都市における祈りの集中度モデル

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早稲田大学 理工学術院創造理工学研究科 建築学専攻分野 修士論文

都市における祈りの集中度モデル The degree-of-concentration model of the prayer in a city

大杉 達 也


まえがき


都市における祈りの集中度モデル

まえがき

|テサロニケ人への第一の手紙 5 章 17 節文 1) 「絶えず祈りなさい。」 |エペソ人への手紙 6 章 18 節文 1) 「絶えず祈と願いをし、どんな時でも御霊によって祈り、そのために目をさましてうむことが なく、すべての聖徒のために祈りつづけなさい。」 これらは、約 2000 年も前に使徒パウロが各地方へ宛てた手紙であるが、時代を超えた今、 世界中の人々の生活の中にその言葉は生き続けてはいなかった。 2010 年、イタリアへ行った際に目の当たりにしたのは、大聖堂の中でお祈りをしている人 がいつどこを見ても数名である光景だった。信仰が形式的・習慣的な文化と化して死んでい たのである。私の憧れのイメージは崩れ去った。

帰国後、熱心に信仰を持つ牧師のもとを訪ねると、その牧師はいつもどこでもお祈りをして いると聞いた。 その教会で信仰を持つ人たちもそのような姿勢を持っているという。 「いつもどこでも」 この言葉に胸が弾んだ。 もしそうならば、喧騒に包まれた都市でも祈りながら生活をしているに違いない。 そのような経緯があり、一見、祈る場所など存在しないように見える喧騒に包まれた都市に おいて、祈ることが出来る場所を見出せたならば面白いと思い、この研究を始めるに至った。

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都市における祈りの集中度モデル

目次

1 はじめに

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1.1 研 究 目 的

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1.2 研 究 フ ロ ー

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1.3 用 語 の 定 義

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2 祈りの歴史

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2.1 各 宗 教 の 祈 り と 生 活

10

2.1.1 ユ ダ ヤ 教 の 祈 り と 生 活

11

2.1.2 イ ス ラ ム 教 の 祈 り と 生 活

12

2.1.3 キ リ ス ト 教 の 祈 り と 生 活

13

2.2 祈 り の 現 在

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2.2.1 イ ン タ ー ネ ッ ト 通 信 を 使 用 し た お 祈 り

15

2.2.2 S N S を 使 用 し た お 祈 り

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2.2.3 い つ で も ど こ で も 歩 き な が ら で も

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2.2.4 都 市 で の お 祈 り の 実 態 調 査

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2.3 既 往 研 究

22

2.3.1 祈 り の 研 究

22

2.3.2 教 会 空 間 の 研 究

23

2.4 本 研 究 の 位 置 づ け

24

3 祈りの評価手法

25

3.1 集 中 度 の 研 究

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3.2 視 覚 ・ 聴 覚 ・ 嗅 覚 の 研究

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3.2.1 視 覚 の 研 究

28

3.2.2 聴 覚 の 研 究

29

3.2.3 嗅 覚 の 研 究

30

3.3 集 中 度 の 評 価 手 法 の 選定

31

4 祈 り の 集 中 度 モ デ ルの作成

32

4.1 実 験 - 明 る さ と 音 と 香 り に よ る 集 中 度 評 価 -

33

4.1.1 実 験 目 的 と 実 験 概 要

33

4.1.2 実 験 手 順

34

4.1.3 実 験 空 間

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4.1.4 使 用 機 材

36

4.1.5 実 験 素 材

37

4.2 実 験 結 果 4.2.1 輝 度 変 化 の 実 験 結 果

38 38

4


都市における祈りの集中度モデル

目次

4.2.2 騒 音 レ ベ ル 変 化 の 実 験 結 果

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4.2.3 香 り の 有 無 の 実 験 結 果

40

4.3 集 中 度 モ デ ル の 作 成

41

4.3.1 集 中 度 モ デ ル の 作 成 方 法

41

4.3.2 実 験 で 質 問 を し た 項 目 に つ い て の 分 析

42

4.3.3 結 果 か ら 傾 向 を 得 ら れ そ う な 項 目 に つ い て の 分 析

51

4.4 考 察

53

4.4.1 実 験 で 質 問 を し た 項 目 に つ い て の 考 察

53

4.4.2 結 果 か ら 傾 向 を 得 ら れ そ う な 項 目 に つ い て の 考 察

55

4.5 ま と め

56

5 都 市 に お け る 輝 度 と騒音レベル計測調査

57

5.1 調 査 - 都 市 に お け る 輝 度 と 騒 音 レ ベ ル 計 測 -

58

5.1.1 調 査 目 的 と 調 査 概 要

58

5.1.2 調 査 手 順

59

5.1.3 調 査 対 象 敷 地

60

5.1.4 使 用 機 材

61

5.2 調 査 結 果

62

6 祈 り の 都 市 評 価 マ ップの提案

63

6.1 祈 り の 都 市 評 価 マ ッ プの 作 成

64

6.1.1 作 成 目 的

64

6.1.2 作 成 手 順

65

6.1.3 集 中 度 の 算 出

66

6.2 祈 り の 都 市 評 価 マ ッ プの 提 案

69

6.2.1 マ ッ プ の 見 方

69

6.2.2 マ ッ プ の 提 案

71

6.3 考 察

1 03

6.4 ま と め

1 04

7 おわりに

1 05

7.1 ま と め

1 06

7.2 展 望

1 07

参考文献

1 08

あとがき

1 11

資料編

1 14

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はじめに

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都市における祈りの集中度モデル

はじめに

1

1.1 研究目的

本研究は、都市空間での祈りを前提として輝度・騒音レベル・香りを説明変数とした祈りの集中 度モデルを作成し、祈りの都市評価マップを提案することを目的とする。

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都市における祈りの集中度モデル

はじめに

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1.2 研究フロー

研究の流れを以下に記す。

研究の基礎調査 現在の祈りの実態 集中度の評価手法の選定

祈りの集中度モデル作成 実験データの取得

都市における計測調査 祈りスポットの調査

光  輝度変化による集中度 音  騒音レベル変化による集中度 香料 香料の有無による集中度

祈りスポットでのデータ計測 輝度 等価騒音レベル

分析 モデルの作成

データ表の作成

祈りの都市評価マップの作成 モデルにデータを代入

集中度表の作成 マップの作成

図 1.2-1 研究フロー

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はじめに

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1.3 用語の定義

|祈り 神に対して自分の思いや考え、願いをもとに対話すること。 |祈りスポット ある方向に座ってお祈りをすることが出来る場所。 |集中度 お祈りをする人が主観で評価する、祈りの集中の度合い。 |等価騒音レベル ある時間内で変動する騒音レベルのエネルギーの時間平均値。 |輝度 物体(光源)から出てくる光の強さ、測定面から測定方向に放射されている光の量のこと。

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祈りの歴史

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祈りの歴史

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2.1 各宗教の祈りと生活 2.1.1 ユダヤ教の祈りと生活 ユダヤ教では、安息日(土曜日)の労働が禁じられているため、前日の金曜日に家の掃除、食事 の用意をし、体も洗い、清潔な服に着替えるなど、様々な準備をしなければならない。1 日は日 没とともに始まるため、安息日は金曜日の日没とともに、家庭ではろうそくの点火の祈りもって 始まる。そして、男性はシナゴーグ(会堂)に祈りに行き、主婦は家庭で食卓を整え、男性が帰 宅するのを待つ。シナゴーグから帰ると、父親は子供たちを祝福し、家庭で安息日の夕べを迎え る儀式を行なう。  ユダヤ教での祈りは、1 日に 3 回あり、朝の祈りはシャハリート、午後の祈りはミンハー、夕 べの祈りはマアリブという。シャハリートは、食事の前にシナゴーグに行って行なう。シャハリー トの中心はトーラー(モーセ 5 書すなわち旧約聖書の最初の 5 書)を用いて執り行われ、トーラー を授かった感謝とその朗読をし、天地創造の神への賛歌と祈りが力強く捧げられる。賛美が続き、 詩編が読まれる。そして、シェマアの祈り(申命記 6 章 4 節の一句を用いたイスラエル民族の 信仰告白)が行なわれ、続いて皆が立って各人で別々に祈るアミダーという祈りが行なわれる。 その後、祭司の祈り、民数記 6:24-26 で結ばれる。これはモーセ時代から伝えられてきた最古の 祈りだという。そして度重なる祝祷が行なわれ、ハイライトである、トーラーの巻き物が聖なる 櫃から取り出されて、会堂を一巡し、その週の読む分(パラシャー)が朗読され、ハフタラ(預 言書の一部)が読まれる。そして、ムサフという祈り、服喪者のためのカディッシュという祈り が唱えられて、朝の礼拝は終わる。なお、シャハリートの祈りはハザン(先唱者)と呼ばれる役 目の人が祈りのリードをして、会衆の皆と一緒に祈る。マアリブは平日には日没前に、安息日に は引き延ばして日没後 40 分たって祈る。マアリブは、シェマアとアミダーの祈りが中心となり、 神への賛美を行なう。  また、ヨム・キプル(贖罪の日)はユダヤ教における最大の休日の 1 つであり、嘆きの壁に手 を触れる人、立ったままの人、椅子に座った人、壁から離れて立つ人、壁に頭を付けた人、黒い 山高帽に黒いフロックコートの人、キッパ(丸い椀状の帽子)を被っている人が、いずれも聖書 を手に、体を前後に揺らしながら祈る。  その他、以上 3 つの毎日定められた祈りとは別に、1 日を通じて戒律に定められたことがらを 実行する前、食事の前、トイレの後などに祈りを行なう。また、家に入るごとにメズーザー(門 柱)に手を当てて祈るなど、1 日の中でも無数の祈りを行なう。  このようにユダヤ教では、基本的には決められた状況、内容、時間、場所でお祈りをすること が原則となっている。文 2)

図 2.1.1-1 嘆きの壁に祈るユダヤ教徒

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祈りの歴史

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2.1.2 イスラム教の祈りと生活 イスラム教では、1 日 5 回の決まった時間に祈りが捧げられる。具体的には、 日の出 1 時間半前から日の出 10 分前までに行う早朝のお祈り(ファジュル)、 正午の 15 分後から正午から 3 時間半後までに行う正午過ぎの礼拝(ズフル)、 日没 2 時間半前から日没 10 分前までに行う遅い午後の礼拝(アスル)、 日没 5 分後から日没 1 時間後に行う日没後の礼拝(マグリブ)、 日没 1 時間半後から深夜に行う就寝前の礼拝(イシャーウ)の 5 回である。  このようにモスクでの集団礼拝の時間はそれぞれ決まっており、礼拝の時刻になるとモスクか ら肉声により呼びかけが行なわれる。集団で礼拝する人はその時間に間に合うようにしなければ ならないが、時間に間に合わない人は決められた時間内に、郊外や家の中など礼拝に適した場所 を見つけて礼拝を捧げれば問題ない。  また、イスラム教では、ユダヤ教やキリスト教と同様に偶像崇拝が厳格に禁止されているため、 イスラム教の神であるアッラーではない物体や人の方向を対象として祈ってはならず、イスラム 教の聖地であるサウジアラビアのメッカのマスジド・ハラームの中心部にあるカアバ神殿の方角 にひれ伏すことで行われる。出先では礼拝をするための専用の絨毯を敷いて、方位磁針も利用さ れることもある。イスラム系の国の飛行機(エミレーツ航空、パキスタン航空など)では機内に お祈りの場所があり、一定の時間になるとお祈りの行列ができる。文 3)

図 2.1.2-1 決まった時間に祈りを捧げるイスラム教徒

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祈りの歴史

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2.1.3 キリスト教の祈りと生活 キリスト教において、祈りは信仰生活の中心をなす行為のひとつである。他の宗教の祈りと根本 的に異なるのは、まず神の言葉を聞いて、それに基づいて祈ることが重要であり、自分の願いを 告白する上でも、神の心に適っているかどうかが重要である。つまり、神の言葉や聖書を読み聞 きしお祈りをすることは一連の行為であり、日常的な行為となっている。  祈りの内容や時間帯は、カトリックとプロテスタント、各宗派と教会によって大きく異なるが、 ミサや礼拝、合宿などのイベントに混ぜて、教会や広場などで黙想会、祈祷会、お祈り会といっ た形で集団で集まってお祈りをするものもある。 |カトリック ローマのヴァチカンを本山にしローマ教会とも呼ばれ、ローマ教皇を首長とする位階制度で成り 立つ。神以外にもマリアや聖人を信仰しており、祈りの対象としている場合もある。  ミサ(礼拝)では、まず十字を切り、神に対して罪の告白をしてから祈りが始まる。そして神 の栄光を讃え、聖書を朗読し、司祭の説教を聞いた後、信仰宣言を行なう。人類のための共同祈 願が行われ、献金の奉納をした後、司祭がパンとぶどう酒を清め、神に賛美と感謝を捧げる。そ してイエス・キリストの受難と復活、昇天を記念し、再臨を待ち望み、全人類の一致のために祈 る。最後に十字を切ってミサは終わる。  カトリックでは、祈祷書によるお祈り、ロザリオを使った祈りがなされる。日曜以外の短い聖 堂での祈りあるいは朝のミサが奨められており、その他の時間では、毎日の朝晩、日中も時間が あれば、祈りを捧げる習慣の人が多い。祈りの項目は、主祷文(主の祈り)、天使祝詞、栄唱、 使徒信経、信・望・愛の祈り、痛悔・告白の祈り、十戒・おきて、お告げの祈り、アレルヤの祈 り、呼祷などがある。  朝は、毎朝 20 分程度、自室や聖堂で祈ることで、前日のいらいらする出来事から心を清め、 新たな 1 日を新しい真っ白な気持ちで迎えるように祈り、夜は睡眠前の 5 分を聖書を読んだり、 祈りの時間に充てることが多い。1 日の出来事を振り返って感謝すべきこと、反省すべきことを 素直に謙虚に振り返る。時間のある時は、心に不平不満がある時、その原因となる存在へのネガ ティブな感情と悪意を放棄し、相手にとって悪い方向で悪意で対処したいという欲望に打ち勝ち、 自分としては変えようもない相手の場合は相手の現状を沈黙で受け入れる、などという自分への 勝利によって心の平和を成すことができる。  このように、カトリックは祈りの内容やその時間がある程度定められている。文 4)

図 2.1.3-1 サンピエトロ大聖堂で祈るローマ法王

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祈りの歴史

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|プロテスタント プロテスタントは、免罪符の販売などのローマ・カトリック教会の腐敗を正すため、16 世紀ド イツ、マルティン・ルターによって聖書を中心とした信仰を取り戻す宗教改革が行なわれること によって始まる。 ルターの影響を受けたフランスの宗教改革者、カルビンによるカルビン派な ども存在し、宗派は百数十に上る。カトリックとは異なり、教皇や教会の権威は認めずに民主主 義的な体制をとる。  お祈りの内容に注目すると、定まった祈祷文をもちいるものと、個人の自由で自発的な祈祷に 任せるものがある。伝統的教会は、定まった祈祷文を用いることを奨励し、プロテスタント教会 では自由祈祷を奨励する傾向がある。 ただ自由なのではなく、お祈りの流れ、ポイントがある。 まず、神に対し感謝をし、次に罪の悔い改めの祈りをし、次に決心のお祈りをし、次に自分の祈 りを振り返り神の御心通りになるように祈りをまとめ、最後にキリストの御名で祈りを締めるこ とでキリストを通して神への祈りとなる。文 5)

図 2.1.3-2 プロテスタント教会で祈る人々

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2.2 祈りの現在 2.2.1 インターネット通信を使用したお祈り |通話を使用したお祈り 「電話で祈る会 - JESUS ONLINE [ イエスオンライン ]」文 6) という会は電話でお祈りをすることを 主体として活動をしており、そのことをホームページにサイトとして立ち上げて紹介をしている。  この会は、主宰であるワルデマール・キッペス司祭がメルボルンでの「SELF SUPPORT 自分た ちの支え合い」という電話会議に参加したことがきっかけとなり、「電話で祈る会」が 88 年 1 月に発足した。最初の参加者は 3 人だったが、次第に増え、東京都と埼玉県から山口県、神奈川県、 鹿児島県、福岡県、宮城県、長崎県に広がった。各回のメンバーの参加平均人数は 8 名∼ 14 名 であるという。ここでは、賛美歌・詩編・聖書などを使って行われている。  NTT 電話会議サービスを用いて都内にいる人がホストとなるので、電話がこのエリアにあれば 誰でも「電話で祈る会」を実施することができる。特に、帰りが遅くなる社会人、教会からの距 離が遠い人にとっては出掛ける準備や集会場に行くための時間が節約でき、祈りの生活の助けに もなるという。

図 2.2.1-1 電話で祈る会

|ライブ配信を利用したお祈り ここでは代表として、ストリーミング技術を用いて配信をすることの出来るサイト USTREAM 文 7) を例に挙げる。USTREAM は 2007 年にアメリカで開発され、無料でインターネッ トを使って、映像や音声をストリーミング配信出来るサービスである。インターネット環境さえ 整っているならば、場所を選ばずに、現在ではスマートフォンからでも全世界に向けて、放送を 行なうことが可能である。  このサービスを用いて、教会での礼拝をビデオカメラで撮影しながらストリーミング配信を行 ない、直接教会に足を運べない人も、自宅のパソコンやスマートフォンなどのデバイスから配信 を受信することが出来、教会における礼拝の賛美や御言葉、お祈りを場所を選ばずにリアルタイ ムに捧げることが可能となっており、実際に多くの教会で実施されている。他、教会以外でも自 宅や集会場、グラウンド、学校、会社などにおいても信仰を持つ人同士でお祈りや賛美をするこ とを予めイベントとして告知し、その様子をライブ配信しているケースも見られる。このように、 配信した映像は記録として保存され、時間を選ばずに後からでも閲覧することが可能である。

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2.2.2 SNS を使用したお祈り 現在、インターネット上の交流を通してソーシャル・ネットワークを構築するサービスであるソー シャル・ネットワーキング・サービス(social networking service、以下 SNS)を世界中の人々 が利用している。代表的な SNS としては、日本では mixi、GREE、Mobage、Ameba、世界では Facebook、Twitter、Google+、Myspace、LinkedIn などが挙げられ、その中でも Facebook は世 界で7億人もの利用者数を記録し、その数は年々増加している。そして、今日の新たなお祈りの スタイルとして、その SNS を利用して行なうものが登場して来ている。 | SNS サイトのお祈りコーナー とある教会の SNS サイト文 8) では、様々なコーナーを設けており、その中の一つは「今日のひと こと」という形でユーザーは好きなことを書き込んで発言することができる。実際には多くのユー ザーは神様に対して「このようにしていきたい」という決心を表明したり、「このようになって 欲しい」という願いや、感謝の気持ちを表明してお祈りをしている。

図 2.2.2-1 SNS サイトのお祈りコーナー

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祈りの歴史

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|カカオトークでお祈り カカオトーク文 9) とは、韓国・ソウル市に拠点を置くカカオ社が開発、提供をしており、無料通話・ テキストメッセージサービスに加え、写真、動画、音声メール、URL を共有でき、Wi-Fi または 3G を利用して一対一のチャット、及びグループチャットをすることが出来る、スマートフォン 用アプリケーションである。カカオトークは自動的に同サービスを利用しているユーザーの友達 を見付けてコンタクトリストと同期し、お互いの電話番号を知らなくてもカカオトーク ID だけ で検索が可能である。また、アプリケーション内での友達を通称カカトモと呼び、カカトモを複 数人招待してトークルームを作成し、そこでグループチャットをすることが出来る。  このアプリケーションを利用して、お祈りをしているユーザーもいる。その方法は、ユーザー は、自分のカカトモを2人以上招待してトークルームを作成し、招待した人にそのトークルーム から退室をしてもらう。そうすると、トークルーム内には自分だけが存在している状態となる。 そこでテキストメッセージを送信しても誰にも見られることがないので、好きなことを発言する トークルームの作成が可能となる。このシステムを利用して、ユーザーは好きなことを好きな時 間、場所でスマートフォンのテキストメッセージを利用してお祈りをしている。

図 2.2.2-2 SNS アプリ「カカオトーク」の操作画面

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2.2.3 いつでもどこでも歩きながらでも |書籍「ウオーキングの祈り」文 10) 本書の著者である油谷は、歩きながらお祈りをしている東京教区の司祭であった。本書ではその ことはウォーキング祈りと表現しており、単に、ウォーキングをどのように祈りにしているかを 述べているだけでなく、日常生活であまりにも自然であり、欠かすことの出来ない歩くという身 体的活動を使って祈りを行ない、歩きながら祈る、または祈りながら歩くと言っている。つまり、 著者にとって、生活のすべてを祈りに変えたいという思いを本書を通して伝えようとしている。  本書の構成として、まず最初に序論として「祈り」について触れており、祈りたいけれどもど のように祈ればよいかわからない、という人に対し色々な祈り方や祈りについての基本的なこと を書かれている。  そして、本論である「祈りウォーキング」の部に入る。ここでは、宣教のために御言葉を各地 に伝えるために様々な地を訪れる巡礼とは、「ウォーキングが祈りに」なったものであると述べ ている。事実、イエス=キリストが御言葉を宣べ伝えた際、2000 年前のイスラエルには現在の ような交通機関が存在するわけも無く、ありとあらゆる所を歩きながら御言葉を伝えている。こ れはイエスだけでなく、旧約時代のモーセやヨシュア、ダビデやイザヤなどの時代の中心人物や 預言者、新約時代においてもイエスを初めとしてペテロやパウロ、ルやターザビエルも歩きなが ら活動を行って来た人物である。このように歩くことから、聖書を深め、実際のウォーキングの 基本について述べている。

図 2.2.3-1 書籍「ウオーキングの祈り」

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2.2.4 都市でのお祈りの実態調査 書籍「ウオーキングの祈り」を踏まえ、プロテスタントの牧師に、プロテスタントの信仰を持つ 人々が実際にどこでも祈っているのか取材を試みた。その回答としては、どこでも祈るというよ うな教えはあるが、どこまで行なうことが出来ているかと言えば、その人それぞれの信仰の度合 いによるという。しっかりした信仰者ならば祈っているとは思うが、祈りの内容やレベルは不明 とのことである。 |調査概要 ここまでの背景を振り返ると、従来に比較してお祈りの形態の自由度が上がり、SNS や電話を用 いたり、街中で歩きながらでもお祈りをしている実態が把握できた。そこで実際に街中でお祈り をしている人がどれほどいるのか、またその手法はどうようなものであるのか、1つの教会を対 象としてアンケート調査を試みた。 |日時 2013 年 12 月 16 日(日) |場所 世田谷区にあるキリスト教教会 |人数 男性 22 名、女性 31 名 |アンケート内容 実験教示 . あなたは健康で、時間にも余裕がある状態です。人や車なども通り、様々な音に溢れ ている一般的な都市や街中(屋外)にいます。 質問 1. お祈りをするならば、どのくらいの時間祈りますか? 質問 2. 声(自分の耳にぎりぎり聞こえる程度)を出して祈りますか? 質問 3. 祈りたいと思った時にその場で祈りますか?祈りやすい場所を探して移動して祈ります か? 質問 4. 手を組んで祈りますか?

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祈りの歴史

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|調査アンケート結果 質問1つ1つに対して得られた回答をまとめ、その結果を以下に載せる。 質問 1. お祈りをするならば、どのくらいの時間祈りますか? 1 分    男 2 人

女4人

3 分    男 10 人 女 16 人 5 分    男 8 人

女9人

10 分   男 1 人

女3人

それ以上 男 0 人

女0人

質問 2. 声(自分の耳にぎりぎり聞こえる程度)を出して祈りますか? はい  男 11 人 女 21 人 いいえ 男 9 人

女9人

質問 3. 祈りたいと思った時にその場で祈りますか?祈りやすい場所を探して移動して祈ります か? その場 男 8 人

女 15 人

移動  男 12 人 女 15 人 質問 4. 手を組んで祈りますか? 組む   男 11 人 女 15 人 組まない 男 9 人

女 15 人

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|考察 質問1つ1つに対して得られた結果から、その背景、理由、原因を考察する。 質問 1 都市内でお祈りをする際、その時間は 3 5 分の間で行なわれることが多いことがわかった。こ れは、実験教示として、時間的余裕がある状態、都市という人通りが多くあり交通網も発達した 環境下であることを説明した上で行なっていることを考慮すると、お祈りに集中しづらいこと、 身の安全が心配であること、都市内で日中の生活中にそこまで長いお祈りをする必要性や衝動に 駆られることが少ない、この 3 点故に 3 5 分でお祈りを済ませることが推測できる。またそれは、 その時間内で集中してお祈りしたいことをすることが出来るという結果でもある。 質問 2 声を出さない場合は脳内での思考になるため、考えがまとまりづらいことが言われているので、 自分の耳にぎりぎり聞こえる程度で声を出してお祈りをすることが推奨されている。今回の質問 は教示を考慮した上で、すなわち都市でお祈りをするかどうかを室内からの推測での回答である。 その結果でも、アンケート上では 64% の人が声を出してお祈りをするという結果を得られた。 質問 3 この結果から、50 人全員が都市でお祈りをしたことがある、またはその習慣を持っていること が明らかになった。また、お祈りをしたいと思った際に、お祈りをしやすい場所を探して、移動 して祈る人の方がやや多い傾向が出た。 質問 4 この結果から、手を組む・組まない人はほぼ半分に分かれた。街中でお祈りをする際には、自身 がお祈りをしていることに気付かれたくないと言うヒアリングも得られたので、手を組まない人 はそういった理由であることも予想できる。この結果は、手を組む・組まない人も都市という状 況を考えた上で、日常の習慣としてお祈りがしやすい形態の一つであると言える。 以上の4つの結果から、集中してお祈りをすることが出来る状態や場所が存在することが分かり、 またそのパラメータを得ることが出来た。

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2.3 既往研究 2.3.1 祈りの研究 |ベッカー=カール「祈りの研究」文 11) 神学や宗教学の伝統のあるユダヤ・イスラム・キリスト系の国々では、祈りに関する書物・研究 は多くあるが、戦後日本では祈りに関して客観的かつ内面的な理解にまで踏み込む研究は少ない。 本研究では、祈りの定義や類別、それに関する研究を紹介しているに留まっている。 |棚次 正和「いつ如何なる時でも『祈る』こと」文 12) 著者は祈りについて、「祈りとは『人間の弱さに起因するものでも『単なる心の中のできごと』 でもなく、祈りの原義は『生命(いのち)の宣言』であり、 『息の仕方』である」と定義しており、 呼吸としての「祈り」を生活の基礎においた「生き方」を提案している。特に「瞬間の祈りを生 活の中に取り入れること」に関して一日のはじめと終わりに平和と感謝の祈りをすることを勧め ており、有事・平時を問わずいつ如何なる時でも「祈る」ことによりその都度人生の尊さを再確 認することが現代を生きる上で大切だと述べている。 |中村 泰治 他「祈り ( 統一 ) の科学的測定と考察」文 13) 本研究は、祈りの測定中に本人が実体感した意識状況と測定された結果とを対比し、祈りと肉体 の関連を究明するため行われた。祈り中の脳波測定の結果、特にα波の変動状況は坐禅、瞑想、 静功などに共通な点があることを前回述べた。今回測定した脳波、脳内血液流量変化、皮膚電気 活動の結果から、被測定者が実感したとおり、開始後 3 分頃から深い祈りに入っていたとことを 科学的に裏付けることが出来た。 |得丸 定子「瞑想の評価 ―心理尺度と生化学的指標―」文 14) この論文は「瞑想が心身に与える影響」について、生化学面と心理面から評価し、将来的に瞑想 を学校教育へ導入するための知見を得ることを目的として客観的データを入手、まとめたもので ある。本研究はパイロット研究のため、調査対象者は少数の大学生(瞑想群8人、対照群7人) を対象とする。瞑想の効果評価法として、心理尺度と生化学検査指標とを用いた。心理尺度調査 では一部の項目で、瞑想郡内比較では初日より8ヶ月後の方が有意に高い結果が得られ。生命科 学検査結果では、瞑想後にはストレス度が減少し、免疫力が高まるという結果が得られた。 |河野 貴美子 他「気功、瞑想、各種ヒーリングにおける脳波の解析」文 15) この論文は筋肉運動による身体使い方との違い、また気功、瞑想、ヒーリングなどにおける内的 状態の差異並びに共通点などの脳波を獲得することを目的としている。筋肉の活動を惹起する脳 の神経活動が、経済的に表示される脳波に反映される両派非常に小さく、時系列的変化を直接測 定することは難しいが、筋肉の動きにより生じる筋電図はある程度推測可能である。瞑想、気功 ともに実験結果を解析したところヒーリング効果につながっていることが考えられる。

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祈りの歴史

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2.3.2 教会空間の研究 |和田 竜一 他「教会堂における音響の性状と信者の感情変化に対する研究」 文 16) この論文はいまだ少ない教会堂の音響の研究とその空間内における音が信者の感情に及ぼす影響 を調査したものである。調査方法としては、教会堂内で音楽を流し、その感情変化を SD 法にて 分析を試みている。  研究の結果、①奏楽および賛美歌に対する響きがよい(満足している)が、話し声に対する音 響設計は不十分(満足していない)教会が多かった。②講話主体の礼拝であるプロテスタント教 会は残響時間が短く、賛美歌主体のミサであるカトリック教会は残響時間が眺めの傾向がある。 ③世界的にイタリア・フランスは残響時間が長めで、ドイツ・オランダ・日本は短めである。④ 宗教音楽は教会ごとに独自性があるため、普段多用されている曲との際が反応に影響を及ぼして いる。感情を統一的に引き起こす要因の一つに曲目とそれにあう残響時間の定期が有効であるの ではないか。という結果が得られた。 |大谷 知世 他「教会の音響特性に関する事例研究」 文 17) 日本キリスト教団中目黒教会の音響を測定と、教会員に音の感じ方についてのアンケートを行い、 現在の会堂の音響性能と教会員の音の感じ方の関連性を調べた。測定結果とアンケートを対応さ せ、①エコーの影響は話し声が聞き取りづらい。②音源がオルガン位置での音圧分布が一様とい う結果が奏楽音への評価を高くする。③残響時間が長いということは話し声が聞き取りづらいが 奏楽音美しく響くという相反した意見。④明瞭度の低さや音圧レベルのばらつきは、拡声装置で ある程度雨儀なわれているがハウリングしやすいことや明瞭性が不十分だと感じている。という 結果にそれぞれ対応していることが分かった。 |川島 洋一「教会建築の形態論的研究(その4 宗教的意図と教会建築の形)」 文 18) この論文は、キリスト教会の信仰形態(教会観)と教会建築との関係について、日本のプロテス タント教会を例に取り、宗教空間としての教会建築をより「建築そのもの」として客観的に観察 するための一つの方策を考察をするものである。 研究の結果、①教会の規模により空間構成も異なり、小さくなるほど入れ子構造になっていくこ とが分かった。②最も宗教上重要な意味を持つ礼拝室は宗教儀式のための様々な演出がなされ、 壁面開口の形や聖壇の形などに多くの形が見られた。また、外部行為の空間構成ではファサード の形も、塔の有無、開口部の垂直性など様々な教会建築のパターンが見られることが分かった。 これらを類型化することにより、現実的に宗教的建築を生み出している部分的な形を明確にする ことが可能となる。③現存する教会建築を観察し、実際の形と建築的諸要素と比較検討すること により教会空間のあり方やカトリック教会との差異を見いだすことが可能になると考えた。

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都市における祈りの集中度モデル

祈りの歴史

2

2.4 本研究の位置づけ

2.1、2.2、2.3 を整理する。既往研究からは、祈りに関しては、祈りの定義や類別、祈りに集中 し始める時間などの研究、教会空間に関しては、音響や形態学的な観点からは研究されている。  また近年、祈りのスタイルが多様性を持ち始めて来ており、その最たるものがキリスト教であ る。現在のキリスト教(特にプロテスタントの流れを受ける宗派)では祈りの内容や時間、場所 の成約を受けず、都市で歩きながら、SNS などを用いながら祈りがされている。そしてその実態 調査を試みたところ、集中してお祈りをすることが出来る状態や場所が存在することが分かり、 またそのパラメータを得ることが出来た。  以上から、本研究は現在の祈りのスタイルの多様性に合わせた研究として、都市空間において 集中して祈ることが出来る方法を求めていく。

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祈りの評価手法

3


都市における祈りの集中度モデル

祈りの評価手法

3

3.1 集中度の研究

|野口 公喜 他「実オフィス空間における高照度光環境の影響」文 19) 近年、日中の光環境がヒトの睡眠・覚醒リズムや体温・ホルモンリズムといった生体リズムに重 大な影響を及ぼすことが明らかとされてきている。この研究は、そのなかで中年層を中心とした 人々が日中の大半の時間を過ごすオフィスの光環境に関して、日中の補光という観点で改善が検 討されるべきであると推察し、その研究を報告するものである。  集中度に関しては通常の証明よりも高照度光環境下で集中力が上昇する傾向が見られた。覚醒 度・気分においても同様の傾向が見られたが、いずれの項目においても統計的有意差には至らな かった。  また、執務環境評価に関しては作業性・快適性などのすべての項目において高照度光環境がよ り高い評価が得られた。高照度光環境下が執務環境としての質的低下を生じさせない可能性が示 唆された。 |道垣内 まゆ 他「動作評価からみた学習机の集中力に関する研究 : こどもの学習机における囲み 空間の検証」文 20) 学習机の囲み空間が集中力の発揮に効果をもたらすのではないかという仮説のもと、研究その1 におけるクレペリンテストとアンケートを用いた感性による評価に加え、被験者の動作と生理に 現れる数値から定量的に評価することを試みた研究である。実験では加速時計、心拍計から得ら れた数値、アイマークの分析と、クレペリンテスト点数との相関を明らかにした。この実験によ り、クレペリンテスト点数と体の動揺には大きな相関は見られないが、心拍が安定しているとき には得点が高い傾向にあり、集中度を測る際に心拍が利用できることを示唆した。また、アイマー クの分析により、囲みの大きい学習机において最も集中しやすいことが示された。 |出口 雄也 他「学習時の集中度測定に関する一検討」文 21) この論文は、「知的活動の程度を認識する研究」が少ない要因となっている「測定する簡便な方 法がないこと」を背景とし、知的活動の度合いを比較的簡便な脳計測装置によって定量的に測定 する手法を探るものである。この研究では、脳内の酸素モル濃度変化を取得できる「ポータブル NIRS」を使用し、集中度を測定するために難易度の異なる3つの問題を用意(強い集中を促すも のからリラックス状態を生み出すものまで)し、被験者に 180 秒の間できるだけ解いてもらい 測定した。  測定結果より、難易度が高くなるほど酸素濃度が高くなる傾向が見られ、問題の難易度は集中 度に相関があることが示唆された。これは、参加者の主観的な集中度を簡便な方法で検出できる 可能性も示唆している。

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都市における祈りの集中度モデル

祈りの評価手法

3

|林 利毅 他「進捗管理のための東部の動きに着目した集中度判定」文 22) この論文は、作業者の身体的・精神的状態を把握することを目的とした集中度の高さを判定する 手法を提案するものである。まず被験者に頭部に加速度センサを装着した状態で計算問題を解い てもらい、解答中の頭部の動きと、正答数に相関があるか評価実験を行った。具体的には事前に 取得した集中時の頭部の動きと、作業中の頭部の動きとを比較することで作業時に集中度が高い かどうかを判定した。  その結果、すべての被験者に相関が見られ、0.8 以上の高い相関を示した被験者もおり、頭部 の動きを測ることで作業者の集中度が高いかどうかを判定できることが確認できた。 |内村 浩 他「生徒の授業への集中度評価による教授・学習改善の試み」文 23) この論文では第一に、意欲ある教師が誰でもこの集中度の測定法を用いて自分の授業を反省し改 善することができるように「集中度評価の手引き」を作成した。第二に「集中度評価法」の効果 を確かめた。  「集中度評価法の手引き」では、生徒に配る調査用紙(一分ごとに 10 段階評価で折れ線グラ フを作成できるもの・自由記述欄あり)、ビデオカメラの操作の仕方、データの分析の仕方(1 分ごとに生徒全員の集中度の平均値を算出し、折れ線グラフを作成し、VTR と照らし合わせなが ら気づいたことを記入後、グラフを OHP 用の透明シートに書き出し生徒が記入したグラフと重 ね、個人のデータと比較する)を作成した。  また、その効果を確かめるため、VTR を取って利用する教師としない教師を4人用意し、同じ 授業を行ってその差異を比較した。その結果、分析した上で教授方法を改善したところ生徒の学 習意欲が向上したことが分かり、「集中度評価法」の効果は確かであると確認できた。

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都市における祈りの集中度モデル

祈りの評価手法

3

3.2 視覚・聴覚・嗅覚の研究 3.2.1 視覚の研究 |岩田 利枝 他「視野照度変化と明るさ感に関する研究 : 歩行空間の連続性に基づいた照度設計指 標の提案 その 1」文 24) 目の順応レベルによる明るさ感への影響を考慮していない設計に対して、計画した明るさ感を得 られるよう設計するための基本的なガイドラインを提案した研究である。連続空間の照度と移動 時間に基づいた明るさ感の予測方法を提案している。実験により、一般の屋内通路空間における 程度の照度変化でも、目の順応が明るさ感に影響する示し、評価視野の輝度分布の影響について 検討をおこなった結果、通路空間の設計資料として、目の位置での鉛直面照度をパラメーターと して、前順応照度、評価照度と評価空間に入った直後の明るさ感の関係図を示すことができた。 |中村 芳樹 他「オフィスの輝度分布特性とその心理的効果」文 25) オフィス内における、照明による視環境の快適性を向上することを目的とし、照明環境の心理効 果を明らかにした研究である。筆者らはオフィス空間における輝度分布の心理的効果を明らかに するために、平均輝度と天井、壁、床の輝度比を変化させた模型刺激を用いて印象評価実験を行い、 印象と輝度分布の関係について分析した。これにより、照明方式や平均輝度が変化すると、たと え天井、壁、床の輝度比が固定されていてもその輝度分布は変化することが明らかになった。ま た、この輝度変化量のバランスは、印象に大きな影響を及ぼす要素であることが明らかになった。 |森 星豪 他「空間の明るさ感指標 Feu を用いた屋外照明設計法」文 26) 屋内空間の明るさ感評価値と高い相関を示す空間の明るさ感指標 Feu の屋外空間への適応におい て、幾何平均輝度の算出範囲を視角で垂直 20 度(視点上側 8 度+下側 12 度)、水平 30 度の有 効視野と呼ばれる範囲に設定することで、屋外空間の視環境でも明るさ感評価値と高い相関を示 すことを実証した研究である。また、これを用いることにより、屋外空間の明るさ感を定量的に 評価できるとともに、安心感との相関も高いことを確認した。

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都市における祈りの集中度モデル

祈りの評価手法

3

3.2.2 聴覚の研究 |谷畑 義則 他「環境音とまちの印象の関係についての分析 街の空間構成と環境認知に関する 研究 その 4」文 27) 「人々の思い描く街のイメージは、建物、自然、建築物だけでなく聴覚的要素も統合されて構成 されている。」という仮説を証明する為に東京の繁華街の様子を撮影し、環境音あり、環境音な しでその映像を視聴させて SD 法による印象評価を行った。その結果環境音はにぎわい因子を増 大させるが、おちつき因子を減少させることがわかった。 |鈴木 勝之 他「街で聞こえる音が及ぼす心理的作用の場所による差異」文 28) 鳥のさえずりは公園で聞くと「好ましい」と評価されるが、商店街では「好ましくない」と評価 される。音声アナウンスは公園で聞くと「好ましくない」と評価されるが、商店街では「好まし い」と評価される。環境音の評価においては、「音そのもの」だけではなく、「その音をどこで聞 くのか」が重要な因子となる。 |佐藤 哲身「都市の環境音の分布と喧騒感の緩和」文 29) 都市部のおける喧騒は経済活動活性化の現れでもあるが、人間に及ぼす精神的な負の影響は深刻 である。そこで、街中に溢れる音をデシベル ( 音圧 ) と音の種類 ( 自動車、BGM、鳥など ) で分類し、 SD 法で評価することで負の影響を与える因子を明らかにした。一般にデシベル ( 音圧 ) が高けれ ば高いほど人間には不快感を与えることがわかったが、その中に川のせせらぎや鳥の鳴き声など 自然音が混ざっていると不快感が紛れるということがわかった。 |平澤 瞬 他「脳波を用いた環境音の快適性評価」文 30) 音によって生まれる感情を評価することにより、どのような音が心地よいか、あるいは不快であ るかなど、特定音源の快適性を追求しようとした。  被験者は無響室に閉眼した状態で 30 秒間環境音を聞き、被験者の脳波の変化を測定した。風 音や水音など、持続するような環境音では「慣れ」が発生し、脳波のα波が増えた = リラックス した。都市部の雑踏など、どんな音が聞こえるか予想できない環境音では「慣れ」が発生せず、 α波は観測されなかった。

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都市における祈りの集中度モデル

祈りの評価手法

3

3.2.3 嗅覚の研究 |草野 智 他「香りが居住者の心理・生理反応および作業効率に及ぼす影響に関する被験者実験」 文 31)

これまで香りによる人間への心理的効果は研究されてきたが、知的生産性に関する研究は少ない。 本研究では、香りによる作業効率の研究を行った。実験では室内環境を一定に保ち、3 種類の香 りを拡散させた。実験の結果、香りが被験者のストレス値を軽減すること、足し算やタイピング などの単純作業に対して効果があるということが分かった。 |天野 健太郎 他「人にやさしい空間 室内空気質が心理・生理に与える影響に関する研究 その 2」 文 32)

好ましい香りの提示が作業効率の向上の可能性を示唆する結果を受けて、本研究では執務者の休 憩中および執務中への影響についての研究を行った。実験では執務室の隣の会議室に匂いを拡散 させ、影響について調査した。調査より休憩中の好みの香りの提示が心理的な満足度に有利に働 くことが分かった。 |岡崎 義郎「ニオイ環境がヒトに及ぼす影響 : 生理心理学の立場から、覚醒水準を中心として」 文 33)

古くから医療目的での香りの利用は行われていたが、近年科学的なアプローチも考えられている。 様々な研究より CNV 早期成分を指標とした覚醒水準の変動やα波周波数揺らぎの傾き係数が人 間の情動系、覚醒系への影響の指標になることが徐々に明らかになっている。

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都市における祈りの集中度モデル

祈りの評価手法

3

3.3 集中度の評価手法の選定

3.1、3.2 を踏まえると、集中度を求めるにあたり、脳波や加速度計などの装置を用いた評価手法 もあるが、それらは目を開けた状態や、頭部の揺れを測定するものであり、本研究における祈り は目を閉じた状態かつ静止しているため、有用な評価手法であるとは言えない。また、印象評価 や SD 法などによるものも見られるが、これは非常に古典的なやり方であり正確な結果が出ない のは近年の研究で明らかになっている上、集中度を求めることは難しい。  以上のように、生理計測から求めることが難しく、本人の主観評価による集中度が最も重要で あると判断したため、本研究における祈りの集中度は本人の主観評価から求めることとする。

31


祈りの集中度モデルの作成

4


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

4.1 実験 - 明るさと音と香りによる集中度評価 4.1.1 実験目的と実験概要 |実験目的 本実験において説明変数とした明るさと音量と香りを自在に操作できる都市空間を想定した室内 空間にて、それぞれの変数を変化した際の被験者の祈りの集中度モデルを作成する。 |実験概要 日時:2013 年 12 月 22 日 - 12 月 31 日 時間:被験者 1 人につき 30 分 場所 : 東京都世田谷区における6畳の室内 被験者:キリスト教教会に通っており信仰のある一般男女 17 名(平均年齢 29 歳)

33


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

4.1.2 実験手順 実験の大まかな流れを以下に記す。 1. 被験者に椅子に座ってもらう。 2. 実験教示を行なう。(人・車通りがある都市の中にいて、時間的余裕がある状態で、お祈りを するために 1 人で座っているという状況を説明) 3. 目を閉じてもらい、照明の明るさを変えていき、最もお祈りに集中できそうな明るさを見つけ、 その集中度を 100 とする。 4. 照明の明るさを消灯から完全点灯まで(被験者によっては逆順)少しずつ変化させ、それぞれ の明るさにおける集中度を 0 100 で評価してもらう。 5. 同じことを音でも行なう。 6. 香料を鼻の下に塗る。(ここで香料を塗る場合と、2 回目の実験の際に塗る場合があり、被験 者によっては逆順) 7. 最もお祈りに集中できそうな部屋の明るさと音量に設定し、お祈りを 3 分間してもらう。(こ の際、計測者はイヤフォンで音楽を聴きながら室内にいる。) 8. お祈り終了後、先ほど香料を塗った場合は香料を拭き取り、塗らなかった場合は香料を塗って、 再びお祈りを 3 分間してもらう。(この際、計測者はイヤフォンで音楽を聴きながら室内にいる。) 9. お祈り終了後、以下の質問をする。 ・声を出して祈りましたか? ・お祈りの集中度に影響する項目として、明るさと音の大きさを考えた場合、100% を何 % ずつ の割合で分けますか? ・香料を塗った場合のお祈りの集中度を -100%

+100% の範囲で表現して下さい。

・街中 ( 屋外 ) で祈るにあたり、必要なものは何ですか?自由に記述して下さい。 ・普段お祈りをしている空間と比較して、本空間でのお祈りの集中度を -100%

+100% の範囲

で表現して下さい。

34


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

4.1.3 実験空間 |実験空間の説明 実験空間は、天井に調光器付き天井照明、部屋の中央に被験者用の椅子を置き、前にミュージッ クプレイヤーと接続したアンプを置き、開口部は暗幕で完全に隠し、室外の光の入射を防いだ。 調光器付き天井照明

暗幕

2400 アンプ

パソコン

2800 図 4.1.3-1 実験空間立面図

|実験空間で変化させた輝度の値 以下に 21 段階ごとの輝度の値を載せる。 段階

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

0.04

0.17

0.21

0.29

0.55

1.10

1.46

1.88

2.59

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

輝度(cd/m2) 2.79

3.44

4.28

4.90

5.20

7.06

8.52

8.9

9.38

10.6

10.7

輝度(cd/m2) 0.00 段階

表 4.1.3-1 21 段階ごとの輝度の値

|実験空間で変化させた等価騒音レベルの値 以下に 17 段階ごとの等価騒音レベルの値を載せる。 段階

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

等価騒音レベル(dB)

35

47

49.4

52.5

56

58.8

61.6

64.5

67

69.4

段階

11

12

13

14

15

16

17

74.1

76.1

78.1

79.7

81.2

82.9

等価騒音レベル(dB) 71.7

表 4.1.3-2 17 段階ごとの等価騒音レベルの値

35


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

4.1.4 使用機材 本実験で使用した機材と使用方法を記す。 |視覚系 ・輝度計(コニカミノルタ社製、型番 LS-110) ファインダーから測定物に標準を定めトリガーを押すと、ファインダー内と本体側面に測定結果 が表示される。今回は、人間の瞼に標準を定めて測定を行い、目を閉じた状態での目に入る光の 量を調査した。 ・調光器付き天井照明(東芝社製、型番 LEDH95036Y-LC) リモコンで明るさを真っ暗から最も明るいものまで 21 段階で変えることが出来る。 ・暗幕 |聴覚系 ・騒音計(リオン社製、型番 NL-02A) A特性と呼ばれる人間の感覚補正を行った騒音レベルを、被験者の座る位置に置いて使用した。 ・騒音計アプリ(iPhone アプリ、Decibel Ultra) 騒音計との精度を確かめたところほとんど誤差がないことを確認し、補助的なツールとして使用 した。本研究においては、等価騒音レベルを求める際に使用した。 ・ミュージックプレイヤー(MacBook Pro) ボタンで無音状態から最大音量まで 17 段階で変えることが出来る。 ・再生ソフト(PC フリーソフト、Audacity) ・アンプ(CRATE 社製、型番 TX15) |嗅覚系 ・アロマオイル(ローズマリー) 人間の肌に塗布しても問題ない濃度である 1% に希釈して使用。

図 4.1.4-2 調光器付き天井照明

図 4.1.4-1 輝度計

図 4.1.4-4「Decibel Ultra」

図 4.1.4-3 騒音計

図 4.1.4-5 アンプ

36


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

4.1.5 実験素材 実験で使用した素材とその選定理由を記す。 |使用した都市の音 今回実験で使用した都市の音は、表参道ヒルズ前の人通りと交通騒音である。本地点を選定した 理由は、大通りに面する場所の交通騒音、商業店舗地域での人の生活音がバランスよく存在し、 都市をイメージするに適していると判断したためである。録音機材は、単一指向性コンデンサマ イク(サンワサプライ社製、型番 400-MC002)を用いて、表参道ヒルズ前の人通りと交通騒音 を 5 分録音した。   |香料 ローズマリー・オーガニック(ニールズヤードレメディーズ社製) 書籍「ニールズヤード式アロマセラピーレッスン BasicVer. 」文 34)にて、集中力を高める香りの中 から最もオーソドックスで広く用いられているものを選択。

図 4.1.5-1 書籍「ニールズヤード式アロマセラピーレッスン」

図 4.1.5-2 ローズマリー・オーガニック

|アンケート用紙  以下に、アンケートで質問をした項目を載せる。アンケート用紙は、資料編に載せる。 ・各輝度、騒音レベルにおける集中度の百分率。 ・声を出して祈りましたか? ・お祈りの集中度に影響する項目として、明るさと音の大きさを考えた場合、100% を何 % ずつ の割合で分けますか? ・香料を塗った場合のお祈りの集中度を -100%

+100% の範囲で表現して下さい。

・街中 ( 屋外 ) で祈るにあたり、必要なものは何ですか?自由に記述して下さい。 ・普段お祈りをしている空間と比較して、本空間でのお祈りの集中度を -100%

+100% の範囲

で表現して下さい。

37


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

4.2 実験結果

本実験では、目を閉じた状態で照明の明るさを変えていき、最もお祈りに集中できそうな明るさ をの集中度を 100 とし、消灯から完全点灯までの各明るさにおける集中度を 0 100 で評価して もらい、音でも同様の作業を行ない、香料を鼻の下に塗る、塗らない場合に分け、お祈りを 3 分 間してもらった。  以下に、輝度変化と騒音レベル変化、香りの有無による被験者ごとの各集中度と平均値をまと めた表とグラフを載せる。表は、集中度が高いところほど色を濃く表現している。

4.2.1 輝度変化の実験結果 |輝度変化の実験結果の表、グラフ

集中度(%) 被験者 A B

C

D E

0.04

0.17

0.21

0.29

0.55

1.10

1.46

1.88

2.59

2.79

3.44

4.28

4.90

5.20

7.06

8.52

8.9

9.38

10

50

60

75

75

80

100

100

100

70

70

60

50

50

40

40

30

30

30

80

90

90

99

100

100

70

95

100

60

79

95

99

90 98

99

100

100

97

80

90 96 97 70

93 94 60

88

90 20

80 85 20

H

90

90

100

100

90

95

95

100

90

100

100

100

100

70

66

50

48

44

I

80

100

K

100

100

M

100

100

100

100

O

90

90

95

100

100

80

J

L

N P

Q

平均

85 50 83 20

90 76

80

95 30

100

80

95 80

100 30

70

95

45

90

100

70

70

90

95

100 80 50 75

85

95 95

100 75

100 75

90

100

100

85

94

100

100 50

96

100

F

G

輝度(cd/m2)

0.00

95 60 70 85

90 70 50 80 55

85

90 60 70 80 85 65 40 80 55

100 70 82 20

100 60 80 20

80

75

60

45

85 70 70

75 70 65

80

70

50

50

30

20

90 38 80 50

90 30 80 50

100 55 80 20 75 70 30 70 55 70 80 40 30 20 80 45

100 50 80 20 73 65 30 70 50 65 80 40 30 20 70 30

100 45 78 20 72 60 30 70 45 65 70 40 27 20 70 30

100 45 77 20 71 55 30 70 35 60 70 38 27 15 70 25

100 40 75 10 70 50 30 70 30 60 70 38 20 15 50 25

90 40 70 10

69 45 30 70 20 55 70 37 20 15 50 20

90 40 70 10 68 42 20 60 20 50 70 37 20 15 50 20

90 40 68 10 67 40 15 60 20 50 70 37 20 15 40 20

90 40 68 10 66

39 15 80 20 40 60 37 20 15 40 15

10.59 10.67 80

80

35

35

30 65 10 65 35 10 70 20 40 60 36 20 10 40 15

30 62 10 63 30 10 70 20 35 60 36 20 10 40 15

86.41 88.41 86.47 84.71 86.24 75.94 72.88 67.94 61.76 58.24 54.88 52.47 50.47 46.65 44.18 41.88 40.71 40.29 37.71 36.82

表 4.2.1-1 輝度変化の実験結果表

図 4.2.1-1 輝度変化の実験結果グラフ

38


都市における祈りの集中度モデル

4

祈りの集中度モデルの作成

4.2.2 騒音レベル変化の実験結果 |騒音レベル変化の実験結果の表、グラフ 集中度(%) 被験者

35

47

49.4

52.5

56

58.8

61.6

80

80

100

100

100

77

80

80

A

100

100

C

100

100

100

E

95

95

100

B

D F

G

68

98

68

99

100

77

100

100 100

95

100

100

100

100

80

97

90

H

100

100

95

J

85

90

100

100

100

90

100

100

100

100

100

I

90

98

K

100

100

M

80

100

80

100

L

N

O

60

90

P

100

平均

84.4

Q

20

90

100 100 70

98 80

100 95 80

94.29 93.93

90 98 40

95 95 80

92.8

80

95

100 90 87 80 75

99

100

30

10

等価騒音レベル(dB) 64.5

67

69.4

71.7

74.1

76.1

78.1

79.7

81.2

82.9

100

100

90

90

90

90

70

70

50

30

30

80

96

100

98

75

60

90

100 75 80 80 73

98

90 90 60 70 70

96

100

100

100

100

100

80

70

95

90

95 90 90 90

70 85 80

100

10 60 80 80 80

100

20 40 70 70 70

100

80

90 40

80 80 20 50

70 70

98 5

50

70 60

94 0

20

10

60 70 65 60

100

60 70 50 60

100

70 50 10

0

70

70

70

75

75

80

60

50

35

10

65

30

50

50

76

20

0

40

10

80

85

0

53 10

95

90

0

60

40

30

10

10

95

0

60

40

30

15

20

60

60

50

40

25

30 65

60

50

30

50 70

60

85 50 5

0

55 80 40 5

0

45 70 30 5

0

30 70 30 0

0

25 50 10 0

0

10 5

50 0 0

70

70

70

70

70

70

70

50

50

40

30

30

20

20

40 80

30 70

20 70

10 50

5

30

5

20

5

10

89.06 84.82 80.35 75.71 68.53 62.53 58.47 53.47 46.18 39.71 33.53 26.35 23.82

表 4.2.2-1 騒音レベル変化の実験結果表

図 4.2.2-1 騒音レベル変化の実験結果グラフ

39


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

4.2.3 香りの有無の実験結果 |香りの有無の実験結果の表、グラフ 集中度の変化(%)

被験者 A

60

C

50

B

D E F

30 20 5

-5

G

-10

I

-60

K

0

H J

L

5

-20 5

M

-30

O

-70

Q

20

N P

平均

10 -5

0.29

表 4.2.3-1 香りの有無の実験結果表

図 4.2.3-1 香りの有無の実験結果グラフ

40


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

4.3 集中度モデルの作成 4.3.1 集中度モデルの作成方法 得られた実験結果から、実験で質問をした項目、結果から傾向を得られそうな項目、の2つの項 目に分けて分析を行なう。  分析方法は、まず被験者の属性ごとに分類し、その属性の実験結果の平均を算出し、近似曲線 を求める。その近似曲線が被験者属性ごとに求められたモデルとなる。

41


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

4.3.2 実験で質問をした項目についての分析 以下に、各分類ごとのグラフとモデルの方程式を載せる。 なお、R2(決定係数)とは相関係数 R の 2 乗に等しく、回帰分析の精度あるいは回帰式の当て はまり具合表わし、寄与率とも呼ばれる。   |光と音の重要度による分類

0 ≦ x < 12.06 のとき、 y = -0.0349x4 + 0.7987x3 - 5.4801x2 + 5.6003x + 66.92212.06 12.06 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.899

図 4.3.2-1 光の影響を重視する人の輝度変化による集中度モデル

0 ≦ x < 15.895 のとき、 y = -0.0731x3 + 1.733x2 - 14.893x + 92.442 15.895 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.98681

図 4.3.2-2 音の影響を重視する人の輝度変化による集中度モデル

42


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

0 ≦ x < 83.8 のとき、 y = -0.0744x2 + 7.1522x - 76.819 83.8 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.98695

図 4.3.2-3 光の影響を重視する人の騒音レベル変化による集中度モデル

0 ≦ x < 89.8 のとき、 y = -0.0483x2 + 4.4533x - 10.582 89.8 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.99712

図 4.3.2-4 音の影響を重視する人の騒音レベル変化による集中度モデル

43


都市における祈りの集中度モデル

4

祈りの集中度モデルの作成

|普段祈っている空間と比較した場合の集中度の上下による分類

0 ≦ x < 16.96 のとき、 y = -0.0522x3 + 1.3852x2 - 13.736x + 89.179 16.96 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.9844

図 4.3.2-5 普段より集中度が高い人の輝度変化による集中度モデル

0 ≦ x < 13 のとき、 y = -0.0189x4 + 0.3976x3 - 2.1016x2 - 4.3076x + 77.499 13 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.93071

図 4.3.2-6 普段より集中度が低い人の輝度変化による集中度モデル

44


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

0 ≦ x < 87.4 のとき、 y = -0.0474x2 + 4.0767x + 5.5959 87.4 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.99268

図 4.3.2-7 普段より集中度が高い人の騒音レベル変化による集中度モデル

0 ≦ x < 87.236 のとき、 y = -0.0671x2 + 6.67x - 71.225 87.236 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.97697

図 4.3.2-8 普段より集中度が低い人の騒音レベル変化による集中度モデル

45


都市における祈りの集中度モデル

4

祈りの集中度モデルの作成

|香料の有無での集中度の変化による分類

0 ≦ x < 18.6 のとき、 y = -0.0316x3 + 0.9241x2 - 10.823x + 84.857 18.6 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.96286

図 4.3.2-9 香料により集中度が上がった人の輝度変化による集中度モデル

0 ≦ x < 16.2 のとき、 y = -0.0698x3 + 1.6712x2 - 14.253x + 88.575 16.2 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.97413

図 4.3.2-10 香料により集中度が下がった人の輝度変化による集中度モデル

46


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

|香料の有無での集中度の変化による分類

0 ≦ x < 92 のとき、 y = -0.0352x2 + 2.8736x + 33.685 92 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.98321

図 4.3.2-11 香料により集中度が上がった人の騒音レベル変化による集中度モデル

0 ≦ x < 86 のとき、 y = -0.0737x2 + 7.3606x - 87.697 86 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.99186

図 4.3.2-12 香料により集中度が下がった人の騒音レベル変化による集中度モデル

47


都市における祈りの集中度モデル

4

祈りの集中度モデルの作成

|お祈りをする際の声の有無による分類

0 ≦ x < 25.6 のとき、 y = -0.0199x3 + 0.7865x2 - 10.485x + 86.52 25.6 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.96339

図 4.3.2-13 お祈りをする際に声を出す人の輝度変化による集中度モデル

0 ≦ x < 12.1 のとき、 y = -0.2108x3 + 4.1424x2 - 26.815x + 91.144 12.1 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.95457

図 4.3.2-14 お祈りをする際に声を出さない人の輝度変化による集中度モデル

48


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

0 ≦ x < 88.4 のとき、 y = -0.0517x2 + 4.7842x - 18.983 88.4 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.99571

図 4.3.2-15 お祈りをする際に声を出す人の騒音レベル変化による集中度モデル

0 ≦ x < 86.1 のとき、 y = -0.0742x2 + 7.2786x - 76.841 86.1 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.9738

図 4.3.2-16 お祈りをする際に声を出さない人の騒音レベル変化による集中度モデル

49


都市における祈りの集中度モデル

4

祈りの集中度モデルの作成

4.3.3 結果から傾向を得られそうな項目についての分析 |男女による分類

0 ≦ x < 13.1 のとき、 y = -0.021x4 + 0.4348x3 - 2.3532x2 3.0842x + 87.228 13.1 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.96491

図 4.3.3-1 男性の輝度変化による集中度モデル

0 ≦ x < 13.6 のとき、 y = -0.1147x3 + 2.6156x2 - 20.412x + 82.815 13.6 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.98139

図 4.3.3-2 女性の輝度変化による集中度モデル

50


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

4.3.3 結果から傾向を得られそうな項目についての分析 |男女による分類

0 ≦ x < 88.3 のとき、 y = -0.0589x2 + 5.7229x - 45.915 88.3 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.98921

図 4.3.3-3 男性の騒音レベル変化による集中度モデル

0 ≦ x < 87.3 のとき、 y = -0.0424x2 + 3.3914x + 26.945 87.3 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.96171

図 4.3.3-4 女性の騒音レベル変化による集中度モデル

51


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

|特殊なパターン 騒音レベルが低い際は集中度が高く、少し上げていくと集中度が下がり、更に高めていくと集中 度が上がるという、M 字型の集中度曲線を描く被験者が2人ほどいた。

0 ≦ x < 94.2 のとき、 y = -0.0004x4 + 0.0989x3 - 8.6298x2 + 320.9x - 4184 94.2 ≦ x のとき、y=0 R² = 0.97046 図 4.3.3-5 輝度変化実験において M 字型曲線を描く被験者の集中度モデル

52


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

4.4 考察 4.4.1 実験で質問をした項目についての考察 |光と音の重要度による分類 光の強さを重要視する度合いが 50% 以上の人と、音の大きさを重要視する度合いが 50% 以上の 人で分類分けを行ない、相互のグラフの比較を行ない、傾向を見いだした。 ・光の影響を 50% 以上重視する人、音の影響を 50%以上重視する人にそれぞれ分け、回答した 値の平均を見ると、それぞれ 71.25% と 72.05% であった。事実、ほとんどの人が 30%:70% ま たはその逆を回答しており、1人のみが 40%:60% と回答している。これは、光と音のどちらを 重要視するかの傾向が大きく分かれた結果である。そして、各個人の空間における集中度を求め る際には、光と音の集中度の合計で求まるが、その配分は 50%:50% に等分して合計するのでは なく、光と音の重要視する度合いについてそれぞれ 0 100%で回答している値を変数とし、掛 け合わせたものを合計したものが集中度となる。つまり、光の影響を重視する人、音の影響を重 視する人の属性分けは、空間における集中度を求める際にそれぞれの影響度を掛け合わせるため、 空間における集中度に大きな変化が表れる。 ・光の強さを重要視する人の方が、同輝度において全体を一貫して集中度が低い傾向が見られた。 ・また、同騒音レベルにおいても全体を一貫して集中度が低い傾向が見られた。 |普段祈っている空間と比較した場合の集中度の上下による分類 普段祈っている空間(教会)における祈りの集中度と本空間における集中度を比較してもらい、 より集中できた人とそうでなかった人に分類分けをし、相互のグラフの比較を行ない、傾向を見 いだした。 ・輝度変化の実験において、普段よりも祈れなかった人は真っ暗から暗めの空間の際の祈りの集 中度は、普段より祈れた人よりも低い傾向にあった。 ・また、騒音レベル変化の実験において、ほぼ音が聞こえない状況での祈りの集中度は、普段よ り祈れた人よりも低い傾向にあった。 ・全体的に、普段より祈れた人は、教会が暗すぎる、音が静かすぎると言う意見が出ており、逆 に普段より祈れなかった人は、教会が一番慣れている、静かな方が祈れるという意見が出た。 この結果は、普段の教会空間との差異がどこにあり、都市における祈りやすい状況を反映できる 有用な結果を得られた。 |香料の有無での集中度の変化による分類 香料の有無での集中度を -100 +100% で評価してもらった際の平均値は 0.3% と、平均を取ると 顕著な傾向は得られなかった。その上で、+側に回答をした人、ー側に回答をした人で属性分け をし、分析を行なった。なお、0% という回答が1人いたが、この回答は除外する。 ・輝度変化の実験において、香料ありの場合に集中度が増した人は、集中度が減った人に比べ、 輝度が上昇しても集中度の下がり方が緩やかである。 ・騒音レベル変化の実験においても同様に、香料ありの場合に集中度が増した人は、集中度が減っ た人に比べ、騒音レベルが上昇しても集中度の下がり方が緩やかである。また、集中度が減った 人は、集中度のピークの値は高いものの、騒音レベルが低い場合と高い場合における集中度が低 く、傾きが急な曲線を描いている。

53


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

|お祈りをする際の声の有無による分類 お祈りをする際に声を出す人は 15 人、出さなかった人は 2 人という結果から、この分類は偏り が出てしまい、声を出さなかった人の分析結果の信用性に欠けるが、分析を試みる。 ・輝度変化の実験において、声を出す人は、輝度を 25cd/m2 を越える所まで上昇させてやっと 集中度が 0 になった。つまり、声を出す人は、輝度変化の影響を受けづらいことが分かった。一 方で、声を出さない人は集中度が低い結果が得られた。 ・騒音レベル変化の実験において、声を出さない人はピーク時は集中度は 100 近くまで上昇する が、全体的に声を出す人とあまり顕著な差は見られなかった。

54


都市における祈りの集中度モデル

祈りの集中度モデルの作成

4

4.4.2 結果から傾向を得られそうな項目についての考察 |男女による分類 男女比は 12:5 で偏りはあるが、ある程度の傾向を得ることはできる数である。 ・輝度変化の実験において、男性は女性に比べて全体的に集中度が高く、輝度が上昇しても集中 度が下がりにくい。逆に女性は全体的に集中度の曲線がなだらかになっている。 ・騒音レベル変化の実験において、男性の方が女性に比べて騒音レベルが小さいほど集中度が低 い。45dB 辺りから男女の差が少なくなって来るが、それより大きくなっても集中度にあまり顕 著な差は見られない。 |特殊なパターン 騒音レベル変化の実験において、騒音レベルが低い際は集中度が高く、それより騒音レベルを大 きくした場合は集中度は一様に下がっていくのが本実験で得られたデータの傾向である。しかし、 騒音レベルが低い際は集中度が高く、少し上げていくと集中度が下がり、更に高めていくと集中 度が上がるという、M 字型の集中度曲線を描く被験者が2人ほどいた。被験者のヒアリングから、 騒音レベルが低い際は個人の声が聞こえず自分の声が聞こえ、静かに集中できるが、少しレベル が上がると個人の話し声が聞こえるために集中度が下がり、更に上がると騒音レベルは大きいの だが個人の話し声は騒音に紛れて聞こえなくなること、またそれに対応して自分の声も大きくす るため集中度が増すという事が考えられる。

55


都市における祈りの集中度モデル

4

祈りの集中度モデルの作成

4.5 まとめ

本実験から以下のことが分かり、集中度モデルを作成するための指標となった。また第 6 章で祈 りの都市評価マップを作成するためのモデルとして用いる。 全部で 6 つの分類に分けて分析と考察を行なった。その中でも、集中度を求める際に、被験者の 傾向が最も大きく分かれる分類分けは、光と音の重要度による分類である。これは、光の影響を 重視する人は光 : 音 =71.25%:28.75%、音の影響を重視する人は光 : 音 =27.95%:72.05% というよ うに、空間における集中度を求める際に、それぞれの光と音の影響度を掛け合わせるため、空間 における集中度に大きな変化が表れるためである。  故に、光の影響を重視する人と、音の影響を重視する人の集中度を求めるモデルを以下にそれ ぞれ記す。

xc= 輝度

xd= 等価騒音レベル

y 光 = 各輝度における集中度

y 音 = 各等価騒音レベルにおける集中度

Y 光 = 光の影響を重視する人の集中度 Y 音 = 音の影響を重視する人の集中度 とする。

|光の影響を重視する人 0≦xc<12.06 のとき、 Y 光 = y 光 × 71.25% + y 音 × 28.75%

=(-0.0349xc4 + 0.7987xc3 - 5.4801xc2 + 5.6003xc + 66.922)0.7125

+(-0.0744xd2 + 7.1522xd - 76.819)0.2875 12.06≦xc のとき、y 光 = 0 なので、Y 光 = y 音 × 28.75%

=(-0.0744xd2 + 7.1522xd - 76.819)0.2875

|音の影響を重視する人 0≦xc<15.9 のとき、 Y 光 = y 光 × 27.95% + y 音 × 72.05%

=(-0.0731xc3 + 1.733xc2 - 14.893xc + 92.442)0.2795

+(-0.0483xc2 + 4.4533xc - 10.582)0.7205 15.9≦xc のとき、y 光 = 0 なので、Y 光 = y 音 × 72.05%

=(-0.0483xc2 + 4.4533xc - 10.582)0.7205

56


都市における輝度と騒音レベル計測調査

5


都市における祈りの集中度モデル

都市における輝度と騒音レベル計測調査

5

5.1 調査 - 都市における輝度と騒音レベル計測 5.1.1 調査目的と調査概要 |調査目的 祈りの都市評価マップを作成するために、祈りスポットにおける時間別の輝度と騒音レベルを計 測する。 |調査概要 日時:2014 年 1 月 6 日 - 1 月 10 日 時間:1/6 17-22 時、1/7 11-17 時、1/10 6-11 時の 1 時間ごと、計 16 時間。 場所 : 東京都渋谷区神宮前 5,6 丁目における渋谷キャットストリート沿い及び一帯

58


都市における祈りの集中度モデル

都市における輝度と騒音レベル計測調査

5

5.1.2 調査手順 調査の大まかな流れを以下に記す。 1. 予め選定した 33 カ所 57 方向の計 57 の祈りスポットを1番効率よく回るルートを選定する。 2. 1 つ 1 つの祈りスポットに行き、輝度計を瞼に向け、輝度を計測。 3. また、騒音アプリ「Decibel Ultra」にて騒音レベルを 30 秒計測し、時間内で変動する騒音レ ベルのエネルギーの時間平均値である等価騒音レベルを求める。 4. これを 1 時間ごとに計測する。

59


都市における祈りの集中度モデル

都市における輝度と騒音レベル計測調査

5

5.1.3 調査対象敷地 |敷地の選定理由 本地点を選定した理由は、大通りに面する場所の交通騒音、商業店舗地域での人の生活音、裏路 地の住宅街の静けさがバランスよく存在しているため、同じ地帯において生活音の大小の変化が 顕著に現れることが想定できるためである。 |祈りスポットの選定 第 4 章の実験アンケートにおいて、街中 ( 屋外 ) で祈るにあたり、必要なものを聞いた所、座れ る場所という答えが圧倒的に多かった。なお、座る方向によって受ける光の強さが異なり集中度 に影響を与えるため、同じベンチでも座る方向が異なるならば違う祈りスポットである。 |通りの特性による祈りスポットのゾーニング 対象敷地にある祈りスポット付近を、表参道(都道 413 号線)と面する A ゾーン、キャットストリー ト沿いの B ゾーン、神宮前 6 丁目の店舗が散在している C ゾーン、神宮前 5 丁目の住宅街の D ゾー ンの4つに分類し、各祈りスポットに番号を振っていく。

N

Aゾーン Bゾーン Cゾーン Dゾーン

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1 B2

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

図 5.1.3-1 祈りスポットのゾーニングと番号

60


都市における祈りの集中度モデル

都市における輝度と騒音レベル計測調査

5

5.1.4 使用機材 本調査で使用した機材を記す。 |視覚系 ・輝度計(コニカミノルタ社製、型番 LS-110)  使用方法は、第 4 章と同じ。 |聴覚系 ・騒音計アプリ(iPhone アプリ、Decibel Ultra)

61


都市における祈りの集中度モデル

5.2 調査結果

都市における輝度と騒音レベル計測調査

6:00

A1

A2

A3

右の表が、時間ごとに計測した輝度と等価騒音レベルの表である。 なお、輝度がcd/m2、等価騒音レベルがdBである。

7:00

8:00

9:00

10:00

11:00

B3-1

57

46.2 63.9 24.1 63.7 27.2

69

23.9 63.8 35.7

66.2 10.6 60.6 14.3 59.3 25.9

61

57.2 65.6 99.7

63

18.6 64.3 42.5 60.8 21.3 58.8 1.09 61.1 0.83 61.5 0.83 60.8 0.83 62.9 0.69 57.4

6.9

61.2

6.2

67

7.52 59.8 9.35 66.8 11.2 62.4 32.8 5.5

55

47

58.1

3.41 58.1 8.99 57.4 8.89 57.5

47

16

5.54 56.3 16.8 53.6 13.7 56.3 29.6 52.5 20.3

3.91 56.3 15.8 53.6 13.4 56.3 31.1 52.5 28.5

5.35

48

48

12.4 46.2 39.6 49.2 77.2 54.6

16.7 46.2 31.5 49.2 69.6 54.6

16.9 46.2 32.2 49.2 63.8 54.6

7.08 42.3 26.8 48.5 50.9 54.8 30.2

8.62 42.3 29.5 48.5 46.9 54.8 33.2

8.35 42.3 16.9 48.5 49.9 54.8 70.2

8.12 40.8 19.7 42.4 17.5 44.3 84.4

47

47

47

44

190

454

115

314

56

56

56

52.7

40.7 53.5

94.1 53.5 48

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100

46.8 88.6 47.2

B7-3

13.5 42.1 27.5 43.3 48.8 47.2

120

46.8

7.96 44.4 19.3 47.2

725

49.7

B8-1

B8-2

B8-3

10.8 42.1 28.4 43.3 39.3 47.2 70.3 46.8 90.5 47.2

6.93 44.4 15.5 47.2 45.7 48.3 38.8 49.7

5.05 42.8

B9-3

4.38 42.8 21.9 45.7

B9-2 B10

B11-1

83

48.3

8.96 44.4 27.6 47.2 36.2 48.3

B9-1

5.8

5.8

4.9

18

246

167

103

364

47.2

52.3

52.3

49.7 49.7 52.3

45.7 29.3 52.3 41.6 52.2 33.8 54.4

42.8 16.4 45.7

42.8 16.4 45.7

45.5 21.1 44.6

36

57

36

37

52.3 28.5 52.2 51.5 54.4

52.3 28.5 52.2 51.5 54.4

46.3 34.1 46.4

107

48.1

B11-2 3.25 45.5 17.2 44.6 1870 46.3 50.6 46.4 44.8 48.1 B12-1 6.03

B12-3 4.49 B13 C1

C2

C3

C4

C5

C6-1

C6-2

C6-3

C6-4 C7

C8

D1

D2

D3

D4

D5

45

45

45

13.8 43.6

12.4 43.6

16.7 43.6

41

102

703

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174

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51.6 97.2 45.1 61.8

47

47

47

2.41 42.8 12.4 42.9 27.9 55.6 44.6 43.6 53.4 48.6

1.39 50.2 17.1 49.4 28.7 52.4 48.4 56.5 79.5 62.6

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55

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1.03 48.1

5

233

755

242 22

444

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58.9 57.5

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63

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132

53.8

271

58.2

120

60

60

58.7

62.7

1323 62.7 119

55.7

120

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58

58

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62.9

245

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351

58.7

112

62.9

194

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57.6

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233

57.7

57.7

322

57.1

208

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62.4

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58.2

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58

58.7

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158

55.7

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100

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56

56

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57.6

197

62.3

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56.5

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308

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12

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54

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307

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214

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199

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58.7

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58.4

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246

369

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57.8

24

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54.8

57.6

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59.5

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51.1

51.1

222

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53.3

53.3

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54.3

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51.3

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57.1

328

57.5

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59.8

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56.6

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55.9

230

342

54.3

116

139

57.6

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220

30

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134

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229

297

53.7

53.8

267

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193

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54

56

56

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118

110

557

185

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166

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55.8

186

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55.8

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43.9 53.5

80

113

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B7-1

B7-2

59

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5.54

B6

27

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B4-2

B5-2

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B5-3

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65

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B3-3

B4-3

21:00

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B4-1 9.93

B5-1

20:00

59

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B3-2

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B1-3

B2-4

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B2-3

17:00

134

18

B1-1

B2-1

16:00

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B2-2

15:00

69

A6

B1-2

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A7

13:00

cd/m2 dB cd/m2 dB cd/m2 dB cd/m2 dB cd/m2 dB cd/m2 dB cd/m2 dB cd/m2 dB cd/m2 dB cd/m2 dB cd/m2 dB cd/m2 dB cd/m2 dB cd/m2 dB cd/m2 dB cd/m2 dB

A4

A5

12:00

5

74

47.5

1.76 50.4 7.78 45.1 28.7 42.5 87.7 46.5 33.4 47.5

2.28 47.9 9.19 43.3 22.3 46.8 61.9 45.9 57.5 49.2

3.67 42.5 19.8 43.8 34.7 41.3 28.7 44.7 34.5 47.1

101

219

236

294

154

130

236

924

233

47.7 54.9 49.3 42.3 53.4

49.3

51.9

335

151

52.7

55.4

356

265

304

50.9

50.6

50.6

116

168

365

48.8

663

359

51.1 22.2 50.3 0.45 48.9 0.44 53.2 0.44 49.8 0.44 52.8 0.07 45.8

49.3 36.9 47.6

0.9

49.7 0.18 47.7 0.18 46.5 0.18 45.3 0.11 40.6

50.6 19.6 50.7 1.55 49.5 0.95 48.9 0.95 46.9 0.95 50.4 0.84 44.5

51.9

131

55.4

48.8

139

50.6 30.1 50.7 0.95 49.5 1.13 48.9 1.13 46.9 1.13 50.4 0.49 44.5

51.9

111

55.4 2152 50.6 2421 48.8

655

50.6 39.5 50.7 1.32 49.5 1.12 48.9 1.12 46.9 1.12 50.4 0.87 44.5

51.9 53.3 55.4 1059 50.6 51.9

151

55.4

55.7 1945 52.9

45.2 1020

46

265

116

234

50.6

53.7

47.2

281

49.7 99.6

50.7

266

365

132

199

48.8

197

50.6 28.1 50.7 1.44 49.5 0.83 48.9 0.83 46.9 0.83 50.4 0.74 44.5

48.8

359

50.6 19.6 50.7 0.88 49.5 0.95 48.9 0.95 46.9 0.95 50.4 0.84 44.5

47.9

178

53.2 39.3 46.2 0.17 53.6 0.14 48.5 0.14 47.1 0.14

51.9 92.1

21.4 49.5 0.35 50.6 0.39 52.3 0.39 50.2 0.39 52.1 0.04 48.2 48

0.1

46.5

5.21 43.6 14.1 43.4 44.6 46.4 62.5 44.6

206

46.1 2058 46.6 1158 44.4

831

50.5

486

53.5

5.73 40.5 15.5 40.8 75.6 44.5 56.3 44.6

139

43.6

362

38.1

121

42.8 52.3 47.6 18.7 41.4 0.03 44.4 0.02 44.4 0.02 45.5 0.02 48.8 0.02 44.8

9.31 44.6 9.31 44.6 28.2 5.3

48

60.2 47.9 60.4 49.8

42.3 16.6 40.1 62.9 44.2 59.4 39.6

527

40.7

177

272

277

170

51

50.5 2387 52.3 1995 48.3 3049 48.2

109

37.7

45

38.7

220

285

43.8

45.7

141

39

152

43.1

47.8 35.4 48.3 0.49 53.1 0.47 50.5 0.47 46.4 0.47 50.6 0.19 46.7 49

15.7 47.6 0.23

42.3 41.8 41.4

0.1

50

0.21 49.8 0.21 47.5 0.21 47.5

0.2

49.3

46

0.05 46.7 0.05 45.9 0.05 45.5

0.1

41.8

62


祈りの都市評価マップの提案

6


都市における祈りの集中度モデル

祈りの都市評価マップの提案

6

6.1 祈りの都市評価マップの作成

ここまで行ってきた祈りの集中度モデルの作成と、都市における輝度と騒音レベルの調査結果を 用いて、第 6 章では祈りの都市評価マップの概要や作成手順を示し、提案を行う。

6.1.1 作成目的 本マップを作成することで、都市を祈りというフィルターを通して見るという新たな視点を可視 化すると共に、都市でお祈りをする人にとっての祈りスポットへの誘導ツールとする。

64


都市における祈りの集中度モデル

祈りの都市評価マップの提案

6

6.1.2 作成手順 以下に、本マップの作成手順を記す。 1. 第4章にて作成した、光の影響を重視する人と音の影響を重視する人の2つの祈りの集中度モ デルに、第 5 章で計測した輝度と等価騒音レベルの値を代入する。 2. 祈りスポットでの 1 時間ごとの祈りの集中度を各モデルごとに算出する。 3. 表のセルを色づけを行う。色の三属性である色相 (Hue)、彩度 (Saturation)、明度 (Brightness) に分けた HSB モデルを用いて、彩度と明度は共に 100% に指定し、色相に 0 100%の集中度の 値を代入することで、緑から黄色、赤の範囲で色づけがされる。 4. 地図データ上に配置した各祈りスポットに、作成した表を元に、同様の方法で色づけを行う。 5. この色づけを、各モデル 1 時間ごと計 16 時間分を行い、計 32 枚のマップが完成する。

65


都市における祈りの集中度モデル

祈りの都市評価マップの提案

6

6.1.3 集中度の算出 以 下 に、 祈 り ス ポ ッ ト で の 祈 り の 集 中 度 を、 各 属 性 の モ デ ル ご と、 時 間 ご と に 色 づ け し、 0-100% までを表にしたものを載せる。 A1

A2

A3

A4

A5

A6

A7

B1-1

B1-2

B1-3

B2-1

B2-2

B2-3

B2-4

B3-1

B3-2

B3-3

B4-1

B4-2

B4-3

B5-1

B5-2

B5-3

6:00

7:00

8:00

66.3

21.8

18

73.6

73.9

73.7

43.5 43

43.8

50.6

48.4

44.5

60.3

61.1

44.7

57.2

49.2

57.7

44.9

45.1

50.6

51.4

46.3

45.8

45.8

39.9

18.6

42.8

21.4

42.8

41.5

40.3

38.6 25

25

25

44.5

44.7

35.9

44.6

26.7

26.7

26.7

27.3

27.3

27.3

27.3

27.3

27.3

B6

45.4

26.6

B7-2

40.8

26.8

B7-1

B7-3

B8-1

B8-2

B8-3

B9-1

B9-2

B9-3 B10

45.8

26.6

46.9

46.3

46.1

52.1

49.1

55.7

49.1

B11-1 53.3

B11-2 63.4

B11-3

48

B12-2

52

B12-1 48.8

B12-3 55.4 B13

68.5

43.9

26.8

27.3

27.3

27.3

27.2

27.2

27.2

27.2

27.1

27.1

27.1

26.9

26.9

26.9

26.8

C1

74.4

27.3

C3

74.9

45.9

C2

C4

C5

74

75.6

72.4

45

52.7

27.3

44

39.1

31.7

33.4

25.2

25.2

25.2

44.5

25.4

25.4

25.4

25.9

25.9

25.9

27.3

27.3

27.3

26.4

26.4

26.4 27

27.3

27.3

27.3

27.3

27.3

27.3

26.9

26.9

26.9

26.9

27.3

27.3

27.3

27.1

27.1

27.1

26.1

26.9

50.1

27.3

27.3

26.7

9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 19

16.5

19.3

24.2

24.6

23.7

26.3

24.7

24.7

24.7

25.2

25.2

25.2

18

18.7

23.5

20.1

24.8

25.6

23.8

21.6

24.2

23.7

23.7

23.7

40.3

24.4

24.4

25.2

24.4

26.9

26

26.9

26.9

26.4

26.4

26.4

27.3

27.3

27.3

26

26

26.9

26.9

26.9

26.7

26.7

26.7

27.3

27.3

27.3

27.3 27

27

27

27

27.3

27.3

27.3

27.1

27.1

27.1

26.9

25.8

26.3

27.3

26.9

26.9

26.9

26.5

26.5

26.5

26.5

27.3

27.3

27.3

27.3

27.3

27.3

27.3

22.8

C8

D1

D2

D3

D4

D5

69.9 60

51.5

45.9

48.7

50.9

45.8

26.9

26.9

45.9

26.2 26

27.3

26.4

27.3

27.3

27.1 27

26.5

25.4

26.2

24.9

24.9

25.3

25.3

25.3 26

26

26

24.5

24.5

24.5

26.7

26.6

27

26.6

27.3

27.3

27.3

27.2

25.4

25.4

25.4

27.2

27.2

27.2

27.3

25.4

24.5

26.6

27.1

27.3

27.3

27

26.9

27

27.3

27.3

27.3

27.2

27.1

27.1

27.3

27.1

25.8

27.3

27.3

27.3

27.3

27.2

27.3

26.9

26.2

26.7

26.2

26.6

26.9

27.3

26.7

26.5

26.5

25.1

27.3

26.7

25.6

25.6

24.9

24.9

22.8

22.9

23.5

22.8

22.8

22.6

22.6

22.6

26.1

27.3

27

27

26.9

26.9

26.9

26.9

26.4

26.4

26.4

27.1

27.1

27.1

27.2

25.6

24.4

25.8

27.3

26.9

22

22.9

22.9

23.9

23.9

23.9

22.6

23.9

25.4

23

25.4

25.4

25.8

25.8

25.8

25.7

25.7

25.7

25.5

26.7

45.8

26.1

25.6

24.3

24.3

21.7

22.1

26.7

27.1

46.4

26.1

26.1

24.2

24.3

22.6

22

21.1

26.2

27.3

73.3

73.6

25.1

25.1

25.4

22.5

27.3

27.3

C6-3

72.7

25.1

25.1

24.1

18

27.3

27.3

C7

26.1

26.1

22

22.1

27.3

27.3

C6-4

22.9

26.1

23.4

27.3

26.7

26.7

25

19.3

19.5

27.3

46.4

46.2

20.8

19.9

20.3

27.3

72.7

74.3

22

19.8

22.3

27

C6-1

C6-2

光の影響を重視する人の集中度モデル

21.2

25.5

25.5

26.8

26.8

26.8

26.8

26.8

26.8

26.8

27.1

27.1

27.1

26.7

26.7

26.7

27.3

25.8

23.9

25.8

26.7

27.2

23

23

26.4

26.4

26.4

26.1

26.1

26.1

27.3

25.4

25.4

19.8

22.1

16.1

22.6

23.9

23.7

21.7

23.5

23.5

25

25

26.5

26.5

26.5

27.1

27.1

24.1

24.1

26.1

26.1

26.1

26.6

26.6

26.6

26.4

26.4

26.4

27.3

26.3

26.3 26

26

25.3

25.3

25.3

25.3 27

27

27

27.1

27.1

27.1

27.1

25.4

26.2

27.3

24.8

19.2

27.3

27.2

46.1

56

24.1

26

25

20.3

52.3

24.1

25.7 25

24.9

42.8

23.8

26.3

25.7

21.7

20.9

23.5

25.4

25.7

20.5

19.9

27

26.2

23.3

27.1

27.3

25

25

43.7

45.5

63.5

66.5

61.5

63.1

71.8

61.3

68.5

73.4

24.9

24.9

46.5

25.7

25.7

25.7

25.6

25.6

25.6

26.6

26.6

71.9

74.2

73.1

74.2

69.5

73.1

74.9 73

74.3

63.6

67.7

71.8

64.3

68.2

70.3

69.5

70.4

75.7 67

25.5 26

27.2

27.3

73

75.7

68.3

74.8

75.2

69.3

72.7

72.9

65.6

70.5

76.1

73

74.9

72.1

73.8

73.7

75

72.7

74.5

73.8

74.8

73.7

75.1

73.9

75.3

75.3

73.8 75

73.6

75

74.1

74.3

74.5

72.2

75.5

72.1

75.8

75.3

73.7

75.7

75.2

75.2

75.4

76.1

73.3

74.5

75.7

69.9

73.5

70.3

75.2 70

65.6

74.2

75.4

75.6

75

71

74.6

70.8

75.7

72.7

70.5

74.2

76

73.6

75.3 76

75.8

74.7

75.9

75.9

74.4

75.7

66.7

72.4

75.9

75.5

75.3

76.1

76

75.5

75.6

76.1

73.1

72.9

75.7

70.6

75.2

76.1

73.7

69.3

70.5

75.6

75.6

75.5

74.4

74.9

68.5

73.1

75.9

72.6

74.6

68.3

74.8

71.9 73

74.2

65.9

75.8

75.7

72.2

65.3

71

74.2

67.4

73.9

75.8

72.7

72.6

70.3

73.7

73.6

68.4

72.5

70.3

73.9

69.2

75.9

70.8

71.2

62.2

74.9

75

75.5

74.5

70.3

68.7

74.9

73.5

75.7

75.1

72.9

72.7

69.1

73.8

75

27.2

72.7

72.8

68.1

69.6

74.6

64.4

75.1

27.2

75

72

66.9

68.2

75.1

64.7

26.6

26.2

73

73.4

76.1

73.9

27.2

73.2

75.1

26.6

27.2

73

71.2

73.1

26.6

73.7

74.4

64.7

26.6

26.6

70.5

73.6

74.3

24.9

65.3

72.5

63.7

73

72.9

28.3

42.8

72.1

61.2

68.7

67.2

71.8

74.8

26.5

66.2

67.4

65.1

69.1

73.4

49.9

25.4

66

68.8

76

76

73.5

75.6

75.4

75.5

75.3 73

75.2

74.2

27

26.2

27.2

27.3

27.2

27.2

73.8

75.7

75.7

75.6

75.7

27

26.2

27.2

27.3

27.2

27.2

74.2

75.9

75.9

75.8

75.8

27

27

26.1

26.2

26.2

26.2

26.8

27.2

27.2

27.2

26.9

27.3

25.5 25

27

26.9

27.2

27.2

27.2

27.3

27.3

27.2

27.3

27.3

27.3

26.7

27.2

27.3

25.2

25.6

27

26.7

27.3

26.7

26.8

27.2

27.2

27.2

27.1

26.8

27.3

27.3

27.3

26.6

27.2

27.2

27.2

27.3

27.3

27.3

27.3

26.4

26.4

75.7

74.7

75.8

75.8

75.3

75.3

75.7

75.6

75.3

75.3

75.7

75.9

74.9

75.5

75.5

75.7

75.6

75.7

75.2

75.1

75.6

74.8

75.3

76

74.8

76

75

75.2

75.2

75.6

75.7

75.5

75.9

75.7

75.1

75.1

75.8

75.6

75.7

75.2

75.3

75.6

75.6

74.9

74.5

表 6.1.3-1 光の影響を重視する人の集中度モデル

66


都市における祈りの集中度モデル

A1

A2

A3

A4

A5

6:00

7:00

8:00

9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00

71

64.5

48.1

49.9

84.5

84.9

83.9

71.9

65.9

71.2

66.3

66.1

A6

69.8

64.8

B1-1

75.5

60.9

A7

B1-2

B1-3

B2-1

B2-2

B2-3

B2-4

B3-1

B3-2

B3-3

B4-1

B4-2

B4-3

B5-1

B5-2

B5-3 B6

B7-1

B7-2

B7-3

B8-1

73

75.1

74.2

77.8 78

74.6

77.1

76.9

78.5

75.4

78.5

80.4

80.5

79.2

78.7

78.8

78.4

78.9

77.5

73.4

79.7

B8-2

79.3

B9-1

80.5

B9-3

81.1

B11-1

81

B8-3

B9-2 B10

B11-2

B11-3

79

80

80

83

80

B12-1 80.2

B12-2 80.7

B12-3 81.4 B13

64

61.1

60.9

74.6 75

73.1

49.2

73.5

57.2

70.8

68.1

68.3

61.3

61.3

61.3

74.6

61.8

61.8

74.8

71.8

64.6

70.6

64.4

70

64.4

62.7

66.3

66

76.1

66.3

66.1

66.1

66.1

65.9

78.2

66.1

66.1

68.1

66.3

66.3

66.3

66.3

66.3

66.3

66.3

66.3

66.3 73

75.8

66.1

66

66

63.7

63.7

63.7

66.2

66.3

66.3

66.3

66.2

66.2

66.2 65

65

65

65

66.3

66.3

66.3

65.3

65.3

65.3

84.3

75.8

63.2

C2

85.5

75.6

80.1

C4

88.2

80.8

C1

C3

C5

祈りの都市評価マップの提案

86.7 88

86.1

66

79

72.2

65

66.3

66.3

65.9

45.4

51.8

59.5

65.8

58.5

63.6

60.5

60.5

60.5

61.3

61.3

61.3

61.3

64.9

64.9

64.9

63.8

63.8

63.8

66.3

66.3

66.3

66.2

66.3

66.3

48.2

49.5

62.2

51.9

58.6

54.7

59.4

58.5

62.7

58.5

71.8

59.9

59.9

59.9

62.9

62.9

62.9

64.8

64.8

64.8

64.4

64.4

64.4

66.2

66.3

66.3

66.3

66.3

65.9

65

65.9

65.9 65

65

65

65

66.3

66.3

66.3

66.3

66.3

66.3

66.1

62.6

65

65

63.9

63.9

63.9

63.9

66.2

66.2

66.2

66.3

66.3

66.3

66.1

56.9

音の影響を重視する人の集中度モデル

53.9

58.1

55.3

60.5

53.1

61.1

57.1

63.1

63.1

63.1

61.2

61.2

61.2

61.2

63.1

63.1

63.1

62.1

62.1

62.1 64

64

64

66.2

63.3

63.3

63.3

64.3

64.3

64.3

65.8

65.8

65.8

65.5

61.7

61.7

61.7

65.6

65.6

65.6 66

61.8

63.6

61.8

71.7

65

66.2

61.2

64.3

65

66.2

60.1

63.1 66

51.4

55.9

55.6 58

61.7

56.3

59.5

59.6

59.6

59.6

60.8

60.8

60.8

60.8

61.7

61.7

61.7

62.9

62.9

62.9

60.1

60.1

60.1

65.9

64.3

64.3

64.3

65.2

65.2

65.2

64.8

64.8

64.8

64.8

63.7

63.7

63.7

65.5

65.5

65.5

66.3

62.1

59.8

62.6 66

64.8

51.6

52.3

48.1

55.4

56.4

53.8

58.2

56.7

56.7

56.7

56.5

56.5

56.5

56.5

61.7

61.7

61.7

62.6

62.6

62.6

62.4

62.4

50.5

50.8

55.4

59.2

54.8

55.6

55.4

57.1

57.1

57.1

58.8

58.8

58.8

58.8

57.2

57.2

57.2

63.8

63.8

63.8

63.2

63.2

51.4

55.6

44.8

56.4

58.8

58.5

54.8

58.2

58.2

58.2

59.2

59.2

59.2

59.2

63.2

63.2

63.2

64.3

64.3

64.3

63.7

63.7

52.7

51.6

64.9

53.4

60.7

71.4

52.3

73.8

72.7

67.7

60.9

70.9

71.2

70.3

75.9

80.4

76.6

74.7

83.9

85.2

82.4

85.6

76.5

85.1

73.5

83.2

76.1

86.2

60.9

75.3

61.8

74.4 76

66.1

60.7

60.7

81

87

83.9

85.4

85.5

80.8

85.7

81.4

70.8 75

70.2

75.6

80.8

69.2

75.5

74.6

75.1

81.5

72

76.6

86.6

83.4

83.6

80.4

69.7

86.2

84.4

84.1

83.3

82.6

86.6 87

84.6

84.5

84.6

81.8

81.2

82.6

79

83

83.8

83.5

82.8 82

85.5

85.9

84.1

82.8

84.2

88.4

90.4

62

61.8

63.5

67.5

78.7

82.8

82.7

83.2

86.7

62.4

77.6

65.9 62

62

64.6

64.6

64.6

64.7

64.7

64.7

64.7

65.3

65.3

65.3

64.5

64.5

64.5

65.9

62.5

58.9

62.6

64.5

65.5

66

61.8

66.1

63.5

61.8

63.5

62.3

63

62.3

62.3

61.1

61.1

61.1

61.1 64

64

64

63

63

61.6

61.6

61.6

61.6 65

65

62.4

62.1

62.1

62.1

64.1

64.1

64.1

64.1

64.3

64.3

89.9 81

90.8

86.3

86.9

80.4

81.1

80.9

83.1

81.3 84

88.1

85.3

82.8

85.2

81.2

83

73.9

81.4

78.1

87.7

89.3

65.8

87.8

63.3

70.6

85.9

65.9

65.5

65.7

65.4

65.9

61.8

60.5

50.2

65.6

65.3

65.2

63.5

57.8 66

65.6

65.6

63.5 63

66.3

88

88

84

79.3

90.1

88.4

84.3

84

77.9

65.6

65.3

82.3

84.2

74.9

82.6

65.3

86.3

86.8

83.1

86.7

65.4

91.1

74

64.3

65.4

65

78.9

88

89.1

86.7

84.4

85.3

80.3

88.7

91.3

87

83

83.7

80.4

84.9

87.3

88.6

88.5

89.2

82.8

91.4

66.3

66.3

65.2

63.3

65.6

66.1

65.6

65.6

86.7

88.8

89

C8

D1

D2

D3

D4

D5

84.8 82

80.5

78.8

79.3

80.2

78.7

66.2

72.3

78.8

67.1

65.1

65.9

65.9

66.3

65.5

66.3

66.2

66.2

66.2

66.3

66.3

66.3

66.3

66.3

66.3

66.3

66.3

66.2

66.3

64.9

66

66.3

65.9

66.1

65.3

65.2

65.2

63.1

66.3

63.3

63.3

64.7

66.3

66.3

66.2

64.4

66.2

65.7

63.9

65

66.3

65.6

65.6

64.3

66.3

65.7

66.1

66.1

65.2

66.2

65.5

64.6

64.4

66.2

66

66.3

66.2

66.2

64.6

66

64.1

65.6

65.6

66

65.8

65.6

65.6

65.9

66.3

66.2

67.1

65.6

65.6

87.1

88.5

90.1

89.5

88.5

87.8

87.8

88.1

88.6

91.4

91.6

89.6

90.7

90.8

91.8

92

91.9

88

88.4

89.3

92

88.2

85.2

84.2

88.7

87.4

90.8

88.9

87.2

86.1

91.1

87.3

89.4

82.8

88.7 90

89.9

89.4

82.4

86

88.1

88.1

88.1

88.7

88.9

91.9

65.9

88.2

87.1

84.3

89.2

88.5

88.9

75.9

65.6

87

90

82.7

85.9

65.6

85.1

88.1

89.9

86.3

C6-3

66.1

86.8

87.3

91.9

86.9

88.6

65.6

91.2

87.1

88.4

78.8

86.5

84.9

86.4

79.4

87.7

84.9

90.9

83.3

65.6

86.1

84.3

86.3

85

86.6

65.6

85.6

87

60.7

66.1

C7

87.2

86.6

63.7

65.6

C6-4

87.2

87.5

87.8

87.3

63.2

63.3

63.3

84.7

83.9

88.9

88.3

62.4

65.2

65.2

85.8

85.5

88.2

86.7

90

66.3

66.3

84.3

81.7

83.2

87.9

87

66.3

66.3

75.2

84.7

85.1

72.7

86.8

65.9

65.9

74

85.7

79.4 79

79.2

78.6

77.6

85.2

85.6

86.6

74.6

78.8

73.5

76.2

83.5

86.8

C6-1

C6-2

72.5

73.9

90

90.3

91.3

92.1 92

83

91.4

87

90.7

88

88.9

88.4

89.3

87.4

87.4 88

89.4

91.5

90.2

88.8

88.9

91.9

91.8

89.6

91.4

91.8

92

91.3 92

6

91

91.1

表 6.1.3-2 音の影響を重視する人の集中度モデル

67


都市における祈りの集中度モデル

祈りの都市評価マップの提案

6

6.2 祈りの都市評価マップの提案 6.2.1 マップの見方 |本マップの見方の図説 6.2.2 での提案に向け、ここでマップの見方を図説しておく。

06 00 計測時間

光を重視する人

N

Aゾーン Bゾーン Cゾーン Dゾーン

マップ属性 A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

C8

41 32

C6

1 32

B10 B11 B121 2 13 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

3

C7

D5

D4

集中度

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

図 6.2.1-1 祈りの都市評価マップの見方の図説

69


都市における祈りの集中度モデル

祈りの都市評価マップの提案

6

|祈りスポットの向き 祈りスポットは円で表現し、円の中心から見て座っている方向が祈りスポットの方向となる。同 位置に祈りスポットが 1 つのみの場合は半円で表し、3,4 つの場合は四分円で表す。

祈りスポットの方向

地点名

集中度による色づけ 祈りスポットの番号 (この場合は B7-1)

半円の場合

B7 2

祈りスポットの方向

1 3

四分円の場合

図 6.2.1-2 祈りスポットの向き

70


都市における祈りの集中度モデル

祈りの都市評価マップの提案

6

6.2.2 マップの提案 地図データ上に配置した各祈りスポットへの色づけを、各モデル 1 時間ごと計 16 時間分を行い、 計 32 枚のマップを作成したので、ここでそれらを紹介し、提案とする。 |光を重視する人のマップ

06 00

光を重視する人

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

71


都市における祈りの集中度モデル

07 00

祈りの都市評価マップの提案

光を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

72


都市における祈りの集中度モデル

08 00

祈りの都市評価マップの提案

光を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

73


都市における祈りの集中度モデル

09 00

祈りの都市評価マップの提案

光を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

74


都市における祈りの集中度モデル

10 00

祈りの都市評価マップの提案

光を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

75


都市における祈りの集中度モデル

11 00

祈りの都市評価マップの提案

光を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

76


都市における祈りの集中度モデル

12 00

祈りの都市評価マップの提案

光を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

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1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

77


都市における祈りの集中度モデル

13 00

祈りの都市評価マップの提案

光を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

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1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

78


都市における祈りの集中度モデル

14 00

祈りの都市評価マップの提案

光を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

79


都市における祈りの集中度モデル

15 00

祈りの都市評価マップの提案

光を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

80


都市における祈りの集中度モデル

16 00

祈りの都市評価マップの提案

光を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

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C4

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1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

81


都市における祈りの集中度モデル

17 00

祈りの都市評価マップの提案

光を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

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C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

82


都市における祈りの集中度モデル

18 00

祈りの都市評価マップの提案

光を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

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C4

B7

1 32

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1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

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32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

83


都市における祈りの集中度モデル

19 00

祈りの都市評価マップの提案

光を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

84


都市における祈りの集中度モデル

20 00

祈りの都市評価マップの提案

光を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

85


都市における祈りの集中度モデル

21 00

祈りの都市評価マップの提案

光を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

86


都市における祈りの集中度モデル

祈りの都市評価マップの提案

6

|音を重視する人のマップ

06 00

音を重視する人

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

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32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

87


都市における祈りの集中度モデル

07 00

祈りの都市評価マップの提案

音を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

88


都市における祈りの集中度モデル

08 00

祈りの都市評価マップの提案

音を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

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1 32

C5

1 32

B10 B111

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41 32

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B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

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32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

89


都市における祈りの集中度モデル

09 00

祈りの都市評価マップの提案

音を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

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32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

90


都市における祈りの集中度モデル

10 00

祈りの都市評価マップの提案

音を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

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1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

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32

3

C7

D5

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100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

91


都市における祈りの集中度モデル

11 00

祈りの都市評価マップの提案

音を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

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B10 B111

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B3

B4 B5 B6

12 3

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3

C7

D5

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100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

92


都市における祈りの集中度モデル

12 00

祈りの都市評価マップの提案

音を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

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C4

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1 32

B10 B111

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41 32

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B121 2 B13

B2

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B4 B5 B6

12 3

B9

B1

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D1

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32

3

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D5

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100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

93


都市における祈りの集中度モデル

13 00

祈りの都市評価マップの提案

音を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

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1 32

B10 B111

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41 32

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B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

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32

3

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D5

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100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

94


都市における祈りの集中度モデル

14 00

祈りの都市評価マップの提案

音を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

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1 3 2 41 32

C3

1 3 2

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B10 B111

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B121 2 B13

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B3

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B9

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D1

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32

3

C7

D5

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100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

95


都市における祈りの集中度モデル

15 00

祈りの都市評価マップの提案

音を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

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1 3 2

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B10 B111

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B2

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B1

B8 1 32

D1

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32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

96


都市における祈りの集中度モデル

16 00

祈りの都市評価マップの提案

音を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

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1 3 2 41 32

C3

1 3 2

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B10 B111

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D1

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3

C7

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100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

97


都市における祈りの集中度モデル

17 00

祈りの都市評価マップの提案

音を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

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1 3 2

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B10 B111

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B3

B4 B5 B6

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B9

B1

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D1

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3

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D5

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98


都市における祈りの集中度モデル

18 00

祈りの都市評価マップの提案

音を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

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1 3 2

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B10 B111

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41 32

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B121 2 B13

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B3

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12 3

B9

B1

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D1

D3

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32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

99


都市における祈りの集中度モデル

19 00

祈りの都市評価マップの提案

音を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

100


都市における祈りの集中度モデル

20 00

祈りの都市評価マップの提案

音を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

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都市における祈りの集中度モデル

21 00

祈りの都市評価マップの提案

音を重視する人

6

N

A1 A2 A3 A4

A5 A6

C2

A7

C1

1 3 2 41 32

C3

1 3 2

1 32

C4

B7

1 32

C5

1 32

B10 B111

C8

41 32

C6

B121 2 B13

B2

B3

B4 B5 B6

12 3

B9

B1

B8 1 32

D1

D3

D2

32

3

C7

D5

D4

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0%

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都市における祈りの集中度モデル

祈りの都市評価マップの提案

6

6.3 考察

光を重視する人のマップと、音を重視する人のマップに分けて本提案における考察を行う。 | 光を重視する人のマップ 日の出から日没までの時間帯は音を重視する人よりも集中度が圧倒的に低く、集中度 20% とい う祈りスポットも出て来た。しかし日が出ていない時間帯における集中度は、音を重視する人と 大差はない。朝 6 時はちょうど日が昇る時間帯なので、各祈りスポットで集中度のばらつきが出 ている。特に B7 や B11 などは同じ地点においても座る向きが違うだけで集中度が大きく異なる。 これは建物に日光が遮られること無く光を受ける祈りスポットの有無によるものである。また、 日の出から日没までの時間帯は集中度が 30% 未満と全体的に低く、祈りスポットに関わらず日 光の影響を強く受けていることが分かる。日没後は、全体的に集中度 65 75% と高めの値で落ち 着いている。  つまり、光を重視する人のマップは、日が出ている時間帯は集中度の高い祈りスポットはほと んどないが、朝方と日没後は祈りやすい祈りスポットが出現して来る。 | 音を重視する人のマップ 日の出から日没までの時間帯は大通りに面している A ゾーンにおいては集中度 45% まで下がる 祈りスポットもあるが、他は 60 80% に落ち着いている。車通りや人通りの多い A ゾーンと B ゾー ンでは音の影響が大きいので、集中度がやや下がっている傾向がある。一方、人通りの少ない C、 D ゾーンでは全体的に音が少ないために集中度が高めである。特に D ゾーンは 17 時を過ぎると 集中度が 90% 前後になり、非常に集中度の高い祈りスポットが出現する。対象敷地は夜 20 時を 過ぎても人が多い町なので生活音も出てはいるが、日中ほどではないため、夜になるに連れて集 中度が上がっていく。  つまり、音を重視する人のマップは、生活音のある A、B ゾーンよりも、閑静な C、D ゾーン の方が集中度の高い祈りスポットが出現する。しかし、日中は日光の影響を多少受けるので、集 中度が低めの祈りスポットが多い。

103


都市における祈りの集中度モデル

祈りの都市評価マップの提案

6

6.4 まとめ

本提案から以下のことが分かり、マップを使用していく指標となった。 |祈りの都市評価マップを作成することで、都市を祈りというフィルターを通して見るという新 たな視点を可視化することが出来た。また、都市でお祈りをする人にとっての祈りスポットへの 誘導ツールを作成する指針を得られた。 |光を重視する人のマップは、日が出ている時間帯は集中度の高い祈りスポットはほとんどない が、朝方と日没後は祈りやすい祈りスポットが出現して来る。日が出ていない時間帯における集 中度は、音を重視する人のマップと大差はない。 |音を重視する人のマップは、生活音のある A、B ゾーンよりも、閑静な C、D ゾーンの方が集 中度の高い祈りスポットが出現する。しかし、日中は日光の影響を多少受けるので、集中度が低 めの祈りスポットが多い。 |都市における祈りスポットとは、どのような場所でもなり得るのではなく、ある条件が整った 時に突発的に表面化する特性を発見できた。 |被験者の属性を光の影響を重視する人と音の影響を重視する人に2つに分類分けを行い、属性 ごとのモデルとマップの作成を行った。それにより、被験者が光と音の影響のどちらを重視する かを聞くだけで、被験者ごとに合うマップを提供できる指針を得られた。

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おわりに

7


都市における祈りの集中度モデル

おわりに

7

7.1 まとめ

本研究により得られた成果を以下にまとめる。 |祈りの都市評価マップを作成することで、都市を祈りというフィルターを通して見るという新 たな視点を可視化することが出来た。また、都市でお祈りをする人にとっての祈りスポットへの 誘導ツールを作成する指針を得られた。 |都市における祈りスポットとは、どのような場所でもなり得るのではなく、ある条件が整った 時に突発的に表面化する特性を発見できた。 |被験者の属性を光の影響を重視する人と音の影響を重視する人に2つに分類分けを行い、属性 ごとのモデルとマップの作成を行った。それにより、被験者が光と音の影響のどちらを重視する かを聞くだけで、被験者ごとに合うマップを提供できる指針を得られた。 |集中力が増す香りによる集中度変化は好き嫌いによる個人差があるので、香りにより集中度が 上がる人は、嗅いでお祈りをすると、都市における祈りの集中度を上げることの出来るツールと なる。

106


都市における祈りの集中度モデル

おわりに

7

7.2 展望

|今回のモデルを作成するには屋外空間における輝度変化の計測をすることが最も望ましいが、 被験者を 1 日中拘束は出来なこいこと、日光以外の影響要素を排除することを考慮して室内空間 にて室内照明による輝度変化の実験を行ったが、室内照明で再現できる輝度には限界があり、日 光による輝度の再現性に精細さを欠くところがあったので、室内における照明計画の検討または、 日光下での輝度の計測を長期的スパンを考えた実験計画を練られたらと思う。 |本研究では、祈りスポットに座った状態で普通に祈る際の集中度を求めた。研究背景から祈り の現在の多様な形態を考えると、移動中や SNS などの祈りの多様性に対応したツールを用いた 集中度のモデル化を図ることが求められる。 |本研究では、大通りに面する場所の交通騒音、商業店舗地域での人の生活音、裏路地の住宅街 の静けさがバランスよく存在しているため、同じ地帯において生活音の大小の変化が顕著に現 れることが想定できるので、マップ作成の対象敷地を神宮前 5,6 丁目における渋谷キャットスト リート沿い及び一帯に絞った。それに当たり、実際に足を運んで実験機材にてデータを取得した が、今後より広いエリアでのモデル化を図ることが求められることを考慮すると、日照率と建物 の高さによる影の影響、断面交通量、人口密度などの都市データや、SNS 利用におけるビッグデー タなどからデータを取得して解析を試みると、より広域でのモデルを作成することが可能であり、 マクロな視点で都市を祈りフィルターを通してみることが出来る。 |本研究における実験結果から、被験者の属性を光の影響を重視する人と音の影響を重視する人 に2つに分類分けを行い、属性ごとの結果の平均を取ってそれぞれのモデルを作成して集中度を 算出し、マップの作成を行った。そのため、個人対応のことを考慮するとモデルの精度にやや偏 差があるのは否めない。本研究では祈りの都市評価マップという一つの指標を得ることが目的で あったので、今後は1人1人の集中度をそのまま反映させたマップを作成し、個人対応の祈りス ポット誘導ツールの作成をすることが求められていく。

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都市における祈りの集中度モデル

おわりに

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参考文献

1)『小型聖書 JC44―口語訳』日本聖書協会 , 1996 2) イスラエル・ユダヤ情報バンク http://myrtos.co.jp/info/judaism02.php#Q6 3)「社会起業家の起業活動を支援する」エンパシー / empathy - 社会起業家サポート http://www.ja-uni-empathy.com 4) カトリック教会 祈祷文 http://hosanna.romaaeterna.jp/prayer/contents1.html 5) カトリックとプロテスタント http://www.emimatsui.com/artstudy/bible/new_bible02.html 6) 電話で祈る会 - JESUS ONLINE [ イエスオンライン ] http://www.jesus-online.jp/prayer/telepray.html 7) USTREAM http://www.ustream.tv 8) Mannam&Daehwa http://www.god21.net/Community/Talk/List 9) カカオトーク - KakaoTalk http://www.kakao.co.jp 10) 油谷 弘幸 :『ウォーキングを祈りに』女子パウロ会 , 2007 11) ベッカー=カール :、祈りの研究、人体科学とニューサイエンスの情報誌、p16-20、2012 12) 棚次 正和 : いつ如何なる時でも『祈る』こと、MIND-BODY SCIENCE No.22、p2-5、2012

13) 中村 泰治 他 : 祈り ( 統一 ) の科学的測定と考察、国際生命情報科学会、p96-102、2007-0301 14) 得丸 定子 : 瞑想の評価―心理尺度と生化学的指標―、宗教研究 84 巻、p493-494、2011

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都市における祈りの集中度モデル

おわりに

7

15) 河野 貴美子 他 : 気功、瞑想、各種ヒーリングにおける脳波の解析、ISLIS vol.30、p230、 2012 16) 和田 竜一 他 : 教会堂における音響の性状と信者の感情変化に対する研究、日本建築学会大会 学術講演梗概集、p337-338、2010 17) 川島 洋一 : 教会建築の形態論的研究、日本建築学会大会学術講演梗概集、p1828、1979 18) 大谷 知世 他 : 教会の音響特性に関する事例研究、日本建築学会大会学術講演梗概集、p299300、2001 19) 野口 公喜 他 : 実オフィス空間における高照度光環境の影響、平成 16 年度照明学会第 37 回 全国大会、p194、2004 20) 道垣内 まゆ 他 : 動作評価からみた学習机の集中力に関する研究ーこどもの学習机における囲 み空間の検証 その2ー、日本建築学会大会学術講演梗概集、p989-990、2010 21) 出口 雄也 他 : 学習時の集中度測定に関する一検討、電子情報通信学会総合大会、p221、 2011 22) 林利 毅 他 : 進捗管理のための東部の動きに着目した集中度判定、第9回情報科学技術フォー ラム、p47-50、2010 23) 内村 浩 他 : 生徒の授業への集中度評価による教授・学習改善の試み、広島大学大学院教育学 研究科紀要第三部、p303-312、2002 24) 岩田 利枝 他 : 視野照度変化と明るさ感に関する研究ー歩行空間の連続性に基づいた照度設計 指標の提案 その1ー、日本建築学会計画系論文報告集第 523 号、p15-21、1999 25) 中村 芳樹 他 : オフィスの輝度分布特性とその心理効果、日本建築学会計画系論文報告集第 445 号、p27-33、1993 26) 森 星豪 他 : 空間の明るさ感指標 Feu を用いた屋外照明設計法、パナソニック電工技報 Vol.57 No.4、p34-40、2009 27) 谷畑 義則 他 : 環境音とまちの印象の関係についての分析 街の空間構成と環境認知に関する 研究 その 4、日本建築学会大会学術講演梗概集、p133-134、2006

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都市における祈りの集中度モデル

おわりに

7

28) 鈴木 勝之 他 : 街で聞こえる音が及ぼす心理的作用の場所による差異、日本建築学会大会学術 講演梗概集、p799-800、2003 29) 佐藤 哲身 : 都市の環境音の分布と喧騒感の緩和、北海学園大学工学部研究報告、p 35, 6572、2008 30) 平澤 瞬 他 : 脳波を用いた環境音の快適性評価、日本機械学會論文集、p2876-2882、2010 31) 草野 智 他 : 香りが居住者の心理・生理反応および作業効率に及ぼす影響に関する被験者実験、 日本建築学会大会学術講演梗概集、p599-600、2011 32) 天野 健太郎 他 : 人にやさしい空間 室内空気質が心理・生理に与える影響に関する研究 その 2、 日本建築学会大会学術講演梗概集、p133-134、2011 33) 岡崎 義郎 : ニオイ環境がヒトに及ぼす影響 : 生理心理学の立場から、覚醒水準を中心として、 日本味と匂学会誌、p119-124、1998 34) ニールズヤード スクール オブ ナチュラルメディスンズ :『ニールズヤード式アロマセラピー レッスン Basic ver. 』河出書房新社 , 2007

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あとがき


都市における祈りの集中度モデル

あとがき

謝辞 この修士論文を共に書いていく同期はいませんでしたが、あまりにも多くの方に支えられたこと に心から感謝し、その思いをここに表します。

仁史先生 卒論生から始め、研究室に 5 年間在籍したので、仁史研史上で在籍期間はかなり長 い方かと思います。私が学外に出て多くのものを学びたいと 1 年間の休学の相談をさせて頂い た際も、「そういう経験は必要で、むしろそれが研究になる。地球の裏側、ブラジルまで行く勢 いで過ごしなさい。」と背中を押して下さったことが、私の価値観が変わる始まりでした。また、 就職活動の相談をさせて頂いた際も、私の希望をお話するやいなや運命的なタイミングでことが 起こったこと、私の研究室生活の方向はいつも仁史先生が導いて下さいました。その全ての経験 の集大成として、希望通りの修士論文を成せたことに心から感謝します。  林田先生 仁史先生の代わりに主に M1 からお世話になり続けました。脱社会的なテーマや、 霊的な見えないものをテーマとして論文を書きたいという相談も、当時はよく分かっておらず、 社会的意義を見出せないものも、必ず具体的に落とし込んで下さいました。社会的に研究の意義 があることの大切さを教わり、感謝します。体作りも、部活生並みにジム通いされている林田先 生を見習います!  小林先生 みんなの場をいつも面白くして下さりありがとうございます。小林先生に論文を見 ていただく機会を得られなかったことに悔いが残ります。そして、どこをとっても三拍子お揃い な小林先生に、三拍子の揃え方を教わるタイミングを逃してしまったことに、更に悔いが残って います。また数々の武勇伝聞かせて下さい!  菊地さん 情報ゼミ時代から大変お世話になりました。プログラミングを教わろうとして最後 まで教われなかったことも、いつもシャドーピッチングをしながらもその豪腕が最近は見られな かったのも残念ですが、いつも誰かに絡みながら独特の存在感を放つその姿はとても愛嬌があり ました。  馬淵さん 院生から来られた際、馬淵さんはすぐにムードメーカーとなり、その座を守り早く も 5 年が経ちます。僕が M2 の際はいつも気にかけて下さり、修論エスキスやアイデア出しをし て下さり、あまりにも多くのものを教わり、助けてもらいました。いつも優しく、時には厳しい 馬淵さんがいたからこそ修論が書けました。本当に感謝します。  のんちゃん データ整理やマップなど手伝ってくれてありがとう。そしてお母さんのように? 柔らかく研究室を引っ張ってくれてありがとう。いつも頼りにしてました。時にはプロジェクト、 時にはお悩み相談をしたこともあったよね。いつでも近況教えてください!他の手段で近況知っ てるかもしれないけど笑  これながくん 修論でお願いした仕事をあんなに早く終わらせるなんて正直驚きました。しっ かりしてて話も上手いので、就活も来年の研究室もうまくやってくれるはず!  りょうじくん デザイン系で数々の仕事をしてて、仁史研に新たな風が吹きました。いくつも 仕事を掛け持ってるから忙しいはずなのに、いつもいい感じにゆるふわなオーラはズルい笑  たけ ちょいちょい来るよね。

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都市における祈りの集中度モデル

あとがき

M0 と Jeanne さん 話せた人は話せたし、あまり話せず関われなかった人もいたけれども、 この1年間多くの後輩が増えて研究室はとても活気に溢れてて、雰囲気よかった!  同期のみんな 2 年遅れて卒業することになったけど、あれ誰か1年一緒にいた気がするが、 気のせいか。卒業してもちょくちょく連絡取れるから嬉しいです。俺から取らなくてすいません。 最高の同期に出会えて時にはバーサスして研究室生活が楽しかったよって、俺は今1人で2年以 上も前のことを思い出しながら、この思い出を共有できずに謝辞書いてます。みんなが全国へ散 る前にまた集まろうか。  私は大学生活を 6 年間で終えることも出来たが、8 年間の生活は自分に取って「すべてうまく いっている」とまではいかないものの、それに限りなく近いことばかりであった。その背景には、 あまりにも多くの方の支えがあったからであり、感謝をしても仕切れない。インターンと修論を 同時に進める 11、12 月、卒業できなければ内定取り消し、本当に不安が満ちていたが、この長 すぎる大学生活に早く終止符を打って社会に出たい思いもあり、なんとかやり遂げられそうであ る。    改めて、先生方、先輩方、家族、お世話になった自分の周囲の方々に感謝の気持ちをここに示 します。   実験の部屋も貸してくださり、被験者としても論文のアドバイスもしてくださった教会の皆様、 感謝します。  いつも気にかけ支えてくれた父さん、母さん、美奈実、ありがとう。

最後に 初めから終わりまで、主となって導いてくださった先生に最高の感謝を致します。 2014 年 2 月 3 日 大杉 達也

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