architecture portforio 2020

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P

RTF Yuta SANO Chubu University Department of Architecture, Chubu University Graduate School of Architecture

LI

Architecture Selected Works 2015-2019


PROFILE

佐野 佑太 | SANO , Yuta Date of Birth 1995.3.30 愛知県 春日井市 生まれ | 1995.3.30 Born in Kasugai , Aichi Education 2010.4 愛知県立高蔵寺高等学校 普通科 入学 | 2010.4 Entered Kozoji High School 2013.3 愛知県立高蔵寺高等学校 普通科 卒業 | 2013.3 Finished Kozoji High School 2013.4 中部大学 工学部 建築学科 入学 2019.3 中部大学 工学部 建築学科 卒業

| 2013.4 Entered Chubu University Department of Architecture | 2019.3 Finished above univ Department of Architecture

2019.4 中部大学 工学研究科 建設工学専攻 入学 Affilication 中村研一研究室

2

| 2019.4 Entered Chubu University Graduate School of Architecture


Awards 愛知 10 大学合同企画展 入選

Technical Skill System | Microsoft Windows

UR 賃貸住宅リノベーションコンペティション 2018 優秀賞

CAD softwares | ArchiCAD , jwcad , Autocad

卒業設計 学内 最優秀賞

Modeling softwares | SketchUp , Rhinoceros

卒業設計 近代建築別冊掲載

Graphic softwares | Adobe Illustrator , Adobe Photoshop , Adobe Indesign

JID 中日本エリア学生賞 2019

Office softwares | Microsoft Word , Microsoft Excel , Microsoft Powerpoint

地域の山の杉を活かす 家具・空間提案学生コンテスト 2019 入選 (2020.1 現在、二次審査中)

Licence

二級建築士

商業施設士補

Intern / Opendesk シーラカンスアンドアソシエイツ(CAn)

Theses ジュゼッペ・テラーニによるコモのカサ・デル・ファッショの構成による分析

―空間のシークエンシャルな遷移とファサードの関係― Giuseppe Terragni's analysis of Casa del Fascio in Como ―Relationship between sequential transition of space and facade―

3


PRINCIPLE

行為 と 記憶 を 建築化 し 、

4 1


、建築 が

行為 と 記憶 を紡ぐ

2018.2.21 in Dubrovnik , Croatia 5


INDEX Project . 01

P8

Project . 02

P16

FOREST OF TIME

Project . 03

P24

宙に住まう

Note . 01

P30

6

1:1000 1:300 1:100

屋根を編む ―こどもホスピスがつくるまちとみどり―

Travelogue 【 Europe America Korea Japan 】


Project . 04

P34

Project . 05

P42

PLASTIC AS NATURAL PHENOMENON

Project . 06

P48

おすそわけ / おふくわけ

Note . 02

P54

1:50 1:30 1:1

ここから、育む ―個々の拠点・拠点のここ―

Theses and Workshop

7


Project . 01

屋根を編む ―こどもホスピスがつくるまちとみどり―

Program : こどもホスピス(福祉公共施設)、集合住宅、コミュニティスクール Location : 愛知県名古屋市西区堀端町

Grade : 学部 4 年

Award : 卒業設計学内最優秀賞 (近代建築別冊掲載)

「こどもホスピス」とは小児がん,脳性麻痺などの難病や障がいを抱えたこどもの終末期の痛みを和らげるだけでなく, 看護に疲れた家族の休息のためにこどもを一時的に預かる場などを提供する福祉施設である。 また患児だけでなく、親、兄弟など家族全員の支援もする。 そして、医療・福祉・教育などに携わる専門家がボランティアとして協力し、大切な時間をともに過ごしていく場といえる。 従来の都心からかけ離れた山奥ではなく、周囲と関わりを持てる場で人間らしい生活を送ることが QOL の向上に繋がるの ではないだろうか。 「まち」と「みどり」に溶け込み、新たな居場所としての「まち」と「みどり」を育むこどもホスピスを設計する。

8


9


名城公園

SITE 堀川

名古屋城

01. 敷地現状

02. 周辺環境に呼応する

敷地は、愛知県名古屋市西区堀端町。名古屋城北側に位置する敷地である。 敷地北西には、名古屋城下の運河機能として開削された堀川が流れており、 名古屋市立城西小学校、西城幼稚園を中心とした住宅地が拡がっている。 敷地東には、名城公園があり都市の中心部の割にゆったりとした都市空間 を形成している。歴史・文化、自然、地域コミュニティがこどもホスピス を見守るような構図を想定する。

らぐ

公園を引き込む

都市に対するファサードをつくる

街並みに連続させる

現状、都市計画によって分断されてしまっている公 園を、堀川に沿うようにして引き込む必要がある。 公園がスケールダウンしたものとしての庭をつくる。

敷地南側には東西に大通りが走っており、その通りを挟 んで名古屋城とお堀を望める。 拡大する都市に対峙す るファサードを形成させる。

切妻や片流れといった勾配屋根で形成された街並み、学校・ 住宅・公園による地域性を連続させる。

こどもホスピス

それぞれの ‟ 我が家 ” に 形態

第二の “家” としての

こどもホスピス

わる

家型

勾配屋根

庭・広場 妻壁

集合住宅

機能

LDK プライベートルーム

04. 都市に溶け込む新しいコミュニティ

03. 家としてのホスピスであること

公共施設

家 らしさ

小児がん患者にとってのこどもホスピスは社会性が必要であると考える。患児 自身だけではなく、その家族にとっても心落ち着かせる場であり、訪れる場所・

縁側

家と学校の中間のような存在としてこどもホスピスはある。ノン・フォーマル教育による 学び舎を、こどもホスピスに提供する。活動の拠点ともなる、性格の異なるいくつかの庭 心理によって場所性が生まれ、各プログラムを緩やかにつなぐ。 スケール感 house element距離感

帰ってくる場所でもあることから、家 なのである。

roof

nature element leaf

branch pillar stem

wall

屋根が連なる

空間の密度に伴う変形

05. 屋根を編みこむことで生まれる都市のイメージ

10

居場所に合わせた小さな単位の生成

floor

07. 樹木のメタファーとしての構造エレメント

root


堀川

憩いの庭 家族の中庭

集合住宅 集いの庭

名城公園 こどもホスピス

遊びの庭

交流の庭

みんなの中庭

都市の広場

コミュニティ・スクール

学びの庭

商業空間

N

名古屋城 堀

1階平面図 兼 配置図 S=1/600

11


みんなの家となる こどもホスピス 共有する「みんなの庭」や多様な部屋による空間を内包する居場所と、 屋根の下や窓辺といった能動的に発見する居場所を設計する。 東側の公園と繋がる意識をもった「みんなの庭」と 1 階の「吹き抜け 広場」は大きな縁側のような空間で緩やかに繋がり、都市スケールと 家のスケールの境界を曖昧にする。 「みんなの庭」から眺めるこどもホスピスのファサードは、片流れの家 の共同体として大きな妻壁を形成し、家であることを印象づける。

「遊びの庭」 緑溢れる庭で様々な遊びが展開される

■小さな単位の居場所が個性を育む

12

家のようにボリュームを小さくする

共有空間を発生させる

廊下を拡張し、つなげる

上下の空間をずらし、連続感を与える

住宅街のように、家のボリュームがまちと しての空間意識をつくる。

家のズレによって、共有空間(広場)と 路地のような小さな空間を発生させる。

路地であった廊下が広場に促されアクティブに つながることで、遊びが発生する。

1 階と 2 階ヴォリュームのズレが、つながった廊下に 部分的な表情をつくり、空間の連続性を生む。


おもちゃの こもれびの 部屋 部屋

ビリーズメント ケア

談話スペース

スタッフ室

「2 階廊下」 広い廊下が “ 家 ” の間を縫っていく、仕上げの変化によってシークエンスが引き立つ

あじさいの部屋

すずらんの 部屋

もみじの部屋

ちいさな部屋

EV

ひかりの部屋

おおきな部屋

こどもホスピス 2 階平面図 S=1/200

「1 階吹き抜け広場」 遊びの庭へつながる、室内遊びと外遊びの連続性

0

1,000 5,000

10,000

20,000

B-B' 断面図 S=1/400 13


屋根と庭が織りなす 集合住宅

こどもホスピスの屋根との連続性を保持しながら木質ルーバーに よって周囲の緑に呼応する屋根をもった、集落である。 敷地東側の公園から引き込んだ緑を、こどもホスピスと共有する庭と して再構築する。 庭を各住戸に小さな庭として取り込み、垣根としてのルーバーを介す ことで、隣人との気配を感じられる。 共有廊下としての縁側のような空間は、住民の交流、アクティビティ を喚起する。

「共有のテラス」 各住戸へのアプローチとであり、住民の同士のコミュニティを育む場でもある

a

最高高さ

RFL

2FL

1FL

14


地域に開かれた コミュニティ・スクール、商業空間

地域運営でのノン・フォーマル教育の場としてコミュニティ・スクール を設計する。 庭と縁側によってこどもホスピスや集合住宅と繋がりをもち、患児やそ の家族、住民が利用できる。 周辺地域からも人を引き込み、こどもホスピス、集合住宅が都市とつな がる懸け橋となる施設である。 南面ファサードは都市に対して軒をつくり、名古屋城に呼応した景観を つくる。

商業空間ファサード 都市に対して軒をつくる

南面立面図 S=1/400

15


Project . 02

FOREST OF TIME #StockholmCall: International Competition for Stockholm Workshop Center

Program : 美術館・研究機関(木工文化を伝承するストックホルムワークショップセンター) Location : Gamla Stan , Stockholm , Sweden

Grade : 修士 1 年

ストックホルム市を構成するマラレン湖の 14 の島々は、スウェーデンの首都を物語を語る 700 年の歴史を保持している。 19 世紀後半の建物、ゴシック様式の教会、公園は、建築と自然が完璧に調和して共存するヨーロッパの首都の特徴である。 メトロラインは芸術の場。その中には地下鉄の路線があり、各駅はそこに展示されている地元のアーティストの作品を発見 する瞬間を生む。 職人とデザイナーは地元の伝統、特に旧市街を構成する中世の通りが魅力のガムラスタンの維持に貢献 している。「ストックホルムワークショップセンター」は、木工文化の拠点としてガムラスタンの一角に建設され、地区全 体の文化的発展に貢献する。 木工研究所と展示エリアは、訪問者に新しい交流の場を提供する。 境界線上の本計画は、町 と海岸間の接続となるアーキテクチャである。

16


17


L CA

LO

INTEGRATING CONTEXT Arches and Gables ストックホルムの物理的背景は、地上のアー チとスカイラインの切妻によって特徴付け られる。 ガムラスタンを歩いていると、中 世の時代を彷彿とさせる様々なアーチに出 会う。市庁舎のアーチ型の吹き抜けは、海 につながる公共空間の象徴である。 ガムラスタンでは切妻も非常に印象的であ

IS

AX

SITE

Forming Quarter ストックホルムワークショップセンターの プログラムは、サイトの規模に比べて比較 的小規模である。 ただし、敷地内に所室を 広げる代わりに、木材加工室と展示室を垂 直に積み上げ、主要道沿いの敷地の北東の 角に区画を形成する。 工房と展示室は垂直 に積み上げられているが、空間同士は互い に関係をもちつながっている。

り、すべての切妻は形、質感、色が異なる ため、ストックホルムの長い歴史を含んで いる。 ストックホルムの街を思い起こす時、 それらのアーチと切妻が残像のように見え る。 それらのアーチと切妻のみによって生 成された図は、新しいストックホルムワー クショップセンターに適していると考えた。

Culture of wood 本提案はストックホルムのスカイラインを 表しているが、切妻は石やレンガではなく、 木で作られている。 木製の切妻は原始的な 村や田舎の建物に長く使用されているが、 都市部では決して使用されていない。 木材 の品質を維持するために CLT を活用するこ とにより、ガムラスタンのこの重要な中心 部で最初の象徴的な木造建築を提案する。

18

UR

BA

N

AX

IS


FORM AND FUNCTION 2 つの展示室は 2 つの異なる性格に分かれている。 木材加工用の 2 つの木材加工室と 2 つの展示室などの主な機能は、垂直

展示室 1 は、木材加工室 1 を囲む直線的なギャラ LABORATORY 2

階段を上ることにより、展示室 1 は展示室 2 にシー

に 積 み 重 ね ら れ、 互 い に 接 続 さ れ、 印象的な塔を形成している。 3 階の木材加工室は、文化的な学校活 動を提供し、若い世代にさまざまな スキルを伝えるために使用される。

GALLERY 2

4 階の展示室 2 は、10 × 10 m の正方形の部屋と

LABORATORY 1

レストランと本屋は1階にあり、木材加工室と展示

OFFICE

た専門家向けであり、木材加工技術 を促進するシンボルとして機能する。

各階段エリアには障害者用のエレベーターがあり、

GALLERY 1

密接に接続されている。 対して、5 階の木材加工室は登録され

クエンシャル接続されている。 他の人と同じ歩行ラインをたどることができる。

したがって、3 階の実験室 1 は線形 の展示室に囲まれ、上階の展示室に

リーであり、比較的小さな作品を展示している。

RESTAURANT

なっており、さまざまな企画展示に活用できる。 室が閉鎖されている場合も一般に開放されている。 オフィスは1階と 2 階にあり、専用階段でつながっ ている。プラントルーム、メンテナンス用のスト レージ機器、駐車場は地下にある。 オープンプラザは主に木製デッキで仕上げられ、 オープンカフェに使用される。 前面道路に面した 敷地の端と海辺はオークの木の列で囲まれ、切妻の

LABORATORIES

LINEAR AND STEPPED GALLERY

FLAT GALLERY

シルエットと同調した森林の特徴を印象づける。

WEST ELEVATION S=1/300 19


20


5F PLAN S=1/300

4F PLAN S=1/300

N

3F PLAN S=1/300

1F PLAN S=1/200

2F PLAN S=1/300 21


各切妻は CLT(Cross Laminated Timber) で作られ、アーチ型の柱と梁で支えられ ている。 各ピースは工場で事前につくら れ、現場で組み立てられる。 長いスパン と天窓は、鉄骨構造によって部分的にサ ポートされる。 22

SECTION A-A' S=1/300


Section Perspective: Stacked laboratory and stepped gallery are closely conected to each other 23


Project . 03

宙に住まう

Program : 集合住宅 Location : 愛知県春日井市松新町 勝川駅付近

Grade : 学部 3 年

Award : 愛知 10 大学合同企画展 入選 学内最優秀賞 (文化フォーラム春日井開催展覧会出展)

集合住宅の設計にあたり、敷地内を住民のみの閉ざされた空間とするのではなく、地域や公園とつながる開かれたパブリッ ク空間にしようと考えた。 建築全体をピロティによって持ち上げ、その空間は人々が出会うコミュニケーションの場となる。ピロティはコアとなる円 柱の構造体5つによって支えられており、そのコアを内側に配置することで敷地に浮いているかのような印象を与える。浮 かせたことによって生まれた空間は人や風の通り道として機能化され、高さが疎らであることで隙間を覗き込んだり上を見 上げたりと、視覚操作による空間の楽しみを演出する。 コアはトラスのフレームによって外殻を形成し、またコアから拡散していくスペースフレームによって屋根が形成され、 そのフレームに住戸が吊れ下がった構造となっている。コアの半透明のガラスから漏れる光と、屋根に設けられた幾つかの ヴォイドから落ちてくる光は、木漏れ日のように柔らかくピロティを照らす。 内部空間は、螺旋階段を中心にプランニングしている。L字型のプランにすることで全住戸の空間構成に平等性をもたせつ つ、” 空間の重心” を螺旋階段の配置によって操作し、それぞれの所室の表情を創っている。 螺旋階段を介する上下の動線を取り入れることで住戸内から様々な角度でピロティを見ることが出来る。住戸は、2層、3層、 4層の三つの規模でタイプ分けされ、単身者から核家族世帯など多様な人々が暮らせるような集合住宅を目指した。

24


25


56,090 7,000

7,000

7,000

A

F C

18,240

18,514

7,000

A

O

2,875

B

K

B’

M

A’ 6,875

7,000 52,718

26

コアとヴォイドから落ちる木漏れ日

4,800

2,200

1階平面図 S = 1/200

住戸ヴォリューム下のピロティ:緑が縫うように抜ける


7,000

7,000

A

7,000

7,000

F E

B

A

2,200

7,000

7,000

C

7,000

Two-layers

G

Three-layers

B

B’

O L

6,875

7,000

7,000

Four-layers

P

M

2,200

K

7,000

7,000

I

2,200

7,000

A’

2 階平面図 S = 1/200

ピロティの抜け感とコアから発散する光 27


A

7,000

7,000

7,000

2,075

7,000

7,000

2,200

7,000

B

C

B

D

7,000

A

H

E

G

O

I

K

J

P

L M

2,200

7,000

6,875

7,000

7,000

N

7,000

2,200

7,000

3 階平面図 S = 1/200

3,000

4,800

7,800

3,000

15,020

3,000

3,000

3,000

1,220

A’

1,220

B’

7,000

7,000

7,000

F

3,000

3,800

1,397 19,143

28

7,000

A-A' 断面図 S = 1/200

公園のようなピロティ空間


A 7,000

7,000

A

7,000

2,075

7,000

7,000

2,200

7,000

B H

F

E

Two-layers

7,000

7,000

C

G

D

Three-layers B’

J

L

2,200

K

7,000

M

Four-layers

7,000

O N P

6,875

7,000

7,000

7,000

2,200

7,000

4 階平面図 S = 1/200

10,220

3,000

3,000

3,000

3,000

1,220

1,220

A’

1,700

4,800

3,000

3,000

3,000

14,920

B

7,000

I

1,771

3,160

1,737

7,000

9,997

3,969 56,463

2,200

5,068

3,331

3,628

7,000

B-B' 断面図 S = 1/100 29


2018.2.13 - 2018.2.23

Frankfurt , Germany Poland Germany Czech Republic

Slovakia

Slovenia

Hungary

Croatia

Europe

30

Wrocław , Poland Kraków , Poland Brno , Czech Republic Bardejov , Slovakia Tokaj , Hungary Budapest , Hungary Ljubljana , Slovenia Zagreb , Croatia Dubrovnik , Croatia etc...


America Chicago

New York

Cincinnati 2019.3.3 - 2019.3.15

Tennessee

Knoxville , Tennessee Cincinnati , Ohio Chicago , Illinois New York

31


Korea

2018.8.21 - 2019.8.24

Seoul

Seoul

32


Japan

Towada

Akita 2019.9.3 - 2019.9.6

Towada , Aomori

Sendai

Akita , Akita Sendai , Miyagi

33


Project . 04

ここから、育む ―個々の拠点・拠点のここ―

Program : リノベーション Location : 愛知県春日井市 高蔵寺ニュータウン

Grade : 学部 4 年

Award : UR 賃貸住宅リノベーションコンペティション 2018 優秀賞

高蔵寺ニュタウンは、新たな若い世代への居住の魅力と全ての住民への安らぎを提供し続けるために、「ほっとできるふる さとでありながら、新たな価値を提供し続けるまちであり続けること」を目指し、平成 28 年 3 月に高蔵寺ニュータウンの 未来を創造するプラン「高蔵寺リ・ニュータウン計画」が策定されている。 コミュニティの価値とは、多世代交流による高齢者と若者の相乗効果によって生まれるものではないだろうか。 本提案では、次世代を担う若手のクリエイターや大学生を対象とし、その多様な働き方・趣味を共有できる。 “ここ”(この場所)から地域のコミュニティが育成されていく。 “ここ”(個々)の趣味は共有され、連鎖し、思いもよらない偶然の出会いが新しい日常を形成していく。 中間領域の性格を持つ “土間” は、訪れる側にも迎え入れる側にも対等な関係を感じられる場所。 コミュニティの受け皿となる土間に、性格の違う 3 種の “境界” が介入することで、空間がコミュニティを昇華する。

34


35


【 Before Renovation 】 【対象住戸】藤山台団地 愛知県春日井市藤山台 1 丁目 4-1 他 建築完成年月:昭和 43 年 5 月 住戸面積:43.33㎡

高蔵寺をはじめ全国で大量供給された 50 年前の 標準設計で ある K タイプ。 この住宅資源を活用し続けるために、住まい続けられる方と、 新しく入居される方のミクストコミュニティが誘発されるよ う、若い世代への魅力的な居住空間と新しいライフスタイル を提案する。

36

PLAN (Before Renovation) S = 1/50


【 After Renovation 】

5,880

ベッド、ワークス ペース、収納を兼

1,230

3,440

ね備えた家具。

1,210

スキップフロアによって 空間を緩やかに分節。 視線を操作する。

Private

Semi - Private

空間の性格をフレキシブルに

来客を緩やかに土間へ

シャワールーム

プライベート

ランドリー

3,100

ルーム

若者による活力の提案をするためさまざまなアクティビティが誘発されるようパブリック、セミパブリック、セミ

1,850

と招き入れる。

Semi - Public

プライベートの空間が移り変わることのできるゾーニングを計画した。

趣味としてのプライベート性とミクストコミュニティを引き込むパブリック性をもった「つながる土間」を起点と

土間を包み込む境界。

してアクティビティが拡散する。

FL +100 1,250

FL ± 0

FL +200

3,550

3,550

6,650

7,750

つながる土間

集いの居間

異なる性格の境界 境界でありながらも視線の抜ける “ 腰壁 ”、境界としての機能とショーケースとしての機能を併せ持つ

“ ウッドグリッド ”、気配を感じられる緩やかな境界の “ カーテン ” の 3 つの境界が併存する空間。

1,100

土 間 と 一 体 化 し た 空 間・ プ ラ イ ベートルームの延長・単独の休息 空間を変化する多義的スペース。

壁面から生まれる木質

2,580 土間と連続する意識を持った ベランダ。外部空間を内部に 引き込む。

4,380 5,880

フレームにアクティビ ティを導入する。 同居人との交流・地域住民との交 流の場となる。趣味の発信拠点。

活動拠点となるウッドグリッドの生成 フレームパーツを直交方向に組み、ウッドグリッドを生成する。つながる土間を囲むように領域をつくり、ミクス

PLAN (After Renovation) S = 1/50

トコミュニティを誘発する装置として様々なアクティビティを内包する。

37


多様な境界に覆われた土間の空間 視線によって抜け感が異なる

プライベートルームでのくつろぎ

2,100

1,350

2,400

200

1,050

2,450 38

2,830

Interior Elevation ( North ) S=1/50

1,350

3,370

Interior Elevation ( East ) S=1/50

950


木製グリッドのキッチン グリッドはアクティビティとディスプレイ・収納を兼ねる

集いの居間とプライベートルームのシークエンシャルな関係

2,100 200

100

2,520

850

Interior Elevation ( West ) S=1/50

100

200

Interior Elevation ( South ) S=1/50

2,450

2,100

2,100

4,180

39


「つながる土間」にはさまざまなストー リーが秘められる。 お菓子を片手に世間話をする団らんの場 となったり、学生同士集まり作業場となっ たり、自分の趣味や仕事を拡散する教室 となることもあるかもしれあい。 ときにはちょっとしたギャラリーを開い て、知人を招くこともあるだろう。

地域の小さな美術館:ギャラリーとして

誰もがみんなの先生になれる:レクチャールームとして

40


家族や知り合いとほっと一息:団らんの場として

わたしの仕事・趣味の発信地:アトリエとして

41


Project . 05

PLASTIC AS NATURAL PHENOMENON # Plastic Monument

Program : インスタレーション Location : 世界各地 Grade : 修士 1 年

プラスチック廃棄物処理方法の課題に対し、プラスチックの基本的な特性を調査し、それらの代替的かつ排他的な使用法を 見つけようとした。 プラスチック材料は世界中で広く使用されているが、プラスチックは主に何かの代替品として使用されている。多くの製品 は、軽量、低価格、制御の容易さなどの利点により、プラスチックの形で生産されている。 建築分野でのプラスチックの役割はどうであろうか。 建築材料の分野では、プラスチックにはさまざまな用途と機能がある。プラスチックには他の材料とは異なる特性がある。 プラスチックは成形が容易で軽量である。また、耐水性をもち、耐汚染性があり、光透過性であり、染色が容易である。加 えて、伸縮性があり、広範囲で、断熱性があり、接着性がある。一方で、プラスチックは気候の変化に対して脆弱であり、 耐久性に問題があるため、建築構造には適していない。 これらの背景から、プラスチックの正体を探り、構造要素としてのプラスチックの将来の可能性を開発したいと考えた。

42


Model View (Porta Ravegnana , Bologna , Italy) 43


提案するパビリオンは、3 種類の星型プラスチックの 要素で構成されている。 このパビリオンの内部空間とファサードは、隣接する 要素が常に互いに異なるという構成によって変動特性 が与えられ、したがって、互いに相対的な強度と関係 が異なう。 プラスチック製の星型ユニットの間にある中空の膜で できたセルには、典型的なプラスチックのキャラクター の柔らかさと透明度が与えられ、パビリオンの周りに 集められたプラスチックビンのダストボックスとして の役割がある。 このパビリオンを体験した時、人々は私たちが非常に 多くのプラスチック製品に囲まれていることを再認識 し、プラスチックの新しい可能性に触発されるだろう。 44


Model View (Louvre Museum , Paris , France)

45


Growth by flow line planning

46

Model View (Piazza San Pietro , Vatican)


Structural unit

PLAN

Interior View

47


Project . 06

おすそわけ / おふくわけ # ソーネおおぞね家具提案 地域の杉の活用につながる新しいデザインを

Program : ファーニチャー Location : 愛知県名古屋市北区 ソーネ ŌZONE 施設内 Grade : 修士 1 年

Award : 地域の山の杉を活かす 家具・空間提案学生コンテスト 2019 入選

名古屋市北区の大曽根住宅 1 階にオープンした「ソーネ ŌZONE(おおぞね)」。カフェ併設の資源買取りセンター「しげん カフェ」を中心に、ショップ・イベントホール、地域の相談コーナーの 5 つの機能を持っている、約 300 坪のスペースに地 域の” あったらいいな” を集めたコミュニティスペースである。 日本には「おすそわけ」という言葉がある。 他人からもらった品物や利益の一部などをさらに友人や知人に分け与えるという意味があり、「おふくわけ」とも呼ばれて いる。 ソーネおおぞねで既に行われている共有を「おすそわけ」、空間を共有することを「おふくわけ」と捉えた時、 「おすそわけ」、 「おふくわけ」のポテンシャルを引き出す家具とは何であろうか。 主役である地域住民が自分のスキルを発信・共有し、ソーネおおぞね全体を巻き込むことで新しい空間の使い方・つながり ができる。 家具を通じて多世代間の交流や、助け合っていくようなコミュニティを形成する。

48


49


+

+

■「イエガタ」という コモンモチーフ shape of house

roof

shape of house

■「イエガタ」で行われる新しい「おふくわけ」

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wall

floor

+

roof

wall

floor

ソーネおおぞねにはファサードを主として家型や切妻のモチーフが見られる。 「イエガタ」がもつ屋根・壁・床という 3 要素のうち、空間の密度を操作するツールとして屋根を抽出し、角度を多様にすることによっ て、ソーネおおぞね内の切妻と共鳴させる。 「イエガタ」がもつ親しみ・家族という単位性が多様化し、ソーネおおぞねに介入することで新しいコミュニティを発生させる。

■「おすそわけ」タイプ Case. 1

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「おすそわけ」と同義としての「おふくわけ」に新たな価値を与える。 「おふくわけ」とは < sender > による空間の共有であり、空間は共有する < receiver > の人数により拡大・縮小する。 1対1の交換もあれば、趣味を相手側に共有することでソーネおおぞね全体を包み込むような領域へと拡大させる こともできる。家具の使用目的に応じて空間の密度が変化し、周辺環境と曖昧に繋がる。 多世代交流の行われるソーネおおぞねにおいて、「おすそわけ」には従来以上のポテンシャルがあるのではないだろうか。 「おすそわけ」は大きく6つに分類され、< sender > と < receiver > の間で「もの」 、「サービス」、「お金」が相互に行き来する。 < sender > は自身のスキルを「もの」 、「サービス」として提供する。 50


250 250250 250

250 250 125 125 125 125

450 450

800 800

1,500

488 488

488 488

1,0001,000

1,8001,800

1,500

450

500

250

250

500

500

500

500

450

500

2501,500 250

500

500

1,500 500

500

1,500

1,500

[ C ] Elevation S=1/20

[A and B] Elevation S=1/20

[ C ] Elevation S=1/20 【 roof open 】

[A and B] Elevation S=1/20

578 578

222 222

キャスター GX

1,0001,000

578 578 1,0001,000

【 roof open 】

キャスター GX

ステンレス鋼製 H-29-192 ステンレス鋼製 H-29-192

500

250

250

500

500

500

500

500

2501,500 250

500

500

1,500 500

500

1,500

1,500

【 roof close 】

[ D ] Elevation S=1/20

222 222

【 roof open 】

[ D ] Elevation S=1/20

[ C ] Elevation S=1/20

[ C ] Elevation S=1/20 【 roof close 】

【 roof close 】

[ D ] Elevation S=1/20

ステンレス鋼製多 L-FS350A( ステンレス鋼製多 L-FS350A(

[ D ] Elevation S=1/20 51


ホールとカフェの間に佇む 屋根が閉ざされた状態は切妻のシルエットを強調させるとともに、ソーネおおぞねの発信源となる

ソーネおおぞね ファサード 52

ソーネショップ 地産地消・フリーマーケット

ソーネカフェ RC の構造躯体に木質の家具が挿入される


カフェでたのしみをおすそわけ ちょっとひとやすみ

ホールで発見をおすそわけ 屋根を開くとステージに早変わり

ソーネホール(イベントスペース) ソーネカフェ ソーネ資源(資源買取センター) ソーネショップ

ソーネカフェ 木質のイエガタモチーフが表情をつくる 53


Theses

+6

6

ジュゼッペ・テラーニによる コモのカサ・デル・ファッショの構成による分析

カサ・デル・ファッショ 南西立面図

+5

―空間のシークエンシャルな遷移とファサードの関係― Giuseppe Terragni's analysis of Casa del Fascio in Como

5

―Relationship between sequential transition of space and facade―

本論文では、ジュゼッペ・テラーニの作品の一つである カサ・デル・ファッショ (1928、1932-1936) を対象に、 その設計手法について読み解く。 ジュゼッペ・テラーニの作品において、デザイン手法を 最も明確に反映しているカサ・デル・ファッショに関す るピーター・アイゼンマンが行った分析をより簡略化、 可視化する。既往文献のもとカサ・デル・ファッショの 3D モデルを作成し、柱スパンにおける断面と、その間を 補完する意味においての柱スパンの中間点における断面 を抽出する。得られた各断面データを投影し重ね合わせ ることで、ファサードと断面のシークエンシャルな関係 を分析する。

+4

4

カサ・デル・ファッショ ファサード

+3

ファサードは、平面、断面およびヴォリュームとは異な る概念的な基盤を持っている。ある意味ではそれはヴォ リュームの最表面を構成する垂直な平面または断面とし て見ることができる。 このように、平面と断面に類似しているが、ファサード は異なるタイプの読みを物理的に認識できるという事実 によってその本質を保っている。 カサ・デル・ファッショのファサードの重要な性質は、 対称性と非対称性、停滞と回転、グリッドとソリッドの それぞれの反転や矛盾、3 つのテーマを含む生成プロセス の重複や読み取りの反転である。

3

+2

2

南西ファサードにおいて、アイゼンマンによる分析では、 H 型のソリッドブロックが表すようにファサードの左側 部分・右側部分ともにソリッドの性格が強調されている と述べられていた。しかし、本研究の断面分析においては、 いずれもソリッドであることに変わりはないが、ファサー ド左側部分は「線」、つまりグリッドそのものがレイヤー として重ね合わされているのに対し、ファサード右側部 分は「面」つまりグリッドの加算要素がレイヤーとして 重なっていることが確認できる。ただし、右側部分はレ イヤーが重なっていくにつれ、そのソリッドの重量性は 失われていく。 実際のファサードにおいても左側部分 は線要素のグリッド、右側部分は面要素が視認できるこ とから、南西ファサードは内部空間を順当に投影した立 面と考えられる。

+1

1

-1

( 以下略) From Southwest

54

カサ・デル・ファッショ 各ファサードとレイヤー

From Northwest

From Northeast

From Southeast

カサ・デル・ファッショ 各ファサードと断面レイヤーの抽出結果

図 3-30. カサ・デル・ファッショ 3D モデリングより抽出した断面一覧


Workshop

with The University of Tennessee

北緯 35 度/食事の生態学 #35N // ECOLOGY OF THE MEAL

メタモルフォーゼ建築のある一瞬を求めて

北緯 35 度線に沿った地域は似たような気候など多くの共通 点を持つが、その文化は驚くほど異なっている。 中部大学のある春日井市とテネシー大学のあるノックスヴィ ルは約 1 万キロ離れており、それぞれの都市は独自の文化 と慣習をもっているようにみえる。実際、2 つの都市はどれ くらい異なるのであろうか。同じ人類の一員として共通の基 盤はあるのだろうか。 われわれが共有しているかもしれない恐れや希望といった根 源的な感情を考えてみることが、デザインを始めるための重 要な一歩となるのではないだろうか。 2017 年の中部大学でのワークショップでは、テネシーの学 生に実際に茶道を経験してもらい、日米合同で現代の茶室と は何か、という課題に取り組んだ。 2019 年の「北緯 35 度/食事の生態学」と題されたテネシー 大学・中部大学合同ワークショップは、同様に参加学生全員 でバーベキューを経験したうえで、アメリカ南部を代表する 料理といってもよいバーベキューがどのような空間を生み出 すことができるのかを建築的・文化的に考察することを目的 とする。

テネシー大学との合同ワークショップでは、アメリカ文化の 一つである BBQ に対する建築を設計し、これまでの自分が 行ってきた設計プロセスとの類似点・相違点を発見したこと が大変興味深く、印象的であった。 類似点は、ブレインストーミングを行ったことである。敷地 条件やプログラム、周辺の環境や文化といった与条件に対し、 どのようにアプローチしていくのか、それぞれの考えをアウ トプットし、チームで共有、各項目の関連性を見出すことに よって整理した。 相違点は、形態の生成過程である。自分のこれまでの設計で は、周辺の屋根形状に形態を呼応させる、数学的思考による 幾何学形態の組み合わせや変形といったロジカルな手法を とっていた。しかし、今回のワークショップでは、ブリコラー ジュの手法を採用した。偶然手に取ったシャボン玉の形態を、 いかにリアルな建築の形態に落とし込んでいくのかがチーム の課題となった。ブリコラージュを辿った設計には、設計者 の思惑が垣間見える不思議な空気感を持った建築の可能性が 感じられた。

Workshop Group Member とともに

メタモルフォーゼ建築の形態スタディ

3D プリンターによる構造検討

敷地であるノリスダム横の丘陵地帯

ブレインストーミングと形態スタディより設計

55


あとがき 建築 × 白血病

高校卒業の年、18 歳。 私は、急性リンパ性白血病を患いました。 小児科へ、約一年半の入院生活を余儀なくされました。 それは、辛くも不思議な体験。 がん患者には不思議なコミュニティ意識があります。 他人であったはずなのに家族のようなどこか温かい空気感。 がんの治療中、一時帰宅をした後病室に戻ってきたときの第一声は同室の仲間への「ただいま」でした。 辛い抗がん剤治療が始まるというのに、どこからか湧き出る高揚感。 私は自分が自分ではないような感情を抱く。 でもそれは自分。 がんの自分も、もう一人の自分。 受け入れ、そして声を聴く。 ・ ・ ・ それ以来、いつでも帰ってこられるような居場所を一人でも多くの人に提供できる設計者を目指しています。 「もうひとりの自分」の感性と共に

本書 8 頁から 15 頁に掲載する「屋根を編む ―こどもホスピスがつくるまちとみどり―」は、上記の闘病経験の下に設計に取り組んだ、卒業制作作品である。

56


私らしく、僕らしく 生きていく “ 我が家 ” を 社会へ

57


THANK YOU tc19003-6032@sti.chubu.ac.jp


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