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0 はじめに

建築計画のテーマとしての「住宅」の限界と「モノ」で構成された空間

0.1

筆者の生活空間とその住まいの小史

0.2


0

はじめに

| 0  はじめに

| 0.1  建築計画のテーマ と し て の 「 住 宅 」 の 限 界 と 「 モ ノ 」 で 構 成 さ れ た 空 間

近代以降の建築の歴史において、住宅というビルディングタイプは主役ではないにせよ常に テーマとして存在してきた。そして今も建築家たちは変わらず住宅をつくり続けている。 「住 宅は建築か ?」という問い自体にはもう何の新しさも感じないが、最近の建築雑誌をめくる たびに私たちを襲う閉塞感には、目も当てられぬものがあると言わざるをえない。参考まで に、ここ半年の『新建築住宅特集』に掲載された住宅作品と、その解説としてどのようなテー マが語られているのかをリストアップしてみたものが以下である。

表 0.1 新建築住宅特集のテーマ

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はじめに

これといったテーマはなく、クライアントの説明と敷地の説明、クライアントの要望から導 いた住宅の構成方法などが淡々と述べられているものがほとんどである。注目すべき点があ るとすれば、住空間をプレゼンテーションする写真に生活感を漂わせる多くのモノが置かれ ているケースが非常に多い事だろう。そこに存在するのは建築としての住宅でも、建築家で もなく、消費社会の中でのびのびと表現する生活者としてのクライアントだけである。本研 究はしかし、こうした現状を前向きにとらえ、生活者の生活表現を可能性として開いていき たい。

本研究が扱うのは俗に言うワンルームマンション、独り住まいの賃貸住居であり、その中で 展開されているモノだけで構成された住空間である。賃貸住居の生活者たちは、与えられた 味気のない一室空間にモノをレイアウトすることによって生活のための空間をつくってい る。オタクと呼ばれる人々の部屋の内観、あるいは都築響一の一連の写真作品によって注目 される事になったそれは、従来の建築学の美意識をもってすると「乱雑」であるという判断 しかできないが、本研究のプレ研究である「空間―モノ研究 人間の生活が生み出す乱雑性 に関する印象評価」でも明らかになった通り、生活の空間における一定の文脈をもった乱雑 性に対して、私たちは本能的に良い印象を抱く事がわかった。本研究は、この事を現代にあ らわれてきた新しい空間的価値であると仮説するところに端を発している。

デザインの素人であっても、全ての生活者は生活のプロである。生活者のつくるモノ空間の 研究を通じて、生活という概念の強度を建築の領域に引き入れて、現代における住空間のあ り方を考える事ができたらと思う。

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0

はじめに

| 0.2 筆者の生活空間とその住まいの小史

まず始めに、私がここ数年、生活者がつくりあげるモノの空間に興味を持ち続けている理由、 研究のモチベーションを自己分析的に振り返ってみたい。それは突き詰めると、たまたま大 学で建築を志して建築デザインをかじった私もまた、それよりずっと以前から生活している という当たり前の事実に行き着く。ここでは私自身の 26 年間の生活の歴史を振り返って、 生活者としての自分の無自覚なデザイン、つまり生活空間を分析してみる。 私自身もまた、それこそモノだけで生活を送っている、賃貸住居の愛好者である。これから も、特に何か変わらない限りは住むハコはどのようなものでもさほど抵抗なく、このままこ の生活を続けるだろう。今まで、3 つの住居で生活をしたが、代表してここで紹介したいの が、始めて生活した住居である。これが後々、この研究に至った最初の動機であるように思 う。これももちろん賃貸マンションである。マンションが街の中に建てられ始めた頃に建っ た住居である。これといったスタイルはなく手探りで作られた感がものすごく伝わってくる 住居だった。1 階はオフィス。2 階 3 階が賃貸として貸し出しているのだ。間取りは 2LDK。 4 人暮らしにしては狭い家であったが、部屋と部屋とを襖で仕切られていたため、小学生の 頃のお誕生日会などはこの襖を外して広く使うなど、現代の家以上にフレキシブルだったよ うに思う。賃貸にも関わらず、クーラーというエアコンのように壁に少しの穴を少し開けれ ば使えるというものではなく、クーラーの大きさ分外外とのスペースを用意しなければなら ないため、3m ほどの部屋全面に広がった窓の中間に挟んで使用し、そのクーラーの上下に余っ た余白は物を置く場として活用した。さらには、アコーディオンカーテンを取り付け、玄関 とリビングに仕切りをつけたり、絨毯をフローリングにしたりと、自分たちの生活のしやす い場を作り続けた住居であった。さらに、このマンションでは建築として一つ面白い部分が

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はじめに

あり、部屋の位置によっては中庭を所有する住居があるのだ。そこでは、住む家族によって、 犬の遊ぶ庭として使用したり、幅 2m ほどの大きい水槽に鯉を入れて育てていたり、プレハ ブを持って来ておばあちゃんのための部屋を新しく設えたりと、同じ庭を持つプランなのに 十人十色であった。小学生であった私は、その庭が見える廊下を一輪車で行ったり来たりし て眺めているだけでとっても面白かったのを覚えている。また、庭までとはいかずとも、全 ての住居には、玄関に行くまでのポーチがあり、それが、1.5m ほどの壁を通してバルコニー と繋がっている。なので、そのポーチから玄関までもその住人の住居の一部であり、先程の 庭とまでいかずとも、花や小さな木を植えたプランターがぎっしり敷き詰められていたり、 鳥かごがいくつもつり下げられて、ここでも多種多様な使われ方をしてそれぞれが生活を楽 しんでいた。極めつけは、このマンションのオーナーである。5 年に一度の割合ほどで、リ フォームをするのである。私が住んでいる間にお風呂は全部一掃され、トイレは和式から様 式へと変わった。ここまでは普通であるが、毎回のリフォームごとに、マンションがベージュ 色からオーナーの好きな緑色へと壁から地面から柵やドアの色までと徐々に塗り替えられて いったのである。少々不気味であったが、出来た当時は普通のマンションのハコであったは ずが、どこにもないただ一つの生活のハコとなっていった。もちろん、ここに住む住人には 建築を専門とする人はいない、オーナーもそこに暮らす人も、みんなただの生活者である。 しかし、必ずしも一般的な美しさではないが、そこには確かに魅力的な生活空間が成り立っ ていた。

以上が生活者がつくりあげるモノ空間に対する私の興味の、最も身近で最も確かな動機づけ である。生活者がつくる空間が、これまで近代建築をベースとする建築学が見落としていた 全く新しい風景である、などと断言するのは膨大なエネルギーが要るし、何より私は建築家 がデザインした建築空間も生活空間と同じように好きである。ただ、ここに述べてきたよう な生活空間の単純な楽しさ、人間がよりよく生きていこうとする風景がもっている当たり前 な魅力というのを、今改めて見直すことが建築のこれからを考える事と決して矛盾はしない はずだ、という直感だけは揺らがない。

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もくじ

第 1 部 本論

0 はじめに

1

0.1 建築計画のテーマとしての「住宅」の限界と「モノ」で構成された空間

2

0.2 筆者の生活空間とその住まいの小史

4

1 研究背景

9

1.1 アドルフ・ロース / モダニズムの伏流

10

1.2 今和次郎 /「考現学」および「生活学」が記述しえたもの

11

1.3 都築響一 / 賃貸住居とオタクのインテリア

14

1.4 生活空間のモノのレイアウトの「超機能性」について

15

1.5「モノ」を巡る既往研究について

16

2 研究概要

17

2.1 用語の定義

18

2.2 研究目的

19

2.3 研究の流れ

20

3 実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

21

3.1 研究方法

22

3.1.1 研究の流れ

22

3.1.2 画像の準備

23

3.1.3 実験方法

25

3 . 1 . 4 「 乱 雑 性 」「 魅 力 度 」「 整 然 性 」 の 算 出

26

3.2 結果・分析

27

 3.2.1 撮影方向別による心理量の比較

28

  3 . 2 . 2 「 乱 雑 性 」「 魅 力 度 」「 整 然 性 」 の 算 出

29

 3.2.3 心理量の相関関係の算出

34

 3.2.4「 生活者と被験者との心理量」の関係

34

3.3 考察

35

3.4 まとめ

37

6


もくじ

4 調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

38

4.1 事前調査

39

 4.1.1 調査概要

40

 4.1.2 結果・考察

42

4.2 研究方法

43

 4.2.1 調査方法

43

 4.2.2 調査対象概要

43

4.3 結果

47

 4.3.1 現場調査から検出したモノ

47

 4.3.2 ヒアリングから抽出したモノがそこにある理由

48

4.4 分析方法

49

 4.4.1 分析の流れ

49

 4.4.2 分析方法「ネットワーク分析」

50

4.5 分析「モノとモノ」のネットワーク

56

 4.5.1「モノとモノ」のネットワークの可視化

56

4.6 分析「関係性と関係性」のネットワーク

69

 4.6.1「関係性と関係性」のネットワークの可視化

69

 4.6.2「関係性」のつながりやすさ

74

4.6.3「関係性」の原因と目的の関係

82

4.7 考察 モノとモノとのネットワークのステップ数による関係性の頻出度

88

5まとめ

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6参考文献

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7おわりに

99

謝辞

100

7


もくじ

第 2 部 資料編

1「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」 1.1 実験で用いた写真

2「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」 2.1 生活定点観測写真 2.2 モノのリスト 2.3 モノとモノとの関係性のコード化リスト 2.4「モノとモノ」のネットワークにおける次数・媒介中心性 2.5 サンプル図面 ( 平面図及び展開図 ) 2.6 ノード(Node)及びエッジ(Edge)リスト

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1

研究背景

アドルフ・ロース / モダニズムの伏流

1.1

今和次郎 /「考現学」および「生活学」が記述しえたもの

1.2

都築響一 / 賃貸住居とオタクのインテリア

1.3

生活空間のモノのレイアウトの「超機能性」について

1.4

「モノ」を巡る既往研究について

1.5


1

研究背景

| 1  研究背景

| 1 . 1   ア ド ル フ ・ ロ ー ス / モダニズムの伏流

さて、ここまで述べた私にとってのごく当たり前で、かつ根深い興味を歴史的に位置付ける 作業から始めてみたいと思う。生活をテーマにする以上、主役は当然今和次郎になってくる が、まずはアドルフ・ロースから始める。ロースは 20 世紀オーストリアの建築家であり、 一般的には装飾を否定した近代建築の先駆者として有名である。ロースは『装飾と罪悪─建 築・文化論集 ( 伊藤哲夫訳、中央公論美術出版、1987) ─』*1) において、単純に虚飾に飾ら れた建物やイミテーションの家具調度品によって飾られていく室内、過去の様式を模倣する 無意味な装飾に対して、否定をしている。しかし、一方で「家族の記憶をよみがえらせる絵 画を住居空間には置くべき」と述べているところからもわかるように、ロースが近代建築の 純粋性を損なうものとしてを取り上げた「装飾」とは、構造体に付加された直接的な機能を 持たないモノであり、例えば象徴的な意味のような、ある種の機能をもった装飾については むしろ肯定的であったと言えるだろう。

ロースが指摘しているのは、当時のメインストリームであった近代建築に対しての極めて正 直で直感的な違和感であったのではないかと私は想像する。それは、本研究に引き寄せて少々 乱暴に要約すれば建築空間、とりわけ住空間を文化的なものにするのは建築家ではなく、そ こで生活する人間の営みなのではないかという疑念である。この点に関して、ロースにはこ れ以上の論考がないため推論の域を出ないものの、モダニズムに対するロースの不安という ものに対して、強い共感を覚えずにはいられない。私たちをとりまく現代の住空間の状況と はまさしく、ロースの不安が的中してしまった世界である。建築家たちのデザインする住空 間はロースの言うところの「装飾」に極めて近くはないだろうか。そして何のデザインもさ れていない賃貸住居の中で、生活者たちが自由につくりあげているモノの連なりが、住空間 に必要な「家族の記憶をよみがえらせる絵画」として、私の目には映っている。*2)

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研究背景

| 1.2 今和次郎 /「考現学」および「生活学」が記述しえたもの

ロースが指摘した近代建築に対する疑念を補完すると共に、体系的にこの問題に取り組んだ 人物が、今和次郎である。一般的なイメージとは裏腹に、アドルフ・ロースは街中を歩きま わり、建築現場を含めて生起する出来事や人の行動、マナー、服装等あらゆることを熱心に 観察した「観察の人」であったということが知られている。その意味でもロースと今和次郎 は根本的な部分において、そう遠くはない人物であったのではないかと思う。 今和次郎は、関東大震災後の東京の復興を都市発生史として記述するに「考現学」を始め た。彼は三つのテーマ ( 服装、持ち物・行動・住居 ) を設定し、1925 年の銀座風俗調べ以来、 新家庭品物調べ、歩行者の歩くリズムの図など多くのテーマの調査を行い、人々の経済的階 層と風俗の関係を比較考察した。大きな特徴として、スケッチや統計図表、写真を用いて「都 市の人々の消費パターンと習慣を研究し記録する」ことを試みると述べている。つまり消費 社会における人間と物との多様で密接な関係を空間的にそして具象的に描き出した。また、 考現学を社会学の補助であり人類学・民族学・民族史と同じ方法を用いて現代を対象とし、 分類・記述・比較、という三つの作業で成る科学的なものだと説明している。1925 年 1 月の「新 家庭の品物調査」で今和次郎はその主旨を第一に品物使用の変移と始末、第二に品物に現れ る個人的特徴や地方性、第三に社会的階層性と物品の占有されている状況あるいは使用され ている状況の関係、そして第四に品物そのものについてのあるいは処理することについての 技巧と要約している。その中で今は、物が人間の「ネガティブな肖像である」として丁寧に 観察する必要を説いて、これらの品物は個人の空間を作り出し、その持ち主の人格や生活ス タイルを反映していると説明する。さらに、現代の古物商の組織化による家庭内の品物の新 陳代謝の提案、個性を無視したイデオロギーとしての文化生活への批判、そして家具の配置、 押入れの取り方、道具の備え方のテクニックの研究の必要 を説いている。

また 1951 年に大阪新聞に投稿した「生活学への空想」という短文の中で、今和次郎は「生 活学」を初めて提唱する。それまでの生活研究は , 経済学や社会政策学の分野でなされてき たが、そこでいわれる生活の概念は、労働力の再生産としてとらえられているもので、生産 に従属した生活であり , 経済学に従属した生活論にすぎない。生活は、労働だけでなく、休 養・娯楽・教養などによって成り立っているものであり、それぞれ独立した休養論・娯楽論・ 教養論などが必要であり、その観点から逆に労働をみなおし、それらの総体のうえに一本立 ちした生活学の必要性を主張したのである。

現代において改めて今和次郎と彼の「考現学」と「生活学」を見直し「生活学」が生まれた 歴史的文脈とは多少異なるところにその価値を見出すならば、「生活」を建築学の領域に引 き入れたという点においてであろう。今は人間を抽象的な存在ではなく、具体的な生きた存 在として捉えた。そして社会的 / 文化的規定をうけて生きる人間の活動として「生活」を捉 えた結果、今は住空間を文化的で生き生きした個別の具体モデルとして記述することに成功 した。丹念に描き込まれた今和次郎のスケッチには、ロースの言う「家族の記憶をよみがえ らせる絵画」つまり住空間を文化的に装飾する重要な建築的要素が記述されている。そして それが本論の研究対象である「モノ」である事は言うまでもないだろう。

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研究背景

今が精緻なスケッチによって記述しえた建築要素としての「モノ」は、近代建築が積極的に 記述しなかった存在である。モダニズムが志向する抽象性とは程遠い、生活者の分身の如き グロテスクな「モノ」たちは、建築パースでは無視され、建築写真からは除外され続けた。 しかし現代の、こと住空間においては「モノ」は何より重要な建築的要素になっている事は 疑いようがない。そしてその事を我々が強く意識するようになったきっかけのひとつは、次 に述べる都築響一の一連の写真作品だろう。*3)4)5)

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研究背景

図 1.2 今和次郎が残した資料

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研究背景

| 1.3 都築響一 / 賃貸住居とオタクのインテリア

統計 *29) によれば、2005 年の段階で、日本の単独居住は全体の 29.5%2010 年で 31.2%、20 年 後の 2030 年には 10% 増の 38% にもなるという。そして当然ながら単独居住者のほとんどは 賃貸住居で生活している。そして 20 代〜 30 代の若者にとって最もポピュラーな住空間は、 ワンルームの賃貸住居である。

現代の賃貸のワンルームにおいては、建築そのものの弱々しさとは対照的に、人間の生活の 生々しさがそのまま形になったような、モノが溢れかえった風景が広がっている。既に述べ たように通常の建築の美学では受け入れがたい「モノ」がここではある意味で非常に歪なか たちで増幅されて、他の建築的要素を凌駕して空間をつくっている。写真家の都築響一が発 表した『TOKYO STYLE』*6)『賃貸宇宙 UNIVERSE for RENT』*7) といった写真集は、この通常 では到底受け入れがたい空間に、美を見出したという点において非常に重要であると言える。 また、ほぼ同じ時期に「オタク」と呼ばれる人たちの住空間がメディアに取り上げられ注目 されたが、これらの一連の出来事を経て今、当然考えるべきは「モノ」の空間を評価するた めのものさしについてである。都築響一の写真や、遡れば今和次郎のスケッチが私たちに示 唆しているのは、グロテスクで美しくないという理由で無視されていた「モノ」は、美しく ないわけではなく、従来の建築とは異なる秩序によって空間をつくりあげており、その美し さを評価するためには従来とは異なる評価軸と記述手法が必要であるという事だろう。

図 3.1 都筑響一の著書

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研究背景

| 1.4 生活空間のモノのレイアウトの「超機能性」について

本論の中心的な概念である「超機能性」とは、前項で述べた「モノ」空間を評価するための、 従来の建築美学とは異なる秩序の呼称である。従来の建築学の分析方法は主に距離の概念に よる秩序をベースとしたものであるのに対し、短期的なスパンで移動して更新され続ける「モ ノ」が構成する空間は、距離よりモノ同士の「関係性」による結びつきがより強い影響力を もつ世界であり、それ相応の秩序が存在している。この秩序は端的に言って、視覚的に秩序 の有無が判断しづらいという特徴がある。しかしながらそれは従来の建築言語における「機 能」に極めて近い性質も持ち合わせている。この点をもって、 「モノ」と「モノ」の「関係性」 を軸として成立する賃貸住居内の空間の秩序をまず仮に「超機能性」と呼ぶことにしたい。 本研究の目指す具体的成果「モノによって構成される生活空間における「超機能性」モデル」 とは、この秩序を分析し、再現可能なかたちで記述する体系の事である。言い換えれば、何 も無い賃貸住居の一室空間に対してレイアウトされたモノたちが、時間軸の中でいかにして その関係性を定着させていったのかを生活者へのヒアリングを通じて説明可能にし、生活者 が生活する空間を、生活者が設計した空間として記述しなおす作業と言えるだろう。

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1

研究背景

| 1.5 「モノ」を巡る既往研究について

モノに関する研究は大きく 2 つに分類すると建築学的な視点と情報学的な視点から取り組ま れている。 | 建 築 学 視 点 か ら の モ ノ 研究 「リビングダイニングにおける生活・行為・「モノと情報」の収納に関する研究 - その 1 LD における収納方式と収納計画のあり方」*14) 「リビングダイニングにおける生活・行為・「モノと情報」の収納に関する研究 - その 2 LD における収納方式と収納計画のあり方」*15) 「指輪型 RFID リーダを用いたヒトとモノとの接触行動分析」*16) 「住宅内における人とモノとの接触情報データベースの応用可能性に関する研究 : ユビキタ ス住宅における人間行動支援に関する基礎的研究」*17) | 情 報 学 的 視 点 か ら の モ ノ研究 「人はどれだけのモノに囲まれているのか?ユビキタス環境における人とモノのインタラク ション支援に向けて」*18) 「ウェアラブルセンサと知的日常物の連携によるユーザ特定 ( データ解析・検索 )」*19) 「日常モノデータベースとライフログとの統合による危険の可視化」*20)

「確率的因果構造を考慮した日常生活行動の画像認識」 * 2 1 ) ( これらの研究では近い将来、モノ全てにタグがつき、それをセンサで感知することで、位 置情報や人とモノの接触情報がすべて記録できるようになる行動を未来を想定し、モノと人 の接触のコンテクストから次の行動の予測を行って、記憶補助を行ったり、危険回避を行っ たりすることで人間の行動の補助を目指す研究が行われている。)

近年の傾向として、建築領域のモノ研究はモノの情報的側面に注目し、また、情報学分野の 研究はモノの物質的側面を取り入れようとしている。ということが、指摘出来るだろう。 他方、今和次郎の生活学の流れを汲む家政学の分野でもモノ研究は連綿と続けられており本 研究も家政学的なプローチの手法を参照している部分がある。 著者の卒業論文から修士研究、修士論文へと接続する一連の研究はの位置づけは、建築学分 野と情報学分野のどちらにも偏ることなく、生活というわたしたちにとって最もリアルで最 も生々しいモノの空間の在り方を捉えようとするもので、建築学的視点は持っているが、家 政学領域の研究を展開させたものとも言えるかもしれない。

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2

研究概要

用語の定義

2.1

研究目的

2.2

研究のながれ

2.3


2

研究概要

| 2 研究概要

| 2.1 用語の定義

|モノ 大工さんなしで素人が一般的に操作出来る要素のこと。 機能性と超機能性 本研究において、従来の建築学の分析方法は主に距離の概念による秩序を「機能性」とし、 「モ ノ」と「モノ」の「関係性」を軸として成立する空間の秩序のことを「超機能性」とする。 |関係性 「モノ」と「モノ」とを結ぶ理由のこと

|乱雑感 対象空間全体の雰囲気について、人が視覚を通して受ける乱雑な印象

|整然感 対象空間全体の雰囲気について、人が視覚を通して受ける整然な印象 |魅力度 対象空間全体の雰囲気について、人が視覚を通して受ける魅力的な印象 |快適度 対象空間全体の雰囲気について、生活者が視覚を通して受ける快適な印象

| 人 間 の 生 活 が 生 み 出 す 乱雑性 / 文脈のない乱雑性 普段、私たちが自然な生活をしている中で生まれるモノのレイアウトによる乱雑性。また、 そうでない乱雑性を文脈のない乱雑性とする。

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2

研究概要

| 2.2 研究目的

人が生活の中でモノをレイアウトすることによってつくり上げる「超機能性」をもった空間 の生成原理をモデル化し、賃貸住居をはじめとする住空間の設計の新たな知見を提出する事 を目的とする。

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2

研究概要

| 2.3 研究のながれ

以下に、本研究のフローを載せる(図 2.3)。

図 2.3 研究フロー

20


3

実験 1 「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

研究方法 画像の準備 実験方法 結果・分析 撮影方向別による心理量の比較 「 乱 雑 性 」「 魅 力 度 」「 整 然 性 」 の 算 出 心理量の相関関係の算出 「生活者と被験者との心理量」の関係

3.1 3.1.1 3.1.2 3.2 3.2.1 3.2.2

考察

3.2.3

まとめ

3.2.4


3

実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

| 3  実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

| 3.1   研究方法 | 3.1.1 研究の流れ

表 3.1.1 研究の流れ

22


3

実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

| 3.1.2 画像の準備

|調査対象者 ( 室内提供者 ) 20 代男女合わせて 3 名の個室、各室をサンプルとして使用した ( 図 3.1.2.1)。

|機材 Canon Power shot のデジタルカメラを広角レンズ (28mm) と三脚を用いて撮影を行う。

図 3.1.2.1 サンプル個室

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3

実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

|計測 1 任意の 6 時間。開始時刻より 1 時間ごとに室内写真を合計 7 枚撮影した。調査対象者は各自 の室内で普段と同じ自由行動を開始してもった。ただし調査終了時である調査 6 時間目には 片付けが済んでいる整頓状態となるようにしてもった ( 図 3.1.2.2)(「文脈のない乱雑性」 のデータとした )。 | 計測 2 計測時間 1 の前に無作為に部屋をモノで乱雑になるよう、散らかしてもらい、その状態の室 内写真を 1 枚撮影した ( 図 3.1.2.1)( この画像を「人間の生活が生み出す乱雑性」のデータ とした )。

|注意事項 調査中、調査対象者には以下 3 点に気をつけてもらった。 1) 調査中、お茶や、お菓子などの間食は良いが、昼食などの食事は採らないこと。 2) 調査中、ベッドに横になるなどの行為は良いが、睡眠は避けること。 3) カーテンは全て閉めた状態にすること。

|カメラの設置場所 図 3.1.2.3 のようにした注 2)。

図 3.1.2.2 撮影方法

図 3.1.2.3 撮影位置

24


3

実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

| 3.1.3 実験方法 調査対象者 ( 室内提供者 ) 以外の被験者に、A、B、C 各室ごと 7 枚の写真に対し、マグニチュー ド推定法注 3) を用いて「乱雑性」 「整然性」 「不快度」について印象評価を行った ( 図 3.1.3)。

|全体の評価 実験終了時 ( 整頓時 ) に撮った画像を標準刺激画像とし、「乱雑性」「整然性」「不快度」の 評価値を 0 として評価したときに、その画像がどの値をとるか、最大値「5」、最低値「-5」 として回答してもらう。提示順序の偏りをなくすため乱数を用いて順序を決める。

|各室ごとの評価 各室、実験終了時 ( 整頓時 ) に撮った画像を標準刺激画像とし、 「乱雑性」「整然性」「不快度」 の評価値を「0」として評価したときに、その画像がどの値をとるか、最大値「5」、最低値「-5」 として回答してもらった。提示順序の偏りをなくすため乱数を用いて順序を決める。 実験では、2 台のモニターを用いた。

図 3. 1 . 3 評 価 の 課 程

25


3

実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

| 3 . 1 . 4  「 乱 雑 性 」「 魅 力度」「整然性」の算出 集計時に A 室、B 室、C 室の 3 室の全体を相対的に評価するため、また、被験者の負担を考慮し、 回答数を減らすために、3 室の 1 枚を基準に点数をつけていき、後で換算するようにした。

26


3

実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

| 3.2   結果 | 3 . 2 . 1   撮 影 方 向 別 に よ る心理量の差 「正面方向」と「斜め方向」の 2 方向から見た評価のばらつきについて F 検定による差の検 定を行った。

“仮説 H”正面方向と斜め方向の魅力度の得点の平均値のばらつきは 互いに等しい”

そこでこの有意確率を有意水準で比べてみると

有意確率 =0.389> 有意水準α =0.05 よって、仮説 H は棄てられない。

したがって、 “正面方向と斜め方向の魅力度の得点の平均値のばらつきは 互いに等しい。

27


3

実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

| 3 . 2 . 2  「 乱 雑 性 」「 魅 力度」「整然性」の算出 アンケートの半分の 10 名を「乱雑性」「整然性」の指標として用い、残りの 9 名分を「魅力 度」の測定として用いた。 また、 集計時に A 室、B 室、C 室の 3 室の全体を相対的に評価するため、また、被験者の負 担を考慮し、回答数を減らすために、3 室の 1 枚を基準に点数をつけていき、後で換算した。

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3

実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

| 3 . 2 . 3   心 理 量 の 相 関 関 係の算出

| 「 乱 雑 性 と 魅 力 度 」「 整 然性と魅力度」の相関関係 「整然性と魅力度」は、被験者全員 19 名が「正の相関」が見られた。しかし、 「乱雑性と魅力度」 については、被験者 10 名は「負の相関」を示したが、残り 9 名は「正の相関」を示した ( 表 3.2.3)。 つまり、乱雑性が必ずしも、その空間に対して魅力を下げる要因として働かないということ がわかった ( 表 3.2.3)。 さらに、「乱雑性ー魅力度」の平均の回帰式の曲線が弧の字を描いている ( 図 3.2.3.1) ので わかるように、単純に乱雑性が低いと魅力度が高くなるのではなく、多少乱雑性がある時に 一番魅力度が高くなっている。つまり、程よい乱雑性が見られた方が魅力度を高くすること がわかった ( 図 3.2.3.2)。

表 3.2.3 「乱 雑 性 と 魅 力 度 」「 整 然 性 と 魅 力 度 」 の 相 関 関 係  

29


3

実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

図 3.2.3.1 整然性ー魅力度

30


3

実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

図 3.2.3.2 乱雑性ー魅力度

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実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

| 「 人 間 の 生 活 が 生 み 出 す 乱 雑性」と「文脈のない乱雑性」の関係 「文脈のない乱雑性の室内画像」と 6 枚の魅力度と調査 6 時間目には片付けが済んでいる「整 頓状態の室内画像」を、[ 魅力度の差 A=「人間の生活が生み出す乱雑性 ( 魅力度 )」ー「文 脈のない乱雑性」( 魅力度 )」] として図 3.2.3.3 として示した。結果、被験者の多数が「文 脈のない乱雑性の室内画像」よりも「人間の生活が生み出す乱雑性の室内画像」の方が魅力 が高いと答えた。

図 3.2.3.3「人間の生活が生み出す乱雑性 」 と 「 文 脈 の な い 乱 雑 性 」 の 関 係

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実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

| 「 人 間 の 生 活 が 生 み 出 す 乱 雑性の魅力度」と「整頓状態の魅力度」の関係 「整頓状態の室内画像」と「人間の生活が生み出す乱雑性の室内画像」の魅力度の差を [ 魅 力度の差 B=「人間の生活が生み出す乱雑性 ( 魅力度 )」ー整頓状態の室内画像 ( 魅力度 )] として図 3.2.3.4 として示した。過半数の被験者が「人間の生活が生み出す乱雑性の室内画 像」よりも「整頓状態の室内画像」の魅力度の方が魅力が高いと答えた。

図 3.2.3.4「人間の生活が生み出す乱雑性 の 魅 力 度 」 と 「 整 頓 状 態 の 魅 力 度 」 の 関 係

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実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

| 3 .2.4 「生活者と被験者の心理量」の関係

生活者 ( 室内提供者 ) と被験者 ( アンケート回答者 ) の「乱雑性」 「整然性」 「魅力度」同士の」 心理量の比較、生活者の「快適度」と被験者の「魅力度」の心理量の比較を行った。それぞ れの B 室と C 室においては、「乱雑性」「整然性」「魅力度」同士、生活者の「快適度」と被 験者の「魅力度」においてはほぼ同じような心理量を得る事ができた。しかし、A 室の「整 然性」「魅力度」同士、生活者の「快適度」と被験者の「魅力度」においては、生活者の方 がそれぞれ心理量が高い数値が得られた。特に、「魅力度」と「快適度」においては、生活 者の方が遥かに魅力的、快適性が強いことが示された ( 図 3.2.4)。

図 3.2.4 生活者とアンケート被験者との 心 理 量 の ズ レ の 比 較

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実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

| 3 .3 考察

i) 乱雑性の高い空間に対し嫌悪感を抱くというのが一般的な理解であるが、多少の乱雑性 をもった空間を人は最も魅力的と感じるという事がわかった。本質的に整然性と魅力度の相 関関係は私たちが教育により身に付ける部分が少なからずある。これに対し、乱雑性が必ず しも魅力度を下げる訳ではないという結果は、教育を経てもなお残る人間の本能的な感覚の 存在を示唆しているのではないかと考えられる。

ii)「人間の生活が生み出す乱雑性」と「文脈のない乱雑性」の比較から「人間の生活が生 み出す乱雑性」に人は何らかの魅力を感じている事がわかった。これが「気配」や「生活感」 「雰囲気」等、一見、非科学的な概念の定量化への足掛かりになるのではないかと考えられる。

iii) 生活者と被験者の心理量の差異を検証した結果、これには個人差がある事が確認された。 生活者本人が自身の部屋に対して、被験者が感じられる以上の魅力を感じている可能性は十 分に考えられる。この点を評価できる実験方法の検討が今後の課題のひとつである。

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実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

|注 1)Adobe PhotoshopCS3 を使用し、広角レンズによる歪みの修正を行った。

2) 写真撮影箇所は、以下の 2 カ所で行った。 A: 部屋の入り口に最も近い角から、対角線方向を望むようにカメラをセットする。 カメラは床に対し水平にセットする。( 高さは三脚の脚を 2 段階伸ばした状態で 地面より 100cm の高さ ) B: 入り口のある壁の中心 ( ただし、扉が部屋の長辺にある場合は扉に近い方の 短編の中心とする室内が一番面積が大きく写る場所にカメラをセットする。 カメラは床に対し水平にセットする。( 高さは三脚の脚を 2 段階伸ばした状態で 地面より 100cm の高さ )

3) マグニチュード推定法 : 比例評価尺度法である。標準刺激と比較したときの 比較刺激の強度を , 被験者が数値の形で推定し回答する方法である。

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実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」

| 3 .4 まとめ

本実験では、モノがどのように配置されていようと、短期的に移動するものによって印 象評価の魅力度が変わることが確認された。 しかし、そもそもそのようなモノの配置移動による魅力の変化に関係なく、各部屋の印 象というのが個別に存在していることが、被験者の声からも確認された。 その部屋でモノが構成している空間というものを考えてく必要性があり、次章からは、 長期的なスパンでモノがどのようにして構成されたかをみていく。

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調査 「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

事前調査

4.1

調査概要

4.1.1

結果・考察

4.1.2

研究方法

4.2

調査方法

4.2.1

調査対象概要

4.2.2

結果

4.3

現場調査から検出したモノ

4.3.1

ヒアリングから抽出したモノがそこにある理由

4.3.2

分析方法 分析の流れ 分析方法「ネットワーク分析」 分析「モノとモノ」のネットワーク

4.4 4.4.1 4.4.2 4.5

「モノとモノ」のネットワークの可視化

4.5.1

分析「関係性と関係性」のネットワーク

4.6

「関係性と関係性」のネットワークの可視化

4.6.1

「関係性」のつながりやすさ

4.6.2

「関係性」の原因と目的の関係

4.6.3

考察 モノとモノとのネットワークのステップ数による関係性の頻出度

4.7


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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

| 4 調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

前章では、短期的な周期で動くモノでつくられる空間について分析してきたが、今回は、 どのようにして、モノがそこに定着していったのかということについて、長期的なスパン で捉え分析していく。

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

| 4.1 事前調査

| 4.1.1 調査概要

前章の実験においては、モノの挙動のみの撮影であったが、今回の分析を行うに当たり事 前調査として、人の行動も含めた人とモノの挙動を捉えた生活空間の定点調査を行う。

|調査内容

実際の生活を写真にて記録し、短期的周期で移動するモノと生活者の生活拠点について調 査を行う。 |実施期間

2008 年 11 月 ~2009 年 1 月 |調査対象場所

20 代男女の賃貸住居の個室 |調査対象数

19 サンプル 詳細は次頁にリストに載せる。 |機材

デジタルカメラ (Canon Power shot S2 IS) に広角レンズ (28mm) を使用し、三脚 (VCT-D680RM) を用いて撮影を行う。 カメラの設置場所は、一番室内を見渡せる向きと高さに設置する。 |計測

任意の 6 時間を設定し、開始時に 1 枚と開始時刻より 5 分 ~10 分毎に室内写真を計 37~73 枚撮影する。調査対象者は各自の室内で通常通りの生活をする。ただし、タスク として調査開始時に、コンビニから買物をして外から帰宅するという設定で行い、コンビ ニの袋を持ち室内に入ってきてもらう。また、食事と間食を一回ずつ行ってもらう。

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

表 4.1.1 調査対象者リスト

図 4.1.1 調査風景

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

| 4.1.2 結果・考察

この調査を元に図面に短期的周期で移動するモノと生活者の生活拠点をプロットしてみ たが、それらはほぼ同じ挙動をみせることが分かった(図 4.1.2)。しかしながら、本 調査では、モノがどのようにして配置されているかということについては、分析しにく い。事項からは、調査対象者に実際にヒアリングによってどのようにそこのモノを配置 されているのかということを聞きモノで構成される空間の秩序を分析を行って行く。

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

| 4.2 研究方法 | 4.2.1 調査方法

本調査では、事前調査で調査対象者となった 17 名に対し、モノがそこに置かれた理由 をヒアリングによって聞き出し、それを基にモノがそこに置かれた理由のコード化を行 うためのデータとして扱う。 | 4.2.2 調査概要 |調査対象者

・20 代単身居住者。 ・事前調査の調査対象者となった 19 名中 17 名を対象とした  (学生 12 名、社会人 4 名/男性 8 名、女性 9 名)。 ・以下に調査対象者リストを載せ、サンプルの部屋の写真を載せる。 |調査内容 ・モノがなぜそこに置かれたのかを部屋の入口から左回りに一つずつヒアリングを行っ た。 *調査者:「○○をここに置いたのはなぜですか?」という問いに対し、自由に回答し てもらった。 ・聞く対象のモノとしては、表に出てきているモノで、収納の中身までは対象として扱 わなかった。しかし、調査対象者が中に入っているモノについて話した場合は除く。

表 4.2.1 調査対象者リスト

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| 4.3 結果 | 4 . 3 . 1   現 場 調 査 か ら 検 出したモノ

ヒアリングから検出したモノのリストの一例をあげる(表 4.3.1)。 その他は資料編に載せる。

表 4.3.1 モノのリスト

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

| 4 . 3 . 2   ヒ ア リ ン グ か ら 抽出したモノがそこにある理由 ヒアリングの結果、モノがそこにある理由は、他のモノと関係していることがわかった。 このヒアリングを基に、以下記載のように、モノがそこにある理由を「モノとモノ」を繋ぐ 「関係性」とし、その関係性をカテゴリでわけ、さらにそれらのコード化を行う。 |手順 1 ヒアリングの再記述 ヒアリングの中の調査対象者の発話を基に、 「モノ 01 がそこにある理由はモノ 02 との間に「○○」という関係性があるからだ。」 として記述する。 |手順 2 関係性のコード作成 手順 1 で出てきた関係性を以下の 5 つのカテゴリにわける。 「A 利便性の関係性」 「B 視覚以外の快適性による関係性」 「C 形態による関係性」 「D 危険性安全性による関係性」 「E その他」 「Z 建築物との関係性」 さらに、カテゴリより詳細な「関係性」にコードを付ける。

|手順 3 モノとモノとの関係性のコード化 手順 1 を手順 2 を基に「モノとモノ」との関係性のコード化を行う。 以下に例としてコード化の流れを示す。 手順 1 を例にあげると、モノ 01 が始点となり、モノ 02 が終点となり、それを繋ぐ紐となる のが「○○」という関係性になる。 また、ここでのルールとして、同じ 2 つのモノとの間の関係性には一番優先の高い関係性の みを採用する。

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

| 4.4 分析方法

| 4.4.1 分析の流れ 以 下 に 分 析 の フ ロ ー を 示 す。

図 4.4.1 分析のフロー

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

| 4 . 4 . 2   分 析 方 法 「 ネ ッ トワーク分析」  まず、本調査においてネットワーク分析を用いて分析を行うため、ここでネットワーク分析 についてまとめる。 |ネットワーク科学 ・ネットワーク科学概要 複雑ネットワークとは現実世界に存在する巨大で複雑なネットワークの性質について研究す る学問領域を指す。現実世界に存在するネットワークは複雑な構造を有しているが、スケー ルフリー性、スモールワールド性、そしてクラスター性などの一定の共通する性質を見出す ことができる。従来、こうした社会的ネットワークの性質は主に社会学の研究対象となって きたが、1998年にスモールワールドモデルという数学モデルが発表されたことを契機に、 現実世界の様々な現象を説明する新たな指標として注目を集めている。現実世界のネット ワークが持つ性質への関心が高まったことから、インターネット、食物連鎖、さらには論文 の被引用関係や言語の文法構造といったネットワークにおいても共通の性質が発見さたこと でこの分野の研究は現在急速に進展しており、他の研究分野との相互影響も活発化している。 今後、複雑ネットワーク科学は、ネットワークの問題が関連する多数の分野において、普遍 性と重要性を増していくものと予想される。

A E

B D

C 図 4.4.2.1 グラフ例

図 4.4.2.2 完全グラフ

・スケールフリー性 ネットワーク上に存在する一部のノードが他のたくさんのノードとエッジで繋がっており、 大きな次数を持っている一方で、大多数のノードはごくわずかなノードとしか繋がっておら ず、次数も小さいという性質。この性質は社会学をはじめとするこれまでの研究により、現 実世界のネットワークで幅広く観察されている。例えば、人々の持っている知人関係の数を みると、一部の人は非常にたくさんの知人を持っているが、大多数の人々の知人の数は限ら れている。WWW ではごく少数の有名サイトが数百万単位のリンクを集めているが、大多数の サイトはわずかなリンク先からしかリンクされていない。生体内の相互作用でも、ごく一部 のたんぱく質が多数のたんぱく質と反応する構造になっている。  数学的には、スケールフリー性はノードが次数 k を持つ確率 p(k) の確率分布が p(k) ∝ k^- γ のべき乗則になると表現される。このような次数分布では、分布の偏りを特徴付 ける平均的な尺度(スケール)といったものが存在しない。グラフがこのような性質を持つ ことを「スケールフリー」と呼ぶ。また、このような確率分布のとき分散 V は無限大となる。

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

・スモールワールド性 任意の 2 つのノードが、中間にわずかな数のノードを介するだけで接続されるという性質。  数学的には、スモールワールド性はグラフの「平均最短距離」(固有パス長もしくは直径 ともいう) L がノード数 n の大きさに比べて小さい値となることで表現される。無方向・ 重み無しのグラフにおいて、任意のノード vi からノード vj へ行くまでに通過しなければ ならないエッジの最小の本数を「パス長」(距離ともいう)、パス長の中で最短のものを ij 間の「最短距離」 dij と呼ぶが、dij の平均値がそのグラフの平均最短距離である。グラフ において n が増大したときに L が高々 logn に比例する程度でゆるやかに増加するとき、 そのグラフはスモールワールド性を満たすと定義される。 ・クラスター性 数学的には、クラスター性はグラフの「クラスター係数」 C が十分大きな値を取ることで表 現される。グラフにおいて任意のノード vi と vj、同じく vi と vk が共にエッジで繋がっ ているような組み合わせの数を N3、vi、vj、vk が三角形で繋がっているような組み合わせ の数を N Δ とする。このグラフのクラスター係数は C = 3N Δ / N3 と定義される。クラ スター係数は現実世界の各種のネットワークにおいて計測されており、それらの値は 0.1 か ら 0.7 程度と報告されている。

p(k)

k

図 4.4.2.3 ランダムグラフとスケールフリーグラ フの次数分布の比較

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|背景 18世紀にレオンハルト・オイラーが創始したグラフ理論と呼ばれる学問は、1959年に ポール・エルデシュによって考案されたランダムグラフによってグラフの解析的な取り扱い が大きく進歩したが、その後はグラフ理論の分野では目立った進展はあまり起きていなかっ た。その後1960年代から70年代にスモールワールド現象と弱い紐帯の重要性という二 つの現象が発見され、その後1998年にダンカン・ワッツとスティーブン・ストロガッツ によって考案されたスモールワールドモデルという数学モデルによって幅広い分野において 注目を集めることになった。 ・グラフ理論 ノードとエッジの集合によって構成されるグラフの性質について研究する学問領域で、近く とだけ結びついたネットワークやランダムに対象を選ぶネットワーク、そして数十個程度ま での小さなネットワークなどの構造が簡単なネットワークをモデル化する手段として広く使 われてきた。

・ランダムグラフ 1959年にポール・エルディシュが提案したネットワーク。名前から想像できるように、 乱雑さをもつネットワークで、n 個の頂点の各二点間について。それぞれサイコロをふって 出ため目の数によって確率 p で枝をおき、確率1- p おかないことにすることで作成する。

図 4.4.2.3 ランダムグラフ

・弱い紐帯の力 マーク・グラノヴェッターは1973年の論文において、密接な関係にあるノードとの間に 張られた強い紐帯よりも、ごくまれに接するような弱い紐帯の方が有効な情報を持つという 現象を見出した。

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|ネットワーク科学モデル ・スモールワールドモデル グラフ理論における既存の数学モデルは現実社会のネットワークを表現する上では一長一短 といったところであったが、1998 年にダンカン・ワッツとスティーヴン・ストロガッツが 発表した「スモールワールドモデル」によってネットワーク科学は急速に進展することになっ た。 スモールワールドモデルでは次のようなアルゴリズムでグラフを生成する。

 1. 全てのノードを、近隣の a 個のノードと格子(1 次元格子)状にエッジで繋ぐ。  2. それらのエッジを確率 p でランダムに張り替える。

パラメータ p を 0 とおけば格子、1 とおけばランダムグラフとなる。p を 0.1 前後とすると、 格子とランダムグラフをあわせもったような性質のグラフが生成される。スモールワールド モデルでは、ショートカットが形成される効果によって平均最短距離はほぼ L ∝ log n と なり、スモールワールド性を満たす。同時に格子の構造を残していることで、クラスター係 数は格子に近い値となりクラスター性をも満たす。 スモールワールドモデルにも限界があり、次数分布は格子とポアソン分布の中間となるので スケールフリー性は満たさない。しかし、現実世界のネットワークに近いような性質を持つ グラフを極めて単純なアルゴリズムで生成できることが関心を呼んだ。この研究に触発され る形で、現実世界のネットワークが持つ性質への関心が高まり、またこの研究をさらに発展 させた研究が続々と発表されていった。

図 4.4.2.4 ランダムグラフスモールワールドモデル

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・ バ ラ バ シ = ア ル バ ー ト モデル 1999 年、アルバート=ラズロ・バラバシとレカ・アルバートはスケールフリー性を持つグ ラフの数学モデルを考案した。「バラバシ=アルバートモデル」(BA モデル)では次のよう なアルゴリズムでグラフを生成する。

1. m 個のノードからなる完全グラフ Km をスタートとする。 2. 新しいノードを 1 個追加する。そのノードから、すでに存在している m 個のノー  ドに対してエッジを張る。このとき、エッジが張られる確率は、それぞれのノー ドの その時点での次数 k に比例するものとする。 3. 2 を、ノードが所定の数になるまで繰り返す。

バラバシ=アルバートモデルでは、既存の次数の大きなノードに対して新しいエッジが高い 確率で加わってゆき、そのノードがハブへと成長してゆく。このモデルではノードの次数分 布は p(k) = 2m(m+1) / [k(k+1)(k+2)] ∝ k^-3 となり γ = 3 のスケールフリー性を満た す。モデルはランダムグラフと似たところもあるので、平均最短距離は L ∝ log n となり スモールワールド性をも満たす。 バラバシ=アルバートモデルの弱点は、クラスター係数が 0 に近い小さな値となり、クラス ター性を満たさないことにある。だがその後、これらの研究をさらに発展させる形で、単純 なアルゴリズムでありながら「スケールフリー性」「スモールワールド性」「クラスター性」 という現実世界のネットワークの 3 つの特徴全てを満たすようなモデルが発表されている。

図 4.4.2.5 バラバシ=アルバートモデル

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・ ス ケ ー ル フ リ ー グ ラ フ の頑強性と脆弱性 スケールフリーグラフが持つ注目すべき特性として、ネットワーク障害に対する頑強性が高 いことがあげられる。スケールフリーなトポロジーを持つネットワークでは、全ノードのう ちの 5 パーセントがダウンしたとしても、代替経路の存在によってノード間の接続を維持で き、系全体の平均経路長(平均最短距離)はほとんど変化しないのである。同じノード数、 同じエッジ数でトポロジーが異なる他のネットワークではこのような特性は見られない。 一方で、スケールフリーなネットワークは、特定の重要なハブをピンポイントで狙った攻撃 に対しては脆弱であるという弱点も併せ持っている。次数の集中した上位 5 パーセントの ノードがダウンしたとすると、系全体の平均経路長は約 2 倍にまで増大してしまう。 同様の特性は自然界の食物連鎖のネットワークでも観察されている。食物連鎖のネットワー クは生物種のランダムな絶滅に対しては頑強であるが、特定の重要な種が絶滅すると大きな 影響を受けてしまう。こうした点を考慮することは生物多様性に関する議論においても重要 とされている。

・分析用のツール 複雑ネットワークの解析では、可視化・統計解析などを行うための分析ツールが幾つか存在 し、それらを下記に記す。

・UCINET Windows 用のネットワーク解析ソフト http://www.analytictech.com/downloaduc6.htm

・Pajek Windows 用のネットワーク可視化ソフト http://vlado.fmf.uni-lj.si/pub/networks/pajek/

・Igraph グラフ関連のアルゴリズムが実装されたパッケージ http://cneurocvs.rmki.kfki.hu/igraph/

・Cytoscape マルチプラットフォーム対応のネットワーク解析ソフト。 http://www.cytoscape.org/

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

| 4 . 5   分 析 「 モ ノ と モ ノ」のネットワーク

| 4 . 5 . 1  「 モ ノ と モ ノ 」 のネットワークの可視化 4.3 でコード化された「モノとモノ」とのネットワークの可視化を行う(ここではネットワー ク描画ソフト「NetDraw」を用いてネットワーク図を作成した。)。 モノをとそれを繋合わせる関係性(モノがそこにおかれている理由)を、それぞれ、ノード (Node)、エッジ(Edge)として扱いリンク(Link)させていく。 以下に、例を載せる。

図 4.5.1.1 「モノとモノ 」 の ネ ッ ト ワ ー ク の 作 成  

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|ネットワーク図について ネットワーク図を描くにあたり、4.4 結果で出て来た結果を基に、モノ及び関係性コードを それぞれ、次頁の書式のように、ノード(Node)とエッジ(Edge)として設定した。

図 4.5.1.2「モノとモノ」のネッ ト ワ ー ク リ ス ト

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|「モノとモノ」のネットワークの可視化(図面編) サンプルとして 2 サンプルを取り上げ分析を行っていく。 ・ 次 数 中 心 性 に よ る モ ノ のネットワークの可視化 まず、実際にモノとモノとに直接引かれるリンクの数からどモノとモノとにどのような関係 があるのかを分析していく。

「次数」とはノード(Node)に何本エッジ(Edge)が繋がっているかという数をのことである。 また、「次数中心性」においてはそれらの本数がどの程度あるのかということで、モノの中 心性を測る一つの指標として扱うことができる。 さらに今回は、モノ A からモノ B へとネットワークの向きがあるので、有向グラフとして扱 うことができ、エッジの出入り、つまり「入次数(Indegree)」「出次数(Outdegree)」によっ てより詳細な分析をすることができる。 表記としては、次数中心性が高いモノほど、ノード(Node)の大きさが大きくなるよう設定 した。 次頁に図面を載せる(図 4.5.1.3- 図 4.5.1.4)。

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図 4.5.1.3 被験者 N o.06「モノとモノ 」 の 次 数 中 心 性 ネ ッ ト ワ ー ク 図 ( 図 面 )

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

図 4.5.1.4 被験者 N o.16「モノとモノ 」 の 次 数 中 心 性 ネ ッ ト ワ ー ク 図 ( 図 面 )

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

・ 媒 介 中 心 性 に よ る モ ノ のネットワークの可視化 次に、媒介中心性によるネットワークの可視化を行う。媒介中心性とは、あるモノがモノで 構成される空間の連結性に対して、どの程度貢献しているかを測る指標の一つである。つま りモノとモノとの空間を繋げている重要なモノとしてどれだけ貢献しているかを測ることが できる。 表記としては、媒介中心性が高いモノほど、ノード(Node)の大きさが大きくなるよう設定 した。 次頁に図面を載せる(図 4.5.1.5- 図 4.5.1.6)。

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

図 4.5.1.5 被験者 N o.06「モノとモノ 」 の 媒 介 中 心 性 ネ ッ ト ワ ー ク 図 ( 図 面 )

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

図 4.5.1.6 被験者 N o.16「モノとモノ」 の 媒 介 中 心 性 ネ ッ ト ワ ー ク 図 ( 図 面 )

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

|次数中心性と媒介中心性での「モノとモノ」のネットワークの違い 2 サンプルとも、一見、次数中心性と媒介中心性によるネットワークでは違いがないように 思える。しかしながら、それぞれ中心性の高い順にモノを並べていくと、次数中心性による 分析(直接的関係性がわかるネットワーク)においては、確かにスケールの大きいモノから 小さなモノへの順序に相応しいが、媒介中心性(モノとモノとを繋げるに際してどの程度貢 献しているか、重要かがわかるネットワーク)による分析においては、モノのスケールの秩 序には従っていない序列が存在した(図 4.5.1.8, 図 4.5.1.7)。 これは他のサンプルで比較しても同じような結果が出ており、直接的関係がないものの、モ ノで構成する空間においては、スケールの小さいモノが、実は、空間を構成する重要なモノ として働いていることがわかる(他のサンプルは資料編に掲載)。 媒介中心性で分析をして中心性が高いとしてきたモノは、分析の性質上、ネットワークの重 要度を司っているモノであり、このモノの存在がなくなるとネットワークが崩れるという現 象が起きやすい。それを踏まえ考察を行うと、以外にも、スケールの大きなモノだけでなく、 スケールの小さなモノが生活空間のネットワークを司っていることがわかる。このことは、 モノで構成された空間において、距離という概念よりも関係性という概念の方が強い結びつ きをもっていると言える、一つの結果として扱えるだろう。

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

図 4.5.1.7 被験者 N o.06「モノとモノ」 の 次 数 中 心 性 と 媒 介 中 心 性

図 4.5.1.8 被験者 N o.16「モノとモノ」 の 次 数 中 心 性 と 媒 介 中 心 性

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

|「モノとモノ」のネットワークの可視化ーツリー化ー 前項で載せた「モノとモノ」とのネットワークをエッジの向きに従い、縦に終点のモノが上 に並ぶよう配列を行った。 ここでのルールとして、複数のモノとリンクしている場合に、パスを最短距離ではなく最長 距離として採用し、エッジが横に渡らないように作成した。

また、今回、モノで構成される空間において、モノの空間において実際の重要度が出やすい 媒介中心性を採用しネットワーク図を描いた(図 4.5.1.9-4.5.1.10)。

図 4.5.1.9 被験者 N o.06 「モノと モ ノ 」 の ネ ッ ト ワ ー ク の ツ リ ー

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

図 4.5.1.10 被験者 N o.06 「モノ と モ ノ 」 の ネ ッ ト ワ ー ク の ツ リ ー

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

結果的に、一番上に建築物がありその下にモノがぶらさがりったツリーが作成できたことで、 モノには階層があることが証明された。

これらの階層を一番上の建築物から0ステップ、1 ステップ、2 ステップ、…、と呼ぶこと にする。 前でも述べたとおり、モノのネットワークの重要度を握るのは、必ずしも前よりのステップ 数に、言い換えるならば、建築よりのステップ数に存在するモノではないことが示されてい る(図 4.5.1.9, 図 4.5.1.10)。

では、なぜこのようなモノの秩序が存在するのだろうか。これまで、「モノとモノ」のネッ トワークを介して分析を行ってきたが、よりモノによって構成される生活空間の秩序を見出 すだめに、次項からはモノとモノとを繋ぐ理由、つまり「関係性と関係性」とのネットワー クを通し分析を行っていく。

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

| 4 . 6   分 析 「 関 係 性 と 関係性」のネットワーク

モノが構成している空間は、例えば言語において、「個々の単語の意味」と「文法」という 2 つの切り口があるように、「モノが個別に持っている性質や意味」と「モノとモノがどの ような理由で関係しているか」という観点の 2 つがある。 モノの空間を司っている言語、つまり秩序は単語の意味と文法がより密接に関わっていて、 両者のネットワークは表裏一体と言える。本項ではモノが記号的に我々に与えてしまう雑多 で乱雑な印象というものを抽象化してモノの世界を構成するルールをより純粋な形で記述し ていきたい、という意図があり、関係性のネットワークに重点を置いて分析を行っていく。

| 4 . 6 . 1  「 関 係 性 と 関 係 性」のネットワークの可視化 「モノ」と「モノ」とを結ぶ理由、つまり本研究においての「関係性」同士の繋がりの秩序 をみていく。 |関係性の頻出度 「モノとモノ」とのネットワークを基にモノとモノとを繋ぐリンクの繋がりを抽出して「関 係性と関係性」のネットワークを作っていく。 また、ここでは、関係性の頻出度及び関係性同士の遷移のしやすさを見ていきたいため、次 数中心性を分析方法として用いた。

|手順 1  まず、前項の「モノとモノ」とのネットワークの中でリンクとして働いていた「関係性」を 抽出し、「関係性」をノード(Node)とし、これらを繋ぎ合わせたネットワークを作成する。

|手順 2 手順 1 で作成された「関係性と関係性」のネットワークを次数中心性で分析し、ネットワー ク図を描く。表記としては、サンプルごとに次数中心性が高いモノほど、ノード(Node)の 大きさが相対的に大きくなるよう設定し、また、ノード(Node)の色は(図 4.5.1.2)のよ うに設定する。

|手順 3 手順 2 で作成されたネットワークをコード順に A01,A02,…,Z01 という順に時計回りに、円 形に配列し、ネットワーク図を作成する。

上記の通り作成したグラフを次頁からサンプルごとに載せ(図 4.6.1- 図 4.6.1.17)、最後 に全てのサンプルのデータを掛け合わせたネットワーク図(図 4.6.1.18)を載せる。

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

図 4 . 6 . 1 サ ン プ ル No . 0 1( 左 上 ) 図 4 . 6 . 2 サ ン プ ル No . 0 2( 右 上 ) 図 4 . 6 . 3 サ ン プ ル No . 0 3( 左 中 ) 図 4 . 6 . 4 サ ン プ ル No . 0 4( 右 中 ) 図 4 . 6 . 5 サ ン プ ル No . 0 5( 左 下 ) 図 4 . 6 . 6 サ ン プ ル No . 0 6( 右 下 )

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

図 4.6.7

サ ン プ ル No . 0 7( 左 上 )

図 4.6.8

サ ン プ ル No . 0 8 ( 右 上 )

図 4.6.9

サ ン プ ル No . 0 9( 左 中 )

図 4 . 6 . 1 0 サ ン プ ル No . 1 0 ( 右 中 ) 図 4 . 6 . 1 1 サ ン プ ル No . 1 1 ( 左 下 ) 図 4 . 6 . 1 2 サ ン プ ル No . 1 2 ( 右 下 )

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

図 4 . 6 . 1 3 サ ン プ ル No . 1 3( 左 上 ) 図 4 . 6 . 1 4 サ ン プ ル No . 1 4 ( 右 上 ) 図 4 . 6 . 1 5 サ ン プ ル No . 1 5 ( 左 中 ) 図 4 . 6 . 1 6 サ ン プ ル No . 1 6 ( 右 中 ) 図 4 . 6 . 1 7 サ ン プ ル No . 1 7 ( 左 下 ) 図 4.6.18 ALL(右下)

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

以上のネットワーク図からわかることを述べていく。 まず、ここで、カテゴリ別にノードの色を以下のように設定の確認をする。

「A 利便性の関係性」→赤 「B 視覚以外の快適性による関係性」→青 「C 形態による関係性」→紫 「D 危険性安全性による関係性」→緑 「E その他」→オレンジ 「Z 建築物との関係性」→グレー (さらに詳しくは資料編最終頁のノードとエッジのリストを見てもらいたい。)

上の色に注目していくと、それぞれエッジの本数には個体差があるが、留学生でありあまり モノを自由に配置できないサンプル 09 を除く全サンプルにおいて、また、全てのサンプル のデータを掛け合わせたネットワーク図において、赤色のノード(Node)、つまり「A 利便 性の関係性」の頻出度が高いことがわかる。 逆に、青色と緑色のノード(Node)、つまり「B 視覚以外の快適性による関係性」と「D 危 険性安全性による関係性」は出現が少ない。 ここでサンプル 09 について触れておくと、09 は短期間の滞在予定であり、あまりモノを増 やしたくないということから、全体的にモノが少なく、元々部屋に配置された動く可能性の ない家具か、書籍などモノが短期的に動きやすいモノといった極端な 2 種類のモノだけで あったため、他のサンプルとは異なった図として見られた。

以上のことから、モノで構成される生活空間においては、より距離の概念に近い「C 形態に よる関係性」よりも、モノとモノとの「関係性」という距離では定義できない概念で構成さ れているということがわかった。

本項では、 「関係性」の頻出度をネットワーク図でいるノード(Node)の出現度でみてきたが、 次項では、「関係性」同士の結びつき方に一定の秩序がないか、ネットワーク図でいうリン ク(Link)に注目し、「関係性」つながりやすさをみていくことにする。

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

| 4 . 6 . 2  「 関 係 性 」 の つ ながりやすさ(カテゴリーわけしたもの) |関係性カテゴリ別つながりやすさ ここではまず、関係性カテゴリ別に繋がりやすさを見ていくため、関係性の繋がりの前後 2 つずつ抜き取り、遷移のしやすさ、つまり遷移確率をみていく。 例えばモノ 1 がそこにあるのはモノ 2 との間に、「AXX」という関係性があり、モノ B がそこ にあるのは、モノ 3 との間に、「BXX」という関係があるからだ。さらに、モノ 3 がそこにあ るのはモノ 4 との間に「CXX」という関係があるからだとする場合、 関係性のカテゴリの遷移は、A → B → C という遷移が存在している。そこから前後に並ぶ関 係性を 2 つずつ①「A → B」、②「B → C」といったように抽出する。 

また、それぞれ、①では「A」、②では「B」が始点になり、①では「B」、②では「C」が終点 といったように関係性を始点と終点として扱う。 さらにこれ表として作成しカウントするため、列に始点、行に終点といった表を作成しする。 これを遷移表とし、各関係性カテゴリ順に次に移る関係性カテゴリを数をカウントしていく。

これを各サンプルごとに出したもの、またそれらを合計したものを扱っていく。 さらに、そこから遷移する数をカウントし合計を求め、それぞれの遷移の確率を出し、遷移 確率表を作成する。

以上より、出された結果を次頁から載せる。 各サンプルごと、上に終点に Z を含む、A ~ E(始点)と A ~ Z(終点)の遷移確率表と、 下には終点に Z を含まない、A ~ E(始点)と A ~ E(終点)の遷移確率表を載せた。

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図 4 . 6 . 2 . 1 サ ン プ ル No . 0 1( 左 上 ) 図 4 . 6 . 2 . 2 サ ン プ ル No . 0 2( 中 上 ) 図 4 . 6 . 2 . 3 サ ン プ ル No . 0 3( 右 上 ) 図 4 . 6 . 2 . 4 サ ン プ ル No . 0 4( 左 下 ) 図 4 . 6 . 2 . 5 サ ン プ ル No . 0 5( 中 下 ) 図 4 . 6 . 2 . 6 サ ン プ ル No . 0 6( 右 下 )

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図 4.6.2.7

サ ン プ ル No . 0 7( 左 上 )

図 4.6.2.8

サ ン プ ル No . 0 8( 中 上 )

図 4.6.2.9

サ ン プ ル No . 0 9( 右 上 )

図 4 . 6 . 2 . 1 0 サ ン プ ル No . 1 0( 左 下 ) 図 4 . 6 . 2 . 1 1 サ ン プ ル No . 1 1( 中 下 ) 図 4 . 6 . 2 . 1 2 サ ン プ ル No . 1 2( 右 下 )

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図 4 . 6 . 2 . 1 3 サ ン プ ル No . 1 3( 左 上 ) 図 4 . 6 . 2 . 1 4 サ ン プ ル No . 1 4 ( 中 上 ) 図 4 . 6 . 2 . 1 5 サ ン プ ル No . 1 5 ( 右 上 ) 図 4 . 6 . 2 . 1 6 サ ン プ ル No . 1 6 ( 左 下 ) 図 4 . 6 . 2 . 1 7 サ ン プ ル No . 1 7 ( 中 下 ) 図 4.6.2.18 ALL(右下)

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各サンプルごと遷移確率の高い順に青色が濃くなるように設定してあるので、それぞれ、ど のカテゴリからどのカテゴリへの遷移が高いか傾向を読み取ることができる。 全サンプルとも全サンプルを掛け合わせた「ALL」の遷移確率表を基本としたほぼ同じよう な遷移確率が結果として出ていることがわかる。ということは、全サンプルを掛け合わせる と全体の傾向が顕著に現れる。

サンプル 04 とサンプル 09 を除く 15 のサンプルにおいて、カテゴリ A からカテゴリ C への 遷移確率が一番高く、上記の 15 サンプル中 6 サンプルが次に、カテゴリ C からカテゴリ A への遷移する確率が高く、同じく 6 サンプルがカテゴリ C からカテゴリ A への遷移する確率 が高い。その他は、カテゴリ A からカテゴリ A へ、カテゴリ A からカテゴリ B へ、カテゴリ C からカテゴリ C への遷移がそれぞれ 1 サンプルずつとなっている。 また、上記の 15 サンプルで 3 番目に遷移する確率が高いのは、カテゴリ A もしくはカテゴ リ C からカテゴリ A かカテゴリ C のいずれかに遷移するのが 12 サンプルという結果がでて いる。これらの結果は、全てのサンプルを掛け合わせた「ALL」(図 4.6.2.18)の結果に等 しいと言っていいだろう。

つまり、全サンプルに似通った傾向が出ており、全てのサンプルを合計すると、モノで構成 される空間においてのモノとモノとの関係性の遷移、繋がりに一定の秩序がある事が言える。 さらに言うと、 「A 利便性の関係性」から「A 利便性の関係性」の遷移と「C 形態による関係性」 から「A 利便性の関係性」への遷移が多く、続いて「A 利便性の関係性」と「C 形態による 関係性」の 2 つのカテゴリを行き来する確率が高い。このことは、前述の「関係性の頻出度」 と同様に、モノで構成される空間において、距離という概念により近い「C 形態による関係 性」よりも「A 利便性の関係性」という距離で表わしにくい関係性という概念で生成されて いるという一つの判断材料となるだろう。

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|関係性コード別つながりやすさ 前述では、関係性のカテゴリ別の遷移のしやすさを分析してき、どうやら全体の合計が全体 の傾向として捉えることがわかったことから、次に関係性のコード別にさらに詳細に分析を 行っていく。

ここでも、関係性のカテゴリ別の繋がりやすさを求めたのと同様の手順をおって分析してい く。

関係性コード別に繋がりやすさを見ていくため、関係性の繋がりの前後 2 つずつ抜き取り、 遷移のしやすさ、つまり遷移確率をみていく。 例えばモノ 1 がそこにあるのはモノ 2 との間に、「A01」という関係性があり、モノ B がそこ にあるのは、モノ 3 との間に、「B02」という関係があるからだ。さらに、モノ 3 がそこにあ るのはモノ 4 との間に「C03」という関係があるからだとする場合、 関係性の遷移は、A01 → B02 → C01 という遷移が存在している。そこから前後に並ぶ関係性 を 2 ずつ①「A01 → B02」、②「B02 → C01」といったように抽出する。 

また、それぞれ、①では「A01」、②では「B02」が始点になり、①では「B02」、②では「C01」 が終点といったように関係性を始点と終点として扱う。 さらにこれを表として作成するため、列に始点、行に終点といった表を作成し、これを遷移 表とし、各関係性コード順に次に移る関係性コードを数をカウントしていく。 これを各サンプルごと出し、それらを合計し扱っていく。

さらに、そこから遷移する数をカウントし合計を求め、それぞれの遷移の確率を出し、遷移 確率表を作成する(資料編として掲載)。 その遷移確率表において、始点として多い確率で出てくる関係性コードを抜きとり、それぞ れの関係性コードからのどの関係性コードへの遷移確率が高いかを見ていく。 次頁にその結果を載せていく。この結果から取り上げた始点となる 17 つの関係性コード中、 5 つが始点と同じ関係コードに遷移しており、さらに他の遷移を見ても、関係性の遷移は同 じカテゴリ内など似通った関係性へと遷移しやすい傾向があることがわかる。

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| 4 . 6 . 3  「 関 係 性 」 の 原 因と目的の関係 本項では、前項までで述べてきた関係性の遷移から、始点と終点、4.6 の頭で「関係性と関係性」 のネットワークを次数中心性の分析で算出した入次数より、「関係性」の繋がり方の秩序を 見出していく。 まず、「関係性と関係性」のを次数中心性で分析していくと、「入次数(Indegree)」と「出 次数(Outdegree)」の 2 つの指標が出てくる。これらを以下のようにして考えることができる。

出次数(Outdegree)=原因 入次数(Indegree) =結果・目的

これらを、横軸に出次数(Outdegree)、縦軸に入次数(Indegree)を取りプロットすると何 が原因になりやすい「関係性」であり、また、何が目的・結果になりやすい「関係性」なの かということがわかる。

次頁から各サンプルごとに、上記のように、横軸に出次数(Outdegree)、縦軸に入次数 (Indegree)をとった目的・原因になりやすさのプロット図(図 4.6.3.1- 図 4.6.3.17)を 載せる。

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図 4 . 6 . 3 . 1 目 的 ・ 原 因 に な り や す さ サ ン プ ル No . 0 1( 左 上 ) 図 4 . 6 . 3 . 2 目 的 ・ 原 因 に な り や す さ サ ン プ ル No . 0 2( 右 上 ) 図 4 . 6 . 3 . 3 目 的 ・ 原 因 に な り や す さ サ ン プ ル No . 0 3( 左 中 ) 図 4 . 6 . 3 . 4 目 的 ・ 原 因 に な り や す さ サ ン プ ル No . 0 4( 右 中 ) 図 4 . 6 . 3 . 5 目 的 ・ 原 因 に な り や す さ サ ン プ ル No . 0 5 ( 右 下 ) 図 4 . 6 . 3 . 6 目 的 ・ 原 因 に な り や す さ サ ン プ ル No . 0 6 ( 右 下 )

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図 4.6.3.7

目 的 ・ 原 因 に な り や す さ サ ン プ ル No . 0 7( 左 上 )

図 4.6.3.8

目 的 ・ 原 因 に な り や す さ サ ン プ ル No . 0 8( 右 上 )

図 4.6.3.9

目 的 ・ 原 因 に な り や す さ サ ン プ ル No . 0 9( 左 中 )

図 4 . 6 . 3 . 1 0 目 的 ・ 原 因 に な り や す さ サ ン プ ル No . 1 0( 右 中 ) 図 4 . 6 . 3 . 1 1 目 的・原 因 に な り や す さ サ ン プ ル No . 1 1 ( 右 下 ) 図 4 . 6 . 3 . 1 2 目 的・原 因 に な り や す さ サ ン プ ル No . 1 2 ( 右 下 )

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図 4 . 6 . 3 . 1 3 目 的 ・ 原 因 に な り や す さ サ ン プ ル No . 0 7( 左 上 ) 図 4 . 6 . 3 . 1 4 目 的 ・ 原 因 に な り や す さ サ ン プ ル No . 0 8( 右 上 ) 図 4 . 6 . 3 . 1 5 目 的 ・ 原 因 に な り や す さ サ ン プ ル No . 0 9( 左 中 ) 図 4 . 6 . 3 . 1 6 目 的 ・ 原 因 に な り や す さ サ ン プ ル No . 1 0( 右 中 ) 図 4 . 6 . 3 . 1 7 目 的・原 因 に な り や す さ サ ン プ ル No . 1 1 ( 右 下 )

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次に、各サンプルを全て掛け合わせた目的・原因になりやすさのプロット図(図 4.6.3.18) を載せる。

図 4.6.3.18 目的・原因になりやすさ

各サンプルの目的・原因になりやすさのプロット図(図 4.6.3.1- 図 4.6.3.17)は一見、秩 序がないように見えるが、4.3.2 の分析で、各サンプルを掛け合わせた結果がモノの構成の 秩序となっていることから、まず、今回分析とし全て掛け合わせた目的・原因になりやすさ のプロット図 4.6.3.18 から扱う。図 4.6.3.18 を見ると、「a」「b」「c」「d」といった 4 つの グループにわけることができる。 「d」は関係性コード「Z01」の「建築物」であり、これ以上目的になるものはないので、目 的になりやすさは一番高い。「a」は「A03 使用の同時性」であり、この関係性は目的・原因 のどちらにもなりやすい。「b」は関係性コード「A04 使用するための接触のしやすさ(手)」 「C08 形態の納まりの適合具合(高さと幅」「C06 形態の納まりの適合具合(幅)」「A01 モノ に付随する行動の類似性」を含むグループで原因になりやすい関係性と言える。「c」は「A21 モノを操作するための余白の必要性」「B03 接触のしやすさ(光)」「C06 形態の納まりの適 合具合(面)」の関係性を含むグループで、目的になりやすい関係性だと言える。

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では、次に各サンプルを見ていくと、全体を掛け合わせた結果である図 4.6.3.18 をベース とした結果が出ている。例えば、各サンプルで「A01 モノに付随する行動の類似性」をみて みると、「degree」の値が高くより目的になりやすいとされる、頭上、右の位置にプロット されている。

上記の分析により、関係性には、目的・原因になりやすさが存在し、それらが、特徴ある 4 つのグループとして分けられることがわかった。

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調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」

| 4 . 7   考 察 モ ノ と モ ノ とのネットワークのステップ数による関係性の頻出度 これまで、前項まで個別に分析を行ってきた「モノとモノ」のネットワークと「関係性と関 係性」のネットワークを合わせて考察を行っていく。 4.6 で出て来た「関係性と関係性」のネットワークにおいての「目的になりやすさ」「原因 になりやすさ」を序列した図を元に、4.5 で分析してきた「モノとモノ」のネットワークに おいて出て来たモノ同士の階層との関係をみていき、関係性という「抽象」から「モノ」と いう具体に引き戻し考察を行っていきたい。

まずはじめに、4.6.3 で示した原因・目的になりやすさを序列した図に 4.5.1 で示した「モ ノとモノ」のネットワークをツリー化した 2 つのサンプルの図を元に、どのステップに存在 した関係性かをデータとして加えていく。階層を一番上の建築物から0ステップ、1 ステップ、 2 ステップ、…、と呼ぶことにし、関係性がどのようなステップ数に存在したかをカテゴリ 分けを行う。「全ステップに存在」「前よりのステップに存在」「後ろよりのステップに存在」 と 3 つとにわけ考察を行う(図 4.7.1)。

|関係性ごとに存在しやすいステップ数 まずはじめに、「サンプル 06」「サンプル 12」を比較し、関係性コードが存在するステップ 数に秩序があるかを見ていく。 同じカテゴリのステップ数に存在した関係性コードはその横に「★」印をつけた。 これでわかるように、関係性(関係性コード)には存在しやすいステップ数があるようであ ることがわかる(図 4.7.1)。

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図 4.7.1 関係性ごとに存在しやすいス テ ッ プ 数

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|各関係性が存在しやすいステップ数と原因・目的になりやすさとの関係 つぎに、4.6.3 で出てきた各関係性の「原因になりやすさ」「目的になりやすさ」とステッ プ数との関係をみていく。 「全ステップに存在」「前よりのステップに存在」「後ろよりのステップに存在」、これら 3 つ のカテゴリごとに見ていく。

まずは、「どのステップにも存在しやすい関係性」は図中、上方もしくは下方に固まってよ り「原因になりやすい関係性、またより目的になりやすい関係性のどちらかに偏った関係性」 であることがわかる(図 4.7.2)。

つぎに、「前よりのステップに存在しやすい関係性」は図中上、偏りがなく、「原因及び目的 のなりやすさには影響しにくい」ということがわかる(図 4.7.3)。

最後に、「後ろよりのステップに存在しやすい関係性」は図中の上方下方を除いたところに 存在し、「原因にも目的のどちらにも偏ることがないものが多い」ということがわかる(図 4.7.4)。

以上取り上げてきたように、各関係性が存在しやすいステップ数と原因・目的になりやすさ というのは関係しているということが言えるだろう。

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図 4.7.2 関係性が存在しやすいステッ プ 数 と 原 因 ・ 目 的 に な り や す さ と の 関 係

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図 4.7.3 関係性が存在しやすいステッ プ 数 と 原 因 ・ 目 的 に な り や す さ と の 関 係

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図 4.7.4 関係性が存在しやすいステッ プ 数 と 原 因 ・ 目 的 に な り や す さ と の 関 係

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まとめ


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|5 まとめ

本研究で明らかになったことは以下の通りである。 3 実験「人の生活が生み出す乱雑性の印象評価」では… ・乱雑性の高い空間に対し嫌悪感を抱くというのが一般的な理解であるが、多少の乱雑性を もった空間を人は最も魅力的と感じる。

4 調査「生活空間のモノのレイアウトの『超機能性』調査」では… ・生活者の定点観測調査では、生活者の滞在場所とモノの挙動はほぼ同じ動きをとっている。 しかし、モノがどのようにして配置されているかということについては、分析しにくい。 ・モノで構成される生活空間は、距離という概念により近い「C 形態による関係性」よりも「A 利便性の関係性」という距離で表わしにくい「関係性」という概念で生成されている。 ・モノで構成される生活空間は、関係性の遷移は似た関係性へと遷移しやすいという傾向が ある。 ・各関係性には、目的・原因になりやすさが存在し、それらが、特徴ある 4 つのグループが 存在する。 ・各関係性において「存在しやすいステップ数」と「原因・目的になりやすさ」とに関係がある。

*「関係性」とは「モノ」と「モノ」とを結ぶ理由のこと。

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参考文献


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参考文献

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|参考文献 1)アドルフ・ロース、伊藤哲夫(訳):「装飾と罪悪―建築・文化論集」 中央公論美術出版   (1987) 2)伊藤哲夫:「アドルフ・ロース」鹿島出版界(1980/01) 3)今和次郎「今和次郎集 . 第 5 巻」ドメス出版(1971/09) 4)今和次郎「考現学入門」ちくま文庫(1987) 5)黒石いずみ:『「建築外」の思考』ドメス出版(2000/09) 6)都築響一:「TOKYO STYLE」京都書院(1997/12) 7)都築響一:「賃貸宇宙 UNIVERSE for RENT」筑摩書房(2001/12) 8)森川 嘉一郎「趣都の誕生 萌える都市アキハバラ」幻冬舎 (2003/02) 9)安田雪 , 金坂秀雄:「ネットワーク分析用ソフトウェア UCINET の使い方」赤門マネジメ   ント・レビュー ,4 巻 5 号(2005) 10)竹嶋斎 , 稲水信行: 「ネットワーク可視化の技法ー Pajek の使い方」赤門マネジメント・   レビュー ,4 巻 6 号(2005) 11)竹嶋斎 , 稲水信行: 「ネットワーク可視化の技法ー NetDraw の使い方」赤門マネジメント・   レビュー ,4 巻 7 号(2005)

|参考論文 13)黒石いずみ:「住空間の意味構成とモノ」(2006) 14)中村久美 , 今井範子:「リビングダイニングにおける生活・行為・「モノと情報」の     収納に関する研究 - その 1 LD における生活行為と収納に関わる住様式上の問題」     Vol.1995(19950720) pp. 157-158, 社団法人日本建築学会(1995) 15)中村久美 , 今井範子:「リビングダイニングにおける生活・行為・「モノと情報」の     収納に関する研究 - その 2 LD における生活行為と収納に関わる住様式上の問題」     Vol.1995(19950720) pp. 159-160, 社団法人日本建築学会(1995) 16)遠田敦 , 渡辺仁史:「住宅内における人とモノとの接触情報データベースの応用      可能性に関する研究 : ユビキタス住宅における人間行動支援に関する基礎的研究」     Vol.2007(20070228)pp. 29-32, 社団法人日本建築学会(2007) 17)遠田敦 , 渡辺仁史:「指輪型 RFID リーダを用いたヒトとモノとの接触行動分析」      Vol.2008(20080228)pp. 73-76, 社団法人日本建築学会(2008) 18)新垣紀子,野島久雄,佐藤浩司,北端美紀,小野澤晃:「人はどれだけのモノに囲まれ   ているのか?ユビキタス環境における人とモノのインタラクション支援に向けて」ヒュー   マンインターフェース学会(2005) 19)柴田康徳 , 本村陽一 , 西田佳史 , 山中龍宏,溝口博:「日常モノデータベースとライフ   ログとの統合による危険の可視化」日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会   '07 講演論文集 , 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会 '07 講演論文集 ,

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参考文献

  pp.1A2H08(1)-(4), 日本機械学会(2007/03/11) 20)河田諭志 , 本村陽一/西田佳史 , 田中和之:「確率的因果構造を考慮した日常生活行動   の画像認識 」日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会 '07 講演論文集第 21   回人工知能学会全国大会 (2007/06) 21)藤波香織 , ピルティカンガススサンナ , 中島達夫:「ウェアラブルセンサと知的日常物   の連携によるユーザ特定 ( データ解析・検索 )」Vol.2006, No.54,pp. 7-14, 社団法人   情報処理学会(2006/05) 22)安田綾香:「5621 公団住宅居住者の生活スタイルに関する研究 : 大島 6 丁目団地 65 件   の居住実態調査より」Vol.2000(20000731) pp. 99-100, 社団法人日本建築学会(2000) 23)安田綾香『 特集=都市集住スタディ:フィールドワーク;公団賃貸生活 2DK に凝縮さ   れた「モノ」、 「住空間」、 「人間」模様』Ten plus one No.26,pp. 85 ~ 101,NAX(2002/01)   24)亀井栄治 : 景観のゆらぎ特性に関する研究 , 日本建築学会計画系論文報告      集 ,NO.449, p.101-108,1993.3 25)瀬田惠之 , 松本直司 , 田邊淳也 ::「フーリエ変換を用いた街路景観評価の有効性に   関する研究 - 中心市街地における乱雑・整然性に関する研究・その 1 ー」日本建築学   会計画系論文集 NO.429,p.73-82,1993.3 26)瀬田惠之 , 松本直司 , 田邊淳也 :「フーリエ変換を用いた街路景観評価の有効性に関   する研究 - 中心市街地における乱雑・整然性に関する研究・その 2 ー」日本建築学会   計画系論文集 NO.429,p.73-82,1993. 27)小林賢太郎 :「人間とモノとの接触行動ネットワークに関する研究- RFID タグを用い   た生活行動の分析と可視化-」:早稲田大学渡辺仁史研究室卒業論文(2007) 28)横尾貴之「ユビキタス住宅における接触情報に基づく行動予測モデル」:早稲田大学渡   辺仁史研究室修士論文(2006) |参考電子文献 29)『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(2008 年 3 月推計),(財)厚生統計協会     http://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2008/t-page.asp(2009 年 1 月 31 日参照) 30)竹嶋斎 , 稲水信行: 「ネットワーク可視化の技法ー Pajek の使い方」赤門マネジメント・   レビュー ,4 巻 6 号(2005)   http://vlado.fmf.uni-lj.si/pub/networks/pajek/howto/jp/pajek-AMR4-6-2.pdf(2009   年 1 月 31 日参照) 31)http://www.tabiken.com/history/doc/K/K024R100.HTM(2009 年 1 月 30 日参照) 32)http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0863.html(2009 年 1 月 30 日参照) 33)http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/2004/12/social_network_.html(2009 年 1 月   30 日参照) 34)http://www5.ocn.ne.jp/~yasuda/networds.htm(2009 年 1 月 30 日参照) 35)http://bioinfo-goto.seesaa.net/article/566257.html(2009 年 1 月 30 日参照) 36)http://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/~ebsa/wakimoto03/keyword01.html(2009 年 1 月   30 日参照)

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おわりに 謝辞


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おわりに

|謝辞 この論文は本当に多くの方の力なくしては書くことができませんでした。 論文自体は本当に辛いことが多かったのですが、周りの方の優しさを感じることができ本当に幸せだったよ うに思います。 まず、この調査に際し、5 分おきに撮影をする生活風景の写真が欲しいというわがままに嫌な顔をせずにやっ て頂いた方に感謝したいです。本当にありがとう。 プライバシーのために、あえて名前を出すのは控えますが、時間がないことを察して頂き突然のお願いにす ぐに協力戴いた方、同じ修論を書いている方で、提出期限直前なのに、協力戴いた方、また、社会人の方は せっかくのお休みで貴重な時間を一日中室内にこもりきりにさせてしまった方、本当にありがとうございま す。協力戴いて、調査の面はもちろんのこと、いつもギリギリを走っていた私に元気まで頂きました。 また、同じ研究室のメンバーは、本当にはよくしてもらいました。佐古さん、五代さんいつも楽しい話をあ りがとう。コースケくん、困ったときに、ちょこちょこ助けてもらっていました。まっすん、なにかと、S 棟とかでお世話になっていました。阿礼ちゃん、平居さん、ゆかちゃん提出間際、色々面倒みてくれてあり がとう。「面倒みてくれて」という言葉がピッタリなくらい、メンタル支えてもらいました。心配、不安でいっ ぱいだったろころに、幸せ感をたくさん届けてくれました。M1、卒論生のみなさんも、調査に引っ張りだ したりとお世話になりました。 大塚くん、実はとっても焦っていたのに、知らずに、色々話しやすくて、色々なことを聞いてしまったね、 親切に対応してもらってありがとう。就職活動といい、良い戦友?ですね。もりむーは、焦っている私をい つも落ち着かせる言葉をかけてくれて助かりました。たわでぃは、私のわけの分からない話をいつも理解し ようとしてくれて、とても助かりました。ヒデくん、年賀状嬉しかった、ブレないところがステキです。池 内くん、話を聞いてくれるときは、いつもこうなんじゃないの?と的確なアドバイスをくれてたね、ありが とう。阿野くん、ニノ、忙しい時に調査に協力してもらってありがとう。オカタツは、手伝いますよ、って言っ てくれていて嬉しかったです。プリンス、卒計終わってほっとしたところに、手伝わせてしまってごめんね。 手伝ってくれなかったら、この論 文できてないです。入江くん、就職活動の忙しい中、嫌な顔ひとつせずに、 手伝ってくれて本当にありがとう、人と良い、腕と良い信頼感抜群です。入江くんがいなかったら、この論 文なかったね。 そして、3 年前、この人についていけば間違いないと思い、どうにかついていったつもりでした、遠田さん。 本当に色々ありがとうございます。博士論文も控えている中、研究の相談からプログラムまで本当にありが とうございます。良い先輩を持てて幸せです。研究に詰まってしまっていてでもどうにか考えて案を持って いたときに、「研究は積み木なんだよ」と言った銘台詞忘れません、嬉しかったです。いつも、研究の軌道 修正や、光るアドバイスを頂いていました。 また、家族、池原くんには、この歳になってまで、健康管理などに気をつけてもらい、色々精神面もサポー トしてもらいました。ありがとう。修論を執筆するのに、ありがたい環境を与えてもらっていました。 長澤さん、いつも鋭い指摘をして頂きつつ、研究室では暖かい言葉をかけていただき、ほっとさせていただ いていました。林田先生は、ゼミ違いでもいつも話をきいてくれるよという姿勢をいつもとって頂いていま した。さらに、毎回の中間発表では、フォローして頂いて、どうにか乗り切れました。ありがとございました。 最後に、自分の研究テーマをどうにか、一つの研究として成り立たせるように、アドバイスをして頂きあり がとうございました。先生の鋭い指摘、的確なアドバイスがいつも、私の研究の方向性を決めていました。 3 年間ありがとうございました。 製本がぎりぎりで、全くまとまっていませんが、感謝の気持ちでいっぱいです。 みなさんありがとうございました。 2009 年 2 月 7 日

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空間ーモノ 研究2-モノによって構成される生活空間の秩序-  

2008年度,修士論文,小原美穂子