Skip to main content

国際演劇年鑑2018 ― 世界の舞台芸術を知る (Theatre Yearbook 2018 ― Theatre Abroad)

Page 36

CHINA

ASIA, AFRICA

は、次第に現代における教室の崩壊と二重写しのように演じられる。出 演者44名に対し、観客は11名という小規模な上演であったが、演出の 王翀は、今後はこうした非商業的な演劇も創作したいと述べている。

2 作に共通するのは、すでに北京人芸のレパートリーのイメージが固 定された感のある名作に、新たな生命力を吹き込んだという点である。 首都北京の演劇人と、地方劇団やアマチュアとのコラボレーションは、 これからの中国演劇界に新風を呼び込む契機となるかもしれない。 地方における上演の場 上演の場に焦点をあててみると、2017年に顕著な現象として、北 京・上海・広州といった大都市のみならず、地方都市における現代劇の 上演の機会が増えつつあることが指摘できる。大都市で制作された演 目の全国巡演も珍しくなく、また地方における演劇フェスティバルも盛 んになっており、ときには大都市では見られない演劇が地方で見られる 034

こともある。

2017年10月、演劇ファンに衝撃を与えたニュースのひとつが、天津 チエンチョン

大劇院の第二期委託運営から、銭程が代表をつとめる北京駆動文化伝 媒有限公司が撤退したことであった。銭程は、2012年に天津大劇院が 落成した後より第一期 5 年間の運営に携わり、これは民営機関が大型 劇場の管理運営に進出した最初期の例であると言われている。従来、 京劇や評劇といった伝統演劇のほうが盛んであった天津は、この 5 年 シアターフェスティバル

で海外のオペラ公演や「林兆華戯劇邀請展」などの国際的な演劇フェ スティバルを成功させ、たちまち「芸術の都」と目されるようになった。

2017年は、ポーランドの演出家クリスティアン・ルパを招き、中国の作 シー ティエ ション

酔 い ど れ の モーフェイ

家・史 鉄 生の原作にもとづく演劇『酗酒者莫非』を制作したことでも ワンシュエビン

話題となった。同作は王 学 兵が主人公莫非を演じ、6 月24日に天津大 劇院で初演され、国際的な合作の佳作として観客の支持を集めた。地 方における重要な演劇の拠点と認識されていた天津大劇院が、今後ど のような方向に向かうのか、その行方を憂える声は多い。


Turn static files into dynamic content formats.

Create a flipbook
国際演劇年鑑2018 ― 世界の舞台芸術を知る (Theatre Yearbook 2018 ― Theatre Abroad) by ITI Japanese Centre/国際演劇協会 日本センター - Issuu