谷川柑菜編 38
って。今の月9って︱︱。 私の頭の中に、今話題のトレンディドラマに主演してる女優の姿が浮かび上がった。長い手 足に小さな顔。確か、元パリコレモデルの注目の女優さんだ。 ⋮⋮ハ、ハードルが完全に上がってる! 本日の測定結果。
海人くんの思わぬ発言で、測るところが増えてしまいました。 身長151・7センチ、体重 キロ。バスト ・2センチ。加えてウエスト センチ、ヒッ プ センチ。 40
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高校入学まであと一週間。間に合うのか、私⋮⋮。 海人くん。私はどこまで頑張ればいいのでしょうか︱︱。
こんなの、勉強よりずっと難しい。
もう、何をどう頑張ればいいのか分からないよ。海人のバカ 胸のマッサージ、腕立て伏せにプラスして、小顔になるためのマッサージ、ヒップアップ体 操⋮⋮。
巨乳グラビアよりモデルって⋮⋮。
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!!
37 谷川柑菜編
なんなんだろって思っていたら、美桜が。
﹁⋮⋮ご、ごめんね⋮⋮あの、私、買い忘れたものがあるから行ってくるね。⋮⋮霧島クン、 また高校でね。柑菜、また連絡するから。ごめんね﹂ そう言って美桜は、ここで急きょフェードアウトしてしまった。 美桜、ありがとう。 ハプニング的な女の友情に感謝!
海人くんと二人きりになってドキドキしてると、空から粉雪が舞い始めた。 うっとり空を見上げると⋮⋮駅前のビルの看板に、あの時のグラビアアイドルを発見! お 酒を片手に、セクシーポーズを決めてる。 ﹁か⋮⋮海人くんって、あのアイドルのファンなんだよね?﹂ ﹁え、別に、そんなんじゃ⋮⋮﹂ ﹁へ?﹂
私の必死さに気付くはずもなく、隣にいる海人くんは呑気にカメラを覗いたりしてる。 ﹁じゃ、じゃあ、どういうのが好きなの?﹂
﹁好きなタイプ? う∼ん、どうかなぁ。どちらかっていうと、今の月9に出てる女優さん とかいいと思うけど⋮⋮﹂ なんだ、そっか。グラビアアイドルじゃないのか。
谷川柑菜編 36
︱︱って、海人くん
わわ、海人くんだ。 ﹁谷川 北原も。どうした、二人とも?﹂
﹁海人くん!﹂ カメラのファインダーから目を離し、 目を丸くして驚いている海人くんが。 思わず駆け寄ると、
!?
﹁ふぅん⋮⋮﹂ 変な海人くん。見ると、カメラ屋さんの紙袋を脇に抱えてる。
﹁何か撮ってるの?﹂ ﹁フィルム、入ってないんだ。レンズを覗いてただけ﹂
指さして尋ねると、海人くんはなぜだかちょっと顔を赤らめた。 ﹁⋮⋮8ミリカメラってヤツ。家で見つけて﹂
﹁⋮⋮海人くんそれ、何?﹂
でも、その手にあるマニアックな感じの物体は何? うちのお父さんが持ってるビデオカメ ラとは違う。なんだかもっと古いもののように見える。
﹁エヘヘ。ちょっと買い物に。⋮⋮ご無沙汰してるね﹂ 久しぶりに見る海人くんは、春休み前に比べてちょっとだけ大人びて見えた。背も、ちょっ とだけ高くなったような⋮⋮。
!?
35 谷川柑菜編
もらうためには、このくらい分かりやすい格好でなきゃ。
﹁試しに美桜も着てみない?﹂ 戸惑う美桜を試着室に引っ張り込むと、ぴったりしたニットのミニワンピースを着せてみる。
そして鏡に映った美桜の姿に、私は思わず息を呑んだ。 美しく盛り上がった谷間。そこに、少しウェーブがかかった茶色い髪が影を落としてる。く びれたウエストから広がる、カーヴィなお尻。ちょっとむっちりしてる太もも。 美桜、凄いよ、グレイトだよ。親友ながら、見惚れてしまうよ。
﹁⋮⋮ヤダ、もう、恥ずかしい。柑菜、着替えるよっ﹂ 照れまくる美桜は、すぐに元のダボッとしたセーター姿に戻ってしまった。いつも自分の体 型を隠すような服を着てるけど、ホントは、こういう格好が似合う子だったんだ。
フクザツな気持ちになりながら、美桜が脱いだワンピースをそのまま購入する。
いいの。いずれ私も、こういうのが似合うような女の子になるの。 ﹁私も美桜みたいに髪の毛伸ばそうかなぁ。高校生になることだし、パーマかけたり⋮⋮ねね、 どう思う?﹂
﹁う∼ん、柑菜は今のままが可愛いと思うよ。今のショートヘア、凄く似合ってるし﹂
﹁そうかなぁ﹂ うだうだ言いながら軽井沢駅に向かうと、駅前で、カメラを手に何やら撮影している少年
谷川柑菜編 34
自分の恋すら、ままならないっていうのに⋮⋮。 今日は寝る前に腕立て 回、体操 分、マッサージ 分。 身長151・4センチ、体重 ・2キロ、バスト ・2センチ。 39
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ドバイスをくれる。でも、いいの。鈍感な海人くんに意識して 美桜なりに気を遣いながらア
﹁う∼ん、いいんだけど、柑菜はなんていうのかな、こう⋮⋮もうちょっと清純っぽい方が、 似合うと思うんだけどな⋮⋮ちょっと背伸びしてるっていうか⋮⋮﹂
勇気を出して、足を踏み入れてみる。 だけど、体に沿うデザインの胸元の大きく開いたワンピースを試着した私を見て、美桜は小 首をかしげた。
海人くんの理想の女性に一歩でも近付くため。まずは、ファッションから変えなきゃ。 デパートで、これまで素通りしてたギャル系のお店。
高校合格のご褒美に、洋服を買いにやって来たのだ。 これまではお母さんの勧める可愛いらしいお洋服で通してきたけど、来週にはもう高校生。
○三月二十四日 今日は美桜と、軽井沢へショッピングへ。
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33 谷川柑菜編
﹁そうねぇ。お母さんも、高一くらいで成長止まったのよねぇ。柑菜はお母さん似かもしれ ないわね﹂ ﹁⋮⋮私、ずっと、このままなのかなぁ﹂ どんよりとなる私に、お母さんは笑いながら、 ﹁大丈夫よ、柑菜。それはそれで需要があるんだから。心配ないさ∼﹂ ライオンキングの真似をして歌うお母さん。 そんな需要、いりませんから∼。 今日は腕立て 回、バストアップ体操 分、マッサージ 分。 身長151・5センチ、体重 ・4キロ、バスト ・2センチ。 39
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全く、女の子をフリまくるのは構わないけど、私にまで迷惑かけないでほしい。 私は哲朗にフラれた子の苦情係じゃないんだから。
なにって、哲朗のことだ。 元・クラスメイトの由香から泣きながらの電話を受けた私は、哲朗の元へ抗議に向かった。
○三月二十日 今日の私はちょっとだけ怒ってる。
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谷川柑菜編 32
身長151・4センチ、体重 ・5キロ、バスト ・2センチ。 71
﹁ねぇ、お母さん。私、ホントにこれからも背が伸びると思う?﹂
畦道に落ちる二つの影の大きさが殆ど変わらないことに不安になり、 月明かりに照らされ、 思い切って尋ねてみる。
帰り道、並んで歩きながらお母さんが言う。 小諸の女性らしく、うちのお母さんは面倒見が良くて世話好きだ。そういうところは私も似 たのかな、と思う。ついでにスタイルも似てしまったけど。
﹁霧島さんは近くに親しい親類もいないし、こういう法事の時大変でしょう。だからこそ、 地域の人で助け合わなきゃね﹂
会えるかな、と淡い期待をして行ったけど、出てきたのは七海さんだけだった。 一年前の霧島のお婆ちゃんのお通夜のことは、今でも良く覚えてる。弔問客に頭を下げなが ら凛と佇む海人くんの姿が、目に焼き付いて離れない。
明日、法事が行われる海人くんの家に、お料理の差し入れ。 お重の中には、私も作るのを手伝った海苔巻きやお煮しめ、野沢菜なんかが詰められてる。
○三月十六日 今日はお届け物をするというお母さんにくっついて、霧島家へ。
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31 谷川柑菜編
あーあー、またやってる。今年に入って何度目だろ? 私はちょっと白けた気持ちになって、 来た道を引き返した。 そういえば。この間はさすがにビックリした。
あれは卒業式の数日前。 放課後の教室に忘れ物を取りに戻った私は、その日も同じように哲朗が告白されてるシーン に遭遇した。それだけじゃもう驚かないけど、その相手は、なんと学年一の美少女と名高いC
組の鈴木さんだったのだ。失恋後に彼女が流した完璧なまでの一粒の涙に、 ついウットリ見入っ てしまったっけ。 全く、どんだけ敷居が高いんだ、哲朗は。 ⋮⋮と。そんなことを考えていたら、イヤな予感が頭をよぎった。
もし⋮⋮もし、巨乳の女の子に告白されでもしたら⋮⋮。
今日のホワイトデー、お返しを受け取るついでに、海人くんに告白する子がいたとしても、 不思議じゃない。海人くんは哲朗みたいに女子の注目は浴びてないし、って油断してたけど、
一瞬浮かんで、私は慌てて頭を振った。 鼻の下を伸ばしてる海人くんの顔が 高校入学まであと二週間。焦りが加速する。 お風呂上がりに腕立て 回、マッサージ 分。牛乳1リットル。 20
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谷川柑菜編 30
けになった。見れば見るほど、つんと上向きのカタチの良いバストが羨ましい。
﹃?﹄という顔をする美桜に、思い切って訊いてみた。 私の熱い視線に気付き、 ﹁美桜って、本当に胸おっきいよね。なにか特別なことしてる?﹂ ﹁えっ? ⋮⋮え⋮⋮えっと⋮⋮﹂ 私の突然の質問に戸惑い、赤くなる美桜。
﹁えっと、特に何も、してないよ。うちはお母さんがおっきいから、遺伝かなぁ。⋮⋮あ、でも、 あんまりブラジャーとかで締め付けないようには、してるかな。あとは特に⋮⋮﹂
遺伝という言葉を聞いて、ガクッとなる私。 うちのお母さん、あんまりグラマラスな方じゃない。どちらかというと小柄でスレンダー。 お父さんはお母さんのそんなところが可愛い、ってよくノロケるけど⋮⋮。
美桜が帰ったあと、ヒマを持て余した私は、幼馴染みの哲朗に手作りお菓子を自慢する事を 思い付いた。
やるのだ。 いつも私のこと女の子らしくないってバカにしてるから、見せつけて 焼きたてのマドレーヌを手に、近所の哲朗の家へ向かう。 ところが。 哲朗のマンションの前で、哲朗が女子から告白されてる姿を目撃。
29 谷川柑菜編
﹁柑菜はこれからまだまだ背が伸びるから、大きめに作っておいたほうがいいのよ﹂ と、お母さん。 ﹁お嬢様はこれからが成長期ですからね﹂
と、店員さん。 なんだか色々と納得いかないけど、これから背が伸びることを祈って、ママたちの意見に従 います。 そして今日から、牛乳の量を増やします。
今日は腕立て 回、バストアップ体操 分、マッサージ 分のメニュー消化。 身長151・5センチ、体重 ・2キロ、バスト ・2センチ。 ○三月十四日
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寂しいので、自家に美桜を招いてお菓子作り教室を開催。 マドレーヌの作り方を教わりながら、不謹慎にも、私の目はエプロンの下の美桜の胸に釘付
今日は、ホワイトデー。本来なら。 だけど今年のバレンタインは受験のため、チョコ作りを諦めた。だから当然、お返しももら えない。
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谷川柑菜編 28
入学まであと一ヶ月足らず。 それまでに私、谷川柑菜は、大人になります。 そして入学式の日、海人くんをドキッとさせてやるんだから。
今日は寝る前に腕立て 回、バストアップ体操 分、マッサージ 分のメニューを消化。 身長151・4センチ、体重 ・2キロ、バスト ・2センチ。 39
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そう言う店員さんに促され、ドキドキして鏡の前に立つと⋮⋮何かヘン。 ような⋮⋮袖が長すぎ なんだか⋮⋮スカートが長いような⋮⋮ブレザーの胸元がガバガバな るような。これじゃ、完全に制服に着られちゃってる。可愛くない!
採寸を済ませたあと、お店の人に既製品を試着させてもらうことに。 ﹁大体の仕上がりのイメージはこういった感じとなります﹂
小諸学園は制服の可愛さでもポイントが高い。 お洒落なエンブレムがついたグレーのジャケットに、学年ごとに色が違うリボン。ベージュ のベスト。リボンの色、本当は赤が良かったけど、今年は青色。これだけは仕方ない。
○三月九日 今日はお母さんと松本のデパートへ制服の採寸へ。
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27 谷川柑菜編
本日の測定結果。身長151・4センチ、体重 キロ、バスト センチ。 前年比、バスト+0・8センチ。 私の女の子のお祭りは、まだ遠い⋮⋮。
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あの後の地獄の三日間特訓が効いたのかしら。実行して良かった。 海人くんと、同じ高校に通える。
ホント、入試直前の模擬試験で、海人くんだけ合格圏外の判定が出た時にはどうしようかと 焦ったけど。
ぱり嬉しそうだった。
私と美桜は手を取り合って喜び、海人くんは合格が信じられないみたいで、何回も受験票と 掲示板を見比べては、私たちを笑わせた。哲朗は﹁腐れ縁だな﹂なんて毒づいてたけど、やっ
会場で海人くんと哲朗と落ち合い、いざ、掲示板へ。 結果は⋮⋮なんとなんと、四人とも合格!
○三月六日 今日は、小諸学園の合格発表の日。 小諸駅で美桜と待ち合わせして、発表会場へ向かう。
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谷川柑菜編 26
﹁ああ、キテる﹂ 哲朗ばかりでなく、海人くんもデレデレしてて!
血の気が一気に引く音を、リアルに聞いてしまいました。 ヨロヨロと自分の席に戻ると、それに気付いた美桜が心配そうに尋ねてくる。
﹁どうしたの、柑菜? 顔、真っ青だよ﹂ 顔を上げると、セーラー服の上からでも分かる、美桜の大きなおっぱいラインが目の前に。 思わず自分の胸に手をやると、Aカップの薄い肉感が手の平に広がって。
あの時の悲しさといったら⋮⋮ホントに言葉に出来ない。 そりゃ、自分は他の女子たちに比べて発育の遅いほうだと気付いてた。身長も小学校の頃か らあんまり変わってない。 でも、こんなにも自分の体型を呪った日はなかった。 海人くんは、ああいう女性が好みだったんだ。 私とまるで違う。 まるで︱︱。 その日から、私の地道な戦いが始まったの。 雑誌で見た、バストアップ体操。マッサージ。毎日の牛乳、鶏肉⋮⋮。 は一通りやってきたと思う。 胸にいいと言われること
25 谷川柑菜編
思えば半年前。 当時はショックが大き過ぎて日記にも書けなかったのだけど⋮⋮実は﹃ある事件﹄があった のです。
それは、夏休みが明けたばかりの去年の九月、ある日の昼休み。 海人くんと哲朗が肩を寄せ合い、なにやら熱心に見入っているのを見つけてしまったところ から始まった。 背中をこちらに向け、何かを隠すようにヒソヒソやってる二人。
なんか怪しい。⋮⋮女の勘が働いた私は、二人の背後からそおっと忍び寄った。 聞こえてくる二人の会話。 ﹁おい。これ、いいよな﹂ ﹁このラインっつーか、なんつーか⋮⋮﹂ ﹁ああ﹂ なんだか妙に盛り上がってる。
哲朗の日焼けした手にある雑誌からは、水着の女性が見え隠れしていて。 こっそり後ろから回り込み、二人の見ている雑誌を覗き込むと⋮⋮そこには、露出度MAX の水着姿で牝豹のポーズをとる、グラビアアイドルの姿が。 ﹁キテるよな﹂
谷川柑菜編 24
巻きにしてる海人くん、学ランのボタン全部を女子に奪われ、だらしない格好の哲朗。
みんな同じ寂しさを感じてるのか、いつもより言葉数が少ない。 どうかこの四人で、一人も欠けることなく、高校生活を送れますように。
本日の測定結果、身長151・4センチ、体重 ・3キロ、バスト センチ。 ○三月三日
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すっかり日課となったこのマッサージを始めて、はや半年。
前にテレビで見た、バストアップのマッサージ。これを何年も続けた女性は胸がAカップか 激しく感動したのを覚えてる。 らDカップになったって紹介してた。脂肪は動くんだって聞いて、
部屋で一人、もくもくとセルフマッサージに励む。 甘い香りのボディクリームを手に取り、足首から太もも、お腹を通って胸に脂肪を流す。次 は手首から二の腕、脇の下を通ってやっぱり胸に流す。
春休みに入って学校が休みなのは嬉しいけど、海人くんに会えないのは淋しいよぉ。 だけどこんな時こそ、チャンスなはず。
今日はひな祭り、女の子のお祭りの日。 家のリビングには、一人っ子の私のためのひな壇が飾られ、華やかな雰囲気。
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23 谷川柑菜編
⋮⋮考えられない。 海人くんが笑って、くだらない冗談なんかを言っている瞬間が好き。
そんな時は心がギュッと苦しくなって、眩しいものを見るような気持ちになる。 昨年、お婆ちゃんが亡くなって、海人くんが七海さんと二人きりの生活になってからは余計 にそう感じてる。
私の願いは、一つだけ。 高校生になっても変わらずに海人くんのそばにいて、その笑顔を見守り続けること。
ちょうど一年前の、中二の終わり。 私と海人くん、美桜、哲朗の四人で、同じ高校を受験する誓いを立てた。
上昇志向というか、学歴への欲が皆無の海人くんを、その気にさせるのが大変だったけど。 高校の合格発表は一週間後。もし、誰か一人でも受からなかったとしたら、もう今みたいに 会えなくなっちゃう。 いや。ネガティブなことを考えるのは、やめよう。 海人くん、私は信じるよ。
卒業式の帰り道。いつもみたいに、四人で並んで下校する。 ーラー服に身を包んだ私と美桜、寒さが苦手で、マフラーをグルグル 今日で見納めとなるセ
谷川柑菜編 22
☆Kanna Diary☆
大きなメガネのせいで表情が読み取れない、海人くんの横顔。 中一で海人くんが転校してきてから、この顔を何回ぐらい見たかな。一日に一度はその顔を 見て、元気な姿を確認するのが日課になってたから、高校で離れ離れになってしまうなんて
でも私は、クマやんが熱心に人生について語ってる間、斜め前の席の海人くんから目を離す ことが出来なかった。
た友達と離れるのは、やっぱり悲しい。
卒業式後のホームルーム、担任の﹃クマやん﹄こと熊田先生の激励の言葉に、美桜なんて涙 目になってたっけ。小諸中学校は小学校からの持ち上がり制だから、九年間一緒に過ごしてき
仰げば尊しが響く中、私、谷川柑菜は中学校を卒業した。 さすがの私でも、今日ばっかりは感傷的な気分に浸ってしまう。
○三月一日 今日は、小諸中学校の卒業式。
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谷川柑菜 編