下町共進化

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「下町共進化」
せんだいデザインリーグ2023 PORTFOLIO ID:0035

本提案は建築を行う中で、

植物の「偶発性」に焦点を当てることで新たな可能性を見出し、 多くの歴史を積層し続けながらも、人の記憶から希薄しつつあるこの下町において「下町更新」 を提案する。

下 町 共 進 化

鳥は花の蜜に依存している一方で、花は鳥のおかげで花粉が拡散され生殖が可能である。

花であるランの視点に立てば、より効率的に生殖するために他の花よりも自分の蜜を吸ってほしい。

ランはハチドリの形(進化)に合わせ、ハチドリも花からうまく蜜が吸えるように花の形に進化していき、結果としてハチドリの嘴は長くなり、花の形は深くなった。

花の蜜をより上手く吸うことが できるように嘴が進化

ハチドリによって 花粉を拡散

より効率的に生殖するために、 ハチドリの進化に合わせ、 うまく蜜を吸えるように花の形状を細長く進化

一つの生物学的要因の変化が引き金となって別のそれに関連する生物学的要因が変化することと定義。

ランは形だけではなく、 鳥が見つけやすいと 言われている赤色に進化 ランの 蜜に依存
「共進化」
・代表的な例「ハチドリとランによる受粉」
00.「共進化」 植物・生物間のおせっかい性質
密接な関係をもつ複数の種(要素)が、互いに影響を及ぼし合いながら進化することである。

01. 背景 わたしたちと植物 - 01

01-1.「植物」との暮らし

01-2.「植物」の存在変化

02. 計画地区 文化が残る下町 神戸「駒ヶ林」

02-1.位置情報

02-2.今も残る「下町文化」と「植物」の存在

02-3.「植物」を介した地域コミュニティの希薄化

-1.フィールドワークと各敷地の選定   -2.計画地区の現状と風景

03. 問題提起 現代における「植物」との暮らし方とは

04. コンセプト 「植物の性質」を基にした空間の創出

05. プログラム 「プラント・スケール」による新たな暮らし方

05-1.「きっかけ」 植物との空間的接し方

05-2.「プラント・スケール」

SITE1. カフェ×植物 「溜まり場」の再構築

SITE2. 工房×植物 「文化」のセルフビルド

SITE3. アーティスト×植物 路地を「ロジ」に

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目次 00

01-1.「植物」との暮らし

かつてから植物は人の暮らしの「中心」で建築の「中枢」となる存在であり密接に関わってきた。

例えば、葉が生い茂り陰を落とす場所で腰を落とし、育て、四季の様相を切り取ることで植物を愛でてきた。

「葉が生い茂り陰を落とす」

「植物ごとに空間を展開」

「様相を切り取る」

人は植物とともに暮らし「育てる」ことが当たり前であり、そこに内包される「観る」「触れる」「感じる」「助く」

などの行為は植物だけでなくそれ以外のモノとの関係を築く「きっかけ」となっていったといえる。

01-2.「植物」の存在変化

植物の様相はたわいもない日々に四季という時間を与える。植物を育てているところには人が集まりコミュニティを形成する。成長するとともにその空間の認識を変化させる。

植物の存在は大きいがその他にもたらす「きっかけ」は日々の生活では見落としがちなとても些細なことである。

「植物の周りには人が集まる」

「四季という時間を与える」

「成長することで空間の認識を変化させる」

「快適さを求め植物に代わる機能を内包する」 「もう一度、過去の存在を取り戻す」

しかし「植物」の存在は建築の移り変わりととも変化にしていった。

人は建築に快適さや利便性を求めることによって植物(自然)に代わる機能を内包し、「植物」の存在を蔑ろに関わってしまっている。

「建築とは、その他の自然を排除し加工された自然に秩序を与えることで成り立つ」

この考えをもとに建築は発展していき、今になってもう一度過去の「存在」を取り戻そうとしている。

「観る」 「観る」 「観る」 「触れる」 「感じる」 「感じる」 「感じる」 「助く」 「助く」 「触れる」
背景 わたしたちと植物 01. 01

02-1. 位置情報

兵庫県神戸市長田区の一番南に位置する駒ヶ林地区。

古くから半農半漁の町として栄えてきた地域で、第二次世界大戦での神戸大空襲や阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)での大規模火災を免れ、 今なお時代を感じる古民家や商店が残る木造密集地域である。

現在の駒ヶ林の町が形成されたのは第二次世界大戦後であり、人口増加により日本各地で建築の建て増しが行われ、ここでは余っている場所に対して法律を守らずに行われた。

その結果、半農半漁としての路地、無法下での建て増しによる路地が張り巡らされた木造密集地として残り続けている。

02-2. 今も残る「下町文化」と「植物」の存在

駒ヶ林地区は半農半漁の町であったことから漁村の路地構成と農村集落の文化という特徴的な「下町文化」が今も残る。 農村ならではの植物が生活の中心であった過去を持ち、収穫した植物は日々の食糧や装飾、商店での商品となり、この町を潤した。

「ひがっしょ路地」:漁村である駒ヶ林では、この路地で漁の作業をしたりと公私入り混じった交流の場として住民に利用されていた。

路地が単なる道でなく、コミュニティを形成する重要な役割を担っていた。

・「地蔵盆」:「村を守る役割」「子供の守り神」であるお地蔵に植物(花、穀物、野菜、果物)を供え、お返しに植物(野菜、果物)をもらう。

・「おせっかい」:

他人の物事に良かれと思って首を突っ込んだり、頼まれてもいないことを勝手にやってしまう習慣がある。

・「おすそ分け」:お互いが存在を認識し、距離が近くなることで生まれる習慣。日用品に限らず様々なものをがおすそ分けされる。

▼長田神社 ▼JR兵庫駅 ▼JR新長田駅 ▼駒ヶ林地区 ▼六間道商店街 ▼ホームセンター ▼駒ヶ林東之町 駒ヶ林東之町
02
計画地区 文化が残る下町 神戸「駒ヶ林」 02.

かつての農村文化

今も残る「下町文化」と「植物」の存在

農村ならではの植物が生活の中心であった過去を持つ。

収穫した植物は日々の食糧や装飾、商店での商品となり、この町を潤した。 行事では「子供の守り神」であるお地蔵に植物を供え、お返しに植物をいただいた。 現在もその文化は残り、この町は今もなお植物が中心の暮らしが行われている。

駒ヶ林の町ではほとんどの家庭の玄関先、空き地で植物が育てられている。

その植物は、他の生物を媒介に繁殖しているのではなく、住民同士で交換され増えている。

漁村ならではの特有の路地が構成される。

この路地で漁の作業をしたりと公私入り混じった交流の場として住民に利用されていた。 路地が単なる道でなく、コミュニティを形成する重要な役割を担っていた。

02-2.
かつての住民 現在の住民 地蔵盆 かつての漁村文化 食糧 植物が中心の暮らし 路地が張り巡らされた 町並み お供え (野菜・花) 野菜・花 (子供の守り神) お供え (線香・野菜・花) お菓子 (子供の守り神) 食糧 労働 労働 下町・「駒ヶ林」 現在の住民 育てる 摘む 勝手に 間引く・水やり 頼んでいない ありがた迷惑 おせっかい
かつての住民
食糧
町並み 食糧 労働 労働 下町・「駒ヶ林」 交換し
育てる 摘む 育てる 摘む おすそ分け
かつての農村文化
かつての漁村文化
植物が中心の暮らし 路地が張り巡らされた
新たに育てる 交換し 新たに育てる
02. 03
計画地区 文化が残る下町 神戸「駒ヶ林」

02-3.「植物」を介した地域コミュニティの希薄化

近年、駒ヶ林地区では空き家が急増している。

理由として古くから駒ヶ林に住む定住者の高齢化が進み、かつて見られた賑わいのある町の風景はなくなりつつあり、それに伴い外からの移住者が少ないことが引き金となっている。 この町の特徴である「路地」は多くの歴史的積み重ねがあったことから人が並んで歩けない、傘をさせない、自転車が通行できないなど新たな移住者が満足に暮らしたい条件に満たしていない部分がある。

かつての地域コミュニティは今もこの町で暮らす高齢定住者によってかろうじて残っている。

しかし、高齢定住者の減少、路地の幅員が建築基準法に満たしていないことや木造密集地域ならではの災害時における対策からこの町の全てが否定され失われようとしている。

02-3-1. フィールドワークと各敷地の選定

1.路地(定住者の主生活路地の分析)2.建築(空き家の数と位置)3.植物(緑の分布、植物の状況) の調査を行い敷地を選定した。

調査した要因から対象敷地を3ヶ所選定する。

:空き家 :対象敷地 SITE1 SITE2 SITE3
2022年9月、3日間のフィールドワークにおいて
計画地区 文化が残る下町
02. 04
神戸「駒ヶ林」

町に開いたイベント

計画地区 文化が残る下町 神戸「駒ヶ林」

02-3-2. 計画地区の現状と風景

路地にはみ出す植物

人力解体途中の住宅

かつての面影を残す

狭すぎる幅員 そこにも植物の存在がある。

建築に内包される機能の 一部が路地に置かれる

手付かずの空地が残る

:空き家
05
02.
防災時避難空地 開けた分岐点

植物との関係性は時代の流れとそれに伴う人が建築に対して求めるものの変化によって乖離していきつつあった。

昨今の建築界隈ではこれまでの建築の在り方(不必要なものは無くし今必要なものを作る。そしてまた不必要になるというサイクル)を顧みることで、 新たな建築の在り方を見出そうとしている。

現に駒ヶ林という歴史ある文化や地形が残る地域においても、現代の私たちの生活に適していないことから大幅な改修によって今必要とされるカタチに変えようとし、 その場にある地域コミュニティに気づかないまま、知らないままに失おうとしている。

そんな時代だからこそ、地域に残るコミュニティや文化を活かし、現代を生きる住民たちによって

「植物」との暮らしを新たに育てながら外的要因によって変化を繰り返していくことがこの町における建築の在り方なのではないだろうか。

「すれ違いから始まる世間話」 「植物に集まる」 「路地と塀と軒」 「路地に干される洗濯物」 「路地にはみ出す植物」 「おすそ分け」 「おせっかい」 「地蔵盆」
・地域コミュニティの抽象的ダイアグラム化
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問題提起 現代における「植物」との暮らしの在り方とは 03.

コンセプト 「植物の性質」を基にした空間の創出 04.

「植物の性質」を基にした空間の創出

本提案は、

「駒ヶ林に残り続ける文化や人情などの要素を建築を行う上でのルールとして、 対象とする空き家の周辺に現存する植物の観察から性質を抽出し空間の増減を決定する。

「植物の性質と影響」から建築に導くことを「プラント・スケール」と定義し、

その場にあるモノを再利用しながら空間が創出し今必要とされるカタチにしていく、

「植物」と建築の新たな在り方の模索」

である。

私たちの身の回りには数多くの「植物」が存在する。

植物とともに暮らすには「育てる」ことを必要とする。

植物を種や苗木から育て、住民同士のコミュニティを育み、それに伴って建築を育てていく。

そういった、人と植物と建築が互いに影響し合い変化していくこの町の在り方を提案する。

「地蔵盆」 「おせっかい」

「植物との関わり」

「おすそ分け」

「半農半漁のまち」

「地域コミュニティ」

「下町文化」

「かつての風景」

部分的人力解体

提案建築

プラント・スケール

廃材の保存 残り続ける文化や人情

部分的人力改修 再利用 新たな在り方の模索 07

「植物との接し方」の抽出

プログラム 「プラント・スケール」による新たな暮らし方 05.

05-1.「きっかけ」 植物との空間的接し方

抽出した要素から空間を構築

おすそ分け(触れる)

通りすがる(観る)

環境を整える(助く)

手に取る(触れる)

観察(観る)

植え替える(助く)

収穫(触れる・助く)

間引く(触れる)

水やり(助く)

交換(観る・触れる)

愛でる(観る・触れる・助く)

わたしたちが日々、植物と接する行為を抽出する。

駒ヶ林における人と植物の接し方から建築時の基準となる空間を構築する。

本提案ではこの30個のプロトタイプを基準に植物と用途、場所に応じて派生させる。

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05-2.「プラント・スケール」

CASE.1 蔓性植物を基準とした「プラント・スケール」

蔓性植物とは自らの身体を支える支持組織を発達させず、他の植物(支持植物)や 支持体(岩などの自然物や建物などの人工物)に取り付き、自体の支えを得て成長する植物である。

侵食・腐食

「巻きつき」ながら成長する蔓性植物は空き家等の外壁を緑に染めていき、小さな隙間から建築内部へと「侵入」する。

建築部材・資材は蔓性植物とその他の外的要因によって腐食し改修を必要とする。

改修時、植物を駆除するのではなくその植物が与える影響に着目した建築を行う。 新たな住民による建築の機能・用途の変化から腐食している外壁を取り外し、補強を兼ねた格子壁を構築する。

蔓性植物は暖かい気温時に巻きつきながら成長することで、壁は次第に閉ざされ、直射日光を遮る。

寒い時期になると植物の成長は減速し少しづつ隙間が増えていく。

しかし、時間の経過とともに壁は風化・腐食もう一度改修を行う。

植物の性質が与える影響によって建築は短スパンでの変化を必要とする。

CASE.2 植物の様相を基準とした「プラント・スケール」

侵食・腐食

植物は四季によって色や形をかえ、時間とともに成長する。

植物が偶発的に変化することに着目し建築を行う。

住人をアーティストと設定し計画する。

アーティストは「インスピレーションを「時間」と「空間」が交錯する場で得る」

「時間」を四季による植物の変化、「空間」を植物の成長・様相によって開口や天井、スラブ高さ、空間の大・小に誘発される物として計画を行う。

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プログラム 「プラント・スケール」による新たな暮らし方 05.
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A R T I
S I T E 3
CAFE SITE1 WORK SHOP SITE2
S T

SITE.1  カフェ×植物

かつて、町全体に張り巡らされた路地やその中に点在していた「井戸」の周りで 住民同士は集まって世間話に花を咲かせていた。

その路地のほとんどが人が並んで歩けないほどの幅であるが、路地にはみ出して 植木鉢が置かれ植物を手入れする際に通りすがりの人との会話が生まれた。

井戸の周りでは魚を捌いたり、野菜を洗ったりなど日常生活を行う場であったため

生活の一部として住民同士が自然と集まる場所「溜まり場」となっていった。

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「溜まり場」の再構築

時代は流れ、上下水道が整備され井戸を使うことがなくなり、次第に「溜まり場」での会話はなくなっていった。 代わりに住居兼商いの場として「小さな溜まり場」が増えいった。

しかし定住者の高齢化とともに商いは衰退していき、住宅兼商いとして現存しているのはわずか1軒となっている。 定住者が気軽に立ち寄ってコミュニティを育む場所がなくなり、外に出る「きっかけ」がないことから路地を通っても人影を感じない殺風景な場所と化している。

外部からの移住者に力を入れているが、移住者と定住者の接点となるような場所「溜まり場」は無い。

この町の強みである「人情」(=コミュニティーの濃さ)が時間とともにより希薄化している。
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【問題提起】 「溜まり場」の喪失

カフェは現代を生きる若者から高齢者までがコーヒーを楽しみながら会話ができ、気軽に入れる場であることから 「空き家を再活用してカフェという機能を与えるのではなく、それに付随して、時代の変化とともに無くなっていった

かつての風景や路地の機能を現代に求められる空間として再構築し新たな「ロジ」としての「溜まり場」」

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Phase4

ここは住民がよく使う路地であり、 立ち話をしている。

植物の侵食 壁は腐食し改修を行う。

新たなリッタイロジの基点として 階段を拡張する。 屋根上も有効に使いたい。

誰もが気軽に集まれる場所として 再構築される。 次第に緑に囲まれ、 地区の内と外をつなぐ 緑のトンネルとなる。

次第に壁は緑に染まる。

植物の様相は 夏は涼しく、冬は暖かな空間をつくる。

少しずつ人が集まってきた。

蔓は急速に空へと伸びていく。 屋根に巻きつき、侵食した。

雨漏りが起きた。

半屋外へと改修された場所は 狭い路地との緩衝空間となった。

N SITE1 1 階平面図 S=1/100 0 910 1,820 3,640 5,460 6,370(mm) カフェ ア ト工房 コウボウロジ 玄関 玄関 周辺建物 4階建て(RC) 縁側 エンガワロジ ツルシタロジ エンガワロジ ニワロジ マキツキバ ダイニング ダイニング ダイニング リビング 洋室 キッチン キッチン 浴室 浴室 浴室 浴室 脱衣洗面 脱衣洗面 脱衣洗面 物入 クロ ゼット クロ ゼット クロ ゼット 脱衣洗面 トイレ トイレ キッチンパントリ A B ▷ 隣 へ 立 体 的 に つ な が る 溜 ま り 場 ◁ 現 風 景 を 組 み 合 わ せ る 廃 材 を 立 て か け る こ と で ◁ 蔓 が 巻 き つ く 秋 に な る と 葉 を 落 と す ◁ コ ン ポ ス ト で 土 と な る 畳 は 腐 食 し ◁ 植 物 の 住 処 と な る ▷ 既 存 構 造 部 材 を 活 用 し た 植 木 棚 ▷ 新 た に 土 壌 を 整 え る 高 低 差 の あ る 溜 ま り 場 ▷ 廃 材 を 再 利 用 し 補 強 材 と な り な が ら も 植 物 の 住 処 と な る
1階平面図 S=1/100と空間構築基準要素
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リッタイロジはお互いの 同意の上でつながる。 新たなコミュニティのきっかけとなる。

屋根上ではよりコアな コミュニティが形成される。

2軒の住民が共同で 屋根上にニワをつくる。 植物を交換し、育て合う。

上部に拡張されたペントハウスは 使いたい人が使う空間である。

かつては外においていた

「客を迎える」「くつろぐ」空間として 利用する。

住民が共同で 屋根上にニワをつくる。

地上で育った植物を 挿し枝し育てる。

寝室兼作業場 コウボウデッキ GL+4,500 GL+4 ,200 GL+4,200 GL+3,600 GL+3,100 GL+3,100 GL+3 ,400 GL+3,700 GL+3,600 GL+3,600 GL+3,300 GL+3,300 GL+4,000 GL+2,400 GL+2,400 オクジョウニワ 寝室 寝室 トイレ 物入 バルコニロジ ヤネニワ 後付けバルコニー N SITE1 2階平面図 S=1/100 0 910 1,820 3,640 5,460 6,370(mm) 周辺建物 4階建て(RC) A A’ B’ B Phase4 2階平面図 S=1/100と空間構築基準要素 ◁ 現 風 景 を 組 み 合 わ せ る 住 宅 と 住 宅 の 間 を 縫 う よ う に 伸 び る ◁ リ ッ タ イ ロ ジ 蔓 は 支 柱 に 巻 き つ き 屋 根 ま で ◁ 伸 び た 屋 根 が 侵 食 さ れ る ▷ 植 物 の 環 境 は 屋 根 上 ま で 拡 張 さ れ る 。 ▷ 蔓 は 格 子 壁 に 巻 き つ き 上 部 に 伸 び 、 垂 れ 下 が る ▷ 既 存 住 宅 に は バ ル コ ニ ー が な い ロ ジ を き っ か け に 拡 張 す る
15

Phase4 立面図・断面図 S=1/100

ヤネニワ 寝室
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01-6.「タマリバロジ」

段階的構築とエレメント

段階的構築とエレメント

01-1.「アトヅケバルコニー」

路地から少し逸れた舗装されていない裏路地である。 地域住民しか通らないため、住民たちは好きなように植物を育てる。 ここでは他の路地よりも濃いコミュニティが形成されている。

植物に集まる。溜まり場の構築。

周囲の建築分解から出た材料やsite2の倉庫に保管されている材料 を再利用し段階的に構築する。

01-5.「バルコニロジ」

01-4.「クサカベ」の侵食

×19

・間柱(新材) 幅 :45mm せい:105mm 長さ:3000mm

×46

・間柱(古材) 幅 :45mm せい:105mm 長さ:2450mm

・根太(古材)

各ユニットを構成

01-2.「シチュウ」+01-3.「クサカベ」

書斎の南側に面する外壁には「へデラ・ヘリックス」 が這っていて、長年放置されている。

劣化に伴い建築に発生した隙間を縫って蔓は成長し内部へと侵入していた。

書斎の分解。半屋外の構成。

外壁を取り払い、軸組のみを残す。

その際にでた「間柱」を再利用し「クサカベ」を構成する。

・間柱-

蔓は壁に巻きつきながら成長する。

軸組を格子状にすることで耐久性を確保する。

蔓性植物「ビナンカズラ」によって、外壁は損傷し改修が必要となる。 ここでは01-6.「タマリバロジ」の構築により半屋外空間を設ける。 そのため既存寝室がなくなり人の生活に支障をきたしてしまった。

「ギャップダイナミクス」とは生い茂った森林の中で大木が倒れることによって森の頂にぽっかり空いた穴のような 空間(ギャップ)が生まれ、暗かった森の底に陽光がさし、新たな発芽と成長が移り変わる現象である。 平面的に展開しているこの下町において、立体的に新たな空間をかつての文化を基準に拡張する。

浴室 収納 ダイニング キッチン 書斎 脱衣・洗面
01-7.「ヤネウエロジ」
トオリロジ 幅:45mm, せい:105mm, 長さ:2450mm ×6 切る 木くず
01-8.「ソラコヤ」
腐葉土
ダイニング キッチン 和室
01-4.「クサカベ」の侵食
「下町ギャップダイナミクス」
幅 :45mm せい:45mm 長さ:910mm ×94 ・柱(新材) 幅 :105mm せい:105mm 長さ:3000mm ×2 ×122 ×4 ・板(古材) 幅 :170mm 厚み:30mm 長さ:910mm ・柱(古材) 幅 :105mm せい:105mm 長さ:2000mm ×4 ・下地板(古材) 幅 :910mm 厚み:32mm 長さ:1820mm ×4 ・瓦(古材) 幅 :305mm 厚み:40mm 長さ:305mm ・間柱(古材) 幅 :45mm せい:105mm 長さ:2000mm ×10 ・根太(古材) 幅 :45mm せい:45mm 長さ:910mm ×10 切る 木くず 腐葉土
SITE1.カフェ×植物 「溜まり場」の構築 18
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SITE.2  工房×植物

駒ヶ林地区の南側にある長田港は神戸西半分の 魚市場を担うほどの一大臨海都市として栄え、

北側には広大な田畑により穀物をはじめとした食材や 植物が育てられた半農半漁のまちである。

20
「文化」のセルフビルド

半農半漁の「文化」があったことで、漁業や農業の作業動線のために路地が張り巡らされ、町の基盤を決定し、 農業文化の「おすそ分け」や「おせっかい」が住民の根本にある人情を育み、豊作祈願などお地蔵さんに対して植物備えることから 植物と人間の関係性などに反映され、この町の「伝統」となった。

しかし、現在では住民の高齢化による定住者の人口衰退が引き金となり、空き家の増加、長年放置されることによる老朽化が目立ち、

新たな移住者を募る今、再びこの町を活性化させるためにメインとなる「プログラム」が必要である。

現在、地域内では空き家が数多く目立っており、路地の幅が狭く自動車や重機が通れないことや、隣地との距離が近いために 大胆な解体ができずに放置されている。

その空き家1軒を対象に私自身が建築家として移住し、事務所兼工房として改修し地域にオープンな工房を提供する。

提案する建築は地域内で行われる些細な改修を手伝うだけでなく、前面路地に対して工房を広げていく。

誰もが簡単な改修をできるようにし、興味をもった人が少しづつ集まることで、この地域に新たなコミュニティを形成する。

この町の新たな文化となっていく。

本計画では、

建築が時系列に応じて少しづつ変化する。変化することによって住民の暮らしが変わり、既存路地に対してのアプローチも変化する。

21
かつての「文化・伝統」が希薄化している。
【問題提起】 「文化・伝統」の希薄化
その結果としてできた新たな「ロジ」は既存路地から派生し、保護する役割を担う。
【提案】 「文化」のセルフビルド

Phase4 1階平面図 S=1/100と空間構築基準要素

ここは工房。

葉と土と木くずを混ぜて腐葉土をつくる。

地域の人が小さな家具や 窓枠を作りにくる。 少しづつ人が集まる。

事務所兼工房 改修の依頼を受けながら 地域住民の日曜大工をも 手伝っている。

コウボウロジの中心には 外からきたアーティストがいる。

地域住民は家の一部を改修し 貸し工房として その人たちに貸し出す。

解体で出た廃材は一時的に 倉庫で保管され 誰もが利用できるように なっている。

22 浴室 脱衣洗面 寝室 事務所 倉庫 キッチン 木工房 家具工房 貸し工房 貸し工房 コウボウニワ コウボウロジ コウボウロジ コウボウロジ 土工房 トイレ A A’ B B’ N SITE2 1階平面図 S=1/100 0 910 1,820 3,640 5,460 6,370(mm)
▷ 新 た に 土 壌 を 整 え る 高 低 差 の あ る 溜 ま り 場 ▷ 塀 に 立 て か け た 廃 材 は 気 付 か ぬ う ち に 植 物 の 住 処 に ▷ ま ち に 開 く 「 き っ か け 」 と し て の 足 場 秋 に な る と 葉 を 落 と す ◁ コ ン ポ ス ト で 土 と な る 庭 に 、 路 地 に 半 屋 外 を ◁ つ く り だ す 。 畳 は 腐 食 し ◁ 植 物 の 住 処 と な る

Phase4 2階平面図 S=1/100と空間構築基準要素

ここでは下階で混ぜ合わせた 腐葉土を数ヶ月間干す場所。

周辺既存アパートの廊下と 接するように リッタイロジを構成する。 新たなコミュニティを形成する。

この町の建築的特徴として バルコニーが少ない。

1階を貸し工房としたことで 2階部分をロジ上まで拡張する

23 N SITE2 2階平面図 S=1/100 0 910 1,820 3,640 5,460 6,370(mm) ヤネウエロジ GL+4,300 GL+2,400 GL+3,100 GL+2,900 GL+2,900 バルコニワ ロジウエニワ ソラロジ ソラロジ GL+2,400 後付けバルコニー ツチオキバ(腐葉土)
庭 に 、 路 地 に 半 屋 外 を ◁ つ く り だ す 。 秋 に な る と 葉 を 落 と す ◁ コ ン ポ ス ト で 土 と な る ▷ 住 民 が 持 ち 寄 っ た 廃 材 は 住 民 に よ っ て 作 り 変 え ら れ る ▷ 植 物 の 環 境 は 屋 根 上 ま で 拡 張 さ れ る 。
24 滑車櫓 ヤネウエロジ ツチオキバ(腐葉土)
SITE2 B-B’断面図 S=1/100

character:私(建築家)

アトリエを開く

町の移ろい

キンモクセイ

マルバノキ

ヤマモモ

地域密着型のアトリエ として設立する。

事務所兼工房 誰でも自由に使える。

「下町工房(木)」

町更新の基盤となる植物。 植物の基盤となる土。

「下町工房(土)」

腐葉土をつくるために 屋根上に空間を設ける。

「ヤネウエ工房」

「ヤネウエ工房」へと腐葉土を 運ぶために櫓を建てる。

「滑車櫓」

前面路地は並んで歩くのがやっとな 幅員であるためそこでも作業できるように 「コウボウロジ」をつくる。

「コウボウロジ」では毎日誰かが作業をしている。

近隣住民は次第に自分の家も工房へと改修し、

共有する。「下町工房」

空き家購入

数年間、設計事務所で勤務。 その経験を経て地元の 下町更新を手掛ける。

site1「カフェ」の改修を 依頼される。「クサカベ」

site1

「アトヅケバルコニー」

ニシキギ

ビワノキ

敷地に現存する植物。

路地がコミュニティーを形成する。 「駒ヶ林コミュニティー」

玄関先や路地で植物が 育てられている。

大きな空間の改修から家具の修理など 大小を問わず工房に足を運ぶようになる。

「コウボウロジ」では日常的な行為から ここでしかできない行為へと住民の生活スタイルが 変化しつつある。

初めは地域住民だけの空間であったが、時間とともに その他の地域から人が集まっていた。 土日だけ工房を借りて工作教室をしたり、作品を展示したり…

「下町工房」では誰かと協力して 作業している。そこで工房を使わない日でも 誰かに貸すようになる。「下町貸し工房」 コマユミ

ここのロジでは季節によって いくつもの様相が見られる。

前住人が植えたものや自家・他家受粉によって自生している。

植物は葉を落とす。 地域住民は交代で掃除をし、その落ち葉を 腐葉土の材料とし循環していく。

秋には葉は赤く染まる。

その時期に沿ったものづくりを行う。

秋には葉は赤く染まる。

その時期に沿ったものづくりを行う。

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phase.3 phase.1 phase.2
(年) 2020 2019 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031 2032 2033 2034 2035 2036 2037 2038 2039 2040 2041 2042 2043 2044 2045 2046 2047 2048 2049 2050 「工房」
行動
site3 「 」 の建築を依頼される。 site3 「 」 「 」 site3 「 」 site3 「 」 「 」 site3 「 」 「 」 site3 「 」 site3 「 」
ヒュウガミズキ イロハモミジ サクラ
時系列表 植物の成長速度を基準

02-5.「ヤネウエ工房」

段階的構築とエレメント

SITE2. 工房× 植物 「文化」の文化セルフビルド

02-3.「下町工房(土)」

02-1.「下町工房(木)」

02-2.「コウボウロジ」

02-4.「クサカベ」 「下町貸し工房」

02-4.「クサカベ」 「下町工房(家具)」

02-7.「アトヅケバルコニー」

「下町工房」では木材加工での木くずや

落ち葉を土と混ぜ 「ヤネウエ工房」で 天日干しすることで腐葉土をつくり、 植物の環境を整える。

「ヤネウエ工房」には 02-6.「滑車櫓」 で運ぶ。

腐葉土は共進化を行うきっかけのひとつ であり、この町の基盤となる。 新たな「文化」をセルフビルドする。

02-6.「滑車櫓」

腐葉土をヤネウエ工房に運ぶときに 用いられる。

工房「土」 工房「木」 工房「土」 工房「木」 コウボウニワ コウボウロジ 落ち葉 木くず 腐葉土 ・柱(新材) 幅 :105mm せい:105mm 長さ:3000mm ×7 ・柱(古材) 幅 :105mm せい:105mm 長さ:2450mm ×4 ・根太(古材) 幅 :45mm せい:45mm 長さ:910mm ×42 ・床材(古材) 幅 :100mm 厚み:50mm 長さ:910mm ×125 ・柱(新材) 幅 :105mm せい:105mm 長さ:3000mm ×7 ・梁(古材) 幅 :105mm せい:150mm 長さ 910mm ×4 ・柱(古材) 幅 :105mm せい:105mm 長さ:2450mm ×30 ・束(古材) 幅 :105mm せい:105mm 長さ:200mm ×45 ・根太(古材) 幅 :45mm せい:45mm 長さ:910mm ×34 ・床材(古材) 幅 :100mm 厚み:50mm 長さ:910mm ×122 26
段階的構築とエレメント
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SITE.3  アーティスト×植物 路地を「ロジ」に

駒ヶ林地区では定住者の高齢化とともに加速している空き家増加の対策として

「アーティスト」の移住に力を入れている。

現在では数組のアーティストが半移住しており、各々が自分のアートスタイルに合うように 空き家をギャラリーなどの展示スペースとして活用している。

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ギャラリー等は常に解放しているわけではなく、年に数回程度の開催となっているため 定住者とアーティスト(移住者)が接する機会はとても少ない。

かつて、「人情あふれるまち」と言われたこの地域特有の濃いコミュニケーションのようなものは 私たちがプライベートやプライバシーを求めるがあまり薄れていきつつある。

周囲に張り巡らされている路地は、人が2人並んで歩くのがやっとな幅であり、自動車はもちろん自転車での通行も厳しい。

その空き家を移住者のアーティストが作業できるような空間に改修する。

あまりにも損傷がひどい場合は植物に空間を受け渡す。

それを補う形で全面に接道する路地に対して屋外ギャラリーやアート制作のできる空間制作し、 アーティストのインスピレーションを掻き立てる空間だけではなく、

定住者の生活動線にアートが入り込み、アーティストやそのほかの住民とのコミュニケーションを形成する場 とする。

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【問題提起】 定住者と移住者の「接点」
【提案】 路地を「ロジ」へ

Phase4 1階平面図 S=1/100と空間構築基準要素

この路地は歩くことでしか 通れない幅員である。

アーティストたちはアートの制作場を 路地にへと拡張し、

通る人がアートを身近に感じる

ロジを構築した。

住宅の間には小さなビオトープが 存在していた。

侵食されながらも調和していくように アート工房は拡張していく。

そこは通り庭のようなロジである。

少しづつ建築が変化していった結果 路地に面してアート工房が構築され

玄関は深く後退していた。

少し路地が広く感じる。

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A N SITE3 1階平面図 S=1/100 0 910 1,820 3,640 5,460 6,370(mm)
▷ 足 場 の 基 礎 と し て 路 地 に デ ッ キ を 広 げ る ▷ ま ち に 開 く 「 き っ か け 」 と し て の 足 場 ▷ 新 た に 土 壌 を 整 え る 高 低 差 の あ る 溜 ま り 場 畳 は 腐 食 し ◁ 植 物 の 住 処 と な る 秋 に な る と 葉 を 落 と す ◁ コ ン ポ ス ト で 土 と な る

Phase4 2階平面図 S=1/100と空間構築基準要素

植物の成長や様相の変化は アーティストに作品の「きっかけ」を 与える。

アートロジは立体的に拡張される。

2階部分でもバルコニーが拡張され、 そこではアーティストが自分の空間で 作品を制作している。

周辺建物 2階建て(木造)

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B’ B A’ A N SITE3 1階平面図 S=1/100 0 910 1,820 3,640 5,460 6,370(mm) アート工房 アートロジ“create” アートロジ“variation” アートロジ“share” クローゼット クローゼット キッチン ダイニング ダイニング ダイニング 寝室 寝室 アート工房(屋内) 寝室 寝室 物入 寝室
住 宅 と 住 宅 の 間 を 縫 う よ う に 伸 び る ◁ リ ッ タ イ ロ ジ 蔓 は 支 柱 に 巻 き つ き 屋 根 ま で ◁ 伸 び た 屋 根 が 侵 食 さ れ る ▷ 蔓 は 格 子 壁 に 巻 き つ き 上 部 に 伸 び 、 垂 れ 下 が る ▷ 既 存 住 宅 に は バ ル コ ニ ー が な い ロ ジ を き っ か け に 拡 張 す る ▷ 植 物 の 環 境 は 屋 根 上 ま で 拡 張 さ れ る 。
「インスピレーションは時間と空間が 交錯する場で得られる。」
32 寝室
ダイニング ダイニング

地元密着型アーティストとして 活躍し、展覧会やアート教室 などをしている。

結婚

数年前に結婚。 夫:抽象画アーティスト妻:風景画アーティスト

時々、この町の空き家を 借りて活動していた。

人情が溢れる町の 住人である。

phase.1

アートロジのはじまり

住居兼アート工房として 路地での制作を始める。 「 」

phase.2

新たに作品を生み出す場として 上部に拡張する。 「 」 「

向かいの住人(アーティスト)が 一室を改修し、自分もその他の人も 作業ができる空間をつくる。 「 」

「株分けネットワーク」によって 近隣住民がアートロジで植物を育てる。 「 」 「 」

植物の様相はアーティストに 様々なインスピレーションを与える。 「 」 「 」

phase.3

上部に拡張される空間は全て 異なる大きさ、高さになっている 「 」

アートロジで育てる植物が成長している。 「 」によって 小さな植物なのに見上げている。 「 」

空き家購入 玄関先に置かれた作品に 目を止め世間話が生まれる。

夫婦で住みながら、 工房へと改修する。

教室を開く。

地域住民がアートに触れるきっかけとなる。

アートロジでは地域住民を巻き込んで 作品をつくり出す。

アートロジでは作品を介して コミュニケーションが築かれる。

空間の 「おすそ分け」「おせっかい」が 活発になる。

イロハモミジ

キンモクセイ

エゴノキ

「アートロジ」が新たなコミュニティーを 形成する。「駒ヶ林コミュニティー」

今までとは違う、植物との関わり方を 見つける。

玄関先や路地で植物が 育てられている。

駒ヶ林の特性 町の移ろい 敷地・周辺に現存する植物。

ここのロジでは季節によって いくつもの様相が見られる。

ロジが立体的になることで、 植物がいろいろな角度で見られる。

ロジは主にこの植物たちに覆われる。 そこにアートロジは拡張される。

挿し木として新たに 植えられる。

植物のためにロジに集まり、 ロジで作品を創るために植物に集まる。

移ろいゆく植物の様相はアーティストの創造性を刺激し インスピレーションを与える。

そこまで大きくはないが、ロジの高さが 場所によって異なるため見上げている。

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「ロジ」
家族
行動 住民
サクラ カツラ ハナミズキ ナンキンハゼ ドウタンツツジ
(年) 2020 2019 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031 2032 2033 2034 2035 2036 2037 2038 2039 2040 2041 2042 2043 2044 2045 2046 2047 2048 2049 2050
character:夫婦(アーティスト)
時系列表 植物の成長速度を基準

段階的構築とエレメント

SITE3. アーティスト × 植物 路地を「ロジ」に

ここではアーティストと地域住民が 「共にアートを制作する」ロジである。

周囲に既存している植物の移ろいから 季節を認識し、アートに反映していく。

人しか通れない路地だからこそアート を介して新たなコミュニティを築いていく。

「アートロジ」は植物の様相=葉の密度変化によって構築される。

この場で観察した植物の多くは落葉樹であり、年間を通した季節の移り変わりや成長の速度など不規則な 変化をする。

「インスピレーションは「時間」と「空間」が交錯する場で得られる」

「時間」を四季による植物の移ろい 「空間」を植物の成長・様相に影響される建築として、 開口や天井、スラブ高さ、空間の大・小が決定されていく。

創造力を刺激する

03-2.「 」 03-3.「 」 03-6.「 」 03-5.「 」 02-4.「 」 02-4.「 」 02-4.「 」 02-4.「 」 03-4.「 」 03-1.「 」 ・床梁(古材) 幅 :105mm せい:105mm 長さ:1820mm ×22 ・束(古材) 幅 :105mm せい:105mm 長さ:200mm ×37 ・床材(古材) 幅 :100mm 厚み:50mm 長さ:910mm ×94 ・柱(古材) 幅 :105mm せい:105mm 長さ:1820mm ×22 ・根太(古材) 幅 :45mm せい:45mm 長さ:910mm ×37 ・床材(古材) 幅 :100mm 厚み:50mm 長さ:910mm ×4
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段階的構築とエレメント
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幼い頃から植物に囲まれた日々を過ごしてきた。

落葉するもの、紅葉するもの、開花するもの、結実するもの...

一日や一年、偶発的に変化する姿を身近に、鮮明に感じて暮らしていた。

その暮らしの中で植物と関わらないと得ることのできない私の日常が構成されていた。

節目を強制的に固定してしまうカレンダーには書けない、微妙に変動する節目の訪れ。

日々過ごしているだけでは見落としがちな植物の変化を敏感に感じていた。

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