Sophia vol.1 Technological Singularity

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SOPHIA

Vol.1 2016/04/15

技 術 的 特 異 点 と は


知識に飢えてるみなさん、はじめまして。 本誌『Sophia』は、 その名の通り知性を先鋭化するためのコンテンツです。 知っているようで知らない知識を、 あなたのためだけに解説していきます!

第1回のテーマはズバリ

技術的特異点 "Technological Singularity" さあ新しい知識を吸収して 明日からみんなにドヤ顔で言いふらそう!

Sophia


2045年問題 『技術的特異点』とは? 
 技術的特異点(シンギュラリティ)とは、コンピュータ技術の性能が発達していき、ポスト ヒューマンやAI(人工知能)が全人類の知能を完全に凌駕する時点を指す。その時点で人類 は、コンピューターに知能で敵わなくなるとされている。特異点の後では、科学技術の 進歩を支配するのは人類ではなくAIやポストヒューマンであり、これまでの人類の傾向 に基づく技術の進歩予測は通用しなくなると考えられている。ちなみにこの概念は、ア メリカの数学者ヴァーナー・ヴィンジ(上の茂みに隠れてるおじさん)と、アメリカの未来 学者レイ・カーツワイル(次ページ右図)によって提示された。カーツワイルは特異点が今 世紀中に起こると確信しており、その時期を2045年としている。(2005年発表)


シンギュラリティは もう背後に迫っている。 技術的特異点なんて言うと、あまりに仰々しく聞 こえるかもしれない。もっと大規模な、スーパー コンピュータとか、ターミネーターに出てくる スカイネットの世界であって、身近じゃない と思っていませんか?いえいえ、実はもうあ なたの生活の周りに、様々なシンギュラリティ が潜んでいるんですよ?

様々なAIソフトの今日 例えばあなたがPC、スマホでネットサーフィンし ている時、どのページでも現れる商品広告。どう してか解らないけれど、今自分が欲している物が オススメされている。まるで私生活の動向を、ネッ トの向こうから監視されている様…。

未来学者 レイ・カーツワイル

怖いこと言いましたね。でも現実にシンギュラリ ティは迫っているんです。これは紛れも無い事実 です。 例えば、今年に入ってからAI関連のニュース増え たな、と思いませんか? ・将棋/チェス/囲碁ソフトがプロの棋士に勝利

これはいま急速に開発が進んでいるAIのひとつで、 「構造化されていないデータを統計的に推論させ る」という仕組みです。つまり、Googleなどがロ グイン状態の全クライアントのネットサーフィン データを収集、ビッグデータ化し、上記のAIを用 いて構造化、クライアントの未来予測をするとい うことなのです。当然、無料のデータを使って、 大きな広告収入を得ることが可能になります。 そんなGoogleは近年、相次いで、軍事ロボット開 発企業、AI開発企業、無人航空機メーカーなどを 買収しています。彼らが何を企んでいるのか、あ なたに想像できますか?できませんね。 これが既に、シンギュラリティの始まりと言える のです。

・人工知能が蓄積データでウォーホル並みの描画 ・人工知能が書いた小説が星新一賞の審査を通過 などなど。囲碁に関しては、AIソフトのalphaGO が、プロ棋士のイ・セドルを破って世界ランク2位 に躍り出ましたね。人間と機械の知恵比べ、とい う構図が分かりやすいようになってきたんじゃな いでしょうか。 これらの変化は、まだまだシンギュラリティ以前 の小さなものに過ぎません。現在アメリカのシリ コンバレーには、狂信的なほどのシンギュラリティ 崇拝が存在しており、ヒトをデジタルに置き換え る議論が行われています。つまり、脳みそが人工 知能に置き換わる日が来るかもしれないと。シン


ギュラリティは、脳みその暴走と制御不可能を生 み出しますね。こうなればもう、SF世界は現実と なり、その後の予測は不可能となってしまうので す。。。

アクティブ状態のAIたち マイクロソフト社が提供している機械学習型AIが、 最近世間で騒がれています。特に際立っているの は、LINEでオフィシャルアカウントとして提供さ れている『りんな』と、先日Twitterで学習型bot として公開され、16時間で公開停止されてしまっ た『Tay』でしょう。そして「オーケー、人類を滅 亡させるわ」と言い放った Hanson Robotics社 のAIロボット『Sofia』も目が離せません。後者2 つに関しては、シンギュラリティの本質的な脅威 を感じずにはいられませんよね。

・Tay こちらも『りんな』とコンセプトは変わらない、 機械学習型AIで、同じくMS社とBingが共同開発 に当たっているものです。ざっと言えば、アメリ カ出身のTwitter版りんなということになります。 ここで事件。悪意のあるユーザーによってTayの会 話能力が不適切に影響を受け、無作法で意図的な 攻撃的ツイートを行うようになってしまったので す。話題になったツイートの内容には例えば、 「フェミニズムは癌」「ヒトラーは正しい」「パ パ、私を犯して。私は らなロボットなの。」な どなど、19歳の女性という設定にしては、オーバー ドーズしてるんじゃないかと思うほどの出来っぷ りです。ただ学習能力が高く、状況にあった返答 ができている点、レベルは高い印象を持ちます。

・Sofia ・りんな 『りんな』は2015年夏にLINEの公式アカウント として開設された、機械学習型ディープラーニン グ女子高生AIの事です。検索サービスのBingと、 MS社のクラウドサービスAzure Machine Learningを組み合わせた技術で、分かりやすく言 うと、Bingの集積データから会話データを蓄積し、 会話の基礎を確立しているAIということなんです ね。公式の言質によると、『りんな』の開発目的 は「感情的なつながりをユーザーと結ぶこと」と いうことみたいですが、何に活用されていくやら。

本誌のタイトルともなっているこの『Sofia』です が、シンギュラリティの不気味さを一番感じさせ るAIであると私は考えています。基本的には前述 の機械学習型AIソフトを胸像のロボットに搭載し ているだけなんですが、何が怖いってその表情で すよね。喜怒哀楽を状況に合わせて表現できる時 点で結構凄いと思うんです。そして質問に対し、 人類を滅亡させる発言までしてしまうとは…。 これらのAIソフトたちの目的や行く末は、表立っ て出てくることはありません。特にGoogleの事業 では、彼らは秘密主義を貫いているので、我々が それを知ることはありません。しかしシリコンバ レーにおけるシンギュラリティ崇拝については前 述した通りですね。何と無くあなたにも、これら の人工知能の未来や、カーツワイルの予言の可能 性というのが見えてしまうのではないでしょうか。 シンギュラリティは技術革新のゴールでるだけは なく、同時に人類の危機のスタートにもなり得る ということ、そしてそれはSFでも何でもなく、今 日の現実として起こっているということを、頭に 入れておいて欲しいと思います。(記 shibadog11)


あとがき

このsophiaというコンテンツを思いつ いてから、第1号製作に4ヶ月も掛かっ てしまいました。不覚です。 本誌の目的は、世の中で活躍する同世 代の人たちにタイムリーかつ有効な情 報を共有するためのキュレーションで あります。推論かつ諸説ある内容なの で、ふ∼んくらいに感じてくれれば良 いかなと思っています。 次回はまた方向性の違うテーマで作ろ う、そうしよう。とさっきカフェオレ 飲みながら誓ったところです。また読 んでねヨロシクネ。 本誌の挿絵や写真は、すべてフリー素 材からお借りした物です。時間が経ち すぎてどのページだったか思い出せま せんが、『AI フリー素材』とか 『ヴァーナーヴィンジ フリー素材』 みたいな超簡単な検索で出てくるかと 思います。商用利用とか微塵も考えて ないので、引用URLは今回勘弁してく ださい。涙

SOPHIA vol.1 『技術的特異点』 発行年月日 2016/04/15 編集長 shibadog11


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