ハーフパス (横歩)
◎ハーフパス (横歩)
ハーフパスは、進行方向側へ内方姿勢をとり、馬の 肩をやや前方に位置させたまま斜め前方へ進む運動で ある。この運動を実施するには、 「肩を内へ」、 「腰を内 へ」、斜め横歩などの二蹄跡運動が正確にできていな ければならない。馬の前肢や後肢が交差する運動のた め、内方姿勢からさらに側方屈曲を求め、両手前が均 等な柔軟性を持って動けるようにしなければならない。 ハーフパスを要求する課目では、速歩と駈歩でそれ ぞれ左右 1 回ずつ合計 4 回実施することになるため、人 馬共に確実に習得すべきである。 以下、 「ハーフパス」を調教する段階を説明したい。
ハーフパスの調教段階 【第一段階】内方姿勢の確立 ハーフパスを行う上で最も重要なことは、輪線上で内 方姿勢を確立することである。内方姿勢を充分にとれな ければ、この運動はできない。内方姿勢はどの場面で も使用するものであり、たとえ直線運動であっても、 「頭 頸のみ内へ」などの体勢をスムーズにとれなければなら
でいた方向から、姿勢はそのままで進行方向を変えてい
ない。
く。この時騎手は、内方騎座と内方脚が「騎手の柱」
【第二段階】 「肩を内へ」
であることを今まで以上に意識しなければならない。この
そして、 「ショルダーフォア」 と 「肩を内へ」を実施し、 「腰
「騎手の柱」は、内方に屈曲するために重要な「馬の
を内へ(腰を外へ)」を確実にできるようにする。これ
屈曲の軸」に必要になる。この「馬の屈曲の軸」がな
らの運動を念入りに行い、左右の柔軟性と騎手の脚に
くなることによって内方姿勢が維持できなくなり、ハーフ
対する馬の反応を得ておく必要がある。
パスの姿勢が崩れる結果となることが多い。この段階で
私は、ハーフパスの前段階として、この「肩を内へ」
は、最初に「肩を内へ」を数歩実施し、次にこの姿勢
を重要視している。「肩を内へ」の体勢はハーフパスの
を維持したままハーフパスを数歩実施し、再び「肩を内
体勢と共通しており、進むベクトルの方向を外方脚で変
へ」に戻る、を繰り返し行うことによって馬の理解を得る
えることによって、ハーフパスへと入ると認識している。
ことが望ましい。
「肩を内へ」が確実にできるようになったと判断する材 料は、収縮速歩のカダンスを失うことなく、同じ姿勢と角 度を保ち続けることができるかどうかということである。 【第三段階】ハーフパス 「肩を内へ」を数歩実施後に、外方脚と外方手綱を使っ て斜め前方へ向かって圧力を掛け、 「肩を内へ」で進ん
運動の応用
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