Fashion Transparency Index 2022 - Japanese Translation

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FASHION TRANSPARENCY INDE X

2022 EDITION

世界の大手ファッションブランドおよび小売業者250社 を対象に調査を実施。人権と環境に対する各社の方針、

実践、効果についての公開度合いをもとに、ランク付け を行っています。

EXECUTIVE SUMMARY

Fashion Revolutionについて

Fashion Transparency Indexについて

初めに

今年のインデックスの変化 主な調査結果

主な結果

このインデックスについて

私たちが見たい変化

産業システムの中と外での私たちの役割 政策の変革・文化の変革・産業の変革

変化を起こすために透明性が大切な理由

Fashion Transparency Indexの役割と目的

Fashion Transparency Indexが起こす変化

現場での透明性

調査の方法と範囲

ブランドと小売業者の選定基準

ブランド参加とは

ブランド一覧(アルファベット順)

調査範囲

調査プロセスについて

調査方法について

調査方法に関する諮問委員会

調査の限界

調査結果の算出方法

得点の割合

最終スコアの見方

本出版物の内容は、Fashion Revolutionの資金提供者の見解を一切反映していません。

結果と分析 最終スコア 調査結果概要 各分野ごとの平均スコア

1. ポリシーと公約

2. ガバナンス

Viewpoint: Share Action社 Maria van der HeideとMartin Buttleへのインタビュー

3. サプライチェーン・トレーサビリティ

Viewpoint: ウイグルの強制労働を撲滅するには、原材料の調達先の透明性が不可欠

4. 把握・開示・改善

Viewpoint: 在宅労働について、そして在宅労働者についても、より透明性を

5. 重点課題

Vewpoint: 貧困賃金を払うことで、CEOは女性の人生を奪う

Vewpoint: グローバルブランドは団体交渉に参加せよ—それが労働者の権利を向上させる 究極の方法だ

Vewpoint: 多様性は、単なる化粧品ではない。システム全体の平等性を理解し、解放する手 段である。

Vewpoint: あなたの廃棄は私たちの問題—世界的な埋立地と地域への影響

Vewpoint: グリーンウォッシュを根絶し、透明性を高めるために規制が必要な理由

Vewpoint: 気候、自動化、循環性

Vewpoint: デトックスが進む一方で、衣料品廃棄物の輸出はファッションのビジネスモデル 転換の緊急性を示す

Viewpoint: グリーンウォッシュ回避のために、脱炭素化目標についての透明性と信頼できる データが必要だ

© Fashion Revolution CIC 2022. All rights reserved. この資料はFashion Revolution CICの許可なくコピーや翻案をすることはできません。

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37 38 39 40 41 50 56 57 67 68 75 76 84 91 93 100 101 102 106 111 112 113 115 116 121
CONTENTS
You 参考文献 免責事項 FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 01 CONTENTS
最終結論と推奨事項 透明性に向けた行動 Thank

概要

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 02

ファッションレボリューションは、環境を保全・修復し、成長や利 益よりも人を大切にするファッション業界の実現を目指して活 動しています。バングラデシュのラナ・プラザ(5つの縫製工場

が入った商業ビル)の崩壊事故をきっかけに設立され、ファッシ ョン業界の透明性と説明責任の向上を求めるファッションレボ リューションの呼びかけに何百万人もの人々が参加するように

なりました。Fashion Revolutionは、調査、教育、提言活動を 通じて、市民、産業界、政策立案者を動員し、世界最大のファッ ション・アクティビズム運動となりました。

ファッション業界の問題は、決して一人の人間や一つのブラン ド、企業によって解決できるものではありません。だからこそ私 たちは、私たちの声でシステム全体を変革することに注力して います。システム的、構造的な変化により、ファッション業界は 何百万人もの人々を貧困から救い、彼らに適正で尊厳のある 生活を提供することができます。生きている地球を保全し、回復 させることができます。人々を結びつけ、個人やコミュニティの 喜び、創造性、表現力の大きな源となることができます。

Fashion Transparency Indexは、世界最大 のファッションブランドおよび小売業者250社を 対象に、自社事業およびサプライチェーンにお ける人権や環境に関する方針、慣行、影響につ いて、公開の度合いに応じてランク付けしたも ので、毎年発表しています。

私たちは、最も収益性の高い最大手のブランド や小売企業に焦点を当てます。なぜなら、これら の企業は労働者や環境に最大の悪影響を与え ており、それゆえ変革のための最大の責任を負 っているからです。

透明性は、世界のファッション産業において体 系的な変化を達成するための基礎となるもの であり、だからこそ私たちは2014年からその ためのキャンペーンを展開し、このツールを 作成しました。透明性は変革の土台となるも のですが、残念ながらファッションのバリュー チェーンの多くは不透明なままであり、搾取が 平然とまかり通っています。透明性は最初の 一歩であり、急進的ではありませんが、必要な ことなのです。透明性は持続可能性と混同さ れるものではありません。しかし、透明性がな ければ、サステナブルで、説明責任を果たし、 公正なファッション業界を実現することは不可 能でしょう。

Fashion Transparency Indexは、人権や環 境問題に関するブランドの情報公開を、5つの主 要分野の246の指標で評価しています。

1. ポリシーと公約

2. ガバナンス

3. サプライチェーン・トレーサビリティー

4. 把握・開示・改善

5. 今年の重点課題は以下の通り

• 働きがいのある人間らしい仕事、新 型コロナウィルス感染症への対応、 生活賃金、購買慣行、組合結成と団 体交渉

• ジェンダーと人種の平等

• サステナブルな調達と素材

• 過剰消費とビジネスモデル

• 廃棄物と循環性

• 水と化学物質

• 気候変動と生物多様性

このインデックスの仕組み、透明性が重要な理 由、および方法論については、21〜23および 27〜36ぺージをご覧ください。

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 EXECUTIVE SUMMARY 03
FASHION REVOLUTION について FASHION TRANSPARENCY INDEXについて

初めに

気候の破局を回避するために残された時間は、 あと7年余りです。私たちはすでに9つの惑星の 境界線のうち6つを突破しています。しかし、差

し迫った気候危機に対して、ファッション業界は いまだに否定的で麻痺しています。ファッション 業界が生産レベルを下げる気配をほとんど見

せず、気候への影響について透明性を保ってい

るブランドが非常に少ないという事実と、コミッ トメントが矛盾しているのです。大半のブランド

は、衣料品の廃棄物がガーナやチリなど、地域 社会が廃棄物の山を管理している場所に運ば

れていることを認めていません。しかし、産業界

の不正は、孤立した事件ではなく、広く存在して

いるのです。ある場所に捨てられた廃棄物は、世 界中を回り、世界的な影響を及ぼす可能性があ るのです。マイクロプラスチックは、南極の新雪 や人間の血液から初めて発見されました。河川

は生物学的に「死んだ」と宣言されつつありま す。今までに、「もうたくさんだ」という閾値は何 十回も越えてきました。

Fashion Transparency Indexは、業界は方

針やコミットメントは開示するものの、その結果

や影響についてはあまり開示しないことを改め て示しています。一部のブランドは、「遅くとも

2050年までにネットゼロエミッションを達成す

る」というような数十年先の目標を共有する傾

向がありますが、人類にコードレッドの警告が発 せられている今、恐ろしく不十分なものでしか ありません。

2022年は、ロシアによるウクライナへの壊滅的 な侵攻もありました。甚大な人命の損失ととも

に、現在も続く難民危機の中でヨーロッパに流 入する難民、食糧不足の深刻化、サプライチェー ンの寸断が起きています。これは、インフレの高 騰により、世界的な生活費危機の火種となって います。このことがファッション業界と労働者に 意味するのは、脆弱性の増大です。英国では、人 気ファッションブランドであるミスガイデッドが 経営破綻し、サプライヤーに数百万ドルの債務 を負わせることになりました。衣料品店で働く 人々は、自分たちが直面している賃金の盗難に 抗議するため、今、立ち上がっているのです。こ

れは、ブランドの有害な購買慣行がサプライヤ ーと労働者の福利に影響を与えるもう一つの例 となります。

多くの人にとって、生活費の危機は2008年の 壊滅的な世界的不況への逆戻りのように感じら れます。しかし、ほとんどの縫製労働者は、そも そも手探りの生活から脱却できていない。生活 賃金は基本的人権であり、労働者、その家族、コ ミュニティにとって変革的であるにもかかわら

ず、彼らはいまだに生活賃金を保証されてい ない。また、気候危機との戦いにも役立つ可 能性があります。私たちの調査によると、過去 3年間、ブランドはこの問題についての情報開 示に進展がありませんでした。

歓迎すべきは、政策立案者がグローバルなサ プライチェーンにおける多国籍企業の行動 に対する規制の必要性をますます認識するよ うになってきたことです。米国、EU、欧州のい くつかの国や日本で、企業の責任を問う法案 が提案され、可決されたほか、カリフォルニア 州では衣料品労働者保護法が画期的に可決 されました。

このため、私たちのキャンペーンGood Clothes, Fair Payは、衣料、繊維、履物セクタ

ー全体に画期的な生活賃金法を要求するた めに、2022年7月19日に開始されます。

気候変動と不平等という2つの危機に真に取 り組むには、社会の価値観の転換が必要で す。成長や利益よりも、人間や環境の保全・回 復を重視しなければならないのです。

私たちは、循環型社会への移行を正しく設計 するために、服を作る人々(農家から加工業

者、縫製業者まで)の生きた専門知識を取り入 れなければなりません。そして、これを衣料品の 廃棄物を管理する人々や、私たちの衣料品消費 によって影響を受ける地域社会にも広げていか なければなりません。

今こそ透明性を高めるべき時です。私たちは、人 権と環境に大きな影響を及ぼす気候危機に直 面しており、責任の所在を決めるのに時間を費 やしている場合ではないのです。

グラスゴーのFRIDAYS FOR FUTURE MARCHにて、FASHION REVOLUTIONのLIV、CIARA、DELPHINEがCOP26にて撮影。

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 EXECUTIVE SUMMARY 04

今年のインデックスの 変化

過去数年にわたり、私たちは情熱的なコミュニ

ティの声に耳を傾け続けてきました。私たちは、 ステークホルダーへのインタビューやメディアレ ビューを通じてインデックスの詳細な見直しを

行い、手法を強化し、ブランドや小売業者が方針 やコミットメントを超えて、影響や成果に関する

情報公開を行うよう、さまざまな措置を講じまし た。私たちは、方針が必ずしも事業の運営方法 を正確に反映していないことを理解しており、よ

り厳しい情報開示を促すために、セクション1「 ポリシーとコミットメント」とセクション5「重点課 題」に特に重点を置き、インデックスに含まれる

すべての指標に対するガイダンスを強化しまし た。例えば、「方針とコミットメント」のサブセクシ ョン1.2では、ブランドが残業代に関する方針を 持っているかどうかを評価する際、「残業代は割 増で支払われる」というだけでは不十分です。私

たちは、最低賃金を上回る割合の開示を求めま す。さらに、セクション1.2において、ブランドの 方針がサプライヤーに何かを「奨励」または「示 唆」する場合、それは要件でなければならない、 という指摘は認めていない。言葉は、あいまいな 場合、責任を回避するために使われることがあ り、私たちの目的は、使用されている言葉をより 詳細に精査することでした。

ライセンス

また、「セクション1:方針とコミットメント」のス コアの加重を半分にし、サプライヤーの監査、 生活賃金、購買活動、ジェンダーや人種の平等、 サプライチェーンにおける気候や水のデータな どの問題の実施と結果に焦点を当てた指標を より重視するなどの昨年の変更点を引き継いで います。これらの変更により、人権や環境への影 響を管理するための行動に関する情報公開を 優先させることができるようになりました。

気候変動危機に鑑み、ブランドと小売業者がサ プライチェーンにおける環境リスクをどのように 特定、管理、緩和、防止しているかについて、新 たに5つの指標を追加しました。詳細な分析に ついては、72-74 ページをご覧ください。

ファッション業界における強制労働問題の広が りを考慮し、主要ブランドが採用プロセスについ てどのような情報を開示しているかを見る3つの 指標を復活させました。採用費へのアプローチ を含むほか、現代の奴隷制リスクの広がりにつ いて、過剰な強制残業、移動の自由の制限、労働 者のパスポート保持などのリスク要因を取り上 げています。詳細な分析については81-83ペー ジをご覧ください。

I私たちの調査をより明確にし、調査の利用方法 に関する懸念に対処するため、Q&Aセクション を更新し、関連する質問にお答えしています。最

後に、この指標がブランドによってグリーンウォ ッシュの目的で悪用されたり、倫理や持続可能 性の指標として誤解されたりしないよう、審査対 象のブランドや小売業者に対するコミュニケー ション・ガイドラインを強化しましたので、こちら でお読みください。私たちは、このインデックス

への参加をグリーンウォッシュのために利用する ブランドを厳しく非難し、誤解を招くようなコミ ュニケーションを発見した場合には、これまでの 事例と同様、これを是正することを約束します。

もし、このインデックスについてブランド側が何 か懸念していることを見かけたら、ぜひお知ら せください。

Fashion Transparency Indexは、Creative Commons Attribution-NonCommercial 4.0 International(CC BY-NC 4.0)の下で ライセンスされています。これはFree Culture Licenceではありません。詳しくはこちらのリン クをご覧ください。

当社が提供するRaw Data Fileについて、当 社は、本インデックス作成のために当社が編集 したRaw Dataを使用するライセンスをお客 様に付与するものではありません。お客様は Raw Data Fileを閲覧することのみ許可され ています。

私たちは、このインデックスが完璧ではな く、常に改善できるものであることを認識 しています。本指標に関するご意見・ご質問

は、transparency@fashionrevolution.org orgまでお願いします。

Fashion Transparency Indexの複製と 再配布は、以下の条件を満たせば、どのよう な媒体や形式でも自由に行うことができま す。Fashion Revolutionがこのインデックス を作成したことを認めていただければ、どのよ うな媒体や形式であっても自由に複製・再配布 することができます。このライセンスは内容を 変更、リミックス、変換、翻訳、その他の方法で 修正する権利をあなたに与えるものではあり ません。これには、有料のサービスの一部とし て、あるいはコンサルタントや他のサービスの 提供の一部として提供することが含まれます。

必要があります。

ご意見をお聞かせ ください
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 EXECUTIVE SUMMARY 05
このインデックスの全部または一部を 商業化したい場合は、transparency@ fashionrevolution.org からFashion Revolutionに連絡してライセンスを取得する

世界のファッション業界における

透明性の向上は、世界最大のファ

ッションブランドおよび小売業者

250 社の間ではまだ遅々として

今年もまた、主要なブランドや小売業者が、人権 や環境に関するテーマについて、自社の方針、 コミットメント、プロセスに関する情報を最も多 く公開しており、取り組みの結果、成果や影響に ついては著しく少ないことがわかりました。方

針のセクションの平均スコアは51%で、昨年の 平均53%を下回っています。採点基準の見直し やポリシーの文言の掘り下げを行ったため、平

主要ブランドの48%が、製品の裁断、縫製、仕 上げ、出荷梱包など、生産の最終段階を担う一

次製造業者のリストをこれまで以上に公表して います。昨年のインデックスで検討された10ブ ランドは、その後、Bally、Calzedonia Group (Calzedonia, Intimissimi, Tezenisブラン ド)、Chloé、GUESS、Paris、Oliver、Woolwo rths South Africaなど、初めて自社の一次製

可読形式で開示していましたが、現在では250 ブランドのうち31%が機械可読形式で開示して おり、ベストプラクティス開示への収束と整合性 が高まっていることを示しています。

イタリアのブランドであるOVSは、今年も78%

のスコアを獲得し、Kmart AustraliaとTarget

Australiaと並んで最高得点を獲得しまし

た。OVSのスコアは2021年から変化していま

せんが、KmartとTarget Australiaは、22ポイ

ントスコアを伸ばした今年のトップメーカーの

一人です。一方、今年最も躍進したのは、カルツ

ェドニアグループの「カルツェドニア」「インティ

ミッシミ」「テゼニス」で、43ポイント増の54%と なり、昨年の11%から大きく改善されました。

一方、0%を記録したブランドは、以下の17ブ

ランドです: Jil Sander、Fashion Nova、New Yorker、Max Mara、Semir、Tom

Ford、Helian Home、Belle、Big

Bazaar、Elie Tahari、Justfab、K-Way、KOO

Vs、Metersbonwe、Mexx、Splash、Young or。全部で81/250のブランドが0-10%の範囲

にあり、これは世界最大のブランドと小売業者

のほぼ3分の1に相当します。

均点は昨年より低下しています。しかし、このセ クションは、ブランドが最も高い平均点を獲得し ているセクションであることに変わりはありませ ん。最高得点のブランドでさえ、社会監査、生活 賃金、購買活動、組合結成、ジェンダーと人種の 平等、生産と廃棄物の量、循環型社会、化学物質 の使用、サプライチェーンにおける森林破壊と 炭素排出などの問題についての情報開示が不 足しています。もし、ブランドが世界の不平等や 気候危機への取り組みに真剣であるならば、こ れらの問題に関してより高い透明性を確保する 必要があります。

造業者を公表しました。ラグジュアリー、スポー ツウェア、フットウェア、アクセサリーなど、さまざ まな市場セグメントで、またさまざまな地域で進

展が見られるのは心強いことです。今年のイン デックスに含まれる新しいブランドであるJack

Wolfskinはこの情報を開示しており、2022年 の新しい11ブランドは一次生産者を開示してい ます。Fashion Transparency Indexの初期 には、サプライヤーリストを開示することにブラ ンドからかなりの抵抗があったため、現在では、 この指数に含まれる主要ブランドのほぼ半数 が、少なくとも製造施設の主要な選択を網羅し

たそのようなリストを公表していることは、肯定 的なことです。

今回もまた、データの共有方法を統一するため

に、アパレル業界のオープンデータ標準に沿っ

た機械読み取り可能なリストを明示的に求めて

います。これは、問題をより迅速に是正するため に非常に重要です。2020年には、250ブランド

のうちわずか10%がサプライヤーリストを機械

こうした前向きな動きは、Fashion Revolutionの#WhoMadeMyClothesキ ャンペーンや、透明性誓約の盟友のようなイ ニシアティブの勢いによるところが大きいで す。Fashion Revolutionを含む30以上の市 民社会団体が最近行った共同行動の呼びかけ では、ブランドに対し、オープン・アパレル・レジ ストリ(OAR)へのアップロードなど、オープンデ ータ基準でサプライチェーンをマッピングし、公 に開示するよう求めました。私たちのデータによ ると、大手ブランドの48%が第一次工場リスト を公表している一方で、これらのリストをOAR に提供し、積極的にデータを管理している大手 ブランドはわずか17%であることが判明しまし た。政策立案者だけでなく、投資家や消費者か らも、企業がサプライチェーンをマップ化し、開 示することを求める声がますます高まってきてい ます。また、より多くの情報開示を義務付ける法 律案を受けて、ブランドがより多くの情報を開示 している可能性もあります。市民社会と労働組 合が、人権と環境の侵害に対処し、ブランドの責 任を追及するために、透明性のある情報開示を どのように利用しているかについては、24〜25 ページのケーススタディをご覧ください。

進まず、各ブランドの平均スコア はわずか24% で、昨年より 1% 上昇しています。
一次サプライヤーを開示するブラ ンドはこれまで以上に増えていま すが(48%)、半数はまだ何も開 示していません。
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 EXECUTIVE SUMMARY 06
主な調査結果

しかしながら、明らかな進展にもかかわらず、

主要ブランドの半数が依然として何も開示して いないことも、我々のデータは示しています。そ の第一歩として、ブランドと小売業者は自らの サプライチェーンを理解し、開示する必要があ ります。これは、トレーサビリティと透明性の向 上が必要であることを意味します。このような サプライチェーンの基本的な情報を開示しない ブランドが年々増えていることは、この分野で の法整備が切実に必要であることを明確に示 しています。

さらに、第一段階の製造業の開示については 積極的な進展が見られますが、第一段階を超 えた開示が急務であると感じています。私たち が身につける繊維や布を生産・加工するため に、世界中の何百万人もの人々が働いている

生産施設の開示は、まだ遅々として進んでいま せん。今年、15以上のブランドが加工施設の一 部を開示していますが、それでも全体の32%の ブランドしかこの情報を開示していません。原

材料の供給元を一部開示しているのはさらに 少なく12%で、昨年より1%増加しています。昨

年、#WhoMadeMyFabric?キャンペーンと同

時に最新のOut of Sightレポートを発表して以 来、私たちはブランドによるさらなる進展を期待

私たちは、サプライチェーンのトレーサビリティに 関して進展があったことを歓迎し、より多くのブ ランドがサプライヤーリストを開示することを促 します。また、既に開示されているブランドについ ては、より深いレベルのトレーサビリティとより包 括的な開示に向けて、その進捗を加速させること を推奨します。

そして、ほとんどの環境影響が加工・原材料レベ ルで発生しているにもかかわらず、加工レベル でのカーボンフットプリントを公表しているブラ ンドは、昨年の26%に対し34%、原材料レベル では2021年の17%に対し22%にとどまってい ます。一方、大手ブランドや小売業者の65%は、 自社の事業や施設についてカーボンフットプリ ントを公表しており、昨年は62%でした。サプラ イチェーン全体にわたるステークホルダー間の コラボレーションは、環境負荷を有意義に削減 する唯一の方法であり、これは正確で一般に入 手可能なデータなしには達成されません。

海底、アメリカからガーナまでの汚染された海 岸、他のゴミに混じって絡まり、側溝に溜まり(コ レラやマラリアのリスクを高める)、砂漠に積み 上げられるなど、何千トンもの衣類廃棄物が世 界中で発見されているのです。あまりにも長い 間、ファッション業界は過剰生産と過剰消費の真 実を隠し、無視してきました。下流への影響に責 任を持つどころか、自分たちが開発している循 環型ソリューションに関する情報(28%)よりも、 実際に発生する生産前(10%)や生産後の廃棄 物(8%)の量を多く開示してきたのです。ブラン ドは、廃棄物輸入国がツケを払うのを黙って見 ており、その結果、人権や環境に深刻な影響を 及ぼしています。

多くのブランドや小売業者は、気候危機の影響 に特に脆弱な衣料品生産国に大きく依存してお

り、パリ協定に沿わない政府や企業の対応によ ってすでに大きな打撃を受けています。しかし、 私たちの調査によると、主要なブランドや小売 業者のうち、自社の事業とサプライチェーンを 対象とした脱炭素化目標を公表しているのはわ ずか29%で、これはScience Based Targets

Initiativeによって検証されたものです。温室

効果ガス(GHG)排出量の正確なデータを収集 することは、ブランドや小売業者が排出量を削 減し、脱炭素化目標を達成するために極めて重 要です。

かかわらず、主要ブランドの大半 (85%)はいまだに年間生産量 を公表していません。

しています。何が隠されているのでしょうか?
気候危機の緊急性にもかかわ らず、Science-Based Targets Initiativeによって検証されたサ プライチェーン全体の脱炭素化 目標を開示している大手ブラン ドは3分の1以下です。
過剰生産や衣料廃棄の証拠が 次々と明らかになっているにも
「ほとんどの小売業者の引き取りプログラムは、 地域社会から衣類を引き離し、南半球の中古市場
に出荷するだけで、衣類の多くは埋立地や焼却、
海への流失に終わることが分かっています。」
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 EXECUTIVE SUMMARY 07
Liz Ricketts—OR財団 共同設立者、理事

パンデミックは文化的リセットの機会を提供し、

主要ブランドや小売業者(インデックスに含まれ る多くの企業)が結束してフォーラムレターに署 名し、廃棄物を減らすために不要な製品を少な くして持続可能性を高めるための協力を規定し ました。しかし、ガーナやチリなど、地元コミュニ ティが廃棄物の山を管理している地域で、自社

の衣料品廃棄物が最終的に処理されていること を認めた署名者はいないという事実は、その約 束が空虚であることを示している。古着市場は 2021年時点で360億米ドルと評価されていま すが、業界の廃棄物を管理している地域社会は どれだけの利益を得ているのでしょうか。

EUのサステナブルな繊維製品戦略に関する法 律案が、製品の購入時点から使用後まで、拡大 生産者責任をカバーしていることは心強いこと です。この法律案では、ブランドが製品の構成と 影響についてより多くの情報を公開することが 求められるため、消費者はより良い選択をする ことができるようになります。しかし、全体的に 見ると、大手ブランドや小売業者は、過剰生産 や生産量の隠蔽を続ける一方で、循環型ソリュ ーションや消費を減速させる新しいビジネスモ

デルへの投資に関する情報をより多く開示して

います。これは、問題への取り組みよりも、問題 から利益を得ることへのコミットメントが大き いことを示唆しています。

です。

ファッション業界は水質汚染の大きな原因であ り、地球上で最も水を消費する産業の一つです。

ファッション業界は水質汚染の主要な原因であ

り、地球上で最も水を消費する産業のひとつで す。世界のGDPの20%以上が水の乏しい地域 で生産されているにもかかわらず、多くのファッ

ションブランドは繊維がどこで、どのように栽培 されているのかを公表していません。ブランド

は、水管理に関する法律が施行されていないこ

とを考慮して、調達先を選んでいる可能性さえ あります。

排水検査の結果を公表しているブランドはわず か11%で、サプライチェーンにおける水関連の リスク評価の実施プロセスを公表しているブラ ンドはわずか25%です。排水検査結果の透明性 は、地域の生物多様性、衣料品労働者、そしてそ のコミュニティに壊滅的な影響を与える可能性 のあるブランドに対して、確実に説明責任を果 たすための鍵になります。

ファッションのサプライチェーンにおける水スト レスとは、人間と生態系の淡水需要を満たす能 力または不足と定義され、水質、利用可能性、ア クセス可能性が含まれます。水ストレスに対処す ることの重要性を考えると、サプライチェーンの 奥に行けば行くほど、ほとんどの影響が湿式加 工や綿や麻のような繊維の栽培を通して発生す ることになり、ブランドや小売業者によるウォー ターフットプリントの開示が少なくなることも気 になるところです。

例えば、32%のブランドが自社事業におけるウ ォーターフットプリントを公表していますが(昨 年は31%)、製造レベルでのウォーターフットプ リントの公表はわずか15%、繊維や原材料レベ ルではさらに少なくなっています(4%)。つまり、 数回しか着ないような服を作るために、地域社 会の水に対する権利が優先されるのです。

ルな素材に関する目標を公表し

産業界における最大の環境負荷は、エネルギー を大量に消費する原材料の生産、準備、加工に 起因していますが、各材料の実際の環境負荷に 関するデータは不足しており、これらの材料が どのように、どこで作られるかによって、その影 響も異なります。45%のブランドがサステナブ ル素材に関する目標を公表していますが、何が サステナブル素材であるかを開示しているのは 37%に過ぎません。

現在、多くのブランドが、その環境面での信頼性 を証明することなく、使用する繊維について様 々な主張をしています。また、ブランドは、ある環 境側面にのみ焦点を当てているにもかかわら ず、製品上のラベルで自社の繊維が「サステナ ブル」であると主張することがあります。これは、 主張が実際には最終製品のある構成要素にの み適用されることを意味します。

繊維産業は水質汚染の主要な 原因であるにもかかわらず、サプ
ライヤーの排水検査結果を公表 しているブランドはわずか11%
新しい法律や提案された法律 がグリーンウォッシュの主張に 焦点を当てる中、主要ブランド の約半数(45%)がサステナブ
ていますが、サステナブルな素 材を構成する要素に関する情報 は37%しか提供していません。
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 EXECUTIVE SUMMARY 08
11% のブランドが排水テスト の結果を公開

欧州委員会が発表した最近のデータによると、

多くのファッションブランドや小売業者が、裏付 けとなる証拠を開示することなく、持続可能性 を誇張するグリーンウォッシュを行っていること

が明らかになっています。グリーンウォッシング に対処し、持続可能性の主張の信頼性を確保 するための法的提案は、EUだけでなく、英国、 オランダ、米国でもさまざまな段階で進められ ています。

環境主張を評価するツールが標準化されてい ないことや、「サステナブルな繊維」に関する誤 ったマーケティング主張が蔓延していることか

ら、サステナブルな素材に関する透明性が特に 重要である。我々は、EU繊維戦略とともに、これ

らの新しい政策展開が、グリーンウォッシュや虚

偽の主張に対抗するための十分な基礎を提供 することを期待しています。

繊維製品は海洋におけるマイク

ロプラスチックの最大の発生源

であるにもかかわらず、マイクロ

マイクロファイバーがあらゆる素材から作られ

た繊維であるのに対し、マイクロプラスチック繊 維はプラスチックポリマーから作られた繊維の ことです。実際、ポリエステルやアクリルなどの 合成繊維は、海洋における一次および二次マイ

クロプラスチック(長さ5mm未満の小さなプラ スチック片)の最大の発生源であると推定され、

世界全体の34.8%を占めています。合成繊維 で作られた衣服の量は驚くべき速さで増え続け ており、2030年には衣服の75%近くが合成繊 維で作られると予測されています。マイクロプラ スチック繊維は、海洋動物が摂取することで、生 物種や海洋生態系全体に壊滅的な影響を及ぼ す可能性があります。また、マイクロプラスチッ

ク繊維は、水中や下水汚泥に存在する化学物質 を吸収する可能性があり、素材の製造段階です

でに添加された化学物質が含まれている場合 もあります。.

ファッションブランドは、天然素材由来の繊維も

使用しています。しかし、これらの繊維は、有毒 化学物質を含む集中的な製造工程を経ている 場合があります。つまり、繊維自体は「自然」であ

っても、その工程は自然ではなく、繊維は自然界 にはない細胞構造になってしまう可能性がある のです。このため、繊維が分解されるには長い 時間がかかります(数十年、数百年かかる場合 もあります)。製造工程の中で、天然繊維も合成 繊維も、漂白や染色、撥水剤、難燃剤、柔軟剤、 抗菌剤などの化学処理を施される。そのため、 天然繊維のマイクロファイバーであっても、水路 や海にそのまま消えてしまうわけではありませ

ん。実際、淡水、海水、動物、大気から採取したサ ンプルに含まれる繊維の70%以上、場合によっ ては80%以上を天然繊維が占めているのです。

原料や製品の製造工程で使用が禁止さ

れている物質をサプライヤーに知らせる Manufacturing Restricted Substance List を公開しているブランドは32%にとどまってい

ます。MRSLを公表することは、最終製品が天然 繊維か合成繊維か、あるいはそれらの化学物質 が最終的に衣服に含まれるかどうかにかかわら

ず、有害化学物質の使用を制限することへのブ ランドのコミットメントを示すものです。いずれ

にせよ、化学物質がどこかに行き着くことに変 わりはないのです。

最近、私たちは、ブランドの購買慣行と、それに 伴うサプライヤーや労働者への有害な影響に、 より大きな注目が集まっていることを実感して います。新型コロナウィルス感染症の大流行が 始まったとき、ブランドは注文をキャンセルし、 生産国の労働者に前例のないレベルの賃金の 盗難、賃金崩壊、賃金抑制を引き起こしました。

その後の#PayUpと#PayYourWorkersのキ ャンペーンは、ブランドがサプライヤーに対し て行使する力の可視性を高め、理解を深めると ともに、システム的な変化を求める声に貢献し ました。

私たちは、服を着たり、洗ったり、捨てたりする

たびに、マイクロファイバーを排出しています。

ブランドとサプライヤーの関わり方に関する透 明性を高めることは、有害な購買慣行を排除し、 公正な購買慣行を促進するための第一歩となり ます。しかし、今年の指数の調査結果は、その最 初の一歩がまだ達成されていないことを示して います。例えば、サプライヤーは支払期限を60 日以内にするよう主張しており、タイムリーな支 払いは重要な問題です。

ファイバーの影響を最小限に抑 える方法を開示しているブラン ドはわずか24%に過ぎません。
購買行動規範を公表しているブ ランドはわずか11%で、ほとん どのブランドが、自社の購買活 動がサプライヤーや労働者にど のような影響を与えているかを 開示することにまだ消極的であ ることを示しています。
24%
のブランドが、マイクロフ
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 EXECUTIVE SUMMARY 09
ァイバーの影響を最小限 に抑える方法を公開

私たちのデータによると、これを満たすための

ポリシーを開示しているブランドはわずか11% です。さらに、サプライヤーから受け取るフィー ドバックについて透明性を確保しているブラン

ドはわずか4%、サプライヤーに注文の代金を 前払いしているかどうかなど、購買慣行におけ る重要な問題にどのように対処しているかを 公開しているブランドはわずか2つ(1%)です。

これは特に顕著です。なぜなら、消費者が新し い服を着るのは、その服を作ったサプライヤー

に支払いが行われる前であることが一般的だ からです。

購買慣行の透明性に関するパフォーマンスの低 さは、ブランド自身が主要な推進要因である場 合を含め、有害な労働条件の根本原因に真剣に 取り組んでいることをブランドが示す機会を逸 していることになります。

大手ブランドや小売業者の大半 (94%)は、自社のサプライチェ ーンで人材紹介料を支払ってい

る労働者の数を公表していませ ん。強制労働のリスクについて は不明確なままです。

多くの縫製労働者は解雇された場合でも人材

紹介料の返済を要求され、貧困賃金の仕事で働 くうちに借金の束縛を受けた可能性がある。賃 金が低く、借金が多いため、労働者は賃金の不 足を克服しようとして、強制労働やさらなる借金 の危険にさらされることになります。このため、 人材紹介料の影響を受けている労働者の数に 関する透明性が極めて重要です。しかし、94%の ブランドはこの情報を開示していません。ILOに よると、強制労働のリスクをスクリーニングする ために、人材紹介料の有無を確認することが必 要です。しかし、大半のブランドはこの情報を追 跡し、開示しないことを選択しているようです。 あるいは、デューディリジェンスのアプローチが 十分強固でないために、このような情報が開示 されていない可能性もあります。

重要なことは、負債を抱えた労働者は、自らの権 利を主張するために賃金や労働条件の改善を 求めて交渉する可能性がはるかに低く、これが 搾取を永続させるということです。労働者が派 遣料金の返済を要求しても、現金で支払うこと

が多いため領収書がなく、立証が困難です。正 義が実現するとしても何年もかかる可能性があ り、労働者が収入の不足を補おうとするため、借 金による束縛のリスクが高まります。

雇用者負担の原則は、労働者が仕事の代金を 支払うことなく、採用費用を雇用者が負担する ことを義務づけています。ブランドは労働者に 採用費用を払い戻すことが、借金苦を根絶する ために極めて重要です

すためのコストは、ブランドのサプライヤーへの 支払いに 組み込まれなければなりません。(例:

ビザの費用、メディカルチェック、旅費など)。ま

た、大手ブランドや小売業者は、職場改善を可 能にし、より高い基準の倫理的採用を実施する ために、調達施設において労働者代表および労 働者主導の構造を要求すべきです。

また、より良い労働条件を確保するためには、 長期的かつ有意義な関係への投資が必要です。

最後に、投資家と銀行は、バイヤーやサプライヤ ーとの関係を活用して、倫理的な採用慣行を奨

励・支援し、実施に関する進捗報告の義務付け を行うべきです。

けのものにとどまるべきではあ りません。

大手ブランドは、労働者が労働組合を結成し、よ り大きな権利を求めて交渉することが不可能、 困難、または安全でない国から衣料品生産の多 くを調達し続けています。しかし、その調達方法 とは異なるにもかかわらず、ほとんどのブランド は、これらの実現可能な権利の支持に向けたコ ミットメントを積極的に伝えています。大半のブ ランド(84%)は、サプライチェーンレベルでの 結社の自由、団結権、団体交渉へのコミットメン トを概説する方針を発表しています。

しかし、これらの方針をどのように実践してい るかを共有しているブランドはわずか39%、民 主的に選出された独立労働組合を有するサプ ライヤー施設の数や割合を開示しているブラン ドはわずか13%と、現場での影響を開示する には不十分な水準にとどまっています。さらに、 サプライチェーンで働く労働者に現地の法律で 定められた以上の賃金を提供する団体交渉協 定の数を開示しているブランドは、250社中わ ずか3社(1%)という事実からも、このことは明 らかです。

。したがって、これを満た
サプライヤーの施設に労働組合
がいくつあるか開示しているブ
ランドは、わずか13%です。結社
の自由と団体交渉に対するブラ
ンドのコミットメントは、口先だ
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 EXECUTIVE SUMMARY 10
94% のブランドは、自社のサプラ イチェーンで人材紹介料を 支払っている労働者の数を
公開していない

組織化と交渉は労働者にとって不可欠な手段で す。実際、労働者が条件と賃金を改善するため

の主要かつ唯一の手段であることが多いです。

多くの生産現場において、組合つぶしや労働者

の組織化を取り締まるための煙幕として利用さ

れているパンデミックを背景に、ブランドは団体

交渉へのコミットメントがリップサービスを超え たものになるよう、歩み寄ることが必要です。

例えば、インド、バングラデシュ、パキスタン、ネ パール、スリランカは、カーストや民族に基づく 複雑な差別の影響を受けている衣料品生産国 です。この問題は、サプライチェーンの奥深くで より深刻になっています。例えばインドでは、在

宅の衣料品労働者のほとんどが、歴史的に抑圧 された民族コミュニティ出身の女性と少女で大 量の搾取を経験しており、ダリット労働者や下位 カーストコミュニティに属する人々は、移民衣料 品労働者のリクルーターのターゲットにされて います。この問題の根底には、ファッション産業 が、主に有色人種の女性による割安な労働力に 依存することで低コストを維持し、ヨーロッパ帝 国主義の重要な遺産と植民地主義の継続的な 遺産を有していることがあリます。

ファッション業界のサプライチェーンでは、女性 が労働者の大半を占めているという事実がよく 知られていますが、業界の権力と利益の大部分 は、依然として女性の手の届かないところにあ ります。実際、業界の権力と富の集中が高まれば 高まるほど、女性の数は少なくなります。サプラ イチェーンの最上流では、ファッション業界の次 期女性CEOの数が減少傾向にあり、ファッショ ン業界で最も裕福な15人のうち女性はわずか 1人という事実がこれを証明しています。

大手ファッションブランドは、ソーシャルメディア

上でBlack Lives MatterやStop Asian Hate

といった運動との連帯を位置づけるなど、平等

を公的に支援する姿勢をますます強めています。

しかし、自社事業における年間の民族間賃金格 差を自主的に開示しているブランドはわずか3

%、サプライチェーンにおける人種・民族間の平 等に関する行動を公表しているブランドはわず か8%であることがわかりました。これは、移民 やカースト、民族の問題が労働者の虐待や搾取 を助長している地域で膨大な量の生産が行わ れていることを考えると、特に顕著な結果です。

ブランドは、貴重な広報手段として平等問題を 支援することで、業界団体から距離を置きたい と思うかもしれません。しかし、この支援は自社 の事業やサプライチェーンにおける差別や不平 等への取り組みについて、説明責任を果たす行 動に移されなければなりません。

私たちの調査結果は、サプライチェーンにおけ る主要なジェンダー問題に関して、主要ブランド からの情報開示が全体的に期待外れであるこ とを示しています。サプライヤー施設における職 務の配分に関する性差別データを公表している ブランドは、わずか8%です。また、ジェンダーレ ンズが深く組み込まれ、有意義なデューディリジ ェンスプロセスのすべての段階に適用されるべ きである一方で、現在、人権デューデリジェンス プロセスにおいて女性(女性団体やジェンダー 専門家を含む)に相談していると開示している

ブランドはわずか12%(2020年の10%から上 昇)しかありません。

女性の意見が考慮されず、意思決定の場に女性 がいないことは、世界中の何百万人もの女性に よって支えられている産業において、重大な結果

をもたらします。生産レベルでは、上級職では男 性の方がはるかに多いという事実は、女性労働 者の職場環境を設定するのは、ほとんどが男性 のマネージャーと工場のオーナーであることを 意味します。

Aruna Kashyap—Human

大手ブランドは、社会正義につい
や民族の不平等に対処するため
て話すだけでなく、自社の事業や サプライチェーンにおける人種
に取った行動を開示する必要が あります。
業界は低賃金の女性労働者に 依存し続けていますが、ほとんど のブランド(94%)は、ジェンダ ーに基づく労働違反がどれほど 蔓延しているかという重要な問 題を公表していません。
「透明性は、人権 侵害のないサプラ イチェーンを構築 するためのブラン ドによる真剣な取 り組みの礎となる 必要があります。」
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 EXECUTIVE SUMMARY 11
Rights Watch 経済正義・権 利部門 アソシエイト・ディレク ター(企業アカウンタビリティ)

この男女間の力の不均衡はまた、この業界で 最も有害な影響のいくつかを推進します。ジェ

ンダーに基づく暴力や、いじめ、虐待、仕事の スピードを上げるためのハラスメントとの関連

は、多くの生産現場において長年の課題となっ ています。

にもかかわらず、私たちの調査結果では、サプラ

イヤー施設におけるジェンダーに基づく労働違

反の蔓延に関するデータを公表しているブラン

ドはわずか6%しかありません。これは、労働組

合や市民社会団体が、このセクターにおけるジ

ェンダーに起因する暴力に対して取られた措置

の欠如について繰り返し懸念を表明してきたこ

とを考えると、特に注目すべきことです。パンデ

ミック以来、この問題にスポットライトが当てら

れ、工場の生産ラインでの暴力やセクシャルハ

ラスメントの増加を記録したいくつかの報告が

ある。壊滅的な経済的不安により、女性労働者

は虐待的行為を容認し、しばしば報告すること を控えています。

ファッション業界のCEOと縫製

労働者の間の貧富の差が拡大す

る中、役員報酬と環境・社会的目

衣料品店の労働者は服を作るために借金をし、 買い物客は服を買うために借金をし、そして CEOの報酬は急騰しています。地球上で最も裕 福な人たちの一部はファッション業界のCEOで あり、ブランドと小売業者は役員報酬について 透明性を確保することが不可欠です。

役員報酬が人権や環境に関する目標に関連し ているかどうかを開示しているブランドは24% であるのに対し、役員賞与や報酬がこれらの目 標に関連している割合を開示しているブランド

や小売業者は11%に過ぎません。サステナビリ ティの目標は、役員賞与のごく一部に過ぎない ため、この情報は非常に重要です。つまり、役員 の基本給がすでに高額な場合、これらの目標を 達成するためのインセンティブはどうなっている のでしょうか?

主要なブランドや小売業者は、以下の責任を負 わなければなりません。大手ブランドや小売業 者は、世界的な貧富の格差の拡大への貢献につ いて説明責任を果たす必要があります。残念な

がら、EUの企業持続可能性デューディリジェンス

指令(CSDD)のような立法措置には、取締役の 報酬を持続可能性の基準と関連付ける義務はな く、企業の取締役会に対する持続可能性に関す

る厳格な専門知識要件も存在しない。私たちは、 人権や環境問題をグローバルに推進している企

業の舵取りをしているファッション業界のCEOや 経営陣に対して、より高い透明性と説明責任を求 めていかなければなりません。

高い税制は、企業が税率が低い地域に移動して 納税義務を人為的に軽減し、タックスヘイブン に移転した利益にはほとんど税金を払わない というインセンティブを与える可能性がありま す。したがって、ブランドは、責任を負うことがで きるように、責任ある税務戦略を約束し、公表す ることが極めて重要です。さらに、ファッション業 界は、脱税からフェニックス化(多額の納税義務 を負って倒産した会社が、その後すぐに別の名 前で再出発すること)まで、税金に関連する数々 の不正を犯しています。実際、英国レスターに本

社があると記載されている失格役員の40%は、 衣料品業界に関係しています。責任ある税務戦 略を公表しているブランドは36%に過ぎないた

め、各国政府は国家間および国内における不平 等の拡大に対応した税制を実施することが極め て重要です。

確実に貢献することは、衣料品生産国の経済成 長を確保する上で極めて重要です。 生活賃金に関する透明性へのコ

ファッション業界の利益が増え続け、世界的に貧 富の格差が拡大する中、業界における税制の役 割が重要な鍵を握っています。主要なブランドや 小売業者が、事業を展開している地域の経済に

大多数の労働者は基本的なニーズを満たすの に十分な報酬を得ていない一方で、このインデ ックスで取り上げたブランドを含む大規模なフ ァッションブランドは、彼らのハードワークから 利益を得続けています。

しかし、この問題の深刻さにもかかわらず、ほと んどのブランドは、サプライチェーンの労働者が 基本的なニーズを満たし、ある程度の自由裁量 所得を確保できるような十分な報酬を得ること に向けて、十分な前進をしていません。

サプライチェーンで働く人々の生活賃金を実現 するためのアプローチを開示しているブランド はわずか27%で、これは過去2年間変わってい ません。

標との関連性を開示する大手ブ
ランドや小売業はほとんどあり ません。
大手ブランドや小売業者の36% しか税務戦略を公表していない のに、英国の衣料品中心地であ るレスターでは、失格した取締 役のかなりの割合がファッション 業界と関係があることが判明し ています。
ミットメントの欠如が続いていま す。ほとんどの大手ブランドや小
売業者(96%)は、サプライチェ ーンで生活賃金を支払っている
労働者の数を公表していないほ か、価格設定において人件費を 分離しているかどうかも公表し ていません。
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 EXECUTIVE SUMMARY 12

2022年7月19日に発足し、2023年7月まで続

く「Good Clothes, Fair Pay」は、衣料、繊維、 履物セクター全体において画期的な生活賃金 の法制化を要求しています。EU市民(EUパス

ポート保持者)から100万人の署名が必要で すので、goodclothefairpay.euにアクセスし て署名してください。EU市民でない方は、EU 市民の友人に送ったり、ソーシャルメディアで 私たちの投稿をシェアすることで、この言葉を 広めることにご協力ください。Instagramで@ goodclothesfairpayをフォローし、ニュースレ ターを購読して最新情報を入手してください。

さらに、94%のブランドが生活賃金に向けた年 次進捗を公表しておらず、96%がサプライチェ

ーンで生活賃金を支払っている労働者の数を公 表していません。

労働コストの分離方法を開示しているブランド

はほぼ皆無(4%)で、これはブランドが労働コス

トをどのように価格交渉に織り込んでいるかを 示す重要な指標となります。

生活賃金の実現に向けた行動の不透明さは、こ

の問題に対する透明性へのコミットメントの欠 如を示しています。これは、自主的な措置だけで は進展を促すことができないという事実を浮き 彫りにしています。

生活賃金について産業界が説明責任を果たす

必要性に応え、私たちは市民や市民社会全体の 協力者、その他の人々と力を合わせ、「良い服、 公正な賃金」という欧州市民イニシアチブを立 ち上げました。

Nasreen Sheikh—

Empowerment Collective

GOODCLOTHESFAIRPAY.EU をご覧ください。
96% のブランドは、サプライ チェーンで生活賃金を支 払っている労働者の数を 公開していない
"親が生活費を受 け取れないと、子 どもたちは現代の 奴隷のままになっ てしまう"
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 EXECUTIVE SUMMARY 13
29 51 主な結果 各セクションの平均スコア ガバナンス 34% ポリシーと公約 20 51% 20 把握・開示・改善 19% トレーサビリティ 21% 18 重点課題 18% 24% 2022年に評価された 250ブランドの平均 2021年から1ポイント増加 2020年から1ポイント増加 2019年から4ポイント増加 2018年から7ポイント増加 2022年トップ10 スコアブランド(%) 2022年最低スコアブランド(%) OVS, Kmart Australia, Target Australia (Wesfarmers) 78 H&M, The North Face, Timberland 66 Vans 65 United Colors of Benetton 63 Gildan 62 C&A, Gucci 59 Puma 58 Dressmann, Esprit 57 Calvin Klein, Tommy Hilfiger, Ugg, Zeeman 56 Calzedonia, Intimissimi, Tezenis (Calzedonia Group) 54 Belle 0 Big Bazaar - ffb 0 Elie Tahari 0 Justfab 0 K-Way 0 KOOVS 0 Metersbonwe 0 Mexx 0 Splash 0 Youngor 0 Heilan Home 0 Max Mara 0 Semir 0 Tom Ford 0 Fashion Nova 0 New Yorker 0 Jil Sander 0 27% 27% 28% 31% 2021年に評価された 246ブランドの平均 2019年に評価された 188ブランドの平均 31% 2018年に評価された 139ブランドの平均 2017年から13ポイント増加 34% 34% 2017年に評価された 92ブランドの平均 2020年に評価された 239ブランドの平均 FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 EXECUTIVE SUMMARY 14

2021年からの増加率 ランキング(%)

サプライヤーのリストを公
2020 (250 brands) 2021 (250 brands) 2019 (200 brands) 2018 (150 brands) 2017 (100 brands) 一次生産者 40% 47% 35% 37% 32% 原料サプライヤー 7% 11% 5% 1% 0% 加工施設 24% 19% 18% 14% 27%
表しているブランドの比率
Van Heusen -58 Champion, Hanes, Patagonia -12 Nordstrom, Asda -11 Splash, Tchibo -9 Clarks, Helly Hansen, Speedo, Lindex -8 Pimkie, Dick's Sporting Goods, Reebok, Truworths -7 Hermès, Target, C&A, Carolina Herrera, Jil Sander, Hudson's Bay, CAROLL -6 2017年から変 化なし(%) Ross Dress for Less -1 Reebok -1 Chico's 0 Heilan Home 0 Express 1 Kohl's 1
2021年からの減少率ラ ンキング(%)
Calzedonia, Intimissimi, Tezenis +43 Kmart Australia and Target Australia +22 Ralph Lauren, Zeeman +19 GUESS, Mango +18 s.Oliver, Tesco, Hugo Boss +16 Dr. Martens +15 Columbia Sportswear +12 Bally, Chloé +11 Jack & Jones, Wrangler +10 2022 (250 brands) 48% 32% 12% FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 EXECUTIVE SUMMARY 15

ディーセントワーク

35%

6% 24

24%

購買慣行 4

2 重点課題 2%

4%

サプライチェーンにおけ る採用手数料への取り 組みを公開している

人材紹介料や関連費用の 支払いによって影響を受 けたサプライチェーンの労 働者の数を公開している

現代奴隷制関連の違反の 蔓延状況やリスク要因に関 するデータを公開している

価格交渉の際、人件費を 他経費と区別して管理す る方法を公開している

人件費が他経費と区別 して管理されたオーダ ー数を公開している

生活賃金 従業員に対する生活 賃金支払いへの取り 組みを公開している

人種&ジェンダー

34

34% 3 8 3% 8%

サプライチェーン上の従 業員に法定最低賃金を 何%上回る額を支払っ

ているか公開している

自社での男女別賃金 格差を公開している

自社での民族間 賃金格差データ を公開している

サプライチェーン上で の民族間賃金格差を 年次で公開している

35
6
27 4 27% 4% FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 EXECUTIVE SUMMARY 16

生産量&ビジネスモデル

15

サステナブルな材料

15% 21 20% 21%

年間生産量を公 開している

20

リペアサービスを 提供している

レンタルやリセールなど、 服の寿命を伸ばす新たな ビジネスを展開している

サステナブル材料に関す る期限付きで測定可能 な戦略を公開している

「サステナブルな」材料 の定義を公開している

気候変動への影響

水と化学物質

31

31%

Science-Based Targets(SBT)を 公開している

22% 65

65%

15 22

15%

自社内(事務所、ショッ プなど)での年間炭素排 出量を公開している

原料段階からの年間炭素 排出量を公開している

森林破壊ゼロに向け、期 限付きで測定可能なコミ ットメントを公開している

4%

27%

4 27 危険化学物質使用の排除に向 けた取り組みを公開している

原材料レベルでの年 間ウォーターフットプリ ントを公開している

重点課題(続き)
46% 37% FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 EXECUTIVE SUMMARY 17
46
37

このインデックスについて

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 18

私たちが見たい変化

グローバルファッション産業の構

造改革 Fashion Revolutionでは、環境を守り修復し、 成長と利益よりも人間を優先するグローバルファ ッション産業を目指しています。

ブランドは自身の社会的・環境的影響に責任を 持ち、単に責任を果たして いるとアピールするこ とや工程管理に時間を取られることなく、サプラ

イチェーン全体にわたって透明性を担保するこ とが当たり前となっている状態を目標にしていま

す。Fashion Transparency Indexはこのビジ ョンを達成するための一つのツールであり、8番 目のマニフェストへと繋がります。

産業システムの中と外 での私たちの役割

ファッションは、透明性を持ち説明 責任を果たします。常に明確さを 尊重し、複雑さの影に隠れること や、見せないことによって価値を 生み出そうとすることはありませ ん。ある服がどのように、どこで、 誰によって、どのような環境下で 作られたのか、誰でもどこでも知 ることができます。

Fashion Revolutionの活動は、ファッショ

ン産業システムの中と外に分けられており、 主に政策の変革、文化の変革、産業の変革

の3つで変化を起こしています。

サステナブルでなく、搾取が横行し不公平な

システムの中で活動するということは、それ を容認するというわけではありません。実際 にはその逆で、人権侵害、環境破壊とその責 任を覆い隠す不透明なサプライチェーンな どの構造を根本から解体していくのです。

時にもどかしいほど遅々として進まないこと もありますが、この不公平なシステムの中で

活動することが、変化を起こすためには最も 効果的な方法です。私たちは産業全体のバ リューチェーンで透明性が担保され、説明責

任が果たされることを目指していますが、そ

んだのか、そして多くの場合より 透明性が 高くポジティブで構造的な変化を先導する 小規模なブランドをなぜ調査しなかったの かは、こちらのQ&Aをお読みください。

私たちはファッション産業システムの外側 でも同時に活動しており、消費者への教育 や結集を促したり、政策提言を行なったり しています。

大まかにいうと、産業の変革はシステムの 内側、文化の変革と政策の変革はシステム の外側と位置付けています。

は問題に向き合うことが不可欠だからです。 どのようにして今回調査するブランド を選

れにはこのインデックスで調査された規模 の大きなブランドを巻き込んでいくしかあり ません。というのは、及ぼした負の影響の大 きさとそれに対する責任は彼らが一番大き く、これからも企業として続いていくために
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 ABOUT THIS INDEX 19

政策の変革

産業システムの「外」での活動

政策変更のための提唱とキャンペーンを行 い、法律の施行や業界の規制においてより

積極的な役割を果たすよう政府に求める

文化の変革 産業の変革

産業システムの「外」での活動

グローバルファッション産業が直面している 社 会的・環境的問題について消費者に啓蒙する

人々を結集し、共に行動を起こす

産業システムの「中」での活動

グローバルファッション産業が与える社会的・環 境的な影響を可視化する調査を行い、大手ブラン ドの競争原理を利用して早期の変革を図る

Good Clothes Fair Payキャンペーンを協力 者と共に主導し、世界中の繊維・衣料品労働者 の生活賃金を実現するための画期的なEUの法 律を要求する

同盟国との連合に参加し、EUのサステナブル な繊維戦略における人権と環境についての厳 格な法規制を要求する

#WhoMadeMyClothes #WhoMadeMyFabric #WhatsInMyClothes?などのキャンペーンを通じ て、服の影響について世界中で会話が生まれるよう に仕掛ける

email-a-brand toolなど、人々が自分の声を使

い、個々に変化を起こし、集団で変化を起こすため のツールを作成すること

Fashion Transparency Index とOut of Sightレ ポ ートの作成によって、サプライチェーン全体にわた る透明性の担保と説明責任を果たす動機付けを行う 変革の速度が遅すぎる箇所を指摘し、改善を促す

消費者からの圧力を使ってブランドや小売店に影 響を与える

キール大学とのRestorying Riverscapesプロジェ

中小企業に焦点を当てた政策対話ツールキッ トの作成を支援し、アジア、ヨーロッパ、アフリカ で関係者やグローバルネットワークとの政策対 話を実施する

政策の変革は長期戦であり、時間をかけて戦略 的にロビイングやキャンペーンを行う必要があり ます。舞台裏では、何年にもわたる不断の粘り強 い活動が必要なのです。

私たちの政策活動は、文化や産業の活動に比べ てあまり目立たないかもしれませんが、私たちの 活動の非常に重要な側面です。

小さくても完璧に形成されたヨーロッパ全域での 共同プロジェクトで ファッション業界の中小企業 が、循環型かつサステナブルなビジネスモデルへ の移行を加速させる

Fashion’s FutureやSDGs(持続可能な開発目

標)など、ファッションの社会的・環境的影響を探求 する無料のオンライン講座をFutureLearnで実施

クトを通じて、河川景観におけるマイクロファイバー 汚染を評価するための調査および市民科学ワーク ショップを開催

Fashion Open Studio initiativeを通じて、小 規模で革新的なブランドやデザイナーを紹介し、支 持する

ファッション業界の投資家と関係を構築し、18の金 融機関の連合体であるPlatform Living Wage Financialsの「フレンド」になるなど、ブランド開示 の促進を支援

私たちの取り組みについて、詳細はこちらからご覧ください

文化の変容は、政策変更に比べ効果が目に見え やすいものです。この活動では人々を巻き込み、

共に行動を起こします。この活動の目的は消費 者と生産者の間にある壁を崩し、人々に消費を 少なく、質を重視し、より良い服のケアをするよう インスパイアし、同時に変革のため声を上げる 後押しをすることです。

業界の変革は、現在の不公正なシステムに 関与し、それを変革することです。Fashion Transparency Index,を通じて、私たちは世界 最大のファッションブランドと直接関わり、より迅 速な進展を求めています。またFashion Open Studioを通じてより小規模で責任感のあるブラ ンドを支援しています。

例 例 例
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 ABOUT THIS INDEX 20

透明性は、Fashion Revolutionが目指す、政 策、文化、業界におけるすべての変化を実現する ための基本です。

信頼できてわかりやすく、比較可能なサプライチェ

ーンに関する情報を公表することは、システムの 変革を促 すために欠かせません。投資家、議員、 ジャーナリスト、NGO、組合、従業員やその代表者

がブランドや小売店に説明を求めるにあたり、透 明性は以下のような時に役に立ちます。

• 企業が人権や環境保護のために取り組んで いることを精査する時

• 企業がポリシーや慣習に説明責任を果た す必要がある時。これはラナ・プラザの崩壊

時など、問 題 が起 こ っ た と き に特に重 要となる

• 環境や人権への侵害をやめさせたり、調停 したり、修復するために協働する

• これらの問題について戦略やベストプラク ティスを共有する時

透明性は変革へのツールであり、ゴールではあり ません。これは基本であり、透明性なしではグロ ーバルファッション産業をより良いものに導いて いくことは困難です。

これだけで複雑でシステムに根付いた多くの問 題を解決することはできませんが、透明性は服が 作られる場 所や状況を見通す窓となり、素早く 共に行動を起こすことができるようになります。

行動を起こすために透明性が果たす役割は、56, 67, 75, 84, 91-93, 100-102, 106 と111ペ ージの関係者や専門家の声から理解することが できます。

透明性は持続可能性とは異なるものですが、透 明性なくしてサステナブルで説明責任を果たす、 公正なファッション業界を実現することは不可 能です。

透明性を求めているのは私たちだけではあり ません。私たちは、透明性を求めるNGOやサプ ライチェーン上の従業員を代表する組合などの 市民社会の一部です。2021年4月にFashion Revolutionを含む33のNGOがファッションサ プライチェーンの完全な透明性を求めて署名した レターをご覧ください。

• 「 今こそ、サプライチェーンを完全に透 明化する時です。市民社会の一員の組織とし て、ファッションブランドと小売店にサプライチ ェーン上の全ての施設を公表するよう求めま す。既に一部の施設の公表に踏み切った企業 を支 援し、全ての施設の公表に向けた努力を 後押しします。行政には、全てのブランドが同じ レベルでの透明性を達成できるよう、このよう な公表に関する規制を作ることを要求します」

透明性 精査 説明責任 変革
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 ABOUT THIS INDEX 21
変化を起こすために透明 性が大切な理由

FASHIO TRANSPARENCY INDEXの役割と目的

Fashion Transparency Index

は以下の目的で作成されました

• • 大手ブランドや小売業者に、詳細で比 較 可能な年次データを公表する動機付けを 行うため

• • 世界最大級で最も影響力の大きいファ ッ ションブランドや小売店の人権や環境問題 に対する透明性のトレンドを分析・比較するた め

• • 世界最大級のブランドがどのようなデ ータを公表しているかをあらゆるステークホ

ルダーが理解し、さらに進んだ行動に移せる ようにするため

• • グローバルファッション産業が直面して いる環境的問題について認知度を高め、人々 の活動に情報を提供し、集団で動員します。

私たちのコミュニティ内ではファッション業界の変 化の遅さにフラストレーションを感じるといった声 を多く耳にしてきました。気候危機の緊急性と根深 い人権侵害を踏まえ、多くの人々が早急なシステム 変革を求めています。その声を反映し、2021年から

いくつかの調査方法に大きな変更を加え、2022年 版にも継承しました。変更点は今まで政策やコミット

メントにフォーカスしていたところを、代わりに実 行と結果にフォーカスするようにした点です。詳 しくは5ページをご覧ください。

不透明な産業内で環境破壊や人権侵害が隠さ れてしまっている現状では、このように透明性を 求める活動が不可欠で、本インデックスはその 活動の中で大きな役割を担っています。そして近 い将来には、この問題は解決され、他の重点課 題に関心が移ることによって、本活動がもはや 必要なくなることを願っています。

このインデックスの目標は透明性の達成ではあ りません。目標は、この情報が個人、活動家、専 門家、従業員の代表、環境団体、立法組織、投資 家やブランド自体によって活用され、大手ブラン ドの活動を注視し、説明責任を果たさせること で変化を現実のものとすることです。

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 ABOUT THIS INDEX 22
「透明性とは、単に情報を 公開することではなく、情報 を容易に見つけ、理解し、 必要であれば異議を申し立 てることができるような方 法で情報を提示することで ある。美辞麗句や空虚な言 葉で埋め尽くされたページ には、精査するためのアク セスや必要なレベルの詳細
が隠されている。」 チェンジングマーケット財団

FASHION TRANSPARENCY INDEXが起こす変化

Fashion Transparency Indexは、世界最大

のブランドや小売業者が社会的・環境的な取り 組みを公に開示するインセンティブを与え、業 界内の透明性を正常化することで変化を促して

きました。2017年以降、毎年レビューを受けて いる多くのブランドは、そのスコアが徐々に上 昇していることを証明しています。2016年にこ

の調査を始めた当初は、工場リストを公開して いるブランドはごくわずかでしたが(40ブランド

中5ブランド、12.5%)、現在では世界最大のブ

ランドのうち121ブランド(48%)が製造の第一

階層でサプライヤーリストを開示しています。私

たちは、Transparency Pledge連合やOpen Apparel Registryなど、志を同じくする多くの 仲間とともに、透明性の向上を強く求めること

で、この重要な業界の変化を実現させました。

また、私たちは、インデックスの方法論と調査 をより広く利用し、調査結果を具体的な行動に 移すことができるように、協力者とパートナー シップを結んでいます。例えば、WikiRateとの パートナーシップにより、私たちが収集したブ ランドに関するデータに自由にアクセスでき、

簡単に比較でき、機械で読み取り可能で、しか

も重要なことに行動可能な状態にすることが できます。これは、投資家や、衣料品労働者を 代表する労働組合などの市民社会組織にとっ

て、透明性データを活用する上で貴重なもので す。NGOや労働組合がどのように透明性デー タを利用して虐待に対処し、ブランドの責任を 追及してきたか、24〜25ページのケーススタ ディでご覧ください。

このインデックスの調査結果は、Business & Human Rights Resource Centreのブラ ンドダッシュボードと企業年金プラットフォー ムMatterに統合されています。この2つは、投 資家が投資先企業のESGスコアリングにFTI データを取り入れることが多くなっている中で 利用されています。また、方法論と調査の一部 は、倫理観の高い消費者が使用するGood On YouアプリとClean Clothes Campaignの FashionChecker.orgに統合され、生活賃金 に関するブランドの主張と労働者の賃金明細 書を比較することができます。

「廃棄物の量、二酸化炭素と水の排出量、労働者の生活賃金 などの重要な問題について、ブランドが透明性を欠き続けて いることに苛立ちを覚えます。問題そのものに関する透明性 が欠如している場合、私たちが緊急に必要としている影響を 推進するために、行われていることが十分に強固であるかど うかを合理的に理解することができません。透明性は、市民 社会や労働者の代表に力を与えます。ブランドがその影響に 対する説明責任を果たすために必要なすべての情報を公に 開示するまでは、透明でないことは現状を強化するための意

Fashion Revolution

「2016年、主要ブランド40社中5社(12.5%)しかサプライ ヤーを開示していませんでした。7年後、主要ブランド250社 のうち121社(48%)がサプライヤーを開示しています。これ は、インデックスがいかに透明性を促すかを明確に示してい

ますが、同時に、ブランドが、#WhoMadeMyClothes?と問 い続ける世界中の何百万人もの人々の声に本当に耳を傾け

ていることも示しています。私たちの力は、私たちの粘り強さ にあるのです。」

Carry Somers,—Fashion Revolution 共同創設者

図的な戦略のように感じられます。」
Liv Simpliciano—Fashion Revolution ポ リシー&リサーチ・マネージャー
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 ABOUT THIS INDEX 23

CASE STUDIES: 現場での透明性

Garment Worker Diariesは、オー プンソースデータを活用し、工場、労働 者、洪水リスクを地図化

透明性を確保することで、どのブランドがどこか ら調達しているのかを可視化することができ、気

候危機への対応に役立てることができます。例え

ば、バングラデシュは世界第3位の繊維・衣料品 輸出量を誇る国です。バングラデシュの大部分

は、ブラマプトラ川、ガンジス川、メグナ川という

世界最大級の3つの川のデルタ地帯に位置して います。地形は低く平坦で、国土の3分の2は海

抜5メートル以下であるため、河川や雨水による 洪水が起こりやすくなっています。

バングラデシュは、海面上昇を含む洪水の 脅威にさらされています。Microfinance

OpportunitiesのプロジェクトであるGarment

Worker Diaries(GWD)は、労働者の状況、経 験、意見を反映した重要なデータを幅広い関係者

(労働組合や現場のNGOなど)が入手できるよ うに、毎週調査を通じて労働者に関するデータを 収集しています。

GWDは、オープンソースの2つのデータセット を用いて、衣料品部門の気候変動に対する脆

弱性を評価する研究を実施しました。ひとつは Mapped in Bangladeshが作成し、Open

Apparel Registryでホストされている工場の リスト、もうひとつはClimate Centralが提供 する海抜高度を正確に測定したデータセット です。

この調査に基づき、工場の地図とClimate Centralのデータを重ね合わせたところ、輸出

衣料品部門の工場の80%が海抜5メートル以 上の土地に位置しており、この地域は洪水の 可能性が低いという良い結果が得られました。

しかし、20%は海抜5メートル以下の場所にあ り、2030年以降、定期的に洪水が発生する危険 性があることがわかりました。

さらに、衣料品店の従業員は職場の近くに住ん でいるため、この地図は彼らが気候危機に対し て脆弱であることを露呈しており、彼らはそれを よく理解しています。ある縫製労働者は、"私たち の家は川の近くにあるので、いつか嵐ですべて が終わってしまうのではないかという恐怖が常 にあります "とコメントしています。

大手ブランドや小売業者は、衣料品を調達してい る地域社会に環境的・経済的影響を外注するこ

とで利益を得ています。組織的には、衣料品労働

の基本給が低いため、労働時間が長く、収入が 多いという理由で、この部門はしばしば生産量 の増加を受け入れています。労働者はまともな 生活水準を確保するのに十分な収入を得ていま

せん。労働者はまともな生活水準を確保できる ほどの収入を得ておらず、週48時間の通常勤務 で得られる賃金では生活していくのに十分では ありません。したがって、彼らは生活費を稼ぐた めに残業や過労に頼っています。ある労働者は、 「私たちの一般的な勤務はいつも8時間です。 それだけでは決して十分な収入にはなりません。 残業代を上げようと話し合えばもっとよくなるは ずです」。収入不足は労働者の経済的ニーズをさ らに悪化させ、労働者は気候変動が自宅、近隣、 職場に及ぼす短期的・中期的な影響により大き く直面しています。

Mapped in Bangladesh(オープンアパレル レジストリ)とClimate Centralが提供する無料 かつオープンソースのデータは、GWDのような 組織が、主要ブランドに対して圧力をかけるこ とを可能にします。彼らは、最終的に最も大きな 力と責任と資源を持って、調達先のコミュニティ で起きている人権と環境問題に注目させること で問題に取り組むことができます。この情報によ り、2030年以降に起こる洪水リスクを軽減し、 基本的人権である生活賃金を得られるようにす るための行動を、5メートル以下の20%の施設か ら調達するブランドが実施する機会を得ました。

工場の浸水は労働者を危険にさらし、生産停止に つながるため、多額の資本投資が失われることに なります。ブランドは最低価格と諸経費を追求し がちですが、そうすることで、労働者や調達先のコ ミュニティに十分な投資を行わず、サプライチェー ンを気候変動リスクにさらしているのです。全体と して、生活賃金がなく、インフラへの投資もないた め、緩和よりも適応が優先され、労働者は支援な しに気候変動の圧力を吸収することになります。

IMAGE COURTESY OF GARMENT WORKER
OPPORTUNITIES FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 TRANSPARENCY CASE STUDIES 24
DIARIES, MICROFINANCE

CASE STUDIES: 現場での透明性

Myanmar Centre for Responsible Business(MCRB)と

地元組織が、デューデリジェンス強化の ためにトレーサビリティデータを活用

グローバルなサプライチェーンで働くすべての人

が、質の高いオープンライセンスのデータに平等

にアクセスできるようになれば、アパレル部門の 影響を受ける最も脆弱なコミュニティにとって、

よりサステナブルで公平な結果をもたらすこと につながります。

2021年2月に軍がミャンマーを掌握し、その後

抗議やデモが取り締まられた後、縫製部門の多

くの労働組合指導者は身の安全のために潜伏

を余儀なくされた。しかし、工場は操業を続け、

経営者と直接問題を解決できない場合、労働者

は工場の状況に対する苦情を他の支援的な労働 団体に頼らざるを得なかった。労働者と労働団 体は、当該工場から調達しているブランドを特定 できることもあったが、そのブランドとのコンタ クトが不足していた。彼らはMyanmar Centre

for Responsible Business(MCRB)に助けを 求めました。

MCRBは、Open Apparel Registry(OAR)の データ、MCRBとのコンタクト、追加のデスクリ サーチなどを組み合わせて、提携ブランドに対 してサプライヤー工場の問題を警告することが できました。

これらのブランドはすでにミャンマーの状況に懸 念を抱いていたため、MCRBは、特定の工場の 状況や労働者の現場でのより広い状況を共有す るためのもう一つの目となる労働団体を迅速に つなぐことができました。これは、ブランドが特定 の苦情を調査すると同時に、この地域におけるデ ューディリジェンスの強化をよりよくサポートす

ることに役立ちました。

どのブランドがどの工場から調達しているかと いう透明性は、労働者とその代表者の問題解決 への影響力を高めます。MCRBのディレクターで あるヴィッキー・ボウマン氏は次のように説明し

ています。 「OARは、ミャンマーから調達してい るブランドと、労働組合や労働者権利団体との間

で、労働法遵守の欠如や権利侵害の優先順位、 是正のための勧告についてより構造的な対話を 構築しようとする際に、引き続き大変役立ってい ます。しかし、ヤンゴンの工場で販売されている 衣服のラベルを調べたところ、アジア市場を含 め、ミャンマーから調達している企業が他にもあ ることがわかりました。もし、より充実した最新の リストを入手することができれば、より包括的で 価値のある対話を促進することができるだろう。

アパレル業界のブランドやその他の関係者が、

サプライヤーデータをオープンで標準化された 方法で共有すれば、今回のような業界横断的な コラボレーションが可能になるのです。これが OARの存在理由です。今年初めて、このインデッ クスは、ブランドがサプライヤーリストをOARに 提供し、プラットフォーム上で積極的にデータを 管理・更新しているかどうかを具体的に測定し ています。

我々のデータでは、48%のビッグブランドがティ ア1工場リストを公表しているが、これらのリスト をOARに寄稿し、積極的にデータを管理してい るビッグブランドはわずか17%であることが明 らかになっています。

データを公開することは重要なステップです が、1つの共通レジストリで公開することで、この ようなストーリーを実際に実現することができ ます。共通のデータ登録がなければ、サプライチ ェーンで重要なデューディリジェンスを行う組織 は、必要なデータを見つけるためにウェブサイト を次々にスクロールして、貴重な時間を費やすこ とを余儀なくされます。アパレル業界の誰もが同 じ場所でデータを共有すれば、今度は誰もがア パレル施設とその関係者に関するデータを入手 する場所を知ることができ、ファッションのサプラ イチェーン全体で人権と環境条件の改善を推進 することができるのです。

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 TRANSPARENCY CASE STUDIES 25
BELOW: INDUSTRIALL – MYANMAR – WORKERS IN SOLIDARITY IN FRONT OF THE FACTORY

調査の方法と範囲

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 26

ブランドと小売業

者の選定基準

Fashion Transparency Indexは、世界の主流 ファッションブランドと小売業者250社について

調査しランク付けしたものです。ブランドの選定 には以下の基準を用いました。

• 年間売上規模が4億USドル以上であ ること

• 非上場会社の場合、投資家の関心やメ ディアの注目度を示すような、ブランドに関す

る公開情報に基づいて推定

• ハイストリート、ラグジュアリー、スポー

ツウェア、アクセサリー、フットウェア、デニムな

どに分類される市 場区分において、主流なブ

ランドであること(対象地域はヨーロッパ、北ア

メリカ、南アメリカ、アジア、アフリカとする)

このインデックスで評価を受けたブランドは、ア

パレル産業において大規模かつ影響力ある消費

者ブランドです。人権や環境に対するマイナスの 影響も大きく、その改革を推進していく責任があ

る存在と言えます。彼らは他の産業と比較しても 非常に規模が大きく、世界的に裕福なオーナー やCEOをトップに据え、高い収益性を上げるブラ ンドです。経営者たちは透明性を高めるだけでな く、人権の向上や環境へのインパクトについても 取り組み、ビジネスモデルの中核に据えた行動 を起こすべきです。

企業名の表記に際し、親会社の名前やグルー プ会社を用いず敢えてブランド名を使用した のは、その方が一般的に馴染みがありよく知ら

れているからです。しかしながら、H&Mグルー プ、Inditex、PVH、Hudson's Bay Company など大きなグループ会社の傘下にあるブランド については、本インデックスで名前が表記されて いるかにかかわらず、グループ企業の全てのブ ランドがスコアに反映されていることにご注意 ください。

今年は、調査対象となったブランドと小売業者の 62%がアンケートに回答し、昨年の55%から増

加しました。なお、参加・不参加にかかわらず、ブ ランドはインデックスに含めています。

参加表明がない場合もそのブランドをインデック スに掲載し、どのブランドも一様に公正に扱って います。とはいえ、回答を済ませたブランドが高 いスコアを得る傾向にあるのは、調査員が見落と した関連情報を彼ら自身が補足することができ るからでしょう。

IMAGE COURTESY OF THE NEW DENIM PROJECT FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH 27

今年の参加ブランド数

62% 回答あり 37% 回答なし 1% 回答辞退 FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH 28

ブランド一覧(アルファベット順)

Abercrombie & Fitch (Ambercrombie & Fitch) 

adidas (Adidas AG) 

Aeropostale (Authentic Brands Group LLC)

AJIO (Reliance Retail)

ALDI Nord (ALDI Einkauf GmbH & Co. oHG) 

ALDI SOUTH (ALDI Einkauf GmbH & Co. oHG) 

ALDO (The Aldo Group Inc.) 

Amazon (Amazon.com, Inc.) 

American Eagle 

ANTA

Anthropologie (URBN) 

Aritzia 

Armani (Giorgio Armani S.p.A) 

Asda (George.) (TDR Capital) 

ASICS 

ASOS 

Balenciaga (Kering) 

Bally (JAB Holding Company) 

Banana Republic (Gap Inc.) 

BCBGMAXAZRIA (Marquee Brands)

Beanpole (Samsung C&T)

Belle

Bershka (Inditex) 

Big Bazaar - ffb (Future Group)

Big W (Woolworths Group) 

Billabong (Boardriders) 

Bloomingdale's (Macy's Inc.)

Bonprix (Otto Group) 

boohoo (boohoo group plc) 

Bosideng

Bottega Veneta (Kering) 

Brooks Sports (Berkshire Hathaway) 

Brunello Cucinelli

Buckle

Burberry 

Burlington 

C&A 

Calvin Klein (PVH) 

Calzedonia (Calzedonia Group) 

Canada Goose

Carhartt 

Carolina Herrera (Puig) 

CAROLL (Vivarte)

Carrefour 

Carter's (Carter's Inc) 

CELINE (LVMH) 

celio

Champion (HanesBrands Inc.) 

Chanel

Chico's

Chloé (Richemont) 

Clarks 

COACH (Tapestry, Inc.) 

Cole Haan

Columbia Sportswear 

Converse (Nike, Inc.) 

Cortefiel (Tendam) 

Costco

Cotton On (Cotton On Group) 

Decathlon (Association Familiale Mulliez) 

Deichmann

Desigual 

Dick's Sporting Goods 

Diesel (OTB Group)

Dillard's

Dior (LVMH) 

Disney (The Walt Disney Company)

DKNY (G-III Apparel Group)

Dolce & Gabbana

Dr. Martens (Permira) 

Dressmann (VARNER) 

DSW (Designer Brands)

Eddie Bauer (Authentic Brands Group LLC)

El Corte Inglés 

Elie Tahari

Ermenegildo Zegna 

Esprit 

Express

Falabella

Famous Footwear (Caleres)

Fanatics (Kynetic)

Fashion Nova

Fendi (LVMH) 

Fila 

Fjällräven (Fenix Outdoor) 

Foot Locker

Foschini (TFG) 

Fossil (Fossil Group, Inc.) 

Free People (URBN) 

Fruit of the Loom (Fruit of the Loom) 

Furla

G-Star RAW 

Gap (Gap Inc.) 

Gerry Weber

Gildan 

GU (Fast Retailing) 

Gucci (Kering) 

GUESS 

H&M (H&M Group) 

Hanes (HanesBrands Inc.) 

Heilan Home

Helly Hansen (Canadian Tire Corporation) 

HEMA 

Hermès

Hollister Co. (Abercrombie & Fitch) 

Hudson's Bay (Hudson's Bay Company)

Hugo Boss 

Intimissimi (Calzedonia Group) 

Ito-Yokado (Seven & i Holdings Co)

Jack & Jones (BESTSELLER) 

Jack Wolfskin (Calloway Golf Company)

JD Sports 

Jil Sander (Onward Holdings)

Jockey

Joe Fresh (Loblaw Companies Limited) 

John Lewis 

Jordan (Nike, Inc.) 

Justfab (TechStyle Fashion Group) 

K-Way

Kate Spade (Tapestry, Inc.) 

Kathmandu 

Kaufland

Kiabi 

KiK 

Kmart (Sear Holdings)

Kmart Australia (Westfarmers) 

Kohl's KOOVS

La Redoute (Galeries Lafayette Group) 

Lacoste (Maus Frères) 

Lands' End 

LC Waikiki

Levi Strauss & Co 

Li-Ning

Lidl 

Lindex (Stockmann Group) 

LL Bean

Longchamp

Louis Vuitton (LVMH) 

Lululemon 

Macy's (Macy's Inc.)

Mammut (Telemos Capital Limited) 

Mango 

Marc Jacobs (LVMH) 

Marks & Spencer 

Marni (OTB Group) 

Massimo Dutti (Inditex) 

Matalan 

Max (Landmark Group)

Max Mara

Merrell (Wolverine World Wide, Inc.)

Metersbonwe

Mexx

Michael Kors (Capri Holdings)

Miu Miu (Prada Group) 

Mizuno 

Moncler

Monoprix (Groupe Casino)

Morrisons (Nutmeg) 

MRP

Muji (Ryohin Keikaku Co.) 

New Balance 

New Look 

New Yorker

Next 

Nike (Nike, Inc.) 

Nine West (Authentic Brands Group LLC)

Nordstrom 

Old Navy (Gap Inc.) 

Otto (Otto Group) 

OVS 

Paris (Cencosud) 

Patagonia 

Pepe Jeans

Pimkie 

Prada (Prada Group) 

PrettyLittleThing (boohoo group plc) 

Primark (Associated British Foods plc) 

Prisma (S Group) 

Pull&Bear (Inditex) 

Puma 

Quiksilver (Boardriders) 

Ralph Lauren 

Reebok * (Authentic Brands Group LLC) 

REI

Reliance Trends (Reliance Retail)

Reserved (LPP) 

REVOLVE

River Island 

Romwe (Shenzen Globalegrow E-Commerce Co., Ltd.)

Ross Dress for Less

Roxy (Boardriders) 

Russell Athletic (Fruit of the Loom) 

s.Oliver 

Sainsbury's (Tu Clothing) 

SAINT LAURENT (Kering) 

Saks Fifth Avenue (Hudson's Bay Company)

Salvatore Ferragamo 

Sandro (SMCP)

Semir (Semir Group)

SHEIN

 = participated in brand questionarire

Shimamura (Shimamura Co., Ltd.)

Skechers

Speedo (Pentland Group) 

Splash (Landmark Group)

Sports Direct (Frasers Group)

Steve Madden

Stradivarius (Inditex) 

Superdry 

Takko

Target 

Target Australia (Westfarmers) 

Tchibo 

Ted Baker 

Tesco 

Tezenis (Calzedonia Group) 

The Children's Place

The North Face (VF Corporation) 

The Warehouse

Timberland (VF Corporation) 

TJ Maxx (TJX)

Tod's

Tom Ford

Tom Tailor 

Tommy Bahama (Oxford Industries, Inc.)

Tommy Hilfiger (PVH) 

TOPVALU COLLECTION (AEON)

Tory Burch

Triumph

Truworths

UGG (Deckers Brands) 

Under Armour

Uniqlo (Fast Retailing) 

United Arrows 

United Colors of Benetton 

Urban Outfitters (URBN) 

Valentino

Van Heusen ** (Authentic Brands Group LLC)

Vans (VF Corporation) 

Vero Moda (BESTSELLER) 

Versace (Capri Holdings)

Very (The Very Group) 

Victoria's Secret (L Brands) 

Walmart (Walmart Inc.)

Woolworths South Africa (Woolworths Holdings Limited) 

Wrangler (Kontoor) 

Youngor

Zalando 

Zara (Inditex) 

Zeeman 

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH 29
*Reebok is no longer part of adidas as of 2022 and is now part of Authentic Brands Group. Quantitative KPIs included in adidas’ 2021 Annual Financial Report do not apply to Reebok. Supply chain data applies to Reebok as adidas and Reebok share common suppliers. **Van Heusen is no longer part of PVH Group, as of June 2021 and is now part of Authentic Brands Group.

我々は、開示による透明性という点に敢えてフォ ーカスしました。もしブランドの 開示する情報や

データが詳細かつ具体的であればどうでしょう。 労働組合や環境団体、投資家、消費者やブランド そのものを 含む多くのステークホルダーは、人

権や環境問題にポジティブな変化をもたらすた めにこれらを利用することができます。そ れこそ が我々の求めるところであり、このインデックス

は主要ブランドに圧力 をかけ、鼓舞することを目 的としています。

限定され、閉ざされた情報は、変革の範 囲を狭 めてしまいます。情報を広く世の中に公開するこ とで、社会的な説明責任を果たすことができま す。よってこのインデックスでは、ブランドや小売

業者が社内やサプライチェーンの裏側で行なっ ていることは、敢えて除外しています。開示リスク がさほど無いブランドポリシー、手順、ガバナンス

といった情報に関してはもちろん、企業活動の 結果や過程、成果、もたらされる影響といった意 味のある情報公開を我 々が追求するのも、また それが理由です。

測定の対象となるもの 測定の対象とならないもの

Fashion Transparency Indexは、ブランドが自らの企業 活動のもたらす人権問題や環境問題へのインパクトをどの ように把握し、またそれを開示 しているのかを測定します。

信用に足るとみなすのは、バリューチェーン全体の人権と 環境問題に関する主要ブランドのポリシー、手順、パフォー マンス、進捗状況の公開情報・データのみです。

ポイント付与の対象となったのは、ブランドやその親会社 のウェブサイトに掲載された公開情報についてのみです。

Fashion Transparency Indexはインパクトの測定はし ません。あくまで測定の対象は公開されている情報です。

ブランドや小売業者による主張について、それらを 検証す ることはこの調査の範囲外ですが、ステークホルダーが私 たちの調査結果を用いてブランドにその主張をしっかりと 遂行させることを推奨します。

Fashion Transparency Indexは倫理性やサステナビリ ティの測定はしません。インデックス内のブランドを支持し たり、ランキングに基づいた特定のブランドでの買い物を 消費者に提案したりすることはありません。これはショッピ ングガイドではありません。

我々は以下を情報源としません

ブランドまたは親会社のウェブサイト

ブランドもしくは親会社のウェブサイトに直接リンク先が ある、サステナビリティ/CRマイクロサイト;

ブランドもしくは親会社のウェブサイトにある、公開された 年間報告書または年間サステナビリティ報告書(2019年 1月以降のものを有効とする)

ブランドもしくは親会社のウェブサイトから閲覧もしくは ダウンロード可能なその他のドキュメント

ブランドもしくは親会社のウェブサイトに直接リンク先 がある、具体的な開示事項が記載されている第三者 のウェブサイトの情報(Bangladesh Accord、Better Work、CDP、FLA、ETI、BSCI / Amfori のウェブサイトなど)

商品に付属しているラベルまたはタグ

店内またはその他の場所で取得しうる情報

スマートフォンアプリ

ソーシャルメディアチャンネル

ブランドサイトからのリンクがない、第三者のウェブサイト または資料(プレス記事を含む)

ブランドのウェブサイト上でリンクのないダウンロード可 能なドキュメント

調査範囲
情報やデータは以下のいずれかより、 閲覧可能でなければなりません
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH 30

調査プロセスについて

2021年8月-11月

手法のアップデートを行う: 産業調査とステークホルダーとの協議を重ねた上 で、新しい重点課題の選定と、指標の考案、そのほかの細かい調整を行いまし た。ブランドに依頼するアンケートの準備を進め、同時に、2020年から2021年

の間に年間売り上げ額が基準値に届かなかった又は撤退したブランドに代わ り、新たに調査すべき4つのブランドを追加しました。

2021年12月-2022年1月

選定したブランドと小売業者を調査する: 調査チームはそれぞ れのブランドを調査し、公開されエビデンスのあるものについ て事前にアンケートに入力をし、暫定的に採点しました。この段

階で、ブランドには今年のインデックスに含まれていることを伝 達し、参加を打診しました。

2022年3月下旬

ブランドが回答したアンケートを返却する: 参加を取り 決めたブランドは、記入済みアンケートを返却。調査チ ームは回答を確認し、十分な情報開示がなされている 部分に関して追加スコアの採点をしました。

2022年2月下旬

各ブランドがアンケートを受け取り、完成させる: ブランドには約1ヶ月間で、調査員が見逃した情 報を確認し、アンケート内容の不足を補ってもら いました。

2022年2月上旬

データのクオリティを確認する: 最低2名 以上の調査リーダーにより、全250ブラン ドにおける各指標のアンケートについて、 内容の正確さと一貫性をチェックしました。

2022年3月下旬−4月下旬

回答内容の評価とデータの精度チェック: 調査チー ムは設問とスコアの最終決定をする前に、数回に渡 り査読をし、情報の精度を確認しました。

2022年5月上旬−6月下旬 データ集計、分析、レポートの作成: 各ブランドのアンケート内容を順番に 並べ、1つの大きな完全データにまとめました。このデータは、最終結果の 分析、前年比の進展の判断、また注目すべき内容を抽出するために用いま した。最終得点は、公開直前にブランドに通知しました。

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH 31

調査方法について

Fashion Transparency Indexは、人権や環境問題に関する情報開示について、以下の5つ の主要分野の基準に従って評価します。

1. ポリシーと公約

2. ガバナンス

3. サプライチェーンのトレーサビリティ

4. 把握・開示・改善

5. 重点課題

今年の項目は下記

• 働きがいのある人間らしい仕事: 強制労 働、生活賃金、購買慣行、労働組合化と 団体交渉

• ジェンダーや人種の公平性

• サステナブルな調達と材料

• 過剰消費とビジネスモデル

• 廃棄と循環性

• 水と化学物質

• 気候変動と生物多様性

ブランドアンケートの テンプレート

2022年版インデックスは、250

ブランドの246の個別指標を カバーし、62,250のデータポ

イントで構成されています。そ

のテンプレートはこちらをご覧 ください。

Mostafiz Uddin Denim Expert Ltd. オーナー兼 代表取締役/Bangladesh Denim Expo創設者

''透明性とは未来だと思い ます。何故なら、サプライチ ェーンに関わる人々の信 頼を構築する力を有するか らです。それは、この地球 上の全てのものの存続に 必要なものなのです''
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH 32

調査方法に関する諮問委員会 諮

この調査方法は2017年、様々な業界の専門家 やステークホルダー(研究職、貿易運動団体、市 民社会組織、社会的責任投資、ビジネスコンサル

ティング、ジャーナリズムなど)と共に、4ヶ月の歳 月をかけ協議をしたのちデザインされました。今 年は、20名以上の専門家や組織を含むプロボノ

チームの手により、重要なアップデートを行って います。チームは以下の通りです。

Dr Mark Anner, ペンシルバニア州立大学 国際 労働者権利センター センター長・博士

Eloisa Artuso, Fashion Transparency Index Brasil リーダー

Neil Brown, GIB Asset Management 普通株 責任者

Maddy Cobbing, Greenpeace デトックス・マイ ファッション・キャンペーン

Gary Cook, Stand.earth 地球気候運動ディレ クター

Subindu Garkhel, The Fairtrade Foundation コットン・繊維部門長

Fiona Gooch, Traidcraft Exchange シニア個 人部門ポリシーアドバイザー

Christina Hajagos-Clausen, IndustriALL

Global Union 繊維&衣料産業ディレクター

Kristian Hardiman, Good On You 評価部門長

Aruna Kashyap, Human Rights Watch シニ アカウンセル

Kate Larsen, ビジネス・人権コンサルタント

Hester Le Roux, CARE International シニアエ コノミックアドバイザー・ポリシー・アドボカシー担当

Emily MacIntosh, European Environmental Bureau 繊維部門ポリシー担当者

Maya Rommwatt, Stand.earth ファッション

気候活動家

Francois Souchet, エレンマッカーサー財団

Make Fashion Circular 指揮

Joe Sutcliffe, CARE International 尊厳ある仕

事シニアアドバイザー

Urksa Trunk, Changing Markets キャンペーン アドバイザー

Ben Vanpeperstraete, サプライチェーンコン サルタント

Frank Michel, ZDHC エグゼクティブディレクター

Klaas Nuttbohm, ZDHC推進ディレクター

Olivia Windham Stewart, ビジネス・人権ス ペシャリスト

Katie Shaw, Open Apparel Registry プログラ

ム最高責任者

Pauline Op De Beeck, ヨーロッパセールズ部

門長 - アパレルセクター・リード

Laura Balmond, Ellen Macarthur

Foundation Make Fashion Circular リード

Anna Bryher, Labour Behind the Label 提唱 ディレクター

Chloe Rollscane, Canopy Global リサーチャー

Holly Syrett, Global Fashion Agenda

我々の調査方法は、GRI、Open Data

Standard、国連の指針、SDGs、OECD適正評価 ガイドライン、ILO関連協定、ACT、CHRB、Know The Chain、Transparency Pledgeなど、既存 の国際的な基準や枠組みや他の指標との整合 性にも努めています。また、共同型の検索プラッ トフォームであるWikirateとのパートナーシップ により、他のベンチマークとも調査結果を共有し あっています。

今年は前年と比較して24の指標を新たに追加し ました。また、いくつかの指標において、より明確 に、ベストプラクティスに沿った表現に更新して います。アンケートのテンプレートをダウンロー ドすると、これらの変更点が赤文字で表示されま す。指標全体が赤文字で表示されている場合は、 まったく新しい指標であることを示しています。ス コアのウェイトは、詳細な開示、結果、成果、それ による影響、及び外部のステークホルダーがブラ ンドの責任を追求する際の実用的なデータに重 きが置かれる配分になっています。

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH 33

• データは2022年4月30日現在のも のであり、これ以降にブランドが情報 開示または撤回、そのほかエビデン スへのリンクが機能しなくなったなど の状況が変わる可能性もあります。

• 2022年に調査方法を変更したこと で、対前年との比較をしたとき結果に 何らかの影響が及ぼされる可能性が あります。そのことを念頭におきなが ら年度別の比較をしてください。

• 主に机上にて行われる調査は人の手 によってなされており、調査チームの 人為的ミスも起こり得ます。

• ブランドが公開している主張自体を 検証するところは、この調査の範疇で はありません。実態とブランドの主張 があまりに相容れない場合、現場の

権利所有者と専門家のみがブランド

調査結果の算出方法

我々は、主要ブランドの実用的な情報の公開に 関して、この調査方法は包括的で強固なもので あると自信を持っています。調査チームは、250 のブランドすべてにわたって可能な限り、徹底的 に慎重に、客観的かつ一貫性のあるものになる よう最善を尽くしてきました。とはいえ、この調査 をさらに良いものにするため、皆様からの貴重 なご意見やフィードバックは以下のEメールアド レスにご連絡ください。

transparency@fashionrevolution.org

全てのスコアは小数点以下2桁まで計算され

た後、最終的に四捨五入してパーセンテージ

に置き換えられています(本報告書に記載さ

れています)。

それぞれのブランドのトータルスコアを算出

するために、5つの異なるセクションに分けて 点数配分を行いました。それぞれのセクショ ンのウェイトは異なっており、必ずしも均等で

はありません。:

o セクション1:33/250ポイント

o セクション2:11/250ポイント

o セクション3:73/250ポイント

o セクション4:50/250ポイント

o セクション5:83/250ポイント

全250ブランドの総合平均スコアは、全ブラ

ンドの個別最終スコア の平均を取ることで算

出されます。特に明記されていない限り、前年

比との差は変化率ではなく、実際の変化量を

パーセンテージとして表記しています。

例えば、ある年に30%のスコアだったブラ ンドが翌年45%となった場合、50%の増加 (45/30=1.5)ではなく、15%の増加(4530=15)としています。

前回の調査段階で四捨五入された数値が使 われている場合、次の調査では四捨五入前の 正確な数値ではなく、四捨五入後の数値を用 いて前年度比との差を計算しています。例え ば、あるセクションで平均の数値が17.74%だ ったとする と、18%に切り上げます。前年度の 同じセクションの平均スコアが12.41%とする と、それは12%に切り捨てられているため、前 年度比の違いは、厳密に言えば5.33%ですが、 四捨五入された後の数値で算出するため、6% となります。

に責任を追求することができます。
調査の限界 FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH 34

従業員とサプライチェーン労働者に関する社会・環境ポリシーにおい て、どのように取り組んでいるか、関連する目標やターゲットを設定し ているか、またターゲットに対する年間の進捗を報告しているかどう か、調査します。2021年は結果や影響の部分に重きを置くためこのセ クションの配点は半減することにしました。今年は、指標に変更はない ものの、どのような開示が許容されるかについて、より厳しいガイダン スを作成したため、昨年と比較して一部のブランドのスコアが低くなっ ている可能性があります。例えば、残業代に関するサプライヤーポリシ ーがあるかどうかを評価する場合、「残業代は割増で支払われる」とい

うだけでは十分ではありません。私たちは、最低賃金を上回る割合の 開示を求めます。さらに、セクション1.2において、ブランドの方針がサ

プライヤーに何かを「奨励」または「示唆」している場合はポイントとし て認めていません。言葉があいまいな場合、責任を回避するために使 われることがあり、私たちの目的は、使用されている言葉をより詳細に 精査することでした。

ここでは、社会や環境に関する 取り組みについて、取締役会の 誰が責任を負い、どのように実 行しているか、そこで改善され た内容が従業員・CEO・サプラ イヤーにどのように関連してい るか、担当部署は一般から問い 合わせがしやすいかどうかを

確認します。また、ブランドが責 任ある税務戦略を公表してい

るかどうかと、取締役会に労働

者の代表が含まれているかど うかも調べました。

このセクションでは、ブランドが、製造、加工 施設・工場、原材料の3つのレベルでサプラ イヤーリストを公表することを期待します。

サプライヤーの住所、労働者数、性別の内 訳、移民労働者の数、労働組合の代表、リ ストの最新更新日なども、追加情報として

チェックします。今年は新たに、労働組合や NGOが情報を使いやすくするために、ブラ ンドのリストが一般に公開されているか、

アパレル業界のオープンデータ基準に沿 っているかどうかを確認しました。また、影 響を受けるステークホルダーのコラボレー

ションと効率的なデータアクセスを可能に するために、ブランドが「Open Apparel Registry(OAR)」(アパレル大手のサプラ イヤーリスト情報)に積極的に貢献してい るかどうかも確認しました。

5.

ここでは、ブランドがデューディリジ ェンスのプロセスについてどのよう な情報を開示しているのか、ポリシ

ーに対してサプライヤーをどう評価 するか、監査と評価の結果はどのよ

うなものか、問題が発見された場合

の対処方法、労働者の苦情申し立て 方法、その際の対応についてチェッ

クします。これまでのインデックスで は、人権デューデリジェンスの開示が 中心でしたが、今年は、デューディリ

ジェンスの開示における潜在的なギ ャップを明らかにするために、初め て人権と環境デューデリジェンスを

異なるサブセクションに分けました。

2021年は、重点課題を2020年 の19.6%から大幅に比重をアッ プさせました。これは、業界が直 面している最も緊急かつ困難な 問題についての情報開示をより 強力に推し進めるための取り組 みの一環です。2022年版では、 このセクションのウェイトに変更 はありません。このセクションで は、強制労働、生活賃金、購買習 慣、組合結成、人種・男女平等、過 剰生産、廃棄物と循環型社会、サ ステナブルな素材、水と化学物 質、気候、森林破壊など、多くの問 題に関してブランドがどのように 開示しているかを見ています。

得点の割合
1. 2.
ポリシーと公約
ガバナンス
割合(%) 13.2% 4.4%
3.
29.2%
4.
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH 35 35 METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH
20% 33.2% トレーサビリティ 把握・開示・改善 重点課題

最終スコアの見方

0から5%のスコアを獲 得したブランドは、全く 何も開示していないか、 非常に限られた情報の み公開しています。その 限られた情報とは、ブラ ンドの雇用慣習や地域 社会と関わる活動に関 連していることが多いで す。情報開示のレベルが 非常に低い場合、公表さ れる情報は、法律で義務 付けられているものであ ることが多い(例えば、

現代奴隷制度に関する

声明や男女間賃金格差 報告書など)。透明性を 義務付ける法律は、他の

方法では自主的に情報 を開示しないブランドを 動かす効果的なツール となり得ます。

6から10%のスコアを獲

得したブランドは、従業 員とサプライヤーのため の何らかのポリシーを公 開していることが多いで

す。スコアが10%に近い

ブランドは、基本的なサ プライヤーの行動規範、 手続きに関する情報、サ

プライヤーの評価プロ セスについて限定的に 開示する傾向にありま す。

11から20%のスコアを 獲得したブランドは、従 業員とサプライヤーのた めのポリシーを多く公開 しており、サプライヤー

に関する評価と改善の 手続きに関する幾つか の情報も見られます。し かし、これらのブランド

はほとんどの場合サプラ イヤーのリストを公開し ておらず、我々が重点課 題と位置付ける以下の

情報を例え公開していた としても、多くの情報は 得られません。(働きがい

のある人間らしい仕事&

購買慣行、ジェンダー&

人種の公平性、サステナ

ブルな調達&材料、過剰

消費、廃棄&循環性、気 候変動&生物多様性)

21から30%のスコアを 獲得したブランドは、ポリ シー、手順、ガバナンス、 社会的・環境的目標、サ プライヤーの評価や改 善の手続きについて、よ り詳細な情報を公開して いることが多いです。工 場名や住所などメーカー の基本情報はあります が、サプライヤーの評価 結果や苦情処理ルート に関する情報は共有して いないと思われます。す べての重点課題に関し て情報を開示しているわ けではありませんが、い くつかの課題には触れ ている事があります。

31から40%のスコアを 獲得したブランドは通 常、一次製造業者や、ポ リシー、手順、社会的・環 境的目標、ガバナンス、 サプライヤーの評価や 改善の手続きについて の詳細な情報を開示し ています。我々が重点課 題と位置付ける情報のう ち、炭素排出、ジェンダ ー平等、サステナブルな 調達と素

材、エネルギー使用など に関しても部分的に公 開されている可能性が 高いです。

41から50%のスコアを 獲得したブランドは、より 詳細なサプライヤーリス トを公開しており、その 多くはメーカーだけでな く加工施設も公にしてい ます。加えてポリシー、手 順、社会的・環境的目標、 ガバナンス、サプライヤ ー評価・改善手続き・サプ ライヤー評価の報告につ いても詳細な情報が確 認できました。ジェンダー 平等、サステナブルな方 法と素材、エネルギー使 用、廃棄&循環性、脱炭素 化、水と化学物質などの 重点課題に取り組んでい る可能性が高いです。

51から60%のスコアを

獲得したブランドは、他

の範囲ですでに記載され

ている全ての情報を公開

し、さらに詳細なサプラ

イヤーリストも掲載があ

ります。ここにランク付け

されたブランドは、殆ど

の人権や環境政策、手

順、社会的・環境的目標、

ガバナンスとデューディ

リジェンスのプロセスに 関する情報も公開してい

ます。また、サプライヤー

に関する評価の結果に関

してもある程度情報開示

しています。炭素排出、ジ

ェンダー平等、サステナ

ブルな調達と素材、エネ

ルギー使用、廃棄&循環

性 、脱炭素化、水と化学

物質、生活賃金、循環性

などの重点課題に取り組

んでいます。

250点満点でカウントし、最終的なスコアはパーセンテージ に直され、小数点以下を四捨五入して表示します。ブランド の個別の得点ではなく、ブランドの得点範囲に焦点をあてて ください。そうすることで、業界全体の透明性の傾向をより 正確に把握することができます。

61から70%のスコアを 獲得したブランドは、他 の範囲ですでに記載さ れている全ての情報を 公開し、さらにメーカー、

縫製工場、コットン、ウー ル、ビスコースなどの原 材料サプライヤーの詳細 リストも公開していま

す。ここにランク付けさ れたブランドは、これよ り下のランク内で既に説 明された重点課題以外

にも、人種の平等、強制

労働、過剰消費、森林破 壊と再生、購買慣行、労 働組合化と団体交渉に ついても取り組んでいく でしょう。

71から80%のスコアを 獲得したブランドは、他 の範囲で既に記載されて いる全ての情報を公開 し、さらにコットン、ウー ル、ビスコースなどの原 材料の製造業者、加工施 設、サプライヤーの詳細 リストも公開しています。

それに加えてデューデリ ジェンスにおけるプロセ スやその結果、サプライ ヤーの評価や改善方法 に関しても公にしていま す。ここでランク付けされ たブランドは、重点課題 に関してのインデックス においてかなり包括的で 詳細な情報やデータを提 示していますが、成果と そのインパクトに関して の重要な開示はまだ欠如 しています。

81%以上のスコアを獲得したブランドはありませんでし たが、あるとすれば既に説明した全ての情報を公開する とともに、特定の施設におけるサプライヤーの評価およ び改善方法の詳細情報を公開するでしょう。また、原材料 から製造に至るまでの、少なくとも95%の詳細なサプラ イヤーリストを共有しています。ここでランク付けされた ブランドは、社会面・環境面へのインパクトを財務的なビ ジネスモデルに反映させ、サステナブルな素材の使用に ついて十分な情報開示をています。また、自社及びサプラ イチェーンにおける職務内容とジェンダーの関係につい ても提供しています。企業の購買慣行、サプライチェーン の労働者の賃上げに向けての取り組みや進捗状況に関 する情報も開示します。炭素排出、再生エネルギーや水 の使用量について自社の業務から原材料レベルに至る までの情報も公開されます。スコア100%がどのような状 態を意味するのかについては、Q&Aにある、11番目の質 問をご覧ください。

0—5% 6—10% 11—20% 21—30% 31—40% 41—50% 51—60% 61—70% 71—80% 81—90% 91—100% TRANSPARENCY
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 36 METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH

結果と分析

全ての結果のアクセスは こちらから

全250ブランドの基礎データを確認する 場合はWikirate.orgをご覧ください

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 37

Eddie Bauer

ANTA

Buckle

Gerry Weber

Marni

Merrell

Valentino

Express

Cole Haan

Triumph

Dillard's

Truworths

Tommy Bahama

Shimamura

LC Waikiki

Max

Longchamp

REVOLVE

Aeropostale

Deichmann

Pepe Jeans

Jockey

SHEIN

Romwe

Dolce & Gabbana

BCBGMAXAZRIA

DKNY

Van Heusen

Nine West

celio

Tory Burch

Jil Sander

Fashion Nova

New Yorker

Max Mara

Semir

Tom Ford

Heilan Home

Belle

Big Bazaar - ffb

Elie Tahari

Justfab

K-Way

KOOVS

Metersbonwe

Mexx

Splash

Youngor

Costco

LL Bean

Tod's

United Arrows

Carhartt

Li-Ning

The Children's Place

Canada Goose

Takko

Saks Fifth Avenue

Famous Footwear

Carolina Herrera

Sandro

Foot Locker

Hudson's Bay

Beanpole

AJIO

CAROLL

Reliance Trends

DSW

Billabong

Quiksilver

Roxy

Chico's

Diesel

Ross Dress for Less

Kmart

Skechers

Bosideng

Furla

Sports Direct

Bloomingdale's

Macy's

HEMA

Muji

Paris

Kiabi

Aritzia

Mizuno

Abercrombie & Fitch

Armani

Hollister Co.

Monoprix

Jack Wolfskin

American Eagle

Foschini

Carter's

Otto

Victoria's Secret

Joe Fresh

Miu Miu

Prada

Moncler

Nordstrom

TOPVALU COLLECTION

Desigual

Disney

REI

Cortefiel

Kaufland

Reserved

Chanel

Brunello Cucinelli

Kohl's

Fanatics

Steve Madden ALDO

Anthropologie

Free People

Urban Outfitters

Fossil

Ito-Yokado

Michael Kors

Versace

Lands' End

MRP

Falabella

Burlington

TJ Maxx

Fila

ALDI SOUTH

Chloé

New Look

Superdry

Burberry

Big W

Lacoste

Fruit of the Loom

Russell Athletic

Next

Columbia

Sportswear

Ermenegildo Zegna

Jack & Jones

Target

Bonprix

Vero Moda

Primark

John Lewis

ALDI Nord

Amazon Hermès

Ralph Lauren

GU

Levi Strauss & Co

Tesco

Uniqlo

Hugo Boss

Reebok

Balenciaga

SAINT LAURENT

Bottega Veneta

Speedo

Tchibo

Sainsbury's Wrangler ASICS

G-Star RAW

Zalando

Banana Republic Gap

Old Navy

Patagonia

Mango

Marks & Spencer

Bershka

Massimo Dutti

Pull&Bear

Stradivarius

Zara

Lindex

C&A

Gucci

Puma

Dressmann

Zeeman

Calvin Klein

Esprit

Tommy Hilfiger

UGG

Calzedonia

Intimissimi

Tezenis

Converse

Jordan

Nike

Fendi

Lululemon

adidas

ASOS

OVS

Kmart Australia

Target Australia

KiK

La Redoute

* ブランドは250点満点中のスコアでランク付けされていますが、四捨五入した数値で表示しています。同じ点数のブランドがある場合は、アルファベット順に表示しています。

最終スコア
0-5% 6-10% 11-20% 21-30% 31-40% 41-50% 51-60% 61-70% 71-80% 81-90% 91-100%
Tom Tailor New Balance
Dr. Martens GUESS Fjällräven Lidl Louis Vuitton CELINE Dior Helly Hansen boohoo Marc Jacobs PrettyLittleThing Asda Hanes Brooks Sport Champion Morrisons Prisma River Island s.Oliver COACH Clarks Woolworths South Africa Mammut El Corte Inglés The Warehouse Bally Kate Spade Carrefour Matalan Dick's Sporting Goods Walmart Salvatore Ferragamo Ted Baker JD Sports Kathmandu Under Armour Cotton On Pimkie Very Decathlon
The North Face Timberland Vans United Colors of Benetton Gildan 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 4 4 4 4 4 4 3 3 3 3 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 40 40 40 38 38 38 38 37 37 37 36 36 36 36 35 34 31 31 31 20 20 20 20 20 20 19 19 19 19 18 18 18 18 18 18 18 18 18 17 17 17 17 17 17 17 16 16 15 14 14 14 14 14 14 14 14 14 13 13 13 13 13 13 13 13 12 12 11 59 59 58 57 57 56 56 56 56 54 54 54 53 53 53 53 52 51 51 10 10 10 9 9 9 9 9 9 8 8 8 8 8 8 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 6 6 6 6 6 6 50 49 49 49 49 49 48 46 46 46 45 45 45 45 44 44 44 44 44 44 44 44 44 43 43 43 43 43 42 42 41 78 78 78 30 30 30 30 30 30 29 29 29 28 28 28 28 27 27 27 27 27 27 27 27 27 26 26 26 26 25 25 25 25 25 24 24 24 24 23 23 22 22 22 22 21 66 66 66 65 63 62 FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 38 FULL RESULTS & DETAILED ANALYSIS
H&M

調査結果概要

TRANSPARENCY 全体の7%にあ たる17ブランド のスコアが0% 平均点はスコア24% 70%以上のスコ アを獲得したブ ランドは3つ 80%以上のスコア を獲得したブランド はありませんでした NO. OF BRANDS 0-5 41-50 6-10 51-60 21-30 71-80 91-100 11-20 61-70 31-40 81-90 40 60 70 20 30 50 10 FINAL SCORE (%) FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 FULL RESULTS & DETAILED ANALYSIS 39

各分野ごとの平均スコア

ポリシーと公約は主要なブラン ドにおいて最も透明性の高いブラ ンドを示すセクションです。Puma はスコア94%の最高得点をマー クし、21ブランドがスコア90% 台、24ブランドが80%台、25ブラ ンドが70%台と続いています。この 結果から、これらのブランドは社会 や環境に対するポリシーの全ても しくは大部分が公開されていると いうことが分かります。同時に、人

権や環境インパクトに関する大部 分のポリシーがどのように具体的 な方策や目標に落とし込めている

かどうかも見て取れます。0−10% のスコアを獲得した27のブランド は、関連するポリシーを殆ど公開し ていません。今年の配点方法では、 結果や成果、インパクトの部分のウ ェイトを大きくしたため、このセク ションの有効ポイントは半減され ています。

Balenciaga 、Bottega Veneta 、Gucci 、Saint Laurent 、Puma、Hugo Boss、adidas の各ブランドは、このセクションで 100%と最も高い評価を得ていま す。大半のブランドはサステナビリ ティ部門の連絡先を開示し、人権

や環境問題に対する取締役会の説

明責任についても言及しています。

従業員が取締役会に参加している

ことを開示したり、サステナビリテ

ィの取り組みへの財務投資の詳細 を公表しているブランドはほとん どありません。0%のスコアを獲得 した44のブランドは、全く開示をし ていません。

これまで以上に多くのブランド (48%)が、一次製造業者を公 開しています。今年は9つのブラ ンドが9 0 % 台のスコアを獲得 し、最も高いスコア(100%)を獲 得したのはOVS、その次に97% だったのがCalzedonia Group (Calzedonia, Intissimi, Tezenis)と続きます。これらのブ ランドは、一次製造先以降の詳細 な製造元リストと、加工施設と原材 料のサプライヤーを公開していま す。また、全体の半分ほど(250ブ ランド中125)を占める大多数のブ ランドが0-1%の得点にとどまり、 サプライヤーについて全く公開し ていません。私たちは、2022年ま でに少なくとも一次製造業者に関 して50%のブランドが、明らかにす ることを期待していたので、今後 もその希望を持ち続け、来年には 50%を超えることを目指します。

このセクションでは、ブランドがサ プライチェーンにおいて自社の方針

(セクション1の方針)が守られて いるかどうか、また、その取り組み

が労働条件の改善や責任ある環境 活動につながっていることをどの ように証明しているかを示してい ます。注目すべきは、このセクショ ンで今年最もスコアが高いブラン ドは、Kmart AustraliaとTarget Australiaで80%であるのに対し、

昨年はOVS(55%)が最高スコアと なっていることです。一方、111ブラ ンド(44%)が0〜10%の範囲にあ

り、これは、サプライチェーンのデュ ーデリジェンスや、工場で問題が発

見されたり、労働者自身によって報

告された場に、その問題を解決す

るための努力について、何も開示 していないか、ほとんど開示してい ないことを意味します。全体として、

このセクションで獲得できる得点の 50%未満にとどまっているブランド

が全体の96%を占めています。

今年は、GUCCIが昨年の66 %から69%に上昇し、このセクシ ョンで最も高いスコアを獲得した ブランドとなりました。注目すべ きは、今年は70%台のブランドが いないことです。OVSは67%で2 位、Kmart AustraliaとTarget Australiaは63%で続いています。 つまり、大多数の主要ブランドが、 働きがいのある人間らしい仕事、 購買慣行、生活賃金、労働組合化 と団体交渉、ジェンダーや人種の 公平性、サステナブルな調達と材 料の使用、廃棄と循環性、水と化学 物質、気候変動と生物多様性など 極めて重要かつ緊急性を増す課題 に対して、広く透明性を欠く状態 にあることを意味します。

1. 2. 3. 4.
34% 21%
18% 40 FULL RESULTS & DETAILED ANALYSIS FASHION
5. ポリシーと公約 ガバナンス トレーサビリティ 把握・開示・改善 重点課題
51%
19%
REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022

ポリシーと公約

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 41

1. ポリシーと公約 アプローチ

主要なブランドや小売業者は、どのような人権およ

び環境に関する方針と手続きを公開しているのか?

このセクションでは、企業レベル(企業が経営する本社、店舗、倉庫と所 有する生産施設)とサプライヤーレベル(行動規範とサプライヤーの指

針書)の双方において公開しているポリシーや手順を確認しています。

今年は、上記の指標の多くについてのガイダンスを更新し、ベストプラクティ スを強調しました。ガイダンスノートは、アンケートに答えるブランドに対し

私たちは以下の問題を取り上げます:

• 動物福祉

• 年次休暇と祝日

• 贈収賄、汚職、及び事実に反する

情報の提示

• 生物多様性及び保護

• 児童労働

• 地域社会とのかかわり

• 契約における賃金の雇用条件

• 差別

• 多様性と包括

• エネルギーや二酸化炭素の排

出量

• 同一報酬

て、私たちがどのような情報を受け入れ、どのような情報を受け入れないの かを理解するためのものです。私たちは、TrusTraceと協力して、透明性の ある情報開示の例を紹介する「TrusTrace Traceability Playbook」を作 成しました。

年次休暇と祝日、多様性と包括、二酸化炭素の排出量、在宅労働、出産の権 利と育児休暇の取得など、複数の指標について開示要件を更新しました。

例えば、在宅労働の指標では、サプライチェーンにおける在宅労働者の存 在を認識する政策を求めていることを明記し、在宅労働の禁止にとどまら ない政策のみにポイントが付与されます。

社会的・環境的な優先事項と重要 な長期的目標

私たちは、バリューチェーン全体に渡り、ブランド が社会的・環境的なインパクトを改善するための 目標や戦略を公開しているか確認し、具体的な 目標達成年が2022年以降に設定されている場 合にのみ調査に反映しました。また、目標達成に 向けて毎年の進捗状況を公表しているブランド には加点しています。今年は、進捗データの指標 を更新し、明確な期限付きで測定可能な目標が 定義されていないブランドには、進捗ポイントを 付与しないことを厳格に定めています。

• 強制労働、拘束労働

• 外国人や移民の労働

• 結社の自由、組織する権利、団体 交渉

• ハラスメントや暴力

• 健康・安全

• 在宅労働

• 生活条件・寮

• 製造に関して制限された物質のリス ト(MRSL)

• 出産の権利、育児休暇の取得

• 精神的健康とウェルビーイング

• 残業手当

• 規制化学物質リスト(RSL)

• 下請け

• 賃金や福利厚生(生活保護、保険、年 金、ボーナス)

• 廃棄物、リサイクル(パッケージ、オフ ィス、小売)

• 廃棄物、リサイクル(製品と繊維)

• 排水と処理

• 水の消費

• 労働時間、休憩

最後に、サステナビリティに関する年次レポート が独立した第三者機関によって監査されている か確認しました。

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 POLICIES & COMMITMENTS 42

1. ポリシーと公約 調査結果

いくつのブランドが有効なポリシーを公表したか?

動物福祉 年次休暇と祝日 贈収賄、汚職防止、および事実に反する情報の提示 生物多様性及び保護

児童労働 地域社会との関わり 契約と雇用条件(通知までの期間、解雇や懲戒処分を含む)

差別 多様性と包括 エネルギーや温室効果ガスの排出

同一報酬

強制労働・拘束労働 外国人や移民の労働

結社の自由・組織する権利、団体交渉

ハラスメントや暴力

健康・安全

在宅労働

生活環境・寮

製造制限物質リスト(MRSL)

出産の権利、育児休暇の取得

精神的な健康やウェルビーイング

残業手当 規制化学物質リスト(RSL)

廃棄物、リサイクル(製品、繊維)

147 142 197
下請け 賃金や福利厚生(例:ボーナス、保険、生活保護、年金) 廃棄物、リサイクル(パッケージ、事務所、小売)
排水と処理 水の消費量 労働時間・休憩 133 93 92 194 213 167 204 139 203 172 79 81 164 69 219 209 209 127 216 157 212 142 223 92 101 120 121 95 179 176 117 122 179 169 127 176 188 177 194 197 139 194 144 140 150 180 165 135 90 105 210 195 225 240 250 30 15 60 45 75 120 0
会社のポリシー
手段 186 50 111 64 144 72 135 130 59 120 44 123 53 154 80 96 99 117 170 19 49 59 39 114 114 85 74 117 121 105
サプライヤーのポリシー
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 44 POLICIES & COMMITMENTS
調査結果 会社のポリシー を公開している 89 サプライヤーのポリ シーを公開している サプライヤーのポリ シーを公開している サプライヤーのポリ シーを公開している サプライヤーのポリ シーを公開している ポリシーの実行方 法を公開している ポリシーの実行方 法を公開している ポリシーの実行方 法を公開している ポリシーの実行方 法を公開している ポリシーの実行方 法を公開している ポリシーの実行 労働時間・ 休憩在宅労働生活環境・ 寮 サプライヤーのポリシ ーを公開している 86 ポリシーの実行方 法を公開している 86% 89% 児童労働同一報酬強制労働・ 拘束労働 48 32 48% 82 32% 34 34% 82% 28 28% 66 8 66% 62 8% 16 16% 62% 51 51% FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 POLICIES & COMMITMENTS 45
1. ポリシーと公約

排水と処理製品と繊維に関する廃棄物

1
調査結果 規制化学物質リスト (RSL)を開示している サプライヤーのポリ シーを公開している サプライヤーのポリ シーを公開している サプライヤーのポリ シーを公開している サプライヤーのポリ シーを公開している 製造時制限物質 リスト(MRSL)を 開示している ポリシーの実行 規制化学物質リスト(RSL)VS 製造制限物質リスト(MRSL)
ポリシーと公約
会社のポリシーを 公開している 会社のポリシーを 公開している 会社のポリシーを 公開している 会社のポリシーを 公開している ポリシーの実行方 法を公開している ポリシーの実行方 法を公開している 48 48 48% 48% 動物福祉生物多様性及び保護 56 水の消費量 56% 44 56 56% 32 44% 32% 47 47% 56 38 56% 38% 46 24 46% 24% 58 58% FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 POLICIES & COMMITMENTS 46

従業員の賃金や福利厚生外国人や移民の労働繊維品の廃棄物とリサイクルハラスメントや暴力

製品や繊維に関する廃棄物やリ サイクルに関するサプライヤー のポリシーを公開している企業

1. ポリシーと公約 調査結果 74+70 50+51 20+24 44+47
国際基準 2022 70 74 2021 従業員の賃金や福利厚生
ている企業の割合
している企業の割合
69+72
に関するポリシーを公開し
信頼できる国際基準に基づく サプライヤーポリシーを公表
ハラスメントや暴力に関する 手順を公表している企業の 割合 外国人や移民の労働に関す るサプライヤーのポリシーを 公開している企業の割合
の割合 年間進捗状況 2022 2021 50 51 20 24 72 69 47 44 2022 2021 2022 2021 2022 2021 FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 POLICIES & COMMITMENTS 47

1. ポリシーと公約 分析

る公約を公表していますが、これらの公約をど のように実践しているかを共有しているのは、

わずか40%です。ポリシーと公約の透明性は基 本ですが、ブランドがその影響と結果について 意味のある透明性を取り入れることは極めて 重要です。

方針が示されています。年次休暇と育児休暇の 点数設定に関するガイダンスを更新したので、

これらのスコアが昨年より低くなった要因とな

っています。サプライチェーンでは、廃棄物とリサ イクル(製品、繊維)(24%)、地域社会との関わ り(26%)が、最も透明性の低い方針が示され ています。

今年は、セクション1のポリシーと公約の指標が 更新されました。その結果、セクション1の全体 平均スコア(51%)は、昨年(53%)よりわずかに

低くなっています。これらの変更にもかかわらず

セクション1は、昨年から変更された方法論を維 持しながらも、インデックスの中で最も高いスコ

アを獲得しているセクションです。ブランドは、自

社のポリシーや公約について、ガバナンス情報、 サプライチェーンのトレーサビリティ、成果・影響 データに比べ、より透明性が高い。例えば、大多 数のブランド(84%)は、サプライヤーレベルで の、結社の自由、組織する権利や団体交渉に対す

大手ブランドの大半は、自社の従業員に適用 される会社のポリシーを、次のテーマについて 開示しています:地域社会との関わり(79%)、 贈収賄と汚職防止(78%)、差別(78%)。サプ ライチェーンに関しては、ほとんどのブランド が児童労働(89%)、健康と安全(88%)、強制 労働・拘束労働(86%)に関するポリシーを開 示しています。大半のブランドはサプライチェ ーンに関する方針は、信頼できる国際基準に基 づいており(72%)、これらの方針はサプライヤ ーとの購買契約の一部である(70%)と述べて います。3分の1強のブランド(36%)は、生産 国の現地語でサプライヤー・ポリシーの翻訳を 公表しています。

今回は年次休暇と祝日(20%)、出産の権利と 育児休暇の取得(30%)、廃棄物とリサイクル( 製品、繊維)(38%)について最も透明性の低い

このデータは、サプライチェーンの中で最も有害 な可能性を持つ分野への取り組みに対する、ブ ランドの不透明さを示しています。例えば、サプ ライチェーンの在宅労働に関する方針を開示し ているブランドは、わずか27%です。在宅労働者 は、ラグジュアリー、ファストファッションを問わ ず、グローバルなファッションのサプライチェーン に欠かせない存在ですが、彼らの労働はあまり に頻繁に隠され、不安定で過小評価されていま す。今年、私たちは在宅労働の禁止以上の方針 を開示しているブランドのみを評価したので、ポ イントを維持するブランドは減少しました。その 結果、サプライチェーンの在宅労働の方針と手順 を開示してポイントを獲得したブランドの数は、 今年はそれぞれ27%と7%と、昨年のそれぞれ 37%、10%より減少しています。

主要なブランドは、成果やインパ クトよりも、ポリシーやコミットメ ントについて、より透明性を高め 続けています。
会社のポリシーを明らかに
2022 2021 2020 年次休暇と祝日
出産の権利と育児休暇
20% 78% 29% 78% 71% 30% 36% 43% 38% 46% 44% 26%
しているブランドの割合
贈収賄と汚職
廃棄物、リサイクル(製品、繊維)
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 POLICIES & COMMITMENTS 48

在宅労働者は、ファッションのサプライチェー ンにおいて、最も深刻な権利侵害を経験して います。しかし、彼らの状況は大手ブランドによ って見過ごされているだけでなく、EUが提案 するCSDD(Corporate Sustainable Due Diligence Directive - コーポレートサステナ ビリティ・デューディリジェンス指令案)のような 指令案の開発においても見過ごされている。私

たちは、Homeworkers Worldwideの趣旨 に賛同し、ブランドに対して、以下のことを早急 に行うよう提唱しています。在宅労働者およびそ

の代表者と協議し、彼らの労働における権利を 改善することを含め、サプライチェーンにおける 在宅労働者を認識し、責任を負うこと。75ペー

ジではHidden Homeworkes(在宅労働者を 支援するNGOのコンソーシアム)から直接話を 聞けます。

また、89%のブランドが児童労働に関するサプ ライヤーポリシーを開示していますが、どのよう に実施されているかを開示しているのは48% に過ぎません。同様に、66%のブランドが生活 環境・寮に関するサプライヤー・ポリシーを開示 していますが、どのように実行され、維持されて いるかを開示しているのは16%に過ぎません。

強制労働については、86%のブランドがサプラ イヤー・ポリシーを公開し、61%がそのポリシー をどのように実行しているかを開示しており、格 差はあまり見られませんでした。法律(英国やオ

ーストラリアの現代奴隷法 - Modern Slavery

Acts - や、カリフォルニア州サプライチェーン透

明法 - California Transparency in Supply Chains Actなど)で対応が義務付けられている テーマについて、最も高いレベルの情報開示が 行われているのは当然のことです。

方が多い。

今年は、43%のブランドが人権改善に向けた測 定可能な期限付きの長期目標を、68%のブラン ドが環境影響に関する目標を公表しています。人 権と環境に関する目標を開示しているブランド は増加していますが、これらの目標に対する進捗 を開示するブランドの数は昨年に比べて減少し ています。わずか35%のブランドが人権改善に向 けた目標達成の年間の進捗を、そして52%のブ ランドが環境影響に関する目標達成の年間の進 捗をそれぞれ開示しています。

進捗を開示するブランドが減ったことは、私たち の更新された要件を反映していると思われます が、これは注意を要する部分です。なぜブランド は目標を公表しながら、ステークホルダーにその 達成状況を伝えないのでしょうか?目標とその達 成状況の開示は、特にブランドが目標達成に至 らない場合、説明責任を果たすことになります。

自社のサステナビリティ情報、例えば二酸化炭素 排出量について、独立した第三者による監査や 検証を受けていることを開示しているブランドは 3分の1以下(31%)であった。残りの69%のブラ ンドは、検証を受けていないかどうかを開示して いないため、自社のサステナビリティの主張がチ ェックされていない可能性があります。

人権に対する目標よりも環境に 対する目標を開示するブランドの
主要ブランドのうち、自社のサス テナビリティへの主張について第 三者による検証を開示している のは3分の1以下。
2022 2021 2020 29% 24% 29% 57% 63% 66% 62% 63% 61% 58% 55% 61% 51% 50% 42%
"認知・自覚が鍵。情報がな
い場合私たちは何が起き ているのか、何が私たちの 健康や水の供給、そして地 球を危険にさらしているの か、わからないのです。"
会社のポリシーを明らかに しているブランドの割合 出産の権利と育児休暇 契約と雇用条件(通知までの期間、解雇や懲戒処分を含む) 同一報酬 外国人や移民の労働 生活環境、寮 FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 POLICIES & COMMITMENTS 49
Erin Brockovich

ガバナンス

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 50

2. ガバナンス アプローチ

社会的、環境的影響の責任は 誰にあるのか?

このセクションでは、社会的及び環境的パ フォーマンスとその影響は社内の誰に責 任があるのかを理解したいと思います。初 めに、ブランドがサステナビリティチームや

企業責任チームなど関連部門の連絡先を 公開しているかどうか確認しました。

また、社会的及び環境的問題を担当する取 締役の名前と、その監督がどのように実施 されているのかを調べました。今年は、以下 の2つの指標を新しく追加しました:

• 責任ある税制戦略の公表

• 環境に連動した役員報酬に占

める割合

ブランドが業績評価またはボーナスを通じ て、サステナビリティチームの枠を超えた従 業員(デザイナー、バイヤー、ソーシングマ ネージャーなど)らに対し、社会的および環 境的影響の改善を達成させる動機づけが できているか、またそれを開示しているか どうかを調べました。さらに私たちは、CEO や役員レベルの報酬においても社会的・環 境的影響との結び付きがあるかどうか調査 しました。

最後に、サプライヤーのインセンティブが人 権への影響と環境管理の改善に関連してい るかどうかも調べました。インセンティブの 種類としては、ブランドによる長期契約の締 結、注文数の増加、価格のプレミアム化、監 査回数の削減などが挙げられました。

フェアトレード

ウェルビーイング

ビジネス・アカウンタビリティ

サステナブルな生活

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 51
透明性
清潔、安全、そして公正なファッション業界
生活賃金 エンパワーメント 男女平等
良好な労働条件 環境の持続可能性
GOVERNANCE

2. ガバナンス 結果

AJIO

Amazon

Bally

Beanpole

Burlington

Clarks

Costco

Disney

Ermenegildo Zegna

Fjällräven

Foot Locker

G-Star RAW

Joe Fresh

Kathmandu

KiK

Kmart

Miu Miu

Mizuno

Morrisons

Muji

Nordstrom

Otto

Paris

Prada

Reliance Trends

REVOLVE

Target

The Warehouse

TJ Maxx

United Colors

Dick's Sporting Goods

El Corte Inglés

Falabella

Hollister Co.

Jack & Jones

Lindex

Michael Kors

New Balance

Next

Patagonia

Pimkie Reserved

s.Oliver

Salvatore Ferragamo

Tom Tailor

Vero Moda

Versace

* ブランドは250点満点中のスコアでランク付けされていますが、四捨五入した数値で表示しています。同じ点数のブランドがある場合は、アルファベット順に表示しています。

0-5% 6-10% 11-20% 21-30% 31-40% 41-50% 51-60% 61-70% 71-80% 81-90% 91-100% adidas Balenciaga Bottega Veneta Gucci Hugo Boss Puma SAINT LAURENT Bershka Gildan Hermès Massimo Dutti Pull&Bear Stradivarius Tesco Zara 100 100 100 100 100 100 100 91 91 91 91 91 91 91 91 Burberry COACH Dr. Martens Fendi H&M Kate Spade Levi Strauss & Co OVS Superdry The North Face Timberland Vans Wrangler Bonprix C&A Carrefour Kmart Australia Reebok Sainsbury's Target Australia Zalando Calzedonia CELINE Converse Dior Dressmann Intimissimi John Lewis Jordan Louis Vuitton Marc Jacobs Marks & Spencer Nike Tezenis Aritzia ASOS boohoo Calvin Klein Foschini Fruit of the Loom JD Sports Lacoste Lululemon Mango Moncler Monoprix New Look PrettyLittleThing Primark Ralph Lauren Russell Athletic Tommy Hilfiger Woolworths South Africa ALDI Nord ALDI SOUTH American Eagle Anthropologie ASICS Banana Republic Chloé Columbia Sportswear Esprit Free People Gap GU Jack Wolfskin Kiabi Lands' End Lidl Old Navy Prisma River Island Speedo Tchibo UGG Under Armour Uniqlo Urban Outfitters Zeeman
& Fitch Big W
Cucinelli
Abercrombie
Brunello
of
Walmart ALDO
Benetton
Asda Bosideng
Chanel
Cortefiel
Fila
La Redoute
Matalan MRP REI
Truworths
ANTA Armani
Brooks Sport Buckle Canada Goose
DSW
Furla
Hansen
Mammut Quiksilver Romwe Ross Dress for Less Roxy SHEIN Shimamura Sports Direct Ted Baker The Children's Place Tommy Bahama TOPVALU COLLECTION United Arrows Valentino Aeropostale BCBGMAXAZRIA Belle Big Bazaar - ffb CAROLL celio Champion Deichmann Desigual Diesel DKNY Eddie Bauer Elie Tahari Fanatics Fashion Nova Gerry Weber Hanes Heilan Home Hudson's Bay Jil Sander Jockey Justfab K-Way KOOVS LC Waikiki LL Bean Marni Max Max Mara Merrell Metersbonwe Mexx New Yorker Nine West Pepe Jeans Saks Fifth Avenue Semir Splash Takko Tom Ford Tory Burch Triumph Van Heusen Youngor 82 82 82 82 82 82 82 82 82 82 82 82 82 73 73 73 73 73 73 73 73 64 64 64 64 64 64 64 64 64 64 64 64 64 55 55 55 55 55 55 55 55 55 55 55 55 55 55 55 55 55 55 55 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 36 36 36 36 36 36 36 36 36 36 36 36 36 36 36 36 36 36 36 36 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 18 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 52 GOVERNANCE FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022
Carolina Herrera Carter's
Chico's
Cotton On Dolce & Gabbana Express
GUESS Ito-Yokado Kohl's
Li-Ning
Sandro Skechers Steve Madden Tod's
Very Victoria's Secret
Billabong Bloomingdale's
Carhartt Cole Haan Decathlon Dillard's
Famous Footwear Fossil
Helly
HEMA Kaufland Longchamp Macy's

2. ガバナンス 調査結果

サステナビリティの問題について、容易 にブランドとコンタクトをとることはで きるか?

取締役会の説明責任について:

61 10

サステナビリティを担当する部署 の連絡先情報を公開している

人権や環境の問題について役員 レベルの責任者を公開している

取締役会の責任説明がどのように 実施されているか公開している

取締役会において労働者 の代表が含まれている

どのように税金は管理されているのか?

インセンティブは環境と人権の進展に結びついているのか?

24 24% 11 11%

責任ある税金対策 を公開している

人権と環境への影響に 関 連する従業員のインセン ティブを開示している

人権と環境への影響に 関連する役員報酬/ボ ーナスを開示している

環境・社会的目標に連動 する役員賞与または報酬 の割合を開示している

34%

34

労働条件と環境への 影響に関連するサプ ライヤーのインセンテ ィブを開示している

71
53 71%
53% 61% 36 10% 36%
18 18%
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 GOVERNANCE 53

2. ガバナンス

投資家、労働組合、消費者などのステークホル ダーが、ブランドが人権や環境に与える影響に

ついて取締役会レベルでどのように説明責任 を果たすかについて、より高い透明性を求めて

いるため、ガバナンスのセクション全体で開示 が増加していることは、心強いことです。

例えば、53%のブランドが人権と環境問題を 担当する役員の氏名や連絡先を開示していま す。2021年の53%に比べ、61%が社内でどの ように責任を負っているかを説明しています。

経営陣がサステナビリティの問題を組織のコミ ットメントの最前線に据え、人権と環境問題が

社内の最高意思決定レベルで取り組まれるよう にすることが不可欠であるため、この増加も心強 いことです。

昨年の68%に比べ、今年は71%の大手ブランド および小売業者がサステナビリティチームの直 接の連絡先を開示しています。

ファッション業界のCEOと衣料品 店の労働者の間の貧富の格差が 拡大する中、役員報酬と環境・社 会的目標との関連性を開示する 大手ブランドや小売業はほとんど ありません。

衣料品店の労働者は服を作るために借金 をし、買い物客は服を買うために借金を し、CEOの報酬は急騰している。地球上で最 も裕福な人たちの中には、ファッション業界の CEOもいます。したがって、ブランドや小売業 者にとって、役員報酬について透明性を確保 することが不可欠です。

24%のブランドが役員報酬を人権や環境に関 する目標と結びつけているかどうかを開示して いる一方で、役員賞与や報酬をこれらの目標と 結びつけている割合は11%にとどまっています。

このサステナビリティの目標は、役員賞与のご く一部に過ぎないため、この情報は非常に重要 です。つまり、役員の基本給がすでに高額である 場合、これらの目標を達成するためにどのよう なインセンティブが本当に与えられているので しょうか?

大手ブランドや小売業者は、世界的な貧富の格 差の拡大に貢献しているとして、その責任を問 われる必要があります。残念ながら、EUのCSDD

(Corporate Sustainable Due Diligence Directive - コーポレートサステナビリティ・デュー

ディリジェンス指令案)のような指新しい立法措置

には、取締役の報酬を持続可能性の基準と関連付 ける義務は含まれていません。しかし、投資家や規 制当局などのステークホルダーは、企業のESG目

標と給与の関連性を見たいと考えているため、将 来的にこの状況は変わるかもしれません。

金銭的なインセンティブを含む従業員レベルのイ ンセンティブは、会社の包括的な人権・環境目標

が真剣に取り組まれているかどうかを確認する上 で重要な役割を担っています。しかし、私たちの調 査結果では多くのブランドは、この点に関して、自 社の事業よりもサプライヤーに高い基準を課して いることがわかります。34%のブランドは、サプラ イヤーのインセンティブ(長期的な購入の約束、 契約の延長、監査の削減など)が、労働条件や環 境への影響の改善にどのように結びついている かを開示していますが、主要ブランドの18%だけ が、同じ課題に関する会社のパフォーマンスの改 善を目的とした従業員のインセンティブがあるこ とを開示しています。サプライヤーのインセンティ ブに重きを置くということは、ブランドが重要な問 題に関してサプライヤーに「責任転嫁」している一 方で、自社の内部説明責任制度が脆弱で不透明 なままであることを示しているのかもしれません。

サステナビリティの影響に対す る役員会の説明責任について情 報を開示するブランドや小売業 者が増えています。しかし、企業 の人権や環境に関する取り組み を改善するための従業員のイン
センティブについては、ほとんど 開示されていません。
分析 FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 GOVERNANCE 54

I一方、主要ブランドのうち、取締役会に従業員代 表がいることを公表しているのは、わずか10%

に過ぎないことが明らかになりました。これは、

主要ブランドが取締役会レベルで従業員の声を 把握し、それに基づいた行動をとる機会を逸し

ていることを意味します。これは、組織の従業員 が会社のあらゆるレベルで耳を傾けてもらえる

ようにするために極めて重要です。American

Compass社の調査によると、労働者評議会と取

締役会レベルの従業員代表制は、「信頼と協力 を高めるだけでなく、生産性、資本形成、市場価 値、回復力を高める」ことが分かっています。

高い税制は、企業が人為的に税負担を減らすた

めに、税率の低い地域に移転する動機となる可 能性があります。これにより、企業は税率の低い

地域に移転した利益に対してほとんど税金を支 払わずに済むようになります。だからこそ、ブラ ンドは、責任ある税務戦略を約束し、公表するこ

とが重要です。ファッション業界は、脱税から”不 死鳥化”(多額の税金を支払って倒産した会社 が、その後すぐに別の名前で再出発すること)ま

とが不可欠です。私たちは、重要な第一歩 として、責任ある税務戦略を公表している ブランドを称賛します。また、責任ある納税

中心地であるレスターでは、失脚

した取締役のかなりの割合がファ ッション業界と関係があります。

ファッション業界の収益が伸び続け、世界的に

不平等が拡大し続ける中、業界における税金の 役割を検証することは重要なことです。大手ブラ ンドや小売業が地域経済に貢献することは、衣 料品生産国の経済成長を確保する上で極めて 重要です。

で、税金に関する数々の悪用を行っています。実 際、イギリスのレスターにあるアパレルメーカー の役員たちは数百万ドル規模の事件で、これま で解雇されています。また、レスターに本社を置 く企業の取締役のうち、資格のない40%が衣料 品産業と関係があるとされていますガーディア ン紙が調査したサンプルのうち、28件中21件 が税金や会計の不正に関連するものでした。責

任ある税務戦略を公表しているブランドは36% にすぎませんが、各国政府がファッション業界の 億万長者や多国籍企業の富に課税し、国家間・ 国内間の不平等を是正する税制を導入すること が重要です。

戦略を発表していないすべてのブランド に対し、速やかに行うことを求めます。市 民社会は、企業が税逃れをしている問題

を強く認識しています。それは、学校など の地域社会にお金が回らないことを意味 するため、自分たちが利用しているブラン ドが税逃れではなく、税金を支払っている

大手ブランドや小売業者のうち、 税務戦略を公表しているのはわ
ずか36%ですが、英国の衣料品
「世界最大のファッションブランドすべて が税金をごまかさず、公正な負担をするこ
ことを知ることが重要だからです。」
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 GOVERNANCE 55

VIEWPOINT: SHARE ACTION社 MARIA VAN DER HEIDEと MARTIN BUTTLEへのインタビュー

FR: ファッションブランドの人権や環境パフォー マンスに対する取締役会レベルの説明責任につ

いて、なぜそれが重要で強力なのでしょうか?

SA: 取締役会は最終的な意思決定者であり、戦 略を決定し、競合する優先事項のバランスを取 ります。Fashion Transparency Indexによる

と、主要なブランドや小売業者の53%が、ビジネ スにおける人権や環境問題を担当する役員の連 絡先や名前を開示していることがわかりました。

また、61%のブランドが、役員レベルの説明責任

についてもどのように実施されているかを開示 しています。もし、取締役会が人権や環境パフォ

ーマンスについて説明責任を持たなければ、こ

れらの問題は商業的な配慮に比べれば二の次 とみなされるでしょう。これらの課題に取り組ん でいるマネージャーたちは、自分たちの課題が 覆されると思うでしょう。ファッション業界におい て、人権や環境パフォーマンスは、単にコンプラ イアンスの問題やサプライチェーンの問題として 扱われるものではないことを、私たちは知ってい

ます。フォーキャスト、価格交渉、発注、商業的優 先事項と人権や環境に関する優先事項との整合 性などが含まれるブランドの購買慣行は、サプラ イヤーがブランドの行動規範や人権および環境 に関する期待に応えることも損なうこともできま す。取締役会の戦略が責任ある購買活動を支援 するものでなければ、サプライチェーンにおける

労働者の権利を守ることができない可能性が高 くなります。

FR:私たちは、CEOや役員のインセンティブ(給 与やボーナスなど)が、人権や環境パフォーマン スと結びついているかどうかを調べていますが、 これは投資家にとってどのように役立つのでし ょうか?

SA: 人権や環境に関して、CEOや役員に高い水 準を改善・維持するインセンティブが与えられて いれば、これらの問題が企業のガバナンスに組 み込まれ、役員レベルで定期的に議論され、会社 の方針が実行されるという明確な指標となる。し

かし、CEOや役員の報酬が人権や環境パフォー マンスと連動しているかどうかを開示している大 手ブランドや小売業者はわずか24%で、これら の目標達成と連動した役員報酬の割合を開示し ているところは11%とさらに少ない。取締役会の

能力評価と並んで、このことは、企業がこれらの 問題を管理する能力を備えているかどうかを示 す強力な指標となるでしょう。

FR:投資家は、社会・環境問題やガバナンスの問 題を、どのように投資戦略に織り込んでいるの でしょうか。

SA: 長期的な責任を負う投資家は、企業が環境 と人権のリスクをどのように管理しているかにま すます関心を寄せています。風評リスクを通じて ビジネスにどのような影響を与えるかだけでな く、企業の活動が権利者にどのような影響を与 えるかについても関心が高まっています。投資家 は、これらの問題を、企業に投資するかどうかの 判断材料にするだけでなく、株式保有(およびそ の他の投資形態)を通じて所有する企業の継続 的な管理に組み込んでいます。投資家は現在、エ ンゲージメント・チームを雇用し、定期的に企業 と面会して、環境、社会、ガバナンスのパフォーマ ンスについて議論しています。もし不満があれ

ば、年次総会で取締役に反対票を投じたり、会社 に方針やビジネス慣行の変更を求める株主決 議を提出することができます。ShareActionの

Good Workなどの投資家連合、Platform for Living Wage Financials(PLWF)やInvestor

Alliance for Human Rights (IAHR - 人権分 野の機関投資家イニシアチブ)などは、投資先企 業に対する投資家の期待を高めるために協働し ています。協力することで投資先企業への圧力と 影響力を高めることができます。

FR: EUタクソノミーはファッション業界における 投資を形成する上でどのような役割を果たすの でしょうか?また、この規制の欠点は何ですか?

SA: EUのサステナブル・ファイナンス戦略の基 軸の一つであるEUタクソノミーは、ファッション 業界も含めて、どのような経済活動がサステナブ ルと言えるかを分類しています。この分類により 投資家はサステナブルなビジネスへの投資に舵 を切ることができます。現在、タクソノミーは環境 的な観点からしか持続可能性を見ていません。 社会的タクソノミーでは、社会的持続可能性がど のようなものかを定義することによって投資家を 導き、ソーシャルウォッシングに対抗するツール として機能することになります。重要なのは労働 者、消費者、コミュニティのニーズを優先し、公正 で包括的なネット・ゼロ経済への移行に向けた 投資を促進するために、欧州委員会が社会的タ クソノミーを迅速に開発することです。

VAN DER HEIDE
EUポリシー担当 MARTIN
SHAREACTION GOOD WORK担当
MARIA
SHAREACTION
BUTTLE
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 VIEWPOINTS 56

サプライチェーン・ トレーサビリティ

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 57

3. トレーサビリティ

アプローチ

主流ブランドや小売業者は、サプ

繡、印刷と仕上げ、染色、皮なめし、洗い上 げに至るまで)を公開しているか。

3. ブランドは、繊維、皮革、ゴム、化学薬品、金 属などの原材料の主要材料のサプライヤ ーを公開しているか。

このセクションでは、ブランドがサプライヤーのリ ストを公開しているのか、その情報公開はどのレ ベルまでされているかに焦点を当てています。

工場、加工施設、原料サプライヤ

更に私たちは、ブランドがビスコース、コットン、 ウールまたは革などの原材料のうち、少なくとも 一つはサプライチェーンの追跡ができており、そ の情報を公表しているかも確認しました。

• 親会社名

• 施設の所在地

• 商品/サービス

• おおよその労働者数

• 労働者の性別内訳

• 移民・契約労働者の割合

• 施設に労働組合があるか

• 施設に独立した労働者委員会があるか

• 施設が保有する認証

• リストにサプライチェーンの95%以上が含 まれているか

• リストが機械可読形式(csv、json、xls)か

• 過去6ヶ月以内にリストが更新されたか

サプライヤーリストを3つのレベルに分けて調査

しました:

1. ブランドは服を製造する一次製造業者、つ まり、直接ブランドが関係性を持ち、裁断、 縫製、最終の仕上げを行う施設を公開し ているか。

2. ブランドはサプライチェーンの上流にある

加工施設(編み物、織り、紡績、湿式加工、刺

どうかも見ています。OARは、中立的で自由に 利用できるツールで、世界中の縫製施設に固有 の識別番号を割り当て、施設名と住所を標準化 するものです。例えば、ジョン・スミスという名前 の人は世界中に何千人もいますが、社会保障番 号や国民保険番号によって、政府は彼らを区別 しています。

OAR は、このインデックスのためにブランドが アンケートを返送する期限に合わせて、プラッ トフォーム上で サプライヤーリストを開示する

今年は新しく、サプライヤーが生産す る衣料品の量と、その量の何パーセ ントがブランドのサプライヤーリスト

で開示されているかという二つの指 標を加えました。この情報は、第一段 階のサプライヤーとそれ以降のサプ

探しました。

また、ブランドのサプライヤーリストがOpen Apparel Registry(OAR)に提供されているか

ブランドの数が増加していることに気づきまし た。これは、私たちの手法が OAR での情報開 示を促進するのに役立っていることを示唆して います。重要なことは、ブランドは、OARへの積 極的な貢献者(OARが公開リストをアップロー ドするのではなく、ブランド自身がリストを管理 すること)であり、ブランドが自社のウェブサイト からOARへのリンクを開示する場合にのみ、こ の指標のポイントを受け取ることができるとい うことです。

また、ブランドがデータをcsv、json、Excelのい ずれかの形式で開示しているかどうかを尋ねる 指標の文言を更新し、アパレル業界のオープン データ基準(第一段階および第一段階以降にも 適用)との整合を求めていることを明示しまし た。これもまた、情報をより使いやすく、より実用 的にするためのものです。

ライヤーの詳細リストを公表して いるのか?
ーの公表
提供される詳細情報のレベルは どの程度か。公表データのチェッ
ク項目の例:
ライヤー(例えば加工施設レベル)で
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SUPPLY CHAIN TRACEABILITY 58
画像提供 @AUSCOTTON
3. TRACEABILITY RESULTS * ブランドは250点満点中のスコアでランク付けされていますが、四捨五入した数値で表示しています。同じ点数のブランドがある場合は、アルファベット順に表示しています。 0-5% 6-10% 11-20% 21-30% 31-40% 41-50% 51-60% 61-70% 71-80% 81-90% 91-100% OVS Calzedonia Intimissimi Tezenis Gildan UGG Kmart Australia United Colors of Benetton 100 97 97 97 96 93 92 92 Target Australia Dressmann Ermenegildo Zegna Esprit H&M The North Face Timberland Vans Zeeman Calvin Klein Fendi Tommy Hilfiger C&A Tom Tailor G-Star RAW Tesco Converse Jordan Nike Speedo adidas ASOS Levi Strauss & Co Reebok Sainsbury's Lacoste Lindex Lululemon ASICS Columbia Sportswear Patagonia Big W Fruit of the Loom New Balance New Look Ralph Lauren Russell Athletic Zalando Asda Puma Helly Hansen Hugo Boss Wrangler Tchibo Mango Clarks HEMA Bonprix GU Jack & Jones Marks & Spencer Uniqlo Vero Moda Champion Hanes Bally Banana Republic Gap Gucci Next Old Navy Chloé Matalan Dick's Sporting Goods s.Oliver Brooks Sport GUESS Mammut Ted Baker Target The Warehouse Jack Wolfskin Kathmandu ALDI Nord Dr. Martens Fanatics John Lewis Morrisons Under Armour Very Cotton On Hermès JD Sports Kaufland River Island Fjällräven Amazon Pimkie REI boohoo Paris PrettyLittleThing Victoria's Secret ALDI SOUTH Mizuno Primark Disney Desigual LL Bean Kiabi Prisma Woolworths South Africa El Corte Inglés Fossil Lidl Miu Miu Prada Balenciaga Bottega Veneta Carhartt SAINT LAURENT Carrefour Joe Fresh Abercrombie & Fitch Hollister Co. Otto ALDO American Eagle Anthropologie Aritzia Beanpole Bershka Burberry CAROLL Carter's CELINE Chanel COACH Cole Haan Costco Decathlon Dior Eddie Bauer Famous Footwear Fila Free People Furla Gerry Weber Ito-Yokado Kate Spade KiK Kohl's La Redoute Lands' End LC Waikiki Longchamp Louis Vuitton Marc Jacobs Massimo Dutti Merrell Michael Kors Moncler MRP Pull&Bear Reserved Salvatore Ferragamo Stradivarius Superdry Takko Urban Outfitters Versace Zara Aeropostale AJIO ANTA Armani BCBGMAXAZRIA Belle Big Bazaar - ffb Billabong Bloomingdale's Bosideng Brunello Cucinelli Buckle Burlington Canada Goose Carolina Herrera celio Chico's Cortefiel Deichmann Diesel Dillard's DKNY Dolce & Gabbana DSW Elie Tahari Express Falabella Fashion Nova Foot Locker Foschini Heilan Home Hudson's Bay Jil Sander Jockey Justfab K-Way Kmart KOOVS Li-Ning Macy's Marni Max Max Mara Metersbonwe Mexx Monoprix Muji New Yorker Nine West Nordstrom Pepe Jeans Quiksilver Reliance Trends REVOLVE Romwe Ross Dress for Less Roxy Saks Fifth Avenue Sandro Semir SHEIN Shimamura Skechers Splash Sports Direct Steve Madden The Children's Place TJ Maxx Tod's Tom Ford Tommy Bahama TOPVALU COLLECTION Tory Burch Triumph Truworths United Arrows Valentino Van Heusen Walmart Youngor 90 86 82 82 82 82 82 82 79 71 71 71 62 62 59 59 56 56 56 56 55 55 55 55 55 53 53 53 52 51 51 49 49 49 49 49 49 49 48 48 47 47 47 45 42 41 41 40 40 40 40 40 40 37 37 36 36 36 36 36 36 34 34 33 33 30 29 29 29 27 27 26 26 25 25 25 25 25 25 25 23 23 23 23 23 22 21 21 21 19 19 19 19 18 18 18 16 15 15 14 14 14 12 12 12 12 12 11 11 11 11 10 10 8 8 8 3 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 FASHION REVOLUTION FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SUPPLY CHAIN TRACEABILITY 59

3. トレーサビリティ

調査結果 一次製造業者の詳細公表について 一次製造業者のリス トを公開している 性別の内訳が 含まれている 所在地が含まれている 11 アパレル業界のオープンデータ基 準に沿ったリストを公開している 48 11% 各工場においての労働組 合の有無が含まれている 46 26 48% 31 46% 26% 31% Open Apparel Registryにサプライヤ ーリストを公開している 開示の対象となる取引量 の総計と、公表されたサプ ライヤー工場の総数に対す る割合を公開している 95%以上の製造業 者を公開している その施設がどのよう な認証を保有してい るか公開している 17 28 17% 28% 31 31% 10 10% FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SUPPLY CHAIN TRACEABILITY 60

RAW MATERIAL SUPPLIERS

一次製造業者の先 の加工施設の情報 を公開している 選択されている特定 原材料サプライヤー を公開している 所在地が含まれている 特定の原料繊維、製品また はサービスを公開している その施設がどのよう な認証を保有してい るか公開している 30 1つまたは複数の特定の 原材料を追跡しているか どうかを公開している 2 30% 32 6% 9 12 32% 12% 58 9% 58%
調査結果 FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SUPPLY CHAIN TRACEABILITY 61
PROCESSING FACILITIES
3. トレーサビリティ

Global Union 事務総長補

サプライヤーリストの一般公開は、サプライチ ェーンの中で労働者が抱える問題について、

労働組合や環境活動家、労働者の権利団体 に訴えかけ、是正するための手助けとなりま す。(詳細は、p.24~25 グループが透明性情 報をどのように使用しているかの事例研究を 参照ください)

サプライヤーリストの公表は、ブランド自身に とってもメリットがあります。サプライチェーン

の透明性により、ブランドは労働者の代表者 や環境グループからタイムリーで信頼できる 情報を受け取ることができ、不正な下請けな

どの労働・人権・環境リスクを軽減するのに 役立ちます。サプライチェーンの透明性は、同 じ施設を利用する他の企業と協力して問題 を解決することも可能です。また、ブランドに 対する投資家と消費者の信頼を高めることが できます。製品がどこで作られているのかを オープンにし、サプライチェーンで起こること について責任を負う意思があることをステー クホルダーに示すことができます。

トレーサビリティー:年度別にみる

平均スコアの推移

全ブランド100のうち

全ブランド150のうち

全ブランド200のうち

全ブランド250のうち

全ブランド250のうち

一次製造業者の公表

Fashion Revolutionは、2022年までに少なく

とも半数のブランドが一次製造業者リストを開 示していることを望んでいました。しかし、今年 もブランドの情報開示は再び50%を下回り、48

%のブランドが第一次製造業者を開示し、46%

が工場の住所も公開しています(昨年の44%か ら上昇)。

一次製造業者とは、生産の最終段階で衣服の裁 断、縫製、仕上げを行うサプライヤーを意味しま す。これらは、製品を売り場を通じて私たちのク ローゼットに届ける倉庫に向けて出荷するサプラ イヤーです。

工場の住所を公開するということは、ステークホ ルダーがサプライヤーの正確な地理的位置を見 つけるのに役立つため、非常に重要です。多くの 場合、サプライヤーは他のサプライヤーと同様の 会社名を持っているか、同じ施設で複数のサプラ イヤー企業が運営されている可能性があり、混乱 をもたらしたり、不完全または不正確なサプライ ヤー情報につながったりしてしまいます。

ブランドの29%が工場の親会社の名前を公開 し、39%が提供される製品またはサービスの種 類を公表しています。ブランドの40%が、各サイ トの労働者のおおよその数を公表しており、これ は、昨年の36%から増加しています。これらの情 報は、ステークホルダーが問題のサプライチェー ンをより理解し、必要に応じて労働、人権、環境リ スクに対処するための最も良い行動方針に優先 順位を付けるのに役立ちます。

3. トレーサビリティ 分析
いて、Industrial
佐のJenny
ます。: 「工場から仕入れる主な販売業 者名を認知することで、労働者 や組合は強い影響力を手にする ことができます。組合の認知を 拒否したり、権利を要求したた めの不法解雇などの対立を解 決するために重要です。また、そ れらの情報は労働者と顧客を繋 げ、さらには労働者の抱える問 題を、メディアに取り上げさせる 可能性をも秘めているのです。」
以前のFashion Transparency Indexにお
Holdcroftがこのように話し てい
2019 2021 2020 2018 2017
16% 19% 12% 11% 8%
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SUPPLY CHAIN TRACEABILITY 62
2022 21% 全ブランド250のうち

一次製造業者

サプライヤー名

施設の所在地 加工施設の親会社名

施設内で生産されている製品やサービスのタイプ

労働者の性別内訳 移民・契約労働者の人数

施設が保有する認証

過去6ヶ月以内にリストが更新されたか

リストがcsv、jsonまたはexcelファイルで入手可能

10%のブランドが、その施設に労働組合がある

かどうかを開示しており、昨年の7%から増加し

ています。また、10%がその施設に独立した労働

者委員会があるかどうかを開示しています。ほと

んどのブランドはこの種の情報の開示に慣れて

いませんが、労働者委員会と労働組合は、労働者

がより良い労働条件を実現するために利用でき

る主な手段であるため、その重要性を軽視する

ことはできません。この情報の公開は、労働者の 代表とブランド自身が、懸念が生じたときにサプ ライヤーとどのように関わるのが最善かを特定 するのに役立ちます。

ここでの透明性は、労働組合が組織化の努力を どこに優先させればよいかを理解するのにも役 立ちます。

ブランドの26%が各サイトの労働者の性別の内 訳を公表しており、移民または契約労働者の数 を公表しているブランドは11%で昨年の7%から 増加。サプライチェーンでは可視性がさらに低下 するため、残念なことに第1層の段階で既に衣服 を作る人々に関するこれらの重要な詳細につい ての公表が低いのは残念なことです。たとえば、 施設内の女性労働者の割合を知ることで、女性 労働者の現実とニーズに基づいてポリシーを設

計および実装でき、ジェンダーに対応した対策 が可能になります。具体的には女性が良好な月

経衛生を実践できるようにし、月経中のトイレと 休憩を許可することなどが含まれます。

昨年、施設がどのような認証を持っているか

をブランドに尋ねる新しい指標を発表しまし た。2021年には5%のブランドしかこの情報 を開示していませんでしたが、今年は10%が この情報を開示しています。施設レベルでの 認証の公開は、組合や市民社会がその施設に おけるデューデリジェンスの性質と堅牢性を理 解するのに役立ちます。情報開示の増加は、提

案された法律や導入される法律の見通しが一 因であると考えられます。例えば、Corporate Sustainability Reporting Directive(企業持 続性報告指令 - CSRD)は、すべての大企業に環 境と社会への影響に関する定期的な報告書の発 行を義務付けるEUの法です。

2019年を見ると、Open Apparel Registry (OAR)の手法の基本であるOpen Data Standard for the Apparel Sector(アパレ ル業界のオープンデータ指標)に沿って、サプラ イヤーリストを機械可読形式で開示しているの は、250ブランドのうち、わずか10%でした。現 在は250ブランドのうち31%が行っており、ベス トプラクティスへの収束が進んでいることを示し ています。また、主要ブランドの48%が一次工場 リストを公表しているにもかかわらず、これらの リストをOARに提供し、積極的にデータを管理 しているのは主要ブランドの17%に過ぎないこ とが明らかになりました。たくさんのブランドの 情報開示を検討した結果、サプライチェーン情 報開示の共通最低基準である”Transparency Pledge”(透明性の誓約)に基づく当社の方法 論に沿ったサプライヤーリストを開示しているブ ランドがこれまで以上に増えていることは心強 いことです。ステークホルダーがどのようにOAR のサプライヤーの詳細を業務に活用しているか については、24-25ページのケーススタディをご 覧ください。

10% 11% 26% 40% 31% 33% 5% 7% 21% 7% 36% 37%
2022 2021 47% 44% 28% 48% 46% 29% 39% 11% 35% 31%
各施設内のおおよその労働者数 施設内労働組合の有無
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SUPPLY CHAIN TRACEABILITY 63

らゆる分野の組織は、そのデータを提供

し、処理し、利用するための準備を進め ています。その情報量は膨大なものにな るでしょう。したがって、私たちが切実に

必要としているサプライチェーンの改善

を実現するためには、信頼できる協力的

な基盤の上に報告が構築されることが 絶対的に重要なのです。データがサイロ 化されていたり、一貫性がない場合、そ のような基盤は存在し得ません。オープ

31%のブランドはサプライチェーン内の一次製 造工場の95%以上を開示しており(昨年の32 %から減少)、過去6ヶ月間にサプライヤーリス トが更新されたかどうかを開示しているブラン ドは35%でした。大手ブランドは、サプライヤー との取引を頻繁に開始・停止するため、サプライ ヤーリストがすぐに古くなり、サプライチェーン の継続的な可視性が損なわれる可能性があり ます。このため、ステークホルダーが最新情報を 入手し是正や妥当性確保を行えるようにするた めに、少なくとも年に2回の定期的な更新が不 可欠です。

昨年のインデックスでレビューされた250 ブランドのうち、10ブランドがその後初め て一次製造業者を開示しました: Chloé, Bally, Calzedonia Group(Calzedonia, Intimissimi, Tezenis brands), GUESS, Paris, s.Oliver and Woolworths South Africa。 ラグジュアリー、スポーツウェア、フットウェア、ア クセサリーなど、さまざまな市場セグメントで、ま たさまざまな地域で進展が見られることは、心強 いことです。今年から新たにインデックスに加わ ったJack Wolfskinもこの情報を開示しており、 合計で11ブランドが今年新たに一次製造業者を 開示していることになります。

加工施設の開示

加工施設は、綿繰、紡績、編み・織り加工、染色・ 湿式加工、皮革なめし、刺繍・加飾、生地仕上げ、 染色・プリント・洗濯など、幅広い加工を含みま す。今年は、32%のブランドが一部の加工施設 の名称を公表しており、6ポイント上昇していま す。2021年には、加工施設の一部を公表して いる大手ブランドや小売業者は26%にとどま り、2020年の24%からの上昇はわずかでした。 しかし私たちは、ブランドによるさらなる前進を 求めて、2021年4月の#WhoMadeMyFabric? キャンペーンと同時に、昨年更新したOut of Sightレポートを発行するなど、活動を続けま す。この情報の公開に消極的な姿勢は、何が隠 されているのか、という疑問を引き起こすことに つながります。

さらに今回の調査結果では、ブランドがサプライ ヤー施設について開示する詳細さがわずかに上 昇したことが示されています。次ページの図をご 覧ください。

「世界中のブランドは新しいESG報告義 務の数々を準備しており、その一方で、あ
ンで標準化された、透明性の高いサプラ
イチェーンデータが不可欠です。」
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SUPPLY CHAIN TRACEABILITY 64
Natalie Grillon—Open Apparel Registry 事務局長

原材料サプライヤーの開示

サプライヤー名

施設の所在地 加工施設の親会社名

施設内で生産されている製品やサービスのタイプ

過去6ヶ月以内にリストが更新されたか リストがcsv、jsonまたはexcelファイルで入手可能

昨年のインデックスで調査した15社の主要 ブランドが、その後、初めて加工施設の一

部を開示したことを強調したいと思います

(Aldi Nord, Bally, Big W, Calzedonia Group(Calzedonia, Intimissimi, Tezenis brands), Columbia Sportswear, GUESS, Hugo Boss, Jack & Jones, Mango, Matalan, Ralph Lauren, REI and Vero Moda)。今年からインデックスに加わった新ブ ランド、Jack Wolfskinもこの情報を開示して います。

原材料のサプライヤーとは、繊維(コットン、ウー ル、ビスコース、ポリエステル、ナイロンなど)、皮 革、ゴム、染料、化学物質、金属などの素材をブ ランドとそのメーカーに提供する業者を指しま す。サプライチェーンにおける原材料レベルは、 一般的にブランドにとって最も可視性の低い場 所であり、それゆえ、多くの人権侵害や環境侵 害が目に見えないまま進行していることが多く あります。

サプライチェーンのトレーサビリティはこれまで で最も重要性を増しています。パンデミックがサ プライチェーンで働く人々に与えた犠牲や、中国 綿花産業やタミルナドゥ州繊維産業におけるよ く知られた事例をはじめとする世界的に進行中 の強制労働の問題、さらには激化する気候危機 といった問題にこのことが表れています。気候危 機とその地域社会への影響に対処するために、 なぜより一層の透明性が必要なのかについて は、24-25ページのケーススタディをご覧くださ い。さらに、政府や市民社会が COP27 に向け て準備を進めている今、私たちは気候変動の危 機の新たな局面を迎えています。最近の調査に よると、私たちの衣服や靴に使われるいくつか の原材料の生産に森林伐採が関係しており、重 要な炭素隔離源にダメージを与えていることが 明らかになっています。

24% 26% 6% 24% 23% 30% 32% 17% 27% 26%
加工施設
18% 21% 6% 11% 4% 20%
各施設内のおおよその労働者数 施設内労働組合の有無 労働者の性別内訳
移民・契約労働者の人数 施設が保有する認証
2022 2021 19% 26% 2% 6% 14% 6%
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SUPPLY CHAIN TRACEABILITY 65
画像:加工施設の様子 FAIR WEAR FOUNDATION提供

本インデックスに含まれる250のブランドのうち

12%が原材料の供給元を少なくとも一部開示し

ていることは心強いことですが、2021年からは わずか1%しか上昇していません。さらに、原材 料調達先の割合を公表しているブランドは6%に とどまっています(昨年からの上昇は1ポイント)

。つまり、大半のブランドが原材料の供給元を公 表しておらず、大手ブランドの間では原材料のサ

プライチェーンがほとんど可視化されていないと いうことがわかります。このことは、原材料が生 産された特定の施設や農場名を開示しているブ

ランドがわずか9%、リストが複数の種類の原材 料をカバーしているかどうかを開示しているブラ

ンドがわずか5%という事実からも明らかです。

今年の調査では、原材料、製品またはサービスの 種類に関するブランドの開示について、表現を若 干変更しています。「特定の原材料の繊維を開示 する」とし、昨年と同じく9%がこれについて開示 しています。

よりポジティブなニュースとしては、大多数のブ

ランド(58%)が、コットンや革など少なくとも1

つの特定の原材料のサプライチェーンを追跡し

ている証拠を開示しており、2020年の50%から 増加しています。大手ブランドがこの追跡とマッ ピングを行うために使用するツールには、認証シ ステム(Better Cotton Initiativeのようなマス バランス・システムを使用するものを除く)、ブロ

ックチェーン、DNA追跡、その他の類似の技術が 含まれます。

Raw material suppliers

サプライヤー名

特定の農場または施設の名前

住所

特定の原料繊維、製品またはサービスを開示する

おおよその労働者数

昨年のインデックスで調査した250の主要ブ ランドのうち、11ブランドが初めて原材料調達 先の一部を開示しました(Asda, Calzedonia Group(Calzedonia, Intimissimi, Tezenis brands), Chloé, Dressman, Gucci, Kmart Australia, Levi Strauss & Co., Target Australia and Zeeman)。ただし今年の調査 で、原材料調達先の開示が終了していたり、共有

したリストが6カ月以上古かったためにポイント を獲得できなかったブランドもあります。

本インデックスで調査した主要なブランドや小売 業者の間で、サプライチェーンのトレーサビリテ

ィが着実に向上していることは心強いことです が、その進展はまだまだ遅すぎると言えます。こ

のことは、企業がサプライチェーンの地図を作成

し、公に開示することを求める政府規制の強い

論拠となります。これは、労働者とその代表者、投 資家、規制当局、消費者、そしてブランド自身に 利益をもたらすでしょう。

2022年には、主にEUにおいていくつかの新し い規制や指令が提案・導入され、マーケティング

やラベリング、デューディリジェンス、トレーサビリ ティ、サステナビリティレポートに関するパラメー タが定義されています。現在ブランドは、あらゆ る地域において重複するさまざまな法律を遵守 する必要に迫られています。ありがたいことに、 これらの法制化提案では、より強固なトレーサビ リティが求められています。私たちは、2023年ま でに50%以上のブランドが一次生産者リストを 開示することを望んでいます。世界は人権と環 境に大きな影響を及ぼす気候の危機に直面して おり、責任の連鎖に決着をつけることに時間を 費やしている場合ではありません。

8% 57% 7% 11%
8% 5% 9% 5% 3% 6%
労働者の性別内訳 移民・契約労働者の割合 原材料サプライヤーの何パーセントが公開されているかを開示 6ヶ月以内にリストが更新されたかどうか リストが機械可読形式(csv、json、xls)か 会社が 1 つまたは複数の特定の原材料の供給元/供給者を追 跡しているかどうかを開示します 9% 2022 2021 2% 9% 10% 9% 7% 5% 3% 6% 11% 58% 12% FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SUPPLY CHAIN TRACEABILITY 66

VIEWPOINT: ウイグルの強制労働を撲滅するには、原材料の

調達先の透明性が不可欠

JEWHER ILHAM

— WORKER RIGHTS CONSORTIUM 強 制労働プロジェクトコーディネーター

および THE COALITION TO END FORCED LABOUR IN THE UYGHUR REGION  ス ポークスパーソン

ウイグルの知識人の娘として私は、リ ビングに盗聴器のある家庭で育ちま した。学校やショッピングモールまで 尾行され、父と一緒に何度も自宅軟 禁を経験しました。これは北京で10 年以上前、私たちが耐えなければなら なかった集中的な監視ですが、今で はウイグル人に対する監視と統制の レベルは、はるかに悪化しています。

これとは対照的に、2019年までアパレルブラ ンドはウイグルの綿花を大量に使用し、利益を 得ていながらも、精査されることは全くありま せんでした。だからこそこの3年間、アパレル 産業がウイグル人強制労働に加担しているこ とを暴くために、活動家たちやジャーナリスト が取り組んできたことはとても重要なことだっ たと言えます。このような努力はブランドに対 してウイグル人強制労働への加担をやめさせ るよう大きな圧力をかけ、また、その圧力は大 きくなっています。

The Coalition to End Forced Labour in the Uyghur Regionは、2020年7月にブラ ンドがこの地域から撤退するよう「行動への呼 びかけ」を開始しました。それ以来私たちは多 くのブランドとやりとりをし、多くの企業がこの 地域からの撤退を約束しました。(しかし、多く

の企業は中国での店舗やパートナーシップの

喪失を避けるため、そのことを公言することを 躊躇しています)。

この「行動への呼びかけ」が、2022年6月21 日に施行されたウイグル強制労働防止法(

Uyghur Forced Labor Prevention Act, UFLPA)の一部として、米国の法律に事実上 組み込まれた今、この法律の施行には透明性 が非常に重要であると言えます。ウイグル地 域からの原材料を含んだ米国に入る製品の多 くは、第三国を経由したものです。ウイグル人 による強制労働を伴う製品の輸入を排除する

という本法の目的を達成するために、米国税 関・国境警備局(CBP)は、同地域からの直接 輸入だけでなく、バングラデシュ、ベトナム、イ ンドネシアといった最大の衣類生産国-これら はすべてウイグル地域の綿を含む糸や布の主 要輸出地である-からも取り締まるものと思わ れます。このため、Fashion Transparency

Index2022によると、現在世界の主要アパレ ル250社のうち生地、糸、コットンのサプライ ヤーを公開している企業はわずか12%にすぎ ませんが、CBPはアパレルブランドに対し、生 地、糸、コットンの出所についてより多くの情 報を開示するよう求める必要があります。

また、私たちはEU、日本、オーストラリアな ど、アメリカ以外の市場が強制労働で作られ た商品のダンピングの場にならないよう、ブ ランドに対しグローバルな事業活動を通じて UFLPA基準を適用するよう求めています。サ プライチェーンが不透明であれば、ブランドは そのようなダンピング行為を隠蔽することが できます。したがって、ウイグル地域から綿花 やその他の原材料を調達し、それをどこかの 国の消費者に販売し続ける大手ブランドをを 明らかにすることが不可欠です。

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SUPPLY CHAIN TRACEABILITY 67

把握・開示・改善

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 68

私たちの手法は、ビジネスと人権に関する

国連指導原則17に沿ったもので、この原則 は企業が実際のおよび潜在的な悪影響を特 定し、防止、緩和、是正することを求めていま す。尚、監査だけでは強固な人権デューデリ ジェンスプロセスとは言えないため、監査を 超える開示のみを受け入れています。

把握 今年は、人権リスクに対するデューデリジェ ンスプロセスを環境リスクから分離しまし た。これにより獲得できるポイントが倍増し、

私たちはサプライチェーンにおける人権と 環境のリスク、影響、違反事項を特定する ためにブランドがどのようなステップを踏 んでいるのかを理解するため、人権と環境 のデューデリジェンスに関する情報開示を 測定しました。また、影響を受けるステーク

ホルダー(労働者、労働組合、女性の権利 団体など)が、ブランドのデューデリジェン ス・プロセスにどのように関与しているか

という情報も探しました。

このセクションは、生産開始前に新しい工 場との取引を開始する際の、新規取引基 準に関する開示も捉えています。また、今 年初めて、環境監査の範囲、プロセス、認 証を確認する指標を追加しました。これに よって、ブランドが新たなサプライヤーと 取引を始める際、どのように自社の環境基 準を満たしているかの評価をしているか についての情報開示を求めています。

開示 ブランドが工場で見つかった問題の概要と して施設毎の評価結果を、またはより詳細 なレベル(例えば、個々の工場、加工施設、 農場毎)で開示しているかどうかを調べま した。

把握・開示・改善のセクションでは、ブランドが以 下のような情報を開示している場合にポイント を付与しました。

• ブランドがサプライチェーンにおける人権と環 境のリスク、影響、違反の両方を特定し、対処す るためにどのように取り組んでいるか

• 影響を受けるステークホルダー(労働者、組合、 女性の権利団体を含む)がデューデリジェンス プロセスにどのように関与しているか

• ブランドの方針に対してサプライヤーがどのよ うに評価されるか

• 新しいサプライヤーと取引を開始するプロセス

ブランドが、サプライチェーン内で発生した

人権侵害や環境侵害をどのように是正して いるかについて、どのような公表をしてい

るかを調べました。また、ブランドが、直接 雇用の従業員とサプライチェーンの労働者 の両方に対して、匿名での苦情対応のプロ セスを公表しているかどうかも測定しまし た。そして報告された違反や苦情に会社が どのように対応するか、労働者がどのように

苦情対応メカニズムについて知らされてい るか、報告された違反の結果データをブラ ンドが開示しているかどうかも調査の対象 としました。

• 既存のサプライヤーと取引を終了するプロセス

• ブランドは1次サプライヤーより先(2次、3 次サプライヤー~)の評価を行っているかどう か、行っている場合はその施設を開示してい るどうか

• サプライヤーの評価に労働組合の代表者が参 加し、労働者への職場外でのインタビューが含 まれているかどうか

• 施設レベルのアセスメント(工場、加工施設、農 場など)から得られた知見

改善
主要なブランドや小売業者は、 人権や環境に関するデューデ
リジェンスについてどのような メッセージを伝えているか
人権および環境デューデリジェンスのプロセ スを強固にするインセンティブとなります。
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 KNOW, SHOW & FIX 69
4. 把握・開示・改善 分析

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 KNOW, SHOW & FIX 71

4. 把握・開示・改善 分析

把握: 人権デューディリジェンス

61

把握: 環境デューデリジェンス

26 61% 26% 15 18 39 18% 16 15% 39% 16%

人権デューディリジ ェンスのプロセス を説明している

影響を受けるステークホ ルダーがどのように関与 しているかを公開している

把握: サプライヤーアセスメント 38 環境監査の範囲、プロ セスおよび認定につ いて説明している

3 38% 3%

違反に対処するため に講じた措置の結果 を公開している

環境デューディリジェンス のプロセスを説明している

関連するステークホルダ ーがどのように関与して いるかを公開している

違反に対処するため にとった措置の結果 を公開している

労働組合代表を含む監 査の数を公開している

原材料レベルで のサプライヤー評 価結果の概要を

公開しているl

サプライチェーンで働 く人々のための秘密 厳守の苦情対応メカニ ズムを公開している 56%

25 25%

サプライチェーンにおけ る苦情の申し立て、対応、 解決の件数に関するデ ータを公開している

1次サプライヤー での評価結果の概 要を公開している 44 44% 5 5%
開示: 施設評価結果の公開 改善: 問題の是正
56

環境デューデリジェンスと人権デューデリジェン スの両方において、ブランドは、デューデリジェン スの結果や影響を開示することよりも、そのプロ

セスや特定したリスクについて説明することに依 然として長けています。

今年初めて人権と環境デューデリジェンスの指標 を分けたことで、これらの取り組みを互いに比較 することができるようになりました。成果を除い

て、人権デューデリジェンスは、環境デューデリジ ェンスよりも透明性が高くなっています。

環境と人権のリスクは本質的に関連しています。

例えば、ブランドの事業が洪水のリスクを高める

場合、この洪水リスクの防止、軽減を怠ると、労働 者とそのコミュニティの人権が損なわれることに

なります。したがってブランドは、人権リスクと環 境リスクの両方について、しっかりとしたデューデ リジェンスを実施することが極めて重要です。

人権デューデリジェンスの結果を開示しているブ ランドはわずか15%、環境デューデリジェンスに ついては18%であり、私たちはブランドに対して

昨年に引き続き、アウトプットデータから、労働者

デューデリジェンス実施の考え方

影響を受けるステークホルダーは、どのよう にデューディリジェンスに関与しているか

(例:労働者、生産者、農民の代表、労働組合など)

人権に関する重大なリスク、影響、違反の特定

特定されたリスクに対処するために取られ

特定されたリスクに対処するために取られた 措置の結果

や環境に対する具体的な改善点を示した労働者 中心のインパクトデータへの開示を行うよう働き かけています。

ジェンダーへの観点は、デューデリジェンスを有 意義なものにするため各段階に深く組み込まれ るべきですが、わずか12%のブランド(2021年

の10%から上昇)が現在、女性(女性の組織やジ

人権デューディリジェンス

環境権利デューディリジェンス

ェンダー専門家を含む)に相談していることを開 示しています。

現在、人権デューデリジェンスにおいて、女性(女 性団体やジェンダー専門家を含む)に相談してい ることを開示しています。人権侵害はジェンダー に関連する問題でもあるので、デューデリジェン スにもこの観点が反映されるべきです。

38%のブランドは、環境監査の範囲、プロセス、 認証を開示しています。サステナビリティ監査の 質にばらつきがあることや、マーケティング上の 主張との関係を考えると、この情報が精査のた めに公に開示されることが重要です。「グリーン ウォッシング」とも呼ばれる根拠のないサステナ ビリティへの主張に対抗するものとして現在進 められている政策展開については、95ページを お読みください。

把握
61% 15% 34% 42% 26%
た措置
39% 16% 23% 26% 18%
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 KNOW, SHOW & FIX 72
4. 把握・開示・改善 分析

開示

一般に、サプライチェーンの1次サプライヤー以 降の労働条件については、依然として透明性が 広く欠如しており、そこでは労働者の姿が見えに くく、不安定で非正規の雇用が多く、搾取のリス クも高くなる傾向があります。評価結果の開示は 1次サプライヤーを超えると著しく減少し、そこで はブランドの視認性が低く、社会監査のような施

設評価を行っている可能性も低くなります。

下の表が示すように、主要ブランドの44%は、個 々の施設の名前を挙げずに評価結果の要約を共 有しています。多くのブランドは、社会監査が得 意とする安全衛生の不適合を挙げていますが、こ れらの評価は、他の緊急かつ一般的な問題(例え ば、結社の自由やジェンダーに関する問題など、 一般的な社会監査が不得意とする分野)をキャッ チしていない可能性が高いため、必ずしも全体像 を示しているわけではありません。

主要ブランドによる施設レベルの評価結果の開示

1次サプライヤーレベル

改善

特定の施設にリンクされることなく要約された 調査結果は、影響を受けるステークホルダー(労 働者を代表する労働組合など)にとって行動に移 すための有用性が低く、ブランドの責任を問うた めに情報を利用することが難しくなります。

社会的・環境的リスクの特定は、ブランドが国連 指導原則17に沿って、これらのリスクを停止、予 防、軽減するための具体的な行動をとってこそ価 値があります。人権デューディリジェンスのプロセ スを説明している企業は61%ですが、結果を開示 しているブランドはわずか15%です。同様に、環 境デューデリジェンスのプロセスを説明している 企業は39%ありますが、結果を開示しているブラ ンドはわずか18%です。

大多数のブランド(2022年には62%:2021年 の66%から減少)は、サプライヤー施設で問題が 発見されたときに実施される是正プロセスにつ いて説明しています。これには通常、是正措置計 画や作業停止通知などが含まれます。

15%

のブランドが、人権デュー デリジェンスの結果を公開
監査結果の概要
施設毎の評価(施設名を記載)
- 施設名を伏せて
監査結果の抜粋(施設名を記載) 施設名を記載した監査報告書全文
44% 23% 4% 1% 1% 1% 0% 17% 12% 5% 1% 1%
1次サプライヤー以上(加工施設、繊維工場) 原料レベル
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 KNOW, SHOW & FIX 73

しかし、影響を受けるステークホルダー(労働

者、生産者、農家、労働組合など)が改善プロセス

にどのように関わっているかを開示しているブ ランドは、わずか21%です。これは低すぎる値で す。影響を受けるステークホルダーに相談するこ

とは、改善プロセスにおいて常に重要です。労働 者は貴重な生の経験を持っており、それが改善

をより豊かに、意味のあるものにするからです。

前述したようにFashion Revolutionは、主

要なブランドに対してデューデリジェンスを 行うことを法的に要求する、欧州委員会によ

るCSDD(Corporate Sustainability Due Diligence Directive)の提案を歓迎します。し

かし、CSDDの提案は、Fashion Revolutionが 期待していた野心には残念ながら及ばないもの

でした。この法案の現在の構造では、このインデ ックスに掲載されているような大規模なファッシ ョンブランドは、その責任を簡単にサプライヤー に転嫁できてしまうのではないかという懸念が あります。この法律案は、その範囲を「確立され た取引関係」に限定することで、在宅労働者を含

む無許可の下請けがあった場合に、「切り捨てて 逃げる」ことが可能になってしまいます。サプラ イヤーとの取引を終了する際の出口戦略を開示 しているブランドは、わずか19%です。私たちは、 ブランドがサプライチェーンで問題に直面したと きに「切り捨てて逃げる」ことがないことを保証 する方針のみを信用します。これには、サプライ ヤーに取引終了の意思を合理的に通知すること や、人権への悪影響の可能性について評価を実 施することが含まれます。

Fashion Revolutionは、ブランドには、業界の ベストプラクティスに沿って、問題が発生した時 に立ち去るのではなく、解決する道義的責任が あると信じています。私たちはこれらの責任を、 非正規・準正規労働者(在宅労働者や無許可の 下請け工場で働く労働者などを含む)にも当て はめるべきだと考えています。これらの労働者 は、サプライチェーンにおいて最も脆弱な労働 者ですが、現在のCSDDの提案には含まれてい ません。

CSDD法案の欠点とFashion Revolutionの見 解については、89 ページの「生活賃金」の項を参 照してください。

独立し、秘密保持が保証された苦情申し立て制度 は、労働者が、(しばしば問題の一部でもある)上 司に直接苦情を訴えるよりも報復を恐れずに発 言できるように設計されています。64%のブラン ドは従業員に対して、56%はサプライチェーンの 従業員に対して、それぞれ機密の苦情申し立て制 度を公開しています(昨年のそれぞれ62%と52% から上昇)。4分の1以上のブランド(26%)は、労

働者が苦情申し立て制度についてどのように知 らされているかを説明し、3分の1(33%)は、サ プライヤー行動規範の中で自社の苦情申し立て 制度へのアクセス方法を公表しています。

苦情申し立ての結果を開示することは、セクター 全体にとって貴重な学習となりえますが、労働者 の苦情についてデータを開示しているブランド は、わずか4分の1(25%)にすぎません。これは、 結果やインパクトのデータ開示にブランドがより 慎重であるという、本インデックスで見られる一 般的な傾向と一致してい ます。

「 なぜ一部の企業がこの実効性のないリスク評価をするかとい うと、彼らはこれをビジネスリスクの評価と考えており、何か評判 を傷つけるような事態が発生したとき、本当に効果的な対策を打 つ代わりに何かしらの活動に注目を集めることでそのリスクを回 避しようとするからである。」

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 74

A. VIYAKULA MARY SAVE  エグゼクテ ィブディレクター、ティルプール(インド・タミル

ナドゥ)UME LAILA AZHAR— HOMENET PAKISTAN  エグゼクティブディレクター

MAHEEN ARIF HOMENET PAKISTAN プロジェクトコーディネーター

(左から右)

この視点は、在宅労働者、つまり衣

料品製造の主要作業を行うために

出来高払いで支払われる女性労働 者で、工場や作業場ではなく自宅で

働く人々と共に活動する3名の市民 社会活動家によってもたらされたも のです。国際労働機関(ILO)の在宅 労働に関する最新の報告書による と、全女性労働者の11%が在宅労 働をしていることが判明しています。

今年のFashion Transparency Index によると、在宅労働に関するポリシーを設 けているブランドはわずか27%です。多く のブランドが在宅労働を恐れています。

ブランドは、在宅労働は自分たちでは対応しき れないものだと考えています。在宅労働者に関 する方針がなければ、サプライヤーは在宅労働 者を使用していることを公表しません。もしブラ ンドが在宅労働者の存在を知らなければ、サプ ライチェーン内で効果的な人権デューデリジェ ンス(HRDD)プロセスを実施することはできな いのではないでしょうか。例えば、パキスタンで は、現地のサプライヤーはバイヤーとの会話の 中で在宅労働者について言及することはないと 話しています。また、仲介業者が関与している場 合は、別の情報の齟齬があるかもしれません。ブ ランドは仲介業者とコミュニケーションをとり、 仲介業者はサプライヤーとコミュニケーションを とる場合、伝えられる情報の正確性には限りが あります。

また、在宅労働に関するポリシーを持っているブ ランドでさえ、サプライヤーに対してこの問題を 優先的に取り上げていません。全体として、ブラ ンドは在宅労働についてサプライチェーンに注 意を喚起するための投資をする必要があること は明らかです。また、仲介業者が存在する場合、 彼らもサプライチェーンの透明性を向上におい て重要な役割を果たします。

在宅労働者は、サプライチェーンの他の労働者 と同様に適切に管理される必要がありますが、 在宅労働者に対する認識がなく、当然彼ら、彼女 らを管理する適切なシステムも存在しません。在 宅労働者の条件改善に取り組んでいる方法を開 示しているブランドは、わずか7%です。在宅労働 者に仕事は来ているのですが、それに対して平 等な報酬が支払われておらず、搾取されている のです。というのも、彼らは目に見えないからで す。もし、ブランドが在宅労働者についてニュア ンスで理解していないのであれば もし、ブランド

に在宅労働についての理解がなければ、NGO や在宅労働の団体を経由して行うべきでしょう。

しかしまず、すべてのブランドは、在宅労働者を 労働者として認識する方針を整備する必要があ

ります。私たちのHidden Homeworkersツー ルキットには、モデルポリシーのほか、ブランド やサプライヤー向けの有用なリソースが含まれ ています。

在宅労働の透明性は非常に重要です。パキスタ ンでは、在宅労働者が在宅労働ポリシーのある ブランドで働いていることを知tた場合、より良 い賃金を要求するため、在宅労働者に情報が知 らされないことがあります。在宅労働者は通常、 苦情申し立てメカニズムを利用することができ ず、HRDD プロセスに含まれることもほとんどあ りません。HRDDに労働者代表を参加させてい るブランドはわずか26%で、女性労働者を参加 させているのはわずか12%です。しかし、在宅労 働者もグローバルサプライチェーンにおける自 分たちの役割を理解し、自分たちの状況を改善 するために協力する方法を模索し始めています。 ティルプールでは、在宅労働者が独自の労働組 合「アヌカタム」(未組織労働者のための組合)を 結成しました。彼らは、自分たちが手掛けたと認 識する衣服の小売価格の証拠を集め、彼らが受 け取る非常に低い出来高払いの料金と比較して います。近い将来、労働者側からも透明性を求め る動きが出てくるかもしれません。

VIEWPOINT:在宅労働について、そして在宅労 働者についても、より透明性を
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 VIEWPOINTS 75

重点課題

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 76

5. 重点課題 アプローチ

ディーセント・ワークと

購買慣行

大手ブランドや小売業は、自社

やサプライチェーン内の労働者

の条件を改善するためにどのよ うな取り組みを行っているので しょうか。具体的には、以下を調 べました。

• 昨年のCOVID-19指標か

らシフトし今年の重点課 題とした強制労働では、ブ ランドがパンデミックと強

制労働のリスクの増加に どのように対応している かを確認する。

• サプライチェーンにおける 生活賃金と賃金データ

• ブランドの購買活動

• 労働組合結成と団体交渉

ジェンダーと人種の平等

主要なブランドや小売業者は、 ジェンダーや人種の平等につい てどのような取り組みを行って いるのかを調べました。

• 企業内およびサプライチ

ェーンにおける男女間の 不平等

• 男女間の賃金格差

• 人種的平等に関するデー タと、それに対してブラン ドが行っていること

サステナブルな調達と 素材

サステナブルな素材の使用を 増やし、バージンプラスチックや

マイクロファイバーの抜け落ち を減らすために、主要ブランド や小売業者は何をしているかを 調べました。

• サステナブルな素材を定 義するためのツールやプ

ロセス

• よりサステナブルな素材 への転換に関する戦略と

進捗状況

• バージン・プラスチックの 使用量削減の戦略と進 捗状況

• マイクロファイバーの影響 を最小化するためにブラ ンドが行っていること

毎年、私たちはいくつかの重要課題をより深く掘り下げています。2022年は「持続可能な開発目標」 (2030年までに人々と地球のためにより良い世界を築くための緊急の行動要請であるSDGs)に沿 って、6つの分野に焦点を当てます。重点課題は毎年、業界の専門家やステークホルダーと協議しなが らトピックを選定し、指標を策定しています。

過剰消費、廃棄物、循環 型社会

大手ブランドや小売業者は、過 剰生産に対処し、廃棄物を最小 限に抑え、循環型社会に移行す るためにどのような取り組みを 行っているのでしょうか。ここで は、以下の項目を具体的に調べ ました。

• 報告期間中に生産された アイテムの数

• どれくらいの繊維廃棄物

が発生し、どれくらいの廃

棄またはリサイクルが行

われたか

• 消費者前廃棄物(プレコン

シューマーウェイスト)の

削減と消費者後廃棄物(ポ

ストコンシューマーウェイ

スト)のリサイクルに関す

る戦略と進捗状況

• 回収制度と衣料品の寿命

に関する戦略

• 繊維から繊維への循環型

リサイクルへの投資

水と化学物質

主要なブランドや小売業者は、 有害な化学物質の使用を減ら し、水の使用量を最小限に抑え

るために、どのような取り組み を行っているのでしょうか。ここ では、その内容をご紹介します。

• 有害化学物質の使用削減 に関する戦略と進捗状況

• 事業部門とサプライチェ ーンにおけるウォーターフ

ットプリント

• 水リスクアセスメント

気候変動と生物多様性

主要なブランドや小売業者は、 気候危機と戦い、環境への影響 を軽減するために、どのような 取り組みを行っているのでしょ うか。ここでは、以下の情報を各 ブランドが公表しているかどう かを調べました。

• 脱炭素社会の実現に向け

た目標

• 科学的根拠(Science Based Targets、SBT)に 基づく目標

• 森林破壊ゼロに向けたコ ミットメントと進捗状況

• 自社施設およびサプライ チェーンにおけるカーボ ン・フットプリント

• 絶対的なエネルギー削 減量

• 自社施設およびサプライ チェーンにおける再生可 能エネルギー使用量

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 77

Joe Fresh

Kathmandu Matalan MRP

s.Oliver

TJ Maxx

Disney

Eddie Bauer

Ito-Yokado

LL Bean

Ross Dress for Less

Saks Fifth Avenue

Urban Outfitters

Chanel

Dr. Martens

Fjällräven

JD Sports River Island

Aritzia

Bonprix

Brunello Cucinelli Desigual

TOPVALU COLLECTION Asda

Bally

Moncler

Carrefour

Champion

Cortefiel

Ermenegildo Zegna

Falabella

Hanes

Helly Hansen

Kohl's

Paris

Steve Madden

Abercrombie & Fitch

Cotton On

Hollister Co.

Jack Wolfskin Kaufland

La Redoute

* ブランドは250点満点中のスコアでランク付けされていますが、四捨五入した数値で表示しています。同じ点数のブランドがある場合は、アルファベット順に表示しています。 0-5% 6-10% 11-20% 21-30% 31-40% 41-50% 51-60% 61-70% 71-80% 81-90% 91-100% Gucci OVS Kmart Australia Target Australia H&M 69 67 64 64 61 Bershka Massimo Dutti Pull&Bear Stradivarius Zara Balenciaga SAINT LAURENT Bottega Veneta Puma Superdry GU Uniqlo Converse Jordan Nike The North Face Timberland Burberry Lululemon Ralph Lauren C&A Vans Calzedonia Intimissimi Tezenis UGG United Colors of Benetton Fendi Hugo Boss ASOS Sainsbury's Zalando Calvin Klein Levi Strauss & Co Marks & Spencer Tommy Hilfiger Zeeman Gildan Target Banana Republic Esprit Gap Old Navy Primark Speedo Wrangler adidas CELINE Dior Fruit of the Loom John Lewis Lindex Louis Vuitton Next Russell Athletic Tchibo
& Jones Marc Jacobs Vero Moda Mango Patagonia ASICS boohoo COACH PrettyLittleThing Tom Tailor GUESS Reebok Tesco Amazon Mammut New Look Lacoste New Balance Chloé Columbia Sportswear Decathlon Kate Spade Lidl Salvatore Ferragamo Walmart American Eagle Brooks Sport G-Star RAW Hermès Morrisons Muji Ted Baker Woolworths South Africa ALDI SOUTH El Corte Inglés Miu Miu Pimkie Prada Prisma Big W Carter's Nordstrom Reserved ALDI Nord Anthropologie Armani Foschini
Dressmann Jack
Free People Kiabi
Monoprix REI
The Warehouse Canada Goose Mizuno
Very ALDO Burlington Clarks Famous Footwear
Michael Kors
Under Armour Versace Beanpole
Dick's Sporting Goods
Sports Direct Takko
Costco Foot
Shimamura
ANTA CAROLL
Fanatics
Macy's Max Merrell Quiksilver Roxy Skechers Triumph Aeropostale BCBGMAXAZRIA Belle Big Bazaar - ffb Buckle celio Deichmann Dillard's DKNY Dolce & Gabbana Elie Tahari Express Fashion Nova Furla Gerry Weber Heilan Home Jil Sander Jockey Justfab K-Way KiK Kmart KOOVS LC Waikiki Marni Max Mara Metersbonwe Mexx New Yorker Nine West Pepe Jeans REVOLVE Romwe Semir SHEIN Splash Tom Ford Tory Burch Valentino Van Heusen Youngor 54 54 54 54 54 53 53 52 52 52 48 48 47 47 47 47 47 46 46 46 43 43 41 41 41 41 41 39 39 37 37 36 35 35 35 35 35 34 34 33 33 33 33 33 33 33 31 31 31 31 31 31 31 31 31 31 30 30 30 30 29 28 27 27 27 27 27 25 25 25 24 24 24 23 23 22 22 22 22 22 22 22 20 20 20 20 20 20 20 20 19 19 19 19 19 19 18 18 18 18 17 17 17 17 17 17 17 16 16 16 16 16 14 14 14 14 14 13 13 13 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 11 11 11 11 11 11 11 11 10 10 10 10 10 8 8 8 8 8 7 7 7 7 7 7 7 6 6 6 6 6 6 6 6 6 6 6 6 5 5 5 5 5 5 4 4 4 4 4 4 4 4 4 2 2 2 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 5. 重点課題 結果 FASHION REVOLUTION FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 78 SPOTLIGHT ISSUES
Tod's United Arrows
Locker Otto Sandro
Truworths
Diesel DSW Fila Fossil Hudson's Bay Li-Ning Victoria's Secret AJIO Chico's
Lands' End Longchamp Reliance Trends The Children's Place Tommy Bahama Billabong Bloomingdale's Bosideng Carhartt Carolina Herrera Cole Haan HEMA

調査結果

- ディーセントワークと購買慣習

生活賃金

24%

現代奴隷制関連の違反

人材紹介料の支払いに よって影響を受けるサ プライチェーン内の労 働者数を公開している

購買慣習

11 11% 価格交渉における人 件費の切り分け方法

4% 27

6

6%

4

生活賃金の支払いに関す

る年次進捗を公開している

12

12%

>1%

く人々の生活賃金を 実現するためのアプロ ーチを公開している 27% 7 7% 99.6

納品後の平均支払日 数を公開している

標準的な注文と支払条件を定

生活賃金を支払 っている労働者数 を公開している

35 6%
強制労働 6 24 35% サプライチェーンにおけ る人材紹介料に対する考 え方を公開している
とリスク要因に関する データを公開している
4
4%
60日以内にサプライ ヤーに支払うという方 針を公開している
を公開している
責任ある購買行動規 範を公開している
サプライチェーンで働
めた、デューディリジェンスに沿 った標準的なサプライヤー契 約テンプレートを公開している
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 79
5. 重点課題

人種的平等

13

1

人種的平等の推進 に焦点を当てた行 動を公開している 5. 重点課題

団体交渉協定の対 象となる労働者数 を公開している

サプライチェーンで働く労 働者に法定最低賃金を上回 る賃金を提供する団体交渉 協定の数を公開している

ジェンダー平等

59

59% 会社の男女賃金格 差を公開している

34%

6

サプライヤー施設における 性別に起因する違反に関 するデータを公開している

6% 34 社内の職務の男女別 内訳を公開している 労働組合
労働組合を有するサ プライヤーの施設数 を公開している
調査結果
10 13%
10%
29 1% 3% 8%
てた行動を公開している 29% FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 80
会社の民族間賃金格 差を公開している
- ディーセントワークと購買慣習
3 8
サプライヤー施設における 男女平等の推進に焦点を当

5. 重点課題 分析 - ディーセントワークと購買慣習

現代の奴隷制度

この重点課題は、2020年から新しく加わりまし たが、2021年にはCovid-19の指標に焦点を当

てるために削除されました。パンデミックは進行 中ですが、Covid-19が強制労働や他の形態の 現代奴隷に対する労働者の既存の脆弱性を悪化

させることを認識し、我々は強制労働に焦点を戻 すことにしました。

今年、86%のブランドが強制労働に関する方針

を開示し、62%が強制労働を特定し排除するた

めの手続きを開示しています。このパフォーマン スは、92%のブランドが強制労働に関する方針

を開示し、66%が強制労働や拘束労働を特定し

排除するためのパートナーシップやプログラムに 関する情報、言い換えれば、英国現代奴隷法やカ リフォルニア州サプライチェーン透明化法の声 明に含まれる可能性がある手続き情報を公表し た2020年より悪化しています。

2022年6月、米国でウイグル強制労働防止法 (UFLPA)が施行され、東トルキスタンとも呼ば れる新疆ウイグル自治区(XUAR)からの商品が すべて禁止されました。この法律は、中国が100 万人以上のウイグル人を強制的に拘束し、グロ ーバルブランドや小売業者のために生産してい ることが発覚し、組織的な弾圧を行っていること を受けたものです。世界の綿花の20%はXUAR 産で、綿花を使用した製品の5つに1つはXUAR 産の綿花を使用していることになります。UFLPA は、強制労働の下で製造された商品が米国市場 に入ることを防ぐための前向きな動きです。ブラ ンドは、生産過程の最初から最後までデューデリ ジェンスの証拠と、その商品が強制労働の条件 下で作られた可能性のある要素を一切含んで いないという保証を提供することが求められま

ただけます。また、グローバルブランドや小売業 者に対して、足止めされた商品を他の市場に販 売するために再輸出することを控えるよう要請し ています。これは、サプライチェーンの分岐(ブラ ンドがサプライチェーンを2つに分け、他の市場 をウイグル人の強制労働によって作られた商品 のダンピング場として利用すること)のリスクを防 ぐためです。より高い透明性とトレーサビリティ は、強制労働のリスクを表面化するための強固な デューデリジェンスプロセスを可能にする鍵であ り、ブランドのサプライチェーンは公的な監視に 耐えられるものでなければなりません。

プライチェーン内の労働者の数を開示していま せん。これは、労働者が借金を返すまで働かされ る「債務束縛」などの強制労働のリスクをスクリ ーニングする上で重要です。つまり、人材紹介料 の支払いによって実際に影響を受ける労働者の 数よりも、人材紹介料に対する取り組みについて 情報を開示するブランドの方が多いのです。

同連合の公開書簡はこちらでご覧い

す。End Uyghur Forced Labour Coalition はまた、UFLPAの要件に合致する、すべての小 売市場向けのグローバルサプライチェーン全体 にわたる単一のグローバルコットン基準を要求 しています。

人材紹介料に対する考え方を開示しているブラ

ンドはたったの3分の1強(35%)で、大半(94% )は人材紹介料の支払いによって影響を受けるサ

このようなことがなぜ起こるのかというと、第三 者である人材派遣会社は、大手ブランドや小売 業者のサプライヤーがグローバルなサプライチ ェーン全体で人材募集のニーズを満たすのを助 けていますが、これらの人材派遣会社は、賃金、 福利厚生、労働条件に関して法的強制力のある 契約や合意を労働者に提供することなく、インフ ォーマルに運営されていることが多いためです。 人材紹介料は、労働者にとって馴染みのない言 語で書かれた契約書の中に搾取的な条項を隠 すなどして密かに課され、労働者に人材紹介料 の支払いを要求し、借金に陥れてしまうことがあ ります。この慣行は多くの国で違法ですが、労働

人材紹介料の透明性が低く、強制 労働のリスクが不明確
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 81

者は搾取する側によって借金のを強いられ、衣

料品労働者の賃金は低く借金は多額のため、返 済には非常に長い時間、時には数十年もかかる ことがよくあります。2021年、Transparentem はバングラデシュ、ネパール、インドネシアからの 45人の移民労働者がマレーシアの衣料品工場

で雇用を得るために、それぞれ5,294ドルもの 手数料を支払っていたことを明らかにしました。

これは、マレーシアの最低賃金給与の20カ月分 に相当します。

重要なことは、借金を抱えた労働者は、自らの権 利を主張するために賃金や労働条件の改善を求 めて交渉する可能性がはるかに低く、これが搾取

を続けさせてしまうということです。労働者が人

材紹介料の返済を要求しても、現金で支払うこと が多いため領収書がなく、証明することが困難

です。正義が実現するとしても何年もかかる可能

性があり、労働者が収入の不足を補おうとするた

め、借金による束縛のリスクが高まります。しかし、

タイでミャンマーからの移民労働者が勝訴した ように、いくつかの成功例もあります。

パンデミックによって記録的な数の労働者が解 雇されたり賃金が支払われないまま放置されて 以来、#PayUpキャンペーンの努力によって何 百万人もの労働者が払い戻しを受けています。 しかし、当初は賃金未払いの影響を受けている 労働者の実態が見えなかったため、たとえ解雇 された場合でも、多くの縫製労働者が多額の人 材紹介料の返済を求められているという事実が さらに深刻なものとなりました。賃金は低く借 金は多額のため、労働者は賃金の不足を克服し ようとして、強制労働やさらなる借金の危険にさ らされます。このため、人材紹介料の影響を受け ている労働者の数に関する透明性が重要なの です。しかし、94%のブランドはこれを開示して いません。国際労働機関(ILO)によると、強制労 働のリスクをスクリーニングするためには、人材 紹介料の有無を確認することが必要ですが、大

半のブランドはこの情報を追跡した上で開示し ないことを選択しているようです。あるいは、デュ ーデリジェンスの手法が十分でないために、強制

労働が表面化していない可能性もあります。

私たちの調査によると、サプライチェーンにおけ る現代奴隷制関連の違反やリスク要因(過剰な 強制残業、行動の自由の制限、労働者のパスポ ートの保持など)の蔓延を開示しているブランド はわずか24%です。重要なのは、これらの強制 労働の指標はそれぞれ個別に監視されるべき であり、一緒くたにされてはいけないということ です。つまり、4分の1近くのブランドが現代奴隷 制違反の蔓延を開示している一方で、どの違反 がより頻繁に報告され、どの違反が発見されず、 報告されず、対処されない可能性があるかは不 明となっています。

現代奴隷制のリスクの蔓延
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 82
24% のブランドが、現代奴隷 制関連の違反行為とリ スク要因の蔓延を公開

ブランドからサプライヤーへの支 払いは、雇用者負担の原則にの っとってコストをカバーするべき

である

企業の典型的なアプローチは、採用プロセスの 一環として、サプライチェーンで働く労働者が手 数料や関連費用を一切支払わない方針を設定 することです。しかし、トランスペアレムによる

と、世界最大のブランドや小売業者の間で「手数 料無料」のサプライチェーン方針が広まったこと

で逆に、人材派遣会社や雇用主が、労働者が雇 用を得るために違法に手数料を支払ったケース を隠すよう仕向けてしまいました。

移民労働者の採用の増加は、正社員雇用から派 遣、契約、季節労働への集中的なシフトという業

界の傾向から切り離すことはできません。ブラン ドや小売業者が低価格、短納期、そして一般的 にブランド自体に有利なものに基づく購買方針 を打ち出し続ける中、サプライヤーとの関係はま すます不安定で一時的なものになってきていま す。このことは、雇用不安の増大と労働条件の悪 化につながっています。

ベストプラクティスは、ブランドが「雇用者負 担の原則」に従っていることを開示することで す。ビザの費用、健康診断、交通費などの費用 はサプライヤーへの支払いに組み込まれなけ ればなりません。ブランドが労働者に人材紹

介費用を後払いすることは、債務による束縛 を根絶するために極めて重要です。大手ブラ ンドや小売業者は、職場の改善を可能にし、よ り高い基準の倫理的採用を実施するために、 サプライヤー施設における結社の自由と労働 者の組織化を確保することも必要です。さら に、より良い労働条件を確保するためには、 長期的で有意義なサプライヤーとの関係への 投資が必要です。最後に、投資家や銀行など の権力者は、バイヤーやサプライヤーとの関 係を活用して、倫理的な採用慣行を奨励・支

援し、実施に関する進捗報告の義務付けを行 うべきです

BELOW: MATHEW CHATTLE / BARCROFT MEDIA VIA GETTY IMAGES
「サプライチェーンにおける不正行 為に目をつぶっていた人たちが無罪 放免になるような、結果の伴わない 世界では困ります。」
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 83
Mary Creagh—Environmental Audit Select Committee on the UK Modern Slavery Act in 2019 前議長

VIEWPOINT: 貧困賃金を払うこと で、CEOは女性の人生を奪う

NASREEN SHEIKH EMPOWERMENT COLLECTIVE ファウンダー

FR: ナスリーンさん、ご自身のこと、そして衣料品 業界でのご経験について教えてください。

NS: 私の名前はナスリーン・シェイク。私は幼い 頃、女性や子どもに対する残虐な行為をたくさ ん目撃しました。12歳の姉が結婚を強要されて いるのを見たとき、次は自分の番だと思いまし た。そこで私は、自由を手に入れることを決意し ました。そして、ネパールの首都カトマンズで、ス ウェットショップの労働者として働くことになり ました。

私は10歳くらいでした。そして、私はサプライチ ェーンの下層に隠されていたのです。10×10の 部屋で、他の6人と一緒に1日12時間から15時

間働いて、山のように積まれた衣服を完成させ たのです。朝から晩まで働いて、1日2ドル以下し

かもらえない。もし、その服の山を完成させなけ れば、何ももらえないのです。その部屋の中で食

べて、寝て、働きました。部屋はまるで刑務所の独 房のようでした。食事も、口の中の縫い糸をほじ くり出さないと飲み込めないほどでした。虫やウ ジがわいた期限切れの食べ物が配られました。

そして、もし幸運にも時間通りにすべての仕事を こなせば、腐ったブドウをもらえたのです。だか

ら私は、私たちは文字通り動物のように食べさせ られ、機械のように働かされていたのだと、人々 に話しています。

FR: 私たちの調査によると、サプライチェーンの 下層に行くほど透明性が低くなっていることが

明らかになりました。48%のブランドが服が作ら れている工場の名前を公表していますが、コット ンなどの原材料の産地である農園の名前はわず か8%しか公表していません。サプライチェーン

の隠れた部分で働く元労働者であるあなたの経 験から、なぜサプライチェーン全体を追跡し、す

べての労働者に責任を持つことが重要だとお考 えなのでしょうか?

NS: 8%というのは、非常にショッキングな数字

です。さらに、現代の奴隷制の不正のほとんど はそこで起きています。そして、企業はサプライ チェーンの最下層が完全に崩壊していることを 知っているのです。そのような層にあるコミュニ ティは絶望的です。ですから、私たちは企業や組 織のリーダーたちに、このような労働者たちを 見て、彼らの存在を認める必要があると言って いるのです。

大手ファッションブランドは、こうした労働者の 姿を見て、彼らを認め、基本的人権を獲得でき るよう支援する責任があるのです。しかし、原材 料の産地について透明性を保っているのがわ ずか8%というのは、実にショッキングなことで す。つまり、それだけ私たちのシステムが壊れて いるということでしょうか。

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 VIEWPOINTS 84
「私たちは文字通り動物のよ うに食べさせられ、機械のよう に働かされていました。」

企業はチャレンジが好きですからね。ですからこ れは、すべての企業にとって、サプライチェーンを 原料の産地までさかのぼって追跡し、労働条件 がどのようなものかを本当に学び、それを改善 するための挑戦となり得るのです。私は草の根の 活動家として、一人の女性を助けると、その女性 がリーダーとなって他の村を助け、人々が力を得 ると魔法のようにシステムが変わっていくことを 知っています。

FR: 大手ファッションブランドのうち、サプライチ

ェーン全体で労働者の生活賃金を実現する目 標を公表しているのは、わずか8%でした。そし

て、実際に生活賃金率が支払われている労働者

の数を公表しているのはさらに少なくわずか4 %です。このことは、大規模なファッションブラン

ドの運営方法について、何を物語っているので しょうか?

NS:この数字は衝撃的です。しかし、この数字が 低い理由はとてもシンプルです。それは単純に、

衣料品店の労働者に生活賃金が支払われてい

ないからです。そのため、これらの企業はこの情 報を開示しないことを選択しているのです。

私たちにとって明らかなことは、何百万も稼ぐ

CEOの多くが、非常に簡単な言葉で言えば、盗み を働いているということです。実際は、CEOがこ

のお金を稼いだのではありません。このお金は、

サプライチェーンで働く児童労働者によって作ら

れたのです。CEOは、自分たちのエゴを満たす ため、女性たちに貧困賃金を支払いながら、彼 女たちの人生を盗んでいるのです。これは道徳 的に非常に問題のある仕事です。

多くの企業は、今までのやり方に見切りをつける 必要があります。気候変動は私たちを追い詰め ており、この地球上で私たちが生き残るために は対策が急務です。生産国では、すでに食糧を生 産することができません。作物は気候変動によっ てダメージを受け、私たちは飢えているのです。

ですから、今こそこれらの企業が心を開き、生 活賃金を支払う時なのです。そして、それでもあ なたはまだ何百万ドルも稼ぐことができるでし ょう。何十億も稼ぐ必要はないのです。CEOや ブランドの人たちに伝えたいのは、今日は私が ここにいて話をしていますが、明日には何百人 もの生存者がこの活動に参加するだろうという ことです。

画像提供:EMPOWERMENT
COLLECTIVE
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 VIEWPOINTS 85
「大規模なファッションブランドには、これらの労働者を見て、存在を 認める責任がある」

ブランドの購買慣習

大手ファッションブランドとそのサプライヤーの 間の不平等な力関係の根深さは、ブランドが条

件や価格を自分たちに有利になるように決定す ることがあまりにも一般的であることからよくわ かります。サプライヤーは、顧客であるブランド から合意された期限内に支払われるかわから

そして、このことは労働者に大きな打撃を与 えることになります。発注、支払い条件、計画、

予測、原価計算を含む購買慣行は、労働者の 賃金や安全条件などの重要な領域に影響を 与えることが証明されています。下記をご参 照ください。

下の表は、BETTER BUYINGとHUMAN RIGHTS WATCH のデータを参照して作成したものです。

計画と予測 コストとコスト交渉 支払いと支払い条件 購買プロセスの管理

受注量の急激な変化 注文の仕様や承認の遅れ、直前の変更 短いリードタイム

値下げ交渉や値引きの依頼

サプライヤーがその労働者の定時および時 間外労働を計画すること 虐待、屈辱的な言葉の乱用、および労働者に もっと早く働くことを強要すること トイレ、水、食事休憩を制限すること 小規模で低コストのユニットへの外注/下 請け

過度の残業、生産性の低下、事故や怪我につながるミスが増える可 能性、家庭生活の崩壊、孤立、病気への脆弱性の増加 ストレス、不安、生産性の低下

疲労やその他の健康問題、月経中の休息を必要とする女性労働者 に対するジェンダー的影響

搾取的な労働条件は、隠れた施設で起こる可能性が高く、そこでは 労働者は是正や補償を受けるための手段をほとんど持たず、主導 的企業との関係を確立することが困難であるため、放置される可能 性がある。

労働者が出来高払いの賃金を受け取る可能性がある

価格圧力により、サプライヤーは火災や建物 の安全性向上のための投資ができない

安全性に問題がある労働環境のため、怪我や死亡事故の危険が ある

注文の取り消し コスト削減のため、サプライヤーに不当 なペナルティを課す(値引きを要求する等)

原材料や人件費などの生産コストを前払い しているため、労働者の賃金を支払うことが できない。

ストレス、不安、飢え、食料、住居、教育、医療などの基本的なニーズ を満たすために借金をする

ないという状態に慣れています。
生産サイクルのステージ
ブランド購買活動 サプライヤーの対応 労働者への影響
IMAGE COURTESY OF FAIR WEAR FOUNDATION
労働条件に影響を及ぼす可能性のあるブランドの購買慣行
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 86
値下げ交渉や値引きを要求する

Covid-19の大流行は、上に示した課題をかつ

てないほど顕在化させ、2021年のインデックス

で概説したように、ブランドは400億ドル以上の 注文を支払いなしでキャンセルし、壊滅的な結

果を招きました。しかし、交渉力がないため、サ プライヤーは自社や自社の従業員にとって不公

平な条件(しばしば不公正取引慣行と呼ばれる)

に異議を唱えることは困難です。サプライヤー は、あるブランドがいかに簡単に競合サプライ ヤーに乗り換えられるかを知り尽くしており、法

的な措置はほとんどの場合手の届くオプション ではありません。

このような力の不均衡は、バイヤーとサプライ ヤーの関係性や、商業的関係を安定させるため にブランドが取っている行動(あれば)の不透明 さによって強化されています。私たちのデータで は、サプライヤーから受け取るフィードバックに ついて透明性を確保しているブランドは4%とほ とんどありません。購買慣行に関連する最も緊 急性の高い分野についての情報開示は、さらに 困難です。また、生産開始前にサプライヤーに支 払う金額が発注金額の何パーセントに相当する かという方針を開示しているブランドは、合計で わずか2社(0.8%)にすぎません。特に後者につ いては、サプライヤーが必要な原材料、生地、副 資材などを信用購入することにより生産コストを 「前払い」することが一般的であるため、懸念さ れるところです。

特に納品後の支払いに時間がかかるなど、サプ ライヤーが抱える不安定な状況は、パンデミック や#PayUp、#PayYourWorkersキャンペーン を通じて、新たなスポットライトを浴びました。し

かし、この面でのブランドの進歩はまだまだのよ うに見えます。発注した商品が納品後、サプライ ヤーに全額支払われるまでの平均日数を開示し ているブランドは、わずか7%です。サプライヤー は支払い期間が60日を超えてはならないと提 唱していますが、当社のデータによると、これを

満たすための方針を開示しているブランドはわ ずか11%です。これは、2020年にこの情報を開 示していたブランドのわずか6%からわずかに 増加しています。

パンデミック以降、不公正な取引方法の禁止を 求める声が大きくなり、サプライヤーも含め、ブ ランド行動全般に対する監視の目が厳しくなり ました。またサプライヤーが一丸となって提言を 行うようになりました。しかし私たちの調査結果 は、ブランドの道のりはまだ長いことを示してい

ます。把握・開示・改善のセクションでお伝えした ように、サプライチェーンにおける人権デューデ リジェンスに関する方針を開示しているのはブ ランドの61%です。

これらは、サプライヤーが権利を尊重する慣習 を遵守することを求めるものです。労働条件に

ついてサプライヤーの責任を問うことは重要で すが、ブランドがサプライヤーに求めるものと、 ブランドが自ら設定する基準との間には、依然と して矛盾があります。私たちは、2022年版イン

デックスに新しい指標を導入し、購買慣行に関 連するブランドの方針の開示を把握することに しました。その結果、責任ある購買行動規範を公 開しているブランドはわずか11%で、標準的な 注文と支払条件を定めたデューディリジェンス に沿ったサプライヤー契約テンプレートを公開 しているのは、250ブランド中、Zeeman1社の みであることがわかりました。Zeemanのサプ ライヤーに対するコミットメントは、責任ある購 買活動、人権デューディリジェンスによるサプラ イヤーのサポート、責任ある取引終了など多岐 にわたっています。より多くのブランドが、責任あ る購買活動に関する協定を締結し、公表するこ とが必要であることは明らかです。

有害な購買慣行の影響に対処するための出発 点は、その根本原因の現実を認識することです。

ブランドは、自分たちの行動が、サプライヤーに 自分たちが定めた方針に違反するようなインセ ンティブを与えている可能性について、より透明

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 87
性を高めなければなりません。

SUPPLIER REFLECTIONS ON BRANDS' PURCHASING PRACTICES

MOSTAFIZ UDDIN

DENIM EXPERT LTD  オーナー兼マネージングディレクター

および THE BANGLADESH DENIM EXPO  ファウンダー

「アパレル小売業者やブランドが透明性のある価格設定 や購買を実践しなければ、サプライチェーン全体で透明性

を確保するための環境は作れません。グローバルなサプラ イチェーンにおいて、透明性はメーカーやサプライヤーだ けが単独で担うものではありません。サプライチェーン全 体の透明性を確保するためには、すべてのステークホルダ ー間の信頼と予測可能な関係が鍵となるのです。」

「衣料品業界は、今のように翼と祈りで続けることはでき ません。私たちの生存を神頼みにするのではなく、自分た ちの運命に対して何らかの発言権を持つことが必要です。

これは、購買慣行の問題をきっぱりと把握することを意味

します。つまり、価格設定や契約交渉に関して、業界として 協力し、協働することです」。

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 88

生活賃金

大多数の労働者は基本的なニーズを満たすのに

十分な報酬を得ていない一方で、このインデック スに掲載されているブランドを含む大規模なフ ァッションブランドは、彼らのハードワークから利 益を得続けています。

しかし、この問題の重大性にもかかわらず、ほと

んどのブランドは、サプライチェーンで働く労働 者が基本的なニーズを満たし、ある程度の裁量

所得を確保できるような賃金を確保するために、 十分な前進をしていません。サプライチェーンで

働く人々の生活賃金を実現するためのアプロー

チを開示しているブランドはわずか27%で、これ

は過去2年間変わっていません。さらに、94%の ブランドが生活賃金に向けた年次進捗を公表し

ておらず、96%が生活賃金が支払われているサ

プライチェーン内の労働者の数を公表していま

せん。また、労働コストの分離方法を開示してい

るブランドはほとんどなく、ブランドがどのように 労働を価格に織り込んでいるかが伺えます。

生活賃金の実現にまつわる不透明さは、この問

題に対するコミットメントの欠如を示しています。

自主的な対策だけでは進展が望めないというこ

とが浮き彫りになっています。

生活賃金について産業界が責任を負う必要性に 応え、私たちは市民や市民社会全体の盟友など と力を合わせ、「Good Clothes, Fair Pay」とい うヨーロッパ市民イニシアチブを立ち上げまし た。2022年7月19日に発足し、衣料、繊維、履物 セクター全体における画期的な生活賃金の法制 化を要求しています。

私たちの提案は、ブランドに対して生活賃金、結 社の自由、団体交渉の権利に対する悪影響を特 定、防止、軽減することを求めています。また、不 公正な取引方法を禁止し、実際の賃金と生活賃 金との格差を縮めるための期限付き・目標付き 計画の透明性を義務付けています。この画期的 な法律は、世界中の縫製労働者のためにEUレベ ルで初めて制定された生活賃金に関する法律と なります。私たちが提案する法律行為は、企業の 持続可能なデューディリジェンス(CSDD)の欠点 に直接対応するものです。CSDDの適用範囲が「 確立された取引関係」に限定されているのとは 対照的に、私たちの法律案は、在宅労働者など、 無許可の下請けによって隠されている集団を表 面化させることに特に重点を置いています。衣料 品労働者に生活賃金を支払うためにまず透明性 が必要な理由や、その他のFAQはこちらでご覧 いただけます。

長年にわたって生活賃金をリサーチし、取り組ん できたFashion Revolutionは、個々のブラン ドがサプライチェーン全体で生活賃金を実現す ることが簡単ではないことを知っています。それ は複雑で困難なことであり、ブランド、市民社会、 政府をまたがるシステムレベルでの変化と協力

が必要です。しかし、決して達成不可能なことで はありません。ファッション・オープン・スタジオ・ プログラムに参加する小規模ブランドのリーダ ーシップは、大手ブランドに対して、それが可能 であることを示しています。実際、この問題は複 雑であるため、法律を制定する必要性がより強 くなっています。評判に敏感な企業や価値観を 重視する企業だけでなく、すべての企業に行動 を求める法律があれば、行動したブランドだけ が「損」をすることなく、競争の場が平準化され るでしょう。

EU市民(EUのパスポートをお持ちの 方)から100万人の署名が必要ですの

で、goodclothefairpay.euにアクセスして署 名してください。EU市民でない方は、EU市民の 友人に送ったり、ソーシャルメディアで私たちの 投稿をシェアすることで、この言葉を広める手助 けをしてください。19日まで、Instagramで@ goodclothesfairpayをフォローし、私たちの ニュースレターを購読して最新情報を入手して ください!

Wiranta Ginting—Asia

Floor Wage Alliance

「グローバルサプ ライチェーンは破 綻している。規制 がなく、ブランドは 労働者を搾取する ことによって利益 を蓄積することが できる」
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 89
@GOODCLOTHESFAIRPAY

組合結成と団体交渉

自己の利益を保護するために労働組合を結成

し、加入するすべての人の権利を含む結社の自 由は、多くの国際協定や国内法に謳われた民主 主義の礎です。

労働者は自分自身の最大の擁護者であり、より

良い労働条件を実現するためには、団結して発

言し雇用主と交渉することが、労働者が利用でき

る主要な手段であることに変わりはありません。

独立した労働組合は賃金、社会保障給付、残業 時間、母性保護、職場における差別など、労働者

が最も懸念する問題に取り組むことができ、職場

における事故の減少にもつながっています。ファ

ッションセクターの組合組織率に関するデータは

世界的に存在しませんが、バングラデシュの推定

では、同国の縫製工場のわずか3.5〜4%にしか

組合が存在しないとされており、依然として低い 水準にあることがうかがえます。

現時点では、真の労働者代表のための環境を確 保する上での主要ブランドの役割は、あるべき姿

よりも消極的です。このことは、公に表明された

ブランド方針と、労働者レベルで実際にとられた

行動と結果の開示との間に違いがあることから

も明らかです。主要ブランドの84%がサプライ

チェーンレベルでの結社の自由、団結権、団体交 渉へのコミットメントを概説する方針を発表して いる一方で、これらの方針をどのように実行に 移しているかを開示しているブランドはわずか 40%しかありません。さらに、民主的に選出さ れた独立労働組合があるサプライヤー施設の数 と割合を開示しているブランドは、わずか13% です。ブランドは、結社の自由が世界でも最も低 い国から大量の衣料品生産を調達することを選 択しており、この分野の歴史を通じて、労働者が 集団行動を起こすことを阻害してきました。しか

し、組合員やストライキを行う労働者の解雇や 暴力を含む組合潰しは、パンデミックの始まり以 来、ますます蔓延しています。多くの衣料品生産 国で、Covid-19は組織化した労働者を解雇す

る標準的な理由とされており、組合指導者は、パ ンデミックのために使用者との交渉や新規組合 員の勧誘が難しくなったと述べています。

パンデミックはまた、いくつかの生産現場におい て、民主主義と真の労働者代表に対する弾圧と 同時に進行し、それを助長しました。特に、2021 年2月に軍事クーデターが起きたミャンマーで

は、衣料品工場での国家主導の弾圧、特に組合 リーダーへの弾圧が今も続いています。

渉の努力を支援することを挙げていることから、 これは特に関連性が高いと考えられます。

このような背景から、ファッション部門の労働者 の条件と賃金を国の労働法で定められたものよ りも向上させる団体交渉の合意は、ますますま れで、実現が難しくなっています。ここでもまた、 団体交渉に関するブランドのコミットメントと実 際の成果の開示の間に違いがあることが明ら かになっています。団体交渉の対象となっている サプライチェーンの労働者の数を開示している ブランドはわずか10%で、サプライチェーンの 労働者に現地の法律で定められている以上の 賃金を提供している団体交渉の数を開示してい るブランドはわずか1%(250ブランド中、わず か3ブランド)です。サプライヤーの工場が、ブラ ンドの行動規範の基本を満たすために実質的 ではなく象徴的なコンプライアンスを行ってい

る一方で、実際には労働者の組織化および交渉 能力を弱めているという証拠もあります。

多くの大手ブランドが、生活賃金を達成するた めの唯一の手段として、衣料品労働者の団体交

団体交渉協定の対象となる労働者数の透明性 を高めることは、労働者が基本的な権利をよりよ く利用し、ブランドが調達先を選択した理由を説 明するための重要な出発点となります。コーネル

大学のNew Conversations ProjectのJason JuddとSarosh C. Kuruvillaは述べています。「 どれだけの調達戦略が、独立した組合や有意義 な団体交渉の存在を重視しているでしょうか? 非常に少ないです。これがなければ、変化は起こ らず、労働基準の違反は続くでしょう。」

画像提供:AWAJ FOUNDATION FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 90

HAN DONGFANG(韓東方)

CHINA LABOUR BULLETIN 常務取締役

団体交渉を行わず、口先だけの対応を続けてい るのです。

2019年までに、グローバルブランドのサプ

ライヤー2社がインドのバンガロールにあ

るKarnataka Garment Workers Union (KOOGU)とMoUを締結し、団体交渉におい て組合が果たす役割を認めました。

グローバルブランドは、仕入れ価格が最終的に 労働者の賃金を決めているということを認識し ていないのです。

どちらの工場でも、経営者は労働者代表を遠ざ け続けていますが、KOOGUのメンバーは踏みと どまり、粘り強く団体交渉を要求しています。

2022年のFTIによると、250ブランド中209ブラ ンド(84%)が結社の自由、団結権、団体交渉に

関する方針を公表している一方、どのサプライヤ

ーが労働者主導の組合を工場内に有しているか

を開示したブランドはわずか 13%でした。また、

サプライチェーン内で団体交渉協定の対象とな

る労働者の割合を開示したブランドは10%にす

ぎず、そのうち法定最低賃金を上回る賃金が支 払われている労働者は、わずか1%でした。

このショッキングな状況は、現実をよく表してい

ます。つまりブランドとサプライヤーは、職場の 問題を根本から解消する究極の解決策である

2021年、KOOGUは最初の工場で2019年から 停滞していた賃上げの交渉を提案しました。こ

れに対して経営側は、ブランドの仕入れ価格が 低いために利幅が非常に小さくなっていると包 み隠さず回答しました。そこでKOOGUはブラン ドに手紙を送り、労働者の賃金を生活賃金に近 づけるために、仕入れ価格の調整について協議 するように呼びかけます。その結果、3社から回 答がありました。1社は「地域の法律に従って」賃

金を支払っているとし、別のブランドは注文の取 り消しや遅れはないと主張しました。さらに3社 目は、サプライヤーに対して安定したキャッシュ フローと事業継続を保証すると回答しています。

2022年、二番目の工場では、最も積極的に発 言してきた労働者代表が辞表を提出しました が、それは、男性管理職の数人が彼女の尊厳に 性的な汚名を着せるような噂を広めたことがき っかけでした。また、経営側は労働者に対し、組 合の存在のせいでブランドが注文を取りやめる と告げました。これに対してKOOGUは、結社の 自由に関する権利の侵害であるとして、雇用主 が交渉を行うよう求めました。ところが雇用主 側の回答は、「本件について検討・分析を行った 結果、議論をしたり同様の議題について会合を 行う必要はないと聞いている」というものでし た。KOOGUがブランドを追求すると、あるブラ ンドは「我々の調査では当該の申し立ては確認 されなかった」と回答しましたが、労働者代表や 組合のメンバーは、誰もインタビューを受けてい ませんでした。

喜ばしいのは、EUやアメリカ、日本などの国が、 ビジネスと人権について法的拘束力のある制度 を支援する取り組みを推進していることです。

FTI2022の調査結果によると、価格交渉におい て人件費を分離する方法を開示しているブラン ドはわずか4%であり、2021年から9%減少して います。ここを起点として、より多くのブランドが サプライヤーの各工場における労働者の給料の 総計を示す別紙を作成し、その情報を広く公開 すれば、組合と雇用主の賃金をめぐる団体交渉 は大いに円滑になるでしょう。

グローバルサウスにおいてより多くの組合が KOOGUのような団体交渉を推進し、より多くの ステークホルダーがそうした職場の取り組みを 支援することによって初めて、ブランドは約束を 果たすようになるでしょう。そして徐々に、生活賃 金と職場の尊重が達成されると考えています。

VIEWPOINT: グローバルブランドは団体交渉に参加せよ—そ れが労働者の権利を向上させる究極の方法だ
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 VIEWPOINTS 91

ジェンダーと人種の平等

大手ファッションブランドは、人種の平等を支持

する姿勢をますます見せるようになり、「Black Lives Matter」や「Stop Asian Hate」といった 運動に対してソーシャルメディア上で連帯を表明

しています。しかし、自社の事業における年間の 民族間賃金格差を自主的に開示しているブラン ドはわずか3%であり、サプライチェーンにおける

人種や民族間の平等に関する取り組みを公表し ているブランドは8%しかないことがわかってい

ます。これは、次の事実を考慮するととりわけ顕著

な問題です。つまり、生産のほとんど大部分は、移

民やカースト制度、民族の問題によって労働者の 虐待や搾取が起きている地域で行われていると いうことです。

例えば、インドやバングラデシュ、パキスタン、ネ パール、スリランカは全て衣類の生産国ですが、 複雑なカースト制度や民族にもとづく差別の影

響を受けています。そしてこの問題は、サプライ チェーンの奥深くではさらに深刻です。例えばイ ンドにおいて、在宅の衣料品製造労働者の大半

は、歴史的に抑圧されひどく搾取されている民族 集団の女性や少女、あるいはダリットの労働者で す。また、カーストの低い集団に属する人々は、衣 料品の出稼ぎ労働者を探すリクルーターの標的 になっています。

大手ブランドのジェンダー平等問題についての透 明性は、人種問題に比べて圧倒的に高くなってい ます。29%のブランドが、サプライヤーの機能の 中でジェンダー平等を促進するための行動につ いて公開しています。一方、人種や民族の平等に 対してこのような行動を起こしているブランドは 8%にすぎません。企業レベルでの賃金格差報告 でも、同様の現象が見られます。英国では従業員 250人以上の企業に対して、男女間の賃金格差 を報告することが法律で義務付けられています。 しかし民族間での賃金格差についての報告は法 的には求められていません。34%のブランド*が 男女間の賃金格差を公開しているのに対し、民族 間の賃金格差を公開しているのはわずかに3%で す。この事実は、次の2点に明らかな根拠を与えま す。第一に、重大な社会問題についての透明性を 高める法律が非常に重要であるということ。そし て第二に、英国をはじめとするあらゆる国の法律 において、人種間の平等がジェンダー平等と並ん で優先される必要があるということです。

フランスの法律は、本インデックスで調査をした ブランド数社を含むフランスの企業に対して、人

種や民族、宗教にもとづいてデータを収集する

ことを禁止しています。したがって、フランスのブ ランドはこれらのポイントを獲得できませんでし

た。民族や人種に関するデータがないことで、フ ランスや同様の法律がある他の国々では、人種 や民族間の平等を実現することが困難になりま

す。人種の不平等を測定することができなけれ ば、それを改善することはできないのです。

ファッションのサプライチェーン内の労働者は、 世界的にその大多数が女性であることが知られ ています。しかし今回の調査結果からわかるの は、主なジェンダー問題についての大手ブランド の開示内容は、総じて期待外れだったということ です。サプライヤー機能における担当業務の男女 別内訳を公開しているブランドは8%のみです。 また、ジェンダーの観点を深く浸透させ適用させ ることは、有意義なデューディリジェンスプロセス の全体において必要なことである一方、人権デュ ーディリジェンスの過程で女性(女性団体やジェ ンダーの専門家を含む)と協議を行なっているブ ランドは、現在のところ12%(2020年の10%か ら上昇)にとどまっています。

女性の視点が考慮されていないことや、意思決定 の場に女性がいないことは、あらゆる地域にわた

って何千万人もの女性が支えるファッション産業 に対し、重大な影響をもたらします。生産レベルで は上級職に就くのは男性の方がはるかに多く、男

性の管理職や工場のオーナーが女性労働者の職 場条件を左右し、出産の権利や賃金といった、女 性に影響を与える問題について決定権をもつこ

とになります。

この男女間の力の不均衡は、ファッション業界の 最も有害な影響もいくつか引き起こします。ジェ

ンダーにもとづく暴力や、そこから発生するいじ め、虐待、そして作業スピードをあげさせるハラ スメントは、多くの生産現場において長年問題と なっています。それにもかかわらず今回の調査結 果では、ジェンダーにもとづく労働違反の蔓延に ついて、サプライヤー機能内部のデータを公開し ているブランドは6%にとどまっています。

これは、労働組合や市民の社会団体が、ファッシ ョン分野におけるジェンダーにもとづく暴力へ の対策の欠落を繰り返し指摘してきたことを考 えると、特に注目すべき問題です。またこの問題 は、パンデミック以降さらに注目を浴びるように なっており、複数の報告から、工場の生産ライン で暴力やセクシャルハラスメントが増加している ことや、壊滅的に不安定な経済状況によって女 性労働者が虐待行為を容認したり、その報告を 控えたりしていることが明らかになっています。

AWAJ FOUNDATION

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 92
*250の世界の大手ファッションブランドおよび小売業者のうちであり、英国以外の国を含みます。本調査のサンプルについての詳細は、FAQ内「ブランドと小売業者の選定基準」をこちらからご覧ください。
画像提供:

VIEWPOINT:

ADITI MAYER サステナブルファッションコンテンツクリ

多様性−それは近年のファッション産 業を表現する重要なバズワードの一 つとなっており、ファッションによる排 除の歴史から生まれたものでもありま す。ファッション産業を外側からみたイ メージは排除に根ざしていますが(フ ァッションが長年抱えている多様性の 問題をマーケティングの観点から考え てみてください)、その内側で生産の原 動力となってきたのは、ファッション産 業がまさに排除(そして搾取)しようと してきたコミュニティの人々なのです。

ファッション業界では、外面上のダイバーシティ ー&インクルージョンついて多くの対策がなさ れてきました。しかし、モデルやランウェイの表現 においてポジティブな傾向を示すデータがある

一方で、全体的な観点、特にサプライチェーンに おける多様性や人種間平等の問題については 十分な言及や対処が行われてきませんでした。

なぜこの問題が重要なのでしょうか。力のあるフ ァッションモデルが、「世界的な底辺への競争」 という口実のもとで機能してきたことはよく知 られています。ブランド各社はそうした言い訳を しながら、できるだけ多く、できるだけ安く、でき るだけ速く生産しようとしています。そしてそれ が意味するのは、世界中で「犠牲地帯」が出現し ているということです。そのような地域では、限 られた人々(つまりグローバルノース)の経済的 繁栄を続けるために、資源の採取が行われてい るのです。

このことが要因となって、ある動きが生まれてい

ます。それは、社会から疎外されたコミュニティ

を従順な労働力にし、そのような疎外された状 態を武器のように利用する動きです。例えば、多 くの不法滞在移民が働くロサンゼルスのダウン タウンのカットソー産業では、移民たちが賃金未 払いや搾取について雇用主に訴えると、雇用主 はICE(移民・関税執行局)に連絡をするといって 脅すといいます。カースト制度が支配的なインド では、ダリット労働者やカーストの低い集団に属 する人々は、衣料品の出稼ぎ労働者を探すリク ルーターの標的になっています。

これらの事例が示すのは、ダイバーシティー&イ ンクルージョンにむけた取り組みは重要である 一方、それだけでは不十分だということです(実 際、71%のブランドはダイバーシティー&インク ルージョンを促進するプログラムを実施してお り、53%のブランドは差別を防止、緩和、是正す るプログラムを有しています)。そうした取組に

加えて求められるのは、システム全体の観点か ら、次のことを理解することです。つまり、特定の アイデンティティーをもつ集団が、なぜ、そして

いかに脆弱であり、搾取的な権力階層を生み出 す際の標的になっているかということです。

現状では、組織(本社、小売階層、運営施設)内部 の役職の分布(役員クラス、管理職・監督職、従 業員など)を含む、年間の民族間賃金格差を公 開している企業はわずか3%です。

これらのデータの透明性は非常に重要で、ファッ ション業界内部で持てるものと持たざる者がつ くり出されてしまう力関係について理解すること につながります。この業界は、世界で最も裕福な 層である白人男性CEOが、厳しい貧困に苦しむ BIWOCの衣料品製造労働者を植民地的支配に 置くことで運営されてきたのです。

言い換えれば、多様性は政治的な正しさを保つ ための単なる化粧品ではないということです。私 たちが広めるべきなのは、多様性がマーケティン グ戦略を制限するためのものではなく、システム 全体の平等性を解放するための手段として存在 するようなあり方です。

エイター、フォトジャーナリスト、労働者権 利活動家、環境正義講演家
多様性は、単なる化粧品ではない。システム全体 の平等性を理解し、解放する手段である。
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 93

サステナブルマテリアルの使用

46

46% 37%

プラスチック

期限付きの測定可能な サステナブルマテリア ル戦略を公開している

ビジネスモデルと消費行動

37 27

何を「サステナブル」マテ リアルと定義しているか について説明している

27%

31 45% 24 24%

年間を通じて調達する

繊維の種類について、デ ータを公開している

バージンプラスチック を原料とするパッケー ジの使用について、削

減目標を公開している

マイクロファイバー の流出を最小化する ための取り組みにつ

いて説明している

廃棄とリサイクル

15 21

20%

33

33% 15%

10 10%

28

28%

消費を遅らせる新たなビジ ネスモデルを提案している

衣服の寿命を延ばす修繕 サービスを提供している

不要な衣類の回収制 度を提供している

年間の製品の総生産 量を公開している

年間の報告期間にお いて製造前に廃棄さ

れたテキスタイルの合 計を公開している

テキスタイルからテキス タイルへの循環リサイク ルを拡大する取り組み について説明している

20 21%
4
45
バージン化石燃料を 原料とする繊維製品 の使用について、削減 目標を公開している 31% 5. 重点課題
クローズドループやテキ スタイルからテキスタイ ルへの循環リサイクルが 可能なデザインの製品 の割合を公開している 4% FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 94
調査結果 - 素材の使用、過剰消費、廃棄

5. 重点課題

サステナブルな仕入れと原料 約半数(46%)の大手ブランドが サステナブルマテリアルに関する 目標を公表。一方、どのような原

料がサステナブルマテリアルで あるかを示したブランドは37% のみ。

ファッション業界で最大の環境負荷が生じるの は、エネルギーを大量に消費する、原材料の生

産、準備、加工といったプロセスです。しかしそれ

ぞれの原材料が実際にもたらす環境負荷につい

てのデータは十分ではなく、さらに各原材料がど

こでどのように作られるかによってもその程度は

異なります。46%のブランドがサステナブルマテ リアルに関する目標を公表している一方で、どの ような原材料がサステナブルマテリアルである

かを示したブランドは37%にとどまっています。

現在多くのブランドが、自社で使用する繊維につ

いて様々な主張をしていますが、環境面での信頼

性についての更なる証明は行われていません。ま

たブランド各社は、環境に対して一つの側面にし か焦点を当てていないにも関わらず、使用してい る繊維は「サステナブルである」と製品に表示し

ています。つまりブランドによる主張は、実際には 最終製品の一部の要素にしか反映されていない ことになります。

しかしながら、年間調達繊維の内訳の開示は昨 年の21%から今年は27%に増加しており、ファッ ション業界で使用される繊維の種類の傾向を知 る上で、心強いことです。

欧州委員会による近年の発表では、多くのファッ ションブランドや小売業者が、グリーンウォッシ ュを行なったり、サステナビリティへの貢献を根 拠なく誇張していることが明らかになっていま す。EUはこの問題に対して2つの新たな立法措 置に取り組んでおり、グリーンウォッシュを防ぎ、 サステナビリティ主張がもつ信頼性を確保するこ とを目指しています。

「Empowering Consumers for the Green Transition」という政策では、企業は「製品や サービスの環境フットプリントについて主張を

する際には、それらを定量化する標準的な手 法を用いてその主張を実証すること」が求めら れます。これにより、企業の主張の信頼性を高 め、EU内での比較や確認が可能になります。ま た「Substantiating Green Claim」では、投 資家がよりサステナブルな判断をするための支 援や、製品の環境主張についての消費者への情 報提供、事実に反する影響からの保護が促進さ れます。

昨年、英国の規制当局である競争市場庁 (CMA)が500のウェブサイト(ファッション、 化粧品、食品)を分析した結果、約40%のサス テナビリティの主張が、消費者の誤解を招き、 消費者保護法に違反している可能性があるこ とが判明しました。CMAはその後、英国内で環 境主張を実施している企業に対して「Green Claims Code」ガイダンスを発表しました。同 様にノルウェーの消費者庁(NCA)は、「誤解を 招く」環境主張に関する法律に違反した衣料品 小売業者に対して、経済制裁を実施するという 警告を行いました。これは、あるブランドが Higg

Materials Sustainability Index (Higg MSI) を使用して製品上の環境主張を裏付けよ うとしたことについて、NCAが違法と判断した 事例に基づいています。Sustainable Apparel Coalition(SAC)の回答はこちらをご覧くだ さい。私たちはこの事例が、Empowering Consumers for the Green Transition や、Substantiating Green Claims 、EU Textile Strategyといった取り組みと共に、グリ ーンウォッシュや誤ったサステナビリティ主張と 戦う適切な基礎となることを期待しています。

半数以下。

合成繊維と化石燃料との間には密接な関係が ありますが、それは、「安価な合成繊維の生産に よって、低品質で使い捨てのファッションが実現 されるだけでなく、ファッション業界が化石燃料 の継続的な使用に依存することになる」という 点にみられます。さまざまな情報源によれば、合 成繊維はコットンを超えて最も多く使用される 繊維であり、2020年の世界の繊維市場のおよ そ62〜69%を占めていると推定されています。 消費者の間では、気候危機と化石燃料、そして化 石燃料から作られる繊維との関連性についての 関心が高まっている。それゆえ、バージン化石燃 料由来のテキスタイルやプラスチック包装に関 する情報開示が全体的に増加している点は、勇 気づけられる結果といえます。例えば、31%のブ ランドがバージン化石燃料由来のテキスタイル の使用削減について、期限付きの測定可能な目 標を公開しており、これは昨年の25%から上昇 しています。また、25%のブランドが目標に対す る進捗を公開しています。パッケージングに関し ては、より多くのブランドが目標を設定している ようです。45%のブランドがバージンプラスチッ クの使用削減に関する期限付きの測定可能な目 標を公開し、36%が目標に対する進捗を公開 し ています。

ファッションの生産現場における 化石燃料の大量使用について認 識の高まりがみられる一方、化石 燃料からの脱却目標を開示して いる主要ブランドや小売業者は
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 95
分析 - 素材の使用、過剰消費、廃棄

合成繊維から作られる衣服の量は驚くべき割 合で増加しており、2030年には繊維製品の総 生産量のほぼ4分の3にまで達すると推定され

ています。多くのブランドのサステナブルマテ

リアル戦略はリサイクルポリエステルの使用 に絞られており、リサイクルポリエステルを特

効薬とすることでファッション産業の廃棄危機 問題に対応しようとしています。そして、使い捨 てのプラスチック製品は次の製品へとリサイク

ルできるのだから、プラスチックの使い捨てを 続けても良いのだという考えを推し進めてい

るのです。Changing Marketsが挙げた問題 に加えて、リサイクルポリエステルではマイク

ロプラスチックの流出を抑制できないという 課題もあります。

私たちは、服を着たり、洗ったり、捨てたりす るたびに、マイクロファイバーを排出してい ます。マイクロファイバーはあらゆる素材か

らなるテキスタイル繊維であるのに対し、マ

イクロプラスチックファイバーはプラスチッ クポリマーで作られたテキスタイル繊維を 指します。事実、ポリエステルやアクリルとい

った合成繊維は、海洋におけるマイクロプラ スチック(長さ5mm未満のごく小さなプラ

スチック片)の一番目と二番目の発生源であ り、世界全体のマイクロプラスチックの34.8 %を占めています。合成繊維から作られる 衣服の量は驚くべき割合で増加し続けてお り、2030年には衣服の75%近くが合成繊 維で作られると予測されています。マイクロ プラスチック繊維は、海洋動物が摂取するこ とで、その種や海洋の生態系全体に壊滅的 な影響を与える恐れがあります。また、マイク ロプラスチック繊維は水中や下水汚泥に含 まれる化学物質を吸収する可能性があり、素 材の製造段階で添加された化学物質を既に 含んでいることも考えられます。

ファッションブランドでは、天然素材に由来す

る繊維も使用されています。しかし、そうした 繊維も有毒な化学物質を伴う集約的な製造 工程を経る場合があり、繊維自体が「天然」

であっても、天然ではないことになります。そし てそれらの繊維は結果的に、自然界にはみられ ない細胞構造になるのです。天然繊維も合成繊 維も、その製造過程で漂白や染色、撥水剤・難燃 剤・柔軟剤・抗菌剤の塗布といった化学処理を施 されます。そのため、天然繊維のマイクロファイ バーであっても、水路や海にそのまま消えていく わけではありません。実際、淡水や海水、動物の 体内、大気から採取したサンプルを調査すると、 それらに含まれる繊維全体の70%以上、場合に よっては80%以上を天然繊維が占めています。 過剰消費、廃棄、循環性

過剰生産、過剰消費、過剰廃棄は今なお拡大し 続けている課題であり、グローバルなファッショ ン業界の直線的な「取る、作る、捨てる」モデルに よって引き起こされています。このモデルでは再 生不可能な素材が使用され、製品となり、最終的 に使われなくなれば、埋立地に捨てられるか焼 却されるかのどちらかです。1950年代には買い 物は特別なイベントであり、衣服は耐久性で選ば れていました。ところがその後年間に生産される 衣服の数は2000年から2倍以上に増え、2014 年には初めて1000億を超えたのです。ファッシ ョンは驚異的な量で生産され続け、年間2.7%の 増量が予測されています。しかし新たな衣服にリ

サイクルされるのはたった1%であり、英国では 年間30万トンの服が慈善団体に寄付されていま すが、その80%は焼却されています

主要ブランドや小売業者の3分の1が衣服の回 収制度について情報を公開しており、昨年の 33%から増加しました。しかし、回収された衣服 が実際にはどうなるかを公開しているブランド は依然として少なく、昨年の22%からは上昇し ましたが、26%にとどまっています。回収された 衣服はグローバルサウスの中古市場に送られる ことが多く、輸入額が大きいのは、ガーナ(輸入

額1億8100万ドル)、ウクライナ(1億5400万ド ル)、ナイジェリア(1億2300万ドル)、ケニア(1 億2200万ドル)、タンザニア(1億200万ドル)で す。OR財団の創設者であるLiz Rickettsによる と、「中古品の過剰供給は現地の持続可能性の 論理を損ない、人々に衣服は使い捨てするもの であると思わせる事になる」といいます。

マイクロファイバーの影響を最 小限に抑える方策について公 開しているブランドはわずか24 %。繊維製品は海洋におけるマ イクロプラスチックの最大の発 生源である。
ブランドは、衣服が実際に行き着
く先ではなく、衣服の回収制度に ついてばかり情報を開示し、衣服 の廃棄に誰が責任を負っている かを曖昧にしている
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 96

フィリピンをはじめ、グローバルサウスの一部の 国で欧米からの中古衣類の輸入が禁止されてい るのは、まさにこのためです。衣服をある場所か ら別の場所へと移動させることは、循環性の実 現にはつながりません。

今回のパンデミックでは文化をリセットするきっ

かけがもたらされ、主要なブランドと小売業者が 団結し、Forum Letterへの署名が行われまし た。ここでは、不要な製品の生産を削減して廃棄 物を減らすことで、持続可能性を高めるために協 力することが規定されています。

ブランド 報告期間における年間生産量

Inditex (Zara, Bershka, Massimo Dutti, Stradivarius) 衣料品450,146トン*

URBN (Free People, Anthropologie, Urban Outfitters) 4400万製品

Sainsbury’s (Tu Clothing) 107,000,000製品

Calzedonia Group (Calzedonia, Tezenis and Intimissimi)

OVS

何千トンもの衣類廃棄物が、世界各地で発見さ れています。海の底で、アメリカやガーナの汚れた ビーチの岸で、他のゴミに混ざって絡まり合い、 側溝に集められることでコレラやマラリアのリス クを高め、砂漠に積み上げられているのです。

あまりにも長い間、ファッション業界は、過剰生 産と過剰消費という事実を隠し、無視してきまし た。川下への影響に責任を持つどころか、輸入国 がその代償を払うのを傍観してきた結果、人権 や環境に深刻な影響を及ぼしているのです。

328,574,161の衣料品 具体的な内訳は、Calzedoniaが40.5 %、Intimissimiが23%、Tezenisが 36%、Falconeriが0.5%

624,373,698点

Target Australia 衣服8,400万単位

Marks and Spencer 30億点

Fendi 2,800,000製品

*発売した衣料品のトン数。2020年のレポートでInditexは、1年間の報告期間中に16億点 を製造したことを開示したが、2021年と2022年にはトン数で報告している。点数の開示 よりもトン数を概念化することの方が難しいことを考えると、この変化は興味深い。

過剰生産や衣服の廃棄の証拠が 次々と明らかになる一方、大手ブ
ランドのほとんど(85%)が年間 生産量を公開していない
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 97
BELOW: Clothing waste in the landfills of Iquique, Chile. Photo by Desierto Vestido

同様に昨年11月のCOP26では、UNFCCCの「 ファッション気候行動憲章」の中で、ネットゼロ排 出の達成に向けた新たな公約が提案されまし

た。しかしこの憲章では、利益と生産量の両観点 から、成長という問題について考慮できていませ ん。炭素の削減について有意義な議論を行う上

では、気候への影響を抑えるためにきわめて重 要な問題として、過剰生産・過剰消費に取り組む ことが不可欠です。私たちが住む地球は有限で

あり、資源も限られていますが、ファッション産業 は拡大し続けています。2030年までに世界の消

費は63%増加すると推定されています。2020年

から2022年にかけて、年間の生産量を公開する

ブランドが15社増えたのは良いことですが、これ

では進展が遅すぎます。ブランドは、環境を浄化 するコストや自社がもたらす健康被害に対して、 金銭的な責任を負わなければなりません。衣料 品廃棄に対する取り組みについての透明性を高 めることは、法的責任を課されるときまで先延ば しにすべきではありません。

大手ブランドや小売業者のいくつかが自社の廃 棄について責任を持ち、拡大生産者責任(EPR) の原則に従っているのは望ましいことです。しか しながら、膨大な衣服を大量生産し続けること は、衣料品廃棄の削減には貢献しません。先ごろ

OR財団は、いかに「廃棄物によって雨が有害化 するか」について発表しました。ガーナのアクラ にあるカントマト市場では、干ばつと鉄砲水が重 なり、排泄物に塗れた衣料品廃棄が人々の住居 に押し寄せ、病気の危険性が高まっています。衣 料品廃棄は海にまで流れ込み、地元の人々の生 活に欠かせない漁業に影響を与えています。環 境正義財団によると、ガーナの漁業は国内経済 と沿岸の地域社会に大きく貢献しており、何百 万もの人々の主な収入源であるといいます。

過剰生産と気候変動の危機が重なったとき、こう した問題が発生します。ある問題が他の問題を さらに悪化させ、無策がもたらす危険な影響を 互いに強化しあうのです。重視すべきは、ファッシ ョン業界による過剰生産・過剰消費問題に対し て最も脆弱であり最も影響を受けるのは、本来 負担を背負う責任が最も小さい人々であるとい うことです。廃棄の削減と管理を目的としたあら ゆる介入措置は、影響を受けるコミュニティと協 議の上策定され、それらの地域に対する支援を 行うものでなければなりません。

この問題についての詳細は、100ページの View Pointにてご確認ください。Fashion

Revolutionチリ代表のMaría Beatriz

O'Brien、および、チリ北部のイキケ市(Alto Hospicioフリーゾーンに毎年何千トンもの 衣類が運び込まれる)で活動する活動家団

体、Desierto Vestidoの見解を掲載していま す。

売れ残った商品の焼却に関する、 低すぎる透明性

主要ブランドの12%は、年間に廃棄する商品数 を開示しています(前年より6%増加)。高級ブラ ンドは、独占的な価値を維持するために、あるい

は単に、売れ残り品や販売できない生産見本、 安全基準を満たさない商品が多すぎるという理 由で、商品を廃棄することがあります。フランス

で策定されEUにも提案されている新たな法律 では、売れ残った商品の廃棄を禁止すると共に、 透明性を確保する義務を課しています。来年に

は、これらの新しい法律や更なる立法に対応し て、売れ残り品の焼却に関する透明性が高まる ことを期待しています。

示している

繊維や衣服の廃棄に立ち向かうもう一つの重要 な方法は、消費を減速させ、衣服の寿命を延ばす 取り組みに投資することであり、これは環境に非 常に望ましい影響を与えると考えられます。今回 の調査では、主要ブランドの21%が、レンタルや リセールといった新たなビジネスモデルの導入 を示し(2021年の14%から上昇)、20%のブラ ンドが、より長く衣服を着るための修理サービス を提供していることがわかりました。

より多くの主要ブランドが、テキスタイルからテ キスタイルへの循環リサイクルを実現するソリュ ーションへの取り組みついて公開するようにな り、2020年の18%から、2022年には28%に 上昇しています。しかし、循環性を可能にするよ うにデザインされた製品の割合を開示している ブランドはわずか4%にとどまります。そうした デザインを行えば、不要な衣服に含まれる原材 料がまた原材料へと姿を変え、新しい衣服に使 用することができます。

大手ブランドや小売業者は、自社 が排出する廃棄物の量ではなく、 自社が開発している循環型ソリュ ーションについてばかり情報を開
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 98

画像:パニパットの大型倉庫で再び選別される廃棄毛織物  TIM MITCHELL

そうしたデータを開示している250社中10の ブランドの中で、半数(Balenciaga、Bottega Veneta、Gucci、およびSaint Laurent)が Kering社の「 Material Circularity Index」を 使用していますが、世界最大のブランドや小売業 者の間でこのテーマに関して公開されている情 報は、多様性に欠けていると考えられます。

年間に発生する生産前廃棄物(端材、スクラップ、 エンドオブロール生地)の量を公開しているわず

か10%です。また、年間に発生する生産後廃棄物 (不良在庫、過剰在庫、売れ残り品、サンプル)の 量を公開しているブランドは8%で、それぞれ昨 年の6%と2%から上昇しています。

2022年5月には、フランスで新たな法律が導入 されました。これはAGEC(Anti-Waste for a Circular Economy)法の一部であり、廃棄物を

発生させる製品の環境品質と特性についての消 費者情報に焦点を当てたものです。さらに、流通 業者、輸入業者、生産者に対して情報の開示を義 務付けており、リサイクル可能性や、素材の内容、 製品中の有害物質の有無といった、製品に関す

るより詳細なデータを求めています。この法律に よって消費者は、どのように廃棄物を減らしてい けばよいかを知ることができますが、廃棄物に対

して最終的な責任を負うのは、消費者ではなく生 産者であるべきです。

EUのSustainable Textiles Strategyでは新た な法律が提案されており、これは、製品の購入時 点のみならず使用後にまで拡大生産者責任を適 用するものです。この法律案では、ブランドは製品 の構成と影響についてより多くの情報を公開する ことが求められるため、消費者はより良い選択が できるようになります。しかし全体的には、大手ブ ランドや小売業者は、循環型ソリューションや消 費を減速させる新たなビジネスモデルへの投資 に関する情報ばかり開示する一方で、過剰生産を 続け、生産量についての不透明性を改善していま せん。このことが表しているのは、問題に取り組も うとするよりも、問題から利益を得ようとする姿勢 の方が強いということです。

よりサステナブルなファッションの未来は、ブラン ドが衣服の手入れや修理のサービスを提供する

ことにあるのかもしれません。ファッション業界 には、将来世代のために地球を守るチャンスが あります。そのチャンスを絶対に逃してはならな いのです。

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 99

VIEWPOINT: あなたの廃棄は私たちの 問題—世界的な埋立地と地域への影響

MARÍA BEATRIZ O’BRIEN

FASHION REVOLUTION CHILE  カント リーコーディネーター

アタカマ地方では、土のように柔らか な色に彩られた、独特の美しさをもつ

風景が見られます。アンデス山脈に近 いアルティプラーノ高原には、ラクダ の毛や現地の図像を用いた、古くから 続く豊かな織物文化が存在します。

そうした文化とは全く異なり、ファストファッショ

ンを基盤とする世界の繊維産業は、過剰生産と 過剰消費の加速を続けています。また、大量の衣

服は使用されておらず、安売り競争や変わり続け

る流行の中で、衣服の価値は社会的に低下して しまいました。

1980年代、チリでは新しい経済モデルが示され ました。かつてのチリは協力で誇り高い工業国 家でしたが、自由市場主義の台頭によって、国内

の繊維産業は低価格の輸入品に対抗できなくな っていきました。これにより、中古衣料品の輸入 および販売が促進されたのです。そして1990年 代の自由貿易協定は、このモデルを深化させさ らに強固にしました。

アタカマ砂漠は、世界で2番目に大きな繊維製品 の埋立地です。イキケはこの地域の中心都市か つ免税港であり、チリや近隣諸国、特にボリビア への入港地でもあります。ほとんどの梱包は身 分別の状態で運ばれてきますが、地方政府は繊 維製品を地元のゴミ箱に捨てることを禁止して います。そのため、毎年何千トンもの輸入衣服が どこかに捨てられているのです。

目に見えないものは忘れ去られます。豊かな国 は、低所得の国へ廃棄物を輸出することができ ます。そして、豊かな地域の人々は、自分たちの 領土内で同じことをするのです。アルトオスピシ オは、土地の収用と自作の家々からなる貧しい

コミュニティです。周辺地域一帯には50ほどの 埋立地が点在し、衣服が回収される見込みはあ りません。静寂に包まれた風景を想像してみてく

ださい。そこでは時間も止まっているように感じ られます。人も自然もいなくなった開かれたその 土地は、ゴミを捨て、忘れ去るには絶好の場所な のです。

Fashion Transparency Index 2022による と、年間の報告期間中に生産された商品の数量 を公開しているのは、調査をしたブランドの内 15%(250社中38社)のみです。2021年のデー タでは14%(250社中34社)であり、ほとんど前 進していません。どれだけの製品が生産されてい

るのかを知らないままでは、世界中の埋立地に捨 てられた衣服についての責任をブランドに負わ せることは困難です。

アルトオスピシオでは、衣服から地面へ化学物質 が漏れ、合成繊維のマイクロファイバーが空気中 に広がり海に流れ込んでいます。水と空気は激し く汚染されており、その主な原因は焼却処理が一 般的であることにあります。今回の調査で示され

たのは、化石燃料に由来する合成素材の削減に ついて、年間での進捗を公開する取り組みが非 常に乏しいということです。

2022年には、24%(250社中59社)のブランド がこの情報を開示し、昨年の 18%(250社中46 社)からは上昇しました。

アタカマ砂漠の埋立地は、ファッション産業が抱 える世界的な廃棄物問題の規模の大きさを表し ています。地域にとって、この問題は環境的、そし て社会的な災難です。現在の国の輸入規制は緩 く、このような規制のもとでは地元の産業は再生 することができず、世界中から集まった何千トン もの不要な衣服に苦しめられ続けます。地域に は、繊維産業に対する主導権を持ち、先祖から受 け継いだ知恵とクリエイティブなデザイン文化に もとづく地域経済を発展させる権利があります。 例えば、地元の強力なアップサイクル運動や、新 しい国内産業の形成に挑戦する持続可能な独立 系デザイナーの取り組みが始まっています。

*このVIEWPOINT内の情報の一部は、アタカマ埋立地への影響に 関する認識を高める活動を行う、イキケの市民社会団体Desierto Vestidoから提供されたものです。

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 VIEWPOINTS 100

GEORGE HARDING-ROLLS

CHANGING MARKETS FOUNDATION キャンペーンマネージャー

2022年、世界中の規制当局は、まるで サメのようにファッション業界を取り 囲んでいます。依然として最も規制が 緩い世界的な産業ではありますが、フ ァッションの搾取的な「取る、作る、捨 てる」モデルが、強力な規制の圧力に 直面する有望な兆しが見えています。

今年のブランドによるデータを詳しく 見れば、このビジョンを実現するため

に、ファッション業界がいかに前進し

なければならないかがわかりま す。

循環性をはじめ、興味深い格差が存在していま す。28%のブランドがテキスタイルからテキスタ

イルへの循環リサイクルを実現する循環ソリュー ションの開発に取り組んでいると回答している 一方で、製品使用後のクローズドループリサイク

ルを可能にするデザインの製品の割合を公表し ているブランドは4%のみです。リユースやテキ スタイルからテキスタイルへの循環リサイクル

の取り組みを成功させるためには、技術に加え て製品のエコデザインが欠かせません。このテ ーマについての割合は2020年からわずか2%し か上昇していませんが、これが示すのは、このギ ャップが自発的に埋められるのを期待すべきで はないということです。規制あるいは、EUと米国 において導入が計画されている拡大生産者責任 (EPR)に関して対応できていないと判明した時 には、ブランドは思いがけず厄介な問題に直面 するかもしれません。

繊維の組み合わせについて開示しているブラン ド数でさえ、3分の1以下にとどまっていますが、 これは大変残念なことです。というのも、この透 明性指標はとても基本的なものであり、ファッシ ョン業界が様々な種類の繊維、特に化石燃料由 来の繊維に依存していることを知るために不可 欠だからです。ファストファッションを抑制し、気 候変動による惨事を回避するためには、化石燃

料由来の繊維を削減しなければなりません。フ ァッション業界では、依然として目標や公約の発 表ばかりで、実際の取り組みや実績について公 開している企業は少ないようです。これは特に、 目標に向けた年間の進捗を報告している企業が 35%しかない(2021年の37%から減少)ことに 表れています。合成繊維という問題については、 誰もあえて触れようとしません。このことは、バー ジンプラスチック製パッケージの削減に取り組む ブランドが250社中115社である一方で、バージ ンプラスチック製繊維の削減に取り組むブランド は250社中78社に過ぎないことにも表れていま す。バージンプラスチック製繊維について強調す るのは、ポリエステルなどの合成繊維をリサイク ルポリエステルで置き換えることにつながるた め、非常に重要なことです。99%のリサイクルポ リエステルはペットボトルに由来していますが、 これは誤った解決策です。なぜなら、この方法で はペットボトルを循環システムから外し、埋立や

焼却に向かう直線的なシステムにダウンサイク ルすることになるからです。さらにリサイクルポリ エステルでは、マイクロプラスチックの流出リス

クを減らすこともできません。

英国やEUの政策立案者が推進している規制

の主な分野は、グリーンウォッシュの横行を取 り締まることです。そうしたグリーンウォッシュ

は、消費者を惑わし、サステナブルでない行為 を急増させる上でのカモフラージュとなるもの です。Everlaneからadidasに至るまで、裏付け のない主張をする企業に対して措置が取られて います。

最近、ノルウェーの消費者保護局は、ノルウェー のブランドNorrønaが行っていたように、グリー

Index Sustainability Profilesを使用することについ て、違法とすることを決定しました。これは、EU 内のブランドがこのような認証を利用すること にも大きな意味を持ちます。なぜなら、他の加 盟国でも法律を破ることになりかねないからで す。Changing Marketsでは、SACとThe Higg Indexを強く批判してきました。今回の判決は、 不十分な認証を取り締まるための氷山の一角で あり、あらゆる形態のグリーンウォッシュを根絶す るためには、次の2つの面でのアプローチが間違 いなく必要です。つまり、虚偽の主張を行うこと を抑制することと、サステナブルな実践に向けた 基準を確立することです。規制の列車がゆっくり と 動き出したとしても、サステナブルな行動が力 のない美辞麗句を越えるまでには、まだまだ骨 の折れるような年月がかかることでしょう。

VIEWPOINT: グリーンウォッシュを根絶し、透明 性を高めるために規制が必要な理由
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 VIEWPOINTS 101
ン・クレームを立証する手段としてHigg

VIEWPOINT: 気候、自動化、循環性

生産は2025年までに完全に自動化されると予 測され、その結果80%の労働力が削減される

FR:気候危機の影響により世界のファッションシ ステム全体で不安感や経済的不平等がさらに増 大すると考えられますが、循環型経済への移行は それらとともに起こるというのが現実です。そうし た中で、アップスキルが重要だと考えているのは なぜでしょうか

働者への影響を考慮しなければなりません。労 働政策は、循環型社会の計画の中で後回しにさ れることが非常に多いです。アップスキルやリス キルは、適応力のある労働力を確保する上で非 常に効果的な手段だといえます。

ASHLEY NICHOLS SHIMMY

TECHNOLOGIES

としています。数千万人の労働者のほとんどは 女性ですが、彼女たちが生計を立てる次なる手 段を見つけるための時間は、ほとんど残されて いないことになります。Business and Social Responsibility(BSR)の報告書「Keeping Workers in the Loop」では、大手ブランドや

小売業者の現在のスキル向上努力は不十分で あり、幅広いスキルにおいて大きなギャップが あることを指摘しています。Sarah Krasleyと Ashley Nicholsは、そうしたギャップを労働者

気候変動によって特定の地域が安全でなくなる 中、住む場所を失った労働者はアップスキルによ って移動が可能となり、他の地域で仕事の機会 を見つけることができます。さらに労働者のスキ ルを多様化し、デジタルバッジやマイクロクレデ ンシャルを付与することで、移民労働者は新たな 雇用主に自らのスキルを明確に伝えたり、代理 人を通じてどこでも仕事を見つけたりすることが できます。

FR:労働者の技術的なスキルアッププログラム と並んで、大手ブランドや小売業者はさらに何を すべきでしょうか

女性社員には、技術的なスキルのトレーニング と同時に、リーダーシップなどのソフトスキルの 教育が 欠かせません。多くの女性社員は高い

人間の尊厳と気候変動との間の圧倒的な関連

性が示すのは、循環型経済への加速的かつ体系

的な移行の必要性がかつてないほど高まってい

ることです。そしてそのような経済の中で、修復・

再生が可能な産業を実現していくことが求めら

れています。こうした変化は次のような動きを意 味しています。つまり、不透明で複雑かつ分裂し

た既存のグローバルファッションバリューチェー

ンを、新しい活動や分野へと拡大させる動き、そ

して、回収・分別・繊維へのリサイクルというプロ

セスが必要な廃棄物の流れの中から、原材料の

新たな調達先を考慮する動きです。そのために

ブランドは、川下のサプライチェーンに対して責

任を持つ必要があります。すなわち、消費後の繊 維の回収や、回収・廃棄の管理に関わるパート ナーへの支援が求められますが、そうした活動

は複雑かつ多層的なプロセスです。2018年の マッキンゼーのレポートでは、簡単な衣料品の

のスキルアップ技術で埋める活動を行なってい ます。

FR:Shimmy Upskillについて、少し教えてく ださい。

SK:Shimmy Upskillは、AIを搭載したアプリケ ーションベースのトレーニングで 衣料品製造従 事者のスキルアップとリスキルがどこでもできる ように設計されています。効率性や需要の上昇、 人と機械の人と機械のコラレーションである「イ ンダストリー4.0」の支援を行うことを目指して います。TikTokのようなソーシャルメディアを活 用したゲーミフィケーションを通じて、学習者の 積極性や記憶力を高め、学習した内容をより記 憶できるようにしています。私たちはShimmy Upskillによって、自動化が労働者に与える社会 的影響を軽減できれば良いと考えています。

洪水に見舞われた衣料品生産国の労働者は、移 住を余儀なくされており、この現実を解決しなけ ればなりません。FTIでは、サプライチェーン内の 移民労働者を支援するデューデリジェンス、パー トナーシップ、プログラムについて開示している のは、主要ブランドのわずか38%であることがわ かっています。また、こうしたブランドは一般的に スキルアップ支援を含んでおらず、これは移民だ けでなくすべての労働者にもあてはまることがわ かりました。雇用者と政府は、悪化する気候危機

が世界中の労働者にどのような影響を与えるの か、また、それに対応して方針をどのように更新 すべきなのか、戦略的に考える責任があります。

この社会は、グローバル化され相互に結びつい ています。気候危機に対するいかなるアプローチ も、廃棄物の制限や環境保護といった個々の国 の義務に焦点を当てるだけでなく、グローバルな 視点を持ち、あらゆるステークホルダー、特に労

ポジションに就くと、そうした場所で特定の仕 事を獲得する初めての女性になります。そのた め、無意識の偏見やハラスメントに対処する方 法など、リーダーシップのトレーニングが必要な のです。ブランドはこうした点に目を向け投資し なければなりませんが、FTIによれば、サプライ ヤー機能におけるジェンダー平等に向けた行動 や、女性労働者を指導的立場に登用する取り組 みについて、情報を公開しているブランドはた った29%です。先日、私たちがCAREとともに行 ったあるプロジェクトが終了しました。Future of Workプロジェクトの中の「Gender Norms Pilot」というもので、H&M財団の助成を受けて いました。サプライヤーは、大手ブランドや小売 業者の補助金を受けて自動化機器を購入します が、それと並んで、地方自治体による部分的な資 金提供が可能な、リスキルによるリベートが含ま れるべきです。

Shimmyのその他のパイロットプロジェクトに ついては、こちらで詳しく紹介しています。

座談会:SARAH KRASLEY —SHIMMY TECHNOLOGIES 創業者兼CEO
トマネージャー(左から右)
スペシャルプロジェク
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 VIEWPOINTS 102

水の使用 自社設備における年間 のウォーターフットプリ ントを公開している

4 32

原材料レベルでの年間 のウォーターフットプリ ントを公開している

19 27

有害化学物質の排除 に向けた期限付きの 公約を公開している

14 15

29%

サプライチェーンにお ける脱炭素化に向けた 公約を公開している

52%

企業による排出のス コープ1、2および3に ついて定義している

自社の設備における年 間のカーボンフットプリ ントを公開している

原材料レベルでのカ ーボンフットプリント を公開している

自社の設備における再生可 能エネルギーの使用につい

再生可能エネルギー サプライチェーンにお ける再生可能エネルギ ーの使用について、デ ータを公開している

7 45 65 22 29 52 カーボンフットプリント

65% 22%
32% 4% 27%
7%
45% 有害化学物質 森林伐採と再生活動 森林伐採を行わない
て、データを公開している
公約を公開している
15% 14% 水に関するリスクアセ スメントの実施プロ セスを公開している 19% 5. 重点課題 調査結果
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 103
一つか複数の原材料につ いて、環境再生型農業の 実践実績を公表している
- 水、化学物質、気候

5. 重点課題

分析 - 水、化学物質、気候E

衣料品生産国における水ストレス

ファッション業界は水質汚染の主要な原因であ

り、地球上で最も水を消費する産業の一つです。

ファッションサプライチェーンにおいて、水ストレ

スの問題を解決することは大変重要です(水ス

トレスは、人間や生態系の真水の需要を満たせ

る状態あるいはその欠落を指します。ここでは、

水質や可用性、アクセス可能性についても考慮

する必要があります)。その重要性を考えると、サ

プライチェーンの下流に行くほど、つまり水を使

用する加工や、コットンや麻など繊維を単に栽

培する過程で影響を受ける場面でこそ、ブランド

や小売業者がウォーターフットプリントに関する

情報を開示していないことが気になります。例え

ば、32%のブランドが自社事業におけるウォータ

ーフットプリントを公開しています(昨年は31%

)。しかしその一方で、製造レベルでのウォーター

フットプリントを公開しているブランドはわずか

15%であり、繊維や原材料のレベルではその数 字はさらに下がります(4%)。Growing Blueの 調査員によれば、世界のGDPの20%以上が、地

球上の水不足の地域で生み出されているといい

ます。そこには私たちが着る服や靴も含まれてお

り、そうした製品はますます、中国やインド、バン グラデシュ、パキスタンなどの国々で製造される ようになっています。

多くのブランドは繊維がどこでどのように栽培さ れているかを公表しておらず、調達先を選ぶ際に は、水管理に関する法律がない国をあえて選ん でいることも考えられます。自社のサプライチェ ーンにおける水に関するリスクアセスメントの過 程を開示しているブランドは25%にとどまりま す。ファッション業界の採取主義的な傾向が意味 するのは、ブランドが自社が環境にもたらす影響 を衣料品生産国に肩代わりさせ、水などの必要 不可欠な資源をそうした地域から調達している

ということです。生産国のコミュニティは既に気 候危機の影響を受けていますが、そうした国の人 々こそ、さらに水不足の問題にも直面することに なるのです。そこには明確なトレードオフが存在 しています。ほんの数回しか着用されないであろ う衣服を作るために、水に対する人権が軽視さ れているのです。

球への影響

今年は調査手法をより強化して、有害化学物質 の使用排除の公約を、BluesignとZDHCによる 「Roadmap to Zero standards」に沿って掲 げているブランドにのみポイントを与えています。

Bluesign®

Bluesign® SYSTEMは、化学品事業者や繊維 製造業者そしてブランドを対象とする、包括的な 解決策であり、この支援制度はサプライチェーン 全体に適用されます。宣伝や採用活動、さらには 安全な化学製品の使用や工場における責任あ る行動を実践するために必要なツールを提供し ています。

ZDHC

11年前、グリーンピースは「Detox My Fashion」キャンペーンで、ファッション業界に 警鐘を鳴らしました。衣服や靴の製造がもたら す環境への破壊的な影響を明らかにしたので す。それに続く形で主要ファッションブランドが 団結して、2020年までにサプライチェーンから 有害化学物質を排除し、水路の汚染を止める誓 約を掲げました。これが、今日ZDHCとして知ら れている「有害化学物質排出ゼロ」運動の始ま りです。ZDHCでは「Roadmap to Zero」プロ グラムを創設し、製造工程で特定の有害化学物 質を使用しない方法や、より安全なもので代替 する方法について、明確な案内を行っています。 さらにプログラムでは、数百ブランドが世界中に 持つ、数千の工場から排出される水を分析して います。これにより各企業が有害化学物質排出 ゼロ(ZDCH)の目標に向けてどれだけ前進して いるかを確認しているのです。

水質汚染、有害化学物質、人と地
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 104

これまでの調査では、有害化学物質の指標

を、EUの化学物質管理に関する主要な法律であ るREACH(化学物質の登録、評価、認可および 規制に関する規則)の方針に合わせていました

が、2022年の同規則の改正を受け、この指針を 削除しました。今回の改正により、繊維製品に使 用されている規制有害物質に関する情報が更新 されます。

このことが影響して、有害化学物質の使用を排 除する期限付きの公約を公開しているブランド

が、昨年の30%から比べて今年は27%に減少

していると考えられます。一方で、目標に対する

進捗を公開しているブランドはさらに少数となっ

ています(19%)。衣料品生産国の多くは排水の 処理に関する規制を行っておらず、繊維製造にお ける排水の安全な取り扱いが確保されていませ ん。そうした中で多数の衣料品製造労働者が、適

切な個人用防護具(PPE)のない環境下で、有毒

な化学物質を扱いながら仕事をしています。繊 維産業のサプライチェーン全体において有害化 学物質が使用されてきたことで、処理されないま まの排水が河川に流れ込み、河川が生物学的に 「死滅」したという宣言がなされています。また、 有害化学物質への曝露に起因する健康被害は 男女ともに受けますが、中には性別に関わるも のもあり、乳がん、妊娠の自然流産、妊娠高血圧 症などが挙げられます。このような健康問題は、 日常的に化学物質に曝されている衣料品製造労 働者にも影響を及ぼしており、生命を脅かし、時 には職業性がんにつながる恐れがあります。サ

プライチェーンにおける透明性と情報の流れの 欠如が、問題をさらに深刻にしています。ブラン ドは、自社のサプライチェーン全体に対して追跡 を行い、水質汚染が長期的にもたらす、縫製労働

者や地域社会、周辺の自然環境への社会的・環 境的影響に対処する必要があります。

河川の景観の復元 関わりをもつ

科学者や地元住民と協力し、水のサ ンプルや堆積物コアを採取して、マ

イクロファイバーについて調査して

います。そして、河川の景観に関わ る郷土史を収集して歴史的な工場

や染物工場の地図を作成し、そこで 働いていた人々の人生を つなぎ合わせ、調べてきました。

市民科学はこのプロジェクトにおいて重要な 役割を担っており、川で手を汚したり、アーカ イブの研究に没頭したりといった活動が欠か せません。

また、世界中の研究者から意見を聞き、水やそ れを頼りにしている人々に対してファッション が与える影響について、全体像を明らかにし たいと考えています。

Fashion Revolutionの「Restorying Riverscapes」キャンペーンの詳細は、こちらのリンクをご確認ください。

VIOLA WOHLGEMUTH

画像提供:
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 105

VIEWPOINT:

2011年、Greenpeaceは「Detox My Fashion」キャンペーンを開始し、2020

年までに世界のサプライチェーンによる

水路への有害化学物質の排出をゼロ

にする目標を掲げました。29のブランド

と50以上のサプライヤーがデトックス

に取り組み、共同で目標を実行しまし

た。この取り組みは後戻りできない臨界

点に達しており、キャンペーンが提唱す

るパラダイムシフトの意義と実現可能

性を証明しています。これらについては

最近の進捗状況を抜き打ちで確認し

たレポートDestination Zero(2018

年)とFashion Fairytale(2021

年)の2本で詳述しています。

しかし、デトックスに取り組んでいない衣料品市 場の残り85%へと、この成功事例を拡大するた めに、企業や団体にできることがまだあります。ま た、デトックスに取り組んだブランドが示したよう な企業のサプライチェーンに対する責任モデル を、規制当局がファッションセクター全体に適用 することも強く求められています。

2022年のFashion Revolution Transparency Indexでは、より多くのブランド が製造時制限物質リスト(MRSL)および制限物 質リスト(RSL)の使用を報告しており、全身がみ られます。またこの事実により、Greenpeaceの キャンペーンからはじまった勢いは、全体として

維持されているだけでなく、徐々に広がりつつあ ることがわかります。ZDHCのようなファッション 業界のステークホルダーはこれまで、企業がデト ックスを実行する際のツールの提供や支援を行 い、大きな役割を果たしてきました。そして有害化 学物資流の排除に向けた、全ての繊維産業セク ターに対する継続的なプログラムを維持していま

す。しかし、サプライヤーによる排水検査結果 の公開が減少しているのは懸念すべき点です。 これは、企業のデトックスへの取り組みの根幹 であり、有害化学物質に関する進捗状況を明 らかにし、地域住民や市民社会に水質汚染に ついて知る権利を与えるものなのです。

化石燃料にもとづく合成繊維を削減する取り 組みとその進捗状況の報告は、さらに大きな規 模で行う必要があります。ファストファッション ブランドが製造する使い捨て衣服のおよそ70 %は、ほとんどがプラスチックであり、有害物質 の抽出に依存し、深刻な廃棄物問題を引き起 こしています。これらのプラスチック製の衣服

は、洗濯するたびに何百万ものマイクロプラス チック繊維を川や海に放出しているのです。し かし、新品の服でさえも、売れないという理由

で廃棄物として積み上げられてしまうという事

実から、ファッションの直線的なビジネスモデ ルの根底にある病が見て取れます。

ファッションブランドは循環性「答え」として宣伝 していますが、これらの主張の多くはグリーンウ ォッシングであるといえます。例えばリサイクル 率はわずか3%であり、リサイクル繊維から実際 に作られる衣服は1% 未満です。そして残りは、 食品産業から出る廃ポリエチレンテレフタレー ト(PET)ボトルのリサイクルポリエステルです。 商業的な意味合いのほかには、循環型社会を目 指す根拠や意図はほとんど見られません。また、 循環性においてはファッションの流量を減らす ことが意味のある試みの前提条件ですが、そう した取り組みもほとんどありません。その一方で 私は、こうした使い捨てのファストファッションの 氾濫がもたらす結果をケニアとタンザニアで目 の当たりにしてきました。そこでは、繊維廃棄物 の山の上にある川のそばに立ち、同じく繊維の 層でできてい る川岸を眺め、下流へと流れてい く古い服を見ました。これが、企業が主張する循 環性の姿です。ボトルをどれだけリサイクルして も、マイクロプラスチック繊維のフィルターをど れだけ使っても、この衣服の廃棄物の洪水を止 めることはできない のです。

VIOLA WOHLGEMUTH
消費・有害物質キャンペーン担当
GREENPEACE GERMANY
デトックスが進む一方で、衣料品廃棄物の輸出はフ ァッションのビジネスモデル転換の緊急性を示す
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 106
Photo copyright: Jiri Rezac/Greenpeace

気候と生物多様性

世界のファッション産業は、あらゆるレベルで環

境に悪影響を与えています。それは、原材料の生 産方法から、それらが衣服へと製造される方法、 世界中への輸送方法、そして最終的には消費者 による購入、手入れ、廃棄にまでおよびます。

グローバル化した産業の中で、多くのブランドや

小売業者は、気候危機の影響を受けやすい衣料 品生産国に大きく依存しています。しかしそうし

た国々はすでに、政府や企業がパリ協定を実現 できていないことによる影響を被っています。

社会的な正義と気候正義は表裏一 体です。例え ば、衣料品産業におけるジェンダーにもとづく暴 力やハラスメントは、気候変動とは分けて考えら れます。ところが国際労働機関(ILO)の調査によ れば、暑さによるストレスや異常気象は生産性や 感情の激しさに影響を与え、その結果、ジェンダ ーにもとづく暴力やハラスメントにつながる可 能性があるといいます。多くの工場は適切な換気 システムを備えていないため、生産性の低下や 欠勤の増加につながることが考えられます。特に

女性はケア業務のために休むことも多いため、 より欠勤が増える可能性があります。労働者は、 暑さによる安全上のリスクの影響を受けるだけ でなく、より熱心に、より速く働くことを迫られま

す。Hot Trendsの調査は、カンボジアの農村部 と都市部の両方でいかに気候の影響が出ている かを明らかにしています。洪水や干ばつにより、

衣料品製造労働者の収入に支えられているその 家族にも打撃を与えているのです。この調査報告 書の6ページに掲載されている図をぜひご覧い

ただきたいと思います。ここでは、気候変動に対 するカンボジアの脆弱性が、世界の繊維産業によ って形成される仕組みが示されています。衣料品 製造労働者が洪水や熱中症で働けなくなった場 合、農村部に住む家族を養うことができなくなる でしょう。この調査報告書では、サプライチェーン において環境負荷の緩和や回復力が欠如してお り、それによって衣料品製造労働者とその家族の 健康と収入に影響を与えていることを明らかにし ています。さらにそうした中で、不十分なインフラ によってさらなる環境汚染が続いていることもわ かっています。

サプライチェーン全体での炭素と エネルギーフットプリント

温室効果ガス排出量(GHG)に関する正確なデ ータを収集することは、ブランドや小売業者が排

出量を削減し、脱炭素目標を達成するにあたっ て極めて重要です。環境負荷のほとんどは加工 や原材料のレベルで発生しています。そうした 中で心強いのは、加工レベルでのカーボンフット プリントを公開しているブランドは昨年の26% から34%に増加していること、そして原材料レ ベルでは昨年の17%から22%に増加している ことです。

また、大手ブランドや小売業者の65%が、自社 の事業や設備に関連するカーボンフットプリン トを公表しており、昨年の62%から増加してい ます。温室効果ガスの排出についての開示が全 体的に増加している理由としては、投資家や政 府といったステークホルダーからブランドに対 して、データを把握して環境への影響を軽減さ せようとする働きかけが高まっていることが考 えられます。大手ブランドは、原材料レベルにま でさかのぼってサプライチェーンの炭素排出量 について調べなければ、自社が気候変動に与え

る影響について正確に把握することはできませ

ん。さらに、そうしなければ、ブランドに対して排 出量を削減する責任を明確に求めることもでき ないのです。

再生可能エネルギーについても、これと同様の 傾向が見られます。自社が直接行う事業につい

て再生可能エネルギーの使用を公開しているブ ランドは45%である一方で、サプライチェーンに おける再生可能エネルギーのデータを公開して いるのはわずか7%です。今年の調査では、サプ ライチェーン全体における絶対的なエネルギー 削減量に関する算出方法を変更しましたが、こ の指標についてポイントを獲得したブランドは ありませんでした。ブランドは、加工や原材料レ ベルでのエネルギー使用(カーボンフットプリン トとは異なることに注意)について情報を公開 せず、責任を果たしていません。そのためどのブ ランドも、自社の絶対的なエネルギー削減を主 張することはできないのです。こうした状況の原 因は、サプライチェーンをさかのぼって炭素やエ ネルギーに関するデータを把握することの難し さにあると考えられます。サプライヤーは複数の ブランドと同時に取引をしており、個々のブラン ドについてのデータを収集するインフラが整備 されていないため、ブランドは推定値に大きく 依存せざるを得ない状態にあります。

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 107

カーボンニュートラル ネットゼロカーボン

サプライチェーン全体を対象とす る脱炭素化目標を掲げる大手ブ

ランドは3分の1未満

ますます多くの大手ブランドが脱炭素化に関す

る目標を設定する中、カーボンニュー トラルとネ ットゼロカーボンという2つの言葉を区別するこ

とが重要になっています。これらの言葉はしばし

ば混同して使用され、その結果大きな混乱が起 きています。

カーボンニュートラルは、国際的に認められた規

格であるPAS2060で定義されており、温室効果

ガス排出の定量化、削減、相殺を行うことを求め ています。一方ネットゼロカーボンは、パリ協定

の 1.5°C目標に沿って温室効果ガス排出を削減 することで達成されるものであり、温室効果ガス

排出の余剰分を、炭素の除去(炭素回収や貯留 など)によってバランスを取ることを指します。

カーボンニュートラルとネットゼロカーボンに

は、Science Based Targetsイニシアチブの定 義に基づき、以下の大きな違いがあります。

対象範囲

カーボンニュートラルではスコープ1お よび2の排出を対象とすることを最低 条件とし、スコープ3についても推奨さ れている。.

野心度

カーボンニュートラルを達成するにあた って、企業が特定の道筋で排出量を削 減することを要求しない。

境界

ネットゼロの基準は、企業のグロー バルなスコープ1、2および3の排出

を含む。

目的

カーボンニュートラルを達成するため に、企業は炭素の削減、効率化、吸収の いずれかを実現するカーボンオフセット を購入しなければならない。

ネットゼロを達成するために、企業は スコープ1、2および3全体で、1.5°C 目標に沿って排出量を削減しなけれ ばならない。

ネットゼロの宣言は、企業のバリュー チェーン全体が考慮されている場合 にのみ認められる。

カーボンニュートラルを達成するため に、企業は炭素の削減、効率化、吸収の いずれかを実現するカーボンオフセット を購入しなければならない。

ネットゼロカーボンの取り組みは、大

気中への排出と大気中からの除去を バランスさせるという目標にもとづ き、温室効果ガス排出を削減すること を意味する。

ネットゼロカーボンを達成するため

に企業は、排出削減に加えて、大気中 に排出された炭素を除去するプロジ ェクトへの投資も求められる。

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 108

2015年のパリ協定では、各国政府は世界の気 温上昇を2°Cより十分低く抑えること、そして 1.5°C以内に抑えるように努力するという目標 を掲げました。企業はこの目標を達成するため に、重要な役割を担っています。Science Based Targetsでは、企業がパリ協定に沿って温室効 果ガス(GHG)を削減する、明確な道筋を示して います。

Science Based Targetsは、スコープ1および2 (自社事業)、またはスコープ1、2および3(自社

事業とサプライチェーン)を対象としています。

今回の調査では、29%のブランドが、自社事

業とサプライチェーンを対象としてScience

Based Targetsイニシアチブ(スコープ1、2お

よび3)で検証された脱炭素目標を公開してい ます。一方、31%のブランドは、自社事業あるい

は自社事業とサプライチェーンを対象とする検

証済みのScience Based Targetsを掲げて います。

ファッション業界は自社事業だけでなく、自社事 業とサプライチェーン全体で検証済みのカーボ ンネットゼロ戦略を実行しなければなりません。

環境への影響の大部分はサプライチェーンで発 生しているおり、サプライチェーンも含む戦略を 実行することで、大手ブランドや小売業者による

誤解を招くような主張を防ぐことに繋がります。

温室効果ガスプロトコルによれば、スコープ3は さまざまなカテゴリーに分類されます。購入した 商品やサービスには、原材料の生産から繊維の 加工、衣服の製造の工程で発生する全ての排出 が関わっています。今年の調査では、スコープ1 、2および3に何を含んでいるか、ブランドが説明 しているかという新たな指標を用いています。半 数を超える(52%)ブランドがこの情報について 公開しており、脱炭素に関する企業の主張をよ り詳細に検証することが可能になっています。特 にスコープ1および2のみを対象としている場合 や、購入した商品やサービスがスコープに含まれ ていない場合に詳しい検証が可能であり、こうし たケースでは結局、企業が環境にもたらす最大

の影響について説明責任を果たせていないこと になります。加えて主要ブランドや小売業者は、 原単位削減ではなく、絶対量での温室効果ガス 排出削減に重点を置くべきです。つまり、売上高 ごとの排出量を削減するのではなく、企業全体で の温室効果ガス排出を削減することが求められ

るのです。原単位に基づいて排出削減を行うだ けでは、ブランド全体としての排出量が増加する 可能性があります(毎年の排出量の増加が、売上

高の増加より少ない場合)。

上図:「ファッションにおけるカーボンフットプリントとは」 FASHION REVOLUTIONによる投稿(2021年)

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 109

環境への影響やリスクを財務コストと比較して評

価することは、企業や投資家にとって、サプライチ ェーン全体で環境への影響を緩和し、それを実 現するために十分な財務資源を配分する明白な

インセンティブとなります。例えば、Keringグル

ープ(Balenciaga, Bottega Veneta, Gucci, Saint Laurent)の環境損益計算ツールは、自社

事業とサプライチェーン全体での環境フットプリ ントのデータを測定し、それらのデータを貨幣価 値に変換しています。今年の調査では、調査手法

をCDPの気候変動アンケートなど既存の手法に 合わせています。CDPは、環境リスクとそれらの

潜在的財務影響の開示にもとづいて、環境パフォ

ーマンスへの評価を行う独立機関です。これによ り、情報開示を行ったブランドが昨年の4%から

13%に増加したものと考えられます。

生物多様性の喪失が加速してい

る一方で、森林破壊ゼロに取り組

森林には世界の陸上生物多様性の80%が存在 しており、先住民族の生活と文化を支える重要

な場所です。特に、きれいな水や炭素隔離、受粉 といった生態系にとって重要な機能を提供して います。レザーやビスコース、モダール、リヨセ

ルといった原材料は、木材パルプから作られ、衣 料品に広く使用されています。こうした原材料 は古くから続き現在絶滅の危機にある森林の 破壊につながり、気候危機に対抗する上で非常 に重要である木を切り倒し、先住民族コミュニテ ィの住居や生活を荒廃させることにもつながり ます。2021年に殺害された活動家の半数以上 が、土地や環境、先住民族の権利の擁護に取り 組んでいた一方、Canopyの調査では、毎年2億 本以上の木が伐採されてセルロース系繊維(ビ スコースやレーヨン、モダール、リヨセルなど)に なっており、手付かずのまま残されている世界の 古代林は20%以下になっていると推定されて います。さらに、人工セルロース系繊維の使用量 は、2020年を基準として、2027年までに34.6 %増加するとされています。こうした驚くべき事

実にもかかわらず、今回の調査で森林破壊ゼロ に向けた期限付きで測定可能な公約を公開して いるブランドはわずか15%であり、昨年(10%) からの上昇はわずかでした。また、これらの目標

についての進捗を公開しているブランドはさら に少ない数(6%)にとどまりました。

最後に、再生農業について、世界のファッション 業界でサステナビリティを提唱する人々の間で はこのトピックへの注目がますます高まっていま す。再生農業は、「生物多様性の促進、土壌の改 良、河川の流域改善、生態系の機能向上に資す る農業原則と実践のシステム」と定義されます。

ほとんどのファッションブランドは原材料を調達 する上で農業に依存していますが、今回の調査 では、少なくとも1種類の原材料について、再生 農業を行っている実績を公開している大手ブラ ンドはわずか14%でした。再生農業の実施につ

いて公開しているブランドが昨年(9%)より増加 しているのは好ましいことですが、さらに先の話 題へ進まなければなりません。サプライチェーン

の農家を支援したり、気候変動が原材料生産に かかるコストやサプライチェーンに関わる地域 社会の生活にどのような影響を及ぼすかについ

て、再度考えることが求められているのです。

むブランドはきわめて少ない
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 SPOTLIGHT ISSUES 110

PAULINE OP DE BEECK

THE CARBON TRUST

EUビジネス・ディベロップメントマネージャ

ー兼サステナブルファッションリーダー

ネットゼロへの道のりの大きな節目 である2030年が近づくにあたって、 正確な調査や、科学にもとづいた目

標設定、そして炭素に関する実行計 画の透明性が、アパレル分野にとって

ますます重要になってきています 。

ネットゼロを達成する過程において大切なのは、

スコープ1および2、そして最も重要なスコープ

3の排出量を正確に把握することです。スコープ

1および2は、企業が直接管理している範囲での 排出量を指し、店舗やオフィス、倉庫などがこれ にあたります。こうした排出は企業の管理下に ありますが、多くの場合、企業が与える影響全体 の10%以下にとどまります。ブランドが環境に 与える影響の大部分は、バリューチェーン内で 発生する排出であるスコープ3が占めているの です。スコープ3はさまざまなカテゴリーに分け られますが、その中で最も重要なのが、購入した 商品とサービスを指すカテゴリー1aです。これ は、原材料から商品の縫製まで、衣料品の生産 に関わる上流工程すべてにおける排出のことで す。企業がスコープ3の全ての排出量について 報告していなければ、企業が与える影響を本当 に伝えていることにはなりません。今年の分析 でわかったのは、スコープ3まで含めた報告を行 っている大手ブランドは3分の1のみということ でした。このことは、多くのブランドが自社の炭 素に関わる影響の全容を把握していないか、あ るいは透明性を確保できていないことを示して

います。こうした認識や透明性の不足によって、 企業は、自社の削減努力について明確に伝える ことができずにいるのです。

多くのブランドが、自社事業におけるエネルギー 効率の向上や再生可能エネルギーの調達を実行 しようとしているのは、とても喜ばしいことです。 しかしここでは、絶対目標と原単位目標が混在し ています。絶対削減とは、ビジネスの成長度合い にかかわらず排出量を削減することを指します。 一方原単位目標は、一定の生産量あたりの排出 削減を意味します。つまり、企業は事業を拡大し 続けながら、同時にエネルギー効率を高めていく ことができるのです。

ブランドが、自社の排出を削減しようとする取り 組みは多く見られ、エネルギー効率の向上や再 生可能エネルギーの調達量の増加が実践されて います。しかしそうした方法を、気候変動に最も 大きな影響をもたらすスコープ3での排出削減

に対しても適用しているセクターはほとんどあり ません。目標は、スコープ1、2および3の全てを 対象として初めて意味を持ちますし、削減の道の りにおいては科学に基づいていることが不可欠 です。スコープ1、2および3に対する科学に基づ く目標を掲げるセクターが31%しかないことは 憂慮すべきことです。IPCCが発表しているよう に、地球温暖化レベルを1.5°Cに収めるまで、あ と8年しか残されていないのです。

来年の調査では、スコープ1、2および3に対する science based targetとともに、スコープ3に ついての排出量を報告するブランドが増加して いる必要があります。報告と目標設定は、はじめ の2つのステップに過ぎません。実行計画の透明 性と頑丈さを確保することで、脱炭素化への真 の責任を示し、グリーンウォッシュを回避していく ことがきわめて重要なのです。

VIEWPOINT: グリーンウォッシュ回避のために、脱炭素化目標につ いての透明性と信頼できるデータが必要だ
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 VIEWPOINTS 111

最終結論と推奨事項

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 112

透明性に向けた行動 次に何をするべきか

どのようにして、どこで、誰が、どのような 社会 的・環境的コストをかけて服を製造したかとい うことについては、誰もが知る権利をもってい ます。そしてこれを実現するためには、ファッシ ョンのグローバルバリューチェーン全体で透 明性を高める必要があります。

私たちは一丸となって、企業が透明性を向上 させるように、そして政府がブランドに対して 透明性を要求するように、働きかけなければ なりません。

私たちの願いは、ファッション業界に透 明性と説明責任が深く根付き、Fashion Transparency Indexが必要なくなることで す。しかしそれを実現するまでは、透明性を向 上させることこそ、世界のファッション業界で 変革を起こすために非常に大切なことです。

透明性を高めていくことで、最終的に、環境を 保全・修復し、成長や利益よりも人を大切にす るファッション業界を実現することにつなが るのです。

だからこそ、私たちは皆さんにこう

呼びかけますーこのインデックスを 買い物ガイドにするのではなく、こ

れからの積極的な行動に生かして ください。大手ブランドの行動を精

査し、その主張に責任を持たせるよ うに働きかけていきましょう。

一般市民にできること:

ヨーロッパの制作担当者に対して、生活賃金に関する法整 備を行うよう求めること。Good Clothes, Fair Payキャン ペーンでは、EU市民(EUパスポート保有者)100万人の署 名が必要です。goodclothesfairpay.euでの署名にご協 力ください。EU市民でない方は、EU市民の友人に送った り、SNSで私たちの投稿をシェアして、この言葉を広めてく ださい。また、Instagramでの@goodclothesfairpayの フォロー、ニュースレターの購読で、最新情報を入手してく ださい。

大手ブランドや小売業者に対して、Fashion

Transparency Index にあるような問題について、透 明性の向上を求めること。「#WhoMadeMyClothes?」 「#WhoMadeMyFabric?」「 #WhatsInMyClothes? 」

といったハッシュタグで、積極的にブランドに問いかけるこ とができます。

政策担当者に対して、サプライチェーン全体の人権や環境 への影響について、ブランドに責任を持たせる法整備を行 うよう求めること。

株主や投資家に対して、大手ブランドの透明性を高めさせ、 地球環境や服を作る人々のためにより良い活動を行わせる ために影響力を発揮するよう求めること。そこには、透明性 の有無にもとづいて投資活動を行うことも含まれます。

労働組合やNGOなどの市民社会に対して、ブランドのポリ シーや取り組みが衣服が製造される現場において良い結果 につながるように保証することを求めること。

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 FINAL THOUGHTS & RECOMMENDATIONS 113

ブランドと小売業者にできること:

自社のサプライチェーン上の権利 について、原材料レベルにまでさ かのぼってできるだけ速やかに公 開すること。また、オープンデータ の基準に沿って情報を公開し、リス

トをOpen Apparel Registryに アップロードすること。

Fashion Transparency Index

に記載される全ての話題について 完全な透明性を実現し、変化する リスクに対応して公開する情報を 継続的に更新すること。

人権や環境リスクに対する強力な デューデリジェンスを実行し、自社 の取り組みの結果と影響を開示 すること。

共に働く同僚(特に同じ施設内で 働く人々)や、権利者(特に女性や 労働組合)と協力してデューデリジ ェンスを実行し、その取り組みを公 開すること。

世界のファッション業界における 環境的、人権的な問題についての より高い透明性と企業の説明責任 を求める法律を支持すること。

政策立案者にできること:

世界のファッション業界におけ る環境および人権の問題につ いてのより高い透明性と企業の 説明責任を求める、より良い法 律や規制、政策を支持すること。

世界のファッション業界に関連 する社会・環境問題について、制 裁措置を含む既存の法律のより 良い実行を支援すること。

世界のファッション業界における 労働搾取や環境破壊に関する「 危険信号」やリスクに、より積極 的に対応すること

労働者やコミュニティ、専門家 によるViewpointを読み、その 声に耳を傾けること(本レポー

トの56, 67, 75, 84, 91-93, 100-102, 106, 111ページ参 照)。そして政策立案活動に役立 てること。

投資家と株主にできること:

大手ファッションブランドと小売業 者に対し、人権や環境問題につい

て明確なガバナンスと説明責任を 求めること。

人権や環境問題について、取締役

レベルでの説明責任を求め、役員 報酬がこれらの問題の改善と連動 するよう求めること。

取締役会に対して、人権や環境問 題の複雑さと微妙さについて専門

知識を持つよう求めること。

投資戦略において、意義のある環

境・社会・ガバナンス(ESG)要素を 最優先事項とすること。

世界のファッション業界における 環境および人権の問題について、

透明性と企業の説明責任を義務 付ける法律の制定を求めること。

市民社会、ジャーナリスト、研究者に できること

本レポートやWikirate.orgに掲 載されているデータと調査結果を 活用して、ブランドの主張を精査・ 検証し、責任を追求すること。

ブランドによる主張が実際の事 実にそぐわない場合には、警告を 促すこと。

このデータを利用して、ステーク ホルダーやブランドとともにサプ ライチェーン内の問題に対処し、 再発を防止すること。

世界のファッション業界における 環境および人権の問題について、

透明性や企業の説明責任を義務 付ける法律の必要性を皆で求め ること。

FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 FINAL THOUGHTS & RECOMMENDATIONS 114

THANK YOU!

The Fashion Transparency Index 2022

は、2022年6月にLiv Simpliciano, Maeve

Galvin, Ciara Barry, Delphine Williotが執 筆しました。デザインはHolly Templeが手がけ ています。調査は、2021年11月から2022年4月 にかけて、以下の方々が実施しました:

Liv Simpliciano, Ciara Barry, Delphine

Williot, Grace Doyle, Ysabl Marie D.

Dobles, Lian Sing, Isabella Luglio, Michelle Ying-Chi Lai, Sara Marty

本レポートの基礎となる調査に尽力してくれ

たフリーランスの調査チームに心から感謝し ます。特に、私たちと一緒にデータの品質保証

を行ってくれたGrace Doyle, Ysabl Marie D. Doblesに感謝します。また、Fashion Transparency Indexをつくりだした元グロ

ーバルポリシー・キャンペーンディレクターの

Sarah Dittyに特別な感謝を捧げたいと思いま す。道を切り開いていただき、ありがとうござい

ます。あなたの遺したものを引き継いで、ファッ

ション業界の透明性と説明責任の向上を追求し ていくことを光栄に思います。

今回のプロジェクトにおいて、私たちのチームを 指導してくださったプロボノコンサルテーション

委員会の皆様:Dr. Mark Anner, Neil Brown, Maddy Cobbing, Gary Cook, Subindu Garkhel, Fiona Gooch, Christina HajagosClausen, Kristian Hardiman, Aruna

Kashyap, Kate Larsen, Hester Le Roux, Emily MacIntosh, Maya Rommwatt, Francois Souchet, Joe Sutcliffe, Urksa

Trunk, Ben Vanpeperstraete, Frank Michel, Klaas Nuttbohm, Olivia Windham

Stewart, Katie Shaw, Pauline Op De

Beeck, Laura Balmond, Lead, Anna Bryher, Chloe Rollscane, Holly Syrett and Alessandra Mezzadri に最大の感謝を申し上 げます。また、本プロジェクトの調査手法につい

て、非公式にフィードバックをしていただいた全 ての方々に感謝します。

今年のレポートにさらなる分析とViewpointを 提供してくださった以下の専門家の方々に、心か ら感謝します:the Open Apparel Registry, Myanmar Centre for Responsible Business, Garment Worker Diaries, Pauline Op de Beeck, Nasreen Sheikh, Sarah Krasley, Ashley Nicholls, Hidden Homeworkers Project, Han Dongfang,

Nasreen Sheikh, Aditi Mayer, George Harding-Rolls, María Beatriz O’Brien, Desierto Vestido, Jewher Ilham, Viola Wohlgemuth コミュニケーションを支援してくれた

Carry Somers, Ruth MacGilp, Roxy Houshmand-Howellを筆頭に、Fashion Revolution CICチーム全員に感謝します。ま た、Melanie Hughesの素晴らしいサポートに も感謝します。

パートナーである、WikirateのLaureen van BreenおよびAileen Robinson、Good On Youチーム、Clean Clothes Campaignチ ーム、ビジネス人権リソースセンターのAlysha Khambayにも感謝します。そして、コラボレータ ーであるOpen Apparel Registryに感謝しま す。ファッションのサプライチェーンの透明性を高 める素晴らしい取り組みを行っており、ファッショ ン業界への貴重な貢献を果たしています。

今年のFashion Transparency Indexに参加し てくださったブランドや小売業者の代表者の皆さ

ん、ありがとうございました。ブランドに対しては 市民社会やNGOが頻繁に情報提供を求めてお り、その全てに対応し業務を行っていくのは、とて も困難であることを理解しています。皆さんの参 加は不可欠であり、感謝いたします。

Fashion Transparency Indexは、Laudes Foundation より資金提供を受けています。継続的な支援に感謝申し上 げます。

Fashion Revolutionの Fashion Transparency Indexは、ブランドのサ プライチェーンにおける透明性を高め、 業界に説明責任を果たすよう働きかけて います。 皆様のご支援により、ブランドに更なる 透明性を求め、より良い・より公正な業界 への重要な一歩を踏み出すことができま す。また、私たちの服を作ってくれる人々 の、より尊厳ある生活を擁護していくこと ができます。

この重要な活動を継続するために、ぜひ ご支援をお願いします。透明性が高く責 任あるファッション業界を実現するため に、定期的な支援や1回限りの寄付を受 け付けています。

Fashion

115
Revolution Foundation: Registered Charity in England & Wales No. 1173421; Registered Company in England & Wales No. 10494997. Fashion Revolution CIC: Registered Company No. 08988812. Registered Address: 70 Derby Street, Leek, Staffordshire ST13 5AJ, UK
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022

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ャーのLiv Simplicianoおよび、Fashion Revolution CIC内のポリシー&リサーチチームメンバーのMaeve Galvin, Ciara Barry, Delphine Williotによって執筆 されました。

この調査は、Fashion Revolutionのポリシー&リサー チマネージャーのLiv Simplicianoおよびポリシー&リ サーチチームのCiara Barry, Delphine Williotの主導 のもとに行われ、Fashion Revolutionの創設者の一 人でありグローバルオペレーションディレクターのCarry Somersの支援によって成り立っています。追加調査

は、Grace Doyle, Ysabl Marie D. Dobles, Isabella Luglio, Michelle Ying-Chi Lai, Sara Marty, Lian Singによって、2021年11月から2022年5月に実施され ました。デザインはHolly

Fashion Revolution CICは本調査の実施にあ

たり、Laudes Foundationより出資を受けていま す。Laudes Foundationは個人財団であり、COFRA グループの事業や、Porticus、Good Energies Foundation、Argidius Foundationを含む他の慈善

活動と並び、Brenninkmeijer family enterpriseに 属しています。Laudes FoundationはCDRFAグルー プから独立して管理されており、C&Aが属するCDFRA を含む、服飾業界全体に影響を与えられるよう活動して います。

Fashion Transparency IndexにおいてC&Aを評価す

るにあたって、事実を公正に扱い、公平なアプローチを取 っていることを強調したいと思います。本調査では、利益 相反のリスクを軽減するために次の3つの方法を取って います。1つ目に、C&AとLaudes Foundationを別の組 織と捉え、扱うこと。2つ目に、C&Aを本調査で分析した 250のブランドと同様に扱うこと。3つ目に、本調査および ブラジルの技術パートナーであるABC Associadosによ る追加評価において、C&Aを優遇しないこと。

ライセンス – クリエイティブコモンズ

Fashion Transparency Indexは、クリエイティブコ モンズの表示 - 非営利4.0国際(CC BY-NC 4.0)ライ センスの下で許可されています。自由文化ライセンスで はありません。詳細については、リンクを参照してくだ さい:https://creativecommons.org/licenses/ by-nc-nd/4.0/

当社が提供する元データファイルについて、本インデック スを作成するために編集した元データを使用するための ライセンス付与を行うものではありません。第三者は元 データファイルの閲覧のみが許可されています。

Fashion Revolutionのクレジットを表示すれ ば、Fashion Transparency Index を任意のメディア または形式で自由にコピーして再配布できます。このラ イセンスは、コンテンツを変更、再構築、変換、翻駅、ま たはその他の方法で改変する権利を第三者に与えるも のではありません。これには、有償サービスの一部とし ての提供や、コンサルタントまたはその他サービス提供 の一部としての提供が含まれます。このインデックスの 全体または一部を商業化する場合は、transparency@ fashionrevolution.orgからFashion Revolutionに 連絡の上ライセンスを取得する必要があります。

© Fashion Revolution CIC 2022

Published July 2022

Templeが手掛けています。
FASHION REVOLUTION | FASHION TRANSPARENCY INDEX 2022 121

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拡大を続けることができます。そしてファッション業界の巨大な権力に対

し、気候・平等の危機への責任について説明を求め続けることにつなが ります。

また、現在進行中である、政策立案者に行動を起こすように働きかけ、フ

ァッションと織物産業に大きな変化をもたらす新たな法律の制定を支 援するという、重要な活動の助けにもなります。

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とができます。そして、世界のファッション産業が直面するシステム全体 の問題に立ち向かうことにつながるのです。

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