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小野巧真 設計作品集 2022.03


Biography

ono takuma

2000.09

静岡県磐田市生まれ

2019.03

静岡県立磐田南高校卒業

2019.04

京都大学工学部建築学科入学

Awards 三回生前期バーティカルレビュー アート建工コンペティション一次審査通過(10 選)

Interest ・音楽 ・旅行 ・街歩き ・ライブ ・サッカー ・読書

4


きっと、 ここにしかできない建築がある。 その土地、そこで育まれてきた文化、そこに生きる人々、そこで行われるプロジェクト、そして私。 建築に正解はないからこそ、ここでしかできない設計、この条件でしかできない建築。 そんなものを私はつくりたい。 それはきっとユニークなものだろうし、竣工後も長らく人々に愛されるものであってほしいと思う。

5


Content 01 - 野生の博物館

08-22

02 -足休めの書店

24-36

03 -音色の谷 04 -亞面体触媒

38-54 56-68

05 -緩衝階のある家 06 -旅の記憶

6

81-83

70-79



京大のあり方・雰囲気みたいなものが好きだ。


NO.01

野生の博物館

設計演習Ⅲ - Ⅰ 京都大学総合博物館建て替え計画 金の卵賞コンペティション出展中

ウンダーカンマとは、近世ヨーロッパの貴族の館につくられた、世界中の珍しいものを集め て陳列した部屋のことである。空間全体に様々なものが、所狭しと並べられた様子は、それ 自体が人々の驚きや好奇心を掻き立てる空間であった。 本課題では「現代のウンダーカンマー」をテーマに京都大学総合博物館の建て替えを行う。 京都大学ならではのウンダーカンマーを、この提案で少しでも実現できたらと思う。


かつて野生のなかで 「知」 と出会ったように、 利用者が自ら 「知」 を発見していく博物館。 新たな 「知」 に出会うことは、 私たちに様々な感情を呼び起し、 人生を豊かにしてく れる。 しかしながら現代では至れり尽くせり ・ 手取り足取りなものが好まれ、 「未知」 の部分 があるものは手間がかかるため排されがちである。 「未知」 に出会うことが目的といっても過言ではない博物館でさえ , 受動的 ・ 機械的 に与えらた展示物を見るためだけの空間になってはいないだろうか。 京都大学の叡知の結晶である展示物は、 それだけで驚きと発見に満ちている。 先人たちが自らの好奇心に従い、 試行錯誤しながら 「未開の知」 を開拓してきたよ うに利用者もまた、 自らの好奇心の赴くままに展示空間をさまよいながら展示物に出会 える、 そんな博物館を提案する。

10


11


計画敷地 - 京都大学総合博物館新館部分建て替え 展示のためだけでなく、保存と研究も同時に行う大学総合博物館で、多種多様な分野のコレクションが集まる。

旧館 東大路通り

スロープにより東大路通 りと校内が繋がっており 博物館新館

多くの人が通るが、閉鎖 性が強く博物館の認知度 は低い。

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01 博物館の現状 先に展示物があって、そのために適した空間がつくられる。利用者の行為もあらかじめ空間によって規定さ れている。また展示・保存・研究が分断されているためそれぞれの領域を横断した知の発見が生まれにくい。 このような空間では、新たな知に出会う喜びもなければ、想定外のモノ・コトによって発見されうる知の可 能性も失われている。

02 知を開拓していく 京都大学に所属する人の性質はよく「山であるものを探していたら、い つの間にか反対側にいて別のものを発見していた」と例えられる。この 学風を博物館に取り込むことで新たな博物館のあり方を模索する。

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作為と無作為の間 ‐幾何学空間による設計者の意図と利用者による空間の使い方のせめぎあい‐

Ⅰ 展示・保存・研究のユニット

15°ずつ開く

展示空間を仕切りつつも、次の 展示の気配も感じられる角度。

14

Ⅱ 敷地に沿うようにひだを繋いでいく

15° の倍数で繋げる

一繋ぎの空間により各展示に行き来しやすく なり、展示分野をまたいだ知の横断が起こる。

Ⅲ 高低差を与え建築として成長させる

通りからノックバックする

様々なボリュームの空間ができ 同時にそれらが緩やかに繋がる。


一階平面図

A

東大路通り

倉庫

WC

WC

倉庫 UP

受付

ユニットの大きさを変え

EV

すぎないことで、逆説的 に展示物が主役となる。 B

内と外の境界をひだにより入り組 ませ、閉鎖性を保ちつつも繋げる。

UP

利用者の行為は規定されなくなり彷徨いを許容する。

幾何学空間により設計者の意図が半ば見失われたことで

旧館

収蔵庫が見える 収蔵庫が見える Aʼ

1/500 15


二階中央内観パース

少し移動すると、見えていた展示が見えな 16


二階平面図

三階平面図 旧館へ

WC

WC

WC

テラス

UP

UP

EV

WC

EV

職員室

二 階 展 示 空 間

テラス

教授室

助教室

標本 作成室

DNA分析室 工作室

多目的室

電顕室

テラス

1/500

1/500

なくなり、新たな展示が見え始める。 17


交差していく、人・もの・こと ユニットによる小空間と一繋ぎの大空間。 そして各階を繋げる吹き抜け。 これらにより、 それぞれの居場所を確保しながら も、 人 ・ もの ・ ことが交差し新たな発見を生む。

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機械室・収蔵庫

収蔵庫が 見える

A-A' 断面パース 19


機械室・収蔵庫

20


三階踊り場から見る

展示空間から研究のインスピレーションを受ける。知の横断。 二階床スラブ下の一階展示空間

B-B' 断面パース

次々と奥の空間があらわれ、好奇心を煽る。

21


一階展示場パース南側から

ひだユニットを少しを出ると、 様々な展示が見え隠れしながら視界いっぱいに広がる。知の宝物庫、 ウンダーカンマー。 22



京都は楽しい︒つい歩き過ぎてしまい足を休めたくなる︒


NO.02

足休めの書店

設計演習Ⅱ-Ⅰ Urabn Context

京都の都心部では、数百年を引き継いで暮らす人、学びのために数年を過 ごす人、観光のために数日から数週間を過ごす人、様々な人が都市を営む。 そうした人々がそれぞれの意図で共存して使うことのできる場、比較的小 規模な Uraban Comon Space を設計する課題。


異なる背景をもつ人々が共存し、足を休められる、まちのリビングのような書店。 京都市は新旧の名所がコンパクトにまとまり、様々な魅力ある場所に 気軽に行けるまちである。 そして、京都市が「歩くまち・京都」憲章を定めていることからも分 かるように、徒歩に重きをおいた生活が営まれている。 だからこそついつい歩きすぎてしまい、足を休める場所がほしくなる。 そこで二条城と京都御所の間の住宅地にあり、住人や観光客など様々 な人が本とともに憩う Urban Common Space を提案する。

26


27


敷地分析 京都御所と二条城の住宅地で、歴史的 な建築と近代的な新しい建築が共存す る。古本屋は多いが書店が少ない。 計画地 京都御苑

丸太町通り

京都御苑

二条城 28


01 道から派生する空間・活動 京都の文化の醸成には道が深くかかわっている。その道を内部空間に取り込む。正面 通りから道が連続したような入り口部分。奥では対称的な開けた空間があり、好きな 本を手に取って伸び伸びくつろげる。

落ち着いた空間 解放感のある空間 路地性のある内部空間

回遊性のある空間構成

02 伝統的な格子の活用

町屋のファサードを参考に、ファサードにルーバーを

見えそうで見えない

取り付ける。通りからは、見えそうで見えないことに

隙間から通りの気配 が感じられる。

よって好奇心を煽られ、屋内からは、表通りがルーバー の隙間から見えることで外の気配を感じられる。また 本に直射日光があたるのをできるだけ防ぎつつ屋内に 光を取り込む役割も果たす。

本に直射日光があたるのを 防ぎつつ光を取り入れる。

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二階座席空間

30

A-A’ 断面パース


31


一階平面図

二階平面図

路地空間との狭間

A Y1 2,550

1,600

Y1

Y2

Y2

Y4 3,700

3,650

17,650

Y4

17,650

1400

UP

Y3

6,400

4,000

倉庫

UP

Y5 3,250

スタッフ ルーム

4,100

1,000 1,750

Y7

Y7 DN

Y6

1,900

Y5

Y8

Y8

A' 1,400

1,650

1,400

4,450

1,650

4,450 7,500

7,500

X1 GSEducationalVersion

32

X2

X3

X1

X5

1/150

X2

X3

X5

1/150


回遊性のある路地空間で偶発的に本と出会い、吹き抜け空間で一度腰を落ち着ける。 33


入口付近を見る

二階から一階を見る

一階や外の気配を感じながらじっくりと本を読む。

二階スラブ下

様々な空間の気配を感じられる空間の結節点。

34


一階から二階を見る

様々な空間を一望できる、路地と対称的な空間。

路地のような内部空間

格子扉により光を取り入れ、通りの気配を内側に取り込む。

奥の裏庭まで視線が通る路地の奥性が、空間と本への好奇心を掻き立てる。

35


一階吹き抜け空間

斜めスラブによる段差により、視線の向きが被りにくく、落ち着きやすい。 36



ライブは最高だ。生演奏の圧倒的な迫力はいつまでたっても忘れられない。


NO.03

設計演習Ⅲ - Ⅱ

音色の谷

バーティカルレビュー選出

四条柳馬場プロジェクト

現在建っている KYOTO MUSE とそれに隣接するビルを解体し、 小規模な音楽ホー ルを設計する課題。敷地は四条通に面しており、学生や観光客、地域住民の方々 など、年齢から目的まで様々な人々が行きかう京都の中心街にある。


これは四条河原町でしか生まれえなかった音楽空間。 音楽体験の興奮と感動には何ものにも代え難いものがある。 あの体験を京都四条河原町で行うにはどんな空間がいいだろうか。 京都河原町でしかできない空間はなんだろうか。 町家の空間構成をビル群の空間構成と重ね合わせてみる。 「過去」の空間と「今」の空間のレイヤーが時を超えて重なり合うとき 京都河原に未来の音楽空間が誕生する。

40


41


時を超え、空間のレイヤーを重ねる。 道と密接な関係にあり、日常と非日常の空間がグラデーショナルに繋がる京町家。敷地周辺では、京都 市の政策やアーケードにより「歩行者のまち」となっており、コンサートを行う非日常空間と普段使い もできる日常空間を共存させるために、京町家の空間構成をビル群のスケールで応用する。

奥庭

通り庭

座敷

SITE

× 中の間 みせ

町屋の空間構成例

42

地形のようなビル群


柳馬場通り

敷地分析 四条通りでは歩道にアーケードがかかり、ビル群 が立ち並ぶ近代的な街並みが形成されている。 一方で、南北に伸びる通りに入ると、京町家など 伝統的な建築物も残されている。

SITE

四条河原町通

町家を保全するだけでなく、未来の新しい 空間に町家の文化を取り入れ継承する。

43


音楽体験と建築がもつ聖の側面を合わせ劇場性を生む 一度人間視点を離れ、ビル群を地形と解釈し、削る。

01

02

03 ステージ

飲食店

休憩所

ホール

ショップ

大階段

44

周囲のビル群と敷地、必要面積に

町屋の空間構成をなぞるように大階

それぞれの空間用途に合わせて、

合わせてボリュームをつくる。

段を通し、空間を創っていく。

壁の傾き方向と角度を決定する。


ハレとケ、町屋の空間構成と音楽体験の移り変わり

町家においてハレとケの空 間が通り庭を介して繋がる ように、四条通りから連続 する大階段によって、都市 空間の日常からホール空間 の非日常へと移り変わって いく。

鳥瞰パース

四条通からビル群の谷間へ と人々が自然と吸い込まれ ていく。

四条通から

45


この音楽堂で実際にコンサートがあったときのことを想像しながらご覧ください。


音色の谷


A

楽屋3 楽屋2

ステージ

倉庫2

WC カフェ・劇場スタッフ室 EL EL

搬入

WC

ショップ

ショップ

A' 一階平面図 48

1/300

待ちに待ったライブ会場へ足を運ぶ。

メインホール

自然地形のような空間へ入り込んでいた。

楽屋兼レッスン室

気が付くと、近代的なビル群の街並みから

倉庫

A-A' 断面パース


49


コンサートホールまでもう少し。 ステージの演奏をBGMに一息つこう。

ステージ

もうすぐコンサートが始まる。

50

ライブが終わったら、ここで余韻に浸るのもいいかもしれない。

B-B' 断面パース


B

B' 男子WC

女子WC

UP

ステージから音が聞こえる UP

ステージ 奥庭

休憩所

U P

UP

UP

U P

スピーカー

UP

UP

UP

スピーカー

wc

wc スタッフルーム

ホワイエ EL

EL

EL UP

UP

EL

投光器(ライブビューイング)

UP

UP

UP

Cafe

1/300

BAR

三階平面図 GSEducationalVersion

EL

EL

UP

ショップ

Cafe

二階平面図 GSEducationalVersion

ショップ

WC

1/300

Book Cafe

四階平面図

1/300

51


C-C' 断面パース

ステージ

楽屋

52

楽屋


C

楽しかったライブの時間は終わってしまった。

ステージの演奏をエンドロールに日常へと帰る。

機械室

機械室

EL

EL

BAR

Book Cafe

C' 五階平面図 GSEducationalVersion

1/300 53


以上をもちまして公演を終了させていただきます。ご観覧ありがとうございました。



家にモノ多くないですか?


NO.04

亞面体触媒

モノ

設計演習Ⅳ - Ⅰ HOUSING COMPLEX

阪急京都線西院駅から約 10 分ほどにある敷地に、30 戸の集合住宅を設計する課題。 集まって住むことについて、再考する。

モノ

ノ モ


住戸ファサード

58


家にあふれかえったモノを、裏返しに纏う住宅の提案 「家の中にモノが多い」多くの人がこんな思いを抱いたこ とがあるのではないだろうか。 技術や経済の進歩により、物質的な豊かさが満たされつ つある半面、モノが内へ内へと増えていき、私たちの行 動は知らず知らずのうちに制限されている。 そこで人々の行動のきっかけ、すなわち触媒となる「モ ノの位置」を再考し、一部居室内から開放する。 これにより、溢れかえったモノで混沌としていた暮らし に変化が現れ始める。

所有するものが表に現れ、住戸ファサードがプロフィールになる。 59


対象敷地近辺は、ある意味でどこにでもありそうな駅近 くのまちであり、マンションに住む若手世帯と町屋に住 む高齢者の二極化が進んだ場所である。そこで逆に、他 の住宅などにも転用でき、まちを巻き込んで発展してい けるようなソフト面も重要視した提案をする。

SITE

60


亞面体とは

61


メゾネット型による境界のグラデーション ①

道路と一体化した公用部

公と私の中間領域にバリエーションを

住人用通路兼共用部

持たせ、その境界をつくるものとして

オープンな個室

プライベートな個室

プライベートなテラス

オープンなテラス

公用部

⑥ ⑦

亞面体を用いる。これにより、それぞ れのモノに適した場所を選択的に獲得 できる。それは同時に人々の居場所・ 関わり方の自由な選択となる。

亞面体による個室の変化 共・公用部

共用部 :モノのある場所

住人共用部

住専用通路 廊下幅を拡張し壁に亞面体を挿入 ↓

→ 汚い

62

家の中にあるモノが一部外へ移る ↓ 個室内に本当に必要なモノが残る ↓ 状況に応じて柔軟に入れ替え可能 ↓ 整理され、営みの選択肢が増える

→ 清潔


一階平面図

1/300

冷蔵庫

冷蔵庫

冷蔵庫 UP

冷蔵庫

住戸内からのみ、外からのみ、内外から取り出せると鍵のありなし見える見 えないなどの性質を亞面体に与えていく。

冷蔵庫

住戸ファサード亞面体詳細図 UP

UP

UP

UP

UP

UP

冷蔵庫

UP

冷蔵庫

UP

UP

冷蔵庫

冷蔵庫

UP

UP

構造体×意匠

冷蔵庫

冷蔵庫

冷蔵庫

冷蔵庫

UP

UP

UP

冷蔵庫

冷蔵庫

UP

3000 × 4000、6000 × 4000(㎜)の 2 種類のアーチ型亞面体を用意する。 前者を基本ユニットにして、後者を地域の人が公用部に入りやすくなるため の門として挿入する。

冷蔵庫

冷蔵庫

冷蔵庫

冷蔵庫

冷蔵庫

UP

UP

外側のアーチは、片持ち梁と してスラブや屋根を支え、水 平方向に連続性を出すこと で、のっぺりとすることを防 ぎ、一体感を生む。

冷蔵庫

冷蔵庫

UP

UP

UP

UP

UP

UP

冷蔵庫

内側のアーチは補強材とな り、亞面体の構造や素材の自 由度を高くし、人の居場所と して居心地の良い柔らかさも 生む。

UP

冷蔵庫

UP

冷蔵庫

冷蔵庫

冷蔵庫

冷蔵庫

冷蔵庫

冷蔵庫

UP

冷蔵庫

冷蔵庫

UP

UP

UP

UP

UP

UP

冷蔵庫

63 GSEducationalVersion


住戸外広場

64


洗濯機

洗濯機

洗濯機

1/300

洗濯機

洗濯機

二階平面図

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

他人同士が離れつつ繋がる。 選択的交流。

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

洗濯機

65 GSEducationalVersion


触媒として働く 亞面体は、生活の中でその位置自体が変化せずとも、モノの存在する場所の選択肢を増やす。 それにより、人々の営みの触媒として機能し、生活スタイルに合わせた行動の手助けとなる。 活力 触媒なし : 行動開始 触媒あり : 行動開始 行動し始める前 行動を終えた後

時間

66


東側立面パース

67


例えばお店と連携して スペースを圧迫していた不要在庫。

集合住宅の運営資金にもなる。

お店の PR もかねて亞面体に展示販売。

環境に優しいまちとして広告。

定価よりも安く手に入る。

人・モノが集まるサイクルとなる。

やがてまちの触媒へと 一人一人の暮らしが変化し、交差していく。や がてそれは、居住者以外の町の人々、観光客、 お店などとも交わり始める。たとえそこで直接 的な交流はなくとも、人と人とが同じ場所にい るという確かな暖かさが感じらる場所となる。 亞面体触媒により、許容量を超えたモノに振り 回される生活から、主体的にモノを活用できる ように変化する。そうして、住人から町をも巻 き込み、絶えず未来を活性化していく。 68



家の中に外の世界があったら楽しそうだ。


NO.05

緩衝階のある家

アート建工コンペティション一次審査通過(10 選)作品

コロナ禍を期に生活様式が大きく変化し、家の中での生活が見直されることになりました。 コロナ禍以前も少子高齢化、空き家問題など様々な課題が社会問題として顕在化していました。 このような背景を踏まえたうえで、 「家族や隣人と繋がりながら、新しい生活様式を楽しむ家」 を提案してください。(コンペ課題文抜粋) 計画敷地:鳥取県米子市


空間のコントラストで生活体験を繋ぐ 一階と三階の間に、 内と外、 人と人、 通りと自宅、 様々なものの緩 衝空間となる二階を設け、 選択的な繋がりを実現する住宅の提案。

72


南側外観パース 73


00

設計趣旨

01

現代の住まいの多くは、内にも外にも閉じた箱が連結されることでつくられる。閉じた領

繋がり生むための形態操作 解放感のある緩衝階を挿入

一般的な住まい

通り側のスラブを低くする

個室の機能を一階と三階に分解

域内での暮らしを強いられることで、営みの多様さは失われ、近すぎるか遠すぎるかの距離

ワークスペース

スキップフロア

感でしか人々は繋がれない。そこで二階に解放感のあるピロティとリビングを設ける。この 二階が、一階と三階、内と外、人と人とが無理のない距離感で繋がるための緩衝空間となる。 これにより、凝り固まっていた暮らしの結び目が解かれ、多様な人や暮らし、自然が無理な く溶け合うことで、繋がりが生まれ、豊かな生活が育まれる。

A-Aʼ 断面図 ਈৈ​ৈऔ

1/100

寝室 隙間なく箱が詰まり、 0 か 100 かの繋がり

一階平面図

異なるもの同士を繋げる まちの広場のような二階

緩衝階は共用部でありな がら、第三の自室となる

通りからのプライバシーが適度に保 つと同時に二階と三階で視線を通す

1/100

豪雪地帯であることを考慮した、裏庭のある南側が低くなるような片流れ屋根。 これは同時に、スキップフロアの、内部空間に変化を生む。

RFL

隣人や友人に対して、プライベート な部分を見せずに、そのままテラス に招待できる。

�� 住戸内にいながら、隣家や通りから 適度な距離感を保ちつつ、繋がる。

�間 4,500 4,50

3FL 通りに対して適度な距離感を生み出す低 い階高の一階。また隣家のベランダに対 して、同じ高さで隣接しないことで程よ い距離感を生む。

米子市の気候には、夏場は暑く、冬 場は悪天候が多いが比較的温暖であ るという特徴がある。よってピロ ティ部分を設けることで、夏の日差 しを遮り風を通し、冬の悪天候でも、 屋外空間での暮らしを楽しめる。

UP

プライベートな居室や空間である一階と三階 に対して、対称的な解放感のある空間を挟む。 狭さと広さが同居し、居心地の良さが生まれ、 階層による暮らしの変化を楽しめる。

まちリビングとして機能し、気軽に 友人や隣人をテラスに招待できる。

��

2FL UP

北側道路

A

��

リビング1

裏�

7,000 7,00

1FL

��

ationalVersion

A 階段の吹き抜けにより、二階の気配を感じる。 通りの風景が内部に引き込まれる。

5,000 5,00

2,400 2,40

3,000 3,00

A

74

視線の通り抜けにより、背活風景が通りに滲みだす。 同時に通りの風景を屋内に取り込む。

GSEducationalVersion GSEducationalVersion


・寝室と個室を緩衝空階を挟み、一階 と三階に分ける。寝室は、少し狭くて 寝るには落ち着いた空間だけど、ずっ と籠るには適さないため、一日中自室 に引きこもるなどが起きにくい。 ・個室はプライバシーを確保しつつも、 移動時には緩衝階を通るため、キッチ ンやリビングにいる家族とすれ違った り、通行人や隣人が視界に入ったりし て、適度に人の存在を感じることがで きる。 ・階によって世界が変わるような、家 の中に様々な空間を取り入れること で、ライフスタイルや心の変化に合わ せた生活が可能となる。

三階から二階を見る。スキップフロアによる、上下階の繋がり。 A‘

通りから住まいを見る。内外の暮らしが混ざり合う。

4,500

4,400

3,500

UP

A‘

4,500

DN

UP

DN

7,100

7,000

収納

二階平面図

A

1/100

7,900

3,400

7,200

1/100 三階や外部のシーンが風景として生活に取り込まれる。

75

A

A

三階平面図

A

3,500

UP

tionalVersion

直線階段により一階から三階までを繋ぐ。

GSEducationalVersion GSEducationalVersion


Version

深い軒による安心感。その時々に合わせた通りとの距離感の変化

内と外、二階と三階、隣家と自邸。あらゆるものが緩衝階により繋がり、各々が好きなことをして過ごせる ਈৈ​ৈऔ 8600

気軽に隣人や友人と繋がれるテラス

ਈৈ​ৈऔ RFL

3FL 4600

3FL

2FL 2600

2FL

1FL

1FL

北側立面図

76

1/100

GSEducationalVersion

東側立面図

1/100

一階床面積 二階床面積 三階床面積 容積率 建蔽率

122 ㎡ 133 ㎡ 122 ㎡ 126% 41%


一階断面パース

裏庭から見る

南西外観 黒と白など反対色がデザインでマッチするように、空間同士のコントラストで、多様 な空間を創りつつも、それぞれの生活が繋がる。

77


西側立面

三階断面パース

78

二階断面パース

人々の交流・繋がり


北側ファサード外観パース

79



秩父ガ浜より

NO.06

旅の記憶 趣味である旅行をしたときに感じ たことや魅力的にうつったものを ここに綴ろうと思います。

黄昏時、 境界の狭間。 時と空間の閾。

2021.09


ヘルシンキ中央図書館「Oodi」

表現と言論の自由や教育機会の均等を約束する民主主義国家。文化と 芸術を愛する国民をたたえる意図が「Ооdi」にはこめられている。

フィンランドでは外国人のはずの私が、この空間では驚くほど 受け入れられたように感じた。全ての人に平等で、赤の他人同 士が好きなことをしながら同居できる空間がそこにはあった。

今思うとこの体験が設計を志したきっかけだった。

82

2020.02


六甲山から見る夜景 暗闇が人口と自然を一体化する。 ここでは都市もまた自然の一部となっている。 それと同時に確かな人の営みも感じ、私たち人間が地球に生きていると実感する。

2020.03 83


Thank you for Viewing my portfolio

これまで、 そしてこれからお世話になる全ての人に感謝をこめて

2022.03




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