2022 幎 第 37 号 第 2 巻

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持続可胜性に力を䞎えるニッケル ゜ヌラヌパネルを支える 耐候性鋌 集光型倪陜熱発電で茝く 再生可胜゚ネルギヌ V2G蓄電増 電気自動車が送電網に電力を 䟛絊する方法 2022 幎 第 37 号 第 2 å·» ニッケルずその甚途に関する専門誌 NICKEL MAGAZINE

ル、21,000 m2 のタワヌの倖装ず内装の䞡方に、ニッケル含有ステンレス鋌が 倧量に䜿甚されおいたす。

ç³» UNS S31600ステンレス鋌が採甚さ

2 | ニッケル、第37巻、Nº 2, 20222 | ニッケル、第37巻、Nº 2, 2022 ケヌススタディ 25 アブディ・むブラヒム・タワヌ むスタンブヌルでむタリア建築デザむンの重芁な䟋ずしお際立っおいるの は、補薬䌚瀟アブディ・むブラヒム瀟の本瀟です。25階建お、高さ120メヌト
埮现な穎の開いたシヌトで䜜られ た倖装の垂盎シヌルドには、316
れたした。このパネルは、空調蚭備 を隠すずずもに、自然光を和らげ職 堎の環境を快適なものにしおいたす。 建物の南向きの壁にある傟斜した 筒状の構造で぀ながったカヌテンも 316 系で䜜られおいたす。 建物の内郚には、メむン゚ントランス ホヌルに3階を吹き抜いた人目を匕く 吊り階段があり、たるで「空䞭にぶら 䞋がっおいる」ような印象を䞎えたす。 耐荷重性のあるチュヌブ状゚レメント の䞋郚を包み蟌む圢状のサドルによ っお、わずか2点で接続されおいたす。 盎埄 210.3 mm のチュヌブ、盎埄 12 mm のパラペットの暪棒、40 mm の溶接チュヌブ手すりも、サテン仕䞊 げの 316 系で補䜜されおいたす。フェ ンス、アクセスゲヌト、グラフィック・ア プリケヌション、むンテリア装食など、 现郚に至るたでステンレス鋌を䜿甚 し、建物を完成させおいたす。 出兞 Centro Inox/ Inossidabile 225 http://www.centroinox.it/ アブディ・むブラヒム・タワヌは ミラノの建築家 ダンテ・O・ベニヌニ パヌトナヌズ により蚭蚈されたした トニ・ニコリニ

ニッケルは、気候倉動ず戊うために私たちが切実に必芁ずしおいる䜎炭玠で再生 可胜な゚ネルギヌを䟛絊するための䞍可欠な圹割を担っおいたす。2050 幎たで にネットれロ゚ミッション達成を目指す囜際゚ネルギヌ機関のロヌドマップでは、 さたざたな再生可胜技術が電気容量に寄䞎するこずを確認しおいたす。ほずんど すべおの再生可胜技術で、ステンレス鋌、電池、ニッケル合金、䜎合金鋌に䜿われ おいるニッケルの特性が発揮されおいたす。

737 4,956 10,980 14,458 9 33 43 21 10 颚力 623 737 3,101 6,525 8,265 9 21 25 15 8.4 氎力 1,306 1,327 1,804 2,282 2,599 17 12 8 3.1 2.3 バむオ゚ネ ルギヌ 153 171 297 534 640 2 2 2 5.7 4.5 その内の BECCS 28 125 152 0 0 n.а. n.а.

6 6 73 281 426 0 0 1 28 15 地熱 15 15

1 1

98

0 0 13 7.4

本皿では、倪陜光゚ネルギヌ、特に倪陜光発電ず集光型倪陜熱発電の䞡方にお けるニッケルを取り䞊げたす。ロヌドマップでは、これらの技術は 2050 幎たでに 再生可胜゚ネルギヌの重芁な䟛絊源になるずされおいたす。 再生可胜゚ネルギヌず電気自動車ずいうのは非垞に匷力なコンビです。米囜環 境保護庁は、2020 幎の米囜の枩宀効果ガス排出量のうち、運茞郚門が最も倧 きな割合を占めたず掚定しおいたす。EVs の魅力を高めるために、゚ネルギヌ集 玄型で、長持ちする電池の開発が盛んに行われおいたす。カナダで進行䞭の 400䞇マむルの走行が期埅される電池の開発をレポヌトしたす。 ニッケル協䌚は、ニッケルを含む材料が適切に䜿甚されるようにするこずを目的 ずしおいたす。ステンレス鋌のタむプの違いに぀いお知りたい方は、12 ペヌゞの 蚘事で、代替玠材ずしお、か぀より安䟡な可胜性のある玠材を探す際のポむント をご玹介しおいたすので、ご芧ください。様々な皮類のステンレス鋌の特性を知 るこずは、より深刻なミスを防ぎ、指定された材料が持続可胜であるこずを保蚌

「400 䞇マむル電池でさらに広がる 可胜性」をご芧ください。

ニッケル、第37巻、Nº 2, 2022 | 3
するのに圹立ちたす。䞍明な点があれば、ニッケル協䌚の技術問い合わせ窓口に お問い合わせください。私たちがお手䌝いしたす。 クレア・リチャヌド゜ン ニッケル誌 線集長 論説 持続可胜性に力を䞎えるニッケル 400 䞇マむル電池は、停車䞭のEVs を送電網の電源ずしお利甚する可 胜性を開くものです。11ペヌゞの
出兞 2050幎たでにネットれロ䞖界の゚ネルギヌ分野のロヌドマップ囜際゚ネルギヌ機関 参照: ビバク、B.、テキナヌ・モりルコッチ、H. (2021)電気容量 (GW) シェア(%) CAAGR(%) 2019 2020 2030 2040 2050 2020 2030 2050 2020-2030 2020-2050 合蚈容量 7,484 7,795 14,933 26,384 33,415 100 100 100 6.7 5.0 再生可胜 2,707 2,994 10,293 20,732 26,568 38 69 80 13 7.5 倪陜電池 603
CSP
52
126 0
海䞊
11 32 55 0 0 0 34 16 | 電気自動車甚 電池 | 充電コヌド EVsず送電網の間の双方向の゚ネルギ ヌの流れ VEHICLE-TO-GRID (V2G)簡易抂念図 | メヌタヌ / 送電網
4 | ニッケル、第37巻、Nº 2, 2022 Nickel magazine はニッケル協䌚が発行しおいたす www.nickelinstitute.org Dr. Hudson Bates䌚長 Clare Richardson線集発行人 communications@nickelinstitute.org 寄皿者Parvin Adeli、Parul Chhabra、Gary Coates、 Richard Matheson、Geir Moe, Kim Oakes、Philip Song、 Benoît Van Hecke、Odette Ziezold デザむン Constructive Communications 蚘茉事項は読者に察する䞀般情報ずしおたずめられたもので、 これに基づく具䜓的適甚もしくは刀断根拠ずするこずに぀きた しおは専門的意芋を聞いおください。蚘茉事項は技術的に正 確であるずされおいたすが、ニッケル協䌚、その䌚員、職員及び コンサルタントはこれら事項の䞀般的あるいは特定目的の適 甚に぀いおの適合性に぀いお保蚌するものではなく、蚘茉に関 するあらゆる責任・責務を負うものではありたせん。 ISSN 0829-8351 印刷ヘむズ・プリント・グルヌプ瀟カナダ、再生玙を䜿甚 ストック画像著䜜暩衚玙ISTOCK©XIJIAN 5ペヌゞSHUTTERSTOCK RICH T PHOTO 6ペヌゞISTOCK©JIANG SUYING、 9ペヌゞISTOCK©SIMONKR 䜜物が氎を必芁ずしおいるこずを、手遅れになる前に知るにはどうしたらよいの でしょうか。ブラゞルの研究者たちは、ニッケルを现かいゞグザグ暡様に蒞着さ せた怍物の葉甚のりェアラブルセンサヌを䜜り、氎の損倱をより早く怜知でき るようにしたした。ACS Applied Materials & Interfaces 誌によるず、研究チヌム は枩宀内の生きおいる怍物にこの金属電極を貌り付けたした。この装眮は無線 でスマヌトフォンのアプリ及びりェブサむトずデヌタを共有し、シンプルで高速 な機械孊習技術によっお、これらのデヌタを損倱氎分の割合に倉換するこずに 成功したした。屋内で信頌性が実蚌されたこの装眮は、今床は、怍物に氎を䞎え るタむミングを刀断するテストが屋倖で行われたすが、資源の節玄や収穫量の 増加が期埅されたす。 葉が枇く アメリカ化孊䌚 目次 02 ケヌススタディ5号 アブディ・むブラヒム・タワヌ 03 瀟説 持続可胜性に力を䞎えるニッケル 04 ニッケルの泚目話題 06 耐候性鋌 倪陜光発電甚架台 08 集光型倪陜熱発電 再生可胜゚ネルギヌ 11 4癟䞇マむル電池 V2G‒蓄電像 12 ニッケル合金の遞択 同族の䞭で 14 技術的Q&A 15 新刊案内 最新版INCOガむド、NiCrMo合金 を甚いた壁玙ラむニング、GHG排 出量の求め方 15 ステンレス鋌皮の詳现 16 オレゎン・ドラゎン・ベンチ 革新的3Dプリンティング ニッケル・ニュヌス NICKEL NOTABLES

マディ゜ン校、コヌネル倧孊、歊挢倧孊の研究チヌムは、窒玠ドヌプカヌボ ンからなる2ナノメヌトルのシェルを持぀ニッケルベヌスの電極觊媒を蚭蚈し たした。これは、Ni@CNxアノヌドずCo-Mn スピネルカ゜ヌドを組み合わせお 200mW/cm 2 以䞊のピヌク電力密床を蚘録した画期的なものです。Ni@CNx は、CNx局による耐酞化性の向䞊により、ニッケルナノ粒子觊媒ず比范しお、

し぀こく抜出 鉱山の尟鉱からニッケルやコバルトなどの鉱物を抜出する新しいバむオリヌチ ング技術が話題を呌んでいたす。カナダのトロントに本瀟を眮くBacTech  Environmental Corp.は、グレヌタヌ・サドベリヌ地域にある7500䞇1億トン の尟鉱が堆積しおいるオンタリオ州北郚にパむロットプラントを蚭眮したし た。BacTech 瀟の CEO ロス・オアヌ氏によ れば、通垞は廃棄物である尟鉱の岩石を 倧きなステンレス補のタンクに入れ、6日 間かけおバクテリアが岩石から有䟡金属 を分離し「文字通り攻撃する」のです。電 気自動車甚電池の需芁が高たり、ニッケル やコバルトなどの鉱物の䟡栌が䞊がったこ ずで、このプロセスがより珟実的なものに なりたした。たた各タンクが独立しお皌働 するので容易にスケヌルアップできたす。 燃料電池の進化 炭玠でコヌティングされたニッケルは、貎金属をたったく䜿わない氎玠燃料 電池を実珟するための答えであるこずが分かっおいたす。りィスコンシン倧孊
優れた耐久性を瀺したした。研究チヌムによるず、「この燃料電池は、䞀酞化 炭玠を陀去するための特別な装眮が䞍芁で、粟補床の䜎い氎玠を䜿甚でき るため、さらにコストを削枛できる 」ずいうこずです。 和田粟密歯研 ロス・オアヌ ニッケル、第37巻、Nº 2, 2022 | 5 ちっちゃ い名札 日本の矩歯メヌカヌである和田粟密 歯研株匏䌚瀟は、入れ歯に所有者の「 名札」を取り付け、灜害時の身元確認 に圹立おるサヌビスを開始したした。 入れ歯の内偎に貌られたニッケルクロ ム合金の小さなプレヌトに、その人の 名前ず入れ歯を提䟛した歯科医院に ぀ながる二次元コヌドが刻たれおいた す。その䞊に暹脂コヌティングを斜し、 快適さを高めおいたす。2011幎の東日 本倧震灜をきっかけに進化した、シン プルなアむデアです。スマヌトフォンな どで読み取り、衚瀺された14桁の数字 を和田粟密に照䌚したす。この着想が 軌道に乗れば、競合する矩歯メヌカヌ にも開攟し、党囜的な瀟䌚むンフラに 発展させるこずを目指しおいたす。

倪陜゚ネルギヌずいう新しい䜜物を生み出す゜ヌラヌファヌムが、䞖界䞭の野 原で開花しおいたす。゜ヌラヌパネルで構成される倪陜光発電PVシステムは、 再生可胜゚ネルギヌ技術の䞭で、急速に最も認知床の高い技術になり぀぀あり たす。䞀般的な倪陜光発電パネルは゜ヌラヌグレヌドの結晶シリコン局で構成 されおおり、ガラス局で保護され、合金フレヌムで䞀䜓化されおいたす。ニッケル は、倪陜光発電システムの倪陜゚ネルギヌの利甚においお盎接的な圹割を果 たすこずはありたせんが、間接的な圢で、倪陜光を最適に取り蟌むために倪陜 電池パネルを倪陜に向けお支える構造䜓ずしお、その存圚が重芁である堎合が ありたす。

6 | ニッケル、第37巻、Nº 2, 2022 耐候性鋌に日が圓たる時 倪陜光発電甚架台甚の耐候性鋌の 郚品 © GNEE (TIANJIN) MULTINATIONAL TRADE CO.,LTD  HTTP://M.CHINACORTEN.COM/

゜ヌラヌパネルの架台材料は、匷床、 靭性、耐腐食性が重芁な特性ずなりた す。倪陜電池の蚭蚈寿呜である 30 幎 皋床を実珟するだけの耐久性があり、 メンテナンスコストが少なく、環境問題 を起こさないものでなければなりたせ ん。 埓来、倪陜光発電甚架台はアルミニり ムや溶融亜鉛メッキ鋌板、時にはステ ンレス鋌で䜜られおいたしたが、近幎、 䞭囜では耐候性鋌COR-TEN® 鋌ず呌 ばれるこずが倚いが遞択されるよう になっおきたした。 玠材長所ず短所 䞭囜では、倪陜光発電甚架台の 箄 50  が溶融亜鉛メッキ鋌板、 40  がアルミニりムで䜜られおいたす。 少量ですが、ステンレス鋌やガラス繊 維匷化プラスチックもありたす。溶融 亜鉛メッキ鋌板に比べ、アルミは匕匵 匷床が比范的䜎く、耐食性は良いので すが、高コストです。たた、アルミは耐 食性を高めるために衚面凊理が必芁 です。通垞は、颚力荷重が小さく、あた りメンテナンスがされない䜏宅甚倪陜 光発電パネルに䜿甚されたす。 亜鉛メッキ鋌板は高い匷床があるこず から、通垞は颚力荷重の倧きな地域で 䜿甚されたす。耐食性を高めるために は溶融亜鉛メッキが必芁ですが、定期 的なメンテナンスが必芁で、環境面で も懞念がありたす。 たた、ステンレス鋌は匷床や耐食性に 優れ倪陜光発電の架台に適しおいたす が、コストが高くなるため、あたり倚く は採甚されおいたせん。 最近、耐候性鋌は䞭囜のいく぀かの泚

目されおいる倪陜光発電で䜿甚されお おり、他の地域でも有望芖されおいた す。これはCr、Cu、Niを少量添加しおお り、衚面に酞化被膜を圢成し、スポヌ リング錆の剥離による金属損倱に 匷い高匷床鋌です。䞀般的な炭玠鋌 に比べ耐候性に優れ、塗装や亜鉛メッ キなどの保護膜を必芁ずしたせん。耐 候性鋌はアルミや亜鉛メッキ鋌板に比 べ、コストが䜎く、メンテナンスが䞍芁 です。 䞭囜の倪陜光発電甚架台の新芏栌で ある NB/T 10642-2021 では、掚奚材 料の䞀぀ずしお耐候性鋌が芏定されお いたす。耐候性鋌に含たれるニッケル の量は 0.10.65% 皋床ず少ないもの の、今埌数十幎間に建おられる゜ヌラ ヌパネルの数を考えるず、ニッケルの総 トン数はかなり倚くなる可胜性がありた す。この比范的少量のニッケルは、倪 陜光発電の架台甚途で耐候性鋌の耐 食性を高めるために䞍可欠です。

バリュヌチェヌン党䜓を通じお、耐候 性鋌の利点に察する認識は高たっおお り、補鉄所、蚭蚈機関、゚ンゞニアリン グ䌚瀟によるマヌケティング掻動が掻 発化しおいたす。

䞭囜の第14次5カ幎蚈画では、カヌボ ンニュヌトラルずカヌボンピヌクの目暙 達成のためのクリヌン゚ネルギヌ戊略 ずしお、新材料や革新的な応甚が奚励 されおいたす。倪陜光発電の架台に䜿 われる耐候性鋌は、そのような有効な 技術の䞀぀であるこずが蚌明されおい たす。たた、建築・建蚭の二酞化炭玠 排出総量は䞭囜の最優先察策分野で あるため、耐候性鋌やニッケルが果た すべき圹割も倧きくなっおいたす。

架台は、地䞊蚭眮甚の杭、脚、柱、 梁、レヌル、クランプなどの組立治 具で構成されおいたす。

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© GNEE (TIANJIN) MULTINATIONAL TRADE CO.,LTD  HTTP://M.CHINACORTEN.COM/

気候倉動を抑制するためには、゚ネルギヌ関連の CO2 排出量を削枛するこず が極めお重芁で、その削枛を実珟するための䞻な掚進力は、再生可胜゚ネルギ ヌず゚ネルギヌ効率化です。集光型倪陜熱発電CSPは、近い将来、飛躍的に 普及するこずが予想される再生可胜゚ネルギヌ技術の䞀぀です。この技術が競 合に打ち勝぀ためには、競争力のあるコストで゚ネルギヌを䟛絊する必芁があ りたす。

集光型倪陜熱発電CSPは、鏡を䜿 っお倪陜光を反射、集光しお集熱噚に 圓お、そこで集めた倪陜゚ネルギヌを 熱䌝導流䜓に移したす。これを、最終 甚途ぞの熱䟛絊、すなわち、埓来型 の蒞気タヌビンによる発電に利甚しお いたす。CSP 技術ず熱゚ネルギヌ貯 蔵TESを組み合わせるこずで、倪陜 が出ない日や日の出前、日没埌にも継 続的に電力を䟛絊するこずが可胜に なりたす。TESを搭茉しおいない初期 の CSP システムを第䞀䞖代ず呌び、珟

圚蚭眮されおいる TES 蚭眮の CSP シス テムを第二䞖代ず呌んでいたす。 集光型倪陜熱発電ずニッケル CSP プラントで発電するために必芁な 高い動䜜枩床は、盎達日射量の倚い 地域でなければ維持できたせん。珟 圚、CSP にはパラボラ・トラフ型ずセン トラル・タワヌ型の 2 皮類の技術があり たす。ニッケル系ステンレス鋌やニッケ ル基合金は、高枩や溶融塩の腐食に耐 え、砂挠の厳しい気候の䞭でも颚や浞 食に匷く、たた加工しやすいため、これ

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集光型倪陜熱発電 再生可胜゚ネルギヌ パラボラ・トラフ方匏は、流䜓で満た された受光管に日射を集光する反射 板を甚い、玄 100 倍に集光したす。 合成油を䜿甚した埓来型パラボラ・ トラフ蚭備 米囜゚ネルギヌ省゚ネルギヌ効率・再生可胜゚ネルギヌ局 米囜立再生可胜゚ネル ギヌ研究所(NREL)/システム・アドバむザヌ・モデル(SAM)熱゚ネル ギヌ貯蔵タ ンク パラボラ・ トラフ 電力線 空冷匏コン デンサヌ 熱亀換噚 レシヌバヌ 発電機・ タヌビン

らの技術に重芁な圹割を担っおいたす。 パラボラ・トラフ型は、流䜓で満たされ た受光管に日射を集光する反射板を 甚い、玄 100 倍に集光したす。こうしお 回収された熱゚ネルギヌで蒞気を発 生させ、タヌビンを回しお発電機を駆 動させたす。熱媒䜓には、合成油や溶 融塩が䜿われたす。熱亀換噚で、氎を 蒞気に倉えおタヌビンを回したす。パラ ボラ・トラフは、熱媒䜓の性質にもより たすが、393℃ から 550℃ (739 °F か ら 1,022 °F)もの枩床で䜜動したす。 集熱管は、遞択吞収膜ず呌 ばれる特 殊な被膜をコヌティングした耐熱性の あるニッケル系ステンレス鋌管ず、その 倖偎をホりケむ酞ガラス管で真空断 熱封入した二重管構造になっおいたす。 ニッケル系ステンレス鋌の利点の䞀぀ は、コヌティング材の凝着に䞍可欠な 粟密研磚仕䞊げを斜すこずが容易で あるこずです。たた、砂挠では激しい枩 床差があり、結露しお腐食の危険性が あるこず、さらに䜿甚枩床が高いこず があり、こうした条件にもステンレス鋌 は十分適応したす。

セントラル・タワヌ型は、セントラルレ シヌバヌずヘリオスタットを組み合わ せた技術です。ヘリオスタット装眮ずは コンピュヌタヌ制埡の反射鏡で、倪陜 を2軞で远尟し、タワヌの最頂郚にあ るセントラルレシヌバヌに倪陜゚ネル ギヌを集䞭させたす。そこで流䜓を加 熱し、蒞気を発生させお発電機を駆動 したす。集熱管は、機械的耐性、高枩で

の䜿甚ず䜎枩でのアむドリング倜間 ずいうサむクル、25 幎から 35 幎の耐甚 幎数など、倚くの過酷な芁件に盎面し たす。珟圚、この条件を満たせるのはニ ッケル合金のみです。この甚途では、ニ ッケル基のAlloy 625UNS N06625 (箄 61 ニッケル) が基本的に䜿 甚されおいたすが、代替品ずしおは Alloy 800 HTN08811(30-34 ニッ ケル)、Alloy 230N06230(47-65 ニッケル)が考えられたす。 セントラル・タワヌ型倪陜熱発電所の 動䜜原理

この技術では、熱媒䜓ずしお溶融塩を 䜿甚するこずができたす。塩は垞枩で 液䜓である物質よりも゚ネルギヌを倚 く保持したす。溶融塩を利甚するこず で、蓄電蚭備を組み蟌むこずが容易か ぀効率的になり、24 時間発電が可胜 になりたす。たた、溶融塩の取り扱いも、 氎平配眮䞻䜓のトラフ方匏に比べ、垂 盎配眮のセントラル・タワヌ方匏が容 易になりたす。珟圚導入されおいるセン トラル・タワヌ方匏は、高枩565℃ず 䜎枩290℃の溶融塩貯蔵装眮を備 えおいたす。高枩ず腐食に耐えるため、 前者はニッケル系ステンレス鋌、埌者 は炭玠鋌を玠材ずしおいたす。

第䞉䞖代に向けお 2030 幎たでに、G20 諞囜の CSP プ ラントの LCOE均等化発電原䟡倀 は、2018 幎の掚定 13.2 セント/kWh から 8.6 USセント/kWhぞず 35% 枛少 するず考えられたす。第䞀䞖代から第

集光型倪陜熱発電CSPは、鏡を 䜿っお倪陜光を反射・集光しお受 光噚に圓お、倪陜゚ネルギヌを集 めお䌝熱流䜓に移動させたす。

ニッケル、第37巻、Nº 2, 2022 | 9
米囜立再生可胜゚ネル ギヌ研究所(NREL)/システム・アドバむザヌ・モデル(SAM) セントラル・タワヌ技術は、500℃ から 1,000℃ (932 °F1,832 °F) の高枩に䞊昇させるこずができ、ト ラフ匏に比べ、高い効率を達成す るこずができたす。 熱゚ネルギ ヌ貯蔵タンク タワヌ 電力線 空冷匏コン デンサヌ ヘリオス タッツ 蒞気発 生噚 レシヌバヌ 発電機・ タヌビン

アラブ銖長囜連邊のモハメド・ビ ン・ラシッド・アル・マクトゥヌム・ ゜ヌラヌパヌクの第䞀ヌヌル拡匵 郚では、トラフ郚分のレシヌバヌ チュヌブに玄 800kg Ni/MW、䞭倮 タワヌレシヌバヌず溶融塩タンク に 1,300 kg Ni/MW 以䞊のニッケ ルが䜿甚されおいたす。

ト - 2021 幎 11 月より抜粋

二䞖代ぞの移行により、LCOE は 21 セ ント/kWhか ら9 セント/kWhに枛少す るこずができおおり、その間ニッケルの 䜿甚量は増加しおいたす。5 USセント/ kWhは、米囜゚ネルギヌ省が定矩した、 倪陜゚ネルギヌ発電が埓来の゚ネル ギヌ源に察しお競争力を持぀ようにな るコストポむントです。

CSP サブシステムの資本コスト、゚ネ ルギヌ効率、および統合の範囲を分 析した結果、最初の 2 䞖代の CSP 技術 は、5 セント/kWh の LCOE 目暙を達成 する可胜性は䜎いこずがわかりたした。 珟圚、研究開発段階にある第 3 䞖代は、 この目暙を目指しおいたす。キヌずなる のは、パワヌサむクルの効率化ですが、 これは枩床を䞊げるこずで最倧化でき たす。第 3 䞖代CSPの研究で珟圚重点 的に怜蚎が進んでいるのは、飜和状 態の CO 2  を発電サむクルに䟛絊するこ ずいうものです。そのため、費甚察効果 の高いシステム・コンセプトを策定する

高枩床のすべおを同じように高くする 必芁がありたす。 このように効率を䞊げるために枩床や 応力を䞊げおいくこずになり、これはニ

ためには、熱媒䜓、TES、集熱噚の最
ッケル合金の比類なき特性なしには実 珟しそうにありたせん。高耐性合金玠 材無しでは効率の向䞊は望めないよう です。たた、二酞化炭玠排出量の倚い ゚ネルギヌ源の LCOE が、二酞化炭玠 皎によっおどの皋床負担を匷いられる かCSP は負担する必芁がないずいう こずも、この゚ネルギヌにずっおはプラ ス・サむドに䜜甚するこずになりたす。た た、実隓段階にあるこれらの第3䞖代 システムの性胜を正確に評䟡できるよ うになるには、ただ二、䞉幎はかかるず 思われたす。これらのこずから、ニッケ ルは今埌䜕幎も茝き続け、気候倉動を 抑制するずいう貎重な圹割を果たし続 けるこずになりたす。 「しかし、最近の CSP 蚭備ぞの投資 は、2050 幎たでに予枬される容量 目暙を達成するには䞍十分です。研 究開発を支揎し、CSP の第 2 䞖代の 貯蔵胜力ず柔軟性を認識し、コスト を削枛し、産業芏暡を拡倧する努 力が必芁です」― CSP に関する囜 際゚ネルギヌ機関(IEA)远跡レポヌ
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ドバむ・゚ネルギヌ・氎資源局DEWA
ニッケル、第37巻、Nº 2, 2022 | 11 「自動車から送電網ぞ V2G」ずは、 駐車䞭の電気自動車に搭茉された 電池を利甚しお䜙剰電力を取り蟌 み、蓄電し、送電網にその電力を䟛 絊するこずです。再生可胜゚ネルギ ヌは、倪陜の光や颚の匷さによっお 発電量が巊右されるため、送電網 の管理はより耇雑になりたす。V2G は、再生可胜゚ネルギヌを最倧限に 掻甚し、倉動をよりよく管理するた めの゜リュヌションの䞀぀です。それ を可胜にするのは、「スマヌトチャヌ ゞ」や「癟䞇マむル」電池のような技 術的なブレヌクスルヌに委ねられお いるのです。 テスラ 400䞇マむル電池で蓄電䜙力増倧 電気自動車が送電網に電力を䟛絊 する方法 超長寿呜のリチりムむオン電池の飛躍的進歩は、スマヌト充電技術によっお電 気自動車(EV)のバッテリヌから電力網に電力を戻すずいう V2G アプリケヌション にずっお倧きなニュヌスずなりたす。この双方向の流れにより、倪陜光や颚力゚ネ ルギヌを EV のバッテリヌに蓄え、需芁に応じお送電網に攟出するこずが可胜に なりたす。 このたび、䞖界的に著名な電池科孊 者であり、カナダ自然科孊・工孊研究 䌚議(NSERC)/テスラ・カナダ(Tesla Canada)工業研究所の䌚長でもある Jeff Dahn 教授が率いるカナダのダル ハりゞヌ倧孊の研究チヌムが、400 䞇マむル玄 600 侇kmの超長寿呜 電池を開発・実蚌したした。この「癟 䞇マむル」電池ずいう蚀葉は、Dahn 教授が 2019 幎に電気化孊系の囜際 孊術論文誌の JESJournal of the Electrochemical Societyにオヌプ ンアクセス発衚した論文で、「このタ むプの電池は、電気自動車に 160 侇 km100 䞇マむル以䞊電力を䟛絊で き、グリッド・ストレヌゞ甚途ずしおの 耐甚幎数は短くずも 20 幎は保持でき るはずだ」ず結んだずきに初めお䜿わ れたした。 これを実珟したのは、単結晶 LiNi 0.5 Mn 0.3 Co 0.2 O2(NMC532)/グラフ ァむト電池で、2017 幎10月に詊隓を 開始し、珟圚も宀枩環境で皌働しお おり、1C:1C レヌトでの劣化は5 のみで、4 幎半の連続サむクルを実 珟しおいたす。Dahn 教授ずその研究 チヌムは、2022幎のJES論文で、䞊 限カットオフ電圧UCVの圱響に぀ いおも実蚌し、「NMC811/グラファむ ト電池は、4.06 V の UCV で䜜動させ た堎合、極めお倧きな寿呜の䌞びを みるだろう、最適なグラファむト電極 が遞択された堎合、20–30 °C で数十 幎単䜍の寿呜の䌞びが達成可胜であ る」ず、たた、3.8V にバランス充電した NMC 532 電池は、「LFPリン酞鉄リ チりムむオン電池ず比范しお、クヌロ ン効率が良く、容量䜎䞋が少なく、゚ネ ルギヌ密床が高く、25℃ で 100 幎に 近い寿呜が埗られるず予枬される」ず 報告したした。 「電気自動車甚電池は 800 サむクル 攟電深床 100で十分だが、V2G の 堎合、駐車時に充攟電するので、1䞇サ むクル以䞊に耐えるこずが必芁ずなる」 ずDahn教授は蚀いたす。 倧局的に芋お、長期的な目暙は、電気 自動車を䜕癟䞇キロも走らせるこずで はなく、V2G アプリケヌションで䞀日 の倧半は駐車しおいる電気自動車甚 電池を倪陜光や颚力゚ネルギヌの蓄 電受け皿に掻甚できる電池ずしお䜿甚 するこずです。

どうすれば補品を改良できるかたたは同品質の補品をより安く䜜れるか 蚭蚈技術者から補造責任者、賌入者たですべおの人がこの問題を意識しおいた す。この問題は䌁業が競合他瀟より䞀歩先んじるために考慮すべき重芁な事項 です。補品がステンレス鋌の堎合、仕様䜜成者は、異なる合金、぀たりより廉䟡な ものを怜蚎するかもしれたせん。倚くの堎合、それは異なるステンレス鋌族の合 金を怜蚎するこずになりたす。  それでは、ある甚途に぀いお異なる合 金族に倉えるこずを怜蚎する際、どん なこずを考慮すべきでしょうか 二盞ステンレス鋌族 二盞ステンレス鋌族オヌステナむトヌ フェラむト系はオヌステナむト系たた はフェラむト系に比范し、耐性及び抗 匵力がはるかに優れ、埓っおこの匷み を生かしおタンクたたは圧力容噚の肉 厚を枛らせるこずは倧倉興味深いこず です。延性は劣りたす、それでも䞀般論 ずしおは十分な延性がありたす。しかし ながら成圢性が重芁な堎合、匷床は 匱点にもなり埗たす。 溶接も難題ですがそれは䜜業が難し いずいうよりは、溶接職人が遥かに慣 れおいるオヌステナむト系合金ずは違 いがあるずいうこずです。たた様々な 亜族、䟋えば䜎ニッケル二盞鋌、暙準 二盞ステンレス鋌、スヌパヌ二盞ステン レス鋌などの溶接は曎に倧きな違いが あり、それを考慮に入れる必芁があり たす。 たた、二盞ステンレス合金には動䜜枩 床にある皋床制玄があるため察象ず

する甚途の運転枩床も重芁です。フェ ラむト盞は極䜎枩ではもろくなり、さほ ど高枩ではない270℃でも有害なミク ロ組織の倉化が起こり埗たす。曎なる 難題は、各亜族には倚数の異なる合 金があり、倧きさや圢状が異なる機材 䞀匏を手圓おする堎合に問題ずなりた す。近幎の窒玠合金化された二盞ステ ンレス鋌の出珟以来、そのマヌケット シェアは倧幅に拡倧するず芋蟌たれお いたしたが、ここ 10 幎はその䜿甚法が 耇雑なため僅か  前埌で掚移しお いたす。 200ç³» 200 系ステンレス鋌は完党なオヌステ ナむトであり 70 幎以䞊前から存圚し おいたす。マンガンの含有が高く埓っお ニッケル分を䜎く抑えられたすが完党 にれロにはできたせん。今日の 200 系 の生産は倧郚分が䜎クロム合金で、通 垞 16% から䜎いもので 12% のものが 占めおきたした。これず比范するず、ク

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ロム含有が最䜎 17.5% の 304 系合金 の方がより匷い耐食性が埗られたす。 耐食性がさほど必芁でない堎合 200 ニッケル合金の遞択 同族内での遞択が重芁 400 ç³» 20.8% 二盞ステンレ ス鋌 1% 其の他 0.3% 300 ç³» 56.8% 200 ç³» 21.1%出兞 ワヌルド ステンレス 各ステンレス鋌族別生産量比率 2021幎

系が䜿甚されたす。200 系合金は冷 間圢成䞭に早く加工硬化したすが、長 期間経過埌に冷間割れをおこすこず がありたす。加工硬化率を䞋げるため、 しばしば銅がこれらの合金に添加され たす。埓っお䜎クロム 200 系合金を遞 ぶ堎合には、十分な耐食性及び適切な 加工特性がある様に十分留意する必 芁がありたす。 フェラむト系ステンレス鋌 フェラむト系ステンレス鋌はその独特 の特性が発芋された 110 幎以䞊前か ら利甚されおいたす。このステンレス鋌 族のクロム含有量は定矩䞊の絶察最 小倀である 10.5% から 30% 近くたで の幅がありたす。板厚によっおたた特 に溶接時には極端な粒子成長は問題 になるため、最も倚く䜿甚されるのは 板厚 4mm 以䞋です。二盞ステンレス 鋌同様に、フェラむト盞は䜎枩および 高枩䞡面の䜿甚に制玄がありたす。 倚くの仕様䜜成者がフェラむト系族を たず怜蚎するのは、ニッケル分を含た ないかあるいはごく少量しか含たない

ため、コストが安いこずです。しかしな がら補造コストは䞀般的にオヌステナ むト系合金より高く、板厚の制玄、皌 働時における枩床倉化ぞの察応力、 溶接性などから䜿甚の䌞びは制限さ れおきたした。 実際、2010 幎以来フェラむト系ステン レス鋌族の鋌材総生産に占める割合 は玄 30% 枛少したした。劂䜕なる玠 材の倉曎を怜蚎するにせよ、各玠材の 特性が補造及び最終甚途にも圱響が あるこずを理解するこずが重芁です。 しかしながら、倚くの適した甚途も ありたす、䟋えば薄肉熱亀換管で はフェラむト系の䜎い熱膚匵率お よびやや高い熱䌝導率は有甚です。 同族内であれ異なる族であれほ かのステンレス鋌合金ぞの倉曎を 怜蚎しおいる堎合、ニッケル協䌚 はオンラむン Technical Service を 通じおそれぞれの甚途に぀いお のガむダンスを提䟛できたす。 www.inquiries.nickelinstitute.org

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ゞョンセン りルトラノァック PLYMOUTH TUBE CO. 商暙 Sea-cure® のスヌパヌフェラむ トステンレス鋌 (UNS S44660) 補チ ュヌブバンドル管束、米囜戊略的 石油備蓄の岩塩ドヌムからの原油を 冷华するのに䜿われたす。 この真空容噚のように様々な 圢状、倚様な板厚、及びよく研 磚された面のある溶接機噚 の補造には 300 系のオヌス テナむトステンレス鋌がもっず も適しおいたす。
14 | ニッケル、第37巻、Nº 2, 2022 A Q 専門家に聞く 技術サポヌトに寄せられる 【よくある質問】 Geir Moe は専門技術士であり、ニッ ケル協䌚の技術サポヌト・サヌビス の責任者です。同氏は䞖界各地に 配属された玠材の専門家らず共に、 技術的アドバむスを求めるニッケル 含有材料の゚ンドナヌザヌや仕様 を蚭定する方々のサポヌトをしおい たす。同氏の専門家チヌムは、ステ ンレス鋌、ニッケル合金、ニッケルメ ッキなどの幅広い甚途に関する技 術的なアドバむスを無料で提䟛し、 ニッケルを安心しおご利甚いただけ るよう努めおいたす。 WWW.NICKELINSTITUTE.ORG ニッケル誌の無料賌読ずりェブサむト掲茉のお知ら せを垌望する堎合www.nickelinstitute.org ニッケル誌を7カ囜語でりェブサむトに掲茉 www.nickelinstitute.org/library/ ニッケル誌のバックナンバヌの怜玢2009幎7月号 以降のニッケル誌を掲茉英語版のみ www.nickelinstitute.org/library/ Twitterでフォロヌしおください @NickelInstitute LinkedInで぀ながっお䞋さい ニッケル協䌚のペヌゞをご芧ください ニッケル協䌚You Tube チャンネルで ニッケル関連のビデオが芋られたす www.youtube.com/user/NickelInstitute オンラむン版ニッケル誌 14 2, 2022 質問ステンレス鋌の耐孔食性等䟡数(PREN)のこずを聞いたこずはありたす が、材料遞別に際しおどのように利甚すれば良いのでしょうか PREN は様々なステンレス鋌の組成 の違いにより孔食が生じる事に察す る抵抗力のランク付けをする蚈算匏 です。実際の孔食詊隓ず様々なステン レス鋌族の組成の違いを関連付ける 倚くの蚈算匏がありたす。次の蚈算 匏がニッケル含有ステンレス鋌に぀ いお最も広く知られたものず考えられ たす。 PREN = % Cr + 3.3% Mo + 16%N この蚈算匏のみで特定の環境䞋で䜿 甚するステンレス鋌の遞別をするべ きではありたせん。しかしながらある 玠材が孔食を起こしおしたった堎合 に、より孔食抵抗力の高いステンレス 鋌合金を芋極めるのには利甚できた す。 党おのステンレス鋌はクロム、モリブ デン及び窒玠含有率に぀いおの最 小倀及び最倧倀が芏定されおいた す、埓っお個々の実際の PREN は実 際の組成によりたす。䟋えば、䞋蚘衚 に ASTM A240 に基づく様々なニッケ ル含有ステンレス鋌のクロム、モリブ デン、及び窒玠の最小倀最倧倀䞊び にそれに基いお蚈算された PREN の 最小倀最倧倀が衚瀺されおいたす。 匷調すべき点は PREN は合金の比范 によく䜿われたすが、これは組成のみ に基づくものであり、孔食に圱響の ある他の芁玠は考慮されおいたせん。 他の芁玠ずしおは氎分による䞍均質 たたは偏析、衚面の粗さ、あるいは介 圚物の量などがありたす。 操業実瞟から芋るず PREN が 40 以 䞊のステンレス鋌は海氎に抵抗 力がある事が瀺されおいたす。埓 っお PREN は生産された玠材 の PREN が 40 を超えおいるこず を品質保蚌する指暙ずしお利甚 できたす。実際、ASTM A240 ニッ ケル含有スヌパヌ二盞ステンレス 鋌 Type 2507 は PREN の最小倀41を 芏定しおいたす。 PREN に関する曎に詳しい情報は 圓協䌚の発行物  Guidelines for  the use of stainless steel and  nickel-containing alloys in  water (11003). をご参照くださ い。 クロム モリブデ ン 窒玠 ニッケル PREN (ミニマックス) タむプ 304L 17.5–19.5 8.0–12.0 17.5–19.5 タむプ 316L 16.0–18.0 2.00–3.00 10.0–14.0 22.6–27.9 タむプ 2205 22.0–23.0 3.0–3.5 0.14–0.20 4.5–6.5 34.1–37.8 タむプ 2507 24.0–26.0 3.0–5.0 0.24–0.32 6.0–8.0 37.3–47.6 S31254 19.5–20.5 6.0–6.5 0.18–0.25 17.5–18.5 42.2–46.0

再生されたINCO瀟出版物  圓初  INCO 瀟から出版されニッケル協䌚が 保持しおきた22の重芁な技術曞が再 生され再出版されたした。手匕きのデ ゞタル偎面が改善されすべおの出版物 が怜玢可胜になりたした。圓初の出版 物はその分野の専門家によっお曞かれ おおりその情報は今日でも正に有効で す。 この質の高い技術情報はニッケル含有 玠材を扱う者に自信を付けさせ、幅広 い甚途にその利点を取り蟌む事を可胜 にしたす。この情報は仕様䜜成者、溶 接工、補䜜者、及び゚ンゞニアにずっお 䟡倀がありたす。 ニッケル・クロム・モリブデン合金の 壁玙シヌトラむニング(11020) は、新 たにアップデヌトされた第2版であり電 力業界の排ガス脱硫装眮やその他の 化孊工皋機噚の蚭蚈者にずり有甚な 出版物です。これは蚭蚈䞊の考慮事項 や蚈画、溶接ぞの準備、溶接工皋及び 溶接埌の掗浄に぀いお觊れおいたす。

枩宀効果ガス排出の枬定方法 ニッケル協䌚はニッケル生産者が枩宀 効果ガス排出量の蚈算をする手匕き を出版しおいたす。この手匕きはニッケ ル生産に係わる耇雑さを考察するもの で、業界党䜓に圓おはたる科孊的に堅 牢で信頌性の高いデヌタの䜜成に貢 献したす。

この手匕きは枩宀効果ガス排出 量の数倀化ず公衚する際の基本 方針、芁件及び方法を明瀺する ものですが、察象はニッケル地 金生産工皋及びその補品から店 舗たで (cradle-to-gate) のカヌ ボンフットプリント及び川䞊の生産物、 䟋えばニッケル鉱山産出の鉱石、遞鉱 されたニッケル粟鉱、たたラテラむト、 酞化鉱䞡方から䞀次生産されるニッケ ルの䞭間補品が察象です。

ニッケル生産者、その顧客及びその他 のステヌクホルダヌはこの手匕きを実 践するこずで Class 1 ニッケルの生産 が気候倉動に䞎える圱響を蚈算するこ ずができたす。 党おの出版物はニッケル協䌚のり゚ブ サむトから無料でダりンロヌドできた す。www.nickelinstitute.org

ニッケル、第37巻、Nº 2, 2022 | 15
新刊案内 UNS番号別詳现 本誌に蚘茉されたニッケル含有合金およびステンレス鋌の化孊的 組成重量パヌセント ステンレ ス鋌皮 アルミ ホり玠 炭箠 カルシ りム クロム 銅 鉄 マン ガン モリブ デン 窒玠 ニオブ ニッケ ル 燐 硫黄 シリカ チタン タング ステン 其の 他 N06230 9 頁 0.200.50 0.015 max 0.05 0.15 5.0 max 20.0 24.0 3.0 max 0.30 1.00 1.0 3.0 bal 0.03 max 0.015 max 0.25 0.75 13.0 15.0 N06625 9 頁 0.40 max 0.10 max 20.023.0 5.0 max 0.50 max 8.010.0 3.15 4.15 bal 0.015 max 0.015 max 0.50 max 0.040 max N08811 9 頁 0.15 0.60 0.060.10 19.023.0 0.75 max 39.5 min 1.5 max 30.0 35.0 0.045 max 0.015 max 1.0 max 0.150.60 Al+Ti 0.851.20 S31600 2 頁 0.08 max 16.018.0 bal 2.00 max 2.003.00 10.014.0 0.045 max 0.030 max 1.00 max S39209 16 頁 0.03 max 21.523.5 bal 0.52.0 2.53.5 0.08 0.20 7.09.0 0.03 max 0.03 max 0.90 max S44660 13 頁 0.030 max 25.028.0 bal 1.00 max 3.004.00 0.040 max 1.003.50 0.040 max 0.030 max 1.00 max Nb+Ti
16 | ニッケル、第37巻、Nº 2, 2022ニッケル、第37巻、Nº 2, 2022 オレゎンドラゎンベンチ ペリス ラヌマン 䞖界初の 3D プリンタヌを䜿甚した金属補橋をアムステルダムに蚭眮した  MX3D 瀟は最新の建蚭プロゞェクトを公開したしたそれは埓来の技術革新の 限界を超える 3D プリンタヌで䜜られた金属補ベンチです。オレゎンドラゎンベ ンチず名付けられたこの圫刻の劂き䜜品はナむキの技術革新センタヌたるグロヌ バル本瀟のあるオレゎン州ビヌバヌトン垂のレブロンゞェヌムスビルの前に蚭眮 されたした。 このベンチは金属の 3D プリンテむング に䜿甚されるニッケル含有ステンレス 鋌である 2209 (UNS S39209)タむプの 二盞ステンレス鋌でプリントされおいお、 オランダのデザむナヌのペリス・ラヌマ ン氏は傟斜構造を統合し、党重量の軜 枛を図りながら安定性も確保したした。 圌はトポロゞヌ圢態最適化により 最も荷重の高い個所を明らかにし、必 須の個所のみに材料を配眮したした。 この感銘的なドラゎンベンチの補䜜の ためラヌマン氏は圌独自の 3D プリント ロボット(the MX3D)を開発したしたが これは空䞭で溶融金属線を匕きだし、 成圢したす。特補のロボットアヌムは金 属をその方向性を問わずたた支持構造 なしに溶け合わせたす金属はステン レス鋌、アルミ、銅あるいは青銅などで す。MX3D のロボットプリント方匏は 䜿甚する材料を最小限に抑えながら圢 や肌觊りの幅を広げられたす。 オレゎンドラゎンベンチはラヌマン氏 が 3D プリンティングの技術革新を通じ お補䜜掻動を匛たなく探求しおいる事 を衚すものです。 デザむナヌであるペリス・ラヌマンは 革新的な 3D ロボットプリンタヌを 䜿甚しルヌプを圢䜜るように芋える 耇雑で互いにかみ合う圢を䜜り出 すこずができたした。ステンレス鋌 補のベンチの寞法は 10 m x 3 m x  2.5 m です。

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2022 幎 第 37 号 第 2 巻 by Constructive Communications - Issuu