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サステナビリティ マーケット ダイナミクス 2026年第2四半期

Page 1

リサーチ 日本 2026年第2四半期

サステナビリティ マーケットダイナミクス jll.com


エグゼクティブサマリー

1 2 2

LEEDは新築オフィス3棟を含む14件 2026年第2四半期のLEEDの取得件数は14件 で、2009年からの累計件数は406件(前期比 +3.6%)となった。CASBEE-建築は当期の有 効期限満了件数が認証取得件数を上回り、当 期末時点の有効認証件数は前期比で1.9%減少 した。CASBEE-不動産はレジデンシャルでの 取得が多くみられ、当期末時点の有効認証件 数は前期比で4.2%増加した。

WELLはオフィスでプラチナ3件 2026年第2四半期のWELLの取得件数は4件で、 当期末時点で有効な認証を有する物件は78件 (前期比+5.4%)となった。Fitwelの取得件 数は9四半期連続で0件となっている。 CASBEE-ウェルネスオフィスは当期の有効期 限満了件数が認証取得件数を上回り、当期末 時点の有効認証件数は前期比で2.5%減少した。

3

特集:WELL認証の概要と戦略的活用

主要指標*

従業員の健康 (ウェルビーイング) への対応が これまで以上に企業に求められるなか、建物 の健康性能を科学的根拠に基づいて評価する 第三者認証制度への関心がますます高まって いる。なかでも国内外で最も普及している WELL認証は、建物のハード面 (設備機能) と ソフト面 (管理運用) の評価項目がほぼ半々で あることが特徴的で、不動産・建設業以外の 事業者にも受け入れられやすい。2026年には 従来のWELL認証のうち建物のハード面/ソフ ト面に特化した項目に限定して評価する WELL Real Estate Rating/WELL Operations Ratingが新設された 。いずれも、WELL at Scale (企業等が保有/入居する5拠点以上の建 物・テナントスペースにまとめてWELL規格 を適用するアプローチ) での申請が前提だ。 WELL at Scaleを活用して複数不動産の認証 やRatingを一括取得することは、費用対効果、 業務効率、及び対外的な訴求力といった面で 優位なアプローチであり、今後の普及拡大が 予想される。

前期比+2.0% グリーンビル認証(各認証の増減率の平均)

前期比+1.0% ウェルネス認証(各認証の増減率の平均)

*LEED、WELL、Fitwelは全ランク、CASBEE-建築、 CASBEE-不動産、CASBEE-ウェルネスオフィスはB+ 以上を対象とする。 出所:USGBC, IWBI, Fitwel, IBECs


グリーンビル認証物件数の推移(認証取得年別)

Green LEEDは新築オフィス3棟を含む14件が取得 •

•

LEEDの第2四半期の認証取得件数は14件だった。 店舗のID+C (インテリア設計と建設) が6件で当 期も最多となった。また、東京、大阪、札幌の オフィス各1棟と首都圏のデータセンター1棟が BD+C (建物設計と建設) のGoldを取得した。 2009年からの累計認証件数は 406件 ( 前期比 +3.6%) となった。 CASBEE-建築 (「CASBEE-BD」) の第2四半期 の認証取得件数は21件だった。ランク別ではA が16件と過半を占めた。セクター別では物流施 設が12件と最も多く、オフィスが8件と続く。 当期に有効期限満了となった件数が認証取得件 数を上回ったため、当期末時点で有効な認証を 有する物件は505件 (前期比-1.9%) となった。

3,500

3,000

2,500

2,000

1,500

1,000

500

CASBEE-BD

出所:USGBC, IBECs 公開データをもとにJLL作成 注)グラフ上では、CASBEE-建築をCASBEE-BD、CASBEE-不動産をCASBEE-REと表記している。CASBEEの認証取得件数はB+以上を対象としている。

2021

2022

2023

2024

CASBEE-RE 2025

2026

2Q26

1Q26

4Q25

3Q25

2Q25

2Q26

1Q26

4Q25

3Q25

LEED ~2020

3

2Q25

2Q26

1Q26

4Q25

0

3Q25

CASBEE-不動産 (「CASBEE-RE」) の第2四半 期の認証取得件数は151件だった。ランク別で はAが91件で約6割、Sが59件で約4割を占めた。 セクター別ではレジデンシャルが88件と6割弱 を占め、オフィスが28件、物流施設が17件と続 く。当期末時点で有効な認証を有する物件は 3,255件 (前期比+4.2%) となった。

2Q25

•


ウェルネス認証物件数の推移(認証取得年別)

Wellness

250

WELLはオフィス3件がプラチナを取得 200

•

•

•

WELLの第2四半期の認証取得件数は4件だった。 いずれもオフィスで、うち3件はプラチナを取 得した。当期に有効期限満了となり再々認証手 続き中の1件を含めると、当期末時点で有効な 認証を有する物件は78件 (前期比+5.4%) となっ た。 Fitwelの第2四半期の認証取得件数は0件で、9 四半期連続で新規の取得がみられていない。当 期末時点で有効な認証を有する物件は5件 (前期 比±0.0%) にとどまっている。 CASBEE- ウ ェ ル ネ ス オ フ ィ ス ( 「 CASBEEWO」) の第2四半期の認証取得件数は5件だっ た。いすれもランクはSである。当期に有効期 限満了となった件数はが認証取得件数を上回っ たため、当期末時点で有効な認証を有する物件 は196件(前期比-2.5%)となった。

150

100

50

WELL 2021

出所:IWBI, Fitwel, IBECs 公開データをもとにJLL作成

4

2022

2023

2024

CASBEE-WO 2025

2026

再登録中

2Q26

1Q26

4Q25

3Q25

2Q25

2Q26

1Q26

Fitwel ~2020

注)グラフ上では、CASBEE-ウェルネスオフィスをCASBEE-WOと表記している。CASBEEの認証取得件数はB+以上を対象としている。

4Q25

3Q25

2Q25

2Q26

1Q26

4Q25

3Q25

2Q25

0


リサーチ サステナビリティ マーケットダイナミクス 2026年第2四半期

【特集】WELL認証の概要と戦略的活用 •

建物のハード面/ソフト面に特化して評価するWELL Real Estate/Operations Ratingが2026年に新設

•

WELL at Scaleの活用による複数不動産の認証/Ratingの一括取得が効率的で効果的

•

従業員が満足するオフィス環境を提供したいテナント、テナントの環境構築を支えたいオーナーの双方にメリット

国内外で取得が進むWELL認証 ESG投資の拡大やサステナビリティ開示の義務化が進むなか、 「S(社会)」の重要な要素として従業員の健康・ウェルビー イングへの対応が企業に求められている。働き方改革や健康経 営の実践において、建物利用者の健康と生産性に配慮した空間 づくりは不可欠となっており、建物の健康性能を科学的根拠に 基づいて評価する第三者認証制度への関心が高まっている。 世界で特に普及している認証制度はWELL (図表1、図表2) と Fitwelであり *1 、WELLは日本でもCASBEE-ウェルネスオフィ ス (「CASBEE-WO」) に次いで取得件数が多い 。Fitwelや CASBEE-WOは評価項目のほとんどが建物のハード面を対象と するのに対し、WELLは多岐にわたる評価項目のうち約半数が 人事規定や福利厚生、ポリシー、提供される食物の内容等いわ ゆるソフト面を対象とする点が特徴的だ。そのため、WELLは 不動産・建設業以外の事業者にとっても受け入れられやすい認 証となっている。 *1 2026年6月末時点の認証取得件数(公開データのみ、いずれも有効期限切れ 及び再認証を含む)は、WELLが計2,679件、Fitwelが2,348件と拮抗している。

図表1. WELL認証取得件数の推移 (上:世界、下:日本)

図表2. WELL認証取得件数ランキング

※ 2026年6月末時点、有効期限切れ・再認証を含む。

※ 2026年6月末時点、有効期限切れ・再認証を含む。

600

0

500

Bronze ブロンズ

400

Silver シルバー

300 200 100

Gold ゴールド Platinum プラチナ

0 30 25

Bronze ブロンズ

20

Silver シルバー

15 10 5

0

Gold ゴールド Platinum プラチナ

200

400

600

中国 アメリカ インド スペイン フランス オーストラリア イギリス 日本 オランダ イタリア カナダ ポーランド 台湾 シンガポール スウェーデン ブラジル アイルランド ハンガリー ドイツ フィンランド ■プラチナ ■シルバー ■ブロンズ Platinum ■ゴールド Gold Silver Bronze

出所:IWBI公開データをもとにJLL作成

出所:IWBI公開データをもとにJLL作成

800


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WELL認証の評価項目

図表3. WELL認証の評価項目 必須項目 (features: preconditions)

加点項目 (features: optimizations)

(1) 空気

①空気質、②禁煙環境、③換気の設計、④建設 段階の汚染管理

空気質の向上、換気の設計の強化、空気質のモニタリングと啓 発、給気の強化、微生物やカビの抑制など10項目

(2) 水

①水質、②飲料水の水質、③基本的な水質管理

水質の向上、飲料水の水質管理、飲料水摂取の促進、湿気の管 理、衛生に対するサポートなど6項目

いずれも評価項目は、10のコンセプトと、炭素排出量の開示な どを含む「イノベーション」と呼ばれるボーナス項目から構成 されている (図表3)。各コンセプトは、必ず準拠すべき必須項 目と、性能向上を図るため状況に応じて対応する加点項目に分 かれている。必須項目と加点項目 (features) を合わせると項目 数は100超にのぼり、さらに300超の小項目 (parts) に細分化さ れている。小項目には、換気、衛生、外皮性能、音環境、温熱 環境、周辺地域の状況などハード面の多岐にわたる機能が網羅 されている。同時に、小項目の約半数は、人事規定や福利厚生、 ポリシー、提供される食物の内容等いわゆるソフト面を評価す るものとなっている。

(3) 食物

①果物と野菜、②栄養の透明性

精製成分、人工的な原材料、栄養教育、責任ある食品調達、地 元の食品環境など12項目

(4) 光

①光暴露、②ビジュアル照明デザイン

サーカディアン照明デザイン、人工照明のグレア制御、昼光の 設計戦略、視覚的バランス、入居者による照明制御など7項目

(5) 運動

①アクティブな建物とコミュニティ、②人間工 学に配慮したワークステーションのデザイン

移動空間のネットワーク、敷地の計画と選択、アクティブな家 具、運動の促進、自己モニタリングなど9項目

(6) 温熱快適性

①温熱性能

温熱快適性の検証、温度ゾーニング、個別の温度制御、輻射に よる温熱快適性、湿度制御など8項目

(7) 音

①音響マッピング

最大騒音レベル、遮音壁、残響時間、吸音性のある仕上げ、最 低限の暗騒音など8項目

不動産・建設関連事業者は、建築物環境認証とは建物の物理的 機能を評価するものと捉える傾向があるため、WELL認証のソ フト面の評価項目に違和感を持ちやすい。しかし、その他の事 業者にとっては、WELL認証のソフト面はサステナビリティ開 示や従業員の定着率向上に有用なことから、むしろ受け入れや すいものとなっている。

(8) 材料

①材料の制限、②室内の有害材料の管理、③ク ロム銅ヒ素系木材防腐剤と鉛の管理

敷地の浄化、揮発性化合物の制限、材料の透明性、材料の最適 化、廃棄物の管理など9項目

(9) 心

①メンタルヘルスの促進、②自然と場

メンタルヘルスサービス、ストレス管理、回復のためのスペー ス、さらなる自然へのアクセス、喫煙の中止など9項目

(10) コミュニティ

①健康とウェルネスの促進、②統合的なデザイ ン、③緊急時のための準備、④入居者調査

家族支援、市民参加、多様性と包摂、アクセシビリティとユニ バーサルデザイン、緊急時の対応機器など16項目

WELL認証*2は、建物の健康・ウェルビーイング*3に関する性能 を評価する第三者認証である。米国の非営利団体であるIWBI (International WELL Building Institute) が開発し、2014年か ら運用されている。主として自社利用(建物全体あるいは専有 部)を対象としたWELL Certificationと、テナントビルの共用 部を対象とするWELL Coreとに分かれている。

*2 ここではWELL Building Standardを指す。 *3 ウェルビーイングは、1946年の世界保健機関憲章の「Health is a state of complete physical, mental and social well-being… (外務省訳:「健康とは、 完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり…」) を参照し、「肉体的、 精神的、社会的に良好な/満たされた状態」 等と置き換えらえることが多い。

コンセプト

WELL認証の評価項目には上記の10のコンセプトのほか、「イノベーション」という加点ボーナス項目がある。加点ボーナス項目は、教 育ツアー、WELL以外のグリーンビルディング認証取得、WELL AP (Accredited Professional) 取得者の参加、炭素排出量の開示など。 出所:IWBI、Green Building Japanの資料をもとにJLL作成


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多様化するWELLの評価ツール 「WELL認証」という場合、前頁で解説した、個別の建物やテ ナントスペースを包括的に評価するWELL Building Standard (WELL Certification、WELL Core) を指すことが多い。しかし、 それ以外の「WELL認証」もあれば *4、評価項目数の多さによ る申請者負担の軽減や社会的ニーズに応えるべく、目的や予算 に応じて特定の評価項目に限定して第三者評価 (認証とは異な るRating) を取得できる「WELL Rating」というプログラムや、 複数 の不 動産 の認 証や Ratingを 一括 取得 でき る「 WELL at Scale」というアプローチもある。 *4 WELL認証には、街区を対象とするWELL Community (2017年9月パイロッ ト版開始)と、住宅を対象とするWELL for residential (2024年1月開始) もある。

図表4. WELLの進化の流れと各ツールの特徴

「WELL Rating」は、新型コロナウィルス感染症によるパンデ ミックを契機に開発されたHealth-Safety Rating (運用・安 全 ・ 衛 生 対 策 の 評 価 ) に 始 ま る *5 。 そ の 後 、 Performance Rating (環境性能の実測評価)、Equity Rating (組織・運用の公 平性の評価) といった評価視点によるRatingが追加され、2026 年にReal Estate Rating及びOperations Ratingが運用開始と なった。 *5 2020年6月に新設されたHealth-Safety Ratingは、パンデミック下における 建物の衛生・安全性評価として時宜を得たものであり、運用開始から2年半後 の2022年12月末時点には、世界104カ国・地域で25,000件弱の取得がみられる ほど急速に普及した。詳細はJLL「サステナブル不動産への道:ビル認証編」。

「WELL at Scale*6」は、企業等が保有/入居する建物やテナン トスペースが5拠点以上ある場合、それら全てにまとめて WELL規格を適用するWELL Enterpriseと、そのうち任意に選 んだいくつかの建物やテナントスペースのみ (ただし5拠点以 上) にWELL規格を適用するWELL Portfolioとがある。企業が 多数の拠点を持つ場合、認証やRatingをまとめて取得し、組織 全体の健康・ウェルビーイングを一元的に管理できることから、 不動産・建設業に限らず多くの事業者に活用されている。 *6 WELL at Scaleは、2018年9月にWELL Portfolioとして始まり、2024年に WELL at Scaleとして再構築された。

プログラム

WELL Portfolio 開始

WELL 認証 (現在はWELL v2)

WELL at Scale

WELL HealthSafety Rating

2018年10月

WELL v1 開始

WELL v2 pilot 発表

主軸のWELL認証

WELL v2 移行

OneWELL 発表

OneWELL 開始

WELL認証

WELL Performance Rating WELL Equity Rating

2014年10月

2020年9月

2018年5月

Health-Safety 開始

2026年3月

Performance 開始

Equity 開始

Real Estate 発表

2022年11月

2026年3月

WELL Rating 出所:IWBI資料をもとにJLL作成

2020年6月

2022年2月

2026年内 (予定)

WELL Real Estate Rating (2026年~) WELL Operations Rating (2026年~)

特徴 建物全体を包括評価 (評価項目は 300超)。GRESBの複数項目で加点 となる。 運用・安全・衛生対策に特化 。短 期間で導入可能だが、恒常評価に は不向き。 環境性能の実測評価 。測定が必要 だが性能ベースでわかりやすい。 組織・運用の公平性に特化。不動 産価値には直結しにくい。 建物の設備機能 (ハード面) に特化。 オーナー向け。WELL at Scaleの 契約が前提。 建物の運用管理 (ソフト面) に特化。 オーナー向け。WELL at Scaleの 契約が前提。


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2026年新設のWELL Real Estate/Operations Rating WELL Ratingの第1弾として2020年に開発されたHealth-Safety Ratingは、不動産投資家が数十棟まとめて取得するなど急速に 普及した。その後に開発されたいくつかのRatingは取得件数が 極 め て 少 な い が 、 新 設 の Real Estate Rating と Operations Ratingは、運用開始から間もない2026年第2四半期時点で世界 全体でそれぞれ44件、43件の取得がみられ (日本はいずれも0 件)、今後の普及拡大が予想される。 Real Estate Rating/Operations Ratingは、不動産ファンドや REIT等が建物の設備機能/運用管理面の健康・ウェルビーイン グ性能を最適化し、建物の長期的価値を向上させることに貢献 すべく開発された。WELL認証評価項目のうち、Real Estate Ratingでは換気や水質の確認、自然光の確保、運動を促す設計 等のハード面、 Operations Ratingでは建物運用に関わる安全 性担保、パフォーマンスのモニタリングなど継続的な取組みを 伴うソフト面が抽出されている。 これらのRatingには次のようなメリットが考えられる。(1) 国 際的に認知度の高いWELLのサブセットであることから、テナ ントに対して建物のウェルビーイング性能を強力にアピールで きる。(2) ビルオーナーにとって重要な項目に絞って第三者評 価を取得できる。(3) ポートフォリオで不動産を一括管理する ことにより、申請・管理業務を省力化できる。(4) 多くの評価 項 目 が GRESB (Global Real Estate Sustainability Benchmark)*7 の複数項目に関連しているため、GRESBの加点 につながる。(5) さまざなサステナビリティ基準と整合性があ り、サステナビリティ開示に活用できる。 *7 GRESBは、不動産・インフラ会社やファンドのESG取組みの実績と進捗を 年次で評価・ベンチマークするツール。GRESBの一部の項目においては、 LEEDやWELLなどの認証取得状況をGRESBのスコアに反映することができる。

図表5. WELL認証とWELL Ratingのメリット/デメリット プログラム

評価項目とランク

メリット/デメリット

GRESB 配点割合*

• • WELL 認証 (WELL v2) ハード面とソフト面の包括評価

WELL Health Safety Rating 運用・安全・衛生対策に特化 WELL Performance Rating 環境性能の実測評価 WELL Equity Rating 組織・運用の公平性に特化 WELL Real Estate Rating 建物の設備機能 (ハード面) に特化 WELL Operations Rating 建物の運用管理 (ソフト面) に特化 WELL at Scale

評価項目は300超 (必須/加点項目) 必須項目を全て満たした上で、加点項目 (10コンセプト100点満点、イノベーション ⊕建物全体を包括評価 10点満点)のうち40点を獲得すると認証取得。⊖項目数が多い • ランクは加点に応じて決まる (40-49点: ⊖コスト/対応負荷が大きい Bronze、50-59点:Silver、60-79点:Gold、 80-110点:Platinum)。 • 評価項目は約30 (必須項目なし) ⊕短期間で導入可能 • 15項目達成するとクリア (ランクなし) ⊖恒常評価には不向き • 評価項目は約33 (必須項目なし) ⊕性能ベースで分かりやすい • 21項目達成するとクリア (ランクなし) ⊖測定/試験コストあり • 評価項目は約40 (必須項目なし) ⊕ESGの「S」への訴求力 • 21項目達成するとクリア (ランクなし) ⊖不動産価値への直結性が低い • 必須項目なし ⊕建物性能を可視化 • 加点項目約133点のうち40点を獲得すると ⊖WELL at Scaleの契約が必要 「WELL Built」を取得 • 必須項目なし ⊕比較的低負荷で導入可能 • 加点項目約80点のうち30点を獲得すると ⊖WELL at Scaleの契約が必要 「WELL Operated」を取得 保有/入居する建物やテナントスペースが5拠点以上ある企業等が契約できる制度 ・WELL Enterprise:全拠点にまとめてWELL規格を適用 ・WELL at Portfolio:任意に選んだ5拠点以上にWELL規格を適用

◎ (Full)

○ (2/3) ○ (2/3) ○ (2/3) ◎ (Full)**

◎ (Full)**

* GRESBのBuilding Certificationsの項目において、満点 (Full points) または部分点 (2/3) を獲得できる。GRESBリアルエステイト評価では、既存物件はマネ ジメント要素 (30点) とパフォーマンス要素 (70点) 、新築・大規模改修はマネジメント要素 (30点) とディベロプメント要素 (70点) で評価される。たとえばパ フォーマンス要素には、①リスク評価 (9点)、②目標設定 (2点)、③テナント・地域コミュニティ (11点)、④エネルギー (14点)、⑤温室効果ガス (7点)、⑥水 (7点)、⑦廃棄物 (4点)、⑧データモニタリング・レビュー (5.5点)、⑨ビル認証 (10.5点) の9分野がある。WELLとGRESBの評価項目・得点の関連性につい ては、 WELLの運営組織であるIWBIが公表している「GRESB 2025 alignment tool」により確認することができる。 ** IWBIによると、GRESB 2027の年次評価から満点 (Full points) 対象として認められることとなっている。 出所:IWBI資料をもとにJLL作成


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WELL at Scale の効果的な活用方法 新設されたReal Estate Rating (建物のインフラ/設備/性能の評 価) とOperations Rating (建物の運用/管理/ポリシーの評価) は、WELL at Scaleの契約*6をしていなければ取得できない。 そのため、Real Estate RatingやOperations Ratingの普及とと もに、WELL at Scaleの活用も増加することが見込まれる。

従来のWELL認証では、膨大な評価項目への対応に加え、空気 質や水質の定期測定の実施、さらには3年ごとの再認証対応が 必要なため、初期費用と継続的な運用コストの両面で負担が大 きく、費用対効果に見合う明確な動機がなければ認証取得に踏 み切ることが難しかった。しかし、WELL at Scaleアプローチ でReal Estate/Operations Ratingを取得する場合は、評価項目 の限定や、複数の不動産の一括申請が可能となる。そのため、 審査にかかる労力と初期費用を大幅に削減することができる。

建物の健康・ウェルビーイング性能は、グリーンビルディング 性能と比較して定量化が難しい。しかし、WELL認証の評価項 目は科学的・医学的研究に基づいており信頼性が高く、客観的 な第三者評価として広く認知されている。そのため、認証取得 を対外的に示すことで、テナントにとってはブランド価値の向 上、ビルオーナーにとってはテナント誘致、といった効果につ なげることができる。

また、WELLは、さまざまなサステナビリティ基準とも相性が よい。具体的には、GRI*7 のソーシャルトピックスタンダード、 欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)、国連持続可能な開発 目標 (SDGs)などのサステナビリティ基準と整合性がとられて いる。さらに、WELLは、S&Pのコーポレートサステナビリ ティ評価 (CSA)や、経済産業省の健康経営優良法人認定制度な ど、国内外のESG評価ツールとの関連性も高い。これらの基準 さらに、WELL Enterpriseにおいては、登録したからといって、 や評価の結果を企業のサステナビリティ報告書等で公表するこ 全ての拠点で認証を目指す必要はない。認証を目指す拠点につ とによって、投資家からの信頼を獲得し、資金調達や企業価値 いても、段階的に項目ごとにクリアしていけば、いずれ認証を 向上につなげることもできる。 取得することも可能である。まずは、企業にとって取り組みや すい、あるいは優先順位の高いコンセプトや評価項目に絞って そのうえ、複数の不動産についてWELL認証やWELL Ratingを 取り組む。その結果がWELLスコアに反映される。基準をクリ 取得することは、不動産ポートフォリオ全体の認証等取得率の アした項目については、第三者評価としてESGレポート等に記 向上に資するだけでなく、組織全体に健康・ウェルビーイング 載することができる。達成項目数が一定条件を満たすと 、 に関するガバナンスが浸透していることを客観的に示せるため、 Ratingを取得できる。取り組みを徐々に広げることで、最終的 GRESBの評価における加点要素としても有効である。した には全評価項目を網羅するWELL認証の取得につながる。 がって、個別の建物やテナントスペース単位で認証取得を進め るよりも、WELL at Scaleを活用して複数不動産の認証等を一 括取得するほうが、費用対効果、業務効率、及び対外的な訴求 力といった面で優位なアプローチだと考えられる。

*6 保有/入居する全ての建物・テナントスペース (5拠点以上) にWELLを適用 する企業等向けのWELL Enterprise (5年契約) と、保有/入居する一部の建物・ テ ナ ン ト ス ペ ー ス (5 拠 点 以 上 ) に WELL を 適 用 す る 企 業 等 向 け の WELL Portfolio (1年契約・自動更新) がある。WELL Enterpriseでは、各拠点が達成 したポイントの集計値をWELLスコアとして付与され、ESGレポートやサステ ナビリティ報告書に掲載することができる。 *7 Global Reporting Initiativeの略。企業や組織がESG (経済、環境、社会) に 与えるインパクト(プラス/マイナスのインパクト、外部に与える/外部から受 けるインパクト)を報告する国際的なフレームワーク。すべての組織に適用さ れる「GRI共通スタンダード」、業種ごとに適用される「GRIセクター別スタ ンダード」、経済、エネルギー、生物多様性など個別の項目に関連する「GRI 項目別スタンダード」から構成される。


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テナントにWELLを推奨する理由 テナントとオーナー双方にとって、なぜ、WELL認証やWELL Ratingが有用なのだろうか。オフィスビルを例に考えてみる。 人手不足が懸念される日本において、オフィスは単なる「働く 場所」ではなく、「人材の確保・定着を支える戦略的資産」と 捉えられるようになってきた。快適で心身のコンディションを 維持しやすく、出社したいと思わせるオフィス環境を提供する ことは、従業員のウェルビーイングやエンゲージメント *8の向 上、ひいては人材定着率や採用競争力の向上につながる。その ため企業には、魅力的なオフィス環境を提供するとともに、そ の品質を第三者評価によって担保・可視化したいというニーズ が生まれる。WELL認証やWELL Ratingは、国際的に認知され た基準によりオフィス環境の質を客観的に証明できるため、こ うした企業のニーズを満たすツールといえる。

したがって、テナント企業にとっては、自社で利用するオフィ ススペースについて、WELL Certificationの取得を検討する価 値がある。また、新設のWELL Real Estate RatingやWELL Operations Ratingをテナントが取得することはできないが、 人事規定・福利厚生 (ソフト面) を評価するEquity Rating、感 染予防・清潔・安全対策 (ハード面) を評価するHealth-Safety Rating、実証面を評価するPerformance Rating の取得は選択 肢となる。 *8 従業員が自社や仕事に対して愛着や誇りを持ち、自発的に貢献しようとす る心理状態をいう。詳細はJLL「従業員企業の成長に欠かせない「従業員エン ゲージメント」とは?」。


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オーナーにWELLを推奨する理由 一方、オーナーにとっては、自社物件が健康・ウェルビーイン グ性能の高いオフィスビルであることを対外的に示す手段とし て、WELL Real Estate RatingやWELL Operations Ratingが有 効と考えられる。建物設備の有無だけでなく、空気質、水質、 温熱環境、光環境、清掃・維持管理、利用者サービスなど、実 際にオフィスを利用する従業員のワークプレイス・エクスペリ エンス*9に影響を与える要素が評価対象となっており、企業が 重視するオフィスの環境品質や運用品質とおおむね一致する。 WELL Real Estate Ratingは新築・改修時の計画・施工段階か ら活用し、竣工時に評価を取得するケース、WELL Operations Ratingは運用中の建物を対象として取得するケースが想定され る。これらの評価により、テナントが求める安全性・快適性・ 環境品質を備えたオフィス環境であることを分かりやすく示す ことができる。 さらに、オーナー自身のESG、とりわけ「S(社会)」への取 組みを訴求したい場合には、WELL Coreの取得が有効な選択 肢となる。WELL Coreでは、ポリシーや福利厚生など組織レ ベルでのウェルビーイング施策も評価対象となっていることか ら、建物の健康・ウェルビーイング性能を担保するとともに、 ウェルビーイング推進に向けた組織的な取組みを可視化できる ためである。これにより、健康・ウェルビーイングの向上を重 視するテナントに対して、オフィス環境の改善や運営に積極的 に取り組んでいる姿勢を示す効果も期待できる。

図表6. WELL Real Estate/Operations Rating と WELL Core認証 「働き方を指定する」時代から「働き方を選ぶ」時代へと移行 するなか、ABW*10 の重要性が高まっている。一方、従業員の オフィス出社を促したい企業も依然として多い。WELL認証や WELL Ratingは、従業員が「出社したいと感じるオフィス」の ベンチマークとなり得る。さらには、テナント誘致や企業評価 において、「選ばれるビル」を見極めるための市場基準として も機能するだろう。 *9 職場での優良な体験をいう。オフィス環境に対する従業員の満足度が高ま ると、出社価値が向上し、オフィスへの出社率も高くなる。JLL「Global Occupancy Planning Benchmark Report 2026」によると、「ワークプレイ ス・エクスペリエンス・プログラム (従業員がオフィス環境で過ごす時間の質 を向上させることを目的とした包括的な取り組み)」は、近年のオフィス利用 率改善(パンデミック後のオフィス回帰)の一要因にもなっている。

WELL Real Estate Rating WELL Operations Rating

WELL Core 認証

【評価対象】 ビルオーナーがテナントに 提供する環境品質・運用品質

【評価対象】 左記に加えて 組織的なウェルビーイング施策

【評価項目】 ・空気質 ・水質 ・温熱環境 ・光環境 (照明等) ・清掃・維持管理 ・利用者サービス

【評価項目】 左記に加えて ・ポリシー ・教育・プログラム ・福利厚生 ・組織運営 ・コミュニティ施策

など

*10 社内外問わず業務内容などに最適な場所を自由に選択できる働き方をいう。 詳細はJLL「ABWとは?」。

テナントが日常的に利用する 環境の質を対象とするため、 テナントへ提供する安全性・ 快適性・環境品質を説明しや すい。

出所:IWBI資料をもとにJLL作成

建物そのものだけでなく、 オーナー・運営主体による ウェルビーイング推進活動 まで評価対象とするため、 テナントのWELL認証取得 を下支えする。


リサーチ サステナビリティ マーケットダイナミクス 2026年第2四半期

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お問合せ先 エナジー&サステナビリティサービス事業部 松本 仁 事業部長 jin.matsumoto@jll.com

渡部 まき ディレクター maki.watanabe@jll.com

リサーチ事業部 鈴木 嗣人 ディレクター hidehito.suzuki@jll.com

剣持 智美 シニアマネージャー tomomi.kemmochi@jll.com

大久保 寛 事業部長 hiroshi.okubo@jll.com

COPYRIGHT © JONES LANG LASALLE IP, INC. 2026 This report has been prepared solely for information purposes and does not necessarily purport to be a complete analysis of the topics discussed, which are inherently unpredictable. It has been based on sources we believe to be reliable, but we have not independently verified those sources and we do not guarantee that the information in the report is accurate or complete. Any views expressed in the report reflect our judgment at this date and are subject to change without notice. Statements that are forward-looking involve known and unknown risks and uncertainties that may cause future realities to be materially different from those implied by such forward-looking statements. Advice we give to clients in particular situations may differ from the views expressed in this report. No investment or other business decisions should be made based solely on the views expressed in this report.


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