のだろう、口語的なリズムを大切にし
思うとちょっと痛い。
清水訳との違いに随分と困った記憶が
ッチと雰囲気は清水訳でしか味わえな
ある。感情移入できないのだ。あのタ そういえば、探偵と建築家、どこか似
いから何度も読み返した。
てチャンドラーの描くフィリップ・マ ーロウを実に生き生きと日本語化して てはいないか。
それほどの名訳だけど、そこまで日
それ自体が名訳である。
事務所の椅子に座って来る当てのな
一匹狼だ。
意訳や省略などをして、ひょっとした
逆に見れば、映画的な感覚でかなりの
本語としてこなれているということは、
出逢ったぼくは、一読してその文章が
飛び切り美人の秘書はいないが、バ
らフィリップ・マーロウならぬ「清水
い依頼者を待っている。
創り出す世界に魅せられてしまった。
ーボンならいつもデスクの引出しの中
二十歳ぐらいにチャンドラーの小説と
『長いお別れ』を読んだときなどはす
マーロウ」になっているのではないか、
y l e v o L y M l l e w e r a F
」(『さら
ば愛しき人よ』)を買ったのだけどこれ
い立ち「
それで、一度原文を読んでみよう思
とも思った。
にある。
はアトリエ系の事務所だけかな。
で書かれていていたが、こういう気分
渡辺武信氏も同じようなことを何処か
損をしても筋は曲げない(つもり)。
っかり嵌ってしまい、友達を誘ってカ クテルバーに行ってはギムレットを飲 み歩いたものだ。
放浪時代に、サンフランシスコで「マ ・
ーロウ マップ」なるものを手に入れて、
ったことがある。この本の中に出てく
いずれも日本語に翻訳されていて貪る
ウを主人公とする長編は七編ある。
対訳的に読んだわけではないので訳の
フィット感があったのだ。
語と日本語の差を感じさせない見事な
・
る「ビクター」のモデルになった店も
ように読んだけど、そのうち『高い窓』
正確度とか省略については意識しなか
が驚いた。そんな危惧は全くなく、英
ちゃんと載っていて、其処を訪れ、主
が田中小実昌訳(現在は清水訳もある)、
ったが、実際にはそのようなことが結
それはともかく、フィリップ マーロ
人 公 よ ろ しくテ リ ー レノ ック ス を 偲
『大いなる眠り』が双葉十三郎訳で、
小説の舞台になった場所を訪ねてまわ
んでギムレットを頼んだりもした。今
2008 TALKABOUT-7
SPRING
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