Space Out 2011

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上 上 の の 空 空

★ ★ 上 上 の の 空 空 s p a c e s p a c e o uo t u t 11 1 2 02 0 1

s ps ap ca ec e o uo tu t

r r po rj o s t sa tr a p e jcet c t

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★star project ★star project


この展覧会は、あいちトリエンナーレサポーターズクラブイベント 事務局によって立案者を招聘し、一日のみの展覧会 One Day cafe #3 として Star Project によって企画された。

e x h i b i t i o n t i t l e / 展 覧 会 タ イ ト ル : “ S p a c e O u t ”「 上 の 空 」 day at the exhibition / 開催日 : 25th June 2011 exhibition place / 開催場所: Mansho S bldg. 万勝 S 館 2-10-30 Nishiki, Naka-ku, Nagoya Japan / 名古屋市中区錦 2-10-30

Acknowledgment Thanks go to the artists, and Aichi Triennale supporters club event office

Colophon Photographs / Designed by Eiji Watanabe Copyright © 2011 Artists, Star Projects

Printed by ★STAR PROJECT stargallery.fushimi@gmail.com 2-13-24 Nishiki Naka-ku Fushimi underground Nagoya Japan

“Space Out”

the exhibition view at Art Labo Aichi

Nagoya Japan 2011


opening essay:博物誌−上の空のために

拝戸雅彦

最近、名古屋の地にいて考え始めたことがある。 アートを技術や学の蓄積として見るのか、それとも、瞬発的なその場の身体 パフォーマンス的な視点にたって見るのか。技術は知識としてあるいはテク ニックとして伝達可能である。だから、教え伝えることができる。ただし、 その教えを教え伝える人と教え伝えられる人との間には、双方向ではないヒ エラルキーと権力関係が発生し、技術の同一化が進んで、コピー関係が繰り 返されていく。そしていつしか伝統芸能化して集団を形成する。これは人間 の処世術である。一方で身体パフォーマンスはその場限り性において伝達不 可能である。ゼロ地点から動くしかない。子供は根っからのパフォーマーだ ったが、子供が身体パフォーマンスで描いたものをコピーすることはできな い。でも、大人は子供に「子供であること」を教え込む。その時から、「子供 の絵」は「子供」の絵として伝統芸能化する。大人以上の、子供のしたたか な処世術である。子供が子供のふりをするように、アーティストもアーティ ストのふりをすることを、処世術として学ぶことだって可能である。  では、そして技術と学によるコピー生産による伝統芸能ではないアート、 あるいはアーティストのふりをしていないアーティストによるアートは存在 するだろうか。処世術が必要ではないところで、アートは作られるだろうか。 残された可能性として、「子供」以前の、ゼロ地点の身体パフォーマンスでア ートは作られることができるだろうか。  それらは、一人一人の人間から、ちょうど森の中で、きのこが生え出てく るように、どんな場所からでも、自然発生的に出生してくる現象である。 私は渡辺英司が企画する、美濃加茂市民ミュージアムの敷地や伏見での星画 廊での展覧会、そしてこの「上の空」でそうした現象を見ていた。問題は現 象自体が個別的でストーリーが作りにくく歴史化されにくい、ということで ある。したがって、美術史には組み込みにくい。単線で考える美術史に組み 込まれない、ということは美術館が収集の対象としにくい、ということだ。 しかし、きのこはいつまでも伸び続け、はびこることができるのだ。それは 俗に「異端」と呼ばれる。同じようなきのこがどこかで成長していることだ ってある。こうした異端的存在はアートの水平的な広がりを示し続け、豊か な土壌を形成する。マーケットに組み込みにくいのは、それが豊かすぎて手 に負えないからだ。これらの存在を認め、記述から始まる博物誌を振り返り、 美術史を書き直し続ける必要があるように思う。


s p a c e o u t

上 の 空

明るい星を見ていると 近くにかすかな星がみえるときがあって その星をみようとすると消えてしまう かすかな星は直視することができないので 明るい星を見ながら  かすかに観るしかない Once in a while, looking up at a brilliant star, I feel that I am seeing a very faint star beside it. But when I shift my eye to see it directly, it's gone. So I have to be contented with that forlorn sight of it, Gazing at the other one, the brilliant star. 渡辺英司 / eiji watanabe


<参加作家>

中嶌佳秀 n a k a j i m a y o s h i h i d e ・・・p 0 3 , 0 4

中村 航 wataru nakamura

小川健一 kenichi ogawa

・・・p 0 5 , 0 6

田島 圭 kei tajima

・・・p 2 9 , 3 0

小林真依 mai kobayashi

・・・p 0 7 , 0 8

山田七菜子 nanako yamada

・・・p 3 1 , 3 2

川見 俊 shun kawami

・・・p 0 9 , 1 0

小杉滋樹 shigeki kosugi

・・・p 3 3 , 3 4

木村充伯 mitsunori kimura

・・・p 1 1 , 1 2

荒川朋子 tomoko arakawa

・・・p 3 5 , 3 6

加藤優一 yuichi kato 西野正将 masanobu nishino

・・・p 1 3 , 1 4 ・・・p 1 5 , 1 6

・・・p 2 7 , 2 8

中村浩一郎 k o i c h i r o n a k a m u r a ・・・p 3 7 , 3 8 武田晋一 shinichi takeda

・・・p 3 9 , 4 0

福田良亮 ryosuke fukuda

・・・p 1 7 , 1 8

タ ン・ル イ tan ruyi

小栗沙弥子 sayako oguri

・・・p 1 9 , 2 0

前川祐一郎 y u i c h i r o m a e k a w a ・・・p 4 3 , 4 4

奥村梨沙 risa okumura

・・・p 2 1 , 2 2

今村 文 fumi imamura

榊原由依 yui sakakibara

・・・p 2 3 , 2 4

堀田直輝 naoki hotta

竹田尚史 hisashi takeda

・・・p 2 5 , 2 6

・・・p 4 1 , 4 2

・・・p 4 5 , 4 6 ・・・p 4 7 , 4 8

p.01

p.02


中嶌佳秀 nakajima yoshihide

《untitled》 2009-2011 年/綿布に油絵の具

《 m i z u n o 》2 0 1 1 年 / 綿 布 に 油 絵 の 具

p.03

p.04


小川健一 kenichi

ogawa

《 風 景 》  2 0 1 1 年 / イ ン ク ジ ェ ッ ト プ リ ン ト 《Painting》2011 年/シリコン、キャンバス

p.05

p.06


小林真依 mai kobayashi

《My garden》2011 年 / ミクストメディア

p.07

p.08


川見 俊 shun kawami

《face》2011 年/ミクストメディア

《ビン》2011 年/ミクストメディア

p.09

p.10



加藤優一 yuichi kato

《氷山の一角》 2011 年/ミクストメディア

《mushroom cloud2》2011 年/ミクストメディア

《the man with three brains》2010-2011 年/キャンバス、アクリル絵具 《eye without a face 》2011 年/ミクストメディア

p.13

p.14


西野正将 masanobu nishino

映像作品 《Chop Wood》 2006 年/ 0,25min、《Walking Riverside》2005 年/ 3,24min、《Hose》2007 年/ 1,11min、《777》2007 年/ 1,07mi、 《Float Island》2006 年/ 0,33min、《Parade》2008 年/ 0,17min、 《Poco Poco》2006 年/ 1,21min、《Friend》2006 年/ 1,16min、 《Back Side of the Earth》2008 年/ 0,42min、《Mirroring》2008 年 / 0,18min《Kitchen》2007 年/ 0,49min、《Visitor》2006 年/ 1,36min、《Sliding Eyes》2007 年/ 0,43min、《Smorkers》2007 年 / 0,51min

p.15

p.16


福田良亮 ryosuke fukuda

《after an earthquake》2011 年/油彩、キャンバス

《カチューシャ》 2011 年/油彩、キャンバス

p.17

p.18


小栗沙弥子 sayako oguri

《図 - 涼しい -》2011 年/使い古したブルーシート、木製パネル

《図 - 黒色の -》2009 年、 《図 - しましまが -》2006 年 《図 - 緑色の図面 -》2011 年、《図 - ベージュの地 -》 2010 年 素材:日常でひろう取るに足らない不要なもの(紙やバーコード、他 人のかいたメモなど)、のり

p.19

p.20


奥村梨沙 risa okumura

《放射能うさぎ》2011 年/ねんど、めのう

映像作品 《レイちゃんのお滝入り》2011 年/ 15 分 30 秒

《セーラーマーズと火山を見る 》2011 年/パネルにアクリル絵具 《新燃岳》2011 年/パネルにクレヨン

p.21

p.22


榊原由依 yui sakakibara

《窓を開ける》 2011 年/木材、レゴブロック

p.23

p.24


竹田尚史 hisashi takeda

《オリオン》2005 年/インクジェットプリント

《世界の端と端に旗を立てる》2011 年/木材、色紙

p.25

p.26


中村

wataru nakamura

《Ground formation》2011 年/樹脂粘土

《Untitled 》2007 年/木のパネルにアクリル

p.27

p.28


田島

kei tajima

《cross stripes painting NO.011》 2004 年/キャンバス、アクリル絵の具 《差異 2》 2011 年/水彩紙、色鉛筆 《524mm》 2011 年/ケント紙、インク 《下敷き》 2011 年/合板、アクリル絵の具 《角材での習作後の習作(12 色のコンポジション)》2011 年/木材、アクリル絵の具

《cross stripes painting NO.011》 2004 年/キャンバス、アクリル絵の具

p.29

p.30


山田七菜子 nanako yamada

《水仙(庭)》2011 年/綿キャンバス、油彩 《あそぼー》 2011 年/キャンバス、油彩 《お祝い大会》 2010 年/キャンバス、油彩 《何のお話しているの?》2010 年/キャンバス、油彩

p.31

p.32


小杉滋樹 shigeki kosugi

《出目金》2004 ~ 2006 年/乾漆 《ウルトラ》2011 年/ミクストメディア

《ハエ》2005 ~ 2006 年/木

p.33

p.34


荒川朋子 tomoko arakawa

《Landscape》2011 年/キャンバスに油彩

p.35

p.36


中村浩一郎 koichiro nakamura

《木の魚》2011 年/木の置物(既製品)

《Word のおばけ》2011 年/ A4 コピー用紙に白黒コピー

《トランプ》 2011 年/トランプ

p.37

p.38


武田晋一 shinichi takeda

《underline》2011 年/木、紙筒、塩ビパイプ、錘、ワイヤー、鉛筆

39

40


タ ン・ル イ tan ruyi

《Bobby》2009 年(2匹)/段ボール、ロボットキット、ミクストメディア

《untitled (the new encounters)》2011 年/木、アクリル絵具、ワイヤー、ミクストメディア

p.41

p.42


前川祐一郎 yuichiro maekawa

《Avalanche》2011 年/キャンバスに油彩

p.43

p.44


今村

fumi imamura

《untitled》2011 年/みつろう画

《untitled》 2011 年/水彩画(8点)

《untitled》2011 年/みつろう画 《untitled》 2011 年/みつろう画 ( 箱 )(8点) 45

46


堀田直輝 naoki hotta

《組 pairs 》 2011 年 / ミクストメディア

p.47

p.48


長者町で上の空を考える。                  吉田有里  あいちトリエンナーレが終了して、長者町はいつもの繊維問屋街に戻った。 2011 年6月、私たちは 2013 年に開催される次回のトリエンナーレに向けて、 継続して活動をする拠点をつくるため、長者町のとある空きビルで準備をして いた。 長者町には空きビルがたくさんある。その多くは、繊維問屋としての 機能を持つ空間で、ビル1棟が階段を軸にフロアが連なる構造となっている。 フロアごとに空間が仕切られ、独立しているテナントビルとは違い、他の用途 では使いにくいからと空きビルが増えてしまっている。この繊維問屋の倉庫と して使われていた空間を展示室として転用するには、さまざまな工夫が必要で あった。壁や床や照明など、予算の限られたなかで、手作業で少しづつ環境を 整えていく。それでも、やはり美術館やギャラリーのようなかっちりした空間 にはなるはずもないが、それを逆手にとれば、整った環境ではないからこそで きる実験的な試みをする可能性も持ち合わせている。  この「上の空」展が開催された「One Day Cafe」は、この 4 階建のビル全 体を使用して、展示、カフェ、パフォーマンス、ライブなどを一堂に1日限定 で行うイベントであった。 1日限りの展覧会に、23人のアーティストが参 加してくれた。なんて贅沢な展覧会なのだろう。そしてアーティストたちは、 この空間を把握し、楽しみながら様々な空間的実験を行ってくれた。バックヤ ードを展示室に、柱を展示壁に、床を展示台に、窓を作品に。  アーティストによる実験は、いつも空間の新たな潜在性を引き出してくれる。 この展覧会によって、建物の空間的な魅力の発見やアーティストたちとの関わり を通じて、活動の拠点としての場所の必要性を強く再認識させられた。  2011 年8月、この建物は「アートラボあいち」としてオープンした。このス ペースが、今後も実験的な場所として多くの若いアーティストの発表の場になる ことを、またアーティストやまちの人、いろんな人々が集まって、交流が広がる 広場のような場所になっていってほしいと思う。    最後に、この展覧会の企画を引き受けてくださった渡辺英司氏と参加作家に感謝 致します。


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上 上 の の 空 空

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