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キャンベル 食の倫理と言ってもいいと思います。最近アメ

複 合 的な知 識と思 考を育てる 「グローバルな教 養 教 育 」を

リカでは、 「フードディフェンス」 といって、流通や製造処理現

展開したいと考えています。キャンベル先生の母校でもある

場への計画的なテロ攻撃に対してどうするかが大きな関心

カリフォルニア大学バークレー校とも連携しています。

事で、いろんな動きがあります。 しかし日本では、 もともと農民 一揆のように食を奪って再配分させることはあっても、食物を

キャンベル それはいいですね。バークレー校は農に力を

傷つけたり、破壊したりするのは、考えにくいことですよね。

入れているので、 とてもいい連携になると思いますよ。

 日本の食に対する心性と、 グローバリズムな時代のなかで 食が置かれている状況。結構そこに、世界に発信していくべ

日本の大学教育を発展させるのは、

き役立つ要素があるんじゃないかなと思うんですね。私はぜ

文理間の壁の突破

ひ、 この文と理が融合した、域を超えた研究と実践を、龍谷 大学の新しい農学部の理念と実践に期待したいですね。 ア

赤松 激動する日本社会では、大学教育の質的な向上が

メリカではできないことです。食の倫理学はできても、実際の

叫ばれていますが、大学教員でもあるキャンベル先生は今後

生産や流通の学びとドッキングした形で、それが生産、流通、

の日本の大学教育のあり方について、 どのようにお考えです

栄養学をどう変えていくか、なかなか同じ土俵で語られると

か。

いうことがないんです。龍谷大学のような場所でこそ、むしろ それが自然にできる。新しいイノベーションの土壌がそこにあ

キャンベル 一つは、 まさに龍谷大学がめざされているよう

るんじゃないかなと期待しています。

に、大学の一角に風穴をあけ、海を越えて学生の循環をつく ることですね。その周囲までも目に見えて心のキャパシティが

赤松 ぜひ、期待に応えられるようにしたいと思います。

広がり、語学スキルアップのスピードもあがります。次に、広い 教養を身につけられるようにすると同時に、そのなかで、足場

語学力はゴールではない、

となる専門をつくることが重要です。そして同時に、一つの分

それで何をしたいのか

野のなかに閉じこもるのではなく、歴 史 、社 会 学 、経 済 学 、 様々な領域を横断できるシステム、俯瞰的に見られるような

赤松 グローバル社会のなかで活躍できる人間の育成が日

見晴らし、それを大学のいたる所につくるべきだと思います

本の大学の急務ですが、キャンベル先生は、 どういった人間

ね。先ほど文と理を合わせた農学部の話が出ましたが、私は

像が理想と思われますか。

それができればすごくいいと思います 。例えば経 済と医 学 、 言語文化と心理学、生命科学と建築。それらのシナプスを学

キャンベル 月並みですけれども、外国語の習得は大切だ

生自身が発見できるような仕掛けを、 カリキュラムや制度など

と思います。 まず英語について、頭で考える前に口から言葉

で設け、道を可視化することが、 日本の大学に求められてい

が出てくるぐらいに、 リアルタイムでわたり合っていけるスキル

ると思います。

を身につけることが大事です。ただ言葉は、木材を前にした 工具のようなもので、それを使って、 どういう木材を、 どういう

赤松 教員も、研究室で一国一城の主となりがちですが、社

設計図にしたがって、 どういう建物を建てるのか、 ということ

会に開く知の創造者として、 これまでのあり方を見直さなくて

がないと、それは活きないわけですから。外国語ができるだ

はなりませんね。

けで自分が国際人材だと勘違いしないでほしいですね。そ の外国語を使ってどんなことに挑むのかを考え、その分野に

キャンベル さらに、それを学生達に通じる言葉にしていく

ついて掘り下げていくべきです。 どのような組織に行っても、 こと、思考を刺激できるかたちでアウトプットしていく方法論を 職場が変わっても、 「 腕に覚えあり」 といわれるぐらいの自分

身につける必要がありますね。学生がその本当の魅力にた

のスキルを身につけることです。

どり着くまで、段階を踏んで興味深いかたちで伝える工夫の

重要性を感じます。

赤松 本学は農学部設置と同時期に、 これまで瀬田キャン パスにあった国際文化学部を国際学部と改組し、京都市内

赤松 学生にも単なる講義時における先生との接点だけで

の深草キャンパスに移し、新たに120名定員のグローバルス

なく、プライベートな場面での先生への関心を持って接して

タディーズ学科を設置してモデルチェンジしようとしています。 ほしいと常々言っています。そうすることで、出会いも広がり、 そこでは半年∼1年の留学を必修化し、講義も8割以上を英

テキストではないかたちで学ぶものがあると。一方、本学も第

語または英語と日本語併用の講義にして、在学生、留学生

5次長期計画という改革のなかで、教養教育のあり方の見

間の交流もシステム化していく予定です。異文化は英語ばか

直しや教職員の教育支援体制の充実をはかっているところ

りではありませんが、現在、国際社会に飛び立とうと思えば、 です。 グループ討論やワークショップなどにレイアウト自在の多 まず必要なのは英語のコミュニケーション能力です。 グロー

機能教室などを整備していますが、それらをまさにキャンベル

バルスタディーズ学科では、その一点を確実に押さえた上で、

先生のおっしゃるような挑戦に役立てていきたいと思います。

09 04

山口瞳・中路友佳子 People Unlimited: ¦ Feature 学長対談 Article: 巻頭特集

広報誌「龍谷」 No.78  

本学の教育・研究・社会貢献活動や、学生・卒業生・教職員の活躍等、特色ある取組や最新情報を、卒業生や在学生の保護者・教育機関等の幅広い層に、紹介している大学広報誌です。

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