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WithYou 国連UNHCR協会ニュースレター[ウィズ・ユー]
2026年10月|第56号
特集
中東危機ー この世界はつながっている
©UNHCR / Magnum Photos / Emin Ozmen
難民のために、難民とともに
中東危機ー この世界はつながっている
中 東 に お け る 今 年 2 月 末 以 降 の 軍 事 的 緊 張 の 高 ま り は︑き わ め て
イラン
不安定な地域危機へと発展︒その影響は日本の私たちの生活にも及び︑
アフガニスタン
連日報道されています︒一方︑イランやレバノンでの戦闘行為の激化
UNHCR事務所
により︑新たに避難を強いられている人々︑さらに苦しい立場におか
を支援しました。
れている難民や国内避難民︑過酷な状況下でアフガニスタンへの 帰還
関する調整と専門的な助言を通じて、政府主導の取り組み
を余儀なくされている人々のことは︑ほとんど報じられていません︒
ました。UNHCRは、準備体制や保護、庇護へのアクセスに
戦闘 の 激 化 直 後 か ら ︑ こ う し た 人 々 を 守 り
人の中には、少ないながらもUNHCRに支援を求める人もい
支えてきたUNHCRの活動と各地で人々
アガラク国 境 検 問 所のイラン人の 往 来は一定に保たれ 、
大規模な避難の兆しはありませんでしたが、新たに到着した
が直面している状況についてお伝えいたし
380人にUNHCRとパートナー団体が情報を提供。 108 人に法的支援を含むカウンセリングを実施。
ます︒
庇護手続きなどの情報を求め 支援を必要とする人々も。
中東危機以降、48万7000人が イランとパキスタンから帰還。
5 万 8000食を国境で提供。 8 万 8000人に経済的な支援を実施。
中東危機が始まってから、48万7000人がイランとパキ
危機の影響を受けた全地域で支援を 継続。
全土で 15 万 1000人のアフガン難民を支援 (カウンセリングや法的支援、現金の給付支援、 心理社会的支援など)。
イランは165万人の難民および国際的な保護を必要としている 人々を受け入れており、その大多数はアフガニスタン人です。同国
では中東危機により難民の保護環境が著しく悪化しています。
UNHCRはヘルプラインによる支援を拡大したほか、各地の事務
スタンからアフガニスタンに帰還していますが、大多 数の人々は自ら望んで帰還したわけではなく、重大
な保護上の懸念が伴い帰還しています。UNHCRと パートナー団体は国境で温かい食事を提供し、保護 審査や経済的な支援を実施したほか、具体的なニー
ズが特定された人々を必要な支援につなぎました
(保護ケースマネジメントや法的支援、子どもの保護、 健康、生計支援など)。家族の捜索や再会のため、保護 者のいない子どもや親とはぐれた子どもはとりわけ 優先的に支援し、フォローアップサポートも実施。
©Oxygen Media Production
所でも支援を求めて訪れた多くの人々を支援。あらゆるチャンネ
ルを駆使して、全土で15万1000人のアフガン難民を支援しました。
戦闘の影響を受け、イランから少数の 庇護希望者が到着。
危機の開始当初よりヘルプラインの稼働を継続。
中東危機の影響を受け、少数ながらもイランから庇護希望者が 流入していたイラク。国境をまたいだ人々の移動は直近の傾向か ら大きな変化はなく、UNHCRは既存の手順に従って登録手続
きを実施。また、危機の開始当初よりヘルプラインの稼働を続け、
小さな子どもを大切そうに抱えて国境付近を歩いていた男性
庇護希望者や難民からの電話を受けてきました。危機の発生当 初、治安情勢により断続的に稼働していた登録センターは、4月 上旬からは完全に稼働し、難民に保護支援を行っています。
*このページの情報は、中東危機が始まってから3か月時点の情報です *地図上の境界線や記号はあくまでも参考であり、国連の見解や許諾を示すものではありません
中東危機が始まってから、はじめの3か月で 届けることのできた支援についてご報告します。 皆様からのご支援があるからこそ、UNHCRはこの不測
日常の人々の往来の中に、 イラン情勢を理由に逃れてきた人も。
準備態勢と情報管理を強固なものにするため、 パートナー団体や地元当局との連携を強化。
の事態に関係各国の40以上の事務所のネットワークを
活かして総力を結集し、迅速に支援を届けることができ
ました。私たちと同じこの世界に生き、戦争の深刻な影
2月下旬から6月7日までに33万4000人以上のイラン人が
境遇に心を寄せてくださる皆様の日頃からのご支援に、
した移動の多くは日常の人々の往来と変わらないものの、
響を受け、弱い立場におかれている人々。こうした人々の
トルコに入国し、約29万3000人が帰国のため出国。こう
あらためて感謝申し上げます。
中には入国の理由としてイラン情勢を挙げる人も。
中東危機が始まった直後も 多くのシリア人がレバノンから 自発的に帰還。
アルメニア トルコ
1 万 1400人がレバノンからシリアへの
帰還を前に、経済的な支援を受けました。
3月2日以降、約44万4000人のシリア人と11万7000人
のレバノンからの難民が、レバノン・シリア間の国境 を通過。シリアに帰還した人々の大多数は、自らの意 思で帰還しており、この時期UNHCRの支援を受けて
シリア
レバノンから自主的に帰還したシリア人は、1万3000
人以上にのぼります。UNHCRとパートナー団体は、 レバノンのシリア難民の帰還を前にして、法的な情報 やカウンセリング、経済的な支援を提供。主要な国境
イラク
地点では、帰還 民に保護 支援や移動の支援、フォ ローアップサービスなどを提供したほか、ジュシエの
©UNHCR
国境では移動式クリニックも運営しました。
レバノン
国内で戦闘がエスカレートし 100万人規模の人々が家を追われる。
26万 3100点の緊急援助物資をレバノン全土で配布。 レバノンでは、戦闘により広範囲にわたって多くの人々が避難を余
儀なくされました。政府の支援プラットフォームでは、100万人以上 の人々が自身を避難民として自己登録しており、多くの人々が度重 なる避難を強いられました。社会政策省の指示のもと、レバノン対
応計画の枠組みの中で、UNHCRは全土で命を守る支援を拡大し
爆撃から逃れるために、レバノンからシリアへ向かう人々
ました(保護支援やシェルターサポート、緊急援助物資の提供、難
©Ximena Borrazas
©UNHCR / Houssam Hariri
民やレバノンの人々への経済的支援など)。
3月、空爆を受けた首都ベイルート
集合避難所に身を寄せる人々と話をするUNHCRの職員
ーヘルプラインに寄せられた声から
「アフガン難民の人々の保護上の懸念に関するレポート(UNHCR IRAN PROTECTION CONCERNS AMONG AFGHAN REFUGEES Helpline & Field Insights#2)」より、中東危機が始まってから 5月上旬までにヘルプラインに寄せられたアフガン難民の方たちの窮状をお伝えいたします。
安全とシェルター 戦争に伴う安全上の懸念に関する声は、5月にかけ ても根強くあったものの、状況は徐々に異なる様相 を呈するように。 4月上旬:戦争に伴う安全上の懸念に関する声が中心
4月中旬〜下旬: 住まいに関連した懸念は 次第に戦争よりも経済的な 要因に左右されるように
仕事がなくなり 賃貸契約の 更新料が払えない。
住んでいるところが 被害を受けた。
工場が閉鎖して 収入がなくなり ほかに住む場所を 確保できない。
身分証明書、合法な滞在・強制送還のリスク
身分証明書の問題は難民の方々にとって以前にも増 して大きな懸念事項に。証明書の更新にかかる費用 の負担や手続きの複雑さが、合法的な滞在や必要不 可欠なサービスへのアクセスなどに関連して、難民 の方々の脆弱性を高める主な要因となっています。
身分証明書が更新されないことによる 保護上のリスク 法的地位の喪失 医療など必要不可欠なサービスに アクセスできなくなる 強制送還
3月下旬〜5月上旬にかけて、問い合わせが最多だっ たのがこの分野です。多くの世帯が安定した収入を得 られなくなり、生活費を賄うのに苦労していました。 4月中旬になると、経済的な不安が差し迫った安全上 の懸念を上回り、問い合わせをしたほとんどの人が 食費や家賃などをカバーするための支援を必要とし ている状況に。その傾向は深刻化していきました。 ヘルプラインに寄せられた 難民の方々の窮状
給料の未払い
収入の喪失 失業の拡大 (休業やアフガニスタン人の 雇用の減少などに起因)
など
アフガン難民のイランからの帰還状況
(2026年8月31日時点)
今年帰還したアフガン難民 約 48 万 9700 人 中東危機以降に帰還したアフガン難民 約 38 万 3600人 中東危機以降に帰還したアフガン難民 のうち、 強制送還とされる割合 約 82 %
出典:Emergency Update 09 SEPTEMBER 2026 Middle East Situation
不確かな状況や経済的な苦境が続き、生計を立て る手段が限られていることなどがこの帰還の流れに つながっており、帰還民は保護上のさまざまな懸念 を抱えています。
難民および国際的な 保護を必要としている人々
近くで空爆が 続いている。
基本的かつ必要不可欠なニーズ、 現金給付、生計の手段
イラン 危機の影響を受け︑さらに弱い立場に 追い込まれる人々を支援する︒
移り変わる状況のなかで、変化する支援のニーズ
イ ラ ン 国 内 は︑7 月 も 依 然 と し て 緊 迫 し た 状 況 に さ ら さ
れ 続 け て き ま し た︒攻 撃 に よ り 交 通 網 や ロ ジ ス テ ィ ク ス︑
商 業 活 動 に 混 乱 が 生 じ︑イ ン フ ラ や 民 間 人 の 居 住 地 域 が 破
壊され︑市民にも犠牲者が出ました︒
イランは世界的に見ても多くの難民および国際的な保護を
必要としている人々を受け入れており︑その大多数はアフガ
月も保護上の懸
8
ニスタン人です︒中東危機が始まって以降︑アフガン難民の
保 護 環 境 は 著 し く 悪 化 し て お り︑人 々 は
万人にのぼ
31
念 と 社 会 経 済 的 な 試 練 に 直 面 し て き ま し た︒8 月 末 時 点 で︑
など
12
アフガニスタンへの帰還を強いられた人は約
心理社会的支援
こうした保護上の懸念に関係しているのが︑身分証明書の
現金の給付支援
ります︵中東危機以降の総数︶︒
法的サポート
月へと
カウンセリング
6
月から
届けることのできた支援
更 新 で す︒失 効 し た 証 明 書 の 更 新 期 限 は
約 1 万 1000 人
延 長 さ れ た も の の︑更 新 手 続 き に 遅 れ が 生 じ て い る と の 報
イラン全土の 事務所で支援
告があり︑アフガン難民の逮捕や強制送還の懸念につながっ
ヘルプラインで 約 9 万 7000 件 受電
ています︒また︑人々は経済面や生計上の問題も抱えており︑
UNHCRの支援を受けた人々 (2026年3月〜5月)
継続する危機の中で︑難民の方々の脆弱性が高まっています︒
中東危機が始まってからはじめの3か月で、UNHCRは 拡大したヘルプライン*による支援やイラン各地の事務 所で、 15万1000人のアフガン難民を支援。 現在も支援活動を継続しています。*電話相談サービス
165 万人
把握して︑それに寄り添った支援ができ
イランは︑私がこれまで勤務してきた
イランの難民政策の一例を教えて ください︒
難民の方たちの不満を毎日聞いて︑その
か︑ス タ ッ フ 自 身 も 不 安 で 大 変 な の に︑
タッフが不安を抱えながら活動していく
し れ な い と い う 場 所 で︑ど う や っ て ス
てしまうかもしれない︑攻撃されるかも
然とした不安でしょうか︒領空が閉まっ
次に何が起こるか分からないことと漠
んじゃないかと︒
る か も し れ な い 幸 せ と︑選 べ て も い い
たら得られ
能性があっ
会︑同じ可
もし同じ機
その幸せと︑
れたからこ
の村に生ま
です︒アフ
国の中でも極めて進歩的な難民支援政策
解決方法がないというのはすごく大変な
た と え ば︑ア フ ガ ニ ス タ ン で は お 母
U N H C R イ ラ ン の 代 表 と し て︑
で自分の家族すらも大変な立場にある を実施しており︑実際に国の予算を使っ
こ と だ と 思 う ん で す︒ど う や っ て モ チ
さんが子どもを妊娠してから栄養が足
ガニスタン
に も か か わ ら ず︑現 地 で 職 員 が 難 民 の てさまざまな支援を行っています︒たと
ベーションを保っていくのか?また︑ス
り な か っ た り︑病 気 に な っ た り︑清 潔
いまどのような難しさがありますか︒
支援を継続してくれている︑そんなチー え ば︑イ ラ ン で は 難 民 の 学 生 た ち も 性 別
タッフの安全︑難民の支援︑それをどう
な 水 が 飲 め な か っ た り し て︑生 ま れ た
Q
ム が い る こ と で す︒そ の よ う な と き で
にかかわらず︑初等・中等教育を受ける
バランスをとっていけばいいのか?毎日
子どもの脳がどんどん縮小してしまう
るのもやはり現場にいて活動ができるか
も 活 動 を 続 け る か ら こ そ︑難 民 の 政 策
ことができます︒アフガニスタンでは限
が試行錯誤です︒それから︑数多くの難
スタンティングという症状が
間も現地にいて難民の人々と直接話が で き る こ と だ と 思 い ま す︒そ し て 紛 争
らだと思っています︒
を決める政府と率直に話せる機会があ
られている女性の教育の機会が︑イラン
民 の 人 々 の ニ ー ズ が わ か っ て い て︑そ
Q イランでのUNHCRの強みは どのようなところですか︒
る こ と は と て も 重 要 で︑そ の 場 に い な
にはあるのです︒2025年度︑イラン
れに対してできることはたくさんある
首都テヘランだけではなく5つの
いと築き上げることができない信頼関
では合計6000人のアフガニスタン人
フ ィ ー ル ド 拠 点 を 持 ち︑今 回 の 紛 争 の
係 と い う も の も あ る と 思 い ま す︒そ れ
が大学に通うことができたのですが︑そ
志とそれを直接話す機会があるという ことは重要だと思っています︒
スポストといわれる地域の診療所で風邪
もイラン人でも︑性別にかかわらずヘル
また︑イランではだれでも︑外国人で
民支援はとてもチャレンジングです︒
ラ ン 国 内・地 域 問 題 の あ る な か で の 難
U N H C R 内 で の 改 革 と 並 行 し て︑イ
身でコントロールできない国連や
常 に 集 ま り に く い 国 な の で す︒自 分 自
も の の︑イ ラ ン は 残 念 な が ら 資 金 が 非
いし悔しいと思うんですね︒
ん な こ と が 起 こ っ て い る の は︑お か し
も し れ な い︒で も︑い ま こ の 世 界 で そ
がらにして選択肢が決まってしまうか
人 と い わ れ て い ま す︒つ ま り 生 ま れ な
えば︑今回の紛争時も最初のうちは難民
よってどんどん変化していきます︒たと
の保険制度を作り︑そのような専門治療
がかかります︒イラン政府は外国人専用
ることができるのですが︑それにはお金
透析やがんの治療など︑先進医療も受け
生 ま れ て︑
歳とかで妊娠して子ども
す る と︑ア フ ガ ニ ス タ ン の 田 舎 の 村 に
私 は 日 本 で 生 ま れ ま し た が︑も し か
いま世界的に広がる排外的なムー ドについてはどう思われますか︒
と の 一 つ な の で は と 思 っ て い ま す︒い
け る こ と が で き た 身 と し て︑で き る こ
は︑た ま た ま 日 本 に 生 ま れ て 教 育 を 受
あるような状態に近づくようにするの
のうち半数を女性が占めていました︒
や出産など基本的な治療の場合はお医者
の人々は住んでいるところから追い出さ
も格安で受けることができる仕組みを
や雇用主との交渉のた
からは︑イランに滞在するための証明書
としていました︒それが2か月後ぐらい
ています︒新しい技術を学ぶ機会を︑そ
教育を受けることのできる機会を提供し
のお医者さんに︑一定期間イランで実習
はアフガニスタンで研修中のアフガン人
それなのに生まれた場所によって人生
り と て も 恵 ま れ て い る と 思 う ん で す︒
あ る と 思 い ま す が︑全 体 的 に 見 て や は
日本もいまは大変なところがたくさん
でも︑たまたま日本という国に生まれて︑
を 生 む 生 活 だ っ た か も し れ な い で す︒
一 緒 に 良 く な っ て い こ う よ︑と 思 い た
に 私 の 個 人 的 な 考 え で す が︑み ん な が
い こ と で は な い の で す が︑こ れ は 本 当
が よ く 見 ら れ て︑そ れ は そ れ で 何 も 悪
分の国をまず大切にしようという主張
ま は 日 本 だ け で は な く 世 界 各 地 で︑自
で す け れ ど も︑少 し で も 同 じ 可 能 性 が
いろいろな考え方はあるかもしれない
れるかもしれない︑仕事がなくなるかも
作っています︒そのほかに︑イラン政府
めの法的な支援へと
してそれがアフガニスタンで生かせるよ
ニーズが変化していき
年にもわたり包括
うな制度をイランは作っています︒これ
ました︒時とともにニー
だけの難民の支援を
い し︑大 変 か も し れ な い け れ ど そ う な 的に行っている国は︑残念ながら世界で
れ る 道 が あ る と 思 う の で︑そ の 道 を 私
ズが変わっていくこと
が 大 き く 左 右 さ れ て し ま う︒こ ん な 不 は当然のことですけれ
少ないと思います︒
公 平 の 中 で︑た ま た ま 日 本 に 生 ま れ た
Q
しれないといった状況のなかで︑多くの
だ か ら︑も ち ろ ん 政 府 の 方 針 と か︑
さんに無料で診てもらうことができます︒
Q
ぞ れ の 立 場 と い う も の が あ る も の の︑
©UNHCR
イランにおける支援活動について、
UNHCRイランで代表を務める高嶋由美子職員に話を聞きました。
Q 中東危機以降の難民の方たちの ニーズについて教えてください︒
人に
一緒に問題解決をしていこうという意
テヘランのペルシアン・ガルフ・ センターのデイケアを視察
1
方が今すぐ使うことのできるお金を必要
難民の方々のニーズも紛争の状況に
4
は選びたいと思うのです︒
12
私にできることって何だろうと思うん ど も︑そ う し た 変 化 を
40
Q &A ©UNHCR
イランについての
(2026年9月時点)
81 万 8288人
国内の避難先から 帰還したレバノン人
バノン︒戦闘の激化以降︑はじめの6週間の 日時点で
間に国内で100万人以上︑じつに人口の5 人に1人が避難を強いられ︑5月
月 末 時 点︶︒
万7000人以上の人々が緊急 シ ェ ル タ ー に 身 を 寄 せ ま し た︵
た一方で︑
入れコミュニティや非正規の宿泊施設を頼っ
避難を余儀なくされた人々の多くは︑受け
避難を強いられました︒
て発出︒安全を求めて多くの人々が度重なる
ル軍が︑南部の広範な地域に避難命令を続け
月下旬には︑南部の一部を占領するイスラエ
3151人が命を落としています︒さらに5
27
5
©UNHCR / Houssam Hariri
33 万 3144 人
©UNHCR
社会政策省の指示のもと︑UNHCRは全土
中東危機が始まってから、はじめの3か月で届けた支援
8 万 6000 人以上 集合避難所で援助物資を提供 3月、ベイルート・バシュラ地区の 1 万 2000 人以上 集合避難所外で援助物資を提供 12 万 8000 人 WFP(世界食糧計画)と共同で多目的の現金給付を実施 住宅地が激しい空爆を受けた 1 万 2000 人以上 緊急の保護リスクに直面する避難を強いられた難民に、保護を目的とした現金給付を実施
レバノン全土の19か所のコミュニティ開発センターで支援
1 万 9000 人以上 シリアへの帰還の選択肢についてのカウンセリングを提供 1 万 1000 人以上 シリアへの帰還を前に経済的な支援を提供
度重なる避難を 強いられるということ
それは︑午前3時のことでした︒﹁夜中︑
私 は ス フ ー ル︵ラ マ ダ ン の 期 間 中 夜 明 け
前 に 食 べ る 食 事︶の た め に 起 き て い ま し
た﹂と サ ナ さ ん︒す る と 突 然 近 所 が 攻 撃
される音が聞こえたといいます︒﹁何が起
き て い る の か わ か り ま せ ん で し た︒す ぐ
に 息 子 と 娘 を 起 こ し︑家 を 出 ま し た︒皆︑
叫んだり泣いたりしながら避難していま
し た︒私 た ち は 路 上 で 夜 を 明 か し︑そ の
日の午後までそこにいました﹂︒
その後︑家に戻って急いで服をまとめる
と︑一家はベイルート郊外の家を後にしま
した︒はじめに身を寄せたのは︑ベイルー
トのウザイ地区にあるサナさんのお兄さ
﹁イスラエルの避難命令がここに出るま
んの家でした︒
で︑何 日 間 か 兄 の 家 に い ま し た︒そ し て︑
その後安全を求めてベイルートの沿岸地
域へと逃れました︒次の日︑ラス・エル・
ナ バ ア に 居 場 所 を 見 つ け︑小 さ な 部 屋 で
人 の 人 々 と 過 ご し ま し た︒金 曜 の 朝︑
私たちはまた別の場所を探さなければな
そ し て つ い に︑い ま 身 を 寄 せ て い る ス
りませんでした﹂︒
タジアムに避難できる場所を見つけたと
いいます︒
©UNHCR / Magnum Photos / Emin Ozmen
©UNHCR
レバノン
(2026年9月時点)
中東危機のもうひとつの焦点ともいえるレ
出典:data.unhcr.org/en/country/lbn (2026年9月16日時点)
3月中旬、ベイルート。避難を余儀 なくされている人々の中には、車 内やテントで夜を明かす人々も
夜になるととて
﹁いまはテントがあります︒でもここは︑
くのです﹂︒
たちは眠りにつ
い︑そ う し て 私
お互いに抱き合
ケットを重ねて
3枚あるブラン
も 寒 い の で す︒
サナさん(51歳)、アブドゥラさん (14歳) 、イマンさん(12歳)
で保護支援やシェ ル タ ー 支 援︑緊 急 援助物資の配布を は じ め︑命 を 守 る 支 援 を 拡 大︒戦 闘
(メンタルヘルスや心理社会的支援、保護リスクや支援についてのカウンセリング、情報提供など)
8 万 5000 人
国内避難民
が続くレバノンで
(集合避難所外の弱い立場におかれた難民世帯が対象)
88 万 9625 人
急速に拡大する
180 世帯
登録されている難民
ニーズに対応して
76か所の集合避難所の修理などの恩恵を受ける
現在も苦境にある人々 きました︒
シェルターのための現金給付を実施
1 万 5000 人
(2026年6月末時点)
12
18
避難所で ︑受け入れコミュニティで︑人々の帰還先で︑ 急速に拡大するニーズに対応︒
2026年3月、ベイルート。大規模な避難警告後、多くの人が避難を強いられた
わずかな荷物を手に国境近くを歩く帰 還民の人々
2億1000万ドル
45%
アルメニア
900万ドル
いいたします︒
皆様の温かいご支援をどうぞよろしくお願
極 め て 制 限 さ れ る 状 況 に 陥 り か ね ま せ ん︒
幅広い対応を拡大するUNHCRの能力は
金不足が続けば︑危機への備えや保護活動︑
はいただけないでしょうか︒深刻な活動資
皆様のお力と思いを︑UNHCRに託して
こうした人々を守り支えるために︑どうぞ
響 を 受 け 弱 い 立 場 に お か れ て い る 人 た ち︒
大々的に報じられることもなく︑戦争の影
す 人 々︒私 た ち と 同 じ 世 界 に 生 き な が ら︑
されつくした故郷で︑一から生活を立て直
く母国に︑帰還せざるをえない人々︒破壊
度も避難を強いられる人々︒人道危機が続
避難した先で︑空爆の恐怖におびえ︑何
皆様の力と思いを UNHCRに託しては いただけないでしょうか︒
出典:Emergency Update 09 SEPTEMBER 2026 Middle East Situation
国際社会からの一刻も 早い支援が必要とされ ています︒
64%
トルコ
アフガニスタン
© Oxygen Media Production
出典:Emergency Update 09 SEPTEMBER 2026 Middle East Situation
42%
帰還する人が増えるも︑ 立ちはだかる生活再建の壁
50 %
6100万ドル
6月の停戦発表後もレバノン南部全域でイス
食料
イラク
月の国内の
3.
活動資金が大幅に 不足しています。
ラエルによる空爆や砲撃が報告されるなど︑緊
64 %
アフガニスタン 2億1600万ドル 28%
迫した治安情勢が続く中でも︑
いまも情勢が不安定な母国に 帰還を余儀なくされる人が続出︒ 戻った先でも必要とされる広範な支援︒
州や東部のそのほかの地域で発生した豪雨によ
家と住まい
充足率
状況は比較的落ち着いていました︒こうした
る鉄砲水で︑国内の人道ニーズが複雑化︒死者
7 8 0 0 人 に の ぼ り ま す︵8 月 末 時 点︶︒支
2.
4億7200万ドル 24%
状勢を受け︑避難先から人々が徐々に帰還す
依然として人道危機のさなかにあり︑経済
や負傷者が出て︑避難を強いられる人々もいる
ハ ラ ス メ ン ト︑移 動 の 制 限 な ど へ の 不 安 が
援を受けた世帯の約半数は女性世帯主であり︑
経済的支援 86 %
め︑幅広いサポートを必要としています︒
1.
レバノン
万
の課題にも直面しているアフガニスタン︒今
なか︑家々や給水システム︑道路︑橋︑農業
あったことに言及しています︒UNHCRと
障がいを抱える人がいる世帯や子どもが世帯
帰還した人々のニーズ
1億4000万ドル 18%
月末までに
年に入って︑同国にはイランやパキスタンな
活動資金が非常に限られているなか︑支援の
パートナー団体は入国時や受け入れセンター
主となっている家族も多くいました︒帰還し
52 万 1600人
ために生計や教育支援︑住まいの支援をはじ
で︑保護審査や脆弱性に基づいた現金の給付
19
た人々は各々戻る地域でも︑生活を立て直す
パキスタンから帰還
イラン
る動きがみられています︒ 人近くが避難前に住んでいた地域に帰ってい
どから118万人以上が帰還しており︑その
ますが︑人々は戻った先でも困難に直面して 自宅の激しい損傷や不安定な治安状況によ
現場はさらに厳しい局面に立たされました︒
トルハムなどの国境施設にも被害をもたらし︑
月には一日平
万5200人が帰
月 末 時 点︶︑
ら帰還した1万1428人を支援し︑中東危
8月︑UNHCRはイランとパキスタンか
人々はみずからの選択ではなく︑さまざまな
機の発生以降に支援した人の数は
万
プレッシャーから帰還しており︑逮捕や拘留︑
均 で 3 5 0 0 人 が 帰 還 し て い ま す︒多 く の
8 出典:Emergency Update 09 SEPTEMBER 2026 Middle East Situation
います︒ り︑故郷に戻っても自分の家に戻れないケー 月
8
日 時 点︶︒中 東 危 機 が 始 ま っ て 以 来︑イ
ランとパキスタンからは
インフラに広範な被害が及びました︒豪雨は
うち
発弾の問題︑生活に必要不可欠なサービスが 還 し て お り︵
%以上が強制送還とされています︵
スも多くあるほか︑破壊されたインフラや不 限られていることなどが︑人々が生活を再建 90
支援︑必要な支援の紹介︑心理社会的支援や
38万 3600人
©UNHCR / Houssam Hariri
UNHCRは︑治安情勢や帰還の動向を 受けて変化するニーズに対応し︑支援活 動を継続しています︒
8
温かい食事の提供などを継続しています︒
イランから帰還
こうした状況の中で︑7月はヌーリスターン (2026年8月31日時点)
必要額
7
していくうえで大きな障壁となっています︒
39
29
中東危機以降に帰還した人々
活動資金調達状況
82
南部サイダの集合避難所で支援物資を配布
(2026年8月末時点)
8
帰還してきた方たちへの直接的な支援では、
まった 2024 年12 月*、私はレバノンとシ
シリアで長年続けている建造物(シェルター)の
リアの国境にいました。水や食料も十分
修繕・修復の支援があります。出生届や婚姻届を
にない中、長い道のりを経てたどり着いた場所で
提出する市民登録オフィスや不動産に関する業
多くの人が何時間も待たされ、 長 蛇 の 列 が で きて い ました 。 その中に、小さな亡骸を抱い ているご家 族 がいました。子 どもは、レバノンを 逃 れ移動 して い る 時 に 亡くなって し まったのでしょう。パートナー
務を行う登記所の復旧、人々
From the Field
の 住 ま い の 修 繕・修 復 を 行っています。また、長年国 外にいて各種公的証明書が ない方 も 多く、法 的 支 援 も 不可欠なサポートです。たと
難民支援の現場から
えば土地の登記の記録がな いと、戻りたい家に戻れない
保護が受けられるよう手配し
奥田 暁仁 おくだ・あきひと
など、帰還に際していろいろ ©UNHCR
団体につなぎ、家族が十 分な
34
たのもつか の間、次の急ぎの 要件を済ませて戻ると、すで
した問題が起きないよう、弁 護士を雇って法的支 援をす
した。いまも忘れることができ
ることはとても重 要なので
ない光景です。
す。また、国・州 政 府が 復 旧
青い ベストを 着てこの場所に
シリア国内外からの 人々の帰還状況 国外からの帰還民 175万 6055人
を考えている地域と調査に
国境の混乱を緩和するため れてきていました。UNHCR の
レバノン・ベイルート。イスラエ ルによる攻撃後、度重なる避難 を経てスタジアムにある避難所 に身を寄せるようになったサナ さん(中央) と子どもたち。
な問題が起こりえます。こう
にご家族の姿はありませんで
に、そこにはシリア軍も動員さ
今号の表紙 ©UNHCR / Magnum Photos / Emin Ozmen
レ
バノンからシリアに大 規模な帰還が始
長期にわたる紛争で破壊を受けた シリア・アレッポで
ダメージやニーズの 多い 地 域の情報をすり合わせて広
いることで、故郷に戻る人々の助けになるはずだ
域的な観点から包括的に復旧を進めています。
と信じながら、私は現場で支援物資の手配、その
さらに、助成金による小規模事業の立ち上げ
他保護の仕事など、幅広い支援にあたっていまし
など生計・自立支援につながるような支援にも
た。長蛇の列ができていたのは、国境で受け入れ
力を入れています。実際現場に足を運び生計支
に必要な特定の手続きを行う体制が不十分だっ
援のプロジェクトを見てきましたが、条件さえ揃
たためです。パートナー団体をサポートする形で、
えば、シリアの人々はそれを生かして生活を再建
UNHCR シリアの代表が国境当局やその他関連
していくことができると感じています。手作りの
機関と話し合ったことで政府は迅速に対処し、幸
食品を売っている方たちに、もう少し環境が整
いなことに数日後には状況が大幅に改善しました。
い、かつ資金があったら何をしたいか聞くと、 「コ
この国で何か状況を変えるのは非常に難しいこ
ミュニティレベルを超えた大規模な食料品の会
となのですが、UNHCR の働きで時には何かが大
社を立ち上げたい」と話していました。訊けば、経
きく動くこともあると身をもって感じた出来事で
済学や経営管理の学士号を持っている人たちな
した。こうして難民・国内避難民の方たちのもっと
のです。周辺国で売られているものには、実はシ
も近くで活動をするのがUNHCRの強みです。
リア製のものが多くあります。紛争で国が破壊
いま、シリアには国内外から継続的に故郷に
され、かつ厳しい制裁を受けていても、作り続け
戻る方々がいます。国内各地は破壊されたまま
てきたものが多くあり、長年のノウハウが蓄積さ
で依然として大変な状況ですが、好機でもあり、
れているのです。こういったことはどの国でもで
前政権の頃と比べ、Recovery ・Development
きることではありません。ただ、大規模な復興と
(復興と開発)にも積極的に取り組める状況が整
なると、各国や民間セクターからの継続的な支
いつつあります。政府や各国、民間セクターなど
援に加えて、大きな投資も必要です。働き者のシ
多くのアクターとともに、どう効果的な復興につ
リア人の気質や高い教育レベルといった稀にみ
なげていくのか、難しいながらとてもやりがいの
る社会 資本をふまえても、シリアはとても可能
あるフェーズだと思っています。UNHCR が長年
性のある国で、民間を含めた各方面からの力強
にわたり続けてきた支援を継続・強化すること
い支援があれば、きっと大きな変化を生み出せ
に加え、将来国内外からの投資や活動に際し、難
ると信じています。
民・国内避難民とその帰還地域が十分に考慮さ
*2024 年、レバノンでの戦闘の激化と同年12 月のアサド政 権崩壊に端を発し、多くのシリア難民がレバノンから帰還した
れるよう各方面と協調していくことが重要です。 人々の帰還が安全かつ自主的、そして尊厳のあ る持続可能な帰還になるような環境整備と復興 につながるようにしていきます。また、帰還民の 人々が社会で貢献し、かつ復興が人々に寄与す るようにするために協力していきます。
国内からの帰還民 196 万 4977 人
よりこちらが 把 握してい る
プロフィール……音楽を本格的に勉強しピアニストとして 活動する一方、東ティモール、コソボ紛争、スーダン危機な どを幼い時から目の当たりにし、国際開発や人道・難民支 援の分野を志す。これまでドイツ、モーリタニア、ジュネー ブ本部などで難民支援の現場・外交活動に従事。2024 年 よりシリア事務所でUNHCR代表補佐として勤務してい 。
出典 : OPERATIONAL UPDATE ‒ SYRIA July 2026
シリア国内外から帰還した 人々の主なニーズ 1. 2. 3.
住まい・宿泊設備 83 % 食料 77%
健康・医療 47%
出典:Emergency Update 09 SEPTEMBER 2026 Middle East Situation
シリアにおける 活動資金調達状況 必要額 3 億 2390 万ドル 不足
充足
55 % 45 % 出典 : OPERATIONAL UPDATE ‒ SYRIA July 2026
WithYou
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