The World Bank Annual Report 2009: Year in Review (Japanese edition)

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開発影響評価イニシアティブ

ることを目的とした複数国にまたがるテーマ別プログラムの一部とし

影響評価を行うことにより、開発プログラムが受益者の幸福にもたら

て実施されています。2009 年度、世銀は、農業分野での適応、地元の

す因果関係についての科学的に有効な推定を得ることができます。影

ガバナンスと説明責任、青年期の女性に関する多国間イニシアティブ

響評価は導入グループと対照グループとの比較により行われます。開

を新たに開始したほか、HIV/エイズのプログラムも大幅に拡大しま

発プログラムが借入国主導で実施される場合は、実施機関での意思決

した。教育における説明責任と質の向上、保健システムの有効化、マラ

定方法を本当の意味で転換することができます。

リア対策、農村インフラおよび上水道の整備、セーフティネットの強

世銀内では、開発影響評価イニシアティブ(DIME)が、制度開発に

化、若者および雇用に関する成果の向上、市街地の改善などの分野で

おける影響評価の役割強化を目指しています。DIME による評価には、

プログラムが進行中です。

関連政府機関や地元研究者も関与します。こうした関与はオーナー シップの確保に役立つばかりでなく、実地訓練を通じて現地の能力も

DIME は、複数国にまたがる影響の証拠を系統的に検討していま す。世銀の研究者は 2009 年、条件付現金給付に関する報告書を作成

育成します。

し、現在は教育サービスの提供に関する報告書を作成中です。

地域とネットワークの協力を通じて、世銀はこれまでに 139 件の影

2009 年度に新設された農業適応(AADAPT)プログラムでは、農業

響評価を完了しています。現在、52 か国で 221 件の影響評価を実施中

開発および気候変動への適応における根本的な方針転換の必要性への

です。こうした影響評価は、普遍的な重要性を持つ開発問題に取り組

取り組みを図っています。2009 年 4 月、12 か国からの代表団、世銀や

み、事実やグッド・プラクティスを共有する実務家コミュニティを創

その他の開発機関の業務職員、そして 6 つの国内・国際学術機関の研 究者が、AADAPT 支援前進の基礎としてそれぞれのプログラムの学 習戦略を策定しました。AADAPT は、世銀プロジェクトを学習ツール として利用し、多国間の実践コミュニティの発達を促進することによ り、農業および土地管理に関する力強く業務上有益な学習を生み出し ていきます(http://www.worldbank.org/dime 参照)。

シビルソサエティ

2009 年度は世銀とシビルソサエティの関係がさらに緊密になりまし た。食糧危機や金融危機に関して世銀幹部と主要な国際的シビルソサ エティ組織(CSO)のリーダーの間で 4 回にわたって開催されたハイ レベル円卓会議での広範囲にわたる政策対話は、危機に対処するため の共同の取り組みを示す明確な証拠となりました。このことは、世銀 の年次総会や春季会合に参加する CSO、特にその幹部らの数が増加 していることにも現れています。

2009 年度にはまた、気候変動および情報開示に関する政策の検討 のため、世銀と様々な CSO の間での幅広い協議の取り組みが行われ ました。国レベルでは、2009 年度に承認された世銀プロジェクトの 80%以上で、シビルソサエティが準備に参加しています。CSO は、本 格的な国別援助戦略の約 87 %および本格的な貧困削減戦略の 100 % の準備に関与しており、その他の政策文書や戦略文書の作成にも関 わっています(http://www.worldbank.org/civilsociety 参照)。

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世界銀行年次報告 2009


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