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ソーシャルワークと社会開発のためのグローバルアジェンダ

皆が参画するアジェンダに向けて

グローバルな社会変革に向けた ソーシャルワーカー・ソーシャルワーク教育者・政策実務家・開発者の結集


背景 2010年6月に香港で行われた大会には、3,000人を超すソーシャルワーク実務家・教育者・開発実務家 が集まり、私達の社会が直面する大きな課題に取り組むグローバルな運動を開始することを決定しま した。より大きなコミュニティに関連する課題について、私達3組織は自らの経験から明確に意見を 述べるべきだ、と代表者の間で合意が得られました。また私達の専門職内外をつなげ、重要かつ関連 性のある社会問題について、組織だった動きを行う必要性も、代表者間で再確認しました。 更なる検討や発展に向けて、世界の様々な課題について合意がなされました。私達が呼びかけたこの 結集は、国際的にまとまりを持ったグローバルアジェンダ文書を作成することを目的としています。 この文書は、専門職の今後の方向性を明確にし、私達が大切にする価値を実現するためのアドボカシ ーや他のキャンペーンを支援し、専門職全体やそれを超えた人々を引きこむために、専門教育・研究 ・行動の世界的基盤となるものです。 香港大会での決定に基づき、世界のソーシャルワーク実践・ソーシャルワーク教育・社会開発業務全 体を代表する3つの国際組織(国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)・国際ソーシャルワーク学校連 盟(IASSW)・国際社会福祉協議会(ICSW))のリーダーは、この共同グローバルアジェンダの展開 にすべてのメンバーが関わってほしいと願っています。 香港での協議では、人道的で公正な世界の推進においてソーシャルワーク専門職が担うべき役割を再 度述べていくことに、強力な支持が示されました。2010年6月に香港で始まったプロセスは、メンバ ーが共有してまとめた意見を通じて専門職のグローバルアジェンダ誕生を促進するため、多角的な基 盤を構築することを目指しています。 このような形で展開されたグローバルアジェンダは、今後10年間にわたる専門職メンバー全体の積極 的な関与につながることが期待されています。 2010年6月の香港大会以降、世界中で様々な取組が行われてきました。これらの取組は、香港での草 稿作成に続いて行われた第1回諮問プロセスの一環であり、グローバルアジェンダの展開に向けて更 に資源を投入することによって、3組織のリーダーたちが自らのコミットメントを再確認する刺激と なりました。香港大会で作成された第1稿を充実させるために、世界中でソーシャルワーク実務家・ 教育者・政策及び開発実務家の方々がカンファレンス・検討フォーラム・その他の基盤を企画してい ます。したがって上記の3組織は、このプロセスへの絶大な支持を認識しています。 第1回目の諮問フィードバックでは、グローバルアジェンダの草稿で特定された課題が、回答者の大 半から支持を得られたことが示されました。 しかし諮問や継続された議論から、アジェンダ第1稿でカバーされなかった新たなテーマや課題が浮 かび上がりました。戦略の追加を提案した方もいます。提案には、例えば以下のような内容がありま した。 • 「志を同じくする組織」とのつながりや「提携」の構築及び、「世界中で更に統一された専門職意 見の展開。」 • 「物事が起きる場所や関連機関で存在感を持つこと。」 • グローバルアジェンダ構築プロセスの中で、「利用者やコミュニティグループが参加」できる十分 なスペースを仕組みの中に作ること。 第1回諮問プロセスにご回答くださった世界中の仲間の皆様に、この場をお借りして深謝申し上げま す。また今後行われる結集・関与プロセスへ積極的に参加くださいますよう、すべての皆様にお願い 申し上げます。皆様の参加によって、ソーシャルワークコミュニティが私達専門職の未来に向けて、 まとまりある共同アジェンダを作ることが可能となるのです。 しかし専門職全体、そして専門職の枠を超えた共同アジェンダ作成のプロセスは、緒についたばかり です。私達がともに追求すると決めた壮大な目的を達成するためには、行わなければならない重要な 事がまだあります。私達の目的を行動に移す力となれるだけの人々の輪を形成するにあたり、専門職 (そして専門職を超えた)メンバー間の更なる結集や継続した議論が必要なのです。

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グローバルアジェンダの取組 IASSW・IFSW・ICSWの3組織は、グローバルアジ ェンダに関する検討や結集に向けて、プロセス を前進させ世界中の仲間を支援するために、共 通の基盤づくりを行いました。国や地域レベル のソーシャルワーカー・ソーシャルワーク教育 者・政策実務家連盟の皆様には、大会や会合で グローバルアジェンダ構築プロセスを優先して 時間や資源をご投入くださいますようお願いし て参りました。 数多くの組織が、引き続きこのプロセスに関わ っていきます。2011年3月15日に祝われる世界 ソーシャルワークデーを、協議や検討を活性化 させる大きなチャンスとしてご活用いただきま すよう、お願い申し上げました。グローバルア ジェンダ文書を検討し、自らの意見をまとめ、 地域の課題をグローバルアジェンダにつなげら れるよう、今年のソーシャルワークデーでは、 世界中のソーシャルワークの大学・ソーシャル ワーク団体・開発機関によって、検討フォーラ ム・ワークショップ・カンファレンスなどが開 催されることが期待されます。 3組織のアジェンダ運営委員会は、アジェンダ 文書を次のレベルに進めるにあたり、これら多 数の視点を取り入れて行く予定です。グローバ ルアジェンダプロセスのための世界的な大集会 は、国連ソーシャルワークデー(2011年3月28 日)にニューヨークの国連本部で開催されます 。この日の議題の中には、グローバルアジェン ダに関する重要なパネルディスカッションが含 まれます。 これらの取組に加えて3組織は、グローバルア ジェンダ用のウェブサイトも立ち上げました。 これは議論や検討の推進を目的としており、私 達専門職にとってこのように重要なプロセスに 関わっているすべての人々からフィードバック を集める手段として役立ってくれるでしょう。 雑誌「International Social Work(国際社会 福祉)」では、グローバルアジェンダの課題や テーマ、そして結集プロセスに関する論文の特 集を組む予定です。最後にアジェンダ構築キャ ンペーンの一環として、また多くの支援者に声 を届けられるよう、3組織は各自のウェブサイ ト・掲示板・ポスター・その他コミュニケーシ ョン手段を活用しています。

Tasse Abye

Chair for the Global Agenda IASSW

Charles Abbey

皆様の組織はどのように取組へ参加できるでしょうか すべてのソーシャルワーク実務家団体・ソーシ ャルワークの大学・社会政策及び開発実務家の 皆様には、アジェンダ草稿(添付資料参照)で 述べられた課題を議論して、2011年4月30日ま でにフィードバックを私達にお送りできるよう 、世界ソーシャルワークデー(2011年3月15日 )に、ワークショップ・討論会・検討フォーラ ム等を開催くださいますようお願いいたします 。 世界各地のソーシャルワーク実務家・教育者及 び政策・開発実務家の意見がこの重要な取組で 考慮される、ということが重要です。グローバ ルアジェンダの最終稿では、出来るだけ多くの 様々な意見を組み込むことをお約束いたします 。 皆様がグローバルアジェンダについて討議して くださることにより、国・地域・世界レベルで 関係者の結集を後押しできるような具体的で地 域性のある課題を、地方・国・地域の協会やグ ループがまとめるのに役立ってくれるでしょう 。すべての皆様がこのまたとないチャンスを活 用して、それぞれのアジェンダを練りグローバ ルアジェンダを国際的にまとめるのに貢献して くださると信じています。

この手紙には、以下の文書が添付されています 1) 香港大会で検討されたグローバルアジェン ダの第1稿 2) 第1回諮問プロセスで挙げられた主な課題 3) ソーシャルワークデー(または週)関連活 動でアジェンダ草稿に関する今後の検討や 討議に活用できるガイド 4) キャンペーン戦略案

Chair for the Global Agenda ICSW

David N. Jones

Chair for the Global Agenda IFSW

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添付資料

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グローバルアジェンダ草稿(香港大会で承認) 1)「政治的」活動の優先を主張・再主張し、社会開発及びソーシャルワーク実務家やソーシャルワー ク教育者のまとまった意見を展開させること。 2) ソーシャルワークや社会開発に関わる者を団結できる、長期的な共通のアジェンダを作成・設定す るプロセスを開始すること。 3) 共通行動の実践メカニズムや、我々の取組のモニタリング方法の構築に関する戦略を練ること。 国際ソーシャルワーク学校連盟(IASSW)、国際社会福祉協議会(ICSW)並びに国際ソーシャルワー カー連盟(IFSW)は、2010年6月に香港で、ソーシャルワーク及び社会開発のグローバルアジェンダ を形成するための検討を開始した。これまでの諮問及び香港大会での討議から、今後更なる諮問を経 て発展しまとめられるグローバルアジェンダの第1稿枠組みとして、我々は以下の4分野を提案する。

国内及び地域間での社会経済的不平等 最近始まり今も続いている経済危機や、世界のリーダーたちが採った危機への対応策(例:社会的支 援や社会開発への資源を削減する一方で金融システムへの支援に資源を使うこと)は、以下の事態を もたらした。 • 不平等の拡大とその影響 • 人々やワーキングプアの疎外の悪化 • 十分な社会的保護の床(social protection floor)がない国に住む貧困者の更なる脆弱化 • コミュニティの崩壊

人間の尊厳と価値 • 社会・経済・文化・政治的状況に関する人権問題 • 特に先住民の声など、多様性や異なる信念体系の尊重 • 政治不安・暴力・支配・平和構築プロセスの衰退 • テロリズムと国の対応及び世界的な紛争への対応方法 • 移住者・難民・人身売買・移民・移住とこれらの課題への対応方法 • ソーシャルワーク実践・教育や社会開発の役割

環境の持続可能性 • 自然災害・人災とそれらの管理・防止 • 対応構築における地域コミュニティの関与 • 持続可能な社会開発への意味 • 物理的環境保護 • 社会的・人間的・環境的発展への積極的な関与

人間関係の重要性 生涯を通じた家族や関係性の問題や課題が、世界の変化との関係で大きな関心事として浮かび上がっ ている。たとえば以下のような人々のニーズが挙げられる。 • 児童と家族 • 障害のある人々 • 医療や精神保健サービスを必要とする人々 • 高齢者 • 薬物等乱用問題を有する人 • DVや親密な関係者からの暴力被害者

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添付資料

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第1回諮問で出された課題 第1回諮問で追加提案が出されたトピック • ソーシャルワーク教育へのアクセス改善 • 健康(身体的・精神的)に関する課題:ウェルビーイングと健康の接点(下記も参照) • 地方や地域の異なるアジェンダの認識 • 全ての者への社会的保護メカニズム • 先住民と国連宣言 • 世代間公平 •「社会経済的不平等」の分野 • 地理的・環境的不安定、葛藤及び葛藤後の状況、世界的圧力に対する低所得国の人々の脆弱性

• 個人及びコミュニティレベル • 国内及び地域間での社会・健康・経済的不平等 • 健康への影響 •「人間の尊厳と価値」の分野 • 人権問題を巡る宗教 • 社会・健康・経済・文化・政治的状況に関する人権問題 •「環境の持続可能性」の分野 • 健全なコミュニティにとっての天然資源の決定的な重要性

• 社会・経済・環境的要因 • 健康にとっての環境の持続可能性 • ジェンダー • あらゆる形態の差別 • 知識の創出と共有:先住民の知識活用を含む

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添付資料 3

ソーシャルワーク及び社会開発のアジェンダ草稿に関する検討を活性化させる質問例 世界ソーシャルワークデー(3月15日)近辺でグローバルアジェンダに関する検討を行うにあたって ご活用いただけるガイドとして、以下の質問リスト(仮)をご覧ください。皆様がワークショップの 形式を採られることも想定し、討議を進める全体的なアイディアも以下に示しました。 討議プロセスが終わりましたら、結果の手短な報告及び草稿への具体的な変更案を、以下の連絡先ま でお送りください。 国際ソーシャルワーク学校連盟(IASSW)- iassw.globalagenda@gmail.com 国際社会福祉協議会(ICSW)- globalagenda@icsw.org 国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)- globalagenda@ifsw.org

a) 質問案 1. 地方・国が直面する優先的な社会問題や課題は何ですか? 2.これらの問題や課題は、グローバルアジェンダ文書のテーマとどのように一致していますか? 3.これらの優先事項に対応するために、以下の機関は具体的にどのような行動をとるべきでしょうか? a. ソーシャルワーク教育プログラム(注:この質問は組織によって異なります) b. ソーシャルワーク実務家の協会 c. 他の関連機関 4.これらの優先事項に対応するために、専門職内や他のグループ・組織・機関等との協力で、どのよ うに連携し能力を構築できるでしょうか?

b) プロセス案 皆様が適切と思われる方法で、自由にプロセスをお選びください。例としては、ワークショップやパ ネルディスカッションが挙げられます。ワークショップ形式を採られる際には、以下をご参考にして ください。 関係者と1つ以上のセッション(例:ワークショップ)を実施する場合 • アジェンダ草稿を提示する。 • 上記の質問や第1回諮問で挙げられた提案に関する文書の検討を行う。もしグループが大きい場合、 小グループを形成して各グループで全ての質問を検討することも可能。 • 全参加者を集めて各グループの結果を議論する。討議は以下の点を強調すること。 • 私達の世界的共通意見を反映するアジェンダ文書のテーマ。 • アジェンダ文書のテーマで反映されていない地域独自の社会問題や課題。 • テーマや行動戦略に関する提案。例は以下の通り。 • ソーシャルワーク・社会開発専門職が、これらの課題に対応するにあたって担うべき役割は? (例:政策や実践へ影響を及ぼす) • アジェンダを遂行するにあたり、専門職内や他のグループ・組織・機関等との協力で、どのよう に連携し能力を構築できるでしょうか?

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添付資料 4

に影響を与える運動のための可能な戦略 国際・地域機関、 国・地方自治体、 福祉コミュニティとステークホルダー 2012年3月にニューヨークで行われる国連ソーシャルワークデーで、世界からすべての国の代表が集 まり、国連事務総長にグローバルアジェンダ文書を届けることを目指し、 アフリカ・ヨーロッパ・アジア・ラテンアメリカの各地域で2012年3月20日に行われる国連ソーシャ ルワークデーで、各地域ですべての国の代表が集まり、地域機関(アフリカ連合・EU・メルコスール ・アセアン等)の会長にグローバルアジェンダ文書を届けることを目指し、 世界すべての国で、政府のリーダーにグローバルアジェンダ及び各国アジェンダ文書を届けることを 目指し、 各国ですべての地方自治体リーダーにグローバルアジェンダ・各国アジェンダ・(可能であれば)地 方アジェンダ文書を届けることを目指して、 地方・国・地域・国際レベルで専門職や関係者が作成したアジェンダの課題を主張するために、あら ゆる形態のコミュニケーションを活用して様々なキャンペーンを企画し、 グローバルアジェンダで挙げられた課題の展開や変革を分析する科学的・学術的研究や出版を推進し 、 パートナーシップ構築(例:世界社会フォーラムに組織だった機関として参加等)に向けて、同じ分 野に取り組む組織ネットワークや機関の候補を特定し・・・など。

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皆が参画するアジェンダに向けて  

グローバルな社会変革に向けた ソーシャルワーカー・ソーシャルワーク教育者・政策実務家・開発者の結集