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移動空間におけるストレス変化に関する研究

目次

・目次 ・はじめに                        1 ・1: 序論 1 − 1 ∼用語の定義∼                  3 ・ストレス ・気分転換 ・移動

・2: 研究目的 2 ー 1 ∼目的∼

5

・3: 研究背景 3 − 1 ∼ストレス社会∼

7

・ストレスとは ・ストレス社会 ・ストレス軽減 3 − 2 ∼オフィス環境∼

10

・オフィス環境の変化 ・オフィスのストレス ・作業効率とオフィス ・知的生産性とオフィス ・ストレスとオフィス ・オフィスの現状 3 − 3 ∼移動する事の有効性∼

15

・アクティブレストの効果 ・移動 ( 歩行 ) とアクティブレスト ・ストレスと移動 ( 歩行 ) 3 − 2 ∼本研究の位置づけ ・既往研究の整理 ( 建築と生理 / 心理 ) ・本研究の位置づけ

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移動空間におけるストレス変化に関する研究

目次

・4: 研究フロー 4 − 1 ∼研究フロー∼

21

・5: オフィスでの気分転換の実態調査 5 − 1 ∼ヒアリング調査∼

23

・概要 5 − 2 ∼アンケート調査∼

24

・アンケート概要 ・6: 移動空間におけるストレス計測 6 − 1 ∼実験空間∼

26

・実験空間の選定 6 − 2 ∼実験概要∼

28

・実験概要 ・計測手順 6 − 3 ∼各計測方法とその特徴∼

30

・POMS 簡易版 (Profile of Mood States) ・クレペリンテスト ・ホルター心電計 ・唾液中コルチゾール測定方法 ・7: 実験結果 / 分析 7 − 1 ∼ヒアリング・アンケート結果 / 考察∼

37

・ヒアリング・アンケート結果集計 ・ヒアリング・アンケート分析結果 7 − 2 ∼心電図の結果 / 考察∼

41

・心電図の分析方法 (LF/HF) ・心電図の測定結果 7 − 3 ∼気分評価 POMS の集計結果 / 考察∼ ・気分評価 POMS 集計結果 ・気分評価 POMS 分析結果

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移動空間におけるストレス変化に関する研究

7 − 4 ∼唾液中コルチゾール測定の分析結果 / 考察∼

目次

47

・唾液中コルチゾール測定の分析方法 ・測定結果 7 − 5 ∼全体考察∼

53

・移動空間ごとの比較 ・ストレスと移動空間 ・有効な移動空間 ・8: まとめ 8 − 1 ∼オフィスへの提案∼

58

8 − 2 ∼まとめ∼

60

・おわりに ・参考文献 ・資料編

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移動空間におけるストレス変化に関する研究

1   

序論

1 − 1  ∼用語の定義∼

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1-1 ∼序論∼

1-1 ∼用語の定義∼

・ストレス

有害な環境因子によって生体に生じた歪みと、それに対する 防御反応のこと。しかし近年精神的ストレッサーの意としてス トレスという言葉が用いられることが多い。

・気分転換  それまで行っていた作業や行動とは違う事をして気分を落ち 着けることをさす。また気分を落ち着かせる事により作業や行 動に戻った際により作業を行いやすくする効果がある。

・移動  本研究での移動とは歩行による移動をさす。

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移動空間におけるストレス変化に関する研究

2  

研究目的

2-1 ∼研究目的∼

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2-1  ∼研究目的∼

2-1 ∼研究目的∼  オフィス設計においては、経済効率や能率をもとに設計計画が行われるが、 近年では労働環境の向上にともない、快適性などの質的な空間設計の手法開発 が重要とされている。本研究では、快適性から一歩ふみこんで、空間体験によっ てストレス軽減を行う事を目標にしている。  具体的には、オフィス空間において移動を行う事、また移動空間の要素によ りストレスがどのように変化し、その後の作業に影響を及ぼすのかを明らかに する。それによって、日々の執務時間の中における少ない移動時間を、効率的 に気分転換の時間に利用する事を考える。そしてオフィス空間の設計指針とな るものを考えていく。

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移動空間におけるストレス変化に関する研究

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研究背景

3 − 1 ∼ストレス社会∼ 3 − 2 ∼オフィス環境∼ 3 − 3 ∼移動する事の有効性∼ 3 − 4 ∼本研究の位置づけ∼

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3-1 ∼ストレス社会∼

3-1 ∼ストレス社会∼ 3-1-1  ストレスとは ストレスとは、医学的にいうと「なんらかの刺激が体に加えられた結果、体が 示したゆがみや変調」のこと。その原因となる刺激のことを、ストレッサーと いう。 参考資料 (22): health クリック これがストレスの正体だ

1. 物理的ストレッサー ... 高温や低音による刺激、放射線や騒音による 刺激など

http://www.health.ne.jp/ library/3000/w3000165.html

  2. 化学的ストレッサー ... 酸素の欠乏・過剰、薬害、栄養不足など      3. 生物的ストレッサー ... 病原菌の侵入など   4. 精神的ストレッサー ... 人間関係トラブル、精神的な苦痛、              怒り・不安・憎しみ・緊張など

現在よく耳にする「ストレスがたまっている」という状態の原因はほとんどが 精神的ストレッサーである。  ストレス ( 刺激 ) がまったくない部屋で過ごすと、人間はどうなるかを 調べた研究がある。結果は、以下の通りである。 参考資料 (22): health クリック これがストレスの正体だ http://www.health.ne.jp/ library/3000/w3000165.html

1. 体温調節機能の低下 気温の変化に合わせ、汗を出したり鳥肌を立てたりして体温を調節する働きが、にぶくなる。 2. 暗示にかかりやすくなる 何か指示されると、間違った指示であろうとそれに従い、 「もう立っていられない」と言 われると、言葉通りに足の力 が抜けてしまう。 3. 幻覚・妄想 刺激 ( ストレス ) から隔離してマインドコントロールし、社会的に問題 になった例も多い。

つまり、体と心のバランスを保つためには、適度なストレスが必要なのだ。

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3-1 ∼ストレス社会∼

3-1-2  ストレス社会 現代の日本はストレス社会と呼ばれ、若年者から高齢者まで日々の生活の中で 様々なストレスを受けている。 インターネットによるアンケート調査の結果では「とてもストレスを感じてい る」、 「ややストレスを感じている」と答えた人の割合が合わせると 8 割をこえて いた。資料 (23)( 図 3-1-2) ストレスは一概には悪いことばかりとはいえないが、 「ストレス 社会」といわれている実情を表している結果となっている。 また年代別でみた場合 35 ∼ 44 歳あたりが最も割合的に多い結果となっている。 さらに性別でみた場合には男性よりも女性の方がストレスを感じている結果と なっている。資料 (23)( 図 3-1-3) 参考資料 (23): 厚生労働省 : 平成 19 年 国民生活基

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図 3-1-2 日々の生活の中でどれほどストレスを感じているか

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図 3-1-3 性別・年齢階級別にみたストレスがある者の割合

 このように社会の実情から現在では社会の中でストレスに注目が集まってい る。そしてその原因や解消・軽減方法にも注目されている。

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3-1 ∼ストレス社会∼

3-1-3  ストレス解消・軽減 日々の生活の中で様々なストレスを受けている中で現在ストレスの解消の仕方が 様々な方法で考えられている。web サイトや書店には解消法に関する記事や書籍が 溢れている。これらの解消法は溜まったストレスを別の場所や方法で解消する考え 方がほとんどである。 記憶がストレスを克服するからくり 「海馬」という脳の中でも極めて重要な「記憶装置」。海馬は、コンピューターで言えばハードディ スクの書き込みをする「磁気ヘッド」のようなものです。それだけではありませんが、「海馬」が 記憶を保っているのではなく、司っていると言われるゆえんです。何かを「記憶する」ための装置が、 なぜストレスを減じるのに役立つのか ? その理由は、ストレスへの対処法まで、一緒に記憶してお 参考資料 (24): 日経ビジネス online ストレスは記憶することで克服する 大橋 悦夫 , 佐々木正悟

いてくれるからです。もともと、脳をほとんど持たないような原始的生物であっても、ストレスへ の耐性というものはあります。二枚貝に針を刺すと、初めはびっくりして貝殻をパクッと閉じてし まいますが、イヤになるほどこれを繰り返すと、その刺激に危険性がないことを感じるのか、反応 が鈍くなったり、反応しなくなったりします。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/ skillup/20061016/111740/

人間が、オフィスなどでストレスへの「耐性」を身につけるのは、このプロセスよりはむろん複 雑です。しかし、 「このストレスな刺激は、好きにはなれないが危険はないな。対処の仕方も分かっ ているし」ということを記憶すれば、もう脳はそれほどストレスは感じなくなる、というわけです。 貝は「危険がない」と納得するところでとどまりますが、人間は対処法を記憶することで、スト レスを減じるということです。対処法とはもちろん、ただの「慣れ」とは違います。それは一連の 認知処理や、行動パターンを含む、手続き的な記憶なのです。                                       ( 佐々木正悟 )

参考資料 (25): 雑誌 LIFENCE オンライン版 INDEX vol.21「ストレス」を考える http://www.lifence.ac.jp/goto/ weblifence/lifenceindex.html 図 3-1-4 ストレス関連疾患病

一方でストレスの原因を追求・改善し、受けるストレスを軽減する方法も同時に 考えられている。ストレスは一概には悪いとは言えないがストレスが原因で様々な 病気などが警告として体に現れる場合がある。資料 (x)( 図 3-1-x)

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3-2 ∼オフィス環境∼

3-2 ∼オフィス環境∼ 3-2-1  オフィス環境の変化 今日までオフィス環境についての研究は数多く行われてきた。以前は個人の作 業効率の重要性を考え、最も適した環境づくりが進められてきた。その後個人の 作業効率のみではなく、仕事を共同作業と考えコミュニケーション量の数を増や すようなオフィス環境作りが考えられた。従来までとは異なり、均等にデスクを 配置するだけではなくオフィス内での動線を考え、ワーカー間でのコミュニケー ションの発生回数を増やすような仕組みがとられた。また従来までは同じ部署、 部門間でのコミュニケーションがほとんどを占めていたのに対し、部門外のワー カーとのコミュニケーションの向上なども視野に入れられた。  そして近年では社会的背景も加わり、オフィスとストレスという問題も注目さ れてきている。

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3-2 ∼オフィス環境∼

3-2-2 オフィスと仕事別のストレス 厚生労働省の性別・職種別にみたストレスがある者の割合調査では事務や専門・ 技術職種の分野に従事しているワーカーが特にストレスを感じているという回 答結果が得られている。また性別ごとにみた場合では男性に比べ女性の方が職 場でよりストレスを感じているという結果が得られている。  このように事務や専門職といった拘束力の強い職種においてストレスを感じ ているワーカーが多いという現状が見て取れる。( 図 3-2-2) 参考資料 (23): 厚生労働省 : 平成 19 年 国民生活基 礎調査の概況 http://www.mhlw.go.jp/toukei/ saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa07/3-6. html

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図 3-2-2 オフィスと仕事別のストレス

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3-2 ∼オフィス環境∼

3-2-2 作業効率とオフィス 注釈 (1): 巻末 既往研究 参照

オフィスと作業効率は早くから注目されてきた。様々な研究が行われ、オフィ ス環境作りに反映されてきた。温度、湿度、照度、音、対人視線など項目は様々 である。(注釈1)しかし、ここで挙げる作業環境とはほとんどが個人の作業効率を 考えている。各企業は限られたスペースにワーカーを配置し、効率よく業務を行 えるような環境づくりを目指した。

図 3-2-3 従来のオフィス環境

参考資料 (26): 電気と電子のお話 9.1 照明と照明器具

http://www.miyazaki-gijutsu.com/ series4/densi0913a.html

図 3-2-4 背中合わせのデスク配置

図 3-2-5 タスク・アンビエント照明方式

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図 3-2-6 全般照明方式・無方向性配置

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3-2 ∼オフィス環境∼

3-2-3 知的生産性とオフィス 作業効率に関する研究が進むと次にオフィスにおける知的生産性に注目が集 まった。仕事を共同作業ととらえ、ワーカー間のコミュニケーションを誘発する オフィス環境作りが目指された。オフィスにおける動線計画を中心にどのような オフィス環境においてコミュニケーションが誘発されるかが注目された。資料 (8)( 図 3-2-7)( 図 3-2-8)

フロア内の仕切りを無くしたり、フリーアドレスと呼ばれる個人のデス

クを固定しない制度やホームアドレスと呼ばれる固定席と自由に使えるデスクが 混在する制度などが新しく考えられた。また今までのオフィス環境ではみられな かったインフォーマルなコミュニケーションの場を設ける企業が増えてきた。こ れは食事や休憩の中で執務中とは違う距離感でワーカー同士が会話をする事に よって知的生産性を向上させようとする試みである。  しかし現状においてフリーアドレス制度を導入してもどこに誰が座っているか わからなかったり、様々なインフォーマルな場は考えられているが実際に使用さ れていないなど問題点は残っている。 参考資料 (8):

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現海 紘次 他: 「ワークプレイスにおけるコミュニ ケーションに関する研究」

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図 3-2-8 役職間のコミュニケーションの発生割合

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3-2 ∼オフィス環境∼

3-2-4 ストレスとオフィス 近年注目されているのがオフィス環境内でのストレスである。仕事中にかかる ストレスの割合が日々の生活の中で最も多いとされ、その原因を探り、かかるス トレスを軽減しようとされている。職場でのストレスと言っても原因は様々でコ ミュニケーションによるストレスが最も多いとされ、その他にも執務によるスト レスや周囲からのプレッシャーなどが挙げられている。コミュニケーションによ るストレスにおいてはインフォーマルな場を設け、コミュニケーションを誘発し て軽減させようとする試みなどが挙げられる。( 注 2) ( 注 2) p.13  3-2-3   「知的生産性とオフィス」参照

しかし実際はそのようなインフォーマルな場は使われていないケースなどが多 い。そのような場に座って会話をしている事がさぼっていると認識され、個人の 評価の低下につながるという懸念があるからである。またフリーアドレス制度を 導入できる職種も限られ、事務や専門職といった職種は常に固定のデスクで作業 をしなくてはならない。

参考資料 (27):

図 3-2-9 フリーアドレスオフィス

未来のオフィス像調査 株式会社イトーキ関西デザイン室 http://news-sv.aij.or.jp/t400/ s_gyomu/fuoff/focover.html

図 3-2-10 インフォーマルな場

図 3-2-11 風通しの良い会議室

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3-3 ∼移動する事の有効性∼

3-3 ∼移動する事の有効性∼ 3-3-1  アクティブレストの効果 参考資料 (28): アスレティックトレーナー  山本利春: 「疲れたときはからだを動かす」 http://toshiharu-yamamoto. at.webry.info/200708/article_2. html

 日々の練習や激しい試合の後に、以下に身体に疲労を残さないかが、ケガや を予防し、その後の競技活動を低下させない重要な鍵になります。近年、その 課題に有効な手段として「アクティブレスト」が重視されています。アクティ ブレスト (Active Rest) とは、欧米ではスポーツトレーニングの専門用語として 使われるとともに、文字通りアクティブに活動しながら心身のリフレッシュを 図るという意味合いです。日本語では普通、「積極的休養」と訳されます。意味 としては、疲労回復には完全休養よりもあえて身体を積極的に動かし、能動的 に疲労回復の働きかけをして休養を取るということです。疲れていればいるほ ど身体を動かしたくない、完全休息の方が楽だ ... そう考えがちですが、アクティ ブレストでは、まったく逆の発想をします。そのほうが明らかに疲労回復が早く、 スポーツ選手にとってメリットが大きいのです。                      (アスレティックトレーナー 山本利春)  心身疲労の回復方法において様々な方法が提案されてきた。その中でも近年 ではアクティブレストというものが注目を集めている。従来では疲労がたまっ た場合体を動かさずに休息を取る方法が最も回復に効果があるとされてきた。 しかしあえて体を動かし能動的に疲労回復を行うという方法がアクティブレス トである。主に激しい運動などをした後にこの休息方法をとる事が効果的とさ れている。

参考資料 (29): 厚生労働省: 「健康づくりのための運動指針 2006」 http://www.mhlw.go.jp/bunya/ kenkou/undou01/pdf/data.pdf

図 3-3-1 健康作りのための運動指針

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3-3 ∼移動する事の有効性∼

3-3-2  移動とアクティブレスト  スポーツ選手など激しい運動後に最も効果があるとされるアクティブレストで あるが、激しい運動をしない日々生活の中でも効果が期待できる。オフィスなど デスクワーク、立ち仕事など長時間同じ姿勢で作業を行っている場合などに有効 であるとされている。体にかかる疲労がスポーツ後とは違い日々の生活ではその 疲労度は小さい。そのような場合回復にかける負荷も小さくてすむとされる。日々 の生活の中では軽いウォーキングやストレッチといった軽度の運動が効果的とさ れる。またそれまでいた環境とは違う環境で運動をする事でも更なる効果が得ら れる事がわかっている。オフィスなど長時間座って作業をした後に少しの時間外 などを歩くなど日々の生活の行動範囲の中で簡単な方法でアクティブレストを行 う事ができ、なおかつ効果も期待できる。

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3-3 ∼移動する事の有効性∼

3-3-3 ストレスと移動 参考資料 (30): 「疲労回復 明日を元気に過ごせる か」 http://www.uresii.com/

アクティブレストは肉体的な疲労回復にはもちろん精神的疲労にも役立つ。 運動によって脳内に神経伝達物質βエンドルフィンが分泌される。 βエンドルフィンは分泌されると爽快感をもたらし、ストレス解消に効果がある とされる。ランナーズハイと呼ばれる現象もこのβエンドルフィンの分泌による ものである。 また運動をする事によりストレスが過剰にかかった状態のときに分泌されるア ドレナリンを消費し、ホルモンバランスを維持し、ストレス解消につながる。 さらには神経や筋肉の緊張をほぐす事で交感神経の興奮状態を直接押さえる効果 もある。  適度な運動を継続的に行う事により交感神経活性の低下、副交感神経の活動の 増強、緊張状態に対する対応能力の増大など一時的なストレス解消だけではなく ストレスに対する免疫力の向上につながる。

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3-4

∼本研究の位置づけ∼

3-4 ∼本研究の位置づけ∼ 3-4-1 オフィス・アクティブレストに関する既往研究  これまで多くのオフィスに関する研究が行われてきた。そしてその視点は 社会的背景を元に変化してきた。現在ではコミュニケーションに関する研究 が数多く行われている。またコミュニケーション問題によるストレスという 面でも注目されている。  そして一方で社会の中でも「ストレス」という問題に注目が集まり、生理 学の分野においてストレスの研究が注目されている。 参考資料 (8): 現海 紘次 他: 「ワークプレイスにおけるコミュニ

□現海ら (2008 年 ) による「ワークプレイスにおけるコミュニケーションに関する研究」     ではフリーアドレス、ホームアドレス、固定席環境の 3 つのオフィス環境におけるコミュ

ケーションに関する研究」

  ニケーション行動の相違を分析し、環境の特性を明らかにした。コミュニケーションの

日本建築学会大会学術講演梗概集

  内容を「知識、ノウハウ、アイディア、やる気、解決」の 5 つに分類し、どの内容がど

2008 年 9 月

  の場面でどれだけの量発生したかを明らかにした。これにより固定席環境とフリーアド   レス、ホームアドレスとのコミュニケーションの発生回数の差が明らかになり、オフィ   スにおける知的生産性の向上に関し有用性を示した。

参考資料 (9): 小菅 健 他: 「オフィスにおけるワーカーの知的

□小菅ら (2008 年 ) による「オフィスにおけるワーカーの知的活性度に関する研究」では    ワーカーが普段オフィスの中でどのような場所で切り替え行動を行っているかを明ら 

活性度に関する研究」

  かにした。調査方法はワーカーに日誌を記録してもらい、日々の執務時間の中での切り

日本建築学会大会学術講演梗概集

  替え行動の頻度やタイミング、場所を直接ワーカーからデータを取った。結果として食

2008 年 9 月

  事や喫煙など他人とのコミュニケーションを伴うインフォーマルな場での切り替え行動   が多い事がわかった。またそれだけではなくトイレなど個人で利用する場や一人でオフィ   ス内を歩いているときなどにおいても切り替えが行われている傾向が見られる事を示し   た。この事により、コミュニケーション以外でも実際のオフィス内では切り替え行動が   とられている事がわかった。

参考資料 (10): 本田 悠夏 他: 「気分転換を促す空間に関する研究」 日本建築学会大会学術講演梗概集 2007 年

□本田ら (2007 年 ) による「気分転換を促す空間に関する研究」ではオフィス内における気   分転換を行う場所の空間的要素を明らかにした。実験方法として生理計測によるストレ   ス値の計測を行った。一般的に気分転換に良いとされる開放的な空間だけではなく、狭   い空間においても気分転換の効果がある事を示した。またオフィス環境の研究において   生理計測を導入し、ストレスという視点から空間要素を評価し、その有用性を示した。

参考資料 (11): 加藤恵子: 「精神作業の疲労回復に及ぼす運動

□加藤恵子 (1990 年 ) による「精神作業の疲労回復に及ぼす運動の効果」では精神作業の間   にアクティブレストを挟む事によってその後の作業にどのような影響を及ぼすかを明ら

の効果」

  かにした。この研究ではアクティブレストとしてバスケットボールのシューティングを

1990 年

  被験者に行わせた場合と室内での休憩とを比較した。結果として室内での休憩を行っ    たグループに比べ、アクティブレストを取り入れたグループの休憩後の成績が上がりア   クティブレストの有効性を示した。

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3-4

∼本研究の位置づけ∼

3-4-2 本研究の位置づけ  本研究では移動空間の要素によって精神的ストレスはどのように変化するのか を明らかにする。また建築空間内での移動 ( 歩行 ) というものが室内での休憩と 屋外に出る移動 ( 歩行 ) とどれほどの効果の差があるかも比較の対象として評価 する。  実験においては内田クレペリンテストによる精神負荷作業の間の休憩時間で移 動 ( 歩行 ) を比較項目も入れた 4 パターンを行い、ストレス値の変化を観察する。 ストレスの計測方法は気分評価 POMS による筆記回答とテストの前後に採取した 唾液から唾液中コルチゾール値を検出する方法、ホルター心電図による実験中の 心電の変化の 3 つからストレス値の変化を計測する。 既往研究では移動 ( 歩行 ) が日常生活における心身疲労に対するアクティブレス トとなるという効果が証明されている。しかし空間の要素がどのようにストレス の変化に影響を及ぼすかという部分は未だ明らかにされていない。 またオフィスにおいては様々な研究が行われている中で作業効率やコミュニケー ションの誘発などに対する研究は多く見受けられるもののオフィスにおけるスト レスに関する研究はまだ少ない。  オフィス内でのストレスに関する研究では気分転換の場所としての空間要素の 研究は行われているが現状の勤務状況を踏まえ、ワーカー誰しもが利用する廊下 を使って効率的にストレスを解消・軽減できる空間を明らかにする。アクティブ レストをオフィス空間に利用する研究は今までに無い。

労働効率

・照度 ・湿度

生理・心理学的評価

・温度 ・色彩 ・対人視線

コミュニケーション

・コミュニケーション量 ・配置計画 ・たまり場 ・業務システム

生理・心理学的評価

発想・気分転換

・コミュニケーション

生理・心理学的評価

本研究

・作業環境 ・気分転換

図 3-4-2 本研究の位置づけ

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移動空間におけるストレス変化に関する研究

4  

研究フロー

4 − 1 ∼研究フロー∼

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4   ∼研究フロー∼

4-1 ∼研究フロー∼  本研究の流れを以下に示す

アンケートによる実態調査

ヒアリングによる実態調査

オフィスワーカーを対象にアンケートを行う

オフィスワーカーにヒアリングを行う

結果・考察 実態調査を元にした実験空間の選定

実験 移動の有効性・移動空間要素のストレスへの影響を検証

結果・考察 移動の有効性・移動空間要素のストレスへの影響を測定項目より考察

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移動空間におけるストレス変化に関する研究

5

オフィスでの気分転換の実態調査

5 − 1 ∼ヒアリング調査∼ 5 − 2 ∼アンケート調査∼

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5 ∼オフィスでの気分転換の実態調査∼

5-1 ∼ヒアリング∼

 本研究ではまずオフィスワーカーの実態を調査するべく、実際にオフィ スワーカーにオフィス、オフィスの休憩スペースについてヒアリングを 行った。日々の休憩場所や利用時間、オフィスでの休憩場所の現状などを 直接質問した。  図 5-2-1 はヒアリングを行った対象者の年代と職種をまとめたものであ る。

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図 5-2-1 ヒアリング対象者の年代と職種

 ヒアリングによって得られたオフィスでの休憩場所、現状の不満点など の結果を本実験の実験空間の選定において役立てる事を目的とする。

           

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5 ∼オフィスでの気分転換の実態調査∼

5-2 ∼アンケート∼  ヒアリングと並行してオフィスワーカーを対象としたアンケートを メールにて配布した。  アンケートでは主にオフィス内での休憩場所と1日のうちでの利用時 間、現状の不満点などをアンケートで質問した。  アンケート結果を元に実験空間の選定を行う。

      人数:

有効回答 17 名  (50 名に配布)

      年齢:

30 代∼ 50 代

  被験者の職種:

営業職、事務職、管理職、技術職、経理職

   配布日時:

10 月 3 日

アンケート  卒業論文のオフィスワーカー実態調査アンケートにご協力お願いします。  回答方法は□を■に変えてご回答ください。  複数回答がある場合は順位を上から1、 2、 3と□の部分に数字を入れてください。  返信方法はアンケート一番下のメールアドレスにファイルを添付したメールを送信してく  ださい。返信は10月31日木曜日までにお願いできれば幸いです。  お忙しいとは思いますがご協力お願い致します。

                              ■性別   □男性   □女性 !"年齢        □10代  □20代 □30代 □40代 □50代 □60代以上 !"職種   □事務 □管理 □生産 □開発 □専門職 □その他 (        ) !"仕事中気分転換(休憩) をする場所 □自分のデスク □空き会議室 □会社内のラウンジ □喫煙所 □トイレ   □移動 □その他(             ) !"気分転換(休憩) をする空間として上記の場を選んだ理由 □"静か □うるさい □集中できる □落ち着く 広い □狭い □明るい □暗い □外の景色が見える □外の景色が見えない □長時間利用可能 □他に場所が無い  □その他(              ) !"上記の空間利用時の不満点   (                         ) ■利用頻度           週/(   ) 時間  日/(      )分

           ご協力ありがとうございました。 早稲田大学理工学部建築学科 4年

渡辺仁史研究室 健康空間ゼミ 竹原 裕介 yusuket77@gmail.com TEL 090-8010-2748

図 5-2-1 配布アンケート

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移動空間におけるストレス変化に関する研究

6

移動の有効性と 空間要素によるストレス変化の計測

6 − 1 ∼実験空間∼ 6 − 2 ∼実験概要∼ 6 − 3 ∼各計測方法とその特徴∼

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6  移動の有効性と空間要素によるストレス変化の計測∼

6-1 ∼実験空間∼ 6-1-1 ∼実験空間の選定∼  現在までに様々なオフィスの研究や改善案が出されオフィスの形というものが 検討されてきた。そして現在ではストレスという観点が社会的にも注目されてい る。しかし、ヒアリング・アンケートの結果から現状のオフィスでは効果的な気 分転換が行える場所が少ないという事がわかった。様々な気分転換の場が検討さ れながらも使用されていない現状などが浮き彫りになってきた。  しかし、日々の勤務の中で「トイレ」 「会議」 「昼休み」などでしか自分のデス クを離れる機会がないことがわかった。そこでこの移動の際に誰もが移動する廊 下という空間を見直す事により現状では改善できていない気分転換の場を新たに 考える。  本研究ではオフィスという事を想定し、実験空間を選定した。また室内での移 動の効果そのものを検証するために比較として実験室内で着座のまま休憩を取る パターンも行った。移動空間の要素については 6-1-2 において説明する。

3300

図 6-1-1 実験室の写真

5100

H:2900

図 6-1-2 実験室の寸法

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26


6  移動の有効性と空間要素によるストレス変化の計測∼

6-1-2 ∼移動空間の選定∼  実験ではクレペリンテストの前半と後半の間で違う空間を移動し、その 空間によるストレス値の変化への影響を測定する。移動空間は 3 パターン 用意した。実験空間の選定はアンケート・ヒアリング結果を元に行った。 気分転換に使われる広く開口のある空間と実状のオフィスで多くみられる 狭く開口の無い空間。そして室外を通る渡り廊下の 3 つを選定した。また すべての経路は実験室から4分間で往復できる距離になるように計画をた てた。

狭く開口の無い廊下

広く開口のある廊下

室外を通る渡り廊下

図 6-1-2 移動空間の要素とその空間の種類

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6  移動の有効性と空間要素によるストレス変化の計測∼

6-2 ∼実験概要∼ 6-2-1 ∼実験概要∼ 実験場所  早稲田大学理工学部 大久保キャンパス 63 号館 2・3・4・5 階

被験者 20 ∼ 25 歳の男女 10 名     (男性 5 名内:本校学生3名、女性5名:本校学生2名)

実験日程  10 月 11 日∼ 26 日

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6  移動の有効性と空間要素によるストレス変化の計測∼

6-2-2 ∼計測手順∼  計測手順は図 6-2-2 の通りである。  被験者には精神負荷としてクレペリンテストによる計算作業を行ってもらい、 オフィスワーク中のストレスを擬似的に再現した。クレペリンテストの前半と 後半の間で休憩・移動を行う。移動空間の要素を変え、各被験者 4 回の計測を 行う。休憩・移動前後で気分やストレスの計測を行う。また実験全体を通して ホルター心電計による心電の変化も測定する。3つの測定結果から休憩・移動 空間の要素によるストレスへの影響を測定する。

実験空間

測定と被験者の行ったこと タイムコード 実験説明 心電計装着

10

測定 Ⅰ

計算 (クレペリンテスト)

15

測定 Ⅱ

3

休憩または それぞれの空間を移動 測定 Ⅲ

実験室で休憩

W5100 D3300

5min. 4

実験室

H2900 閉鎖的廊下を移動

W1600

執務室

閉鎖的廊下 開放的廊下 渡り廊下

休憩

移動

移動

移動

3

H2900 L10000 開放的廊下を移動

W9500

計算 (クレペリンテスト) 測定 Ⅳ 心電計を外す <気分&ストレス測定> 唾液中コルチゾール採取 POMS:サリペット管に採取中に記入

15

H3350 実験室

3 5 単位(分) Total57分

L10000 渡り廊下を移動

W900 H L10

図 6-2-2 実験の計測手順と流れ

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6  移動の有効性と空間要素によるストレス変化の計測∼

6-3 ∼各計測方法とその特徴∼ 参考資料 (22)

6-3-1 ∼ POMS 簡易版 (Profile of Mood States) ∼

POMS 短縮版手引と事例解説; 横山和仁 編著; 金子書房

!!POMS(Profile of Mood States) は、 気 分 を 評 価 す る 質 問 紙 法 の 一 つ と し て McNair らにより米国で開発され、対象者がおかれた条件により変化する一時 的な気分、感情の状態を測定できるという特徴を有している。また、「緊張 - 不 安 (Tension-Anxiety)」「抑うつ - 落ち込み (Depression-Dejection)」「怒り - 敵意 (Anger-Hostility)」「活気 (Vigor)」「疲労 (Fatigue)」「混乱 (Confusion)」の 6 つの 気分尺度を同時に評価することが可能である。 POMS 日本語版の 65 項目版 ( 正規版 ) は発行以来約 10 年間にわたり、臨床、 職場、学校などさまざまな方面で活用されてきた。日本版作成のねらいは、精 神障害 ( うつ病、不安障害など ) の治療経過、身体疾患を持つ人々の精神面の 変化、職場でのスクリーニング、運動やリラクセーション効果などの評価測定 といった幅広い分野での応用にあった。そのため医療者だけでなく、看護、福祉、 教育関係専門家、産業医、雇用決定担当者、スポーツ医学研究者や指導者、フィッ トネス関係者などの健康に関わるあらゆる人々による使用を意図してきた。 本研究では、項目数を正規版の 65 項目から、30 項目に削減した POMS 短 縮版を用いた。これにより正規版と同様の測定結果を提供しながらも、被験者 の心理的負担感を軽減し、15 分間のクレペリンテスト、4 分間の休憩・移動 という短時間での気分、感情の変化の測定を可能にした。短縮版の質問紙は、 表 に示すように 6 つの尺度に分類される気分を、30 項目の言葉で表している。 被験者は、提示された各項目ごとに、その項目が表す気分になることが「まっ たくなかった」(0 点 ) から「非常に多くあった (4 点 )」までの 5 段階 (0 点∼ 4 点 ) のいずれか一つを選択する。 本研究においては「怒り - 敵意」項目は実験の趣旨にそぐわないと考え、分 析項目から除外した。 「緊張 - 不安」 「抑うつ - 落ち込み」 「疲労」 「混乱」「怒り - 敵意」の 5 項目の 得点を相互の得点に互換性が持てる標準化得点を T 得点と呼ぶ。得点が高いほ ど深刻(活気をのぞく)な状態といえる。 「緊張 - 不安」 「抑うつ - 落ち込み」 「疲労」 「混乱」の 4 項目は得点数が減少す ることが望まれ、低いほど気分の状態が良好であると考える。 「活気」項目は、得点の増加が望まれ、点数が高いほど気分の状態が良好で あると考える。

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6  移動の有効性と空間要素によるストレス変化の計測∼

POMS 評価項目一覧 ◇「緊張̶不安 (Tension̶Anxiety)」 (1) 気がはりつめる (6) 落ち着かない (12) 不安だ (16) 緊張する (20) あれこれ心配だ ◇「抑うつー落ち込み (Depression̶Dejection)」 (7) 悲しい (11) 自分はほめられるに値しないと感じる (15) がっかりしてやる気をなくす (17) 孤独でさびしい (21) 気持ちが沈んで暗い ◇「怒りー敵意 (Anger̶Hostility)」 (2) 怒る (9) ふきげんだ (14) めいわくをかけられて困る (25) はげしい怒りを感じる (28) すぐかっとなる ◇「活気 (Vigor)」 (4) 生き生きする (8) 積極的な気分だ (10) 勢力がみなぎる (27) 元気がいっぱいだ (30) 活気がわいてくる ◇「疲労 (Fatigue)」 (3) ぐったりする (13) 疲れた (19) へとへとだ (22) だるい (23) うんざりだ ◇「混乱 (Confusion)」 (5) 頭が混乱する (18) 考えがまとまらない (24) とほうに暮れる (26) 物事がてきぱきできる気がする (29) どうも忘れっぽい

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6  移動の有効性と空間要素によるストレス変化の計測∼

6-3-2 ∼クレペリンテスト∼ ドイツの精神科医・クレペリンは、数字を連続して加算していくような作業に おいては、作業を継続しようという意思の働きが重要であることを見いだした。 内田勇三郎は、この加算作業を精神分裂症にみられる意思障害の診断に用いる ことを考え、さらに、一般的な性格検査や適正診断にも有効な検査へと発展さ せた。世界でも例の少ない、作業検査法による性格検査である。この方式には 被験者に検査のねらいが判然とせず、したがって意図的に回答を歪ませること が難しいという利点がある。 『検査内容と実施方法』 テスト用紙には、1 行あたり 115 字、前凹版作業用に各 17 行のランダムな数 字が印刷されている。被験者の行う作業は、隣り合った数字を加算し、答えの 1 位のあたい を 2 数字の中央株に記入していくというものである。 検査者の「初め」の合図で第 1 行目左端より作業を開始する。検査者は次行左 端に対象をうつし、加算を続ける。以上の作業を 5 分間の休憩を挟んで、前後 半 15 分ずつ行う。  クレペリンテストは、性格診断テストとして用いられているが、本実験では、 そのような目的ではなく、精神的負荷作業ととらえ行った。 クレペリンテストを作業内容に選んだ理由としては、 ・被験者の作業内容を統一できる ・集中力と結びつく脳波の研究にクレペリンテストが用いられてきている があげられる。

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6  移動の有効性と空間要素によるストレス変化の計測∼

6-3-3 ∼ホルター心電計∼ 一言でいうと携帯型心電計を用いて日常生活中の心電図を、長時間に渡って連続 参考文献 (x) 内海内科クリニック: http://www.furano.ne.jp/utsumi/index.

記録して、診断や治療に役立たせようとするもの。通常 1 日単位で施行されるこ とが多く、このため 24 時間心電図と呼ばれる場合もある。 心臓由来の症状、例えば動悸、脈の乱れ、胸の痛みなどがある場合には、心電図

html 社団法人人間生活工学研究センター: http://www.hql.jp/

検査が行われる。しかし、通常病院で行われる安静時心電図は、1 分以内と短時 間のため、症状の原因となる心電図変化を捉えるとは限らない。 心臓を養う血管の冠状動脈の流れが悪くなって起こる狭心症発作は、日中活動時 に起こりやすく、逆に比較的心身安静時に出やすい不整脈もあり、心臓発作はい つ何時起こるかわかりません。 そこで、日中活動中や夜間睡眠中も含めて 1 日中常に心電図が記録できるホル ター心電図が必要となる。このように心臓疾患の診断に有用だが、一方、不整脈 や狭心症治療薬の効果判定やペースメーカーの機能評価など治療面にも利用され ている。 心電図 R − R 間隔の時系列データを補間した後、FFT 解析した時のパワースペ クトル値を示す。パワースペクトル分析により低周波帯 (LF、0.04 ∼ 0.14Hz〉と 高周波帯 (HF、0.14 ∼ 0.5Hz) に分離する。低周波帯は主に交感神経活動を表し、 高周波帯は副交感神経活動を示唆する。このパワースペクトルの LF/HF の面積比 が自律神経系の活動度を示す。  本実験では被験者にホルター心電計を装着してもらい、5分間隔の LF/HF の数 値を元に実験の流れの中でのストレスの変化を測定する。

図 6-3-3 ホルター心電計

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6  移動の有効性と空間要素によるストレス変化の計測∼

6-3-4 ∼唾液中コルチゾール測定方法∼ コルチゾールは副腎皮質から放出されるステロイドホルモンでストレスと の関連で最もよく研究されている物質である。 本研究における実験では、コルチゾール検出に Assay Designs 社のコルチ ゾ ー ル 測 定 キ ッ ト「1-3012 Cortisol EIA Kit High Seneitivity Salivary」( 図 5-3-3) 、唾液採取に SARSTEDT 社製サリベット管と、市販のストローを用いた。

図 Assay Designs 社 コルチゾール測定キット

◇測定方法 ストローを用いてサリベット管に約 1 ∼ 2ml の唾液を採取する。 遠心分離機によりムチン等の物質を取り除き唾液を抽出する。 コルチゾール測定キットを用いて比色法により測定を行う注 10)。

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6  移動の有効性と空間要素によるストレス変化の計測∼

◇コルチゾール検出実験手順 "#$%&' ()' *+,-./012 3456789:;78<=>-?02 @ABC:$D<E:FG-HIJK1LM'!NOP7,+ Q RS5 TU VW!!!XXX Y12 Z [\ >]^_>`a Q[\bb c defbbbghiU VWY12 jklm78C: nopq!rsttug -vwxy [b zV{|012 } ~•€h!~€•s•‚€ƒ :N8O„VV […†\i• :vwx-‡ˆ12 !‰:Š‹L-Œ•NOP7,+VWY12!! Ž …•i• : •ppo‘!’‚•suƒ• -“”+•–—OD˜–™V‡ˆ•š›2! œ•žŸ: ~•oƒ og !¡AB4<¢O …\ £ • -‰ˆ¤ˆ:¥¦OV sh•‚§o•u!!!X XXy‡ˆ12 •ppo‘!’‚•suƒ• - ¨ug€ ¡ ©pª :¥¦OV‡ˆ12 « ¬ : •ppo‘!’‚•suƒ• V [\ £ • : -€ƒ®sdo•u -‡ˆ12 !!!0¯VNOP7,+VWY' T °*ODD±<²O³´78y•¥¦OV!!!!!!!!!!!! XXX…bb £ • µ¶‡ˆ12 ·¢¸–8¹–º– Q\bbghiU y \ >]»¼12 ½¢¸–8V¾7¢-Œ' ¿Ày \\ >]Á<m˜6–ÂÃ<012 Ä [… °*ODD±<²O³´78-ÅÆ•' fbb £ • : nopq!rsttug -•¥¦!!!!!!! XXXOV!‡ˆ' Â<,VBÇ-ÈŒ' ´–É–ºÊOVËÌÍY•x>-ΡXXX 02 ψ- •!ÐÑÒÓ02! Ô …bb £ • : ÕÖr - T °*ODD±<²O³´78y•¥¦OV!‡ˆ12 ×¢¸–8¹–º– Q\bbghiU y \ >]»¼12 Ø¢¸–8VÙOÚÛÁO-WY' ÜÝy …\ >]Á<m˜6–ÂÃ!<012 Þ T °*ODD±<²O³´78y•¥¦OV \b £ • : ~•€h!~€•s•‚€ƒ -‡ˆ12 ߢ¸–8¹–º– Q\bbghiU y f >]»¼12 ¢¸–8:à-‹Æ•' ¢¸–!!! XXX85–á–yâã2

図 6-3-4 実験風景

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移動空間におけるストレス変化に関する研究

7  

実験結果 / 分析

7 − 1 ∼ヒアリング・アンケート結果 / 考察∼ 7 − 2 ∼心電図の結果 / 考察∼ 7 − 3 ∼気分評価 POMS の集計結果 / 考察∼ 7 − 4 ∼唾液中コルチゾール測定の分析結果 / 考察∼ 7 − 5 ∼全体考察∼

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7∼実験結果 / 分析∼

7-1 ∼ヒアリング・アンケート結果 / 考察∼ 7-1-1  ヒアリング結果 / 考察

 5名のオフィスワーカーに現状のオフィスでの休憩場所、利用頻度などに ついて直接話を聞いた。話の中で現在のオフィスで実際に不便に感じている 事や利用されていない空間、実際の勤務時間内の動きと休憩についての話が 出てきた。  興味的なキーワードを以下に記述する。      ・実際1日の勤務時間内で自分のデスクを離れる回数(時間)が短い      ・勤務中の移動は会議、トイレ、昼食、来客程度 ・フリーアドレスが導入できる職種とそうでない職種がある  ・現在進められているインフォーマルな場の利用は実際少ない                      →自己評価の低下を懸念     ・周りの目から外れて仕事をする事が未だ難しい職種(企業)もある

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7∼実験結果 / 分析∼

7-1-2 アンケート結果 / 考察  オフィスワーカーを対象にオフィス内での休憩スペース、その利用時間などに ついてアンケートを行った。アンケート結果を以下にまとめる。

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表 7-1-2 アンケート結果

 休憩場所の項目で「自分のデスク」という回答が多かった。次いで「喫煙所」 となっている。またその他と答えた場所で自動販売機や出先のカフェといった 飲食が可能な場所が挙っていた。  選んだ理由の項目では半数以上が「他に場所が無い」という回答が得られた。 中でも「自分のデスク」と答えた回答者のうち1名を除いた残りの回答者が選 んだ理由に「他に場所が無い」と回答している。そして「自分のデスク」と答 えた回答者を職種別にみると半数が専門職、次いで管理職、事務職となっている。 一方で会社外に出る機会の多い営業職では「喫煙所」 「その他の場所」などが挙っ 、 ていた。  利用時間の項目では気分転換の時間が1日30分以内という回答が 80%を超 えていた。 以下アンケート結果を項目ごとに図にした。

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7∼実験結果 / 分析∼

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図 7-1-2 アンケート結果 ( 男女比)

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図 7-1-3 アンケート結果 ( 現在の休憩場所)

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図 7-1-4 アンケート結果 ( 現在の休憩場所を選んだ理由)

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7∼実験結果 / 分析∼

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図 7-1-5 アンケート結果 (1 日の内の休憩場所利用時間)

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図 7-1-5 アンケート結果 (1 日の内の休憩場所利用時間)

 これらの結果よりオフィスごとに差はあるもの現在のオフィス内では現状 気分転換を行う場所として効果的な場所が不足している事がわかった。また 回答者のほとんどが仕事をしていた場所と同じ場所でそれまでの仕事を中断 して気分転換をとっている。しかし興味深い回答で「ラウンジなどの休憩ス ペースはあるが自分のデスクから遠く全く利用しない。仕事を中断している だけで気分転換になっていない。 」という不満点の回答が得られた。   

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7∼実験結果 / 分析∼

7-2 ∼心電図の結果 / 考察∼ 7-2-1 心電図の分析方法  実験を通して被験者にホルター心電図を装着してもらい、ストレスによる LF/HF の変化を測定した。  本実験では休憩直前(青)と休憩直後(赤)(図 7-2-1)の 5 分間の LF/HF 平均値 の増加率を比較した。ここでは例として被験者 F のデータを図 7-2-1 で各実験 ごとに得れた5分ごとの LF/HF の値、図 7-2-2 で実験ごとの LF/HF の推移を 表した。

実験室で休憩 測定Ⅰ

クレペリンテスト

測定Ⅱ

閉鎖的廊下を移動

開放的廊下を移動

渡り廊下を移動

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移動・休憩

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測定Ⅲ

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9yh8

クレペリンテスト 測定Ⅳ

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図 7-2-1 実験の中での LF/HF の値

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測定範囲

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図 7-2-2 実験の中での LF/HF の測定範囲

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41


7∼実験結果 / 分析∼

7-2-2 心電図の分析結果  図 7-2-3 は休憩直前と休憩直後の増加率の平均値である。  実験室で休憩の場合増加率は減少傾向がみられたが標準偏差が大きく、減少 率も小さい。  閉鎖的廊下を移動した場合も減少傾向が見られた。増加率は -50% を超え、気 分転換に効果的な結果が得られた。  開放的廊下を移動した場合の増加率は実験室での休憩と同様、標準偏差が大 きく、減少率も有効的な結果ではなかった。  渡り廊下を移動した場合は閉鎖的な廊下を移動した場合と同様標準偏差が小 さく減少率の大きい結果が得られた。減少率は4パターン中で最も大きい結果 が得られた。  各結果を比較した結果休憩と開放的な空間、閉鎖的な空間と渡り廊下の比較 以外の組み合わせで有意な差がみられた。この結果から休憩・移動によるスト レスの減少の大きさがわかった。中でも閉鎖的な廊下と渡り廊下を通った場合 より有効的な効果が得られる事がわかった。

* 図 7-2-3 実験ごとの休憩直前と休憩直後の増加率の平均値

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*

**

42


7∼実験結果 / 分析∼

7-3 ∼気分評価 POMS の集計結果 / 考察∼ 7- 3-1 気分評価 POMS の分析方法  前半と後半のクレペリンテストの前後 ( 計4回)に被験者に気分評価 POMS による気分測定を行った。(図 7-4-1)

POMS コルチゾール 測定Ⅰ

クレペリンテスト

3分

15分

POMS POMS コルチゾール コルチゾール 測定Ⅱ 測定Ⅲ 休憩・移動 3分

4分

クレペリンテスト

3分

15分

POMS コルチゾール 測定Ⅳ

3分

図 7-4-1 実験の中でのコルチゾール測定

  「緊張−不安」 「抑うつ−落ち込み」 「疲労」「混乱」 「活気」の5項目と T 得 点ごとの平均点により休憩・移動の気分への変化を調べる事ができる。  本研究では T 得点の実験全体での推移と各項目の測定Ⅱ(以下休憩前)と 測定Ⅲ(以下休憩後)の増加率を比較する。

得点増加率(%)=

休憩後 POMS 得点 ー 休憩前 POMS 得点 休憩前 POMS 得点

  「緊張−不安」 「抑うつ−落ち込み」「疲労」 「混乱」 、T 得点の5項目は得点 および増加率が低いほど休憩・移動が気分への影響が良好であるととれる。  逆に「活気」は得点および増加率が高いほど気分への影響が良好であると とれる。

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7∼実験結果 / 分析∼

7-3-2 気分評価 POMS の集計結果 T 得点平均値の推移  図 7-3-2 は実験ごとの T 得点5項目合計平均値の推移である。どのパターンも 休憩・移動を挟んだ後は得点が減少している。しかし休憩に比べ、移動を行った 他の実験では減少率が大きくなっているのが読み取れる。

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図 7-3-2 T 得点平均値の推移

休憩・移動前後での T 得点平均値の増加率  図 7-3-3 は実験ごとの休憩・移動前後での T 得点平均値の増加率である。ど のパターンも休憩・移動を挟んだ後は得点が減少している。しかし休憩に比べ、 移動を行った他の実験では減少率が大きくなっているのが読み取れる。 中でも休憩と渡り廊下では差の検定において有意な差がみられた。渡り廊下と 開放的な空間では有意な差はみられない事から休憩に比べ、開放的な空間も望 ましい傾向が見られる。

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図 7-3-3 T 得点平均値の増加率

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* 44


7∼実験結果 / 分析∼

「疲労」平均値の推移  図 7-3-4 は実験ごとの「疲労」項目の平均値の推移である。どのパターンも休憩・ 移動を挟んだ後は得点が減少している。しかし休憩に比べ、移動を行った他の実 験では減少率が大きくなっているのが読み取れる。

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図 7-3-4「疲労」平均値の推移

休憩・移動前後での「疲労」平均値の増加率  図 7-3-5 は実験ごとの移動・休憩前後の「疲労」平均値の増加率である。ど のパターンも休憩・移動を挟んだ後は得点が減少している。しかし休憩に比べ、 移動を行った他の実験では減少率が大きくなっているのが読み取れる。  休憩と移動では差の検定において有意な差がみられた。移動した空間同士 では有意な差はみられなかった。しかし、閉鎖的な空間と渡り廊下の増加率 の標準偏差が大きく有意な差がみられなかったが、開放的な空間は他の2つ に比べ標準偏差も小さく減少率も大きい傾向が見られた。

89u ^9u T9u L9u 69u 9u •69u •L9u •T9u •^9u •89u '(

図 7-3-5 「疲労」平均値の増加率

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45


7∼実験結果 / 分析∼

「活気」平均値の推移  図 7-3-6 は実験ごとの「活気」項目の平均値の推移である。 「活気」項目はプ ラス因子のためグラフが上昇するほど良い傾向が見られる。  休憩は実験を通して平均値が減少傾向にある。これは時間が立つにつれ作業 に対するやる気が低下してるといえる。一方で移動を挟んだパターンでは休憩 前に比べ、休憩後の値が増加している。移動が気分転換となり気持ちの切り替 えにつながった傾向が見られたといえる。

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図 7-3-6「活気」平均値の推移

休憩・移動前後での「疲労」平均値の増加率  図 7-3-5 は実験ごとの移動・休憩前後の 「活気」 平均値の増加率である。休憩後 「活 気」項目は減少しているのに対し、移動を行った他の実験ではその値が増加し ているのが読み取れる。  休憩と移動では差の検定において有意な差がみられた。移動した空間同士で は有意な差はみられなかった。しかし、閉鎖的な空間と渡り廊下の増加率の標 準偏差が大きく有意な差がみられなかったが、開放的な空間は他の2つに比べ 標準偏差も小さく減少率も大きい傾向が見られた。 89u ^9u T9u L9u 69u 9u •69u •L9u •T9u '(

図 7-3-7 「活気」平均値の増加率

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7∼実験結果 / 分析∼

7-4 ∼唾液中コルチゾール測定の分析結果 / 考察∼ 7-4-1 唾液中コルチゾール測定の分析方法  前半と後半のクレペリンテストの前後 ( 計4回)に被験者の唾液を採取し、唾 液中コルチゾール濃度の測定を行った。(図 7-4-1)

POMS コルチゾール 測定Ⅰ

クレペリンテスト 3分

15分

POMS POMS コルチゾール コルチゾール 測定Ⅱ 測定Ⅲ 休憩・移動 3分

4分

3分

POMS コルチゾール 測定Ⅳ

クレペリンテスト 15分

3分

図 7-4-1 実験の中でのコルチゾール測定

 これにより、各場面変化ごとのコルチゾール濃度を指数としたストレス値の変 化を調べる事ができる。  本研究では測定Ⅰ(以下実験前)と測定Ⅳ(以下実験後)の増加率を比較する。

増加率(%)=

実験後コルチゾール濃度 ー 実験前コルチゾール濃度 実験前コルチゾール濃度

・増加率>0%・・・実験前と比較してストレス値が増加 ・増加率<0%・・・実験前と比較してストレス値が減少

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7∼実験結果 / 分析∼

 図 7-4-2 はクレペリンテストの休憩時間を実験室で休憩した場合の実験前と実 験後のコルチゾール値の増加率であり、図 7-4-3 はその平均増加率である。  図 7-4-2 より被験者 L の増加率が大きいながらも半数の被験者は減少傾向にあ るため、平均増加率も減少している。

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図 7-4-2

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被験者別実験室で休憩前後のコルチゾール値の増加率

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図 7-4-3

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実験室で休憩前後のコルチゾール値の平均増加率

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7∼実験結果 / 分析∼

 図 7-4-4 はクレペリンテストの休憩時間に閉鎖的な廊下を移動してもらった 場合のの実験前と実験後のコルチゾール値の増加率であり、図 7-4-5 はその平 均増加率である。  図 7-4-4 よりストレス値が増加した被験者と減少した被験者の数はほぼ半数 ずつだが増加した被験者の増加率が著しく大きいため平均増加率も増加傾向に ある。

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図 7-4-4

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被験者別閉鎖的な廊下移動前後のコルチゾール値の増加率

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図 7-4-5 閉鎖的な廊下移動前後のコルチゾール値の平均増加率

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7∼実験結果 / 分析∼

 図 7-4-6 はクレペリンテストの休憩時間に開放的な廊下を移動してもらった 場合の実験前と実験後のコルチゾール値の増加率であり、図 7-4-7 はその平均 増加率である。  図 7-4-6 よりストレス値が減少した被験者の数が多く、増加率に比べ減少率 が大きいため平均増加率も減少している。

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図 7-4-6

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被験者別開放的な廊下移動前後のコルチゾール値の増加率

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図 7-4-7  開放的な廊下移動前後のコルチゾール値の平均増加率

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7∼実験結果 / 分析∼

 図 7-4-8 はクレペリンテストの休憩時間に渡り廊下を移動してもらった場合 のの実験前と実験後のコルチゾール値の増加率であり、図 7-4-9 はその平均増 加率である。  図 7-4-8 よりストレス値が増加・減少した被験者の数はほぼ半数だが減少率 がわずかに大きく、平均増加率が減少傾向にある。

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図 7-4-8

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被験者別渡り廊下を移動前後のコルチゾール値の増加率

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図 7-4-9  渡り廊下を移動前後のコルチゾール値の平均増加率

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7∼実験結果 / 分析∼

 図7-4-10 は各パターンの平均増加率と標準偏差を比較したグラフである。 減少率が大きいほどその空間は気分転換に効果がある移動空間と見なす。  閉鎖的な廊下を移動した場合のみストレス値の増加がみられた。 しかし差の検定の結果から休憩においては平均の減少率が低く、標準偏差も大 きいため閉鎖的な廊下を移動した場合と有意な差はみられなかった。一方で閉 鎖的な廊下と開放的な廊下、閉鎖的な廊下と渡り廊下の場合では差の検定にお いて有意な差がみられた。この事から開放的な廊下、渡り廊下は休憩、閉鎖的 な廊下よりも気分転換に適した空間という事がいえる。また開放的な廊下と渡 り廊下では有意な差はみられなかったものの平均値において開放的な廊下の方 が気分転換に効果がある。

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図 7-4-10  各実験パターンのコルチゾールチ平均増加率と標準偏差の比較

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7∼実験結果 / 分析∼

7-5   ∼全体考察∼ 7-5-1  各実験結果の整理  各実験結果より得られた事を整理する。 ・気分評価 POMS  休憩・移動の前後の気分の変化を測定した。休憩・移動の前後のストレスの変 化率をみる事により休憩・移動のストレスに対する直接的な効果を観察した。   実験結果から実験室での休憩とその他の廊下を移動した場合の実験結果におい て有意な差がみられた。精神的「疲労」項目の減少率、休憩・移動後の「活気」 項目の増加率おいて実験室で休憩をした場合より移動をした場合の方が良好な結 果が得られた。  この事により着座したまま休憩を取るよりも空間の要素に関係なく移動をした 方が気分転換につながるという結果が得られた。

・心電図  実験中ホルター心電計を被験者に装着してもらい、5 分ごとの LF/HF の値を測 定し、休憩・移動の直前と直後の LF/HF の変化率を観察した。  実験結果から休憩・移動によるストレス値の瞬間的な変化率をみる事により各 空間要素のストレスに対する直接的な効果が得られた。実験室での休憩と開放的 な廊下を移動した場合では減少率はストレス値の小さかった。しかし閉鎖的な廊 下と渡り廊下を移動した場合では減少率は大きくなった。  この事から閉鎖的な廊下と渡り廊下を移動した場合により効果的な気分転換が できるという結果が得られた。

・コルチゾール  各クレペリンテストの前後で被験者から唾液を採取し、唾液中コルチゾール値 を測定した。本実験では実験開始前と実験終了時の唾液中コルチゾール値を使っ て実験を通して増加したストレス値を観察した。  実験結果から閉鎖的な空間を移動した場合は実験終了時のストレスが実験前に 比べ増加していた。開放的な廊下と渡り廊下を移動した場合に実験前に比べ実験 後のストレス値が減少していた。  この事から開放的な廊下と渡り廊下を移動する場合により効果的な気分転換が でき、その後の作業に有効な結果が得られた。

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7∼実験結果 / 分析∼

7-5-2  実験結果考察   本実験の結果から室内での着席した状態の休憩よりも移動する事は気分転換の 効果がある事がわかった。また気分転換が室内での移動でも効果があるいう事が いえる。  また作業開始前と終了時でのストレスの増加率をみると閉鎖的な廊下を移動し た場合その他のパターンと比べ著しく増加しているという事がわかった。しかし、 開放的な廊下と渡り廊下を移動した場合では本実験においては実験開始時よりも 実験終了時のストレス値が減少している結果が得られた。かかるストレスの大き さや時間によって異なるが開放的な廊下と渡り廊下で気分転換を挟んだ場合全体 を通してのストレスの増加を著しく押さえる事ができる結果となった。  次に移動による直接的なストレス値の減少率をみてみると渡り廊下と閉鎖的な 廊下を移動した際に著しくストレス値が減少した。これは渡り廊下と閉鎖的な廊 下を移動した際に大きく気分転換が行われた事がいえる。実験室での休憩と開放 的な廊下を移動した際でも減少率は少ないながらもストレス値は減少し、気分転 換が行われた結果が得られた。  このような結果から以下のような事がいえる。     ・休憩と同じように移動も気分転換の効果がある     ・室内のみを移動した場合も気分転換の効果がある     ・移動は移動空間の要素によって気分転換の効果に違いが見られた

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7∼実験結果 / 分析∼

7-5-3  各移動空間の考察  ・閉鎖的な廊下  閉鎖的な廊下を移動した場合移動の前後ではストレス値が減少した。これは閉鎖 的な廊下を移動する事により効果的な気分転換が行われたといえる。しかし、実験 全体を通してのストレス値の増加率をみてみると他のパターンと比べ最も増加した という結果が得られた。この点から閉鎖的な廊下を移動した場合大きな気分転換と はなるがその後の作業のストレスをより受けやすくなってしまう場合があるといえ る。

・開放的な廊下  開放的な廊下を移動した場合も移動の前後でストレス値が減少した。閉鎖的な廊 下と比べると減少率は小さかったがやはり開放的な廊下を移動する事も効果的な気 分転換が行われたといえる。また実験全体のストレス値の増加率をみてみると減少 傾向にある結果が得られた。この点から開放的な廊下を移動した場合気分転換の効 果は低いものの移動を行った後ストレスを受けにくくする効果が得られる。

・渡り廊下  渡り廊下を移動した場合も移動の前後でストレス値が減少した。またその効果は 大きく、効果的な気分転換が行われたといえる。また実験全体を通してのストレス の増加率も開放的な廊下を移動したときと同様小さくなっていた。この点から渡り 廊下を移動した場合他のパターンと比べ、効果的な気分転換の効果が得られ、移動 を行った後ストレスを受けにくくする効果が得られた。

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7∼実験結果 / 分析∼

実験室での休憩

POMS

気分改善への効果

心電図

気分転換の作用

コルチゾール

コルチゾールの     減少率

閉鎖的な廊下を移動

開放的な廊下を移動

渡り廊下を移動

図 7-5-2  空間要素とその効果

 図 7-5-2 は各廊下の空間要素と効果を図にしたものである。  結果より移動において気分転換の効果、ストレスの増加率の観点から最も良好な 結果が得られたのは「渡り廊下を移動」であった。やはり室内から室外へ出ること は大きな気分転換になるという事がわかった。  「開放的な廊下を移動」では直接的な気分転換の効果は小さいながらもストレス の増加率が低く「渡り廊下を移動」のパターンに次いで良好な結果となった。  「閉鎖的な廊下を移動」では直接的な気分転換の効果は大きかったが他のパター ンと比べストレスの増加率が最も大きい結果となった。  それぞれの移動空間のパターンにおいて気分転換に効果的な結果が得られた。し かし、その効果は違いが見られた。

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移 移動空間におけるストレス変化に関する研究 動 関する研究 空

      まとめ

8 − 1   ∼展望∼ 8 − 2   ∼まとめ∼

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8 ∼まとめ∼

8-1 ∼展望∼ 8-1-1 オフィスへの提案  本実験から移動によるストレスの軽減の効果があることがわかった。また移動 空間の要素によってその効果にも差が生まれる事がわかった。各空間要素ごとの 効果と実際のオフィスへの提案を以下にまとめる。

・閉鎖的な廊下  閉鎖的な廊下を移動した場合移動の前後ではストレス値が減少した。これは閉 鎖的な廊下を移動する事により効果的な気分転換が行われたといえる。しかし、 実験全体を通してのストレス値の増加率をみてみると他のパターンと比べ最も増 加したという結果が得られた。この点から閉鎖的な廊下を移動した場合大きな気 分転換とはなるがその後の作業のストレスをより受けやすくなってしまう場合が あるといえる。  この結果から職種によるストレス負荷があまり高くない職種のフロアやその他 の要素の廊下と混在させる事でより効果的な気分転換の場になると考える。また 断続的にストレスがかかる職種などのフロアに効果的と考える。さらにオフィス 外へ出る事が多い職種のフロアなどに閉鎖的な廊下を併設する事でオフィス内で の効果的な気分転換と外へ出る事による気分転換を併用させるといった事も効果 があると考える。しかし、オフィス外へでることが必ずしもストレス軽減に効果 的とはいえないため更なる研究の余地がある。

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8 ∼まとめ∼

・開放的な廊下

開放的な廊下を移動した場合も移動の前後でストレス値が減少した。閉鎖的 な廊下と比べると減少率は小さかったがやはり開放的な廊下を移動する事も効 果的な気分転換が行われたといえる。また実験全体のストレス値の増加率をみ てみると減少傾向にある結果が得られた。この点から開放的な廊下を移動した 場合気分転換の効果は低いものの移動を行った後ストレスを受けにくくする効 果が得られる。  この結果から直接的なストレスの減少は他のパターンに比べ小さいながらも 有効な効果があるという事がいえる。現在のオフィスでは閉鎖的で廊下は狭く 開口などが無いものが多くみられる。これはスペース的な問題もあるがフロア 内の通路を窓際などに移す事により同様の効果が得られると考える。またこの ような廊下を併設するフロアとしてあまり移動する事ができない職種や仕事に よるストレスが継続的にかかる職種のフロアなどに併設する事により効果があ ると考える。

・渡り廊下  渡り廊下を移動した場合も移動の前後でストレス値が減少した。またその効 果は大きく、効果的な気分転換が行われたといえる。また実験全体を通しての ストレスの増加率も開放的な廊下を移動したときと同様小さくなっていた。こ の点から渡り廊下を移動した場合他のパターンと比べ、効果的な気分転換の効 果が得られ、移動を行った後ストレスを受けにくくする効果が得られた。   本実験において最も効果的な気分転換が行われた。実際のオフィスにおいて 渡り廊下を設置する事は現状では難しいと思われる。しかし、その効果は現在 の学校などの教育施設にみられる渡り廊下の有効性を示すものであり、今後オ フィス設計においても効果がある事がわかった。今後情報技術などの進化によ りオフィスでの仕事の仕方は変化していくと思われる。その変化と同時にオ フィスの形も変化し、今回のようなオフィス同士を繋ぐ渡り廊下のような空間 が作られる可能性もある。

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8 ∼まとめ∼

8-2 ∼まとめ∼  本研究ではオフィスワーカーの気分転換に関する事を調査し、見つけた問題 点から移動する事により気分転換が行えないかという事を考えた。そして実験 を行い、移動の有効性と移動空間の要素によるストレス変化について検証した。 実験結果から移動の有効性と空間要素による違いがある事がわかった。  しかし本実験では限られた空間パターンのみの検証にとどまったため今後更 なる空間要素を増やして検証していく事が望まれる。また今回は移動の時間を 固定し、空間要素のみの比較であったが移動の距離やかかる時間といった項目 を増やしていく事も実際のオフィス空間に活かす際に必要な項目であると考え る。  今後仕事の仕方の変化に伴い、更なるオフィスの変化が考えられる。しかし、 オフィスの重要性は今と変わらず人々の情報交換、コミュニケーションの場と して存在するであろう。その場をより快適で有益な場として考えるために今後 更なるオフィスについての研究が必要であると考える。

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移動空間におけるストレス変化に関する研究

資料編

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移動空間におけるストレス変化に関する研究

気分評価 POMS

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移動空間におけるストレス変化に関する研究

心電図 LF/HF

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移動空間におけるストレス変化に関する研究

唾液中コルチゾール値

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移動空間におけるストレス変化に関する研究

参考資料

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∼参考資料∼

・既往研究 (1) 岩元理恵 「明るさ感を考慮した廊下と事務室の照度設定に関する検討」 : 日本建築学会大会学術講演梗概集 ( 北海道 )1995 年 8 月 (2) 内田 匠子 :「クールビズを実践するオフィスにおける扇風機の気流が作業 効率に及ぼす影響」日本建築学会大会学術講演梗概集 ( 九州 ) 2007 年 7 月 (3) 井上 学 :「オフィス作業効率向上のための色温度変動照明の研究」 照明学 会全国大会講演論文集 2003 年 8 月 (4) 岩下 剛 :「中立温度環境の作業効率への影響及びビデオ視聴内容の長期記 憶 : 室温の違いが作業効率に及ぼす影響」日本建築学会環境系論文集 2008 年6月 (5) 岩城 護 :「タイプ作業における音環境の生体影響と作業効率の変化」電子 情報通信学会技術研究報告 2008 年 5 月 (6) 田野口 太治 :「オフィス模擬騒音に対する主観評価と作業効率に関する実 験的研究」日本建築学会大会学術講演梗概集 1995 年 7 月 (7) 森 明生 :「オフィスにおける平面構成、ワークスタイル、交流行動の相互 関係に関する研究」日本建築学会計画系論文集 第 551 号、2002 年 1 月 (8) 現海 紘次 他:「ワークプレイスにおけるコミュニケーションに関する 研究」日本建築学会大会学術講演梗概集 2008 年 9 月 (9) 小菅 健 他: 「オフィスにおけるワーカーの知的活性度に関する研究」 日本建築学会大会学術講演梗概集 2008 年 9 月 (10) 本田 悠夏 他: 「気分転換を促す空間に関する研究」日本建築学会大 会学術講演梗概集 2007 年 (11) 加藤恵子: 「精神作業の疲労回復に及ぼす運動の効果」1990 年

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∼参考資料∼

(12) 羽田 正沖 :「室内環境が知的生産性に与える影響 : パフォーマンス評価 ツールを用いた作業効率評価の有効性」日本建築学会大会学術講演梗概集 ( 九 州 )2007 年 7 月 (13) 川村 明寛 :「室内環境が知的生産性に与える影響 ( その 16) : 温熱・空気 質環境における満足度および作業効率の評価」日本建築学会大会学術講演梗 概集 ( 九州 ) 2007 年 7 月 (14) 植木 雅典 :「室内環境が知的生産性に与える影響 ( その 15) : 温熱・空気 質環境が疲労感・作業効率に与える影響」日本建築学会大会学術講演梗概集 ( 九州 ) 2007 年 7 月 (15) 田辺 新一 :「室内温熱環境における知的生産性評価」空気調和・衛生工 学会 2007 年 1 月 (16) 小林 弘造 :「執務空間の温熱環境が知的生産性に与える影響」日本建築 学会大会学術講演梗概集 2006 年 7 月 (17) 西川 雅弥 :「タスク照明の個人制御が知的生産性に与える影響に関する 研究」日本建築学会大会学術講演梗概集 2006 年 5 月 (18) 岩下 剛 :「室温の違いが作業効率に及ぼす影響 」日本建築学会環境系論 文集 第 585 号 2004 年 11 月 (19) 笠原 政志: 「アクティブレストにおけるストレッチングとアイシングの 併用及び順序が疲労回復効果に与える影響 ( 生活・健康 )」日本体力医学会 2003 年 12 月 (20) 和泉 光保: 「暗算における積極的休息が暗算作業量に及ぼす影響につい て」近畿福祉大学紀要 2007 年 12 月 (21) 佐田 吉隆: 「内田クレペリン精神検査を用いた精神面での積極的休息の 効果」日本パーソナリティ心理学会 2000 年 3 月

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∼参考資料∼

・参考サイト (22)health クリック「これがストレスの正体だ」          http://www.health.ne.jp/library/3000/w3000165.html (23) 厚生労働省 : 平成 19 年 国民生活基礎調査の概況 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa07/3-6.html (24) 日経ビジネス online「ストレスは記憶することで克服する」                        大橋 悦夫 , 佐々木正悟     http://business.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20061016/111740/ (25) 雑誌 LIFENCE オンライン版 INDEX vol.21「ストレス」を考える http://www.lifence.ac.jp/goto/weblifence/lifenceindex.html (26) 電気と電子のお話

9.1 照明と照明器具

http://www.miyazaki-gijutsu.com/series4/densi0913a.html (27) 未来のオフィス像調査 株式会社イトーキ関西デザイン室 http://news-sv.aij.or.jp/t400/s_gyomu/fuoff/focover.html (28) アスレティックトレーナー 山本利春: 「疲れたときはからだを動かす」 http://toshiharu-yamamoto.at.webry.info/200708/article_2.html (29) 厚生労働省: 「健康づくりのための運動指針 2006」 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/undou01/pdf/data.pdf (30)「疲労回復 明日を元気に過ごせるか」 http://www.uresii.com/ (31) アクティブレスト」って知ってますか ? 疲れたときは、 からだを動かす ! http://toshiharu-yamamoto.at.webry.info/200708/article_2.html (32) 心電図 http://www.hql.jp/project/workdb1998/c5/c5_i_02.htm (33) ホルター心電図とは ? http://www.furano.ne.jp/utsumi/sisetu/holter.html

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∼参考資料∼

・参考文献 (34)POMS 短縮版手引と事例解説;横山和仁 編著;金子書房 (35) ストレスとはなんだろう ; 杉 晴夫

ブルーバックス

(36) 会社のストレスに負けない本 ; 渡部 卓

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移動空間におけるストレス変化に関する研究

おわりに

 おわりに なんとか書き終えました。 気がつくと渡辺研究室に入って半年が過ぎてました。なかなかテーマが決まらずふらふらして ましたがやっとここまで来れました。これも健康ゼミの皆さん、長澤さんのおかげです。  健康ゼミの皆さんにはゼミ中にブレストや自分のテーマについて時間を割いてくださった事 とても感謝しています。いつも気さくに時にまじめに話をしていただいた佐古さん。いつも明 るく、いろいろなヒントをくださった本田さん。本田さんの研究が無ければこのテーマにたど り着けなかったと思います。飲みに誘っていただいた菊池さん。夏休み一緒に作業していただ いた山中さん。いつもお忙しいのに質問を聞いていただいた浅野さん。担当とは違うのにいろ いろアドバイスをくださった松島さん。発表の前などギリギリでチェックをお願いしていたに もかかわらず、いつも的確なアドバイスをくださった木原さん。本当にお世話になりました。 手のかかる卒論生ですみませんでした。ハンバーグおいしかったです。  そして長澤さん。お忙しい中コルチゾールの実験につきあっていただいたり、本当に感謝し ています。最後の最後まで本当にお世話になりました。田舎スパゲッティおいしかったです。 健康ゼミに入れて本当に良かったです。 そして卒論生のみんな。 最後の 1 年がとても楽しく過ごせました。 いじってごめんね阿野。また飲みにいきまっしょい ! 安藤先生。 菊花ドリーム当てたかったね ! オカタツ。卒業までに一緒に働こう ! 奥津。 酔ったお嬢最高です ! 坂田。タナアミがいて良かった ! ホントにありがとう ! 田名網。 あなたは青が最高に似合います。ヒロキ結婚式呼んでね ! 森谷。 ナッツ ! ナッツ。 4 年間ホントにありがとう ! マジで楽しく過ごせました ! そしてこれからもよろしく !! 西。 そして 7 年間ホントにありがとう。何をどう書いていいのかわかんないけど本当に楽しかった。 ありがとう。 時には一緒に住んでたような時期もありました。何度ジンに起こされたかわかりません。 そして通算で何時間 ( 何日 ?) ジンを待たせたかわかりません。 ここで改めて感謝です。 でもこれからもよろしく !! ジン WASABI ありがとう。

最後にこんなにすばらしい人たちの中で卒業論文を書けたのも何より渡辺先生のおかげです。 本当にありがとうございました。 竹原 裕介

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移動空間におけるストレス変化に関する研究  

2008年度,卒業論文,竹原裕介

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