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IFMSA-Japan Standing Committee on Public Health

Gabaldon Project Official Report 2008-2009

http://ifmsa.jp


IFMSA-Japan SCOPH Gabaldon Project Official Report 2008-2009

目次 1

趣意

2

メンバー紹介

3

年間活動報告

4

現地活動日程

5

活動報告 5.1 JICA 訪問・病院見学 5.2 歯磨き指導 5.3 ORS(経口補水液)指導 5.4 聞き取り調査 5.5 栄養調査

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感想

7

決算報告

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謝辞

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最後に

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1 趣意 Gabaldon Project は、IFMSA-Japan(国際医学生連盟 日本)の公式プロジェクトの一つで あり、フィリピンにて公衆衛生の向上のための活動に取り組んでいます。今年度は、当初 の予定を大きく変更し、長野県の林歯科診療所・林春二先生にご紹介いただいた Project Site (プールボーリシタ孤児院・ワカス小学校)にて活動することとなりました。また、従来 のようなフィールドワークに加え、他の団体の活動を見学したいという意見もあり、JICA フィリピンの母子保健プロジェクトチーフコーディネーターの村上いづみ先生に貴重な時 間を割いていただきお話を伺うことができました。 Gabaldon Project は、以下の 3 点を目標に活動しています。 

現地の人々の公衆衛生に対する意識及び健康水準の向上、定着を図り、村民の自発 的な健康増進に貢献する。

フィリピンの学生との長期的、継続的な活動、交流を通し互いに視野を広げ公衆衛 生に対する知識を深める。

本活動を通して得られた経験を社会に還元し、自身もより良い医療従事者を目指す。


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2 メンバー紹介 氏名

所属大学

学年

役職

鍋倉大樹

宮崎大学

3

Project Coordinator

山田沙希

日本赤十字広島看護大学

3

Vice Project Coordinator 感染症班リーダー 小川顕太

旭川医科大学

2

Contact Person

小井川静香

首都大学東京

3

Staff

小寺加奈美

徳島大学

4

健康・保健指導班リーダー

角勇作

筑波大学

3

聞き取り調査班リーダー

住田莉佳

金沢医科大学

3

Staff

中村恵理

国際医療福祉大学

3

Treasurer 栄養調査班リーダー 藤戸孝俊

京都府立医科大学

4

Fundraising Manager

南里奈

近畿大学

3

Staff

山手亮佑

佐賀大学

2

Staff

吉田明史

佐賀大学

4

Staff 2009 年 9 月末現在

3


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3 年間活動報告 年

内容

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第 6 回日本総会 新メンバー募集

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Gabaldon Project 2009 始動

1

関西合宿@京都府立医科大学(17・18)

3

東京合宿@一橋大学・首都大学東京(28・30)

7

京都合宿@京都府立医科大学

8

現地にて活動(15~21 日)

10

第 7 回日本総会

2008

2009

この間、メーリングリストや不定期のオンラインミーティングを通じて、相互に連絡を 取り合いながら準備を進めていきました。


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4 現地活動日程 孤児院 1 日目 15 日

バランガイの様子を知る 聞き取り調査 孤児院 2 日目

16 日

栄養調査 子供とのふれあい

17 日

18 日

19 日

20 日

21 日

孤児院 3 日目 歯磨き指導・ORS 指導 JICA 訪問(Maternal and Child Health Project) 病院見学(Dr. Jose Fabella Memorial Hospital) 休息日 小学校 1 日目 聞き取り調査・歯ブラシ配布 小学校 2 日目 歯磨き指導・ORS 指導

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5 活動報告 5.1 JICA 訪問・病院見学(文責:鍋倉) ■ 背景 Gabaldon Project では、これまで、AMSA-Philippines の協力の下活動を行ってきたが、 他の団体がフィリピンでどのような活動をしているのか知る機会はあまりなかった。 そのため、現地で長期間にわたり活動を続けている団体を訪問させていただき、プロ ジェクトサイトを見学させていただいたりスタッフの方とお話をする機会を持たせて いただいたりすることで、私たちのような学生が取り組むには難しすぎるが現地で切 実に必要とされている支援の現状について知りたいという声がメンバー内から上がっ た。 そこで今回は JICA フィリピンにご協力いただき、JICA がイフガオ州・ビリラン州で 取り組んでいる Maternal and Child Health (MCH) Project について、Chief Advisor の村上 いづみ先生よりフィリピン保健省内の MCH Project 事務所にて直接お話を伺うことと なった。 ■ 目的 JICA フィリピン事務所を訪れ、Maternal and Child Health Project について知るとともに、 私たちが目指す国際保健のフィールドの最前線で活躍されている先生のお話を伺い、 モチベーションを高める。 ■ 村上先生のお話 先生のお話は、まず「公衆衛生とは何か」 という根本的な問いから始まり、その中に妊 産婦ケアが含まれることを示された。その上 で、妊産婦死亡の原因と、脂肪に関わる 3 つ の遅れについて説明がなされた。それは、家 族とコミュニティの判断の遅れ、患者紹介(リ ファーラル)の遅れ、医療施設での遅れの 3 つである。 その後、MCH がそれぞれの地域でどのような成果を上げているかについての説明が あった。その中で、この 2 州でプロジェクトが十分な成果を上げた理由として、既存 リソースを最大限に利用したこと、政治的な介入を利用したこと、経済的に自立して いるということが挙げられていた。これらは、学生の立場でそうしたアプローチを行 うのは非常に難しいことではあるが、私たちが今後目指す国際保健の現場ではとても


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重要なことだと感じた。また、先生が最後に 強調しておられた「独立のアプローチよりも 包括的アプローチの方が効果が高い」という ことも、プロジェクトをコーディネートする 立場として常に念頭に置くべきことだと思っ た。

■ 病院見学 村上先生より Dr. Jose Fabella Memorial Hospital をご紹介いただき、見学することがで きた。Gabaldon Project では昨年度もこの病院を訪れており、今年度も再度見学しよう と調整を行っていたものの実現せず、病院見学は諦めていたところだったので、先生 のご提案は大変ありがたかった。 Dr. Jose Fabella Memorial Hospital は 産婦人科と小児科を持つ公立の病院で、 以前は刑務所として使われていた建物 を利用している。病院として利用する ことを想定した作りではないため、空 調は十分整備されているとは言えず、 病室は扇風機で暑さをしのぐ程度であ った。NICU には冷房がついていた。 また、個室ではなく大きな部屋に何十 人ものお母さんや新生児が一緒に寝て いる状態である。病床数が足りず、1 つのベッドを 2 家族で共有している。 また、キリスト教国ではあるが、家 族計画(避妊)についても積極的に取 り組んでおり、院内にも避妊の重要性 を呼び掛けるポスターが掲示してあっ た。その他、ミルクバンクと呼ばれる 施設も併設されているが、今回は見学させてもらうことはできなかった。 昨年訪れたときとは若干ではあるが中の様子が変わっており、多尐新しくなりつつ ある部分もあるように思ったが、やはり設備が十分とは言えないと感じた。 海外の病院を実際に見学する機会はめったにないので、とてもいい経験をすること ができたと思う。

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5.2 歯磨き指導(文責:小寺・住田・南) ■

背景 発展途上国のむし歯率は非常に高い。フィリピンでは経済格差が大きく、十分な医療 サービスが受けられない子供が多い。むし歯になった際の治療法は抜歯が主流であり、 歯のない子供たちも多い。したがって、子供も大人も歯磨きに関する知識をもつこと が必要となる。

■ 目的 子供たちに自分の歯について興味をもってもらい、歯磨きの大切さを理解してもらう。 正しい歯磨きの知識を説明し、小さい時から歯磨きをする習慣を身につけてもらう。 そして大人になっても虫歯にならないよう心がけてもらう。 ■ 日時・場所 2009 年 8 月 16 日 マニラ郊外のバランガイ 2009 年 8 月 20・21 日 ワカス小学校 ■ 対象 各コミュニティ・小学校の子供 ■ 方法 ・ 子供達に歯磨きの重要性について話す。 ・ 歯みがき指導の紙芝居を読み、その後ドレミの歌の替え歌を使って楽しみながら 歯みがきの重要性を指導する。 ・ 紙芝居を始める前に日頃きちんと歯みがきをしているかチェックする。 ■ 歯磨きの重要性についての説明 HALINA

KAYONG LAHA(みんなあつまれ)

ANG LAHAT

GUSTO ANG KUMAKAIN DI BA

(みんなは食べる事が好きかな?) KAILANGAN ANG NGIPIN

KAPAG

KUMAKAIN(食べるためには歯が必要で

す) ALAM ANG

BA NINYO ANG MIKROBIYO SA NGIPIN(むし歯は知ってる?) MIKROBIYO

SA

NGIPIN

ANG

LUMILIKHA

NG

BUTAS

AT

SAKIT NG NGIPI(むし歯とは歯に大きな穴があくことです) ANG PAGKAIN

NG MATATAMIS NA PAGKAIN AY

IS

PANG PAHILA


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NIT(むし歯の穴が大きくなると痛くなります) ANG PAGBUNOT NITO ANG TANGING SOLUSYON(後は抜くしかありませ ん) PER

MAY

PARAAN

UPANGNG

MAIWASA

ANG

PAGSAKIT

NG

NGIPI(でもむし歯にならない方法があります) KAYA UGALING PAGKATAPOS KUMAIN AY

MAGSIPILYO NG NGIPIN

(食べた後に必ず歯を磨きましょう) 20BESES MAGSIPILY/NGIPIN

HARAPAN AT

JIKURAN

(1 箇所 20 回ずつこすりましょう) DAPAT PATAYO ANG

SIPILYO KAPAG NAGSISIPILYO NG NGIPIN

(前歯は縦に磨きましょう) BAKIT

IMPORTANTE ANG MAG NGIPIN(歯が大切な理由)

① PARA SAMALUSOG NA PANGANGATAWAN(丈夫な体のため) ② PARA SA ③ PARA

PAGTALAS NG MEMORYA(ものを覚えたり記憶を守るため)

SA PAG-NGITI O PAGTAWA(ステキな笑顔のため)

HUWAG KALILIMUTAN

ANG PAG-IIGAT SA MGA NGIPIN

(歯の大切さを忘れないでね) TAPOS NA

PO(終わりです)

BYE BYE (バイバイ)

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■ 紙芝居・ドレミの歌内容(数字はページ数、訳はタガログ語) 【紙芝居】 ①ケンは甘いものが大好きです。

Mahilig si Ken sa matatamis.

②今日も甘いものを食べて、歯みがきをせずに寝 ました。

Kumain siya ng matamis noong isang gabi, at natulog nang hindi nagsisipilyo.

③彼の口の中では・・・ . Sa loob ng kanyang bibig..


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④むし歯菌が口の中に残った食べ残しを食べて います。

Kinakain ng mga mikrobyo ang natirang pagkain sa loob ng kanyang bibig.

⑤むし歯菌がねばねばした液体を出して歯を溶 かしています。

Nagluluwa ng malapot na likido ang mga mikrobyo na nagdudulot ng pagkalusaw ng ngipin.

⑥ケンは歯の痛みを感じています。

Nalusaw ang ngipin, at naramdaman ni Ken ang sakit.

⑦目が覚めると朝でした。そうです、いままでの ことはただの夢だったのです。

Pagkasikat ng araw, nagising si Ken. Panaginip lang pala iyon.

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⑧「ああ、よかった!これからはきちんと歯みが きするぞ!!」

Laking tuwa niya na panaginip lamang ito. "Magsisipilyo na ako," sabi niya.

【ドレミの歌】 KAKANTA AKO NG DOREMI TUNGKOL SA NGIPIN (歯についてのドレミの歌を歌いましょう) Do:SABAY SABAY TAYO (みんなでやってみよう) Re:ITAAS ANG KANANG KAMAY (右手を上にあげて) Mi:BRUSHING NG PATAYO (前歯は) Fa:ANG NGIPIN SA HARAPAN

(たてに磨きます)

(奥歯は)

So:BRUSHING NG PAHIGA

La:ANG NGIPIN SA SULOK (横みがき) Ti:BRUSHING NG DALAWAMPUNG (一箇所 20 回ずつみがこう)

BESES ISANG LUGAR

HIPUIN NG DALIRI (指でさわって) KUNGMALAGKIT ULITIN PA

(ぬるぬるしたらやり直し)

PAHALAGAHAN NATIN ANG NGIPIN BYE BYE SEE YOU AGAIN

(とってもきれいになったでしょ)

(バイバイ、またね~)

■ 結果・考察 <マニラ郊外バランガイ> バランガイでは、子供 30 人程を対象に 歯みがき指導を行った。午前中に紙芝居、 午後にドレミの歌を歌っての指導を行っ た。 まず午前中は、ミシェルさんに歯みが きの重要性を伝える文章を読んでもらっ


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て、子供の注意を引き付けてから紙芝居を始めた。私たちが読んだ後に、ミシェルさん に繰り返してもらい、わかりやすいよう説明も付け加えてもらった。最後に子供達にお 菓子が好きか質問し、皆お菓子が好きということだったので、お菓子を食べたあとはち ゃんと歯みがきをするように指導した。 午後は食後ということもあり、歯みがきのやり方を説明する為、皆でドレミの歌を歌 った。ドレミの歌は皆が見えるよう、大きく模造紙に書いた。はじめに、私達スタッフ が 2 回ドレミの歌を歌い子供達に覚えてもらい、次に、子供達も一緒になって歌っても らった。30 人もの子供達が同時に歌うと途中でばらばらになってしまったので、揃うま で何回も歌い、最後には何とかみんなでそろって歌うことができた。子供達もちゃんと 歌詞を覚えてくれたようであった。 指導の後、バランガイの人々に歯ブラシを配布した。子供には歯ブラシ 3 本とお菓子 1 個を、大人には歯ブラシ 1 本とタオル 2 枚を配った。歯ブラシは林歯科から頂いたもの、 お菓子・タオルはポンセさんが準備して下さっていたものである。子供にはお菓子を食 べた後ちゃんと歯みがきするように 指導しながら配った。 全体を通して子供達は、歯磨き指 導を楽しみながらも熱心に聞いてく れたと思う。前日のアンケート調査 でも、歯ブラシのある家庭がほとん どで、大人は歯磨きの重要性を認識 しているように感じた。今回の指導 で、子供に対して歯磨きの重要性を 再認識してもらえたのではないかと 考える。反省点は、紙芝居とドレミ の歌の練習が不十分であったことである。今回はミシェルさんに多くの部分を説明して 頂くことによって結果的に子供にとって分かりやすい指導になったと思うが、本来は紙 芝居の状況の説明などより多くの指導を自分達で行うことができればよかったと思う。 ミシェルさんに深く感謝すると同時に、大変な負担をお掛けしたことを反省している。 また、実際に歯ブラシを使いながら指導するな ど、もっと指導の方法を工夫してもよかったか もしれない。

<ワカス小学校> 小学校訪問 1 日目は、午後から歯ブラシの配 布を行った。全学年児童数は約 500 人で、一人 3 本ずつ配布した。当初、小学校でも紙芝居と

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ドレミの歌を実施する予定だったが、訪問した日が平日であり授業もあるとのことで配 布のみとなった。そのため、歯磨き指導は行えていない。 訪問 2 日目は、小学校が休みということで子供達が生活しているコミュニティを訪問 した。あらかじめ通訳の方が地域の皆様に企画内容について説明していたため、当日は たくさんの子供達が会場まで来てくれた。会場は大人 10 人程が座れる長机と長イスを中 心とした、尐し小さめの広場であった。そのため、全ての子供達が入りきらず、3 回に分 けて同じ内容の歯磨き指導を行った。バランガイ同様、まず歯磨きの大切さが書かれた 紙を通訳さん中心に、皆で読んだ。次にカタログ語で書かれた紙芝居の文章を、紙芝居 と合わせて皆で読んだ。子供達は画用紙に書かれた紙芝居の内容を、一生懸命読んでく れた。そして、最後にドレミの歌を歌った。子供達はドレミの歌を全く知らなかったた め、まずスタッフで歌を歌い見本をみせ、次に子供達・通訳さんを交え歌った。音程は たまにズレながらも、子供達は楽しそうに大きな声で歌っていた。回数を重ねるごとに 子供達は内容を覚えた様子で、3 回目には元気に楽しそうに歌っていたため、私達もとて も楽しく指導を終えることができた。 小学校訪問 2 日間を終えて、子供達ほとんどに歯磨きの習慣があることが分かった。1 日 1 回と答える子もいれば、3・4 回と答える子もおり、主に 1 日 3 回の子が多いと感じた。 子供達の歯はとても綺麗で目立った虫歯はみられなかった。しかし、これからも歯磨き を継続的に行って欲しいと思った。

■ 謝辞 今回この歯みがき指導企画を実施するにあたり、去年に引き続き、長野県にある林歯 科診療所の林春二先生には多大なご協力を頂きました。また林歯科の今西裕介先生には 7 月の京都合宿にもお越し頂き、貴重なお話を聞かせて頂きました。今回使った紙芝居や、 ドレミの歌の替え歌は林先生から教えて頂いたもので、お陰で子供達にも楽しみながら 歯磨きの大切さを学んでもらえたと思っています。また、去年に引き続き、林先生から は歯ブラシを 1000 本も提供していただきました。この企画を無事実施することができた


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のも林歯科診療所の皆様の多大なるご理解とご協力のお陰です。本当にありがとうござ いました。

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5.3 ORS(経口補水液)指導(文責:山田・山手・小井川) 8 月 17 日マニラ郊外のスラム街にて、保護者を中心とした大人 20 人程度に対して ORS 指導を行った。ORS 指導を行うにあたって、住民が ORS を知ったときにすぐに実践出来 るような状態であるかを前日に聞き取り調査をした。 聞き取り調査では、下痢症に関連した生活環境などを知ることから始めた。塩、砂糖 は、全ての家にあるわけではないが、8 割程は所持していた。しかし、水は現地の人はと もかく日本人メンバーは、それにより下痢症となり ORS が必要となる状態になったので、 あまり水質状態は良くないと考えられる。 実際にレクチャーした 8 月 17 日は、村のある家の一角を使用させてもらい、ロールプ レイ、実演の順に行った。実演に関しては、住民参加型とした。 ORS 指導の際に、まず ORS がどのようなものなのか知っているかを質問したが、住民 の誰一人知っている人はいなかった。しかし、ロールプレイを行うと楽しくかつ真剣に 笑いがありつつも住民の関心を高めることが出来たと感じた。その証拠として、一緒に ORS を作る時には多くの人の参加協力を得ることが出来、参加者は一生懸命取り組んで おり、ORS に対する意識をもち、今後実践してくれるのではないかと感じることが出来 たことが私たちの進歩となった。 8 月 21 日には、バランガイのワカス地区にて実施した。対象人数は、10 名程度であっ た。前回同様に ORS を知っている住民はいなかったが、参加者全員各家庭に砂糖と塩と いった調味料は所持していた。前回の反省を踏まえ、効率よく実際に作成してもらうた めに、砂糖の容器やスプーンを多く用意した。さらに、準備物や手順を書いたものを小 学校の先生とバランガイのヘルスオフィスへ渡し、継続性のあるものにしてもろうと努 めた。 反省点としては、私たちが実際に行った際に使用した物品の水が反省点であったと思 う。水は、スーパーで購入した 500ML のミネラルウォーターを用いた。あまり見かけな いが、一番安くて P8 があるが、大抵 P15 から P20 が平均の値段である。 フィリピンの貧困層の人たちが、水を果たして買うだろうか? 500ML に結構な額を支払い、いくら医療系の学生に指導されたからといっておいしく ない水を処置として用いてくれるか? ORS がこの場かぎりのものにならないように住民たち自身が、ORS をつくるというこ とを行ってもらったが、作成時にペットボトルの水やこちらで用意したスプーンを用い てしまったため、後日家庭で行えるのか、正しい ORS が作成出来ず、効果的な結果が得 られない恐れもある。


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実際行ってみて、水・砂糖・塩を用いることだけで、下痢症からの脱水を防ぐことが 出来るということを本当に信用してもらえたのか不安になった。そこで、ORS の様な指 導は、信頼性が重要視され、関係性の構築の必要性を感じた。 今回行った ORS 指導では、住民たちは継続して行ってくれるはずだと感じていても、 それが本当となるか分からない。継続性を意識して行った Project の中の企画であったが、 その部分が不確かとなってしまった。私たちは今回、下痢症で苦しみ、病院に行けない 人たちがおり、下痢症で死亡する人がいるという状況を尐しでも緩和することが出来た らという思いで ORS 指導を行ったが、指導前後の住民の脱水状態の患者の減尐など、具 体的な数値が必要であり、今回の反省点を来年度以降で挽回し、成果は、今後とも生か していきたい。 以下が、聞き取り調査の結果と考察である。

■ ORS 班の聞き取り調査 まとめ 1.

トイレの状況 ・ 2/12 は洋式便座。10/12 のトイレは床に穴があいていたり、竹床の間から用をた したりしていた。 ・ 洋式トイレ以外はふたはなかった。 ・ ハエ取りはなかった。 ・ トイレに水が置いてあり、手でおしりを拭いていた。 ・ 便は海に流していた。 ・ 体洗い場とトイレが一緒にしてあるところもあった。 ・ 海辺から離れている家は、海辺の家のトイレやビニール袋に入れて海辺に流し ていた。

2.

ゴミ処理 ・ ゴミ箱はなく、床から落として海に流している家が大半で、中には焼いて処理 していない家庭もあった。 ・ 家下や川には沢山のごみがあふれている。

3.

食料の保存 ・ 冷蔵しないでそのまま置いていた。 ・ 4/12 の家庭では食料にカバーをかけている。 ・ 生もの(主に魚)に虫が集まっている。 ・ 食料は日陰に保存している。

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・ 魚・えび・豆・パン・貝・野菜が保存されていた。 ・ 調理済みのものには鍋蓋がかかっていた。 ・ 買ってきた日に食べている。

4.

洗剤の有無 ・ 手洗い場に石鹸がある。 ・ 6/12 の家庭は洗濯用洗剤で食器を洗っている。 ・ 3/12 は食器用洗剤で食器を洗っている。

5.

調理場 ・ 3/12 はプロパンガスを利用していた。ほかの家は、炭や竹を燃やして利用して いた。 ・ 状態は以下の写真参考


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6.

家畜の管理状況 ・ 1/12 の家庭でニワトリを食用、卵のために飼っていた。 ・ 外に野放し

7.

貯水 ・ タンクで水を買っている。この水を、飲水・生活水に使っている。

・ 洗濯で使用した水をためていた。 ・ 1 日に三回か、2 日に一回の頻度で水を汲んでいる。 *質問リスト* 1.

料理を始める際、手洗いをしますか? (料理を始める際手を洗う。 ) (12/12)

2.

料理のときは、どのような調理をしますか? (油があるときはあげるが、ないときはゆでている。ゆでることが主流である。 )

3.

ゴミはどうやって調理をしますか? (生ゴミは溜め場に置いている。)

4.

食器洗いは洗剤を使っていますか? (石鹸を使っている。 ) (12/12)

5.

子供に手を洗うように指導していますか? (手を洗う重要性を説明しながら指導している。) (12/12)

6.

衣類の洗濯は、どのようにしていますか? (石鹸とただの板を使用) (12/12)

7.

部屋の掃除は、どれくらいの頻度でしますか?

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(2 週間に 1 回、週 1 回、週 3 回、毎日×3、1 日 2 回) 8.

乳児はいますか?

9.

乳児に何をあげているのか?

10. お乳を一日に何回あげているのか? (1 ヵ月半―アラスカンミルク―1 日 3 回:母が死んだので、母乳をあげられない) (1 才― rice & water -1 日 3 回) (11 ヶ月― rice & breast milk ―1 日 3 回) (6 ヶ月―アラスカンミルク―1 日哺乳瓶 5 回)

■ ORS 班の聞き取り調査 考察 今回は、3 人の 2 グループに分かれて、各ご家庭に伺い、あらかじめ用意していた質 問を行った。その都度、台所や洗面所、トイレなどを見せてもらった。 まずは、トイレの状況である。きちんとしたトイレ(便器)があった家は 12 件中 2 件であった。それ以外の家庭では、トイレという場所はあるが、便器がなく、竹床の 隙間に便を出し、床下の海に流すという形式をとっていた。中にはトイレという場所 自体がない家庭もあった。海辺から遠い家は、ビニール袋に便を入れて海辺へ流した り、近所の家のトイレを使わせてもらったりしていた。どこの家庭でも大便をした後 は、トイレにおいてあるバケツの水を使い、手で拭いていた。石鹸は近くになく、不 衛生であった。 ゴミ処理については、海辺の家庭では、床から下に落として海に流していた。海自体 にゴミがたくさん浮いているため、掃除を行っても、潮の満ち引きでゴミが戻ってき て溜まるため、意味がないそうだ。中には焼却している家庭もあったが、何を燃やし ているかまでは確認できなかった。大多数の家庭で、床にゴミが溜まっており、不衛 生な状態であった。強い生ゴミの匂いがする家庭もあった。ゴミ収集車は一週間に一 回来ることになっているが、実際には、毎週必ず来るとは限らないようである。この 事が、ゴミをゴミ箱に貯めずに、海へ捨てる原因の一部になっているのではないかと 思われる。 食料の保存については、全ての家庭で冷蔵庫はなく、生魚などは日陰に置いてはいる が、そのままの状態で保存していた。買ってきた日に食べるそうだが、魚にはハエが 群がっていた。どの家庭でも調理済みのものには蓋がかかっており、調理すれば問題 ないという考えがあるのかもしれないと感じた。 洗剤については、食器用、洗濯用を区別している家庭は尐なかった。しかし、どこの 家庭でも食器・洗濯物洗いには洗剤を使う習慣があるようであった。しかし、ある家 庭では、使用済み食器を入れる金ダライにボウフラが溜まっており、衛生状態に問題 があると感じた。洗濯水は、何度も使い回しているため、とても濁っており、この水


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で洗濯しても汚れが落ちるか疑問に感じた。水道水がなく、水を買っているため、節 約の意味でこのような使い方をしているのでないかと思われる。指導の必要性を感じ たが、この村には、この村の人々の感覚があるので、私達の感覚で一方的に押し付け ることは難しいと感じた。 質問リストについては、料理の前に手を洗うか?・子どもに手洗い指導をしている か?という質問に対して、全ての家庭で YES であった。これは、衛生問題に対する気 遣いがあるという事だと思う。衛生問題に意識があるので、これからプロジェクトを 行っていくうえで、様々な衛生指導にも関心を持ってもらえるのではないかと感じた。 私達が聞き取りや観察を行って、全体を通して感じたことは、村の中でも貧富の差が あり、また衛生問題への意識の持ち方も様々であるということだ。掃除の頻度では、 毎日する家庭から、2 週間に 1 回の家庭まで幅が広く、意識の違いに驚かされた。また 衛生状態が比較的良い家庭では、テレビや扇風機、ガスコンロなどがあり、裕福であ ると感じた。生活には優先順位があるため、優先順が低いもの(衛生面など)はどう しても見過ごされがちになってしまう状況があるようだ。今後、衛生指導を行ってい くうえで、村の中での貧富の差というものを考えていく必要性があると感じた。

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5.4 聞き取り調査(文責:角・吉田) ■ 背景 自国とは異なる歴史的背景・文化を持つ国や地域で公衆衛生の向上を目的とした Project を推進する上で、我々日本人が持つ価値観や風習をそのまま持ち込み、押し付け るだけでは大きな摩擦を生んでしまう。現地の人々には彼らが独自に育んできた文化が あり、それを尊重しながら Project を運営していくことは、国際協力において必要不可 欠なことであると言える。 今回は、Gabaldon 地域に行けなかったこと、調査対象となる場所が現地入りするまで 全く分からなかったことから、聞き取り調査の本質である「現地の人々が何を求めてい るのか」及び、 「その為に我々ができることは何か」という 2 つに焦点を当���、この調 査を遂行した。 ■ 目的 現地の人々が抱える問題、彼らがどうすれば現在の状況を改善できると思っているの かを知り、来年度以降この Project を推進する上での判断材料を提供することである。 ■ 日程及び場所 派遣 2,3,4 日目 (8/15,16,17) クールシボタ孤児院、及びその周辺の集落 派遣 7,8 日目 (8/20,21) ワカス小学校、及びこの小学校に通う小学生が住む集落 ■ 対象 調査を行った場所に住む人々を無作為に選び、調査対象とした。しかし、私たちが調 査を行ったのは昼間であり、男は働きに出かけていたので、必然的に出産経験のある女 性が調査対象となった。 ■ 面接者 聞き取り調査担当の角、吉田が中心となり調査を行った。また、今年度の派遣に参加 した小井川、小寺、住田も調査に協力してくれた。 通訳は、現地で私たちの世話をしてくれたポンセさんとその専属ドライバーさん、現 地に住む人でタガログ語と英語が話せる人にお願いした。 ■ 方法 今回は調査に paper は使わず、口頭のみの open question 形式を採用した。我々が英語 で質問をし、通訳者にそれをタガログ語に翻訳してもらい、対象者に伝える。そして対 象者にタガログ語で答えてもらい、それを通訳者がまた英語に翻訳して我々に伝えても


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らった。2 つの言語を跨いでの調査となるので、対象者が醸し出す言葉の綾やニュアン スといったものは感じ取れなかった。 ■ 調査結果 以下に、各個人相手に調査した結果を箇条書きにする。また、その結果を調査した場 所別に「基本情報・家族構成、地域の状況、生活状況、経済状況、食事状況、歯磨き、 病気、母子保健、教育、迷信、望んでいること」の 11 項目に分け、別途記載する。 ※ただし、対象者別の欄には小学校での調査結果は記載しない。なぜなら、こちらの調 査では、調査対象が「個人」ではなく、学校という「組織」であるからである。

対象者別 聞き取り相手:孤児院周辺の集落の長(日本人) 場所:コベランディア road, プルボリスタ、ビナカヤン、カウイ (→土地を勝手に使っているので番地はないが、郵便物は届く) ・ 食事-1 日 2 食 おやつを 4 時~6 時の間にとる ・ 古米を食べる人が多い→古米の方が安い→スープ系のおかずが多い ・ 仕事がない人が多い→ある人がない人に皆に分けてあげる ・ フルーツがたくさんある ・ 魚を売りに来る→みんな好き ・ 歯磨きは 1 日 1 回→歯ブラシはある(しかし、おそらく高いため、かなり使い古され ていた) ・ 蚊に食われて、掻いて、化膿する ・ ココナッツの木からベッドに寄生虫が入り、発疹ができる ・ しかし、マラリア、デング熱などの熱帯に特徴的な疾患は発生していない ・ 病院に行くが、donation のみ(公立病院:60 円 個人病院:1000 円以上)→子供が高 熱を出した時に病院に行くことが多い ・ 満月の夜は危ない→明るいので、危ない人が出歩いていると言われている ・ ココナッツサラダ(ボコーサラダ、凍らしてあり、アイスみたいで甘い→牛乳は凍ら せないと長持ちしないから) ・ 6 割が学校に行き、4 割が行けていない 今、一番何を求めているか

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・ 水道が 1 番―往復 1km、20ℓ で 5 円、毎日 6 個必要。また、水を運ぶ台車を借りるに も 1 回 40 円かかる ・ 場合によっては、人を雇って水を汲みに行ってもらうので、それで 1 人当たり 40 円 かかる ・ 洗濯する日は、倍の水が必要となる ・ 2 番目は、地面が土であるので、セメントが必要(晴れ:ほこり 雤:ぬかるむ) ・ 川の反対側のリゾート地のオーナーが土地の所有権を持っている。国道を通したいと の申請が国からあり、そのオーナーが OK しているため、近々家を移動させなくては ならないかもしれない ・ お店があるため、ドロボーに何回も入られた ・ 3 番目は、公衆トイレ→部屋でビニール袋にトイレをする ・ ゴミは川に捨てている。満ち潮+雤で増水した時に家が水浸しになるため、家を底上 げしている。 ・ 毎日 3 輪車で市場に行き、食料調達(片道 2.5km) ・ 遠くに行き、安いものを買うか、近くで高いものを買うか→しかし、遠くに行くには 交通費が必要なので、バランスが難しい ネシータ・アリスガード(28 歳) ・ 仕事はない ・ 生計は、夫が建築の仕事をしており、お呼びがかかればそこに行くため、安定した職、 収入はない。 ・ 1 日 300 ペソ使えるが、 それで子供 4 人のミルク・食事代を賄わなければならない(1, 4,7,9 歳) ・ 食事は朝・晩の 2 回で、たまにお昼ごはんが食べられる ・ 今の生活状況を改善するためには、何が一番必要だと思いますか?→仕事!! ・ 公立病院に行くために、交通費や薬代を合わせて 60 ペソかかる ジョイ・アグスティン(22 歳) ・ 10 年間、ここに住んでいる ・ 夫と子供の 3 人家族。子供は 1 歳で、病院で出産した。現在熱があるが、薬を飲んで いる。 ・ 1 日 3 食食べている ・ 一日 220 ペソ使える ・ 塩と砂糖は持っているが、砂糖が尐し高いため、そんなに沢山はない ・ カトリック ・ この地域で、健康に良いと言われているものはありますか→グァバの葉


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ベルヒリヤ・バド(41 歳) ・ 9,11,14,16,19,21 歳の子供がいる。21 歳は学校に行って勉強していたが、もう やめてしまった。19 歳は高卒。16 歳は結婚している。14 歳は学生で、週 5 で学校に 行っている。9 歳も学生だが、時々休んでいる。11 歳に関する詳しい情報は得ていな い。 ・ 夫は仕事がない ・ 21 歳の子供がタクシードライバーをしており、彼が一家を支えている。しかし、免許 がすでに expired しているため、いつばれるかひやひやしている。 ・ 1 日 200~1000 ペソ使える。 ・ 食事はたいてい 1 日 2 食で、たまに 1 回 or3 回になる。 ・ 食事内容:noodle, egg ・ サリサリストアという small store があり、そこで食事を買っている。 ・ 病気になったら、交通費や薬代含めて、400 ペソかかる。 ・ 子供は全員家で出産。TBA が来て、出産した。 ・ TBA を呼ぶのに、500~1000 ペソかかる。 ・ 病気になったときは、とりあえずビタミンをとる。 ・ 電化製品は買ってきてもらう。電気代―700 ペソ ・ 水は外に汲みに行く ・ 家は自分で作った。 ・ 三輪車・ジープ・バスで外に買いに行く。 ・ ゴミ収集車が毎週金曜日に来て持って行ってくれるが、たいていは川に捨てるか、家 の下に落としている。 ・ 全員家で寝ている。1 つの毛布で 4~5 人が寝ている。 ・ 石炭・木炭で料理をしている。 ・ 学校は土曜日、日曜日は休み。 ・ やはり、一番仕事がほしい!!! トリニダード・カンニユーテ(73 歳) ・ 8 年ここに住んでいる。 ・ 8 人子供がいるが、7 人は外に出てしまっている。なので、38 歳の息子1人と 13 歳の 孫と 18 歳の孫娘と一緒に住んでいる。 ・ 息子がシーフードの小売業をしており、生計を立てている。 ・ 1 日 300 ペソ使えるが、それを 4 人で分けなければならない。 ・ 電化製品はない。 ・ 1 日 3 食食べている。

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・ おやつ等の間食(マリエンダ)はなし。 ・ 食事内容: 朝:パンとコーヒー 昼と晩:米と魚。いくつかの野菜は高いため、あ まり食べることができない。 ・ ゴミは外に捨てている ・ TBA の力を借りて生んだ。 ・ 最近肺炎にかかり、public center に行った。 ・ 下痢になったらどうしますか?→薬を飲んで、水をたくさん飲む ・ 仕事がないことが、一番の問題だと思っている!! ・ 体調不良→処方箋が必要ない薬を飲んでいる。 ・ ドラッグストアには 3 輪車で行く(片道 1km)が 1 人 7 ペソかかる。 リンダ(46 歳) ・ 子供が 9 人いる。24,23,20,19,16,14,12,8,3 歳。24 歳は singer。23 歳は結 婚した。学歴は小卒。20 歳も小卒。19 歳と 16 歳は高校で勉強している。14,12,8 歳は小学校で勉強をしている。 ・ 夫の仕事:漁師 ・ 一日 300 ペソ使える。 ・ 一日 3 食食べているが、時々2 食になる。 ・ 食事内容:

朝:パン・コーヒー

昼・晩:ライス・魚・野菜・other seafood(魚と

seafood は夫が採ってきたもの) ・ 電化製品:TV, 扇風機。DVD player とステレオは形だけあるが、機能していない。 ・ TBA の力を借りて、家で出産した。 ・ 最近、cough, fever, asthma にかかった→public center に motorcycle で行った。 ・ 下痢になったらどうしますか?→何もしない→水を飲んだ方がいいですよ→時々植 物と水を一緒に摂取する。 ・ 現在の生活環境を改善するためには、どうしたらいいと思いますか?→教育水準を上 げ、子供たちに全員 high school を卒業してもらわないと、仕事が出来ない。 ・ 水の値段:5ℓ で 2 ペソ。一日 25ℓ 使うので、10 ペソ必要。 離乳食 ・ 母乳→6 か月からオートミール。成長したら牛乳も飲む(アラスカンミルク:ブラン ド名)

項目別 【孤児院及びその周辺の集落】


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家族構成・基本情報 ・ネシータさん(28 歳) 1,4,7,9 歳の子供 ・ジョイさん(28 歳) 10 年間住んでいる。 夫と子供の 3 人家族。 子供は 1 歳、病院で出産。 (現在熱があるが、薬を飲んでいる。) 宗教は、カトリック。 ・ベルヒリヤさん(41 歳) 9,11,14,16,19,21 歳の子供がいる。 21 歳:学校に行って勉強していたが、もうやめてしまった。 19 歳:高卒。 16 歳:結婚している。 14 歳:学生で、週 5 で学校に行っている。 11 歳:詳しい情報はなし。 9 歳 :学生だが、時々休んでいる。 ・トリニダードさん(73 歳) 8 年住んでいる。 8 人の子供がいて、うち、7 人は外に出てしまっている。 38 歳の息子と、13 歳の孫と、18 歳の孫娘と一緒に暮らしている。 ・リンダさん(46 歳) 3,8,12,14,16,19,20,23,24 歳の子供がいる。 24 歳

:シンガー。

23 歳

:結婚した。

20 歳

:小卒。

19 歳・16 歳

:高校で勉強している。

14 歳・12 歳・8 歳:小学校で勉強している。

地域の状況 ・宇佐美さん 川の反対側のリゾート地のオーナーが土地の所有権を持っている。 国道を通したいとの申請が国からあり、そのオーナーが OK しているため、

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近々家を移動させなくてはならないかもしれない。 お店があるため、ドロボーに何回も入られた。 明確な住所はないが、郵便物は、きちんと届く。 生活状況 ・宇佐美さん ゴミは川に捨てている:満ち潮+雤で増水したときに家が水浸しになるため 家を底上げしている。 毎日3輪車で市場に行き、食料調達(片道 2.5km) 遠くに行き安いものを買うか、近くでも高いものを買うか、という状況。 (遠くに行くには交通費がかかるので、バランスが難しい) ・ベルヒリヤさん サリサリストアという small store があり、そこで食事を買っている。 電化製品は買ってきてもらう。 水は外に汲みに行く。 家は、自分で造った。 三輪車・ジープ・バスで買い物に行く。 ゴミ:ゴミ収集車が毎週金曜日に来て持って行ってくれるが、 大抵は川に捨てるか、家の下に落としている。 全員が家で寝ている:1 つの毛布で 4~5 人が寝ている。 ・トリニダードさん 電化製品はない。 ゴミは外に捨てている。 ドラッグストアには、三輪車で行く。 ・リンダさん 電化製品:TV・扇風機。 DVD player とステレオは形だけあるが、機能していない。 水の値段:5 リットルで 2 ペソ。 1 日 25 リットル使うので、10 ペソ必要。

経済状況 ・ネシータさん 仕事はない。 生計は、夫が建築の仕事をしており、お呼びがかかればそこに行くため、


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安定した職、収入はない。 1 日 300 ペソ使えるが、それで 4 人の子供のミルク代・食事代を捻出。 ・ジョイさん 1 日 220 ペソ使える。 ・ベルヒリヤさん 夫は仕事がない。 21 歳の子供がタクシードライバーをして、家計を支えている。 (免許がすでに expired しているため、いつばれるかひやひやしている) 1 日 200 から 1000 ペソ使える。 電気代:700 ペソ ・トリニダードさん 息子がシーフードの小売業をして、生計を立てている。 1 日 300 ペソで、4 人で生活している。 ドラッグストアに行くのに、1 人 7 ペソかかる。 ・リンダさん 夫の仕事:漁師 1 日 300 ペソ使える。

食事状況 ・宇佐美さん 1日2食、おやつ(ココナッツサラダ etc)が 4~6 時の間 古米を食べる人が多い(古米の方が安く、スープ系のおかずが多い) 仕事がある人が、ない人にわけてあげる フルーツがたくさんある 魚を売りに来る(皆好き) ・ネシータさん 朝・晩の 2 回で、たまにお昼ご飯が食べられる。 ・ジョイさん 1 日 3 食食べている。 塩と砂糖はもっている。 砂糖は尐し高いため、そんなに沢山はない。 ・ベルヒリヤさん 食事はたいてい 1 日 2 食で、たまに 1or3 食になる。 食事内容:noodle、egg。 石炭・木炭で料理している。

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・トリニダードさん 1 日 3 食食べている。 おやつなどの間食はなし。 食事内容:朝

…パンとコーヒー。

昼と晩…米と魚。 いくつかの野菜は高価で、あまり食べることはできない。 ・リンダさん 1 日 3 食食べているが、時々2 食になる。 食事内容:朝

…パンとコーヒー。

昼と晩…ライス、魚、野菜、other seafood。 (魚と seafood は夫が採ってきたもの。)

歯磨き ・宇佐美さん 歯磨きは 1 日 1 回(歯ブラシはあるが、かなり使い古されていた)

病気 ・宇佐美さん 蚊に食われて、掻いて、化膿する ココナッツの実からベッドに寄生虫が入り、発疹ができる マラリア・デング熱などの熱帯地方特有の疾患は発生していない 病院に行くが、donation のみ���公立病院:60 円 個人病院:1000 円以上) ←子供が熱を出したときに病院に行くことが多い ・ネシータさん 交通費や薬代合わせて 60 ペソ(公立病院に行くのに) ・ベルヒリヤさん 病気になった場合:交通費や薬代を合わせて 400 ペソかかる。 とりあえず、ビタミンを摂る。 ・トリニダードさん 最近、肺炎に罹患

:public center に行った。

下痢になった場合

:薬を飲んで、水を沢山飲む。

体調不良になった場合:処方箋の必要がない薬を飲む。 ・リンダさん 最近、cough、fever、asthma に罹患:public center に motorcycle で行った。


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下痢になった場合:何もしない。

母子保健 ・ベルヒリヤさん 子供は全員家で出産。 TBA が来て出産:費用が 500~1000 ペソ。 ・トリニダードさん TBA の力を借りて産んだ。 ・リンダさん TBA の力を借りて、自宅出産。 ・離乳食:母乳→6 ヶ月からオートミール。 成長したら牛乳も飲む。 (ブランド名:アラスカンミルク)

教育 ・宇佐美さん 6 割が学校に行き、4 割が行けていない ・ベルヒリヤさん 学校:土曜・日曜は休み。

迷信 ・宇佐美さん 満月の夜は危ない ←明るいので、危ない人が出歩いていると言われている ・ジョイさん グァバの葉:この地域で健康によいといわれているもの ・リンダさん 下痢になった場合:時々、近くの植物と水を一緒に摂取する。

望んでいること・今必要なもの ・宇佐美さん 水道が1番

:往復 1km、20ℓ で 5 円、毎日 6 個必要。 水を運ぶ台車を借りるにも、1 回 40 円かかる。

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場合によっては、人を雇って、水を汲みに行ってもらい、 1 人当たり 40 円かかる。 洗濯する日は、倍の水が必要となる。 セメントが必要:地面が土である為(晴れ:ほこり 公衆トイレ

雤:ぬかるむ)

:部屋でビニール袋にトイレをする。

・ネシータさん 今の状況を改善するために必要なもの:仕事。 ・ジョイさん 今必要なもの:薬・食べ物→そのためには仕事が必要。 ・ベルヒリヤさん 今必要なもの:仕事 ・トリニダードさん 仕事がない事が、一番の問題。 ・リンダさん 現在の生活水準を改善するために必要なもの :教育水準を上げ、子供達全員に high school を卒業してもらわないと仕事ができな い

【小学校】 学校の状況 ・児童数:522 名。 ・クラス:6 学年で、各 2 クラスずつ。 1 クラス、50~60 人。 ・授業 :7:00~17:00。 月曜日から金曜日まで。 子供達の状況 ・両親達

:仕事に就けていない。 (放課後、子供達は仕事をしているわけではない。 )

・一番の問題 :栄養不足(そのために、腹痛を起こしている。 ) ・病気について:感染症はなし。 下痢も特に見られない。


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経済状況 ・学校に行けない子供達:公立学校はお金がかからないが、 制服・文房具を買わなくては、学校に通えない。 そのため、これらを買えていない子供は学校に行けていない。 中には、ゴミ集めをして、生計を立てている子供もいる。

教育状況 ・教科書、ペン、ノートが不足している。 ・先生が、生徒にペンを貸している状況。 ・3 人から 11 人の子供で、1 冊の教科書を共有している。

望むもの 今、学校に必要なもの:①文房具 ②教材(テレビ、DVD player など高価なもの。 ) →子供にリスニングの能力をつけられる。 ③食べ物(中には、1 日 1 食の子供もいる。 )

■ 考察・感想 詳しい結果は上記の結果を見てもらうとして、ここでは家庭間で共通するポイントや 推測できることについて、考察する。

孤児院 家族構成・基本情報 ・ 子供が多い→中には子供が 9 人いる家庭もあった ・ 若い女性も高齢者の女性も、皆が家庭を守っている。 ・ 育てた子供が職を持ち、家計を支えているケースが多い。特に高齢者の方が家を守 っている場合は、夫が既に死亡しているケースが多かった。 ・ 全員が小学校や中学校、高校などの教育機関に通えるわけではない。 地域の状況 ・ 集落のある土地の所有権を持っていないため、しばしば衝突がおこる。 ・ 基本的には皆で助け合う共同社会を形成しているが、夜になると外部から人がやっ

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てきて泥棒に入られることがある。 ・ 正確な住所がないにせよ、郵便物は届く。これはきちんとしたコミュニティとして 認められているからなのか、郵便局の方々が単に配慮してくれているのかは分から なかった。郵便物配達人に話を聞ければよかったが、短い派遣期間中ではそれは叶 わなかった。 生活状況 ・ 集落が海の近くの川沿いにあるため、降雤と満潮の時期が重なると川が氾濫する。 よって、すべての家が 50cm 以上、場合によっては 2m 近く底上げされていた。家は すべて、彼らの手作りだそうだ。 ・ 生活するためには、水が一番大事だと現地の方々は考えていた。 ・ 電化製品がある家も、稀にだがあったことには驚いた。 経済状況 ・ 一日 300 ペソ程度(日本円では 600 円~750 円程度)使える家庭が多かった。しかし、 そのお金で子供たちを養わなければならないので、9 人も子供がいる家庭はどうやっ て子育てをしているのか非常に不思議に思った。

食事状況 ・ 1 日 2 食 or 3 食であることが多い。1 回の食事の量もそこまで多いわけではないが、 きちんと食事をしているようだった。 ・ 料理にはガスコンロはほとんどなく、家の中の端っこや台の上などで石炭・木炭を 使って料理していた。 ・ 収入が周りに比べて多く、割と生活に余裕のある人が、余裕のない人に対して食事 を提供したりしていた。私が回った家の一つに、子供を出産した際に母親が死亡し てしまい、代わりに子供を育てている人がいた。 「助け合いの精神」が強く根付いて いる印象を受けた。 ・ 食事内容から、炭水化物とタンパク質は摂取しているが、脂質とビタミン類は確実 に不足していると思われる。しかし、脚気やペラグラなどのいわゆるビタミン欠乏 症の症状を呈している人がいるかどうかは、今回調査できなかった。 歯磨き ・ 調査を行った全ての家庭に歯ブラシはあったが、かなり使い古されていた。おそら く、毎年このコミュニティに来ている先生方が渡してくださったものだろうと思わ れる。しかし、コミュニティ内の store や近くのお店でも歯ブラシは売っており、経


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済的理由を除けば、いつでも手に入る状況にあった。 病気 ・ 何故か、人によって病気にかかった際にかかる費用が異なっていた。病院にかかっ た回数が尐なく、たまたま高価な薬をもらったのか、もしくは専門的な治療を受け たために高くなったのかもしれないが、原因がよく分からなかった。医師が患者を だましている可能性もなくはないが、同じ医療従事者として、信じたくはないと思 った。 ・ 派遣以前に蔓延していると考えていたマラリア、デング熱などの熱帯地方特有の病 気は、我々が行ったコミュニティでは見られなかった。 ・ 咳や熱と喘息を同じレベルで見ていたので、おそらく症状と病気の区別ができてい ないのではないかと思った。 ・ 各家庭には、処方箋の必要ない薬が結構たくさんあった。日本の一般家庭と同じく らいはあると思われる。 母子保健 ・ 派遣以前に予想していた通り、TBA(traditional birth attendant:伝統的産婆)による自宅 出産が圧倒的に多かった。理由を聞くと、やはり病院での出産は高い費用がかかる からだと言っていた。 ・ 離乳食としては、オートミールが一般的に用いられていた。 ・ 栄養状態は決して良くないので、母乳が出ない母親たちも尐なくなかった。彼らは、 代わりに「アラスカンミルク」というブランド名の粉ミルクを代わりに与えていた。 理由は単に、 「アラスカンミルク」は他のブランドのものより安いからであった。 教育 ・ 日本と同じく、土日は学校は休みだった。 ・ 小学校に行けない人もいれば、高校まで行く人もおり、家庭の経済状況が如実に表 れていた。来年度以降、これを指標にその家庭の経済状況を計れるかもしれないと 思った。 ・ 小学校では英語を熱心に教えており、きちんと学校に通っている子であれば、小学 2 年生や 3 年生にもなれば、普通に英語で communication を取ることができていた。英 語という観点から言えば、日本よりも教育水準が高いと言わざるを得ないと思った。 ・ 日本では小学校に通うのは 6 歳からと決まっているが、現地では経済的な状況によ って、それ以上の年齢から小学生を始めることも尐なくなかった。 迷信

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・ グァバの葉がこの地域で健康に良いとされていることは予想していなかった。日本 では、確かにグァバは脂質や血圧を有意に減尐させる・腹痛の持続時間を短くする・ 血糖値を下げる(ラットによる実験では認められなかった)などの作用が報告され、 特定保健用食品として認可されている。これは昔からの言い伝えだそうであるが、 体調が悪い時にこれを飲めば全部治るという万能薬ではないので、きちんとした知 識が不足していることは否めなかった。 望んでいること ・ 村の長としての意見では、水道、セメント、トイレの設置が必要だと感じていた。 しかし、どれも現実には私たちが実施するには厳しいものだと感じた。 ・ 住民の方々の意見では、全ての人が「仕事がほしい」と言っていた。仕事がなけれ ば子どもを学校に行かせることができず、学校に行けなければ教育水準が下がり仕 事がもらえないという悪循環を彼らは感じ取っていたが、どうにもできず途方に暮 れているようだった。

小学校 学校の状況 ・ 小学校は日本と同じ 6 年制であった。 ・ 1 クラス当たりの人数は、日本より 10~20 人程度多かった。おそらく、先生が足り ていないからだろうと思われる。 ・ 授業は 7:00~17:00 と、とても長い時間勉強していた。これには驚きだった。 子供達の状況 ・ 栄養不足による腹痛を起こしている人が多くて困っているそうだった。しかし、感 染症もなく、下痢もほとんど見られないのは当初予定していた考えと異なっていて、 興味深かった。 経済状況 ・ 公立学校は通うのにお金がかからない事は知らなかった。 ・ しかし、文房具は理解できるが、制服を買わなければ学校に通えないというのはそ の理由がよく分からなかった。 教育状況 ・ 教育に必要なものが全て不足していた。先ほども言ったが、それなら制服制度を廃


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止してそのお金で教科書やペン、ノートを買えば良いと思ったが、その真意を問う ことはできなかった。 ・ ただ、今年度、文房具を配布した事は、子供達にとって、かなり有益になったと思 われるし、学校側からも、来年度以降の継続も要望された節があった。 望んでいること ・ 文房具、リスニング能力強化のための教材、食べ物が欲しいとのことだった。着て いる服や教育水準の高さから、この小学校に通う人々のコミュニティは、孤児院の コミュニティに比べて裕福だと感じたが、一方で譲り合いの精神は個人のコミュニ ティに比べて断然欠けていた。なので、もっと自分だけでなく、周りを大事にしよ うとする心を身につけさせることができれば、尐なくとも食べ物の問題は解決でき るのではないかと思った。 ・ また、先生方は、子供達に広い世界を知ってもらいたいと考えており、そのために パソコンが必要だと仰っていた。ただ、一気に情報がこの小学校や、子供達に、押 し寄せてくる事が、果たして、子供達の、また、その地区の将来を考えると、必ず しも良い事ばかりではないと思われる。

<反省> 今回の聞き取り調査は、直前になって調査対象となるコミュニティが変わってしまっ た。なので、現地の状況がフィリピン入りするまで全く分からず、大人や子供がどの程 度いるのか、どのような聞き取り調査が向いているのか分からなかった。そのため、当 初予定していた聞き取り調査は急遽行わず、国際協力の原点に立った「相手が何を望み、 我々が何を提供してあげられるのか」というこの 2 点に焦点を絞った聞き取り調査を行 ったつもりである。しかし、実際にどのような聞き取り調査を行うのかに関して、明確 な vision を班員内で共有できていなかったので、質問する内容も一つ一つの家庭によって ばらばらになってしまった。遂行する予定だった聞き取り調査が行えなかったからとは いえ、直前に質問用紙等を作成し、文書を用いて共通認識の拡大を図るべきだった。 聞き取り調査とは本来、 「相手を知ること」によってこれからの project の活動を円滑に しようとするものであり、ひいてはその場所でこれから活動をしようとしている人々に 正確な情報を与えるためのものである。しかし、そのような観点から言えば、今回の聞 き取り調査は失敗に終わったと言える。本当は科学的に確立された論文を作成したかっ たが、事前に得られた情報、及び事前調査が上手くいかず、行き当たりばったりの聞き 取り調査となってしまった。 来年度以降は、一つの Project Site に何年も通うことを想定した聞き取り調査を行いた いと思ったし、それをやらなければならないと思った。来年度はおそらく、今年度行っ

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た Project Site とは違う場所に行くだろうが、その新しい Site に関して、事前調査を徹底 的に行うことがとても大事なことだと思った。


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5.5 栄養調査(文責:���村・小川) ■ 背景・目的 GABALDON PROJECT OFFICIAL REPORT 2007 において小児発育調査が行われている。 その調査において発達障害の傾向が見られた。フィリピンにおける乳児死亡率は日本の 10 倍以上となっていることからも、小児の健常な発育を妨げる何らかの栄養面での要 因があり、それが死亡率増加に影響を与える 1 つの因子となっていると考えられる。ま た、小児時代の栄養状況が成人になった時の栄養状況に大きく関わるため。 ■ 対象 1.

生活マップ:孤児院の子供たち 15 人、8 件の家庭の母親

2.

アンケート:3,4 歳:5 人、5,6 歳:4 人、7,8 歳:1 人、9,10 歳 1 人、11,12 歳:6 人、 13,14 歳:2 人、19 歳:1 人、Total:20 人 に実施した。

■ 実施方法・形式 1.生活マップ 〈1.説明〉 これからみなさんに、いつも何を食べているか考えてもらいます。 ここにいろんな食べ物のカードがあります (前で見せる)。

STEP1.まず始めにそのカードを横に並べます。 よく食べるものを右に、あまり食べないものを左に置いて下さい。 食べない 滅多に食べない

普通 まあまあ食べる

よく食べる

ここに無い食べ物でよく食べるものはありますか?何かあったら手を上げて言って下 さい。 (先生に通訳してもらい、無地のカードに食べ物の名前を書き込み、付け加える。 後でわかるように英語とタガログ語の両方を書く。 ) STEP2.次に、そのカードを上下に動かします(前でやってみせる) 。 その食べ物をあなたが好きならば上に、嫌いならば下に動かして下さい。 STEP3. 最後にカードにシールを貼ってもらいます。 そのまま(生で)食べているものは何も貼らず、煮て食べている物には赤い シールを、焼いて食べている物には青いシールを貼って下さい。


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STEP4.終わったら手を挙げて下さい。 STEP5.写真を撮る。 (カードと台紙は使い回し) (時間があったら… 他の班と自分の班の結果を比べて見て下さい。同じところや違うところはどこですか?) 原稿 Hello everyone☆ My name is ○○○. I come from Japan!! Does anyone know about Japan? Japan is very beautiful place and the tradition and technology are mixed in Japan. If there are any opportunities, you should come to Japan! I am really waiting for you, guys.

Anyway, now, I want to conduct a survey about the current living condition of you. To be concrete, I want to know what you usually eat. I need your help. Will you give me your hands, please?

And now, we will do the game!! OK!? We will play the game using the cards of food. They are here. (Here, maybe we should explain the meaning of these cards.) Let’s start the game, you guys!! While the game, if you have any question, please don’t hesitate to raise your hand, OK!? 【STEP1】First of all, you will put these cards in a horizontal line. Please put the cards you often eat on the right side, and put the cards you rarely eat on the left side.

Not eat

Rarely

Sometimes

Often

Always

Is there any other food you usually eat but that is not here? Please raise your hand and tell us if you have something. 【STEP2】Next, you will move these cards to the up side or down side. (Demonstrate in front of them.) If you like this food, please move it to the upper side. On the other hand, if you don’t like this food, please move it to the down side.


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【STEP3】At last, please put a seal in the card. There are red and blue seals. Do you have these seals?

I’ll explain how to put a seal, OK?

Please don’t put any seal to the card if you eat the food raw, without being cooked. And, please put the red seal if you eat the food boiled. But if you eat the food fried or sauteed, please put the blue seal. 【STEP4】When everything is finished, please raise your hand. 【STEP5】Take pictures of cards to record. If you have time, please take a look and compare the result of another group and my group. Can you find out where the different points are?? Also, can you find the same points?? 〈2.実施〉 1.STEP1~5 の流れを 1 セットとする。これを、穀類、野菜、魚介類、肉類、果物の分 類ごとに STEP1~5 を行う (穀類で STEP1~5→野菜で STEP1~5…果物で STEP1~5) 。 よって 5 セット行う。 2.果物の STEP1~5 まで終わったら、カードを穀類、野菜、魚介類、肉類、果物ごとに 輪ゴムかクリップでまとめる。そして、今度は穀類、野菜、魚介類、肉類、果物に ついて STEP1~5 を行う。 〈3.注意点〉 ・孤児院では、食事を作っているおばさんにも生活マップを実施。小学校では、できれ ば職員にも実施。この場合、STEP1 は良く出す、あまり出さないなどに変えて、STEP 2は子供たちが好む、嫌うに変えて質問。 ・孤児院、小学校ともに人数が多いので、半分ずつに分ける、またはクラスごとで実施 する(1 回 30 人位だとやりやすい) 。半分に分けた場合、残りの半分は栄養班企画2の アンケートを行って欲しい。または違う企画をやるなどすると、時間の有効利用がで きる。 ・生活マップのやり方は低学年の子供にとって理解しにくい。よって、孤児院、小学校 ともに 3 年生以上(5、6 年が好ましい)の高学年に実施する。 時間が無くなる可能性があるので最上級生から順に行う(もし、子供の中で 7 年生が 最上級生なら 7 年→6 年→5 年…) 。

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生活マップ(模造紙に書く)

好き

食べない 滅多に食べない 普通 まあまあ食べる

よく食べる

嫌い

like

not eating

seldom

moderate

so-so

often

dislike

2.アンケート 〈方法〉 1 人ずつ子どもを呼んできて、アンケートに答えてもらう。英語訳のみの場合は、通訳 の方や学校の先生に翻訳してもらいながら行う。 その場で子どもに聞いて、集計用紙に『正』のように記入。問 10 は難しいので 5 年生


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以上に実施して下さい。問 10 は正解だったか、不正解だったかで判断する。もし、全体 的にわからなそうであれば、問 10 はカットしてかまわない。【Questionnaire form】の質 問をし、それを【Total form】に学年ごとに書き込む。1学年1枚使用する。 何年生かわからなくならないように、【Total form】の表の上にある学年を○で囲む。6 年生以上の場合は、学年を付け足して書き、○で囲む。 〈注意点〉 生活マップと違って質問の内容はシンプルで、低学年の子どもにもわかる内容である。 そのため、アンケートは全学年に実施する。本当は子どもたち全員に出来れば理想だが、 人数が多いため、最低1学年 10~15 人ずつ(できれば 20 人ずつ)、全学年に実施する。 そのため、1 人のアンケートにかかる時間を計測していると実施しやすい。 【Questionnaire form】 1.Do you like snack ,chocolate or candy and so on ? Yes/No 2.What’s your favorite one? Snack/chocolate/gum/candy/cola/home-made sweets/fruits/others( ) 3.How often do you eat snack ,chocolate or candy and so on ? days/once in a month

everyday/once in a few

4.Do you think snack ,chocolate or candy and so on are good for your health? Yes/No 5.Do you think it is OK to eat snack ,chocolate or candy and so on instead of meals? Yes/No 6.How many times do you have a meal in one day? Once/Twice/Three times/More than three times 7.Which one do you like the best vegetable, meat and fish? vegetable/meat/fish 8.Do you have well-balanced diet every day? Yes/No 9.What kind of food do you need if you answered ”No” in question number 8? vegetable/meat/fish

訳 1.お菓子は好きですか。 2.一番好きなお菓子はなんですか。

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3.どのくらいの頻度でお菓子を食べますか。 4.お菓子は体に良いと思いますか。 5.食事の代わりにお菓子を食べてもいいと思いますか。 6.1 日に何回食事をしますか。 7.野菜、肉、魚の中で何が一番好きですか。 8.毎日健康的な食事をしていますか。 【Total form】 The first grader

The second grader

The five grader

The third grader

The fourth grader

The six grader

5.Yes No 1.Yes No

6.once Twice Three times More

than

three

times 2.Snack

7.vegetable

Chocolate

Meat

Gum

Fish

candy Cola Fruit other 3.everyday Once in a few days

8.Yes No

Once in a month 4.Yes No ■ 結果 1.生活マップ 生活マップの方法は難しく、実施できなかったため、孤児院の子供を 15 人集め、「こ れ食べますか?」と聞き、複数手を挙げてもらう方法を取った。また、8 件の村の家を回 り、母親の意見も聞くことができた。


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〔孤児院でのワークショップ〕 表1 人数(15 人) bread

6

rice

15

tomato

10

onion

11

potato

0

okra

11

carrot

10

garlic

11

bitter melon

12

eggplant

0

sweet potato

12

seaweeds

9

shellfish

11

fish

0

shrimp

10

canned food

10

beef

9

pork

10

chicken

10

egg

8

banana

9

water melon

8

coconut pulp

10

pineapple

12

papaya

12

〔母親への聞き取り調査〕 穀類を A、野菜を B、魚介類を C、肉類を D、果物を E とした。 例えば、everyday の項目に野菜が 2 種類あったとしたらB+B=2Bと表記する。

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表2 軒目

everyday

a week

a month

not eat

1

B,2E

3B,E

2

6B,C,D,2E

A,B

B,C,2D,2E,

3B,C,2E

3

2A,B,C,D,E

5A,C,D

4

2A,4B,3C

4B ,2D,2E

5

A,3B ,C,D

A,4B,2C , 2B

B,2C,D, 3E

2B

6

2A,5B, 2C,D

B,E

2B,2C,2D, 4E

2B,D,

7

2A,3B,2C

2B,2C,2D,4E

8

2A,4B,3C,2D,E

3B,2E

3B,2D,3E

5B,2D, E B,E

2B,C,D,E


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襨ďź&#x201C; Everyday A

6

4

potato okra

1

carrot

3

2

1

1

3

5

4

1

1

1

1

5

1

1

1

1

6

1

1

2

3

bitter melon

5

1

sweet potato

3

3

seaweeds

5

1

shellfish

5

1

fish

2

3

1

1

3

shrimp

E

2

garlic

eggplant

D

not eat 1

tomato onion

C

a month

bread rice

B

a week

2

2

canned food

4

2

beef

3

1

pork

1

2

3

chicken

1

1

2

egg

3

2

banana

1

4

1

1

2

4

2

2

3

2

6

2

water melon coconut pulp pineapple papaya

1

3

2 1

4

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2.アンケート 孤児院の子供たちに実施。学年ごとに年齢のばらつきがあったため、年齢で分類する こととした。 表4 3,4 歳

5,6 歳

7,8 歳

9,10 歳

11,12 歳

13,14 歳

19 歳

total

5

4

1

1

6

2

1

20

1

1

1

1.Yes No 2.Snack Chocolate

1

4

Gum candy

2

2

Cola

2

1

1

1

3

Fruit

5

other

1

3.everyday

5

6

1

6 1

3

Once in a few days

1

1

6

2

1

19

1

1

Once in a month 4.Yes

4

4

No

1

5.Yes

4

2

No

1

2

4 1

1

1 1

12

2

2

1

8

1

1

1

10

5

1

10

6.once

1

Twice

1

1

Three times

4

3

1 1

1

1

1

5

5

1

14

More than three times 7.vegetable

2

Meat

1

fish

4

8.Yes

1

No

4

1

1

6

2

1

2

13 3 4

4

1

1

6

2

15 1

5


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■ 考察 まず、表2からは、ほとんどの家が毎日穀類、野菜、魚介類、肉類を摂取しているこ とがわかる。毎日摂取していなくても週 1 回は摂取しており、ほとんどの家で果物が週 1 回摂取となっている。また、全体的に見ると主食は米であり、野菜は玉葱、にがうり、 海藻、魚介類では貝類や缶詰が多く摂取されていることがわかった。それとは逆に日本 では馴染み深いじゃがいもやなすはあまり食べられていない。肉類はどの種類も平均的 に摂取しているが、果物の摂取が尐ないのが見て取れる。全体を通し、中でも野菜が多 く摂取されており野菜は豊富にあり現地の生活の大枠を担っていることが考えられる。 次にアンケート結果からもわかるように、食事に関しては全体の 3/4 の子供が毎日 3 食摂取しており、野菜が豊富にあるせいか野菜が好きという意見が多く得られた。ほぼ 全員の子供がお菓子を毎日摂取しており、何種類かのお菓子も手に入るようである。 「お 菓子は体に良いか、食事の代わりにお菓子を食べてもいいか。」との質問をしたところ 約半数の子供たちが Yes と答えている。表4より、この質問に対しての Yes の回答が 3 ~6 歳の子供たちに多いことがわかる。その反面、10 歳以上の子供たちは No の回答が 多かった。以上から「お菓子は体にいい」という考えは知識の面であって、成長すると ともに正しい知識に改善していくと考えられる。そのため、子供たちの栄養に関する意 識はあると思われる。 以上のことから今回調査した家庭では、ほぼ毎日様々な種類の食品を摂取できている と考えられる。子供たちが食べているお菓子も様々な種類のお菓子が食べられており、 村自体には食べ物が不足している様子はない。しかし、量的にバランスの良い食事がで きているかどうかは疑問であり、今後の課題にしていきたい。 ■ 反省点 まず、母集団が尐なく、子供たちがワークショップのやり方を理解できなかった。ま た、企画の完成が出発直前になってしまい、メンバー全員が企画の内容を把握し、方法 を統一することができなかった。そのため、高い信憑性に欠け、このデータだけで栄養 状態を把握するのは難しい。そのため、今後も継続した調査が必要になる。

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6 感想 ■ Calling 宮崎大学医学部医学科 3 年

鍋倉大樹

昨年の総会で今年度のメンバーの多くと出会い、もう 1 年が経とうとしている。うれし いこと、悲しいこと、苦しいことを常に一緒に乗り越えてきた。たった 1 年しか経ってい ないのかと思うほどこのメンバーの仲は深まった。 2 度目のフィリピン。2 度目のプロジェクト。言い方は悪いが、何もかも「それなりに無 難に」終わるだろうと予想していた今年度。しかし、現実はそう甘くなかった。 まさかのゴールデンウィーク派遣中止。AMSA-Philippines 自体が弱体化しつつあるという 情報は色々なところで耳にしていたが、こんな事態になるとは予想もしていなかった。 そんな混乱状態にあった僕を救ってくれたのは、紛れもなく、今年度メンバー、そして 周りの人々だった。励ましのメール、焦らないでいいよという言葉、そのどれもがありが たかったし、どん底に沈んだ僕の心をもう一度奮い立たせてくれた。 そして実際に迎えた夏の派遣。去年とは全く様子の違うコミュニティで、また別のフィ リピンの一面を見ることができた。雤季のために増水し、床下まで水に浸かる家。辺りに ゴミが散乱する中で生活する人たち。衝撃的な光景がそこには広がっていた。 たった 1 週間程度の現地訪問で何が分かる、と言われてしまったらそれまでだが、現地 の人と触れ合い、子どもたちと遊ぶという時間を過ごすことで、日本では決して感じるこ とのない何かを直に肌で感じることができたと思う。もちろん、それでフィリピンの全て を分かった気になってしまってはいけないが、この貴重な経験を通して感じた思いを 1 人 でも多くの人に知ってもらい、彼らにも自分の肌でそれを感じて欲しいと強く思う。 さて、もうすぐ今年度が終わり、来年度が始まる。メンバーも入れ替わり、このプロジ ェクトも新たな目標に向かってスタートを切る。 今年度を終わるにあたり、様々なことが感慨深く思い出される。年度初めに掲げた目標 に向けて全力疾走したつもりだったが、尐しは次に残せるものを生み出せただろうか。プ ロジェクト運営に関してど素人である自分が全てにおいて的確に動けたとも思わない。現 地にもっと何か残せるものがあったのではないか、メンバーがやりたいことを全力で支え ることはできただろうか、そんな自問自答はいつまでも続くが、これからも IFMSA-Japan に関わる者として、このプロジェクトを支え続けていきたいと思う。


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■ Gabaldon Project を終えて 日本赤十字広島看護大学 3 年 山田 沙希 今回、Gabaldon Project に参加させてもらえたことは、私にとってとても価値あるものに なりました。私はもともと公衆衛生や国際医療保健に興味がありましたが、どう活動して いいか分かりませんでした。しかし、去年の NGA でこの Project に出会い、そこから私の 1 年を輝かせる活動が始まりました。フィールドに行って何かを感じるということは当たり 前。しかし、私にとっては Project を立てていく段階全てにおいて新鮮でした。日本各地に いるみんなで話し合い、現地のニーズ、継続性があるものにと考えることが出来ました。 企画終盤での、AMSA-Philippines との関係性、フィールドの変更といったハプニングもあり ましたが、林歯科の支援を受け、今年も現地で活動することが出来ました。 現地に入り、2 つのコミュニティで健康教育(歯磨き・ORS)と聞き取り、栄養調査を行 いました。どちらのコミュニティにおいても大勢の住民が興味をも持ち、参加し、健康に 関する知識を持ちかえろうという姿勢が見られ、私たちが実施している価値があると思う ことが出来ました。ただ、ORS 指導などこの Project 実施以降実際に行っているのかは不明 ではありますが……。そのため、住民と私たちの信頼関係がとても重要だとさらに感じま した。 毎日夜遅くまで、メンバーと話し合いを重ね、よりよいものになるように一生懸命 Project を練り、住民のためにと様々な工夫をし、そのような話し合いを重ねる上で、メンバー間 の絆がとても強くなったように思います。時には、良いものにしようという思いがぶつか り合い、衝突することもありました。しかし、衝突をも乗り越えて、この Project を完成へ とつなげているという過程を実感することが出来ました。さらに、健康教育だけでなく、 JICA にてお話を伺う機会や病院見学を行い、日本の病院との比較をすることが出来、何が 必要か、何が足りないのか自分の目で見て感じることが出来ました。 今回自分たちの成果を感じることが出来ると同時に反省点も多く見出すことが出来まし たが、それらは Project を実施しないと気付けないことばかりでした。 最後になりましたが、私たちの活動に賛同してくださり、たくさんの協力をして下さっ た林歯科、ポンセさんとミシェルさんを中心とした現地でのサポートをして下さった方々、 派遣メンバー、日本で支えてくれたメンバーに本当に感謝しています。多くの人たちの支 えによって Project はつくられ、公衆衛生の活動の継続性が保たれていることを身にしみて 感じました。私は、今回の経験を生かし、来年度以降の公衆衛生の活動に取り組んでいき たいです。 公衆衛生に興味がある多くの医療系学生の人たちに学生の間にしか出来ない経験、仲間 との絆、そんな経験を、出来るだけ大勢の人たちにしてもらいたいと感じています。

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■ ガバルドンプロジェクトを終えて 佐賀大学医学部医学科 2 年

山手亮佑

今、日本に帰ってきて一週間。フィリピンでの 7 日間が、まるで昨日のことの様に思い 出される。人生 22 年とちょっと!最高に楽しく、最高に思い出深い 7 日間でした。 始めは、発展途上国の人々はどのような生活をしているのだろうかという興味本位で参 加した、このプロジェクト。甘かった・・・。経験豊富なメンバーの会話を聞いて、 「俺っ て場違いなんじゃないか」と感じたことも何度もあったし、やめた方が良いんじゃないか と真剣に考えたこともありました。しかし、何もせずに待っていても状況は変わらない。 そう自分に言い聞かせ活動を続けてきました。 ・・・やめなくて良かったー!今、心の底か らそう思います。 最初にフィリピンに到着した時、その光景に驚かされました。スラム街のように乱立す る家や建物、人すれすれに走る車、信号停止の車に近づき花を売る女の子、路上で寝る老 婆、下水の悪臭、日本では決して経験できないものでした。実際にプロジェクト始めると、 想像以上の状況に、さらにカルチャーショックを受けてしまいました。食用の魚に群がる ハエ、トイレもお風呂もなく床にゴミが散らばる家、ゴミが一面に浮き異臭を発する海、 自分は恵まれ過ぎていると思わず反省してしまいました。しかし、そんな状況でも、子ど も達は本当に元気で無邪気でした。彼らといると自分も元気をもらえるようでした。子ど も達だけでなく、村の人々が笑顔で幸せそうでした。この状況を知らないみんなにも、現 状を伝えたいと強く思いました。 コミュニティがなくなって、白紙に戻し、一から作り直した企画もうまくいって良かっ たと安心してます。栄養調査、聞き取り、歯磨き指導、ORS 指導の成功は、みんなの努力・ 協力の賜物だと思います。活動の前日まで、みんなで話し合い、手直しを加えていた時間 が懐かしく感じます。なべたい、あにゃ、すみすみ、あっきー、けんた、しぃぽん、りな、 りか、かなみぃ、えり、本当に感謝してます。真剣にプロジェクトとか将来について話し たり、くだらない恋愛話したり、みんなと過ごした 7 日間は俺の一生の宝物です。 最後に、現地でお世話をしてくださったポンセさん、ミシェルさん、またそのご家族。 企画のお手伝いをしてくださった現地の方々。企画を最後まで見てくれた子ども達とその 親御さん。アドバイスをくれた IFMSA の先輩方。言うまでもなくメンバーのみんな! 本当に、本当に、ありがとうございました!!


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■ Gabaldon Project に参加して 徳島大学 4 年 小寺 加奈美 私は 2008 年の日本総会でガバルドンプロジェクトの存在を知り、自分と同じ大学生が実 際に世界に飛び出し、自分たちで考えた企画を行っているということを知って、自分もぜ ひチャレンジしてみたいと思い、参加を決めました。将来、国際保健に関わってみたいな という漠然とした希望もあり、実際フィールドを見てみたいという思いもありました。 プロジェクトに参加してからは、全国のメンバーとスカイプを使ってのミーティングを重 ねる日々が始まりました。 「フィリピンで今おこっている問題は?」「必要とされているこ とは?」 「企画の継続性は?」「この企画、本当にフィリピンの人の役に立つの?」と、み んなで議論をしました。それからは、実際に集まって話を進めたり、企画が徐々に出来上 がっていきました。企画を作り上げる上で、 「フィリピンの状況が分からない」ということ で悩むことが何度もありました。ガバルドンの合宿でお世話になった坂東先生からは、国 際協力に必要なのは、相手が何を必用としているのか、また援助を受けてどの様に感じる かを考える「想像力」であり、上手く企画をすすめるためには、現地の人を巻き込んで、 現地の人が企画を行うことが重要であるというアドバイスを頂きました。企画を考えてい くなかで、国際協力の難しさ・奥深さ・おもしろさを感じることができた瞬間でした。 そして、派遣。今までは「どんな場所で、どんな人が住んでいて、どんなことで困ってい るの?」と思い描くだけだった場所に自分がいる。報告書で見るだけだった現場で、フィ リピンの人と実際に話ができる。とても充実した日々を過ごせました。実際に話をした中 でとても印象に残っている人がいます。 「病気になったとき、どうしますか?」と質問をし たときに、涙を浮かべながら「お金がなくて、食べ物がなくて」と語るお母さんです。話 を聞くなかで、つらい気持ちがひしひしと伝わってきました。私達がフィリピンでした活 動がフィリピンの人達に与えた影響はわずかなものだったかも知れませんが、実際に現地 にいって現地の人の気持ちを知るということは、私にとってとても大きな経験となりまし た。もう一つ印象に残っているのは、子供達の楽しそうで明るい笑顔。みんな人懐っこく、 すぐに心を開いてくれて、派遣の間じゅう私達を楽しませてくれました。私達の行った、 歯磨き指導や ORS の指導が尐しでもあの子供達の役に立つことを祈ってやみません。また、 ポンセさん御一家には、通訳から食事から送り迎えまで、本当にお世話になりました。私 達の派遣を忚援し支えて下さったすべての人達に感謝の気持ちでいっぱいです。そして最 後に。派遣中は、今まで一緒に頑張ってきた仲の良いメンバーと過ごせて毎日楽しくて、 もう帰りたくないと思うほどでした。実際派遣に参加できなかったメンバーも含めて全員 が頼りになるし話していてもとっても楽しいメンバーで、みんなと一緒にプロジェクトが できてよかったと思っています。 この報告書を読んで興味を持った皆さん、ぜひ新しい一歩を踏み出してみて下さい!!絶 対に素敵な体験が待っていますよー!!

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■ Salamat ♪ 首都大学東京 3 年 小井川静香 私は去年の NGA で初めて IFMSA に出会い、Gabaldon に出会いました。そこで、去年の Gabaldon Project のメンバーが川遊びをしている写真をみて、自分も楽しく川遊びをしたい!! フィリピンの学生と仲良くなりたい!!と本当に単純な理由で、この Gabaldon に参加するこ とを決めました。 Gabaldon。今とはなってはどこにあるのか…、この Project の名前も不明です。というの も、今年は去年とは活動場所が変わり、学生ともうまく連絡とれず、ガラッと変わった年 でした。今年は林歯科さんに紹介してもらったコミュニティでの活動をしました。新しく なる Project でどんなことになるのか、自分ががんばれるのか…、とても不安でした。でも、 Project が終わった今、本当に今年 Gabaldon に参加できてよかったと心から思います。この 活動で関わることのできた人々との出会いや初めての経験が、とても楽しく、今後の糧に なるものになったとおもいます。 スラム街であるバランガイとは、竹で作られている家々の集まりです。聞き取り調査の 時には、たくさんの家に上がらせていただきました。調査の時、家の床が壊れていて、床 のない家の状態を見ていました。床から見えるものはゴミの山。このゴミは海から流れて くるものや、住民たちが捨てているものであり、この環境で住んでいることに衝撃でした。 はじめて歩くときは、不安定な足場で、下に落ちてしまわないかドキドキしていました。 実際に、聞き取り調査を行ったある大人 6 人入っている家で、“ズンッ”と床が下がって、床 ごと下に落ちてしまわないかヒヤヒヤしました。また、聞き取り調査の初日の一番初めの 家で、私とかなみぃーで聞き取り調査をさせてもらった家では、“No money, No food”とお母 さんが涙を流して言っていたことも、とても衝撃的でした。病院へはどうしているの?一 日 3 食食べているの?子供は学校に行ってるの??など私たちが様々な質問をしてみても、 すべての答えには”No money”。この家はこのバランガイの中でも特に貧困の家だったので、 特にこの答えが多かったのだと思います。この環境や貧困の中でも、“人”はとても優しく、 温かく、明るく、みんなキラキラした笑顔でした。テレビを見ている家に自然に人が集ま ってきたり、足りないものは補いあっていたり、大きい子が小さい子の面倒を見ていたり、 コミュニティの強さも感じました。 ワカス小学校では、子供たちみんなが手作りの日本の国旗を振り、“Welcome to wakasu” という手作りの看板も用意してくれていて、先生や子供たちが笑顔で迎え入れてくれたの で、とても嬉しく、たくさんの元気をもらえました。バランガイでも小学校も、男の子、 女の子、おかまチャン、みんなと、踊ったり、歌ったり、追いかけっこしたり…たくさん 子どもと遊べて、本当にフィリピンからたくさんの笑顔をもらいました。 何か現地に還元できることをしたい!!とおもって、企画を計画してきたけど、与えたもので なく、フィリピンから与えられたもののほうが多かったです。また、メンバーからもたく さん刺激を受けました。

みんなありがとう!! Salamat!!


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■ Gabaldon project に参加して 金沢医科大学看護学部 3 年

住田莉佳

ガバルドンプロジェクトとの出会いは去年の 10 月の日本総会でした。 昨年度の報告を聞き、 自分にもなにかできることはないだろうか、実際に行ってみたい。そういう思いと同時に、 個性豊かで明るいメンバーがいたから、自分もいつの間にかその輪の中に入っていました。 フィリピンでの生活はとてもあっという間に終わってしまいました。私は孤児院 2 日目か ら合流しましたが、子どもたちはとても明るい笑顔で私と向き合い、会話が通じなくても、 遊ぼうと誘ってくれました。始めはカタログ語が全くわからず、困惑して苦笑いというよ りひきつり笑いという状況でしたが、次第にジェスチャーや言葉をまねしていくことで自 然に笑うことができ、距離が縮まったように感じました。しかし、その一方で聞き取り調 査の時に一軒一軒訪問して、トイレなどの衛生面がほとんど整っていないという現実を知 りました。板の間から下を覗けば川が流れているという状況や、机の上にはアリがたくさ んおり、お皿の中にも入っているという状況に驚きました。私達にとって考えられない生 活が現地の人にとっては当たり前で、そしてむしろご近所づきあいもさかんなため、人と 人のつながりがとても強いと感じました。日本でもこのような人と人との関係を大切にし た環境がよりたくさんあるといいなと思いました。 小学校では、初日に小学校の子供たちが日の丸を掲げ歓迎してくれて、とても嬉しかった です。その時は本当に感激して鳥肌が立つくらいでした。小学校でも子供たちは自分から 話しかけてきてくれて、たくさんの子と尐しずつお話することができました。歯ブラシの 配布時も、ありがとうと何人もの子が可愛い笑顔でお礼を言ってくれて、とても嬉しかっ たです。小学校 2 日目では、現地の遊びに触れることができました。子どもたちはとても 明るく、私も急にダンスをふられたりジャンケンをしたりと、忙しくも楽しく遊ぶことが できました。 双方の訪問を終えて、改めて自分たち日本人が現地の人のために一体何ができるのだろう。 と考えるいい機会になりました。この課題はこれからもずっと私達の課題であり、かつこ の答えを見つけるためには現地から目を離さず継続的に支援していくことが必要なのだと 思いました。 孤児院・小学校訪問の他に JICA 訪問・病院訪問もとても勉強になりました。今回の派遣を 通して、異文化について理解を深めることができたと思います。また、この理解したこと をより多くの人に伝え、自分の情報をより多くの人につなげていきたいと思います。 最後に、一時はなくなりかけたようにも思えたガバルドンプロジェクトを救ってくださっ た、林先生やその周りの方々に大変感謝します。この御恩は、自分の感じた・学んだこと を多くの人に伝えることで返していきたいと思います。たくさんの先進国、とくに日本人 が発展途上国の状況に目をそらさず、受け入れ、何かを感じてもらえるように、これから も活動していけたらいいなと思います。

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■ Gabaldon Project

感想文 筑波大学 3 年 角 勇作

私は今年一年間、Gabaldon Project 聞き取り調査班のリーダーとして活動してきた。 IFMSA-Japan の活動にかかわるのはこれが初めてだったし、昨年度の日本総会でこの project の存在を知ってから 2 カ月近く経ってからこの Project と関わりを持ち始めたので、最初は 自分が何をするべきかまったく分からなかった。とりあえず、自分がやりたいと思ってい たことをやろうと思い、聞き取り調査をやることにしたが、この調査の準備をするにあた り、非常にたくさんの困難があった。 まず初めに、学術的に正しい、科学的に確立された論文を作成するのは、非常に難しい ということである。以前フィリピンで聞き取り調査を行い、論文を作成した経験のある方 にいろいろお話を聞いたところ、 「手始めに看護研究の本を読むと良い」とアドバイスを受 けて読んでみたが、衝撃を受けた。聞き取り調査がこれほどまでに奥深いものだとは知ら なかった。医学と同じで、あらゆる研究が行われてきて、その上に成り立っている一つの 学問なのだと、その時初めて知った。 さらに、一言で聞き取り調査と言えど、何十種類もの調査方法、研究方法があり、今回 どの方法で調査を行うべきか決定する時点で私の頭を悩ませた。それぞれに利点と欠点は あるが、この段階でまだ誰が夏派遣に参加できるか明確ではなく参加人数が分からなかっ たし、第一私は Gabaldon に行ったことがない。現地の状況が全くイメージできなかったの で、大人を対象に口頭で質問をしたほうが良いのか、質問用紙を配って記入してもらった 方が良いのか分からないし、何をどうしたらいいかで右往左往し、ほとんどこの企画が前 に進まない時期があった。しかし、これは当たり前のことで、大学院生や専門家が 2 年や 3 年もかけてやっていることを、一学生である私たちが 1 年でやろうというほうが無理があ る。 結局、調査としては一番簡単な、 「先行研究をと同じことを行う」という方針で固まった。 これならば、まったく同じ調査を行うだけで十分確立された論文を作成することができる からだ。 しかし、今年は Project Site が直前になって変更になった。私が行おうとしていた調査は 成人向けの調査であったが、新しい Project Site が「孤児院と小学校」であったため、この 調査を行うことは無理だと判断した。最終的に、夏派遣一ヶ月前になって「相手が何を望 んでいるのか・年に一回しかここには来ることができないが、何か我々に出来ることはな いか」という質問を相手にぶつけることにした。 今年の聞き取り調査は私としてもとても不本意なものとなってしまったが、これは私の 事前準備が足りなかったのが原因の一つとしても考えられる。なので、来年度もこの Project を続け、来年度こそはきちんとした聞き取り調査をしたいと思っている。


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■ このプロジェクトでの貴重な体験 近畿大学 3 年 南里奈 今回初めて参加したこのガバルドンプロジェクトの派遣は私にとって、とても刺激的で、 印象的なものでした。フィリピンに滞在した 6 日間、すべてが新鮮なものでした。 私がこのプロジェクトに携わったのは去年の NGA が、きっかけでした。以前から国際保 健の分野に興味があり、このような活動に参加してみたいと思っていた私は、先輩の誘い もあり、スタッフとしてこのプロジェクトに 1 年間関わっていくことにしました。 いろいろトラブル、変更もありましたが、1 年間準備を重ね、夏派遣に至りました。8 月 14 日、尐々の不安を抱えながらも私はフィリピンへ飛び立ちました。 私にとって初めてのフィリピンは、何もかもが新鮮で刺激の連続でした。私は、孤児院 と JICA の訪問しか行けなかったのですが、とても貴重な経験をさせていただきました。 一番印象に残っているのは、子どもたちの笑顔です。子どもたちはみんな元気で、好奇 心旺盛で、私たちにとても懐いてくれました。私は、彼らの飾らない素直な笑顔に逆に元 気づけられました。この派遣で、私たちは現地の人々の支えになるような何かがしたいと 思いフィリピンに行きましたが、与えてもらったのはむしろ私たちの方で、現地の人々の おかげで、いろいろと学ぶことができました。現地で私たちができることには限界があり ます。今回行った生活用品の援助や、生活面での指導。たとえ、私たちが日本で医師の資 格を得たとしても、フィリピンでは医療行為はできません。その限られた中で、現地の現 状を知り、私たちにできることは何なのか、私たちがするべきことは何なのかを話し合う こと、それが今の私たちにとっての課題なのだと思います。つまり、私にとってこの派遣 は、これからの自分自身を考えていく上での新しいスタートだと言ってもいいと思います。 私自身、このような活動に参加するのは初めてで、最初は何をするべきなのか、何を目 標としていけばいいのか、まったくわかりませんでした。スタッフのみんなにも多くの迷 惑をかけてしまいました。しかし、この 1 年を通して、スタッフのみんなと出会えたこと、 一緒にこのプロジェクトに関われたことは私にとってとても大切な思い出になりました。 いろいろトラブルもありましたが、みんなで支えあい(私の場合支えられた面の方が多い のですが・・・) 、1 年間派遣に向けて準備を進めてきました。ガバルドンプロジェクトの みんなと頑張ってこれたからこそ、この 1 年間続けてこられたのだと思います。みんな、 ありがとう、そしてご苦労様でした。 最後に、いろいろな方々にご協力いただいたからこそ、私たちはこのような貴重な体験 をすることができました。現地でサポートしていただいたポンセさん一家の皆様、お話を 聞かせていただいた JICA フィリピンの村上先生、日本で支えていただいたスタッフの皆さ ん、そしてガバルドンプロジェクトのみんなに、心から感謝の気持ちを伝えたいです。本 当にありがとうございました。

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■ Gabaldon project 感想 佐賀大学医学部医学科 4 年

吉田明史

今回のプロジェクトは、このプロジェクトを 3 年間やってきた僕にとって、集大成とも いえるもでしたが、今回は、無事に全日程を乗り切ることができてよかったです。 今回のプロジェクトは、今までとは違い、ほぼ全日程を活動に費やすことができました。 しかも、今回は、フィリピンの学生と一緒というわけではなく、現地のポンセさんという 人の力も借りましたが、ほとんど自分たちの力でやらなければならないような感じでした。 しかし、現地のスタッフさんのおかげで、マニラ近郊のスラムと小学校に、丁重に出迎え ていただき、温かく迎えてもらえました。 このプロジェクトでは、僕は、聞き取り調査班でしたが、企画書を書き直したり、一か ら作り直したりの連続でした。それは、現地の調査対象地域が変更になったりとか、自分 が作った聞き取り調査の企画書が、1 回の聞き取りで、データを集めたり、それを分析する には、あまりにも難解すぎえてしまうものばかりだったからです。ここに、聞き取り調査 をやる上での苦労を感じました。実際、現地の要望を聞いて、それに対して自分たちが何 ができるかを考える、そのベースとなるべき、聞き取り調査だったのですが、僕は、その 本来の目的から外れたようなことを企画書の中の質問項目に載せており、浅はかだったと 反省しています。 でも、実際、現地で活動してみて思ったのですが、こっちから、質問項目をいろいろと 考えていくよりも、実際、現地の人の話に耳を傾けるということが最も重要だということ を感じました。現地の人は、しっかりと自分たちが、どういう状況に置かれていて、何が あれば、自分たちの生活環境を変えることができるかということをきちんと認識されてい たように思えました。ただ、それらを改善するにしても、自分たちができることは、あま りにも限られているのだということも深く実感しました。現地の人が、仕事を必要として いるとしても、僕らが雇用を創出することはできるわけでもないですし、僕らがお金など を持って行っても、現地の人たちの生活の自立を促すことにつながらないことも考えられ ます。今回の結果を基に自分たちが何ができるかというのは、非常に難しい問題だと思い ます。 最後に全体の感想ですが、今年度もプロジェクトは、過去のプロジェクトと違い、何よ りも、天候に恵まれ、活動期間中は、メンバーが病気などで離脱することがほとんどなく、 非常に充実できたと思いました。おそらく自分は、今年度をもって、派遣は終了すると思 いますが、次回のメンバーにきちんと、今年度どのようなことを現地で見たり聞いたりし たのか、それを伝えるまでは、終わりではありません。今後は、次回のメンバーをきちん とサポートしていけるようがんばっていこうと思いました。最後に、今年度、お世話にな ったメンバー全員に、お礼を言いたいと思います。本当にありがとうございました。


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■ 仲間に支えられて 国際医療福祉大学 保健医療学部 理学療法学科 3 年 中村 恵理 私が Gabaldon Project と初めて出会ったのは去年の NGA だった。それまでは Africa Village Project のメンバーとして活動を開始していたため、興味があり ML には登録したものの、 Gabaldon Project のメンバーとして実際にプロジェクトに参加するのは難しいと思っていた。 しかし、Project Coordinator と周りのメンバーに背中を押され、気づいたらメンバーに一員 として企画を立ち上げ、Gabaldon Project にどっぷり浸かっている自分がいた。私は都合上、 現地に行くことはできなかったが、Gabaldon Project から得られたものは多すぎて数えきれ ない。 まず、栄養班の企画を考える上で、ほとんどデータがなく、0 からのスタートであった。 しかも、栄養に関する特別な知識があるわけでもなく、専門家の先生方の意見を参考にし たり、何回も MTG を重ね、企画を完成させるのはとても容易なことではなかった。全く進 まず、企画自体を止めてしまおうかとさえ思った。 また、企画を完成できても実際に現地に行って実施するにはどうしたらよいか、子供た ちがわかってくれるにはどうしたらよいかと、見���ない現地のことを考え、予測立てた企 画が本当に上手くいくのか不安でいっぱいだった。 そして、自分が現地に行って調査できなかったこと、現地の雰囲気を感じることができ なかったのが何よりも残念である。 しかし、多くの困難にぶつかりながらも、自分がここまで Gabaldon Project を続けられた のは周りで支えてくれたメンバーのおかげに他ならない。栄養班が現地に行けなくなって しまったにも関わらず、栄養班の企画の手伝い、現地での実施までもメンバーのみんなが 行ってくれたことは本当に感謝の気持ちでいっぱいである。 今回私は Gabaldon Project を通して沢山のことを学ぶことができた。企画を立ち上げ、実 施することの難しさ、予算以内で全企画を遂行することの難しさ、そしてなによりもメン バーに支えられ、ここまでこれたことを本当に嬉しく思う。Gabaldon Project が始まった日 と今とでは自分が大きく成長できたことを実感している。Gabaldon Project メンバーはどの プロジェクトにも負けない、団結力と信頼感で繋がっていると感じている。このプロジェ クトを通し、一生の仲間に出会えたことを本当に幸せに思う。


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7 決算報告 Gabaldon Project 2008-2009 年度の収支決算報告です。

収入の部

項目

金額(円)

IFMSA-Japan 助成金

80000

メンバーからの集金

44000

その他

4000 円×11 人

1965 計

支出の部

備考

125965

東京合宿費用

1552

京都合宿費用

1290

文房具輸送費

107340

国内および国際

ホテル変更手数料

4000

インク代

2143

土産代

630

振込手数料

420

栄養生活マップ模造紙

100

日本総会関係費(ビラ・ポスター)

2530

報告書印刷費(インク・紙)

5480

データ配布用 DVD 購入費 計

480 125965

うち 1 つは未回収


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8 謝辞 Gabaldon Project に深く関わっていただいた皆様に、心から御礼申し上げます。 来年度以降も引き続きご支援・ご助言のほどお願いいたします。

長野県・林歯科診療所 院長 林春二先生

他スタッフの皆様

JICA フィリピン母子保健プロジェクト チーフアドバイザー 村上いずみ先生

ベトナムの子どもたちを支援する会 事務局長 坂東あけみ先生

他スタッフの皆様

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9 最後に 今年度、激変の時を迎えた Gabaldon Project は、来年度(2009-2010 年度)以降、Asia Community Health Project として新しく生まれ変わる予定です。これまでのようにフィール ドワークを継続しつつ、国際保健を志す医療系学生として、将来必要となるであろう知識や スキルを海外の学生とともに学び、身につけることができるような内容を準備します。 しかし、名前は変わっても、開発途上国に住む人々の役に立ちたい、海外との交流を深め たい、 私たちの経験を社会に還元していきたいという精神はきっと今後も受け継がれていく でしょう。 これまで Gabaldon Project に関わっていただいた全ての皆様、今後もぜひ Asia Community Health Project をご支援ください。私たちはこれからも、IFMSA-Japan の理念である幅広い視 野を持った医療人となるため、 よりよい社会を目指すために公衆衛生の分野で活動を続けて いきます。

IFMSA-Japan Standing Committee on Public Health Gabaldon Project Coordinator 2008-2009 宮崎大学医学部 3 年 鍋倉大樹 nabetai@gmail.com


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