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輪中建築

- 輪中地帯の排水機場コンバーションによる水との暮らしの提案 輪中地帯という水を防ぎ、その資源を有効活用することで生業を生み出してきた地域がある。 現在、その要素は水害の面、環境の面からネガティブな要素としてとらえられている。 しかし、水という地域の要素と生業を組み合わせることで、建築を創り出し、輪中という地域のプライドをつくっていく。 その建築は足りなかった流域圏を補填し、またその資源は親水空間生み出す公共的な建築及びランドスケープに転換される。 こうすることで共同体の強度を高め、最初はネガティブだったものがポジティブに捉え直していくような、持続可能な輪中地帯の在り方を設計する。

ID 0158


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輪中 建築

0. 計画概要 0. 水との生業の関係の疎遠化

水との生業の関係性を再考する 生物、植生、ランドスケープなど様々な関係を媒介とし、自然の恵みである水は、人や生活と切っても切り離せない関係にある。 しかし、東日本大震災に続く大規模の水災害に対して恐怖を抱く日本において、水との関係は疎遠化している。 日本に存在する豊かな水資源を有効活用する事は、これからの循環型社会に必要なのではないかと考える。

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排水機場の親水性に着目した輪中らしい建築の創出 畏怖・巨大土木・インフラ構造物による治水

水との共生

排水機場という土木遺産に水との共生を可視化できる建築を設計する。 排水機場は、機械の更新によって機能を失われ、

水害だけが残される均質的なまちへ

水や生業を資源と捉え密接に関わっていくまちへ 地域のプライドをつくっていく

非人間スケールの建築物に需要は存在せず、住民から忘れられ輪中地帯の遺物となっていた。 そこで、生業の空間を付加することで、親水空間が多数存在する特性が活かされ、 過去の集落一体となって使われていたヒューマンな木造の排水機場や調整池のような、 輪中地帯を可視化する建築となる。

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水をポジティブに捉え直していくような輪中での暮らし  本設計では、水と関係の強い輪中地帯で設計を行う。  しかし、東日本大震災に続く大規模の水災害に対して恐怖を抱く日 本において、水との関係は疎遠化している。その時代の変遷に待った をかける前向きな水や生業の関わり方により、輪中地帯を固有なもの にし地域のプライドをつくっていくことが、これからの輪中地帯に必 要なのではないか。

輪中らしい建築は、共同体の強度を高め、 水という現在はネガティブだったものがポジティブに捉え直されていくきっかけとなる。 異物化され人々が寄り付かなくなっていた排水機場が、農業者・漁業者の水防共同体や新規住民をひとつにつなげていく。 ひとつにつながることで、新たな可能性を生み出し、輪中建築は輪中地帯の未来にとって必要な存在になる。


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輪中 建築

1. 敷地選定 都市の脆弱地域 1-1. 輪中地帯

1-2. 三重県長島町

1-3. 問題点:水との疎遠化による衰退 1-3a. 河口堰問題

長島町

4300yrsBP 山地・段丘

3000-2200yrsBP

4300-3000yrsBP

土砂の堆積域

有機物層

海域

木曽川の生成

2000yrsBP-

輪中の成り立ち

揖斐川 長良川

木曽川

計画敷地

当時の新聞

長良川河口堰

 水防の為、長良川河口堰を建設し長良川の生態系や漁業などへの悪影 響などが懸念され反対運動が起こり、建設の是非をめぐる論争が発生し た。この論争は、水による生業か水防かをめぐる問題である。

1-3b. クリアランスによるインフラ整備

伊勢湾流域

長島町全体図

大垣 長良川

木曽川

揖斐川

計画敷地

スーパー堤防

誰も入れない津波避難タワー

 東日本大震災の津波被害の影響から、住民は 100 年に一度のような水 名古屋

害に怯えている。その為、水害対策は過激化し、水を寄せ付けない巨大 長島町大島

な土木構造物の開発が後を絶たない。

1-3c. 水との希薄化

広範囲計画敷地(長島町)

輪中地帯全体図

計画敷地全体図

 輪中とは、濃尾平野の木曽三川流域において、豊富な降水を集めた

 計画敷地である長島町大島は、木曽三川からの河川から供給される親

三川が土砂を運びながら乱入することで形成された土地である。豊富

水空間が存在した。川・海辺に生業が存在する為に、川辺に沿うよう

な水とそれゆえの不安定さが、 この土地の性質となり基盤となっている。

に住宅を建て、水田が周辺を取り囲む集落であった。また調整池を複

 また輪中の定義は、 「洪水から集落や耕地を守るために、その周囲に

数配置し、避難時には遊水池として機能させることで水防し、また船

堤防をめぐらし、水防を紐帯として強固な共同体意識によって結ばれ

着き場や水田・畑などの作物へ利用することで水を資源化しながら、

た地域社会」と定義されており、水との関係が深いことが分かる。

漁労・農耕などの複数の生業を生み出し暮らしてきた地域である。

水路

宅地化

 名古屋市のベットタウンとしての需要から水田の宅地化、ディズニーラ ンダゼーションな建物建設により、収益を得て暮らしが成り立っているが、 縮減社会の世の中に不安が残る。


2. 調査 現在の輪中地帯

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輪中 建築


輪中建築 _ プログラム


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輪中 建築

3. 計画 -1 生業及び共同体の再考 3-2. 流域圏によるハイブリット連関

3-1. 水防共同体の再考 3-1-1. 過去の水を脅威と考えながらも資源と考える水防共同体

産業的連関 「global / large / indirect」

民族誌的連関 「local / small / direct」

生態系の維持 水田・農業

19 世紀 後継者・担い手不足で資源を      有効活用することができない 下流域

環境向上

漁労

調整池

調整池

下流域

水田

農耕

ハイブリットな 連関の姿

漁業 相互扶助

水路

海洋

20 世紀 産業化することで   閉鎖的になり連関が途絶える

漁業

農業 水路

海洋

水路 21 世紀

3-1-2. 水防共同体の再考 新規住民

日常的な交流

生活

暮らし 井戸

水田

下水

地下水

上水

水防を介した水防共同体 地産地消の食堂

直売所での購入

生業を見る

日常的な交流。第一次産業(生業)に従事していない新規住民 達に水防共同体が受け入れられるための交流。

生業研修者

中期的な交流 地元民

生活・農業用水

現在の連関で             足りない部分を補う建築

漁場・環境向上

調整池の再生 流域圏の向上 下流域の再生 水防共同体を強固に

農業研修

都市近郊型の農業・漁業を活かして、農漁の潜在的なニーズと 結び付け後継者不足を解消する交流。 短期的な交流

観光客・都市住民

漁業者 漁場・農業用水

水路の再生 現在薄まりつつある水防共同体を強 固なものにし、同時に木曽三川流域 圏を再生していく。

漁業研修

都市近郊に住み、元 の仕事をしながら生 業を体験したい人々。

農業者

水防共同体

現代の連関の在り方

名古屋のベットタウ ンとしての利用から 移り住んできた人々。

下流域

調整池

漁業

農繁期の生業体験

祭りへの参加

都市近郊への出荷

水防共同体との交流

なばなの里や長島ス パーランドなどを利 用する都市の人々。 水防共同体と関わる人々

農業

流域圏の循環

水田

生態系 付加価値・地元交流 加工・生産

暮らし

海洋

閉鎖型の水防共同体を都市住民などにも参加してもらい半開放 型の共同体に組み替え、現代に対応するための交流。

水路

下流域 流域圏の循環

地下水

水路

六次産業化し、   資源を有効活用する

流域圏による集約型産業 =水による民族誌的連関と産業的連関の間

 計画敷地のような脆弱地域には、ある種のネガティブな要素を許容することで、生まれてきた関係性や利益、

 20 世紀の暮らし(民族誌的連関)は、流動的な社会の肯定的な評価の陰で、産業としての依存を深めた。結果、

人や物による様々なつながりによる緩やかでフレキシブルな仕組みの共同体が存在する。今回の計画敷地に今な

産業化(産業的連関)し、自助・共助の仕組みを失い、弱者を包括できなくなり、災害等にも脆くなった。また、

お残る共同体は、水防を紐体とした水を脅威と考えながらも資源と考える水防共同体である。

生業は単一化、産業化(産業的連関)することで、一方通行化し、環境全体(水に対しては流域圏)を考えるこ

 しかし、自立自存の生業は産業社会に飲み込まれてそれに依存するようになり新規住民達との剥離や共同体そ

とができなくなくなっている。

のものの関係が薄まっている。そこで、度合いの交流を水防共同体に関わる人々に対して設定し、違う新規住民

 その為提案として、生業を六次産業化し、資源を有効活用しながら、環境全体(水に対しては流域圏)をつく

や都市住民などにも参加してもらう半開放型に組み替え、 緩やかにつながりつつ共同体そのものを強固にしていく。

り・知り、水との複数の生業の相互依存を強め、水との暮らしを再生するような、交流を生み出す建築を設計する。


3. 計画 -2

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輪中 建築

敷地及び建築 3-4. 排水機場の可能性

3-3. 輪中地帯の親水空間の再考

3-4-1. 過去の排水機場(大島排水機場)

3-3-1. 過去の輪中の親水空間

田舟農業

調整池の利用

3-3-2. 現在の輪中

漁労

調整池の利用

集落協働で建てられた排水機場

(游水池)調整池の利用

 過去の排水機場は調整池であり、緊急時の水害に対しての対策としてつくられ、漁労や生活水としての利用が

現代の輪中の親水空間を模索する

行われいた。そして、排水機場へと変わっていった。

堤防による分断

水との密接な関わり

現在も残る親水空間

 住む方への聞き取り調査や文献で、長島(大島)の初期の排水機場は、集落協働で建設された私有財産であっ た。そこでは木造のボイラーで水車を動かし、その資源を有効活用するために、子供たちが毎日訪れてかまで芋 を焼いてもらったり、漁労の船着き場や作業空間になるなど、集落の中での入会の地であった。その為、閉鎖的 な公共空間であり輪中コミュニティの核であった。 3-4-2. 現在の排水機場(長島町 , 木曽岬町)

排水機場 水田の区画化及びハウス化による田園農業の廃止

堤防 産業化による漁労の衰退

計画敷地

排水機場配置図

廃墟化された排水機場

入ることすら許されない土木構造物

排水ポンプの下にある親水空間

機器を吊り下げる為の高さと気積

3-4-3. 排水機場の空間特性(大島排水機場) 他の利用がされる調整池と游水池

農業

漁業

 水害という面を大きく捉えてしまっている現代に、水や水との生業の接点がある場で自然的に生み出されたもの

 3-3. 輪中地帯の親水空間の再考から、現代の輪中地帯の特徴でもある排水機場に的を絞って提案とする。現在長

は数少ない。その為、社会及び輪中地帯で、現在何が一番水と距離が近いかを考える。そして、導き出された回答は、

島町では 16 棟の機械化されたコンクリート躯体の排水機場が稼働している。機能の更新は、インフラとしての機

堤防や排水機場などの水との関係だけが目的でつくられた土木構造物であると考える。コンクリート躯体の排水機

能のため一時でも止めることは許されない。その為、新規の施設を建設することで、現在の輪中は成り立っている。

場の過去は調整池や集落で管理する小さな排水機場となっており、様々な水との生業が輪中地帯では発生していた。

 また、機能を終了した排水機場は、強固につくられていることが仇となり、スクラップアンドビルドされず 6

 しかし、現在そこには、水と密接な空間はあれど、人と交流する親水空間は存在しない。その水との密接な空

棟が廃墟化している。廃墟化された排水機場に現在の輪中らしい水との空間及び建築の可能性を感じ、これらを

間を再考し、いかに親水空間に転換するかが本計画の設計である。

コンバーションすることで過去から未来を繋げる輪中建築をつくり出すことが出来ると考えた。


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輪中 建築

4. 建築提案 -1 計画敷地:三重県桑名市長島町大島 4-1. 敷地変遷

1888-1898 調整池の生成

4-2. 敷地情報

竹林

調整池 水路 住宅(農村集落)

集落の生成

水路

川辺に沿うように住宅を建て、水田が周辺を取り囲む集落の生成。 生業の共有空間である調整池が生成され、周りを取り囲む 水郷の集落。 1920-1941

水田

畑 大島排水機場 計画敷地

水田

公園

木造蒸気排水機場の設置

赤池排水機場 集会所 船着き場

寺院 銭湯

住宅(農村集落)

水門

大島集落移転

ヨハニス・デ・レーケによる治水工事により河川の一本化。 及び漁労主体であった大島集落移転。水防目的の木造蒸気排水機場 を設置し、遊水地による農業用水利用及び船着き場の生成。 1959-1960

竹林

工業製品工場

住宅(漁村集落) 船着き場

コンクリート造排水機場の設置

住宅(漁村集落)

屋敷森

堤防 伊勢湾台風 (1959) によって、多くの影響。 水門及び機械的排水機場設置によって、調整池の機能が機械化し停止。 コンクリート堤防造成開発、区画整理事業による水田の区画化。 現在 赤池排水機場

大島排水機場

排水機場機能移転及び集約化

長良川下流域

水門

 計画敷地は、三重県桑名市長島町大島を計画対象とする。この地は、半農半漁の生業が営まれ、自然の資源 ( 水 ) に直接アクセスし、利用しながらその資源を維持管理して いく豊かな暮らしが産業化に揉まれつつも残っている。現在の輪中の暮らしを構築する上で、必然であった産業化と、消されようとしている自然的な生業のハイブリットされ た形を模索する。

国土交通省長島排水機場

現在。排水機場が改修工事が行われ、 またその後経過したためポンプの機能 が低下し、赤池に排水機場としての機能 が移転及び国土交通省長島排水機場に 集約化され、大島排水機場機能停止。

 また、環境 ( 流域圏 ) や資源の連関に対して、障壁であり農業と漁業の分節点にある利用されていない、輪中民にとってブラックボックスになってしまったコンクリート躯 体の土木的である排水機場をコンバーションすることで、過去の集落の閉鎖的公共空間であった排水機場を機能を変換し半開放型にすることで新規住民や都市の人々と緩やか に繋がる建築を提案する。また、流域圏の循環を取り戻し、多くの人々が水との共生する輪中らしい場を創出する。


4. 建築提案 -2 4-2. 建築提案

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輪中 建築

排水機場のコンバージョン 4-3. プログラム

水の土木構造物 + 輪中の生業=現在の輪中の水との暮らし

4-3-1. プログラム

4-2-1. 過去の排水機場及び調整池 水防共同体によるヒューマンなスケールな建築であり管理・資源化されていた

水産物直売所及び簡易加工場

水防共同体による閉鎖型のメンバーシップ

集落全体が生業従事者 河川・自然堤防

生業住宅

漁業空間(船着き場 , 作業場) 水門

ヒューマンなスケール

4-3-2. 機能アクソメ図

木曽三川下流及び河口域を漁場とした貝類を主に販売

水守による交代での管理によるインフラ・資源化 集落全体で管理し人々が集まっていた

遊水池

様々な水との生業が介在するマーケットの複合化

農業空間(調整池による水資源) 遊水池

用水路

生業住宅

漁業者

地元民

伊曽島漁業協同組合の第二拠点 及び個人漁業者の収益の場に

水防倉庫・備蓄・緊急避難場

RL

農作物直売所及び簡易加工場 漁労

桑名市全域の主産業である稲作等の農作物を主に販売

農耕

水防共同体による閉鎖的な公共空間

長期的加工・備蓄

4-2-2. 現在の排水機場 国による土木的な管理に変わり排水する為だけの非人間的スケールになり異物化された

農業者

地元民

食堂 住宅

水門

フェンス

遊水場

W= 機器が交換できるスパン

土木的なスケール

4-2-3. 提案

国の管理により異物化のち機能停止

地元交流・研修

住宅 用水路

水路の水を確保するための面積

漁業(産業化し関係が途絶える)

3FL

住民や観光客が利用する地域食材を利用した食堂

H= 機器を吊り下げるスパン 河川・堤防

建て替えが検討されている JA 長島の転換 及び個人農業者の収益の場に

生産者

観光客

新商品開発

観光客や住民を巻き込み利益を獲得する

中・長期的加工

生業交流及び研修施設

農業(産業化し関係が途絶える)

生業の研修施設及び六次産業化の場に

2FL

現代に合わせた生業の輪中空間を排水機場に付加していく

食堂

水防共同体による半開放型のメンバーシップ

地元民

河川・堤防

新規住宅

現代の漁業者に適したスケール 水門

漁業(連関・流域圏の復活)

現代の農業者に適したスケール 輪中空間の創出

水防共同体による半開放的な公共空間

遊水場

新規住宅 用水路

農業(連関・流域圏の復活)

直売所 , 作業中食品加工

新規漁業者 地元民と関わることで育成・六次産業化の場に

地域交流及び水害避難施設

漁作業場

公民館として日常的に利用が可能な津波避難タワー

老人

子供

既存の強固な躯体と高さを生かして

1FL

農作業場

 現在の排水機場は、水を排出するという機能だけを想定し、全ての寸法が設計されている土木工学の考えのた

 敷地からこの施設に挿入する機能を考える。元の調整池の時に使用されていた生業の場を念頭に置き、現在あ

め、周囲への影響を考えない非人間的スケールの建築物となる。その為、機能を終了した際には、理不尽な景観

る、既存の生産の場(農業・漁業)に対して、加工・販売等及び食堂の施設を挿入することで、六次産業化(生

だけが残されてしまう。そこで、その建築物を現代の生業スケールに変換することで、輪中独特の建築を設計す

産と交換)し、利益を算出する。また、地域に開かれた場になり、強固なコンクリート躯体を活かした水害用の

る。輪中という地域のプライドをつくっていく親水性を活かした建築を生み出す。

避難施設を付加することで、住民と密接に関わる避難施設となり、既存の避難施設以上の効果を発揮する。

 この建築は、過去の調整池や排水機場にあった農と漁を結び付け流域圏を再生しながら、水防共同体を強固に

 生業の場所を使用具合によって場所を分け立体化し、回遊的に全階層に設置することで新しい交流を生み出し

し半開放型にすることで新規の住民達や都市の人々と緩やかにつながっていく。

た。それらと食堂・研修・開発・水防を適性の箇所に付随させ効率化を図った。


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輪中 建築

5. 設計手法 -1 敷地分析から建築を構築する 5-1. 輪中分析 建築を構成する輪中らしさの創出 排水機場

歴史的建築物

- 既存を活かし輪中地帯の核を構築する -

かつての入会の土地 共同体の核としての可能性

現在の排水機場 水害に耐える強固な RC 躯体

機器が収納される床下 床下の親水空間

機器を釣り上げる為の内部 14M の高さと気積

生業空間 - 半屋外空間を構築する -

水との生業 調整池や水路使用

水屋 石垣土台 , 災害時用に高所へ備蓄 親水空間

作業 ( 生業 ) 小屋 屋根裏の乾物置き , 通風確保の高窓

作業 ( 生業 ) 小屋 現代の機器との一体化

作業場 作業場のバラック改編

- 文化を活かし内部空間を馴染みのあるものに構築する -

上げ舟 生業を建築化 , 浮く

上げ仏壇 災害時家財避難 , 吊るす , 上下する

- 輪中の暮らしや水害対策から親水空間を構築する -

現在の調整池 グリッドによる区割り

現在の水路 現在の親水空間 捷水路化(排水する為真っ直ぐにする) 幅1M, 洗いの場 , 農免道路に付属

5-2. 周辺分析 全体構成の手がかり 漁業動線 漁業

農業動線 農業

住民動線 生活

外部動線 外部

木曽三川下流及び河口域を漁場・養殖場とした水産物が

北東部(内陸部)の農作物が軽トラによって、農免道路

内陸の集落から、細い道路や路地を通り、現施設まで徒

名四国道・伊勢湾岸道の高速道路から堤防沿いの大型道

漁船によって水門を通り運び込まれる。

で簡易的な作業を経たのちに運び込まれる。

歩で移動や南西の寺院や公園、集会所などの公共施設か

路から自動車によって、レジャーランドを主に目的とし

ら集団移動する。

て呼び込まれる。


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輪中 建築

5. 設計手法 -2

全体ダイアグラム

5-3. 都市スケール

5-4. 建築スケール 排水機場と周辺を

水防倉庫・備蓄・緊急避難場

    緩やかに繋げる

公園

5-5. 身体スケール

寺院

 上げ舟→貯蔵空間 上げ仏壇→貯蔵空間

集会所

簡易銭湯 農村住宅 船着き場

農免道路 漁業作業場

周辺の環境によって変形

農村住宅

水屋→加工空間・貯蔵空間

高さを活かした     立体的な交流

住民 農業者

農村住宅

漁業者

作業小屋→作業空間

地元交流・研修

新商品開発

GL+2400

複数の屋根を構えることで      外部から排水機場へ導く ユリ→水位調節 漁業浮き→作業空間・動線確保 リズムを与える三段・四段目 水路→親水空間

石垣→親水・滞留空間

調整池→親水空間

排水機場に垂直につながる二段目

可変性による緩やかな交流

作業空間 住民

住民 農業者 漁業者

親水空間を活かした

周囲へ多面的に広がる一段目

GL+2000

農業者

GL+4500

作業空間

漁業者

 排水機場の周辺には公共施設や住宅群が存在する。それらに対して受け

 排水機場に、輪中らしい風景や要素を機能に合わせて再編し、建築化し

 排水機場の空間特性である 15M の高さと親水空間を活かし構成する。

入れ、輪中地帯大島集落の多様な人々が介在する建築にする事を目的とす

ていく。

高さではスラブを複数挿入し、回遊性を持たせ立体的な交流を生み出す。

る。

 そうしていくことで、機能と建築の双方が輪中地帯に適し、馴染むもの

親水空間では、現代の調整池や水路空間を模し、水に浮体するスラブを設

 その為、異物化された排水機場に周辺を考えながら半屋外空間を緩やか

になっていく。

置する。よって、可動的な空間となり絶えず人の流れがある作業空間に対

に変形させ、生業空間を現代のヒューマンなスケールに落とし、周囲とス

応しながら柔軟に人々が交わる。これらの操作によって、異物化され人々

ケールを合わせていく。また、周囲の公園や集会所に排水機場が開いた空

が寄り付かなくなっていた排水機場が、農業者・漁業者の水防共同体や新

間になっていることを表すために正面性をつくりつつ包み込むように配置

規住民をひとつにつなげていく。ひとつにつながることで、新たな可能性

する。

を生み出し、輪中建築は輪中地帯の未来にとって必要な存在になる。


5. 設計手法 -3

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輪中 建築

構成ダイアグラム

5-6. 平面ゾーニング

5-7. 断面ゾーニング

遊水池

5-6-1. 半屋外

5-7-1. 平常時 親水空間

サンルーム

トラクタメンテナンス 作業・トラクタ倉庫

食堂

長期的加工・備蓄

作業スペース

加工用倉庫

(加工・仕舞・荷上げ・荷積み・移動)

朝市直売

浸水ライン

漁船メンテナンス 作業倉庫

住民

作業スペース

直売

(加工・仕舞・荷上げ・荷積み・水揚げ)

中 3FL 3FL

中長期的加工

作業中食品加工

天井高さ

地元交流・開発 作業中食品加工・生産の場

中 2FL 2FL 1 屋根裏 1FL GL

機能空間を端に固め、

農業者

空間を緩やかに分節し作業空間を広くする

漁業者

5-6-2. 内部

災害時

日々の生業と  避難動線を一本化

5-7-2. 浸水時

緊急津波避難・水防倉庫

バックヤード動線

備蓄・非常食 既存親水空間

避難動線

水系

水路空間

浸水ライン 住民 農業者 漁業者

可動的な空間とし、

長期的避難所 浸水ゾーン

様々な流動的な生業に対応する

天井高さ 中 3FL 3FL 中 2FL 2FL 1 屋根裏 1FL GL

 半屋外平面ゾーニングでは、船着き場に船を構える漁業者や、周辺に畑と一体化した住居を構える農業者、数十人

 コンクリート躯体の強い構造で耐え、木造の増築部によって柔軟に環境に対応する。

の生業の流れを建築化する。加工、 仕舞、 荷上げ、 荷積み、 水揚げ、 出荷などの絶えず人の流れがある作業空間を広くとり、

 断面ゾーニングでは、平常時の生業行動と浸水ラインを元にゾーニングし、日々の生業の行動をシームレスに立体

流動的な行動を可能にする。

化させる。また、避難動線と一体化することで、避難動線を暮らしに取り入れる。

 また、作業道具のメンテナンスや倉庫、水洗いなどの機能空間を端に固め、個々の生業を緩やかに分節する。内部

 浸水時は、輪中の歴史的建築である水屋と同様に上階に避難しながら、食糧備蓄を集積させることで災害発生後の

平面ゾーニングでは、 流域圏を再生する為、 利用されてなかった親水空間を利用する。 また、 可動的な空間することで様々

再起性を高める。

な作業に対応する。


輪中建築 _ 連関


竹林

住宅(農村集落) 農業研修 調整池の再生水路 農繁期の生業体験

観光客・都市住民

水路の再生

水田

水路

浚渫資材を建築の土台の資材利用

6. 連関図

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輪中 建築

調整池

直売所での購入

公園

水田

畑 大島排水機場 計画敷地

個人農業者による 対面式販売の付加価値

漁業研修

都市近郊への穀物の集積・出荷

赤池排水機場

集会所 船着き場

寺院

新規住民との交流

銭湯

住宅(農村集落)

竹林

水門

生業の可視化で受け入れられる 地産地消の食堂を構え、新規住民に生業が根ずく 都市近郊への水産物の集積・出荷

住宅(漁村集落)

船着き場

祭りへの参加による短期的交流

工業製品工場

工業製品を建築の屋根材の資材利用

住宅(漁村集落)

下流域

流域圏の循環

水路

漁業

水門

水田

農業 長良川下流域

生態系 付加価値・地元交流

浚渫資材を建築の土台の資材利用

加工・生産

暮らし

海洋

ソーラーパネル化が検討されているため 木材使用による垂木の資材利用

堤防

調整池

屋敷森

地下水

 輪中建築は、過去に人々のコミュニティの過去だったことを活かし、輪中地帯のモノコト連関の中心となり、産業化し 一方通行化してしまった生業の関係を新たに再構築する。

下流域

水路

 漁業、農業、暮らしをひとまとまりにし、現代に適した水による新たな可能性を生み出し、輪中地帯の人々が輪中地帯

流域圏による集約型産業

を誇りに思えるような、未来に必要な建築へと変わっていく。 下流域の再生 漁場・環境向上


輪中建築 _ 図面


漁業動線

住民動線

外部動線

船着き場(既存)

集会所

公園

寺院

壁面減築

イベントスペース

開放性の確保

水系動線

荷積み

船水洗い

倉庫・メンテナンス

朝市直売

天井面減築

躯体減築

食堂延長

荷上げ 船着き場

仕舞・屋外作業

食堂

車動線

直売・加工

荷上げ 駐車場

農業動線

住民動線

農免道路

バックヤード動線

アクソメ図

GL・基礎 ( コンクリート・石垣 )

駐車場

荷積み

水洗い・屋外作業

倉庫・メンテナンス

増築生業部分(木造)

既存排水機場部分(RC 造)

熱排出

光取り込み

水防倉庫

屋上水防部分(木造)

7. 設計 アクソメ図 輪中 建築

16


住民動線

漁業動線

一階水路調整池機構

の避難施設以上の効果を発揮する。

ることで、住民と密接に関わる避難施設となり、既存

 敷地からこの施設に挿入する機能を考える。元加す

農業動線

外空間となる。

大なスケールである排水機場と緩やかに接合する半屋

らの見え +GL4500, 人からの見え +GL2400) し、巨

ルに高さを設定 ( 漁船からの見え GL+2000, 軽トラか

増築生業部分アクソメ図

早朝時

日中時

イベント時

一階庇 排水機場の周囲を取り囲む庇。周囲に合わせたスケー

乾物が配置される事で環境を調整する。

分からは通風と採光を取り込みながら、季節によって

つ、天井部分に乾物掛けの機能を挿入する。高窓の部

の機能を模し、庇と段上に配置する事で高窓を作りつ

に垂木によって接合するキャノピー。現代の作業小屋

一階の半屋外空間から二階のバルコニーまでを直線的

一階・二階接続生業キャノピー

行われる空間となる。

の内部から可視化され、積極的に新規住民達と交流が

は見られる事の無かった水防共同体の生業が排水機場

うにする。また、バルコニー部を生業空間とし、普段

難動線を一体化し緊急時の避難対応を円滑に行えるよ

ニーを配置し回遊性を与え、作業動線と水害による避

び外壁にまとわりつくバルコニー。コの字型にバルコ

排水機場の高さを活かすためのスキップ状のスラブ及

二階バルコニー及びスラブ

し、排水機場のコンクリート躯体を彩る。

的な加工食品の保存場所や貯蔵庫として機能を果た

ると同時に回遊性を与える。また、機能として中長期

体に対して、中間部に接続し、空間にスケールを与え

の庇。梁高である 2 階高さ H4500 のコンクリート躯

ロの字型に配置した中二階のスラブ及び、三階・二回

中二階スラブ・三階屋根

吹き抜け空間まで下ろし、小出しの出荷を可能とする。

の格子ルーバーの役割を果たす。出荷の際には、2 階の

上げ、日常的な動線の妨げにならないようにし、天窓

き来の負担を軽減する。また、通常時には天井階まで

穀物を貯蔵する際は常にスラブを一階まで下ろし、行

機器を利用し上下に可動するスラブ。農繁期の大量の

排水機場の排水機器をメンテナンスする際の吊り上げ

屋上 上げ仏壇ルーバー

7. 設計 アクソメ図 輪中 建築

17


18

輪中 建築

区画整理により、現在は複数の農業者が共同で畑を管理

7. 設計 平面図 ( 配置図兼一階平面図 ) 既存游水池沿いに設置された市民テラス なばなの里や長島スパーランドの帰りの観光客などの堤防からやってくる人々用の駐車 場。人数が多い際は、なばなの里有料駐車場を使う。

B

水沿いに伸びるように階段を設置し、親水空間 を近づける

遊水池のゴミ取機器が挿入されていた場所はそのままにし、 水を引き込みくぼませることでできる

排水機場の親水空間を思い出す。

市民の人々がゆっくり滞留するテラス トラクタや軽トラを幅留めし、 作業可能になっている農免道路

外部の人々は堤防を通り車からやってくる

台車などを動きやすくするためのスロープを 設け、動線を規定しながらバックヤード動線を一直線に接続する

幅広く取った石垣土台は、 輪中地帯の住宅同様どっしりとした景観を排水機場に与える 排水機場跡から抽出したグリッドと 調整池水路機構によって可変し様々な生業に対応する。 地元人達で運営していく、食堂。 この地で採れた旬なものをふるまう。

旬の食材を直接販売する。 米・小松菜・キャベツ・トマト・ほうれん草

みんなで購入するトラクタをを水洗いし、 メンテナンスを行う倉庫と親水空間

イベント時はスラブを拡張できる

旬の食材を直接販売する。

A

A

海苔・シラス・ハマグリ・シジミ

過去定期的に行われていた朝市直売を復活させ、

短期的な加工を行う。

石垣土台と排水機場内部と接続する機能とする。

パックに詰める・捌くカット・煮る等

農免道路から直接もってきた 土付き野菜を水洗いする親水空間

幅広の石垣土台は滞留する作業空間となりつつ、 排水機場と接続する。 水洗い場

仕舞や荷揚げなどの半屋外で行われていたものは中央に 大きく取りフレキシブルに利用する

水洗い場や定期的に漁船をメンテナンスする倉庫などの確

畑と一対になっている農村住宅が建ち並ぶ

定で必要な機能空間は端に固め、住民との動線を緩やかに 区切る

朝の荷揚げ終了後、ゆっくり仕舞を行うための船寄せ場

作業空間は作業の流れから大きなゾーニング計画だけにとどめる。 周囲の公園や集会所に排水機場が開いた空間になっていることを表すために

B

緩やかに変形しながらどこにいても正面性をつくる

漁業作業から水産物を直接荷積みし、出荷する場合や輪中建築にもっていき加工や直接販売する ことも両方自由に行うことができる平面ゾーニング

大島サロンという名でつくられた集会所と漁業者が簡易的に体を洗う小さな共同浴場 船着き場から直接作業していた全面道路と接続する 現在は 1M の壁と排水機場にはフェンスが囲み接続、が断れているが 提案としてそれらは取り払い、現在の生業行動の中に排水機場及び半屋外を取り込む 既存の漁業者の駐車場

scale1/300


19

輪中 建築

7. 設計 平面図 ( 二・中二・三・屋上階平面図 ) 排水機場の排水機器をメンテナンスする際の吊り上げ機器を利用し、輪中の風景である 上げ仏壇を模した上下に可動するスラブ。農繁期の大量の穀物を貯蔵する際は一階にお ろし、通常時上部に上げ小出しに出荷する

都市近郊ということを活かして、 中・短期的に生業を学びに来る人々を受け入れ、 生業従事者と交わることで学んでいく。 ルーバー

漁業権などの一体で考えることが必要な場とするために 広々ととった交流スペース。

二階以上の加工(干し等)の準備をするための場

水防共同体の生業を体験するための指導場や、新規の調理法など考案する場。 輪中の未来を考える場を二階に配置し、俯瞰的に生業を見ながら考える。

中長期的な加工。 稲の架け干しやシラス海苔などの乾物を加工する場。 外に生業が見えることで、排水機場を彩る

scale1/300

scale1/300

水防倉庫。 屋上階に設置することで、緊急避難時の再起性を高める。

通常時は採光を取り込み、 二階と三階にある加工場に必要な資材を置く倉庫。

災害時にはこの吹き抜けと上げ仏壇ルーバーが接続し、

休憩スペースの屋根裏を余すことなく利用する。

貯蔵してある穀物を利用する。

屋上。 サンルームとして利用し、漁業農業道具を干したり、 休息をとる場として利用する。

キャットウォーク状のロの字型の乾物掛け。 排水機場にスケールを与えつつ、回遊性を与える。

scale1/300

scale1/300


20

輪中 建築

7. 設計 立面図 ( 北・南立面図 ) 周囲の距離が近い住民側は、躯体をセットバックしつつ、 三段に屋根をかけることで周囲と合わせていく。

庇を一定の高さで配置し、親水空間のテラスを高さを変えていくことで、 多様な親水空間を創出する。

北立面図 scale1/150 X11 X10

X6

X5

X4

X2

X1

北立面図 scale1/150

バルコニー部を生業空間とし、 普段は見られる事の無かった水防共同体の生業が排水機場から可視化され、積極的に新規住民達と交流が行われる。

現代の作業小屋の機能を模し、庇と段上に配置する事で高窓を作る。 高窓の部分からは通風と採光を取り込みながら、季節によって乾物が配置される事で環境を調整する。

南立面図 scale1/150 X1 X2

船からの見えを考え、排水機場とスケールを合わせるために庇を極限まで落とし (GL+2000)、

X4

X5

配置していく。

X6

X7

X11


21

輪中 建築

7. 設計立面図 ( 東・西立面図 )

周囲の公園や集会所に排水機場が開いた空間になっていることを表すために多面的に 正面性をつくるように庇を配置していく。 游水池の敷地の形状に合わせて上げ舟・漁業浮きを再編した市民テラスを配置し、 ふらふらと集落の人々が集まり井戸端会議する親水空間となる。

西立面図 scale1/150

Y1

Y3 Y4

Y5

Y6

Y7

Y9

Y10

西立面図 scale1/150

軽トラからの見えを考え、排水機場とスケールを合わせるために漁業側から 庇を上げて (GL+4500)、配置していく。

游水池に向けて階段を配置していくことで、水と人の距離を近づける。

東立面図 scale1/150 Y10 Y9

Y7

Y6

Y5

Y4 Y3

Y1


2500

2000

4FL GL+14300

450

最高高さ GL+15000 天井高さ GL+14750

250

7. 設計 断面図 (A-Aʼ 断面図 )

2500

2000

3FL GL+9800

2500

1000

1000

2FL GL+5300

GL

GL±0

800

1FL GL+800

2000

A-Aʼ 断面図 scale1/75

3000

3000

6000

2000

2000

4000 38000

X1

X2

X3

X4

X5

2000


23

輪中 建築

6000

2000

3000

X6

3000

X7

X8


最高高さ GL+15000 天井高さ GL+14750

3050

900

4FL GL+14300

550 450 250

7. 設計 断面図 (B-Bʼ 断面図 )

4500

3FL GL+9800

2500

1000

2FL GL+5300

GL

GL±0

800

1FL GL+800

2000

B-Bʼ 断面図 scale1/75

Y1

1000

Y2

3000

Y3

2000

2000

4000

10


000

25

2400

2200

1000

1000 1000

4000

1000

3000

3000

3000

3000

2000

35000

Y6

Y7

Y8

Y9

Y10

9800

1000

1000

1400

500

1700

200

2000

200

輪中 建築


26

輪中 建築

7. 設計 部分を構成する輪中らしさ 詳細図 -1 石垣土台機構(親水・滞留空間)

漁業浮き機構(親水・加工・生産空間)

排水機場へ導く

洗いなどの水利用のための        水はけと調湿

数を増やすことで、平面的可変性

石垣+二重角形蛇篭 t=200

柾目板 t=30

蛇篭骨線φ8

円柱発泡スチロールφ150 水位の変化 水位が変化することで断面的可変性

 漁業の船着き場に設置されている水に浮体するスラブを模し、排水機場内部の親水空間 に生業空間、加工空間、販売空間など多種な空間を内包する。スラブを増減させることで 平面的に、またユリ機構の水位調節によって断面的にも可動的な空間となり絶えず人の流 れがある作業空間に対応する。  また、外部の游水池に設置され、日常的な水位の変化を感じながら親水空間を確保し、

 輪中の風景である石垣の土台を模した屋外土台空間。輪中の浚渫された石材を使い資源を有効活用 していく。  また、排水機場の土台に使用することで、人々を滞留させ内部に導く。親水空間と接続されること もあり水捌けと調湿を担保する。

多数ある親水空間に

ユリ機構(親水・水位調整)

ユリを落とすことで        水を留める

調整池・水路機構(親水空間)

柾目板 t=50

滞りなく排水

既存床下親水空間 ユリ機構

アクリル t=50

水位を手動で調節可能

コンクリート仕切り t=100

既存床下親水空間を      活かしたグリッド

水田等で水位を調節するために使われるユリ ( みはり ) を模し、それらを四方に取り付けることで

 現在の輪中地帯の調整池や水路を模し、排水機場内部の床下親水空間を利用した親水空間。排水機場の

排水機場の調整池・水路機構のグリッドに対応した水位調整を行う装置。手動で水位を変化させる

既存床下親水空間をそのままに、間の歩行空間であった場所に水路空間を挿入させたグリッド配置で構成

ことで、親水空間に多様な変化をもたらす。

することで、排水機場の良さが感じられる構成となる。また、グリッド配置では、捷水路化(排水する為真っ 直ぐにする)されていることや、現代も調整池を利用する輪中民にとって使いやすい内部空間となる。


27

輪中 建築

7. 設計 部分を構成する輪中らしさ 詳細図 -2 生業作業小屋機構(作業・加工空間)

上げ仏壇機構

上部垂木□=105×45

木組□=105×105

下部垂木□=45×45 梁材□=210×120 柱材□=120×120

通常時はルーバーの役割を果たし、 小出しに穀物を出荷する。

生業の産物によって通風調整

農繁期は下し動線の簡略化

 生業小屋の空間を模し、乾物掛けなどの加工空間や現代の生業の機器を入れる倉

 輪中の風景である上下するスラブの上げ仏壇を模し、 排水機場の吊り上げ機器を

庫を内包する。排水機場に対して周りを覆う屋根と半屋外空間となる。高窓の部分

利用することで、食糧備蓄を内包する上下するスラブ。

からは自然風・太陽光を取り込み、生業の産物によって、環境調整装置として役割

 また、二階の加工空間と天井部の水防空間を接続しつつ、排水機場の上部のトッ

を果たしながら排水機場を彩る。

プライト部分に取り付けられることでルーバーとしての役割を果たす。

水屋機構(加工・貯蔵空間) 木組□=105×105 接合部 L 型アングル

生業の可視化 生業の産物によって採光・通風調整

 輪中の風景である水屋建築を模し、上階の屋根裏に貯蔵空間・超長期的加工空間を内包する。 生業作業小屋と連動し、リズムを与えることで排水機場外部にまとまりをつくる。  水田の農繁期には稲が干し掛けされ、排水機場を覆い隠すように彩る。


8. シーンパース


29

輪中 建築

異物化されていたコンクリートの巨大なスケールの排水機場は、輪中地帯による恵みが外観を彩りこの大島集落に馴染むものになっていく。


30

輪中 建築

フェンスで囲まれ周辺との関わりの無くなってしまった外部空間は、垂木による乾物掛けなどの加工空間や、柱による水揚げ荷下ろし空間、石垣土台による水洗い・会議空間などの作業空間を再編することで、空間にスケールを与え排水機場の内部空間に導く。

薄暗く不透明であった内部空間は、排水機器が挿入されていた親水空間を活かし、水路や調整池、漁業浮きを再編していくことで、直売所に食材を買いに来る新規住民と生産加工等の生業に従事する水防共同体の緩やかに可変する出会いや交流を生み出す。


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輪中 建築

排水機器を吊り下げる為に気積が大きく設計されたことを活かし、水屋・上げ仏壇などを再編することで、食糧備蓄・生業空間などの水防に合わせた立体的な賑わいが生み出す。新規住民が行う新商品開発などの六次産業化の場となり輪中の未来について考える。

ゴミ取用の機器が挿入され排水機場の裏の空間となっていた游水池は、排水機場内部に水を引き込む入り口となり、上げ舟・漁業浮きを再編したテラスによって、ふらふらと集落の人々が集まり井戸端会議する親水空間となる。


輪中建築 によって、 この       地元である自分も含め、水との生業であるこれらの風景を誇りに思えるように計画しました。

Profile for 中家 優

輪中建築 -輪中地帯の排水機場コンバーションによる水との暮らしの提案-  

せんだいデザインリーグ提出ポートフォリオ

輪中建築 -輪中地帯の排水機場コンバーションによる水との暮らしの提案-  

せんだいデザインリーグ提出ポートフォリオ

Profile for 127002
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