kayano_soto 1

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カヤノソト

issue 1

JAP FOOTWORK paisleyparks satanicpornocultshop disc review Juke, Hiphop, Techno, Disco, House, New Wave

kayano_soto vol.4 2012 May 4 24.00 open/start Ruby Room Shibuya 짜1,500 w/1drink

Guest Live guchon (Merry Works) the nnyoos Guest DJ O.T.A. (OZ)

kayano_soto DJs D.J.A.D, Shigeru Nakamura(the nnyoos), 510373(weekend never dies) http://blog.livedoor.jp/kayano_soto/

kayno_soto issue1

特集

JAP FOOTWORK 4 Paisleyparks 9 Satanicpornocultshop 14 Disc Review 18 Internet Roundup 19 Column

Apr. 2012

JAP

FOOTWORK インタ ヴュー、というより ジューク／フットワーク好きの居 酒屋トーク。楽しく話しているうちに 終電の時間がきた、そんな感じだった。す ぐ近くに情報を会話で共有できる人間が沢山い るとはまだ言い難い音楽だけに、いざ話し出すと 止まらないほど饒舌に話す３人がいた。このアルコー ルを交わしながらのインタヴューは、Pan Pacific Playa というレーベル、彼らが生活する横浜という都市、 ローカル・カルチャーとしてのシカゴといった様々な話 題の展開を覗くことができる。これらの要素に抱く先入 観やイメージを崩すことで産まれる事象の二面性を、計 算／天然で突きつける彼らは、陽気で気さくな印象の 一方でどこまでも現実的である。この態度は、ジュー クというシカゴ発のローカル・ダンスミュージッ ク、好対照な人物像ながらも同じベクトルでこ の音楽に惚れ込む姿・形を鮮明にさせる。 楽しくもスリリングな対話は、横浜・ 野毛町の居酒屋『亀ちゃん』にて、 唐突に始まった……。

Paisley parks

text: 秋岡良寛

JAP 脳：この辺が野毛ってトコで飲み屋がた くさんあるんですよ。

FOOTWORK いしてるだろうし。田舎もないわ、地方 出身者に押されるわ、ホントにいいこと なくて。そん中で本当にカッコいい人な んて数限られてるし。コレは妄想だけど、 本当の都会は東京じゃないっていうか。 PPP はそういうコンセプトから始まっ てて。なんかゲットーというか田舎があ る方が生々しいというか、都会なんじゃ ないかなって。

̶脳さんや KES さんって普段遊んだり 飲んだりするトコってこの野毛だったり 寿町とかですか？ 脳：そうだね。 KES：ていうか野毛でしか飲んでない んじゃないかな。 脳：あとオレが東京に遊びに行かないっ ていうね、例えば PPP でよく東京でパー ̶煌びやかな風景だけがあるのが都会 ティやってるけど、それすら行かないし。 じゃないってことですか？ 脳：うん、それは地方出身者が抱いてい ̶先週も下北沢でやってましたよね？ る幻想。 脳 ：それをやってても、今週って勘違い KES ：作られた街だから。 してて（笑）。PPP がどうしようが知っ 脳：だからダサい。本当の都会はゲットー たこっちゃない。 がある。 KES：高級な山の手から下った底にあ ̶いやでも PPP 結成の中心メンバーな るようなね。 んですから（笑）。 脳：アクが溜まってね、澱んだ感じ（笑）。 脳：でも名前が売れ過ぎて、もはや自分 らのものじゃないっていうか。 ̶そんな感じを Paisley Parks や PPP

西から出てくると思うんだよね。先入観 のなさというか。 脳：東京のような都市に対してどう思っ てるかを、置き換えて考えてるのかな。 例えば、アムステルダムに対してのロッ テルダムとか。そういう感情にシンパ シーを抱いてるんだよ。ヒップホップで もメインストリームのより地域性のある こっちの方がいいみたいな。だからシカ ゴのローカル・ダンスとかに興味を持つ とかね。そういう早さみたいのはある。 だから何かやるにしても、ほんのり思う こっち（東京）の時間に対しての、こう だ！と思ってバッとやる西の瞬発力みた いなのはあると思う。 ▲

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̶PPP の最初のリリースは KES さんの ゲットーテックとのことですが、ゲッ トーテックをよく好んで聴いてたんです か？

コレは妄想だけど、本当の都会は東京じゃないっていうか。 PPP はそういうコンセプトから始まってて。 なんかゲットーというか田舎がある方が生々しいというか、都会なんじゃないかなって KES：全然追いかけたりとかしてない で表現しているんですか？ 。昔、 空手サイコ （現：Latin Quoater） っ 脳：そうだね。都会がスゴいかっていう （苦笑） のを、ゲットーがどんだけヤバいかって てヤツと… いうのをドカンと言う、この極端な戦略 脳：オレで『16 連打』ってやってたん をとることで、例えば、どっか地方のコ だよ。あーあとジャケとかのデザイン が聴いて自分の周りの一番都会っぽい場 やってるヤツも含めて４人か。 所や近所、ゲットーな場所を浮かべたり KES：でその時に、空手が家に来て一 して「あー分かるわ」って思ってシンク 緒に作るトラックがこういうシカゴっぽ ロさせたりとかする感じじゃない。を東 いヤツだったんだよね。声のループや ビートでバンバン行くようなヤツ。でも、 京でやっちゃうと説得力がない。 シカゴが何だっていうのは全然分かって ̶その説得力がないというのは具体的に ない。簡単にやりたい感じ。昔から今も そうだけどビルボードっ子だし。 は？ 脳：同じ地方でやるってことだよね。東 脳 ：そして今も熱心には聴いてないよね （笑）。 ̶（笑）LUVRAW さんや BTB さんは、 京は東京でしかない。 横浜でいう山下町やみなとみらいのアー KES：東京の人はオシャレな方向に行 KES：そう、本当にちゃんと聴いてない、 音楽より PV の方が観る（笑）。 バ ン な 感 じ の 一 方 で、Paisley Parks こうとするよね。 はこの野毛であったり寿町の感じじゃな 脳：そのオシャレに行こうとするのは地 脳：この人、映像の方が熱心だもん（笑）。 いですか。そこをレペゼンしているよう 方出身者がやってることなんだよね。そ この人は何かレコード屋に通ってみたい な感覚はあるんですか？ ういうイメージを東京出身じゃない人が なタイプでもないしオレとか空手サイコ 作ってるわけ。それにやられてるからオ は一時期 DJ やってたから、今こういう 脳：ないけど、あーでも、元々住んでる レは逃げ出したし、ウソの東京感から。 の あ る よ っ て 教 え て た の は あ る。 KES：そうそう。そこで MIXCD とかく 人がそんなこと思わないでしょ？そうい ダサイなぁって。 れるんだよ。そうして青春が終わったっ うもんじゃん。ナチュラルだから。オレ みたいな外からの人間が、アーバンも ̶そのウソの東京感や人工的な感じって ていう。 ゲットーも含めた横浜っぽさを、こうい 地方にもありますよね。ショッピング ４０になるっていうね（笑）。 う風にプレゼンしたら分かりやすいか モールのキレイに整ったな感じや無機質 脳：早いね（笑）。PPP やる前も、２０ 代の前半とかはそれで終わっちゃって。 な？って感じ。 な感じ。 脳：そう。それを自分の都市に当てはめ その時はまだオレは東京に住んでて。で、 ̶そういう意味で、脳さんが東京から横 てシンパシーを感じてるわけじゃん。そ とにかく３人で集まって酒飲んでクラブ 浜へ住む場所を変えたってのがあるんで こで、メインストリームがあった時に何 行ってナンパして持って帰って、で終 すね。 か横に逸れることに対して、わざとじゃ わったんだよね。曲作るって集まっても、 脳：そうそう、ローカル憧れっていうか なくて自然とそう思えるような感覚があ 曲１コも出来なかったんだよ！ KES：曲作るって言ってるのに、まず ね。東京って外から来てる人の方が圧倒 るってデカいと思う。 的に多いし、そういう人の方が頑張って KES：前 も 二 人 で 話 し て た ん だ け ど、 業者かっていう感じで段ボールのビール るから。本当の東京の人って肩身狭い思 ジュークに限らず昔っから新しい音楽は 買ってきて「今週は作ろう、ビールなし ̶PPP は、なぜ結成しようとしたんで すか？ 脳：KES のソロをリリースするためで、 そのジャケ作る作業の一環で、そん時に 名前も付けちゃったのね『Pan Pacific Plays』って。で、オレがジャケ作って 渡して、PPP の型番第１号をリリース したっていう。それはゲットーテック だったかな、だからゲットーから出発し た感じだよね。 KES： 一方では、BTB や LUVRAW な ど ア ー バ ン な 感 じ を や る ヤ ツ も い て、 あっちの方が売れた（笑）。

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JAP ね」って音楽を聴くんだよ、まず。そし て調子良くなるから１本だけって言って 飲むんだよ。で飲んでる内に…トンカツ 食いに行って…。 脳：カレー食いに行ってー。 KES：そこでも飲んでるんだよ、瓶ビー ルとか。それで終わったんだよね…。

FOOTWORK んでガバやってたりしてるよね。 KES ：まさか LUVRAW & BTB にガバ やってる人がいるとは思わないよね。 脳：ね。だからみんなグチャグチャなん だよ。

間後みたいな（笑）。 脳：「なに言ってんのダッセ、今やれよ」 みたいなね（笑）。

̶（ 笑 ） で 、 そ の 『 H O N M O K U FOOWORK』がリリースされた時は、 ̶この人はコレだけやる、みたいな感じ ジュークのリスナーも驚いていました。 ではないんですね。 音源もそうですが、関東から、しかも ̶じゃあそういう時の曲作らなかった後 脳：そうそう。そういう真面目な人はい PPP か ら っ て い う こ と に も。 悔みたいなのが、今のペースでトラック ないんだよ。とにかくド不良の集団だか あの EP は全員で作ったんですか？ を作っているっていうのに繋がってるん ら、不埒だから。オレもジュークとかテ 脳：うーん、ペイズリーのトラックって ですか？ クノやってるけど、ギャングスタラップ ほとんどオレのトラックだからね（笑）。 脳：そうそう。だから Paisley Parks は もめちゃくちゃ聴いて MIXCD 作った KES：そうそう。 リベンジだと思ってる。そんなダラダラ り、そんな面もある。だからみんな全方 脳：この人とか横で聴いて「いいね」っ ４年もかけて１曲も出来なかったってい 位においてかなり掘るっていうのはある て言ってるだけなんだから！それでメン うことに対してのリベンジ。ただただ遊 から、ヤバい。だから PPP にいてくれる、 バー ってるんだからね（笑）。 んで４年間終わったから。 そうじゃないと話に付いていけないか KES：でも４年で終わってよかったよ。 ら。だから若い KENT とかが、この人 ̶ ってるって（笑）。 横 浜 に 引 っ 越 し た の が 良 か っ た よ ね。 達どうなんだろって思うくらい掘り続け 脳：でもまぁそれも仕方ないというか。 脳：そうだね。そこで遊びに終止符を打 な が ら 活 動 し て る っ て い う の は あ る。 その時は、ジューク聴いて衝撃を受け過 ぎちゃって、やんなきゃってなってるか てたんだよね。 KES：越してきて近くに、横浜に来た ̶今、KENT さんの話が出ましたけど、 ら。そんなモードに入っている時に全部 らそういう遊び方をしなくなったんだよ KENT さんは去年加入しましたよね。 をこうだよあーだよって説明しても伝え きれないじゃん。KES 君はオレのこと ね。前 と か は 都 内 に 行 き た い か ら …。 そのいきさつを教えて下さい。 脳：そう、わざわざ１時間ぐらいかけて KES：声ネタ欲しいからだよね？ 来る訳じゃん。横浜から。で、近くになっ 脳 そう、ジューク作ろうと思った時に、

Paisley Parks はリベンジだと思ってる。 ダラダラ４年もかけて１曲も出来なかったっていうことに対してのリベンジ。 ただただ遊んで４年間終わったから。 た途端、遊ばなくなったっていうね。 ̶何とも皮肉な話というか…。 脳：そうだね、遊びやすい環境になった ら遊ばなくなった。そして一人の時間が 出来て。 KES：一人っていうか（笑）。 脳：まぁこの人達来なくなったから（笑）。 曲作りまくってアルバムを出すってこと になったんだよね。 KES：で、そ の 頃 に LUVRAW と か BTB が来て… 脳：PPP とかもその頃に作ってドンド ン大きくなっていったって感じだね。

ペイズリーでやれればいいなと思った の。放置してたの、シュランツのままで 何にもやってなかったから（笑）。

̶『Baller』(PPP のコンピに収録され ている Paisley 名義のトラック ) ですよ ね。 脳：そうそうそう（笑）。それで声ほし いなって思って、作る時に声を KENT にや４らせればいいかなって。で KENT 入れて、もう一回ペイズリーを再生させ ようと思ったんだよね。それでご無沙汰 だったペイズリーとしての作業を復活さ せ て。で、そ の 時 に『HONMOKU FOOTWORK』ってアルバム出したんだ ̶その LUVRAW さんや BTB さんの加 けど、それ１日で作ったの。PV とジャ 入っていうのは、彼らが面白そうだから ケと曲を。朝集まって、十何曲１日で作っ 入ればいいじゃんって感じだったんです て、PV もジャケも作って、そのあとク か？ ラブ遊びに行くって感じ。 脳：PPP は み ん な オ カ し い ん だ よ ね。 KES：日にちを置いたら絶対やんない 色んなトコにパッとハマれるというか。 し。 BTB とかも昔からの知り合いで。元々 脳：オレらはとにかく飽き性だし、やら ラッパーだったから、曲も作れてラップ ないから。ストレスなく何も考えないで、 も出来たり。で、その才能とか見てまぁ パッとやっちゃわないとダメ。 PPP に入れたいなぁとか。 KES：今日出さないとダメだって思っ LUVRAW とかは……あーなんかもう忘 て。 れちゃったけど、うーん、何ていうか鼻 脳：販売からジャケ／曲作り、PV まで の利く人っているじゃん。感覚的にこの 全部１日でやったのね。全部やれば飽き 人ヤバそうだな、みたいな。そういう風 ないじゃん。それで終われるから。 に思ってくれたんだよ、でなんか付いて き て く れ た み た い な 感 じ だ よ ね。 ̶まさに４年前のリベンジですね。 KES：LUVRAW は元々ガバとかやって 脳：そう、できるポテンシャルはあるけ たから。 どやるまでに時間を費やすから…。 脳：KENT( ALEXANDER、Paisley KES：でもアレだよね、１週間後にや Parks のメンバー ) と一緒にユニット組 る感じがダサいとかあるよね、なに１週

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信用してくれてるから「いいな」って ガーッてなってる時に、「じゃあやろう よ」ってなってくれるわけよ。見てるだ けだけど（笑）。だからあのアルバムは オレだけだよ。 KES：で、オレも２枚目からちょこちょ こ作るようになったね。 ̶『BIGFOOT』で す よ ね。そ の 中 で KES さ ん が 作 っ た 曲 っ て ど の 曲 で す か？ 脳：ビズ・マーキーネタの、あれ…

KES：『UUUUU』。まぁよーく聴いたら 分かる。全然毛色が違うし、何も考えて ない感じは大体オレの曲。で、多少シカ ゴで通用しそうなのはこの人の（笑）。 ̶( 一同爆笑 ) 脳：通用するって……お前馬鹿にしてん だろ！！何にも考えてないようなヤツに こんなこと言われて「そうだね」ってな るはずないじゃん！（笑）。 ̶まぁでもこういう信頼関係があっての ことですよね。 脳：そうそう。ていうか、オレが寂しが り屋だから一人でやりたくないだけなん だよ。ホントは全部一人で出来るけど巻 き込みたいだけなんだよ（笑）。 ̶その巻き込める人達がペイズリーで あったり PPP の人達だったんですね。 脳：うん、でもオレはこの人は天才だと 思う。じゃないとこんな長いことやって ないですから。

JAP ̶その KES さんにスゴいなって思うト コって具体的にどういったモノですか？ 脳：計算を越えた何かがあるトコだよね。 一般の流れとして、曲の構成などの組み 立てが絶対にあるはずなんだけど、全部 に当てはまんないからイヤになっちゃう んだよね（苦笑） 。 KES：ハハハ！ 脳：いやまぁイヤになるっていうか、「… 嘘でしょ？」を形として出してくれるか らスゴいと思う。例えばさ、情報を多く 持ってるのは有利じゃん？曲の善し悪し とは関係なく。 ̶情報弱者ではない、という意味ではそ うですね。 脳：知らないフリしてるのと本当に知ら ないでは、全く意味合いが違ってて。そ こで作品のビックリ度っていうのもまた 別の話で、知らなくていいんだよそこは。 知ってる人に対して「そう来るか」と思 わせるのがオレの役割、二人とも音楽を 知ってる人に対しての情報が詰まった ジューク作ってちゃオタク臭くなるじゃ ん。知らない人が能天気なジューク作っ た方が、別の音源聴いてる感じじゃない けど面白いこともあるかなって。 KES：若いビート・メイカーが曲アッ プしてたり、シカゴでもダンサーがト ラ ッ ク 作 っ た り し て る じ ゃ ん。 脳：そうだね、ダンサーが作るのは面白 いよね。余計なこと知らないし。こうい うネタでとか、シカゴがどうだとか当事 者だからそんなこと考えてないし。この 動きにどう動くかみたいなことしか考え ないで作ったもの、シカゴに対して何で もないナチュラルな感じがヤバい。

FOOTWORK よね。しっかりしたものを作れるだけに、 そうやってダサくなってしまうのが怖 い。如何に色々引き算してくか。例えば、 展開を考える時になんか一個挟むとス ムーズだなって思うじゃん。そのスムー ズにいく感覚を一回なくすの。成立させ ようとする考えがジュークではダサい。 KES：そうそれを脳は考えてやってて。 脳：この人は天然で出ちゃうの。それで 出来てるしジュークとしては成立する。 オレの計算と KES の天然で上手くいっ てる。そうやって、そのシカゴっぽさを 純粋にアップデートしていきたい。ダン スマニアとかに馴染みがあるから、納得 が い く っ て い う か ハ マ れ る ん だ よ ね。 Pacman Juke とか聴いたときも、どこ の馬の骨がやってんだとか思わなかった もん。それが分かるくらいシカゴ・マナー が滲み出てたし。

声なんだけど（笑）。

̶な る ほ ど。そ の 中 で、 『GETO GALAXY』のリリースの着想を考えて いたのはいつですか？ 脳：かなり前から笑 思いのほかジュー クにのめり込んじゃって、３枚目出すの に時間かかっちゃったっていう話。その 間にも何十曲と作ってて。で、日々やっ てると昨日作ったのより今日作ったヤツ の方がヤバいってなってきて。全然出せ なくなっちゃった。で、いい加減出そう よっていう締切をメンバーがいきなり出 してきたから、じゃあそれまでにやろ うってなっただけ。

̶脳さんが持ってくるネタっていうのは何 かコレっていうのはあるんですか？ 脳：オレは計算でやってるから全方位的な 感じ。サンプリングなしで打ち込みだけで シンセ弾いてって曲も作れば、サンプリン グは例えばギャングスタ・ラップのマイナー な G ラップから取ってきたりとか、ソウル から取ってきたりとか。アール（DJ Earl）っ ぽい打ち込みっぽいノリも作れば、サンプ リングみたいなヒップホップノリもやって みたいな。そして時には超ベタなのを使う 感じもあって。そこはもう訳分からなくさ せようとしてる。

̶先日のシカゴの FM ラジオ局で放送さ れた KENT さんのジューク・ミックス もペイズリーのトラックだけでプレイし てましたよね。９０分を自分たちのト ラックだけで出来るってストックがヤバ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ いですね！ 脳：メチャクチャあるね、だけどそれを 出す出さないはまた別の話というか。出 ̶フットワーク踊ったりしますか？ 脳：ぼちぼち練習するんだけど全然でね。 すからにはジューク好きな１０人くらい 情報交換する相手もいないんだよ、張り にウケる以外の何かちょっとした要素も 合いないね。それでもジューク作る時は 入れて。見えないだろうけど、ジューク 聴いたことのない層に引っかかる何かを 踊りながら作ってる。 KES：walacam の動画観て「この音が 自分なりに入れているつもりで。PPP 鳴ってる時の感じヤバいな」って思いな から出すっていうことも考えて。 が ら 作 る こ と が 多 い か な。 脳：音だけ聴いても浮かばないものがあ ̶その取っ掛かりっていうのはどういっ たことを具体的に考えてたんですか？ るもんな。 KES：ヒートアップして、帽子や携帯 脳：スゲー極端な話しちゃうと、KENT をクルーのヤツに預ける感じとか細かい の声が入ってるか入ってないか笑 サン クラに上げてる中で KENT の声のヤツっ トコも浮かべたりね（笑）。 てほとんどアップしてない、でアルバム ̶踊る前に辺りをウロウロする感じや、 作って KENT の声が入ってるヤツを入 はやる相手を小突いて制す挙動なども含 れてるってそんぐらいの違いだよ。で、 めてのフットワークのフィジカルな感じ 声ネタもらう時に「アレ言ってコレ言っ を、ペイズリーにはスゴく感じるんです て」って言わせてんだけど、このネタを よね。そういうのって凄くシカゴだと思 取っとこうって後生大事に取っといて、 うんですよね、フランスでも UK でもな ずーっとアルバム用にって思うんだけど 結局クタっちゃうんだよね。 くて。 ̶なるほど、あの DAIKOKU の声ネタ KES：絶対シカゴだよね。 脳：あと、完成度を高くしないよう、成 も KENT さんなんですね！妙な単語呟 立しないように努力してる。何か少しで いてて面白かったです。 もちゃんとしてしまった瞬間冷めるんだ 脳：そうそう、まぁほとんど KENT の

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̶今回の EP は１９曲収録されていますよ ね。 脳：ジューク（１９）ね。 ̶あ、なるほど笑 で、引っ張ってくるネタ の多彩さやトラックのバリエーションの多 さっていうのが異彩を放っているというか。 そこも脳さんが主導して見せようとしてい る点ですか？ 脳：てか完全な分業だからね。 KES：そうそう一緒に作ってないの。藤子 不二雄方式だね笑 好きな曲とかたくさん 被ってる部分はあるけど、まぁ全然違うト コもあるじゃん。そこが、そのバリエーショ ンに繋がってるんじゃないかな。 脳：持って来るトコが違い過ぎるんだろう ね。

̶KES さんはどういう感じですか？ 脳：KES は自分の好きなのが完全にあって、 そ れ に 真 っ 直 ぐ 投 げ て る 感 じ。 KES：直球っぽいヤツは大体オレだよね。 脳：そう、あとプリンスが好きっていうの があってアメリカのチャート音楽なんかの どメジャーなヤツを、ホントに汚く料理し て出してくる。 ̶今回 KES さんが手掛けたのはどのトラッ クなんですか？ KES：アルファベット一文字シリーズはオ レのだね（笑） 。 。でもそうだね。 脳：一文字のヤツって（笑） 『S』って曲とか。 KES： 『R』とか『Q』とか…。 脳：そういうヤツは大体 KES が作ってるよ ね。 ̶言われてみれば、バキッとした無敵な感 じや、どこから持ってきたんだろうってよ く分からないネタが多かったというか、妙 に引っかかりましたね。 KES：そうそう、ジュークを聴いてない人 が作ってるからね。 脳：そこだと思うよ、みんなが引っかかる というかね。ワラカムのあの CG を観たの ときと同じ感想を KES に抱くんだよ。何こ の人、センスねぇーみたいな（笑） 。 KES：アッハッハハ（笑） 。 脳：そこに本物のシカゴ臭を感じとるんだ よ。そういう天然のところから発せられ

JAP

FOOTWORK

paisley

てるっていう…そこで、本当のコント ロールの利かない天然なトコから発せら れるものだけで構成されてもつまんない から、オレが『In Da Rain』とか打って る感じだよね。

て入ってた最初の声ネタで作ったりする じゃん。デモ曲みたいなのでジューク 作っちゃうというか。 脳：『Blow yo shit』と か さ ぁ、あ ん な 擦りネタでよく入ってそうな「ワンワン、

あーわかるわかるってなるっていうか。 脳：そうそう、ジェネレーション・ギャッ プを埋められるツールとしても役立つわ けよ。 KES：ま ぁ 違 う か も し れ な い け ど ね、

完成度を高くしないよう、成立しないように努力してる。 何か少しでもちゃんとしてしまった瞬間冷めるんだよね。 しっかりしたものを作れるだけに、そうやってダサくなってしまうのが怖い。 如何に色々引き算してくか。

KES：脳が一人でやったら、スゴく喉 ごしのいい感じでスーッといっちゃうと 思うんだよね。 脳 ：そう、突っかかりがない感じになっ ちゃうから、それはセンスいいで終わっ ちゃう。そういう人がいるんだで終わる んじゃなくて。１０球中８発センスいい 感じで打ってきたのに、急に「どうし た！？」みたいのがあるから余計引っか か る ん だ よ ね ペ イ ズ リ ー は 多 分。 KES：KENT の声ネタとかも脳から貰っ てなくて。ゲットーテック作ってたって いうのがあって、自分でも声ネタを大量 に持っててそれで作ってるから。 脳：過去の貯金で今まで食い繋いでる感 じ（笑）。 KES：そうそう、そんなのばっか探し てたから（笑）。

̶過去の貯金エゲつないっすね、どんだ け貯め込んでるんですか（笑）。 KES：使ってないの沢山ある！とりあ えず聴いた「Fuck」と「Bitch」の声ネ タは全部抜き取ってるし。元々はそれで サンプリング CD 出そうとしてたから。 コレであなたもゲットーテック作れるみ たいのを。ちゃんとキレイにループさせ てるし（笑）。 脳：でもトラックスマンもそういう匂い プンプン感じるんだよ。バトル DJ の、 スクラッチやる人のバトルブレイクス用 のネタばっかで曲作るんだよ。

ツーツー、スリースリー、ピッピピッピ ♪」みたいなさ、もうそんなんで曲作る とか現代人のセンスとしてありえないか ら！なんでそれでやっちゃうの！？頭悪 いなぁって。 - その曲のリミックスを UK で Rusko が DJ でプレイして、クラウドがダイブ したりしてヤバいくらい盛り上がってま したね（笑）。 KES: え、あの曲？？ 脳：ハッハッハ笑 そうだよね、あの曲 の破壊力ってそういう風にしか産まれな いんだよ。ホントに何でそれで？ってこ とじゃないと、そんなことにはならない んだよね。 KES：でも嬉しいね。そういう風に盛 り上がる資質はっつったらアレだけど。

そのハマり具合とかは。 脳：あるだろうね。そのバトルブレイク スでお馴染みだって感覚が分かるかどう かって結構疑問じゃん。

̶そうですね。確かにハマり方としては 上の世代の人の方が深いとは思います が、僕らも説明できないけど何かヤバ いって感覚を持っていると思います。 脳：そうそう、そこを共有できるってヤ バくない！？そして、そういうネタがあ ればあるほどヤバいし、化けるわけじゃ ん。何でそれやるの？の方がハネるわけ だし。みんなが知ってる／知らない何 かっていうよりも、何でそれやるのって こっち（上の世代）が思ったり、単純に その破壊力にやられるコ達の丁度いいと こを突くみたいな感じ。ウチらで言うと ベ ー ト ー ベ ン と か、そ ん な 感 じ か な。 「えっ、そういう風にやっちゃうんだ！？ ダサイな」みたいな。ダサいっていうの は キ ー ワ ー ド だ と 思 う ん だ よ ね。 KES キーワードだね。あのー、一番好 きなのは『ださダサい』感じなんだよね。 脳：ださカッコ良くもないっていうね、 ザ・ダサい！みたいな笑 で、ウチらが その旨味成分を勝手に見つけるから、だ さカッコイイとか言い出すなよってい う。そのダサいままの部分をオレらが カッコいいと思うからっていう。ペイズ リーはそういうところに憧れてやってる と。

parks ̶でもあのホイッスルの音だけでもだい ぶヤバいと思います。 脳：ねぇ！エゲつないよ、ホントに。あ んなネタ今更使って「今２０１２年すよ、 大丈夫っすか？」みたいな。その時の止 まり感もグッとくるわけよ。でもそれを 知らない世代もいるわけじゃん。

̶そうですね、僕はそういった使われま くってたっていう事実を知らない世代で すね。 脳：その人達と、オレらが同じくらいの 熱さで反応できるのって奇跡的なこと ̶『Like Pussy』とかもそうですよね。 じゃん。 脳：本当に擦りネタのドベタなヤツで ジューク作るから。そこもなんかグッと ̶確かにそこで両者の軸を通せるものっ 来るっていうか。何でそれで曲作るんだ て中々ないですよね。 ろ、みたいな。 脳：ないよね！世代を超えてこの曲で意 KES：何だろね、ホントに。ソフト買っ 気投合できるって普通ありえないじゃ ん。 KES：そう、それもあって KENT も年 が離れてて、話してても音楽のジャンル で気が合うこともないし、だからそこで ジ ュ ー ク っ て ス ゴ い 重 要 な ん だ よ ね。 Paisleyparks / GETO GALAXY

̶今回の GETO GALAXY もそういう 姿勢で作った、ということですか？ 脳：うん。ペイズリーはそういうダサダ サ な と こ ろ を 行 く か っ て 感 じ だ よ ね。 ちょっとでも良くしよう、という感じで はない。 KES：って脳は考えてるけど、オレは 一生懸命作ってる！ 脳：そうそう、そうだね。その天然な感 じとオレの計算のバランスだね。 ■

G ラップ、ユーロ・トランス、ソウル・ジャズ……ダンス・ミュージックのブラック・ボックスの様相を呈す『GETO GALAXY』は Juke というゲットー・ ベース以外のカテゴライズを遠ざけ、焦点を惑わせる。『横浜発アーバン＆メロウ集団』こと Pan Pacific Playa の設立メンバーを中心に結成された Paisleyparks。入り乱れる生音／電子音や埃っぽく煙たいプロダクションは、都会的な風景と言うより様々な匂いが入り交じるジャンクな路地を思 わせる。そのイメージは、意味や脈絡を感じられない無国籍なヴォイス・サンプリングによって一層強くなる。何が飛び出してくるか予測不能な展 開には、曲単位だけでなく EP を通してハラハラさせられる。『Q』『R』など、アルファベット一文字で綴られるトラックは、リスナーの思考を張り 倒すようにベタベタなメロディやカス・ワードが BPM160 のスピードで連打される。思わず「それやっちゃうの！？」と感想を漏らしてしまうよ うな紙一重のバランスは、打算など眼中にない破壊力を秘める。随所に散りばめられるこの天然な感覚は、フットワーキンに特化したシカゴ・ジュー クという音楽の魅力そのもので「ビート、ベースの出色を派手にしてもっとダンスを楽しみたい」という素直でフィジカルな欲求を、音楽へ直接放 り込むというゲットー・マナーを貫徹した結晶である。アメリカの局所に根ざしたダンス・ミュージックを、野毛町∼寿町など彼らの遊び場である ベイ・ゲットーから追い求めた本作は、色褪せた路上を更に汚すようだ。そのシミはシューズとアスファルトの摩擦か、あるいは滴る汗か。この垢 だらけな音の宇宙空間によって、横浜とシカゴのストリートは確実にリンクし始めた。

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FOOTWORK

インタヴュー中にも言ったが、彼らのバイオグラフィーには謎やビック リ す る よ う な ト ピ ッ ク が 多 い。そ の ベ ー ル に 包 ま れ た Satanicpornocultshop の内情の一部をこのやり取りによって窺うこ とで、彼らをさらに知りたくなった。関西という風土は、奇天烈で 時に発明的な音楽が突如産まれることがある。それは自分が「コ レだ！」と思ったことを誰が為でもなく、各々が自分の感性の みで表現し続け、周りが何か知らんけど盛り上がっている状 況だったらしい。それらが、周りから『アヴァンギャルド』 と形容され、関西アンダーグランドというシーンは現在で も語り草になっている。関西を拠点に、奇妙な出で立ち でアブストラクトな音を鳴らすサタポも、スカムな態 度で音を鳴らし続けた先人達のフォロワーなのか、 と思ったが、そんな単純な話でもないらしい。世 界的なメディア・アート・フェスティバルでの受 賞、海外メディアの年間ベスト・アルバムへの ランクインなど功績を残したかつてのビー ト・ミュージックから、聴覚をしばき倒す ベース・ミュージックへと彼らのムード はシフトしている。サタポは自らのダン ス・ミュージックをアップ・デートさ せようと躍起になる野心的なビー ト・メイカー達である。そして彼 らが生活する大阪・神戸からシ カ ゴ・マ ナ ー、す な わ ち 本 流 をリスペクトし追い求めてい るのである。シカゴのゲッ トー・ベースにハマると いう先入観のなさ、海 の向こうのエッジを 愚直に研ぎ澄ます真 摯な態度。この二 つの要素が相見 え る Satanic pornocult shop がい ま 本 当 に面 白 い 。

sat anic porno cultshop -9-

text: 秋岡良寛

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FOOTWORK

ー初めまして、今回はよろしくお願いし ます。 ugh、frosen pine、d.j.vinylman： よろしくお願いします。

く奇妙でオモロいなぁと思っていまし て。 u：はい、そこらへんは僕がかき集めた 廃品でちまちま作っています。お面のイ メージはそのとき手元にある素材によっ ー satanicpornocultshop、オ フ ィ て異なってきます。基本は世界各地の民 シャルのバイオグラフィーを読んでも 族 衣 装 だ と 思 い ま す。例 え ば パ プ ア が多いのですが、まずメンバーの皆さん ニューギニアの祭典で使われるお面と は関西に住んでいられるのですか？ か。あと、仮面ライダーとかに出て来る ugh ( 以 下 u)：は い。僕 と frosen 怪人の影響もあるかもしれませんね。悪 pine は大阪です。 魔大根さんなんかマスクなしでも怪人そ d.j.vinylman ( 以下 v)：僕は神戸です。 のものですからね。

ただし、音楽には直接関係ないことなの かもしれませんが、2000 年代くらいか らレイブ文化とクロスオーバーしてきた せいなのか、ボアダムズを中心として ニューエイジ的思想に傾倒しているよう に見えます。個人的に「宇宙」とか「日食」 とか「石」とか云い出したら人間終わり やなと思ってるので、パワースポットや 仏壇、墓石はできるだけ粗末にしたい。 親類縁者が死んだ年はできるだけ鳥居を くぐるように心がけてたいます。

ー…… ( 何も言えず ) 僕 2011 年から Juke / Footwork の音源をリリースし 始めた時期からサタポを知って聴き始め たのですが、その以前にはヒップホップ、 エレクトロニカ、歌謡曲と、何とも形容 できない面白さがトラックの幅となって 表れていると感じました。さっきの質問 で挙げたアーティスト以外で、好きだっ たり影響を受けた音源／ジャンルがあれ ばお教え下さい。 v： 一番影響を受けた DJ は L?K?O で す。それまでテクノ DJ をやってたので すが９６年のナチュラルハイで初めて見 てそのプレイスタイル衝撃受けました。 帰ってすぐに ugh に MIX テープを聴か ーサタポの過去のライブ映像や現在に至 せてもらったのを覚えています。以前ツ ーバイオグラフィーを確認すると、様々 るまでの音源に触れていると『精神解放 アーで本人に会った時はもの凄く嬉し な紆余曲折を経ていますが、現在のサタ ノ為ノ音楽』に出演していたジャンクで かったです。 ポの枠組みが形成されたのは 2001 年 エキセントリックなアーティスト達の姿 u：僕は琴線に引っかかるものなら何で 頃と考えて大丈夫ですか？ を思い出したんです。こういったムーヴ も聴いて好きになるタイプですが、根本 u：2001 年当時は目的に合わせて構成 メントを体感できた関西の磁場、フリー にあるのは、初期ヒップホップの雑食性 員を入れ替えていたので、バンドという キーな風土によってサタポの音楽が育ま やアヴァンギャルドで元気があった頃の ノイズ音楽などの、黎明期独特の何を より d.j.vinylman や僕などの数名を核 れた側面はありますか？ とする「コレクティヴ」といった状態で u：大いにあると思います。あれは衝撃 や っ て も 許 さ れ る 感 覚。こ れ は 今 の した。 的な番組でしたね。当時録画したビデオ Juke/Footwork にも共通しています。 frosen pine ( 以下 f)：メンバーを固 テープは宝物にして持ってます。中でも それから音楽家ではありませんが、社会 定しバンドとしての枠組みができて来た 僕はコンクリートオクトパスが好きでし 人類学者のレヴィ＝ストロースが提唱し のはほんの数年前くらいからです。 た。僕と frosen pine は orionza のメ た「ブリコラージュ」という考え方に大 ンバーと一緒に bebedelbanco という いに影響を受けました。ブリコラージュ ー初歩的な質問が多くて申し訳ないので ハードコアバンドをやってるのですが、 はもともとは「修繕」とか「寄せ集め」 すが、現在メンバーは何人で活動してい これはコンクリートオクトパスをもろに とか「細工もの」といった意味ですが、 特に決まった計画もなく貯め込んでおい るのですか？ 1 月の Dress Down の 手本にしています。 ライブ映像では 4 人確認できたのです v：『精神解放ノ為ノ音楽』で当時、遅 たガラクタ素材を使って、お客さんの要 が……。 ばせながら非常階段さんを初めて見まし 望や計画の変更に応じていろいろものを 作っていく。まるでお母さんが冷蔵庫の u：現在のメンバーは 3 名です。基本は た。とっても怖かったです。 2MC&1DJ ですが、ライヴではアルバ u：あの頃のエッグプラントとか、ほん 残り物を使っておいしい料理を作るよう な、そんな音楽の作り方をしたいと思っ イトとしてチェルシーと悪魔大根の 2 まに命がけやったね。 ています。 名を採用しています。ですから Dress Down でも 5 名確認できるはずです。 ー非常階段のシーンはよく地上波で流し f：僕も基本的にジャンルの拘りは無い f：僕と ugh が MC、Vinylman が DJ です。 たなって映像でした笑 ステージ上に意 ですが、ヒップホップはよく聴きます。 チェルシーと悪魔大根は ugh が作成し 味も脈絡もないないオブジェがあった 中でも特に好きなラッパーは Ol' Dirty た衣装やオブジェを使ってパフォーマン り、違和感を憶える奇妙なマスクを被っ Bastard です。彼が出演している映像の スをしてもらっています。 て演奏しているとか、『精神解放ノ為ノ 殆どがドラッグかアルコールを摂取して v：細かい経歴は明かせませんが、実は 音楽』に出演していても全くおかしくな いる状態で出ているので突然叫んだり呂 チェルシーを操っているはジャズ系の いですね笑 ただ、そういった先人達の 律が回っていないものばかりなのですが DJ なので感覚的にはサタポのライヴの 単なるフォロワーという意識ではなく、 時折シリアスな面が見え隠れするのでと 流れをよくつかんで盛り上げてくれま 何か彼らよりもさらにエグいエッジを出 ても気になる存在なんです。 す。 してやろうと考えることはありますか？ ー「黎明期独特の何をやっても許される u：関西のアンダーグランド音楽のファ ージャケやライヴでも着用している、あ ンではあり、大きな影響下で活動してい 感覚。これは今の Juke/Footwork に のお面も ugh さんが作っているんです ると思いますが、あまり自分らの活動と も共通しています。」と ugh さんがおっ か？もしお面で何かイメージしているも 比較してどうこうしようとかは考えたこ しゃいましたが、音楽体験を『ブリコラー ジュ』する上で、Juke / Footwork を のがあれば教えて下さい。個人的にスゴ とはありません。

ーサタポのツイッター・アカウント名で もある Nu NuLAX NuLAN というの はサタポが中心となって運営している 『レーベル』なのですか？ u：はい。僕が中心となって運営してい る音楽レーベルです。 Satanicpornocultshop のほかに、Dag Shen Ma、悪魔大根、orionza、Frosen Pine、椎茸などの作品をリリースしてい ます。また、月に 1 回ニューヨークに 拠点がある非営利民間ラジオ局 Radio23 から、「夜のヌーヌラックスヌ ラン（通称夜ヌン）」というラジオ番組 を制作、放送しています。

ー……（苦笑）。すいません、唐突です がヤマツカアイや山崎マゾ、ハルモニア といった関西アンダーグラウンドといっ たムーヴメントで出てきたアーティスト 達は好きですか？ f：はい好きです。関西には今でもアン ダーグラウンドでは独自のコミュニティ があったりいつも刺激を受けています。 u：学生の頃、ボアダムズやマゾンナの ライブはよく見に行っていました。毎回 大きな感銘を受けました。 v：大好きです。チョコレートシンセサ イザーはほんとよく聴きました。

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JAP 見つけたときの興奮みたいなものはあり ましたか？ v：すぐご飯食べにいってその駐車場で Footwork してました。 u：フットワーキングを覚えるたびに、 音楽的にもいつも新たな発見がありま す。Juke の ス ネ ア の も た り は Footwork のステップのずれそのもので あり、ダンスと作曲が同化していると 云ってもいい。「ダンスと作曲が同化し ているなんてどうかしているぜ」なんて 云いながら、おかげで最近ではどこを歩 いていても床が気になるようになりまし た。病院や葬儀場にいてもつい「お、い い床をしているな」と無意識に足が動い てしまうような始末です。でも駐車場の アスファルトは Footwork には向かへん ね∼。

FOOTWORK Funky のブーティーハウスを聴いたの が初めてです。グラサンかけた丸坊主の ヤンキー (d.j.vinylman) が運転するオー プンカーで、爆音でブーティー 1000 回 ぐらい連呼している音楽、正直むちゃく ちゃ恥ずかしいなあと思いました。その 後、ドミューンで D.J.G.O の DJ を見て Juke/Footwork の衝撃を受けました。 もう、いてもたってもいられなくなって、 放送終了を待たずに愛用の LOGIC を立 ち上げていました！

f：僕の声ネタに関しては一人部屋にこ もって録音したラップを ugh にデータ で送ってから構築してもらいます。

ーサタポの現在のムードである Juke / Footwork ですが、自分たちの作る音 楽を移行するに際して特に抵抗はなかっ たですか？ f：移行するというよりは自分たちの表 現と Juke サウンドがちょうど相性が良 かったのではないかと思っています。僕 ーツイッターのポストで「ジャパンの床 は Juke を聴き始めたばかりなのでそれ がいい」とか「フロアにベビーパウダー ほど精通していないのですが Juke のサ を撒く」などの発言を思い出しました笑 ウンドは声ネタを切り刻んで再構築する 「ダンスと作曲の同化」はまさに Juke いわゆるヒップホップ的なアプローチ / Footwork の楽しいトコですよね！ （チョップ）を強く感じます。その手法 制作の過程で「こんなビートで踊りたい」 はトラックメーカーである ugh も以前 といったことを考えながら、作ることは から多用しています。初めて Juke を聴 ありますか？ いたときは聴き慣れないリズムに最初は u：はい、考えています。できるできな 戸惑いましたが聴けば聴くほど次第に耳 いはともかくサタポのライブでやるほと に 馴 染 ん で い く 感 覚 が あ り ま し た。 んどの曲には振り付けがあるほどです。 u：結成当初から曲単位で右へ左へ移行 秋岡さんもツイッターで言及されていま しまくっているので、今更、変化に対す したが、実は僕も勅使河原三郎氏のファ る抵抗はまったくありませんでした。た ンで 80 年代後半に「月は水銀」を発表 だし、新参者があまり極端に外したト された頃から何度も公演を見に行ってい ラックを作ることで日本に Juke を浸透 ます。是非あのような壊れたロボットが させようと活動してる方々に迷惑がかか 踊るブレイクダンスのような痙攣したよ らないか、つまり、いちびっとったらジャ うな動きをフットワークで表現したい、 ガーさんにしばかれるんじゃないだろう それに合う音楽を作りたいと思っていま かと気を使っていましたが、どんないち す。 びりでも快く受け入れてくれる幹事のい f：僕 ス ケ ボ ー を 趣 味 で や っ て ま す が ない巨大な宴会みたいなもので、逆にこ Footwork において床の滑りが重要って ちらが何もかも呑まれてしまったような 話はスケボーの路面の状況の良し悪しの 感じです。あまりにもみんなシカゴなの 話とすごい通じるものを感じるんです。 で完全に取り越し苦労でしたね。 スケボーでもせっかく良いロケーション なのに路面の凹凸があるために滑ること ができない場所がある。縁石でグライン ーシカゴなノリ、楽しさを徹底的に追求 ドする時も滑りを良くするために専用の する姿勢がジューク・ファンには顕著に ワックスを塗るんです。そうするとメイ みられますね。サタポのトラック・メイ クしやすくなる。みんなでダンスフロア キングの話をちょっと きたいのです にもベビーパウダーを撒きましょう∼。 が、後を引くヴォイス・サンプルの声質 u：枯れ木に花を咲かせましょう∼。僕、 やフレーズ、時には落語の一節を引っ 思うねんけどベビーパウダー金かかるか 張ってくるなど珍妙な面白さが一貫して ら、そこらへんの乾燥した砂埃こっそり いますが、言葉やネタのチョイスは全員 撒いたらええねん。このご時勢、あんな で考えているのですか？ 目立つカンカンから白い粉撒いとったら u：３人で膝付き合わせて考えるという 関係者に余計な心配をかけかねんからな ような感じではないんですが、何気ない あ。 雑談（アホな話しかしてませんが）の中 か ら「そ れ お も ろ い や ん」み た い な ーそんなんも気にしないとダメなご時世 感じで曲はできていきます。 ですね（苦笑）。そして床の適度な滑り v：そこで出たアイデアを ugh がひとま はフットワーキンにおいて超大事です ず取り込んでカットアップしたデモを、 ね！質問が前後して申し訳ないですが、 撲のシステムに取り込んで、その上に 初 め て Juke / Footwork に 触 れ た の MC frosen pine が乗っかってくる。そ はいつか教えて下さい。 れをまた ugh が取り込むというループ u：d.j.vinylman のアルファロメオで DJ のような感覚ですね。

ーサタポの Juke は作品を追うたびに ビートの変則具合がドンドン増している ように感じます。トラックは基本的に全 員で作っていますか？ u：トラックを完成させる作業自体は僕 がほとんど担当していますが、曲が出来 上がるまでの過程では、他の２人からア イデアを集めたり、vinylman のサウン ドシステムでチェックしてもらって曲の 構成やミックスバランスなど意見を出し 合います。やはり MC ならでは、DJ な らではの聴き方、考え方っていうのが あって、僕はほっといたら何も考えん と作るタイプなんでそういうチェックは 必要なんです。

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u：frosen pine の MC は完全に『いたこ』 状態で、とんでもない言葉が吹き出して くるので、それサクッっと頂いて曲作ら せてもらってる感じですわ。しかしこい つの何が恐ろしいかというと、そうして 出来上がった MC をライブでそのまま 再現できることですね。

ー立場で違う捉え方の擦り合わせが、サ タポの曲をブラッシュアップしているん で す ね！ nuclear EP か ら、サ タ ポ の 代名詞とも言えるような三連で打ちまく るビートや大胆なカットアップが目立ち 始めますが、国内外のジューク・メイカー でこの人のトラックヤバいなぁと思う人 はいますか？ 差し支えなければお教え 下さい。 v：僕は、Broken Fingers のベースの でかさに最近衝撃をうけました。掘り炬 燵の中にウーハーを入れて聴くと僕らの 5 倍は出てますね。どうやってあんな音 を作れるのか本人に聞いてみたいです。 u："nuclear ep" 以 降、d.j.fulltono と 知り合い、Juke/Footwork のトレンド についていろいろ教えてもらいました。 実際シカゴのアーティスト達はこうやっ ているんじゃないだろうかとか、いろい ろ会話しているうちにサタポのサウンド の構成も大きく変わってきたと思いま す。①テクニッック②キャリア③ハンサ ム④天然、という４つのヤバい神器を兼 ね備えているという意味で日本国内では 名実共に d.j.fulltono がいちばんヤバい。 あとシカゴの DJ では、やはり Traxman が①テクニック②キャリア③は飛ばして ④天然、という３つのヤバい神器を兼ね 備えている意味で名実共にヤバいです ね。 ートラックスマンは愛嬌があるオッチャ ンってことで笑 じゃあ本作について話 を 聞 か せ て 下 さ い、こ の『hellasick e.p.』ですが、このタイトルには何か、 特別な意味やテーマが込められています か？

JAP u："hellasick" て日本語でいうたら「ヤ バいぜ」に相当する言葉だそうで、さら に日本語をとおして意味を俯瞰してみれ ば「ヘ ラ っ」と「SICK」て も う 何 と も 云えない微妙な気分を表していて非常に 文学的に新境地ではないかと、勝手に思 い込んで、気に入ってしもて、日常会話 でも「それ、ちょっ とヘ ラい ぜ、YOU ヘラすぎるぜ」とか使っていて、それで タイトルにしました。 ージュークのビートって一聴するとすご く野性的であったり粗野な印象を受けま す、特にバトル向きと形容されるような トラックには。今 EP では何かシカゴの ヤツらとはギャップを見せられるよう な、ビートの構築を考えたりしています か？ u：特にシカゴとギャップを見せたいと かいうわけではありません。それどころ か、むちゃくちゃ近づきたいです。ビー トはとりあえず思いついたことを順番に シバいていってるだけです。トラックス マンなどシカゴ・ジュークの粗野で埃っ ぽい音は、何ていうか 80 年代後半のレ アグルーブの 7 インチレコードをザク ザク掘りはじめた頃の熱い想いを思い出 させてくれるいうか、なんしか久々に ぐっときてます。 ー確かに埃っぽい音は、何とも言えない ジュークならではのグルーヴの形成に一 役買っていますよね。サタポのビートは 三連で刻んでたかと思えばいきなり四つ 打ちが混ざるなど、ポリリズムの使い方 や落としどころがすごく理知的というか … EP 中の bbuddy でもリズムを落ち 着けずにヘラッとあざ笑う感じが、サタ ポらしいなぁと感じたのですが、拍子の 変調も思いつきや感覚で行なっています か？ u：曲によって異なります。何年も前に 着想を得たものをようやく試してみるこ ともありますし、遅いときはマスタリン グが終わってレーベルに納品する直前に 気が変わって拍子の変調させたりするこ ともあります。bbuddy は何であんなに 人を小馬鹿にするようなビートになって しまったのか思い出せませんが、タイト ルに関してはマスターを Booty Tune に渡してから数か月後、D.J.Fulltono の 部屋で bandcamp にアップロードして いるまさに最中に、お尻のマーク思い出 して「タイトル、(_(_) に変えてもええ かな？」と云って変えてもらいました。

FOOTWORK こでやろうと思ったことは、世相をドメ スティック且つ一次元的且つ内省的に捉 えようと。Frosen Pine からわたされた ラップ素材からあえてそういう窒息感の ある言葉を選びました。ただし、どんな 内省的で主観的な言葉をフレーズ・サン プリングしても『編集者』という第三者 が介在することで、表現に二重三重のレ イヤーができて『1 人称』を引用した『３ 人称』の物語になる。「ファックしよう ぜ！」と「ここに『ファックしようぜ！』 と叫んでる人がいる」とでは全然、違い ますやん？ ぶっちゃけ、そんなんゲッ トーテックでやらんでもええやんいう話 ですが、まあええやん。カバー曲で新た な解釈が生まれるときのスリルと同じで すけども、そんな解釈が二重三重にひっ くりかえるような愉しみがオリジナルの 新曲で成立するってことを実践してみた かったんです。 v ：『hellasick e.p.』の中で一番好きな のが「suicide」なんですが、demo を 聴いた段階では正直「そんなん言ったら あかん」って思た曲だったんですがビー トの疾走感と言葉のキーワードの組み合 わせで聞くと「誰にいってるの？」とか 「まだ死にたくない」「そうだそうだ！」 といろいろ感じれるようになりました。 u：例えばブログでの発言が「炎上」し てしまう原因の殆どが、その言説が 1 人称で書かれており、客観性や自己批評 性が伴っていないことだと思います。そ こを Juke/Footwork のサンプリング手 法を「語り手」として、1 人称の「主観」 から言説を解放できれば作品として成立 するのではないかと考えました。 f：僕は音楽を作ったりライヴの際はい つでも自由な気持ちで挑みます。極端に 言えば何も考えていません。そのほうが 面白いものができるんです。考えすぎる と大抵おもろなくなります。 v：サタポの曲はどれもそうですが、こ の EP は特に無意味に感じられるところ に意味はわりと込められています。感じ ていただければ幸いです。

ー本作では、トラック映えする派手な音 のパーツが多く聴こえます。今作のト ラックのムードなどがあれは教えて下さ い。 u：何やアメリカの田舎のローファイ系 やガレージ系のぐしゃっとした感覚を大 阪弁 Juke でやってみようと思いまし た。音は愉快（or 不快）な電子音満載 ですが、ムードとしてはキャロライナ・ レ イ ン ボ ー と か TRUMANS WATER、 ーそんな土壇場で笑 そして声ネタの突 バ ッ ト ホ ー ル サ ー フ ァ ー ズ、サ ン シ 拍子のなさ、フレーズのチョイスの意味 ティー・ガールズとかの「スカムで め の分からなさも、過去の作品に比べて、 いた中古感」。Juke のクラップ音はサ さらに目立つように感じます。今作では クッと乾いた音が特徴ですけど、ここは もっと自由にやってやろうといった勢い あえてじめっと湿った音にしたりして、 みたいなものはありましたか？ ジャケも寺田町の腐ったしょうもない神 u：『hellasick e.p.』は D.J.Fulltono か 社とか写ってますけど、何かと気色わる ら全曲 Frosen Pine の MC を配したリ い ep に な っ て ま す。で も、 リースにしたいと要望がありました。そ D.J.Fulltoino との共同作業だったので、

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そこは DJ が mix で使えるようにもなっ てて、結構、珍しい感じに仕上がったの ではないかと。 ー D.J.Fulltono との共同作業によって、 サタポの個性に現場で機能するような親 しみやすさが加わったということです か？ u：きっとそうだと思います。最初は、 DJ の使い勝手については一切考えて 作ってなかったので、かなり使いにくい 内容だった思います。D.J.Fulltono が「使 えるようになった」て云うまで何度も作 り直して完成させたので何とか対応でき たのではないかと。 ーその耳馴染みの良さといえば、最後の 『Sunshine Baby』は BPM こそ 160 ですが、メロウな質感というかレイド バックできる心地いいトラックでした。 ソウル・ミュージックの『ブリコラー ジュ』ともいえるトラックですよね。ヒッ プホップも好きとおっしゃってました が、ソウルや R&B とかもよく聴かれま すか？ u：大 好 き で 結 構 聴 い て ま す。 『Sunshine Baby』は短くて単調な曲で すが、クール＆ザ・ギャングの「サマー マ ッ ド ネ ス」、ロ イ・エ ア ー ズ の 「Everybody Loves The Sunshine」、 Rotary Connection の「I Am the Black Gold of the Sun」、カエタノヴェ ロ ー ソ の「Pecado Original」、大 貫 妙 子の「夏に恋する女たち」、アラントゥー サ ン の「Thouthern Night」、プ ラ イマ ル ス ク リ ー ム の「Higher than the sun」など夏を連想させる定番曲のエッ センスを引用していると思います。 ーなるほど。あ、そういえば d.j.vinylman さんは、サウンドクラウドにミックスを アップしていますよね。サタポのトラッ クや、派手なブレイクを挟みつつ四つ打 ちジューク多めでイージーに楽しんで聴 けました。vinylman さんは四つ打ち ジュークやゲットーテックなどを好んで 聴きますか？ v：ありがとうございます。僕らシカゴ でライブをするのが当面の目的なんで好 きな曲をセレクトして DJ するとあんな 感じになりました。でもじっくり聞くタ イプの音楽ではないので家で聴くという よりは車で爆音、窓全開、爆速で聴くの がたまりません。 ー先ほどのアルファロメオの件ですね （笑）。そして今「シカゴでライヴ」とい う身近で大きな目標が聞けましたが、こ れを実現するべく今年はリリースやライ ヴなどをさらに増やしていこうとしてい ますか？ u：「プロモーションは祈念のみ」をバ ンド運営理念としていますので毎日一生 懸命お祈りしています。ライブやリリー スに関しては増やそうとは考えていませ

JAP

FOOTWORK

Satanicpornocultshop / 7inch or more ep 日本において黎明期まっただ中の Juke / Footwork。過剰な BPM やベースに対して 「ア ヴァンギャルド」という感想をよく見かける がその通りだと思う。しかしそれらの特徴は、 フットワークを踊る楽しさを夢中で追求し続 けるといった至極真っ当な感覚によるもの だ。サタポもまた「こんなビートで踊ったら オモロいでしかし」と、本作『7inch or more ep』でも無邪気にジュークを楽しんでいる。 4/4 で鳴らされるクラップ音と３連符で刻ま れるキック／ハットが入り交じるリズムの変 調、野性的にシバいたようなヴォイス・サン プリングは、リスナー／ダンサーを「踊れん の？ w」と け笑っているようである。本作 の特徴である清冽なテクノのような音色は、 どこか飾り気のない土っぽい質感に変換され て聴こえる。これは過剰ともいえるカット アップや声ネタのループによるものであり、 クセになってくるようなタチの悪さは、本 EP 内の温度をみるみる上昇させ、ファンク ネスへと昇華される。この熱量は、ルーツで あるシカゴと真正面と向き合っているサタポ の態度そのものである。この ep のリリース 時「これでもシカゴより退屈？」という発言 をツイッターでポストしていた。退屈なわけ ないじゃん、ジュークは音源を聴いただけで 完結しないのだから。フットワークという フィジカルな要素は、オンライン上に氾濫す るネット同人音楽が持ち得ない新たな興じ方 を提示する。４つのバージョンの 7 inch or more が収録される今作で、それぞれのビー トの個性に脚を動かす楽しみに気付き、声を 上げる人が続々と出てくれば、それはこの国 の Juke/Fottwork がシーンとして根付いた時 だろう。今作はその足がかりになる国内フッ トワーキン・ミュージックの最高峰のジュー ク・トラックスであることに異論はないはず だ。今日から君もフットワーキン！！

んが、躊躇せずいろんなアイデアを試していければと思っています。あとシカゴのハンバーガーとかはサイズが大きいらしいの で、佐世保バーガーとかこぼさんと食べれるように練習もしています。 ー……（笑）。今回は色々と真 にお答え頂きありがとうございました！最後に本 EP を聴いたリスナー、またこのインタヴュー を読んでいる読者に何か一言あればお願いします。 f：本日はどうもありがとうございました。今後は Footwork を踊れるようにしたいと思うのでどなたかぜひ教えてください！ u：これ読んで、サタポにこんなんしてほしい！とかこないした方がええのでは？というようなアイデアやアドバイスあったら お気兼ねなくツイッターで @ 飛ばしてください ! @nunulaxnulan @vinylman @frosenpine までどうぞ。"Remake ep" もツ イッターでもらったリクエストで作ったので、またそんな感じで何かできたらいいなと思ってます。 v：ありがとうございました ! ■

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raxman、この名前に憶えがない人も大勢いるだろう。だが、これを機に知っておいて損はしない、絶対に。 「Top of Juke」この大げさな形容が現在、唯一当てはまるであろうビート・メイカーが、このトラックスマン である。ベース・ミュージックが好きなら、ジュークという音楽の名前は聞いたことがあるだろう。UK では ラスコが自らの DJ でトラックスマン『blow yo shit』のリミックスをプレイしフロアを爆発させ、アメリカ ではメキシカン・サマーの傘下レーベル『ソフトウェア』から Slava がジューク・トラックを突如リリースす るなど、このシカゴ発のローカル・カルチャーにリンクしようとする潮流は確実に見られる。各国のビート・ メイカーが、ジュークというアクの強いダンス・ミュージックの旨味を咀嚼しつつも、シカゴとは違う文脈 でトラックを作る現況は、リスナーへスタンダードとしてこの音楽を届けようと腐心する気概を感じる。シ カゴ、パリ、UK、はたまた日本で異なるジュークの個性はこれらかも広がり続けるだろうし、それらは歓迎 すべきことである。フットワークというダンスの為に産まれた音楽であり、踊ることができるトラックが増 えることは単純に喜ばしい。 ただ、これらの多様性という枝葉はルーツであるシカゴという幹の存在によって成り立つ。もし枝葉に興味 を持ったのなら、この『DA MIND OF TRAXMAN』を知るだけでなく聴いてほしい。ここには純然たるシカゴ・ マナーがひしめき合っている。カラカラに乾いたビート、粗野に響くすすけたベースが同居することで生じ た珍種の高揚感は、ダンスマニア／リリーフ・レコーズなどシカゴ・ハウス黎明期から受け継がれるもので ある。その下に「かすめるのでなく、盗んでナンボ」と言わんばかりの態度で、どのジャンルの音も見境な く手にしてはルーツで培われた自らの手癖で組み立てる。この『ジャック』によって、グルーヴの黒みは煌 めきを魅せ始める。その光沢には乾いたクラップ音と同時にスイッチングされまくる、幾多の音の背景が映 し出されるようだ。

DISC REVIEW Traxman DA MIND OF TRAXMAN (Planet Mu)

次々に切り替わる映像が投影されるようなトラックスマンが仕掛ける音の空間で、身体を揺らしたくなる欲 求は肥大化するに違いない。前文で「( ジュークは ) フットワークというダンスの為の音楽」と述べたが、日本、 もとい世界においてもジュークは夜明けが始まったばかりの音楽である。色々ゴタゴタしている内に、脚を 動かして「フットワークだぜ！」と言えばいい。要するに踊ったもん勝ちなのだ。ダンスと作曲の同化とい う身体的な特徴を持った音楽に、世界が注目し始める状況がかつてあっただろうか。この音楽の喧噪に気付 き始めた各国を尻目に、この『DA MIND OF TRAXMAN』のクオリティは、シカゴにおけるコアのフェーズを また一つ前進させた。ジュークのターニング・ポイントといえる今作は、音だけでなく興じ方の側面もクラブ・ ミュージックの潮流において無視できない鮮烈な存在感を放っている。というかレコード屋に陳列されたこ の余りに奇抜なジャケットは、イヤでも目に入るだろう。眼に飛び込んできたその違和感こそ、シカゴのドー プネスを浴びることができる入り口である。さぁ真打ちの登場だ。シカゴ・クラシックとして君臨すること が決定的な作品の誕生を、下半身の躍動と共に祝おうじゃないか。（A） - 14 -

EP 4 LINGUA FRANCA E.P. （Brutal Music)

日本のニューウェーブ／ポスト・パンクの歴史における生きた伝説である、EP-4 の楽 曲がドン・トーマス主宰のレーベル＜Brutal Music＞から 12 インチでシングルカット された編集盤。昨年突如再発された CD『昭和大赦』『昭和崩御』とは別に、ヴァイナル でのリリースは DJ には嬉しいニュースである。 EP-4 による音楽は「汗のかかないファンク」と呼ばれ、アフリカ音楽やニューウェーブ、 ファンクなどメンバーの音楽的嗜好と影響を聴きとることはできるが、同時に明らか に異質なものも混在して鳴る。跳ねているけども跳ねていないリズム。脱臼した怪我 人が病室で踊っているようなイメージを想起させる。語義矛盾に解釈されようが、先 の「汗のかかないファンク」という表現の的確さを納得させられるし、佐藤氏の能面 のように冷ややかな 顔 の 下 に あ る 素 顔 へ の 恐 怖 心 に も 似 た 興 味 を 抱 か せ ら れ る。 中心人物である佐藤氏は当時、音楽製作以外での様々な活動も並行して盛んに行って おり、今で言うところの「ZINE」 （自費出版の雑誌といえばいいだろうか）である『制服、 肉体、複製』においてはネオ・ナチの党員へのインタビューを行うなど、佐藤氏が外 界へ放とうとした熱量の大きさを伺い知ることができる。シングルカットが DJ 目線で の喜びを招く他方で、その溝に込められた佐藤氏のもっていた熱量もが復刻し、その 姿を聴く／見ることができるとすれば、それは重要な検証対象になるのだろう。もっ とも、当時のこの「波」もがネタ的に消費されなければの話だけれども。(N)

Bandcamp や Sound Cloud を通して Occult You 名義でもリリースを重ねる東京在住ト ラックメーカー Taquwami による 2012 年一発目のリリース。チョップド & スクリュー、 ボーカルのピッチシフトや、浮遊感のあるシンセ、ヒップホップのビート、そして底 を流れるシンセベースのサウンド。まさに「今の音」の要素を取り揃えながらもどこか 懐かしいのは、その声が奏でるメロディがどこか耳に馴染むからなのか。そこには古 き良きＳＦアニメのオープニング曲にあるような懐かしさとワクワク感が調和してい る。ウルトラマンキッズを毎週楽しみに見ていたそんな時代が私にもあったことをな ぜか思いだしました。続いてリリースされた「τiмe Δf+er τiмe」、そして Bad Panda Records からリリースされたばかりの「Fắη†Δ§ỷ」と、とりわけ「vvi+h you」以降 のトラックは、Tri-Angle のアーティストや XXYYXX、Rudyyp なんかのチルウェイブ を通過したビートメーカー達を引き合いに出したくなるけれど、チルウェイブの浮遊 観、クラウドラップのけだるさやウィッチハウスの憂鬱ー魅かれるのはむしろ、オー ケストラルなシンセのレイヤーに包み込まれたそれらの間を漂うようなボーカルの旋 律、そしてそれが残してくれるセンチメンタルな余韻の方かもしれない。その不思議 な感触のおかげでまた再生ボタンを押してしまう。ここではないどこかへ連れて行っ てくれるんだけどそれはバッドトリップなんかじゃなくて。目覚めのいい現実逃避と でも言うのでしょうか。フィジカルリリースはまだのようだけど、twitter 上でもたま にアップされるフォトコラージュみたいなアートワークつけてカセットでリリースし てほしいなーそして誰かこのトラックでラップしてほしいなーとか勝手に思ってます。 (5)

madmaid workingholic EP （路上レーベル )

Taquwami vvi+h you （self release)

ジュークを制作するビート・メイカーがこの１年くらいで急激に増えたのは言うまで もない。今年に入ってからはマルチネ・レコーズで見覚えがある名前がジュークに手 を伸ばしている。Madmaid も本作『workingholic EP』でジューク・トラックを突き出 してきた一人である。この彼ら、ジュークを創り始めて数ヶ月とは思えないクオリティ を簡単に出しているように映る。この器用さは、音楽的な心地よさでジュークを聴か せる。ビート、クラップ／ハット、ループしたメロディが 4/4 の拍子に収まりよく整 えられたフレンチ・ジュークのアプローチに通じている。シカゴへのリスペクトも見 せるフランスのシーンだが、単純に音にノることができるジューク・トラックが興隆 しており独自の色を見せている。この EP も、Daft punk『One More Time』や、マル チネのアンセムとしても名高い『Big Shot It Floor』など大ネタ使いなど、馴染みがあっ て快い耳ざわりのメロディにフレンチ寄りの印象を今作に感じた。これらのトラック はジュークのエクストリームさが苦手なリスナーの取っ掛かりにもなり得る。一方で、 何か既存のリズムから逸脱しようとするようなズレたタイミングのビートや声ネタも 散見される。フットワークの体験を反映するビート・メイカー達は、このズレを感覚 で打ち込みシカゴという側面を鮮明にする。彼もまた『USED 90 s E.P.』など過去の音 源で見せたグリッチ・ノイズをぶった切るカットアップの手腕で、シーケンスを敢え て崩そうと腐心する。特に「ダンスをするのが超大事！」、このトーフビーツによるフ レーズを大胆にチョップする様子は、ネット・レーベル世代から Juke/Footwork への センセーションにも取れる。彼らのフットワークが如何なる方向へ変化するか、本作 をきっかけに注視してみようと思う。(A)

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Fleetwood Mac

The Balearic Sound Of...

（Sunkissed Recordings)

Fleetwood Mac のいくつかのアルバムからの編集盤である本作はタイトルに 「バレアリック」 の 語 が 掲 げ ら れ て い る こ と か ら、こ の バ ン ド へ の DJ か ら の 評 価 の 高 さ を 証 明 している。 このバンドは、もともとはイギリスでトラッド・フォークを鳴らすバンドであった 1960 年 代後半、そしてアメリカに活動拠点を映す 70 年代以降、現在も現役で活動している歴史の 長いバンドである。本作では 70 年代から 80 年代までの楽曲が選ばれているが、この時代 の Fleetwood Mac はアメリカでヒット作を量産していた頃で、その音楽は端的に言えば大 味のプロダクションであり、他方で盛り上がりを見せていたディスコとの親和性も十分に 感じられる。特に 1977 年には彼らの最大のヒット作である『Rumours』が発表され、ELO や Bee Gees などとヒットを競い合っていた時期であり、当時のディスコブームの盛り上が りとシンクロしていたことは間違いないだろう。その点で、ロックとディスコという二つ の言葉が存在しながらも、その間にはバレアリックという言葉が出る以前から、壁なんぞ はなかったとも考えられよう。 ディスコの快楽性への批判、またこの後のパンクの登場がロックンロールやカウンター・ カルチャーへの回帰とみなされているように、1970 年代後半のロックの肥大化はしばしば 批判の対象になる。とは言え、 歴史的また様々な文化的要素によって音楽が区分されようと、 その試みを独自の視点から脱臼させるのが DJ の重要な役割であるし、バレアリックの姿勢 をとる DJ からこのバンドが支持されることも十分に納得ができる。(N)

ロラン・ガルニエがフレンチ・エレクトロの代名詞的レーベル『ED BANGER』からリリー スを予定しているというニュースは、本当にビックリした。私的な話で申し訳ないが、 僕はこのエド・バンガーの音源にハートを鷲掴みにされて踊りまくった人間なわけで。 初めてダンス・カルチャーの楽しさを体験させてくれたレーベルに、再び驚かされる ことはこの上ない喜びである。そして、レジェンドが僕の経験したエレクトロ・ムー ヴメントから再びリリースを遂げる、というトピックはどうやらフランスだけの話じゃ ないらしい。ゼロ年代のエレクトロ若大将、ボーイズ・ノイズが立ち上げたドイツのレー ベル『Boys Noize Records ( 以下 BNR)』からは、DJ ピエールが突如 EP をリリースした。 この BNR からリリースされる EP は『BNR TRAX』とカバーにクレジットされる。これ は紛れもなくシカゴ・ハウスの代表的レーベル『TRAX RECORDS』に対するプロップ スの表れだ。国も世代でも接点が無い位置からの憧憬に応えるよう、このパイオニア はアシッド・ノイズを下世話に響かせる。この下半身がくねるようなベースラインか ら産まれるグルーヴは、時代を問わず踊る喜びをクラウドにもたらす。ハウス・ミュー ジックが今なお支持され、繰り返し価値が見直され続けるのは、クラバーがシカゴ・ マナーを欲している何よりの証拠だ。このリスペクトを集めるルーツへ、ゼロ年代の エレクトロ・ムーヴメントで産まれたビート・メイカー達はリンクできるまでにデカ くなった。シカゴ・アシッドを存分に堪能できる本作と共に、彼らの成長に立ち会う ことができて本当に嬉しい。(A)

V.A.

We Are The Works In Progress

(Asa Wa Kuru)

DJ PIERRE

ACID / JACK DA GROOVE

(BNR Trax)

NY を拠点に活動する Blonde Redhead のカズ・マキノ氏の選曲による震災復興のチャリ ティ・コンピレーションが、彼女の主宰するレーベル＜Asa Wa Kuru＞からリリース。参 加アーティストには、Four Tet や Deerhunter、また Terry Riley のような大御所までもが 含まれ人選は幅広いが、どの楽曲もが Blonde Redhead の音楽性との結び付きを感じさせ る美しさや嘆美さをもつものであり、一つのアルバムとしてのまとまりを築いている。 特に、ディアハンターによる柔らかなインストゥルメンタルのノイズ・ミュージックは、 彼らの退廃さと暴力さを備えたこれまでのノイズとは異なった美しいホワイト・ノイズ を聴かせるもので白眉かつ本作のハイライトである。 マキノ氏は震災から復興しようとする日本に生きる人々に届ける音楽として、未発表曲 や未完成の曲を選んだという。本コンピレーションのタイトルが示しているように「発 展中の作品」である。その理由には、作品が創られる道筋にあるエネルギーを復興のプ ロセスと重ねようというマキノ氏の思いがある。僕は、ある作業の完成品にではなく、 作品が発展しているその過程に輝きを見いだし焦点を当てる本作の方法論には、一つの 震災後の表現の在り方があると考える。これは、たとえばアジテーションのように絆と いう言葉を連呼することでは伝わらないだろう、音楽家による震災への一つの向き合い 方だ。音楽製作と復興とを単純に結ぶことに違和感をもつ者もあろうが、音楽家と被災 者そして日本に住む我々との間で、発展へのプロセスを共有するということに、重要な 意味があると考える。コンピレーションという方法を一つの表現と捉えるならば、この 作品は震災後の表現として無視することはできず、また決して復興支援コンピなどと呼 ばれ消費されるべき作品ではない。 本作は美しさに溢れ、そっと聴く者に寄り添うものである他方、坂本龍一が「僕が大好 きだった建物たち。もうほとんど残っていない」と歌う『Bamboo House』 、 そしてジャケッ トの背面に載せられた風力発電の水車の写真といったメッセージも同時に込められてい ることからは、Blonde Redhead のフロントマンとしてのマキノ氏から受け取るものとは 異なった、彼女の誠実さを感じることができる。(N)

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Rhye Open （Innovative Leisure)

あまーい。そしてえろい。それ以外の形容は野暮なのかもー。Rhye という名前の二人 組のデビュー EP のタイトルトラック。素性が謎の二人組のようですが、二人とも名の 知れたバンドに在籍しているらしストリングス、シンセの音、ビート、そして中性的 なボーカル、すべてが心地良く絡み合うソウルミュージックであります。余白や間み たいなものを曲の一部に取り入れているような隙間のあるサウンド、至って平熱のド ライな世界観は The xx を彷彿とさせるけど、EP に収録されている他の曲を聞いてもあ くまで都会的でポップ。さながら The xx の "Night Time" を Tracy Thorn が歌ったそれ に近いのかも。もしくは The xx のロミーがアンニュイ系セクシー・ディーヴァだったら。 悪意はないです。ロミーは大好きです。歌詞に耳を澄ますと、"I m a fool for your belly, I'm a fool for you love...the gentle sting between us" とかちょっともう女子力低 めの私には過剰なくらいのスイートネスですね。おまけに MV。ひたすらエッチです。 しかもなんか女子目線！女子力低めの私にはもうなにがなんだか！スイートネスって かこれ淫夢？まぁそれもそのはず、この曲メンバーの片方の人と今の奥さんが過ごし たビューティフル・ナイトにインスパイア受けてその次の日に作ったんだとか。この エロガッパ！と思う一方で素敵な話でありますゆえ、淫夢のサウンドトラックだなん て野暮なことは言わず、ここは１つ「４分間の sweet dream」ということにしておこう。

ドイツを拠点に様々な名義を用いて活動してきた Stefan Schwabder は、ミニマルテク ノの作品の発表、そして古くはドイツの伝説的ニューウェーブのレーベルである＜ ATA TAK＞などからもリリースを続けてきた才人である。本作は＜ASAWA＞からの初 めてのリリースである。 一聴して耳に飛び込むのは、電子音に加えて鳴らされているトライバルなリズムの鮮 やかさである。とは言え、もはやクラブ・ミュージックに限らず、様々な国や地域の 音楽を吸収していく音楽家はもはや珍しくもなんともない。しかし、ここでトライバ ルという単語に注目するのは、彼が自覚的かどうかはともかく、この単語が特定の「何 か」つ ま り 特 定 の 民 族 を 思 い 起 こ さ せ る わ け で は な い 点 に あ る。 本作において注目したいのは、リズムにおけるポリリズムの鮮やかさと、単純にテ クノの電子音にパーカッションの生音を足したという平凡な方法論には終始していな い、両音の間の境界線をぼやけさせるサウンド・プロダクションである。この二つの 側面が、我々の耳がテクノとしてこの音楽を聴こうとすることに抗っているように僕 には思えるし、アフリカでもカリブでも東南アジアでもない「あっちの世界」に住む 民族との出会いを招いてくれる。 なお、僕には彼の音楽における属性の無さは、逆説的に彼のそしてドイツ人及びド イツのこれまでの音楽、芸術史というものに光を照射することになっているのかなぁ とも感じることができた。彼が以前リリースをした＜ATA TAK＞の正式名称は ART ATACK であり、芸術という語の本質として「挑戦」を置く。ただ、1986 年生まれの僕 の家にはインターネットに触れる環境は中学生の時には既にあり、文化的な意味での 未開の地はどこにあるのかという問いが有効性をほぼ失っているとすれば、＜ATA TAK ＞のような方法論は、新しさは無い。だからこそ、トライバルという言葉のもつ本質 に迫ろうとする彼の試みは、十二分に魅力的に聴こえた。(N)

LX SWEAT Sweat Sweat Sweat （Not Not Fun)

HARMONIOUS THELONIOUS

Drums Of Steel EP (ASAWA)

再生ボタンを押して「あ、これ 45 回転か」と気づいて回転数を変えて始めから聞き直す、 なんてことはヴァイナルを買っている人であれば誰でも体験していることだと思うけ ど、最近は 45 回転で普通に聞いていたものが、公開されてる PV を見て初めて 33 回 転だったことを知る、なんてことも結構ざらにあるんじゃないかと思います。この LX SWEAT のアルバムもそうで、再生ボタンを押した途端聴こえてきたスローなビートに 「あー回転数間違っちゃったー」と思った。思ったけど、これカセットだった。と、い うわけでディスコやハウスに参照点を置くようなサウンドにインディーのリスナーの 耳を向けさせたのは Not Not Fun や 100% Silk の影響も大きいと思うけど、このドイツ のトラックメーカー LX Sweat の作品もその NNF から限定 110 本のカセットでリリー スされています。昨年 Seletitle 誌のサイトで NNF / 100% silk の mix が公開されました が、その締めくくりとしてこの LX Sweat のトラックが使われてました。ハウスなんだ けどだるだるに遅くした結果 R&B ぽくなってるということなんだろうか。レーベルメ イトの Maria Minerva や ITAL なんかを思いっきりスクリューさせたようなサウンドな んだけど、 「スクリュー」じゃなくて「スローモーション」って言いたくなっちゃうのは、 全体として B 級 SF 映画のサウンドトラックのようなムードが漂ってるからかも。ボー カルの声もどこかロボットぽい。それもハイテクなやつじゃなくて本当に無骨なおも ちゃのロボット。それでいてアートワークのようなアメリカのロードムービーなんか に出てくる田舎の安モーテルの佇まいがしっくりくるようなくたびれた雰囲気。 未来なのか過去なのか、曖昧に切り取られた不思議な空間を作り出しているかのよう です。(5)

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Internet Roundup 止めどなく流れるインターネット上の情報の中で我々カヤノソトクルーが気づいたら ブックマークしてた、ふぁぼってた情報たちをストックしてみました 2 月後半∼3 月編

sun mon tue wed thu

2/

[release] Main Attrakionz Chandelier Redux

[blog] [DL] JUKE & Ghettotech DJ TORCH2011 TOP5 Oooo #4 秋岡良寛

fri

sat

[DL] konyaganatanaka galaxxxy 5th anniversary mixxx [DL] Mountainssprout session

[stream] SBTRKT Hold On (Sisi Bakbak Remix)

[DL]

[news]

12 13 14 15 16 17 18 [DL] ERA 3 WORDS HIS WORLD

[DL] Move DFACT mix [Video] OFWGKTA - Rella

[DL] [blog] Science of Rusko - Somebody Footwork to Love (Skream [DL] Remix) 『EYESCREAM.JP Mix [stream] Punpee- いいんじゃない Archives』#09 CRYSTAL (2010)MASH UP/PSG

[DL] SNEEZE Feel So Good [news] Raster-Noten to release kyoka

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[special] DJ Family & DJ Fulltono Special 対談

26 27 28 29 1 [stream] [stream] Kodiak Tanlines Mixed Emotions Spreo Superbus

4 5

(Girl Unit Remix) [stream] Maverick Mixtapes: Tyondai Braxton

Da Chip Volume 2

GOOGLE LAUNCHES NEW FEATURE

THAT HELPS YOU SEE MORE GIGS

[news] Andrew Weatherall launches new vinylonly label

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[blog] Prince Jron Interview

[blog] [DL] Seapunk Washes Denki Groove Up Niji (Guchon Juke Edit)

[stream] Balam Acab Come True & Just Stay [DL] Serviceʼ s Decennium Compilation

[stream] Paveun Connection

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11 12 13 14 15 16 17 [DL] Clams Casino "Moon and Stars (Remix Instrumental)

18 19 20 21 22 23 24 [DL] Julian Black Heart [stream] Saphire Slows Break Control

[release] White Scooper Dazzle

[DL] Elite Gymnastics - RUIN 3

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球

技

大

会

第０回

text by D.J.A.D

音楽のことはもうお腹いっぱいなので、少し離れてこのコラムではスポーツのことについて書こうかと。 球技が好きなので、タイトルも球技で思いついた単語でパッと決めました。どうぞスポーツコラム『球 技大会』をこれから宜しくお願いします。 さて、突然ですが僕の特徴の一つとして色んなスポーツを経験したからか、どのスポーツも抵抗無く観 ることができるんです。本文では僕のスポーツ遍歴を。 ・小学校４年∼６年 少年野球 ( ポジション、ライト→ショート→キャッチャー ) ・中学３年間 サッカー部でゴールキーパー (１年生からベンチ入りするも控えが多かった ) ・高校３年間 ラグビー部 ( ポジション、ロック )、北海道選抜のレギュラーでした ( へへへ ) こんな感じで、一つのスポーツにのめり込むこと無くちょいちょいつまんで楽しんでた。 まず野球を始めたのは、父がキャッチボールを誘ってきて……といったベタなエピソード。 実は、僕が赤ちゃんの時に阪神の法被を着て地元新聞に虎の DNA を持った赤子、的な記事が地元新聞 に掲載されたという黒歴史もある ( 何てことしてくれたんだ )。まぁ大阪出身の父による阪神絶対論の 洗脳も小４の時には解けて、日ハムが北海道に移転してくるまではどこファンということではなくプロ 野球自体を楽しんでいた。小１の時から図書館でプロ野球年鑑を借りて読み漁るような興味は今でも健 在している。 ただ野球を続けるという熱意は、小学時代は親の仕事による転校を重ねるうちに冷めていった。 それは、強かった野球チームを離れて弱小チームに行くという小６の時の転校で決定的なものとなった。 守備は下手だが打撃が得意で何とかライトを守ってた人間が、チームが変わって一番守備が巧いから ショートだキャッチャーだなんて言われたら、嬉しさよりショックの方が大きかった。 「もうイヤだ」と。 そんなこんなで中学は何故かサッカー部に入部。しかしこれといった思い出はあまりない。 先輩が怖かったことくらい。あとリフティングが人並みよりは巧くなったこと。それくらい。でもこの サッカーの経験は球技をやるにあたっての、器用さが身に付いたような。手や脚でボールを扱うラグビー へ繋がったと思う。この当時はラグビーとか絶対ないと思っていたわけだが。 そして高校へ入学。サッカーも続けようとも思わなかったし、野球もブランクあるしムリだから 帰 宅 部 だ な ー な ん て 思 っ て た ら、ク ラ ス の 副 担 任 の M 村 先 生 か ら ア ツ い ア プ ロ ー チ を 受 け て ラグビー部の部室へ連れて行かれたのは今でも憶えている。着替えやスパイクが用意されてて、いつの まにかフルで練習こなして入部届けも出した記憶も余りないくらいスムーズにラグビー部へフェードイ ンしていた。けど人数も多く初心者が多かったりで楽しかった。 このラグビーってスポーツはデブ、背の高いもやし、チビまで彼らじゃないとできない役割がある。 つ ま り ポ ジ シ ョ ン の 特 性 で ス ペ シ ャ リ ス ト が 育 ま れ る の だ。ラ グ ビ ー は 他 の 部 活 に 比 べ て 始めるのが遅くても大成出来る可能性が大きいスポーツなのだ。脚が速い、体重が多い、ケンカが強い ( 度 胸がある ) といった個性がどれか一つでも人より負けない自信があるのなら、ラグビーをお勧めする。 間違いなくハマる。 そんな側面を頭では考えてなかったけど、感覚では楽しいと思えてたから３年間続いたのだと思う。 このようにフラフラと色んなスポーツを親が止めること無く ( 学業の成績が下がりまくって部活やめろ と言われてケンカしたことは何度かあった ) させてくれたせいか、スポーツに関しても色々なものへ興 味が湧くようになった。 野 球、サ ッ カ ー、ラ グ ビ ー だ け で な く、ア メ フ ト な ど も 観 る こ と 自 体 は 好 き だ。 このコラムでは、その時々の国内スポーツのことについて書いていこうと思う ( 特に日ハム、コンサドー レ札幌について )。 そんな西村欣也さん的なクリティカルなことは言えませんが、まぁスポーツ好きの兄ちゃんの戯言、ま たは松木さんの解説のノリで読んで頂ければありがたいっす。じゃあまた。

文／ Shigeru Nakamura

こ の コ ラ ム を 書 い て い る 今 現 在、カ レ ン ダ ー は ３ 月 の ４ 日 を 示 し 要なのかを考えることは、 19 世紀と 21 世紀という時代の違いは て い る。こ の ３ 月 と い う 文 字 か ら、今 の 日 本 に お い て 皆 が 真 っ 先 あ ろ う と も、一 人 の 個 人 と し て 生 き る 上 で 問 い 続 け る 問 題 で あ る に 思 い 起 こ す の は 昨 年 の 東 日 本 大 震 災 の こ と だ ろ う。震 災 に よ っ と 思 う。そ し て、言 う ま で も な く こ の 問 い は 震 災 か ら の 復 興 に お て も た ら さ れ た 様 々 な 問 題 や 課 題 は、た っ た 一 年 と い う 月 日 の 経 い て も 重 要 な 位 置 を 占 め る 問 い で あ る。復 興 と ビ ジ ネ ス が 繋 げ ら 過 で は 解 決 さ れ る こ と は な く、毎 日 否 応 に も 目 に 耳 に す る 報 道 や れ て し ま う こ と、ま た 原 発 事 故 を 契 機 に 高 ま る エ ネ ル ギ ー と の 関 議 論 に よ っ て 重 ね 塗 り さ れ る「３．１ １」と い う 記 号 は、少 な く わ り 方 に つ い て の 議 論 か ら は、ソ ロ ー の 実 践 が 提 示 す る 一 人 の 人 と も 僕 が 生 き て い る う ち は 消 え る こ と は な く、く っ き り と 多 く の 間としての生き方についての問題を強く意識させられる。 人々の身体や心に刻印されている。 震 災 後 は、少 し で も 早 く 復 興 が 成 し 遂 げ ら れ る た め に 自 分 に は 何 「３．１１」は、僕のそれまで持っていた世界の様々な事象への見 ができるだろうという問いを繰り返していた。色々な情報を調べ、 方を非常に暴力的な方法で変えた。観るもの、読むもの、話すこと。 ち っ ぽ け で は あ れ ど こ ん な 自 分 に 何 が で き る だ ろ う か。こ の よ う お そ ら く は 僕 自 身 で は 意 識 の 届 か な い 何 気 な い 振 る 舞 い ま で も が に 思 い な が ら、色 々 な 所 に 出 か け、色 々 な 人 と 話 を し た。し か し 変 わ っ た か も し れ な い。僕 が 震 災 以 後 に 読 ん だ も の で 特 に 惹 か れ そ の 反 面 で、と に か く 全 て の も の か ら カ ッ ト さ れ た と こ ろ に 行 き たものは、雑誌『現代思想』の「震災後に読むべき 50 冊」を特集 た い と も 考 え る よ う に な っ た。繋 が る こ と の 力 は イ ン タ ー ネ ッ ト し た 号 で、研 究 者 に 限 ら ず 幅 広 い 分 野 か ら 選 出 さ れ た ５ ０ 名（そ に よ っ て と て も 大 き な 力 に な っ て い る こ と を 肌 で 感 じ る 事 が 多 の 中 に は 野 田 努 氏 や 渋 谷 慶 一 郎 氏 も 含 ま れ て い る）が、震 災 後 に か っ た し、ま た 音 楽 や 美 術 な ど の 表 現 に 関 わ る 人 た ち の 中 に も 感 じ た こ と を 綴 り な が ら そ の 思 い と 関 連 す る 書 籍 を 取 り 上 げ て い 「３．１１」以降の表現に積極的に関わろうとする人も少なくない。 る。僕 は 同 誌 を 今 で も 枕 元 に 置 い て い て、ふ と 思 い 立 っ た 時 に パ た だ、僕 に は そ こ で 繰 り 返 し 提 示 さ れ る「絆」と い っ た 言 葉 に 素 ラ パ ラ と 捲 り な が ら 気 に な る 書 籍 を チ ェ ッ ク し て い る。お そ ら く 直に手を伸ばす事にはなれない。 今 後 も 長 い 間 枕 元 に 置 か れ る こ と に な る で あ ろ う 雑 誌 な の だ け れ 僕 た ち が 生 き る い ま、オ ル タ ナ テ ィ ブ な も の は イ ン タ ー ネ ッ ト を ど、そ こ で 取 り 上 げ ら れ て い な か っ た も の で 僕 が 震 災 後 に 読 み 直 切 断 す る こ と か ら 導 か れ る と 言 っ た の は 中 原 昌 也 氏 だ っ た け れ した一冊に、 ・H ・Dソローの『森の生活』がある。 ど、切ってみようと思う線は僕にはいくらでもある。こんなこと、 ソローは、 19世紀アメリカに生きた人物で、３年間を森の中で暮 ユ ー ト ピ ア 主 義 者 の 戯 れ 言 に し か 聞 こ え な い か も し れ な い し、た らした経験を持っている。著書『森の生活』は、タイトルのとおり、 だの逃避にしか感じられないかもしれない。 彼 の 森 で 暮 ら し た 経 験 が 回 想 録 の よ う に 書 か れ、そ こ に は 急 速 な し か し、僕 が 震 災 後、繋 が ろ う と い う 空 気 が 満 ち て い く 他 方 で、 文 明 の 発 達 か ら 距 離 を と っ て 暮 ら し た 生 活 を 通 し て 得 た 彼 の 哲 学 一 人 で 過 ご す 時 に「切 り 離 す べ き も の は 何 か、問 い 直 す べ き も の が 反 映 さ れ て い る。決 し て 小 難 し い 文 章 で は な く、自 ら の 手 で 家 は 何 か」と 考 え る こ と が 多 く な っ た こ と は 事 実 で あ る。た だ、考 を 建 て た こ と、湖 の 水 が 炊 事 な ど 重 要 な ラ イ フ ラ イ ン で あ る こ と え れ ば 考 え る ほ ど、切 り 離 せ な い も の の 大 き さ が 迫 っ て き て、考 な ど、産 業 革 命 後 の さ ま ざ ま な 社 会 発 展 を 横 目 に 観 な が ら の 森 で え ざ る を 得 な い 何 か が 現 れ る。逃 避 と 反 抗 と は コ イ ン の 裏 表 だ、 の生活を、日記にも近い文体で記している。 と ふ と 思 い 浮 か ん だ。ど ち ら か を 考 え れ ば、そ の 裏 側 が 現 れ る。 自 ら の 暮 ら し を そ の 手 で 一 か ら 築 い て い っ た 彼 の 実 践 か ら は、現 僕 は 今 一 度、次 の 反 抗 の た め に 逃 避 を 選 ぶ。そ れ は 多 分、 在 の 僕 た ち の 生 き 方 を 規 定 し て い る 資 本 主 義 や 市 場 と の つ き あ い な ん と な く ク リ テ ィ カ ル な は ず で 。■ 方、ま た 国 家 や 統 治 と い う キ ー ワ ー ド に つ い て、自 分 を 取 り 巻 く 様 々 な 事 柄 の 意 味 を 見 返 そ う と い う 気 持 ち が 起 こ っ て く る。自 分 を規定する 様 々 な 環 境 あ る い は 技 術 を 見 つ め 、 何 が 必 要 で 何 が 不

クリティカル

なんとなく

美波里ならこう言うね

前田美波里は名前に VIVA という単語が入っている。いや "Maeda Bibari" だろ？ "Biba" じゃん。とかそういうのは別にいらないです。 前田美波里の顔を頭に思い浮かべてください。ほら、あれは確実に "Vivari" でしょ。ヴィヴァリ。なんかラテン系な感じするし。旅行いく ならミラノ、ダンスはタンゴ、アートはルネッサーンス！みたいなそ ういうあれっぽいじゃないすか。"VIVA" っていう単語の持つ語感っ てなんか多幸感っていうか祝祭性っていうかそういうのあると思うん ですけど。"VIVA" か "Hallelujha" かってくらい。私の名前「美波」で すけど、もし読みが「ヴィヴァ」だったら性格変わってた気がする。 話は変わりますが、先日、原美術館で開催されていたジャン＝ミシェ ル・オトニエルの日本初の個展「マイウェイ」に行きました。ムラー ノガラスで作られた立体作品群はパッと見すごく綺麗で心を奪われる 一方、よくよく見ると綺麗な赤が人間の血のように感じられたり、形 がなんかの臓器っぽかったり、カラフルで夢のような世界である一方 で、人間の生とか性とかそんなんが感じられて面白いなと思ったわけ なんですが。お客さんが若い女性やカップルとかが多かったんですけ ど、この人たちが写真を撮りまくる。作品が撮影可だったので。近づ いて作品を観察していると、カメラを構えている彼らの邪魔そうな視 線を感じるわけです。おまけに作品と彼女のツーショットを撮る彼氏 とか。私などは写真撮ってないで自分の目で見て記憶しろや、けっ、 とか思ってしまう残念な性格なんですが、まぁ思い出として撮るって のはわかります。わかりますけれども、そのかわいい彼女とツーショッ ト撮ってるガラスの作品。それ、ちんちんですやん。ちんちんのメタ ファーですやん。いい感じに外光を通してて確かに綺麗だけども。ち んちんと彼女のツーショットとるってどんなプレイなんすか。やめ てー。 で、これ美波里姐さんだったらどうか。美波里は撮る。作品と自分の ツーショットだって撮る。ちんちんだとわかった上で撮る。自分自身 という作品、そしてオトニエルが何かを意図してちんちんの造形に作 り上げたそれ。二つが写る写真はさそがし大変な騒ぎでしょう。そん な美波里に私はなりたい。 そんなコーナーですこれは。 ちなみに美波里の名前の由来は美波里の祖母 Beverly さんから来てる そうです。お母さんがアメリカ人とのこと。ぜんぜんラテンじゃなかっ た。アメリカンだった。

文／ 510373

kayano_soto issue 1 text & edit by kayano_soto crew D.J.A.D Shigeru Nakamua 510373 http://blog.livedoor.jp/kayano _soto/ contact:radiokayanosoto@ gmail.com