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A Research on the Effect to Relaxation and Change in Heart Rate Caused by the Environment Sound within House

住宅内で聴こえる環境音による 心拍変動とリラックス効果に関する研究

城戸奈津子

hitoshi watanabe lab. waseda univ.

master's thesis 2007

1


A Research on the Effect to Relaxation and Change in Heart Rate Caused by the Environment Sound within House

はじめに

建築と音は遠いところにある?  建築学科に入ってみて感じたのは、設計という行為の対象が、目に見えるも のに非常に偏っているということだ。プレゼンは図面と模型で行うのが一般的 だし、それを見た私たちはそれで空間をほぼ理解したと考える。  でも実際の空間には、図面や写真だけじゃ伝わらない力がある。シーンとい う耳鳴りがするほど静謐な教会、人のざわめきで活気あふれる商業施設・・・ 音も空間を形作る重要な要素である。そんなことを考え始めたのはもう4年も 前だ。   住宅の音環境について考えるようになったのはそれから2年後。  遮音性に優れほとんど外の音が聞こえてこない実家を出て、本当にRC造なの かと疑いたくなるような壁の薄いマンションで一人暮らしを始めた。当然それ を不快に感じるときもあるのだが、隣人との交流もあったし、隣人の様子があ る程度分かることで安心して暮らせる気がした。また近所の子どもたちの声が 聞こえると、微笑ましく温かい気分になった。ハウスメーカーがこぞって主張 する「遮音性能の良さ」、それが一概に良いとは言えないのではないかと考え始 めたのが本研究のはじまりである。

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A Research on the Effect to Relaxation and Change in Heart Rate Caused by the Environment Sound within House

もくじ

はじめに もくじ 1 背景 

4

 1.1 住宅を取り巻く音環境

5

  1.1.1 騒音問題と住宅の無音化

5

  1.1.2 騒音対策の限界

6

  1.1.3 コミュニケーションツールとしての音

7

 1.2 快適性とは

9

  1.2.1 居住環境と音

9

  1.2.2消極的快適とと積極的快適

10

2 研究目的

11

3 基礎調査

13

 3.1 既往研究

14

  3.1.1 既往研究1∼騒音研究

14

  3.1.2 既往研究2∼サウンドスケープ

18

  3.1.3既往研究3∼身体への音の効果

19

  3.1.4 既往研究4∼その他

20

 3.2 本研究の位置づけ

21

 3.3 音とは

22

  3.3.1 音の基礎知識

22

  3.3.2 音の測定法

23

  3.1.3 騒音の分類

25

4 研究概要

28

 4.1 用語の定義

29

 4.2 研究フロー

30

5 住宅音環境アンケート調査

31

 5.1 アンケート調査概要

32

  5.1.1 アンケートの回答者および実施期間

32

  5.1.2 アンケート内容

33

  5.1.3 集計方法

35

 5.2 アンケート調査結果

36

  5.2.1 音に対する敏感さと回答者の属性

36

  5.2.2 住宅性能への期待度と回答者の属性

39

  5.2.3 住宅性能への期待度と音に対する敏感さ

42

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master's thesis 2007

3


A Research on the Effect to Relaxation and Change in Heart Rate Caused by the Environment Sound within House

  5.2.4 住宅内で聞こえる音

43

6 環境音呈示実験<音源の違い>

44

 6.1 生理的快適性の計測指標

45

 6.2 心理的快適性の計測指標

47

 6.3 実験方法

48

  6.3.1 実験概要

48

  6.3.2 実験におけるパラメータ

51

  6.3.3 実験音

53

 6.4 実験結果

54

  6.4.1 心拍変動の結果

54

  6.4.2 心理評価尺度アンケートの結果

59

 6.5 考察

61

7 環境音呈示実験<騒音レベルの違い>

62

 7.1 環境音の快適性評価と騒音レベル

63

 7.2 実験方法

64

  7.2.1 実験概要

64

  7.2.2 実験におけるパラメータ

65

 7.3 実験結果

67

  7.3.1 心拍変動の結果

67

  7.3.2 心理評価尺度アンケートの結果

71

 7.4 考察

73

8 総括

74

 8.1 総括

74

 8.2 展望

77

 謝辞

78

参考資料

79

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master's thesis 2007

4


A Research on the Effect to Relaxation and Change in Heart Rate Caused by the Environment Sound within House

1 背景

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A Research on the Effect to Relaxation and Change in Heart Rate Caused by the Environment Sound within House

Chapter

1.1 住宅を取り巻く音環境

1

1.1.1 騒音問題と住宅の無音化  騒音問題は、高度経済成長により都市の近代化が進む中で顕在化してきた。 交通量が増えたために人々は自動車騒音・電車騒音に悩まされるようになり、

騒音の定義

また集合住宅が増え、そこに住む人は上階の住人の足音・隣室のオーディオの

栄「騒音」、岩波書店)との定

音で悩まされるようになった。まちのあちこちで工事が行われ、少し郊外に行

「無いほうが望ましい音」(守田 義が一般的である。音そのもの が不快感をもたらす場合もあれ

くと工場が乱立しうなり声を上げている。

ば、聴く人が置かれている状況

 このような背景を受け、具体的な住宅の音環境評価が行われ始めた。1970年

れる不快感もある。すなわち、

代以降は、各イベントごとの音(上階の足音、窓サッシ開閉音、トイレの排水音 など)を録音・評価し、各住宅で起こりうるイベントを想定して住宅評価を行う

や精神状態に起因してもたらさ

存在するあらゆる音はそれを聴 く人の心理状態によって騒音と みなされる可能性がある。

ことが多くなった。  1979年には、日本建築学会編「建築物の遮音性能基準と設計指針」において、 集合住宅・ホテルなどの建築物の遮音性能が「遮音等級」という簡明な尺度に よって表され、その比較や評価が実用的かつ容易に行えるようになった。建築 物には設計目標値として遮音等級が設定され、義務ではないもののこれを守る のが好ましいとされている。なお1997年には、木造・軽量鉄骨造の集合住宅の 普及など住宅を取り巻く環境の変化に合わせ、「建築物の遮音性能基準と設計指

建築物の遮音性能基準と設計指

針第2刷」が刊行され新たな指標とされている。

技報堂出版 (1997-12-15出版)、

 また2000年には、住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品確法)に基

針〔第二版〕

日本建築学会編

づく住宅性能表示制度が開始された。具体的には、住宅品確法に基づき、指定 住宅性能評価機関が建設住宅性能評価として実施される。これを機に一般市民 の住宅音環境に対する意識はさらに高まりを見せており、求められる遮音性能 はますます高くなっていると言える。各ハウジングメーカーの取り組みを見る と分かるが、以前のような近隣住戸や屋外の音のシャットアウトのみならず、 最近では自宅内で聞こえる音(家族の音や電化製品の振動騒音、排水音など)も 低減するのが当然となっている。それが良い音であれ悪い音であれ、自然に発 生する音が家から消えて行く、これは「住宅の無音化」と言える。自然に生ま れる音を住宅から消し去り、α波の出るクラシック音楽などそれぞれの住人の 好みを音楽を流していた方が身体的にも精神的にも良いという考える人が増え ている。

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A Research on the Effect to Relaxation and Change in Heart Rate Caused by the Environment Sound within House

Chapter 1

1.1.2 騒音対策の限界  しかし、騒音対策にも以下の点から限界がある。 ●騒音の排除の限界  住宅から目立つ騒音を排除しても、今度は今まで気にならなかったような小 さな音が新たに騒音源として気になり始めるようになる。音の現象の一つであ るマスキング効果により覆い隠されていた音が、それを覆い隠していた音が無 くなったことにより顕在化する問題が指摘され始めている。つまり、完全な無 音環境に置かれない限り騒音問題はなかなか無くならないと考えられる。

マスキング効果: ある刺激のために他の刺激が覆い隠されて(マスキングされて)感じ取れなく なる現象である。物理的にはある信号と他の信号との相対的な大きさの問題で あり、このマスキングには同時マスキングと経時マスキングとがある。同時マ スキングは、複数の音が同時に与えられるとある音が他の音を聞き取り難くす る現象で、地下鉄のなかでは人の会話は地下鉄の騒音によってマスクされ、聞 き取り難くなるのがその例である。同時マスキングではマスクする音とされる 音の周波数帯が近いほどマスキング効果が高い。経時マスキングは時間軸上で のマスキング現象であり、時間的に前の音が後ろの音をマスクするのを 順方向 マスキング 、その逆を 逆方向マスキング というが、 順方向マスキング の 方が多く、 逆方向マスキング は2msから3ms程度の範囲内に前音がある場 合にのみ生じる。 ●過剰性能の住宅  建築性能と社会的背景の一つであるコストとの関係を見てみると、感覚的に その差がわかる5dBA程度の等差級数的な性能向上に要するコストは、おおむ ね2倍ずつ等比級数的に増大する。  最大の加害者(大きな音を出したいという要求を持つ人)と最弱の被害者(病 人、受験生、神経質な人など静けさの心理的要求が高い人)の組合せを想定して 設計した場合、その全ての組合せにおいて要求性能を満たす代わりに、ほとん どのケースで過剰性能となる。  性能水準はその住宅に求められる要求に応じて定められるべきであり、もし その水準よりも高度な性能を望む場合は、自らオプションとして性能を向上し、 そのための出費は水準から外れた側で支払うべき性質のものである(「建築物の 遮音性能基準と設計指針第2刷」)。    

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A Research on the Effect to Relaxation and Change in Heart Rate Caused by the Environment Sound within House

Chapter 1

1.1.3 コミュニケーションツールとしての音  また、住宅内の音にはコミュニケーションツールとしての役割があるとして、

騒音レベル:

これを取り入れた設計事例が出てきている。その背景として、一つには室内で

る音圧レベル(音の大きさを決

騒音の物理的大きさの尺度であ

の騒音レベルが25dBA以下では孤独感を感じる(久我)ことも要因ではないだ

定するもの)にA特性の補正を

ろうか。

にて詳述。

 また元来日本人は、音に対しておおらかな国民性を持ち合わせている。西洋 人にはノイズとしか聴こえない虫の音に趣きを感じる日本人の感性は独特のも

行った量として表したもの。2.3

久我、室内環境・騒音許容値概 算表より

のである。このおおらかな国民性が顕著だったと言われているのが江戸時代の 長屋住まいだ。橋本典「近所がうるさい!―騒音トラブルの恐怖 」ではこのよ

橋本典久、「近所がうるさい!

うな指摘がされている。

ストセラーズ(ベスト新書)、

―騒音トラブルの恐怖 」、ベ 2006/06

戦後、西洋化の波とともに、次第に敵対性の強い国民に変化してきているの ではないだろうか。江戸時代などの昔の日本人は、遮音性などというものはほ とんどないに等しい棟割り長屋に生活していたが、ここでは隣の音が聞こえる などというのはごく当たり前のことであり、特に気になるものではなかったの である。だからこそ、そんな建物で暮らすことができ、それがかえって地域コ ミュニティ形成の利点にもなっていたのである。なんという素晴らしい社会で あろうか。よく、江戸時代は資源や環境に関する循環型社会の原点であると言 われるが、精神面でも良き日本人の原点ではなかったのか。  また、矢納史子、 建築物総合環境性能評価システムにおける音環境項目の設

矢納史子、 建築物総合環境性

定について では以下のような指摘がされている。

項目の設定について 、2007年

能評価システムにおける音環境

度東京大学新領域創成科学研究

 音の保全に関連して、失われていく音、あるいは都市の喧噪の中にかき消さ

科 環境学研究系社会文化環境学 専攻修士論文

れていく音と一緒に、我々が何を失っているかは注意を要するところである。 鳥や虫の鳴き声を失うことは身近な自然を失うことであるし、子どもたちのに ぎやかな遊び声が聞かれなくなったことは、子どもの活力、コミュニティの活力、 さらには地域環境の安全性が失われていくことにもつながっている。音環境に 視点をあてることは、自然環境、社会環境上の問題点を明確にすることにもつ ながっていると認識すべきであろう。

   

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A Research on the Effect to Relaxation and Change in Heart Rate Caused by the Environment Sound within House

Chapter 1

 以下、コミュニケーションツールとして住宅内に音を取り入れた設計事例を 挙げる。 ●家族の音を聞かせる住宅  家族のコミュニケーションのために互いの音が聴こえるような設計を行う住 宅も登場している。 ・手塚貴晴+手塚由比「3人の子どもが走り回れる家」  居住スペースにほぼ壁が無く、施主の子どもが走り回れるスペースが確保さ れているのと同時に、家族の音が互いに伝わることによるコミュニケーション の促進が意図されている。ちなみにトイレ等のプライベートな空間には壁はあ るが、天井までは届かない設計になっている。 ・「家族の音を伝える吹き抜け」

四十万靖, 渡辺朗子「頭のよ

ー「頭のよい子が育つ家」四十万靖, 渡辺朗子 著より

2006/8/10

い子が育つ家」日経BP社 、

 著者の実地調査によると、有名中学合格者の子どもの家は家族のコミュニケ ーションが密で仲の良い家庭が多い。そのような家庭の実現のために、著者が 提案する住宅のしつらえの一つが「家族の音を伝える吹き抜け」である。子ど もが音から家族の気配を感じる→家族の気配を感じることで安心感を得る・家 族のコミュニケーションが増えるというのがその理由である。 これは実際にハウ ジングメーカ­にも採用され、一定の支持を得たようである。

●音を取り込む住宅  サウンドスケープ研究の国内における第一人者、鳥越けい子氏の自邸「古い

サウンドスケープ:

トランクのある家」は家自体が多様な音を発したり、屋外の音を積極的に取り

のフィールドとしてみなされた

「音の環境。専門的には、研究

込める設計がなされている。

音環境の一部分。現実の環境を

 ガラガラという音で人の動きを知らせる昔ながらのガラスの引き戸、雨が降

ひとつの環境として考えられ

るたび軽快な音を立てる庇など・・今までサウンドスケープ研究は屋外を対象 としたものが中心であったが、その概念が家の中まで拡張された例である。

指す場合もあれば、特にそれが た場合には、音楽作品やテー

プ・モンタージュのような抽象

的な構築物をさすこともある」

(R.Murray Schafer著、「世界の 調律̶サウンドスケープとは

なにか」、鳥越けい子・庄野泰

子・ 若尾裕・小川博司・田中直 子訳、平凡社 (テオリア叢書)、 1986/12)。1.3.2に詳述。

fig.1.1.2-1 古いトランクのある家 ∼エントランスのガラス戸

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Chapter

1.2 快適性とは

1

1.2.1 居住環境と音  快適性という側面から住宅の音環境を考えてみたい。  まず、住宅に限らず望ましい音環境とは、以下のように考えられる(矢納史子、

矢納史子、 建築物総合環境性

建築物総合環境性能評価システムにおける音環境項目の設定について )。

項目の設定について 、2007年

能評価システムにおける音環境

度東京大学新領域創成科学研究

科 環境学研究系社会文化環境学

 1 社会性に騒音公害と認知された音がない(静謐性の確保)

専攻修士論文

 2 安眠、思索、くつろぎ、仕事、団らんなどの諸々の生活や活動の場にふさ   わしい音環境の多様性が保証されている(多様性の確保)  3 聞きたくなければ消したり用意に逃げ出したりすることが可能である(防   御・逃避の用意性)  4 伝統や文化に根ざした「音」が自然な形で継承されている(歴史性・伝統   性の尊重)  5 新しい都市文化に付随して生じた音が、ごく自然に受け入れられている(   現代性・文化性の尊重)  現代の住宅は1および3が重視され、2、4、5に関しては無頓着であると言 えよう。  さらに居住環境に関して見てみると、WHOが提唱する居住環境の4つの条件

居住環境:

に「安全性」「保健性」「利便性」「快適性」がある。

の中で行われる生活を合わせた

一般に、住宅という構造体とそ 環境を指すことが多い。

 安全性・・危険を回避するために必要なもの  保健性・・健康を維持するために必要なもの  利便性・・普段の生活において特段の不便がないようにするために必要なも       の  快適性・・生活に豊かさや潤いをもたらすもの  音環境は、これらのうち「保健性」の指標に騒音として含まれることが多い。 しかし、サウンドスケープを始めとして徐々に「快適性」の指標を用いること も検討されるべきであろう。

   

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A Research on the Effect to Relaxation and Change in Heart Rate Caused by the Environment Sound within House

Chapter 1

1.2.2 消極的快適と積極的快適   「快適性」は一般的に、「基本的な快適性」と「積極的な快適性」に分けられる。 前者の「基本的な快適性」は、環境の心理評価の分野においては「消極的快適」 と呼ばれ、不快感の除去や生態維持に適したストレスの少ない状態を意味し、「生 理的に安易な(楽な)状態」として扱われている。  一方後者の「積極的な快適性」は、より良い状態を求め、積極的な「快」と いう感覚を伴うものとして扱われている。  これまでの快適性に関して多くの研究がされてきたが、住宅性能・設備など の改善が進み、比較的「消極的快適」が得やすくなった今日では「積極的快適」 を考慮に入れた取り組みがなされるべきである。またそうした住環境の変化や、 QOL(Quality of Life)の考えに象徴されるような生活の質へのこだわりにより、消 費者から求められる快適性も、消極的快適性から積極的快適性へとレベルアッ プしている。  「積極的快適」のための具体例としては色彩計画・緑地計画・スメルスケープ などの取り組みがあり、それぞれ都市計画や環境工学の分野で重要な役割を果 たしている(もしくは今後果たしていく)と思われる。  特に音環境の分野ではサウンドスケープの概念がこれにあたる。Schaferが提 唱したサウンドスケープデザインは「不快な音」を排除するだけでなく、快適 な音を積極的に取り入れ、音の効果を最大限に活かす技術である。これはまさ に「積極的快適」を得るための手段といえる。公園や広場などの憩いのスペー スに造られる噴水やせせらぎなどは、視覚的効果のみならず水の音を積極的に 取り入れたデザイン例でもあり、サウンドスケープの概念は建築の分野でも有 用であると考えられるようになっている。

   

   

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2 研究目的

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Chapter 2

 騒音対策が進むとともに住宅から消えて行く環境音の中には、人に快適性を 与えてくれる音も含まれている。このような音を住宅に積極的に残していき、 時には付加するために、快適性を与える環境音の種類および音の大きさを明ら かにし、住宅の音環境の指標を作成するのが本研究の目的である。

   

       

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3 基礎調査

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Chapter

3.1 既往研究

3

3.1.1 既往研究1∼騒音研究  音環境をめぐる既往研究分野は広大だが、この中でもっとも知られているも のが騒音研究である。現在騒音として扱われている主なものには、交通騒音、 工場騒音、建設作業騒音、近隣騒音(カラオケ騒音・音響機器類などの生活騒音 )がある。  騒音が発生してから人の身体に影響を与えるまでに、どのような要素が関係

飯島直樹、 室内における環境

してくるのかを表したのが表3.1.1-1である。

討 -在来鉄道騒音の時間変動性

騒音評価指標に関する実験的検 の影響について-"、東京大学大

学院新領域創成科学研究科環境 学専攻社会文化環境コース修士 論文、2006/01

tab.3.1.1-1 騒音の影響に関係する要素

騒音側の条件

受音側の条件

発生源の種類と数

音への感受性

音圧レベルの変動性

在宅時間

音圧レベル 衝撃性

断続性

持続時間

住居性能への期待

属 性

発生時刻

性別

方向

地上構造物

気象条件

家屋構造

その他

響 影

直 感覚的影響 接 聴取妨害 的 聴力妨害

間 情緒的被害 接 睡眠休養妨害

体質

影 総 アノイアンス

職業

地形

年齢

健康度

周波数成分 伝搬距離

在宅の時間帯

身体的影響

響合

暴露履歴

精神作業妨害

身体的影響

行動的反応

仕事・勉強 休養

団らん

TV視聴 睡眠

このうち身体的影響の部分について補足しておく。 直接的影響  感覚的影響:単に「音がうるさい」などの心理的妨害。  聴取妨害:テレビ、ラジオ、音楽、会話など、聞きたいものが騒音によって       聞こえないこと。

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Chapter 3

間接的影響  情緒的被害:感覚的影響と比べ、「不快」「うるさい」「迷惑だ」などの総合的       な心理的妨害。  睡眠休養妨害:音が気になり、睡眠や休養を妨げられること。  精神作業妨害:音が気になり、作業を妨げられること。  身体的影響:自律神経系や内分泌系への影響。頭痛、消化器系の不調、耳鳴り       などを引き起こす。 総合的影響  アノイアンス:感覚、情緒、生活や身体への影響の総体が引き起こす被害感。        後述に詳細。  行動的反応:問題行動や生活の不規則性などの行動への影響。

 特に間接的影響と総合的影響に関しては現在も研究が進行中であり、騒音の 影響は非常に幅広いことを示唆する。

   

   

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Chapter 3

 次に音の評価方法に焦点をあて、もう少し詳述したい。 人が音を聴くとき、耳に入ってから大脳で判断されるまでに通過するさまざま な要因が、音の感じ方に影響する。騒音の評価量として一般的に使用されてい る騒音レベル(A特性音圧レベル)は、純音の場合には聴覚的な音の大きさに非

Industrial Sound Design

http://homepage3.nifty.com/ isd-hp/TEXT/ISD0.html

常に近いことが知られている。しかし、実際にわたしたちが日常経験する音の ようなさまざまな周波数を含んだ音は、マスキング効果によって騒音レベルと は一致しないことが知られている。このマスキング効果も加味した上で、より

小野測器HP「騒音計とは」

人の感覚に近い「音の大きさ」を表したものがラウドネスレベルである。

http://www.onosokki.co.jp/HP-

 さらに周波数特性や時間的レベル変動なども考慮し、「音のやかましさ」を表

noise/souon_index.htm

WK/c_support/newreport/

したのがノイジネスである。  最後に「音のうるささ」に対応するのがアノイアンスである。これは音の持 っている意味や聴取者の心理状態が影響する主観的な評価尺度である。美しい 音の代表のように考えられているピアノの音が時によっては近所迷惑な騒音に なったり、サーキットで聞くレーシングカーの音と暴走族の音は同じような轟 音でもうるささは違って聞こえる。この違いの評価尺度がアノイアンスである。  ノイジネスとアノイアンスは音に対する否定的評価尺度である。これらとは 反対に肯定的評価尺度も存在し、ノイジネスに対応するのがプリザントネス(音 の快さ)、アノイアンスに対応するのがプレファランス(音の好ましさ)である。 プレファランスにいたっては、音の質よりも音の意味や音を聴く人の感性が重 要なファクターになると考えられる。  図3.1.1-2は、音の評価尺度のマッピングである。本研究が対象とするのは、 このうちプリザントネス及びプレファランスに相当する。 肯定的評価

客観的

否定的評価

ラウドネス

ラウドネス

プリザントネス

ノイジネス

プレファランス

アノイアンス 主観的

fig.3.1.1-2 音の評価尺度と本研究の位置づけ

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Chapter 3

 アノイアンス及びプレファランスについてさらに考えると、音を評価する過 程は、大きさや音色、さらには情報量などの音自体の特性によることはもちろん、 出す側と受ける側の条件によって大きく左右されるものとされている。  すなわち、自分で出す音はあまり気にならなくても、他人、しかも不特定多 数の他人の出す外部環境騒音的なものよりも、隣人など特定の他人の出す音の ほうが気になるものである。とりわけ自分の出さない、あるいは出したくても 出せない種類の音や、ピアノやステレオなど、小さくも大きくもまた出す時刻 までも、他人の好みで自由勝手に制御できる音ほど気になるものである。また 受ける側にも性別・年齢別などの一般的属性による差以上の個人差や、同一人 物でも時刻、環境、履歴、心理状態などの変動要因による差がある。さらには 音を出したいという要求も同様に千差万別である。  したがって住まい方や建築性能に対する要求条件は、個人によってまた時と 場合によって大幅に変わってくることになる。本研究におけるこのような種々 の条件の設定については後述する。

   

   

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Chapter 3

3.1.2 既往研究2∼サウンドスケープ  サウンドスケープとは、カナダの音楽家R.Murray Schaferが提唱した概念であ る。「世界の調律̶サウンドスケープとはなにか」によれば、サウンドスケープ

R.Murray Schafer著、「世界の

とは「音の環境。専門的には、研究のフィールドとしてみなされた音環境の一

なにか」、鳥越けい子・庄野泰

調律̶サウンドスケープとは

部分。現実の環境を指す場合もあれば、特にそれがひとつの環境として考えら

子・ 若尾裕・小川博司・田中直

れた場合には、音楽作品やテープ・モンタージュのような抽象的な構築物をさ

1986/12

子訳、平凡社 (テオリア叢書)、

すこともある」。日本では、「音の景観」と訳されることが多い。  サウンドスケープの概念を、最初に日本に本格的に輸入したのが鳥越けい子 氏である。氏はサウンドスケープとシェ­ファーについて研究したのち,日本で 最初に神田をフィールドとして調査を開始し、その後もフィールドワークを中 心とした活動を行っている。こうした活動によって、サウンドスケ���プ研究は 日本独自に発展してきた。  サウンドスケープは、土地性を重視するといった性質上、主に屋外の音風景、 特に市区町村レベルを扱うことが多いが、前述の鳥越けい子氏の自邸のように 建築とも切り離しては考えられないものである。今後は本研究のように住宅を 始めとして、建築内部におけるサウンドスケープ、よりミクロな視点のサウン ドスケープについても研究が進んでいくであろう。

   

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Chapter 3

3.1.3 既往研究3∼身体への音の効果  騒音が身体的悪影響を及ぼすのと反対に、良い影響を及ぼす場面もある。 例えば1/fゆらぎを含む音を聴くと、リラックスしたときに出るα波が出やす いことが分かっている。近年では、「ヒーリングミュージック」と呼ばれるジャ ンルに、それを売り文句にした商品が多数ある。その発生機構はよく分かって

1/f ゆらぎ:

音をフーリエ解析した際、周波 数 f に反比例して-1 の傾きを もつパワースペクトル。

いないが、具体的には人の心拍の間隔、電車の揺れ、小川のせせらぐ音などが 1/fゆらぎを含むと言われている。  また昔から音楽にはリラクゼーション効果(楽しい気分や安らいだ気分になる 効果)があると言われ続けてきたが、それを代替医療の域にまで発展させたのが 音楽療法である。音楽療法は、日本音楽療法学会認定の音楽療法士が主に病院 などと提携し行うものである。具体的には、音楽を聴いたり、歌ったり演奏し たりすることで、ストレス解消のみならず痴呆の改善や運動機能の向上、意欲 の向上などを目的とするものである。その効果測定の方法を始め、これからの 研究および発展が期待される分野でもある。

   

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Chapter 3

3.1.4 既往研究4∼その他  他の既往研究としては、作業効率に関する研究がある。オフィスなどを対象 にし、騒音やBGMによる作業効率の変化が研究されている。また現在では、オ フィスにおいて会議室での会話漏れや執務スペースでの周囲の会話による集中 の阻害などを原因としたセキュリティや生産性の阻害を防ぐために、背景騒音

コクヨ株式会社「サウンドマス キング」など

となるものを流してマスキングする商品も現れている。

   

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Chapter 3

3.2 本研究の位置づけ

 以上の既往研究を踏まえ本研究の位置づけを行うと、図3.2-1および図3.2-2 のようになる。

ミクロ(住宅)

騒 音

サウンド スケープ

肯定的評価

否定的評価

本研究

マクロ(都市)

fig.3.2-1 音と心理的影響を扱った 研究の位置づけ

ミクロ(住宅)

   

肯定的評価

否定的評価

本研究

マクロ(都市)

fig .3.2-2 音と身体的影響を扱った 研究の位置づけ

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Chapter

3.3 音とは

3

3.3.1 音の基礎知識  音は、音波とも呼ばれるように、毎秒340mの速さで伝わる波動現象であ

小野測器 - 騒音計とは

る。これは空気の圧力変動(音圧)が続けざまに生じることによって発生し、こ

WK/c_support/newreport/

の波動が空気中を伝わって耳に入ることで音と感じる。人間が感じることので

http://www.onosokki.co.jp/HPnoise/souon_index.htm

きる音(可聴音)の周波数帯域はおよそ20Hz∼20kHzであり、音圧の範囲は 20μPa(マイクロパスカル)∼20Pa(パスカル)である。  また、音を耳で感じるときに感じる音の違いは、以下の要素による。  音の高さ:音の周波数の違いから起こる。同じ「ア」の音声でも、高い声の「ア」   と低い声の「ア」があるが、これは「ア」としての音の波の形は同じでも   周波数が異なるためである。周波数が高い音はかん高く、周波数が低い音   は低く・重々しく聞こえる。  音の大きさ:音の振幅の違いから起こる。大きな声の「ア」は振幅が大きく、   小さな声の「ア」は振幅が小さい。なお、純音においては、音の大きさは   音圧が大きくなるに伴って大きく感じる。  音色・音質:現在でもその機構は十分には解明されていないが、一般には音の   波形の違いによるものと言われている。同じ音の大きさ、同じ音の高さで   弾かれている楽器の種類を聞き分けることができるのは音色・音質の違い   によるものである。

   

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Chapter 3

3.3.2 音の測定法  音を測定評価する尺度はさまざまあるが、それらの中には騒音研究の中で発 展して来たものも多い。心身に不調を来たす騒音から人々の生活を保護するた めに規制が必要だったためである。したがって本論では、「快適性をもたらす音」 と「騒音」では音の捉え方が違うものの、測定尺度の面では騒音の手法を参考 にできるものとし、以下に説明するような尺度を用いる。 音を数値化する方法としては、物理的尺度と感覚的尺度がある。詳細は下図の 通りである。ただし、ノイジネスレベルおよびアノイアンスレベルは、未だ確 立されていない尺度であるため括弧書きで表した。 tab.3.3.2-1 音の測定尺度

物理尺度

感覚尺度

音の強さのレベル

音の高さ

音圧レベル

音響パワーレベル

オクターブバンド

1/3オクターブバンド

音の大きさ 音の音色

ラウドネスレベル 騒音レベル

(ノイジネスレベル)

(アノイアンスレベル) 本論で登場する尺度について、以下で説明する。 音圧レベル(Sound Pressure Level)(Lp): 基準音圧を20μPaとして音圧をデシベル(dB)で表したものを音圧レベルと言 う。音圧レベルは次式で定義される。

   

 Lp=20log(p/p0)[dB]

 p:任意の音の音圧[μPa]  p0:基準音圧[μPa](20μPa) すなわち、基準音圧を20μPaとして任意の音の音圧を対数表示したものが音 圧レベルである。同じ周波数の音は、音圧レベルが2倍になると人間には2倍 の大きさで聞こえる。ただし周波数が異なると、同じ音圧レベルの音であって も人間には同じ大きさの音とは感じられない。これの解決のために、周波数と 音圧レベルの関係を曲線にしたものを等ラウドネス曲線という。 次頁に等ラウドネス曲線を示す。    

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Chapter 3

図出典:小野測器

http://www.onosokki.co.jp/HPWK/c_support/newreport/

soundquality/soundquality_2. htm

fig.3.3.2-2 等ラウドネス曲線

騒音レベル(A-weighted Sound Pressure Level)(LA): 音圧レベルにA特性の補正を行った量として現したもので、このA特性補正 音圧レベルを日本では騒音レベルと呼び、これを騒音の大きさの尺度として用 いている。記号は通常LAを用い、単位はdBである。A特性補正値としては 40dB、1kHzの音圧レベルを基準(0dB)として、それと等しい大きさに感じられ る等感曲線が用いられている。 図出典:小野測器

http://www.onosokki.co.jp/HPWK/c_support/newreport/ noise/souon_index.htm

fig.3.3.2-3 騒音レベルのA特性補正

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Chapter 3

3.1.3. 騒音の分類  騒音と一口に言っても様々な音があるため、騒音を時間的変化によって分類 すると以下のようになる。 ・定常騒音 測定点においてほぼ一定レベルの騒音が連続しており、騒音計の表示値に変動 が無いか、または多少変動しても変動が

かである騒音を定常騒音という。具

体的には、周波数重み特性A、時定数SLOWを用い、その指示値が5dB以内の 場合、定常騒音として扱うことができる。主に測定には騒音レベルを用いる。

fig.3.1.3-1 定常騒音

・変動騒音 測定点において、騒音レベルが不規則かつ連続的にかなりの範囲にわたって変 動する騒音を変動騒音という。例えば、ある程度の自動車交通量を有する道路 の近くで観測される騒音はほとんどの場合変動騒音である。測定には等価騒音 レベルを用いる。ただし測定した実時間を必ず記録する。    

fig.3.1.3-2 変動騒音

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Chapter 3

・間欠騒音 ある時間間隔をおいて間欠的に発生する騒音のうち、発生時毎の継続時間が数 秒以上の騒音を間欠騒音といいます。一つの発生から次の発生までの時間間隔 はほぼ一定の場合もあれば、列車や航空機の通過のように不規則な場合もある。 時間Tの間に発生する騒音の単発騒音暴露レベルから等価騒音レベルを計算し、 これを測定尺度として用いる。

fig.3.1.3-3 間欠騒音

・衝撃騒音 一つの騒音発生の継続時間がきわめて短い騒音を衝撃騒音という。時間Tの間 に発生する騒音の単発騒音暴露レベルから等価騒音レベルを計算し、これを測 定尺度として用いる。時間Tの間に発生する騒音の単発騒音暴露レベルから等 価騒音レベルを計算し、これを測定尺度として用いる。

   

fig.3.1.3-4 衝撃騒音

   

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Chapter 3

・分離衝撃騒音 パイルハンマが杭をうつときの音のように、個々の騒音が分離できる衝撃騒音 を分離衝撃騒音という。分離衝撃騒音は、単発の場合もあり、間欠的に発生す る場合もある。また発生毎のレベルがほぼ一定の場合や、かなりの範囲にわた って変化する場合もある。時間Tの間に発生する騒音の単発騒音暴露レベルか ら等価騒音レベルを計算し、これを測定尺度として用いる。

fig.3.1.3-5 分離衝撃騒音

・準定常衝撃騒音 ベルや削岩機のように、ほぼ一定レベルの衝撃音がきわめて短い時間間隔で繰 り返して発生する騒音を準定常衝撃騒音という。このような騒音は、感覚的に は定常騒音として受け取られることが少なくない。時間Tの間に発生する騒音 の単発騒音暴露レベルから等価騒音レベルを計算し、これを測定尺度として用 いる。    

fig.3.1.3-6 準定常衝撃騒音

   

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4 研究概要

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Chapter 4

4.1 用語の定義

環境音:観測者を取り巻くあらゆる音のうち観測者自身が発する音を除いたもの 居住タイプ:(戸建て住宅か集合住宅か)x(家族と同居しているか否か)x(親  世代か子世代か)による分類 緊張:交感神経優位の状態 安静(リラックス):副交感神経優位の状態

   

       

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Chapter 4

4.2 研究フロー

 本研究では、まず住宅音環境アンケート調査を行い、各住宅で日常的に聞こ える音を調査した。またその音が「聞こえる程度」「気になる度合い」や、その 音から感じる「快適感」「安心感」「人の気配の程度」についても調査を行った。  次に実験により、住宅内で聞こえる頻度の高い音に対して、音源の種類(足音、 テレビの音、上下水道の音・・など)の違いによる「リラックス度」を測定した。  さらに上記の実験の結果、音を「リラックス度高」「リラックス度中」「リラ ックス度低」の3つに分類し、それぞれの音に対して、音圧レベルの違いによ る「リラックス度」の変化を測定した。  「リラックス度」とは、Chapter6に詳述するが、自律神経機能からみた身体 のリラックスの度合いである。

住宅音環境アンケート調査 住宅内でよく聞こえる音を抽出

およびその音が気になる度合や、 音から感じる快適感・安心感・人の気配を調査

環境音呈示実験<音源の違い> 心拍測定

心理尺度評価アンケート

【生理的影響】

【心理的影響】

   

音圧 環境音呈示実験<騒音レベルの違い>

心拍測定

心理尺度評価アンケート

【生理的影響】

【心理的影響】

fig.4.2.1 研究フロー

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5 住宅音環境アンケート調査

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Chapter 5

5.1 アンケート調査概要 5.1.1 アンケートの回答者および実施期間 回答者: 首都圏に住む22∼25歳の学生27人、およびその同居の親18人の計45人か ら回答を得た。音響学・音楽学を専攻する学生および音響業界・音楽業界従事 者は含まない。 実施期間: 2007年12月中旬から2008年1月にかけて配布および回収を行った。

回答者の構成 男性(20)

性別

女性(25) 60 代 (2)

年齢 居住形態

50 代(18)

20 代(27) 集合住宅 若年一人暮らし (7)

集合住宅 ・家族と同居 ・子世代 (12)

職業

集合住宅 ・家族と同居 ・親世代 (10)

学生(26)

建築構造

給与所得者(12)

戸建て・木造(26)

0%

20%

戸建て ・家族と同居 ・子世代 (8)

戸建て ・家族と同居 ・親世代 (8) 主婦(5���

兼業主婦 (2)

集合住宅・RC 造(26)

集合住宅・鉄骨造 (3)

40%

60%

集合住宅・木造 (26) 不明 (1)

80%

100%

fig.5.1.1-1 回答者属性

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Chapter 5

5.1.2 アンケート内容  アンケートは、回答者および回答者が現在住んでいる住宅に関する部分(アン ケートA)と、その住宅で聞こえる音に関する部分(アンケートB)の2部構成に なっている。  アンケートAの質問項目および回答例は以下の通りである。 tab.5.1.2-1 アンケートA 質問項目 質問項目 個人の属性および 特性について

現在の住宅について

回答方法 年齢

自由回答

性別

自由回答

職業

自由回答

家族構成

自由回答

平均在宅時間帯(平日)

自由回答

平日在宅時間帯(休日)

自由回答

居住年数

自由回答

家族の音が気になる方だ

非常に気になる∼全く気にならない の5段階評価

隣室や上階からの音が気になる方だ

非常に気になる∼全く気にならない の6段階評価

屋外からの音が気になる方だ

非常に気になる∼全く気にならない の7段階評価

住宅形態

戸建て/集合住宅

階層

戸建ての場合:○階建て

構造

RC造/鉄骨造/木造/不明

集合住宅の場合:○階建てのうちの○階

家賃もしくは購入費用

答えたくない場合は無回答で可

平米数

自由回答

居間の床仕上げ材

フローリング/カーペット/ビニルクロス/タイル

全体的に隣室や屋外からの音が

うるさい∼ほとんど聞こえない の5段階評価

防音性能

非常に良い∼非常に悪い の5段階評価

会話の頻度

○に1回程度/特に会話はない

隣人との会話(あいさつ含む) の平 均時間

数秒間/数分間/10分間/数十分間/1時間/数時間

聞こえる程度

隣人との関係

地域との関係

隣人への印象

非常に良い∼非常に悪い の5段階評価

隣人への印象

非常に親しみを感じる∼非常に疎ましく感じる の5段 階評価

隣人との関係

非常に良い∼非常に悪い の5段階評価

地域活動への参加

○に1回程度/特に参加していない

地域活動の内容

自由回答

地域への愛着

非常に好き∼非常に嫌い の5段階評価

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/不明

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Chapter 5

 アンケートBの質問項目および回答例は以下の通りである。  ただし集合住宅の居住者に対しては、隣家の音は発生場所によって「上階か らの音」「隣戸からの音」「下階からの音」の3分類それぞれについて回答して もらった。

       

tab.5.1.2-2 アンケートB 質問項目 音の発生場所 自宅内の他室からの音 (家族と同居の人のみ)

音源の種類

音の発生場所

足音

(集合住宅の人のみ)

子どもの飛び跳ね・走り回る音

屋外からの音

音源の種類 共用階段・廊下の靴音 車

ラジオ・テレビ・ステレオの音

バイク・オートバイ

ピアノ・楽器の音

電車

人の話し声

工事

子どもの泣き声・遊び声

通行人の話し声

ペットの鳴き声

園児・児童の話し声

物の落下音

時報・地域放送

生活音

雨の音

トイレの排水音

風の音

浴室使用時の音

鳥の声

その他水回りの音

虫の鳴き声

ドアの開閉音 隣家からの音

足音 子どもの飛び跳ね・走り回る音 ラジオ・テレビ・ステレオの音

   

ピアノ・楽器の音 人の話し声 子どもの泣き声・遊び声 ペットの鳴き声 物の落下音 生活音 トイレの排水音 浴室使用時の音 その他水回りの音 ドアの開閉音

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Chapter 5

5.1.3 集計方法  集計に際し、以下のような手法を用いた。 ・戸建て住宅居住者と集合住宅居住者それぞれ別に集計を行った。  理由は、戸建て住宅と集合住宅では、聞こえる隣家の音の物理的性質が異な り(戸建て住宅の場合:空気伝搬音の性質のみ、集合住宅の場合:空気伝搬音と 個体振動音両者の性質を持つ)、一概に比較できないためである。 ・属性ごとに分析を行う際は、それぞれF検定及びt検定(分散が等しくないと 仮定した2標本による検定)を行い、等分散及び有意差の検定を行った。 ・「聞こえる」と回答したのが各属性で2人以下であった音に関しては、他の4 項目「気になる程度」「安心する程度」「快適感」「人の気配」での信頼性が低い ものとし、集計および分析は行わなかった。   ・世代の分け方に関しては、同居している2世代の親を「親世代」、子を 「子世代」とした。 ・音に対する敏感さとは、回答者の自己申告による数値である。 ・住宅性能(=遮音性能)への期待が高ければ、小さな音が聞こえても不快感を 感じやすく、住宅性能への期待が低ければ、多少大きな音が聞こえても快適と 感じると予想される。そこで、「住宅性能への期待度」を次式で定義した。  「住宅性能への期待度」=「住宅内で音が聞こえる程度」/「防音性能」

   

 なお、「住宅内で音が聞こえる程度」および「防音性能」は回答者が自己採点 した数値である。 ・単回帰分析の際、決定係数と相関の程度は以下とする。 tab.5.1.3-1 決定係数と相関の程度

決定係数

1.0   R*2  0.7

相関の程度

高い相関がある

0.7   R*2  0.5

かなり高い相関がある

0.4   R*2  0.3

ある程度の相関がある

0.2   R*2  0.0

ほとんど相関がない

0.5   R*2  0.4 0.3   R*2  0.2

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中程度の相関がある 弱い相関がある

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Chapter 5

5.2 アンケート調査結果 5.2.1 音に対する敏感さと回答者の属性  回答者の属性ごとに音に対する敏感さの平均値を求めた。  回答者の性別ごとに音に対する敏感さの平均値を求めた。5%の有意水準では 有意差は見られなかったが、男性は隣家の音に敏感、女性は家族の音・屋外の 音に敏感という傾向が見られた。

5.00 4.50 4.00 3.50 3.00 男性

2.50

女性

2.00 1.50 1.00 0.50 0.00

音に対する敏感さ

音に対する敏感さ

音に対する敏感さ

ー家族の音

ー隣家の音

ー屋外の音

fig5.2.1-1 音に関する敏感さと性別

 回答者の同居家族の有無x世代ごとに音に対する敏感さの平均値を求めた。5 %の有意水準ではいずれも有意差は見られなかったが、下図のような傾向が見 られた。

    5.00 4.50 4.00 3.50 3.00 子世代/一人暮らし 2.50

子世代/同居 親世代/同居

2.00 1.50 1.00 0.50 0.00

音に対する敏感さ

音に対する敏感さ

音に対する敏感さ

ー家族の音

ー隣家の音

ー屋外の音

fig5.2.1-2 音に関する敏感さと同居家族の有無

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Chapter 5

 回答者の世代ごとに音に対する敏感さの平均値を求めた。5%の有意水準で、 屋外の音に対して子世代よりも親世代の方が敏感であった。家族の音では有意 差は見られず、平均値もほぼ同じであった。隣家の音では有意差は見られなか ったが、子世代よりも親世代の方が敏感という傾向が見られた。 5.00

4.50 4.00 3.50 3.00

子世代

2.50

親世代

2.00 1.50 1.00 0.50 0.00

音に対する敏感さ

音に対する敏感さ

音に対する敏感さ

ー家族の音

ー隣家の音

ー屋外の音

fig.5.2.1-3 音に対する敏感さと世代

 回答者の住宅形態ごとに音に対する敏感さの平均値を求めた。5%の有意水準 で、屋外の音に対して集合住宅の居住者よりも戸建て住宅の居住者の方が敏感 であった。家族の音では、有意差は見られなかったが、集合住宅の居住者の方 が敏感という傾向が見られた。隣家の音では、有為差は見られず、平均値もほ ぼ同じであった。 5.00

   

4.50 4.00 3.50 3.00 戸建て

2.50

集合住宅

2.00 1.50 1.00 0.50 0.00

音に対する敏感さ

音に対する敏感さ

音に対する敏感さ

ー家族の音

ー隣家の音

ー屋外の音

fig.5.2.1-4 音に対する敏感さと住宅形態

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 回答者の居住形態ごとに音に対する敏感さの平均値を求めた。屋外の音に対 して5%の有意水準で、「集合住宅/一人暮らし/子世代」は「集合住宅/家族 と同居同居/親世代」、「戸建て/家族と同居/子世代」、「戸建て/家族と同居 /親世代」のいずれよりも、音に対する敏感さは低かった。すなわち、「集合住 宅/一人暮らし/子世代」は、上記3属性に比べ、屋外の音に寛容であると考 えられる。  他の項目に関しては、下図のような傾向が見られた。

5.00

4.50

4.00

3.50

3.00

集合住宅/一人暮らし 集合住宅/同居/子

2.50

集合住宅/同居/親 戸建て/同居/子 戸建て/同居/親

2.00

1.50

1.00

0.50

0.00

音に対する敏感さ -家族

音に対する敏感さ -隣室や上階

音に対する敏感さ -屋外

fig.5.2.1-5 音に対する敏感さと居住形態

   

       

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5.2.2 住宅性能への期待度と回答者の属性  回答者の性別ごとに住宅性能への期待度の平均値を求めた。5%の有意水準 では有意差は見られなかった。 3.00

2.50

2.00 住 宅 性 能 へ の 期 待 度

1.50

1.00

0.50

0.00 男性平均

女性平均

fig.5.2.2-1 住宅性能への期待度と性別

 回答者の同居家族の有無x世代ごとに住宅性能への期待度の平均値を求めた。 5%の有意水準では「子世代/一人暮らし」が、「子世代/家族と同居」「親世代 /家族と同居」のいずれよりも住宅性能への期待度が高かった。「子世代/家族 と同居」「親世代/家族と同居」間には有意差は見られなかったが、「子世代/ 家族と同居」の方がやや住宅性能への期待度が高かった。 3.00

** *

2.50

住 宅 性 能 へ の 期 待 度

   

2.00

1.50

1.00

0.50

0.00 子世代/一人暮らし

子世代/同居

親世代/同居

fig.5.2.2-2 住宅性能への期待度と同居家族の有無        

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Chapter 5

 回答者の世代ごとに住宅性能への期待度の平均値を求めた。5%の有意水準 では有意差は見られなかったが、子世代の方が親世代よりもやや住宅性能への 期待度が高かった。 3.00

2.50

2.00 住 宅 性 能 へ の 期 待 度

1.50

1.00

0.50

0.00 子世代

親世代

fig.5.2.2-3 住宅性能への期待度と世代

 回答者の住宅形態ごとに住宅性能への期待度の平均値を求めた。5%の有意 水準では有意差は見られなかったが、戸建て住宅の居住者の方が集合住宅の居 住者よりもやや住宅性能への期待度が高かった。 3.00

2.50

   

2.00 住 宅 性 能 へ の 期 待 度

1.50

1.00

0.50

0.00

戸建て住宅

集合住宅

fig.5.2.2-4 住宅性能への期待度と住宅形態

       

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Chapter 5

 回答者の居住形態ごとに住宅性能への期待度の平均値を求めた。「集合住宅/ 一人暮らし/子世代」は5%の有意水準で、「集合住宅/家族と同居/子世代」「集 合住宅/家族と同居/親世代」よりも住宅性能への期待度が高かった。また「集 合住宅/家族と同居/親世代」は5%の有意水準で、「戸建て/家族と同居/子 世代」「戸建て家族/家族と同居/親世代」よりも住宅性能への期待度が低かっ た。  他の項目に関しては、下図のような傾向が見られた。

3.00

** *

2.50

* **

2.00 住 宅 性 能 へ の 期 待 度

1.50

1.00

0.50

0.00 集合住宅/ 一人暮らし/ 子世代

集合住宅/ 同居/ 子世代

集合住宅/ 同居/ 親世代

戸建て/ 同居/ 子世代

戸建て/ 同居/ 親世代

fig.5.2.2-5 住宅性能への期待度と居住形態    

       

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5.2.3 住宅性能への期待と音に対する敏感さ  住宅性能への期待度と音に対する敏感さで単回帰分析を行った。結果住宅性 能への期待度と、家族の音に対する敏感さおよび屋外の音に対する敏感さはほ とんど相関が無かった。一方、住宅性能への期待度と隣家の音に対する敏感さ はR2=0.202で弱い相関が見られた。

4.5

R2 = 0.0849

4 3.5 住 3 宅 性 能 2.5 へ の 2 期 待 度 1.5 1 0.5 0 1

2

3

4

5

家族の音に対する敏感さ

fig.5.2.3-1 住宅性能への期待度と 家族の音に対する敏感さ

4.5

R2 = 0.202

4 3.5 住 3 宅 性 能 2.5 へ の 2 期 待 度 1.5 1 0.5 0 1

2

3

4

5

   

隣家の音に対する敏感さ

fig.5.2.3-2 住宅性能への期待度と 隣家の音に対する敏感さ

4.5

2 R = 0.0051

4 3.5 住 宅 性 能 へ の 期 待 度

3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 1

2

3

4

5

屋外の音に対する敏感さ

fig.5.2.3-3 住宅性能への期待度と 屋外の音に対する敏感さ

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master's thesis 2007

42


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Chapter 5

5.2.4 住宅内で聞こえる音  住宅内で聞こえる音の有効回答数は下表の通りである。なお、集合住宅居住 者の「隣家からの音」の回答に関しては「上階からの音」と「隣室からの音」 の2つを回答してもらったが、ここでは戸建て住宅居住者との比較のため、ど ちらか片方のみを選択した。  選択手法は、空気伝搬音は「隣室からの音」、個体振動音は「上階からの音」 とした。ただし、空気伝搬音と個体振動音両者の性質を持つものは、有効回答 数が多く得られた方を選択した。具体的には以下の通りである。  「隣家からの音」=「上階からの音」:足音、子どもの飛び跳ね・走り回る音、                   物の落下音  「隣室からの音」=「隣室からの音」:その他の隣家からの音 tab.5.2.4-1 住宅内で聞こえる音 戸建て住宅

音源 足音 子どもの飛び跳ね・走り回る音 テレビ・ラジオ・ステレオの音 ピアノ・楽器の音 人の話し声 自宅内の他室 からの音

隣家からの音

有効回答数

14

12

2

1

3

11

6

17

26

3

5

8

10

14

24

子どもの泣き声・遊び声

3

1

4

ペットの鳴き声

3

2

5

物の落下音

9

2

11

生活音

6

6

12

トイレの排水音

10

7

17

浴室使用時の音

11

11

22

その他水回りの音

10

1

11

ドアの開閉音

15

10

25

足音

1

8

9

子どもの飛び跳ね・走り回る音

3

6

9 14

テレビ・ラジオ・ステレオの音

6

8

ピアノ・楽器の音

1

6

7

人の話し声

4

10

14

子どもの泣き声・遊び声

6

4

10

ペットの鳴き声

2

1

3

物の落下音

0

10

10 12

生活音

2

10

トイレの排水音

1

0

1

浴室使用時の音

1

5

6

その他水回りの音

0

5

5

ドアの開閉音

1

7

8

共用階段・廊下の靴音

屋外からの音

集合住宅

有効回答数

0

14

14

15

16

31

バイク・オートバイ

12

15

27

電車

2

4

6

工事

2

6

8

通行人の話し声

8

7

15

園児・児童の話し声

8

13

21

時報・地域放送

8

11

19

雨の音

10

14

24

風の音

6

6

12

鳥の声

11

13

24

虫の鳴き声

11

7

18

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master's thesis 2007

   

43


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6 環境音呈示実験<音源の違い>

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44


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Chapter 6

6.1 生理的快適性の計測指標

 本研究では、快適性の生理的計測指標として心拍変動を用いた。  快・不快感は感情の基本的な側面に属するものであり、こうした生体反応を

感情:

伴う感情の変化を非侵襲的に容易に観察できる生理反応としては、中枢反応で

することに対する自分自身の

人間が認識したり行動したり

は自発脳波、感覚性誘発電位、事象関連電位、自律神経系反応では心拍、脈波、

態度について生じる心理体験

呼吸、体温、行動応答では眼球運動や瞬目・筋電位などが利用されてきた。また、

内の康人之、上岡国夫訳)、「心

快・不快感という心理的指標は生理変化と関連が深いことが分かっており、生 理的変化を観察することで個人の主観的状態を測定する指標として、精神生理 学の分野で一般的方法として認められつつある。

(φ.H.ゴノボリン(新井邦二郎、

理学入門」、新評論社、pp.153、 1975)

吉田倫幸、 脳波のゆらぎ計測

と快適評価 、日本音響学会誌、 Vol46、No.11、pp.914-919

tab.6.1-1 感情の変化を観察できる生理反応 自律神経系反応

中枢反応

行動応答

心拍

自発脳波

眼球運動

脈波

感覚性誘発電位

瞬目

呼吸

事象関連電位

筋電位

体温

 神経系は、体中に網の目のように張り巡らされた神経が無数の細胞や組織と

藤澤清他:生理心理学の基礎1

連絡して、その機能を調整する働きをしている。神経系には抹消からの刺激を

280-282、1998

受けこれに対して興奮をおこす中枢神経系と、感覚器や骨格筋等に分布し、随

巻、北大路書房、pp.158-171、

意運動のような動物性機能に関与する体性神経系、不随意筋の運動や腺の分泌 等植物性機能に関わる自律神経系がある、人間の身体の呼吸・血液循環・消化 吸収・排泄・内分泌・生殖等のシステムをコントロールし、体内の循環を整え ているのが自律神経系である。知覚・運動神経と違って、私たちの意志とは関 係なく独立して働いている。  自律神経には交感神経と副交感神経があり、この二つは一つの器官に対して

藤澤清也、生理心理学の基礎一

互いに相反する働きをしている。交感神経は心拍数を増やし、血圧を上昇させ、

北大路書房、東京、1998

人間が活動するのに必要な条件を作るように働き、副交感神経は心拍数を下げ、 人間が休息するのに適切な身体状況を作る働きをしている。一般に外部からス トレスが加わると、交感神経が活動を強めることが分かっている。この自律神 経のバランスが崩れると、疲労感や異常発汗、体温調節不能などの不調が起こ ることがあり、これは自律神経失調症と呼ばれる。自律神経のバランスは心身

巻、pp.158-171、pp280-282、

亀山正邦、入来正躬、朝長正徳

,東儀英夫、"中枢神経系の老化、 東京都老人総合研究所、東京、 1988

大竹礼子、 室内空間における ストレスを軽減する色彩環境

の健康と密接に関わっており、自律神経バランスの乱れが老化につながるとい

に関する研究、 日本建築学会

う説もある。

2007/03

hitoshi watanabe lab. waseda univ.

master's thesis 2007

関東支部研究報告集、pp.21、

45


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Chapter 6

 こうした自律神経の働きを測定する方法として、心拍変動を解析する方法が

"都市型環境騒音・大気汚染に

ある。健康者が安静にしている場合でも心拍は完全に規則的ではなく、リズム

関する環境保健研究"

のわずかな"ゆらぎ"(=心拍間隔変動または心拍変動)が観察される。心拍間隔 変動の中には何種類かの周期の異なる"ゆらぎ"が含まれる。このうち呼吸に同

よる環境ストレスと健康影響に http://www.nies.go.jp/kanko/ tokubetu/sr23/index.html

調した"ゆらぎ"は自律神経のうち心臓副交感神経の活動に、より遅い周期(10 秒に1回前後)の"ゆらぎ"は末梢血管の収縮を支配する交感神経の活動に関係 する。  心拍はP波、Q波、R波、S波、T波からなっており、その鼓動の一定時間内 の回数を心拍数と呼んでいる。心拍変動とは通常、R波とR波の間隔であるRR 波(RRI)を指す。RRIを得るにはまず心電図波形を微分し、その微分値にトリガ ーをかけてR波の起こりを得る。そしてその間隔を算出する方法が一般的であ る。心拍変動を周波数解析をすると二峰性のピークが現れ、HF(High Frequency domain)と呼ばれる高周波数成分(>0.15Hz)とLF(Low Frequency domain)と呼 ばれる低周波数成分(0.05-0.15Hz)に分けられる。副交感神経の支配を受けてい るHFと交感神経および副交感神経の支配を受けているLFの比率、LF/HF比を 求めることで、交感神経と副交感神経のバランスを見ることができる。LF/HF 比の値が大きいほど交感神経優位、すなわち緊張状態にあると言える。反対に 値が小さいほど副交感神経優位、すなわち安静状態にあると言える。

図出典:

心拍変動のスペクトル解析 http://www3.bpe.

es.osaka-u.ac.jp/ nakamura/ Heart_spectrum.htm

fig.6.1-1 心拍変動のパワースペクトル解析 自律神経系 LF/HF 上昇

交感神経優位

LF/HF 低下

副交感神経優位

緊張状態 リラックス状態

fig.6.1-2 LF/HF値と自律神経系の対応

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46


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Chapter

6.2 心理的快適性の計測指標

6

 快・不快という心理変化は、心拍変動を含む生理反応と関連が深いことがす

吉田倫幸、 脳波のゆらぎ計測

でにわかっている。しかし一般的には、生理反応のみから心理状態および心理

Vol46、No.11、pp.914-919

と快適評価 、日本音響学会誌、

変化を一義的に推定するのは非常に難しい。そのため心理変化に伴う生理反応 を観察する場合は、生理計測と同時に心理状態および心理変化も計測すること が必要となる。したがって本実験では、心拍変動の計測と同時に被験者の主観 的な心理評価も計測する。  計測手法には段階評価法、連続スケール上での数値評価尺度法、意味微分法 (SD法)などがあるが、心理評価には連続スケール上での数値評価尺度法(以下、 便宜上「心理評価尺度」とする)が最もあてはまりがよいことがわかっているた め、これを採用する。

       

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Chapter 6

6.3 実験方法 6.3.1 実験概要  アンケート調査で得た結果をもとに22種の音源の環境音に対し、聴取した際 の生理的影響および心理的影響を、実験音を呈示する実験において測定した。 生理的影響は心拍変動より、心理的影響は5段階の心理尺度評価アンケートに より測定した。 日時:2007年7月下旬(10名)および2007年12月(3名) 場所:早稲田大学大久保キャンパス55号館S棟8階渡辺研 被験者:20代の大学生および大学院生13名   ※音響学および音楽学を専攻する学生は含まれない。 条件:  ・食後2時間は心拍変動に影響が出るため、実験前2時間は飲食禁止(水・   茶のみ可)とした。  ・計測は座位で安静にした状態で行う。  ・視覚情報を遮断するためアイマスクを着用。  ・実験音はヘッドホンを使用し被験者に呈示した。  ・実験音はヘッドホンを通した状態で全て40dBになるように統一した。 教示:  ・実験前に、「自室でリラックスしている状態を想像してください」と教示を   行う。  ・各実験音を提示する前に、それが何の音か明確に分かるように「今から流   すのは○○の音です」と教示を行う。

   

fig.6.3.1-1 実験の様子

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Chapter 6

実験の流れ:  実験音を2分間呈示し、同時に心拍を測定する。呈示後アンケートに回答し  てもらう。  アンケートの回答時間も含め2分間の休憩を取った後、次の実験音呈示を行  う。  以上を繰り返す。  なお、測定した2分間のうち前半1分間を定常状態に至るまでの時間とみな  し、後半1分間のみを分析対象とする。 実験音1 定常状態に 至るまでの

心拍測定

準備時間 1min.

1min.

無音

休憩/ アンケート記入 5min.

実験音2

無音

定常状態に 至るまでの

心拍測定

準備時間 1min.

休憩/ アンケート記入

1min.

fig.6.3.1-2 実験の流れ

リラックス度:  実験によって得られるLF/HF成分比は被験者によって変化の度合いが違うた  め、個人差をなくすため以下のような操作を行った。  心拍変動測定による緊張・安静度Tiを次式のように定め、これをリラックス  度と呼ぶように定めた。   Ti=(Xi-Xn)/Xi    Xi:無音時のLF/HF成分の平均値    Xn:各実験音聴取時のLF/HF成分の平均値

   

       

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Chapter 6

計測ツール:心拍計および心理評価尺度アンケート  ・心拍計 Polar社 S810i  <使用方法>ベルト型のトランスミッター(測定部分)を胸部に装着し、腕時   計型のリストレシーバーで心拍変動を記録する。  <設定条件>記録間隔:RR間隔

fig.6.3.1-3 心拍計

 ・心理評価尺度アンケート    1つの実験音を呈示する毎に、その音の印象・聴取時の気分について12   の尺度によるアンケートを行った。アンケート結果は尺度ごとに集計を行   い、それぞれ心拍変動との単回帰分析を行い心拍変動との相関を見る。

陽気な

陰気な

温かい

冷たい

懐かしい

新しい

明るい

暗い

元気な

疲れている

リラックスする 快

リラックスできない 不快

聞き流せる

聞き流せない

心地よい

いらいらする

落ち着く

落ち着かない

安心 楽しい

   

不安 楽しくない

fig.6.3.1-4 12形容詞対

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Chapter 6

6.3.2 実験におけるパラメータ  以下は、聴取時の快適性に関連すると思われる音源の条件と受音側の条件の 一覧である。 受音側の条件 音に対する敏感さ 居住タイプ 気分

アンケートで敏感さを調査、分析時に加味する

3属性に分類し、分析時に加味する

教示によりリラックス状態とする

アクティビティ 体調

特に作業等をせず、安静にしてもらう

実験では、特に体調に問題が無いことを前提とする

男女

分析時に加味する

暴露履歴

実験音を使用することで、全ての被験者が初めて体験する 音と考えた

音側の条件 音源の種類

住宅音環境アンケート調査より、住宅で聞こえる頻度の 高い音を選択

音圧レベル

40dB に統一した

レベルの変動性

本実験では考慮せず

断続性

本実験では考慮せず

衝撃性

本実験では考慮せず

40dB 以下では快適感に影響しなかったため考慮せず。

周波数成分 発生時刻

アンケートで有意差が見られなかったため本論では問題としない (ただし実験は 6a.m.∼10p.m. の間で行う)

fig.6.3.2-1 実験におけるパラメータ

 それぞれの条件について、本実験での設定を説明する。 <受音側の条件> 音に対する敏感さ:住宅音環境アンケートにより各被験者の音に対する敏感さ  を

き、分析時に加味する。

居住タイプ:「集合住宅で一人暮らし」「集合住宅で家族と同居」「戸建て住宅で  家族と同居」の3属性に分類し、分析時に加味する。「居住タイプ」の定義に  は「世代」も含むが、被験者が今回は子世代のみであったため、前述の3属  性とした。 気分:教示によりリラックス状態とする。 アクティビティ:特に作業等をせず、安静にしてもらう。 体調:特に体調に問題が無いことを前提とする。

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Chapter 6

男女:分析時に加味する。 曝露履歴:実験音を使用することで、全ての被験者が初めて体験する音と考えた。 <音側の条件> 音源の種類:住宅音環境アンケート調査より、住宅で聞こえる頻度の高い音22

騒音にかかる環境基準:

 種を選択。

づいて制定された基準。1971

環境基本法第16条の規定に基

年に閣議決定され、1998年に

音圧レベル:40dBに統一。  ※「騒音に係る環境基準」において「療養施設が集合して設置される地域な  ど特に静穏を要する地域」の夜間における環境基準は、40dB以下と定められ  ている。すなわち、最も静穏を要する状況における基準が40dB以下とされて  いる。

改正された。1998年の改正に おいて、それまで騒音レベル

の中央値(L50)で定められてい た基準値を、等価騒音レベル

(LAeq)で評価する基準値に改正 された。

環境省・環境管理局大気生活環 境室「低周波音問題対応の手引

レベルの変動性:本実験では考慮しなかった。

書」、2004/06

断続性:本実験では考慮しなかった。 衝撃性:本実験では考慮しなかった。 周波数成分:本実験では考慮しなかった。  ※特に周波数成分100Hz以下の「低周波音」と呼ばれる音が新たな騒音源と  して問題になっている。しかし低周波音の「一般成人『寝室の許容値』の平均」  は、100Hzで45dB以上である。  すなわち問題になるのは45dB以上の音であるため、本論では周波数による不  快感の影響はないものとした。 発生時刻:アンケートでは時刻による有意差が見られなかったため加味しない。  ただし、「騒音に係る環境基準」にて定められている昼間時間帯に準じ、6時  ∼22時の間に実験を行った。

   

       

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Chapter 6

6.3.3 実験音  実験で使用した実験音を以下の表に示す。  音の選択方法は、住宅音環境アンケートで聞こえる頻度が高かった22種に加 え、音楽療法でよく用いられるクラシック音楽1種を加えた23種とした。  なお、実験音のデータは以下のものを用いた。 「建築と環境のライブラリ」(社団法人日本建築学会編/技報堂出版)付属DVD  :1,3,5,6,8,10,11,12,13,14,15,19,20,21,22 著者の自宅にて録音(使用機材:SONYリニアPCMレコーダーPCM-D1)  :2,4,7,9 DDN bit/音楽工房シリーズ  :16(放課後1),17(学校のチャイム),18(商店街) CD「Best Classic 100」(EMI)  :23(Horn Concerto No.4 in E-flat K.495: lll. Rondo/Mozart)

tab.6.3.3-1 実験音一覧

1

足音

3

ドアの開閉音

2 4

5

話し声

自宅から 発生する音

6

エアコンの音

8 10 11

足音

隣家から 発生する音

12

電車の走行音

16

園児・生徒の声

戸外で 発生する音

20

23

チャイム・校内放送

ざわめき 雨 風

21 22

楽器

自動車の走行音

15

19

   

足音

14

18

話し声

ドアの開閉音 上下水道

13

17

楽器

上下水道

7 9

TVの音

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クラシック音楽

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Chapter 6

6.4 実験結果 6.4.1 心拍変動の結果  心拍変動の分析の結果、被験者全体のリラックス度は下記のようになった。 最もリラックス度が高いのは「(屋外)チャイム・校内放送」であり、次いで「ク ラシック音楽」、「(自宅)話し声」であった。またリラックス度が低いものは「(自 宅)足音」、次いで「(屋外)足音」、「(隣家)楽器」となった。 1.50

1.00

0.50

0.00

-0.50

-1.00

雨 風 ざ チ 電 園 楽楽器上 足足音話 ド 足足音自 楽楽器上 エ 足足音話 ド わ 児 ャ 車 器 動 ア 音 し話し声 ア 音 器 下 下 音 し話し声 ア のTVの音 水 めざわめき イ ・ の の コ 声 水上下水道 車 声 の 上下水道 音 き ム 生 走 開 の ン 開 道 道 ・ 徒 行 閉 走 の 閉 校 の 行 音電車の走行音 音ドアの開閉音 音エアコンの音 音ドアの開閉音 内生徒の声 声園児・ 音自動車の走行音 放 送チャイム・校内放送 TV

リ ラ ッ ク ス 度

自宅から発生する音

隣家から発生する音

ク ラ シ ッ ク 音 楽

戸外で発生する音

-1.50

fig.6.4.1-1 リラックス度の全体平均 tab.6.4.1-1 リラックス度の全体平均 実験音

1 2 3

4 5

る音

6

11

'()(+/*

TVの音 楽器

エアコンの音

8 10

ドアの開閉音

上下水道

7 9

'()*++,

話し声

自宅から発生す

足音

隣家から発生す る音

12

話し声

ドアの開閉音

園児・生徒の声

19

電車の走行音

屋外で発生する チャイム・校内放送 音

20

23

雨 風

21 22

ざわめき

hitoshi watanabe lab. waseda univ.

クラシック音楽

   

()(0-0 ()(,,+ ()12-2 ()(.1(

'()-/..

16 18

()(+(( '()(**/

足音

自動車の走行音

17

()(/.,

'()1*/0

14

15

()-*.,

楽器

上下水道

13

!"#$%&

足音

()((./ '()(/-0 '()(/10 ()(.-/ ()***0 ()(*/0 ()1/,2 '()1-(. ()-(,2 ()(0/()-,.+

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Chapter 6

 居住タイプ別にリラックス度を求めたところ、下記のようになった。  5%の危険率で有意差が出たのは、「(自宅)上下水道」における『集合住宅 /家族と同居』群と『集合住宅/一人暮らし』群、「(屋外)足音」における『集 合住宅/家族と同居』群と『集合住宅/一人暮らし』群であった。 また1%の危険率で有意差が出たのは、「(自宅)話し声」における『集合住宅 1.50

1.00

0.50 リ ラ ッ ク ス 度

集合住宅ー家族と同居 0.00

-0.50

-1.00

楽器

楽 話 ド 話し声 TVの音 器 し ア の 声 の 音 開 ドアの開閉音 閉 音 TV

足音

足 音

足音

楽器

足音

上 エ 上 足 話 ド 楽 足 話し声 下 ア 下 音 し ア 器 音 上下水道 上下水道 水 コ 水 声 の 道 ン 道 開 エアコンの音 ドアの開閉音 の 閉 音 音

自宅から発生する音

自 電 園 チ ざ 雨 風 動 車 児 ャ わ ざわめき 車 の ・ イ め の 走 生 ム き 電車の走行音 走 行 徒 ・ 自動車の走行音 園児・ 生徒の声 行 音 の 校 音 声 内 チャイム・校内放送 放 送

隣家から発生する音

鳥 鳥

集合住宅ー一人暮らし

虫 虫

戸建てー家族と同居

ク ラ シ ッ ク クラシック音楽 音 楽

戸外で発生する音

-1.50

fig.6.4.1-2 居住タイプの違いとリラックス度 tab.6.4.1-2 居住タイプの違いとリラックス度 実験音

1 2 3

4 5

話し声

自宅から発生す る音

6

11

TVの音 楽器

エアコンの音

8 10

ドアの開閉音

上下水道

7 9

!"#$%&' !"#()*

足音

足音

隣家から発生す る音

12

話し声

ドアの開閉音 楽器

22 23

3/0767

-3/2062

-./3..5

3/.05.

3/0142

3/.612

3/3442

-3/3263

3/.556

-3/.150

3/0.36

3/512.

-3/.06.

3/0063

3/0811

-3/3.63

-3/3264

3/7.75

3/0327

3/3264

-3/2858

3/3542

3/.302

-3/0785

3/.046

3/308.

3/3220

3/2831

3/..6.

3/2477

3/..14

-3/526.

3/5138

-3/3.57

3/5122

3/5042

-3/8554

3/5234

-3/.538

3/4071

3/52.4

-3/3101

-3/.070

3/5665

-3/3423

3/0127

3/5811

3/5.30

ざわめき 雨 鳥

3/3336

3/2133

3/0636

屋外で発生する チャイム・校内放送

21

3/01.8

-./.237

電車の走行音

20

3/.224

-3/5.17

-3/5202

園児・生徒の声

19

-3/.431

-3/3.73

16

3/0356

-3/0761

-3/5203

自動車の走行音

18

3/3726

-3/473.

14

17

-3/0253

3/2560

3/7306

足音

15

3/.455

-3/5.47

上下水道

13

+,#$%&'

-./0121

クラシック音楽

   

       

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Chapter 6

/家族と同居』群と『集合住宅/一人暮らし』群、「(自宅)上下水道」における『集 合住宅/家族と同居』群と『戸建て住宅/家族と同居』群、「(屋外)足音」にお ける『集合住宅/一人暮らし』群と『戸建て住宅/家族と同居』群であった。

   

       

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56


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Chapter 6

 性別ごとにリラックス度を求めたところ、下記のようになった。  5%の危険率で有意差が出たのは、「(屋外)電車の走行音」「(屋外)ざわめき」 であった。1%の危険率で有意差が出たものはなかった。

1.50

1.00

0.50

男性

0.00

足音 楽器 足音 楽器 足音 ざ 雨 風 園 チ 足 話話し声 ド 楽 足 自 電 楽 上 エ 上 足 話話し声 ド TVの音 わざわめき 児 ャ 音 し ア 器 音 動 車 器 下上下水道 ア 下上下水道 音 し ア の め ・ イ コ 声 の 車 の 水 水 声 の 音 き 走電車の走行音 生 ム ンエアコンの音 開ドアの開閉音道 の 道 開ドアの開閉音 行 徒園児・・ の 閉 走自動車の走行音 閉 生徒の声 音 の 校 音 音 行 音 声 内チャイム・校内放送 音 放 送 TV

リ ラ ッ ク ス 度

-0.50

-1.00

自宅から発生する音

隣家から発生する音

鳥 鳥

虫 虫

女性 ク ラ シ ッ ククラシック音楽 音 楽

戸外で発生する音

-1.50

fig.6.4.1-3 性別の違いとリラックス度 tab.6.4.1-3 性別の違いとリラックス度 実験音

1

足音

2 3

4 5

6

話し声

ドアの開閉音

自宅から発生 TVの音 する音 楽器

上下水道

7

エアコンの音

9

話し声

8 10 11 12

足音

隣家から発生 ドアの開閉音 する音 楽器 上下水道

13

足音

14

自動車の走行音

16

園児・生徒の声

15 17

電車の走行音

男性

-0.2086

0.3357

-0.3400

-0.1571

0.0700

-0.1443

-0.0071

0.1071 0.0829

-0.0071

女性

-0.5933

0.1200 0.1800 0.3917 0.0900 0.0983 0.0383 0.2017

0.3467

-0.1171

-0.1850

-0.4643

-0.1183

-0.1643

0.2600

0.2043

-0.4500

0.0343

0.0783

0.2343

-0.4667

18

屋外で発生す チャイム・校内放送 る音 ざわめき

-0.4271

20

0.1914

-0.4800

0.1800

-0.0783

19

21

22 23

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0.1657

0.1714 0.3086

クラシック音楽

0.2843

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0.1133

0.5183 0.5583 0.2250 0.0783 0.2667

57


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Chapter 6

 「足音」「話し声」「ドアの開閉音」「楽器」「上下水道」について、自宅から発 生する音と隣家から発生する音とでリラックス度を比較したところ、下記のよ うになった。  いずれも有意差は見られなかったが、「話し声」「楽器」の項目で、隣家の音 よりもリラックス度が高い傾向が見られた。

1.50

1.00

0.50 リ ラ ッ ク ス 度

自宅

0.00 足音

話し声

ドアの開閉音

楽器

上下水道

隣家

-0.50

-1.00

-1.50

fig.6.4.1-4 音の発生場所の違いとリラックス度 tab.6.4.1-4 音の発生場所の違いとリラックス度 実験音

足音

自宅

話し声

-0.4300

0.0800

0.2400

0.1400

0.0800

-0.1400

ドアの開閉音

-0.1000

上下水道

-0.0300

楽器

隣家

0.1600    

0.0300

       

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Chapter 6

6.4.2 心理評価尺度アンケートの結果  心理評価尺度アンケートにおける評価尺度の数値の全体平均を求め、それぞ れの評価尺度の値とリラックス度に対し単回帰分析を行った。結果、「聞き流せ る」以外の全ての評価尺度で、リラックス度と正の相関が見られた。相関の度 合いをまとめると、以下のようになる。  中程度の相関がある:「懐かしい」  ある程度の相関がある:「温かい」「明るい」「リラックスする」「快」「落ち着く」             「安心」「楽しい」  弱い相関がある:「陽気な」「元気な」「心地よい」  ほとんど相関がない:「聞き流せる」 tab.6.4.2-1 心理評価形容詞とリラックス度 音 1 2

3

4

5

6

7 8

9 10

11

12

13 14 15

16

17 18

19

20 21

22

23

陽気な

温かい

3.46 4.00

3.46

4.77

4.15

3.15

3.38 4.08

3.85 4.15

4.00

3.54

4.00 4.00

3.92

6.38

6.38 6.15

4.08

3.92 4.69

5.31

5.38

0.40 0.20

リ 0.00 ラ ッ -0.20 1 ク ス 度 -0.40

懐かしい

3.92 4.92

明るい

3.92 4.77

3.46

4.00

4.69

4.54

3.00

3.92

4.15

3.46 4.08

3.38

2.77

4.23 4.38

3.85

3.77 3.69

3.69 3.85

4.00

3.46

4.08

4.38

3.46

3.77 3.85

3.62

3.62 4.15

4.00

5.85

3.77

5.85

5.77 6.00

5.69

6.08 5.85

4.23

6.38 5.77

4.77

3.69 5.23

3.77 5.54

5.38

5.31

4.85

3.92

4.38

3.77 4.77

5.85

4.92

5.46

リラックス

する 3.38 4.54

3.15

4.00 4.08

3.77

3.54

3.46 3.31

3.62 3.46

3.31 2.92

3.85 4.08

4.23

3.85

5.92

2.77

2.54

5.00 4.92

5.23 5.46

4.31

6.00

3.62 4.46

5.23

5.46

5.54

0.40

R2 =0.2098

2

0.20

3

4

5

6

7

-0.60

5.31

3.46

リ 0.00 ラ ッ -0.20 1 ク ス 度 -0.40

5.54

5.92

-0.10

5.15

0.10

4.69

0.08

3.46

3.54

-0.03

3.38 3.92

4.15 4.38

0.14 0.16

4.15 3.38

4.00 3.92

3.85

3.85

0.05 0.08

3.92

-0.15

3.69 4.00

-0.30 -0.10

4.00

3.23 3.62

0.03

3.23

3.54

-0.09

5.38 5.38

5.69 5.46

0.33 0.03

6.08

0.05

4.77

0.20

4.00 5.08

3.92 4.54

-0.12 0.20

5.62

5.62

0.28

5.08

5.69

度 -0.43 0.24

3.46

5.15

5.46

4.85 5.08

リラックス

3.85 4.46

5.77

6.15

5.15 5.38

5.08

5.85

4.77

4.77 4.77

5.85

5.00 4.69

5.31

5.92

2.62

4.85

4.92 5.15

5.62

4.46 5.00

4.00

3.00 3.38

2.38

3.23

2.62 3.08

5.77

4.46 5.31

4.08

3.46

3.31 3.38

2.08

4.92

4.69

3.31 3.69

3.92

3.38

2.31 3.23

3.54

3.54 3.15

3.31 3.77

3.08

3.62

3.08

3.62

3.46 3.31

3.23 2.85

3.23 3.15

4.46

6.38 6.08

3.54 2.31

3.92

3.92

2.85 3.31

3.69

楽しい

4.08 5.08

4.31

4.08

4.38

4.31

3.15 2.92

3.85

3.77

3.69 3.92

4.15

2.62

安心

3.46 5.00

3.08

3.69

4.77

落ち着く

3.46 4.69

2.69

4.08

4.46

心地よい

3.38 2.23

3.08

4.23

5.00

聞き流せる 3.31 4.46

3.23

4.92

4.69

4.54 4.38

3.15 3.46

3.69 4.23

5.31

4.85

4.15 3.85

元気な

3.15 4.62

5.38

0.06

R2 = 0.3349

    2

3

4

5

6

7

-0.60 「陽気な」

「温かい」

fig.6.4.2-1 評価尺度「陽気な」とリラックス度fig.6.4.2-2 評価尺度「温かい」とリラックス度

0.40 0.20

リ 0.00 ラ 1 ッ ク -0.20 ス 度 -0.40

0.40

R2 = 0.4313

2

0.20

3

4

5

v

-0.60

6

7

リ 0.00 ラ 1 ッ -0.20 ク ス 度 -0.40

R2 = 0.356

2

3

4

5

6

7

-0.60 「懐かしい」

「明るい」

fig.6.4.2-3 評価尺度「懐かしい」とリラックス度fig.6.4.2-2 評価尺度「明るい」とリラックス度

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Chapter 6

0.40

0.40

R2 =0.2722

0.20

リ ラ ッ ク ス 度

リ ラ0.00 ッ ク -0.20 ス 度

0.00 -0.20

1

R 2 =0.355

0.20

2

3

4

5

6

7

-0.40

1

2

3

4

5

6

7

-0.40

-0.60

-0.60

「元気な」

「リラックスする」

fig.6.4.2-5 評価尺度「元気な」とリラックス度 fig.6.4.2-6 評価尺度「リラックスする」と リラックス度 0.40

0.40

R2 =0.0125

2

R =0.3262

0.20

リ ラ ッ ク ス 度

0.20

0.00 -0.20

1

2

3

4

5

6

7

-0.40

リ ラ ッ ク ス 度

0.00 -0.20

1

2

3

6

7

-0.60 「快」

「聞き流せる」

fig.6.4.2-7 評価尺度「快」とリラックス度

0.40

fig.6.4.2-8 評価尺度「聞き流せる」と リラックス度 0.40

R2 = 0.2941

0.20

0.20

リ 0.00 ラ ッ 1 ク ス -0.20 度

0.00 -0.20

5

-0.40

-0.60

リ ラ ッ ク ス 度

4

0

1

2

3

4

5

6

7

-0.40

R2 =0.3215

2

3

4

5

6

7

-0.40

-0.60

-0.60 「落ち着く」

「心地よい」

fig.6.4.2-9 評価尺度「心地よい」とリラックス度fig.6.4.2-10 評価尺度「落ち着く」とリラックス度

0.20

リ 0.00 ラ ッ 1 ク ス -0.20 度

   

0.40

0.40

R2 =0.3445

2

0.20

3

4

5

6

7

リ 0.00 ラ 1 ッ ク ス -0.20 度

R2 = 0.3547

2

3

4

5

6

7

-0.40

-0.40

-0.60

-0.60

「楽しい」

「安心」

fig.6.4.2-11 評価尺度「安心」とリラックス度fig.6.4.2-12 評価尺度「楽しい」とリラックス度

       

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Chapter 6

6.5 考察

・リラックス度の全体平均に関して、個体振動音を含む音(足音、ドアの開閉音、 自動車の走行音、電車の走行音)に関しては7項目中5項目でリラックス度が 負の値を示し、聴取時に緊張状態になることが分かった。  また個体振動音を含む音として楽器、風の項目を入れても10項目中7項目で リラックス度が負の値を示している。すなわち、個体振動音を含む音は緊張状 態を引き起こしやすい可能性がある。 ・アンケート調査から、「集合住宅/一人暮らし」群は住宅性能への期待度が高 いことが分かっているが、本実験においても「集合住宅/一人暮らし」群は隣 家から発生する音全項目に対しリラックス度は負の値をとった。すなわち、こ のタイプは隣家の音に敏感であると言える。 ・自宅の音と隣家の音に有意差が見られなかった。また、自宅の音よりも隣家の 音の方が5項目中3項目で(リラックス度が高かった。当初は自宅の音が隣家 の音よりも有意にリラックス度が高いと予想していたが、例えば足音について 言えば、自宅の足音は家族が直接自分に近づいて来ることが予想されるが、隣 家の足音は非侵襲的であることからリラックスしていられたのかもしれない。  こうした具体的な人をイメージしうる音に関しては、事前のアンケートでイ メージする人物に対する印象を聞いておくなど、より細やかなアプローチが必 要であろう。 ・クラシック音楽は、性別や居住タイプ別にリラックス度を見た際、最も属性ご との差が少なかった。ちなみに実験時の質問では男性に「あまりクラシックは 好きではない」と答えた人が多く、女性に「クラシックは好きだ」と答えた人

   

が多かった。そういった嗜好が結果に反映されていないことから、クラシック 音楽はその好き嫌いにあまり関係なくリラックス効果があると考えられる。 ・ポジティブなイメージを持った心理評価尺度全てとリラックス度に相関が見ら れた。音を聞いて今回の尺度のようなイメージを持った場合、身体もリラック ス状態にあると考えられる。  また、尺度のうち「聞き流せる」のみはリラックス度と相関がなかった。す なわち、「聞き流すことのできない音は快適性が低い」ととらえられがちだが、 聞き流すことができなくてもリラックス効果を持つ音があると言える。

       

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7 環境音呈示実験 <音圧レベルの違い>

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Chapter

7.1 環境音の快適性評価と音圧レベル

7

 私たちが実際に住宅内で環境音を聞く時、その快適性には音源の種類だけで なく音の大きさなどの種々の条件も大きく影響する。  音の大きさについて見てみると、一般的に騒音問題の場合、音が大きくなる ほどクレームに発展しやすい。それは「うるささ」・「気になる」・「不快」とい った騒音の心理評価が、音が大きくなるにつれてより悪くなる(うるささを感じ、 気になり、不快度が増す)ためである。  またこのようなネガティブな心理評価尺度との対応だけでなく、「快」という 心理評価尺度と音圧の関係についても研究がなされている。島井、田中らの研

島井哲志、田中 正敏、環境

究によれば、快い音では音圧が高くなるにつれて快さもやや増す傾向にあるこ

係、社団法人日本音響学会学会

とが分かっている。(音圧と音の大きさの関係に関しては3.3「音とは」を参照 のこと。)

音の快-不快評価と音圧の関

誌、Vol.49, No.4(19930401) pp. 243-252

 そこで本研究においても、住宅内で聴取される環境音に関して、リラックス 度が高い音は音圧レベルが大きくなるほどリラックス度も高くなり、リラック ス度が低い音は音圧レベルが大きくなるほどリラックス度も低くなると予想し た。  上記の研究から、住宅内で聴取される環境音に関しても、リラックス度の高 い音は音圧レベルが高くなるにつれリラックス度が増し、リラックス度の低い 音は音圧レベルが低くなるにつれリラックス度がさらに低くなると予想される。 そこで、前述の環境音呈示実験<音源の違い>で用いた実験音を「リラックス 度が高い音」「リラックス度が低い音」「どちらでもない音」に分類し、それぞ れの分類で最も特徴的な3音を選択し、騒音レベルを変化させた場合にリラッ クス度および主観的心理評価がどのように変化するかを計測する。

       

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Chapter 7

7.2 実験方法 7.2.1 実験概要  環境音呈示実験<音源の違い>にてリラックス度の最も高かった音・最も低 かった音・最も0に近かった音(高くも低くもなかった音)の3種を選択し、各 実験音について音圧レベルを変化させ、実験<音源の違い>と同様に心拍変動 および心理尺度評価を測定した。  具体的な音は、以下の通りである。  リラックス度の最も高かった音:「チャイム・校内放送」  リラックス度の最も低かった音:「家族の足音」  リラックス度の最も0に近かった音:「隣家の上下水道」   また、通常人が聞いて音圧の差を感じられる最小の単位が5dBと言われてい るため、環境音呈示実験<音源の違い>で使用した40dBの実験音から-5dB、 -10dBの実験音を作成した。 日時:2008/1/18(金)、1/19(土)、1/21(月)の計3日間 被験者:20代の大学生および大学院生14名 音楽学および音響学を専攻する学生は含まれない。 条件:環境音呈示実験<音源の違い>に準じる。 実験の流れ:環境音呈示実験<音源の違い>に準じる。 計測ツール:環境音呈示実験<音源の違い>に準じる。

   

       

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Chapter 7

7.2.2 実験におけるパラメータ 以下は、聴取時の快適性に関連すると思われる音源の条件と受音側の条件の一 覧である。 受音側の条件 音に対する敏感さ 居住形態 気分

教示によりリラックス状態とする

アクティビティ 体調

アンケートで敏感さを調査、分析時に加味する

3属性に分類し、分析時に加味する 特に作業等をせず、安静にしてもらう

実験では、特に体調に問題が無いことを前提とする

男女

分析時に加味する

暴露履歴

実験音を使用することで、全ての被験者が初めて体験する 音と考えた(実験<音源の違い>の約 5 ヶ月後に実施)

音側の条件 音源の種類

実験<音源の違い>で特徴的であった3音を選択

音圧レベル

騒音レベルを 30dBで変化させた / 35dB / 40dB で変化させた 30dB/35dB/40dB

レベルの変動性

実験音が全て定常音のため、本実験では考慮せず

断続性

実験音が全て定常音のため、本実験では考慮せず

衝撃性

実験音が全て定常音のため、本実験では考慮せず

周波数成分 発生時刻

40dB 以下では快適感に影響しないと思われるため考慮せず。

アンケートで有意差が見られなかったため本論では問題としない (ただし実験は 6a.m.∼10p.m. の間で行う)。

fig.7.2.2-1 実験におけるパラメータ

 それぞれの条件について、本実験での設定を説明する。

   

<受音側の条件> 音に対する敏感さ:住宅音環境アンケートにより各被験者の敏感さを調査、分析  時に加味する。 居住形態:「集合住宅で一人暮らし」「集合住宅で家族と同居」「戸建て住宅で家  族と同居」の3属性に分類し、分析時に加味する。 気分:教示によりリラックス状態とする。 アクティビティ:特に作業等をせず、安静にしてもらう。 体調:特に体調に問題が無いことを前提とする。 男女:分析時に加味する。

       

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曝露履歴:実験音を使用することで、全ての被験者が初めて体験する音と考えた。  ※40dBの実験音については実験<音源の違い>でも使用しているが、5ヶ   月のブランクがあるため慣れ等は生じていないものとした。 <音側の条件> 音源の種類:実験<音源の違い>にてリラックス度の最も高かった音・最も低  かった音・最も0に近かった音(高くも低くもなかった音)の3種を選択した。 音圧レベル:30dB/35dB/40dBで変化させた。  ※「騒音に係る環境基準」において「療養施設が集合して設置される地域な   ど特に静穏を要する地域」の夜間における環境基準は、40dB以下と定めら

騒音にかかる環境基準:

環境基本法第16条の規定に基

づいて制定された基準。1971

年に閣議決定され、1998年に

  れている。   すなわち、最も静穏を要する状況における基準が40dB以下とされている。

改正された。1998年の改正に おいて、それまで騒音レベル

レベルの変動性:実験音が全て定常音のため、本実験では考慮しなかった。

の中央値(L50)で定められてい

断続性:実験音が全て定常音のため、本実験では考慮しなかった。

(LAeq)で評価する基準値に改正

衝撃性:実験音が全て定常音のため、本実験では考慮しなかった。 周波数成分:40dB以下では快適感に影響しないと思われるため考慮せず。  ※特に周波数成分100Hz以下の「低周波音」と呼ばれる音が新たな騒音源と   して問題になっている。しかし低周波音の「一般成人『寝室の許容値』の平均」

た基準値を、等価騒音レベル された。

環境省・環境管理局大気生活環 境室「低周波音問題対応の手引 書」、2004/06

  は、100Hzで45dB以上である。   すなわち問題になるのは45dB以上の音であるため、本論では周波数による   不快感の影響はないものとした。 発生時刻:アンケートでは時刻による有意差が見られなかったため加味しない。  ただし、「騒音に係る環境基準」にて定められている昼間時間帯に準じ、6時  ∼22時の間に実験を行った。

       

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Chapter 7

7.3 実験結果 7.3.1 心拍変動の結果  リラックス度の全体平均は以下のようになった。リラックス度が高い音は音 圧レベルが高くなるにつれてリラックス度も増加し、リラックス度が低い音は 音圧レベルが高くなるにつれてリラックス度が減少した。また、リラックス度 が中程度の音は音圧レベルが高くなるにつれてやや増加した。  また、リラックス度が高中低それぞれの音について、30dB、35dB、40dBの 3点に対し多項式による近似を行った。結果は下式の通りである。  このリラックス度と音圧レベルの関係は、音圧レベルが0dB付近ではリラッ クス度も0に近づき(そもそもリラックス度が無音時を基準にしているため)、 音圧レベルが100dB以上など聴取可能限界付近ではリラックス度は負の極大値 を示すと予想される。しかし、今回測定したのは30dB∼40dB間のみであるので、 近似式はあくまでのこの範囲のみにおけるリラックス度のふるまいを表すもの である。  リラックス度高: y = -0.0364x2 + 0.2915x - 0.3188  リラックス度中: y = -0.0458x2 + 0.2119x - 0.3410  リラックス度低: y = 0.0707x2 - 0.4904x + 0.4203 1.00

0.50

0.00 30db

35db

40db

リラックス度高 リラックス度中

リ -0.50 リ ラ ラ ッ ッ ク ス -1.00 度

リラックス度低 多項式 (リラックス度低) 多項式 (リラックス度中) 多項式 (リラックス度高)

-1.50

-2.00

    リラックス度高

y = -0.0364x2 + 0.2915x - 0.3188

リラックス度低

y = 0.0707x2 - 0.4904x + 0.4203

リラックス度中

y = -0.0458x2 + 0.2119x - 0.341

-2.50 騒音レベル 音圧

fig.7.3-1 リラックス度の全体平均 tab.7.3-1 リラックス度の全体平均 実験音 リラックス度 高 リラックス度 中 リラックス度 低

hitoshi watanabe lab. waseda univ.

30dB 35dB

40dB

リラックス度

-0.0637

0.1187

0.2284

30dB

-0.1749

40dB

-0.1173

35dB

30dB

35dB

40dB

-0.1003 0.0007

-0.2776

-0.4144

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Chapter 7

 居住タイプ別における音圧レベルとリラックス度の関係は以下のようになっ た。  「集合住宅/家族と同居」群では、リラックス度が高い音は、音圧レベルが 増加するにつれリラックス度も増加した。リラックス度が低い音は、音圧レベ ルが減少するにつれリラックス度も減少した。リラックス度が中程度の音は、 35dBでリラックス度が減少した後40dBでやや増加した。  また、リラックス度が高中低それぞれの音による多項式近似は下式通りであ る。 リラックス度高: y = 0.2827x2 - 0.6426x - 0.6456 リラックス度中: y = 0.4431x2 - 1.9048x + 0.5951 リラックス度低: y = 0.0818x2 - 0.9937x + 0.2066

1.00 リラックス度高

0.50

リラックス度中

リラックス度低

y = 0.2827x2 - 0.6426x - 0.6456

y = 0.4431x2 - 1.9048x + 0.5951 y = 0.0818x2 - 0.9937x + 0.2066

0.00 30db

35db

40db

リ -0.50 ラ ッ ク ス 度 -1.00

リラックス度高 リラックス度中 リラックス度低 多項式 (リラックス度高) 多項式 (リラックス度中) 多項式 (リラックス度低)

-1.50

-2.00

-2.50

   

騒音レベル 音圧

fig.7.3-2 「集合住宅/家族と同居」群の リラックス度

       

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Chapter 7

 「集合住宅/一人暮らし」群では、リラックス度が高い音は、リラックス度が 35dBでやや減少し40dBでやや増加した。リラックス度が低い音も、リラック ス度が35dBで減少し40dBで増加した。リラックス度が中程度の音は、リラッ クス度が35dBで増加した後40dBでわずかに減少した。  また、リラックス度が高中低それぞれの音による多項式近似は下式通りであ る。 リラックス度高: y = 0.0912x2 - 0.3842x - 0.6121 リラックス度中: y = -0.2514x2 - 1.2349x - 1.1512 リラックス度低: y = 0.2937x2 - 1.1957x + 0.9745

1.00

0.50

0.00 30db

35db

40db

リラックス度高 リラックス度中

リ -0.50 ラ ッ ク ス 度 -1.00

リラックス度低 多項式 (リラックス度高) 多項式 (リラックス度中) 多項式 (リラックス度低)

-1.50

-2.00

リラックス度高

リラックス度中

リラックス度低

y = 0.0912x2 - 0.3842x + 0.6121

y = -0.2514x2 + 1.2349x - 1.1512 y = 0.2937x2 - 1.1957x + 0.9745

-2.50 音圧 騒音レベル

fig.7.3-3 「集合住宅/一人暮らし」群の リラックス度

   

       

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Chapter 7

 「戸建て/家族と同居」群では、リラックス度が高い音は、リラックス度が 35dBでやや増加し40dBでやや減少した。リラックス度が低い音は、リラック ス度が35dBでやや増加した後40dBで減少した。。リラックス度が中程度の音は、 音圧レベルが増加するにつれてリラックス度が減少した。  また、リラックス度が高中低それぞれの音による多項式近似は下式通りであ る。 リラックス度高: y = -0.3808x2 + 1.6627x - 1.2399 リラックス度中: y = -0.0924x2 + 0.2544x + 0.0695 リラックス度低: y = 0.2035x2 + 0.6581x - 0.1164 1.00

0.50

0.00 30db

リ ラ ッ ク ス 度

35db

40db

リラックス度高 リラックス度中

-0.50

リラックス度低 多項式 (リラックス度低)

-1.00

多項式 (リラックス度高) 多項式 (リラックス度中)

-1.50

-2.00

リラックス度高

リラックス度中

リラックス度低

y = -0.3808x2 + 1.6627x - 1.2399

y = -0.0924x2 + 0.2544x + 0.0695 y = 0.2035x2 + 0.6581x - 0.1164

-2.50 騒音レベル 音圧

fig.7.3-4 「戸建て/家族と同居」群の リラックス度 tab.7.3-2 居住タイプ別のリラックス度 実験音 リラックス度 高 リラックス度 中

リラックス度 低

30dB

集合住宅/ 集合住宅/ 同居 一人暮らし -1.0056

0.3191

40dB

-0.0294

0.2803

35dB

-1.4422

30dB

-0.7053

35dB 30dB

40dB 35dB

40dB

-0.8001

0.2085

-0.8666

-0.1677

-1.1316

0.2910

-1.4536

-2.0382

0.3131

0.0724

-0.2423

0.0304

   

戸建て/ 同居

0.0419

0.5622 0.3208 0.2315 0.2087 0.0012 0.3382 0.3857 0.0261

       

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Chapter 7

7.3.2 心理評価尺度アンケートの結果  心理評価尺度アンケートにおける評価尺度の数値の全体平均を求め、それぞ れの評価尺度の値とリラックス度に対し単回帰分析を行った。結果、いずれの 評価尺度においても相関は見られなかった。ただし、「リラックスする」「心地 よい」が他の尺度よりは比較的相関が高かった。

tab.7.3.2-1 心理評価形容詞とリラックス度 音圧 騒音レベル

実験音

温かい

明るい

元気な

楽しい

5.3571

5.6429

5.0714

4.7857

する 4.5714

安心

4.8571

4.9286

4.4286

5.0000

5.0714

4.9286

4.6429

5.7857

6.0714

6.0000

6.0714

4.6429

4.5714

3.0000

4.5000

4.2143

4.7857

5.1429

3.3571

3.3571

3.1429

4.4286

3.7857

3.4286

3.7143

3.7143

リラックス度高

40 45

5.6429

リラックス度中

40

2.8571

リラックス度低

40

35

45 35

45

5.4286

3.1429

2.9286

3.7143

3.2857 3.2857

懐かしい

リラックス

陽気な

35

5.8571 3.4286

3.0714

6.2143 4.0000 4.0000

3.2857

3.9286

4.0000

4.4286

4.0714

4.0714

5.6429

5.6429

3.2143

3.7143

2.8571 3.0000

4.2857

3.9286

4.5714

3.7857

3.5714

4.6429

4.2857

3.4286

3.0714

3.8571

4.2143

4.0714

3.2143

4.2143

3.7143

聞き流せる

4.9286

3.8571

4.0000

5.5714

3.0714

3.7857

3.8571

4.9286

3.1429

3.9286

3.5000

3.5714

0.40

0.40 R2 = 0.0454

0.20 リ 0.00 ラ ッ 1 ク -0.20 スリラックス度 度 -0.40

2

4

5

6

7

リ ラ ッ ク ス 度

0.00 -0.20

4.9286

4.5000

3.5000

4.0714

3.3571 3.5000

落ち着く 4.4286

4.5000

3.2857

4.0714

3.3571

3.6429

4.7857

3.9286

3.7143 4.2857

4.2857

4.0714

リラックス度 -0.3513

5.2143

-0.1237

3.7143

-0.1749

0.0740

-0.1003

3.7143

-0.1173

3.9286

0.1721

4.0714

-0.2776

3.7857

-0.4144

R2 = 0.0048

0.20

3

心地よい

1

2

3

4

5

6

7

-0.40 -0.60

-0.60

「温かい」

「陽気な」

fig.7.3.2-1 評価尺度「陽気な」とリラックス度fig.7.3.2-2 評価尺度「温かい」とリラックス度 0.40

0.40

R2 = 0.0011

0.20 リ 0.00 ラ 1 ッ ク -0.20 スリラックス度 度 -0.40

2

0.20

3

4

5

6

7

-0.60

リ ラ ッ ク ス 度

0.00 -0.20

2 R2 R = 0.027

1

2

3

4

5

6

7

   

-0.40 -0.60 「明るい」

「懐かしい」

fig.7.3.2-3 評価尺度「懐かしい」とリラックス度fig.7.3.2-2 評価尺度「明るい」とリラックス度

0.40

0.40

R2 = 0.0155

0.20 リ ラ ッ ク ス 度

0.00 -0.20

1

2

3

0.20

4

5

-0.40

6

7

リ 0.00 ラ ッ 1 ク -0.20 スリラックス度 度 -0.40

R2 = 0.0534

2

3

4

5

6

7

-0.60

-0.60

「リラックスする」

「元気な」

fig.7.3.2-5 評価尺度「元気な」とリラックス度 fig.7.3.2-6 評価尺度「リラックスする」と リラックス度        

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Chapter 7

0.40 0.20 リ 0.00 ラ ッ -0.20 1 ク ス リラックス度 度 -0.40

0.40 R2 = 0.0064

2

R2 = 0.0044

0.20

3

4

5

6

7

リ 0.00 ラ ッ -0.20 1 ク スリラックス度 度 -0.40

-0.60

2

3

5

6

7

-0.60 「快」

「聞き流せる」

fig.7.3.2-7 評価尺度「快」とリラックス度

0.40

2

3

fig.7.3.2-8 評価尺度「聞き流せる」と リラックス度

0.40

R2 = 0.0696

0.20

リ 0.00 ラ ッ ク -0.20 1 ス 度リラックス度 -0.40

4

4

5

6

7

R2 = 0.0005 0.20 リ 0.00 ラ ッ 2 3 ク -0.20 1 ス 度 リラックス度 -0.40

4

5

6

7

-0.60

-0.60

「落ち着く」

「心地よい」

fig.7.3.2-9 評価尺度「心地よい」とリラックス度 fig.7.3.2-10 評価尺度「落ち着く」とリラックス度

0.40 0.20

リ ラ 0.00 ッ ク 1 ス -0.20 度リラックス度 -0.40

0.40 R2 = 0.0004

2

3

4

5

-0.60

6

7

リ ラ ッ ク ス 度

R2 = 0.0287

0.20 0.00 -0.20

1

2

3

4

5

6

7

-0.40 -0.60

「安心」

「楽しい」

fig.7.3.2-11評価尺度「安心」とリラックス度fig.7.3.2-12 評価尺度「楽しい」とリラックス度

   

       

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Chapter 7

7.4 考察

・30dB、35dB、40dBと音圧レベルが変化するにつれて、リラックス度が高い音 と低い音の順位が入れ替わる「逆転現象」が起きた。理由として、以下のよう なことが一つ考えられる。  当初想定していた音圧レベルとリラックス度の関係は、7.1で述べたようなミ クロな範囲でのものだけであった。しかし0dB∼聴取可能限界までを考えると、 リラックス度のふるまいは下図のようなものになるのではないだろうか。この リラックス度の曲線の極大点が音と居住タイプによって違うのが、今回逆転現 象が起きた理由と推測することができる。 1.00

0

リ ラ ッ ク ス 度

50dB

100dB

150dB

-1.00

-2.00

-3.00 騒音レベル 音圧

 またこの予想では、リラックス度の曲線は上に凸の曲線であるが、今回の結 果を見ると下に凸のものも少なくない。これは、本実験の誤差に起因している 可能性も高い。ただ一方で、リラックス度の曲線が上に凸の単純な曲線ではなく、 さらに高い次元数を持った曲線で描かれる可能性も考えられる。 ・本実験では、環境音呈示実験<音源の違い>と違って、リラックス度と心理

   

尺度評価アンケートの相関が全く見られなかった。この原因は明らかでないが、 環境音呈示実験<音源の違い>での相関の高さより実験方法に問題があったと は考えにくいので、実験音の数および被験者数の少なさによる誤差ではないか と考えられる。

       

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8 総括

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Chapter 8

8.1 総括

 本研究では、居住タイプ別に音のリラックス度およびその騒音レベルによる 変化を測定した。 40dBにおける各居住タイプのリラックス度は、リラックス度>0.35でリラック ス度高、リラックス度<-0.35でリラックス度低とすれば、以下のようになる。 集合住宅/家族と同居/子世代   リラックス度高:(自宅)話し声、(自宅)楽器、(隣家)ドアの開閉音、(隣家)          楽器、(屋外)チャイム・校内放送、(屋外)鳥の声   リラックス度低:(自宅)足音、(自宅)ドアの開閉音、(自宅)上下水道、(屋          外)風 集合住宅/一人暮らし/子世代  リラックス度高:(自宅)TVの音、(自宅)楽器  リラックス度低:(隣家)楽器、(屋外)足音 戸建て/家族と同居/子世代   リラックス度高:(自宅)上下水道、(隣家)上下水道、(屋外)足音、(屋外)           チャイム・校内放送  リラックス度低:(自宅)楽器、(屋外)自動車の走行音、(屋外)電車の走行          音

 また、30∼40dB間における各居住タイプのリラックス度は次式で表される。 集合住宅/家族と同居/子世代

   

 リラックス度高: y = 0.2827x2 - 0.6426x - 0.6456  リラックス度中: y = 0.4431x2 - 1.9048x + 0.5951  リラックス度低: y = 0.0818x2 - 0.9937x + 0.2066 集合住宅/一人暮らし/子世代  リラックス度高: y = 0.0912x2 - 0.3842x - 0.6121  リラックス度中: y = -0.2514x2 - 1.2349x - 1.1512  リラックス度低: y = 0.2937x2 - 1.1957x + 0.9745

       

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Chapter 8

戸建て/家族と同居/子世代  リラックス度高: y = -0.3808x2 + 1.6627x - 1.2399  リラックス度中: y = -0.0924x2 + 0.2544x + 0.0695  リラックス度低: y = 0.2035x2 + 0.6581x - 0.1164

   

       

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Chapter 8

8.2 展望

本研究では、今まで騒音として見られることがほとんどであった住宅内の環境 音が、心身にリラックス効果を与えること、すなわちポジティブな効果を持っ ていることを証明することができた。実験手法の提案も含め、今まで経験則で しか語られてこなかった「家族の音を聞くと安心する」「隣家の音がある程度聴 こえることでコミュニケーションの活性につながる」、そういったことを証明す る一助になれたのではないだろうか。今回は身体のリラックスに焦点を当てた が、心理面における音の作用はさらに複雑で深淵なものであろう。この心理面 のからくりを解き明かし、さらに身体との関連性に言及した研究が望まれる。 また今回は、住宅の音環境を総合的に評価することを目指し、住宅内で聴こえ る全ての音を扱った。しかし、それぞれの音の振るまいの違いは非常に大きく、 物理特性も心理的意味合いも違う音たちを一緒くたに扱うことの難しさが分か った。今後は、一つ一つの音をさらに掘り下げていくような作業が必要であろう。

   

       

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謝辞

 手探り状態で歩いてきた研究生活でしたが、何とか1冊の本として成果を残せそうな こと、そしてそんな生活ももう終わろうとしていることにまだ実感が湧きません。  渡辺先生には、体調がお悪いにも関わらずいつも的確な指導をしていただきました。 常に将来の世の中を見据えていらっしゃり、「未来志向」という言葉がぴったりだと感 じていました。期待に応えられたかどうか心配ですが・・・。石垣島でお会いできる日 をたのしみにしています。  林田先生には、ほんとうにご迷惑をおかけしました。卒論時代はあまりの研究のでき なさに迷惑をかけたし、それ以降は生意気を言って困らせてばかりだったと思います。 そんな私に、最後まで丁寧に、かつ的確に指導をしていただき感謝のきもちでいっぱい です。3年間本当にありが���うございました。また飲みゼミがやりたいです!  長澤さんにも、要所要所で的確な指摘をいただきました。「音は難しいよ∼」と言い つつ、話を聞いてくれたことに感謝しています。  遠田さんには、いちばん心細いときにいつも相談に乗ってもらいました。大会原稿提 出日を目前に控えて行き詰まっているとき、同じ目線に立って自分の修論のときの話を してくれたのがとてもうれしかったし、自分もしっかりやらなくてはと思いました。  同期の大河内くん(いろんなことを教えてくれました)、おぬま(いっぱいかまって くれてありがとう)、とおる(とおるはかっこいいよ!)、まっきー(その優しさに涙が出 そうです)、まよ(いつまでもしあわせにね)、たった6人だったけどみんなのおかげで 研究室生活はとても楽しかったです。卒論合宿に始まり、石垣、何度もやった鍋、研究 室で見た雪、思いでいっぱいです。ほんとうにありがとう。  ゼミで懲りずに相手をしてくれたまっすん、阿礼ちゃん、平居くん、五代くん、阿部 くん、本当にお世話になりました。またさびしんぼゼミやおっぱま遠足やりましょう!  そして日頃から話し相手になってくれ被験者もやってくれた、みほこちゃん、もりむ、 ゆかちゃん、永田くん、高崎くんもほんとにありがとう。たわだ、大塚くん、佐古くん、 コウスケくん、1年違っても心は同期です。

   

 末尾ながら、騒音計をお貸しいただいた音響研の小西様に感謝の意を述べたいと思い ます。ご自身の研究でお忙しい中、機材の選択方法や音響の基礎知識など時間を割いて 説明していただきました。音響の専門家がいない中で研究をする身にとって、非常に有 益な時間でした。本当にありがとうございました。  わたしがわたしらしくいられる場所に出会えて、3年間しあわせでした。  みなさまのおかげでここまで来ることができました。  本当にありがとうございました。 2008/02/04 明け方の研究室にて  城戸奈津子        

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参考資料

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参考資料

●文献 <音> 川井敬二、小島隆矢 、平手小太郎、安岡正人、"環境音の印象評価構造に関する研究 ー被験者 自身の言葉に基づいた評価構造の抽出ー"、日本音響学会誌、 Vol.60、No.5、pp. 249-257 石橋睦美、上野佳奈子、渡辺充敏、"技術資料 集合住宅の音環境に関するアノイアンス評価実 験 (特集 騒音・振動評価に関する実験室実験と社会調査)"、日本騒音制御工学会、騒音制御、 Vol.30、No.6、pp. 471-476、2006/12 渡辺充敏、石橋 睦美、上野 佳奈子、"集合住宅の音環境に関する評価実験 (特集 建築環境の音・ 振動評価) -- (研究の動向) 、日本音響材料協会、音響技術、Vol.36、No.1、pp. 54-59、007/03 大室諒知、井上勝夫、阿部今日子、 集合住宅の音環境性能に対する住まい方の効果 :住宅購入 時の消費者要求と住宅性能表示制度 : その9(床衝撃音 (1) 、社団法人日 本建築学会、環境工学 I)、学術講演

概集D-1、環境工学I、Vol.2006、pp. 127-128、2006/07

渡辺充敏、石橋睦美、上野佳奈子、橘秀樹、縄岡好人、"集合住宅の音環境に関する主観評価実 験(窓サッシの遮音性能と屋外騒音の測定方法"、社団法人日本建築学会、環境工学I)、学術講 演

概集D-1、環境工学I、Vol.2006、pp. 81-84、2006/07

橋本頼幸、新居洋子、成瀬哲生、"交通騒音の生理、作業能率、心理に及ぼす影響に関する研究"、 日本建築学会計画系論文集、 No.515、pp. 25-31、1999 平松幸三、高木興一、山本剛夫、池野淳、"騒音のうるささに及ぼす継続時間の効果"、日本音 響学会誌、Vol.32、No.12、pp. 739-750、1976/12 難波ら、"騒音の心理と生理"、騒音制御Vol22、No6、1998 加来治朗、"室内騒音の評価基準"、音響技術、No90、pp11-15 渡辺充敏、石橋睦美、上野佳奈子、橘秀樹、"集合住宅の音環境に関する評価実験"、音響技術、 No.137、pp54-59、2007/03 井上勝男、 住宅の音環境問題と遮音性能表現"、建材試験情報、Vio5、2005 井上勝男ら、"住宅購入予定者を対象とした住宅性能に関する要求内容(その3:住宅購入時の消 費者要求と住宅性能表示制度)"、日本建築学会大会学術講演

概集、2003/09、pp41-42

阿部今日子、井上勝男ら、 音環境に関する居住者反応と性能表現法(その5:住宅購入時の消費 者要求と住宅性能表示制度) 、日本建築学会大会学術講演

hitoshi watanabe lab. waseda univ.

概集、2003/09、pp45-46

master's thesis 2007

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A Research on the Effect to Relaxation and Change in Heart Rate Caused by the Environment Sound within House

大野隆三、鈴木勝之、片山めぐみ、添田昌志、"街で聞こえる音が及ぼす心理的作用の場所によ る差異 その1 音の大きさ評価の場所による差異"、日本建築学会大会学術講演 概集、2003/09、 pp797-798 <ストレス・心理計測> 財団法人機械システム振興協会、 ストレス計測技術の安全対策への適用可能性に関する調査研 究報告書 -要旨- 、2004/03 門前進、"快・不快気分とテンポの血圧値と心拍数に与える影響"、早稲田大学人間科学研究、 Vol.6、No.1、pp19-28 岩田一樹、"感覚遮断環境におけるヒトの心拍変動・脳波ダイナミクスと意識の状態に関する研 究"、北陸先端科学技術大学院情報科学研究科情報処理学専攻、博士論文、2000/03

●書籍 難波精一郎、桑野園子、 音響テクノロジーシリーズ 4 音の評価のための心理学的測定法 、コ ロナ社、1998/07 前川純一、森本政之、坂上公博、 建築・環境音響学 第2版 、共立出版、200/09 ●寄稿 塩田正純、"サウンドスケープからノイズスケープへの変遷"、公害等調整委員会、広報誌ちょ うせい、Vol41、pp28-29、2005/05 榛葉俊一、"自律神経検査で心をみる ーストレス外来での利用 、精神研news、No.314、 2005/11

hitoshi watanabe lab. waseda univ.

master's thesis 2007

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住宅内で聴こえる環境音による心拍変動とリラックス効果に関する研究