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渡辺仁史研究室修士論文

知的CADと 知識 ベ ー ス

木村 謙 1994年 2月


目 次

1

5  

CAD

知的

は じめに 1。 1 よ りよい CADを め ざして 1.2 本論文 の 目的

2

2.2。

2.1 知的 CADと は .… .… … .… … ・ … … … … … 2.2 関連研究 .… .… .… … … ・ … … … … … ・ … ・ 2.2.1 設計・ 生 産知識 の体系化 に関す る研究例 .… … … 1nternational WOrkshOp On Computer Building]Rep― resentation. . . . .

2.2.3 Symposium on Knowledge Based System for Ar_   5   1

・・・・・・・・・・・・

  6   1

2.3 関連研究 の傾向 … … … … .… ・・・ … … … … ・・ 2.4 本論文 の研究範囲 … … … … .… … … … ・ … … ・

  5   1

2。

  3   1

2.2.4 RATAS . ..... 2.5 1SO/STEP .........・

1 1

chitecural Design . . . . . ・・・・・・・・・・・・・・

知識 ベ ー ス 3。 1 知識 の入れ物 と中身

18

3.2 知識 の入れ物 3.2.1 知 識表現

19

3.2.2 エ キスパ ー ト0シ ス テ ム

19

20 21 ︲ 2

知識工学 か ら見 た知識 3.4 知的 CADの 知識 ベ ース

2.

オブジェク ト指向方法論 4.1 ォブジェク ト指向分析 /設 計方法論

5 2

3.3。

1

4 2

3.3 知識 の中身

  6 2


目 次

OMT法

7 2

4.1.2

Coad&Yourdon法

7 2

4.1.3

00SA法

0 3

1.4

Booch法

2 3

4.1.5

RDD法

2 3

4.1.6

その他 の方法論

4。

  5 . 2 5 2 5

6.1 今後 の課題 と展望 1.1 知 識 の構造化

0 5

おわ りに

8 4

まとめ

6 4

3.3

5 4

5。

Fス ト2 ラ F」 ス ト3 ラ

5 4

3.2

4.

4

5。

7 3

5。

テ ス トケ ー ス 5.3.1 ラ=ジく卜 1

6 3

5.3

プロ トタイプの作成 5。 1 下準備 5.2 主要オ ブジェク ト

4 3

方法論 の選択

4 3

2  3

4  4

総括

3 3

4.1.1

6。

2 5

2

3 5 3 5

知 識 の基準 6.1.3 法規 の将来像 6.2 職能 としての建築家 の役割 6.1。


1章

は じめに


1.1.よ りよい CADを め ざして

1

1。

4

よ りよい CADを めざして

CADは

1960年 代 か ら設計者 の作業 を助 け る道具 として開発 されて きた

が、様 々な設計事務所や建設会社で CADが 用 い られ るよ うにな ったのはこ こ数年来 の ことで ある。 しか し、その利用形態 は、 設計者 自 ら CAD上で試 行錯誤す るので はな く、設計者 が描 いた図面 を CADォ ペ レー タが電子化す るとい うことが多 い。 1992年 5月 に行 われ た第 4回 建築 CAD利 用調査 によれ ば μ]、 CADを 導入 して困 った こととしては、 ・ 設計者利用 には限界 があ り、 オ ペ レー タまかせにな りやす い。 ・ 設計者 の思 い通 りの ものを描 けない。 ・ 設計者 とオ ペ レータの相互理解不足 ● デー タ入力が頻繁 ● CADに 対す る過大評価

(CADを 魔法 の よ うに考 える人が い る)

コ ・ 安易 に ピーで きるのが、単純 ミスを誘発 させ る。 な どが あげ られ て い る。 これ らは、設計者が実際 に CADを 操作 して いない こ とが大 きな原因 として あげ られて い る。 そ こで設計者 と CAD操 作者 の関 係 について、次の よ うな問題点 も指摘 されて いた。 ・ 原則的 には同一 ● 設計者 にふ さわ しいイ ンタフェースが必要 。 ・

自 らのデザ イ ンツール として CADを 利用す べ き

● 考 えて描 くとい うこ とを切 り離す ことがおか しい ● 同一が望 ましいが思 うようにいかない ・ 設計者 が使 えるよ うな CADノ フ トがないのでオペ レー タは必要 ・ 設計者 に CADの 知識 が必要、 オ ペ レー タには建築 の知識 が必要 ペ ・ 設計者 とオ レータ との コ ミュニケーション ● 発想 と CAD操 作 が一致 しに くい


1.2.本 論文 の 目的 この こ とは、設計 者 にとって CADが 必要で あるとい う前提 にたてば、操 作 に な じめない設計者 が多 い か らとも考 えられ るが、実際 にはその前提 は 大 きな疑間で ある。設計者 が CADを 用 いないのはその道具 にあま り魅力を 感 じな いか らではな いだろ うか。 なぜ魅力 を感 じな いのか、 CADの 扱 う「図面」 について考 えることか ら 始 め た い。 図面 (設 計図書 )は 、設計 か ら施 工 まで建築生産 のあ らゆ る場面 で や りと りされ る もので あ り、 それが 生産 に関 わ る人 々の間で設計意図 を伝 え る媒 体 で あ る とす るな らば、図面 とは単 な る線分 の集合 で はな く、設 計意図 を 表現す る様 々な要 素 を記号化 し、それ らの関係 を示 した もので あ る といえ る。 ところが、一般的 な CADは 、ただ単 に設計対象 の形状 データを線分 の集 合 として入 出力す る道具 にす ぎな いので ある。 階段や罪、部屋 とい った建 築要素 を配置す るのではな く、太 い線 や細 い線、四角形 な どを配 置す るだ けなので あ る。「 階段 を描 くコマ ン ド」 の よ うに一見建築部材 を取 り扱 っ て い るかの よ うな仕組み も提供 され て い るが、 その実単 な る線分 の集合 を 出力す るのみであ る。 また、 設計 の過程 を考 えてみ る と、 自由な線分 か ら形態 を決定 す る場面 もあ るが、個 々の空 間、部材 の関係 を考慮す る場 面 も必 ず あ る。 しか し、 既存 の CADで は形 態 を模索す る場面 で は有効で あることが多 いが、構成要 素 の関係付 けを助 け る機能 は全 くない とい って よい。 現在 一般的 に使 われてい る CADは 「 線引 き」 の道具 として は優 れて いて も、「 設計支援」 の道具で あ る とはい えないので あ る。 設計者 が求 めてい るのは設計支援 の道具 なのであ る。

1.2

本論文 の 目的

本論文 で は、 この よ うな設計支援 の道具 として知的 CADに 注 目 し、 その 最 も重 要 な部分 で あ る、知 識 ベ ース を どの よ うに構築す るのかを、現在提 供 されて い る技術 を参考 に しなが ら論 じ、 プ ロ トタイ プを提示す ることで、 今後 の研究 の指針 を示す もので ある。


2章

知的

CAD

本章 で は、新 しい CADと しての知的 CADに 焦点 を当て、知的 CADと はどの よ うな もの なのかをその関連研究 とともに示 し、 本論文 の研究範 囲 を示す。

6


2.1.知 的 CADと は 2。

1

知的

CADと

近年 にな り、前章 で述 べ た既存 の CADの 欠点を補 い、新 たな設計支援 を め ざした、知 的 CADが 提案 され研究 が続 けられて い る。技術 の進歩 によ り、 コ ンピュー タ利用 によ る一歩進 んだ設計支援実現 の可能性 が高 まった こと に呼応 し、 これ らの研究 は、世界 中 の様 々 な施設 で 行 われてお り、 それ ぞ れ に特徴 を持 ってい る。本節 で は、 それ らの基本 的思想 を表 す言葉 を引用 し、 さらに本論文 にお ける知的 CADの 概念 を示す。 コ ンピュータは、 もはや小 さな仕事 の効率 をあげ るために使 うので はな くなって い ます。地球環 境問題 な どの よ うにそれ を 解決 しな い と人類 その ものの存在す ら危 ぶ まれ るとい ったよ う な、非常 に大 きな問題 を解決す るために も、 コ ンピュー タの能 力 を高 め る必然性があ るのです。 これ まで人 間がや って きた ことを参考 に しなが ら、 それ を コ ンピュー タでで きるよ うに してお くとい うこ とは次 の時代 のた めに非常 に大事 な ことだ と思 います。だか らとい って コンピュー タは万能 で はあ りません。言葉 で 表 され ない限 リコ ンピュー タ は処理 で きません し、 ニ ュー ラル ネ ッ トワー クの よ うな技 術 も 未熟で す。 したが って高度 の判断、重要 な意志決定 には人間 が介入 しま す。 それ を直 ちに コ ンピュー タにイ ンプ ッ トして、 コ ンピュー タは全情報 をイ ンプ ッ トされ た状態 で は じめか ら処理 を行 える よ うにす る こ とが大事 なのです。 (東 京大学先端科学技術研究 セ ンター長 :大 須賀節雄 ) 建築設計 が地球 の環境問題 と同 じくらい複雑 か ど うか は疑 間 だが、 少 な くとも大 き く複 雑 な対 象 を相手 に して い ることは間違 いな い だろ う。 ま し てや、建 築生産全体 をその視野 にお くな らば、 それ に匹敵す る問題 と見 る こともで き る。 建築 の設計部 門で は「最終成果物 は図面 で あ る」 とい う考 えが強 い か も しれ ないが、建築生産全体 を考 えるならば、 CAD化 を契機 に設計 の考 え方 を一 歩進 めて、機械化・ 省力化 を含 め た施 工 のための情報作 りとい う側 面 も併 せて考 える必要 がある。 これ は、 と りもなお さず、設計 か ら施 工 まで、 建築生産 に関係す る情報 が一 貫 した流 れ の 中で や りと りされ るとい うこ とで、設計者 の意図 を余す ところな く施 工 の現場 まで伝 えることが可能 になるのである。


2.2.関 連研究 この よ うに高度 で複雑 な問題 を一 つ の流れ として とらえ るには、 どこか 途 中 の段 階で 人 間 か らコ ンピュー タヘ と問題 を渡す ので はな く、 は じめか ら コンピュー タが問題 の解決 に介在 して管理 で き るよ うな形 に持 って い く 必 要 があ る。 そ うで なけれ ば、人 間 が これ まで 行 って きた よ うな方法論 で は解決で きない よ うな問題 に直面で きないので あ る。 さらに、通信網の整備 によ り遠隔地 との迅速 な設計情報 のや りとりなど、 情報 の電子化、統合化 によ る多 くのメ リッ トも、以 前 か ら述 べ られ て い る ことではあ るが見逃 せ ないで あろ う。 このよ うな事情 をふまえて本論文では次 のよ うに知的 CADを 定義す る。 本論文 にお ける知 的 CADは 、設計 にお ける様 々 な局面 にお いて必 要 に応 じた知 識 を提示 し、設計者 の意思決定 の基準 とな る情報 を提供す る、 あ るいは設計者 が 自分 の創作活動 に専念 で き るよ うに、設計者 を煩 わす意志決定 を設計者 に代 わ って行 な うシステムで あるとす る。 この よ うな システ ムを利用 した設計 で は、設計者 が コ ンピュー タ上 の知 1と 識 ベース や りとりを しなが ら作業 を進 め ることとなる。設計者 の意志決 定 に対 し、 システ ムの倶lltヽ ら適切 なア ドバ イ ス、変更点 な どを提示す るの で ある。

2。

2

関連研究

知 的 CADに 関す る研究 は世界各国で行 われ てお り、 その対象 とす る分野 も建 築 に限 らず多様 で あ る。 ここで は、 建 築 を対 象 とした もの を 中心 にい くつ かの研究 を紹介 し、知 的 CADに 関す る研究 の現状 を示 す もの とす る。 2。

2.1

設計・ 生産知識の体系化に関する研究例

EC地域 で は ドイッの IPA/FhG2に ぉ ける製造業 の組織的 な面 か ら生産 を 考 え るフ ラクタル生産 モデル の研究 をは じめ、 イギ リス のケ ンプ リッジ大 学 で は IDSG3に ょる情報 モ デ ル構築 オブジェク ト指 向言語 ORML4な ど一 1あ

るいは建物 モデル。本論文では、建築の知的 CADに お ける知識 ベースは建物 モデル と同等で あると考 えて い る。それ らの差異は、知識 ベースの方 がどちらか と言 えばその意味 す る範囲が広 い、 とい った程度で あろう。後述。

L由

報此撚轟1暑霧 盤

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2.2.関 連研究 連 の生産 に関 わ る知 識工学的 な研究、 またツール の面で は フラ ンスの FAST― LLP5の 企業分析支援 ソフ トウェア OLYMPOIS_AUDITな ど、各 々の研究 参加者 が基礎 となる知識工学的 な研究 プ ロジェク トを進行 して きて い る。 また、 EFTA地 域 で も、 フィ ンラ ン ドの HUT6ェ 業 自動化研究所 での機 能 的ア セ ンプ リ設計用 ツール ∠ ―SYSTEMや 知識 ベースに基 づ く生産 スケ ジュー リングな ど生産 に関す る知識工学、情報 工学的研究や、同国 TUT7の 機械設計研究所 で のエ キスパ ー トシステ ム を含 む トロ リー クレー ン設計 に お ける自動部品選定 システム、及び スイス ETHZ8の BOM9か ら展開 され た 知 識 工学 を背景 とした コンフィギ ュレーション管 理や EPFL(同 ローザ ンヌ) の AI研 究所や生産管理研究所 での研究 がある。 さらに、 カナダの カル ガ リー大学 において も、 機械 工学科 で の知識統 合 シス テ ム を支援す る開発環境 としての IA010シ ス テムの開発や、同大学知 識科学研究所での知識表現サ ーパ ーやエ キスパ ー トシステム としての ドキ ュ メ ン ト作成 ツール の研究 な どが行 われて い る。 これ らの研究 は必ず しも、 設計・ 生産知識 の体 系化 を直接研究対象 とし た もの とは限 らな いが、 いずれ も今後 の展開 の 中で知識 の体系化研究 と深 く関 わ って くる と考 えられ る ものであ る。 また、 それぞれが設計・ 生産知 識 の体系化 に関連 す る幅広 い研究分野 の 中 の一 事 例で はあ るが、現状 での 技術水準 と今後 の技術動向 を端的 に示す もの と考 え られ る。

2.2.2 1nternational Workshop on Computer]Build‐ ing]Representation 1989年 にスイスで行われた International Workshop on Computer Build― ing hpresentationで 発表 された論文 [1劉 31μ 倒 を日本語 に要約 して説明 「 する。

CAADシ ステムのための発想モデル [12] コンピューターを使った建築デザインは、いまだその幼年期 にある。 ドラ フティングや計算、 テキス トの作成 のためのおびただしい数の製品が販売 5Faculte Annecienne des Scinces et Techniques―

Produthuc

6HeLinki University of Technology 7Tampere University of Technology 3sⅥ

riSs Federal lnsititute of Technology Zurich

9Bnls― of‐ l°

― terial Intelligent Agent Obiect

Laboratoire de Logiciels Pour la


2.2.関 連研究

10

されて い るに も関わ らず、今 に至 るまで、 CAADllが 建築 に強 い衝撃 を与 える ことはほ とん ど無 か った と言 え るで あろ う。 それ どころか、 一流 理論 家達 の繰 り広 げ る建築論 と CAADシ ステム との間 のギ ャップは深刻 なもの がある。 建築論 の流れ が、発想 を引 き出す手段 として メタファー を使 う意味論 に よるアプ ロー チを強引 に押 し付 けよ うとしていた ときには、 CAADシ ステ ム とい うものは、主 に、 問題 の解法 や機能的で 合 理的 な考 え方 ���す る こと が大切で あると考 えられて いた。 コ ンピュー ターの可能性 を存分 に開発 し、 現在、 そ して未来 に渡 り、 コ ンピュー ターを建築 に役立 つ よ うに利用 して い くためには、相互 に協力 し合 うことが どちらの分野 に も必要 で あ る。 建築家 は、 自 らの能力 を高 め、己の設計者 としての考 え方 に うま く調和 し、 コ ンピュー ターの よ り知的 な使 いみ ちを創 りだ して くれ るよ うな ソフ トウェアを欲 して い る。 コ ンピュー ターが本当 に設計過程 に融合 され るよ うな、建築 のための発想 システムを要求 して い るのである。 本稿 で は、 この よ うな シス テム として、建築 モ デル に三段階 の抽象度 を 持 たせ、設計 の段階 に応 じてそれ らの抽象度 を 自動的 に使 い分 けるシステ ムを提示 して い る。

建築物 プロダク トモデル規格 の開発 について [13] 本稿 で は、 プ ロダク トモ デル が来世紀 の コ ンピュー タ統合化建設過程 に お いて利用 され るデー タベ ースの 中で 建物 を表 わすデ ー タを構築 す る将来 性 の あ る方法 を提供す る と考 え、 フィ ンラ ン ドにお け るプ ロダ ク トモ デル 規格 の開発 につ いて述べ て い る。 フィ ンラ ン ドで は建築物 プ ロダ ク トモ デル の基本原理 ― RATASモ デル ー が定義 されて い る。 この モ デル はオ ブジェク ト、属性、 関係 な どの概念 を有す るデー タモ デル を利用 して いて、建築物 オ ブジェク トを始点 とす る 五 段階 の抽象階層 を有す る。現在 い くつか のプ ロ トタイ プが RATASモ デ ル に基 づいて開発 されてお り、 これ らのプ ロ トタイ プは リレーシ ョナル デー タベース、ハ イパ ー メデ ィア、製図 システムなど、異 なる種類 のア プ リケー シ ョンを使用 して開発 され て い る。 しか し、 それ らは全 て 同 じコ ンセ プ ト の情報構造 に基 づ いて い る。 1lComputer Aided Architectural Design:論 文著者の とる立場 によ リー般的な CADシ ステム と建築用 のそれ とをあえて区別す ることもある。本論文で は特 に断 りのない限 り同一 の もの として論 じて い る。


1■ 1■

2.2.関 連研究 コ ンピュー タ統 合化建設 のための汎用建物 モ デル (KBSモ デル )[14]

ス ウェーデ ンで は、 ASCH基 準 が単 なる文 字 12の 情報 に用 い られ て い る

よ うに、 NICCフ ォーマ ッ ト13が 図形やそれ に伴 う文字情報 に用 い られ、施 工 の過程 と設計 に関 わる様 々 な人 の間 で行 われ るデー タのや り取 りは標準 化 されて い る。 さらに、評 価 の作業 の基盤 として、 BSAB(ま たは SfB)シ ス テム14と 呼 ばれ る建築部材 や属性の分類 と表記 の システ ムが存在す る。 また、建設過程 において完全 な情報 の流れ を実現す る最 も効果的 な方法 は、デ ジタル 化 (数 値化)さ れ たプ ロダク トモ デル を基 に したデータベ ース を通 して情報 を交換す る こ とで あると考 えられて い る。 そ こで、 この フォーマ ッ トを利用 して、建設過程 にお ける情報 を扱 うため の、 一 定 で、 シス テム に依 存 しない、建 設過程 に関 わ るあ らゆる人 々に受 け入れ られ るプ ロダク トモ デル として KBSモ デル を提 唱 して い る。基本 的 には、 KBSは ォブジェク ト指 向のデー タベース15と して用意 され る。

KBSの 対象 とす る範囲 は建 築物 の建造、維持 に関わ る建築生産過程全 て

の活動 で あ り、計画、施 工 、管理の各段階 にお け る建築 や土木技 術 につ い ての情報 を統合 した形 (図 形情報 とその他 の表 な どが相 互 に連結 した形 ) で扱 うこ とを 目的 としてい る。 計画 の具体化 は、 ス ウェー デ ンで は、建設過程 に関 わ る多 くの、異 なる団 体 間 で の情報 のや り取 りを改 善す る こ とに強 い関心が よせ られて い るか ら で あ り、 この計画 によって 建設過程 にお ける節約、合理 化 が進 め られ、 よ りよい建築物 を導 き出す こ とが望 まれて い る。 この計画 の成功 には、情報 の実体 (オ ブジェク トクラス )の 分類や記述 シ ス テ ム を作 り出す こと、 それ らが共通 で広 く受 け入れ られ る こ とが重要 で ある。

2.2.3

Symposium on Knowledge]Based System fOr Architecural lDesign

1993年 にイタリアで行われた Symposium On Knowledge Based System for Architecural Designで 発表 された論文 [1司 [1倒 μηを日本語に要約 して 説明する。 12alphanumeric characters

13Neutral lntegrated CAD Communication Format:オ

ブジェク ト指向型の図形情報 の 規格 .ス ウェーデ ン固有 のものらしい。 14BsAB製 品分類 システム:ス ウェーデ ンにお ける建築法規、あるいは工業規格 のよ うな もの と考 えられ る。 15情 報がオブジェク トのクラスや そのクラス間 の関係 として表現 されて いるデータベース


2.2.関 連研究

12

設計 と施工に関する知識の コ ンピュー タによる統合 [15] 将来 の CADシ ステムは、 強 い情報構造 の集合 とモジュール による拡張性 の支 えの上 に成 り立 つ もので あ り、 この鍵 とな る要素 は、 設計 に関す る知 識 の表現 で あ る。 このよ うな考 えの もと、建築物 の情報 の意味 を定義す る 強固 な礎 を提供 す るもの として、 Engineering Data MOdel(EDM)を 提 唱 して い る。 さらに、 EDMを 中心 とした コンピュータ化 され た設計環境 にお ける知 識 のモ ジュール性 と統合 に対す る視点 を述 べて い る。

SEEDシ ステ ム における事例 に基づ く設計 [16] SEEDは 開発 中 の、建築 設計 の初期段階 を支援す るソフ トウェア環境 で あ る。 SEEDに よ り提供 され る含ヒカ には、 シ ス テムに よ り生成 され た解 を 事例 として 自動 的 に蓄 え、類似 した問題 の状 況 で の再利用 のための復元 の 仕組 がある。 SEEDは 、事例 に基 づ く設計 へ のア プロー チの うち、文 献 に 書 かれ ただけの もの以上の ものが必 要 で あ る とい う、実際的 な要求 に応 え るもので あ る。 本稿 で は、事例 に基 づ く設計 のために SEEDに 要求 され る 事項 を明 らか に し、 それ ら要求事項 を満 たす ア プ ロー チの概略 を示 し、採 用 され たイ ンデ ックス付 け と復元 のメカニズ ム の技術 に関す る詳細 を提示 して い る。 建築設計 のための知識に基 づ くコ ンピュー タ支援 [17] 設計 とは、 あ らか じめ設定 され た 目標 を達成 す るために、 あ る物理的形 の定義 を導 く過程 で あると考 え、 さらに、 この過程 は三 つ の操作 か ら成立

しているとして い る。①要求 される目標の定義。②い くつかの設計解 の生 成。③ これ らの解 より得 られ るであろ う性能 の評価、およびそれ らとあら かじめ設定 された目標 との比較。 これ ら三つの操作を、一つの 目的を持つ統合 されたプロセスにまとめ上 げる場合はもちろん、それぞれ一つ一つを実行する場合で も困難 に直面す るものである。 これ ら三つの操作を支援す るために様 々な コンピュータ技 術が開発 されたが、それらの成功 の度合はまちまちであった。包括的で実 りのあるコンピュータ設計支援のためには、現在 のコンピュータ技術の限 界を知 り、パー トナーシップ的アプローチ (partnership aprOach)を 機械 と 人間の設計者の間の共同作業 に取 り入れる必要性 を認識すべ きである。 この共生関係 には、設計作業 をその時の作業 に最 も適 した方法で設計者 と機械 に振 り分け ることも含 まれてお り、特 に、設計目標 の設定、 これ ら の 目標を達成す るであろう解 の生成、矛盾の解消、迫 りくる状況 を認識 し


2.2.関連研究

13

それ を うま く利用 す る、設計 プ ロセスの全体 的 な方 向付 け と制御 をお こな うこ とが設計者 の役割 に含 まれ る。 このパ ー トナー シ ップ的 パ ラダイ ム の もとで の、 コ ンピュー タの役割 に は、設計者 に常 に適切 な情報 を与 え続 け る こ と、候補 となって現れ た解 の保存、 それ らの示 し得 る性會ヒを予測 し設 計者 に よ り設定 された 日標 と比 較す ることが含 まれ る。 これ らの操作 は全 て設 計知識 に依 存す るので 、 これ らの知 識 は明確 に記述 され、 設計者 とシ ステ ムが必要 な ときに用意 されて い なければならない。 本稿 で は知 識 に基 づ く設計 パ ー トナーシ ップのパ ラダイ ム の 開発 の原理 と背景 について論 じ、それ を設計 を支援す る コ ンピュー タッー ル として実 装す るためのパ ラー メー タ を示 して い る。 さらに、 この原理 を説明す るた めにプロ トタィ プの実装例 を提示 して い る。

2。

2.4

R」 牡■■牡S

RATASプ ロジェ ク ト(2.2.2参 照 )の ね らいは、来世紀 に向 けて産業全体 が よ り幅広 く情報技術 を利用 して い くこ とを想定 して、建設 業 界 にお ける CADの ための フィ ンラン ドの国家的 な システムを開発す ることで ある。 RATASシ ステムの核 は Building PrOduct MOdel16で ぁる。 RATASプ ロ ジェク トのサブプ ロジェク トで は一般的なデータベ ース、データ交換規格、 設計 の検討、文書化 にお ける変化 について研究 されて い る。 17、 プロダク トモ デル の全体的 な原 理 (オ ブジェク ト指向の概 今 の ところ 念 を採用 す るこ と、主な抽象 階層等 )に ついてのみ合意 が得 られ て い る。オ ブジェ ク トクラス の詳細 な定 義、属性や関係 の種類 について は残 され たま まで あ る。

RATASモ デル には建築物、 シス テム、サ ブシステム、部分、 詳細 の五つ の抽象 レベルがあ る。 ● 建築物 :建 築物 オブジェク トには敷地、気候、建築物全体 の大 きさ、 建 設費用、建築物 の種類 につ いての属性 があ る。 ● システム:シ ステムレベル のオ ブジェク トは建築物 を組織す るシス テ ムについての全般的 な情報 を表 わす。建築物 の中 の全 ての空間は一つ の システムを形成す る。全 ての load― bearingの 建築物 コ ンポーネ ン ト も一つのシステムを形成す る。現代 の建築物 にはさらに い くつかの技 術的 システム もある (暖 房、電力、通信ネ ッ トワー ク等 )。 16建

築 プ ロダク トモ デル:コ ンピュー タ化 された形式 による建築物 の表記 現在

171989年

[131


2.2.関 連研究

14

● サブシステ ム:サ ブシステ ムのオ ブジェク トを用 い る こ とによ り設計 者 は上記 のシステムを機能的な部分 (床 、医療区画 )に 分 ける ことがで きる。 い くつ かの部分的 に重複す るサプシス テ ムオブジェク トがある 「 部分」 の関係 を通 して一つ のシステ ムオ ブ ジェク トを組織す る こと がで き る。部分 レベル のオブジェク トはサ ブシステムの部分で ある。 ・ 部分 :プ ロダク トモデル の大部分 のオ ブジェク トは この部分 レベル に 属す る。部分 レベル のオブジェク トは大体、建築部材や機械設備等 の 触 る ことので きる物理的 な物体 で ある。部分 レベル のオ ブジェク ト、 スペー スは とて も重要 なオ ブジェク トのクラスで ある。 ・ 詳細 :多 くの部分 レベル のオ ブジェク トは詳細 レベル のオ ブジェク ト に分割す る ことがで きる (例 えば、窓 はその構成部材 に)。 原則的 には、 プロダク トモデル は この レベル の情報 につ いて も網羅 して い る。実際 には、 この よ うな情報 は通常、設計中 の特定 の建築物 を表 わすデ ータ ベース よ りも、建築部材 業者 などか ら提供 され る一般的 なデー タベー スの中 に存在す る。 また、オ ブジェク トの特性 (例 えば、属性 )に つ いての属性 には様 々な種 類 があが、 RATASモ デル にお ける最 も重要 な属性 の種類 は数値、文書、絵 で あ る。 ほ とん ど全 てのオブ ジェク トで 共有 され る重要 な属性 は、配置、 方位、形で ある。 RATASプ ロジェク トで は位置や形 の属性 についての詳細 な定義 につ いては研究 されて いな い。 その他 の属性 につ いてはそれ ぞれの オブジェク ト・ クラスに固有 の ものである。 建築物 を製品 として表現す るには異 な るオ ブジェク トが どの よ うな相互 関係 を持 つか を示 す デー タ構造 が必要 で あ る。 二つ の関係 が この 目的 のた めに用 い られて い る。 18」 関係 はあ るオ ブジェク トが よ り大 きなオ ブジェ ・ 部分 の:「 部分 の ク トに含 まれ る こ とを示す。「部分 の」関係 には他 の情報 は付 け加 え られ ない。通常「 部分 の」関係 は異 なる抽象 レベル のオブジェク ト同 士の ものであ る。

●つ なが った:も う一つの関係 はアプ リケーシ ョン固有 の「 つ なが った19」 関係で あ り、 これ は RATASプ ロジェク トに取 り入 られ た もので ある。 「 つ なが った」関係はよ り低 い抽象 レベル (部 分 と詳細 )に よく見 られ、 18part―

Of 19connected― to


2.3.関連研究 の傾 向 通常同 じレベルのオ ブジェク ト同士 をつ ないで い る。属性 の デ ー タは 通常問題 とな ってい るつ なが りを表現 しな くてはならいなので、 これ らの関係 は実 際 には独立 したオブジェク トとして扱 える。 さいごに、 RATASプ ロジェク トで は建築 プ ロダク トモデル の基本原理が 定義 され たので あ って、完 全 なプ ロダ ク トモデル規格 で はない こ と、 その 前 に数年 の研究 とプ ロ トタィ プの検討が必要 で ある こととされて い る。 2.2。

5 1SO/STEP

ISO/STEP20(以 下 STEP)は 工業生産 にお ける情報 の国際規格 で あ り、そ の 目的 は、 あ らゆ る生産 の場 面 で や りと りされ る情報 を規格化 し、 情報 の や りと りを円滑、性格 に進 め ることで ある。 STEPの 建築関連 の規格 としては、建 築物 の ライ フサイ クル を設計、施 工 、利用、解体 の四つの段階 に分 け、情報 を 10程 度 の クラス21に 分類 して い る。 また、 STEPに はプロダク トモデル記述言語 として EXPRESSが 用意 さ れて い る。

STEPは ��� も完 成 され た規格 で あ り、西欧 を中心 に機械系 の プ ロダク ト モ デル を中心 に多 くの研究 の 中で参照 されて い る規格 で ある。先 の RATAS モ デルで も参考 に されてい る。

2。

3

関連研究の傾向

2.2.1で は知 的

CAD一 般 の傾向を見 たが、 いずれ もまだ、基礎研究段階の

ものが多 いが、 これ は、建築 の分野 に限 らず世界的 な傾 向の よ うで あ る。 2.2.2、 2.2.3で は建 築 の分野 での知的 CADの 研究例 を見 た。 それ らの基 本的 な考 え方 は、建 築物 を コ ンピュー タシステ ム上 にモ デル 化 し、 プ ロダ ク トモ デル として扱 うことで ある。 また、 それ らのモ デル は、建 物 の要素 とそれ らの関係 として表現 されて い る22 201nternationa1 0rgantation fOr Standarization/STandard for Exchanging P■

model data

21building/facilities,

building spaces,

elements,

work sectiOns,

Oduct

products

plant/equipment,attrお utes 22現 はや の 在 り 表現 を用 いれば、オブジェ ク ト指向。 これまで 断 りもな く「 オブジェク ト」 とい う表現を登場 させてきたが、その意味す るところは、オブジェク ト指向 に関す る書 籍があ りあまるほどあ るのでそちらを参考 されたい。オブジェク ト指向の考え方 自体 は実は 古 くからあ り、別の言 葉で語られて きたはずの ものだが、「 オブジェ ク ト」 とい う表現が便 利なので、筆者 もこれを使用するこ とにす る。


2.4.本 論文 の研究範囲

16

一 鵬 一 一 一   一 図 2.1:知 的

CADの 構成

いず れ の研究 において も、情報/知 識 を、 プ ロダ ク トモデル として、 あ るいは知識 ベ ース として いかに表現す るか とい う枠組み を示す ものであ る。 しか し、実際 に どのよ うな情報 を、 どの よ うに集 めれ ば よいか とい うこと には明確 に応 えて いない よ うで ある。 RATASモ デル (2.2.4参 照 )は 建築 プ ロダク トモ デル の代表的な もの とし てあげ られ る こ とが多 いが p鋼 、 これ もやは り、実際 に運用す る際 に必 要 な 知識 ベースの構築法 に関す る検討 などが不十分 で あ る。今後 は この知 識 ベー スの構築法 に関す る研究 が/1N可 欠で あ る。

また、 STEP規 格 (2.2.5参 照)も 情報 /知 識をいかに表現するかという点・ に関 してはある程度の指針を示しているといえるが、実際にどのような情 報 /知 識を対象 とすればよいのかという点に関 しては提示していないとい える。

2。

4

本論文 の研究範囲

知的 CADの システムは、 イ ンタフェース部 と知識 ベース部 に分 けて考 え られ る。 イ ンタフェース は設計者 と知 識 ベースの 間 に入 るもので、設計者 はイ ンタ フェース を操作す る こ とで 間接的 に知 識 ベース にア クセ スす る。 知識 ベース部 はイ ンタフェー スか ら入 カデー タを受 け、処理 をした後 に、出 力 をイ ンタフェースに返す もの とす る。 (図 -2.1参 照 ) イ ンタフェース部は画面上 に図面 を表示 し、設計者 か らの入力 (操 作 )に 備 え る こ とが主 な機能 で あ る。 これ に対 して、知 識 ベー スは実際 に設計情 報 を蓄 え られ、 それ らの規則 が記述 されて い る部分 で あ る。 これ らの機能 は既存 の CAD等 で利用 されて い る技術 の応用 で十分実現可能で ある。 また、 前節 の関連研究 の成 果 を検討 した結果、建築 の分野 にお いて も知


2.4。

本論文 の研究範囲

17

的 CADの 構造 は大枠 にお いて共通 の認識 が なされ と見 る ことがで きるが、 実際 にそれ らに情報/知識 を導入 した例が少 な い。 そ こで、筆 者 はそろそろ「 いかに情報/知 識 を集積 す るか」 を考 える時 期 で あ る と判断 し、 この方法、関連 した技術 を示す もの として本論文 を位 置 づ けて い る。


3章

知識 ベ ー ス

知的 システムにおいて知識 ベースは最 も重要な部分で あ り、建築 の分野 で も、知識ベースの構造 となる知識表現の枠組みがい くつか研究 されてい るが、まだ問題点 も多 いよ うである。本章で は、知識 ベース、及びその背 景 にある知職工学 に目を向ける。

18


3.1.知 識 の入れ 物 と中身 3。

1

19

知識 の入れ物 と中身

10∼ 15年 ほ ど前、知識 工 学 とい う言葉が世 に出 た当初、人 工知能 1の 分 ・ シス テムが注 目され て い た。 この シス テ ムで は、 間 野 で はエ キスパ ー ト 題解決 の過程 を問題 を解 くプ ロセス を記述 した「 推論 エ ンジン」 と個 々の 問題 に関す る様 々な情報 としての「 知 識」 の二つ に分 けて考 え、推論 エ ン ジンのほ うは汎用 な ものが 準備 で き るので、 エ キ スパ ー トは知 識 のほ うの みを準備すれば よい と提唱 された。 また、比 較的最近 にな って、人 間 の脳神経 の振 る舞 い を模倣 して、対象 とな る情報 (知 識 )の 中 か ら機械的 にあ るパ ター ンを見 つ けだす、 ニ ュー ラ ル ネ ッ ト(バ ックプ ロパ ゲ ー ション法 )と い う機械学習法が広 く一般 に話題 を呼 んだこともある。 この ほかに も人 工知能 の 分野 で行 われて い た様 々な研 究 の成果 によ り、 知識表現、推論 方式、機械学習 の理 論 な ど、知的 な シス テム を入 工的 に実 現す るために有用 な方法論 が提供 され た。 しか し、肝心 の知識 その もの につ いては、「 入れ物」 を提供 したのだか ら、「 中身」 のほ うは自分 で考 えよとい う考 え方 2の よ うで、様 々な形態 で 存在 す る知 識 を抽 出 し、入 れ 物 に適合す るよ うに加 工 し、組織化す る方法 論 を与 えては い な い。 この ことが具体的 な問題解決 に人 工知能 を応用 した 知的 システム を構築す る上での最大 の障害 にな って い る。 人 工 知能 の分野 が この よ うな方法論 を提供 して くれ な い以上、各領域 の 研究者 (つ ま り我 々)が それ ぞれ 自分 の分野 の知識 をま とめあげ る方法 を模 索 しな くてはな らない。 この 目的で生 まれた学際領域 が知 識工学 で ある。 本研究 は、知的 CADの 知 識 ベー スの中身 につ いて研究 したものであ り、 その意味で知 識 工学 の一端 を担 うもので ある。

3.2

知識 の入れ物

知 識 の「 入れ物」 とは、 シス テム の中 に知識 を いか に記述す るか とい う ことで 、 これ は知 識表現 と呼 ばれて い る。 1人 工

知能 と知 識工学 とは一見す ると同じものであるかのような印象 を受けるかもしれな い。厳密 な定義で はないが、 ここで は、知識 の入れ物 を人工知能研究 が提供 し、その中身 を 知識工学で扱 うと考 えてよいだろ う。 2こ れは、知的 CADで の傾向 と似てい る。 (2.3参 照)


3.2.知 識 の入れ物

3.2.1

知識表現

知識表現 に関 しては、現在、 プ ロダクシ ョン・ ルール、意味ネ ッ トワー ク、 フレームの三つ が主要 な もの として存在 す る。 ここで はそれ らの特徴 を述 べ る とともに、知的 CADの 知識 ベースにふ さわ しい表現法 を検討す る。 プ ロダクシ ョン・ ルール プロダクショ ン・ ルール は「 もし∼ならば∼で ある」 とい う、 ち ょうどプ ログ ラ ミング言語 にお け る IF― THENプ ロ ックの よ うな形 で制約 を言己述 す る方法 で、比較的理解 しやす い もので ある3。 この こ とか ら、 これ らの うちで、 もっとも実用化 されやす い もので あ り、 実際 に この知識表現法 を採用 したエ キスパ ー ト・ シス テムの開発 が盛 ん に 行 われ た時期 があった。 しか し、 プ ロダクション・ ル ールで は一 つのルール が表現 しうる「 知識」 の質、量 が限 られ 、知識表現 が効率的 な もの にはな りに くい とい った問題 がある。 意味ネ ッ トワーク 意味 ネ ッ トワー クで は対象世界 を対象 物 とそれ らの関係で 記述 す る。 こ の関係 の中で特 に重要 なのが「 isA」 関係 と呼 ばれ るもので、「 A isA B」 とい う記述 は「 Aは Bで あ る」 ことを意味す る4。 例 えば、「 柱 isA構 造 体」、「 丸柱 isA柱 」な どと記述す る。す るとこれ らの関係 をた どって、「 丸 柱 は構造体 で あ る」 とい う事実 も導 き出せ るのである。 フレー ム フレーム理論 で は、対象物 を一つ の フレームで表現す る。 フレームには複 数 の ス ロ ッ トと呼 ばれ る情報 を保持す る変数 (入 れ物 )が 用意 されて いて、 その ス ロ ッ トに情報 を入れ る ことで対象物 を表現す る。例 えば、「 柱」 と い うフレーム には「 材質」 とい うス ロ ッ トが用 意 されて い る とす る。鉄骨 の柱 を記述す るのであれば、 そこには「 鉄骨」 とい う情報 が入れ られ、 RC で あれ ば、そ こには「 RC」 と入れ られ るので ある。 また、 フレームには継承 の概念 があ り、例 えば「 丸柱」は「 柱」 の特殊形 で ある とす ると、「 丸柱」は「柱」 の特徴 を継承す ることになるので あ る。 3少 な くともプ ログラムを組むような人達 にとっては。

4ほ とんど 直訳 しただけである。 これは日本語で書 いてい るから、まだ意味 があるが、は

たして英語の論文で は意味があるのだろうか。


3.3.知 識 の 中身

21

したが って、「 丸柱 」 とい うフレームに も自動的 に「材質 」 とい うス ロ ッ ト が用 意 され るので ある。

2

3.2。

エ キ ス パ ー ト 0シ ス テ ム

プ ロダクシ ョン・ ルール を利用 した代表的 な シ ス テム としてエ キスパ ー ト 0シ ステ ムが 研究開発 され て きた。 この システ ムで は、 これ らのル ール の集合 を知 識 ベ ース と呼 んで い る。本論文 で も知 識 ベー ス を扱 つて い るの で 、 これ らの混 同を避 けるために若干 の考察 を加 える。 エ キスパ ー ト0シ ステ ムで はあ らか じめ必 要 で あ ると予測 され るルール を用 意 してお き、以下 の手順 で 問題 を解 いて い く。

1.初 期条件 を入力す る。 2.条 件 に対応 したプ ロダクシ ョン・ ル ール を検索す る。 3.ル ール が見 つか らなけれ ば終了、 そ うで なければル ール を適用す る。 4。

その結果新 たな条件 が生 じる、あるいは条件 が変更 され る。

5。

2に もどる。

このシステ ムで は、 プ ロダクション・ ル ール の検索 (2の 段階 )が ク リティ カル だが、基 本 的 にルール を階層的 に並 べ る ことで、 ルール を体系化 し、 検索 の効率 を上 げ る手法が とられ る いlpl1lqμ ll。 ところが、建 築設計 にお いて は対象の種 類 が多 く(4.3参 照 )、 ルール を階 層 的 に体系化す るには不 向 きで あ り、 エ キスパ ー ト0シ ス テ ムに よ り満足 の ゆ くシステ ム を構築す る こ とは難 しい。 また、 エ キ スパ ー ト・ シス テ ム は プ ロダクション・ ルール による表現 のみに依 つてい るので、建築 の様 々な 要素間 の関係 を記述す るには不十分で ある。

3。

3

知識 の 中身

ここでは、知識ベースの「 中身」 として、どのような知識/情 報が適当で あるかを検討す る。 3。 3。

1

知 識 工 学 か ら見 た 知 識

知識 ベースの対象 となる知識 の収集 にあたっては、以下の四点 に留意す る必要がある。


θ。 3.知 識 の 中身

ドメイ ン知識・ タスク知識 5を 対象 記述す ることは対象 をモデル 化す る こ とであ り、 そのため には、 問題解決 の プ ロセス を記述す る知 識 と具体的 な対 象 に関す る大 きな知識が 必 要 にな る。 前者 はタ ス ク知 識、後者 は ドメイ ン知 識 と呼 ばれて い る。建 築設計を考 えれば、 タス クは設計で あ り、 ドメイ ンは建築 で ある6。 ここで い われて い る こ とは、設計 を行 う とい う一般的 な知 識 と、建築物 に関す る知 識 とは分離 で き るとい うことで あ る。 つ ま り、 設計 に関す る知 識 は、建 築 の設計 で も、航空機 の設計 で も、 ラ ジオの設計 で も同 じだ とい うので あ る。「 設計」 とい う言葉 が指す範囲が明確 で な い以上、 この こと の真偽 を評価 す ることはで きないが、建築、航空機、 ラジオの設計 におい て共通 な部 分 もあるで あろ うし、そ うで ない部分 もあることは確 かで ある。 問題 は、共通部分が どれ くらいか とい うことだろ う。 本論文で は、他分野 の設計 との共通点 を明 らかにす ることはで きないが、 建築 とい う ドメイ ンに注 目して知識 ベースを構築 をは じめ、将来他分野 で の関連研究 の成果 とつ きあわせてみて、共通部分 を探 るとい う方針 を とる。 最初 か ら、 他分野 との研究者 と協力 して共通部分 を明 らかに した上 で、 自 らの ドメイ ンの知識 ベ ース を構築 した方 が効率 が よい と思 われ るか もしれ な いが、現実 には、 どの分野 で もその よ うな協調作業 のために持 ち寄 る成 果が ない段階 で あ り、 まず は、 そのたた き台 とな るものを用意す るのが先 決 で あると考 えて い る。 第 一点は、 ドメイ ン知識 を対象 とす ることで あ る。

体系化 された知識 以前 では、知識獲 得 の方法 として専門家 か らの知 識収集 が注 目され て い た。 これは、専門家 へ のイ ンタビューなどを通 して、知識 をはっき りと記号 化 した形で抽 出す る方法 で ある。 知識収集 を円滑 に行 うために、専門家 とシス テ ム との疎通 を図 り、 専門 知 識 の抽 出、移植 を容易 にす るために、各領域 の専門家 との対話型 の イ ン ター フェースに よ り知 識断片 を収拾 し、 それ ら知 識間 の関係 を分析整理す るとい った知 識獲得 の支援 システム も研究 され た 降l。

ところが、 これ らの方法 による知識の収集はあまり成功 しなかった。な ぜか といえば、 こうして得 られ る知識 は、理論、経験 に裏付 けされてはい るが、各専門家が 自分 な りに解釈 したものであ り、知識が体系化されてい 5例 えば、建築 を設計す るとい う行為/問 題 6例 えば、 ス で

自動車設計

も、タ クは設計だが、 ドメイ ンは 自動車 となる。


3.3.知 識 の 中身 な かったか らで ある。 その結果、知識 ベ ースの構築 にあたっての入 力情報 としては不十 分 だつたので あ る。なお、知 識 工学 で は、 前者 の専門家 の知 識 を浅 い知 識、後者 の体系化 された知識 を深 い知識 とい う7。 そ こで、知 識 ベースの構築 にあたって は体系化 され た知 識 を対象 とす る ことを第二 点 とした。

記号化され た知識 現在 の コ ンピュー タの能力 で は、 あ る問題 を シ ス テ ム中 に記述 しよ う と す るならば、対象 を数字 や言 葉 な どで 記号化 して表現す る必要 があ る。 し か し、実際 にはその対象 の記号化は困難 な場合 が多 い。 例 えば、先 に述 べ た専 門家 か らの知 識 の収集 の場合 な どで は、専 門家 の 実際 の設計作業 の過程 を記録 し、 それ を分析す ることで 設計 に関 わ る知 識 の抽 出を試 み る ことがあ る。 この分析 を通 して、作業 の過程 を記号化す る ので あるが、 線 の引 き方 に注 目すれば よいのか、 それ とも建具 の取付 け方 か、 あ るい は もっと別 の ことに注 目す るのか、建具 の取付 け方 に注 目 した 場合 で も、 その種類 が大事 なの か、開 き勝手 を重要視す べ きなのか な ど、 記号化 の基準 の決定が困難 で あ り、 またそのための方法論 も確立 され て い な い [351[36]。 従 って、現実的 な手段 としては、 もとよ り記号化、 あ るいは文 面 化 され た対象が適当で あると考 えられ る。 これ を第三点 とした。

評価 された知識 知 識 ベース の構築 に あた って、その 中身 になる知 識 の評価 とい うのは常 に重要 な問題 となって い る。 中身 の知 識 が いい加減 な もので は、知 識 ベー スの性能 が低 くなるのは もちろんの こ と、何 らかの基準 が な い と、知 識 の 収集 にあた って指針 が得 られ ず、 ただやみ くもに情報 を入 力す る こ とにな りか ねない。 第四点 として、あ らか じめオ ー ソライ ズ された知 識 を対象 とす る こ とを 提案す る。 7浅 い

知識 とい うと質 が悪 い とい うイメージを受 けるかもしれないが、 ここで はそのよう な質 の書 し悪 しを議論 して い るのではない。浅 い知識 とい うのは構造 を持 たない知識 のこと で あ り、深 い知識 は構造 のはっきりしたものの ことで ある。なぜ このよ うな表現が使われて い るのかは筆者 も知 らないが、おそらく元の英語 を翻訳する際 にこうなったのではないか と 思 う。


3.4.知 的

3.4

CADの 知識 ベ ース

24

知的 CADの 知識 ベース

ここで は、以上の考察 をま とめ、 どの よ うな知 識 ベースが適 当で あ るか を決定す る。 まず、知識表現 につ いてまとめ る。 プ ロダ クシ ョン・ ル ール は手 続 き的 な知 識 で あ る。 これ は問題解決 の過 程 が明 らか な場合 にその過程 の表現 に適 して い る。建築 の法規 な どはまさ に この形式 を とって い る とい える。単純 なエ キスパ ー トoシ ス テム を構築 す るので あれ ば、 この方法 を採用す るのが一番簡単 で適切 で あ ると考 えら れ る。 しか し、先 に も述 べ たが、知的 CADに お いては、建物 をその要素 とそれ らの関係 として知識 ベ ースを表現す るのが適当で あ り(2.3参 照 )、 エ キスパ ー ト ・ シス テ ム の場合 の よ うに、 プ ロダクション・ ル ール の みで の知 識表現 は不十分で あ る。 これ に対 して、意味ネ ッ トワー ク、 フレームは宣 言的な知識 で あ り、問題 解決 の対象 となる「 もの」 を中心 に考 える方法 で 、建築 要素 とその関係 の 記述 に適 して いる。 これ らの点 を考慮 し、建築 の要素 を フレームで 記述 し、 それ らの 中で プ ロダクショ ン ●ルール を使用 す る とい う、先 に挙 げた知識表現 を併用す る 形 で記述す ることとした。 次 に、知 識 ベースの対象 として は、 ● ドメイ ン知識 ・ 体系化 された知 識 ・ 記号化 された知 識 ●評価 され た知識 を対象 とす ることとした。 これ らの条件 を満 たす もの として、一級建築 士 資格試験 問題 に注 目し8、 これ を中心 に関係す る法規、法令、書籍 な どか ら知 識 を収集す る こ ととし た。

8こ

の点に関しては、文献 [3呵 の査読の際に査読者から評価された。


4章

オブジ ェク ト指向方法論

本章では、知識ベースの構築 にあたって、対象 となる設計情報のをいか にプログラム として構築す るかを検討する。検討の中心 としたのは、 ソフ

トウェアエ学の分野で注目されている1オ ブジ■クト指向分析 /設 計方法論 である。

1ォ ブジェク ト

指向方法論は基本的に人間 にとって (認知的 に)自 然な考え方で あ り、今 後 ソフ トウェア開発がこの方法出 に則 って進められてい くことは間違いない。 1291


オブジェクト指向分析 /設 計方法論 4。

1

26

オブジェクト指向分析 /設 計方法論

3.4で み た よ うに、知的

CADに お け る知 識 ベース は、問題解決 の対象 と

な る「 もの」 を中心 に考 え、 それ らの関係 で 問題 を記述す る とい うシ ステ ム となるが、 その よ うな シス テ ム構築 の手法 として、ォ ブジェク ト指 向 と い う手法 があ る2。 オブジェク ト指向の考 え方 は 1970年 代 に登場 し、 1980年 代 には コ ンピュー タ科学 の研究 レベル でほ ぼ定着 した。 ところが、 オブジェク ト指 向 を用 い た システ ム開発 において、設計が よ くな い と、保 守 の容易 さ、 コー ドの再 利用 など、 オ ブジェク ト指 向 を適用す る ことに よ り得 られ るはず の メ リッ トが得 られ な いこ とが問題 となって きた。

これらの事柄を受けて、 1990年 代になって、システムの分析 /設 計の段 階か ら積極的にオブジェク ト指向の考 え方を取 り入れようとする動きが生 まれ、 それ まで プ ログ ラ ミン グの世界 で の適用 が主 だ った この方 法 論 は分

析 /設 計の段階にも採用され始めた。

この よ うなオ ブジェク ト指 向方法論 に基 づ いた開発 で は、 まず オ ブ ジェ ク ト指向分析 3の 段階で、 問題領域 をオ ブジェク トの集合 ととらえて モ デル 化す る。次 にオ ブジェク ト指 向設計4で は、分析段階で作成 したモ デル を現 実 の環境 に合 うよ うに特殊化 し、設計 モ デル を構築す る。 そ して最後 に、 それ をオブ ジェ ク ト指向 プ ログラ ミング5に ょ り、実 際 の プ ログラ ミング言 語 に置 き換 えるので ある。 最近で は、 このよ うな開発 を可能 にす るオブジェ ク ト指向 CASEッ ール6が 登場 してお り、 この方法論 を実践的 に使 える状況 が整 いつつ ある。 しか し、 方法論 自体 はまだ十分 に確立 してお らず、様 々な方法論や手法が乱立 して お り、それ らを適正 に評価す る基準 はまだない。 ここで は、主要 な方法論 の特徴 を比 較 し、建築設計の知 識 ベース構築 の ためにふ さわ しい方法 を検討す る こととす る。

2「

もの」が中心 となったのは、 フレーム理論を採用 したからで あるが、そ もそ もフレー ム とオブジェク ト指向 は同 じような考 え方 といえる。かたや人工知能研究、 かたや ソフ ト ウエアエ学 と、出所が異なるだけともいえる。

300A:Object Oriented Analysis

400D:0闘 ect

Oreinted Design

:胤 認:鰍 歌ゴ鷲翼枇 Ъ l


4.1.ォ ブジェクト 指向分析 /設 計方法論 4。

27

1.1 0MT法

OMT(Object MOdding Techinc)法 [24は 現在 の と ころ、 もっ とも洗練 されてお り、 利用 しやす い方法論 で あ る といわれて い る。 この方法論 で は、問題領域 を、オブジェク ト・ モ デル、動的モデル、機能 モデル とい う三 つの直交 した視点で とらえてい る。 そ してそれぞれオブジェ

ク ト図、状態遷移図、デ ータフロー図 を利用 して分析 /設 計 を進 めて ゆ く。 (図 -4.1,図 -4.2,図 -4.3参 照 ) 長所 として、分析 の手順 が非常 に詳細 に定 め られて いて分析 の際 の よい 指針 を示す もの となるこ とや、記法が充実 して い る こ とがあげ られ (図 -4。 4 参照)、 それ故 に OMTは 現在 もっ とも整備 され た方法論 で ある といわれて い る。 さらに、分析 の要所要所 で必要 とな るモ デル 化 の コ ツや ノ ウハ ウな どを ま とめたガイ ドライ ンも示 され てお り、完成度 は高 い。 欠点 として は、三 つ の モ デル の相互 関係 の整備 が不 十分、大規模 な シス テムや複雑 な システムの階層的 な構造 を表現 しに くい、 などである。 4.1。 2

Coad lヒ Yourdon)去

Coad&Yourdon法 の00A p81で は、五つのレイヤーからなるモデルを 用い、それに従って、① クラスとオブジェクトの同定、②構造の同定、③サ ブジェクトの定義 ④属性の定義、③サービスの定義8、 とぃぅ手I日で分析 を進める。 Coad&Yourdon法 にお け る OOAの 特徴 は、非常 に簡潔 な少数 のオブ 7、

ジェク ト指 向概念 に基 づ いて記法 を設定 し、 モ デル構築 の手1贋 をわか りや す く構成 して い ることで あ る。 したが って、類似 の方法論 の 中で 導入 しや す い とい う利点 の反面、複雑 な対象のモ デル化で困 る場合 がある。

一方、 Coad&YourdOn法 の 00Dで は、先 の五 つ の レイヤー (オ ブジエ ク ト層、構造層、サブ ジェク ト層、属性層、サ ー ビス層 )に 加 え、対話イ ン タフェー ス部、問題領域部、 タス ク管理部、データ管理部 とい う四つ の コン ポーネ ン トを導入 しこれ らを縦横 に組 み合 わせて設計 を進 め る。 -4.5参 (図

照) この手法 の モ デル化 の結 果 はオ ブジェク ト指 向言語 に容易 に変換す る こ とがで き るのが特長で あ る。 また、 レイヤ ーの概念 によ り、分析 の段階 に 7サ ブジェク

トとは問題領域 が 大 きい ときに、意味的に関連 の強 いオ ブジェク ト群 をま と めて、扱 いやす くす るための手 段で あ る。 3サ _ビ ス とはオ ブジェク トに よ り提供 され る機能 の ことで あ る。


4.1.ォ ブジェクト 指向分析/設 計方法論

28

類 時額 種 日金

か ら投入 され る

に関与する

呪金出納係 ド ンザ クション

手持ちの現金 支払い済み

遠隔 トラ ンザ クシ ョン

に よ っ て投ス され る

中央 コン ピュー タ

を層 う_│

によつて認証 される

キャッシュ カー ド バス ワー ド

コンソー シア ム

に アクセス す

か ら構成 され る 残高 借 入限度額 口座種別

図 4.1:オ ブジェクト図の例 pl


4.1.ォ ブジェクト 指向分析/設計方法論

ネ ッ トワー ク応答

29

ネ ッ トワー ク

.

カー ド挿入 膀 取 り可」

o パメ ワー ド入力

メイン画面

do:メ イ ン画面 誤 つた パス ワー ド

表示

カー ド挿入 [読取 り不可」

誤 つた 口座

不可メッセージ

取消 じ

do:種 類要求

取消 し

do:取 消 し メッセージ

dO:金 額要求 do:誤

リロ座 メ ッセ ージ

終ア

金額入力

取消 し 現金取出 し

・・

トランプクシ ョン成 功

do:ト ランザ

クション処理

ネ ッ トワー ク応答 = 口座 OK,誤 つた□座 誤 つた銀行 コー ド,誤 つたパ スワTド トラ ンザ クシ ヨン失敗 トラ ンザ クシ ョン成功

トランプクシ ョン失敗

do:失 敗 メッセージ

図 4.2:状 態図の例 [2η


オブジェクト 指向分析/設 計方法論

30

コ ンソー シア ム

誤 つた銀行 コー ド ●●●●●●●●●●●●¨ ●●●●●●●●●●●●¨ ●●¨ ●●●●● ●・ ●・ ・・ ●●●●●●● ●●¨ ¨ ●● ・・ ・・ ・・ ¨ ●●¨ ¨ ●●●●●●●●●●●●¨ ●●●:: “

誤 つたカー ドコー ド

カー ドコー ド

● ● ●●● ●● ●● ●● ●● ●● ●●● ●●●●● ●●●● ●●●● ●●● ●●●●●●● ●●●●●● ●● ●●● ●● ●● ●● :,

カー ド認証 パ ス ワー ド パス ワー ド

誤 つた パ ス ワー ド

口座 種別

誤 った口座

金額 : トラ ンザ クシ ヨン種 類

トラ ンザ クシ ヨン失敗 ●● ●●● ● ●¨¨

●● ¨●● ●:, ●●¨¨● ●¨¨¨●● “

現金, レシー ト

図 3:デ ータフロー図の例 [2η 4。

応 じて必要 な抽象度 の情報 のみに集中で きることも利点である。 しかし、 分析 /設 計の両段階で、動的振 る舞 いの側面 のモデル化 のための記法や手 法が詰められておらず、複雑な動的 システムに対処するのが困難 とい う問 題がある。 これは純粋 にオブジェク ト指向の考 え方 か ら発展 した方法論一 般 にいえることで ある。 この理由は、オブジェク ト指向の考 え方 が、静的 なもの (オ ブジェク ト)を 中心に対象世界を提える方法論 だか らと考えられ る。

4。 1。

3 00SA法

00SA(ObjeCt Oriented System Analysis)は OMT法 と同じく情報モデ ル、状態モデル、 プロセス・ モデル (そ れぞれオブジェク ト ・ モデル、状態 モデル、機能モデルに相当)と いう三つのモデル を用 い る。また、複雑さや 大規模性 に対処す るために ドメイ ンとい う概念 を導入 し、対象を分割 して 扱 うことを可能 にしている。 状態モデルを OMT法 と比較 した場合、 00SA方 で はきめ細 か くなって いること、また、 OMT法 では状態モデル と機能 モデルが対等で あるのに 対 し、 00SA法 では状態モデルの方がプロセスモデル (機 能モデル)よ りも


4.1.オ ブジェクト 指向分析/設計方法論 クラスとしての関連 :

クラス

31 関連

:

:

クラス3

スーパータラス内の ■体13拍 an作 である

限定付

具魚クラスにおいて lt ■●の具体 的実悽が 与えられる必■がある 滉 化 の性 質

:

=│1連

関連 の 多菫度

:

週 週 週 掴 咽

:

サプタラ ス間に■●IIあ る は いに素 でない

"舎

で は タ 弁 る "手 'プ 'ス 菫t'あ 饉がスなるような “

嵐序付

,菫 (0●・それ山

■■●(0,1)

=:

¨ クラ ス嵐 性 とクラス操作

謙生属 性

:

:

リンクニ性

薇 生 クラス 操 作 の伝 搬

:

:

オ ブ ジ ェ ク トに対 す ● 的

オ 置 陶

:

(■

プロセス

ti=0〕 プロセス間のデータフロー

:

事 nじ 状麟間のこ 移 キ起 こす

:

データストア���0い は

腱員 と してデー タス トア を 出 力 す るデ ー タ フ ●―

,ァ イルオブジェクト

:

― 」

タ ー タス

アクターオブジエク ソースあるいはデータヨリ): '〈

:

属 性 を停 う事魚

LaL___「

(IIEE〉

"H(コ

初 期 および■ 7状 鵬

:

JttElE」

:

三 二 二

)

(三

=じ

二 二 〕

2___([]三

上の 口作

:

遍 移上 の出力事 亀

ロー

r― タス ト7● のア タセ ス と更 新

:

他 の オブ ェク トに 3aを 通 0:

由¨

状菫 内の 動作 および活 口

デ          デ

:

:

:

2

データストア饉のアクセス

,7名

""フ

:…

X83の 汎化(入 れ手構■):

=,:

:

'

‐‐‐―――iii:iII::::‐

デ ー タ饉 の 機製

′ ご ロ

:

7-タ ス )ア 名

ァ タ こニ

:

分崚

:

"の

:=

≪ 図 4:OMT法 の主な記法 pl 4。

手荷

"体

)


4。

1.オ ブジェクト 指向分析/設 計方法論

対話 イ ンター フ ェ イ ス部

捌翻覇懇顧瓢

サ ブジェク ト層 クラス &オ ブジェク ト層 構造層 属性層 サー ビス層

32

図 4.5:レ イヤーとコンポーネントp司 上 位 のモ デル として 位置 づ け られて い る点が大 き く異 なる。 この手法 は、大 規模 リアル タ イ ム シ ス テ ム の 開 発手法 を基 に して お り、 リアル タ イ ム性 を持 つ シス テ ムヘ の適用 に もっ と も適 して い る と考 え られ る。一方、分析 を主 としてお り、設計 の手法 が提示 されて い な い点 が に劣 る。

4el。

OMT

4 Booch法

Booch法 はGrady Boochが 提唱しているオブジェクト 指向設計手法で、

分析に関してはふれていない。この手法では、① クラスの概要定義、②オ ブジェク ト間の協調構造定義、③クラス間継承関係 と動的意味論、④クラ ス とオブジェク トの実装上 の選択、 とい う四 つ の過程 を経 て設計 を進 めて い く。

この手法 のモ デル は、論理的 な視点 か ら設計 を とらえる論理構造 と、 よ り実装 よ りの物理的視 点 か ら設計 を とらえ る物 理 的構造 か ら構成 され、 さ らに静的意味論 と動的意味論 とい う二つの視点 を持 つ。 一Booch法 で は、六種 類 の図 を使 つてオ ブジェク トの振 る いを 舞 詳細 に記 述 して い るのが特徴 で ある。 また、 C十 十 を記述す るのにもっとも適 して い るといわれ る反面、 C十 +の メ カニズム (言 語仕様 )に とらわれ やす い とい う欠点を持 つ。 しか し、実際 の開発現場で はほ とん ど C十 +が 使用 され るこ とを考 えれば、 これ は大 きな問題で はない ともい え る。

4。 1。

5 RDD法

RDD(Responsibility Driven Design)法 は比 較的新 しい方法論で まだ未完 成 で はあ るが、既存 のオブジェク ト指 向方法論 に対す る不 満、問題点 の解 消 を 目標 に してお り興味深 い方法論 で ある。 一般的 なオブ ジェ ク ト指 向方法論 で は、オ ブ ジェク トの識別段階 でその


4.1.オ ブジェクト 指向分析 /設 計方法論 内部構造 も同時 に決定 し、その後でオブジェク トの振 る舞 いの分析 に移 る。 ところが、 この よ うに振 る舞 いの分析 の前 にデー タ構造 を決定 して しま う と、整合性 を欠 いたまま、振 る舞 い (機 能 )が 複数 のオブジェク トに分散 し て しま うことになる。 これは、オ ブジェク ト指向その ものの考 え方 に反 し、 保守性、再利用性 の 向上 とい ったオ ブジェク ト指 向 のメ リッ トが得 に くく なる。 それ に対 して RDDで は、個 々のオブジェク トがその問題領域 において果 たすべ き役割、提供す べ きサー ビス (機 能 )の 集合 を、 responsibility(責 任分 担 )と い う形 で認識す るので ある。それ らの責任 を果 たすための内部構造 は 設計 の後半 で考慮すれ ば よいので ある。 先 に も述 べ たが、 この手法 は未完成 で あ り、分析 の上 流行程 が きちん と 整備 され て い ない。 しか し、大 がか りな記法 は用 いず、単純 な手法 で あ る といえるので、導入 は容 易で あると考 えられ る。

4.1.6

その 他 の 方法論

このほかにも、現状の方法論の問題点を考慮 して新たな方法論がい くつ か提唱 されて い る。 ・ 形式的 OMT:明 確 な文法 の導入 に よ り、記法 に制約 を加 える こ とで モ デル の見通 しをよ くし、 よ り単純 で一貫性 の あ る方法論 に しよ うと す る試 み。 ● OSA(Obect― Oriented System Analysis)9:オ ブジエク ト関連 モデル 1° 、 オ ブジェク ト振 る舞 いモ デル11、 オ ブジェク ト相互 作用 モ デル12の 三 つ のサブモデル か ら構成 されて い る。 これ らはやは り、 OMTの オ ブ ジェク ト ・ モデル、動的 モデル、機會ヒモデル にそれ ぞれ対応す る と考 えられ る。 この方法論で も OMTに 対 して細 かい制約 を指定で きる よ うに発展 されて い る。

● BON(Better object Notation):形 式的仕様記述 の利点 を生 かす とい う方 向で開発 され た方法論。 オブジェク ト指向言語「 EifFel」 を前提 に 作 られ 、 クラス ライプラリの利用、構築が念頭 に置 かれてお り実用 的 とい える。 9注 :先 に 登場 した 00SAと は別のものである。

100RM:0晰 eCt

Relation Model

l10BM:ObieCt BChavior Model 1201M:0晰 ect lnteraction Model


4.2.総 括 ● OBA:通 常 のオ ブ ジェク ト指 向方法論 で は、オ ブ ジェク トの識別 の際 に、問題記述 に出現 す る体 言 13に 注 目す るが、 この方法 は、大 規模 で 複雑 な シ ス テ ム に は向 か な い こ とが あ る。 具象物 の抽 出 に は 向 くが、 それ ら具象物 が必 ず しも有用 で な い可能性、 あ る い は概念 的 な対象 を 取 りこぼす可能性 が あ るので あ る。 そ こで 、 OBAで は、「 提供 され るサー ビス」 に注 目 して分析 /設 計を進 め るとい うア プ ロー チを とっ

て い る。 なお、 この方法論 は前述 した RDDと 00SE14に 影響 を受 け て い るといわれて い る。

4。

2

総括

前節 の方法論 の特徴 を ま とめ る と、複雑 な問題 を分割 して扱 うい くつ か の仕組み として、オ ブジェク ト・ モ デル (デ ータの構造 )、 機能 モ デル (デ ー タの流れ )、 動的 モデル (状 態 の移 り変 わ り)な どの複数 のモデル (視 点 )を 用 い る、問題 を抽象度 によ り分 けるな どがある。 また、 その導 入 の しや す さか ら、オ ブジェク ト指 向 に倣 った素直 な方法 論 もい くつか あった。 さらに、記法 として は図 を用 い るものが多 いの も特徴的 で あ る。記法 に 制約 を加 えてモ デル の見通 しをよ くす る試 みなどもあった。 最後 に、一般 的 にオ ブ ジェク ト指 向方法論 で は、オ ブジェク トの識別 の 際 に、問題記述 に出現す る体言 に注 目 し、機能 の識別 の際 には用 言 15に 注 目 す る ことが多 い よ うで あ った。

4。

3

方法論 の選択

16を 方法論 を選択す るにあた り、予備分析 行 い、今回対象 として い る知識 べ 源 に関 しては、変化 に比 て種類 が多 い とい うことが特徴 として判明 した。 モ デル化 は、当初予測 して い た質 的 な複 雑 さよ りも、量 によ る複雑 さの方 が大 きい とのE口 象 を受 けた17。 以上 の ことか ら、機能 モ デル、動的 モデル よ 13名 詞、名詞句 140bjeCt Oriented SOftware Engineering:Jacobsonに より10年 以上前 に開発 された方 法論 15動 詞な ど 16_級 建築士問題集 からオ ブジェク トの 識別 を行 い 200程 度 のオブジェ ク トを抽出 し、 それ らについて特徴 を検討 した。 17ひ ょっとしたら、分析 の方法論 にはそれほどこだわる必要 がなかったのか もしれない。


4.3.方 法論 の選択 りもオブ ジェク ト ・ モ デル を中心 に した分析 18が 重要 で あるとの結論 に達 し た。 そ こで、素朴 で はあ るが、 前章 に述 べ た、 一級建築士資格試験問題 の問 題文、及 び関連す る法令集、解説書 等 の文献 を中心 に、 それ らに登場 す る 体言 をオ ブジェク トとし、用言 を制約 (ル ール )と して抽 出す る方法 を最 も適当な方法 とした。 なお、 この際 に は特別 にオブ ジェク ト図 な どの記法 は用 い な い ことに し た。 これ は、個人で 開発 を進 め る場合 には図 を描 くこ とで得 られ るメ リッ トよ りも、煩雑 さの増す度合 いの方 が高 い と判断 したためであ る。 しか し、 グルー プで の開発 な どで 、 メ ンパ ー相互 に意思 の疎通 を図 る必要 があ る場 合 は、共通 の記法 として これ らの図は有効 か もしれ な い。 補足 として、今回 は試す ことがで きなかったが、未完成 なが ら RDD法 は 非常 に魅力的で あ り、今後 RDD法 を研究 し、 それ を発展 させた形 の方法論 によるモデル化を試す必要 があると感 じて い る。

ここで、分析 と設計を比べ ると、分析の段階はどちらかといたば抽象的 (問 題領城の側 に近 い)で あ り、設計の段階 はソフ トウェアIInlな 色合 いが強 い。 したがって、設計の最 階 を深 く遣求することは、 よりいっそうソフ トウェアエ学 に関 して考察を加える必要があ り、本由文ではとてもそこまで競 うことはで きないので、それ らはソフ トウェアエ学の分野 の貢献を期待 し、 の立湯 から分析の過程 に重点を置 くものとする。 ― 1・


第 5

プ ロ トタイプの作成

36


5.1.下 準備

37

これ まで の議論 の検証 と、実際 の作業 の手I贋 を示 し、今後 の指針 とす る ために知 識 ベ ースのプ ロ トタイプを作成 した1。 5。 1、 5.2で ォブ ジェク ト指 向分析 の結果 を実装例 として示 し、 5。 3で この知識 ベースを利用 した例 を示 す。 なお、各項 目において 示 され て い るソース コー ドは説明 の都合 上大幅 に省略 したもので ある。 この プ ロ トタイプが利用 され る場面 としては、 ベ ッ ド数 20前 後 の医療施 設 を計画す るこ とを想定 し、計画初期段階 において を使用す る様子 を思 い浮 かべ てほ しい。

2、

5。

1

設計者 が知 的 CAD

下準備

プ ロ トタ イ プで 中心 とな るのは 医療施設 の モ デ ル で あ る。 しか し当 然 の こ となが ら、 それ だけで は シス テ ム は成立 しな い。 こ こで は、 主 役 の 医療 施設 を影 で 支 え る脇役達 を紹介 す る。

敷地 まず、敷地 で あ る。 敷地 に は、 その上 に立 つ建築物 の幾何学的関係 を示 す ための、空間 グ リッ ドと、 この敷地 にかか る都市計画法 を保持す る ス ロ ッ トが用意 され る。 c■

ass Sikiti{ Mapa grid5 Houkia tos■ ke■ kakuHou:

};

これ らは、敷地 オブジェク ト生成時 に初期化 され る。 h >

Sikiti::Sikiti( Houki tosikeikakuHou( h

Map m = defualtMap ):

grid( m ) {}

用 した言語 は C++で あ る。 これ は筆者 が慣れ親 しんで い る ことと、 ソフ トウェア開 発 にお いて主流 となっている言語 で あ り、知 的 CADの 発展 を考 えた ときにメジ ャー な言語 で 記述 してお くメ リッ トが高 い と判断 した か らで あ る。 しか し、大 学 の研究 で は、 ほかに もっ とふ さわ しい言語 があるので はな いか との意見 を頂戴 した ことを ここにつ け加 えてお く。 2こ の 段階で は、構造部材や、建具 レベル の要素 は考慮 せ ず施設や部屋 とい った単位 で思 考 を進 め ると仮定す る。 1使


5.1.下 準備 空間 グ リッ ド 敷地 を始 め、すべ ての施設 の位置 関係 は二次元 のマ トリッ クスで表現す る。マ トリックスの大 きさは固定 とし、縦横 10、 高 さ方 向は 5層 分 とした3。 c■ ass Map { protected: int Xmax, Ymax, Fmax3 void* matrix[10][10][5]:

}3

主 な機能 は、要素 の追加、 あ る要素 の位置 す る階 を返 す、あ る要素 に隣接 す る要素 を返す、な どで ある。

void add( void* s, int x, int y, int f ); int floorOf( void* p ) const; void* shatlsAdjacent( void* p, int direction )

const;

さ らに、大域 オ ブジェク トとして、 デ フ ォル トのマ トリックス を用 意 した。 今 回 のテ ス トで はす べ て の施設 は、 マ トリック スー つ 分 の大 き さを持 ち、 この デ フォル トのマ トリ ックス上 に存在 す ることとした。 exteニ ュ Map defau■ tMap;

法規 都市計画法、建築基準法、医療関連法 などを表現す るためのオブジェ ク トで あ る。 基本的 に は、 イ ンデ ックス と、 それ に対応す る法規 を組 とし た辞書 の よ うなもので あ る。

class Houki protected:

{

I(Array* index; KArray* rule;

); 3今

回のプ ロ トタイプで は これで十分 と判断 した。 この部分 を拡張すれば、簡単 に自由な 大 きさの空間 を扱 うことが可能 になる。それがで きない場合は、筆者 のオブジェク ト指向分 析 が稚拙であるとい う証明 になるかもしれない。


5.1.下 準備

建築基準法 30条 、医療法 1の 20① を参照す る場合はそれぞれ以下のよう になる。直感的に理解 しやすい形式を実現 した。 kenkihou( 30 ); ihou( 1, 2, 1 );

法規 に関 して も、大域 オ ブジェク トとして以下 の ものを用意 した。 extern extern extern extern

Houki Houki Houki Houki

kenkihou: kenkirei; iki: ■hou:

〃 〃 〃 〃

建築基準法 建築基準法施行令 医療法施行規則 医療法

チ ェック・ リス ト 法文 中 には、「 次 にあげ る施設 が必要で あ る:診 療室、 手術室 .… 」 の ような形 で必要 な もの、あるいはあってはならない ものが列挙 されて記 されて い る こ とが多 い。 この よ うな法規が満 た されて い るか ど う かをチ ェ ックす るため に、必要 な ものの リス トと禁忌 な ものの リス トをま とめたオブジェク トを用 意 した。

class Checklist t protected: KArray KArray KArray HoukiRulex

);

-mustHavel -mustNotHave;

-list; -rule;

_mustHave、 _mustNotHaveが それぞれ の リス トで あ る。 また、_ruleは この チ ェ ックの根拠 とな る法規 を指す ポイ ンタで ある。 これ らの要素 は、 チ ェ ック・ リス トを持 つ オブジェク トの生成時 に初期化 され るべ き もので

あ る (後 述 )。 _liStは チ エ ックの対象 とな るオ ブジェク トを入れ る リス ト で あ る。 これ は初期状態 で は空で あ り、 チ ェ ックを行 う度 に対象 とな るオ ブジェク トが代入 され る。 主な機能 ���、各 リス トヘ の要素 の登録、及 びチ ェ ック機能 で ある。法規 の チ ェ ックが必 要 な際 には checkが 明示的 に呼 び出され る。


5.1.下 準備

void void void

40

mustHave( void* ); mustNotHave( void* ): setList( KArrayと ): check() :

/た mustHaveに 加 える ノ/_mustNotHave にカロえ る 〃 _■ istに 加 える

さらに、必 要 な要素 が な かった場合、 あるいは余分 な要素 が あ った場合 の 処理 を行 う機能 も用意 され て い る。 ここで は、純粋仮想関数 として派生 ク ラスでの実装 を仮定 して い る。

一 一  〓

onErrorFusoku( void*, void* ) onErrorYobun( void*, void *)

void void

施設 施設 を表す基本 的 なオ ブジェク トを設定 した。 本来 な らば、 このオ ブジェク トあ るいは これ よ り上位 の階層 のオ ブジェク トで多 くの属性4が 提 供 され るはずで あるが、今回は簡単 のため、既存の文 字列 の クラス5か ら派 生 させ た。 これ は、各施設 に名前 が必要 で あ ったので 、 その名 前 を保持す る仕組 みを提供す るためで ある。 c■ ass

Sisetu: pub■ ic String {

Map&

map:

};

先 に述 べ た よ うに、各施 設 はデ フォル トのマ トリックス maPを 持 つ ことに な る。 それ に伴 って、各施 設 に共通 の機能 は、 自 らの位置す る階、及 び隣 接関係 を返す ものであ る。

Sisetu( char* n,

Map& m

= defaultl.tap ):

4建 築物 の施設が基本的 に持 つべ き機能 など。例えば、その構造体や設備、形態 など。 5今 は、 PC-9801上 の TurboC++で ス

回 開発を行 った。 このクラ は この開発環境 に付 属 のクラス ライプラリ中の ものである。 この ライプラリにはほかに もい くつかのクラスが用 ゛ 意 されて いたが、ほかの ものは このプロ トタイ プの仕様 にそくわなかった。 プロ トタイ プの仕様 の方 を変更 して、 クラス ライプラリを利用す ることも考 えたが、 ど うも、他人の作 ったライプラ リは使 いづ らい。ライプラリなどを利用 したオブジェク トの再 利用性は、オブジェク ト指向の基本理念で あるが、現実 には難 しい点が多 い とい うことで あ る。


5.2.主 要 オ ブ ジ ェ ク ト f■ oor()

const; facesTo( Sisetu2 s )

41

String( n ), maP( ■ ){}; 〃 階数を返す const;ノ /sに 面 して いるかを返す

施 設チ ェ ック・ リス ト 施 設 に関す るチ ェ ック・ リス トも必 要 で あ る。 これ は どち らか とい えば実装 上 の 問題 で あ るが、 チ ェ ック・ リス トに渡 され る オ ブ ジェク トが 施設 で あ る こ とを保証 す るため に用意 した。 CheckListか ら派生 した もので あ り、基 本 的 には先 のチェ ック・ リス トと変 わ らな いが、 型 チ ェ ックの機能及 びエ ラー時 の処理 が付加 され て い る。

class SisetuCheckList : pub■ ic CheckList {

public: void void void void

nustHave( Sisetu& s ) { Checklist::mustHave( &s ); mustNotHave( Sisetu& s ) { Checklist::mustNotHave( ts

}; ); };

onErrorFusoku( void*, void* ) const; onErrorYobun( void*, void *) const;

); その他 この ほか に も診 療 科、 診療科 チ ェ ック・ リス トな どが あ る。 これ らの実装 は それ ぞれ 施設 、 施 設 チ ェ ック・ リス トとほぼ 同 じで あ る。 医療 施設 で は、 様 々 な診療科 の 有 無 が 問題 とな るので 用意 したオ ブ ジェク トで あ る。

5。

2

主 要 オブジ ェク ト

い よい よ医療施設 を表す オ ブジェク トの説明 で あ るが、「医療施設」 と い う施設 は法規 中 に明示 されて いな い。法 規 中 に あるのは、「診療所」、 「病 院」、「総合病院」で あ る。病院 と総合病院 は もちろんの こと、診療所 と病院 の間 に も共通部分 が見 られ る。 これ らの主 要 な違 いは、 その収容す る患者数 にあ る。 よって、 ここで は この違 いに考慮 しなが ら、共通部分 をま とめて一つのオブジェク ト(IryOusisetu 6。 )と す る こ ととした 6こ

れは、オブジェク ト指向分析 にお けるオ ブジェク トの階層化で ある。


42

5.2.主 要 オ ブ ジェク ト

医療施設 このオ ブジェク トは Sisetuか ら派 生 してお り、主 な属性 とし て、 施設 の リス ト7、 施設 チ ェ ック・ リス ト、診療科 のチ ェ ック・ リス トを 持 って い る。

class lryouSisetu: pub■ ic Sisetu { pub■ ic:

SisetuList sisetuList3 SisetuCheckList sisetuCheck_1: SinTyoukaCheckList s■ nryouka■ ist; }3

主 な機育ヒは、施 設 を リス トに足す機能 と各種 のチェックで あ る。 診療所 や病院 の主要 な差異 はその患 者収容数 にあ ることは先 に述 べ たが、実際 に は、病室数 (収容患者数 )の チ ェ ック (CheckByousituSuu)を 各派生 オ ブ ジェク ト(診療所、病院)で 再定義す ることで この差異 を表現 して い る。

void virtua■ virtua■ virtua■ virtua■

addSisetu( Sisetu& s, int x, int y, int f = GF ): checkByousituSuu() const = 0; byousituSuu()const; checkByousitu()const: checkByousituSub( Sisetua b ) const: checkA■ ■( int ret = 0 ) const3

医療施設共通 の制約 として地階 へ の病室 の設置 は禁止 されて い る。 しか し、 これ に は、空 堀 に面 して い る場合 はその限 りで な い、 とい う緩和措置 が定義 されて い る。 この ことを表現す ると次 の ようになる。 工ryouSisetu::checkByousituSub(

Sisetua b )cOnst

{

if ( b.floor() く GF && !b.facesTo( Sisetu( 1:か らrfり :1, maP ))) retl17n NG: o■ se

retll,n OK: } 7こ

れはチ ェ ック・ リス トで はな く普通 の リス トで あ る。


5。

2.主要 オ ブジェク ト

43

この病室 のチ ェ ックは、施設 リス ト中のすべ ての病室 について適用 され る。 これ を実現 して い るのが checkByousituで あ る。 この関数 の 冒頭 で変数 hrに このチ ェ ックの根拠 となる法令 kenkihou(30)(建 築基準法第 30条 )が 代入 されて い る。 これ は、 チ ェ ックの結果 を報告す る際 に参照 され る。 こ の ようにして各 チ ェ ックの根拠 を明 らかにす る ことが重要で あ る pttF鋼 卜釧。

IryouSisetu::checkByousitu()const ・ C static

HoukiRu■ eと hr = kenkihou( 30 ); ■nt ret = 03

for ( int i = o, s・

sisetuListosize()3 i く S3 i++ ) ;1 )。 isEqual( sisetuList[i] )) if ( checkByousituSub( sisetuList[i] ) == NG ){ report( hr ): ret ++;

if ( Sisetu( :り 青室

}

return ( ret ? NG : OK ): }

checkAl■ はす べ ての チ ェ ックを行 う機能 で あ る。す べ てのチ ェ ックの結 果 が OKで あれ ば OKを それ以外 の場合 は NGを 返す。 IryouSisetu::checkA■ ■( int ret )const

sisetuCheck-l.checkO

== ==

sinryoukalist.checko

==

return ( ret ? I{G :

0K

・  ? ・  ?・   ?o

checkByousituO

==

checkByousituSuuO

G W

( ( ( (

G N

+= += += +=

G N

ret ret rst ret

G N

{

1 1 1 1

0; 0; 0: 0:

);

診療所 IryOuSisetuか ら派生 したオブジェク トとして診療所 (SinryOuj。 )が ある。 ここで は、病室数 のチ ェ ックが再定義 されて い る。 また、診療所 固有 の施設 チ ェ ック・ リス ト(siSetucheck_2)も 用意 されて い る。 この ように して、各施設固有 のチ ェ ック機能 を追加 して い く。


5.2.主 要 オブ ジェク ト c■ ass

44

SinTyoujo : Pub■ ic IryouSisetu {

Pub■ iC:

Sin7youjo( char* n・

::診

療 所 ・',

Mapa m = defau■ tMap )3

SigetuChecklist s isetuGlxeck-2 ; ■J

checkByousituSuuO const; checkAU( int ret = O ) const;

5。

1の チ ェ ック・ リス トの項 で述 べ たよ うに、各 チ ェ ック・ リス トはオ ブ

ジェク ト生成時 に初期化 され る。 ここで は、診療所 オ ブジェク トの コ ンス トラクタ (生 成関数 )の 例 を示す。

SinTyoujo::Sinryoujo( chAT* n, MaPa m ): {

ェryOuSisetu(

n, m )

sisetuCheck_1.setRu■ o( lhou( 1 ) ); sisetuCheck_1.mustWotHave( BOCHI );

sisetuCheck-2 . setRule ( ihou( 21, 1 ) ): OPR00H )3 sisetuCheck-2 .mustHave ( ( SHOCHI )3 sisetuCbeck-2 .mustHave XENSA ); sisetuCheck-2 .mustHave ( ( SHOUDOKU ): s is etuCheck- 2 . mustllave CHOUZAI )3 sisetuCheck-2 .mustHave (

医療施設 の項 で述 べ た checkByousituSuuの 再定義例 で あ る。なお、診 療所 は収容患者数 20未 満 と定義 されて い るので、THttS_BYOU_SINは 20で ある。

Sinryouj

{ )

o : : checkByousituSuuO

conet

return ( byousituSuu0 )= TIIRES-BY0u-SII ) f

Uc

:

0K;


5.3.テ ス トケ ー ス 医療施設 で も登場 した checkAllの 再定義 で あ る。 ここで は、診療 所 固 有 のチ ェ ックを行 ってか ら、 医療施設 に共通 のチェ ックを行 うよ うに言己述 さ れ て い る。

SinTyoujo::checkA■ ■( int ret )const {

ret += ( sisetucheck_2.check()== NG )? 1 : 03 retuェ

}

その他

5。

3

IryouSisetu::checkA■ ■( ret ):

病院や、総合病院 は診療所 の例 と同様 に定義 され る。

テ ス トケー ス

本節 で は、以上 のよ うに用意 した知 識 ベ ース を実際 に使用 した様子 を示 す。

5.3。

1

テ ス ト1

この テス トで は、医療 施設 の病室 について チ ェ ックを行 った。

1.は じめにチ ェ ックす る。病室 は一 つ もな いが、診療所 には病室必ず し も必 要 で ないので エ ラーにはならな い。 まだ病室 は存在 しないので 、 違反 した病室 も当然存在 しない。

ノノ//ノ /ノ /ノ ノノ/ノ ノノ/check Allノ ノノノノノノ///////// a■ ■ チ ェ ックの結果良好

2.(2,2,Bl)に 病室 を一 つ足す。 ノノノノノノ/ノ ノ//ノ ノノ/ノ add rOom/ノ ノノノノノノ/ノ /ノ ノノノノ 病室を足 します


3.チ ェ ックす る。今度 は地階 に病室 があるので エ ラー とな る。また、

6 4  根

5.3.テ ス トケ ース

拠 となる法規 を参照 しエ ラーの原因 を報告 して い る。

ノノノノノノ/ノ ノノノノノノノ/check Al■ /ノ ノノノノノノ/ノ ノ/ノ /// 病室 が不適切 (#0) なぜ なら病室の地階の禁止 a■ ■ チ ェ ックの結果 エ ラー

4。

(2,3,Bl)に 空堀 を設置 す る。 ノノノノノ//ノ ノ/ノ ノノノノノadd dry areaノ ノノ′ノノノノノノノノノノノノ からば りを足 します

5。

今度 は成功 。

ノノノノノノ/ノ ノノノノ/′ //check A■ ■/ノ ノノノノノ//ノ ノノノ/// a■ ■ チ ェ ックの結果良好

5。

3.2

テ ス ト2

次 は、病院 について、病室以外 の必要施設 も含 めたチェ ックを行 う例 を 示す。

1.最 初にチェ ックをすると、必要な施設が足 りないのでエ ラー となる。 ノノノノノノノノノノノノノノノノcheck A■ ■/ノ ノノノノ/ノ ノノノ///ノ ノ 施設 処置室 が足 りない 施設 検査施設 が足 りない 施設 消毒施設 が足 りない 施設 調剤所 が足 りない a■ ■ チ ェ ックの結果 エ ラー

2。

(2,2,Bl)に 病室 を一 つ 足す。


5。

3.テ ス トケ ース ノノ/ノ /ノ ノノノノノノノノノノadd rOom/ノ ノノノノノノノノノノノ//ノ 病室 を足 します

3.施 設 が足 りな い上 に、地 階 に病室 を もうけたので 、 エ ラー とな る。 ノノノノノノノノノノノノノノノ/check A■ ■/ノ ノノノノノノ/ノ ノノ/ノ ノノ 施設 処置室 が足 りない 施設 検査施設 が足 りない 施設 消毒施設 が足 りない 施設 調剤所 力 りない '足 病室が不適切 (10) なぜなら病室 の地階の禁止 a■ ■ チ ェ ックの結果 エ ラー

4.病 室 の隣 に空堀 を もうけ る。 ノノノノノ//ノ ノノ/ノ ノ///add dry nTea/ノ ノノノ/ノ ノノノノノノノノノ からば りを足 します

5。

病室 の エ ラー はな くな ったが、 まだ施 設 が不 足 して い る。 ノノノノノノノ/ノ ノノノノノノノcheck Al■ /ノ ノノノノノ//ノ ノノノノ′ノ 施設 処置室 が足 りない 施設 検査施設 が足 りない 施設 消毒施設 が足 りない 施設 調剤所 が足 りない a■ ■ チ ェ ックの結果エ ラー

6。

い くつ か施設 を追加 す る。

ノノノノノノノノノノノノノノノノadd faci■ ities/ノ ノノノノノノノノノノノノノノ 処置室を足 します 検査施設を足 します 消毒施設 を足 します

47


5.3.テ ス トケ ース

48

7.ま だ、 調剤所 が足 りな い よ うだ。 ノノノノ/ノ ノノノノノノノノノ/check A■ ■/ノ ノノノノノノノノノノノノノノ 施設 調剤所 が足 りない a■ ■ チェ ックの結果エ ラー

8.調 剤 所 を足す。 ノ//ノ ノノ//ノ ノノノノ///add faci■ ities//ノ ノノ/ノ ノ/ノ ノ/ノ ノノノ 調剤所を足 します

9。

それ で もまだエ ラー とな る。

ノノノ/ノ ′′′ノノノノノノノ/check A■ ■/ノ ノ//ノ ノノノノノノ/ノ ノノ a■ ■ チェ ックの結果エ ラー

10。

病院 として成立す るために必 要 なだけ病室 を追加す る。

ノノノノノノ//ノ ノノノノ//ノ add rOom/ノ ノノノノノノノノノノノノノノ 病室を足 します x20

11。

これ で よ うや く成功 。

ノノノノ/ノ ノノ/ノ ノノノノノノcheck Aユ ■/ノ ノノノノノノノノノノ///ノ allチ ェックの結果良好

5。

3.3

テ ス ト3

今 までの例では、病室数 が足 りない場合、あ るいは多 い場合は、ただ単 にそのことを報告す るだけであった。今度の例で は、診療所 に病室 を 30も うけた場合 に、自動的に病院 となる例を示す。


5。 3。

テス トケー ス

49

1.敷 地 の設定 をす る。 この時点で は設計対象 は診療所 で あ る。

ノノノノノ/ノ ノ/////ノ //set s■ te/ノ /ノ /ノ ノノノノ/ノ //ノ ノ 敷地 は 第 2種低層住専

2.チ ェ ックす る。

ノノ/ノ //////ノ /////check A■ ■/////////////ノ // a■ ■ チ ェ ックの結果良好

3.病 室 を 25足 す。 この時点 で、設計対象が病院 に変化す る。

ノノノノノノ//ノ ///ノ ノノノadd rOom//ノ ノノノノノノノ/ノ ノノ/ノ 病室 を足 します x25 診療所 → 病院

4.チ ェ ックをす ると、必 要 な施設 が足 りないのでエ ラー となる。 また、 用途地域 の規制 によ り、病院は計画で きない ことが報告 され る。

ノノノノノノ//ノ ノノ//ノ //check Al■ ノ/ノ ノノ/ノ /ノ //ノ ノ/ノ ノ 敷地 が不適切 (#0) なぜなら第 2種低層住専 施設 処置室 が足 りない 施設 検査施設 力ゞ 足 りない 施設 消毒施設 沙ゞ 足 りない が 施設 調剤所 足 りない a■ ■ チ ェ ックの結果 エ ラー

5。

¨ 以下続 く。


5.4。

5。

4

ま とめ

まとめ

今回 のテ ス トは簡単 な例 で あ るが、 医療施設 の計画段階 にお いて、 規模 を考 える過程 で 、病室数 と施設 の規模 の関係、 あ るいは、用 途地域 と施設 規模 の関係 な どに関 して、適切 なア ドバ イ ス が提示 され る様子 が確認 で き た。 また、病 室数 に応 じて施設 が病院 にな った り、診療所 にな った ���す る方 が よいのか、 あ るいは、単純 に、 エ ラー を表示す るのが いいのか といつた 点 は、最終的 に は、使用者 の好 みの問題 で あろ う。 しか し、 この よ うな ダ イナ ミックな変化 に も柔軟 に対応 で きる こ とが確認で きた。 この点 で、特 に、 エ キスパ ー ト・ システムに対す る優位性 が認 め られ る。 ちなみに、今回 のテス トケースで は、Byouin byouin=sinryoujo;と い う形 で 暗黙 の型 キャス トを利用す る形 で実現 して い る。 この型 キャス ト はそれぞれの施設間 の変換用 に用意 されて い る。


6章

おわ りに

51


6.1.今 後 の課題 と展望 6。

1

6。 1。

1

52

今後の課題 と展望 知 識 の構造 化

今 回 の プ ロ トタイ プで は、比 較的 オブ ジェク トの数 が少 なかった。 しか し、実際 の シ ステ ムで ははるかに多 くのオ ブジェク トを分析抽 出す る必 要 がある。参考書 などを ざっ と四∼五 ページめ くっただ けで も、 100∼ 200の ォ ブジェク トとなるべ き対象 がそ こに書 かれて い る。五 ベー ジで 100な ら ば五 百 ベージで 10,000と 、必ず しも線形的 に増 えるわ けではな いが、 それ で も実用 レベル のシス テ ム を構築す る となれ ば、膨 大 な数のオ ブジェク ト を相手 に しな くてはな らな い。今後 は この よ うな大規模 システ ム に対応す る技術 を検討す る必要 が ある。 また、 コ ンピュー タシステムに言己述す るとい うことで 、体系化、記号化 さ れ た知 識 を対象 としたが 、機械学習 などの手法が提供 され るようになれば、 その他 の構 造 を持 たな い知識 も対象 とで き るはず で あ る。 この よ うな知識 は、実際 の知識 ベース構 築 にあた って は これ らの知 識 は欠かせ な い もので あ り、 あるい は機械学 習 に頼 らな い方法 な ど、早急 にそれ ら知 識 の記述法 を見 いだす必 要 がある。 これ に関 しては、筆者 の卒業論文 卜司 な どの内容 が 関連 あ るがまだまだ 不十分で あ り、今後 の発展 に期待す る。

6。 1。

2

知 識 の基準

知識処理 が対象 とす る情報 を分解 してその粒度 を小 さ くして い くと、 ど こかで それ以上 分解 で きない、 あ るいは分解す る必 要 が ないレベル に到達 す る。 た とえば、構造計 算 に用 い られ る方程式、材 料 の特性、法規 な どは 設計段階で はそれ以上 分解 した い とは思 わな い、 い わ ゆ る「 わ かった」情 報 で あ る。知 識 ベースヘ の知識 の収集 は、 この最小 の粒度 の情報 に行 き着 いた ところで分解 を停止 す ることによって その限度 とす べ きで あろ う。 しか し、実際 にはど こまでが「 わかった」 もので あ るかの判断 は難 しい。 これ らの決定 に はものの見方 が大 き く関与 してお り、見方 を決 め た後、 そ の見方 に沿 って領域 に関 す る知 識 を記述す るための単語集合 を定義す る必 要 がある。 また、同 じものを記述 す る方法 は幾通 りもあ り、対象 をどの よ うに眺 め るかを明確 にす る ことは きわめ なければ、 その記述体 系 は別 の観点 か ら眺

めた場合には有効ではなくなるいq卜 11。 これは、例えば業界全体に通用す る汎用的 な知 識 ベース を提供 しよ う とした場合、客観性、あ るい は一貫性


δ.2.職 能 としての建築家 の役割

に乏 しい とい うことにな り問題 となることが予測 され る。 これ は建 築 に関 わ る言葉 の定義・ 辞書 を作 るに等 しい行為 で あ り、 情報 /知 識 の粒度 の基準 を どこに求 め るか とい うのが 重要 な ポイ ン トとな る。 そ うい った意味 で は、今 回一級建築 士資格試験問題 を軸 に した こ とは意義 あ る ことと考 えて い る。 しか し、 それで も個人 で 分析 を行 う以上、視点 に 偏 りが生 じる点 は否めな い。 今後 は複数人 による協調作業 の 中での知 識 ベース作 りが課題 とな ろ う。 これ は建築 で用 い られて い る単語 のカタ ログを作 る作業 と見 る こ とがで き、 この よ うに見 れ ば、 コ ンピュー タ・ シス テ ム は第 一義 で はな く、言葉 が そ の主役 の座 を しめ るので あ る。筆者 は この点 を肝 に銘 じ今後 の研究 を続 け て い きたい1。

1.3

6。

法 規 の将来 像

本研究 を通 じて、改 めて現行 の法規 の読 み に くさを痛感 した。以 前 に比 べれ ば改良 され たようで はあ るが、 関連 した内容 が分散 して い た り、 その 意味す るところを理解す るのには頭 を悩 ます ことも多 い。 将来的 に は、本研究 中で 示 した知 識 ベー ス の形 で 関連法規 が提供 されれ ば、法規制定者 の意図 も間違 いな く一般 の設計者 に伝 わ り、 また設計者 も 法 の解釈 に煩 わ され るこ とがな くなるだろ う。 これは、知 的 CADの 行 き着 く先 の一つ の例 で あるが、 この よ うな理想的 な状態 に達 して初 めて知的 CAD研 究 は完遂 した といえるであろ う。まだま だ先 は長 い。

6。

2

職能 としての建築家の役割

最後 に、本研究 にお ける知的 CADの 発展 と建築家 との関係 を述 べ た一文 があるので、 これ をもって本文 の締 め くくりとした い。 さて、 この ようにシステムの性能 が 向上す ると、職能 として の建築家 の役割 は定 かで な くなる。高度 な システ ム さえ持 って いれ ば、 誰 が使 つて も、 シス テムがかな りの事項 を処理 して く れ るか らで ある。 しか し、建築 のデザ イ ンにお いて、要求条件 に対す る解答 は無数 に存在 し、解析的 に求 め られ るよ うな最適 解 は存在 しないのが普通 で ある。 しか も矛盾対立す る要求条件 ゛ れは、 ともすれば コンピュータのみに目を向けがちな筆者 の 自戒 の念で ある。 くれ く ¨ れ も道を誤 らない ようにせねば。 1こ


6.2.職 能 としての建築家 の役割 の 中で は妥協調整 が必要 で あ り、その判断 も結局 は建 築家や施 主 の価 値観 に依存 す るとい う性格 を持 つて い る。 したが って、 シス テ ム を使 うに して も、優れ た案 を作 りた い と思 えば、時間 の許す限 リシス テ ム を操 作 して試行錯誤す る必要 があ り、 また 巧 みな問題解決 の着想 が重要 になる。表現作業 レベル の巧拙や 早 い遅 いの差 はな くな り、結局 の ところ、設計者 の情熱 と感性、 問題解決 に向けての知恵 の豊富 さに こそ、職能 の価値 が認 め ら れ る こ とになるに違 いな い。 システムの高度化 は、設計者 の資 質 が問 われ る、一段 と厳 しい世界をもたらす ことにな りそ うだ。 (熊 本大学 工学部教授 :両 角光男)

謝辞 指導教官であ り、研究の場を提供 していただいた渡辺仁史先生、知的 CAD のパ イオニアの一人で あ り、 コンピュータ環境の整備 に尽力 して くれた俊 さんをはじめ、 ANETの みなさん、研究室のみなさんの指導、支援 に感謝 します。


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知的CADと知識ベース