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音による空間文節の把握

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1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

序章   はじめに

早稲田大学 渡辺仁史研究室          -1-


はじめに

はじめに   建 築 と 関 係 す る 音 と い え ば 、音 楽 ホ ー ル な ど の 音 響 、騒 音 、 サウンドスケープ、空間認知、音計画などいろいろなものが 挙げられる。

その中でも、我々は空間を音で知覚しなければならない視 覚障害者に興味をもった。一般に、健常者であれば視覚から の情報が優先され、聴覚による情報は視覚情報に比較すると 圧倒的に少ない。しかし、視覚障害者は、聴覚、触覚によっ て、空間を把握し、日常生活を送らなければならない。人の 足音、話し声、機械音など我々が日常において気にも留めて

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いないような音を重要な情報として用いている。

そこで我々は視覚障害者の音による空間把握について調べ たいと考えた。これによって、視覚障害者に有効な建築の提 案への第一歩になるのではないかと思う。

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目次

目

次

序章 はじめに          目次          研究目的          論文概要       1章 研究背景         1.1 視覚障害者とは        1.2 関連研究       2章 研究概要       3章 研究方法        3.1 調査対象空間の定義        3.2 調査対象空間の説明

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3.3 レコーディング        3.4 被験者による聴き取り         ① 健常者         ② 視覚障害者        3.5 記録        3.6 物理学的分析        3.7 スペクトル分析       4章 結果と考察        4.1 結果の表について        4.2 長いまっすぐな道を基本とした空間        4.3 突き当たりを含む空間        4.4 高さの変わる空間        4.5 その他の空間       5章 おわりに        5.1 まとめ        5.2 展望        5.3 謝辞       6章 参考文献        付録

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研究目的

研究目的   人 が 、自発音を 手 掛 か り と し て 空 間 を 理 解 す る 場 合 の 音 と 空 間の関係を明らかにし、視覚障害者にとって把握しやすい空

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間を提案する。

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論文概要

論文概要  障害物知覚における研究はかなり行われているが、空間の 把握までには至っていない。

そこで、この論文を書くにあたって、まず障害物知覚に関 する論文を中心とした関連研究の整理を行う。

次に、建物内において、空間を知覚する際の重要な手がか りとなると思われる白杖や足音などの自発音について、被験 者( 健 常 者 、視 覚 障 害 者 )を 用 い た 音 響 心 理 学 的 実 験 を 行 い 、 コンピューターのソフトを用いた音の物理学的分析を踏まえ、 両者を比較することによって、空間を理解する場合の音と空

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間の関係がわかるのではないかと考えた。

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研   究背景

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1章          研究背景

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研   究背景

1. 研究背景 1.1 視覚障害者とは

「 視 覚 障 害 者 」と い う と 一 般 に「 全 盲 」と い う イ メ ー ジ が 強 い が 、実 際 に は 、医 療 的 な 支 援 を 十 分 に 施 し て い て も 、視 機 能 が 低下している物から視力を持たないものまでさまざまである。 身体障害者福祉法によると、視力の良い方が 0.6 以下、悪い 方 が 0 . 0 2 以 下 、あ る い は 両 眼 の 視 力 の 和 が 0 . 2 以 下 、ま た 視 野 に 関 し て は 正 常 の 2 分 の 1 以 下 の 者 を「 視 覚 障 害 者 」( 身 障 者 手 帳 の 交 付 対 象 )と い い 、1 級 か ら 6 級 ま で に 分 け ら れ て い る (図 1-1)。 実 際 に は 全 盲 の 人 は 少 な く 、 視 機 能 をあ る 程 度 有 す る 人( 弱 視 )が 多 い 。両 眼 の 和 が 0 . 0 1 以 下 の 1 級 の 人 で も

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残 視 機 能 を 有 す る 人 が い る 。単 純 視 力 で は 0 . 0 1 で も 歩 行 が 可 能な場合もあるといわれている。歩行障害はむしろ視野の欠 損 に あ る と さ れ 、視 野 狭 窄 が 1 0 度 以 下 で は か な り 歩 行 が 制 限 され、日常の生活が困難になる。人によっては物や色の区別 がついたり、つかなかったりと一定ではない場合、光や照明 に異常な感覚を覚える場合、明るいところから暗いところへ の色順応が困難な場合がある。

6級 11%

不明 6%

1級 1級 36%

5級 8%

2級 3級 4級 5級

4級 8%

6級 3級 9%

不明 2級 22%

図 1-1 障害程度別にみた視覚障害者数

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研   究背景

視 覚 障 害 者 を 年 齢 階 級 別 に み て み る と 、 4 0 歳 以 降 の 割 合 が 9 0 % 強 と な っ て い る( 図 1-2 )。こ の よ う な 人 々 の 障 害 の 発 生 時期は、0 ∼ 3 歳が比較的多いものの、40 歳代以降が半数以 上 に の ぼ る ( 図 1-3 )。

18,19歳 29000人

系列2 系列3 系列4

55000人 46000人

1

系列5

147000人

系列6

44000人

系列7

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系列8 15000人

0%

系列9

20%

40%

60%

80%

100%

図 1-2 年齢階級別にみた視覚障害者数

8000人

0 3歳 4 12歳 13 17歳

1

151000人

115000人

51000人 56000人

18 39歳

23000人

40 64歳 65歳以上 不詳

0

100000

200000

300000

400000

図 1-3 視覚障害の発生時の年齢階級別分布

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研究背景

1.2 関 連 研 究 に つ い て  聴覚による障害物知覚のメカニズムが、生命工学工業技術 研究所の関 喜一の論文などで解明されてはきているが、空 間の把握までは言及されていない。しかし、空間把握に必要 な音について研究を行う場合、障害物知覚は重要な要素であ ると考えた。そこで、今回の論文と関係が最も大きいと思わ れる障害物知覚についての論文を中心として視覚障害者につ い て の 関 連 研 究 を 発 表 年 ごとに挙 げ る 。

『障害物知覚についての研究』 「障害物知覚とは」 ( 自 ら は 音 を 発 し な い )物 体 の 存 在 を 、視 覚 を 用 い ず 、音 響 的

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変 化 に よ っ て 知 覚 す る 経 験 的 能 力( 図 1-4)。障 害 物 知 覚 は 、手 がかりとなる音場によって環境音を用いる場合と自発音を用 いる場合の2種類に分類できる。

図 1-4 障害物知覚の階層のメカニズム

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研究背景

①環 境 音 を用いる障害物知覚(図 1-5)    物 理 的 要 因 は 、 物 体 に 対 し 聴 取 者 と 同 側 か ら 到 来 す る 環 境 音の反射、及び、反対側から到来する環境音の遮音(透過損 失・回折損失)である。心理的要因は、

1)遮音による音像の消失  2)先行音効果による反射音像の消失  3)カラーレーションによる音質の変化の 3 つに大きく

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分 け ら れ る ( 図 1-6)。

図 1-5 環 境 音 に よ る 障 害 物 知 覚

図 1-6 環境音による障害物知覚

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研究背景

② 自 発 音 を 用 い る 障 害 物 知 覚 (図 4)

物理的要因は、自発音の反射である。物体反射面から約 6 (∼ 15 m)以上離れている場合には、反射音は直接音と分離 した音像として知覚される。この距離では、反射音の音像の 位置を手がかりに反射音の位置を知ることができる。距離が 短 い 場 合 に は 、先 行 音 効 果 に よ り 、反 射 音 像 は 消 失 す る 。そ の か わ り 、T h u r l o w ピ ッ チ に よ っ て 、直 接 音 の 上 昇 を 知 覚 す る ことがよくある。ピッチは反射面との距離を知る手がかりと

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な る ( 図 5 )。

図1-7 自発音による障害物知覚

図 1-8 自発音による障害物知覚のメカニズム

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研究背景

「 盲 人 歩 行 補 助 の た め の 基 礎 研 究 - 障 害 物 知 覚 に お け る 単 一 反射・遮音の役割 -」 梶井 健  関 喜一  伊福部 達  田中 良広(北海 道大学電子科学研究所 北海道高等盲学校) (第18回感覚代行シンポジウム発表論文集 1992 / 1 2 / 2ー3)  こ れ ま で は 、 障 害 物 知 覚 の 要 因 と な る 音 響 現 象 に つ い て 音 響心理学的な的な解析、特に障害物知覚における単一反射の 役割について研究してきたという背景を踏まえ、この論文で は更に障害物による遮音効果の役割をしらべ、単一反射・遮 音 の 双 方 に つ い て 着 目 し て 障 害 物 知 覚 の メ カ ニ ズ ム (図 1-9) を考察した。具体的な実験の内容は、約3名の盲人(先天性

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全 盲 )に 約 3 m の 位 置 か ら 障 害 物 に 向 か っ て 歩 か せ 、障 害 物 の存在を感じた場所で立ち止まってもらい、障害物からの距 離を測定し、その後、ダミーヘッドを用いて音場の物理的測 定を行い、比較するというもの。

図 1 - 9  単一反射・遮音による障害物知覚のメカニズム

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研究背景

「 盲 人 の 障 害 物 知 覚 と 音 場 の 変 化 の 関 係 に つ い て - 物 理 学 的 考察 -」 梶井 健  関 喜一  伊福部 達  田中 良広(北海 道大学電子科学研究所 北海道高等盲学校) (第19回感覚代行シンポジウム発表論文集 1993 / 1 2 / 13ー14)  盲人の障害物知覚における障害物の大きさ・距離・方向の 認 識 の 手 が か り と な る 物 理 的 要 因 を 調 べ た ( 図 1-10, 11, 12)。 まず、盲人の障害物知覚の手がかりとなる音場の変化を調べ るために、遠方の騒音源から盲人の外耳道までの音響伝達特

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性 が 障 害 物 の 方 向 ・大 き さ ・距 離 の 認 識 の 手 が か り を 調 べ た 。

図 1-10 大きさによる障害物知覚の物理的分析      ※図中のα一高音部の減少域   β一スペクトル上のディップ

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研究背景

図 1-11 方向による障害物知覚の物理的分析

図 1-12 方向による障害物知覚の物理的分析

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研究背景

「 盲 人 の 障 害 物 知 覚 と 音 場 の 変 化 の 関 係 に つ い て -心 理 学 的 考察 -」 梶井 健  関 喜一  伊福部 達  田中 良広(北海 道大学電子科学研究所 北海道高等盲学校) (第19回感覚代行シンポジウム発表論文集 1993 / 1 2 / 13ー14)  前 回 ま で の 報 告 、 及 び 同 主 題 - 物 理 学 的 考 察 - に お い て 、 盲 人の障害物知覚の音響心理学的要因を明らかにし、これに基 づき障害物が接近した場合の音場に対する心理的印象を推測 したという背景から、5つの仮説を立てた。

① 自 発 音( 足 音 、白 杖 )に つ い て 、遠 方 の 距 離 か ら 障 害 物 に 近 づ

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い て い く と 、反 射 音 の 音 像 は 、最 初 は 直 接 音 と 分 離 し て 障 害 物 方 向 に 定 位 す る が 、や が て 直 接 音 の 音 像 と 融 合 し て 障 害 物 方 向 に 定 位しなくなる。 ② 環 境 音 に つ い て も 、反 射 音 の 音 像 は 、① と 同 様 の 変 化 を す る 。 ③②に置いて直接音と反射音の融合によってできた合成音の音像 は 、更 に 障 害 物 に 接 近 し た 場 合 、直 接 音 源 の 位 置 か ら 障 害 物 方 向 に移動する。 ④ 障 害 物 近 距 離 に お い て 、環 境 騒 音 に 対 す る 反 射 と 遮 音 の 両 音 響 現象が、盲人に障害物の存在感を与える要因の1つである。 ⑤ 障 害 物 近 距 離 に お い て 、環 境 騒 音 の 反 射 音 の 遅 れ 時 間 が 、盲 人 に障害物の距離感を与えている要因の1つである。 こ の 計 5 つ の 仮 説 を 、 心 理 実 験 (図 1-13)に よ っ て 検 証 し た 。

図 1-13 実験方法 早稲田大学 渡辺仁史研究室

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研究背景

「 盲 人 の 障 害 物 知 覚 に お け る カ ラ ー レ ー シ ョ ン の 特 性 に つ い て」 梶井 健  関 喜一  伊福部 達  田中 良広 (生命工学工業技術研究所 北海道大学電子科学研究所 北海 道高等盲学校) (第20回感覚代行シンポジウム発表論文集 1994 / 1 2 / 5ー6)  障 害 物 知 覚 の 詳 細 な メ カ ニ ズ ム の 解 明 は 、 障 害 物 か ら の 反 射音などの音響的要因が手掛かりとなっていること以外、十 分な説明がなされておらず、筆者はこれまで障害物の存在に よる音場の変化を測定し、障害物知覚の物理的・心理的要因 を推測した。この前提を踏まえて、この論文では物理測定で

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観測された音場の変化のうちで、特に障害物の存在によって 生じるスペクトル上のディップに着目し、障害物の存在、及 び障害物まで距離の手がかりを検証することを試みた。スペ クトル上の多数のディップが障害物をしるための手がかりの 一つとなっていることを検証するためには、観測された音場 の変化が知覚できるかどうかを調べる必要がある。そこで、 どの程度の反射音があればスペクトル上のディップが知覚 ( ス ペ ク ト ル 上 の デ ィ ッ プ は 一 般 に「 カ ラ ー レ ー シ ョ ン と い う 心 理 的 な ピ ッ チ 知 覚 を も た ら す 」)で き る か を 調 べ た(図 1-14 )。 被 験 者 は 、 正 眼 者 の 成 人 男 性 5 名 。

図 1-14 反射音のエネルギ比とピッチを知覚できる割合いの関係

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研究背景

「 障 害 物 知 覚 の 方 向 に よ る 感 度 差 と 先 行 音 効 果 の 関 係 」  関 喜一(工業技術院 生命工学工業技術研究所) (第21回感覚代行シンポジウム発表論文集 1995 / 1 2 / 5ー6)  この論文で筆者は、音響心理学的な観点に立ち、近距離に 存 在 す る 物 体 に 対 す る 障 害 物 知 覚 の 心 理 的 要 因 (図 1-15)か ら 、方 向 に よ る 感 度 差 は 、先 行 音 効 果( ※ 1 )の 方 向 に よ る 差 により生じるものであるという仮説を立て、これを検証する 心理的実験を行った。その結果、仮説の正当性を支持する結 果が得られ、障害物知覚の方向による差に起因するという結 論を得た。被験者は、正眼者4名。

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※ 1   先 行 音 効 果 - - 直 接 音 に よ っ て 、反 射 音 の 音 像 が 抑 制 さ れる音響心理現象

図 1-15 近距離に存在する物体に対する障害物知覚の心理的要因

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研究背景

・ 「 障 害 物 知 覚 の 方 向 に よ る 感 度 差 と 先 行 音 効 果 の 関 係( 第 2 報 )」  関 喜一(工業技術院 生命工学工業技術研究所) (第23回感覚代行シンポジウム発表論文集                     1 9 9 7 / 1 2 / 1 ー 2 )  騒 音 を 用 い る 障 害 物 知 覚 に お い て は 、 頭 部 正 面 方 向 に 存 在 する物体の検出感度が側面方向のそれより低いことが知られ ている。方向による感度差の原因については、伝達特性の変 化量の差、物体の存在によって伝搬の影響を受けない騒音に よるマスキング量(※2)の差など様々な説が考えられる。  筆 者 は 、こ の よ う な 説 の う ち 、先 行 音 効 果 を 考 慮 に 入 れ た 反 射音定位の方向による感度差が原因となる説に着目し、この

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論 文 で は 反 射 音 源 方 向 に 音 像 を 生 じ る 割 合 に 着 目 し て 実験(図 1-16)を行い、可 能 性 を 示 し た 。 ※ 2   マ ス キ ン グ( 効 果 )- - あ る 音 を 聞 こ う と す る と き 、騒 音が同時に存在すると、非常に聞きにくくなることを経験す る。このとき騒音がその音をマスキングしたといい、マスキ ング効果と呼ぶ。

図 1-16  実験で用いる音場のモデル

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研究背景

「 環 境 騒 音 場 に お け る 無 限 障 壁 に 対 す る 障 害 物 知 覚 」  関 喜一(工業技術院 生命工学工業技術研究所) (第22回感覚代行シンポジウム発表論文集 1996 / 1 2 / 2ー3)  こ の 論 文 で は 、障 害 物 知 覚 の 対 象 と な る 様 々 な 状 況 か ら 、水 平面上の任意の複数方向から騒音が到来する音場における無 限 障 壁 に 対 す る 障 害 物 知 覚 の 心 理 的 要 因 に つ い て 調 べ る実験 (図 1-17、18)を行った。 結 果 と し て 、 直 接 音 と 反 射 音 の 対 が 複 数 対 畳 重 して い る 場 合 で も 、先 行 音 効 果 、カ ラ ー レ ー シ ョ ン が 起こることがわかった。また、音色の変化は、特に障壁が側 面に存在するばあいにけんちょに観測されたことから、主に 正面の障壁に対する障害物知覚の心理的要因になると推測し

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た。

図 1-17 音場のモデル

図 1-18 実験装置 早稲田大学 渡辺仁史研究室

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研究背景

「 障 害 物 知 覚 の 体 系 的 聴 覚 訓 練 の 提 案 」 関 喜一(工業技術院 生命工学工業技術研究所) (第24回感覚代行シンポジウム発表論文集 1998 / 1 2 / 7ー8)  こ の 論 文 は 、 現 在 ま で に 解 明 さ れ て い る 障 害 物 知 覚 の 音 響 学的メカニズムと、近年の音響技術を背景に、障害物知覚獲 得 の た め の 体 系 的 聴 覚 訓 練 を 提 案 し た も の で あ る 。 図 1-19 の ようなカリキュラムとなっている。  物 体 の 存 在 に よ っ て お こ る 音 場 の 変 化 ( 反 射 や 遮 音 な ど の 物理的現象)を「障害物知覚の物理的要因」と呼ぶ。これに よってもたらされる音場の印象変化(音像や音質の変化など の 心 理 現 象 )を「 障 害 物 知 覚 の 心 理 的 要 因 」と 呼 ぶ 。障 害 物 知

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覚 の 能 力 は 、「 物 体 の 存 在 」 と 「 心 理 的 要 因 = 音 場 の 印 象 の 変 化」との対応関係を学習することによって獲得される。両者 の対応関係を知っていれば、音場の印象の変化から、その原 因となる物体の存在や、位置などを連想できる。

図 1-19 音響 VR 技術を用いた基礎から始める訓練の流れ

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研究背景

②『視覚障害者に有効な情報についての研究』  「 視 覚 障 害 者 の 白 杖 歩 行 を 援 助 す る 2 種 類 の 情 報 」  山 本   利 和( 大 阪 大 学 教 育 学 部 )  岡 田   弥( 日 本 ラ イ ト ハ ウ ス第2生活訓練部) (第20回感覚代行シンポジウム発表論文集                     1 9 9 4 / 1 2 / 5 ー 6 )   「 視 覚 障 害 者 が あ る 目 的 地 へ 移 動 す る 場 合 、利 用 す る 情 報 と し て 地 図 情 報 と 基 礎 情 報 が あ る と 考 え ら れ る 」と い う 前 提 か ら 、 どのような情報を与えられると目的地に到達するのが容易に なるかを検討したもの。被験者は視覚障害をもつ大学院生1 名。

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※ 地 図 情 報 - - 現 在 地 と 目 的 地 を 含 む 空 間 の 構 造 、順 序 性 、距 離などに関する情報であり、移動プランの形成と利用や空間 的な位置更新の認知に欠かせない情報。

※ 基 礎 情 報 - - 信 号 の 色 、歩 行 者 の 直 進 性 の 維 持 な ど 、移 動 す る歩行者と環境との相互作用の結果として時々刻々と変化す る情報と意味している。

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研 究 概 要

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2章   研究概要

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研 究 概 要

2. 研究概要  この論文で行った調査・実験・分析の流れをフローチャー

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トにして図のように示す。

研 究 の フ ロ ー チ ャ ー ト の 図

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研究方法

3章

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研究方法

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研究方法

3 . 研究方法 3-1 調査対象空間の定義   所 沢 キ ャ ン パ ス に お い て 「 曲 り 角 」、「 つ き あ た り 」 と い っ

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た要素を含むプロトタイプとなるような空間を計16タイプ を 選 び 出 し 、こ れ を 調 査 対 象 空 間 と 定 義 す る 。床・壁 の 材 質 は 一部を除きどれもほぼ同じ(コンクリート)とする。

図 3- 1 調査対象空間 16パターン

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研究方法

3-2 調査対象空間の説明

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type.1 廊下を直進し、途中に左に廊下があるがそのまま      直進  type.2 廊下を直進し、途中に右に廊下があるがそのまま           直 進 ( t y p e . 1 の 帰 り )   type.3 廊下を直進し、途中から左の廊下の幅が大きくな      る t y p e . 4 廊 下 を 直 進 し 、途 中 か ら 右 の 廊 下 の 幅 が 狭 く な る          ( t y p e . 3 の 帰 り )  type.5 廊下を直進し、途中左に大きくなる空間を通り過      ぎる  type.6 廊下を直進し、途中右に大きくなる空間を通り過      ぎる(type.5 の帰り)  type.7 廊下を直進し、つきあたりで左右に直交する廊下      が広がる   t y p e . 8 左 右 に 直 交 す る 廊 下 が 広 が っ て い る と こ ろ か ら 、       直進して廊下にはいる(type.7 の帰り)  type.9 廊下を直進し、つきあたりで左に直交する廊下が      広がる   t p e . 1 0 廊 下 を 直 進 し 、つ き あ た り で 左 に 広 が る 廊 下 を 進 む  ※ 1-10 は高さは変わらず、2 メートル 50 ぐらい    type.11広く高い空間から直進し廊下に入る高さは低くな      る廊下の材質は途中異なる  type.12廊下から直進し広く高い空間に入る 高さは高く      なる廊下の材質は途中異なる(type.11 の帰り)  type.13 空間の高さが徐々に低くなる   t y p e . 1 4 空 間 の 高 さ が 徐 々 に 高 く な る( t y p e . 1 3 の 帰 り )   t y p e . 1 5 左 右 の 壁 が 途 切 れ 、空 間 が 広 が る   右 の 壁 が 一 部      途切れているところからはじまり、次に左の壁が      一部途切れ、左右の壁があるところで終わる左右      の壁が途切れ、空間が広がる    t y p e , 1 6 左 右 の 壁 が あ る と こ ろ か ら は じ ま り 、途 中 右 の 壁      が一部途切れ、次に左の壁が途切れたところで終      わる(type.15 の帰り)

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研究方法

3-3 レ コ ー デ ィ ン グ  調査対象とした所沢キャンパスでカメラによる記録係、白 杖(視覚障害者が歩行時に携帯する杖。白色や黄色のものが ある)の係、マイク係、DAT(Digital Audio Tape)の 係の4人で行った。  白杖を打ちながら屋内空間を移動する音をダミーヘッドマ イ ク ( 注 3.1) を 用 い て 採 取 し 、 視 覚 障 害 者 が 歩 行 の 際 に 聴 い ているのに近い状態を再現できるようにする。その際自発音 のみを頼りに空間把握ができるかを検証するのが目的のため、 人の話声や足音などの環境音が入らないように注意した。 (注 3.1)ダ ミ ー ヘ ッ ド マ イ ク

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集音する室内で得られる音像をほぼ完全に再生できるバイ ノーラル技術を活用し、人の頭の形を模すことで再生した際 に人がその場で聴いているように録音する集音マイク。

図 3-2  ダミーヘッドマイク

図 3-3 録音風景

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研究方法

3-4 被 験 者 に よ る 聴 き 取 り ①晴眼者  レコーディングしてきた音を静かな部屋でヘッドホンを 使って聴いてもらう。1人につき16サンプル×2回行う。 1サンプルは20秒から30秒で、被験者はその間音による 空間体験をすることになる。今回の実験では晴眼者10人を 対象とした。

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1回目)  聞 こ え る 音 だ け を 参 考 に 次 の よ う な 方 法 で 空 間 の 変 化 を 答 える。 ⃝ 音 が 変 わ っ た と 思 わ れ る 時に( 音 に よ っ て 空 間 の 変 化 が 認 識 で き た と こ ろ で )ス ト ッ プ ウ ォ ッ チ の ボ タ ン を 押 し て も ら い 、 その時間を記録する。ストップウォッチは1サンプル中何度 押してもその全ての時間を記録できるもの用いる。 ⃝空間の変化の印象を6つの選択肢から答えてもらう。  ①狭い空間から広い空間に移動した。  ②狭い空間から広い空間に移動した。  ③右に空間が広がった。  ④左に空間が広がった。  ⑤右に曲がった。  ⑥左に曲がった。 以上の2種類の方法で空間の変化を答えてもらった。 2回目)  実 験 を 行 う 前 に 調 査 対 象 空 間 の 形 態 を 示 し た 平 面 図 に歩行方 向を示したもの( 図 3 - 1 )を 渡 し 、そ れ を 参 考 と し て 1 回 目 と 同 様の方法で空間の変化を答える。

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研究方法

②視覚障害者(全盲)  レコーディングしてきた音を静かな部屋でヘッドホンを 使って聴いてもらう。1人につき16サンプル×2回行う。 1サンプルは20秒から30秒で、被験者はその間音による 空間体験をすることになる。今回の実験では全盲の方5人を 対象とした。 1回目)  聞こえる音だけを参考に次のような方法で空間の変化を答 え てもらう。 ⃝前頁の実験同様、空間が変わったと思われる位置でストッ プウォッチのボタンを押してもらってその時間を記録する。

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

⃝印象については選択肢を用意することはせず、どのように 変化したかなどの気付いたことを随時口頭で答える。 2回目)  実験を行う前に口頭で空間の形態を伝え、それを参考とし て1回目と同様の方法で空間の変化を答える。 インタビュー) ⃝実際との違いはどこにあると思うか。 ⃝歩行の際に意識して探す手掛かりは何か。 ⃝未知の場所ではどうするのか。 ⃝建物に何を求めるか。 などの質問と、聴き取り実験中にしゃべっていたことの詳し い説明をお願いした。

-29早稲田大学 渡辺仁史研究室


研究方法

3-5 記 録   ス ト ッ プ ウ ォ ッ チ を 押 し た 時 間( 0 0 ’0 0 ”)と そ の 時 の 変化の印象を記入するようになっている解答用紙。16パ ターン×2回なので1人につき2枚あることになる。 ⃝晴眼者については前述の6つの選択肢をその番号で記入し てもらう。 ⃝視覚障害者はストップウォッチを1パターン終わるごとに こちらに渡してもらい時間は我々が記録する。印象について は実験中の会話を録音してこれとは別にまとめる。

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

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図 3-4 記録用紙

早稲田大学 渡辺仁史研究室

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研究方法

3-5 物 理 学 的 分 析 イ ン パ ル ス 応 答 (注 3.2)を調べる  ダミーヘッドマイクで録音してきた音を、Macintosh 上 で「 サ ウ ン ド エ デ ィ タ ー 」も し く は「 D i g F i l 」と い う ソ フ ト を用いて信号化する。この際「サウンドエディター」では 「 M o v i e P l a y e r 形 式 」、「 D i g F i l 」 で は 「 シ ス テ ム サ ウ ン ド形式」をとった。

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

(注 3.3)イ ン パ ル ス 応 答   音 源 か ら 出 た 直 接 音 が 受 聴 点 に 到 達 し た 後 、周 壁( 壁 や 天  井 そ の 他 )か ら の 反 射 音 が 遅 れ て 到 達 し 、更 に 引 続 い て 、周  壁 で 相 互 反 射 を 繰 り 返 す 音 波 が 残 響 と な っ て 到 達 す る 。 ゆ  え に 音 源 か ら イ ン パ ル ス を 出 し た 場 合 は 受 聴 点 で 図 3ー4の  よ う な 時 系 列 信 号 が 観 測 さ れ る 。 こ れ を イ ン パ ル ス 応 答 と  い う 。こ の よ う な 時 系 列 信 号 を 測 定 し 評 価 す る 方 法 は 、歴 史  的 に W . C . S a b i n e が オ ル ガ ン パ イ プ の 音 の 残 響 を ス ト ッ プ  ウ ォ ッ チ で 測 定 し た も の が 最 も 古 く 、 現 在 で も 残 響 測 定 は  室 内 音 響 測 定 の 中 心 に 位 置 す る と 言 え る 。

図 3-5 Dig Fil のウィンドウ(インパルス応答)

早稲田大学 渡辺仁史研究室

-31-


研究方法

ス ペ ク ト ル 分 析 (注 3.4)  先に信号化した音を「Dig Fil」上で「FFT(高速フーリ エ 変 換 )」を か け る 。本 ソ フ ト で は パ ワ ー ス ペ ク ト ル の 表 示 に お い て 各 サ ン プ ル 毎 に 縦 軸( d B )の 大 き さ が 異 な る た め 、そ のような問題がなく比較検討しやすい対数パワースペクトル 表示とする。 ( 注 3.4 ) ス ペ ク ト ル 分 析   今 回 の 実 験 で 音 の 変 化 の も う 一 つ の 要 因 と な っ て い る の が  音 色 で あ る 。 楽 器 の 種 類 が 違 う と 同 じ 大 き さ で 同 じ 高 さ の  音 を 出 し て も 違 っ て 聞 こ え る の は こ の 音 色 の 違 い で あ る 。  音 色 は 音 の 各 周 波 数 成 分 毎 の 強 さ に よ っ て 生 ま れ る も の で 、

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

複 号 音 と し て 存 在 す る 音 を フ ー リ エ 変 換 を 用 い て 周 波 数 毎  に 分 解 す る こ と で 、 空 間 の 持 つ 周 波 数 特 性 を 物 理 的 に 解 析  す る 。

(a)

(b)

図 3-6 DigFil のスペクトラム分析  (a)パワースペクトル

(b)対数パワースペクトル

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-32-


結 果 と 考 察

4章

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

結果と考察

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -33-


結 果 と 考 察

4 - 2長 い ま っ す ぐ な 通 路 を 基 本 と す る 空 間 ty p e . 1

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

一番初めということもあってか、反応と印象は人によって まちまちである。通路に出たところで反応がほとんどないの が特徴的である。インパルス反応を見ると15秒より前で変 化があるので、事前に空間の変化が知覚できる可能性を示し ている。

図 4-2-1  type.1 左側のインパルス応答( 1 0 - 2 0 s )

図 4-2-2  type.1 右側のインパルス応答(10 -20s)

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -35-


結 果 と 考 察

type.2 1 回 目 の 実 験 で「 狭 く な る 」と 答 え た 人 が 半 数 程 で あ っ た。特徴的であったのが、広がりを通り過ぎた後の知覚

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

がほとんどなされていないということである。

図 4-2-4

図 4-2-5

type.2 左側のインパルス応答(10 -20s)

type.2 右側のインパルス応答(10-20s)

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -37-


結 果 と 考 察

type.3 1 回 目 、 2 回 目 共 に ほ と ん ど の 人 が 「 空 間 が 広 が る 」、 「 左 側 の 空 間 が 広 が る 」と 答 え た 。2 回 目 で の 反 応 の 集 中 よ り 、こ の タ イ プ の 空 間 は 把 握 し や す い と い う こ と が 言 える。インパルス応答でも、遅れてやってくる反射音の

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

影響がだんだんと強くなっていくのが見て取れる。

図 4-2-7 type.3 左側のインパルス応答(4-11s)

図 4-2-8

type.3 右側のインパルス応答(4-11s)

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -39-


結 果 と 考 察

type.4  反応の時間、印象とも、とてもばらついている。視覚 障害者の方の感想も、 「 こ れ が 一 番 難 し か っ た 」と い う も の で あ っ た 。イ ン パ ル ス 応 答 を み る と 空 間 の 変 化 点 の 前 に波形の変化が見られるものの、その後の波形の安定が

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

分かりにくさを生んでいるのではないかと思われる。

図 4-2-10

type.4 左側のインパルス応答(8-15s)

図 4-2-11

type.4 右側のインパルス応答(8-15s)

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -41-


結 果 と 考 察

type.5  「 左 側 の 空 間 が 広 く な る 」、 「 左 に 曲 が っ た 」と い う 印 象 が1回目に多く、反応の数は狭くなる前後に比べて、広 く な る 前 後 の 方 が 圧 倒 的 に 多 い 。こ れ を 解 明 す る た め に 、 左側についてインパルス応答を比べたが、波形の減衰の 仕方の推移が変化の前後でひっくり返った形になってい

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

て、その要因を明らかにすることはできなかった。

図 4 - 2-13

図 4 - 2-14

type.5 左側 インパルス応答(6-16s)

type.5 左側 インパルス応答(14-24s)

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -43-


結 果 と 考 察

type.6

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

広がったところでの知覚が多い。1回目、2回目とも 2度の変化を知覚する人が多いが、全体的に見てばらつ いたものとなっている。インパルス応答を見ると、空間 の変化点というよりも広がりのまん中、15秒前後が特 徴的な波形となっている。被験者の多くは、ここに反応 したのではないかと思われるが、その原因は分からな かった。

図 4 - 2-16 type.6 右側 インパルス応答(6-16s)

図 4 - 2-17

type.6 右側 インパルス応答(14-24s)

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -45-


結 果 と 考 察

まとめ

今までに述べてきた各タイプ毎の結果を比較し、空間 の幅と奥行きについて考察してみたい。t y p e . 1、 type. 2は幅が狭く奥行きの大きい空間が接続したグ ル ー プ 、t y p e . 3 、t y p e . 4 は 奥 行 き の あ ま り な い 、幅 の 広 い 空 間 に 接 続 し た グ ル ー プ 、t y p e . 5 、t y p e . 6 は 幅が前の2つのタイプの中間ほどの奥行きのあまりない 空間に接続したグループと分類される。スペクトラム分 析 の 結 果( 図 4 - 2 - 2 0 、図 4 - 2 - 2 1 )後 の 2 つ の グ ル ー

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

プの空間の周波数特性は非常によく似ていたが、type. 3が特に分かりやすいという結果となっている。type. 5のインパルス応 答( 図 4- 2- 14 、図 4- 2- 15 )で の 波 形 の 変 化 の 仕 方 か ら 「 広 く な る 」、「 狭 く な る 」 と い う 空 間の変化に対し音は徐々に変わっていくとわかるが、 t y p e . 5 、t y p e . 6 の グ ル − プ で は 被 験 者 全 員 が 、感 じ る 程の音の変化を与える幅をとれていなかったということ が こ の 原 因 で あ る と 推 測 さ れ る 。t y p e . 2 の ス ペ ク ト ラ ム 分 析 の 結 果( 図 4 - 2 - 1 9 )、通 路 部 分( 図 4 - 2 - 2 2 )と 似た波形をしているものの、ここでは規則的に大きな変 化をしている周波数が見られる。これがこの空間の音の 特徴を作り出し、幅は狭くとも空間の変化に気付きやす い理由となっている。

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -47-


1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

結 果 と 考 察

図 4 - 2-19 type.2 変化点のパワースペクトル

図 4 - 2-20 type.3 変化点のパワースペクトル

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1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

結 果 と 考 察

図 4 - 2-21 type.5 変化点のパワースペクトル

図 4 - 2-22 何もない通路のパワースペクトル

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -49-


結 果 と 考 察

4 - 3突 き 当 た り を 含 む 空 間 type.7

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

1回目・2回目を問わず、T 字の2辺が交わる部分で のみストップウォッチを押す人がほとんどだった。波形 については、雑音が入ったこともあり極めて不規則と な っ て い る が 、1 5 秒 を 境 に 劇 的 に 変 化 し て お り 非 常 に 分 かりやすい空間であると分かる。1人の視覚障害者の方 は「変化する徴候と、実際に変わった位置との2回ス トップウォッチを押した」という意見であった。

図 4- 3-1 type.7

インパルス応答(13-22s)

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -50-


結 果 と 考 察

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

type.8    1回目に関しては全く分からないという結果となっ た。ただし、K さんに関しては位置が多少ずれたものの 「大きなところから狭いところに移った」と答えており 音だけでこの空間変化に気付く可能性を示している。2 回目は多くの人がほとんど同じところに変化を感じてい るが、1回目の結果と比較すると、あまりに大きく変 わ っ て い る 。こ れ は 2 回 目 は 地 図 情 報 を を 持 っ て い る た めに始まって間もなくの変化に注意を払っていたためだ と思われる。

図 4- 3-3 type.8 インパルス応答(0-10s)

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -52-


結 果 と 考 察

type.9    比較的ばらつきの少ないタイプで、角に来てから突き 当たりまでの間にほとんどの反応が集中している。角に くるまでに反応が多かったこれまでと違う傾向を見せて い る こ と 、「 広 が っ た 」と 答 え た 人 と「 狭 く な っ た 」と 答 えた人が半々だったことが特徴として挙げられる。イン パルス反応は type.8 と同様に乱れた波形となってい る。左右を比較すると、12秒以降の初発音付近の振幅 の違いから右側の方がより大きなエネルギーを受けてい

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

ることが分かる。

図 4-3-5

type.9 左側 インパルス応答(10-18.5s)

図4-3-6 type.9 右側 インパルス応答(10-18.5s) 早稲田大学 渡辺仁史研究室           -54-


結 果 と 考 察

type.10  type. 9とほぼ同様の結果が得られる。異なる点は L の 角 の 部 分 で の 反 応 の 数 で 、t y p e . 9 よ り も 認 知 し や す かったと言える。これは角をまがっていること、角の部 分にいる時間が長いことが理由として考えられる。イン パルス反応についても、右と左の差という同じことが言 える。また余談ではあるが視覚障害者の方に「私達の曲 がり方と違う」と再生した音だけで指摘されてしまっ

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

た。

図 4-3-8 type.10 左側インパルス応答( 10-18s)

図 4-3-9

type.10 右側インパルス応答( 10-18s)

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -56-


結 果 と 考 察

まとめ

こ の 突 き あ た り を 含 む 空 間 で は 、t y p e . 8 を 除 い て 、変 化に気付く割合と、位置の特定の精度が良い結果を残し ている。別の変化との比較対象として t y p e . 2 と、 type.7、type.10 の突きあたり部分での(type.2 で は突きあたりの前を通り過ぎる時の)音をスペクトラム 分 析 す る と( 図 4 - 3 - 1 1 、図 4 - 3 - 1 2 、図 4 - 3 - 1 3 )何 もない通路での音のスペクトル(図 4-3-14 )と 良 く 似

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

た波形となる。type.2 と type.7 は同じ場所で空間特 性も同じであるから当然といえば当然だが、直線部分と も似ているので、この空間変化の分かりやすさは空間特 性以外の大きな要因が存在することがわかる。type.2 を t y p e . 1 0 を 比 較 す る と 、左 に 曲 が る 通 路 が あ る と い う 共通点を持つが突きあたりを持たないという大きな違い に気付く。このことから、突きあたりがその要因である とわかる(障害物知覚の分野には「物体反射面からの距 離が短く直接音と反射音が1つの音になり、反射面から の距離が短くなるにつれて音のピッチが上昇する」とい う カ ラ − レ − シ ョ ン 現 象 の 利 用 に つ い て の 研 究 が あ る )。 突きあたりから遠ざかる type.8 は反射音が向かって来 る他のタイプとは違うということが、このような結果に 繋がっていると推測できる。

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -58-


1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

結 果 と 考 察

図 4 - 3-11 type.2 変化点でのパワースペクトル

図 4 - 3-12 type.7 変化点でのパワースペクトル

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1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

結 果 と 考 察

図 4 - 3-13 type.10 変化点でのパワースペクトル

図 4 - 3-14 何もない通路のパワースペクトル

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -60-


結 果 と 考 察

4 - 4 高さの変わる空間 type.11

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

1 4 . 2 秒 前 後 と 2 2 . 0 秒 前 後 の 2 ケ 所 を 、ほ と ん ど 全 員 が指摘した。ここは広さ・高さの両方が室容積の小さく なる方に変化する場所と、今回の録音場所で唯一床の表 面の素材が変わる場所がある。インパルス応答は、入力 が小さかったのか非常に見にくいものとなってしまった が、図 4-4-1 では、右側は初発音に反響による波が重 な っ て い る の が 分 か る 。残 念 な が ら 図 4 - 4 - 2 か ら は 材 質 の違いにによる音の変化を読み取ることはできない。

図 4-4-1 type.11 インパルス応答( 9-19s)

図 4-4-2

type.11 インパルス応答( 17-27s)

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -61-


結 果 と 考 察

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

type.12    type.11と同じ空間を反対向きに進んでいるのだが、 傾 向 は 似 て い る も の の 、t y p e . 1 1 ほ ど は っ き り と し た 結 果が出ていない。空間の広がりは、その変化の後しばら くしてから気付くという人が多く、ぼやけた印象となっ ている。インパルス応答を見ても、はっきりとした特徴 はつかめないが、原因として狭い方の空間の筒のような 形状がそこから少し離れてもまだ同じように反射音を届 けるためだと考えられる。

図 4-4-4

type.12

インパルス応答(6-16s)

図 4-4-5

type.12 インパルス応答(4 -23s)

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -63-


結 果 と 考 察

type.13   健 常 者 に は 天 井 高 が 変 わ る 際 の 音 変 化 は 、変 わ っ た こ と は わ か っ て も 、高 く な っ た の か 低 く な っ た の か 分 か り に く い よ う だ っ た 。し か し 、高 さ が 大 き く 変 化 す る 方 が 反 応 は 多 か っ た 。8 . 5 秒 前 後 と 1 5 秒 前 後 に 反 応 が 多 く 集 ま っ て い る 。イ ン パ ル ス 応 答 を 見 る と 、1 2 秒 付 近 に 波 形 が 変 わ っ て い て 、空 間 の 変 化 点 よ り 音 の 変 化 点 が 遅 れ て い る と い う 印 象 を 受 け る 。も う 少 し 手 前 か ら 録 音 を 始 め

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

れ ば 、た く さ ん の 音 の 変 化 点 が 得 ら れ た か も 知 れ な い と いう反省がある。

図 4-4-7 type.13 インパルス応答(6-17s)

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結 果 と 考 察

type.14    type.13と同様に健常者の1回目の印象が様々であっ た 。1 1 秒 、1 3 秒 、1 8 秒 と 3 本 の ま と ま り が あ り 、1 人 に つ き 2 、3 度 の 解 答 で 半 分 以 上 の 人 が 1 回 目 と 2 回 目 で 、同 じ 時 間 に 反 応 し て い る 。イ ン パ ル ス 応 答 で は 、そ れ らしい特徴は見つけられないものの、反応と平面図の比 較から天井高の低いところから高いところに行く時に は 、高 い と こ ろ か ら 低 い と こ ろ へ 行 く 時 の よ う に 音 の 変

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

化が遅れることはないと思われる。

図 4-4-9 type.14 インパルス応答(8-19s)

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結 果 と 考 察

まとめ

この高さの変わる空間のグループは、どれも変化を知 覚 し や す い と い う 結 果 が 出 た 。t y p e . 1 3 の 小 さ い 方 の 室 の響き方(図 4-4-11)と比べることにより、通常の廊 下からボリュームの異なる室へ移動する際の知覚しやす さ を 評 価 す る 。図 4 - 4 - 1 2 は t y p e . 1 1 大 き い 方 の 室 、つ まり広く天井も高い室、図 4-4-13 は type.13 の大き い方の室、つまり広くて天井も高い室、図 4-4-14 は

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

t y p e . 1 3 の 小 さ い 方 の 室 、つ ま り 広 く て 天 井 高 の 変 わ ら ない室で録音した白杖の音を、それぞれスペクトラム分 析 し た も の で あ る 。図 4 - 4 - 1 2 と 図 4 - 4 - 1 3 は 、や は り ほ ぼ 同 じ 波 形 を 示 し て い る 。こ の 2 つ は 図 4 - 4 - 1 1 と 比 べると概形は似ているものの、特に高音が響かなくなっ て い る 。図 4 - 4 - 1 3 を 図 4 - 4 - 1 4 と を 比 べ る と 図 4 - 4 1 3 の 方 が や は り ま た 高 音 の 響 き が 悪 く な っ て い る 。今 回 実際にはなかった組み合わせだが、図 4-4-14 を図 44 - 1 1 と 比 べ る と 値 と 波 形 は そ れ ほ ど 差 が な く 、6 H z と 9Hzのあたりで一部波形が崩れているところがあった。 この二つを実際に実験してみてどうなるのか調べられな か っ た の が 悔 や ま れ る 。し か し 、今 回 t y p e . 1 3 よ り 高 さ の違いだけでも知覚に役立つと分かった。

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -69-


1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

結 果 と 考 察

図 4 - 4 - 11 type.13 小さい室のパワースペクトル

図 4 - 4 - 12 type.13 大きい室のパワースペクトル

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -70-


1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

結 果 と 考 察

図 4-4-13

type.11 大きい室のパワースペクトル

図 4-4-14

type.11 小さい室のパワースペクトル

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -71-


結 果 と 考 察

4-5 その他の空間 type.15  もともと空間の変化の数が多いので、解答も1人平均 3回以上ととても多いのだが、特に後半16秒以降につ いては空間の変化の位置と対応したところにまとまって い る 。印 象 も「 空 間 が 広 が っ た 」 「空間が狭くなった」 「左 側の空間が広がった」と正しく把握したものが多かっ

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

た。

図 4 - 5-1

type.15 左側のインパルス反応(6-16s)

図 4 - 5-2

type.15 右側のインパルス応答(6-16s)

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -72-


1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

結 果 と 考 察

図 4 - 5-3

type.15 左側のインパルス応答(16-26s)

図 4 - 5-4

type.15 右側のインパルス応答(16-26s)

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -73-


結 果 と 考 察

type.16  type.15 と同様の傾向が見られる。反応は 5.8 秒∼ 9 . 3 秒 、1 2 . 3 秒 ∼ 1 6 . 8 秒 、2 4 . 1 秒 ∼ 2 7 . 0 秒 の 3 カ 所 にまとまっている。type.15、type.16 共に平面図で 見て左側の壁の変化を特にはっきりと知覚している。こ れは通路が狭いのに対し、壁の向こう側の空間が非常に 大 き く な っ て い る た め で あ る 。t y p e . 1 、t y p e . 2 の 奥 行 と t y p e . 5 、t y p e . 6 の 幅 を 持 つ 空 間 を 、板 で 突 然 遮 っ て

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

いるのがこの空間の認識のしやすさを生んでいる。

図 4 - 5-6

type.16 左側のインパルス応答(7-17s)

図 4 - 5-7

type.16 右側のインパルス応答(7-17s)

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1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

結 果 と 考 察

図 4 - 5-8

図 4 - 5-9

type.16 左側のインパルス応答( 17-27s)

type.16 右側のインパルス応答( 17-27s)

早稲田大学 渡辺仁史研究室           -76-


おわりに

5章

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

おわりに

早稲田大学 渡辺仁史研究室             -78-


おわりに

5.1 まとめ   全 体 的 に み て 、空 間 の 分 節 を 把 握 し す や す い の は 、空 間 の 高 さ 変 化 が 大 き い も の と い え る 。ま た 、廊 下 の 幅 が 狭 い と 残 響 音 が 少 な く な る た め 、 空 間 が 変 化 し た 際 にそ の 残 響 音 の 違 い が 大 き く な る の で 把 握 し や す い と い え る 。こ れ は 、視 覚 障 害 者 が 壁 の 圧 迫 感 を 利 用 す る た め に 、壁 に 沿 っ て 歩 く こ と が 多いという事実と共通する要因があると思われる。

こ の こ と か ら 、ビ ル や ホ テ ル な ど に 必 ず あ る 大 き な 吹 き 抜 け の よ う な 空 間 は 、視 覚 障 害 者 の 人 に と っ て は 把 握 し に く い と思われる。

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

つ ま り 、建 物 内 に お い て は 、広 い 空 間 、直 線 を 多 く 用 い た わ か り や す い 空 間 構 成 が 、一 見 視 覚 障 害 者 に は 安 全 、わ か り や す い と 思 わ れ て い る が 、か え っ て 広 い 空 間 を 持 た ず 、曲 が り 角 や T 字 な ど の 分 節 が は っ き り し た 空 間 構 成 (*)の ほ う が 、視 覚 障 害 者 に 有 効 な 情 報 を 多 く 与 え る た め 有 効 で あ る と いえる。

(*)次 ペ ー ジ に 空 間 の 形 態 と 知 覚 し や す さ の 評 価 を 簡 単   に ま と め る 。

評価のしかた

◎ とても知覚しやすい ○ 知覚しやすい △ どちらともいえない × わかりにくい

早稲田大学 渡辺仁史研究室             -79-


おわりに

名称   平面   評価   備考

type.1

type.2

「狭くなる」変化については 反応がほとんどない。

「狭くなる」変化については 反応がほとんどない。

経路を伝えてからの知覚が

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

type.3

位置、印象ともに鋭い。

最も分かりにくい。 type.4

type.5

空間の変化をはっきりと知 覚できるほどの変化を音に 与えるほどの幅がなかった。

type.6

空間の変化をはっきりと知 覚できるほどの変化を音に 与えるほどの幅がなかった。 突きあたりの影響で知覚し

type.7

やすい。

type.8

遠ざかる場合には突きあた りもあまり影響力を持たな い。

早稲田大学 渡辺仁史研究室             -80-


おわりに

名称   平面(一部 断面)   評価  備考

type.9

突きあたりの影響 で知覚しやすい。

type.10

突きあたりの影響 で知覚しやすい。

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

type.11

小さい室が良く響 くので印象を間違 いやすい。

type.12

小さい室が良く響 くので印象を間違 いやすい。

type.13

高さの変化は知覚 しやすい。音の変 化が少し遅れる。

type.14

type.15

type.16

高さの変化は知覚 しやすい。

小さな開口で高さ、 幅の大きな室と接 続している。 小さな開口で高さ、 幅の大きな室と接 続している。

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おわりに

5.2 展望   今 回 の 論 文 で は 、音 に 関 す る 基 礎 知 識 、機 材 な ど の 不 足 か ら 、直 接 音 、残 響 音 な ど の 要 素 の 細 か い 影 響 を 、ア プ リ ケ ー ションソフトによる波形を見ることでしか物理的分析ができ な か っ た 。も っ と 文 献 な ど で 調 べ る こ と で 音 響 学 的 な 観 点 か らを詳しく調べる必要がある。

ま た 、自 発 音 だ け を 用 い て 実 験 を 行 っ た が 、自 発 音 と 環 境 音との相互関係による空間分節の把握への影響がこれからの 課題として挙げられる。

調査の場所についても一ケ所しかで行えなかったというこ

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

と も あ り 、も っ と い ろ い ろ な 場 所 で 調 査 を 行 い 、デ ー タ を 増 やすことで空間構成、材質による違いから比較を行いたい。

ま た 、高 田 馬 場 に あ る 点 字 図 書 館 で 話 を 伺 っ た と こ ろ 、田 中 館 長 か ら 視 覚 障 害 者 が 空 間 を 把 握 す る と き 、可 聴 域 を 越 え た 音 に よ る と こ ろ も あ る と い う 意 見 を 頂 い た 。今 回 の 実 験 で は 、録 音 を し た も の を 聴 い て も ら っ た た め 、可 聴 域 内 で の 聴 き 取 り 実 験 だ っ た の で 、可 聴 域 を 越 え た も の を 含 む 場 合 と の 比 較 に つ い て も 検 討 す る 必 要 が あ る 。そ の た め に は 、録 音 し た も の を 聴 い て も ら う の で は な く 、実 際 に 現 地 で 実 験 を 行 う こともやっていきたいと思う。

早稲田大学 渡辺仁史研究室             -82-


おわりに

5.3 謝辞   こ の 卒 論 を ま と め る に あ た っ て 、C A D 室 の 方 々 、特 に 、ソ フ ト の 使 い 方 や ア ド バ イ ス を く だ さ っ た 山 久 瀬 さ ん 、自 分 の 論 文 に つ い て 熱 心 に 説 明 し て く れ た 望 月 さ ん 、一 緒 に 徹 夜 を し て く れ た 神 山 さ ん 、堀 川 さ ん に は 大 変 お 世 話 に な っ た 。同 時に論文を書いていた金川君にはおつかれさまを言いたい。

お 仕 事 中 に も か か わ ら ず 、被 験 者 に な っ た い た だ い き 、会 議室まで貸していただいた点字図書館の方にも大変感謝して い ま す 。急 な お 願 い に も か か わ ら ず 素 早 く 手 を ま わ し て 頂 い た田中館長、どうもありがとうございました。

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

最 後 に 、作 業 が 遅 い 我 々 を 一 生 懸 命 に 見 て く だ さ っ た 長 沢 さんには言葉では言い尽くせない程のお礼を申し上げたい。

早稲田大学 渡辺仁史研究室             -83-


参考文献

6章

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

参考文献

早稲田大学 渡辺仁史研究室             -84-


参考文献

参考文献 ・ イ ェ ン ス   ブ ラ ウ エ ル ト 、森 本   政 之 、後 藤   敏 幸 : 空 間 音 響:鹿島出版会(1986) ・前川 純一:建築・環境音響学:共立出版(1986) ・今井与蔵:絵とき建築環境学:オーム社(1990) ・藤川 誠一:視覚障害者1人で歩く:あずさ書店(1996)

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

・大山 俊雄:絵とき建築環境学:オーム社(1997)

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参考文献

参考論文 ・ 梶 井   健 、関   喜 一 、伊 福 部   達 、田 中   良 広 : 北 海 道 大 学 電子科学研究所、北海道高等盲学校:盲人歩行補助のための 基 礎 研 究 - 障 害 物 知 覚 に お け る 単 一 反 射 ・ 遮 音 の 役 割 - 、第 1 8回感覚代行シンポジウム発表論文集(1992 / 12 / 2 ∼3)

・ 梶 井   健 、関   喜 一 、伊 福 部   達 、田 中   良 広 : 北 海 道 大 学 電子科学研究所、北海道高等盲学校:盲人の障害物知覚と音 場 の 変 化 の 関 係 に つ い て - 物 理 学 的 考 察 - 、第 1 9 回 感 覚 代 行 シンポジウム発表論文集(1993 / 12 / 13∼14)

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

・ 梶 井   健 、関   喜 一 、伊 福 部   達 、田 中   良 広 : 北 海 道 大 学 電子科学研究所、北海道高等盲学校:盲人の障害物知覚と音 場 の 変 化 の 関 係 に つ い て - 心 理 学 的 考 察 - 、第 1 9 回 感 覚 代 行 シンポジウム発表論文集(1993 / 12 / 13∼14) ・ 梶 井   健 、関   喜 一 、伊 福 部   達 、田 中   良 広 : 生 命 工 学 工 業技術研究所、北海道大学電子科学研究所、北海道高等盲学 校:盲人の障害物知覚におけるカラーレーションの特性につ い て 、第 2 0 回 感 覚 代 行 シ ン ポ ジ ウ ム 発 表 論 文 集( 1 9 9 4 / 12 / 5∼6) ・関   喜 一:工 業 技 術 院 生 命 工 学 工 業 技 術 研 究 所:障 害 物 知 覚 の方向による感度差と先行音効果の関係、第21回感覚代行 シンポジウム発表論文集(1995 / 12 / 5∼6) ・関   喜 一:工 業 技 術 院 生 命 工 学 工 業 技 術 研 究 所:環 境 騒 音 場 における無限障壁に対する障害物知覚、第22回感覚代行シ ンポジウム発表論文集(1996 / 12 / 2∼3)

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参考文献

・関 喜一:工業技術院生命工学工業技術研究所:障害物知 覚 の 方 向 に よ る 感 度 差 と 先 行 音 効 果 の 関 係( 第 2 報 )、第 2 3 回感覚代行シンポジウム発表論文集(1997 / 12 / 1∼ 2)

・関 喜一:工業技術院生命工学工業技術研究所:障害物知 覚の体系的聴覚訓練の提案、第24回感覚代行シンポジウム 発表論文集(1998 / 12 / 7∼8) ・ 山 本   利 和 、岡 田   弥 :大 阪 大 学 教 育 学 部 、日 本 ラ イ ト ハ ウ ス第2生活訓練部:視覚障害者の白杖歩行を援助する2種類 の情報、第20回感覚代行シンポジウム発表論文集(199

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

4 / 12 / 5∼6) ・ 小 林   真 、太 田   道 男 :筑 波 大 学 院 理 工 研 究 科 、筑 波 大 学 構 造 工 学 系:

音 響 視 覚 代 行 装 置 に お け る 基 礎 的 研 究 、第 2 0 回

感覚代行シンポジウム発表論文集(199 5/ 12 /5 ∼ 6) ・ 下 村   淳 、小 林   真 、太 田   道 男 : 筑 波 大 学 院 理 工 研 究 科 、 筑 波 大 学 構 造 工 学 系:

音響視覚代行装置における提示音の周

波数と音像の上下感について、第22回感覚代行シンポジウ ム発表論文集(1996 / 12 / 2∼3)

・ 森 本 、政 之 :神 戸 大 学 工 学 部: 拡 が り 感 の 指 標 と し て の 両 耳 間相関度と側方エネルギ率、日本音響学会建築音響研究会資 料   A A - 9 4 - 1 9 ( 1 9 9 4 )  ・ 高 根   昭 一 、鈴 木 陽 一 、曽 根   敏 夫: 東 北 大 学 電 気 通 信 研 究 所:境界要素法を用いた3次元小空間音場のインパルス応答 の推定に関する基礎的検討、日本音響学会建築音響研究会資 料 AA-92-31(1992)

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付 録

1999 年度 卒業論文 音による空間分節の把握

付録

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付録 1 の説明)

聴 き 取 り 実 験 に お い て 、被 験 者 に 音 が 変 わ っ た と 思 わ れ る 位 置 で( 音 に よ っ て 空 間 の 変 化 が 認 識 で き た と こ ろ で )ス ト ッ プ ウ ォ ッ チ の ボ タ ン を 押 し て も ら い 、そ の タ イ ム を 下 の 例 の よ う に 表 に ま と め た 。表 に あ る 数字、例えば 1402 は 14.02s を示す。 注 )こ こ に あ る 番 号 は 聴 き 取 り 実 験 の 際 、空 間 の 印 象 を 6 択 で 選 ん で も ら っ た も の で あ る ( P 2 8 参 照 )。

注)

健 常 者

視 覚 障 害 者

1回目

2回目


付録 2 の説明)

聴 き 取 り 実 験 に お い て 、被 験 者 に 音 が 変 わ っ た と 思 わ れ る 位置で(音によって空間の変化が認識できたところで)ス ト ッ プ ウ ォ ッ チ の ボ タ ン を 押 し て も ら っ た と こ ろ を 、タ イ ム コ ー ド に 沿 っ て 平 面 図( ま た は 立 面 図 )に 赤 線 で プ ロ ッ ト し た。type 別に健常者と視覚障害者の 2 つに分けた。


type.1 1)健常者

1m

単位(S)

2)視覚障害者


type.2

1m

1)健常者

単位(S)

2)視覚障害者


type.3 1)健常者

1m

単位(S)

2)視覚障害者


type.4 1m 1)健常者

単位(S)

2)視覚障害者


type.5 1)健常者

1m 単位(S)

2)視覚障害者


type.6 1)健常者

1m

単位(S)

2)視覚障害者


type.7

単位(S) 1)健常者

1m

2)視覚障害者


type.8 1)健常者

1m

単位(S)

2)視覚障害者


type.9

1)健常者 1m 単位(S)

2)視覚障害者


t y p e . 10

1)健常者 1m

単位(S)

2)視覚障害者


t y p e . 11

1)健常者

1m

単位(S)

2)視覚障害者


t y p e . 12

1)健常者

1m

単位(S)

2)視覚障害者


t y p e . 13 1)健常者

1m

単位(S)

2)視覚障害者


t y p e . 14 1)健常者

1m

単位(S)

2)視覚障害者


t y p e . 15 1)健常者

1m 単位(S)

2)視覚障害者


単位(S)

t y p e . 16 1m

1)健常者

2)視覚障害者


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音による空間文節の把握 by hitoshi watanabe - Issuu