立場を明確にする 2014 年 9 月 21 日（日）に気候変動防止デモ行進「ピープルズ・クライメイト・マーチ」があると知ったとき、その日曜 日はニューヨークのパタゴニア店舗では通常営業をしないことを決めました。希望する社員がデモ行進に参加できる ようニューヨーク市内にある全 4 店舗を午後 3 時まで閉店し、私自身もデモ行進に参加することにしました。 私の祖父母は父方も母方も 1920 年代にイタリアからエリス島経由で米国に移民し、現在も親戚の大半はスタテ ン島に住んでいます。家族はハリケーン「サンディ」の影響をじかに受け、大切な場所が廃虚となるのを目撃しました。 母方の曾祖父ラフェオロ・ミチオは 10 セントの日給で地面を掘り返してニューヨーク市の街路を造る人夫でした。 あの日曜日に私たちが行進したまさにその街路は、曾祖父が他の移民たちと並んで働いた道なのだと実感しました。 彼らは子供たち、孫たちのためにより良い未来を築き、故郷と呼べる愛しい街を作りたいと願ったのです。 この国とその自由、多様性、有望さを愛した曾祖父は、気候変動を加速させる勢力に対抗するデモ行進に私が参 加することを願ったに違いありません。曾祖父は 98 歳で亡くなるまでキャッツキル山地などの自然に安らぎと孤独 を見つけ、また釣りをし、家では有機栽培で野菜を育てていました。 また、私はパタゴニアが未来の世代のために立場を明確にし、他のビジネスにも同様に働きかける必要があると 思いました。私たちは健全な地球のために立ち上がり、気候変動を最優先課題とするよう政治家に訴えたのです。 パタゴニアの環境的／社会的責任に関するこの報告書には、私たちが直面する様々な挑戦に立ち向かうために試 みたこの他の数々の取り組みを掲載しています。パタゴニアは川の復元や採鉱の阻止、絶滅危惧種の保護などを目 指して活動する草の根環境保護団体への支援を拡大しつづけ、今年は 741 団体に現金と現物支給で合計 620 万ドル を寄付しました。また 2013 年に志を同じくする責任ある企業が環境に利益をもたらす変革を支援するための「$20 Million & Change」を創設し、今日までに 650 以上の財政支援の申請が寄せられました。これまでにパタゴニアが支 援した企業についてはこの報告書でお読みいただけます。 さらに、〈ヴェリテ〉との協力でパタゴニアの提携工場を対象に包括的な外国人労働者雇用水準を開発しました。 そして「サプライチェーンにおける人身売買と戦うためのホワイトハウスのフォーラム」でこの取り組みを発表するよ うホワイトハウスに招かれました。 パタゴニアのウェアの寿命を延ばすと同時に人とモノの関わり方を変えることを目指す「Worn Wear」では、ウェ アの修理ツアーに乗り出しました。また、パタゴニア・プロビジョンには新たにフルーツバー（有機栽培の果物、ナッ ツ、種、果汁のみを使用）とツァンパ・スープ（煎った有機栽培の全粒粉と野菜を使用したシンプルなスープ）の 2 製 品が加わりました。 パタゴニアの前 CEO 兼現取締役のクリス・トンプキンスがチリのアイセン州で 10 年来創設の努力をつづけてき たパタゴニア公園がオープンしました。そして今年は、キャンペーン「ローカリズムの新たなかたち」の一環としてこ のすばらしい場所に 50 マイル（80 キロメートル）の新しいトレイルの敷設をはじめました。 この報告書が問題の深刻さを伝えると同時に問題に立ち向かうインスピレーションとなることを願っています。 ここで取り上げた多数の団体と同じく、私たちは圧力をかけつづけなければなりません。世界を破壊しようとする勢 力は止まりません。でも、私たちの抵抗も決して止まることはないのです。
ローズ・マーカリオ、パタゴニア CEO
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環境的・社会的イニシアチブ
明白なサイン 写真：Tim Davis