Illuminea October 2010 Japanese

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| FEATURE

言語の 膨大な宝の山 私は、 OEDオンラインで言葉を調べる プロセスを、 一つの旅の終点ではなく、 旅の始まり、 として欲しいのです。 xford English Dictionary (OED) 、オックス ス フォード英語辞典、を知っている方ならば誰 誰 もが、それが英語という言語の歴史と発展を 記した膨大な情報の宝の山だということをご 存じだと思います。2010年のOEDウェブサイトのリニューア ルのカギとなったのは、その膨大な情報を解き放つことに ありました。 OED Onlineはオックスフォード大学出版局の最も古い オンライン版レファレンステキストです。2000年3月のデビ ューは画期的なことであり、ユーザー(ではなくて、読者) に豊富な情報源への、より新しく直接的なアクセス方法を 提供しました。それ以来ずっと、OED Onlineは素晴らしい 成功を収めてきました。それというのも、読者が(それとも やはり「ユーザー」と呼ぶべきか?)やっと、OEDが1884年 から続く言語の記録簿のようなものではなく、柔軟性に富 んだダイナミックな辞書として変化を遂げたと感じること が出来たからです。 しかし時は流れるもので、OUPは、2000年に画期的で あったものでも2010年の今、包括的な見直しを行うことが 必要だと決断しました。これまで多くの人に使われ、愛さ れてきたテキストのリニューアルをまとめるのは容易なこと ではありません。新しい特徴が、既存のテキストの良さや を見劣りさせる恐れもあります。 このような事態を避けるため、OUPではOEDの編集者や

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John Simpson、 Oxford English Dictionary 編集長

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左上より時計回りに:1880年代初期のJames Murray氏による単語 affirmを記したもの、OED Onlineでのmetamorphosis の項目、1896年以前 の辞書の、引用を記した紙片、OED Onlineのこれ までの出来事を記した年表

ウェブ構築スペシャリスト、プロジェク トマネージャ他、多数の人を呼び集 め、既存のウェブサイトの検証と2010 年版をどのようにしたらよいか、アイデ ィアを出すように求めました。 広範囲に渡るディスカッションの 後、私達は辞書の新しいモデルを考え 出しました。OEDの最も重要な部分 は、そのコンテンツにあります。意味や 語源、文献で使われたもの(引用)で す。これらは元来極めて重要なコンテ ンツです。ですが、新しいモデルのテ キストは、編集者が随時更新を行うデ ータベースを元としています。よって、 新しいモデルには、ここ10年ほどの間 に見直されて新たに加えられたエント リーが含まれるだけではなく、微細な

文字や編集ルールであるがためにこれ までデータベース上では修正されつつ もオンラインでは出版されることのな かった点も数多く反映されることにな ります。このような修正がされることの ウェブサイトにとっての利点は、スタン ダード化が進むことによって検索の成 功率が高くなることにあります。 従来より、辞書というものは内向き なものとして捉えられてきました。読者 は必要なときに辞書を頼って欲しい情 報を得ると、また辞書から離れた生活 に戻っていました。私達は、そうではな くて、辞書にも外へ向かう部分を持って ほしいと思ったのです。読者を、ある一 つの言葉からより広い言語の世界、そ してそれ以上へと導くものであってほ


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