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また第三章で述べた開口部使用の様子

6)

を参照して、各パターンに開閉状

参考資料

況を変化させ、モデルに適用した。以下はその情報である。 6)第三章 3.3 表 2 えんがわオフィスの解析モデル

企業のオフィス内及び境

夏 季 全 て の 時 北側開口部①②、東側開口部③④、南側エントランス⑤

界部のコミュニケーショ

間帯

ンと開口部使用の様子、

⑥の全てを開放したモデルを作成。

秋 季 全 て の 時 北側開口部①②、東側開口部③④を開放したモデルを作

より③開口部使用の様

間帯

子、を参照。

成。

冬 季 全 て の 時 全ての開口部を閉鎖したモデルを作成。 間帯

(実質内部に通風はないが、境界部を見るため。)

また、解析モデルを作成する際に、えんがわオフィスは商店街及び寄井座 や蔵オフィスなどの図 5 周辺建物の影響を受けることを考慮し、それらを 一緒に解析している。

7)SD2013/鹿島出版会 P26-27 参照

図 5

縁側

周辺 敷地図 (※7)

69


A-2 分析指標 風解析結果を分析するにあたって、図 6 の人が快適と感じる風速

8)

を参照

参考資料

する。ここでは風速のみを考慮し、0.4-1.0m/s の範囲を快適風速としてい 8)「新建築」第88巻5号

る。

2013年4月臨時増刊 Shinkenchiku Plus 01 ル・コルビジェと風のか たち p006 風の基本辞典 参照

9)初めての建築環境/<

図 6 人が快適と感じる風速(※8)

建築のテキスト>編集委

また、机上の書類が風で動かない程度の風速は 1m/sとされており

9)

、こ

れを室内気流の上限としている。 しかし、「極暑期ではこの上限を超える風速を期待することもある」とい う場合もあり、このような季節の温熱環境が風速感覚に与える影響は②の 快適域の分析にて行う。

70

員会編/学芸出版社 P76 、4・3 通風の目的 参照


これらを参考にし、風解析図をオフィスごとに分析していく訳であるが、 解析結果の表示には図 7 のような最大値 2.5m/s、最小値 0m/s のカラー バーに沿って配色される。これは 20 分割され、風速が大きくなれば暖色に、 小さくなれば寒色になる。ここで図 5 を参照し、0.4-1.0m/sの風速を快 適風速とするならば、目盛 3 以上 8 以下を快適風速と判定できる。

図 7 カラーバーの見方(西田作成)

なを、これらの快適風速を満たすエリアを目視で判断し、図 8 の様に白色 で解析図上に塗りつぶしていく。

図 8 快適風速エリア

71


B 快適域の分析

参考資料

B-1 研究手法 快適域の分析に関しては、まず基本としてオルゲー(Victor Olgyay)の生 気候図を用いる。住宅設計ハンドブックによれば

10)

、1923 年ヤグローが

気温・湿度・気流の三つの組み合わせによる指標を作成、これは有効温度 と呼ばれ、この研究成果をもとにオルゲーは図 9 の様な生気候図を作成し た。この快適範囲というのは、不快ではないという消極的な意味での範囲 であるが、夏と冬では季節に対する人間の馴化があるのでその範囲がずれ ている。同時に気流や周囲からの輻射などによって拡大される快適範囲が 示されている。気流があれば実際の気温よりも低く感じられ、輻射があれ ば実際の気温よりも高く感じられることを示している。

図 9 生気候図(※10)

輻射に関しては例えば気温10℃湿度70%という寒い状態では 62.5kcal/hの輻射熱を通常着衣の人体に与えれば、快適範囲の下限に近付

72

10)住宅設計ハンドブッ ク/工学博士 清家清編 p85-89 参照


くことが可能になることを示している。

参考資料

これを有効に利用するために、生気候図上の人体への輻射熱に関する数値 を、水平面全天日射量 11)を基準として見るための数値変換作業を行う。

11)気象庁HP

人体の表面積は身長 170cm・体重 60kg の人で約1.7㎡程度である。この

日射・赤外放射

人が高さ 2m×4mの窓ガラスの 1mぐらい室内側にいるとすれば、形態係

-よくある質問 参照

数は0.13程度となる。よってこの人は、

2014 年 1 月 17 日現在

1.7 ㎡×0.13×「窓ガラス面1㎡あたりの透過日射量」

http://www.data.kishou

=生気候図上の人体への輻射量(12.5~75.0kcal)

.go.jp/obs-

に値する輻射量もしくは透過日射量を受けることができれば、快適域に近

env/radiation/faq_rad.h

づくことができる。これに生気候図上の輻射量の値をあてはめ、計算すれ

tml

ば、表 4 の様な結果となる。

全天日射が地表面が受 け取るすべての太陽光 を指すのに対し、 直達

表 4 輻射量と透過日射量 生気候図上の人体への輻射量基準

窓ガラス面1㎡あたりの透過日射量

日射は、太陽から直接

輻射量 12.5kcal/h

約 57kcal/㎡・h

地上に到達する光、散

輻射量 25.0 kcal/h

約 113kcal/㎡・h

乱日射は、太陽光が大

輻射量 37.5 kcal/h

約 170kcal/㎡・h

気中の粒子等により散

輻射量 50.0 kcal/h

約 226kcal/㎡・h

乱・反射されて 地上に

輻射量 62.5 kcal/h

約 282kcal/㎡・h

輻射量 75.0kcal/h

約 339kcal/㎡・h

届く光のことをさす。 直達日射の水平面成分 と散乱日射の和が全天

また、今回最も着目するオフィスにおける境界部(縁側)であるが、これは オフィスの半外部と考えられるため、ガラスの透過日射量を目安として考 えられる。そして季節・時間ごとの快適域を分析する為に、年間の鉛直面 への直達日射量の変化を利用するわけであるが、水平面全天日射量>表 4 の透過日射量の関係であれば快適域に近づいているとみなすことができる。 年間の水平面全天日射量の変化には、パッシブ気候図を形成するGMT データをもとに各月・時刻別のものの平均をとり、平均的な 1 日の日射量 の変化を見ることができるようにした。以下はそのグラフである。

73

日射となる。


図 10 春の水平面全天日射量の変化

図 11 夏の水平面全天日射量の変化

74


図 12 秋の水平面全天日射量

図 13 冬の水平面全天日射量の変化

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これらのグラフから数値を読み取り、日射量は、「A風解析結果の分析に ついて、A-1 研究手法」で用いた時間帯区分に沿ってB-2 の分析指標に記 録する。後のクライモグラフによる快適域の分析で明らかになるが、輻射 による快適域の拡大を考慮する必要があるのは、1月・2月・3月・4 月・5月・10月・11月・12月であり、その他の月は日射量の記録を 省略することとする。 この数値と生気候図上必要な輻射量から算出した透過日射量を比べ、快適 範囲から離れた場合においても快適域に近づくかどうかを判断する。

一方、B-2 分析指標でまとめた快適域を満たすためには、当然その場所に 日射が当たるかどうかを考慮する必要がある。これは各月ごとに朝 9 時か ら日射がなくなるまでの時間を対象とし、図 14 の様にSkechupにて イメージ化しており、日射の当たり方はオフィスの位置を Google Earth に て反映している。

図 14 Sketchup にて作成した日影図

76


よって、オフィスの各場所(特に境界部)が快適域かどうかを、以下のよう な考え方で判断することになる。

Ⅰ)生気候図上快適範囲内であるか。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・快適範囲であればここで終了。

Ⅱ)Ⅰで快適範囲でなければそれに近づくために必要な風速もしくは輻射 はあるか。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ここで快適範囲外であれば終了。

Ⅲ)Ⅱより必要な輻射を日射量が満たし、快適範囲と判断した場合、その 場所に日射は当たるか(図 12 の様な日影図参照)。

Ⅳ)ⅠⅡⅢをみたす場所を快適範囲とし、Aの風解析図上にそのエリアを 記入する。

77


また、今回この生気候図上に、パッシブ気候図を形成する GMT データ中の

参考資料

気温・湿度データを使用し、クライモグラフを作成した。ここでも穴吹気 象台のデータを使用している。 クライモグラフとは

12)

二種類の気候要素を縦軸と横軸にとり、直交座標上

12)設計の為の建築環

にプロットしたものである。各月の平均空気温度と平均相対湿度を示し、

境学 みつける・つくるバ

年間の変化を他の地域と比較し、地域差を見ることもあるが、今回は特定

イオクライマティックデザ

の地域の気候変動を見るため、特定の月・時間ごとの空気温度・相対湿度

イン/日本建築学会編

の平均をとり、プロットした。

p13 参照

図 15 生気候図と東京におけるクライモグラフ(時間ごと)(※10)

例を挙げれば、図 15 のようなものであり、年間の詳細な快適域の変化及び、 快適域から外れた場合、どのような気候条件が整えば、快適域に近づくこ とができるかを知ることができる。以降これまでの研究方法をもとに作成 したデータを快適域について分析し、指標を作成していくこととする。

78

9第四章