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『賀門利誓』個展

『賀門利誓』個展 Toshichika Kamon Solo Exhibition


『賀門利誓』個展 Toshichika Kamon Solo Exhibition


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『Landscape of cliff(崖の風景)』Layered dye on tulle/ 布 / 染料 / 木製パネル H2300×W8000mm

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上から時計回り 『Portrait of mother and child( 母子像 )』Layered dye on tulle/ 布 / 染料 / 木製パネルなど正円形 直径 500mm、 『Portrait of my grandmother( 祖母の肖像 )』Layered dye on tulle/ 布 / 染料 / 木製パネルなど 正円形 直径 500mm、 『Portrait of my grandfather( 祖父の肖像 )』Layered dye on tulle/ 布 / 染料 / 木製パネルなど 正円形 直径 500mm

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 寺田倉庫 T-Art Gallery にて、2015 年 7 月 16 日 ( 木 ) から 7 月 29 日 ( 水 ) まで TERRADA ART AWARD 2014 寺田賞受賞者、賀門利誓の初の個展を開催した。  賀門は、京都精華大学芸術学部素材表現学科にて染色を専門に学び、多岐にわた る日本の伝統的染色技法と最先端の染色科学を平面作品に応用する作品を展開して いる。親族に関わる古い写真をモチーフに、独自のテクニックで染めた 1x2cm また は 2x4cm の布のピース ( 片 ) を大量に堆積し、画面にイメージを再構成する作品が メインとなっている。過去に生きていた人々の存在や風景を現代の肖像として加工、 再構成し、写真の中にある存在の存続性、真実性 / 現実性の可否を問うような作品。  絵画 / 写真の境界を越境しながら、過去に生きていた人々の存在証明として写真 ( イメージ ) を捉え、歴史を個人イメージのレイヤー、個人史喪失のレイヤー、とし て認識しようという試みである。  本展では、10 万枚の布のピースを用いた 8m に及ぶ大作や人物像のほかに、紫外 線により図像が現れる新たな試みの作品など合計約 30 点を展観した。 T-Art Gallery(2015)

『Portrait of birth』Layered dye on tulle/ 布 / 染料 / 木製パネルなど H1620×W1200mm 11


『Portrait of boys( 少年達の肖像 )』Layered dye on tulle/ 布 / 染料 / 木製パネルなど H594×W841mm

『Portrait of lady( 女性像 )』Layered dye on tulle/ 布 / 染料 / 木製パネルなど H1620×W1120mm 12

『Landscape of sea ( 海の風景 )」Layered dye on tulle/ 布 / 染料 / 木製パネルなど H1120×W1940mm 13


『それは常にうつろう』ベルベット / 布 / 染料 / 墨 / 木製パネルなど H1200×W830mm 14

『それは繰り返し続ける』ベルベット / 布 / 染料 / 墨 / 木製パネルなど H1600×W400mm 15


『それはそれでもなお生き続ける』ベルベット / 布 / 染料 / 墨 / 木製パネルなど H2350×W4150mm

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『Portrait of building( 建物の肖像 )』Layered dye on tulle/ 布 / 染料 / 木製パネルなど H727×W1000mm

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『Portrait of two girls( 少女達の肖像 )』 Layered dye on tulle/ 布 / 染料 / 木製パネルなど H650×W500mm

『Portrait of three girls( 少女達の肖像 )』 Layered dye on tulle/ 布 / 染料 / 木製パネルなど H841×W594mm

『Portrait of my great-grandfather ( 曾祖父の肖像 )』Layered dye on tulle/ 布 / 染料 H530xW360mm 19


『Landscape of sea( 海の風景 )』Layered dye on tulle/ 布 / 染料 / 木製パネルなど H1120×W1940mm

『Portrait of rice garden』Layered dye on tulle/ 布 / 染料 / 木製パネルなど H1165×W910mm

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『Portrait of young man( 青年像 )』Layered dye on tulle / 布 / 染料 / 木製パネルなど H1850×W1300mm

『Portrait of 2000』Layered dye on tulle / 布 / 染料 / 木製パネルなど H670×W490mm

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<作品評> 「消えるイメージ/現れるイメージ」 佐藤守弘(京都精華大学教授・視覚文化論)  賀門利誓は、自らの家やネット上で見つけ出した写真 ( ファウンド・フォト ) を 引き伸ばして布に染め、それに細かく切った長方形の紗を重ねていく。元の写真の 階調に合わせて紗が何重にも慎重に重ねあわされていき、連続的ーーあるいはアナ ログーーであったイメージは、離散的ーーあるいはデジタルーーな紗の集合体へと 取って代わられる。  そもそも銀塩写真とは、外界の階調を、光を媒介としてそのままに写しとるもの であり、外界の事物は連続体のまま感光面に刻印される。しかし、賀門の作品にお いて、連続体であるイメージは、長方形の紗を重ねられることによって分節されて しまうのである。賀門の作業は、レンズを通った光が残した偶発的な痕跡を、自ら の手によって理解可能なイメージへ変換、あるいは翻訳していくプロセスにも見え る。  ところが賀門の作業によって、写真が理解可能なものになるかといえば、そうは ならない。紗によって輪郭がぼやけてしまった写真は、とらえどころのない、なに やら亡霊的といってもいいような容貌をまとって、私たちの前にぼんやりと立ち現 れるのである。一般的に写真が絵画化されるとき、写真がその性質ゆえに捉えてし まう夾雑物は排除され、把握しやすいものになることが多い。それに対して、賀門 の作品は逆方向のヴェクトルを持つ。イメージは紗の網目の裏に沈潜していき、私 たちの視線は、紗の物質的現前に阻まれて、対象を捉えることはできない。  写真史家、ジェフリー・バッチェンは、インドなどの諸文化で制作されている写 真の上に彩色が施され、それがあまりにも厚塗りのため、本来の写真が見えなくなっ てしまっている写真を評して、「写真の認識論的現前は、それが知覚から不在となる ことによってより強められる」*1 と言う 。賀門の作品においても、写真が見えな くなればなるほど、写真の現前性は強められる。イメージは消えながら現れ、現れ たかと思うと消えていく。こうしたイメージの現れと消えの追求が賀門の作品の根 幹をなすものなのかもしれない。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー *1Geoffrey Batchen, "Vernacular Photographies,"Each Wild Idea: Writing, Photography, History, Cambridge, MA: The MIT Press, 2002, 62. 拙論「擬写真論ー肖像写真の転生」(『美術 フォーラム 21』20 号、醍醐書房、2009 年 11 月)も参照のこと。 22

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『disappeared painting ( 消失するイメージ )』一部拡大 布 / 染料など H490xW370mm H370xW490mm 合計 40 点

『disappeared painting ( 消失するイメージ )』一部拡大 布 / 染料など H490xW370mm H370xW490mm 合計 40 点

<Artist Statement>  写真や画像を我々が見た時に、その被写体がかつて存在したことと、現在も像と

喪失のレイヤー、として認識しようとしています。

して同時にあることのあり様を探っています。

 また「消失する絵画」「消失するイメージ」のシリーズでは、糊防染と浸染などに

 写真の中に現れているイメージを解体し、かつてあった時間や空間を再構築し視

より染色された小さな点により構成された円形の像や、歴史的な人物達が、現れて

覚化する為に、染めの伝統的な技法や先端的な染色技術を用い作品を制作していま

は消えます。光に反応する特殊な染料を使用することで、染料自体の分子構造が変

す。

化し、像が発色したり白に近く戻ったりを繰り返します。つまり図が地に地が図に、

 本展の中、「Layered dye」のシリーズでは、浸染と機械的な手法で染色された細

あるいは何もない状態に、描かれた/写された対象そのものが消失するのです。そ

かな薄い生地が数万枚重なり、像を創出します。光を透過する性質の生地 / 染料を

のとき、”ホンモノ " の消失した現代において、死んだモノが何かへと現れ蘇ります。

使用することで、超平面的でありながら数万枚の重なった生地により、重層的なレ

 我々や我々の存在する世界に有るもの全てを点にまで解体し、時空間の中で個々

イヤーを生み出します。

の存在のイメージと、その集積である歴史イメージが書き換えられ続けることを俯

 モチーフの多くは、生前のヴァナキュラーな写真で、過去に生きていた人々の存

瞰的な視点でとらえています。

在や風景を現代の肖像として創出し、写真の中にある存在の存続性、真実性 / 現実

 そしてそのことこそ”確かに過去に生きていた人々の存在証明”だと私は考えます。

性の可否を問います。絵画 / 写真の境界を越境しながら、過去に生きていた人々の 存在証明として写真 ( イメージ ) を捉え、歴史を個人イメージのレイヤー、個人史 32

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『disappeared painting ( 消失する絵画 )』布 / 染料 / 木製パネルなど 正円形 直径 700mm

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『disappeared painting ( 消失する絵画 )』布 / 染料 / 木製パネルなど 正円形 直径 700mm

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『disappeared painting ( 消失する絵画 )』布 / 染料 / 木製パネルなど H800✕W3200

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『disappeared painting ( 消失する絵画 )』布 / 染料 / 木製パネルなど H800✕W3200

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『disappeared painting ( 消失する絵画 )』の前に立つ賀門利誓氏

<賀門利誓 作家プロフィール> 1988 年 大阪生まれ 2011 年 京都精華大学 芸術学部 素材表現学科 卒業

『Portrait of army surgeon( 軍医の肖像 )』Layered dye on tulle/ 布 / 染料 / 木製パネルなど H1940xW1300mm 44

Selected Exhibitions ・2015 年 第 20 回染 · 清流展(染 · 清流館 / 京都)現代工芸の数奇《和美茶美》 (染 · 清流館 / 京都) 琳派 400 年記念 新鋭選抜展(京都文化博物館) ・2014 年 TERRADA ART AWARD TERRADA 賞受賞(T-Art Gallery/ 東京) オノデラユキ オープンクリティーク WONDER SEED2014 入選(トーキョーワンダーサイト渋谷 / 東京) ・2013 年 第 19 回染 · 清流展(染 · 清流館 / 京都) ・2011 年 第 4 回将来を期待される新鋭染色作家展(染・清流館 / 京都) ・2010 年 美ナビ展 入選(森アーツセンターギャラリー / 東京) 京展 2010 入選 , 館長奨励賞受賞(京都市美術館本館 / 京都) ・2009 年 『Power of Art Exhibition』-6 人のアーティスト達 - 企画も行う(gallery FLEUR/ 京都) 45


【名 称】 賀門利誓個展 【会 期】 2015 年 7 月 16 日(木)-2015 年 7 月 29 日(水) 【会 場】 寺田倉庫 本社ビル 2F 東京都品川区東品川 2-6-10 【主 催】 寺田倉庫

■撮影 北下弘市郎

■作品評 「消えるイメージ / 現れるイメージ」 京都精華大学教授・視覚文化論 佐藤守弘

『賀門利誓』個展 Toshichika Kamon Solo Exhibition

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