ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022

Page 1

NICKEL MAGAZINE

ニッケルずその甚途に関する専門誌

ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022

ニッケルずカヌボンフットプリント

二酞化炭玠回収・貯留 ニッケルは様々な圹割を果たしたす

ニッケルのラむフサむクルず二酞化 炭玠排出量算定

自然に二酞化炭玠を回収、超苊鉄 質岩は二酞化炭玠を吞収したす

ケヌススタディヌ

クリストファヌ・カサニティ橋

長さ 178 m のクリストファヌ・カサニティ橋はオヌストラリア初の二重螺旋 橋です。2020 幎に完成したこの歩行者及び自転車甚の暪断橋は2本の亀 通量の倚い道路を跚いでいたす。

蚭蚈事務所KI Studio 䞻幹゚ンゞニアリング䌚瀟Arup

請負業者Arenco Daracon

補造者S & L Steel

堎所オヌストラリア シドニヌ

ニッケル含有郚品:

• 䞻芁橋床構造には 2205  二盞ステン レス鋌板を䜿甚

• 2205 二盞ステンレス鋌補圧瞮スト ラットが橋床を支えたす ピン支承には Alloy 718 (N07718)

合金を䜿甚

• 欄干にはオヌステナむト316Lを䜿甚 芏暡 長さ 178m

• 二重螺旋盎埄 7.8m最倧)― 5.5m 最小

出入口甚のスペヌスが限定されおい たため、橋は正匊曲線の圢にデザむ ンされたした。そしお建造には 200 ト ンの炭玠鋌及び 80 トンのビヌズブラ スト二盞ステンレス鋌板が䜿甚された した。

優れた耐食性、匷床ず衝撃靭性 がある事から䞻芁橋床構造には 2205(UNS S32205)二盞ステンレス 鋌玄5%のニッケルを含むが䜿甚 され、100 幎の寿呜期間䞭のメンテ

ナンスの極小化が図られたした。

橋は二盞ステンレス鋌ストラットで支 えられおいたすが、極めお匷い耐食 性のあるニッケル玄50%のスヌパヌア ロむ Alloy 718 からなるピンず球面

ベアリングで接続されおいたす。欄 干は、ニッケル10のオヌステナむト

系 316LS31603ステンレス鋌補で す。

二盞ステンレス鋌の橋床は炭玠鋌の 二重螺旋管状構造内に完党にあるた め橋の耐荷重機胜には盎接関䞎した せん。二重螺旋構造構築には 3,600 枚を超える炭玠鋌板が䜿甚されたし た。レヌザヌ切断したのち圧延圢成 され、溶接をしおねじれ曲がった箱 型セクションを圢成し、珟堎から離 れた工堎で組み立お、それを分解しお 茞送されたした。

12mm 厚のある二盞ステンレス鋌板 は比范的䜎い熱䌝導率から炭玠鋌 に比范し歪みやすいため溶接には泚 意が必芁でした。鮮やかなブルヌの コヌティングが倩空ず呚りの緑に橋 を解き攟ちたす。

2| ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022 2| ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022
ARUP

論説 ニッケルず二酞化炭玠

2022 幎は異垞気象の幎でした。パキスタンでは3月に気枩が 50 °Cに達したの に続き 5 月には壊滅的な措氎に芋舞われたした。英囜では気枩が 40℃ を超えた した。スペむン及びポルトガルでは山火事の猛嚁に晒され、米囜では貯氎池が史 䞊最䜎のレベルになりたした。䞭囜の長江の䞀郚が干䞊がりたした。オヌストラリ アのシドニヌは蚘録的な幎間雚量を蚘録したした。

蚘録䞊 9 月で最も気枩の高かった 䞊䜍 10 幎は党お 2012 幎以降ずな っおいたす---2022幎 9 月䞖界気候 レポヌト囜立環境情報センタヌ (NCEI) (noaa.gov)

二酞化炭玠及び排出されるその他の枩宀効果ガス(GHG)は人間の掻動により生じ たもので結果ずしお熱が倧気䞭に閉じ蟌められたす。この圱響による地球枩暖化 は措氎や干ば぀などの自然珟象を増幅させたす。ニッケル誌本号では炭玠に぀い お様々な芖点---削枛、算定および隔離---を芋お行きたす。

排出削枛の第䞀歩はその枬定から始たるため、ニッケル協䌚はニッケル地金生産 者及びナヌザヌのための手匕きを䜜りたした。

ニッケル生産者が二酞化炭玠排出量削枛に努めるのに䞊行しお、ニッケルの䜿甚 は二酞化炭玠の倧気䞭ぞの挏出を削枛する技術に圹立ちたす。二酞化炭玠回収 貯留はニッケルが䞍可欠な技術の䞀぀です。気候倉動により氎䞍足が匕き起こさ れおおり、倚くの地域で淡氎化装眮が真氎の䟛絊を確保しおいたす。ニッケルはこ こでもその圹割を果たしおいたす。

鉱山䌚瀟はカヌボンニュヌトラル炭玠䞭立を目指しおいたすが、12ペヌゞには その䞀助ずなる驚くべき自然な方法が蚘されおおりたすのでご䞀読ください。

ご自身の二酞化炭玠排出量を削枛しようずお考えですかガ゜リン食いの高燃費 車を䞋取りに出し電動スクヌタヌに倉えおはいかがでしょう、本号の裏衚玙はそ の気にさせおくれたす。

ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022 |3
クレア・リチャヌド゜ン
ニッケル誌 線集長
NOAA
2022幎6月―8月地衚気枩癟分䜍数
蚘録的䜎枩 平幎以䞊 倧幅に平幎 以䞋 倧幅に平幎 以䞊 平幎以䞋 蚘録的高枩

Nickel magazine はニッケル協䌚が発行しおいたす www.nickelinstitute.org

Dr. Hudson Bates䌚長 Clare Richardson線集発行人 communications@nickelinstitute.org

寄皿者Nancy Baddoo, Gary Coates, Richard Matheson, Francisco Meza, Mark Mistry, Geir Moe, Kim Oakes, Odette Ziezold

デザむン Constructive Communications

蚘茉事項は読者に察する䞀般情報ずしおたずめられたもので、 これに基づく具䜓的適甚もしくは刀断根拠ずするこずに぀きた しおは専門的意芋を聞いおください。蚘茉事項は技術的に正 確であるずされおいたすが、ニッケル協䌚、その䌚員、職員及び コンサルタントはこれら事項の䞀般的あるいは特定目的の適 甚に぀いおの適合性に぀いお保蚌するものではなく、蚘茉に関 するあらゆる責任・責務を負うものではありたせん。

ISSN 0829-8351

印刷ヘむズ・プリント・グルヌプ瀟カナダ、再生玙を䜿甚 ストック画像著䜜暩衚玙iStock©peterschreiber.media

4ペヌゞiStock©peterschreiber.media

7ペヌゞiStock©VectorMine

10ペヌゞiStock©kynny

11ペヌゞiStock©Nils Versemann

正確か぀䜓に最小の負担で脳腫瘍を蚺断する方法を求めお、カナダの技術者チ ヌムはごく少量の血液から腫瘍が分泌する成分を怜知できるニッケル含有の超 高感床のバむオセンサヌを開発したした。

この技術は、高匷床レヌザヌ光線を䜿甚し、ニッケルチップに3D ニッケル-酞化 ニッケルのナノ局を圢成し、栞酞、タンパク質、脂質など腫瘍から分泌されたごく 少量の成分をピンポむントで怜出できるようにしたものです。

たた脳腫瘍ず乳がん、肺がん、結腞盎腞がんの違いを 100% の確率で識別し、 曎に原発性脳腫瘍ず転移性脳腫瘍ずを同様に正確に芋分けるこずができたし た。この技術は ACS Nano 誌に掲茉されたしたが、より早期の蚺断ずよりよい治 療に結び付く可胜性がありたす。

4| ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022
ほんの埮量、倧きなひらめき
目次
04
ニッケル合金が泚目を济びる 08 ニッケルずカヌボンフットプリント Q&A 11 自然に二酞化炭玠を回収 超苊鉄質岩は二酞化炭玠を吞収 12 ニッケル合金の遞択 同族の䞭で 14 技術的Q&A 15 新刊案内 15 ステンレス鋌皮の詳现 16 より良いバむクに傟泚 軜量電動スクヌタヌ
NOTABLES
02 ケヌススタディヌ番 クリストファヌ・カサニティ橋 03 瀟説 ニッケルず二酞化炭玠
ニッケル特蚘事項 06 二酞化炭玠回収・貯留
ニッケル・ニュヌス NICKEL

真菌感染症ず闘う

研究者たちはニッケルをはじめずする特殊金属を含む化孊化合物が極めお 有効であるこずを瀺し、危険な真菌感染症ずの闘いに倧きな前進を遂げた した。オヌストラリアのクむヌンズランド倧孊により創蚭されたクラりド゜ヌ シングを掻甚した抗菌薬探玢オヌプンプログラムCommunity for  Open Antimicrobial Drug Discovery (CO-ADD)の揎助のもず、ベルン倧孊の Angelo Frei博士のチヌムは様々な薬剀耐性真菌株に察し 21 皮類の掻性の 高い金属化合物をテストしたした。

Frei 博士の説明によれば「その倚くがすべおの真菌株に察し有効性を瀺し、 人間の现胞に察する反応ず比べるず䞉䞇倍効果的である。呚期衚䞊すべおの 元玠の可胜性を远求すれば、将来真菌感染を予防し治療する有効な抗生物 質や掻性薬剀が存圚しない状況を防げるかもしれない」ずのこずです。

停車時間短 瞮の解決策

電気自動車で 10 分の䌑憩埌さらに 400 km 走行するこずを想像しおくださ い。ペンシルベニア州立倧孊の研究者 たちは、リチりムむオン電池をニッケル 箔で枩めるこずで性胜を向䞊させる実 隓を行い、有望な解決策を芋぀けたし た。

䞊垭著者であり電池技術者の ChaoYang Wang のチヌムはフル充電で玄 560 km の走行距離の電池を䜿甚し、 内郚に超極薄ニッケル箔を加えるこず でこの電気自動車電池を11分で走行 距離玄 400 km ずなる70%充電、12分 で玄 440 km ずなる75%たで充電する こずが可胜なこずを瀺したした。「我々 の技術はより小型で短時間充電の電 池を提䟛し廉䟡な電気自動車の普及 を可胜にしたす」ず Wang 氏は述べお いたす。

有名なニッケルの芋぀け物

5セントコむンが4.2癟䞇米ドル これが今幎 (2022幎) のグレヌト コレクションズ コむンオヌクションズ瀟が、りォルトン家所有の 1913 幎リバティヌヘッド ニッケル 5セント硬貚に察しお支払った金額で、同瀟によるず「このコむンには米囜貚幣 孊史䞊最も奇想倩倖なな物語が秘められおいる」ずのこずです。

1912 幎に鋳造が終了したリバティヌヘッド ニッケルのうち 5 枚しか知られおいない 極めお珍しい 1913 幎リバティヌヘッド ニッケルの䞀぀ですが、この5枚は誀っお鋳 造されたか、たたは米造幣局の職員サミュ゚ル・ブラりン氏により鋳造され持ち去 られたず蚀われおいたす。

ブラりン氏は 1924 幎にこれを貚幣蒐集家界の䞭では倧物ず認められおいた数人 の蒐集家に売华したした。グレヌトコレクション瀟は昚幎 (2021幎) も゚リアスバヌ グ・コレクションにあった 3 枚の 1913 幎ニッケルコむンを、歎史的な総額 13.35 癟 䞇米ドルで取埗しおいたずのこずです。

© CO-ADD EC POWER © GREATCOLLECTIONS AUCTIONS ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022 |5

二酞化炭玠回収・貯留 ニッケル合金が泚目される理由

党䞖界の産業が二酞化炭玠排出の削枛を図る䞀方、炭玠隔離をするこずで倧気 䞭ぞの排出を抑制する努力も行われおいたす。これらの技術は二酞化炭玠回収・ 貯留(CCS)ずしお知られおいたす。

人為的に生じた枩宀効果ガスの排出 をれロにするずいう目的を実珟するた め、ニッケル協䌚は匕き続きニッケル がCCSの実珟に向けおどのような貢献 ず重芁な圹割を果たせるかを探っお行 きたす。この取り組みには綿密な蚈画 に基づく炭玠回収、茞送から地䞋貯蔵 を含む CCS 党䜓のバリュヌチェヌンが 含たれたす。

より高品質鋌を䜿甚 腐食及び適正な玠材遞択は CCS むン フラの、安党で、信頌性の高い、経枈 的な運営の確立にずり重芁な関心事 項です。

茞送する

二酞化炭玠の回収から地䞋貯留庫たで の茞送は基本的にパむプラむン、船舶、 トラック及び鉄道で行われたす。隔離 堎所の地䞋貯留地に茞送するために二 酞化炭玠は液化されたす。この茞送に 䜿甚される機材にはやはり䜎ニッケル 合金鋌、ステンレス鋌たたはニッケル 合金が必芁です。

地䞋ぞの貯留

地䞋貯留庫に泚入される二酞化炭玠は 通垞也燥しおおり腐食性はありたせん。 しかしながら寿呜䞭に酞性状態が生じ 腐食するリスクに察応できる井戞の蚭 蚈が必芁ずなりたす。

カナダ アルバヌタ州 ゚ドモントン 近郊のク゚スト二酞化炭玠回収・ 貯留(CCS)斜蚭。2015 幎埌半に開 蚭されおから 6.8 癟䞇トンを超え る二酞化炭玠を回収・貯留し地䞋 2km に安党に貯蔵しおきたした。

倚くの CCS 工皋は遊離氎の存圚ず䜎 枩䞋にあるため、結果ずしお酞性状態 になり腐食のリスクに晒されたす。埓っ お炭玠鋌は適さず、より高品質のニッケ ル含有ステンレス鋌及びニッケル合金 が必芁ずなりたす。

ガスから二酞化炭玠を回収する際、倚 くの堎合燃焌行皋から生じる氎分が含 たれたす。回収工皋は高湿な酞性状態 での皌働か、さもなければ事前の也燥 が必芁ずなりたす。高枩で厳しい環境䞋 での工皋もあり、この堎合も炭玠鋌は 䞍適切です。

米囜及びEUの井戞デザむンのデヌタ から腐食のリスクのある井戞むンフラ に関しおは通垞ニッケル含有ステンレ ス鋌およびニッケル合金が䜿甚される こずが分かりたす。米囜では、CO2 泚入 井戞の蚭蚈ず斜工に関しお、材料の遞 定を重芖した明確なガむドラむンを定 めおおり、CO2 の地䞋貯留においおニッ ケルが重芁な圹割を果たしおいるこず を裏付けおいたす。

CCS工皋における玠材遞択に資する ため、玠材防食技術・構造物塗装 性胜怜査協䌚The Association for Materials Protection and

6| ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022
CNW GROUP/SHELL CANADA LIMITED

暹朚は倧気䞭 のCO2を吞収

Performance (AMPP)はニッケル 含有玠材が奜たしい領域を瀺し た、二酞化炭玠茞送ず泚入にお ける玠材遞択ず防食のガむドラむン

Guidelines for Materials Selection  and Corrosion Control for CO 2 Transport and Injectionを䜜成䞭で す。

産業界がCCSバリュヌチェヌンを評䟡

ニッケルが“䞍可欠芁玠”ずなるのは

するに぀れ、䜎ニッケル含有合金鋌、ス テンレス鋌たたはニッケル合金が䞍芁 な段階はほがないこずが明らかになっ おいたす。これは今埌数幎数十幎にわ たり人為的枩宀効果ガス排出のネット れロを達成するべくCCSを展開する際 ニッケルの果たす重芁な圹割を瀺しお いたす。

• 石炭火力発電所の排ガスからの二酞化炭玠の回収では、排ガスは亜硫酞ガ ス及び氎分で汚染されおいるため炭玠鋌が腐食する酞性凝瞮物が発生した す。

• アミンなどの液䜓溶媒がガス流䜓からの二酞化炭玠を吞収したす。これは掗 浄埌の二酞化炭玠が攟出される回収容噚、液䜓アミン凊理システム及び剥 離容噚に酞性の腐食状態が生じる可胜性がありたす。

• 枩床スむング吞着法 (TSA) など固䜓吞着剀回収システムも吞着剀ずの 盞互䜜甚でガス流䜓から二酞化炭玠を陀去したす。この工皋では枩床

が 40 °C から 100 °C たで振れる高湿床の状態のため酞性の腐食性環境が 生じたす。炭酞圢成の可胜性があるためリスクのある䞻な分野の也燥工皋で はオヌステナむト系ニッケル含有ステンレス鋌が䜿甚され、回収前送颚機で はニッケル含有二盞ステンレス鋌が䜿甚されたす。

• Allam-Fetvedt (超臚界 CO2) サむクル発電のような、二酞化炭玠を利甚しお 回収する革新的な工皋では二酞化炭玠タヌビンず燃焌噚、熱亀換噚ずこれ ら郚品を連結する高枩配管にニッケル含有合金が必芁です。

1. 空気分離装眮

2. 酞玠燃焌噚

3. タヌビン

4. 熱亀換噚

5. 冷华

Allam-Fetvedt プロセスは炭玠燃 料を熱゚ネルギヌに転換し䞔぀発 生した二酞化炭玠ず氎を回収した す。

ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022 |7
拡散二酞化炭玠
ル簡易フロヌ図
ALLAM-FETVEDTサむク
空気泚入 箔酾箠 CO₂リサむク ルフロヌ 二酞化炭玠 電気 廃棄 炭玠隔離 二酞化炭玠 二酞化炭玠 æ°Ž æ°Ž 倩然ガス 二酞化炭玠の人為的泚入 土壌改良 炭鉱 深郚垯氎局 枯枇石油ガスの貯留局
回収ず分離
CREATIVE COMMONS JOY OF ALL THINGS  远加加熱

ニッケル協䌚のサステナビリティ専門 家、マヌク・ミストリヌ博士ずの Q & A

気候倉動が䞖界的な関心事ずなる䞭、様々なステヌクホルダヌがニッケル生産 者にカヌボンフットプリントのデヌタを芁求しおいたす。

マヌク・ミストリヌ博士は、ニッケル 産業に圱響を䞎える可胜性のある芏 制の策定を専門ずしおおり、ラむフサ むクルアセスメントやニッケルの䜿甚 ずリサむクルの利点に関する孊術的・ 科孊的な議論に貢献しおいたす。た た、グロヌバルなサステナビリティ基 準の策定にも貢献しおいたす。

䜕故顧客は自瀟のニッケル含有補品の枩宀効果ガス(GHG)のプロファむルを 評䟡する必芁があり、芏制圓局は補品やプロセスが芏制等に準拠しおいるかど うかを知りたいず垌望しおおり、ロンドン金属取匕所のような取匕プラットフォヌ ムは透明性のためのデヌタを必芁ずしおいたす。さらに、ニッケル生産者自身も、 プロセスの改善目暙を立おるためにデヌタを必芁ずしおいたす。このため、ニッケ ル業界ずしお信頌性の高いラむフサむクルデヌタを䜜成する必芁があるのです。 カヌボンフットプリントずニッケルのラ むフサむクルデヌタの関連性は ラむフサむクルデヌタは、工皋のむン プット゚ネルギヌ、プロセス化孊物質、 氎などずアりトプット氎、倧気、廃 棄物ぞの排出などを蚘述しおいたす。

それらはニッケル補品の補造工皋ごず に収集されたす。ラむフサむクルデヌタ は、ラむフサむクル圱響評䟡 (LCIA) の 基瀎ずなるものです。LCIA は、むンプッ トずアりトプットを15の「環境圱響カテ ゎリヌ」に倉換したすが、最も重芁な のはGHG排出量 - ぀たりカヌボンフット プリントです。LCIA は、環境圱響が最 も倧きいか、あるいは最も有害な環境 圱響が生じる工皋段階を特定したす。

実際にはどのように䜿われおいるので しょうか

ラむフサむクルデヌタは、゚ンドナヌザ ヌが補品の環境性胜を評䟡するために 䜿甚されたす。同じ機胜を持぀2぀の 補品の入力ず出力を比范するこずがで

きたす。䟋えば、ニッケルを含むEV甚バ ッテリヌ技術を埓来の内燃機関自動車 ず比范評䟡するこずで、ラむフサむクル 党䜓を通しお䞡者の環境性胜を把握す るこずができたす。たた、ニッケル生産 者でも、ラむフサむクルデヌタはプロセ ス改善の目暙に利甚されおいたす。 ラむフサむクルアセスメント芏栌はな ぜ重芁なのでしょうか

GHG の蚈算は、䞖界的に合意された LCA 芏栌ISO 14044に基づく健党 なものでなければなりたせん。ニッケ ル生産者のデヌタ芁件ずラむフサむク ルデヌタが同じ基準で䜜成され、比范 できるようにするためには、䞀貫したア プロヌチが必芁です。

これらのデヌタは定期的に曎新されお いたすか

ラむフサむクルデヌタには、鉱石の品 䜍や副産物の有無、採掘プロセスの 倉化、適甚される特定のプロセス技術、

8| ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022
ニッケルのカヌボンフットプリントの枬定

゚ネルギヌ䟛絊や技術の曎新、排出 削枛や防止ぞの投資など、いく぀かの パラメヌタが圱響したす。これらの芁 因は比范的短期間に倉化し、ラむフサ むクルアセスメントの結果に倧きな圱 響を䞎える可胜性がありたす。そのため、 ラむフサむクルデヌタは定期的に曎新 する必芁がありたす。5 幎ごずの曎新が 䞀般的ですが、顧客や川䞋ナヌザヌか らは、より頻繁にデヌタを曎新するよう

求められるこずも倚くなっおいたす。

ニッケルは他の金属ず比べおどうなの でしょうか

ラむフサむクルの䞖界では、材料単䜍 ではなく、「機胜単䜍」で比范するこず が広く認められおいたす。ニッケルはし

ばしば合金元玠ずしお䜿甚されおいた す。他の材料ずの有意矩な比范は、䟋

えば、特定のサむズの窓枠や、特定の 物質を䞀定の距離で運ぶ管など、合意 された機胜単䜍で行わなければならな いのです。

ニッケルのラむフサむクルデヌタの質 に違いはあるのでしょうか

デヌタコンサルティング䌚瀟が提䟛す るカヌボンフットプリントデヌタモデル は、デヌタがないため、色々な仮定やし ばしばデヌタ䞍足からくる倧たかな掚 蚈倀に基づいおいたす。このようなモ デルの結果は、ニッケル協䌚のカヌボ ンフットプリントデヌタずは倧きく異な るこずがありたす。ニッケル協䌚のカヌ ボンフットプリントデヌタは、䌁業から 提䟛された確かな数倀に基づき、䞖界 的に合意された基準で蚈算され、独立 組織によっお怜蚌されたものです。

ニッケル地金(1çš®)生産に䌎うGHG 排出量の決定方法 ニッケル協䌚は、 ニッケル生産者が枩宀効果ガス排出 量を蚈算するためのガむダンスを発 行したした。このガむダンスは、ニッ ケル生産の耇雑さを考慮し、ニッケ ル産業党䜓の類䌌基盀の、確固ずし た科孊的に信頌できるデヌタの䜜成 に貢献するものです。

ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022 |9

ラむフサむクルアセスメントでは、電 気自動車ず埓来の内燃機関自動車 のGHG排出量を、ラむフサむクル党 䜓で比范するこずができたす。

なぜステヌクホルダヌはEV甚電池の カヌボンフットプリントに関心を持぀ のでしょうか

電気自動車(EV)は、グリヌンで持続可 胜な脱炭玠移動手段を実珟するため に䞍可欠です。しかし、EVの枩宀効果 ガス排出量は、埓来の内燃機関自動車 ず同等か、それ以䞊であるずする研究 もありたす。電池のカヌボンフットプリ ントは、電気自動車党䜓のGHG排出量 に倧きく関䞎しおおり、様々なステヌク ホルダヌから泚芖されおいたす。ラむフ サむクルアセスメントでは、電気自動車 ず埓来の内燃機関自動車のGHG排出 量を、ラむフサむクル党䜓で比范するこ

ずができたす。電池は電気自動車のカ ヌボンフットプリントの䞻な芁因であり、 電気自動車甚電池を補造するための すべおの原材料ずプロセスを評䟡する 必芁がありたす。ラむフサむクルデヌタ は、EV甚電池のカヌボンフットプリント 算出の基瀎ずなるものです。

EV のカヌボンフットプリントにおいお、 ニッケルはどの皋床関䞎しおいるので しょうか

ニッケルは、NMC111 EV電池のカヌボ

ンフットプリント党䜓の玄9を占めお いたす。電池の補造に䜿われる電力や 筐䜓のアルミの関䞎の方がはるかに倧 きいのです。

ステンレス鋌生産者は、ニッケルのラ むフサむクルデヌタに関心があるので しょうか

䌁業固有のラむフサむクルデヌタは、 たすたす必須になっおきおいたす。䟋 えば、EU の炭玠囜境調敎メカニズムで は、EU に茞入する際にステンレス鋌の 炭玠蚌曞の芁賌入量を決定するため

カヌボンフットプリントを蚈算するこず が矩務付けられおいたす。たた、ステン レス鋌生産者がカヌボンフットプリント を宣蚀する堎合、そのデヌタは環境補 品宣蚀EPDに反映されたす。

ステンレス鋌の生産に䜿甚されるニッ ケル補品によっお、カヌボンフットプリ ントは異なるのでしょうか ニッケル銑鉄、フェロニッケル、ニッケ ル地金は、ステンレス鋌補造のための 䞻芁なニッケル含有原料です。GHG排 出量が最も少ない生産者ず最も倚い 生産者では、そのカヌボンフットプリン トは30倍以䞊もの差がありたす。その ため、ステンレス鋌の生産に䜿甚され るニッケル補品の遞択は、ステンレス 鋌のカヌボンフットプリントに倧きな 圱響を䞎えたす。

スクラップから䜜られるステンレス鋌 は、カヌボンフットプリントが少ない ので、より持続可胜なのでしょうか 䞀般に、リサむクルは廃棄物埋め立おを 抑え、䞀次原材料の需芁を枛らし、資 源効率を高め、回収ずリサむクルに携 わる䞭小䌁業の雇甚を創出するこずか ら、持続可胜性の達成にずっお芋過ご せたせん。ラむフサむクルモデリングで は、副資材を含めるために「カットオフ」 手法を適甚するのが䞀般的です。この 方法では、䟛甚材料であるスクラップ は環境負荷れロずみなしたす。「゚ンド・ オブ・ラむフ」アプロヌチは、䞀次生産 による環境負荷を、材料が経隓するいく ぀かのラむフサむクルに分散させるもの です。゚ンド・オブ・ラむフのアプロヌチ を適甚するこずで、䞀次金属ずリサむク ル金属のカヌボンフットプリントをより 適切に調敎するこずができたす。

10| ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022

海氎淡氎化を前進させる斬新なアむデア

囜連は、2025 幎たでに 18 億人が絶察的な氎䞍足の囜や地域に䜏み、䞖界人口 の3分の2がストレス状態に眮かれる可胜性があるず掚定しおいたす。

飲甚氎確保ぞの議論が高たり続ける

䞭、海氎淡氎化プラントの数は増加し ぀぀ありたす。海氎や汜氎を倉換する プロセスは腐食環境にさらされおおり、

円滑に長期間䜿甚するためにはニッケ ル含有材料等、腐食に匷い適切な材 料の䜿甚が極めお重芁になっおきたす。

芁求を満たす実行可胜な゜リュヌショ ンの鍵は、持続可胜な海氎淡氎化オプ ションの必芁性です。それらは膜匏 逆浞透法ず熱匏倚重効甚法、倚段 フラッシュの 2 皮類に倧別されたす。

熱匏淡氎化法は蒞発を䌎うため、逆

浞透法よりも゚ネルギヌ集玄的でコス トが高く、環境ぞの圱響も倧きくなりた す。1950 幎代埌半に開発された逆浞 透法海氎淡氎化は、半透膜に高圧の 氎を匷制的に通しお塩化物を遞択的に 陀去するずいう浞透圧の原理を利甚し たものです。逆浞透法は、スケヌルの 倧小を問わない順応性が評䟡され、個

々のホテルから郜垂党域にたで採甚さ れるようになりたした。

逆浞透法プラントでは、海氎取氎口、 スクリヌン、バタフラむ匁甚ディスク、高 圧郚の配管など、いく぀かの郚品がス ヌパヌ二盞ステンレス鋌 S32750 たたは S32760 で補造されたす。システムの 䜎圧郚および高圧郚のポンプケヌシン グは、スヌパヌ二盞 J93380 ず J93404 から鋳造するこずができたす。プロセ スをモニタヌするための蚈装配管に は、S31254、N08367、N08926 など の 6 % Moスヌパヌ二盞ステンレス鋌 管や、銅ニッケルパむプ 90/10 Cu/Ni (C70600) 等が䜿われたす。

ニッケル協䌚発行の「海氎淡氎化プラ ントの材料遞択 (Materials selection for desalination plants) - 11029」は、 ニッケル協䌚のりェブサむトwww. nickelinstitute.org から無料でダりン ロヌドできたす。

オヌストラリア、クむヌンズランド 州にある海氎逆浞透法SWRO 淡氎化プラントでの高圧、超二 盞ステンレス鋌配管。二盞およ びスヌパヌ二盞ステンレス鋌は、 高匷床ず優れた耐食性を䜵せ 持぀ため、䞖界䞭のほずんどの RO プラントで高圧配管甚の暙準 材料ずしお䜿甚されおいたす。 オヌストラリアのビクトリア州にあ るビクトリアン海氎淡氎化プラント は、2012 幎に完成し、掚定生産量 は410メガリットル/日です。

ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022 |11
SEQWATER

BHP グルヌプのニッケルり゚スト瀟 マりント・キヌス・ニッケル鉱山で の調査によるず、珟圚、1幎分の尟 鉱で玄 4 䞇トンの CO2 を回収しおお り、400 䞇トンの回収が可胜である こずが分かっおいたす。

ほずんどの䌁業は、2050 幎たでに、あるいはそれより前にカヌボンニュヌトラル ずする蚈画を公衚しおいたす。それは、その䞭の倚くの䌁業にずっお倧きな難題ず なるでしょう。カヌボンニュヌトラルを実珟するには、燃料の燃焌などのプロセス で発生する二酞化炭玠や倧気䞭の二酞化炭玠を回収するこずがひず぀の手段ず なりたす。回収された CO2  は、別のプロセスで利甚したり、排出されないよう氞久 に貯留したりするこずができたす。二酞化炭玠を回収し、それを固定化するため に、倚くのプロセスが提案され運甚されおいたすが 、その倚くは建蚭や運甚にコ ストがかかりたす。

けれども、もし空気䞭の CO2 ず反応しお、 䜕千幎も簡単か぀安党に貯留出来る物 質を圢成する、豊富な倩然物質があっ

たずしたらどうでしょうか 鉱山䌚瀟 の䞭にはそういったオプションを持っお

いるずころがありたす。

超苊鉄質岩が CO2 を吞収   採掘する際、その察象ずなる鉱物は脈 石ず呌ばれる他の鉱物ず混ざっおいた す。鉱山では、岩石を粉砕しお目的の

12| ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022 BHPニッケルり゚スト
自然に二酞化炭玠を回収

鉱物を分離し、残りは尟鉱ずしお凊分 されたす。しかし、尟鉱が超苊鉄質岩 マグネシりム含有量が比范的倚く、シ リカ含有量が少ない様々な鉱物の総 称で構成されおいる堎合、倧気䞭 の CO2をゆっくりず吞収しお、安定した 固い炭酞塩化合物に倉化させたす。他

の CO2 貯留技術では気䜓の二酞化炭 玠を地䞭に泚入しお気䜓のたた残りた すが、ここでは固䜓の化孊物質に倉化 させ、その状態を数千幎維持するこず ができたす。䟋えば、氎酞化ケむ酞マグ ネシりムである蛇王岩は、尟鉱の䞭に よく芋られる超苊鉄質岩のひず぀です。

これは空気䞭の二酞化炭玠ず自然反応 しお、炭酞マグネシりムを生成したす。

受動的な二酞化炭玠の鉱化

西オヌストラリア州にあるBHPグルヌ プのニッケルり゚スト瀟マりント・キヌ ス・ニッケル鉱山での調査によるず、特 別な凊理をしなくおも、珟圚、1幎分 の尟鉱で玄4䞇トンの CO2 を回収しお いるこずが分かっおいたす。これは受 動的な二酞化炭玠の鉱化ず呌ばれた す。しかしながら、これらの尟鉱は 400 䞇トンの CO2 を回収する胜力があっお も、自然の反応速床は非垞に遅いので す。同様に、カナダのケベック州北郚に あるデュモン・ニッケル-コバルト鉱山 の報告では、予枬される 33 幎の鉱山 寿呜の間に、毎幎 21,000 トンの CO2 を受動的に回収できるず蚀っおいたす。 その反応を加速する方法を確立しよう ず、実隓宀での研究が行われおいるず ころです。こうした技術により、倚くの 鉱山がカヌボンニュヌトラルになるだ けでなく、カヌボンネガティブになる可 胜性もありたす。これは、電気自動車

(EV) 甚電池の金属を生産する鉱山に ずっお、特に興味深いこずです なぜ なら、EV の賌入者は、電池の構成郚 品が瀟䌚的、環境的に責任ある方法 で生産されおいるずいうこずを知りた

運甚可胜なプロセスに カナダ・ニッケル瀟は、カナダのオンタ リオ州ティミンズ近郊で開発蚈画䞭の ニッケルコバルト硫化物鉱山のクロ フォヌド・プロゞェクトを拠点に、カヌ ボンネガティブぞの取り組みを進めお いる䌁業です。同瀟は「工皋内尟鉱炭 酞化法」ず呌ぶ、凊理回路内で CO2 を 固定化する新しいプロセスを開発した した。これは、倩然ガス発電などで発 生する濃瞮された CO2 源を利甚したす。

カナダ・ニッケル瀟の䌚長兌 CEO であ るマヌク・セルビヌ氏は「こうした実隓 宀芏暡でのテストによっお、我々はニッ ケル鉱山を二酞化炭玠の排出源では なく、炭玠クレゞットの玔発生源ずする ためのプロセスの運甚方法に぀いおの 理解を深めたした」ずコメントしおいた す。

同様に、他のニッケルプロゞェクトで も反応速床の向䞊に取り組んでいた す。FPX ニッケル瀟は、カナダのブリテ ィッシュ・コロンビア州䞭倮郚で蚈画し おいるバブティスト・プロゞェクトから の尟鉱でテストを行いたした。FPX の 瀟長兌 CEO であるマヌティン・チュレ ヌネ氏は「基瀎科孊を応甚し、鉱業 における倧芏暡で氞久的な二酞化炭 玠回収・貯留の可胜性を評䟡する䞊 で、FPX が䞻導的な圹割を果たすこず を倧倉誇りに思っおいたす」ず述べお いたす。たた、ギガメタル瀟は、ブリテ ィッシュ・コロンビア州で蚈画しおいる、 タヌナゲむン鉱山の尟鉱を二酞化炭玠 回収に利甚するための研究に資金を 提䟛しおいたす。

地球のマントルは超苊鉄質岩で構成さ れおいるこずから、CO2 を回収できる可 胜性は倧きいず蚀えたす。今回の話題 ではニッケル鉱山を取り䞊げたしたが、 超苊鉄質岩の倩然の二酞化炭玠回収 機胜は、䞖界䞭の様々な鉱山で掻甚す るこずが出来たす。

地球のマントルは超苊鉄質岩で構 成されおおり、CO2 回収の可胜性は 倧きい。

ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022 |13
がっおいるからです。
ゞャンミシェル・ハルむ、 クリ゚むティブ・コモンズ

Geir Moe は専門技術士であり、ニッ ケル協䌚の技術サポヌト・サヌビス の責任者です。同氏は䞖界各地に 配属された玠材の専門家らず共に、 技術的アドバむスを求めるニッケル 含有材料の゚ンドナヌザヌや仕様 を蚭定する方々のサポヌトをしおい たす。同氏の専門家チヌムは、ステ ンレス鋌、ニッケル合金、ニッケルメ ッキなどの幅広い甚途に関する技 術的なアドバむスを無料で提䟛し、 ニッケルを安心しおご利甚いただけ るよう努めおいたす。

専門家に聞く 技術サポヌトに寄せられる

【よくある質問】

Q質問304L (UNS S30403)ステンレス鋌で鍋や流し台の深絞り加工をしおい るお客様からクレヌムが来おいたす。成圢䞭は問題ないのですが、䞀定時間 経過するず亀裂が発生するずいうこずです

A回答ニッケル含有ステンレス鋌タむ プ 304 Lは、オヌステナむト埮现構造 をしおおり、塑性倉圢によりマルテン サむト歪み誘起マルテンサむトずも 呌ばれるが生成されるずいう準安 定状態にありたす。この延性の䜎い

ができたす。305 (S30500) や 316L  (S31603) などのニッケル含有量の高 いステンレス鋌は、より安定した埮现 構造を持぀ため、歪み誘起マルテン サむトが生成されにくく、遅れ亀裂に 察する耐性があるず蚀えたす。

オンラむン版ニッケル誌

WWW.NICKELINSTITUTE.ORG

ニッケル誌の無料賌読ずりェブサむト掲茉のお知ら せを垌望する堎合www.nickelinstitute.org

ニッケル誌を7カ囜語でりェブサむトに掲茉 www.nickelinstitute.org/library/

ニッケル誌のバックナンバヌの怜玢2009幎7月号 以降のニッケル誌を掲茉英語版のみ www.nickelinstitute.org/library/

Twitterでフォロヌしおください @NickelInstitute

LinkedInで぀ながっお䞋さい

ニッケル協䌚のペヌゞをご芧ください

ニッケル協䌚You Tube チャンネルで ニッケル関連のビデオが芋られたす

www.youtube.com/user/NickelInstitute

代替埮现構造は、冷間加工された郚 分に圢成され、ステンレス鋌䞭に存 圚する氎玠によっお亀裂が発生しや すくなりたす。この拡散に時間がかか るため、割れるのが遅れるのです。ス テンレス鋌の割れやすさは、その組 成に倧きく䟝存したす。ニッケルの含 有量を倚くし、炭玠や窒玠の含有量 を少なくするこずで、亀裂を防ぐこず

この珟象はマンガン含有量の倚い 200 系ステンレス鋌でも芋られたす。 マンガンはオヌステナむトの安定剀で もあり、ニッケルの含有量を少なくし お䜵甚されたすけれども、非垞に匷 力なフェラむト安定剀であるクロムが あるずころでは、マンガンは、オヌステ ナむト盞の安定化にあたり効果があ りたせん。そのため、これらのニッケ ル含有量の少ないオヌステナむト系 ステンレス鋌ではクロム含有量を枛 らす必芁があり、耐食性に悪圱響が 出るずずもに塑性倉圢によっお、マル テンサむトが生成しやすいずいう問 題が残されおいたす。耐食性の䜎䞋ず 遅れ亀裂の可胜性があるこずが、ニッ ケル含有量の少ない 200 系オヌステ ナむト系ステンレス鋌の利甚を制限す る芁因ずなっおいたす。

14| ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022
3, 2022

新刊案内、新着ビデオ

海氎淡氎化プラント向け材料遞択 (11029) は様々な金属材料、特にニッケ ル含有材料の海氎淡氎化ぞの応甚を 論じた新しい出版物です。倚段フラッ シュ法 (MSF)、倚重効甚法 (MED)、新 海氎逆浞透膜法 (SWRO) の3぀のプロ セスを怜蚌しおいたす。SWRO は、モゞ ュヌル化されお拡匵しやすいこず、需 芁に応じお氎の生産量を簡単にコント

ロヌルできるこず、再生可胜゚ネルギヌ 倪陜光や颚力を利甚できるこず、抂 しお氎の生産コストが䜎いこずなどが 理由で支持を埗おいたす。

雑誌蚘事を曎新

ニッケル協䌚は、ニッケル含有材料の 重芁な甚途を説明した 90 以䞊の雑誌

蚘事の再版を新しくしたした。

すべおの出版物は www.nickelinstitute. org. から無料でダりンロヌドできたす。

将来に向けたニッケルの確保 この短いビデオでは、ニッケル協䌚の マヌク・ミストリヌ博士が、ニッケルに 関するよくある質問に答えおいたす。ニ ッケルは将来の需芁を満たすのに十分 な量があるのかラテラむト鉱ず硫化 鉱はどちらも電池に䜿えるのかニッケ ルは重芁な原料なのかニッケル埋蔵

量ずニッケル資源量の違いは䜕かリ サむクルや業界の今埌の課題はニッ ケル協䌚の YouTube チャンネルでご芧

ください。

UNS番号別詳现

本誌に蚘茉されたニッケル含有合金およびステンレス鋌の化孊的組成 重量パヌセント

ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022 |15
ステンレ ス鋌皮 Al B C Co Cr Cu Fe Mn Mo N Nb Ni P S Si Ti W Other C70600 11頁 - - - - - 残分 1.01.8 1.0 max - - 9.011.0 - - - - - Pb: 0.05 max Zn:1.0 max J93380 11頁 - - 0.03 max - 24.026.0 0.51.0 残分 1.00 max 3.04.0 0.200.30 - 6.58.5 0.030 max 0.025 max 1.00 max - 0.5-1.0J93404 11頁 - - 0.03 max - 24.026.0 - 残分 1.50 max 4.05.0 0.100.30 - 6.08.0 0.04 max 0.04 max 1.00 max - -N07718 2頁 0.0200.080 0.006 max 0.08 max 1.0 max 17.0 21.0 0.30 max 残分 0.35 max 2.803.30 - 4.755.25 50.055.0 0.015 max 0.015 max 0.35 max 0.651.15 -N08367 11頁 - - 0.030 max - 20.022.0 0.75 max 残分 2.00 max 6.007.00 0.180.25 - 23.525.5 0.040 max 0.030 max 1.00 max - -N08926 11頁 - - 0.020 max - 19.021.0 0.501.50 残分 2.00 max 6.007.00 0.150.25 - 24.026.0 0.030 max 0.010 max 0.50 max - -S30100 16頁 - - 0.15 max - 16.018.0 - 残分 2.00 max - 0.10 max - 6.08.0 0.045 max 0.030 max 1.00 max - -S30403 14頁 - - 0.03 max - 18.020.0 - 残分 2.00 max - - - 8.012.0 0.045 max 0.030 max 1.00 max - -S30500 14頁 - - 0.12 max - 17.019.0 - 残分 2.00 max - - - 10.013.0 0.045 max 0.030 max 1.00 max - -S31254 11頁 - - 0.020 max - 19.520.5 0.501.00 残分 1.00 max 6.06.5 0.180.22 - 17.518.5 0.030 max 0.010 max 0.80 max - -S31603 2, 14頁 - - 0.030 max - 16.018.0 - 残分 2.00 max 2.003.00 - - 10.014.0 0.045 max 0.030 max 1.00 max - -S32205 2頁 - - 0.030 max - 22.023.0 - 残分 2.00 max 3.003.50 0.140.20 - 4.506.50 0.030 max 0.020 max 1.00 max - -S32750 11頁 - - 0.030 max - 24.026.0 - 残分 1.20 max 3.05.0 0.240.32 - 6.08.0 0.035 max 0.020 max 0.80 max - -S32760 11頁 - - 0.030 max - 24.026.0 0.501.00 残分 1.00 max 3.04.0 0.200.30 - 6.08.0 0.030 max 0.010 max 1.00 max - 0.501.00Distributed by NICKEL INSTITUTE NICKEL’S CONTRIBUTION IN AIR POLLUTION ABATEMENT C.M. SCHILLMOLLER 10007

より良いバむクに傟泚

それは䞀枚のステンレスをロボットが折っおバむクやスクヌタヌにする「工業甚折 り玙」のようなものです。スりェヌデンのスタヌトアップ䌁業である STILRIDE 瀟は、 カヌボンフットプリントをできるだけ小さくした軜量な電動スクヌタヌの補䜜に取 り組んでいたした。䜕幎もの取り組み埌の最初の補品であるスポヌツ・ナティリテ ィ・スクヌタヌ・1 (SUS1) は 2022 幎埌半に発売される予定です。

オヌトクンプ瀟の Forta 301(UNS  S30100) 調質圧延ステンレス鋌で 䜜られたこの軜量スクヌタヌは、リ チりム電池を搭茉し、他のスクヌタ ヌず比范しお二酞化炭玠排出量が 䞉分の䞀に抑えられおいたす。

創業者の Jonas Nyvang 氏ずTue Beijer 氏らのチヌムは、STILFOLD ずいう独 自技術によっお、鋌板を原材料ずしお、 乗り物を蚭蚈・補造する方法を実蚌し たした。埓来の垞識にずらわれず、工 業甚折り玙を䜿いロボットによっお平 らな金属板から玠材の特性や幟䜕孊 的な性質に忠実に埓っお構造物を折 っおいくのです。カヌブフォヌルディン グは確立された技術なのですが、補造 業ではほずんど䜿われおいたせんでし た。埓来のスクヌタヌは、パむプ状の フレヌムずプラスチック補のボディで構

成されおいたすが、SUS1 のシャヌシは、 䞀枚のステンレス鋌を切断しお折り曲 げるこずで構成されおいたす。同瀟によ るず、この方法は埓来の補造技術に比 べ原材料や郚品点数が少ないため、生 産時の環境負荷を倧幅に䜎枛するこず ができるずしおいたす。

目暙は、䞖界で最も魅力的で持続可胜 な電動スクヌタヌを䜜るこずでした。そ の結果は 珟代のスクヌタヌ愛奜家の ための、型砎りで乗りやすいアヌトずな りたした。

ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022
ゞョリス・ラヌマン

Turn static files into dynamic content formats.

Create a flipbook
Issuu converts static files into: digital portfolios, online yearbooks, online catalogs, digital photo albums and more. Sign up and create your flipbook.
ニッケル、第37巻、Nº 3, 2022 by Constructive Communications - Issuu