鉄道駅ホーム上のエスカレーター利用に関する研究 -高齢者の存在割合とエスカレーター待ち群集の形成について-
G96D095 関根 宏
早稲田大学理工学部建築学科 1999 年度卒業論文 指導教授 渡辺仁史
はじめに
近年、多くの駅でエスカレーターが設置されるようになった。エス カレーターやエレベーターの設置は、高齢者や障害者を支援する設備 として普及が急がれている事業であるが、それは同時に一般に向けた サービスの一貫でもある。ふだん何気なくエスカレーターを利用して いるが、人混みの中で、果たして高齢者やハンディキャップを持つ人 たちは本当に安全に、快適に利用することができているのだろうか? ふと、スキーのリフトのことを思い出した。幼少の頃、リフト待ち の列の中で、うまく前に進めなかったり、止まれずに前の人に接触し したりしてことを。今となっては、そんな姿を見てじれったく思いな がら、わきをすり抜けていくのだが。うまくスキーを操ることができ ずにもがく人からすれば、どんなに焦り、そしてどんなにそばを通り 抜けられることが怖いことか。もし、自分の体を思うように動かせな かったとしたら?人混みの中を歩くとき、エスカレーターに乗り入れ る時、思いもしなかった不自由があるかもしれない。 エスカレーター設置の実情は、限られた面積、配置の中で、理想と は言いがたい設置状況にある。そのなかで、どうすればより多くの利 用者が安全かつ快適に利用できる提案ができるだろうか。 このことが、 本研究のきっかけとなった。
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目次 はじめに
目次
1 序論 1−1 研究目的 2 1−2 研究背景 3 1−3 本論で用いる用語の定義 4
2 予備調査 2−1 高齢者を取り巻く環境 7 2−2 エスカレーター設置の現状 11 3 新宿・巣鴨駅における歩行特性調査 3−1 新宿・巣鴨駅調査概要 20 3−2 調査結果 25 4 エスカレーター乗場における流動分析 4−1 利用者の属性とエスカレーター利用率 28 4−2 群集の形態と密度分布 38 4−3 経路・属性と歩行速度 56
5 総論 64
参考文献 67
今後の展望
おわりに
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1 序論
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1
1-1 研究目的
本研究では、ホーム上のエスカレーター利用における健常者と高齢 者が混在する状態での歩行、流動の特性を明らかにし、高齢化に対応 するための基礎的データを収集することを目的とする。
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1-2 研究背景
本格的な高齢化社会を目前に控え、 特に多数の人間が集まる大規模施設 においての安全に関して早急な対応が求められている。 しかしながら、交通弱者の安全計画に関する研究はほとんど見られない。 その理由として以下のようなことが考えられる。 1
歩行者全体にしめる交通弱者の割合は今まで極めて低かったため
健常者を基準に計画が考えられてきたこと。 2
交通弱者を対象とした実空間での行動実験は安全性の問題などか
ら避けられやすく実験サンプルが少ないこと。 3
健常者と交通弱者の行動特性の違いに関する研究が少ないため、
この2者の差異を見いだしきれていないこと。 そのため今まで多くの安全計画に関する研究は、 一般的な健常者を対象 として行われてきた。その過程では高齢者を含む交通弱者の行動によっ て、健常者の群集流動が阻害されること、また大きな流れによって交通弱 者がさらなる危険にさらされる傾向が見られることが確認されている。 交通弱者に対する対応策としてエスカレーターの設置が急がれている が、 健常者と交通弱者の混在する状態での導入によって流動がさらに複雑 化し、弱者にとってなおのこと困難な状況をつくり出すことも懸念され る。 性質の異なる歩行者によって構成される流動についての研究がなされ る必要があり、 また交通弱者と健常者の比率の変化にも対応していかなけ ればならない。
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3
1-3 本論文で用いられる用語の定義 ■一般的用語 ○人間(man) ・歩行者: 人間が歩行する場合の個人、集団の総称 歩行者流動: 単独歩行、群集流動など、歩行者の流れの総称 ・群集:人間を集団としてとらえたもの 群集流動(pedestrian flow): 群集歩行を、 歩行者の単一の流れあるいはいくつかの流れの交錯としてと らえた概念 ・移動制約者: 交通弱者のうち、歩行(移動)に障害をもつもの ○行動(behavior) ・歩行 歩行(walk): 人間が足を使って進む状態 歩行軌跡(pedestrian locus): 人間が歩行した履歴を線分として表したもの 頭の位置の X,Y 座標を歩行者の位置座標を代表する値として用いる ・流動 流れ(flow): 同一の目標に向かって、 ほぼ並行した動線を描いて歩行する歩行者群の列 が持続する現象 滞留(queue): 一つの流れのある断面において、そこへ上流からの流入流率が、そこから 下流への流出流率を上回っている状態 交錯:人間が接近することにより移動方向・歩行速度を変更し、心理的、物理的 負担をうけること ・歩行を表現する数量的指標 歩行速度(walking speed): 個々の歩行者の移動方向への単位時間あたりの移動距離(m/ 秒) 群集密度(pedestrian density): 歩行空間内に単位面積あたりに存在する歩行者数(人 / ㎡)
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■本論文でとくに定めた用語 ○人間 ・属性:ここでは、年齢を属性とする 以下の観点から、子供、成人、高齢者の 3 層の属性に分けた 歩き方、背格好、服装、髪型などから総合的に判断 子供: 顔つき・体つきが幼い 制服の着用など *中学生程度までを目安にした。 成人: 顔つき・体つきが大人らしい スーツの着用またはカジュアルな服装 下肢の筋力低下などによる歩行障害がみられない 頭髪の脱色、染色などがみられる *目安として、高校生から壮年者までとした。 高齢者:腰が曲がっている 下肢の障害から歩行が不安定 歩行速度が著しく遅い 杖を使用している 服装の色使いが地味 ○行動 ・降車流動: 列車から降りた歩行者の流れ ここでは、 調査対象のホームから昇降施設を用いて出ていく人の流れと する ・エスカレーター利用率: 階段とエスカレーターが併設されている階段においてエスカレーターの 利用者数を階段とエスカレーターの利用者数の総和で除した値 ・階段選択率: 特定の階段の利用者数をホームのすべての階段の利用者数の総和で除し た値
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2 予備調査
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2-1 高齢者を取り巻く環境
■高齢者の人口 日本の人口は、出生率の低下とともに急速に高齢化が進んでおり、 平成2年(1990)の 65 歳以上の人口は 1,489 万人で総人口の 12%を占 めており、昭和 60 年(1985)の 1,246 万人より 2.3%増加している。 平成 7 年(1995 年)以降の将来推計人口は、年少人口(0 ∼ 14 歳) 、 生産年齢人口(15 ∼ 64 歳)ともに減少傾向を続けると予想されてい る。一方、高齢者人口(65 歳以上)は上昇を続け、平成 12 年(2000 年)には 17.0%、平成 32 年(2020 年)には 25%を超える高い水準に 達するものと予測されており、そのほぼ半数は75歳以上の後期高齢者 となっている。
表 2-1 年齢区分別人口の推移と将来推計 (各年 10 月 1 日現在) 年次
総数
0∼14歳 実数 構成割合
実数 1970 1980 1990 2000 2010 2020
15∼64歳 実数 構成割合
65歳以上 実数 構成割合
75歳以上(再掲) 平均年齢 実数 構成割合
千人
千人
%
千人
%
千人
%
千人
%
歳
104,665 117,060 123,611 127,385 130,397 128,345
25,153 27,507 22,486 19,336 21,348 19,833
24.0 23.5 18.2 15.2 16.4 15.5
72,119 78,853 85,904 86,350 81,304 75,774
68.9 67.3 69.5 67.8 62.4 59.0
7,393 10,647 14,895 21,699 27,746 32,738
7.1 9.1 12.0 17.0 21.3 25.5
2,237 3,660 5,973 8,742 13,021 16,049
2.1 3.1 4.8 6.9 10.0 12.5
31.5 33.9 37.6 41.0 43.1 44.9
140,000 120,000 100,000 65歳以上 15∼64歳 0∼14歳
80,000 60,000 40,000 20,000 0 1970
1980
1990
2000
2010
2020 年
図 2-1 年齢区分別人口の推移と将来推計 資料:平成 2 年以前は総務庁統計局「国勢調査」 、平成7年以降は厚生省人口問題研究所「日 本の将来推計人口(平成4年 9 月推計) 」 出典: 「厚生白書」
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■高齢者の公共交通ターミナル利用上の問題 加齢に伴う身体機能の低下の程度は個人により大きく異なる。した がって、高齢者の身体機能に関わる問題点を一概に論じることはでき ないが、ターミナル利用上の主なハンディキャップとしては、次の点 が挙げられる。
1 階段・段差のある箇所の昇降や長い距離を連続して歩くことが困難 2 新しい設備の使用方法が分かりにくい 3 視力、聴力の低下により情報認識が低下する
高齢者の場合、特に垂直移動と長時間にわたる連続動作が困難とな る。昭和 58 年のガイドラインより、垂直移動の必要な箇所へのエレ ベーター、エスカレーターの設置、スロープ化による段差の解消、通 路や階段への手すりの設置、分かりやすいサインの設置等が高齢者へ の配慮として示されている。
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■鉄道駅における高齢者・障害者のための対策 高齢者、障害者のための対策として、特に増加しているのは、視覚 障害者のための誘導・警告ブロックの設置、改札口の拡幅である。誘 導・警告ブロックの平成4年(1992 年)度末時点の整備率は営団・公 営地下鉄では 100%、私鉄(大手 15 社)においても 95.2%と非常に高 い割合となっている。また、身体障害者用便所の設置、自動券売機の 点字テープの貼付けなどの対策も進んでいる。 他方で、エレベーターの設置など垂直移動施設の整備は、総数では 着実に増加しているとはいえ、整備率の観点から見れば未だ不十分で ある。これは垂直移動に関わる施設の設置費用が他の施設に比較して 高いこと、既存の駅への設置がスペースなどの物理的制約上困難であ り、新設、大改造時でなければ設置しにくいこと、維持・管理のラン ニングコストが高いことなどに起因しているものと考えられる。しか し今後予想される社会の急速な高齢化および障害者の自立と社会参加 の要請に鑑みれば、垂直移動施設の整備を推進していくために、これ らの問題解決に向けた積極的な取り組みが求められる。 表 2-2 エスカレーター及びエレベーター設置駅数 * 50年度(1975)
55年度(1980)
60年度(1985)
H.2年度(1990)
H.3年度(1991)
H.4年度(1992)
JR
45
-
167
276
281
293
私鉄(大手14社)
36
90
115
239
283
327
営団、公営地下鉄
83
208
297
425
455
491
設置数 600
500
400 JR 私鉄大手14社
300
地下鉄
200
100
0 1975
1980
1985
1990
1991
1992
年
図 2-2 エスカレーター及びエレベーター設置駅数 *
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表 2-3 エスカレーターおよびエレベーター設置状況 57年度末 設置駅数
H4年度末
整備率
(総駅数5180) JR
設置駅数
整備率
(総駅数4666)
エスカレーター
73
1.4
181
3.9
エレベーター
41
0.8
112
2.4
(総駅数1741)
(総駅数1768)
私鉄
エスカレーター
75
4.3
249
14.1
大手15社
エレベーター
23
1.3
78
4.4
(総駅数364) 地下鉄
エスカレーター
230
63.2
381
77.8
エレベーター
18
4.9
110
22.4
(総駅数7285) 合計
(総駅数490)
(総駅数6924)
エスカレーター
378
5.2
811
11.7
エレベーター
82
1.1
300
4.3
90 80 70 60 JR
50
私鉄 地下鉄
40
平均
30 20 10 0 57年度末
H4年度末
表 2-3 エスカレーター整備率 *(9p エスカレーター、エレベーター両方の設置がある駅は 2 駅としてカウントされている。 ) 以上、出典: 「公共交通ターミナルにおける高齢者・障害者のための施設整備ガイドライン」
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2-2 エスカレーター設置の現状
■エスカレーター設置に関するガイドライン ( 「公共交通ターミナルにおける高齢者・障害者等のための施設整備ガイドライン」より抜粋)
表 2-4 エスカレーターの仕様 施設の問題点と留意点 車いす対応エスカレーター
幅
技術的標準 員 エスカレーター有効内法幅
踏
面 エスカレーター踏面の材料を滑りにくい材質とする
施設利用の際には、係員による操作が必要となる。 従来型においては、車いす使用者の利用中には他の乗
・車いす対応-1200型が望ましい
客は一切利用できなかったが、近年のエスカレーター は車いす使用者の利用開始直後からの他の利用客の乗
ことが望ましい。
乗 降 口水 平部 乗降口ステップの水平部分は3枚、通常段差に達する
降も可能である。なお、エスカレーターの運用につい
までのステップは5枚が望ましい。
ては、上下切替えを行うなどの配慮が必要である。
速
度 30m/分を標準とする。
一般用エスカレーター
床 仕 上 げ 滑りにくい仕上げとする。
車いす利用者が一般用エスカレーターを利用するに はいくつかの問題がある。それは、介護者が必要であ
停 止 装 置 緊急時に操作しやすい停止装置を設置する。
ったり、幅員が狭く乗ることができない機種があった り、速度が速いなどの点があげられる他、踏面が狭く、 く
し
板 できるだけ薄くする。ステップ部分と区別できるよ
す
り 移動手すりは、乗り口ではステップ手前120cm以上、
車いす使用者の傾斜角度大きく不安であったり、途中
う色による縁取りを行うことが望ましい。
手
の停止が不可能なことなどである。 ※但し、エレベーターの設置がより望ましいといえる。
降り口ではステップ後方110cm以上とする。
図 2-4 エスカレーター姿図および寸法
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■山手線各駅のエスカレーター設置状況 (ホームから出る方向のもの)
表 2-5 は、山手線 29 駅の、山手線ホームにおけるエスカレーター 設置の状況を示したものである。ここでは、ホームから出る方向のエ スカレーター、つまり降車流動が昇降するエスカレーターについて設 置の有無を調べた。 表 2-5 エスカレーター設置状況 各駅山手線ホーム 駅名 1 新宿 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
新大久保 高田馬場 目白 池袋 大塚 巣鴨 駒込 田端 西日暮里 日暮里 鴬谷 上野 御徒町 秋葉原 神田 東京 有楽町 新橋 浜松町 田町 品川 大崎 五反田 目黒
26 恵比須 27 渋谷 28 原宿 29 代々木 注)昇降施設 esc設置
昇降施設 esc設置 escの方向 昇降 ○ 降(双方向) 昇 降 × 昇降 × 昇 ○ 昇(双方向) 昇降 × 降 × 昇 ○ 昇 昇 × 昇 × 降 × 昇 × 降 × 昇降 ○ 昇 降 × 昇降 × 降 × 降 ○ 降 降 × 降 × 昇降 ○ 昇 昇 × 昇 ○ 昇 昇 × 降 × 昇降 ○ 降(双方向) 昇 昇降 ○ 昇(双方向) 降(双方向) 昇降 ○ 昇 昇 × 降 ×
設置状態 単独 階段併設
単独
階段併設
階段併設
階段併設
単独 階段併設
単独 階段併設 単独 単独 階段併設
・・・ホームに設置された昇降施設(階段、エスカレーターなど)が、ホームから上るものか、 下りるものか、両方あるのか ・・・ホームから出るためのエスカレーターの有無
escの方向 ・・・ホームから出るためのエスカレーターが、ホームから上るものか、下るものか 双方向とは、ホームから出る方向と入る方向のエスカレーターが同じ場所に設置されているもの 設置状態
・・・エスカレーターが階段に併設されているのか、その箇所ではエスカレーターだけなのか
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ホームから出る方向のエスカレーターでは、列車の到着によって明 確な利用者の増減があり、利用者が増加した時にホーム上でエスカ レーター付近の群集が拡大する可能性が高い。そのため、ホームの安 全上、エスカレーターの配置を考慮する必要がある。
表2-5 に示したように、ホームから出る方向のエスカレーターでは、 ホームからコンコースなどへ上る構成の場合、多く設置されている。 これに反してホームから下る構成の場合、下り方向のエスカレーター が設置されている駅は少ない。これは上り方向のエスカレーターが優 先的に設置されているためであるが、山手線の駅において、ホームか らコンコースなどへ下る形式の駅は、規模が小さくエスカレーターを 設置する余地がない場合が多くみられる。 上り、下りのエスカレーターが 1 カ所に設置されたもの(双方向エ スカレーター)は、新宿などの大規模な駅や、目白、恵比須など近年 大改修を受けた駅においてみられた。 今後、移動制約者・健常者双方へのサービスとして、小規模駅への エスカレーター設置、下り方向のエスカレーター設置が進められてい くと考えられるが、特に小規模駅ではエスカレーターを待つ群集が転 落、列車への接触などすることなく安全に利用できるように配慮が必 要ではないだろうか。
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■山手線ホームにおけるエスカレーター設置位置 (ホーム幅、階段に対する左右位置) 山手線 29 駅のホームから出る方向のエスカレーターの設置位置は、 次のパターンがある。 ○単方向エスカレーター ・階段併設: 階段の右側 5 件 階段の左側 8 件 ・単独設置: ホーム中央部右寄り 1 件 ○双方向エスカレーター: ホーム中央部 5 件
階段に併設されるエスカレーターは、階段左側に設置される場合が 多く見られる。 これは一般的に駅の階段や通路が左側通行であるため、 階段、エスカレーター双方の利用者の流動を左方向に集めることがで きるからと考えられる。 双方向のエスカレーターでは、ホームから出る方向のエスカレー ターは、 ホームからエスカレーターに向かって右側に配置されていた。
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□単方向エスカレーター <階段併設、右側> ○該当駅(上りエスカレーター) 新宿南口階段× 2、上野駅内回りホーム
○該当駅(下りエスカレーター) 東京駅× 2
降車流動 ホームへ入る利用者
図 2-5 エスカレーター設置例(単方向・右)
図 2-6 新宿駅
図 2-7 東京駅
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15
□単方向エスカレーター <階段併設、左側> ○該当駅(上りエスカレーター) 品川駅× 3、上野駅外回りホーム、目黒駅、 渋谷駅× 2、巣鴨駅
降車流動 ホームへ入る利用者
図 2-8 エスカレーター設置例(単方向・左)
図 2-9 渋谷駅
図 2-10 品川駅
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□単方向エスカレーター <単独設置> ○該当駅 浜松町(上りエスカレーター)
降車流動
図 2-11 エスカレーター設置例(単方向)
図 2-12 浜松町駅
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□双方向エスカレーター UP ○該当駅(上りエスカレーター) 恵比須駅、目白駅
○該当駅(下りエスカレーター)
DN
降車流動 ホームへ入る利用者
図 2-8 エスカレーター設置例 双方向
恵比須駅、目黒駅、新宿駅中央通路
※ホームから出る方向のエスカレーターは、恵 比寿駅の下りを除いて、ホームからエスカレー ターに向かって右側に設置されている。
図 2-6 目白駅
図 2-7 目黒駅
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3 新宿・巣鴨駅における歩行特性調査
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3-1 新宿・巣鴨駅調査概要
エスカレーター手前での時間的および座標的な歩行特性を確認する ために以下のような条件で調査を行った。 調査地点 [01] JR 新宿駅山手線内回りホーム [02] JR 巣鴨駅山手線ホーム 実施時間 [01] 平日午後 [02] 平日朝・昼・夕方 調査内容 降車流動がエスカレーターに進入する様子をビデオ カメラによって撮影する。
■実験地点の決定 実験地点の条件として 1 ホームから出る方向のエスカレーターが設置された駅で、 充分な降車流動が発生すること。 2 ハイアングルでの VTR の設置が可能であること(図 3-1) 。 これらの条件のうち、2 は可能な限り流動を真上に近い方向から撮 影することで、 歩行軌跡を抽出する際の誤差を小さくするためである。 また機器の取り付けや調査時間帯における操作が可能である必要が あり、流動の妨げにならずに脚立を用いて作業できる場所であるとい う条件を重視せざるを得なかった。
図3-1 ビデオカメラ設置例 巣鴨駅エスカレーター前 ビデオカメラの設置にあたり、鉄 道総合研究所所有の固定用金具を 用いた。
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以上の条件を考慮した上で、以下の箇所に決定した。 [01]新宿駅 山手線内回りホーム 01-01 南口階段エスカレーター付近 01-02 中央通路エスカレーター付近 [02] 巣鴨駅 山手線ホームエスカレーター付近
■調査日時の決定 新宿駅に関しては、ラッシュ時においては経路選択の自由がなくな ると考えられるので、ラッシュを避けた昼から夕方にかけての時間帯 を選定した。 巣鴨駅に関しては、高齢者の利用が充分見込見込まれるとげ抜き地 蔵の祭りである”4の日” (4日、14日、24日)の開催に合わせ、利用 者の属性比率に変化があらわれる時間帯を選択し、設定した。
[01]JR 新宿駅山手線内回りホーム 01-01 南口階段 1999.5.13(木) 15:00 ∼ 17:00 頃 01-02 中央通路 1999.9.22(水) 15:00 ∼ 17:00 頃 [02]JR 巣鴨駅山手線ホーム 02-01 1999.9.24(金) 7:00 ∼ 9:00 頃 02-02 1999.9.24(金) 11:00 ∼ 13:00 頃 02-03 1999.9.24(金) 17:00 ∼ 19:00 頃
調査当日は、流動に大きな変化を与えるような大きな混乱はなかっ た。巣鴨駅の調査当日は台風の影響が心配され、夕刻には雨が降り出 したが、高齢者の多く出歩く昼間の天気は良好で、調査に悪影響はな かった。
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VTR の設置 [01-01]新宿駅山手線内回りホーム 南口階段エスカレーター
図3-2 撮影ポイント
図3-3 調査箇所風景
図3-4 撮影画像
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22
[01-02]新宿駅山手線内回りホーム 中央通路エスカレーター
図3-5 撮影ポイント
図3-6 撮影画像
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[02]巣鴨駅 山手線ホームエスカレーター
図3-7 撮影ポイント
図3-8 撮影画像
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3-2 調査結果
撮影した VTR から以下の方法で座標データを生成した。 1 1/3 秒ごとの連続する画像をコンピューターに取り込む。 2 その映像データから、エスカレーター利用者の流動について 抽出する。 3 このデータを2次元データ(直交座標)に変換する。
図3-9 画像抽出作業画面
■操作内容の詳細 上記の1∼3の作業ついて 1 映像取り込み VTR 映像を、秒 3 コマの連続する静止画として取り込む。 2 流動成分の抽出 画像の人間の頭を目安に 「何番目の人・フレーム・X座標・Y座標」 の形で流動の様子を数値化する。 (図 3-4 参照)
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3 座標変換 ビデオから得た映像ではパースがかかっているので、 これを平面図で見たような絵にして、思考や分析を簡 単にするために、座標変換を行う。 なお1と3の操作については扱うデータ量が莫大であるために、作 業を効率よく行うために渡辺仁史研究室修士卒の先輩である樋口智幸 氏が作成した半自動化プログラムを使用した。
以上の操作によって、得られた座標データをもとに解析を行う。
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4 エスカレーター付近の流動解析
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4-1 利用者の属性とエスカレーター利用率
エスカレーター利用者の数と属性ごとの構成比率を、撮影したビデ オより算出した。ここでは、列車到着時の降車流動に着目し、一群の 降車流動が通過し終えるまでの時間を単位時間として、この間のエス カレーター利用者について分析を行った。
■調査対象 エスカレーター利用率を求めるため、エスカレーターの併設されて いる階段について、エスカレーター利用者数、階段利用者数をカウン ト調査した。調査場所は以下の通り。 1. 巣鴨駅 山手線ホームエスカレーター併設階段 2. 新宿駅 山手線内回りホーム南口階段
■調査の詳細 以上の箇所について、列車到着から一群の降車流動が通過し終える までの間、階段およびエスカレーターを上ってコンコースへと出る降 車流動のうち、階段利用者(上り) 、エスカレーター利用者をカウント し、カウントと同時に、利用者の属性を記録した。 利用者数はエスカレーターについては手すりのベルトの端部の位置、 階段についてはホームと階段の境界位置を通過した人数とした。 表 4-1 エスカレータ利用率調査サンプル数 高齢者[人] 巣鴨7∼9:00 巣鴨11∼13:00 巣鴨17∼19:00 新宿南口15∼17:00 計
74 474 110 71 729
子供・成人[人] 計[人] 1485 806 1474 1414 5179
1559 1280 1584 1485 5908
また、巣鴨駅の 11:00 ∼ 13:00 の時間帯については、利用者数の 時間変動を得るために、10回分の降車流動について、列車到着から10 秒ごとに利用者数をカウントした。
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28
■利用者の属性 歩行者を年齢による属性によって区分し、高齢者の存在割合を求め た。ここでは、高齢者とそれ以外の健常者(子供、成人)について比 較する。
1800
1600 1400
1200
1000
子供・成人 [人]
800
高齢者[人]
600
400
200 0 巣鴨7∼9:00
巣鴨11∼13:00
巣鴨17∼19:00
新宿南口
図 4-1 エスカレーター、階段利用者の属性
図 4-1 は、各駅、各時間帯ごとの歩行者(10 回の降車流動)の属性 を示したものである。 巣鴨駅では、昼間の時間帯に高齢者が多く、調査地点のエスカレー ター、階段を利用した降車流動の 38%を占めた。
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29
■エスカレーター利用率 ここでは、エスカレーター利用率を、エスカレーターが併設される 階段における階段、エスカレーターの利用者総数のうちのエスカレー ター利用者の割合とし、とくに降車流動に注目するので階段利用者数 は階段を上った人数とする。 エスカレーター利用率=エスカレーター利用者数÷(階段+エスカレーター利用者総数)
各対象におけるエスカレーター利用率は、表 4-2 のようになった。 表 4-2 各対象のエスカレーター利用率 巣鴨
7∼9:00 11∼13:00 17∼19:00 新宿南口 15∼17:00
全体 0.56 0.77 0.67 0.76
高齢者 0.88 0.89 0.74 0.96
健常者 0.54 0.69 0.66 0.75
巣鴨では、 昼の時間帯のエスカレーター利用率が高いことが分かる。 新宿南口階段では、巣鴨の昼の時間帯と同程度の利用率となった。 結果の詳細は次頁の表 4-3 の通りである。
各駅、各時間帯の利用者数とエスカレーター利用率の関係を図 4-2 ∼ 4-5 に示す。 まず、利用者が増加するにつれて健常者、高齢者ともにエスカレー ターを選択する率が低下することが確認できる。回帰直線の傾きに着 目すると、 巣鴨の朝を除いては健常者のグラフの方が傾きが急であり、 利用者が多い時は、高齢者よりも階段を選択する率があがることが分 かる。朝のラッシュ時では、健常者は利用者数の少ない時であっても、 他の時間帯に較べて階段を利用する割合が高い。 図4-6∼4-9は、 単位時間を1分とした時の利用者数とエスカレーター 利用率の関係を示したものである。
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30
表 4-3 エスカレーター利用率 巣鴨
7:00∼ 9:00
計測時間 [s] 30 50 45 40 90 40 40 60 60 70 40 30 60 90 80
巣鴨
11:00∼ 13:00
95 90 90 90 90 90 90 90 40 45 50 90 90 90 90
巣鴨
17:00∼ 19:00
70 60 70 60 60 30 90 35 30 60 80 60 90 80 90
新宿南口 15:00∼ 17:00
70 70 80 70 70 70 40 80 60 80 50 50 60 60 50
到着列車 外回り 外回り 外回り 外回り 外回り 外回り 外回り 外回り 平均 内回り 内回り 内回り 内回り 内回り 平均 両方 両方 両方 両方 両方 平均 全体 外回り 外回り 外回り 外回り 外回り 外回り 外回り 外回り 平均 内回り 内回り 内回り 内回り 内回り 内回り 内回り 内回り 平均 両方 両方 平均
1599 127 102 88 93 57 96 64
80 68 59 62 38 64 43
74 18 25 32 38 24 42 29
1485 109 77 56 55 33 54 35
63 51 68 93 84 64 84
42 77 91 112 56 43 56
20 17 25 36 40 33 48
43 34 43 57 44 31 36
146
97
47
99
全体 外回り 外回り 外回り 外回り 外回り 外回り 平均 内回り 内回り 内回り 内回り 内回り 内回り 平均 両方 両方 両方 両方 両方 両方 平均
1280 145 79 121 138 81
124 79 104 138 81
474 7 4 7 8 8
806 138 75 114 130 73
55 38 40 46 58
110 25 69 92 58
1 1 4 5 7
54 37 36 41 51
160 132 141 177 173
120 132 94 133 115
8 8 9 12 21
152 124 132 165 152
全体 山手+総武 山手+総武 山手+総武 山手+総武 山手+総武 山手+総武 山手+総武 平均 山手線 山手線 山手線 山手線 山手線 山手線 山手線 山手線 山手線 山手線 平均
1584 94 111 114 151 110 92
81 95 86 129 94 79
110 3 4 5 7 7 8
1474 91 107 109 144 103 84
59 132 92 127 70 75 84 106 68
89 99 92 95 84 90 84 106 82
0 3 3 5 3 4 5 7 7
59 129 89 122 67 71 79 99 61
全体 総計
利用者全数 エスカレータ利用者 esc選択率 全体 1分間あたり 高齢者 健常者 高齢者比率 全体 1分間あたり 全体 高齢者 健常者 73 146 0 73 0.00 31 62 0.42 0.42 92 110 1 91 0.01 49 59 0.53 1.00 0.53 79 105 3 76 0.04 47 63 0.59 1.00 0.58 44 66 2 42 0.05 34 51 0.77 1.00 0.76 197 131 11 186 0.06 113 75 0.57 0.55 0.58 53 80 4 49 0.08 26 39 0.49 0.75 0.47 55 83 6 49 0.11 31 47 0.56 0.83 0.53 0.05 0.56 0.85 0.55 89 89 2 87 0.02 41 41 0.46 1.00 0.45 111 111 4 107 0.04 57 57 0.51 1.00 0.50 158 135 6 112 0.04 82 70 0.52 0.83 0.33 71 107 9 62 0.13 52 78 0.73 0.78 0.73 0.06 0.56 0.90 0.50 75 150 0 75 0.00 45 90 0.60 0.60 193 193 4 189 0.02 82 82 0.42 0.75 0.42 159 106 7 152 0.04 98 65 0.62 1.00 0.60 150 113 15 135 0.10 89 67 0.59 0.93 0.56 0.04 0.56 0.89 0.54 0.05 0.14 0.25 0.36 0.41 0.42 0.44 0.45 0.35 0.32 0.33 0.37 0.39 0.48 0.52 0.57 0.42 0.32 0.32
877 87 69 68 75 45 60 53
55 46 45 50 30 40 35
57 39 57 66 67 58 64
38 59 76 79 45 39 43
92
61
0.38 0.05 0.05 0.06 0.06 0.10 0.06 0.02 0.03 0.10 0.11 0.12 0.07 0.05 0.06 0.06 0.07 0.12 0.07
957 82 50 88 74 57
70 50 75 74 57
41 31 36 40 41
82 21 62 80 41
89 74 76 103 99
67 74 51 77 66
0.07 0.03 0.04 0.04 0.05 0.06 0.09 0.05 0.00 0.02 0.03 0.04 0.04 0.05 0.06 0.07 0.10 0.05
981 81 86 88 96 76 80
69 74 66 82 65 69
48 92 77 88 58 55 63 67 54
72 69 77 66 70 66 63 67 65
1109
1485
71
1414
0.05
5948
729
5179
0.12
0.56 0.69 0.68 0.77 0.81 0.79 0.63 0.83 0.74 0.90 0.76 0.84 0.71 0.80 0.91 0.76 0.81 0.63 0.63
0.88 1.00 0.76 0.84 0.89 0.92 0.79 0.93 0.88 0.95 0.94 0.84 0.89 0.93 1.00 0.88 0.92 0.74 0.74
0.54 0.63 0.65 0.73 0.75 0.70 0.50 0.74 0.67 0.88 0.68 0.84 0.60 0.68 0.81 0.61 0.73 0.58 0.58
0.77 0.57 0.63 0.73 0.54 0.70 0.63 0.75 0.82 0.90 0.87 0.71 0.81 0.56 0.56 0.54 0.58 0.57 0.56
0.89 0.57 1.00 0.71 0.63 0.88 0.76 0.00 1.00 1.00 1.00 0.71 0.74 0.63 0.88 0.78 0.50 0.76 0.71
0.69 0.57 0.61 0.73 0.53 0.68 0.62 0.76 0.81 0.89 0.85 0.71 0.80 0.55 0.54 0.52 0.59 0.55 0.55
0.67 0.86 0.77 0.77 0.64 0.69 0.87 0.77 0.81 0.70 0.84 0.69 0.83 0.73 0.75 0.63 0.79 0.75
0.74 1.00 0.75 1.00 0.86 1.00 0.88 0.91
0.66 0.86 0.78 0.76 0.63 0.67 0.87 0.76 0.81 0.69 0.83 0.68 0.82 0.72 0.73 0.61 0.77 0.74
1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00
0.76
0.96
0.75
0.69
0.87
0.66
早稲田大学建築学科渡辺仁史研究室 1999 年度卒業論文
31
1.00
0.80
0.60
0.40
全体 高齢者 健常者
0.20
線形 (全体) 線形 (高齢者) 線形 (健常者)
0.00 0
50
100
150
図 4 - 2 エスカレー ター利用率
200
巣鴨駅 7:00∼9:00
利用者数 [人]
1.00
エスカレーター利用率
0.80
0.60
0.40
全体 高齢者 健常者
0.20
線形 (全体) 線形 (高齢者) 線形 (健常者)
0.00 0
50
100
150
図 4 - 3 エスカレー ター利用率 巣鴨駅 11:00∼13:00
200
利用者数 [人]
1.00
エスカレーター利用率
0.80
0.60
0.40
全体 高齢者 健常者
0.20
線形 (全体) 線形 (高齢者) 線形 (健常者)
0.00 0
50
100
150
図 4 - 4 エスカレー ター利用率
200
巣鴨駅 17:00∼19:00
利用者数 [人]
1.00
エスカレーター利用率
0.80
0.60
0.40
全体 高齢者 健常者
0.20
線形 (全体) 線形 (高齢者) 線形 (健常者)
0.00 0
50
100 利用者数 [人]
150
200
図 4 - 5 エスカレー ター利用率 新宿駅 13:00∼15:00
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32
1.00
エスカレーター利用率
0.80
0.60
0.40
全体 健常者 高齢者
0.20
線形 (全体) 線形 (健常者) 線形 (高齢者)
0.00 0
20
40
60
80
100
図 4 - 6 エスカレー ター利用率
利用者数 [人/min]
巣鴨駅 7:00∼9:00
1.00
エスカレーター利用率
0.80
0.60
0.40
全体 高齢者 健常者
0.20
線形 (全体) 線形 (高齢者) 線形 (健常者)
0.00 0
20
40
60
80
図 4 - 7 エスカレー ター利用率
100
利用者数 [人/min]
巣鴨駅 11:00∼13:00
1.00
エスカレーター利用率
0.80
0.60
0.40
全体 高齢者 健常者
0.20
線形 (全体) 線形 (高齢者) 線形 (健常者)
0.00 0
20
40
60
80
図 4 - 8 エスカレー ター利用率
100
利用者数 [人/min]
巣鴨駅 17:00∼19:00
1.00
エスカレーター利用率
0.80
0.60
0.40
全体 高齢者 健常者
0.20
線形 (全体) 線形 (高齢者) 線形 (健常者)
0.00 50
70 利用者数 [人/min]
90
図 4 - 9 エスカレー ター利用率 新宿駅 13:00∼15:00
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33
単位時間を1分と定めることで、降車流動の全数ではなく各降車流 動の密度、流率(単位時間、単位長さあたりの通過人数)によって示 される混雑度からエスカレーターの利用率を比較することができる。
単位時間を降車流動の途切れるまでに定めた場合(図4-2∼4-5)と、 1 分間と定めた場合(図4-6 ∼4-9)を比較すると、巣鴨の昼以外は利 用者数[人 /min]が増大すると高齢者のエスカレーター利用率が著しく 低下する傾向がみられる。しかし図4-10、4-11からわかるように、流 動規模の大きい時は高齢者の数が少ないことから、少数のサンプルに よって利用率が左右されやすい。ただし、通勤・通学ラッシュなどの 混雑時に駅を利用する高齢者は健常者と同様に行動できる者が多く、 エスカレーターが混雑した場合は健常者に近いエスカレーター利用率 を示すのではないか、という予測が立てられる。
図 4-7 の巣鴨の昼の時間帯では、利用者が増加しても高齢者のエス カレーター利用率が低下する程度が低いが、これは高齢者の外出時間 帯がラッシュから外れた昼間の時間帯に集中しており、健常者と歩行 特性の異なる歩行者の出現率が上がるため、混雑の度合いに関わらず エスカレーターを利用する高齢者が増えるためであると考えられる。
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60
50
高齢者数[人]
40
30
20
10
0 0
50
100
150
200
250
降車流動の規模 [人]
図4-10 降車流動の規模と高齢者数
60
50
高齢者数[人]
40
30
20
10
0 0
50
100
150
200
降車流動の規模 [人/min]
図 4-11 混雑度と高齢者数
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35
図4-12、4-13は列車到着後の時間経過による利用者数の変動を示し たものである。内回り列車の到着後は、高齢者のエスカレーター利用 が健常者のピークよりも後まで続いていた。これは近くの扉からの降 車流動が通過し終わった後、高齢者の歩行速度が低いため、あるいは 遠くで降車した高齢者がエスカレーターに到達したため、第2のピー クを形成しているのではないかと考えられる。 また、表 4-3 からも分かるように、巣鴨駅では外回り列車の方がエ スカレーターの配置上、エスカレーター利用率が若干低くなる傾向が みられた。
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14
12
利用者数 [人]
10
8
esc高齢者 esc健常者
6
階段昇高齢者 階段昇健常者
4
階段下り esc合計
2
0 10
20
30
40
50
60
70
80
90
経過時間 [s]
図 4-12 利用者数の時間変動 外回り 列車到着後の経過時間 , 巣鴨駅 11:00 ∼11:20
14
12
利用者数 [人]
10
8
esc高齢者 esc健常者
6 階段昇高齢者 階段昇健常者
4
階段下り esc合計
2
0 10
20
30
40
50
60
70
80
90
経過時間 [s]
図 4-13 利用者数の時間変動 内回り 列車到着後の経過時間 , 巣鴨駅 11:00 ∼11:20
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4-2 群集の形態と密度分布
ここでは、 エスカレーター利用者がエスカレーターに乗るまでの流動状態につ いて、歩行軌跡、群集密度を用いて分析する。
■分析概要 エスカレーター乗場付近を撮影したビデオから、各駅、時間帯ごとに1つの降 車流動について歩行軌跡を抽出した。抽出の方法は3章で示した通りである。各 降車流動のうち、 一群の流動が通過し終わるまでの間にエスカレーターに進入し たすべてのエスカレーター利用者の歩行位置を座標化し、 歩行軌跡と、 一定時刻 の歩行者の分布を得た。 調査対象は以下の通り。 いずれも山手線内回り列車が到着し、 扉が開いた時間 を t=0 とした。 1. 巣鴨駅 山手線ホーム エスカレーター 1999.9.24 7:02 2. 巣鴨駅 山手線ホーム エスカレーター 1999.9.24 11:51 3. 巣鴨駅 山手線ホーム エスカレーター 1999.9.24 17:21 4. 新宿駅 山手線内回りホーム 南口階段エスカレーター 1999.5.13 15:32 5. 新宿駅 山手線内回りホーム 中央通路エスカレーター 1999.9.22 15:34
図 4-15 から 4-19 に抽出した歩行軌跡を示す。 図 4-15、4-16、4-17 ではエスカレーター手前の手すり幅の中央、図 4-18、4-19、 4-20 ではエスカレーターのステップ(可動部分の踏み面)の中央を X=0 とし、 Y 方向はエスカレーターのステップの開始位置を Y=0 とした。
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-2000 -1000
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
8000
9000 -3000
-2000
-1000
0
1000
2000
3000
mm
図 4-15 歩行軌跡 1 巣鴨駅 山手線ホーム エスカレーター 1999.9.24 7:02
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39
-2000
-1000 0
1000
2000
3000 4000
5000 6000
7000
8000 9000 -3000 -2000 -1000
0
1000 mm
2000
3000
図 4-16 歩行軌跡 2 巣鴨駅 山手線ホーム エスカレーター 1999.9.24 11:51
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-2000 -1000
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
8000
9000 -3000
-2000
-1000
0
1000
2000
3000
mm
図 4-17 歩行軌跡 3 巣鴨駅 山手線ホーム エスカレーター 1999.9.24 17:21
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2000 1000
0
-1000
-2000
-3000
-4000
-5000
-6000
-7000
-8000 -9000 3000 2000
1000
0
-1000 -2000
-3000
mm
図 4-18 歩行軌跡 4 新宿駅 山手線内回り 南口階段エスカレーター 1999.5.13 15:32
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-1000
0
1000
mm
2000
3000
4000
5000
6000
7000
8000
9000 -4000 -3000 -2000 -1000
0
1000
2000
300
図 4-19 歩行軌跡 5 新宿駅 山手線内回り 中央通路エスカレーター 1999.22 15:34
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歩行軌跡の図から、 エスカレーター利用者がどの方向から歩いてきているのか わかる。 巣鴨の例では、 朝や夕方に較べ昼間はエスカレーターの進行方向に対し て、反対側から歩いてくる人、つまり U ターンしてエスカレーターに乗る人の 割合が高くなっている。 また夕方にはエスカレーター手前の方向から直進して乗 る人の割合が朝昼に較べ高くなっている。 新宿駅の南口階段では撮影時の視野が狭かったことからエスカレーター利用者 の列の横方向から進入する軌跡を記録することができなかったので分かりづらい が、 エスカレーターに向かって右側のホーム端部とエスカレーターの間を通って 回り込んで乗る利用者が多い。 新宿駅の中央通路階段では、 ホームを直進してエスカレーターに進入する利用 者は少なく、 列車が到着したホームのエスカレーターの背後方向から回り込んで 進入する利用者が多くなっている。 ここでは、 エスカレーターの同一ホームでの 配置上、 ホームを直進して進入する方向の降車流動は手前の階段を利用する割合 が高いためであると考えられる。
■画像解析の誤差について 歩行軌跡、歩行者の位置の座標化にあたり、3 章の 2 に示したようにビデオ画 像上で歩行者の位置をプロットし直交座標上に軌跡を描いたわけだが、 この操作 の特性上、 ビデオ画像上で、 プロットした人の頭の高さが基準に設定した高さか らずれていると、直交座標に投影される水平位置にずれを生じる。また、撮影時 ビデオカメラに広角レンズを取り付けるため、 視野の中央から遠い範囲について は像に歪みが生じる。 図4-16、4-19に顕著に見られた、歩行軌跡と実測によるプランの重なりは、以 上のような誤差が生じているためであると考えられる。
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■群集密度の図示 次に、エスカレーター乗場付近の群集密度を示す。 歩行軌跡を X-Y の平面で表した場合、流動の時間変化を表現することができな い。 ここでは流動内部の空間的、 時間的な混雑状態の変化を簡潔に表記するため に、一定間隔の時刻における人の分布図を連続的に示す。
○表記方法 ビデオ画像から抽出したエスカレーター利用者の歩行軌跡から、 同じフレー ムに存在する人の座標を取り出し、平面上にプロットする。 この平面図をグリッドで区切り、1mのグリッドごとに範囲内の人の数によっ て 5 段階のグラデーションをつける。 この図を、列車到着から3秒ごとに、一群の降車流動が通過し終わる時間ま で配列する。
図 4-20 ∼ 4-24 に密度分布を示す。
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図4-20 群集形態と密度分布-1
t=3s t=3
t=24s t=24
t=6s t=6
巣鴨駅 山手線ホームエスカレーター 7:02
t=21s t=21
0
1 1
5 人/㎡
6m
年齢別歩行速度 JR巣鴨駅 99.9.24 7:02 子供 成人 17
4
サンプル数
3
3
t=9s t=9
成人 高齢者 子供
2
19
高齢者
t=12s t=12
2
計 38
t=15s t=15
t=18s t=18
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図4-21 群集形態と密度分布-2
年齢別歩行速度 JR巣鴨駅 99.9.24 11:51 子供 成人 8 50
t=18s
計
t=15s
27
t=12s
高齢者
t=9s
15
t=6s
サンプル数
t=3s
巣鴨駅 山手線ホームエスカレーター 11:51
t=36s
2
子供
高齢者
成人
t=33s
6m
t=30s
1 1
5 人/㎡
t=27s
4
t=24s
3 3
t=21s
t=39s
0
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図4-22 群集形態と密度分布-3
年齢別歩行速度 JR巣鴨駅 99.9.24 17:21 子供 成人 1 計 69
t=21s
14
t=18s
高齢者
t=15s
t=42s
54
t=12s
t=39s
サンプル数
t=9s
t=36s
巣鴨駅 山手線ホームエスカレーター 17:21
t=6s
t=33s
t=3s
t=30s
6m
5 人/㎡
t=27s
t=24s
3
4
t=57s
成人
高齢者
子供
2
3
t=51s
t=48s
1
1
t=54s
t=45s
0
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図4-23 群集形態と密度分布-4
年齢別歩行速度 JR新宿駅 南口階段エスカレーター 99.5.13 15:32 子供 成人 高齢者 4 35 9
t=15 t=15s
t=18 t=18s
56
t=12 t=12s
t=36 t=36s
計
t=9 t=9s
t=33 t=33s
サンプル数
t=6 t=6s
t=30 t=30s
新宿駅 山手線内回りホーム 南口階段エスカレーター 15:32
t=3 t=3s
t=27 t=27s
6m
t=24 t=24s
3
5 人/㎡
t=21 t=21s
成人 高齢者 子供
2
4
t=42s
1 1
3
t=39 t=39s
0
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図4-24 群集形態と密度分布-5 年齢別歩行速度 JR新宿駅 中央通路エスカレーター 99.9.22 15:34 子供 成人 高齢者 4 78 2
t=12s t=12
t=33s t=33
t=15s t=15
t=36s t=36
t=18s t=18
84
t=9s t=9
t=30s t=30
計
t=6s t=6
t=27s t=27
サンプル数
t=3s t=3
t=24s t=24
新宿駅 山手線内回りホーム 中央通路エスカレーター 15:34
t=21s t=21
t=54s
1
t=51s
0
t=48s
6m
t=45s
3
t=42s
1
t=39s t=39s
成人 高齢者 子供
2
3
4
5 人/㎡
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図 4-20、4-21、4-22 の巣鴨駅での3 つの時間帯の密度分布をみると、 山手線内回り列車の到着した2番線方向の、 エスカレーターに向かって左側の手 すり部分が、 高密度である時間が他の時間帯よりも長いことが分かる。 他の部分 の高密状態は短時間のうちに変動するが、この部分の高密状態は解消されにく い。 時間帯ごとに比較をすると、11:51の群集流動において上記の傾向が強い。ま た同じ手すりの左側、 ホームよりの部分に人のいる時間が長い。 先に示した歩行 軌跡をみると、11:51の降車流動はエスカレーター背後方向から回り込んでエ スカレーターに進入する利用者が多く、図4-20、4-21、4-22の図中の歩行者のプ ロットから見ても、 回り込んで列に加わろうとする利用者がいる時に高密な状態 を発生させていると考えられる。 エスカレーター乗場の群集の形態については、7:02および17:21における群 集形態が拡散した縦長の形態をしているのにくらべ、11:51における群集はエ スカレータ左側に偏った、 また乗場に近い方向につぶれた形態を示していること が分かる。 図4-23の新宿駅南口階段の群集では、縦方向に分散した群集形態を示してお り、高密度の状態も他の調査箇所に較べ少ない。反対に新宿駅中央通路エスカ レーターでは、列らしき形態はみられず、エスカレーターの延長線上の、エスカ レーターのステップから 2 ∼3m 手前に高密な状態を発生させている。 エスカレーターのステップの開始される位置から2∼3mの範囲では密度が高 くなる傾向は、全体を通してもみられた。
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■方向別存在度数分布 次に、巣鴨駅の3つの降車流動について、エスカレーターに向かって前後、左 右方向の位置に対する歩行者の分布を図 4-25∼ 4-30に示す。 X、Y 方向とも 500mm 間隔の範囲内の存在度数をプロットする。 140
120
100
80
60
40
20
0 -2000
-1500
-1000
-500
0
500 1000 X位置 mm
1500
2000
2500
3000
次の級
図4-25 X 方向ヒストグラム 巣鴨駅7:02 140
120
100
80
60
40
20
0 -2000
-1500
-1000
-500
0
500 1000 X位置 mm
1500
2000
2500
3000
次の級
図4-26 X 方向ヒストグラム 巣鴨駅11:51 140
120
100
80
60
40
20
0 -2000
-1500
-1000
-500
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
次の級
X位置 mm
図4-27 X 方向ヒストグラム 巣鴨駅17:21
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45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 0
500
1000
1500
2000
2500
3000 3500 Y位置 mm
4000
4500
5000
5500
6000
次の級
図4-28 Y 方向ヒストグラム 巣鴨駅7:02 45 40 35 30 25
20 15 10 5 0 0
500
1000
1500
2000
2500
3000 3500 Y位置 mm
4000
4500
5000
5500
6000
次の級
図4-29 Y 方向ヒストグラム 巣鴨駅11:51 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 0
500
1000
1500
2000
2500
3000 3500 Y位置 mm
4000
4500
5000
5500
6000
次の級
図4-30 Y 方向ヒストグラム 巣鴨駅17:21
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図 4-25から 4-30のグラフは、図4-20 ∼22 の歩行者数を、前後、左右方向の 位置ごとに累計したものである。座標軸は図4-15歩行軌跡のグラフと同じで、エ スカレーターの進行方向= 前後方向をY 軸、それに直行する左右方向をX 軸と した。
□ X 方向の分布 X 方向のグラフを比較すると、図4-25はピークのゆるやかな分布を示してい るのに対し、図4-26、4-27は明確なピークを示し、図4-27ではX=0の位置の度 数が極めて高い。図4-17の歩行軌跡から、17:21の群集流動ではホームを直進 してエスカレーターに進入する利用者が多いことが読み取れたが、図4-27から も群集流動が細長い列形状を示していたことが確認できる。 図4-25、4-26、4-27の3つのグラフのピークの位置を比較すると、X=0をエス カレーター手前の手すり幅の中央におき、 エスカレーターのステップの中心から 約-200mmずれていることから、ピークはエスカレーター中央付近にあることが 分かる。17:21のグラフについては、ピークがX=0位置にあり、手すりの中央 部を軸とするような群集形態を示していることが分かる。 また、図 4-26、4-27では、分布の左半分がなだらかではなく、明確な段付き がある。ピークの左右でのグラフの面積を比較すると、図4-26では著しく左側 の面積が大きい。図4-20∼4-22の歩行者の分布と照らし合わせて考えると、左 側の手すりの端部の位置で、 手すりに囲われた範囲内の列に進入しようとして滞 留がおこっているため、 エスカレーター左側部分では乗場に存在する時間が長く なり、存在度数が高くなっているのではないかと考えられる。
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□ Y 方向の分布 図4-28∼4-30から、Y 方向の分布をみると、図4-29ではY=3500以上の範囲 の存在度数が他に較べ著しく低い。またY=1500、2500の位置にピークを生じて いる。さらに、Y=2000、Y=500の位置に谷がある。これらのことから、図4-29 の11:51の群集では、エスカレーター待ちの群集はY=3500mmよりもエスカレー ターよりの位置に発生していたこと、また、群集密度が一定ではなく、ある区間 で疎密の差が他の時間帯よりも大きくあらわれたことがわかる。 ピークの位置を3つの時間帯で比較すると、図4-29の昼の時間帯では他の時 間帯よりも約 500mm エスカレーターよりにあることがわかる。 エスカレーターのステップ開始点から手前500mmの位置には、どの時間帯に も谷ができている。 これは足下を確認するためにステップの手前で前の人との間 隔をあける特性があるのではないかと考えられる。
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4-3 経路・属性と歩行速度
ここでは、 エスカレーター乗場付近でのエスカレーター利用者の歩行速度を求 め分析を行う。歩行速度は解析単位時間(1/3 秒)ごとの歩行速度の平均値とし て、座標化した歩行者の位置から求めた。速度を求めた範囲は、図 4-15 ∼ 4-19 に示した歩行軌跡の描かれる範囲である。 歩行速度を求めたサンプル数、属性ごとの歩行速度の平均は、表 4-4、4-5 の 通りである。 表 4-4 歩行速度調査サンプル数 子供 巣鴨7:02 巣鴨11:51 巣鴨17:21 巣鴨合計 新宿南口 新宿中央階段 新宿合計 総計
成人 17 8 1 26 4 4 8 34
高齢者
合計
19 15 54 88 35 78 113 201
2 27 14 43 9 2 11 54
38 50 69 157 56 84 140 297
表 4-5 属性別歩行速度 巣鴨7:02 巣鴨11:51 巣鴨17:21 巣鴨平均 新宿南口 新宿中央階段 新宿平均
子供 0.61 0.72 0.91 0.66 0.53 0.72 0.62
成人 0.66 0.57 0.58 0.59 0.50 0.56 0.55
高齢者 0.98 0.45 0.52 0.50 0.47 0.49 0.47
全平均 0.69 0.53 0.57 0.58 0.50 0.57 0.54
全平均
0.65
0.57
0.49
0.56
表 4-5 より、属性ごとの歩行速度については、エスカレーター手前においては 子供の歩行速度が最も速く、 次に成人、 高齢者の順になっていることが確認され た。 巣鴨の時間帯ごとの歩行速度の平均では、 朝が最も速く、 昼と夕方では夕方の 方が若干速い。 新宿では、 南口階段が他のすべての降車流動に較べても、 最も歩行速度が遅い 結果となった。
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■歩行経路と歩行速度 4章の2で、 歩行軌跡からホームを直進してエスカレーターに進入する利用者、 エスカレーターの背後方向から回り込む利用者があることは触れた。 さらに到着 した列車の、 階段に近い扉から降車した利用者を加え、 エスカレーター乗場の列 に対する方向によって 3 つの流れに大別し、各経路ごとの歩行速度を求めた。
* 図 4-31 に示すように、エ スカレーターに進入するま での経路によって、回り込 み、直進、すぐ近くの扉から 下車(表などでは直近と表 示した) 、の流れに区別して いる。
図 4-31 エスカレーターに進入するまでの経路
この基準によって区分した歩行者の歩行速度は表 4-6 のようになった。
表 4-6 経路別歩行速度 巣鴨
歩行速度 [m/s] 7:02 サンプル数 巣鴨 歩行速度 [m/s] 11:50 サンプル数 巣鴨 歩行速度 [m/s] 17:21 サンプル数 巣鴨全体 歩行速度 [m/s] サンプル数 新宿中央通路 歩行速度 [m/s] 15:34 サンプル数 新宿南口階段 歩行速度 [m/s] 15:32 サンプル数 全体 歩行速度 [m/s] サンプル数
回り込み 0.70 8 0.43 23 0.49 15 0.50 46 0.47 42 0.46 26 0.48 114
直近
直進 0.67 22 0.64 14 0.71 9 0.67 45 0.64 26 0.57 9 0.65 80
全体 0.73 8 0.59 13 0.57 45 0.59 66 0.71 16 0.53 21 0.60 103
0.69 38 0.53 50 0.57 69 0.59 157 0.57 84 0.50 56 0.57 297
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表4-6より、階段に一番近い扉から降車した歩行者の歩行速度が平均的に高い ことが分かる。 これは、 この流動がエスカレーター乗場に滞留が起こるよりも早 く到達する可能性が高いことから、交錯なく歩行できるためと考えられる。ま た、回り込みの経路をとった歩行者の歩行速度が他よりも低くなっている。
■利用者の属性と進入経路 次に、経路ごとの属性の構成を示し、経路ごとの歩行速度との相関を検討す る。図 4-32 から、巣鴨駅における 3 つの時刻における、利用者の属性の比率が わかる。11:51 には高齢者が多く、エスカレーター利用者の内の 54%を占めて いる。また 17:21 に関しても 20%と高い比率を示した。
利用者数[人] 80 70 60
高齢者 成人 子供
50 40 30 20 10 0 7:02
11:51
17:21
時間帯
図 4-32 属性ごとの利用者数
さらにこの利用者がどのような経路をとってエスカレーターに向かったか、 次 頁図 4-33、表 4-7 に示す。この図、数値から、すべての属性で昼間に回り込みの 経路をとった利用者の比率が高くなっていることが分かる。 成人の利用者が最も 多かった夕方において、 成人は直進して進入する利用者は増加したが回り込みは それほど増えなかったのに対し、 高齢者が最も多かった昼間においては、 利用者 数、 回り込みの占める率共に増加した。 ここからも高齢者はエスカレーター設置 に対する要望が高いことが分かる。
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表 4-7 属性と進入経路 - 集計 - 巣鴨 回り込み 7:02 サンプル数 存在割合 子供 成人 高齢者
属性別
11:51 サンプル数 存在割合 子供 成人 高齢者
属性別
15:32 サンプル数 属性別
存在割合 子供 成人 高齢者
合計 存在割合
直近
8 0.21 2 5 1 23 0.46 3 6 14 15 0.22 0 10 5 46 0.29
直進 9 0.24 3 5 1 13 0.26 3 4 6 9 0.13 1 5 3 31 0.20
全体 21 0.55 12 9 0 14 0.28 2 5 7 45 0.65 0 39 6 80 0.51
38 1.00 17 19 2 50 1.00 8 15 27 69 1.00 1 54 14 157 1.00
利用者数[人] 60 50 40 直進 直近
30
回り込み
20 10 0 7:02 11:51 17:21 7:02 11:51 17:21 7:02 11:51 17:21 子供
成人 時間帯
高齢者
図 4-33 属性と進入経路 巣鴨
階段近くの扉からエスカレーターに進入する利用者は、 すべての時間帯、 属性 にわたってコンスタントに存在することが読み取れる。 これは日常的に巣鴨を利 用する乗客が、 あらかじめ降車位置を特定して乗る傾向があることや、 列車到着 直後はエスカレーター乗場が混み合っていないことがいない場合が多く、 エスカ レーター利用率が高くなっているためだと考えることができる。
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■経路・属性ごとの歩行速度 次に、経路ごとのエスカレーター利用者の歩行速度を比較する。 表 4-8 から、経路によって、直近、直進の歩行速度が高く、回り込みは速度が低 いということがどの属性からも読み取れるが、同じ経路をとった利用者の中で も、属性によって歩行速度にばらつきがある。特に昼間、夕方の回り込みの高齢 者の歩行速度が他の経路の高齢者、 同じ経路の他属性の利用者に較べても低い速 度を示しているが、 成人の回り込みの利用者の歩行速度をみると、 同様に他の経 路をとった成人の歩行速度を大きく下回っていることから、 エスカレーター乗場 付近で滞留が生じのろのろ歩きの状態であったのではないかと推測できる。 表 4-8 経路・属性別歩行速度 7:02 平均歩行速度 [m/s] 属性別 子供 成人 高齢者 11:51 平均歩行速度 [m/s] 属性別 子供 成人 高齢者 15:32 平均歩行速度 [m/s] 属性別 子供 成人 高齢者 巣鴨平均
回り込み 0.70 0.52 0.72 0.98 0.43 0.65 0.44 0.38 0.49 0.52 0.43 0.50
直近
直進 0.67 0.60 0.73 0.98 0.64 0.78 0.67 0.57 0.71 0.91 0.72 0.61 0.67
全体 0.73 0.73 0.72 0.59 0.82 0.64 0.48 0.57 0.57 0.56 0.59
0.69 0.61 0.66 0.98 0.53 0.72 0.57 0.45 0.57 0.91 0.58 0.52 0.59
次頁図 4-34 は列車到着からの経過時間と歩行速度の分布を示したもので、到 着直後は比較的高い速度も見られるがしだいに 0.5m/s 付近に収束している。 0.5m/sはエスカレーターの標準速度と一致し、 他の流動についてもこの傾向はみ られる。列車到着直後の数秒間は、エスカレーターに駆け込む利用者があった り、 全体的に歩行速度も高いので、 この間に通過した歩行者の速度は平均値から 大きくずれてしまう可能性がある。 ことに、 サンプル数の少ない場合には注意が 必要である。
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歩行速度[m/s] 4 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
経過時間[s]
図 4-34 経過時間と歩行速度 巣鴨 山手線ホームエスカレーター 11:51
■巣鴨駅と新宿駅の比較 表 4-9 属性と進入経路・歩行速度 新宿南口階段 回り込み サンプル数 存在割合 属性別 子供 成人 高齢者 平均歩行速度 [m/s] 属性別 子供 成人 高齢者
26 0.46 0 23 3 0.46 0.46 0.43
直近
直進 9 0.16 2 7 0 0.57 0.44 0.61
全体 21 0.38 2 5 6 0.53 0.62 0.53 0.49
56 1.00 4 35 9 0.50 0.53 0.50 0.47
表 4-10 属性と進入経路・歩行速度 新宿中央通路エスカレーター サンプル数 存在割合 子供 成人 高齢者 平均歩行速度 [m/s] 属性別 子供 成人 高齢者 属性別
回り込み(広)回り込み(狭)直近 18 24 0.21 0.29 1 1 16 23 1 0 0.45 0.49 0.22 0.80 0.46 0.49 0.37
直進 26 0.31 0 25 1 0.64 0.64 0.62
全体 16 0.19 2 14 0 0.71 0.92 0.68
84 4 78 2 0.57 0.72 0.56 0.49
図 4-35 新宿中央通路エスカレーター 配置模式図
表 4-9、4-10 は新宿駅の 2 箇所のエスカレーターでの、利用者の属性と進入経 路、歩行速度の集計である。 先にも述べた通り、中央通路エスカレーターはホーム内での配置上、エスカ レーターよりも手前に階段が設置されているため、 ホームを直進して進入する利 用者は少なく、 エスカレーター背後方向から回り込む流動が大きい。 またエスカ レーター付近の乗車客も多く見られるため、 エスカレーターの片側だけでなく両 側から回り込みが起きて乗場付近では交錯が起こっている。 しかし、 ここでは利 用者がエスカレーター内を歩行している場合が多く、 エスカレーター待ちの停滞
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ができにくいという特徴がある。 南口階段のエスカレーターは、 ホームの端近くにあり、 この付近の降車流動は 中央通路付近に較べ規模が小さい。 また巣鴨と異なりホーム上に昇降施設が複数 あるため、 目的地に合わせて階段を選ぶという行動が起き、 列車到着による混雑 の波はあるものの、 到着から一定時間が過ぎても群集密度の低いままで流れが途 切れないという特徴がある。 このエスカレーターでは、 一度に押し寄せる流動の 規模がそれ程大きくなく、目立った交錯起こさずに、経路による速度差も小さ かった。 また、 エスカレーター端部の手すり付近で回り込んで進入する利用者が 多いが、 エスカレーター内を歩行する行動がみられ、 エスカレーターのステップ 開始位置で著しく速度が変化するということも見られない。 図 4-36 に、巣鴨と新宿の調査箇所の乗場における歩行速度の比較を示す。
0.00
0.20
0.40
0.60
0.80 m/s
回り込み 巣鴨7:02 巣鴨11:51
直近
巣鴨17:21 巣鴨平均
経路
新宿南口
直進
新宿中央
全体
図 4-36 経路別歩行速度の比較
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■歩行速度の時間変化 次頁図 4-37 以降に速度変化の比較を示す。 巣鴨駅における 11:00 ∼ 13:00 の撮影ビデオから、その時間の平均歩行速度に 近い速度で歩行しているエスカレーター利用者のうち、混雑時 / 閑散時、経路に よって高齢者、 健常者のサンプルを一人ずつ抽出し、 エスカレーターのステップ 開始位置に達するまでの時間の歩行速度変化を較べる。 ただし、 閑散時のサンプ ルは列車がホームに入っていない状態の画像から得たので、 エスカレーター近く の扉から降車する経路については示していない。
まず、 全体に関しては、 健常者がエスカレーター手前で時間あたりの速度変化 の幅が大きいのに対し、 高齢者は緩やかな変化を示している。 また健常者がエス カレーター手前で一度減速した後再び加速する傾向があるのに対し、 高齢者はエ スカレーターステップ位置に向かって減速を続ける傾向がある。 これより高齢者 は足下を確認するなどのために列内での歩行速度が健常者よりも遅くなっている ことが考えられる。 混雑時に回り込んでエスカレーターに進入した高齢者は、 かなり早い時期に群 集の歩行速度に近い速度で歩行しており、そのままステップ位置まで進んでい る。 これに対して同じ時間の健常者は一度減速してからステップ位置までに加速 しており、 比較的空いている経路を選択するなどの行動を起こし、 反対に高齢者 は立ち止まる傾向があると思われる。 閑散時の直進経路をとった歩行者では、 速度の近似曲線の凹凸が他と逆になっており、 ステップ位置に向かって徐々に減 速していることが分かる。 また、 ここでも高齢者のサンプルはステップ位置で立 ち止まる程の速度に減速している。
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-1000
0
mm
高齢者の例
成人の例
3000 ステップ開始位置
2000
1000
0
図 4-37 歩行軌跡の比較
-2000
-1000
-2000
1000
-8
-7
-5
-4
-3
エスカレーターに到達するまでの時間[s]
-6
-1
0.00 成人の例 高齢者の例 多項式 (成人の例) 多項式 (高齢者の例)
-2
図 4-38 時間による速度変化 経路:回り込み 閑散時 巣鴨
-9
0.50
1.00
1.50
2.00
2.50
0
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65
-1000
mm
4000
3000
2000
1000
0
0
図 4-39 歩行軌跡の比較
-2000
-1000
-2000
高齢者の例
成人の例
ステップ開始位置
1000
-16
-14
-10
-8
-6
エスカレーターに到達するまでの時間[s]
-12
-4 -2 高齢者の例 成人の例 多項式 (高齢者の例) 多項式 (成人の例)
0
図 4-40 時間による速度変化 経路:回り込み 群集歩行時 巣鴨
-18
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
1.4
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66
8000
7000
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0
0
mm
1000
2000
高齢者の例
成人の例
ステップ開始位置
図 4-41 歩行軌跡の比較
-1000
-1000
-2000
-7
-6
-4
-3
エスカレーターに到達するまでの時間[s]
-5
-2
-1
0.00
多項式 (成人の例)
成人の例 多項式 (高齢者の例)
高齢者の例
図 4-42 時間による速度変化 経路:直進 閑散時 巣鴨
-8
0.20
0.40
0.60
0.80
1.00
1.20
1.40
1.60
1.80
0
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7000
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0
0
1000
高齢者の例
成人の例
ステップ開始位 置
図 4-43 歩行軌跡の比較
-1000
mm
-1000
-14
-12
-8
-6
エスカレーターに到達するまでの時間[s]
-10
-4
0 0
多項式 (高齢者の例) 多項式 (成人の例)
高齢者の例 成人の例
-2
図 4-44 時間による速度変化 経路:直進 群集歩行時 巣鴨
-16
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
1.4
5 総論
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5 総論
■まとめ 1. 高齢者はエスカレーター利用率が高い。 とくに高齢者は、 階段とエスカレーターが併設される場合にエスカレー ターを利用する率が高いだけではなく、 降車位置から一番近い昇降施設 でなくてもエスカレーターまで歩いて利用する降車客が多い。 2. 高齢者の歩行速度は健常者よりも遅い。 3. エスカレーターへの回り込み、 エスカレーター待ちの列への合流を行 う際に歩行速度は低下する。 4. エスカレーター手前でのエスカレーター利用者の歩行速度は0.5m/s以 下になる。 5. 混雑時、エスカレーターの段の部分に進入する前後で、健常者に較べ 高齢者の速度変化が小さく、高齢者は低速のまま進入する。
以上より、 エスカレーター手前では、 高齢者および回り込みの経路をと る利用者の歩行速度が、 健常者および直進の経路をとる利用者の歩行速度 に比較して遅いこと、 また高齢者はエスカレーターに進入する直前の歩行 速度が低く停滞しやすいことから、滞留傾向が大きくなることがわかる。 この停滞する利用者の影響を受け、 付近の歩行速度も低下し、 エスカレー ター待ちの列が全体的に滞留状態になる。 このとき、 エスカレーターの段 の手前1mの範囲内、また巣鴨における手すりのある部分、すなわち流動 の制限されている範囲内と回り込む時の経路の屈曲する箇所において滞留 を生じやすく、高密度になることがわかった。 このことから、 ホーム上にエスカレーターの乗り口を設ける際には、 エ スカレーター待ちの群集の規模や分布を予測し、 エスカレーターとホーム 端部との間隔を十分とる必要があると考えられる。
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■高齢者と流動に関する考察 ラッシュ時のように流動量が大きくない時においても、 年齢や身体上の 障害などに起因する、健常者と異なる行動特性を持った歩行者によって、 流動の状態、傾向に変化が表われる。エスカレーター利用に関しては、高 齢者は降車位置から最短の経路を選択して階段、 出口を選択するとは限ら ず、 高齢者が増加したとき、 エスカレーターの設置によって階段選択率が 変動する可能性がある。 エスカレーターに背後から回り込んで乗ろうとする歩行者がある時、回 転の中心となるような手すり、壁などの端部において歩行速度が低下す る。この時、回り込みの流動量が大きい、または回り込んだ先が停滞して いたり、 高齢者が多い場合、 ステップ手前に滞留ができることからエスカ レーター乗場が高密度になったり待つ人の群集が膨張したりする。 エスカレーターに限らず、 健常者と異なった行動特性から、 群集流動内 に局部的な交錯、過密を生じる可能性もでてくる。高齢化に直面し、昼間 外出する高齢者が増えるということだけではなく、 高齢者の社会参加がす すみ、 健常者の多い空間、 時間に高齢者が混在する状況もあらわれること が懸念される現在、これまでの流動、駅利用の概念だけではなく、新たな サービス水準が求められる。
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■ホーム上のエスカレーター設置に関する考察 ホーム上にホームから出るエ
進行方向
スカレーターを設置する場合に は、 図5-1に示した点に留意すべ きであると考えた。
十分な距離をおく 1. エスカレーターの進行方向 と、その昇降施設へ進入する流 動の方向を一致させる。
左側を空ける
2. エスカレーターの後ろから 回り込む利用者が多く生じる場 合には、ホーム幅や併設の階段 に対し右側にエスカレーターを 配置する。
主要な流動の方向に合わせる 図 5-1 エスカレーター設置位置の留意点
3. エスカレーターの手前、側 方の左側に十分余地を設ける。
慣習的に、 エスカレーターの左側は立ち止まり、 右側はエスカレーター 内を歩行するレーンに分かれており、 エスカレーター右側の方が流率が高 い。 このことから、 回り込んで進入する利用者が列の左側から入ろうとす ると滞留が大きくなるので、 回り込む利用者を列の右側から進入させた方 が効率的である。 しかし、 高齢者が多い場合にはエスカレーター右側に立ち止まる可能性 も高く、一概に左右のどちらかを空けておけばよいということは言えな い。つまり、駅ごとの利用者の属性傾向や数、ホーム内の昇降施設の位 置、駅・ホームの規模など、駅と利用者の特性から、個々の駅、設置箇所 ごとに検討が必要である。
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参考文献
尾形直樹・大戸広道他3名「鉄道駅における旅客流動の研究 ホーム上の階段, エスカレーターの配置と旅客乗降位置の関係」日本建築学会学術講演梗概集 青木俊幸・大戸広道他3名「:鉄道駅における旅客流動に関する研究 その5 ホーム階段配置と乗降分布」日本建築学会学術講演梗概集 橋田直子他3名 「鉄道旅客駅のサービス水準に関する研究 駅コンコースにおけ る群集密度と混雑状態・感覚の関係」日本建築学会学術講演梗概集 小山剛・青木俊幸他2名「駅ホーム上の昇降設備に関する研究 その1階段とエ スカレーターの流率」日本建築学会学術講演梗概集 青木俊幸・小山剛他2名 「駅ホーム上の昇降設備に関する研究 その2エスカレー ターが旅客流動に及ぼす影響」日本建築学会学術講演梗概集 都築知人・不破徹他3名「鉄道駅の流動評価に関する研究 その1階段・エスカ レーター」日本建築学会学術講演梗概集 河合邦治・青木俊幸他3名「鉄道駅における旅客流動の研究 その9乗車位置選 択の利用者意識調査」日本建築学会学術講演梗概集 青木俊幸・大戸広道他3名「鉄道駅における旅客流動の研究 その10降車分布」 日本建築学会学術講演梗概集 中村四郎編 「公共交通ターミナルにおける高齢者・障害者等のための施設整備ガ イドライン」運輸経済研究センター 佐野友紀「歩行者流動の指標化に関する研究」渡辺仁史研究室博士論文 切敷香澄 「交通弱者の利用を考慮した駅の施設計画に関する研究」 渡辺仁史研究 室修士論文 切敷香澄・鄭姫敬・渡辺仁史「障害者のための移動空間からみた駅舎の分類に関 する研究」日本建築学会学術講演梗概集
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林淳蔵 「巣鴨駅構内における高齢者の行動特性に関する研究」 渡辺仁史研究室卒 業論文 佐野友紀・内藤茂・野沢理恵「駅及びその周辺における人間流動に関する研究」 渡辺仁史研究室卒業論文 樋口智幸・渡辺仁史他4名「電車発着パルスからホームにおける群集密度波形を 導出する 駅における群集密度変動の時系列分析 その2」 日本建築学会学術講 演梗概集 樋口智幸「駅コンコースにおける人間流動の研究」渡辺仁史研究室卒業論文 馬場義徳「スキー場における人間行動に関する研究」渡辺仁史研究室卒業論文 窪田真紀・溝畑重利「障害者の利用を考慮した駅の施設計画に関する研究」渡辺 仁史研究室卒業論文 玉井勝士「群集の相互作用に関する研究-進入角度による歩行難易度の変化-」渡 辺仁史研究室卒業論文 狩野伸明・田中角憲・矢田章「駅構内における高齢者等の行動特性」東京理科大 学上原研究室卒業論文
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今後の展望
本研究では、高齢者の行動特性について分析を行ったが、さらにミク ロ的な流動内部の行動について分析をつめていき、またサンプル数も増 やすことで一般的な特性を求め、歩行者の属性を考慮したシミュレー ションにつなげていきたい。
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おわりに
この論文を書くに当たり、多くの方の協力をいただきました。実験に 協力してくださったJR総研の青木さん、河合さん、薄田さん、渡辺仁史 研究室の諸先輩方、卒論生のみんな、的確なアドバイスをくださった渡 辺先生、分析が進まず落ち込んでいたときも励ましてくださった林田先 生と担当の玉井さん、佐藤さん、草葉の影から見守ってくれた、元担当 の織田さんに心より感謝します。
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