農六レポート Vol.03

Page 1




「点」としての グリーンツーリズムを6次産業化 によって「線」さらには「面」へ

↗以前から取り組んでいたのはムラの生

ら、フォローしていくというやり方をして

業 プ ロ ジ ェ ク ト で す。「 ま ず 農 村 の こ と

います。400 人ぐらいが目標です。いま、

を知ってもらう。これから中山間地の地

実際に仕掛けているところは 7 ~ 8 カ所で

高橋 地域社会雇用創造事業という内閣府

域づくりをどうやっていくのか。小さな

す。既存の観光協会の人たちにも入っても

の事業を実施して、ちょうど半年経ったの

生業である直売所とか農家レストランの

らって、農村、漁村など第 1 次産業の人た

で、一度中間総括をやろうと、こういう

マーケットをもう少し広げて、ここを基

ちと、このプロジェクトを通じてどんどん

企画をさせていただきました。本事業は、

盤に地域をどうつくっていくか」という

つなげていくというやり方をしています。

NPO、NGO の中から 12 団体がそれぞれの

ことに可能性を感じて、ムラの生業プロ

高橋 従来からのグリーンツーリズムに 6

テーマで選ばれ、2010 年から 2 年間にわ

ジェクトを立ち上げたばかりでした。『田

たって 70 億円の予算を使って、地域社会

舎で働き隊!』という事業で、20 年度の

高橋 公

の人材の育成に取り組んでいます。最初に

補正で 122 名ほど、全国から若者たちを

認定NPO法人ふるさと回帰支援センター 専務理事・事務局長

インターンシップ事業について、どんな↙

グリーンツーリズムの拠点に研修生とし

農 村 六 起 プ ロ ジ ェ ク ト

中間 総 括 座 談 会 状況になっているか話してください。

て送り出しています。これをぜひ農村六

養 父 私 は「 九 州 ム ラ た び 応 援 団 」 で、

起と絡めてやりたいと思っています。

農家民宿をやっているおばちゃんたちと

インターンシップについては、地域の中

か、直売所、農家レストラン、都市農村

でいま地域づくりをやりたい人と一緒に、

交流施設の拠点、グリーンツーリズムの

厚生労働省の事業とか農商工連携の人材育

次産業化というコンセプトを掛け合わせ

実践者のネットワークの団長として、農

成事業もずっとやってきています。ところ

て、そこから何が見えてくるかというのは

漁村とまちをどうつなげて地域を活性化

がせっかく人材育成をしても、最後の出口

期待が持てますね。

するかということを 15 年ほどやってきま

のところまで責任を持ってやれる組み立て

養父 現場に行くと、グリーンツーリズム

した。『九州の村へ行こう』という雑誌の

になっていないので、ある程度やる気に

は農村を巻き込んだ取り組みになってい

編集長として、村の情報発信をずっとやっ

なった人たちをもう 1 回、インターンシッ

なくて「点」です。農家民宿についてはコー

てきています。↗

プで集めて、いろいろアドバイスをしなが

ディネーター組織みたいなところがつい

4

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]

養父 信夫 九州のムラたび応援団 団長


て、民間企業の旅行代理店と連携して修学 旅行、いわゆる民泊型の教育旅行みたいな ものが動き始めていますが、これだけで 終わってしまうと結局は民間企業の都合

もあると思います。

農業生産法人・放送局・大学による 三位一体の取り組み

ち 103 万人が集中しています。ということ で、「東北 6 県、特に南東北の皆さんたち と大同団結しながら仮設型の直売所で、要 はフランスの青空露天市場みたいに、テン

で、事故でも起こったら別のところに行っ

針生 私は「せんだいファミリアマルシェ

トでまちの公園とかいろいろなところに移

てしまいます。そうなる前に、こちら側で

実行委員会」の委員長を仰せつかっていま

動しながら、お客さんのほうに寄っていこ

6 次産業化をきっちりつくっていかなくて

す。農家の 15 代目で、家業自体は 300 年

う。もう一つ特徴的なこととして、売って

はいけない。その意味ではグリーンツー

も続いています。1 次産業の方が非常に柔

いる農産物とか水産物に対して大変質の高

軟に 2 次産業、3 次産業の方のニーズに対

い知識を持っているので、掛け合いの中で

応できるような組織力とかチーム力、地域

食材の良さ、背景、ある意味の真のトレー

連結力が大変薄いということがあります。

サビリティみたいなものを消費者にどんど

実行委は「南東北は農業王国でお米もお

ん訴えながら、中抜きをして、農家の所得

針生 信夫 せんだいファミリアマルシェ 実行委員会委員長

農村六起プロジェクトを実施して半年が経過した 2010 年 12 月某日、その途中経過として、どのような状況が生じ ているか、今後の展開として望まれる方向性といったこと などを、現場で事業を実践している方々に集まっていた だいて議論していただき、貴重な意見をいただきました。

いしいし、果物とか、オリジナリティのあ

を 1.5 倍ぐらい増やそう」という考え方で

る農産物がたくさんある。だから基本的に

始まったわけです。

は農業者を中心に、2 次産業、3 次産業の

私たちは追加募集でしたが、全国 10 カ

方に応援していただきながら、全国的に問

所はほとんどが放送局とか新聞社、または

リズムも、すでに十何年経ちましたから、

われているグリーンツーリズムや農業体験

ビルをお持ちになっている方が委託を受け

農村六起をきっかけにして、そろそろ地域

も踏まえて、いろいろな新しい価値をつく

ていて、農業者が一人もいないということ

マネジメント法人的な基盤をつくってい

りたい」ということで始まった団体です。

への驚きもあったんです。

くやり方がすごく大事だと思います。そこ

農林水産省のマルシェ・ジャポンプロ

高橋 それは意外ですね。

で人材の話がどうしても出てくる。地元

ジェクトは、いま北海道から九州まで全国

針生 だから、ぜひ農業者の私がオール東

でやりたい人がいれば一番いいけれども、

12 団体あります。特に仙台は、東北で唯一

北で挑戦したいという思いがありました。

もしいなければ外から入れるということ

の政令都市で、宮城県の人口 230 万人のう

農家はつくるのは上手ですが、売るとか、

阿部 巧 中越防災安全推進機構

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.3

5


て、皆さんとの話し合いの場をつくったり、 地震後に直売所を始めてみたり、いろいろ な都市との交流事業が始まったという小さ な動きが地域の中で同時多発的にあって、 結構広い範囲で、震災をきっかけとして中 山間地域の地域づくりが始まっています。 地震の経過の中で、いわゆる集落のサ ポーターとか応援団みたいなものがたく さんできたんですが、実際にそこで何か 事業をやるといった外部者がもっと出て 広めていく文化は非常に弱い。フジテレビ

と違う見方をするので、もちつき機を持ち

くるといいなと思っていたところに、こ

系列の仙台放送の方にお願いして、農事生

込んで、新しい変わった味つけのもちをつ

の事業が始まる前の年、こちらのふるさ

産法人を放送局が応援するという全国で初

くるとか、コンテストを開いて、それを地

と起業塾の枠組みで長岡市の小国地域に

のコラボレーションユニットをつくって、

元の放送局が取材をして番組にするとか、

5 人の若者が来たんですね。

マルシェ・ジャポンに申し込んだという背

大きな情報発信になっています。

高橋 『田舎で働き隊!』ですね。

景があります。私たちは農業を商売として やっていますから、ショート体験的な、プ

中越地震をきっかけに 新しい中山間地域づくり

阿部 合計で 9 名の方にインターンシップ で 1 カ月、新潟に入っていただきました。 正直、そんな奴がいるのかと思っていたん

ログラムをかじるようなものではなくて、 研修をする人たちのいろいろなイメージに

高橋 阿部さんのところは中越地震からの

ですが、実際に箱を開けてみたらかなりの

見合ったチャンネルを何十も持っていま

復興を目指した中越防災ですね。

数の応募をいただいたし、その経歴も圧倒

す。だから、自分たちの会社が各人に適し

阿部 新潟県長岡市にあって、3 大学 1 高

的に IT 業界の方が多くて、皆さん 30 歳前

た研修の場を提案できて、大変大きな効果

専という地元の研究機関がコンソーシアム

後で、お話を聞くと「この仕事を続けてい

と喜びが返ってきたということが一つあり

を組んで、中越地震からの復興やその後の

けるとは思えなくなってきた。これを一つ

ます。

防災への教訓を残していこうということで

の機会に、実際に自分が農村でどんなこ

また、地元の宮城大学と、お互いに相乗

できた法人になります。中越地震では、山

とができるのかチャレンジしたい」とおっ

効果を得ようということで、大学と放送局

古志村をはじめとする中山間地域、小規模

しゃっている。ほかにも就職が決まってい

の情報発信力と土着の農業文化の三位一体

な集落のある地域がすべて大きな被害を受

なくて、選択肢として農業があり得るか試

というかたちで、いま大型研修も 300 人を

けて、世帯数が半減したとか、3 分の 1 になっ

しにきたという大学生が周りに多いという

受け入れるとか、信じられないスペックに

たというところが多く出ました。

んです。このへんは、今後われわれが訴求

なっています。大学でもカリキュラムとし

行政からの支援もありますが、その中で

していく大きなターゲットとしてあり得る

て取り入れてくれ、研修は舞台ファームの

われわれ民間としても、「特に知識や経験

かもしれないと感じました。

畑、マルシェ、商店街と、いろいろなとこ

はないけれど、根性と体力はあるぞ」とい

新潟にはいろいろな受け入れ先があっ

ろでやっています。若い人たちはわれわれ

うコーディネーターが実際に地域に入っ

て、空き家に入って集落の人たちと 1 カ

6

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


月生活するというパターンもあれば、ア

すると、非常に大学側の受けが良くて、単

マーケットを広げていく活動をやってい

パートを借りて、会社としてやっている

位認定で本事業に取り組んでくれる大学が

る。そう考えれば一つの主体は若者で、も

ワイナリーに通うというパターンもあり

2つ出てきましたし、ゼミ単位で入ってく

う一つは社会人経験のある人です。いま大

ました。その中で一番変化が大きかったの

れる大学も出てきているという状況です。

は、集落の空き家で地域の人たちと一緒に 生活する経験をした人たちで、満足度も 高かったような気がします。農業は仕事 という部分とともに、生活と切り離せな

民間企業が抱えられない 900万人の人を6次産業で 受け入れる体制

い部分があります。そのへんを一体的に、

高橋 インターンシップについては、うち

しかも 1 カ月という期間体験できたこと

も 3500 人という高い目標を持ってやって

は大きかったと思います。人間関係ができ

いますが、感想はどうですか。

る中で、農業が置かれている実態も聞か

針生 東北では、インターンシップは相当

企業を辞めさせられた人たちが、年間 300

されて、初めて状況を知った人たちもい

集客率が上がってきています。地域の企業

万人いるそうです。表に見えなくて、国が

ます。そういう意味ではカルチャーショッ

の皆さんが興味を持ってくれているので、

ある程度助成金を渡してかろうじて雇われ

クも大きかったと思います。

もっと大きく放射的に広がって、より多く

ている人たち、企業内失業者と言われる人

の方に研修してもらえる可能性が何となく

たちが 600 万人で、900 万人は民間企業で

見えています。

は抱えきれない人たちです。

高 橋 4 分 の 1 を 過 ぎ た 段 階 で、 受 け 皿

この人たちが農村、漁村に行くきっかけ

の ス キ ー ム を つ く る の に 時 間 を 食 っ て、

を、こういうプロジェクトの中でつくって

ちょっと後手に回っている部分があるよう

あげれば入っていくことができます。だか

な感じはするけれども。

ら社会人経験を持った人と、やる気のある

養父 いまはモデルがだんだん見えてきて

若者のコラボの中で、村の直売所とか農家

いる。うちの仲間連中は東京でマルシェを

レストラン、農事生産法人と組み合わせて

いま大学生向けのプログラムも調整して

運営していますが、まちなかでマルシェ的

いくと、ここが地域づくりの核になってき

いますが、この話を持っていくと大学側の

なことをやっていくと、そこに若者たちが

ます。そういう意味で農村六起は、日本の

受けが非常にいい。地方の大学は地域が

ボランティアでかかわってきます。その連

農村をこれからどう展開するかということ

あってなんぼというところがある中で、地

中を『田舎で働き隊!』に出していくとい

のモデルになると思います。

域の人たちと一緒に学生を育てたい、活動

うモデルが見え隠れしています。

針生 おっしゃるとおりだと思います。い

させたいという思いはあっても、現場と

うちのプロジェクトでも、地域の 6 次産

ままでは、だれがやってくれるのか、長く

のコーディネートができる人間がいない。

業化のどこの部分をよその人材にやらせる

フォローアップしてくれるのか、というと

そういう意味で、「われわれはこれだけの

かということで、企画とか販売、地元の人

ころがありましたが、一気に行ってしまっ

フィールドを持ち、コーディネートもしま

たちが苦手な営業力、企画力、デザイン力

て、そこから特異性とか地域性をいいかた

す。座学研修も持っています」という話を

の部分をまちの人たちに担ってもらって、

ちで出すということで、教育的にある程度

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.3

7


中越防災安全推進機構 の活動レポート

九州のムラたび応援団 の活動レポート

マルシェ・ジャポン センダイ の活動レポート

(有)原ホームの農業部門での研修。研修生 よりも若い社員たちと農業に取り組む。

九 州 のムラ取 材 15 年 の 経 験 か ら 地 域 の 現状を伝える養父氏 。

開催スタート当初から各方面の取材が殺到。マ ルシェを多くの皆様に認知して頂く事ができた。

十日町 市 で 有 機 農 法 に 取り組む農 家 に住 み込みで研修。移住についても様々なアド バイスをしてくれた。

インターンシップ 研 修では、六次 産業化を 学ぶ地域住民が毎週集う。

仙台市・奥山市長(左)も訪れ、針生と共 に買い物を楽しんだ。宮城県、仙台市もマ ルシェを全面バックアップしている。

育て、つくり上げていく文化をふるさと回

阿部 いま、募集をかけているところです

高橋 直売所は雨後のタケノコ状態だけ

帰支援センターから教えてもらうことがで

が、一つのターゲットとして大きいのは道

ど、いま全国に数万カ所あるのかな。

きました。

の駅です。直売所を備えたある程度大きな

養父 1 万 3000 ぐらいですね。

高橋 ふるさと回帰運動では、銀座の事務

道の駅が県内にいくつかあるんですが、そ

高橋 10 年後はだれも見えないので、そ

所に訪ねてくるのは東北では福島県の人が

こに出している加工グループは趣味の域を

れを担う地域の農産物の加工や品ぞろえを

一番多く、それ以外では沈んでいたのが、

出ないところがたくさんあって、生産者も

一つのテーマにするというのは、なかなか

今回の事業で針生さんに到達し、それが地

高齢化している中で、10 年後にこの直売

すごいし、一つの切り口としておもしろい

域にずっと広がって、なかなかおもしろい

所に商品を出してくれないところが結構

と思うね。

感じになっていますね。

ある。加工グループをもう少し事業化して

阿部 直売所は結構若い人たちが経営者と

いくことが必要で、そうしなければ後継者

してやっているんですが、俺たちも食えなく

もついてこない。農家のおばちゃんたちの

なるというので結構危機感を持っています。

片手間と言ってはいけませんが、インキュ

高橋 そういった意味で、いままでやって

高橋 続いて、もう一つのプログラムであ

ベーションをきっかけに、ビジネスプラン

きたインターンシップの先にインキュベー

るインキュベーション事業ですが、どんな

まで持っていくという枠組みが、いくつか

ションの起業化があるという、パッケージ

感じで進んでいますか。

話として出てきています。

事業との関連で、非常におもしろいケース

インキュベーションをきっかけに ビジネスプランまで行く枠組み

8

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


になりますね。

を出し合って非常にあかぬけたきれいなレ

で、地元のじいちゃん、ばあちゃん世代に

養父 九州でも 400 人のうち 200 人はイン

ストランです。300 万円の支援をいただい

若い連中が入ったことでした。村を活性化

ターンシップで見えてきていますが、当然

て、それをしっかり回しています。

していくのは若者の力がきっかけになりま

インキュベーターまで行きたいという人も

もう一つは、その中に野菜工場的なもの

すが、村を活性化する手法の中で農村六起

出てきています。これがどこまで育つのか

をつくっています。放送局とも連携してい

というプログラムが本当に有効に生きてい

にもよりますが、インターンシップをやっ

るので、夕方の 10 分番組で特集を組んで

ます。だから、e ラーニングの中に成功事例、

ているエリアを見ながら何回かに分けてや

いただいています。それを持ちまわりで放

インキュベーターのモデルをどんどん詰め

りたいと思っています。

送局がやってくれるものですから、お客さ

て、それで勉強できるようにやらせていた

高橋 「ふるさと再生 行動する首長会議」

んがドーンと来て、いまは駐車場に入りき

だければ、より広がるんじゃないかと思い

を結成したのですが、これの最大のポイン

れないぐらいの勢いで、お昼も夕方も連日

ます。

トとして、起業家を 1727 ある市町村に複

大混雑です。

阿部 外の人たちを受け入れ、さらにそこ

数配置して、地域から起業家を育てて活性

養父 九州は中山間地域の生き残りの施策

で事業を興していくということで、事業化

化することを夢見ています。政府に対して

として、ムラの生業プロジェクトというグ

していける部分、あとは人を受け入れてい

も、地域社会雇用創造事業を 3 年、4 年と

リーンツーリズムの拠点のところをコアに

くという、お金と人の流れが中山間地域に

続けることを要望したいと思っています。

して、地域マネジメント法人的な動きを農

できていくことが、これから一番大事だと

針生 私たちは結果的に 4 名合格を出させ

村六起の中でどんどんしていきたい。その

思っています。

ていただいて、その中で連日大盛況という

中でインターンシップとインキュベーター

高橋 地震をきっかけに閉鎖的だった地域

事例を紹介させていただきます。 「六丁目農

をうまく絡めていけば、全国のモデルにな

が外に向かって開かれて、今度はそこに都

園」という名前のレストランです。バイキ

るのではないかと思います。

会から若者たちが入って、新しい中越の文

ング方式ですが、形がふぞろいの野菜を全

今回インキュベーターの最初に合格した

化、産業が花開いていけば最高ですね。

部料理に使い、あとは当然、地産地消の文

人は、そのきっかけが『田舎で働き隊!』

今日はお忙しい中ありがとうございました。

化で、食材に対しての安全・安心というテー マは完璧です。 そこでは、障害者にご協力をいただい ています。知的障害とか身体障害とかい ろいろありますが、実は卓越した能力に オーナーが目をつけたんですね。しっかり 教えると、ピザを焼くことにかけては天才 的な能力を発揮する人もいますし、包丁で 野菜を切り刻むカッテイングが上手な人も いて、時間は若干かかっても、非常におも しろい形にしたものを食材として出すとユ ニークさがあるというように、みんなで力

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.3

9


農村六起 ふるさと回帰運動と 地域の課題

て伝統文化の衰退、伝統的コミュニティ の機能不全などに象徴される農村の疲弊

6次産業化による 起業人材育成の取組み

という現実でした。つまり、都市住民が 「 農 村 六 起( の う そ ん ろ っ き )」 と は、

回帰しようとしているふるさと(農山漁

「6次産業」とは、ご存知のように 1 次、

内閣府の「地域社会雇用創造事業」の実

村)には、仕事や就業機会が乏しく、移

2次、3次産業の結合・融合を図ることに

施団体のひとつとして、認定 NPO 法人ふ

住先としての条件は厳しいものとなって

よって農山漁村に「6次産業」という新し

るさと回帰支援センターが進めている「農

いたのです。そこで、同支援センターは

い産業を創出しよう、という考え方であり、

村の六次産業起業人材育成事業」の略称

2009 年 9 月、農山漁村における起業のた

政府の農業政策の基本に位置付けらていま

であり、愛称です。同支援センターは 10

めのノウハウやスキルを身につける場と

す。現在[農村六起]プロジェクトでは、

年にわたって都市住民のふるさと(農山

機会を提供することを目的に「ふるさと

インターンシップとインキュベーション

漁 村 ) 回 帰 運 動 に 取 り 組 ん で き ま し た。

起業塾全国ネット」を北海道大学観光学

が、地域パートナーおよび事業パートナー

その中で見えてきたのは、高齢化、過疎化、

高等研究センターとともに設立し、人材

との全面的な連携によって全国各地で進め

農家数の減少、耕作放棄地の増大、そし

育成の取り組みをはじめました。

られています。

123 [ 農 村 六 起プ ロジェクトの 3 つ の テ ーマ ]

地域複合 アグリビジネス 地産地消(地産都商) ・ 農村レストラン・

農産加工等の複合化による アグリビジネス創造

ふるさと回帰 産業

次世代 ツーリズム

地域づくり・地域おこし・

新しい余暇行動に対応した

都市住民の農山漁村回帰に

サービスの提供と

必要な空き家改修・

人材の育成

地域資源の活用

[農村六起]プロジェクトは、上記の 3 つのテーマを基に、インターンシッププログラムとインキュベーションプログラムを実施しています。 農業分野にとどまらず、地域資源を活用した地域おこし・地域づくりや、アウトドア全般・体験ツアー、 観光・そのほかサービス業に至るまで、幅広い分野の 6 次産業を対象としています。

10

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


プロジェクトとは? 6次 産業に携わる人材の育成

インターンシッププログラム インターンシッププログラムは、講義研修と実地研修合わせて約 180 時間のカリキュ ラムを行います。6 次産業の基礎から実践的なノウハウまでを幅広く学び、地域におい て 6 次産業に携わることのできる人材の育成を目指します。講義研修は e ラーニング (通 信講座)を採用し、ネットの繋がる PC を使用して一流講師陣による講義が受講できま す。実地研修は、1 日(約 6 時間)〜 1 週間程度の研修日程で全国各地の 6 次産業の 研修地で現場体験を行います。研修後はレポートを提出して研修修了となります。

イ ン ターン シ ップ プ ロ グ ラム の な が れ

1

入門講座

2

※両プログラム共通

3

講義研修

実地研修

応募要項は41ページ

4

修了〜フォロー

[農村六起]ウェブサイトにて新規登録

6 次産業の知識習得とスキルアップ、

6 次産業の現場を体験する実地研修を

研修後はレポートを指定の条件に則っ

後、同ウェブ上で入門講座を受講しま

および実地研修に向けた基礎固めを目

全国各地で実施しています。チャレン

て作成・提出して修了となります。修了

す。設置された論文を読んで選択式の

的として講義研修を受講します。ネッ

ジできる現場は農業分野をはじめ、加

後、就業・就農希望者には紹介等の支援

テストを受け、合格(修了)すると各

トのつながる PC を利用した e ラーニ

工・流通や観光・ツーリズム、地域お

を行います。また「インキュベーション

プログラムへのエントリーが行えます。

ング形式なので、計画的に学べます。

こしの分野まで、多岐にわたります。

プログラム」への参加もオススメです。

6次 産 業 の 起 業 人材の 発 掘 から輩出

インキュベーションプログラム インキュベーションプログラムは、起業を考えている方や地域活性を実現したい方 を経済的・技術的な側面から支援し、起業家を輩出する目的で実施されています。一次・ ニ次選考を通過した後、全国各地で開催される「ビジネスプラン・コンペティション」 に出場し、優秀かつ実現性が高いと評価された起業プラン作成者を「ふるさと起業家」 (起業支援対象者) に認定。200 万円を上限とする起業支援金を提供します。またメンター と呼ばれる専門家にアドバイスや手助けを受けながら起業を目指します。

イン キュベー ション プ ログラムの な が れ

1

入門講座

※両プログラム共通

2

起業プラン応募

3

一次・二次選考

ビジネスプラン・コンペティション

応募要項は41ページ

4

起業へ向けた活動

[農村六起]ウェブサイトにて新規登録

起業プランは、農村の6次産業分野を

起業プランは選定・評価委員会により

「ふるさと起業家」に認定された後は

後、同ウェブ上で入門講座を受講しま

テ ー マ と し、 起 業 す る 具 体 的 な 地 域

一次・二次選考が行われ、選考通過者

起業に向けた活動を開始します。起業

す。設置された論文を読んで選択式の

が想定されたプランを募集対象としま

が「ビジネスプラン・コンペティション」

支援金として上限 200 万円が提供され

テストを受け、合格(修了)すると各

す。ウェブサイトより応募書類をダウ

へ出場。最終審査を受けて「ふるさと

るほか、メンターが中心となって起業

プログラムへのエントリーが行えます。

ンロードして作成後、応募します。

起業家」 (起業支援対象者) が選ばれます。

活動を支援します。

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.3

11


インキュベーションプログラム

ふ る さと 起 業 家 レ ポ ート

ふ るさと 起 業 家 @ 大 山 町

( 鳥 取 県 西 伯 郡 )

中 村 隆 行 さん

12

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


■ 起業家への出発点

それまでは、生鮮魚介類を市場

今 回 の 起 業 の き っ か け は、

へ出荷することを柱としながら、

2010 年の 9 月に開催された農村

少量ではありますが自ら収穫し

六起プロジェクトのビジネスプ

たワカメなどの海藻類を乾燥し

ラン・コンペにて私の事業が支

販売もしてきましたが、この「農

援対象として認定されたことが、

村の六次産業化」というテーマ

非常に大きな契機のひとつとな

に接し、目の前にあった疑問が

りました。

晴れたような気がしました。

Profile

私は 2001 年に、埼玉県より鳥

幸いにも漁業に従事する前は

県田舎暮らし体験(大山町)」に参加。同

取県の大山町に I ターンをして定

飲食業の経験もあり、買い手側

住しました。そこで漁業研修等

の気持ち、条件等も理解できる

を受け、その後独り立ちして漁

ので、その買い手ニーズによっ

師として約 10 年間、漁業に携わっ

て「1 次産品を 2 次加工しそして

てきました。その間、漁業従事

販売すること」をテーマに起業

者としておぼろげながらに思っ

しチャレンジしてみようと決意

ていたことですが、「漁師が水揚

が固まりました。

げした魚介類による収入があま

■ 起業に向けた活動

りにも日々の市場価格に左右さ

起 業 に 向 け た 活 動 と し て は、

れる」ということです。つまり、

2001 年 に 1 年 間「 鳥 取 県 田 舎

豊漁であれば価格が安く取引さ

暮らし体験(大山町)」参加後、

れ、漁獲量が少なければ価格は

2002 年より 3 年間「鳥取県船の

高くても量が少ない為どちらに

担い手事業」にて漁業研修に参

しても漁師としての収入が安定

加し、親方から漁業に関する技

しないということです。

術を習得すると共に、地域漁業

で生育するワカメ、バーズ(も

そのような疑問を抱きながら

者の方々との連携を取れるよう

ず く の 一 種 )、 ア オ サ、 ソ ゾ、

過ごしていた時に「農村の六次

基礎作りをしてきました。

産業化」についての新聞記事を

更に、独立後は漁協の研修会

Sea Vegetables( 海 の 野 菜 シ

目にし、自分ながらに色々調べ

等にも積極的に参加し、商品開

リ ー ズ ) と し て 商 品 化、 販 売

農村六起プロジェクトのことを

発そして販売に関するノウハウ

知りました。

を得ることができました。また、

1974 年生まれ。2001 年から 1 年間「鳥取 年 4 月から約 1 年 「鳥取県船の担い手 事業」にて漁業研 修に参加。05 年 4 月 から 3 年間の漁業研修を経て大山町御崎 漁港にて漁業従事、鳥取県漁連中山支所 地区運営委員、 「平成 23 年度全国豊かな 海つくり鳥取県大会」実行委員を勤める。 10 年 9 月の[第 3 回]農村六起ビジネス プラン・コンペにて支援事業認定を受け、 同年 12 月に株式会社漁師中村を設立。

中村さん起業プラン

Sea Vegetablesによる 御崎漁港活性化 プロジェクト 鳥取県大山町の御崎海岸一帯

ハバ等の海草類を素潜り漁に て 収 穫 し、 乾 燥 後 粉 末 化 し て

す る。 ま た 保 有 船 海 隆 丸 を 利 用 し、 素 潜 り 漁 な ど 実 際 の 漁 業 を 間 近 で、 安 全 に 体 験 出 来 る新たな観光サービスを提供。 産 地 知 名 度 の 向 上、 漁 業 へ の 関心を高め、活性化を図る。

[左]収穫したワカメを奥さんと二人三脚で商品に仕上げる。[右]御崎海岸一帯は豊かな漁場。

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.3

13


妻と二人三脚で会計・税務の勉強、食品加

薦めがあり、また製品販路などについて鳥

12 月に株式会社の設立を実現させること

工に関する勉強も、少しづつではあります

取県物産協会、鳥取県市場開拓室等からも

ができました。

が行ってきました。

製品拡販に対する協力をいただくこととな

■ 今後のビジョン

そのような中、鳥取に I ターンして 8 年

りました。このように、少しづつではあり

今後のビジョンとしては、第一にこれま

目頃より、私が素潜り漁で海産物を収穫し、

ますが起業に向けての基礎つくりをしてき

でお世話になった地域の方々に対しての恩

妻と 2 人で試行錯誤しながらつくり続けて

ました。

返しとして「鳥取の産品」、そして 「鳥取

きた「天日干しワカメ」が東京、大阪圏の

事業採択後は、法人設立、各種届出等の

自体」 を出来る限り広めてゆきたいと思い

大手企業のバイヤーさんから高い評価をい

今までに経験したことのない業務が目白

ます。これは、私自身が埼玉からの I ター

ただけるようになりました。このバイヤー

押しとなりましたが、メンターの方、そ

ン者ですので実感していますが、「鳥取に

さん達からも「起業して更なる販売増」の

して周囲の方の的確な助言により、同年

は本当に良い産品があるのに、そのことが

東京・新橋にある鳥取県のアンテナショップ「食のみやこ鳥取プラザ」の 2 階にあるレストラン「トットリーネ」では、鳥取の食材を使用した料理を提供している。

14

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


首都圏等ではあまり知られていない」とい う事実があるからです。これは私のライフ ワークとして続けてゆきたいと思います。 第二に農村六起のテーマでもある「6 次 産業化」の実現に関して、鳥取の産品を原 料として 2 次加工品をつくり、私の今ま で築いた販路を利用しての販売を目指しま す。具体的には地元で収穫されるワカメ、 アオサ、ヒラメをはじめとする海藻類を乾 燥させ、更に粉末化して「Sea Vegetables」 シリーズとして販売する計画です。これは 今年度中の製品化を目指して現在進行中の プロジェクトです。 第三に一般の方が漁業に触れる機会をつ くりたい、と考えています。食品として魚 介類を見る機会は沢山ありますが、反面実

アンテナショップで奥さんとともにテスト販売を実施。奥さんが育てたお茶は、試飲も行った。

際どのようにして収穫されているのか、ど のような方が収穫しているのか、そしてど

なっていただければと考えています。

に向けて船体改造などを進行しています。

のような場所で収穫されているのかを知っ

また、海での仕事の素晴らしさ、大変さ

最後に、I ターンをして鳥取に来て、私

ていただく機会は少ないと思います。それ

を伝えることで、収穫される魚介類への見

が一番強く感じた「自然を相手にする職業

らのことを知っていただくことで、より

方も変わるのではと思っています。具体的

の素晴らしさ」を、若い世代に伝えてゆく

漁業に関心を持っていただき、出来ること

には所有する「海隆丸」を利用して漁業体

ことを使命として忘れず事業推進してゆこ

ならば一人でも多くの方が漁業の後継者と

験型観光船としてゆく予定です。現在実施

うと思います。

[I n f o r m a t i o n] 会社名:株式会社漁師中村 所在地:鳥取県西伯郡大山町樋口 141 HP:準備中 事業内容: ①大山町産海藻類を利用した 「Sea Vegetables」の製造販売②漁業体 験観光船の運営

新橋駅のすぐ近くにあるアンテナショップでは、中村さんの商品をはじめ、鳥取の豊かな地域資源を知ることができる。

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.2

15


インキュベーションプログラム

ふ る さと 起 業 家 レ ポ ート

ふ る さ と 起 業 家 @ 小 国 地 区(

新 潟 県 長 岡 市 )

小 野 塚 雅 宏 さん

16

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


■ 起業家への出発点

ビジネスになるのでは…」という

起業を考える以前は、広告代理

アイデアが再び浮かび、このプラ

店で制作業務に携わっていまし

ンを携えて同コンペに再挑戦。そ

た。しかし派遣切りにより職を

こでやっと起業家認定を受けるこ

失ってしまうという事態に見舞わ

とができました。

れ、この時から自分自身で何か始

■ 起業に向けた活動

めなければ、という思いが強くな

今後の課題として取り組むの

りました。そんな時、《ふるさと

は、原料生産から商品販売まで一

Profile

起業塾》の『田舎で働き隊!』と

人でこなすのは不可能である為、

を卒業後、人材派遣やイベント運営を行

いうインターン研修を知りまし

今やるべき事、後回しにする事を

た。住まいのある新潟県内の小国

見極め区別して進めることです。

地区も研修先のひとつであったこ

解決した課題のひとつは、収穫

ともあり、参加を決めました。

機が決まったことです。導入メ

研 修 は 2009 年 10 月 か ら 翌 3

リットは低コストかつ少人数で操

月まで行われましたが、この時既

作が可能であることと、収穫をス

に小国で起業することを決めてい

ピーディーに行える点です。最初

たので、研修と同時進行で起業

はハサミ、バリカン、芝刈り機、

の勉強をする日々を送っていまし

ビーバー等を使う事を考たり、水

た。その頃起業プランとして目を

の浮力を利用して収穫できないか

付けたのが、銀杏を粉末加工した

とも考えました。農家、地域振興

製品の事業展開です。研修後も小

局員、作物研究センター、農協な

国に残り、ビジネスプラン・コン

どにも相談に伺いましたが、良い

ペに向けた準備に取り組みまし

答えが見つかりませんでした。理

た。しかし結果は最終選考で落選

想としては収穫した葉が袋に吸い

末・ 粗 挽 き 加 工 に し、 栄 養 価

というものでした。この結果によ

込まれていく、お茶を収穫する為

が高く色鮮やかな特性を活か

り、銀杏での事業化の難しさを痛

の機械のようなもの。しかしコス

感しました。同じ頃、育苗セン

トが高いという点と、お茶専用の

ん な ど の 開 発・ 販 売 を 行 う。

ターでアルバイトをしていたので

為使い勝手がいまいち、という結

こ れ ま で の 稲 作 と 異 な り、 若

すが、取り扱っていた若稲葉(苗)

論でした。しかしお茶の収穫機を

を見て「これを粉末にすることで

製造している業者なら、新しく開

1980 年新潟県新潟市生まれ。専門学校 う会社に勤務。06 年故郷の新潟に帰省し、 広告代理店に勤務。退社後、 《ふるさと起 業塾》の『田舎で働き隊!』研修に参加。 その後[第1回]ビジネスプラン・コンペ に出場するが、最終選考で落選。同年 9 月に行われた[第 5 回]同コンペに再チャ レンジし、起業家認定を受ける。2011 年 9 月に起業(法人化)予定。

小野塚さん起業プラン

若稲葉粉末による、 米どころ小国の再生 新潟県産のブランド米である コ シ ヒ カ リ の 若 稲 の 葉 を、 粉

し た 新 商 品 と し て、 若 稲 粉 末 を 使 っ た お 茶 や ケ ー キ、 う ど

稲葉(苗)を利用することで、 新しい産業としての可能性が 期 待 で き る。 メ リ ッ ト を 活 か した「米どころ小国の若稲葉」 で新しい特産品をつくる。

[左]栽培実験では苗箱約300枚を使って成長記録をとり、収穫量を測った。 [右]支えてくれる仲間。

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.3

17


発してもらえるのではと考え、相談したと

生産量も検討がつかない状態でした。しか

が、病気になりやすく、周りの田んぼに病

ころ、野菜芽刈機という農機具があり、結

し県外ではありますが、実績がある「有限

気が移らないように気を付けなければなり

果的にこれが理想の収穫機でした。

会社おたまや」という受託加工を行ってい

ません。虫も付くようになり、真夏には 3

もう一つは、原料を洗浄、乾燥、粉末化

る会社を見つけることができました。

回水遣りを行います。さらに 11 月に入り

し、パック詰めまでを一手に行える所が見

今一番の問題点が、一定量の原料の調達

寒くなると、湿気で土にカビがつく為、衛

つかったことです。今までは洗浄を小国公

方法です。1 年前の春から栽培実験を繰り

生面に問題があり、成長も悪く全然育たな

民館の調理室、乾燥は隣町の小千谷市、粉

返しており、まずは苗箱を使ってハウスで

いという状態になりました。去年は実験の

末化は小国町の生産組合、パック詰めはま

実験をしました。そこで栽培時期は 5 月

為、ボイラーを入れ、灯油ストーブも 4、5

た違う所…という様に、作業場がバラバラ

から 10 月末で、収穫を終えなければいけ

台稼働させた為、灯油代がかさみました。

で衛生面も悪くなり、時間配分やコスト、

ないことが分かり、また夏場は成長が早い

雪が降るぎりぎりまで実験を行っていたた

インターン研修時代から、起業することを決めていた。当時より近隣地域のケーキ屋などを訪れ、粉末加工した製品の商品展開を模索していた。

18

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


め、ビニールシートが雪の重みですぐ押し つぶされてしまうのにもヒヤヒヤしまし た。実験では土と種の量、土の種類を変え ながら、約 30 パターン、苗箱約 300 枚を使っ て成長記録をとり、収穫量を測りました。 苗箱は土と種で1枚 3kg 程になり、全て手 作業で、種撒きからハウスへの運搬、後片 付けの為に土を捨て、苗箱を洗ったりと一 筋縄にはいきませんでした。 休耕田や畑を利用する方法は雑草が問題 になり、育苗センターでシーズンが終わっ た時に廃棄する苗箱から収穫する方法は、 収穫量が不安定になるなどの問題がありま す。どちらの方法も若稲葉を食べる為に指 定された農薬が無いため、土も種も完全無 農薬で行わなければならず、誰もやった事

初出場のビジネスプラン・コンペでは落選したが、諦めずに再挑戦に臨み、起業家認定を掴んだ。

が無い為、協力者を作ることも難しいです。 そしてもう一つの課題は、売れる商品を

ばレシピ)、ケーキ屋(例えばロールケーキ)、

目標とし、3 年後には、少しでも雇用を増

作ることです。セールスポイントが栄養価

新潟県環境衛生中央研究所(例えば栄養価)

やせるような事業展開ができれば、それが

なのか、色なのか、ブランド力なのか再度

などとの連携も大切にしていきたいです。

頑張った甲斐があったと実感できるのでは

確認し、原料の生産量、人件費などのコスト、

■ 今後のビジョン

ないかと思います。その為には、苦労を

今作れる商品は何があり、業者向けの原料

今はとにかく目の前の問題を日々解決し

楽しめるような精神力が大事だと、最近は

販売を行うのか、日持ちがする商品を作るの

ていく事で、未来が少しずつ見えてくるの

思っています。楽しみながら仕事をした方

か、または原価の安い商品を作るのかなど、

かな、と思って活動しています。小国町は

が結果も絶対ついてくると思っています。

バランスを考えながら商品開発を進めたい

毎年人口が減少し、それにより少しずつ町

とにかく継続すること、諦めないことを目

と思います。そして調理師専門学校(例え

が疲弊しています。まずは自立することを

標にして活動していきたいです。

[I n f o r m a t i o n] 所在地:新潟県長岡市小国町横沢 1571 番地 1 事業内容:若稲葉粉末の栽培から加工、販売までを行う 6 次産業

地元には、同じく起業家認定を受け起業に向けて活動する同志がいる。

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.2

19


インキュベーションプログラム

ふ る さと 起 業 家 レ ポ ート

ふ る さ と 起 業 家 @ 高 千 穂 町(

宮 崎 県 西 臼 杵 郡 )

飯 干 淳 志 さん

■ 起業家への出発点

の深まりが、起業に向けた支援や協力とい

種人材や組織とのネットワークづくりに

若い頃から、自分の生まれ育った農村の

う形につながってきました。

とても役立っています。

衰退とその行く末が気がかりになってい

若い頃から家族とともに北欧やイタリア

■ 起業に向けた活動

ました。工学部系の大学を出た私は、高

などヨーロッパの田舎を旅し、人口数百万

退職後、 「食と旅をサービスする生業」の

度経済成長期に大志を抱き都会に出てい

の人々が支える国家が、農村部や山奥まで

起業に向けて、まず手掛けたのが耕作者の

く同級生とは対照的に、卒業生初となる

豊かに暮らすための社会システムや生業の

いない荒れた農地の再生です。再生農地

町役場就職という進路を選択し、生まれ

構図を創りだしている実情に少なからぬ感

で、野菜や穀類、花やイチゴを栽培し、販

故郷に帰ってきました。当時としてはと

銘を受け、多くのビジネスヒントと勇気を

売や加工、体験農園や農家レストランの食

ても珍しい選択だったと思います。

もらったことも、田舎で起業することへの

材など必要となる資源を確保する取り組み

社会人として田舎に暮らすうちに、田舎

大きな後押しになったと考えます。

です。さらに、旅行者に対する様々なサー

の抱える潜在的課題とその本質も少なから

さらに、役場で様々な地域振興の現場

ビスを充実さるため、ムラにある石蔵など

ず見えてきました。また、早くから都市と

を体験できたことが、起業に向けた思考

の空き家を活用したエコミュージアム展示

の連携や交流をテーマにした活動に地域ぐ

や具体的なビジョン構築さらには事業計

施設の整備やおみやげ商品の制作を手掛け

るみで取り組み、都会に暮らす人々との絆

画への落とし込みに、また、多くの異業

ています。これらの活動と合わせて、昨年

20

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


活動をともにする仕事仲間。

エコミュージアム「ギャラリー客神(まろうど)」。

Profile 宮崎県生まれの 56 歳。若い頃からヨー ロッパなどの農村を旅し多様な暮らし方を 探訪。農村ビジネスを自らの手で創造す

8月に営業許可を取った民宿(宿泊業+飲

■ 今後のビジョン

ることを決意。30 年間勤務した高千穂町

食業)を食事や宿泊の提供とともに、エコ

事業をいち早く経営軌道に乗せることが

2010 年 7 月に[第 1 回]ビジネスプラン・

ミュージアムガイドや体験活動の受入れ拠

当面の課題です。今までに関係を築いてき

点としても運営していく計画です。

たステークホルダーとの連携を強化しなが

起業に向けた組織体制づくりが重要な

ら、経営力をつけていきたいと思います。

テーマであり、現在、高千穂町観光協会

農村の衰退とその行く末が気になり発

と協議会を組織し、その中で、県の雇用

起した農村起業家への道です。継続され

対策事業の支援等も受けながら、都会か

ていく農村社会実現のためには、次の世

らの若者を受け入れるなど雇用面での試

代に受け継がれていく事業環境づくりが

行的な取り組みも含めて独立に向けた準

不可欠です。都会の人にとっても地元の

備を進めています。

人々にとっても、一緒にやりたいと思え

民宿事業のさらなる充実に向けて「どぶ

るような魅力のある経営を心掛けていき

ろく」の醸造を計画中ですが、免許申請に

たいと思います。

必要な構造改革特区の認定(高千穂町)を

農村六起プロジェクトで立ち上がった

2011 年 3 月 25 日に受けることができまし

全国の起業家により展開される事業が各

た。今後、コンサルタントも交えて経営診

地で実を結び、これからの農村産業の新

断を含めた計画の作成を行い、法人設立手

しいモデルとなっていくことは、決して

続きを進める予定です。

夢ではないと思います。

役場を2009 年 3 月に退職し、準備に着手。 コンペに出場し、 「ふるさと起業家」 (起 業支援対象者)の認定を受ける。2011 年 4 月現在、高千穂町にて起業に向けて活 動中。同年 8 月に起業(法人化)予定。

飯干さん起業プラン

食と旅をプロデュース するムラの生業 持続可能なムラづくりをめざ し、 人 口 100 人 余 り の 過 疎 集 落 を モ デ ル に、 ア グ リ ビ ジ ネ スとツーリズムの振興を軸と した多角的スモールビジネス、 コミュニティービジネスを創 出する。遊休農地を活用し、花 卉や果物の施設園芸など直買 &直売ニーズに対応した多品 種多品目を取り扱う農業部門。 エコミュージアムの開設運営

[I n f o r m a t i o n]

部 門。 地 取 れ の 食 材 を 目 玉 と したオーベルジュ型民宿経営。

会社名:秋元ムラの生業研究会 /会長 飯干 淳志 (高千穂町観光協会と協議会を組織して起業準備中) 所在地:宮崎県西臼杵郡高千穂町大字向山 4815-1 HP:http://akimoto-mura.com/ twitter:http://twitter.com/akimotomura Blog:https://gazoo.com/G-Blog/akimoto/index.aspx 事業内容: ①直売所向け多品目農産物の生産 ②花卉と果樹生産 ③農産加工品の製造販売 ④体 験型旅行や企業の CSR 活動の受入れ ⑤エコミュージアムエリアのエコガイドツアー ⑥お土産 品の製造販売 ⑦民宿・農家レストランの経営

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.3

21


インキュベーションプログラム

ふ る さと 起 業 家 レ ポ ート

ふ る さ と 起 業 家 @ 大 山 町(

鳥 取 県 西 伯 郡 )

大 廻 慎 司 さん

■ 起業家への出発点

に対する考え方を変え、自分の技術に竹

の傍ら近くの畑を借り受け、病院スタッフ

起業のきっかけとなったのは、母親の内

炭を利用したヒーリングを加え、母親と

と共に小型竹炭窯を備えた竹炭ヒーリング

臓疾患による痛みが竹炭のヒーリングによ

同じ悩みを持った方々の助けとなればと

実験場を造って竹炭を焼きながらヒーリン

り快癒したことです。理学療法士資格取得

の思いが、起業の第一歩となりました。

グの効果を実験・研究してきました。

後、約 12 年間に渡り神戸市内及び地元の

更に、竹炭の原料となる孟宗竹に関して

実験場開設以来、口コミでたくさんの方

米子市内の病院でリハビリ医療に携わっ

調査・研究していくにつれて、地元での耕

が実験場を訪れるようになりました。また

てきました。私自身も母親の痛みを取るよ

作放棄地及び放棄山林に於ける「竹害」の

竹炭ヒーリングによる効果が確認出来て、

うに努めましたが、従来のリハビリ治療

実態を知り、私の経験を活かし、且つ竹害

来場された方々に大変喜ばれました。現在、

では母親の痛みを取り去ることが出来ま

除去にもなる「竹炭利用のヒーリング」 「竹

私の事業を支援していただいている方々

せんでした。ところが数年前、知人から紹

炭利用の障害者、高齢者向け製品の製造販

はその時来場された方々が主となっていま

介された神戸の竹炭ヒーリング場に母親

売」を柱とする事業展開を計画したことも

す。大山町の廃校への誘致に関してもその

を連れて行ったところ、みるみるうちに痛

起業を現実的に考えた大きな要因です。

中のお一人のお声がけによるものです。

みが取れて母親に笑顔が戻ってきました。

■ 起業に向けた活動

起業活動開始後も、前述の方々はじめ、

竹炭の効能に触れたことが私のリハビリ

2005 年に地元に U ターン後、病院勤務

近隣の方々、更には地元大山町関係者には

22

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


事業の核となる地域資源である孟宗竹。

事業拠点である廃校跡地に竹炭窯を建設。

Profile 1975 年生まれ。98 年に理学療法士資格 取得、社団法人海員神戸腋済会病院に理 学 療法士として勤務。2005 年に同病院

多方面にわたりご支援をいただいていま

県内の障害者就労事業支援センターと連携

退職後に地元へ U ターンし、米子東病院

す。窯工事や竹切り出しのお手伝い、建築

してマット、当てものの竹炭入り内装部分

2010 年に頭蓋仙骨療法プロフェッショナ

用材木などの提供、更には工事現場での炊

を製造していただく予定です。また外装部

き出しまでしていただくなど、毎日が感謝

分においては県内唯一のニット製造企業と

の連続です。おかげさまで 2011 年 1 月 11

連携し、2つのブランドをリリースする予

日には「株式会社大山竹炭工房」が設立さ

定です。さらに今年 1 年をかけて竹炭製造

れ、より一層の励みになると共に、地域の

時の副産物である竹酢液を鳥取県産業振興

方々へも恩返ししなければと頑張っていま

機構食品開発研究所と連携し、ろ過実験、

す。また鳥取大学農学部の大学院でバイオ

蒸留実験等を行い、竹酢液の食品添加物と

テクノロジー研究を専攻していた方を正社

しての転用を進めます。これは竹酢液のも

員として雇用しました。これは今後竹炭を

つ殺菌作用を活かしながら新たな製品を開

農業利用してゆきたいと考えたからです。

発する取り組みです。その他にも農業への

■ 今後のビジョン

竹炭の有効利用研究も実施する予定です。

まず製造した竹炭を利用した高齢者用、

私の地元である大山町は、中山間地域指

障害者用(車いす用)、ペット用のマット

定を受けていて、高齢化が進み地域が衰退

窯で炭化させ、その際に発生す

及び当てものの製品化を図る予定です。こ

しているという現実があります。当事業が

る熱を利用。ヒーリング効果を

の分野においては私の理学療法士としての

地域コミュニティの核つくりとしても役立

ノウハウが活かせると考えています。更に

ち、町が元気になるように願っています。

のリハビリスタッフの管理長として勤務。 ルクラニアルプラクショナーに認定され る。JTMA セラピュティックマニュピレー ション協会理事長就任。8 月に同病院退 職後、 [第 6 回]ビジネスプラン・コンペにて 起業家認定を受ける。11 年 1 月に起業。

大廻さん起業プラン

竹炭利用のヒーリング ツーリズムによる 大山町活性化事業 鳥取県西部の大山町の耕作放棄 地、山林等に密生する孟宗竹を

持つ竹炭風呂、足湯などの憩い の場を廃校につくり、県内外の 希望者に対し体験サービスを提 供する。また消臭や土壌改良な ど高機能な竹炭を主原料とする 製品開発・販売し、地元雇用の

[I n f o r m a t i o n]

生み出すことによって、地域内 外の交流を促進させる。

会社名:株式会社大山竹炭工房 所在地:鳥取県西伯郡大山町東坪 505 HP:準備中 事業内容: ①廃校を利用した竹炭製造 ②製造された竹炭を利用した竹炭効果 のある製品の開発・製造・販売 ③竹 炭窯を利用した竹炭ヒーリングの展開

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.3

23


インターンシッププログラム

実 地 研 修 レ ポ ート

生 産 研 修 |

そ う さ

アル カディアの 里 ( 千 葉 県 匝 瑳 市 ) 2 0 11年 1月2 2 〜2 4 日

[ 農 村 六 起 ]プ ロジェクトの 地 域 パートナー のひとつであ る そうさ

アース カラー の 活 動 拠 点 ・ 千 葉 県 匝 瑳 市 は 、豊 かな自 然 に 囲まれ た 山 里 や 歴 史 的 文化 財 も点 在 する 地 域 資 源 に 恵 まれ た 地 域 で す。 農 業も 盛 ん な 匝 瑳 市 で、今 回 は 蓮 根 の 収 穫 作 業 を はじ めとした様 々な 6 次 産 業 に か かわ る プ ログラムを 研 修 生 達 が 体 験しました 。 まちづくりに 関 わ る 仕 事 に 携 わって い る 野 口 さん は 、地 域 の人 達との 触 れ合 い の 中 で 部 外 者 ならで はのアプ ロー チを、改めて考えるきっか けを得たようで す。

24

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


学生時代に条件不利地や限界集落を多く訪れました。その経験から、放っ ておいては消えてしまう伝統文化を存続させるため、都市と農村のよりよ い関係性を築くためにも、そこに眠っている地域資源や土地に根付いた産 業を活かしていくことが、地域にとって不可欠であると痛感していました。 そんなとき、多くの地方自治体が依って立つ基盤である一次産業を、「六次 産業」として活性化する手法を知りました。そこで、新たな挑戦をしてい る現場を見ることができる、農村六起のインターン研修に参加しました。 ■ 研修に参加してみて

野 口 翠さん

研修では、農作業・林業体験や歴史・文化探訪、里山歩きなどを通して、 今まで知らなかった匝瑳市の魅力をたくさん発見しました。現地に足を運 んだからこそ得られた率直な意見・感想は、市役所の職員さんを交えたワー クショップで発表することができ、また実際に政策づくりをされている方々

環境・まちづくり関連のコンサルティング会社勤務。大学院 で都市工学を学び、持続可能な社会の実現には、都市だけ でなく農山漁村との連携や、伝統から学ぶ姿勢が重要と 感じる。地域が継続的に発展していくために、ビジネスの 視点を取り入れた運営方法を学びたいと考えている。

と意見交換ができたことは貴重な体験でした。 匝瑳市は、都心に勤務する人の週末農業や移住地としての可能性も持っ た地域です。移住の先駆者であり、自然・環境保護を目指すボランティア 団体「アルカディアの里」のオーナー青木氏からは、移住の苦労や自然と 共に暮らすことの醍醐味をうかがえました。さらに、匝瑳市を拠点に地方 移住支援事業を推進している「株式会社アースカラー」さんから、現在進 行中のビジネスを学べたことも大きな収穫でした。こうした経験から、自 分が外部者として地域に関わる意義を見出すことができました。

実 施 プ ログラム □講義研修 ・e ラーニング講義研修

□実地研修 ・オリエンテーション | 1 月 20 日 千葉県匝瑳市と受け入れ先の紹介/研修

■ 今後やってみたいこと

内容の説明、研修生の自己紹介・農業を

仕事柄、一つの地域だけに関わり続けられないもどかしさを感じていま したが、だからこそイベントや一過性の盛り上がりでなく、地域が持続的

テーマとしたワールドカフェ ・研修 1 日目| 1 月 22 日

に発展していける仕組みづくりを考えたいと思います。今後も匝瑳市での

蓮根の収穫と出荷準備

取り組みに学びつつ、外部者としての関わり方を模索していきたいです。

/大原幽学記念館見学 /アルカディアの里に て、オーナー青木氏と 鍋を囲みながら懇談 ・研修 2 日目| 1 月 23 日 林業体験/木積箕づく り保存会見学/キャン プファイヤー ・研修 3 日目| 1 月 24 日 里山歩き/匝瑳市役所 で意見交換・ワーク ショップ

□講義レポート [左上]収穫した蓮根をきれいに洗う。[右上]林業体験では、現場で話を聞きながら昼食をとる。 [左下]豊かな自然あふれる林の中を歩く。[右下]市役所で行われたワークショップ。

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.3

25


インターンシッププログラム

実 地 研 修 レ ポ ート

生 産 研 修 |

熱 田 農 園( 千 葉 県 匝 瑳 市 ) 2 0 11年 2 月2 5日 〜2 7日

インターンシップ プ ログラムの 実 地 研 修 で、受 け入れ 先 として お 世 話 に なって い る 熱 田 農 園 で、今 回 は 味 噌 作りの 体 験 に参 加 させ て いた だきました 。 農 業 に 対 する 真 摯 な 姿 勢 を持 ち 、丁 寧 に作 物 を育 て て い る 熱 田 さん は 味 噌 作りに お いてもそ のスタンス が 現 れて いました 。 自 身 も農 業 を行 って い る 研 修 生の 星 野 さん は 、そん な 熱 田 さん に 関 心 を持 ち 研 修 に参 加したひとり。 4 つ の 視 点 を持 って 研 修 に 臨 みました が 、どの 場 面 で も 学 ぶ 事 柄 が あり、 多くの 収 穫 を得 ら れ た、素 晴らしい3日間となったようで す。

26

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


私は既に農業を始めていましたが、目指す “ 農のカタチ “ がなかなか描き きれずにいました。そんな時、自分と近い方向性を持った農家での研修が あることを知り、良い機会と思い参加を決めました。私は農のポリシーと して、①環境配慮 ②地域密着 ③伝統文化継承 ④精神性重視 の 4 点を大事 にしていますが、これらがどのように実践されているか関心がありました。 ■ 研修に参加してみて ①園主である熱田氏は、水俣病の被害を目の当たりにして以来、まだ「有 機農業」という言葉もなかった 30 数年前より一貫して無農薬、無化学肥料

星 野 雅 範さん

による栽培を続けています。②同氏は「菜っ葉の会」という消費者組織を作っ

1981年群馬県生まれ。大学卒業後に就職するが

ており、会員との交流機会を持っています。ただ同氏曰く、フードマイレー ジを考えると本来はもっと近場であるべきであり、経営上難しいのだとか。

9ヶ月で退職。その後アルバイトや地域文化研究、 実家の農業を模索したりしてきた。 2009年より本格的に農業を志す。

自分としてもその点がネックであり、リヤカーによる近所への引き売りを 行っているのはその点での理想形だと思います。一方で安定した収入を確 保するには提携による宅配が優れており、今後そのバランスを考えたいで す。③納屋の下の地面を掘ってカマドを作る、味噌炊きの仕方が素晴らし かったです。その他暮らしの中で伝統が守られていることに刺激を受けま した。④熱田氏にとって、農業は単にお金を稼ぐための手段ではなく「運動」 である、と何度も話していました。広い意味での「水俣」に対して自分は 何をできるか、という問いに対する答えなのだと思いました。

実 施 プ ログラム □講義研修 ・e ラーニング講義研修

□実地研修 ・研修 1 日目| 2 月 25 日

■ 今後やってみたいこと 栽培技術、暮らし方、販売の仕方、農の哲学、参加者やコーディネーター との交流などすべてが参考になりました。また熱田氏の常に飄々とし、絶え ない笑顔の中にも芯のある振る舞いは、長年信念を持って生きてきた人の貫 禄を感じさせるものでした。生きていく基本である「米と野菜」を直接消費 者に届ける、という小細工のない営農スタイルの魅力を改めて感じました。

畑の見学/人参の草取 り/味噌炊きのための 釜、豆の準備/囲炉裏 での語らい ・研修 2 日目| 2 月 26 日 野菜の収穫/調整/箱 詰め/出荷/味噌炊き /囲炉裏での語らい ・研修 3 日目| 2 月 27 日 味噌の仕込み/まとめの会

□自由課題 □講義レポート

[左上]畑での研修は、収穫・草取りなど。[右上]味噌作りに欠かせない麹の準備。 [左下]収穫した野菜は出荷の準備に入る。[右下]夜はみんなで鍋を囲んで色々な話をする。

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.3

27


インターンシップ プログラム

活動実績

2010.6.1〜 2011.4.1

[ 講義研修 ] 1 集合研修 | 2010 年 7 月 12 日〜 7 月 30 日 / 総評会館 2 e ラーニング講義研修 | 2010 年 8 月 11 日〜 /通信講座開始 4 特別講座 | 2010 年 9 月 4・23 日 /「ふるさと回帰フェア 2010」会場(シティプラザ大阪、早稲田大学) 3 起業支援特別講座 | 2010 年 12 月 4・5・11・12 日 /《ふるさと起業塾》事務局会議室

■ eラーニング 講 義 研 修|基 本 編|カリキュラム 講義

講義テーマ

講師

1

ふるさと起業塾と農村六起

猪瀬 直樹 (東京都副知事) 高橋 公 (認定NPO法人ふるさと回帰支援センター専務理事・事務局長)

2

社会起業家(チェンジメーカー)とは

上田 晶美(ハナマルキャリアコンサルタント代表)

3

「新しいコミュニティ」と社会的企業

4

定常化社会の展望

福士 正博(東京経済大学教授、コミュニティ経済学担当) 広井 良典(千葉大学教授)

5

「分かち合い」による新しい社会の構想

神野 直彦(東京大学名誉教授、地方財政審議会会長)

6

「よりよく生きる」場としてのソーシャルビジネス

菅 正広(元財務省大臣官房参事官、前北海道大学教授)

7

グローバル化の中での日本の農業・農村

堀口 健治(早稲田大学副総長、農業経済学)

8

日本の農業・農村のグランドデザイン

蔦谷 栄一(農林中金総合研究所特別理事)

9

食と景観による地域活性化 ~フランス農業から日本の未来を考える~

小俣 寛((財)北海道地域総合振興機構主任研究員、元フランス農政局勤務)

10

農業・農村6次産業化の政策理念

武本 俊彦(衆議院調査局農林水産調査室主席調査官)

11

地域再生と6次産業化 ~今、なぜ6次産業なのか

末松 広行(農林水産省大臣官房政策課長)

12

6次産業化と地域ブランド

後久 博(コーソー経営研究所所長)

13

<ふるさと回帰産業>の展望と企業化方策

玉田 樹((株)ふるさと回帰総合政策研究所代表取締役)

14

地域複合アグリビジネスの事業創造

川辺 紘一((株)農都共生総合研究所代表取締役会長、北海道大学観光学高等研究センター教授)

15

“次世代ツーリズム”が拓く「グリーンライフ産業」の展望

佐藤 誠(北海道大学観光学高等研究センター教授)

16

社会起業家の先駆けとして

藤田 和芳(大地を守る会会長)

17

社会イノベーションと6次産業化

神成 淳司(慶應義塾大学准教授) 脇坂 真史(NPO法人農家のこせがれネットワーク理事COO) 高橋 公

28

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


※掲 載されている内容 は 、2011年 4月1日時点の 情 報です。

■ eラーニング 講 義 研 修|事例 編|カリキュラム 講義 1 2 3 4 5

講義テーマ

講師

「流通で日本の農業を変える」 〜元公務員デコポン井尻弘の挑戦〜 前編

井尻 弘 (株式会社生産者連合デコポン代表取締役)

「流通で日本の農業を変える」 〜元公務員デコポン井尻弘の挑戦〜 後編

障がい者が主役になれる六次化事業を

渡部 哲也 (株式会社アップルファーム代表取締役)

六次産業による地域活性化

山口 成美 (有限会社シュシュ代表取締役)

〜おおむら夢ファーム シュシュの取組み事例〜

「地域で活動する現場から」インタビュー

研修受入れ先・研修生

〜研修生を受入る上での心得、研修生の想い〜

(道の駅たちばな「夢実館そろり」 ・指宿「アグリスタイル」 ・人吉「ひまわり亭」)

6

都市の若者の受け入れを通じた地域資源活用の可能性

養父 信夫(九州のムラたび応援団 団長) 三浦 哲久(株式会社正助ふるさと村総務部長) 森 久栄(有限会社道の駅たちばな総務企画課長) 山瀧 正久(株式会社海の駅船番所代表)

7

"未開の地"で起業する

菊間 彰(よろず体験事務所 をかしや代表)

8

地域連携、広域連携で取組むツーリズム、町興し事業

木村 宏(なべくら高原・森の家 支配人)

9

村上 律子(おいでんさいグループ代表) 兼頭 一司(株式会社しまの会社代表取締役)

「ヨソモノ」の風を取り込んだ地域づくり

■ 起 業 支 援 特別 講 座|カリキュラム 講義 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

◎起業支援特別講座は全てeラーニング講義研修で受講できます。

学習構成

講義テーマ

講師

<農村六起>ビジネスプランとは? モジュール 1 <農村六起> ビジネスプランの 基本事項

~ビジネスプランの意義・役割と基本構成

テーマの選定と事業企画の構成 ~テーマ選定の手順と事業化仮説の構築

事業企画の評価と検証 ~事業化仮説(ビジネスモデル)の 成立可能性の検証

<農村六起>ビジネスプランの事例研究 ① モジュール 2 <農村六起> ビジネスプランの 事例研究

~「地域複合アグリビジネス」の起業計画事例

<農村六起>ビジネスプランの事例研究 ② ~「ふるさと回帰ビジネス」の起業計画事例

<農村六起>ビジネスプランの事例研究 ③ ~「新しいツーリズムビジネス」の起業計画事例

モジュール 3 マーケティングと 販売計画 モジュール 4 <農村六起> 事業体の設立と開業

川辺 紘一

玉田 樹 川辺 紘一 玉田 樹 木谷 敏夫 ((株)マインドシェア顧問)

マーケティングの基礎 村上 知也

販売の進め方

(地域コンサルティング)

プロモーションの進め方 事業経営と財務についての基礎 収支計画・資金計画の立案 事業体の設立と資金の調達

山口 真導 (税理士法人アカウンタックス 代表取締役・公認会計士・税理士)

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.3

29


[ 実地研修 ] 2010 年 8 月 2 日〜 30 日 / 舞台ファーム(宮城県) 永澤農園(山形県) 安斎果樹園(福島県) マルシェジャポン・センダイ(宮城県) 2010 年 9 月 1 日〜 26 日 / 大滝自然農園(宮城県) 蔵王わくわくファーム(宮城県)

仙台

永澤農園(山形県) 安斎果樹園(福島県) マルシェジャポン・センダイ(宮城県) 2010 年 11 月 20 日〜 12 月 21 日 /池田農園(千葉県) 富永農園(千葉県) 金谷コミュニティセンター(千葉県) ザ・フィッシュ(千葉県) マルシェジャポン(青山)

2010 年 9 月 1 日〜 30 日 / 法末振興組合(新潟県) 2010 年 8 月 25 日〜 9 月 21 日 / 中立山集落(新潟県)

新潟

2010 年 10 月 1 日〜 10 月 30 日 /(株)欧州ぶどう栽培研究所(新潟県) 2010 年 10 月 8 日〜 11 月 8 日 /(有)原ホーム(新潟県) 2010 年 11 月 8 日〜 12 月 2 日 / 白倉茸生産組合(新潟県)

30

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


インターンシップ プログラム

活動実績

2010.6.1〜 2011.4.1

2010 年 12 月 17 日〜 19 日 / 熱田農園(千葉県) 2011 年 1 月 22 日〜 24 日 / アルカディアの里(千葉県) 2011 年 2 月 25 日〜 27 日 / 熱田農園(千葉県)

関東

2011 年 1 月 11 日〜 3 月 26 日(※左記期間のうち 1 〜 7 日間・10 回実施)/ 株式会社 Life Lab 社内および青山マルシェ(東京都) 2011 年 2 月 9 日〜 11 日・3 月 23 〜 26 日/ 横田農場(埼玉県) 2011 年 2 月 10 日〜 12 日・3 月 23 〜 26 日/ 青空市場(東京都・神奈川県)

2010 年 8 月 7 日〜 10 月 18 日 /(有)ひまわり亭(熊本県)

九州

2010 年 10 月 17 日〜 11 月 17 日 / なぎさ水族館・陸奥キャンプ場(山口県) 2010 年 11 月 4 日〜 12 月 4 日 / 牧原 昇(個人農家・鹿児島県) 2010 年 11 月 4 日〜 2011 年 3 月 17 日 / 麦島公民館(熊本県)

直売所

2010 年 10 月 25 日〜 11 月 25 日 / ながさき南部生産組合(長崎県)

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.3

31


インキュベーション プログラム

活動実績

2010.6.1〜 2011.4.1

第 1 回 |東京 2010年7月17日 国立オリンピック記念 青少年総合センター

1

奨学米プロジェクト 笠木 恵介さん

4

起業地

福島県

起業地

佐賀県

3

食と旅をプロデュース するムラの生業 飯干 淳志さん

起業地

宮崎県

伸びるソフトクリーム による地域特産物 活性化プロジェクト 瀬尾 泰弘さん

起業地

鳥取県

未来の社会に貢献できる学生を支援

持続可能なムラづくりをめざし、人口

北栄町で少量生産されるやまいも「ね

す る「 奨 学 金 」 の “ お 金 ” を “ お 米 ”

100人余りの過疎集落をモデルに、ア

ばりっこ」のフリーズドライ粉末をソ

などの農産品・特産品に置き換え、地

グリビジネスとツーリズムの振興を軸

フトクリーム、アイスクリームと混ぜ

域が学生生活を支援する仕組み。同時

とした多角的スモールビジネス、コミュ

ることにより、「もっちり伸びるソフ

に学生が地域に関わるきっかけをつ

ニティービジネスを創出する。遊休農

トクリーム、アイスクリーム」を実現

くり、地域の課題解決に参加する仕組

地を活用し、花卉や果物の施設園芸な

し、都内小規模店舗で販売、又は、協

み を 作 る。 奨 学 米 を 通 し て 学 生 と 農

ど直買&直売ニーズに対応した多品種

力企業店舗で委託販売する。生産者→

家、地域との間に物語を生み、彼らが

多品目を取り扱う農業部門。エコミュー

消費者の一方通行となりがちな農産物

社会に出てからも良き消費者として

ジアムの開設運営部門。地取れの食材

を、学生参画のもと販売することで、

関係を築いていけるモデルを提案。

を目玉としたオーベルジュ型民宿経営。

若い世代へ本地域農産品を周知する。

5

ふるさと薬膳 レストランの開業 金子 弘子さん

2

6

会津在来種たべらんしょ 小川 未明さん

起業地

福島県

7

片句わかめの茎とめかぶ を活用した加工品製造 及び販売 山本 建夫さん

起業地

島根県

埋もれ木家具製造事業・ コミュニティー木工房 事業 砂澤 雄太さん

起業地

北海道

平成 19 年度まで3年間「ふるさと薬膳」

喜多方市山都町内にある遊休農地で

島根県鹿島町の片句わかめは、 「出雲わ

19 年間培った北海道家具製作の経験と

の勉強を行い、20 年度以降は年に数回

会 津 の 在 来 種( 主 に 雑 穀、 豆 類 ) を

かめ」の中でも特に味が良く、比較的

技術を活かし、独自の創作理念に基づ

の模擬レストラン等を開催。さらに、

栽培し、加工・販売するプロジェクト。

高値で販売されている。しかしその茎

いた家具製作・販売事業を起こす。ヤ

伊万里の食材と伊万里焼きの魅力を広

同 地 域 は、 過 疎 化 が 深 刻 で あ り、 農

やめかぶは地元では食されるものの、

チダモ、ハルニレなどの巨木の「埋も

く伝えていくために「ふるさと薬膳レ

産 物 の 販 路 確 保 に 問 題 を持つが、そ

ほとんど販売はされていない。そこで、

れ木」 で “ 縄文家具 ” ブランドを創出し、

ストラン」の開設を計画。その開設に

の一方で同地域への新規就農希望者

片句わかめの茎とめかぶを基に付加価

美瑛町に豊富なシラカバ、カラマツ材

より、雇用創出に繋げるとともに、 「観

は多い。そこで、①会津在来種保存、

値の高い加工品を製造・販売すること

を使った新しいブランド家具を創作す

光と薬膳料理の提供」を組み合わせて

② 遊 休 農 地 の 有 効 利 用、③雇用創出

により地域の活性化につなげたいと考

る。また木工クラフト教室を運営し、

市外からのお客様を呼び込み、観光と

と 新 規 就 農 希 望 者 の 定 住化、を行う

え、鹿島町の有志約 10 名で、食品加

自然資源を有効に活用する姿勢と自ら

地産地消の推進を目指す。

ことにより、地域の活性化を図る。

工施設を整備し、取り組みを開始する。

の手でモノを作るよろこびを伝える。

32

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


※掲 載されている内容 は 、2011年 4月1日時点の 情 報です。

第 2 回 |仙台 2010年8月29日 仙台放送 上杉ホール

8

9

観光農園 ふれっしゅふぁ~む ~人と人との繋がり~ 大泉 功太郎・ 俊介さん

起業地

宮城県

10

手作りにこだわった 有機野菜バイキング レストラン 渡部 哲也さん

起業地

宮城県

福島フルーツBOX プロジェクト 安斎 さと子さん

起業地

福島県

宮城県岩沼市寺島地区内において、ミ

バイキングスタイルの手作りにこだ

地域の農家の女性たちが利用できる

ネラル栽培・無農薬栽培を主体に生産

わった有機野菜レストランを新規開

加 工 施 設 を 設 置。 り ん ご、 さ く ら ん

法人、 農家、小学校、福祉施設と連携し、

設する。開設にあたり、障がい者をス

ぼ、もも、柿、ブルーベリー、プルー

食の安全、安心、食育、福祉を融合させ

タッフに雇用し、食材供給を農家と連

ン等の規格外やキズものの果物によ

た観光農園として起業する。直営売店、

携を取りながら行う。農家との直接取

る ジ ャ ム や お 菓 子、 ド レ ッ シ ン グ

各種教室、栽培方法展示、栽培実演、

引で、食材を安価に安定的に仕入れる

等の加工品の開発や、地域住民や観

ワイルドフラワー、栽培体験、収穫イ

ことができ、規格外やキズものなど、

光客等に対する加工体験等を実施す

ベントなど開催。また小学校総合学習

見た目は悪いが中身は本物の食材は

る。こうした事業を通じて地域の歴

プログラム、及び福祉施設のコミュニ

十分に活用し、食材の無駄を無くし、

史や文化を伝えるとともに、経済的

ケーション施設として受け入れる。

農家の収入アップに貢献する。

な効果と農村の活性化を目指す。

第 3 回 |大阪 2010年9月4日 11

シティプラザ大阪

農山漁村の農作物 及び魚介類を活用した 石釜ピザ屋 福倉 光幸さん

起業地

千葉県

(ふるさと回帰フェア)

12

13

Sea Vegetablesによる 御崎漁港活性化 プロジェクト 中村 隆行さん

起業地

鳥取県

持続可能な地域づくり 支援・コンサルティング 事業 代田 京子さん

起業地

広島県

農山漁村の資源を活用し地域資源で

鳥取県大山町の御崎海岸一帯で生育す

広島県世羅地域に広がる昔ながらの里

ある房州石を活用した石窯プロジェ

るワカメ、バーズ(もずくの一種)、ア

山を拠点に「足下からできることを実

クト。地域 で 収 穫 す ら さ れ てい な い

オサ、ソゾ、ハバ等の海草類を素潜り

践する」という基本スタンスから、コ

野 菜・ 果 物、 価 格 の つ か な い 魚 介 類

漁にて収穫し、乾燥後粉末化して Sea

ンサルティング業務(編集デザイン/

を仕入れピザやアラカルト商品とし

Vegetables(海の野菜シリーズ)とし

HP 作成/オンライン販売システム構

て一般消 費 者 に 提 供 す る。 農山 漁 村

て商品化、販売する。また保有船海隆

築/販路拡大支援/ファンドレイジン

の農家、漁 師 と 連 携 し 石 窯 ピザ を 商

丸を利用し、素潜り漁など実際の漁業

グ/事務局代行/各種スキルアップ講

品・サービ ス 化 す る こ と で 地域 に お

を間近で、安全に体験出来る新たな観

座等)を行う。また自らも「持続可能

金が回る 仕 組 み を 構 築 し、 持続 可 能

光サービスを提供。産地知名度の向上、

な暮らし及び地域づくりの実践 」を行

な事業を運営することを目的とする。

漁業への関心を高め、活性化を図る。

い、地元住民との信頼関係を醸成する。

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.3

33


第 4 回 |福岡 2010年9月11日

14

A.R.K ビル

16

地域の食材を活かした ふる里の味と 憩いの場の提供

先島から日本をかえる ~サキシマニア 崎枝 百合香さん

15

起業地

後藤 政子さん

沖縄県

起業地

大分県

農畜業の振興と 草原保全を目指す阿蘇 グリーンライフ事業 山内 康二 さん

起業地

熊本県

沖縄県宮古島以南の日本最南端、最西

竹田市宮城地区にある豊富な農産物や

現在、「阿蘇あか牛」の経産牛肉は挽

端の行政区を含む島嶼地区で、 「何もな

山菜を活かし、四季折々の旬な味の提

肉用として低価格で取引されている。

い」という価値がある離島ならではの

供、また久住山の麓、山野の恵みであ

休止中の農事組合法人を復活させ、地

暮らしや文化を伝えたい。そのために

る山野草を加工した山野草茶、民間薬

元の牧野組合や畜産農家と阿蘇市温泉

今までの民泊とは異なる、離島に特化

の商品開発を行う。また、昔から伝わ

旅館組合のホテル、旅館などと協力し、

したアンテナショップのオープンや、

る田舎の「母の味」を今のお母さんた

低価格で健康志向の草原牛肉として、

修学旅行生の受け入れをはじめとす

ちに伝える食育事業なども展開する。

地産地消の特産商品開発を行い、熊本

る、若者がいずれまた戻ってきたくな

一方、ダムの近くにある温泉館を活か

特産の「阿蘇あか牛」として、畜産振

るような、未来を見据えた人と人との

したヘルスツーリズムなど、食の提供

興を図る。合わせて、放牧畜産を活か

結びつきを図る研修旅行などを行う。

と旅の提案ができる拠点を目指す。

した、阿蘇の草原保全を目指す。

第 5 回 |東京 2010年9月23日 17

18

水俣ガンガゼ活用 プロジェクト

世界に通用する 柑橘産業と6次化

竹下 明伸さん

起業地

熊本県

田島 彰一さん

早稲田大学 (ふるさと回帰フェア)

起業地

佐賀県

19

若稲葉粉末による、 米どころ小国の再生 小野塚 雅宏さん

起業地

新潟県

1932 ~ 1968 年、チッソによってメチ

佐賀県藤津郡太良町で、世界に通用す

新潟県産のブランド米であるコシヒカ

ル水銀を含む廃水により水質汚染され

る柑橘を目指して、今まで培ってきた

リの若稲の葉を、粉末・粗挽き加工に

た長崎の水俣。現在は安全宣言が出さ

スペインAVASAとの交流で、新品

し、栄養価が高く色鮮やかな特性を活

れ漁業が再開されているが、湾内の魚

種の導入を図る。また、美味しく絞れ

かした新商品として、若稲粉末を使っ

は激減し水揚げ量は全盛期の 1/3 にま

るジューサーの開発・導入や、他種ブ

たお茶やケーキ、うどんなどの開発・

で落ち込んだ。 浅瀬の磯焼けの原因と

レンドでの高級化、ボトルのメニュー

販売を行う。これまでの稲作と異なり、

される異常発生した「ガンガゼ」を駆

化、冷凍ジュースや、絞ったままの味

若稲葉(苗)を利用することで、新し

除・有効活用(食品や肥料・飼料など)

を保つ追熟庫、保存庫などの開発を行

い産業としての可能性が期待できる。

することで、水俣湾の再生と漁業の復

う。海外の柑橘農家と協力しながら、

メリットを活かした「米どころ小国の

興を図り、水俣全体の活性化を目指す。

柑橘産業の発展に取り組む。

若稲葉」で新しい特産品をつくる。

34

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


インキュベーション プログラム

活動実績

2010.6.1〜 2011.4.1

第 6 回 |札幌 2010年10月10日 20

ナチュラル エデュケーション ~エディの丘~ 多田 尚功さん

21

札幌市立大学 サテライトキャンパス

起業地

アジアに発信! 北海道の食文化観光 コーディネーター 森田 武志さん

千葉県

22

起業地

北海道

チコリ・ファクトリー 北海道 in Biei 本郷 歩さん

起業地

北海道

千葉県の豊かな田畑や川、山などの地

「食」による人と人とのコミュニケー

栄養価が高い北海道野菜「チコリ」を

域資源そのものを教科書として活用

ションの力に注目し、伝統的な日本の

ブランド野菜として育て上げ、先進技

し、理科を教えることに特化した教育

食文化や北海道の食材を、国外からの

術を導入し自社栽培による青果物生産

事業を行う。また、生活の知恵や地域

観光客や長期滞在者に対して紹介す

のトップメーカーを目指す。農閑期の

の伝統・文化といった無形資源も教育

る「食文化観光」を実施。地域の食を

冬季も栽培可能な為、委託栽培を拡大

教材としてとらえ、地元の人々が「名

深く知ってもらう機会をつくり、北海

することで、地域の農業を活性化させ

人・師匠」として、体験の指導をする

道の食文化を広くアジアに発信してい

る。また、栽培キットを開発し、販売

ことで、持続可能なビジネスを目指し、

く。観光客が、より深く地域やそこに

と店舗運営をコンサルティング。「店

子どもたちの興味・関心を最大限に引

住む人々と関わり合えるような新しい

産店消」という新しいコンセプトを掲

き出す教育の場をつくる。

観光の形をナビゲートする。

げ、外食産業サポートも行う。

第 7 回 |新潟 23

竹炭利用のヒーリング ツーリズムによる 大山町活性化事業 大廻 慎司さん

2011年1月30日

24

起業地

鳥取県

25

長岡商工会議所

美瑛町「旧美田小学校」 利活用計画 石井 秀一さん

起業地

北海道

竹パウダーからはじまる、 循環型の島づくり 西畑 良俊さん

起業地

新潟県

鳥取県西部の大山町の耕作放棄地、山

北海道美瑛町にて廃校となった「旧美

竹 を 粉 砕 さ せ た「 乳 酸 発 酵・ 竹 パ ウ

林等に密生する孟宗竹を窯で炭化さ

田小学校」を利活用し、所在地である

ダー」による肥料の製造・販売を行う。

せ、その際に発生する熱を利用。ヒー

美田地区(美田・五稜・北瑛)を中心

耕作放棄地で、竹パウダーと生ごみ

リング効果を持つ竹炭風呂、足湯など

に地域興しを推進する。空き室を利用

を土ごと発酵させ、無農薬無化学肥

の憩いの場を廃校につくり、県内外の

した賃貸アトリエや、地域資源「から

料 の 野 菜 を 作 り、 民 宿 で 提 供、 ウ ェ

希望者に対し体験サービスを提供す

まつ材」を利用したツーリズム、地域

ブ上で販売する。発酵技術を島のお

る。また消臭や土壌改良など高機能な

住民を対象とした木育教室の企画運営、

年寄りへ指導することで、雇用の促

竹 炭 を 主 原 料 と す る 製 品 を 開 発・ 販

美瑛町の生産物を販売する Web サイ

進、地域交流を図る。また、竹パウダー

売し、地元雇用を生み出すことによっ

トの立ち上げなど、校舎および敷地全

を 活 用 し た「 糠 床 」 や「 生 ゴ ミ リ サ

て、地域内外の交流を促進させる。

体を活かしたプログラムを提供する。

イクルキット」の製造・販売も行う。

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.3

35


第 8 回 |長久手 2011年1月15日 26

27

小国和紙、地域折り紙 プロジェクト 池山 崇宏さん

起業地

新潟県

28

アルパカを活用した 山古志地域における ソーシャルビジネス創出事業 青木 勝さん

起業地

新潟県

愛知県長久手町

栃尾に灯す一筋のアカリ ~株式会社忠左エ門 「刈屋さんちの安心野菜」 刈屋 高志・ 将志さん

福祉の家

起業地

新潟県

国の選択記録無形文化財である小国和

アルパカを活用した山古志地域におけ

新潟県長岡市栃尾地域で一次産業を

紙を、折りの技法により加工した小物

るソーシャルビジネスを創出する事業。

軸とした六次産業を立ち上げる。祖父

や土産物を開発・製造し、販売までを

株式会社山古志アルパカ村を立ち上げ

が 所 有 す る 田 畑 60a と、 周 辺 の 耕 作

行う。小国和紙という素材の良さと、

ることにより山古志地域に「人とカネ」

放棄されている土地を借り受け、少量

折りの技法による新規性のある形態を

の流れを作り出し、山古志地域全体の

多品種の農薬不使用野菜を栽培する。

組み合わせた、魅力ある新潟の土産品

活性化を図る。具体的には、①アルパ

併せて 5ha の所有林も整備し、山野

を世に送り出そうとするもの。現在開

カ生体ビジネス、②アルパカ毛製品ビ

草を収穫できるようにする。また素材

発中の製品は、①小物・袋物・文房具、

ジネスの2つの事業展開を行うことで

の良さを活かした加工食品を地元栃

②木炭と和紙の消臭製品、③新潟の特

事業利益を確保し、若者を雇用して更

尾の酒造会社、油揚げ屋などと共同開

産物を小国和紙パッケージで包む製品。

にアルパカビジネスを推進する。

発するとともに、販路を開拓する。

第 9 回 |東京 29

起こそう、米粉ブーム! 〜長久手町発!米粉料理 の特製移動販売車 山川 洋明さん

2011年2月5日

30

起業地

愛知県

31

総評会館

長久手の米粉を使った DELIドーナッツ 高田 美枝さん

起業地

愛知県

馬で地域活性! 「つく馬」プロジェクト ば

白川 洋輔さん

起業地

茨城県

米粉レシピコンテスト入賞作品から選

ドーナツというと『おやつ』というイ

つくばエクスプレス(TX)の「万博記

定しアレンジ。移動販売車の横面には

メージだが、食事としても食べられる

念公園駅」から「柳橋地区」まで、馬

「長久手町発!」等を目立つように描

今までにない、甘くない米粉ドーナツ

車を運行し、開発が進んだ都市部と、

く。前面と後面には、協賛する地元企

を展開する。例えばハムとコーンを生

手付かずの田園風景が広がる柳橋地区

業や団体のロゴを記載。実際に走り回

地に混ぜ込んだドーナツや、地元の野

とを結ぶ。柳橋地区の「農村景観」を

ることで、宣伝効果も発揮。地元の飲

菜を使った栄養価の高いドーナツ、健

新たな観光資源としてとらえ、馬車、

食店の協力も得て、同じ米粉料理を食

康や美容に効果的な食べるサプリメ

引馬、農耕馬のレンタルなど、馬を中

べられるようにし、通信販売も開始す

ントドーナツ、美容効果のあるコラー

心とした事業を段階的かつ持続的に展

る。5年後までに米粉ブームを生み出

ゲンなどを生地に混ぜ込んだドーナ

開し、地元の直売所や農家、企業や行

し、長久手町を発祥の地とする。

ツなどを開発する。

政を巻き込みながら地域活性を図る。

36

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


インキュベーション プログラム

32

33

地域の産物を活用した 6次産業拠点の立ち上げ 吉田 スエカさん

起業地

熊本県

34

大自然豊かな竹田市、地域 資源をブランド化する 工藤 英幸さん

活動実績

起業地

大分県

35

訪問式直売所~ニーズの 獲得から農村活性 鵜澤 佳史さん

2010.6.1〜 2011.4.1

起業地

千葉県

お豆の里 (大豆自給100%のまち) づくり めぐみ

五辻 活さん

起業地

山梨県

地域づくり活動の拠点となる法人を起

地域ブランドづくりを推進してきた竹

販路に困る生産者と、新鮮で安心・安

大豆を基に、次の商品サービスを展開

業。地域づくりを主眼とした事業を展

田 市 の 事 業 を 継 承 し、 さ ら な る 発 展

全、美味しい農産物を欲する都市部の

する。①手作りみそ、手作りトーフ等

開しつづける会社を目指し、有償ボラ

型を目指すコミュニティビジネスであ

消費者とを、訪問式の移動販売で結ぶ。

の半加工品、大豆飲料や豆乳ソフトク

ンティアとして活動した会員に利益を

る。インターネットにて地域活性化シ

販売は就農希望者が行う事で、顧客と

リームやスイーツなど、「お豆の里」

配分するなど、地域の協力を得ながら

ステム「竹田市場」を立ち上げ、そこ

の密接なコミュニケーションを通して

ブランドの新商品を開発。②農家レス

地域に根ざした事業を行う。事業内容

で会員を募り、農産加工品の販売や農

ファンを創出すると共に、就農前に消

トランにおいて、大豆の栄養を生かし

は、①野菜、柑橘の共同生産と販売②

家民泊の宿泊予約の機能を設ける。ま

費者ニーズを汲み取り、就農後の生産

た健康料理やドリンク等を提供するほ

柑橘果実や皮を利用した加工商品の開

た、ここを基点に地元自営業者のイン

に活かす。また就農後も生産者に消費

か、大豆等の地元食材を使ったイタリ

発と販売③都市住民を顧客とした宅配

ターネットでの情報発信、販売促進に

者ニーズのフィードバックを行うこと

アン、薬膳、伝統料理などの料理教室

便の実施④直売所の開設など。

関する橋渡し、受託開発を行う。

により、ニーズに即した生産を目指す。

の開催等、食育活動を行う。

第 10 回 |福井 2011年2月19日 若狭町歴史文化館

36

37

ふくいで住む働くを サポートふるさとワン ストップサービス事業 北山 大志郎さん

起業地

福井県

イノシシ肉の有効活用法 の確立と商品化 夏野 宜秀さん

起業地

福井県

団塊世代が退職を迎え、「ふるさと回

有害鳥獣としてのイノシシの肉の有

帰 者 」 が 年 々 増 加 す る 中、 そのニー

効な活用方法を見つけ出し、商品と

ズに応えられる田舎側のソフト面の

して売れるようにすることを目指

開 発 が 著 し く 遅 れ て い る。 併せて田

す。 具 体 的 に は、 牡 丹 鍋 や 焼 き 肉 用

舎は過疎化に拍車が掛かり商店街も

にとどまらず、猟師仲間での多様な

寂 れ た 状 態 が 続 き、 空 き 家 や休耕地

調理法を参考に、惣菜やレトルト食

が 年 々 増 加 し て い る。 こ う した田舎

品 へ 加 工、 販 売 す る。 こ れ に よ り、

の 問 題 を 解 決 す る た め に、 ふるさと

大半が廃棄されているイノシシ肉の

ワ ン ス ト ッ プ 相 談 所 を 設 け、こうし

地域資源としての活用が可能にな

た空き家や休耕地等の再利用を促す。

り、雇用の機会を作ることもできる。

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.3

37


第 11 回 |福島 2011年2月26日 福島テレビ 会議室

38

39

65歳以上のシニア世代がい きいき農的デイサービス… みんなで作るわくわく農業 寺山 佐智子さん

起業地

福島県

40

くだもの大国 地域活性プロジェクト 阿部 幹郎さん

起業地

福島県

女性のための喜多方 グリーン・ツーリズム 「かったんこっとん」事業 齋藤 百合子さん

起業地

福島県

市内でのケアマネージャーや訪問看

農家と連携しつつ、地域で生産される

会津起原の綿と喜多方の農資源をモ

護師の経験を活かして、65 歳以上の

桃やサクランボ、キュウリ、なす、ト

チーフに、農商工官学が連携した 6 次

方 々 に、 農 業 の ノ ウ ハ ウ を 教 え な が

マト、ブルーベリーをはじめとした果

産業を創出する。まず農家での年間の

ら、健康管理と農業という生きがいを

物や野菜を加工するために、加工施設

綿づくり体験と農泊をセットにし、女

提供できる “ 農縁 ” を作る。利用者の

を設置する。手作りの特性を生かし、

性を対象としたグリーン・ツーリズム

健康面、生活面を把握した上で、その

アレルギー体質を持つ方や老人向け

事業を行う。その滞在中に、これまで

方にあった農ライフプランを作り、実

にもこまやかな対応ができる商品を

クローズアップされなかった喜多方の

践。お年寄りが元気になると、市の医

生産し一般消費者及び地元飲食店等

自然、工芸、技、食を体験メニューに

療保険給付や介護保険給付が減少し、

に加工品を販売する。また、加工施設

組み入れ、新たな喜多方の魅力を知っ

国の財政を助けることにもつながる。

を開放し加工教室を開催する。

てもらい継続的な誘客につなげる。

第 12 回 |札幌 2011年3月13日 41

札幌市立大学

人活ネットワーク型 グリーン・ツーリズムの 展開 山本 智さん

起業地

秋田県

サテライトキャンパス

42

43

耕作放棄地を活用した 農村六次産業化による ~当別グリーンライフ事業~ 五木田 慎作さん

起業地

北海道

機械化応援部隊! 新規就農者や愛好家を 農機具レンタルで援助 鈴木 英世さん

起業地

北海道

移 住 者 と 地 域 住 民 と が、 役 割 を 分 担

コンセプトは、広大な遊休農地と山林

次のような事業を行う。 ①近年増加

し、協働し、また、地域の NPO や協

を利活用した農業の 6 次産業化に営

する菜園愛好者に対して、農機具レン

議 会 等 と も 連 携 し て、 そ れ ぞ れ の 人

農希望者及び農業体験希望者の受け

タルリースにより、高価な農機具を購

材が持つ特性・能力を活かしながら、

入 れ、 更 に は、 農 業 に ツ ー リ ズ ム を

入せずに使えるようなシステムサービ

ネットワーク型グリーン・ツーリズム

加味したグリーンライフ事業の実現。

スを提供 ②新規就農者や労力不足に

を 展 開。 当 面、 農 園 リ ス ト ラ ン テ と

まずは、①農場所有者と連携して耕作

悩む高齢化した農家、農業生産法人等

ハーブ教室、そして民宿と農業体験の

放棄地の一部を再生し、②ホワイト六

にトラクターなどの農機具によるオペ

コラボレーションなどを行う。「食」・

片ニンニクを無農薬で作付けを行い、

レーターサービスを提供 ③農機具(ト

「遊 / 学」・「泊」 が、複数の人や拠点

③収穫後、加工し販売を行い当別地域

ラクター、耕運機、管理機など)の運

に分担・分散されることが特徴。

のブランド野菜として確立させる。

転、管理、整備技術の講習実施など。

38

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


インキュベーション プログラム

活動実績

2010.6.1〜 2011.4.1

第 13 回 |福岡 44

45

アグリファッションを 通じた女性のための 農業革命 井川 公子さん

起業地

北海道

農業関連事業の総合化を めざす次世代農場 ~八垂別ファーム~ 二階堂 哲也さん

2011年3月19日

46

起業地

北海道

岡田 文さん

起業地

北海道

農作業着の機能性とファッション性を

生産・加工・流通・観光・環境保全・

六次化のみならず、サービス業として

向上させ、農作業の暗いイメージの「3

人材教育等の機能を併せ持つ6次産

の農業の確立を目指す。まず、都市部

K ( きつい、汚い、カッコ悪い)」を、

業化を具現した農場を経営する。主な

住民を対象に菜園教室を開設し “ 無施

明るいイメージの「3K(かわいい、

事業内容は次の通り。①山菜、低木小

肥無農薬 ” による家庭菜園を指導する。

きれい、カッコいい)」へ転換し、農

果樹栽培を中心にした農産物生産、②

次に、教室をチェーン展開し、新規就

作業従事者(特に女性)の意識改革を

クッキングトマトの栽培と加工品製

農を目指す都市部住民を対象にフラン

図る。農作業が効率よくこなせ、かつ

造、③大学、地域住民と協働し、札幌

チャイズ事業を展開する。その他に、

農作業が楽しくなれば、農家の女性が

市南区における遊休農地の再生活用と

無施肥無農薬栽培ブランド野菜の販売

活き活きと輝く。その結果、家庭と地

環境保護を目指した里山づくり、共同

支援事業として、栽培・収穫された野

域が明るく元気になることを目指す。

農場経営、人材育成事業の展開など。

菜を “ 軒先店舗 ” 等で共同販売する。

47

48

ホンモロコ養殖による 中山間地の 再生プロジェクト 平岡 浩晃さん

起業地

熊本県

49

まき枯らし間伐材を 活用した食器・家具 松本 仁美さん

起業地

熊本県

電気ビル

無肥料無農薬菜園教室に よる都市型農的ライフの 推進事業

50

炭鉱の島から 珊瑚ツーリズムへの挑戦 小村 秀蔵さん

起業地

長崎県

5 islands enterprise 森 淳也さん

起業地

長崎県

琵琶湖原産の淡水魚「ホンモロコ」の

国産材の価格低迷、現場作業員の高齢

長崎市高島町の海水浴場内にある珊瑚

長崎県の新上五島町に存在する名産

養殖、加工・販売事業の展開。日常管

化、後継者不足など、林業の衰退が深

礁とそこに生息する熱帯魚を観光資源

品、新たに商品開発している商品を、

理が容易で軽労働なので、高齢者・障

刻化し、それに伴い要間伐の針葉樹林

として活用。シュノーケリングを事業

島内消費に留めず、積極的に外部に紹

害者雇用も十二分に可能。自然の中で

が激増。苦肉の策として切り捨て間伐

の中核にして事業展開を計る。全日本

介する総合商社的な役割を担う事業を

生物相手に作業を行い、加工・販売に

が主流となっている。そこで、チェー

潜水連盟(JUDF)のインストラクター

展開。離島というハンデを解消し、販

も携わることにより、ニートと呼ばれ

ンソーなどの要免許機械を使わずに軽

協力の下、シュノーケリングライセン

路を拡大するため各製造者の商品を請

る若者の社会復帰の場としての役割も

労力で行える「まき枯らし間伐」によ

スを発行。リピーター育成に努め、珊

け負い、商品の売り込みや問い合わせ

担う。また耕作放棄地を利用して養殖

る搬出間伐を促進。まき枯らし間伐材

瑚の保全と事業の拡大につなげる。ま

対応などの第一窓口として活動。そこ

を行い、遊休農地の解消及び活用、地

の需要・販路を確保するため、家具・

た高島の特産物(平目、ギンタカハマ

で得た情報を製造者にフィードバック

下水涵養にも寄与することを目指す。

食器の製造及び販売を行う。

貝、トマトなど)で商品開発も行う。

し、懸け橋的な役割を果たしていく。

《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業] | 農六レポート vol.3

39


[ プ ロジェクト実 施 体 制 ] ※ NPOふるさと回帰支援センターの会員組織

認定 NPO 法人ふるさと回帰支援センター /《ふるさと起業塾》とともに、[農村六起]プロジェクトを実施する団体に「事業パートナー」 「地域パートナー」 「支援組織」 「起業支援・受け入れ団体組織」などがあります。これらの団体・組織が連携してプロジェクトを進めています。

実 施・運 営 団 体

認定NPO法人ふるさと回帰支援センター

《ふるさと起業塾》

100万人のふるさと回帰・循環運動推進・支援センター ふるさと回帰支援センターは、農林漁業研修などの支援活動を通じて、都会

《ふるさと起業塾》は、生活の軸足を都市から農村に移し、豊かな自然

から自然豊かな農山漁村へ移り住むことを望む方々のお手伝いをします。また、

環境の中で地域社会の一員として生きてゆこうとする、U ターン・I ター

全国各自治体で進めている定住への支援事業や空き家・遊休地情報をつなぎ、

ンを希望する都市住民を応援します。「田舎で、農村で、ふるさとで生き

「ふるさと回帰・循環運動」を進めている団体・グループ間をつなぐネットワー

たい。でも、仕事はどうすれば?」 の悩みを解消すべく、地域のさまざま

ク作りを行っています。支援活動を通じて、都市と地方の交流・共生による地

な資源を利用し、地域に生きる人々と緊密に連携・協力し、地域に根ざし

域の活性化、地場産業の育成や起業などによる新たな雇用の創出、環境・国土

た生 業を起こしてゆくために必要な知識・スキル・ネットワークなどを身

の保全などさまざまな効果を社会にもたらしていきたいと考えます。

につける拠点づくりを行っています。

なりわい

地域パートナー 北海道連携パートナー glsapporo.net/

せんだいファミリアマルシェ実行委員会 www.marche-japon.org/area/0401/

TEL : 080-4041-5123 E-mail : gongcloud@glsapporo.net

マルシェジャポン 全国事務局 TEL : 0120-63-9672 受付時間:平日10:00~18:00(土日祝除く)

社団法人中越防災安全推進機構

九州のムラたび応援団

c-bosai-anzen-kikou.jp/

www.muratabi.jp/

〒940-0082 新潟県長岡市千歳1-3-85 ながおか市民防災センター2F TEL : 0258-36-8141

株式会社マインドシェア 〒812-0013 福岡県福岡市博多区博多駅東2-5-19-6F TEL : 092-418-3105

40

農六レポート vol.3 | 《ふるさと起業塾》農村六起プロジェクト [内閣府 地域社会雇用創造事業]


応募要項 インターンシッププログラム ■ 資格 年齢、性別不問 ■ 活動支援金 講義研修と実地研修(全体で約 180 時間)を受講した研修生のうち、年収 200 万円以下等の条件 ※ を充たす方には、活動支援金として研修修了後に上限 10 万円が提供されます。 ※活動支援金の対象者は以下の条件を満たす者とする。①研修を受講し、修了する見込みがある者 ②申し込み時点で年収 見込みが 200 万円以下、かつ世帯全体の年収見込みが 300 万円以下 ③世帯全体で保有する金融資産が 800 万円以下 ④現 在住んでいる所以外に土地・建物を所有していない ⑤過去 3 年間に不正行為により、国の給付金等の支給を受けていない

■ 応募方法 農村六起プロジェクト公式サイト(http://www.furusatokigyo.net/nouroku/)で新規登録を行い、入門 講座を受講・修了後、エントリーページより登録を行ってください。登録後、事務局よりご連絡します。

インキュベーションプログラム ■ 資格 ・起業化(法人化)されていない起業プランをお持ちの方 ・起業を行う地域として具体的な地域の想定があること ・年齢、性別不問 ■ 選考方法 事業性、地域性、社会性、そして新規性や起業への熱意等の選考基準により、選定・評価委員会が、 一次・二次選考および最終選考(ビジネスプラン・コンペティション)を行います。

[選考基準] ◎社会性…地域の社会的課題の発見、把握、 ◎事業性…6 次産業分野のモデルであるか 認識が的確であるか ビジネスモデルが適切であるか 地域の社会的課題の解決の方向性が明確であるか 実現へのプロセスが具体的であるか 起業によって地域社会、経済、産業への ビジネスとしての収益性が確保できているか プラスのインパクトがあるか 経営計画が適切であるか(起業支援金の使途を含む) 起業によって雇用拡大が見込めるか ◎地域性…起業地域が明確に設定されているか 環境負荷を与えないか 起業地域との連携・協力関係が築かれているか 起業地域(自治体、経営体、団体)の支援、 ◎新規性…単なる既存ビジネスの地域展開ではない、 推薦があるか 新規性があるか 移住・定住(二地域居住を含む)を想定、 応募者自身の熱意が感じられるか もしくは既にしているか 応募者自身に地域での起業資質があるか 地域資源の発見にもとづいているか

■ 応募方法 農村六起プロジェクト公式サイト(http://www.furusatokigyo.net/nouroku/)で新規登録を行い、入門 講座を受講・修了後、エントリーページより起業プランをサイト上の応募要項に従いお送りいただき ます。二次選考終了後 2 日以内に、事務局より選考の結果をご連絡いたします。



Issuu converts static files into: digital portfolios, online yearbooks, online catalogs, digital photo albums and more. Sign up and create your flipbook.