6 10 75 21 0 10 8 0 69 1 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 枚方市 44 13 1 40 45 8 30 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 交野市 9 3 10 4 2 6 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 寝屋川市 2 9 10 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 守口市 2 7 7 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 門真市 5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 四条畷市 11 3 1 16 13 2 10 大東市 4 2 0 0 0 11 7 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 北河内 72 21 0 0 2 98 86 12 0 0 0 51 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 大阪市 8 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 東大阪市 3 19 7 4 八尾市 3 0 0 0 2 26 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 中河内 6 0 0 0 2 53 10 0 0 0 0 7 0 0 0 0 0 河内長野市 12 0 0 7 2 31 12 2 0 6 0 33 0 1 0 0 0 千早赤阪村 4 3 0 0 4 7 2 0 0 6 0 16 0 0 0 0 0 富田林市 2 0 0 0 1 32 6 3 0 0 0 9 0 0 0 0 0 河南町 7 4 0 0 1 13 2 1 0 1 0 13 0 0 0 0 0 松原市 2 0 0 0 0 17 8 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 藤井寺市 1 0 0 0 0 12 7 0 0 0 0 4 0 0 0 0 0 柏原市 4 0 0 0 1 6 2 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 羽曳野市 8 0 0 0 1 23 8 0 0 0 0 6 0 0 0 0 0 大阪狭山市 6 1 0 0 1 16 10 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 太子町 2 0 0 0 0 8 6 1 0 0 0 7 0 0 0 0 0 南河内 48 8 0 7 11 165 63 7 0 13 0 94 0 1 0 0 0 堺 市 19 2 0 0 1 95 94 12 0 0 0 16 0 0 0 0 0 高石市 9 0 0 0 0 10 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 泉大津市 2 0 0 0 0 12 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 忠岡町 0 0 0 0 0 5 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 和泉市 18 13 0 19 0 42 23 8 0 16 0 18 0 2 0 0 0 泉州 1 48 15 0 19 1 164 121 20 0 16 0 34 0 2 0 0 0 岸和田市 13 7 0 13 0 94 35 0 0 4 0 24 0 0 0 0 0 貝塚市 1 0 0 1 1 15 1 0 0 1 0 8 0 0 0 0 0 熊取町 0 0 0 0 0 8 2 0 0 2 0 5 0 0 0 0 0 泉佐野市 0 0 0 2 0 26 1 0 0 1 0 1 0 0 0 0 0 田尻町 0 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 泉南市 0 0 0 2 2 23 5 0 0 0 0 5 0 0 0 0 0 阪南市 5 0 0 0 2 20 2 0 0 0 0 10 0 0 0 0 0 岬 町 0 0 0 0 0 12 0 2 0 0 0 7 0 0 0 0 0 泉州 2 19 7 0 18 5 201 46 2 0 8 0 60 0 0 0 0 0 市町村数 34 16 8 12 19 42 40 11 5 14 0 36 1 10 0 0 0 確認場所数 246 72 38 55 34 766 362 42 21 51 0 350 1 12 0 0 0 %n/ 1284 19.2 5.6 3.0 4.3 2.6 59.7 28.2 3.3 1.6 4.0 0 27.3 0.1 0.9 0 0 0.0 調査全場所数:1,361ケ所 カエル確認場所数:1,284ケ所 確認種数(箇所数) 7種:1 6種:2 5種:10 4種:66 3種:100 2種:312 1種:793 合計:1,284ケ所

26

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

種 数

延 べ 確 認 場 所 数

確 認 場 所 数

10 39 21 10 48 24 9 18 9 8 20 11 4 5 3 6 9 6 12 139 74 12 132 86 10 106 66 2 5 5 10 23 14 12 266 171 182 8 57 35 7 12 24 4 10 16 3 7 5 1 5 56 7 17 5 26 11 8 344 119 12 3 9 33 4 20 5 33 27 5 78 56 106 9 59 42 7 25 53 6 40 42 8 20 28 4 25 24 4 19 15 5 11 46 5 32 37 6 26 5 24 18 10 417 275 239 7 189 3 21 13 3 15 13 2 6 6 9 159 93 10 440 314 7 190 145 7 28 21 4 17 9 5 31 29 1 3 3 5 37 26 5 39 24 3 21 18 9 366 275 13 13 2,050 1,284


〔表 4〕 大阪府市町村別カエル調査メッシュ集計表 ニ ホ ン ア マ ガ エ ル

シ ュ レ ー ゲ ル ア オ ガ エ ル

モ リ ア オ ガ エ ル

カ ジ カ ガ エ ル

ツ チ ガ エ ル

ヌ マ ガ エ ル

ウ シ ガ エ ル

ニ ホ ン ア カ ガ エ ル

ヤ マ ア カ ガ エ ル

タ ゴ ガ エ ル

ナ ガ レ タ ゴ ガ エ ル

能勢町 5 2 6 0 1 2 3 0 2 1 豊能町 6 5 6 1 2 0 2 0 3 2 箕面市 1 1 3 1 0 2 2 0 0 2 池田市 1 0 3 2 0 3 4 0 0 1 豊中市 1 0 0 0 0 2 1 0 0 0 吹田市 3 0 1 0 0 1 2 1 0 0 北摂 1 17 8 19 4 3 10 14 1 5 6 高槻市 14 4 7 4 3 30 6 0 6 4 茨木市 13 7 4 1 4 24 9 0 3 0 摂津市 0 0 0 0 0 4 1 0 0 0 島本町 1 1 1 1 2 4 2 0 1 2 北摂 2 28 12 12 6 9 62 18 0 10 6 0 0 0 0 枚方市 33 9 1 33 38 5 0 0 0 0 0 交野市 8 3 9 4 2 0 0 0 0 0 0 0 寝屋川市 2 8 9 0 0 0 0 0 0 0 守口市 1 5 5 0 0 0 0 0 0 0 0 門真市 5 0 0 0 0 0 四条畷市 11 3 1 16 13 2 大東市 4 2 0 0 0 11 7 0 0 0 北河内 59 17 0 0 2 87 76 9 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 大阪市 8 2 0 0 0 0 0 0 0 東大阪市 3 12 6 八尾市 3 0 0 0 2 15 1 0 0 0 中河内 6 0 0 0 2 35 9 0 0 0 河内長野市 12 0 0 7 2 29 10 2 0 6 千早赤阪村 4 3 0 0 4 7 2 0 0 6 富田林市 2 0 0 0 1 27 6 3 0 0 河南町 7 4 0 0 1 12 1 1 0 1 松原市 2 0 0 0 0 14 7 0 0 0 藤井寺市 1 0 0 0 0 10 6 0 0 0 柏原市 4 0 0 0 1 6 2 0 0 0 羽曳野市 8 0 0 0 1 19 7 0 0 0 大阪狭山市 6 1 0 0 1 13 10 0 0 0 太子町 2 0 0 0 0 7 6 1 0 0 南河内 48 8 0 7 11 144 57 7 0 13 堺 市 17 1 0 0 1 73 84 5 0 0 高石市 5 0 0 0 0 6 2 0 0 0 泉大津市 1 0 0 0 0 8 1 0 0 0 忠岡町 0 0 0 0 0 4 1 0 0 0 和泉市 16 10 0 18 0 35 21 8 0 14 泉州 1 39 11 0 18 1 126 109 13 0 14 岸和田市 9 6 0 10 0 40 27 0 0 4 貝塚市 1 0 0 1 1 15 1 0 0 1 熊取町 0 0 0 0 0 8 2 0 0 1 泉佐野市 0 0 0 2 0 21 1 0 0 1 田尻町 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 泉南市 0 0 0 1 2 21 5 0 0 0 阪南市 4 0 0 0 2 15 2 0 0 0 岬 町 0 0 0 0 0 11 0 2 0 0 泉州 2 14 6 0 14 5 133 38 2 0 7 市町村数 34 16 8 12 19 42 40 11 5 14 確認メッシュ数 211 62 31 49 33 597 321 32 15 46 調査全メッシュ数:922メッシュ カエル確認メッシュ数:861メッシュ 確認種数(メッシュ数) 7種:2 6種:7 5種:23 4種:69 3種:110 2種:276

27

(メッシュ数) ト ノ サ マ ガ エ ル

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

13 8 4 2 1 2 30 27 22 0 3 52 25 5 3 0 0 10 2 45 2 3 1 6 29 12 8 12 1 4 2 6 3 8 85 14 0 0 0 13 27 14 8 5 1 0 5 8 7 48 36 293

ダ ル マ ガ エ ル

ニ ホ ン ヒ キ ガ エ ル

0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1

1 1 1 1 0 0 4 2 1 0 0 3 1 1 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 10 12

ア ズ マ ヒ キ ガ エ ル

ナ ガ レ ヒ キ ガ エ ル

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

1種:374 合計:861メッシュ

そ の 他

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

不 明

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

種 数

延 べ 確 認 メ ッ シ ュ 数

10 36 10 36 9 17 8 17 4 5 6 10 12 121 12 108 10 88 2 5 10 18 12 219 145 8 32 7 22 4 11 3 5 1 56 7 5 26 8 297 12 3 24 4 5 22 5 58 98 9 38 7 47 6 39 8 24 4 21 4 15 5 41 5 34 6 5 24 10 381 195 7 3 13 3 10 2 5 9 137 10 360 7 110 7 28 4 16 5 26 1 2 5 34 5 31 3 20 9 267 13 13 1,703

確 認 メ ッ シ ュ 数

17 14 8 7 3 6 55 62 41 5 7 115 43 11 9 5 5 17 11 101 9 13 15 37 45 17 30 17 15 13 10 20 16 11 194 112 6 8 4 64 194 57 21 8 23 2 21 17 16 165 861


〔表 5〕 日本本土のカエル類

(琉球列島を除く)

科 ヒキガエル科

和名 ニホンヒキガエル アズマヒキガエル ナガレヒキガエル

Bufo japonicus japonicus Bufo japonicus formosus * Bufo torrenticola

アマガエル科

ニホンアマガエル

Hyla japonica

アカガエル科

ニホンアカガエル ツシマアカガエル タゴガエル オキタゴガエル ヤクシマタゴガエル ナガレタゴガエル エゾアカガエル ヤマアカガエル チョウセンヤマアカガエル トノサマガエル トウキョウダルマガエル ダルマガエル (ナゴヤダルマガエル) ウシガエル ツチガエル ヌマガエル

アオガエル科

モリアオガエル シュレーゲルアオガエル カジカガエル

〔表 8〕

学名

Rana japonica Rana tsushimensis Rana tagoi tagoi Rana tagoi okiennsis * Rana tagoi yakushimensis * Rana sakuraii Rana pirica Rana ornativentris Rana dybowskii Rana nigromaculata Rana porosa porosa Rana porosa brevipoda * (Rana porosa brevipoda *) Rana catesbeiana (外来種) Rana rugosa Rana limnocharis Rhacophorus arboreus Rhacophorus schlegelii Buergeria buergeri

カエル種類別地形区分別分布表

ニホンアマガエル シュレ-ゲルアオガエル モリアオガエル カジカガエル ツチガエル ヌマガエル ウシガエル ニホンアカガエル ヤマアカガエル タゴガエル ナガレタゴガエル トノサマガエル ダルマガエル ニホンヒキガエル アズマヒキガエル ナガレヒキガエル 合計

平野部 132 11 4 3 16 610 266 3 1 0 0 141 1 0 0 0 1,188

丘陵部 59 30 10 4 9 130 72 32 0 3 0 99 0 1 0 0 449

28

山 地 55 31 24 48 9 26 24 7 20 48 0 110 0 11 0 0 413

合 計 246 72 38 55 34 766 362 42 21 51 0 350 1 12 0 0 2,050


〔表

6〕

レッドデータブックに見るカエルの現況

種類

環境省

大阪府

京都府

滋賀県

準絶滅危惧種

要注目種

要注目種

奈良県

和歌山県

兵庫県

ニホンアマガエル シュレーゲルアオガエル モリアオガエル

要注目種

カジカガエル ツチガエル

準絶滅危惧種

ヌマガエル ウシガエル

絶滅寸前種

準絶滅危惧種 Bランク・絶滅危惧Ⅱ類

要注目種

要注目種

準絶滅危惧種 Cランク・準絶滅危惧

要注目種

要注目種

準絶滅危惧種 Cランク・準絶滅危惧

要注目種

要注目種

要注目種-外来種

ニホンアカガエル

絶滅危惧Ⅱ類

要注目種

要注目種

ヤマアカガエル

絶滅危惧Ⅱ類

要注目種

希少種

タゴガエル

絶滅危惧種

絶滅危惧Ⅰ類 Cランク・準絶滅危惧 準絶滅危惧種 Cランク・準絶滅危惧

要注目種

ナガレタゴガエル トノサマガエル

準絶滅危惧種

ダルマガエル

準絶滅危惧種

要注目種

希少種

要注目種

要注目種

絶滅危惧Ⅰ類

ナゴヤダルマガエル

絶滅危惧ⅠB類

トウキョウダルマガエル

準絶滅危惧種

ニホンヒキガエル

Cランク・準絶滅危惧

情報不足種

Bランク・絶滅危惧Ⅱ類 準絶滅危惧種

絶滅危機増大種 絶滅寸前種

絶滅危惧Ⅱ類

Cランク・準絶滅危惧

Aランク・絶滅危惧Ⅰ類 絶滅寸前種

準絶滅危惧種

希少種

絶滅危惧種

アズマヒキガエル

要注目種

希少種

注目種

情報不足

ナガレヒキガエル

要注目種

希少種

注目種

準絶滅危惧種

参考資料 環境省 :両生類レッドリスト(2012年) 大阪府 :大阪府における保護上重要な野生生物(2014年) 京都府 :京都府改訂版レッドデータブック(2013年) 滋賀県 :滋賀県で大切にすべき野生生物(2010年)

準絶滅危惧種 Cランク・準絶滅危惧

奈良県 :大切にしたい奈良県の野生動植物(2009年) 和歌山県 :保全上重要なわかやまの自然(2012年) 兵庫県 :兵庫県の貴重な自然(2003年)

〔表 7〕 地形区分別生息環境分布表 平野部 % 丘陵部 % 山 地 % 合 計 %

水田 湿地・池 563 187 69.4 23.2 136 75 57.6 31.8 99 45 41.8 19.0 798 307 62.2 24.1

林・森 1 0.1 7 3.0 18 7.6 26 2.0

(確認場所数)

川・沢 33 4.0 12 5.1 70 29.5 115 8.8

草地・荒地 5 0.6 3 1.3 4 1.7 12 0.9

<水田地帯も太陽発電地域に!>

29

8 1.0 1 0.4 1 0.4 10 0.8

住宅地 14 1.7 1 0.4

15 1.1

商工地

1 0.4

1 0.1

合 計 811 100% 236 100% 237 100% 1,284 100%


〔表 9〕

カエル種類・地形区分別生息環境分布表

ニホンアマガエル シュレ-ゲルアオガエル モリアオガエル カジカガエル ツチガエル ヌマガエル ウシガエル ニホンアカガエル ヤマアカガエル タゴガエル ナガレタゴガエル トノサマガエル ダルマガエル ニホンヒキガエル アズマヒキガエル ナガレヒキガエル 合計 ニホンアマガエル シュレ-ゲルアオガエル モリアオガエル カジカガエル ツチガエル ヌマガエル ウシガエル ニホンアカガエル ヤマアカガエル タゴガエル ナガレタゴガエル トノサマガエル ダルマガエル ニホンヒキガエル アズマヒキガエル ナガレヒキガエル 合計 ニホンアマガエル シュレ-ゲルアオガエル モリアオガエル カジカガエル ツチガエル ヌマガエル ウシガエル ニホンアカガエル ヤマアカガエル タゴガエル ナガレタゴガエル トノサマガエル ダルマガエル ニホンヒキガエル アズマヒキガエル ナガレヒキガエル 合計 ニホンアマガエル シュレ-ゲルアオガエル モリアオガエル カジカガエル ツチガエル ヌマガエル ウシガエル ニホンアカガエル ヤマアカガエル タゴガエル ナガレタゴガエル トノサマガエル ダルマガエル ニホンヒキガエル アズマヒキガエル ナガレヒキガエル 合計

水 田 85 10 1 12 538 55 2

湿地・池 19

林・森

川・沢 1

3 1 2 37 178 1

11

草地・荒地 2

2 2 16 29

住宅地

商工地

5

9 1

5 2

7

7 2

6

2

1 1

67 1

11 1

14 1

1

122

10

825 38 21 3

251 14 9 6

6 105 20 11

1 18 49 18

1 4

0

1

2

4 2 5 2

1

3

1 71

19

2

17

2

5

2

1

1

276 34 15 2 5 4 21 2 1 16 1

133 11 10 18 1 2 1 21 4 2 4

11 2 2 2 1 1 1 1 2 1 9

21 6 4 2 41 2 2

3 2

3

1

1

1 34

67

17

3

18

5

4

2

96 44 19 27 2 5 56 248 23 2 5 0 44 0 5 0 0 480

29 7 2 2 1 1 3 1 5 1 9 0 5 0 4 0 0 41

112 18 4 2 47 6 23 31 0 2 36 0 29 0 2 0 0 200

0 9 1 0 0 0 7 2 0 0 0 0 1 0 0 0 0 20

0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1

1

168 157 46 6 5 22 664 77 14 16 1 0 260 0 1 0 0 1,269

30

1

4

1

7 5 0 0 0 0 6 2 0 0 0 0 8 0 0 0 0 21

1 6 0 0 0 0 7 1 0 0 0 0 3 1 0 0 0 18

合 計 132 11 4 3 16 610 266 3 1 0 0 141 1 0 0 0 1,188 59 30 10 4 9 130 72 32 0 3 0 99 0 1 0 0 449 55 31 24 48 9 26 24 7 20 48 0 110 0 11 0 0 413 246 72 38 55 34 766 362 42 21 51 0 350 1 12 0 0 2,050


〔図2〕

大阪府カエル種別分布図

ニホンアマガエル

シュレーゲルアオガエル

モリアオガエル

カジカガエル

ツチガエル

ヌマガエル

ウシガエル

ニホンアカガエル

ヤマアカガエル

タゴガエル

トノサマガエル

ニホンヒキガエル

ダルマガエル

大阪府地形図

31


〔図 4〕

第3次カエル調査

大阪府カエル生息分布メッシュマップ

32

(環境省基準地域第3次メッシュ)


調査に参加された皆さん(順不同、敬称略) 1.市民調査員並びに水辺環境調査会関係者 (太字;ブロック世話人) 北摂 1 ブロック

; 河田航路、香月利明、金城隆雄、北坂正晃、木村俊三、増田修平、 松本薫、井上道博、田中義人、亀井敏子、柿本修一

北摂 2 ブロック

香月利明、上田

収、太田

仁、岡田

北坂正晃、木村俊三、薦田佳一、沢井

弘、金井健一、河田航路、 正、鈴木敏文、鈴木一彦

常男、高見修次、高橋

剛、田丸八郎、名本整司、浜嶋尚義、

美正、廣田有吾、古本

悟、増田修平、森本静子、山本尚義、

若尾隆一、渡辺隆夫 北河内ブロック

; 林

美正、宇賀神孝、谷村英紀、香月利明、西浦よしえ、

鈴木一彦、西元大作、西元由香里、西元千夏、西元遥香 中河内ブロック

; 林

美正、鈴木一彦、平

常男

南河内ブロック

; 北坂正晃、田丸八郎、市村浅子、上田

収、香月利明、河田航路、

木村俊三、鈴木一彦、平常男、浜嶋尚義、林

美正、

増田修平、

森本静子、渡辺隆夫 泉州 1 ブロック

; 田丸八郎、北坂正晃、飯尾宜久、上坂欽也、河田航路、島崎舜次、 谷口ひとみ、林

泉州 2 ブロック

; 上田

美正、福田壌嗣、本田輝男、増田修平、森本静子

収、河野通浩、三宅壽一、田丸八郎、森本静子、澤井

北坂正晃、林

美正、工藤

正、

駿、西村佳那子、森本慎哉、杉谷由晃、

赤木風雅、稲留雅也、粟津秀隆、南雄太郎、大同博幸、池田

聖、

今村和樹、細川大地、坂口貫大、河添純子

2.ご協力頂いた諸団体(敬称略、順不同) 大阪市立自然史博物館、枚方生き物調査会“メダカと魚”部会・昆虫部会、和泉もずの会、 ネイチャーたかつき、大阪自然環境保全協会、おおいずみ・どんぐりの会、自然と本の会、 大阪府立泉鳥取高等学校高校フィールドワーク部、あくあぴあ芥川博物館、川西自然教室、 NPO法人いっちんクラブ、池田人と自然の会、豊島北ビオトープクラブ

参考文献 大阪府:「大阪府レッドリスト 2014」大阪府環境農林水産部みどり他、 (2014.03) 大阪府:Osaka Red Data Book 2000.3 兵庫県:改定・兵庫県の貴重な自然-兵庫県版レッドデータブック 2003 京都府:京都府改訂版レッドリスト2013 和歌山県:保全上重要なわかやまの自然-和歌山県レッドデータブック(2012 改訂版) 奈良県:奈良県版レッドデータブック(普及版)大切にしたい奈良県の野生動植物(2009) 滋賀県:滋賀県で大切にすべき野生生物・滋賀県レッドデータブック2010年版 シニア自然大学:大阪府に於けるカエルの生息状況報告(2004.04) シニア自然大学:大阪府に於けるカエルの生息状況報告(第2報)(2009.04)

33


シニア自然大学:大阪府に於けるメダカの生息状況報告(第3報)(2010.04) シニア自然大学:大阪府に於ける淡水生カメ類の生息状況報告(2007.02) 和田岳:大阪自然史博物館ホームページ「和田の鳥小屋」 (2014) カエル探偵団:ホームページ(2014) 兵庫県立人と自然の博物館:ホームページ「日本の昆虫・カエルの鳴き声」 松井正文、他:日本カエル図鑑、文一総合出版(1999) 蒲谷鶴彦、他:声の図鑑蛙の合唱、山と渓谷社(1997) 千石正一、他:日本動物大百科

5 巻両生類・爬虫類・軟骨魚類、平凡社(2000)

内山りゅう、他:日本の両性爬虫類、平凡社(2002) 比婆科学教育振興会:広島県の両性・爬虫類、中国新聞社(1996) 松橋利光、他:日本のカエル、大和渓谷社、 (2002) 松井正文:滋賀の両生類、爬虫類、哺乳類、滋賀の教材研究委員会(2001) キャサリン・フィリップス:カエルが消える、大月書店(1998) 松井孝璽:カエルの不思議発見、講談社(1999) 松井正文:カエル-水辺の隣人、中公新書(2002) 奥野良之助:金沢城のヒキガエル、どうぶつ社(1997) 石居すすむ:カエルの鼻、八坂書房(1999) 千葉県立博物館:カエルのきもち、晶文社(2000) 富田京一:カメ・カエルなど両生類爬虫類の飼い方、成美堂(2001) 山名清隆:カエルの体づくり、共立出版(1993) 林

美正、他:大阪府内全域カエル生息調査、都市と自然 No.329(2003.8)

松橋利光:ずらーり

カエル

ならべてみると、アリス館(2002.5)

長谷川雅美:カエルの田んぼ、フレーベル館(1998.5) 浜口哲一:生き物地図が語る街の自然、岩波書店(1998.10) 林

美正、他:水辺の生き物の環境維持・復元をめざして、 ESTRELA

No.92、統計情報研究開発センター(2001.11)

内山りゅう編:今、絶滅の恐れがある水辺の生き物たち、山と渓谷社(2007.6.5) 夏原由博:アカガエルの仲間、都市と自然

No.395、大阪自然環境保全協会(2009.02)

松井正文:カエル・サンショウウオ・イモリのオタマジャクシ

ハンドブック:文一総合出版(2008)

クリス・マチソン、松井正文監修:世界カエル図鑑 300 種、ネコパブリッシング(2008) 内山りゅう:田んぼの生き物図鑑、山と渓谷社(2005) 大木淳一:幻のカエル

がけに卵をうむタゴガエル、新日本出版社(2006)

爬虫両棲類学会報:特集カエルツボカビ症対策、第 2007 巻第1号(2007) 大阪市立自然史博物館:淀川の自然、東海大学出版会(1991) 大阪市立自然史博物館:みんなでつくる淀川大図鑑(2010) 大阪市立自然史博物館:大和川の自然(2006) 芥川の本:芥川緑地資料館(2013) シニア自然大学校水辺環境調査会ホームページ:大阪府第二次・三次メダカ一斉調査報告書 大阪府第一次・二次カエル調査報告書、大阪府第一次淡水生カメ類並びに外来水生生物調査報告書 (http://www.geocities.jp/kohgi04/mizube.htm)

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〔表紙写真説明〕 写真右上 :

ヤマアカガエル(大阪府絶滅危惧Ⅱ類)

写真左上 :

ダルマガエル(大阪府絶滅危惧Ⅰ類)

写真右下 :

トノサマガエル(大阪府準絶滅危惧種)

写真下左 :

ニホンヒキガエル(大阪府準絶滅危惧種)

写真中

脱皮中のニホンアマガエル

アズマヒキガエル

<幹線道路延長工事と高層住宅群、田園風景はいずこに!>

<第二名神高速道、只今工事中>

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因国圃□国□困

カエルの生息状況報告 島 (第

― 第 三 次力 エ ル生息調査並 びに補充調査結 果 ―

2015年 3月 15日 初版第 1刷 編集 :上 田収、 香月利明、 河田航路、 北坂正晃、 谷村英紀、田丸八郎、 林美正、 増田修平 文責 ;林 美正 統計 ;北 坂正晃、 香月利明、 渡辺隆夫 写真 :香 月利明、 河田航路、 北坂正晃、 高橋 剛、田丸八郎、 林 美正、 増 田修平 発行所 :特 定非営利活動法人 シニア 自然大学校 メダカをシンボルとする水辺環境調査会 (略 称メダカ調査委員会) httpノ /www.geocidesjp/kohgi04/mizube.htm〕 〔


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