ザイリンクス Xcell Journal 日本語版 94号

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XCELLENCE IN AERONAUTICS

無人航空機 (UAV) およびドローン業界は急速な成長期にあり、商用 や消費者向けの新たな市場を広げています。UAV によって実現可能と 考えられる範囲は、3D モデリング、軍事支援、配送サービスなど、創 造的な新しいアプリケーションへと拡大し続けています。 問題は、これらのアプリケーションが複雑化の一途をたどり、ますます 多くの処理能力と I/O (入出力) インターフェイスが必要不可欠となる反 面で、利用可能な UAV プラットフォームがそのペースに追いついていな いことです。飛行に必要なソフトウェアとハードウェアが進化を続けるにつ れて、大部分の UAV プラットフォームは機能の限界に達しようとしてい ます。 Aerotenna 社 の 開 発 チ ー ムは、 ザ イリンクス Zynq®-7000 All Programmable SoC をベースに開発したボード搭載の UAV の飛行に 成功しました。このプロジェクトは、高い処理能力が要求されるマイクロ 波検知製品のリリース計画の端緒になるものです。筆者らが Zynq SoC を採用したのは、同じクラスのほかのソリューションでは必要な処理能力 が得られなかったためです。筆者らは、この新しいプラットフォーム (図 1) にマイクロ波ベースの衝突回避システムを導入し、無人飛行体験を向上 させていく予定です。

現在の UAV テクノロジの限界 従来の UAV 業界が主に重視していたのは、機能の簡素化により不要 な機能をすべて省略し、できる限り低コストで無人飛行を実現することで した。必要な作業を最も簡単な方法で実行するだけの製品を購入したい のであれば、この方針は間違っていません。しかし、筆者らのように新し い複雑なアプリケーションを追求している開発者は、取り組みの幅を広げ て、アイデアの実現に必要な処理速度を提供する独自の UAV プラット フォームを新たに開発する必要がありました。 現在の標準的な UAV プラットフォームのもう 1 つの大きな制約は、 プロセッサに対する入出力接続が不足していることです。このため、飛 行制御システムはすぐにプロセッサと I/O 機能の最大容量に到達してしま い、新しいセンサーや新しいアプリケーションに対応する余裕がなくなっ てしまいます。 標準プロセッサ ボードに搭載されている I/O の大部分は、飛行に必要 な各種コンポーネントに既に使用されています。これらの機能には、機体 の向きを定量化するための慣性計測センサー、高度を判断するための気 圧計と高度計、ユーザーの入力をデコードするための RC レシーバーが 含まれます。残りの I/O を使ってその他の機能を追加しようとしても、提 供できるオプションはそれほど多くはなく、通常はカメラやナビゲーション 用 GPS などの最も普及が進んだ機能に限られます。非常に広範囲にわ たるセンサーと外部インターフェイスに単一のプラットフォームで対応す る製品は、現在のところ市場に提供されていません。

http://japan.xilinx.com/

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