武家 C
C001 六十二間小星兜付紫絲威二枚胴具足 ¥3, 950, 000. ~ 江戸中期(18C) 総体を高貴な色と認識される紫絲で威す。精緻 作の六十二間小星兜鉢をはじめ要所を飾る鍍金金 具はすべて入念の作。 兜 鉄地黒漆塗六十二間小星兜。鉢金は高めと し先尖に形成。銅鍍金六段の八幡座を戴く。 眉庇は額金形とし、下辺に鍍金唐草毛彫の 覆輪を廻し、小菊鋲四点で留める。三光鋲で 鉢金と接合し、中鋲で祓立台(一孔)を打つ。 前立は練韋製。鏡板に下藤紋を置き、鍬形と 三丁子で飾る。吹返しは二段。絵韋を貼り鍍 金覆輪を廻し、中に家紋(下藤)を据え、上 (三)下(二)に小桜鋲を打つ。二段目は裾 板に倣う。 は鰻頭形で切付盛上板札五段 を紫 絲で毛引に威す。裾板は緋絲菱綴二段 に啄木鳥絲で飾る。 面具 鉄錆地目の下頬。脱着鼻式とし、頬の筋肉や ロ辺の皺を巧みに打ち出す。紫絲三段垂。 胴 鉄地切付盛上札とし、前立上三・後四・長 側五段とし、胸板・脇板・背板とも縁に縄 目に折る以外に何の加飾も施さず、紫絲の 毛引威を強調する。肩上には碁石頭とした 障子板を立て、小鰭(三段)と満智羅(萌葱 錦)を付す。高紐に鍍金茱萸金物を結ぶ。草 摺は練韋七間五段。 袖 練韋本小札七段の大袖。冠板は黒漆塗に鍍 金覆輪、化粧板は菖蒲韋を貼り八双金物を 打ち、紅白の水引を添わす。笄金物に水呑鐘 を付す。 三具 家地を紺地錦とし三具とも小篠式に統一す る。九本小篠籠手、小篠佩楯、十一本篠佩楯。 籠手の冠板に「明珍紀宗功之作」(左手)・ 「嘉永三年六月 吉日」(右手)の鐫銘がみら れ、三具が嘉永三年(1850)に調進されたこ とを知る。明珍宗功については嘉永壬子五 年作の総面が報告されるほかに住地も不明 で詳しい情報を得ない。三具を除く兜・袖・ 胴などについては江戸中期(18世紀)作と推 定する。 付属 紙采配、軍扇(親骨力ケ)、毛沓、受筒、具足 櫃(太鼓形一荷) 亀甲韋包着込(萩流水文 錦)
8 2