Ecolo Magazine: Life with workshop

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LIFE with “WOR KSHOP” アルれンチンの DIY スピリット

写真石塚元倪郎 文numa 構成石田゚リ コヌディネむトMejunjeBuenos Aires、 Monica KogisoParana協力カタヌル航空

私 たちの暮らしおいる高床な産業 瀟 䌚 で は、 経 枈 ず は 〝 䜓 に ず っ

おの血液のような存圚〟ずみなしおい る。 個 人 的 な 幞 せ に ぀ い お も、 財 政 再 建 や震灜埩興ずいう喫緊の課題を前にしお も、「 経 枈 を 抜 き に は 考 え ら れ な い 」 ず 結論づけられるこずがほずんどだ。 い た、 力 匷 い 血 液 の 流 れ が ス ト ッ プ し おしたわないかず、 䞖界䞭がやきもきし おいる。 ペヌロッパを䞭心に悲芳的な事 態は進行しおいお、 日本が次の順番かも しれないそうだ。 瀟䌚の安定のため䞀定 の 犠 牲 を 払 う こ ず に 異 論 は な い け れ ど、

かりをこの先も繰り返すのは正しいのだ

「 成 長 」 や「 発 展 」 を 前 提 ず し た è­° 論 ば

ろうか 幎にデフォルト債務䞍履行 を 匕 き èµ· こ し、 囜 家 ず し お 無 侀 文 の 再 出 発を匷いられたアルれンチンは、 厩壊の 意味を逞しく解釈した人間がひしめいお い る。 掻 発 な ゲ リ ラ 郚 隊 の よ う に åž‚ 民 は 各 地 で 実 甹 的 な ワ ヌ ク シ ョ ッ プ を 展 開、 生掻を建お盎すセヌフティネットを匵り å·¡ ら せ た。 珟 圚 の ブ ã‚š ノ ス ア ã‚€ レ ス に は、 日垞生掻を自分の手で再構築するた めの手段で溢れ返っおいるずいう。 嫉劬 す る ほ ど 自 由 な 発 想 ず、 ポ ッ プ な ア ã‚Š ト プ ッ ト の 数 々。 そ の äž­ に は、 こ れ た で 私 たちが捚おられなかった経枈芳念を解き ほどくヒントがあるかもしれない。

042 043

2 0 0 1


1

2

3

日垞的な廃材をもキュヌトに アレンゞするアヌティスト

Mejunje

メフンヘ

メフンヘはフリアン右ずメルセデス巊 ずいうアヌティストによるナニット。牛乳 パックや猶など、日垞的に身近にあるものを 䜿ったオブゞェを制䜜する。「きっかけは、 二人が恋に萜ちたこずかな」。メフンヘのモ ノづくりはリサヌチ、孊習、むンタビュヌが 1. 2010 幎にメフンヘは子䟛たちを集めお、ティヌピヌ北米先䜏民の移動匏テント䜜り、実際に泊たるずいうワヌ クショップを行った。2. ブ゚ノスアむレス垂内の本屋さんで行ったむンスタレヌション。䞻な玠材は路䞊に捚おられお いた家具や絵画。3.「Masa de Trabajo」はテヌブルや料理噚具から䜜りはじめる、野心的な食のワヌクショップだった。

り゚むトを占める。「䜜り方を知るうちにク リ゚ヌタヌを尊敬できるし、䜜品に察する愛 おしさも生たれる」。ふたりにずっおデザむ ンはさほど重芁でない。「生掻する力を取り 戻すこず。コントロヌルから自由になるこ ず。それがいちばん倧切だず思う。手䜜業に こだわっおいる理由はそこにあるんだ」

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本奜きに愛される アナヌキヌなブックショップ

Mario Bocchicchio, Sergio Brauer & Sergio Subero マリオ・ボッチッチオ、セルヒオ・ブラりアセルヒオ・スベロ

ちょうどこの日は本䜜りのワヌクショップ䞭。アヌトに文 孊、料理、写真などの本を貞出、たたは販売する。ブック フェアやむンタヌネットを利甚し、ブ゚ノスアむレスでは 貎重な曞籍や自費出版を倚数取り扱う。コンセプトは「自 分な奜きな本を」で、リク゚ストに応じお欲しい本を探し おくれる。貞本ず販売本の品揃えは異なるが、販売甚の本 でもお金がなければ借りられる。店舗の倖壁を利甚しお䞊 映も行っおいる。「映画も面癜いけれど、家で眠ったたた の叀いフィルムを鑑賞できる機䌚になったらいいなず思っ お。家族の蚘録のような個人的なものも倚いよ」

ワヌクショップ甚のスペヌスを

川のほずりに

朚の玠晎らしさを子どもたちに

自䜜したゞュ゚ラリヌ

秘密のガレヌゞを持぀船倧工

䌝えるカヌペンタヌ

Rita B Hampton & Jimena Ríos

Guillermo del Papa

Gonzalo Arbutti

リ タ・B・ハンプトンゞメ ナ ・ リ オ ス

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ギ レ ル モ・デル・パパ

ゎンサロ・アルブッティ

ラプラタ川に面したブ゚ノスアむレス郊倖の

昔は食料品店だった店を改築しお、ふたりの

「ゞュ゚リヌ䜜りは孀独な䜜業だから、ふた

ティグレずいう保逊地は、DIY 粟神をはぐ

線集者ず䞀緒に OTERO ずいうスペヌスを運

りの方が楜しいず思っお」ず語るリタずゞメ

くむための堎所。川の入り組むデルタは利䟿

営するゎンサロ。オヌダヌ家具䜜りで生蚈を

ナは、2010 幎に「Taller Eloi」ずいう名で共

性が䜎く、蟲䜜業も倧工仕事も自分でこなす

立お぀぀、朚のパズルや玩具を制䜜する。も

同䜜業を始めるず、たずは街に出お捚おられ

のが圓たり前。䞭でも船倧工のギレルモぱ

ずもず子どものためにはじめたずいう家具䜜

た棚やランプを拟い集め、䜜業机も自ら䜜っ

キセントリックだ。䞀䞖玀前のガレヌゞを圷

りのワヌクショップは、昚幎から倧人向けの

た。展瀺䌚も販売も行えるようにし、週に䞀

圿ずさせる広い仕事堎で、クラシックカヌや

クラスがスタヌト。「自分でも驚いたのだけ

床開くワヌクショップ甚のスペヌスも手䜜り

叀いタンゎのレコヌドず蓄音機に囲たれ仕事

ど、りェむティングリストには名前がびっし

で仕䞊げおしたった「もしもアトリ゚ぞ来る

をしおいる。驚くこずに圌は屋号も䜏所も持

り。倚くの人が DIY を必芁ずしおいる。モ

なら、事前に予玄したほうがいいわ。慌おお

たない。「自䜜のカダックを挕ぐ。するず新

ノがどのようにできるのか芋たこずがないか

掃陀する時間が必芁だから」

たな泚文が来る。宣䌝費はかからないよ笑 」

ら、みんな知りたいず思っおいるんだ」

Taller Eloi タゞェヌル・゚ロむ

ティグレぞのアクセス

Otero オテロ

☎ 11.2050.1631

レティヌロ駅からミトレ線で、ティグレ駅䞋車玄

Otero 299, Villa Crespo, Buenos Aires

Londress 4293, Agronomía, Buenos Aires

50分。駅からすぐに遊芧船乗り堎があり、クルヌ

☎なし http://www.facebook.com/otero299

http://www.tallereloi.blogspot.com/

ズツアヌでティグレの家䞊みが䞀望できる。

Cobra Libros コブラ・リブロズ Aranguren 150, Caballito, Buenos Aires ☎なし http://www.cobralibros.com.ar/

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ダンボヌルをペむントしお

販売よりも修理に呜を懞ける

本を䜜るパブリッシャヌ

アナヌキヌな自転車ショップ

Miriam Merlo & Ricardo Piña

Santiago Oliver

ミリアム・メルロリカルド・ピニャ

「ダンボヌルを再利甚した事業は、䞖界各地 で流行しおいる。南米には出版業が倚く、近 隣囜ずは流通関係にあるんだ」。その倚くが 貧困局だったずいう 10 人で運営されおいる 出版瀟「Eloisa Cartonera」は今幎で 10 呚幎。 垂堎䟡栌の 6 倍でダンボヌル収集人から買い 取り、印刷以倖はすべお手䜜りにお補本。毎 月 200 タむトルを発刊し、その䞭には人気䜜 家の同意のもず発売される新䜜もあるずい う。次なる目暙は、䜜家たちが創䜜掻動に没 頭できるレゞデンス䜜り。すでに土地賌入枈 みずいうから本気のようだ。その理由を尋ね るず「出版業界の未来を考えおの決断だよ」

サンチアゎ・オリべル

建物の䞭庭に面したショップは、倖から䌺い 知るこずができない。基本的に新品は眮か ず、足りないパヌツはむンタヌネットを駆䜿 しお地球䞊のどこかから取り寄せる。顧客ず の話し合いで䜜られる幎間玄 200 台の自転車 は、すべお違うものに仕䞊がるずいう。しか し、サンチアゎが熱を入れるのは販売以䞊に 修理だ。「玄 2 0 幎前だったけど、僕はアルれ ンチンで最初のバむクメッセンゞャヌだっ た。それからずっず生き甲斐。僕の自転車を 欲しがる人が埌を絶たないけど、こう蚀うん だ。『絶察に売らない。ただし、君の自転車 を同じくらいカッコよくリペアできるけ ど』」 Born In Garage ボヌン・むン・ガラヌゞ

Eloisa Cartonera ゚ロむザ・カルトネラ

※䜏所䞍掲茉 ☎ 15.3640.0958

Aristóbulo del Valle 666, La Boca, Buenos Aires

http://www.borningarage.blogspot.com

☎ 15.5586.7084 http://www.eloisacartonera.com.ar

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蚈ロヌプには束がっくりを吊るしお。

リスマス䌑暇を過ごしおいた頃にさかのが

チン人が歎史䞊もっずも惚めなク

た。 茞出産業が息を吹き返したブラゞル経

た分だけアルれンチン補品が割高になっ

を行ったブラゞル補品の䟡栌が割安になっ

匵れるはずだった。 けれども通貚切り䞋げ

傷 で、 ペ ã‚œ は 危 機 に 匷 い 通 貚 で あ る ず 胞 を

ありずあらゆるワヌクショップが

気が぀けば街には

かない』ずなったんだ」

な 状 況 が あ っ お『も う、 自 分 た ち で や る し

経 枈 自 由 化 を 掚 進 し た ア ル ã‚Œ ン チ ン は、 ç±³

り䞀足先に芏制を撀廃し、 垂堎原理による

カンスを楜しんだ。 小泉政暩時代の日本よ

し、 物䟡の高いペヌロッパやアメリカでバ

あ っ た。 街 に 溢 れ る あ ら ゆ る モ ノ を 消 費

政府は囜家の砎産を宣蚀。 固定盞堎制の攟

化。 債務が返枈䞍可胜ずなりアルれンチン

緊急融資を断られ、 金融危機が䞀気に衚面

みの綱である

の察倖債務は

億 ド ル に の が り、 é Œ

お、 åž‚ 民 か ら さ ら な る 反 感 を è²· っ た。 囜 家

が 銀 行 か ら 匕 き 出 せ る 月 額 の 侊 限 を 250 ç±³ ドルに制限するずいう預金封鎖に打っお出

い ほ ど の 資 金 難 に 陥 っ お い た 政 府 は、 囜 民

抌 し 寄 せ る。 す で に 公 務 員 絊 侎 が 支 払 え な

預貯金を匕き出そうず接波のように銀行ぞ

プが人気を博し、 誰もが先生を名乗っおい

倧工から料理たで、 あらゆるワヌクショッ

シェアしお協同する動きが生たれた。 日曜

の 持 ぀ 情 å ± を 積 極 的 に 共 有 し、 ア ã‚€ デ ア を

぀け、 生掻を立お盎す必芁がある  自分

お し た っ た か ら な の だ。 そ れ ら を 再 び 結 び

進歩ず匕き換えにコミュニティが分断され

スを攟棄しおしたった結果なのだ。 技術の

人 び ず は 気 づ く。 珟 代 が〝実 感 の 無 い 時 代〟ず 蚀 わ れ る の は、 手 や 䜓 を 䜿 う プ ロ セ

い る の か を み ん な 忘 れ お し た っ お い た」

繰り返すうちに、 䜕がどのように䜜られお

䜜 る か 再 利 甹 す る し か な い。 け れ ど 消 è²» を

ス を 代 è¡š す る お し ゃ れ な ã‚š リ ア、 パ レ ル モ

「ガ ラ ク タ」 ス ペ ã‚€ ン 語 で「 ご ち ゃ た ぜ」 を意味するメフンヘの家はブ゚ノスアむレ

え お い れ ば、 新 し い こ ず が 発 芋 で き る」

よ。 自分の隣にあるものにい぀も驚きを芚

ら人の呚りにはい぀も知識が転がっおいる

「 結 局、 人 間 は åžž に 䜕 か を し お い る。 だ か

じみ出た時、 同時に深い愛情も生たれる。

自 然 の 関 係 性、 宗 教 芳、 生 掻 感 が コ ッ プ に

䌝統技術が詰たっおいるず知る。 䜜り手ず

サヌチするうち、 そこにさたざたな知識や

に、 モノに察する知識ず尊敬が深たるずい

ない方が自由な発想が次々ず湧いおくる䞊

ト を 始 め た 頃 に 気 づ い た の は、 お 金 を 䜿 わ

般 的 な 肉 料 理を 䜜 り、 最 埌 に み ん な で 食

で も 自 䜜 し、 友 達 を 誘 っ お パ リ ヌ ã‚ž ャ 䞀

ブ ル ず チ ェ ア、 次 に 鍋 や ガ ス 台、 ç„Œ き 網 た

ショップ「 Mesa de Trabajo 」は〝䜕でも䜜 れ る〟が テ ヌ マ だ っ た。 参 加 者 は た ず テ ヌ

メフンヘが去幎開いたずいうワヌク

る。 垂民は混乱の䞭に攟り蟌たれ、 瀟䌚秩

枈はすぐに立ち盎ったが、 固定盞堎制が足

ドルず自囜通貚の為替盞堎を固定するこず

たほどだった。必芁なのはコヌポレヌト倧

幎代前半のアルれンチンは、 圌らにし お「 バ ブ ル 景 気」ず 蚀 わ せ る ほ ど 勢 い が

らニュヌスを芋おいたよ」ず苊笑する。

れンチン人ずしお恥ずかしい思いをしなが

で、 海倖からの巚額の投資を茞血甚血液の 棄ずペ゜の倧暎萜、 資本の海倖流倱、 ハむ

組織ではなく、 むンディペンデント独立

屋 の あ ち こ ち に 眮 か れ お い た。 や が お 話 は

り、 いろいろな堎所で拟い集めた小物が郚

台が移る。 この時点ではアルれンチンは無

ぞ ず 飛 び 火 し、 や が お 隣 囜 ブ ラ ã‚ž ル ぞ ず 舞

幎に 発 生 し た ア ã‚ž ア 通 貚 危 機 は、 悪質なむンフル゚ンザのようにロシア

にうたく乗車できたのだ。

景 な の だ ろ う。 ダ ン ボ ヌ ル を 利 甹 し た お 店

お は 初 期 èš­ 定 の よ う な、 ご く 圓 た り 前 の 光

んでいる。 ブ゚ノスアむレスの䜏人にずっ

キ容噚を再利甚した鉢怍えが家の軒先に䞊

メフンヘの家にも、 サンチアゎのショッ プにも眮いおあった、 プラスチックのペン

居られなくなる性分なのだ

ボロの自転車を芋かけるず居おも立っおも

殺 行 為 な の だ が、 圌 は 意 に 介 さ な い。 ボ ロ

た。 それも無料で。 みすみす顧客を倱う自

ワヌクショップを開催しおいるこずだっ

が誰も倧統領職を匕き受けたがらない奇劙

「リ ヌ ダ ヌ シ ッ プ を 発 揮 す べ き 政 æ²» 家 た ち

ンヘのフリアンはさらに回想する。

小 し、 危 機 は さ ら に 深 刻 さ を 増 し た。 メ フ

厩れかけた家屋を芆うように絵の具やペむ

さ ら に「奇 劙 な 出 版 業 者 が い る か ら 芗 い おみよう」ず、ボカ地区ぞ立ち寄るこずに。

じように考えおいるず気づいたのだ。

した方が有益だず、 他店も顧客もみんな同

け合えるし、 貎重な本は倚くの人が目を通

た。 競合するよりも共存した方が幞犏を分

圌は理想的なシェアに぀いお暡玢しおい

あ れ ば、 販 売 甹 あ っ お も 貞 し 出 し お い る。

の 䞊、 取 り 揃 え ら れ た 曞 籍 は リ ク ã‚š ス ト が

お 無 料 で 調 達 し あ う 仕 組 み を 構 築 し た。 そ

ネ ッ ト ワ ヌ ク を 䜜 り、 絶 版 本 を 必 芁 に 応 じ

た。 䞍足を補うために圌は本屋さん同士の

戻す決意をした。

チ ン 人 は、 自 ら の 手 で、 倱 っ た も の を 取 り

心。 茞 入 品 に 囲 た れ た 消 è²» 生 掻 か ら 侀 転

づ い た の は、 し ば ら く 経 っ お か ら だ っ た 」

「こ れ が 政 æ²» 的 な 行 為 で あ る ず み ん な が 気

「ダンボヌル出版瀟」ずなった。

れ、 今やブ゚ノスアむレスなら誰もが知る

ア ヌ ト ワ ヌ ク を 担 圓 し お い る。 非 åžž に ク リ

ずもずダンボヌル収集人だったが、 珟圚は

くれた。 話を聞かせおくれたミリアムはも

入れ倀ではなく、 あえお定䟡で買い取っお

お圌らに原皿を手枡した。 垂内の曞店は仕

著 名 䜜 家 た ち が 珟 れ、 著 䜜 æš© を フ リ ヌ に し

め た ず い う。 掻 動 が 広 が る に ぀ れ 賛 同 す る

で曞き手のチャンスを広げる橋枡しをはじ

貧困局を支揎し、 出版の機䌚を広げるこず

そこでダンボヌルを高倀で買い取るこずで

おむンスタレヌションをするふたりだけあ

の は ず れ に あ っ た。 ベ ッ ド ル ヌ ム ず

 囜 際 通 貚 基 金か ら

メルセデスが最近プレれントしたフリアン

の メ ニ ュ ヌ ボ ヌ ド も 芋 か け る し、 雑 誌 の

ントカラヌが掟手に飛び散っおいお、 積み

ずメフンヘは蚀う。 囜にお金がなくなり債

う 事 実 だ っ た。 た ず え ば コ ッ プ に ぀ い お リ

よ う に 流 し 蟌 ん で い た。 冷 戊 埌 に 勢 い を 増 パ ヌ ã‚€ ン フ レ。 お 金 ず い う 血 液 の 埪 環 が 停

の 自 転 車 の こ ず に 移 っ た。 「そ の シ ョ ッ プ

ペヌゞを切っお折り蟌みランプシェヌドの

重ねられたダンボヌルず、 叀がけた印刷機

むレスのちょっず゚キセントリックな 事 情 を 探 る こ ず に し た。

は政 治 的 行 為 でもある

ずいうこずに気づいた 看板もない建物のベルを抌すずロックが 解陀された。 暗い廊䞋をしばらく歩くず地

静寂が嘘のように、 呚囲には色ずりどりの るず必ず有益な情報が返っおくる。

逆 に 䜜 り 方 が 知 り た け れ ば、 所 有 者 に 尋 ね

の眮かれた郚屋、 キッチンずバスルヌムず 小さな庭。 身の回りのものを䜕でも利甚し

務 を 支 払 え な く な る「 デ フ ォ ル ト」は 集 団

゚むティブな仕事ずしお䞖間からも認知さ

トしたダンボヌルの切れ端をカバヌにした

的 ア ã‚€ デ ン テ ィ テ ィ の 瓩 解 を 意 味 す る。 預

äž­ ず い う ブ ッ ク シ ョ ッ プ「 Cobra Libros 」 を 蚪 れ た。 本 の 販 売、 貞 し 出 し の ほ か に 映

土 曜 日 の 倕 方、 ち ょ う ど ワ ヌ ク シ ョ ッ プ

る出版瀟だ。 経枈厩壊以降、 䜜家たちは自

」  は デ フ ォ ル 「 Eloisa Cartonera ト盎埌に誕生した、 ダンボヌルを再利甚す

トロヌルから解き攟たれ、 代わりに小さな

ず 倉 わ っ た。 人 び ず は 結 果 的 に 倧 き な コ ン

フトし、 生掻は自分たちの手で䜜るものぞ

事を刀断するコンテクストは

金 封 鎖 が 解 か れ た ず き、 銀 行 に 残 っ お い た

自信満々の衚情で近寄っおきた。

ã‚€ ク た で 扱 っ お い る。 ナ ã‚€ ヌ ブ 少 幎 の 面 圱

䞻出版を䜙儀なくされた。 䞭流から貧困局

お い た。 「䞖 界 が 厩 壊 し た か ず 思 っ た よ」ず

床シ

ゎンサロが自転車を修理しおいた。こち

円にお賌入した。

1 / 3

圓 時 を 知 る 人 は 肩 を す く め る。 け れ ど も 物

「O t e r o」に到着するず、カヌペンタヌの

1 8 0

玄

金を䜿わなくおも楜しみは転がっおいる。

にたで䟡倀が䞋がっ

い。 パ ヌ ツ を 倉 え お 新 品 以 侊 に す る よ」

「叀 い 自 転 車 が あ れ ば 新 品 を è²· う 必 芁 は な

を 残 す 共 同 経 営 者 の マ リ オ は、 そ の ア ン

ぞ転萜した局が極端に増え、 街を埘埊しお

トップにはビヌル片手の仲間が集う。お

10

倕方、 「Born In The Garage」のルヌフ

P 49

1 8 0

囜民の資産は

お 店 が オ ヌ プ ン し お 幎 半 ほ ど だ が、 サ ンチアゎは新品を販売するビゞネスにあた

ニュむな倖芋ずは正反察の倧胆なプロゞェ

れは、森に分け入っお朚材を集めるため。

ペ゜

り興味を瀺さない。 それよりも、 埋もれお

ク ト を す で に 実 行 し お い た。 経 枈 危 機 以

ガレヌゞには完党に自䜜の䜜業車が。こ

き た「 ã‚š ビ ヌ タ の 生 涯」ず い う 本 を

いる䞭叀車を新しく䜜りかえるこずに執着

船倧工のギレルモは本圓に䜕でも䜜る。

画 侊 映、 è·¯ 侊 ラ ã‚€ ブ、 さ ら に は レ ン タ ル バ

し お い る。 圌 ず 話 し お い お 最 も 驚 い た の

生 掻 力 を 取 り 戻 し は じ め た の だ っ た。

入ったリサむクル品。でも、あれば䟿利。

ダ ン ボ ヌ ル を 収 集 す る 人 の 数 が 激 増 し た。

私たちなら捚おおしたうくらい幎季が

降、 アルれンチンでは本の流通量が激枛し

「Cobra Libros」のレンタルサむクルは、

は、 店 の 䌑 日 を 利 甹 し お 自 転 車 リ ペ ア の

ペむン語ばかりが目に぀く䞭で唯䞀理解で

本が

タ ã‚€ ト ル く ら い 䞊 べ ら れ お い る。 ス

の䞖界に飛び蟌んだアルれン

がものすごくアナヌキヌだから遊びに行っ

よ う な デ コ レ ヌ シ ョ ン を す る 店 も あ る。

が目に飛び蟌んだ。 気の向くたたにペむン

自 転 車 が 䞊 ん で い た。 数 々 の 自 転 車 専 門 誌

スピリットの浞透ぶりは想像以䞊のようだ。

äž­ æµ· 颚 の äž­ 庭 に 出 る。 そ れ た で の 怪 し げ な

で取り䞊げられおいる店䞻のサンチアゎが

P C らもフリヌスタむル。

D I Y

D I Y 50

D I Y

しお

お み よ う」ず い う こ ず に な り、 ブ ã‚š ノ ス ア

に は 知 識 の 亀 換 が 欠 か せ な か ら、

20

ンチンのフリヌスタむルな粟神。

止した巚倧な囜の経枈掻動はみるみるず瞮

。 自囜の先行きに䞍安を芚えた垂民は

11

したアメリカ型のグロヌバルスタンダヌド

で も あ る ア ヌ テ ィ ス ト の メ フ ン ヘ は「ア ル

序 は 厩 壊、 暎 動 ず 略 奪 が 暪 行 し お い た。 生

ロの䜜品。スタむルに瞛られないアルれ

掻必需品は消え、 お金は玙くず同然ずなっ

メフンヘず同じアトリ゚で絵を描くパブ

べ る。 食 ず い う 楜 し い 行 為 を ã‚Œ ロ か ら 䜜 る

折り玙の流行は地球の裏偎にたで。

詊みだった。 圌らが廃材を再利甚したアヌ

のルヌフトップには壁䞀面に折り鶎が。

ミだった。 䜕も売っおいないから、 自分で

自転車ショップ「Born In The Garage」

「 デ フ ォ ル ト 埌 に た ず 泚 目 さ れ た の は、 ã‚Ž

のかに銙る、甘くさわやかな颚味。

、倱業率は

から摘んできおお茶を䜜るメフンヘ。ほ

かせずなったアルれンチンは倧䞍況ぞず突

セむペりボダむゞュの花が咲くず街路暹

入する。 経枈成長マむナス

幎。アルれン

デコレヌションのセンスはさすが。鳩時

た。 囜家の醜態が䞖界䞭に配信される様子

ずの始たりは

メフンヘの自宅は質玠な぀くりだけれど、

を é®® 明 に 芚 え お い る ず い う、 今 回 の 案 内 圹

こ 2 0 0 1 1

050 051

1 3 0 0 I M F

90

1 9 9 8

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パラナ川に寄り添い、 繊现な旋埋を玡ぎ出す音楜家

Carlos Aguirre

メ フンヘ

叙述的で繊现なメロディがコアなラテン音楜ファンの耳に留 たり、2010 幎には初来日公挔を果たしたカルロス・アギヌレ。 哲孊ず矎孊、自然を愛する思想に基づいたサりンドプロダク ションは、埓来のラテンミュヌゞックの垞識を芆す、倚圩な 音䞖界に満ちおいる。旋埋は瑞々しく透きずおり、そしお時 に情熱的なグルヌノを打ち぀ける。ピアニスト、ギタリスト、 ノォヌカリスト、䜜曲家ずいう類い皀なる才胜を持぀アルれ

『Rojo』Carlos Aguirre

ンチンを代衚する鬌才は、南米各地で豪華ミュヌゞシャンず

カ ル ロ ス・ ア ギ ヌ レ 2004 幎 リ リ ヌ ス の 2nd ア

ず も に 録 音 さ れ た、 実 に 4 幎 ぶ り ず い う ニ ュ ヌ ア ル バ ム

ルバム。䞀枚䞀枚手䜜りずいうゞャケットの折り

「Orillania」が 2 月 19 日にリリヌスしたばかり。

重なったブックレットを開くず、月ず倪陜が氎圩で 描かれ、ケヌスには怍物の皮があしらわれおいる。

5 月、来日公挔が決定 カルロス・アギヌレキケ・シネシ ゞャパンツアヌ 2012 珟代アルれンチン音楜を代衚するふたりの偉倧なアヌティスト の 共 挔 が 実 珟。5 月 10 日 よ り 19 日 た で、7 郜 åž‚ 8 公 挔 を 開 催。 www.inpartmaint.com/carlos_quique2012 www.nrt.jp

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最 近は幎に

、

回しか地元では挔

奏しないずいう貎重なラむブを堪

胜した翌日、 街のはずれの川沿いでカルロ ス・アギヌレを埅った。寂れた倉庫が䞊び、

ア を 話 し 合 っ お い る 最 äž­ な の だ ず い う。

さんずふたりで、 リノベヌションのアむデ

本を垞備しおいる家は非垞に倚い

楜園のような空間。 どうしお川のそばがよ

幎前に滞圚し

か っ た の か ず 尋 ね る ず「鳥 の よ う に 川 の 生 態系の䞀郚になりたいず、 そうで、 アルれンチンでは電気や氎道くら

アルれンチンを襲ったずしおも

もしも再び、経枈危機が が 埗 意 な ん で す ね、 ず あなたも 同 意 を 求 め る ず、 圌 は は に か み な が ら

から」ずカルロスは笑いながら付け加えた。

ビスを呌ぶより早いし、 手抜きも工事ない

い は 誰 で も 自 分 で ä¿® 理 し お し た う。 「サ ヌ

「音 楜 は åžž に 手 䜜 り で な く お は い け な い ず

たペルヌで匷く感じたから」ず答えた。

ラ タ 川 を 結 ぶ、 南 ç±³ 有 数 の 倧 æ²³ だ。 し ば ら 思うんだ」

いたでは他人に任せっきりなのだずいう。

パラ゜ルが差された砂浜で日焌けを楜しむ

く す る ず バ ン が æ­¢ た り、 å±± か ら 降 り お き た カ ル ロ ス は 誠 実 に 語 り は じ め た。 挔 奏 技 術 の 良 し 悪 し で は な く、 同 じ 人 生 哲 å­Š を 持

ら手を倧切にするこずにしたんだ。 最近は

「 侀 床、 指 を æ·± く 切 っ お し た っ お、 そ れ か

垂街を貫くパラナ川はむグアスの滝ずラプ

㎞ ほ ど 離 れ た 田 舎 町。

ばかりの瞑想者のような男が笑顔で駆け

ち、 ラむフスタむルの近いレコヌディング

アむレスから

寄 っ お き た。 車 の ナ ン バ ヌ プ レ ヌ ト に 目 を

メンバヌず集い、 尊敬する仲間の意芋に耳

」ず 答 え た。 こ こ に 匕 っ 越 す 前 は

に 積 極 的 に 取 り 組 ん で い た の が、

圌の培底した芞術ぞの哲孊はアヌトワヌ クにも衚れおいる。 やはりカルロスず近い

を å‚Ÿ け な が ら リ ハ ヌ サ ル を ç¹° り 返 す。

ゞャヌをもっお走り回っおいるよ」

腕 を 組 ん で 郚 屋 を 芋 ぀ め る 暪 で、 劻 が メ

自 分 で デ ザ ã‚€ ン し た も の を、 倧 å·¥ を し お い

お組み立おるず家のようになったり、 パラ

ケ ッ ト を 䜜 っ た。 以 降、 ã‚ž ャ ケ ッ ト を 開 い

ゆっくりず理想に近づく暮らしぶりにずお

描 い た 人 生 が す ぐ に 手 に 入 る ず 思 う 反 面、

階に倧きなリハヌサル宀を䜜っお音楜 の ス ペ ヌ ス ず 生 掻 空 間 を 切 り 離 せ ば、 思 い

る 劻 の 同 箚 生 に 䜜 っ お も ら っ お い る。 僕 が

感芚を持぀ずいう女性デザむナヌは、 すべ

ナ の 森 林 ç Ž 壊 を 憂 い、 䌐 採 さ れ た 怍 物 の çš® も満足しおいる。 ひず぀ひず぀、 プロセス

れンチンの䌝統音楜にゞャズやボサノ ノ ァ、 ク ラ シ ッ ク を 取 り 入 れ、 繊 现 で 矎 し

お手描きでデビュヌアルバムの

極 端 な 少 な さ か も し れ な い し、 も し く は ブ

ケ ヌ ス に 入 れ た り、 そ の 音 楜 性 に

プレス数の

゚ノスアむレスず距離を眮く生掻スタむル を

䞊 び、 そ の た わ り に 叀 め か し い ス テ レ オ や

ダむニングにはピアノずシンプルな食卓が

う。 キッチンずリハヌサルルヌムを兌ねた

のを連れお垰り手圓をしおいる最䞭ずい

小 é³¥ が 床 を æ­© い お い た。 倖 で 傷 ぀ い お い た

ず、 圌の家に案内された。 足を匕きずった

「 川 の そ ば で 暮 ら す の が 長 幎 の 倢 だ っ た」

その確固たる信念は仕事以倖の堎所で も 倉 わ ら な い ず い う。 日 々 䞁 寧 に 暮 ら す こ

に し た い か ら」

「僕 は 結 果 を 求 め る よ り も プ ロ セ ス を 倧 切

た新しくプレスをすればいいず考えおいる。

スし お ã‚ž ャ ケ ッ ト を 䜜 る 。 売 り 切 れ た ら た

ルで販売する。たずは

る。 完成した新しいアルバムは自䞻レヌベ

寄り添う興味深い仕掛けを毎回芋せおくれ

よ。 でも䜕も手に入らない状況だからこそ

が起きるかもしれないずヒダヒダしおる

は、 蟛酞をなめたアルれンチン人ず同様に

芁囜は䞭囜だけ。 けれどカルロスの県差し

これほどの高成長が

皮肉にもアルれンチンは、 経枈危機の翌 幎 か ら か ら 字 型 の 回 埩 を 芋 せ、 幎 連

を 重 ね お い る 実 感 を 味 わ え る か ら だ。

メむドにこだわるが故の

が圱響しおいるのかもしれない。

コンガ、 そしお怍物が眮かれおいる。 その

ず で、 音 楜 è¡š 珟 は よ り æ·± く な る ず カ ル ロ ス

5

幎以䞊続いおいる䞻

 台 ず い う 奇 è·¡ 的 な 回 埩 を 蚘 録 し た。

V

お å­Š ん で い る。 そ の 時 が 来 た ら、 僕 は た た

シ ニ カ ル だ。 「た た 近 い う ち に デ フ ォ ル ト

5

8

枚だけプレ

ほ か に ベ ッ ド ル ヌ ム ず、 も う ひ ず ぀ の 仕 事

想像力が溢れ出すこずを、 みんな䜓隓ずし

D I Y

続

郚 屋。 圌 が 最 も 気 に 入 っ お い る 裏 庭 ぞ 出 は 確 ä¿¡ し お い る の だ。

いおいる。 鳥の声が心地良く耳を刺激する

た。 倧 き な 朚 が 心 地 良 い 日 陰 を ぀ く り、 手

2

入れされた芝生には倧小さたざたな花が咲

C D

れロから、 プロセスを積み重ねおいくよ」

ゞャ

い音楜を生み出しおはリスナヌを驚かせお

「

」ず曞かれおいた。

萜ずすず「

D I Y

き た。 圌 の 存 圚 に 謎 を 感 じ る の は、 ハ ン ド

カルロス・アギヌレはコアな音楜ファン が 心 酔 す る ミ ス テ リ ア ス な 音 楜 家 だ。 ア ル

N O D I Y

人の姿が芋える。 ここパラナは、 ブ゚ノス

D I Y

2

で家を建おる分厚いマニュアル 本 を 本 棚 か ら 取 り 出 し お 芋 せ お く れ た。 奥

C D

C D

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日が西に傟く䞭、最もお気に入りの堎所であるパラナ川のほ

カルロスの挔奏を無料で奜きなだけ聎ける特暩を持぀のは、

食卓ずピアノが䞊ぶ、リハヌサルルヌム兌ダむニング。鳥ず ずりを案内しおくれた。湟のように広い倧河だった。

お隣さん。アルれンチン人は近隣ずの関係を倧切にする。

虫の声が聞こえる倕暮れ時、カルロスは静かに鍵盀を叩いた。

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