南アジア地域 アフガニスタン
ブータン
バングラデシュ
インド
南アジアは過去 10 年近くにわたって力強い経済成長を遂げており、 2000 年以降の平均成長率は 6% でした。この堅調な成長は、貧困削減
そのうち 13 億ドルは IBRD の貸出、41 億ドルが IDA(うち 2 億 7260
世銀は 2009 年度、南アジアで合計 36 件のプロジェクトを承認し、
や、人間開発分野の目覚しい進展をもたらしました。しかしながら、世
万ドルは贈与)の承認でした。強固な融資ポートフォリオを補完する
界経済の減速に直面し、当地域の成長見通しはかんばしくありません。
のが、世銀の分析・助言活動です。マクロ経済・投資環境の改善および
南アジア諸国は危機に対処するため、様々な通貨・財政政策を発動
投資の停滞の反転に向けた迅速な政策助言を行うため、この活動の一
しました。しかし、危機の影響を軽減し、高度成長回復への道筋をつけ
部に再度焦点が当てられています。また、世銀は、南アジアの国々が、
るためには、追加的施策が必要となります。世銀は、景気刺激策とな
セーフティネット・プログラムを貧困層や弱者に行き渡るように強化
り、堅実な公共インフラ・プロジェクトに投資し、望ましい投資環境を
することを支援すべく、継続的な分析支援を提供しています。
作り出し、貧困層を保護するための既存のセーフティネット・プログ ラムを拡大するような政策を提唱しています。
2009 年度、アフガニスタンおよびネパールに関する新中間戦略メ モが理事会で検討されました。アフガニスタン戦略は、数百万人のア フガニスタン国民の日常生活水準を改善してきた堅実な国営プログラ
世銀の支援
ムへの支援に力を入れています。また、財政運営と安定性の強化、なら
世銀が現在南アジアで推進している戦略は、成長の加速および持続、貧
びに透明性と説明責任の向上に向けた取り組みを通じ、信頼性のある
困層に配慮した開発、人間開発の強化という 3 つの柱から成っていま
国づくりの要である中核的統治システムを強化することを目指してい
す。公的セクターの説明責任および良いガバナンスは、3 つの柱に共通
ます。ネパール戦略は、堅調さが確認された分野およびプログラムを
する基盤となります。世銀は、南アジアには大きな格差が存在し、それ
基盤とし、社会的一体性を重視しています。同戦略は「平和のフィル
がさらに拡大する様相を示しており、一部地域は中所得層であるもの
ター」を採用していますが、これは紛争および社会的緊張の根本的原因
の、低所得層は今も大きな割合を占めていると認識しています。また、
に対し世銀融資プロジェクトがより配慮することを意図しています。
紛争国の数が増加しており、世銀の支援を実施するにあたって、個々の 事情に応じた解決策が必要とされていることも認識しています。 南アジア地域の概要
15 億人 1.5% 平均寿命: 65 歳 : 乳幼児死亡率(出生 1000 件当たり) 59 件 若い女性の識字率: 74% HIV 感染者・エイズ患者数: 260 万人 : 986 ドル 2008 年の一人当たり国民総所得(GNI) 一人当たり GDP 指数(1998=100) 164 総人口:
人口増加率:
注:平均寿命、乳幼児死亡率(出生 1000 件当たり)、若い女性の識字率、HIV 感染者・エイズ患者数は 2007 年、その他の指標は 2008 年の「世界開発指標」データベース、HIV 感染者・エイズのデータは国連・ 世界保健機関「2008 年エイズ流行に関する報告書」の数字です。
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世界銀行年次報告 2009
2009 年度の
2009 年度の
IBRD:12 億 8600 万ドル IDA:41 億 4800 万ドル
IBRD:12 億 200 万ドル IDA:27 億 9200 万ドル
新規融資承認額
融資実行額
2009 年 6 月 30 日現在において実施中のプロジェクトのポートフォリオ:260 億ドル